説明

除草剤抵抗性のアブラナ属植物および使用方法

本発明は、AHAS阻害性除草剤に対する、改善されたレベルの耐性を有するトランスジェニック植物または非トランスジェニック植物を提供する。本発明はまた、アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)大サブユニットの突然変異体をコードする核酸、発現ベクター、単一、二重、またはそれ以上の突然変異を含有するAHASLサブユニットをコードするポリヌクレオチドを含む植物、1つ、2つ、またはそれ以上のAHASLサブユニット単一突然変異ポリペプチドを含む植物、それを作製し使用するための方法、および雑草をコントロールするための方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2007年4月4日に出願された米国仮出願第60/910,008号の利益を主張し、その全体は、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、除草剤抵抗性のアブラナ属植物ならびに野生型およびイミダゾリノン抵抗性アブラナ属アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニットタンパク質をコードする新規なポリヌクレオチド配列、種子、ならびにそのような植物を使用する方法に関する。
【0003】
本発明の背景
アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS;EC 4.1.3.18、アセトラクテートシンターゼまたはALSとしても知られている)は、分枝鎖アミノ酸バリン、ロイシン、およびイソロイシンの生化学的合成を触媒する第1の酵素である(Singh(1999年)Plant Amino Acid中の「バリン、ロイシン、およびイソロイシンの生合成(Biosynthesis of valine,leucine and isoleucine)」、Singh,B.K.編、Marcel Dekker Inc.New York、New York、227〜247ページ)。AHASは、スルホニルウレア(Tanら(2005年)Pest Manag.Sci.61:246〜57ページ;Mallory−SmithおよびRetzinger(2003年)Weed Technology 17:620〜626ページ;’LaRossaおよびFalco(1984年)Trends Biotechnol.2:158〜161ページ)、イミダゾリノン(Shanerら(1984年)Plant Physiol.76:545〜546ページ)、トリアゾロピリミジン(SubramanianおよびGerwick(1989年)Biocatalysis in Agricultural Biotechnology中の「トリアゾロピリミジンによるアセトラクテートシンターゼの阻害(Inhibition of acetolactate synthase by triazolopyrimidines)」、Whitaker,J.R.およびSonnet,P.E.編、ACS Symposium Series、American Chemical Society、Washington,D.C.、277〜288ページ)、Tanら(2005年)Pest Manag.Sci.61:246〜57ページ;Mallory−SmithおよびRetzinger(2003年)Weed Technology 17:620〜626ページ、スルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン(Tanら(2005年)Pest Manag.Sci.61:246〜57ページ;Mallory−SmithおよびRetzinger(2003年)Weed Technology 17:620〜626ページ)を含む、5つの構造的に多様な除草剤ファミリーの作用部位である。イミダゾリノン除草剤およびスルホニルウレア除草剤は、非常に低い適用量でのそれらの有効性および動物での相対的な非毒性の理由から、現代の農業で広く使用されている。AHAS活性を阻害することによって、除草剤のこれらのファミリーは、多くの雑草種を含む感受性の植物がさらに生育することおよび伸長することを阻害する。市販で入手可能なイミダゾリノン除草剤のいくつかの例は、PURSUIT(登録商標)(イマゼタピル(Imazethapyr))、SCEPTER(登録商標)(イマザキン(imazaquin))、およびARSENAL(登録商標)(イマザピル)である。スルホニルウレア除草剤の例は、クロルスルフロン、メトスルフロンメチル、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、ベンスルフロンメチル、ニコスルフロン、エタメツルフロンメチル、リムスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリアスルフロン、プリミスルフロンメチル、シノスルフロン、アミドスルフロン、フラザスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、およびハロスルフロンである。
【0004】
それらの高度な有効性および低毒性の理由から、イミダゾリノン除草剤は、広いエリアの植生の上部に対して噴霧することによる適用にとって好ましい。広範囲の植生の上部に対して除草剤を噴霧することができると、農場の造成および維持に関連する費用は減少し、そのような化学物質の使用に先立った地ごしらえの必要性は減少する。望ましい耐性種の上部に対して噴霧することにより、競合種の不在の理由から、望ましい種の最大の生産力を達成することもできる。しかしながら、そのような噴霧技術を使用することができるかは、噴霧エリア中の望ましい植生のイミダゾリノン抵抗性種の存在に依存する。
【0005】
主な農業作物の中で、ダイズなどのようないくつかのマメ科の種は、それらが除草剤化合物を速やかに代謝することができる理由から、イミダゾリノン除草剤に本来抵抗性である(ShanerおよびRobinson(1985年)Weed Sci.33:469〜471ページ)。トウモロコシなどのような他の作物(Newhouseら(1992年)Plant Physiol.100:882886)およびイネ(Barrettら(1989年)Crop Safeners for Herbicides、Academic Press、New York、195〜220ページ)は、イミダゾリノン除草剤にやや感受性である。イミダゾリノン除草剤に対する異なる感受性は、特定の除草剤の化学的性質およびそれぞれの植物での毒性形態から非毒性形態への化合物の異なる代謝に依存する(Shanerら(1984年)Plant Physiol.76:545〜546ページ;Brownら、(1987年)Pestic.Biochem.Physiol.27:24〜29ページ)。吸収および転流などのような他の、植物の生理学的な差異もまた、感受性で重要な役割を果たす(ShanerおよびRobinson(1985年)Weed Sci.33:469〜471ページ)。
【0006】
イミダゾリノン、スルホニルウレア、およびトリアゾロピリミジンに抵抗性の植物は、トウモロコシ(Zea mays)、シロイヌナズナ、セイヨウアブラナ(つまりキャノーラ)ダイズ(Glycine max)、タバコ(Nicotiana tabacum)、およびイネ(Oryza sativa)で、種子、小胞子、花粉、およびカルスの突然変異誘発を使用して上手く生産されてきた(Sebastianら(1989年)Crop Sci.29:1403〜1408ページ;Swansonら、1989年 Theor.Appl.Genet.78:525〜530ページ;Newhouseら(1991年)Theor.Appl.Genet.83:65〜70ページ;Sathasivanら(1991年)Plant Physiol.97:1044〜1050ページ;Mourandら(1993年)J.Heredity 84:91〜96ページ;米国特許第5,545,822号)。すべての場合において、単一の不完全優性核内遺伝子は抵抗性を付与した。4つのイミダゾリノン抵抗性コムギ植物もまた、以前に、コムギ(Triticum aestivum L.)栽培品種Fidelの種子突然変異誘発の後に単離された(Newhouseら(1992年)Plant Physiol.100:882〜886ページ)。遺伝研究により、単一の不完全優性遺伝子が抵抗性を付与することを確証した。対立遺伝子研究に基づいて、著者らは、4つの同定された系の突然変異が同じ座に位置すると結論づけた。Fidel栽培品種抵抗性遺伝子のうち1つはFS−4と命名された(Newhouseら(1992年)Plant Physiol.100:882〜886ページ)。
【0007】
AHAS阻害剤複合体の三次元コンホメーションのコンピューターベースのモデリングは、誘発突然変異がイミダゾリノンに対する選択的な抵抗性をおそらく付与すると思われる部位として提唱される阻害剤結合ポケット中のいくつかのアミノ酸を予測する(Ottら(1996年)J.Mol.Biol.263:359〜368ページ)。AHAS酵素の提唱される結合部位にこれらの合理的に設計された突然変異のうちいくつかを用いて生産されたコムギ植物は、単一のクラスの除草剤に対して特異的な抵抗性を実際に示した(Ottら(1996年)J.Mol.Biol.263:359〜368ページ)。
【0008】
イミダゾリノン除草剤に抵抗性の植物もまた多くの特許で報告されている。米国特許第4,761,373号、第5,331,107号、第5,304,732号、第6,211,438号、第6,211,439号、および第6,222,100号は、全体として、植物中で除草剤抵抗性を誘発するように改変されたAHAS遺伝子の使用を記載し、具体的には、ある種のイミダゾリノン抵抗性のトウモロコシ系を開示する。米国特許第5,013,659号は、1つまたは複数の保存領域中の少なくとも1つのアミノ酸中の突然変異の理由から除草剤抵抗性を示す植物を開示する。そこに記載される突然変異は、イミダゾリノンおよびスルホニルウレアについての交差抵抗性またはスルホニルウレアに特異的な抵抗性のいずれかをコードするが、イミダゾリノンに特異的な抵抗性は記載されていない。米国特許第5,731,180号および米国特許第5,767,361号は、イミダゾリノンに特異的な抵抗性をもたらす、野生型単子葉植物AHASアミノ酸配列中に単一アミノ酸置換を有する単離遺伝子について論じている。加えて、AHASを阻害する除草剤に抵抗性のイネ植物は、突然変異育種によって、また葯培養によって生産されたイネ植物のプールからの除草剤抵抗性の植物の選択によっても開発されている。米国特許第5,545,822号、第5,736,629号、第5,773,703号、第5,773,704号、第5,952,553号、および第6,274,796号を参照されたい。
【0009】
植物では、検査された他のすべての生物と同様に、AHAS酵素は2つのサブユニット:大サブユニット(触媒的な役割)および小サブユニット(調節性の役割)を含む(DugglebyおよびPang(2000年)J.Biochem.Mol.Biol.33:1〜36ページ)。AHAS大サブユニット(本明細書でAHASLとも呼ばれる)は、シロイヌナズナ属およびイネの場合と同様に単一遺伝子によってコードされている可能性もあり、またはトウモロコシ、キャノーラ、およびワタと同様に複数の遺伝子ファミリーメンバーによってコードされている可能性もある。大サブユニット中での特異的な単一ヌクレオチド置換は、1つまたは複数のクラスの除草剤に対するある程度の非感受性を酵素に付与する(ChangおよびDuggleby(1998年)Biochem J.333:765〜777ページ)。
【0010】
たとえば、パン用のコムギであるコムギ(Triticum aestivum L.)は、3つの相同性のアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット遺伝子を含有している。遺伝子のそれぞれは、3つの遺伝子のそれぞれの突然変異体からの、除草剤に対する応答および生化学的データに基づいた著しい発現を示す(Ascenziら(2003年)International Society of Plant Molecular Biologists Congress、Barcelona、Spain、Ref.No.S10−17)。3つの遺伝子すべてのコード配列は、ヌクレオチドレベルで広範囲な相同性を共有する(国際公開第03/014357号)。数種類のコムギ(Triticum aestivum)からのAHASL遺伝子の配列決定を通して、多くのIMI耐性(イミダゾリノン耐性)系の除草剤耐性の分子的基盤は、シロイヌナズナのアミノ酸653のセリンと等価な位置でのアスパラギンへのセリンの置換を示す突然変異Ser653(At)ASNであることが分かった(国際公開第03/014357)。この突然変異は、AHASLタンパク質をコードするDNA配列中の一塩基多型(SNP)によるものである。
【0011】
複数のAHASL遺伝子はまた、双子葉植物種で存在することも知られている。最近では、Kolkmanら((2004年)Theor.Appl.Genet.109:1147〜1159ページ)は、ヒマワリ(Helianthus annuus L.)の除草剤抵抗性の遺伝子型および野生型遺伝子型からの3つのAHASL遺伝子(AHASL1、AHASL2、およびAHASL3)の同定、クローニング、および配列決定を報告した。Kolkmanらは、除草剤抵抗性は、AHASL1タンパク質中のPro197Leu(シロイヌナズナ属AHASLアミノ酸位置の呼称を使用)置換またはAla205Val置換のいずれかによるものであったことならびにこれらの置換のそれぞれは、イミダゾリノン除草剤およびスルホニルウレア除草剤の両方に対して抵抗性を提供したことを報告した。
【0012】
それらの高度な有効性および低毒性を考慮すると、イミダゾリノン除草剤は農業による使用にとって好ましい。しかしながら、特定の作物生産システムでイミダゾリノン除草剤を使用することができるかは、対象とする作物のイミダゾリノン抵抗性の品種が入手可能かに依存する。農業者が使用するイミダゾリノン除草剤およびスルホニルウレア除草剤のタイプおよび量の適応性をより高くするために、より強い除草剤耐性が望まれることが多い。さらに、除草剤耐性の品種を開発する植物育種家は、より高い除草剤耐性をもたらす突然変異を取り扱って、彼らが品種を開発するために使用する生殖質のバックグラウンドの適応性をより高くする必要がある。そのようなイミダゾリノン抵抗性品種を生産するために、植物育種家は、好ましくはイミダゾリノン抵抗性が増加した、さらなる育種系を開発する必要がある。したがって、作物のさらなるイミダゾリノン抵抗性育種系およびイミダゾリノン抵抗性品種ならびにイミダゾリノン抵抗性育種系およびイミダゾリノン抵抗性品種の生産および使用のための方法および組成物が必要とされる。
【0013】
発明の概要
本発明は、野生型アブラナ属植物と比較した場合に、除草剤に対する抵抗性が増加したアブラナ属植物を提供する。具体的には、本発明のアブラナ属植物は、野生型アブラナ属植物と比較した場合に、AHAS酵素の活性を阻害する少なくとも1つの除草剤に対する抵抗性が増加している。除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドをコードするアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーをそのゲノム中に含むアブラナ属植物であって、AHASLポリペプチドは、a)配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するポリペプチド、b)配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するポリペプチド、およびc)配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置にロイシンを有するポリペプチドからなる群から選択される。本発明はまた、セイヨウカラシナ植物中の異なるゲノム上のAHAS突然変異を組み合わせた場合に達なされる増強された除草剤耐性も提供する。一例では、bR(AHAS1)突然変異(セイヨウカラシナのBゲノム上)を、遺伝子移入PM2(AHAS3)突然変異(セイヨウカラシナに遺伝子移入されたセイヨウアブラナのAゲノム上)と組み合わせた植物である。結果として生じる除草剤耐性は、著しく増強され、PM2とPM1を組み合わせた現行の市販製品で観察されるものに対して驚くべき相乗効果を有する。他の例では、PM1突然変異およびPM2突然変異を組み合わせた植物と比較して、相乗的なレベルの除草剤耐性をも提供する、aR(AHAS1)突然変異(セイヨウカラシナのAゲノム上)をA107T突然変異(セイヨウカラシナのBゲノム上)と組み合わせたセイヨウカラシナ植物が提供される。
【0014】
一態様では、本発明は、J05Z−07801と命名されたアブラナ属系由来である除草剤抵抗性の二重突然変異体アブラナ属植物を提供する。他の態様では、本発明は、J04E−0139と命名されたアブラナ属系由来である除草剤抵抗性のアブラナ属植物を提供する。他の態様では、本発明は、J04E−0130と命名されたアブラナ属系由来である除草剤抵抗性のアブラナ属植物を提供する。他の態様では、本発明は、J04E−0122と命名されたアブラナ属系由来である除草剤抵抗性のアブラナ属植物を提供する。
【0015】
本発明の除草剤抵抗性のアブラナ属植物は、本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする遺伝子またはポリヌクレオチドの1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のコピーを含有することができる。本発明の除草剤抵抗性のアブラナ属植物は、単一、二重、またはそれ以上の突然変異を含有する除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする遺伝子またはポリヌクレオチドを含有してもよい。本発明のアブラナ属植物はまた、本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする遺伝子またはポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーを含む種子および後代植物をも含む。単一、二重、もしくはそれ以上の突然変異を含有するAHASLポリペプチドをコードする1つのポリヌクレオチドまたはAHASL単一突然変異ポリペプチド植物をコードする2つ以上のポリヌクレオチドを含む種子またはそれから生じる後代植物は、単一植物中のAHASL単一突然変異ポリペプチドから予測されるものよりも、AHAS阻害性除草剤、たとえばイミダゾリノン除草剤またはスルホニルウレア除草剤に対する、予想外により高度なレベルの耐性を示す。その植物およびその後代は、除草剤耐性の相加効果ではなく相乗効果を示し、それによって、複数の突然変異を含むその植物およびその後代の除草剤耐性のレベルは、AHASL単一突然変異タンパク質を含む植物の除草剤耐性よりも高い。
【0016】
本発明は、本発明の非トランスジェニック除草剤抵抗性の植物およびトランスジェニック除草剤抵抗性の植物の近くの雑草をコントロールするための方法を提供する。そのような植物は、たとえば、上記に記載される除草剤抵抗性のアブラナ属植物および本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子を用いて形質転換された植物を含む。形質転換植物は、それらのゲノム中に、植物細胞中で遺伝子発現を駆動するプロモーターを含む少なくとも1つの発現カセットを含み、プロモーターは、本発明のAHASLポリヌクレオチドに作動可能に連結される。方法は、雑草および除草剤抵抗性の植物に有効量の除草剤を適用するステップを含み、除草剤抵抗性の植物、植物は、野生型植物または非形質転換植物と比較した場合に、少なくとも1つの除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤またはスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性が増加している。本発明は、植物のAHAS活性を増加させ、除草剤抵抗性の植物を生産し、除草剤耐性の植物の除草剤耐性を増強するための方法を提供する。本発明のいくつかの態様では、方法は、植物細胞中で発現を駆動するプロモーターに作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド構築物を用いて植物細胞を形質転換するステップと、形質転換植物細胞から形質転換植物を再生するステップとを含む。ヌクレオチド配列は、本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードするそれらのヌクレオチド配列から選択される。他の態様では、方法は、他の植物と本発明の除草剤抵抗性の植物の他家受粉を含む従来の植物育種を含み、本発明の除草剤抵抗性の植物である親植物の除草剤抵抗性の特徴を含む後代植物を選択するステップをさらに含んでもよい。
【0017】
本発明は、アブラナ属AHASLタンパク質の単離ポリヌクレオチド分子および単離ポリペプチドをさらに提供する。本発明のポリヌクレオチド分子は、本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質は、a)配列番号13に示すヌクレオチド配列、b)配列番号14に示すヌクレオチド配列、c)配列番号15に示すヌクレオチド配列、d)配列番号13に示すヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、そのタンパク質は、配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するヌクレオチド配列、e)配列番号14に示すヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、そのタンパク質は、配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するヌクレオチド配列、f)配列番号15に示すヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、そのタンパク質は、配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するヌクレオチド配列、からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。前述のAHASLタンパク質は、a)配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置のアスパラギン、b)配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置のトレオニン、およびc)配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置のロイシンからなる群から選択される少なくとも1つの突然変異をさらに含む。
【0018】
本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチド分子を含む発現カセット、形質転換ベクター、形質転換非ヒト宿主細胞、および形質転換植物、植物の一部分、ならびに種子もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】シロイヌナズナからの野生型AHASL遺伝子(AtAHASL、配列番号11)、J04E−0044系からのセイヨウカラシナの除草剤抵抗性のBjAHASL1B−S653N遺伝子(J04E−0044、配列番号12)、J04E−0139系からのセイヨウカラシナの除草剤抵抗性のBjAHASL1A−S653N遺伝子(J04E−0139、配列番号13)、J04E−0130系からのセイヨウカラシナの除草剤抵抗性のBjAHASL1B−A122T遺伝子(J04E−0130、配列番号14)、J04E−0122系からのセイヨウカラシナの除草剤抵抗性のBjAHASL1A−A122T遺伝子(BjAHASL1A、配列番号15)、PM2系からのセイヨウアブラナの除草剤抵抗性のBnAHASL1A−W574L遺伝子(BnAHASL1A、配列番号16)、セイヨウカラシナの野生型BjAHASL1A遺伝子(BjAHASL1A、配列番号17)、セイヨウカラシナの野生型BjAHASL1B遺伝子(BjAHASL1B、配列番号18)、セイヨウアブラナの野生型BnAHASL1A遺伝子(BnAHASL1A、配列番号19)、セイヨウアブラナの野生型BnAHASL1C遺伝子(BnAHASL1C、配列番号20)のコード領域のヌクレオチド配列のアラインメントを示す図である。分析は、Fast Algorithmを使用して、Vector NTIソフトウェアスイートで行なった。(ギャップ開始15、ギャップ伸長6.66、およびギャップ分離8、マトリックスはswgapdnamtとする)。
【図2】シロイヌナズナからの野生型AHASL遺伝子(AtAHASL、配列番号1)、J04E−0044系からのセイヨウカラシナの除草剤抵抗性のBjAHASL1B−S653N遺伝子(J04E−0044、配列番号2)、J04E−0139系からのセイヨウカラシナの除草剤抵抗性のBjAHASL1A−S653N遺伝子(J04E−0139、配列番号3)、J04E−0130系からのセイヨウカラシナの除草剤抵抗性のBjAHASL1B−A122T遺伝子(J04E−0130、配列番号4)、J04E−0122系からのセイヨウカラシナの除草剤抵抗性のBjAHASL1A−A122T遺伝子(J04E−0122、配列番号5)、PM2系からのセイヨウアブラナの除草剤抵抗性のBnAHASL1A−W574L遺伝子(BnAHASL1A、配列番号6)、セイヨウカラシナの野生型BjAHASL1A遺伝子(BjAHASL1A、配列番号7)、セイヨウカラシナの野生型BjAHASL1B遺伝子(BjAHASL1B、配列番号8)、セイヨウアブラナの野生型BnAHASL1A遺伝子(BnAHASL1A、配列番号9)、セイヨウアブラナの野生型BnAHASL1C遺伝子(BnAHASL1C、配列番号10)のアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。分析は、Vector NTIソフトウェアスイートで行なった(ギャップ開始ペナルティー=10、ギャップ伸長ペナルティー=0.05、ギャップ分離ペナルティー=8、blosum 62MT2マトリックス)。
【図3】セイヨウカラシナ植物系のAHAS酵素活性アッセイ結果を示す棒グラフである。
【図4】セイヨウカラシナ植物系の温室噴霧アッセイ結果を示す図である。
【図5】対応するDNA配列またはタンパク質配列に対する配列番号を示す表である。
【図6】100μMのImazamoxでの、互いにおよびセイヨウカラシナの遺伝子移入PM2突然変異と積み重ねられたaR、bR、A107T、およびA104Tセイヨウカラシナ突然変異の組み合わせを含有するホモ接合性セイヨウカラシナ系から単離されたタンパク質抽出物中のAHAS酵素活性を提供する図である。
【図7】35g ai/haのImazamoxを用いた温室中での噴霧2週間後の、aRおよびA107T AHAS突然変異の異なる接合性および組み合わせを含有するセイヨウカラシナF2系に対する植物傷害(薬害)の平均を提供する図である。
【図8】35g ai/haの等価なImazamox(Raptor(登録商標))を用いて噴霧した2週間後の、互いにおよびセイヨウカラシナの遺伝子移入PM2突然変異と積み重ねられたaR、bR、A107T、およびA104Tセイヨウカラシナ突然変異の組み合わせを含有するホモ接合性セイヨウカラシナDH系植物に対する薬害の平均を提供する図である。
【0020】
本発明の詳細な説明
本発明は、野生型アブラナ属植物と比較した場合に、除草剤に対する抵抗性が増加したアブラナ属植物に関する。除草剤抵抗性のアブラナ属植物は、単離野生型(除草剤抵抗性に関して)アブラナ属小胞子を突然変異原に曝露し、有効量のイミダゾリノン除草剤の存在下で小胞子を培養し、且つ生存する胚を選択することによって、下記に詳細に記載されるように生産した。生存する胚から、半数体アブラナ属植物を生産し、次いで、染色体を倍加して、野生型アブラナ属植物の抵抗性と比較して、イミダゾリノン除草剤に対する増強された抵抗性を示す稔性倍加半数体アブラナ属植物を産出した。一態様では、本発明は、下記に詳細に記載されるように小胞子の突然変異誘発から生産したJ04E−0139と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系を提供する。他の態様では、本発明は、小胞子の突然変異誘発から生産したJ04E−0130と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系を提供する。他の態様では、本発明は、小胞子の突然変異誘発から生産したJ04E−0122と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系を提供する。他の態様では、本発明は、bRセイヨウカラシナ突然変異体系(米国特許出願公開第2005/0283858号)をセイヨウアブラナからセイヨウカラシナに最初に遺伝子移入されたPM2突然変異体系(米国特許出願公開第2004/0142353号および米国特許出願公開第2004/0171027号を参照されたい;Hattoriら、Mol.Gen.Genet.246:419〜425ページ、1995年もまた参照されたい)と交雑させることによって生産したJ05Z−07801と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系を提供する。
【0021】
したがって、本発明は、AHAS阻害性除草剤に対して抵抗性を有するセイヨウカラシナの植物を提供する。少なくとも1つのAHASLポリヌクレオチド中に単一突然変異を含有するセイヨウカラシナ系が提供され、単一突然変異は、シロイヌナズナAHASL1配列の位置653のアミノ酸に対応するGからAへの塩基転換およびシロイヌナズナAHASL1配列の位置122のアミノ酸に対応するGからAへの塩基転換の群から選択される。
【0022】
J04E−0139除草剤抵抗性のセイヨウカラシナ植物および野生型セイヨウカラシナ植物の両方から、アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット遺伝子(AHASL1として命名された)のコード領域を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅によって単離し、配列決定した。除草剤抵抗性のアブラナ属植物および野生型アブラナ属植物のポリヌクレオチド配列を比較することによって、除草剤抵抗性のアブラナ属植物からのAHASL1ポリヌクレオチド配列のコード領域は、セイヨウカラシナのAゲノム上に位置し、単一ヌクレオチド、GからAへの塩基転換で、野生型植物のAHASL1ポリヌクレオチド配列と異なることが発見された(図1)。AHASL1ポリヌクレオチド配列中のこのGからAへの塩基転換は、野生型AHASL1タンパク質のアミノ酸配列と比較して、AHASL1タンパク質の予測されるアミノ酸配列の保存領域中で、アミノ酸635(シロイヌナズナAHASL1のアミノ酸653に対応する)の新規なSer−Asnの置換をもたらす(図2)。
【0023】
J04E−0130除草剤抵抗性のセイヨウカラシナ植物および野生型セイヨウカラシナ植物の両方から、アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット遺伝子(AHASL1と命名された)のコード領域を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅によって単離し、配列決定した。除草剤抵抗性のアブラナ属植物および野生型アブラナ属植物のポリヌクレオチド配列を比較することによって、除草剤抵抗性のアブラナ属植物系J04E−0130からのAHASL1ポリヌクレオチド配列のコード領域は、セイヨウカラシナのBゲノム上に位置し、単一ヌクレオチド、GからAへの塩基転換で、野生型植物のAHASL1ポリヌクレオチド配列と異なることが発見された(図1)。AHASL1ポリヌクレオチド配列中のこのGからAへの塩基転換は、野生型AHASL1タンパク質のアミノ酸配列と比較して、AHASL1タンパク質の予測されるアミノ酸配列の保存領域中で、アミノ酸107(シロイヌナズナAHASL1のアミノ酸122に対応する)の新規なAlaからThrへの置換をもたらす(図2)。
【0024】
J04E−0122除草剤抵抗性のセイヨウカラシナ植物および野生型セイヨウカラシナ植物の両方から、アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット遺伝子(AHASL1と命名された)のコード領域を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅によって単離し、配列決定した。除草剤抵抗性のアブラナ属植物および野生型アブラナ属植物のポリヌクレオチド配列を比較することによって、除草剤抵抗性のアブラナ属植物系J04E−0122からのAHASL1ポリヌクレオチド配列のコード領域は、セイヨウカラシナのAゲノム上に位置し、単一ヌクレオチド、GからAへの塩基転換で、野生型植物のAHASL1ポリヌクレオチド配列と異なることが発見された(図1)。AHASL1ポリヌクレオチド配列中のこのGからAへの塩基転換は、野生型AHASL1タンパク質のアミノ酸配列と比較して、AHASL1タンパク質の予測されるアミノ酸配列の保存領域中で、アミノ酸104(シロイヌナズナAHASL1のアミノ酸122に対応する)の新規なAlaからThrへの置換をもたらす(図2)。
【0025】
本開示はまた、少なくとも2つの突然変異AHASLポリヌクレオチドを含有するセイヨウカラシナ植物をも提供する。そのような植物はまた、本明細書で、「積み重ねられた」突然変異を含有する植物とも呼ばれる。突然変異は、セイヨウカラシナ植物の同じまたは異なるゲノム上にあってもよい。セイヨウカラシナ植物は、任意の数の突然変異AHASLポリヌクレオチドおよび配列番号1の位置653、配列番号2の位置638、配列番号3の位置635、配列番号1の位置122、配列番号4の位置107、配列番号5の位置104、配列番号1の位置574、または配列番号6の位置557に対応する突然変異を含むが、これらに限定されない任意の組み合わせの突然変異を含有してもよい。
【0026】
異なるゲノム上の2つの突然変異AHASLポリヌクレオチドを有するセイヨウカラシナ植物もまた本明細書で提供され、一方の突然変異AHASLポリヌクレオチドは、Aゲノム上にあり、第2の突然変異AHASLポリヌクレオチドは、Bゲノム上にある。2つの突然変異AHASLポリヌクレオチドを有するそのようなセイヨウカラシナ植物は、bR突然変異およびPM2突然変異を含有する植物を含む。そのような植物は、セイヨウカラシナ系J05Z−07801の植物およびその種子ならびにセイヨウカラシナ系J05Z−07801との交雑から得られた後代および子孫を含む。他の側面では、2つの突然変異AHASL突然変異を有するセイヨウカラシナ植物は、後代セイヨウカラシナ系で、A122T突然変異(たとえばJ04E−0130系から)とaR突然変異(たとえばJ04E−0139系から)を組み合わせた植物を含む。一側面では、2つのAHASL1突然変異を組み合わせたそのような植物は、それぞれの個々の突然変異を含有する相加的な除草剤耐性レベルのセイヨウカラシナ植物と比較して、相乗的なレベルの除草剤耐性を示す。
【0027】
PM1およびPM2の突然変異は、Swansonら(Plant Cell Reports 7:83〜87ページ(1989年))によって記載されるように、セイヨウアブラナの小胞子突然変異誘発を使用して開発された。PM2突然変異は、セイヨウアブラナのAゲノム上にあると考えられるAHAS3遺伝子の3’端末の単一ヌクレオチド変化(GからT)によって特徴づけられ(RutledgeらMol.Gen.Genet.229:31〜40ページ(1991年))、TrpからLeuへのアミノ酸変化、Trp556(Bn)Leuをもたらす(Hattoriら、Mol.Gen.Genet.246:419〜425ページ、1995年)。セイヨウアブラナのCゲノム上にあると考えられるPM1突然変異(RutledgeらMol.Gen.Genet.229:31〜40ページ(1991年))は、AHAS1遺伝子の単一ヌクレオチド変化(GからA)によって特徴づけられ、SerからAsnへのアミノ酸変化、Ser638(Bn)ASNをもたらす(Sathasivanら、Plant Physiol.97:1044〜1050ページ、1991年およびHattoriら、Mol.Gen.Genet.232:167〜173ページ、1992年を参照されたい;米国特許公開第2004/0142353号および米国特許公開第2004/0171027号もまた参照されたい)。突然変異PM1(AHAS1)遺伝子および突然変異PM2(AHAS3)遺伝子は、イミダゾリノン除草剤に対して耐性を提供するように相加的に作用することが報告された(Swansonら、Theor.Appl.Genet.78:525〜530ページ、1989年)。
【0028】
PM2は、セイヨウアブラナのAゲノム上に位置すると考えられ、セイヨウカラシナおよびカブの両方はAゲノムを含有するので、セイヨウカラシナまたはカブのいずれかへのセイヨウアブラナからのPM2突然変異遺伝子の移入は、種を交雑させ(遺伝子移入)、低レベルの除草剤選択下で選択することによって実行することができる。PM1は、セイヨウアブラナのCゲノム上に位置すると考えられるので、セイヨウカラシナ(A、B)またはカブ(A、A)へのセイヨウアブラナからのこの突然変異の遺伝子移入は、生じるのにまれな染色体転座イベント(セイヨウアブラナのCゲノムおよびセイヨウカラシナのAゲノムまたはBゲノムの間)に依存するため、非常により困難となる。そのような染色体転座イベントは、この方法を使用する場合に生じることが多い安定性の欠如および連結抗力を取り除くことができないといったことによってわずらわされ得ることが多い。米国特許第6,613,963号は、この遺伝子移入方法を使用して生産された除草剤耐性のPM1/PM2セイヨウカラシナの植物を開示する。セイヨウアブラナのPM1およびPM2によって提供された相加的な耐性に基づいて、2つの突然変異、PM1およびPM2のセイヨウカラシナへの遺伝子移入もまた、相加的な除草剤耐性を提供することが期待され得る。
【0029】
カブおよび/またはセイヨウカラシナのAゲノムまたはBゲノム上にセイヨウアブラナのCゲノムからの除草剤耐性の形質を移入することに関連する問題を克服するために、望ましいゲノム中で突然変異を直接生じさせることが好都合となる。米国特許出願第2005/0283858号は、除草剤耐性のセイヨウカラシナAHAS1突然変異、bRを開示し、これは、Bゲノム上のAHASL遺伝子でSer638Asn(シロイヌナズナ属AHASLアミノ酸位置呼称を使用する位置653)の置換を引き起こす、AHAS1遺伝子上にSNPをもたらす直接的な突然変異誘発によって生じた。
【0030】
本明細書で提供される2つ以上のAHASL突然変異を有するセイヨウカラシナ植物は、個々の突然変異の抵抗性の相加的なレベルと比較して、除草剤抵抗性のレベルが増加している可能性がある。2つ以上のAHASL突然変異を有する植物は、個々のAHASL突然変異によってもたらされる抵抗性の相加的なレベルと比較して10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上高い抵抗性のレベルを有する可能性がある。
【0031】
抵抗性の増加は、AHAS抵抗性を決定するための任意の方法を使用して測定することができる。たとえば、抵抗性は、AHAS阻害性除草剤を用いる処理の後の10、12、14、16、18、20、22、24、26、もしくは28日またはそれ以上の期間にセイヨウカラシナで抵抗性パーセントを決定することにより測定することができる。次いで、抵抗性パーセントは、それぞれの個々のAHASL突然変異を含有する植物の抵抗性パーセントを加算することによって得られたレベルと比較することができる。一側面では、抵抗性は、AHAS阻害性除草剤の2×量を用いる処理の14日後の植物で抵抗性パーセントを測定することによって決定される。
【0032】
本発明は、さらに、アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド分子およびそのようなAHASLタンパク質に関する。本発明は、野生型アブラナ属植物の化学的突然変異誘発によって生産された除草剤抵抗性のアブラナ属植物からの除草剤抵抗性のアブラナ属AHASL1タンパク質をコードするポリヌクレオチドの単離およびヌクレオチド配列を開示する。本発明の除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質は、Aゲノム上に位置するセイヨウカラシナAHASL1遺伝子の位置635でのセリンからアスパラギンへの置換またはBゲノム上に位置するセイヨウカラシナAHASL1遺伝子の位置107でのアラニンからトレオニンへの置換またはAゲノム上に位置するセイヨウカラシナAHASL1遺伝子の位置104でのアラニンからトレオニンへの置換を保有する。本発明は、さらに、野生型アブラナ属AHASL1タンパク質をコードするポリヌクレオチド分子の単離およびヌクレオチド配列を開示する。
【0033】
本発明は、アブラナ属、具体的にはセイヨウカラシナからのAHASL1タンパク質をコードする単離ポリヌクレオチド分子を提供する。具体的には、本発明は、配列番号13に示すヌクレオチド配列、配列番号3に示すアミノ酸配列を含むAHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列、配列番号14に示すヌクレオチド配列、配列番号4に示すアミノ酸配列を含むAHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列、配列番号15に示すヌクレオチド配列、配列番号5に示すアミノ酸配列を含むAHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列、ならびに機能的AHASL1タンパク質をコードするそのようなヌクレオチド配列の断片および変異体を含む単離ポリヌクレオチド分子を提供する。
【0034】
本発明の単離除草剤抵抗性のAHASL1ポリヌクレオチド分子は、除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。そのようなポリヌクレオチド分子は、除草剤、具体的にはAHAS活性を阻害することが知られている除草剤、より具体的にはイミダゾリノン除草剤に対する植物の抵抗性を増強するために、植物、具体的には作物の形質転換のためのポリヌクレオチド構築物で使用することができる。そのようなポリヌクレオチド構築物は、発現カセット、発現ベクター、形質転換ベクター、プラスミド、およびその他同種のもので使用することができる。そのようなポリヌクレオチド構築物を用いる形質転換の後に得られたトランスジェニック植物は、たとえばイミダゾリノン除草剤およびスルホニルウレア除草剤などのようなAHAS阻害性除草剤に対する抵抗性の増加を示す。
【0035】
本発明の組成物は、AHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。具体的には、本発明は、AHAS活性を含むポリペプチドをコードする配列番号3、4、または5に示されるアミノ酸配列ならびにその断片および変異体をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド分子を提供する。本明細書で記載されるポリヌクレオチド分子、たとえば、AHAS活性を含むポリペプチドをコードする配列番号13、14、または15に記載されるヌクレオチド配列ならびにその断片および変異体によってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドがさらに提供される。
【0036】
本発明は、本明細書で開示されるアブラナ属AHASLタンパク質の保存領域内の特定のアミノ酸位置のアミノ酸置換を有するAHASLタンパク質を提供する。他に本明細書で示されない限り、特定のアミノ酸位置は、配列番号1に記載される完全長シロイヌナズナAHASLアミノ酸配列中のそのアミノ酸の位置を指す。そのうえ、当業者らは、たとえばアミノ酸配列のN末端端末にアミノ酸が追加されるかまたはそれからアミノ酸が除去されるかどうかに依存してそのようなアミノ酸位置が変わり得ることを認識するであろう。したがって、本発明は、記載される位置または等価な位置(たとえば「アミノ酸位置653または等価な位置」)のアミノ置換を包含する。「等価な位置」によって、例示されるアミノ酸位置と同じ保存領域内にある位置を意味することが意図される。たとえば、配列番号1のアミノ酸122は、配列番号4のアミノ酸107に等価な位置および配列番号5のアミノ酸104に等価な位置である。同様に、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を有するシロイヌナズナAHASLタンパク質のアミノ酸653は、それぞれ配列番号2および3に示すアミノ酸配列を有するアブラナ属AHASL1Bのアミノ酸638およびアブラナ属AHASL1Aタンパク質のアミノ酸635に等価な位置である。
【0037】
本発明は、単離されたまたは実質的に精製された核酸またはタンパク質組成物を包含する。「単離された」または「精製された」ポリヌクレオチド分子またはタンパク質またはその生物学的活性部分は、その天然に存在する環境に見つけられるようなポリヌクレオチド分子またはタンパク質に通常付随するまたはそれと相互作用する構成成分が実質的にまたは本質的に含まれない。したがって、単離されたかまたは精製されたポリヌクレオチド分子またはタンパク質は、他の細胞性の物質もしくは組み換え技術によって生産された場合、培地は実質的に含まれず、または化学的に合なされた場合、化学物質前駆体もしくは他の化学物質は実質的にない。好ましくは、「単離された」核酸は、核酸が由来する生物のゲノムDNA中で本来、核酸の側面に位置する配列(つまり核酸の5’端末および3’端末に位置する配列)(好ましくはタンパク質コード配列)がない。たとえば、様々な態様では、単離ポリヌクレオチド分子は、核酸が由来する細胞のゲノムDNA中で本来、ポリヌクレオチド分子の側面に位置する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有し得る。細胞性の物質が実質的に含まれないタンパク質は、約30%、20%、10%、5%、または1%(乾燥重量で)未満の混在タンパク質を有するタンパク質の調製物を含む。本発明のタンパク質またはその生物学的活性部分が組み換えで生産される場合、好ましくは、培地は、化学物質前駆体または対象とするタンパク質ではない化学物質の約30%、20%、10%、5%、または1%(乾燥重量で)未満に相当する。
【0038】
本発明は、AHASL1タンパク質を含む単離ポリペプチドを提供する。単離ポリペプチドは、配列番号3、4、または5に記載されるアミノ酸配列、配列番号13、14、または15に記載されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、ならびにAHAS活性を含むAHASL1ポリペプチドをコードする上述のアミノ酸配列の機能的断片および変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。「機能的断片および変異体」によって、AHAS活性を含む例示されたポリペプチドの断片および変異体が意図される。
【0039】
本発明のある態様では、方法は、除草剤耐性の植物または除草剤抵抗性の植物の使用を含む。「除草剤耐性の」植物または「除草剤抵抗性の」植物とは、植物が、正常植物または野生型植物を通常死滅させるかまたはその成長を阻害するとレベルの、少なくとも1つの除草剤に耐性であるかまたは抵抗性であることを意味することを意図している。本発明の一態様では、本発明の除草剤耐性の植物は、除草剤耐性のAHASLタンパク質または除草剤抵抗性のAHASLタンパク質を含む。「除草剤耐性のAHASLタンパク質」または「除草剤抵抗性のAHASLタンパク質」によって、そのようなAHASLタンパク質は、AHAS活性を阻害することが知られている少なくとも1つの除草剤の存在下でおよび野生型AHASLタンパク質のAHAS活性を阻害することが知られている、除草剤の濃度またはレベルで、野生型AHASLタンパク質のAHAS活性と比較して、より高度なAHAS活性を示すことが意図される。そのうえ、そのような除草剤耐性のAHASLタンパク質または除草剤抵抗性のAHASLタンパク質のAHAS活性は、「除草剤耐性の」AHAS活性または「除草剤抵抗性の」AHAS活性と本明細書で呼ぶことができる。
【0040】
本発明について、「除草剤耐性の」および「除草剤抵抗性の」という用語は、交換可能に使用され、等価な意味および等価な範囲を有することが意図される。同様に、「除草剤耐性の」および「除草剤抵抗性の」という用語は、交換可能に使用され、等価な意味および等価な範囲を有することが意図される。同じく、「イミダゾリノン抵抗性の」および「イミダゾリノン抵抗性」という用語は、交換可能に使用され、それぞれ、「イミダゾリノン耐性の」および「イミダゾリノン耐性」という用語と等価な意味および等価な範囲であることが意図される。
【0041】
本発明は、除草剤抵抗性のAHASL1ポリヌクレオチドおよび除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質を包含する。「除草剤抵抗性のAHASL1ポリヌクレオチド」によって、除草剤抵抗性のAHAS活性を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチドが意図される。「除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質」によって、除草剤抵抗性のAHAS活性を含むタンパク質またはポリペプチドが意図される。
【0042】
さらに、除草剤耐性のAHASLタンパク質または除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列を用いて植物またはその祖先を形質転換することによって除草剤耐性のAHASLタンパク質または除草剤抵抗性のAHASLタンパク質を植物に導入することができることが認識される。そのような除草剤耐性のAHASLタンパク質または除草剤抵抗性のAHASLタンパク質は、除草剤耐性のAHASLポリヌクレオチドまたは除草剤抵抗性のAHASLポリヌクレオチドによってコードされる。その代わりに、除草剤耐性のAHASLタンパク質または除草剤抵抗性のAHASLタンパク質は、植物またはその先祖のゲノム中の内在性AHASL遺伝子の天然に存在する突然変異または誘発突然変異の結果として、植物中で生じてもよい。
【0043】
本発明は、少なくとも1つの除草剤、具体的には、AHAS酵素の活性を阻害する除草剤、より具体的には、イミダゾリノン除草剤またはスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性または耐性が増加したおよび/または増強した植物、植物組織、植物細胞、および宿主細胞を提供する。「増強」という用語は、期待されるものを超える、抵抗性または耐性の量の増加を指す。除草剤の好ましい量または濃度は、「有効量」または「有効濃度」である。「有効量」および「有効濃度」によって、同様の野生型植物、植物組織、植物細胞、小胞子、または宿主細胞を死滅させるまたはその成長を阻害するのに十分であるが、その上述の量は、本発明の除草剤抵抗性の植物、植物組織、植物細胞、小胞子、および宿主細胞を同じように極度に死滅させないまたはその成長を阻害しない量および濃度がそれぞれ意図される。典型的には、除草剤の有効量は、対象とする雑草を死滅させるために農業生産システムで日常的に使用される量である。そのような量は、当業者らに知られているまたは当技術分野で知られている方法を使用して容易に決定することができる。そのうえ、農業生産システムでの除草剤の有効量は、たとえば小胞子培養システムなどのような植物培養システムのための除草剤の有効量と実質的に異なる可能性があることが認識される。
【0044】
本発明の除草剤は、AHAS活性が除草剤の存在下で低下するようにAHAS酵素の活性を阻害する除草剤である。そのような除草剤はまた、「AHAS阻害性除草剤」または単に「AHAS阻害剤」と本明細書で呼ぶことができる。本明細書で使用されるように、「AHAS阻害性除草剤」または「AHAS阻害剤」は、AHAS酵素の活性を阻害する単一の除草剤に限定されることを意味しない。したがって、他に述べられない限りまたは文脈から明白でない限り、「AHAS阻害性除草剤」または「AHAS阻害剤」は、1つの除草剤または2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の除草剤の混合物とすることができ、それらのそれぞれは、AHAS酵素の活性を阻害する。
【0045】
「同様の野生型植物、植物組織、植物細胞、または宿主細胞」によって、除草剤抵抗性の特徴および/または本明細書で開示される本発明の特定のポリヌクレオチドを欠く植物、植物組織、植物細胞、または宿主細胞がそれぞれ意図される。そのため、「野生型」という用語の使用によって、植物、植物組織、植物細胞、または他の宿主細胞が、そのゲノム中で組み換えDNAを欠くおよび/または本明細書で開示される特徴とは異なる除草剤抵抗性の特徴を保有しないということを意味するように意図されない。
【0046】
他に明確に示されない限り、本明細書で使用されるように、「植物」という用語は、任意の発達期の植物および完全な無傷の植物に取りつけられるまたはそれから分離してもよい植物の任意の1つまたは複数の一部分を意味するように意図される。植物のそのような一部分は、植物を再生することができる植物カルス、植物の凝集塊、植物プロトプラスト、および植物細胞組織培養物を含む植物の器官、組織、および細胞を含むが、これらに限定されない。特定の植物の一部分の例は、茎、葉、根、花序、花、小花、果実、小花梗、花柄、雄しべ、葯、柱頭、花柱、子房、花弁、がく片、心皮、根端、根冠、根毛、葉毛、種子毛、花粉粒、小胞子、胚、胚珠、子葉、胚軸、上胚軸、木部、師部、柔組織、胚乳、伴細胞、孔辺細胞、ならびに植物の任意の他の知られている器官、組織、および細胞を含む。そのうえ、種子は植物であることが認識される。
【0047】
本発明の植物は、非トランスジェニック植物およびトランスジェニック植物の両方を含む。「非トランスジェニック植物」によって、そのゲノム中に組み換えDNAを欠く植物を意味することが意図される。「トランスジェニック植物」によって、そのゲノム中に組み換えDNAを含む植物を意味することが意図される。そのようなトランスジェニック植物は、植物のゲノムに組み換えDNAを導入することによって生産することができる。そのような組み換えDNAがトランスジェニック植物のゲノムに組み込まれる場合、植物の後代もまた組み換えDNAを含むことができる。少なくとも1つの先祖トランスジェニック植物の組み換えDNAの少なくとも1つの部分を含む後代植物もまたトランスジェニック植物である。
【0048】
本発明は、J04E−0122と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系を提供する。アブラナ属系J04E−0122からの少なくとも2500個の種子の、American Type Culture Collection(ATCC)、Mansassas、VA 20110 USAのPatent Depositoryへの寄託は、2006年10月19日になされ、ATCC特許寄託番号PTA−7944に指定された。本発明は、J04E−0130と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系を提供する。アブラナ属系J04E−0130からの少なくとも2500個の種子の寄託は、2006年10月19日になされ、ATCC特許寄託番号PTA−7945に指定された。本発明は、J04E−0139と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性のアブラナ属系を提供する。アブラナ属系J04E−0139からの少なくとも2500個の種子の寄託は、2006年10月19日になされ、ATCC特許寄託番号PTA−7946に指定された。本発明は、J05Z−07801と本明細書で呼ばれる除草剤抵抗性の二重突然変異体アブラナ属系を提供する。アブラナ属系J05Z−07801からの少なくとも625個の種子の寄託は、2007年4月2日になされ、残りの1875個の種子は、2008年1月15日に寄託され、ATCC特許寄託番号PTA−8305に指定された。寄託物は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項の下で維持される。アブラナ属系J04E−0122、J04E−0130、J04E−0130、およびJ05Z−07801の寄託は、寄託物のサンプルの分譲の最も最近の依頼がATCCによって受領された後、少なくとも30年および少なくとも5年の期間の間、なされた。加えて、出願人らは、サンプルの生存率の表示を提供することを含む、37 C.F.R.§§1.801〜1.809の条件をすべて満たした。
【0049】
本発明の単一突然変異除草剤抵抗性のアブラナ属系J04E−0122、J04E−0130、およびJ04E−0139は、突然変異育種によって生産した。野生型アブラナ属小胞子は、突然変異原、具体的には化学的突然変異原、より具体的にはエチルニトロソウレア(ENU)への曝露によって突然変異誘発した。しかしながら、本発明は、化学的突然変異原ENUを含む突然変異誘発方法によって生産される除草剤抵抗性のアブラナ属植物に限定されない。当技術分野で知られている任意の突然変異誘発方法は、本発明の除草剤抵抗性のアブラナ属植物を生産するために使用することができる。そのような突然変異誘発方法は、たとえば、以下の突然変異原の任意の1つまたは複数の使用を含むことができる:X線、ガンマ線(たとえばコバルト60またはセシウム137)、中性子(たとえば、原子炉中でのウラン235による核分裂の産物)、ベータ放射線(たとえば、リン32または炭素14などのような放射性同位元素から放出される)、および紫外線(好ましくは250〜290nm)などのような放射線ならびにエチルメタンスルホン酸(EMS)、塩基類似体(たとえば5−ブロモウラシル)、関連化合物(たとえば8−エトキシカフェイン)、抗生物質(たとえばストレプトニグリン)、アルキル化剤(たとえばサルファマスタード、ナイトロジェンマスタード、エポキシド、エチレンアミン、硫酸、スルホン酸、スルホン、ラクトン)、アジ化物、ヒドロキシルアミン、亜硝酸、またはアクリジンなどのような化学的突然変異原。除草剤抵抗性の植物はまた、除草剤抵抗性の突然変異を含む植物細胞を選択するために組織培養法を使用し、次いで、それから除草剤抵抗性の植物を再生することによって生産することもできる。たとえば、米国特許第5,773,702号および第5,859,348号を参照されたい、これらの両方は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。突然変異育種のさらなる詳細は、「主要な、栽培品種の開発(Principals of Cultivar Development)」Fehr、1993年 Macmillan Publishing Companyに見つけることができ、その開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0050】
J04E−0139系のアブラナ属植物のAHASL1遺伝子の分析は、Aゲノム上のセイヨウカラシナAHASL遺伝子のアミノ酸位置635に見つけられるセリンに対するアスパラギンの置換をもたらし、除草剤に対する抵抗性の増加を付与する突然変異を明らかにした。したがって、本発明は、位置635(シロイヌナズナAHASL1のアミノ酸653に対応する)のセリンに対して他のアミノ酸を置換することは、アブラナ属植物の、除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤および/またはスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性を増加させ得ることを開示する。本発明の除草剤抵抗性のアブラナ属植物は、アミノ酸位置635または等価な位置にアスパラギンを含む除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質をコードするAHASL1ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーをそれらのゲノム中に含むそれらのアブラナ属植物を含むが、これらに限定されない。
【0051】
J04E−0130系のアブラナ属植物のAHASL1遺伝子の分析は、Bゲノム上のセイヨウカラシナAHASL遺伝子のアミノ酸位置107に見つけられるアラニンに対するトレオニンの置換をもたらし、除草剤に対する抵抗性の増強を付与する突然変異を明らかにした。したがって、本発明は、位置107(シロイヌナズナAHASL1のアミノ酸122に対応する)のアラニンに対して他のアミノ酸を置換することは、アブラナ属植物の、除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤および/またはスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性を増加させ得ることを開示する。本発明の除草剤抵抗性のアブラナ属植物は、アミノ酸位置107または等価な位置にトレオニンを含む除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質をコードするAHASL1ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーをそれらのゲノム中に含むそれらのアブラナ属植物を含むが、これらに限定されない。
【0052】
J04E−0122系のアブラナ属植物のAHASL1遺伝子の分析は、Aゲノム上のセイヨウカラシナAHASL遺伝子のアミノ酸位置104に見つけられるアラニンに対するトレオニンの置換をもたらし、除草剤に対する抵抗性の増加を付与する突然変異を明らかにした。したがって、本発明は、位置104(シロイヌナズナAHASL1のアミノ酸122に対応する)のアラニンに対して他のアミノ酸を置換することは、アブラナ属植物の、除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤および/またはスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性を増加させ得ることを開示する。本発明の除草剤抵抗性のアブラナ属植物は、アミノ酸位置104または等価な位置にトレオニンを含む除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質をコードするAHASL1ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーをそれらのゲノム中に含むそれらのアブラナ属植物を含むが、これらに限定されない。
【0053】
本発明のアブラナ属植物は、野生型AHASL1タンパク質について、アミノ酸位置653がアスパラギンであり(シロイヌナズナという)、アミノ酸位置122がトレオニンであり(シロイヌナズナという)、および野生型AHASL1タンパク質についてAHASL1タンパク質中に1つまたは複数のさらなるアミノ酸置換を含む植物を含むところ、野生型アブラナ属植物と比較した場合に、そのようなアブラナ属植物は、少なくとも1つの除草剤に対する抵抗性が増加している。
【0054】
本発明は、植物ならびにAHAS除草剤抵抗性のアブラナ属植物、AHAS除草剤に対する耐性が増加したアブラナ属植物、およびそのような植物の種子を調製するための方法を提供する。したがって、本明細書で例示される植物は、セイヨウカラシナの市販品種などのような、さらなる除草剤抵抗性のセイヨウカラシナ植物を開発するために育種プログラムで使用することができる。そのような方法に従って、第1のアブラナ属親植物は、第2のアブラナ属親植物との交雑で使用することができ、第1または第2のアブラナ属親植物の少なくとも1つは、少なくとも1つのAHAS除草剤抵抗性の突然変異を含有する。プロセスの1つの適用はF雑種植物の生産中とする。このプロセスの他の重要な側面は、プロセスを新規な親、二ゲノム性半数体、または近交系の開発に使用することができるということである。たとえば、本明細書で記載されるようなアブラナ属系は、任意の第2の植物と交雑させることができ、結果として生じる雑種後代は、それぞれ、約5〜7またはそれ以上の世代の間、自家受粉させておよび/または同胞受粉させて、それによって多数の別個の親系がもたらされる。次いで、これらの親系は、他の系と交雑させることができ、結果として生じる雑種後代は、有益な特徴について分析される。このような方法で、望ましい特徴を付与する新規な系は同定することができる。様々な育種方法は、半数性、系統育種、単粒系統、改変された単粒系統、循環選択、および戻し交雑を含む方法で使用することができる。
【0055】
アブラナ属系は、自然なまたは機械的な技術によって交雑することができる。機械的な受粉は、柱頭上に移入することができる花粉のタイプをコントロールすることによってまたは手で受粉することによって達成することができる。
【0056】
子孫アブラナ属植物および/または後代アブラナ属植物は、突然変異AHASLポリヌクレオチドまたは突然変異AHASLポリペプチドの存在を決定するための任意の方法で評価することができる。そのような方法は、表現型の評価、遺伝子型の評価、またはその組み合わせを含む。後代アブラナ属植物は、除草剤抵抗性および他の望ましい形質について続く世代で評価することができる。AHAS阻害剤除草剤に対する抵抗性は、1つまたは複数の適切なAHAS阻害剤除草剤に植物を曝露し、除草剤による傷害を評価することによって評価することができる。倒伏抵抗性および草丈などのようないくつかの形質は、植物の目視検査を通して評価することができるが、成熟度についての早生は、さや(長角果)内の種子の目視検査によって評価することができる。種子の含油率、タンパク質率、および総グルコシノレートなどのような他の形質は、近赤外線分光法ならびに/または液体クロマトグラフィーおよび/もしくはガスクロマトグラフィーなどのような技術を使用して評価することができる。
【0057】
アブラナ属植物の遺伝子型の評価は、アイソザイム電気泳動、制限断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、任意プライムポリメラーゼ連鎖反応(Arbitrarily Primed Polymerase Chain Reaction)(AP−PCR)、DNA増幅フィンガープリント法(DAF)、配列特徴的増幅領域(Sequence Characterized Amplified Region)(SCAR)、増幅断片長多型(AFLP)、「マイクロサテライト」とも呼ばれる単純配列反復(SSR)などのような技術を使用することを含む。本明細書で提供されるアブラナ属植物の遺伝子型を分析するためのさらなる組成物および方法は、米国特許公開第2004/0171027号公報、米国特許公開第2005/02080506号公報、および米国特許公開第2005/0283858号公報に開示される方法を含み、これらの全体は、参照によって組み込まれる。
【0058】
評価および操作(1つまたは複数の適切なAHAS阻害剤除草剤への曝露を通して)は、数世代にわたって行なうことができる。新しい系の生産力は、比較品種に対する比較での客観的な基準を使用して評価することができる。形質の望ましい組み合わせを示す系は、他の系と交雑するまたは自家受粉して、種子を生産する。自家受粉は、ある花からの同じ花または同じ植物の他の花への花粉の移入を指す。何世代もの間、自家受粉し、タイプを選択している植物は、ほとんどすべての遺伝子座でホモ接合性になり、純粋育種後代の均一な集団を生産する。
【0059】
任意の育種方法を、本発明の方法で使用することができる。一例では、本発明の除草剤抵抗性の植物は、半数体法を使用して育種することができる。そのような方法では、特徴の望ましい補足物について遺伝的根拠を有する親は、単純なまたは複雑な交雑で交雑させる。交雑(または他家受粉)は、ある植物から異なる植物への花粉の移入を指す。交雑の後代は、成長させ、小胞子(未成熟の花粉粒)は、当業者らに知られている技術を使用して分離し、選別する[(たとえばSwanson,E.B.ら、「セイヨウアブラナでの小胞子の効率的な単離および小胞子由来の胚の生産(Efficient isolation of microsporesおよびthe production of microspore−derived embryos in Brassica napus,L.)」Plant Cell Reports,6:94〜97ページ(1987年)およびMethods in Molecular Biology、第6巻、Plant Cell and Tissue Culture、Humana Press、(1990年)中のSwanson,E.B.、Microspore culture in Brassica、159〜169ページ]。これらの小胞子は、遺伝子が分離されている。小胞子は、除草剤に対する抵抗性を担う突然変異を欠く小胞子を死滅させる、イマゼタピル(Imazethapyr)(たとえばPURSUIT(商標))、イマザモックス(たとえばRAPTOR(商標))、またはイマゼタピル(Imazethapyr)およびイマザモックスの50/50ミックス(たとえばODYSSEY(商標))などのような適切なAHAS阻害剤除草剤の存在下で培養される。除草剤に対する抵抗性を担う遺伝子を運搬する小胞子は、存在し続け、胚を生産し、これは半数体植物を生成する。次いで、それらの染色体は、倍加させて、倍加半数体を生産する。
【0060】
他の育種方法もまた本発明に従って使用することができる。たとえば、系統育種は、アブラナ属およびキャノーラなどのような大規模自家受粉作物の改良に使用することができる。系統育種は、2つの遺伝子型の交雑から始まり、これらのそれぞれは、他方で欠いているまたは他方を補足する1つまたは複数の望ましい特徴を有してもよい。2つの最初の親が、望ましい特徴のすべてを提供しない場合、さらなる親を、交雑計画に含むことができる。
【0061】
これらの親は、単純なまたは複雑なFを生産するために単純なまたは複雑な様式で交雑させてもよい。F集団は、1つもしくはいくつかのF植物を自家受粉させることによってまたは2つのF植物を相互交雑することによって(つまり同胞交配)Fから生産される。最良の個体の選択は、F世代で開始してもよく、Fで開始して、最良のファミリーおよび最良のファミリー内の最良の個体が選択される。ファミリーの再現試験は、低遺伝率を有する形質の選択の有効性を改善するために、F世代で開始することができる。同系交配の進んだ段階(つまりFとF)で、最良の系または表現型的に同様の系の混合物は、新しい栽培品種としての発売の可能性について試験することができる。しかしながら、植物は複数の世代で分離されており、望ましい形質の回収は比較的低いので、系統育種法は、改善されたAHAS除草剤抵抗性の植物を開発するための半数性の方法よりも多くの時間を要する。
【0062】
単粒系統(SSD)手順もまた、改良品種を育種するために使用することができる。厳密な意味のSSD手順は、分離集団を栽培すること、植物当たり1つの種子のサンプルを収穫すること、および次の世代を栽培するために単一の種子の集団を使用することを指す。集団をFから同系交配の望ましいレベルまで進めた場合、系が由来する植物はそれぞれ、異なるF個体にさかのぼるであろう。集団の植物の数は、いくつかの種子が発芽することができないまたはいくつかの植物が少なくとも1つの種子を生産することができない理由から、それぞれの世代で減少する。その結果として、世代の進行が終了した場合に、F集団で最初にサンプリングされた植物のすべてが後代によって表わされるとは限らないであろう。
【0063】
複数の種子による手順では、キャノーラ育種家は、一般に、集団のそれぞれの植物から1つまたは複数のさやを収穫し、それらを共に脱穀して、バルクを作る。バルクの一部分は、次の世代を栽培するために使用し、一部分は貯蔵する。その手順は、改変された単粒系統またはさやバルク技術と呼ばれてきた。複数の種子による手順は、収穫時の労力を省くために使用されてきた。単粒手順のために手でそれぞれから1つの種子を取り出すよりも機械を用いてさやを脱穀するほうが相当に速い。複数の種子による手順はまた、同系交配のそれぞれの世代で、集団の同じ数の種子を栽培することを可能にする。発芽しなかったまたは種子を生産しなかったそれらの植物を補うために十分な種子が収穫される。
【0064】
戻し交雑育種は、供給源となる品種または系(ドナー親)からの、単純に遺伝する、高度に遺伝性の形質の1つまたは複数の遺伝子を他の望ましい栽培品種または近交系(反復親)に移入するために使用することができる。初めの交雑の後に、ドナー親の表現型を保有する個体は選択され、反復親に繰り返し交雑させる(戻し交雑させる)。戻し交雑が終了した場合に、結果として生じる植物は、反復親の特質およびドナー親から移入された望ましい形質を有することが期待される。
【0065】
改良品種もまた、循環選択を通して開発することができる。ヘテロ接合性の個体の遺伝的変異集団は、いくつかの異なる親の相互交雑によって同定されるまたは作り出される。最良の植物は、個々の優性、優れた後代、または良好な組み合わせ能力に基づいて選択される。選択された植物は、相互交雑して、選択のさらなるサイクルが継続される新しい集団を生産する。
【0066】
他の側面では、本発明は、AHAS除草剤に対する抵抗性を有するアブラナ属植物を生産するための方法であって、(a)第1のアブラナ属系を第2のアブラナ属系と交雑させて、分離集団を生成するステップであって、第1のアブラナ属系は、AHAS除草剤抵抗性のアブラナ属植物であるステップと、(b)AHAS除草剤抵抗性が増加した集団をスクリーニングするステップと、(c)野生型アブラナ属植物と比較してAHAS抵抗性が増加した集団の1つまたは複数のメンバーを選択するステップとを含む方法を提供する。
【0067】
他の側面では、本発明は、AHAS除草剤抵抗性の形質をアブラナ属植物に遺伝子移入するための方法であって、(a)少なくとも第1のAHAS除草剤抵抗性のアブラナ属系を第2のアブラナ属系と交雑させて、分離集団を生成するステップと、(b)AHAS除草剤抵抗性が増加した集団をスクリーニングするステップと、(c)AHAS除草剤抵抗性が増加した集団の少なくとも1つのメンバーを選択するステップとを含む方法を提供する。
【0068】
その代わりに、本発明の他の側面では、第1および第2の親アブラナ属植物の両方は、本明細書で記載されるように、AHAS除草剤抵抗性のアブラナ属植物とすることができる。したがって、本明細書で記載されるようにAHAS除草剤抵抗性が増加したアブラナ属植物を使用して生産された任意のアブラナ属植物は、本発明の一部分を形成する。本明細書で使用されるように、交雑は、自家受粉、同胞受粉、戻し交雑、他のまたは同じ親系への交雑、集団への交雑、およびその他同種のものを意味することができる。
【0069】
本発明はまた、有性生殖を含む従来の植物育種を通して、除草剤抵抗性の植物、具体的には除草剤抵抗性のアブラナ属植物を生産するための方法を提供する。方法は、除草剤に抵抗性である第1の植物を除草剤に抵抗性ではない第2の植物と交雑させるステップを含む。第1の植物は、たとえば、除草剤抵抗性のAHASLをコードする本発明のポリヌクレオチドの少なくとも1つを含むトランスジェニック植物およびJ05Z−07801、J04E−0139、J04E−0130、またはJ04E−0122のアブラナ属植物の除草剤抵抗性の特徴を含む非トランスジェニックアブラナ属植物を含む、本発明の除草剤抵抗性の植物のいずれかとすることができる。第2の植物は、第1の植物と交雑させた場合に、成育可能な後代植物(つまり種子)を生産することができる任意の植物とすることができる。典型的には、しかし、必ずではないが、第1および第2の植物は同じ種とする。本発明の方法は、さらに、第1の交雑の後代植物を、第1または第2の植物のいずれかと同じ系または遺伝子型の植物に戻し交雑した1つまたは複数の世代を含むことができる。その代わりに、第1の交雑または任意の続く交雑の後代は、第1または第2の植物のいずれかと異なる系または遺伝子型である第3の植物と交雑させることができる。本発明の方法は、加えて、第1の植物の除草剤抵抗性の特徴を含む植物を選択するステップを含むことができる。
【0070】
本発明は、有性生殖を含む従来の植物育種を通して、植物、具体的には除草剤抵抗性のアブラナ属植物の除草剤抵抗性を増加させるための方法をさらに提供する。方法は、除草剤に抵抗性である第1の植物を、除草剤に抵抗性であってもよくまたは抵抗性でなくてもよくまたは第1の植物と異なる1つもしくは複数の除草剤に抵抗性であってもよい第2の植物と交雑させるステップを含む。第1の植物は、たとえば、除草剤抵抗性のAHASLをコードする本発明のポリヌクレオチドの少なくとも1つを含むトランスジェニック植物およびJ05Z−07801、J04E−0139、J04E−0130、またはJ04E−0122のアブラナ属植物の除草剤抵抗性の特徴を含む非トランスジェニックアブラナ属植物を含む、本発明の除草剤抵抗性の植物のいずれかとすることができる。第2の植物は、第1の植物と交雑させた場合に、成育可能な後代植物(つまり種子)を生産することができる任意の植物とすることができる。典型的には、しかし、必ずではないが、第1および第2の植物は同じ種とし、同様に、第1および第2の植物は、異なる種であるが同じ属内の種由来のものとすることができ(例:セイヨウカラシナ×セイヨウアブラナ、セイヨウカラシナ×カブ、セイヨウカラシナ×キャベツ、セイヨウカラシナ×クロガラシなど)、さらに、第1および第2の植物は異なる属(例:アブラナ属×シロガラシ属)とする。本発明のこの方法で生産される後代植物は、第1もしくは第2の植物のいずれかまたはその両方と比較した場合に、除草剤に対する抵抗性が増加している。第1および第2の植物が異なる除草剤に抵抗性である場合、後代植物は、第1および第2の植物の、組み合わせられた除草剤抵抗性の特徴を有する。本発明の方法は、さらに、第1の交雑の後代植物を、第1または第2の植物のいずれかと同じ系または遺伝子型の植物に戻し交雑した1つまたは複数の世代を含むことができる。その代わりに、第1の交雑または任意の続く交雑の後代は、第1または第2の植物のいずれかと異なる系または遺伝子型である第3の植物と交雑させることができる。本発明の方法は、加えて、第1の植物、第2の植物、または第1および第2の植物の両方の除草剤抵抗性の特徴を含む植物を選択するステップを含むことができる。
【0071】
本発明の植物は、トランスジェニック植物または非トランスジェニック植物とすることができる。イミダゾリノン除草剤および/またはスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性が増加した非トランスジェニックアブラナ属植物の例は、J05Z−07801、J04E−0139、J04E−0130、もしくはJ04E−0122のアブラナ属植物またはJ05Z−07801、J04E−0139、J04E−0130、もしくはJ04E−0122の植物のまたはJ05Z−07801、J04E−0139、J04E−0130、もしくはJ04E−0122の植物の任意の後代の突然変異体、組み換え体、または遺伝子操作された誘導体またはこれらの植物のいずれかの後代である植物またはJ05Z−07801、J04E−0139、J04E−0130、もしくはJ04E−0122の植物の除草剤抵抗性の特徴を含む植物を含む。
【0072】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つのポリヌクレオチド分子、発現カセット、または形質転換ベクターを用いて形質転換された植物、植物器官、植物組織、植物細胞、種子、および非ヒト宿主細胞をも提供する。そのような形質転換植物、植物器官、植物組織、植物細胞、種子、および非ヒト宿主細胞は、それぞれ非形質転換植物、植物組織、植物細胞、または非ヒト宿主細胞を死滅させるまたはその成長を阻害する除草剤のレベルで、少なくとも1つの除草剤に対する耐性または抵抗性が増強している。好ましくは、本発明の形質転換植物、植物組織、植物細胞、および種子は、アブラナ属および作物である。
【0073】
本発明はまた、本発明の方法によって生産されるアブラナ属植物から得られる、AHAS除草剤抵抗性を有するアブラナ属植物を生産することができるアブラナ属植物の種子をも提供する。
【0074】
他の側面では、本発明はまた、除草剤抵抗性の形質を有する種子用に成長させたアブラナ属植物から得られたAHAS除草剤抵抗性を有するアブラナ属植物の種子から成長させた植物ならびにそのような植物からの植物の一部分および組織培養物をも提供する。
【0075】
種子がAHAS除草剤抵抗性のアブラナ属植物を生産することができる、アブラナ属種子の容器もまた本明細書で提供される。アブラナ属種子の容器は、任意の数、重量、または容量の種子を含有してもよい。たとえば、容器は、少なくとも約10、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、もしくはそれ以上のまたはそれよりも多数の種子を含有することができる。その代わりに、容器は、少なくとも約1オンス、5オンス、10オンス、1ポンド、2ポンド、3ポンド、4ポンド、5ポンド、もしくはそれ以上のまたはそれよりも多数の種子を含有することができる。
【0076】
アブラナ属種子の容器は、当技術分野で入手可能な任意の容器であってもよい。非限定的な例の目的で、容器は、箱、バッグ、小包、小袋、テープロール、バケツ、ホイル、またはチューブであってもよい。
【0077】
他の側面では、アブラナ属種子の容器中に含有される種子は、処理された種子または未処理の種子とすることができる。一側面では、種子は、たとえば種子を刺激することによってまたは種子伝染性の病原菌から防御するための消毒によって、発芽を改善するために処理することができる。他の側面では、種子は、たとえば、栽培可能性、種子出芽、および種子伝染性の病原菌からの防御を改善するために、任意の入手可能なコーティングを用いてコーティングすることができる。種子コーティングは、ペレッティング、フィルムコーティング、および外層を含むが、これらに限定されない種子コーティングの任意の形態とすることができる。
【0078】
本発明はまた、本発明のAHASL1ヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含むポリヌクレオチド構築物を用いて植物を形質転換するステップを含む、植物のAHAS活性を増加させるための方法を提供する。方法は、少なくとも1つの植物細胞に本発明のポリヌクレオチド構築物を導入するステップと、形質転換植物をそれから再生するステップとを含む。ポリヌクレオチド構築物は、本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする少なくとも1つのヌクレオチド、具体的には配列番号13、14、または15に記載されるヌクレオチド配列、配列番号3、4、または5に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、ならびにその断片および変異体を含む。方法は、植物細胞中で遺伝子発現を駆動することができるプロモーターの使用をさらに含む。好ましくは、そのようなプロモーターは、構成的なプロモーターまたは組織にとって好ましいプロモーターである。この方法によって生産される植物は、非形質転換植物と比較した場合に、増加されたAHAS活性、具体的には除草剤耐性のAHAS活性を含む。したがって、方法は、AHAS酵素の触媒活性を阻害する少なくとも1つの除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤に対する植物の抵抗性を増強するまたは増加させる際に使用を見出す。
【0079】
本発明は、除草剤抵抗性の植物を生産するための方法であって、植物細胞中で発現を駆動するプロモーターに作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド構築物を用いて植物細胞を形質転換するステップと、上述の形質転換植物細胞から形質転換植物を再生するステップとを含む方法を提供する。ヌクレオチド配列は、本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードするそれらのヌクレオチド配列、具体的には配列番号13、14、または15に記載されるヌクレオチド配列、配列番号3、4、または5に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、ならびにその断片および変異体から選択される。この方法によって生産される除草剤抵抗性の植物は、非形質転換植物と比較して、少なくとも1つの除草剤、具体的にはたとえばイミダゾリノン除草剤またはスルホニルウレア除草剤などのような、AHAS酵素の活性を阻害する除草剤に対して増強された抵抗性を含む。
【0080】
本発明は、植物、植物細胞、および他の非ヒト宿主細胞中で本発明のポリヌクレオチド分子を発現するための発現カセットを提供する。発現カセットは、除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードする本発明のポリヌクレオチド分子に作動可能に連結された、対象とする植物、植物細胞、または他の宿主細胞中で発現可能なプロモーターを含む。葉緑体への発現を標的とするのに必要であれば、発現カセットはまた、発現されたAHASLタンパク質を葉緑体に向けるための葉緑体輸送ペプチドをコードする、作動可能に連結された葉緑体標的配列をも含むことができる。
【0081】
本発明の発現カセットは、植物または宿主細胞の除草剤耐性を増強するための方法での使用を見出す。方法は、本発明の発現カセットを用いて植物または宿主細胞を形質転換するステップを含み、発現カセットは、対象とする植物または宿主細胞中で発現可能なプロモーターを含み、プロモーターは、本発明の除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結される。方法は、形質転換植物細胞から形質転換植物を再生するステップをさらに含む。
【0082】
本明細書での「ポリヌクレオチド構築物」という用語の使用は、DNAを含むポリヌクレオチド構築物に本発明を限定するように意図されない。当業者らは、リボヌクレオチドならびにリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの組み合わせを含むポリヌクレオチド構築物、具体的にはポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドもまた、本明細書で開示される方法で使用できることを認識するであろう。したがって、本発明のポリヌクレオチド構築物は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、およびその組み合わせを含むポリヌクレオチド構築物を含むが、これらに限定されない、植物の形質転換のために本発明の方法で使用することができるポリヌクレオチド構築物をすべて包含する。そのようなデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドは、天然に存在する分子および合成類似体の両方を含む。本発明のポリヌクレオチド構築物はまた、一本鎖形態、二本鎖形態、ヘアピン、ステムアンドループ構造、およびその他同種のものを含むが、これらに限定されない、ポリヌクレオチド構築物のすべての形態をも包含する。そのうえ、本明細書で開示されるそれぞれのヌクレオチド配列はまた、その例示されるヌクレオチド配列の相補体をも包含することが当業者らによって理解される。
【0083】
そのうえ、本発明の方法は、少なくとも1つのタンパク質またはたとえば、mRNAの少なくとも1つの部分に相補的であるアンチセンスRNAなどのような少なくとも1つのRNAの発現を形質転換植物中で指示することができるポリヌクレオチド構築物を使用してもよいことが認識される。典型的には、そのようなポリヌクレオチド構築物は、タンパク質のコード配列または5’および3’転写調節領域に作動可能に連結されたRNAを含む。その代わりに、本発明の方法は、タンパク質またはRNAの発現を形質転換植物中で指示することができないポリヌクレオチド構築物を使用してもよいこともまた認識される。
【0084】
さらに、対象とする宿主細胞中での本発明のポリヌクレオチドの発現については、ポリヌクレオチドは、典型的には、対象とする宿主細胞中で遺伝子発現を駆動することができるプロモーターに作動可能に連結されることが認識される。宿主細胞中でポリヌクレオチドを発現するための本発明の方法は、特定のプロモーターに依存しない。方法は、当技術分野で知られており、且つ対象とする宿主細胞中で遺伝子発現を駆動することができる任意のプロモーターの使用を包含する。
【0085】
本発明は、AHASL1ポリヌクレオチド分子ならびにその断片および変異体を包含する。これらのヌクレオチド配列の断片であるポリヌクレオチド分子もまた本発明によって包含される。「断片」によって、本発明のAHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列の部分が意図される。本発明のAHASL1ヌクレオチド配列の断片は、AHASL1タンパク質の生物学的活性部分をコードしてもよく、またはそれは下記に開示される方法を使用するハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプライマーとして使用することができる断片であってもよい。AHASL1タンパク質の生物学的活性部分は、本発明のAHASL1ヌクレオチド配列のうち1つの部分を単離すること、AHASL1タンパク質のコードされた部分を発現すること(たとえば、インビトロでの組み換え体発現によって)、およびAHASL1タンパク質のコードされた部分の活性を評価することによって調製することができる。AHASL1ヌクレオチド配列の断片であるポリヌクレオチド分子は、意図される使用に依存して、少なくとも約15、20、50、75、100、200、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、もしくは900個のヌクレオチドまたは本明細書で開示される完全長ヌクレオチド配列中に存在するヌクレオチドの数までのヌクレオチドを含む。
【0086】
本発明のAHASL1タンパク質の生物学的活性部分をコードするAHASL1ヌクレオチド配列の断片は、少なくとも約15、25、30、50、75、100、125、150、175、200、225、もしくは250個の隣接するアミノ酸または本発明の完全長AHASL1タンパク質中に存在するアミノ酸の総数までのアミノ酸をコードする。PCRプライマーのためのハイブリダイゼーションプローブとして有用な、AHASL1ヌクレオチド配列の断片は、一般的に、AHASL1タンパク質の生物学的活性部分をコードする必要はない。
【0087】
本明細書で開示されるヌクレオチド配列の変異体であるポリヌクレオチド分子もまた本発明によって包含される。本発明のAHASL1ヌクレオチド配列の「変異体」は、本明細書で開示されるAHASL1タンパク質をコードするが、遺伝コードの縮重のために保存的に異なるそれらの配列を含む。これらの天然に存在する対立遺伝子変異体は、下記に概説されるようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術およびハイブリダイゼーション技術などのようなよく知られている分子生物学技術の使用により同定することができる。変異体ヌクレオチド配列はまた、たとえば、下記に論じられるように、部位特異的突然変異誘発を使用することによって産生されたが、本発明で開示されるAHASL1タンパク質をなおコードする、合成的に誘導されたヌクレオチド配列をも含む。一般的に、本発明のヌクレオチド配列変異体は、本明細書で開示される特定のヌクレオチド配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する。変異体AHASL1ヌクレオチド配列は、本明細書で開示されるAHASL1タンパク質のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するAHASL1タンパク質をそれぞれコードする。
【0088】
加えて、当業者は、さらに、変化を、突然変異によって本発明のヌクレオチド配列の中に導入して、それによって、AHASL1タンパク質の生物学的活性を改変することなく、コードされたAHASL1タンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすことができることを十分に理解するであろう。したがって、配列番号11の配列と異なる配列を有するAHASL1タンパク質をコードする単離ポリヌクレオチド分子は、1つまたは複数のアミノ酸の置換、付加、または欠失がコードされたタンパク質の中に導入されるように、本明細書で開示される対応するヌクレオチド配列の中に1つまたは複数のヌクレオチドの置換、付加、または欠失を導入することによって作り出すことができる。突然変異は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性の突然変異誘発などのような標準的な技術によって導入することができる。そのような変異体ヌクレオチド配列もまた本発明によって包含される。
【0089】
たとえば、好ましくは、保存的アミノ酸置換は、1つまたは複数の予測される非必須アミノ酸残基で成すことができる。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を改変することなくAHASL1タンパク質の野生型配列(たとえば配列番号1の配列)から改変することができる残基であるのに対して、「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性に必要とされる。「保存的アミノ酸置換」は、同様の側鎖を有するアミノ酸残基とアミノ酸残基が交換される置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(たとえばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(たとえばアスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(たとえばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(たとえばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(たとえばトレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(たとえばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。そのような置換は、保存アミノ酸残基または保存モチーフ内に存在するアミノ酸残基にはなされない。
【0090】
本発明のタンパク質は、アミノ酸置換、欠失、切断、および挿入を含む様々な方法で改変することができる。そのような操作のための方法は、当技術分野で一般的に知られている。たとえば、AHASL1タンパク質のアミノ酸配列変異体は、DNA中での突然変異によって調製することができる。突然変異誘発およびヌクレオチド配列の改変のための方法は、当技術分野でよく知られている。たとえばKunkel(1985年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488〜492ページ;Kunkelら(1987年)Methods in Enzymol.154:367〜382ページ;米国特許第4,873,192号;WalkerおよびGaastra編(1983年)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company、New York)、ならびにそこに引用される参考文献を参照されたい。対象とするタンパク質の生物学的活性に影響を与えない適切なアミノ酸置換に関するガイダンスは、参照によって本明細書に組み込まれるDayhoffら(1978年)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.、Washington,D.C.)のモデルに見つけることができる。同様の特性を有する他のアミノ酸とのあるアミノ酸の交換などのような保存的置換は好ましい可能性がある。
【0091】
その代わりに、変異体AHASL1ヌクレオチド配列は、飽和突然変異誘発によってなどのように、AHASL1コード配列のすべてまたは一部分に沿って突然変異を無作為に導入することによって作製することができ、結果として生じる突然変異体は、除草剤抵抗性のAHAS活性を含むAHAS活性を保持する突然変異体を同定するためにAHAS活性についてスクリーニングすることができる。突然変異誘発に続いて、コードされたタンパク質は、組み換えで発現させることができ、タンパク質の活性は、標準的なアッセイ技術を使用して決定することができる。
【0092】
したがって、本発明のヌクレオチド配列は、本明細書で開示される配列ならびにその断片および変異体を含む。本発明のAHASL1ヌクレオチド配列ならびにその断片および変異体は、他の植物でAHASL相同体を同定するおよび/またはクローニングするためのプローブおよび/またはプライマーとして使用することができる。そのようなプローブは、同じまたは同一のタンパク質をコードする転写物またはゲノム配列を検出するために使用することができる。
【0093】
このように、PCR、ハイブリダイゼーション、およびその他同種のものなどのような方法は、本発明の配列に対して実質的な同一性を有するそのような配列を同定するために使用することができる。たとえばSambrookら(1989年)Molecular Cloning:Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、NY)およびInnisら(1990年)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Academic Press、NY)を参照されたい。本明細書に記載されるAHASL1ヌクレオチド配列またはその断片および変異体に対する配列同一性に基づいて単離されたAHASLヌクレオチド配列は、本発明によって包含される。
【0094】
ハイブリダイゼーション法では、知られているAHASL1ヌクレオチド配列のすべてまたは一部分は、cDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングするために使用することができる。そのようなcDNAおよびゲノムライブラリーの構築のための方法は、当技術分野で一般的に知られており、Sambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、NY)に開示される。いわゆるハイブリダイゼーションプローブは、ゲノムDNA断片、cDNA断片、RNA断片、または他のオリゴヌクレオチドであってもよく、32Pなどのような検出可能なグループまたは他の放射性同位元素、蛍光性化合物、酵素、もしくは酵素補因子などのような他の検出可能なマーカーを用いて標識することができる。ハイブリダイゼーションのためのプローブは、本明細書で開示される、知られているAHASL1ヌクレオチド配列に基づいて合成オリゴヌクレオチドを標識することによって作製することができる。知られているAHASL1ヌクレオチド配列またはコードされたアミノ酸配列中の保存ヌクレオチドまたは保存アミノ酸残基に基づいて設計される縮重プライマーは加えて使用することができる。プローブは、典型的には、本発明のAHASL1ヌクレオチド配列またはその断片もしくは変異体の少なくとも約12、好ましくは約25、より好ましくは約50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、500、600、700、800、または900個の連続ヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。ハイブリダイゼーションのプローブの調製は、当技術分野で一般的に知られており、参照によって本明細書に組み込まれるSambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New York)に開示される。
【0095】
たとえば、本明細書で開示される全AHASL1配列またはその1つもしくは複数の部分は、対応するAHASL1配列およびメッセンジャーRNAに特異的にハイブリダイズすることができるプローブとして使用することができる。ハイブリダイゼーション技術は、平板培養したDNAライブラリーのハイブリダイゼーションスクリーニングを含む(プラークまたはコロニーのいずれか;たとえば、Sambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New Yorkを参照されたい)。
【0096】
そのような配列のハイブリダイゼーションはストリンジェントな条件下で実行することができる。「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」によって、プローブが、他の配列よりも検出可能に高い程度まで(たとえばバックグラウンドに対して少なくとも2倍)その標的配列にハイブリダイズする条件が意図される。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる状況では異なる。
【0097】
典型的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0〜8.3で、約1.5M Naイオン未満、典型的には約0.01〜1.0M Naイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(たとえば10〜50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃および長いプローブ(たとえば50ヌクレオチドよりも長い)について少なくとも約60℃である条件となる。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどのような不安定化剤を追加して達成することができる。例示的な低ストリンジェンシー条件は、30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液を用いる37℃でのハイブリダイゼーションおよび1×〜2×SSC(20×SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)中での50〜55℃での洗浄を含む。例示的な中程度のストリンジェンシー条件は、40〜45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDS中での37℃でのハイブリダイゼーションおよび55〜60℃での0.5×〜1×SSC中での洗浄を含む。例示的な高度なストリンジェンシー条件は、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中での37℃でのハイブリダイゼーションおよび60〜65℃での0.1×SSC中での洗浄を含む。任意選択で、洗浄緩衝液は、約0.1%〜約1%SDSを含んでもよい。ハイブリダイゼーションの継続期間は、一般的に約24時間未満、普通約4〜約12時間である。
【0098】
特異性は、典型的には、ハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であり、決定的な因子は、最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA−DNA雑種については、Tは、MeinkothおよびWahl(1984年)Anal.Biochem.138:267〜284ページ:T=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/Lの方程式から概算することができ、ここで、Mは、一価カチオンのモル濃度であり、%GCは、DNA中のグアノシンヌクレオチドおよびシトシンヌクレオチドの百分率であり、%formは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの百分率であり、Lは、塩基対の雑種の長さである。Tは、相補的な標的配列の50%が、完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度である(規定されたイオン強度およびpH下)。Tは、1%の不一致毎に約1℃低下し、したがって、Tm、ハイブリダイゼーション、および/または洗浄の条件は、望ましい同一性の配列にハイブリダイズするために調整することができる。たとえば、>90%の同一性を有する配列が要求される場合、Tは、10℃減少させることができる。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHで、特異的配列およびその相補体の熱的融点(T)よりも約5℃低くなるように選択される。しかしながら、極度にストリンジェントな条件は、熱的融点(T)よりも1、2、3、または4℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ、中程度にストリンジェントな条件は、熱的融点(T)よりも6、7、8、9、または10℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ、低ストリンジェンシー条件は、熱的融点(T)よりも11、12、13、14、15、または20℃低いハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができる。方程式、ハイブリダイゼーション組成物および洗浄組成物、ならびに望ましいTを使用すると、当業者らは、ハイブリダイゼーション溶液および/または洗浄溶液のストリンジェンシーの変化が本質的に説明されることを理解するであろう。不一致の望ましい程度が、45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)未満のTをもたらす場合、より高い温度を使用することができるようにSSC濃度を増加させることが好ましい。核酸のハイブリダイゼーションの広範囲なガイドは、Tijssen(1993年)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes、第I部、第2章(Elsevier、New York);およびAusubelら編(1995年)Current Protocols in Molecular Biology、第2章(Greene Publishing and Wiley−Interscience、New York)に見つけられる。Sambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New York)を参照されたい。
【0099】
本発明のポリヌクレオチド分子およびタンパク質は、配列番号13、14、および/もしくは15のヌクレオチド配列または配列番号3、4、および/もしくは5のアミノ酸配列と十分に同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸配列を含むポリヌクレオチド分子およびタンパク質を包含することが認識される。「十分に同一」といった用語は、第1および第2のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列が共通の構造ドメインおよび/または共通の機能的活性を有するように、第2のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に対して、十分なまたは最小限の数の、同一または等価である(たとえば同様の側鎖を有する)アミノ酸残基またはヌクレオチドを含有する第1のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を指すために本明細書で使用される。たとえば、少なくとも約45%、55%、または65%の同一性、好ましくは75%の同一性、より好ましくは85%、95%、または98%の同一性を有する共通の構造ドメインを含有するアミノ酸配列またはヌクレオチド配列は、十分に同一のものとして本明細書で定義される。
【0100】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性パーセントを決定するために、配列は最適な比較目的のためにアラインメントする。2つの配列の間の同一性パーセントは、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(つまり、同一性パーセント=同一の位置の数/位置の総数(たとえば重なる位置)×100)。一態様では、2つの配列は同じ長さである。2つの配列の間の同一性パーセントは、ギャップを割り当ててまたは割り当てずに、下記に記載される技術に同様の技術を使用して決定することができる。同一性パーセントを計算する際に、典型的には、正確に一致するものが数えられる。
【0101】
2つの配列の間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して実行することができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、KarlinおよびAltschul(1993年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5877ページと同様に改変されたKarlinおよびAltschul(1990年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulら(1990年)J.Mol.Biol.215:403のNBLASTおよびXBLASTのプログラムの中に組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明のポリヌクレオチド分子に相同性であるヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行なうことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に相同性のアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行なうことができる。比較目的のためにギャップアラインメントをするために、Gapped BLASTは、Altschulら(1997年)Nucleic Acids Res.25:3389に記載されるように利用することができる。その代わりに、PSI−Blastは、分子間の遠縁の関連性を検出する繰り返しの検索を行なうために使用することができる。Altschulら(1997年)前掲を参照されたい。BLASTプログラム、Gapped BLASTプログラム、およびPSI−Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(たとえばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの他の好ましい非限定的な例は、MyersおよびMiller(1988年)CABIOS 4:11〜17ページのアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)の中に組み込まれており、これは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部分である。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み残基表、12のギャップ長ペナルティー、および4のギャップペナルティーを使用することができる。アラインメントはまた、検査によって手作業で行なわれてもよい。
【0102】
他に述べられない限り、本明細書で提供される配列同一性/類似性の値は、本発明の完全長配列を使用しておよびデフォルトパラメーターを使用する、ソフトウェアパッケージVector NTIスイートバージョン9(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)に含まれるプログラムAlignXまたはその任意の等価なプログラムを使用するアルゴリズムClustal W(Nucleic Acid Research,22(22):4673〜4680ページ、1994年)による複数のアラインメントを使用して得られる値を指す。「等価プログラム」によって、ソフトウェアパッケージVector NTIスイートバージョン9のAlignXによって生なされる対応するアラインメントと比較した場合に、問題の任意の2つの配列について、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の一致および同一の配列同一性パーセントを有するアラインメントを生成する任意の配列比較プログラムが意図される。
【0103】
本発明のAHASL1ヌクレオチド配列は、天然に存在する配列および突然変異形態、具体的には、除草剤抵抗性のAHAS活性を含むAHASL1タンパク質をコードする突然変異形態の両方を含む。同じく、本発明のタンパク質は、天然に存在するタンパク質ならびにその変形および改変形態の両方を包含する。そのような変異体は、望ましいAHAS活性を保有し続ける。言うまでもなく、変異体をコードするDNA中に作製される突然変異により、リーディングフレームの外にその配列が配置されてはならず、好ましくは、二次的mRNA構造物を生産することができる相補的な領域を作り出さない。欧州特許出願公開第75,444号を参照されたい。
【0104】
本明細書で包含されるタンパク質配列の欠失、挿入、および置換は、タンパク質の特徴の根本的な変化をもたらすことは期待されない。しかしながら、置換、欠失、または挿入の正確な影響を、そうするのに先立って予測するのが困難である場合、当業者は、影響が、日常的なスクリーニングアッセイによって評価されることを十分に理解するであろう。すなわち、活性は、AHAS活性アッセイによって評価することができる。たとえば、参照によって本明細書に組み込まれるSinghら(1988年)Anal.Biochem.171:173〜179ページを参照されたい。
【0105】
変異ヌクレオチド配列および変異タンパク質はまた、DNAシャフリングなどのような突然変異誘発性手順および組み換え誘導手順から誘導される配列およびタンパク質を包含する。そのような手順を用いて、1つまたは複数の異なるAHASLコード配列は、望ましい特性を保有する新しいAHASLタンパク質を作り出すために操作することができる。このように、組み換えポリヌクレオチドのライブラリーは、実質的な配列同一性を有し、インビトロでまたはインビボで相同的に組み換えることができる配列領域を含む、関係のある配列ポリヌクレオチドの集団から産生される。たとえば、このアプローチを使用して、対象とするドメインをコードする配列モチーフは、本発明のAHASL1遺伝子および他の知られているAHASL遺伝子の間でシャッフルして、酵素の場合にKの増加などのような、改善された対象とする特性を有するタンパク質をコードする新しい遺伝子が得られてもよい。そのようなDNAシャフリングのための戦略は、当技術分野で知られている。たとえばStemmer(1994年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747〜10751ページ;Stemmer(1994年)Nature 370:389〜391ページ;Crameriら(1997年)Nature Biotech.15:436〜438ページ;Mooreら(1997年)J.Mol.Biol.272:336〜347ページ;Zhangら(1997年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4504〜4509ページ;Crameriら(1998年)Nature 391:288〜291ページ;ならびに米国特許第5,605,793号および第5,837,458号を参照されたい。
【0106】
本発明のヌクレオチド配列は、他の生物、具体的には他の植物、より具体的には他の双子葉類からの対応する配列を単離するために使用することができる。このように、PCR、ハイブリダイゼーション、およびその他同種のものなどのような方法は、本明細書で記載される配列に対するそれらの配列相同性に基づいてそのような配列を同定するために使用することができる。本明細書で記載される全AHASL1配列またはその断片に対するそれらの配列同一性に基づいて単離される配列は、本発明によって包含される。したがって、AHASLタンパク質をコードし、本明細書で開示される配列またはその断片にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離配列は、本発明によって包含される。
【0107】
PCRアプローチでは、オリゴヌクレオチドプライマーは、任意の対象とする植物から抽出されるcDNAまたはゲノムDNAから対応するDNA配列を増幅するためにPCR反応で使用するために設計することができる。PCRプライマーを設計するためのおよびPCRクローニングのための方法は、当技術分野で一般的に知られており、Sambrookら(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、PIainview、New York)に開示される。Innisら編(1990年)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Academic Press、New York);InnisおよびGelfand編(1995年)PCR Strategies(Academic Press、New York);ならびにInnisおよびGelfand編(1999年)PCR Methods Manual(Academic Press、New York)もまた参照されたい。PCRの知られている方法は、対のプライマー、入れ子型プライマー、単一特異的プライマー、縮重プライマー、遺伝子特異的プライマー、ベクター特異的プライマー、部分的に不一致のプライマー、およびその他同種のものを使用する方法を含むが、これらに限定されない。
【0108】
本発明のAHASL1ポリヌクレオチド配列は、対象とする植物の発現のために発現カセット中に提供される。カセットは、本発明のAHASL1ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された5’調節配列および3’調節配列を含む。「作動可能に連結された」によって、プロモーターおよび第2の配列の間の機能的な連結が意図され、プロモーター配列は、第2の配列に対応するDNA配列の転写を開始し、媒介する。一般的に、作動可能に連結されたは、連結している核酸配列が、隣接していることを意味し、2つのタンパク質コード領域をつなぐのに必要な場合、隣接しており、同じリーディングフレーム中にあることを意味する。カセットは、加えて、生物の中に同時形質転換されるように少なくとも1つのさらなる遺伝子を含有してもよい。その代わりに、1つまたは複数のさらなる遺伝子は、複数の発現カセット上に提供することができる。
【0109】
そのような発現カセットは、調節領域の転写調節下となるように、AHASL1ポリヌクレオチド配列の挿入のための複数の制限部位に提供される。発現カセットは、加えて、選択可能なマーカー遺伝子を含有してもよい。
【0110】
発現カセットは、転写の5’−3’方向に、植物で機能的な転写開始領域および翻訳開始領域(つまりプロモーター)、本発明のAHASL1ポリヌクレオチド配列、ならびに転写終了領域および翻訳終了領域(つまり終了領域)を含む。プロモーターは、植物宿主に対しておよび/または本発明のAHASL1ポリヌクレオチド配列に対して、本来のものまたは類似性のものまたは外来性のものもしくは異種性のものであってもよい。加えて、プロモーターは、自然の配列またはその代わりに合成配列であってもよい。プロモーターが、植物宿主に対して「外来性の」または「異種性の」ものである場合、プロモーターは、プロモーターが導入される本来の植物中に見つけられないことが意図される。プロモーターが、本発明のAHASL1ポリヌクレオチド配列に対して「外来性の」または「異種性の」ものである場合、プロモーターは、本発明の作動可能に連結されたAHASL1ポリヌクレオチド配列に対して本来のまたは天然に存在するプロモーターではないことが意図される。本明細書で使用されるように、キメラ遺伝子は、コード配列に対して異種性の転写開始領域に作動可能に連結されたコード配列を含む。
【0111】
異種性のプロモーターを使用して、本発明のAHASL1ポリヌクレオチドを発現させることが好ましい可能性もあるが、本来のプロモーター配列を使用してもよい。そのような構築物は、植物または植物細胞中でAHASL1タンパク質の発現レベルを変化させる。したがって、植物または植物細胞の表現型は改変される。
【0112】
終了領域は、転写開始領域と共に本来のものであってもよい、対象とする作動可能に連結されたAHASL1配列と共に本来のものであってもよい、植物宿主と共に本来のものであってもよい、または他の供給源に由来してもよい(つまり、プロモーター、対象とするAHASL1ポリヌクレオチド配列、植物宿主、またはその任意の組み合わせに対して外来性のまたは異種性の)。好都合な終了領域は、オクトピンシンターゼ終了領域およびノパリンシンターゼ終了領域などのような、A.ツメファシエンスのTiプラスミドから入手可能である。Guerineauら(1991年)Mol.Gen.Genet.262:141〜144ページ;Proudfoot(1991年)Cell 64:671〜674ページ;Sanfaconら(1991年)Genes Dev.5:141〜149ページ;Mogenら(1990年)Plant Cell 2:1261〜1272ページ;Munroeら(1990年)Gene 91:151〜158ページ;Ballasら(1989年)Nucleic Acids Res.17:7891〜7903ページ;およびJoshiら(1987年)Nucleic Acid Res.15:9627〜9639ページもまた参照されたい。
【0113】
適切な場合には、1つまたは複数の遺伝子は、形質転換植物中での発現の増加のために最適化することができる。すなわち、遺伝子は、発現の改善のために、植物にとって好ましいコドンを使用して合成することができる。宿主にとって好ましいコドン使用頻度の考察については、たとえばCampbellおよびGowri(1990年)Plant Physiol.92:1〜11ページを参照されたい。方法は、植物にとって好ましい遺伝子を合成するために当技術分野で入手可能である。たとえば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,380,831号および第5,436,391号ならびにMurrayら(1989年)Nucleic Acids Res.17:477〜498ページを参照されたい。
【0114】
さらなる配列改変は、細胞性の宿主中の遺伝子発現を増強することが知られている。これらは、偽性のポリアデニル化シグナル、エキソン−イントロンスプライス部位シグナル、トランスポゾン様リピート、および遺伝子発現に対して有害性である可能性がある他のそのようなよく特徴づけられた配列をコードする配列の排除を含む。配列のG−C含有量は、宿主細胞中で発現される、知られている遺伝子に対する参照によって計算されるように、所与の細胞性の宿主にとって平均的なレベルに調整することができる。可能な場合、配列は、予測されるヘアピン二次的mRNA構造物を回避するために改変される。
【0115】
遺伝子発現を増強するためのヌクレオチド配列もまた植物発現ベクター中に使用することができる。これらは、トウモロコシAdhI、イントロン1遺伝子のイントロン(Callisら Genes and Development 1:1183〜1200ページ、1987年)ならびにタバコモザイクウイルス(TMV)、トウモロコシクロロティックモトルウイルス、およびアルファルファモザイクウイルスからのリーダー配列(W配列)(Gallieら Nucleic Acid Res.15:8693〜8711ページ、1987年およびSkuzeskiら Plant Mol.Biol.15:65〜79ページ、1990年)を含む。トウモロコシのshrunkent−1座からの第1のイントロンは、キメラ遺伝子構築物中で遺伝子の発現を増加させることが示された。米国特許第5,424,412号および第5,593,874号は、遺伝子発現構築物中での特異的なイントロンの使用を開示し、Gallieら(Plant Physiol.106:929〜939ページ、1994年)もまた、イントロンが、組織特異的な方式で遺伝子発現を調節するのに有用であることを示した。AHAS小サブユニット遺伝子発現をさらに増強するためにまたは最適化するために、本発明の植物発現ベクターはまた、マトリックス付着領域(MAR)を含有するDNA配列を含有してもよい。そのような改変された発現系を用いて形質転換された植物細胞は、次いで、本発明のヌクレオチド配列の過剰発現または構成的な発現を示し得る。
【0116】
発現カセットは、加えて、発現カセット構築物中に5’リーダー配列を含有してもよい。そのようなリーダー配列は、翻訳を増強するように作用することができる。翻訳リーダーは、当技術分野で知られており、ピコマウイルスリーダー、たとえばEMCVリーダー(脳心筋炎5’非コード領域)(Elroy−Steinら(1989年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6126〜6130ページ)、ポティウイルスリーダー、たとえばTEVリーダー(タバコエッチウイルス)(Gallieら(1995年)Gene 165(2):233〜238ページ)、MDMVリーダー(トウモロコシ萎縮モザイクウイルス)(Virology 154:9〜20ページ)、およびヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)(Macejakら(1991年)Nature 353:90〜94ページ)、アルファルファモザイクウイルスのコートタンパク質mRNAからの非翻訳リーダー(AMV RNA 4)(Joblingら(1987年)Nature 325:622〜625ページ)、タバコモザイクウイルスリーダー(TMV)(Molecular Biology of RNA中のGallieら(1989年)、Cech編(Liss、New York)、237〜256ページ)、およびトウモロコシクロロティックモトルウイルスリーダー(MCMV)(Lommelら(1991年)Virology 81:382〜385ページ)を含む。Della−Cioppaら(1987年)Plant Physiol.84:965〜968ページもまた参照されたい。翻訳を増強することが知られている他の方法、たとえばイントロンおよびその他同種のものもまた利用することができる。
【0117】
発現カセットを調製する際に、様々なDNA断片は、適した配向でおよび必要に応じて、適したリーディングフレーム中にDNA配列を提供するために操作することができる。この目的のために、アダプターもしくはリンカーは、DNA断片をつなぐために使用されてもよく、または他の操作は、好都合な制限部位、余分なDNAの除去、制限部位の除去、もしくはその他同種のものを提供するために含まれてもよい。この目的のために、インビトロ突然変異誘発、プライマー修復、制限、アニーリング、再置換、たとえば転移、および塩基転換が含まれてもよい。
【0118】
多くのプロモーターは、本発明の実施において使用することができる。プロモーターは、望ましい結果に基づいて選択することができる。核酸は、植物中での発現のために、構成的なプロモーター、組織にとって好ましいプロモーター、または他のプロモーターと組み合わせることができる。
【0119】
そのような構成的なプロモーターは、たとえば、Rsyn7プロモーターのコアプロモーターならびに国際公開第99/43838号および米国特許第6,072,050号に開示される他の構成的なプロモーター、コアCaMV 35Sプロモーター(Odellら(1985年)Nature 313:810〜812ページ)、イネアクチン(McElroyら(1990年)Plant Cell 2:163〜171ページ)、ユビキチン(Christensenら(1989年)Plant Mol.Biol.12:619〜632ページおよびChristensenら(1992年)Plant Mol.Biol.18:675〜689ページ)、pEMU(Lastら(1991年)Theor.Appl.Genet.81:581〜588ページ)、MAS(Veltenら(1984年)EMBO J.3:2723〜2730ページ)、ALSプロモーター(米国特許第5,659,026号)、ならびにその他同種のものを含む。他の構成的なプロモーターは、たとえば、米国特許第5,608,149号、第5,608,144号、第5,604,121号、第5,569,597号、第5,466,785号、第5,399,680号、第5,268,463号、第5,608,142号、および第6,177,611号を含む。
【0120】
組織にとって好ましいプロモーターは、特定の植物組織内でのAHASL1発現の増強を標的とするために利用することができる。そのような組織にとって好ましいプロモーターは、葉にとって好ましいプロモーター、根にとって好ましいプロモーター、種子にとって好ましいプロモーター、および茎にとって好ましいプロモーターを含むが、これらに限定されない。組織にとって好ましいプロモーターは、Yamamotoら(1997年)Plant J.12(2):255〜265ページ;Kawamataら(1997年)Plant Cell Physiol.38(7):792〜803ページ;Hansenら(1997年)Mot.Gen Genet.254(3):337〜343ページ;Russellら(1997年)Transgenic Res.6(2):157〜168ページ;Rinehartら(1996年)Plant Physiol.112(3):1331〜1341ページ;Van Campら(1996年)Plant Physiol.112(2):525〜535ページ;Canevasciniら(1996年)Plant Physiol.112(2):513〜524ページ;Yamamotoら(1994年)Plant Cell Physiol.35(5):773〜778ページ;Lam(1994年)Results Probl.Cell Differ 20:181〜196ページ;Orozcoら(1993年)Plant Mol Biol.23(6):1129〜1138ページ;Matsuokaら(1993年)Proc Natl.Acad.Sci.USA 90(20):9586〜9590ページ;およびGuevara−Garciaら(1993年)Plant J.4(3):495〜505ページを含む。そのようなプロモーターは、発現が弱いという理由で、必要であれば改変することができる。
【0121】
一態様では、対象とする核酸は、発現するために葉緑体を標的とする。このように、対象とする核酸が、葉緑体に直接挿入されない場合、発現カセットは、対象とする遺伝子産物を葉緑体に向けるために、加えて、葉緑体輸送ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む葉緑体標的配列を含有する。そのような輸送ペプチドは当技術分野で知られている。葉緑体標的配列に関して、「作動可能に連結された」は、輸送ペプチドをコードする核酸配列(つまり葉緑体標的配列)は、2つの配列が隣接し、且つ同じリーディングフレーム中にあるように本発明のAHASLポリヌクレオチドに連結されることを意味する。たとえばVon Heijneら(1991年)Plant Mol.Biol.Rep.9:104〜126ページ;Clarkら(1989年)J.Biol.Chem.264:17544〜17550ページ;Della−Cioppaら(1987年)Plant Physiol.84:965〜968ページ;Romerら(1993年)Biochem.Biophys.Res.Commun.196:1414〜1421ページ;およびShahら(1986年)Science 233:478〜481ページを参照されたい。本発明のAHASL1タンパク質は、本来の葉緑体輸送ペプチドを含むが、当技術分野で知られている任意の葉緑体輸送ペプチドもまた、本発明の成熟AHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列の5’端末に葉緑体標的配列を作動可能に連結することによって、本発明の成熟AHASL1タンパク質のアミノ酸配列に融合することができる。
【0122】
葉緑体標的配列は、当技術分野で知られており、リブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ(ルビスコ)の葉緑体小サブユニット(de Castro Silva Filhoら(1996年)Plant Mol.Biol.30:769〜780ページ;Schnellら(1991年)J.Biol.Chem.266(5):3335〜3342ページ);5−(エノールピルビル)シキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)(Archerら(1990年)J.Bioenerg.Biomemb.22(6):789〜810ページ);トリプトファンシンターゼ(Zhaoら(1995年)J.Biol.Chem.270(11):6081〜6087ページ);プラストシアニン(Lawrenceら(1997年)J.Biol.Chem.272(33):20357〜20363ページ);コリスミ酸シンターゼ(Schmidtら(1993年)J.Biol.Chem.268(36):27447〜27457ページ);および集光性クロロフィルa/b結合タンパク質(LHBP)(Lamppaら(1988年)J.Biol.Chem.263:14996〜14999ページ)を含む。Von Heijneら(1991年)Plant Mol.Biol.Rep.9:104〜126ページ;Clarkら(1989年)J.Biol.Chem.264:17544〜17550ページ;Della−Cioppaら(1987年)Plant Physiol.84:965〜968ページ;Romerら(1993年)Biochem.Biophys.Res.Commun.196:1414〜1421ページ;およびShahら(1986年)Science 233:478〜481ページもまた参照されたい。
【0123】
葉緑体の形質転換のための方法は、当技術分野で知られている。たとえば、Svabら(1990年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8526〜8530ページ;SvabおよびMaliga(1993年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:913〜917ページ;SvabおよびMaliga(1993年)EMBO J.12:601〜606ページを参照されたい。方法は、選択可能なマーカーを含有するDNAのパーティクルガンデリバリーおよび相同組み換えを通しての色素体ゲノムに対するDNAのターゲティングに依存する。加えて、色素体形質転換は、核コード色素体特異的RNAポリメラーゼの組織にとって好ましい発現による、サイレントな色素体由来の導入遺伝子のトランス活性化によって実行することができる。そのような系は、McBrideら(1994年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:7301〜7305ページに報告されている。
【0124】
葉緑体を標的とする対象とする核酸は、植物の核およびこの細胞器官の間のコドン使用頻度の差異を明らかにするために、葉緑体中で発現のために最適化することができる。このように、対象とする核酸は、葉緑体にとって好ましいコドンを使用して合成することができる。たとえば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,380,831号を参照されたい。
【0125】
本明細書で開示されるように、本発明のAHASL1ヌクレオチド配列は、それらのゲノム中に除草剤耐性のAHASL1タンパク質をコードする遺伝子を含む植物の除草剤耐性を増強する際の使用を見出す。そのような遺伝子は、内在性遺伝子または導入遺伝子であってもよい。加えて、ある態様では、本発明の核酸配列は、望ましい表現型を有する植物を作り出すために、対象とするポリヌクレオチド配列の任意の組み合わせと積み重ねることができる。たとえば、本発明のポリヌクレオチドは、たとえばバチルス・チューリンゲンシス毒素タンパク質などのような、農薬活性および/または殺虫活性を有するポリペプチドをコードする任意の他のポリヌクレオチドと積み重ねられてもよい(米国特許第5,366,892号;第5,747,450号;第5,737,514号;第5,723,756号;第5,593,881号;およびGeiserら(1986年)Gene 48:109に記載される)。生なされた組み合わせはまた、対象とするポリヌクレオチドのいずれか1つの複数のコピーをも含むことができる。
【0126】
これらのヌクレオチド配列を用いて、AHASL1ポリヌクレオチド配列のメッセンジャーRNA(mRNA)の少なくとも1つの部分に相補的なアンチセンス構築体を構築することができることが認識される。アンチセンスヌクレオチドは、対応するmRNAとハイブリダイズするために構築される。配列が、対応するmRNAにハイブリダイズし、その発現を阻害する限り、アンチセンスの配列の改変は成すことができる。このように、対応するアンチセンス配列に対して70%、好ましくは80%、より好ましくは85%の配列同一性を有するアンチセンス構築体が使用することができる。そのうえ、アンチセンスヌクレオチドの部分は、標的遺伝子の発現を妨害するために使用することができる。一般的に、少なくとも50のヌクレオチド、100のヌクレオチド、200のヌクレオチド、またはそれ以上の配列が使用することができる。
【0127】
本発明のヌクレオチド配列はまた、植物中での内在性遺伝子の発現を抑制するためにセンス配向で使用することができる。センス配向のヌクレオチド配列を使用して植物中での遺伝子発現を抑制するための方法は、当技術分野で知られている。方法は、一般的に、内在性遺伝子の転写物に対応するヌクレオチド配列の少なくとも1つの部分に作動可能に連結された、植物中での発現を駆動するプロモーターを含むDNA構築物を用いて植物を形質転換するステップを含む。典型的には、そのようなヌクレオチド配列は、好ましくは約65%の配列同一性よりも高い、より好ましくは約85%の配列同一性よりも高い、最も好ましくは約95%の配列同一性よりも高い、内在性遺伝子の転写物の配列に対する実質的な配列同一性を有する。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,283,184号および第5,034,323号を参照されたい。
【0128】
本発明の除草剤抵抗性のAHASL1ポリヌクレオチドは、植物形質転換の選択可能なマーカー遺伝子としての使用を見出すが、本発明の発現カセットは、形質転換細胞の選択のための他の選択可能なマーカー遺伝子を含むことができる。本発明の選択可能なマーカー遺伝子を含む選択可能なマーカー遺伝子は、形質転換細胞または形質転換組織の選択のために利用される。マーカー遺伝子は、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NEO)およびヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)をコードする遺伝子などのような、抗生物質抵抗性をコードする遺伝子ならびにグルホシネートアンモニウム、ブロモキシニル、イミダゾリノン、および2,4−ジクロロフェノキシアセテート(2,4−D)などのような除草性化合物に対する抵抗性を付与する遺伝子を含むが、これらに限定されない。一般的にYarranton(1992年)Curr.Opin.Biotech.3:506〜511ページ;Christophersonら(1992年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6314〜6318ページ;Yaoら(1992年)Cell 71:63〜72ページ;Reznikoff(1992年)Mol.Microbiol.6:2419〜2422ページ;The Operon中のBarkleyら(1980年)、177〜220ページ;Huら(1987年)Cell 48:555〜566ページ;Brownら(1987年)Cell 49:603〜612ページ;Figgeら(1988年)Cell 52:713〜722ページ;Deuschleら(1989年)Proc.Natl.Acad.Aci.USA 86:5400〜5404ページ;Fuerstら(1989年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2549〜2553ページ;Deuschleら(1990年)Science 248:480〜483ページ;Gossen(1993年)Ph.D.Thesis、University of Heidelberg;Reinesら(1993年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:1917〜1921ページ;Labowら(1990年)Mol.Cell.Biol.10:3343〜3356ページ;Zambrettiら(1992年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3952〜3956ページ;Baimら(1991年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:5072〜5076ページ;Wyborskiら(1991年)Nucleic Acids Res.19:4647〜4653ページ;Hillenand−Wissman(1989年)Topics Mol Struc. Biol.10:143〜162ページ;Degenkolbら(1991年)Antimicrob.Agents Chemother.35:1591〜1595ページ;Kleinschnidtら(1988年)Biochemistry 27:1094〜1104ページ;Bonin(1993年)Ph.D.Thesis、University of Heidelberg;Gossenら(1992年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547〜5551ページ;Olivaら(1992年)Antimicrob.Agents Chemother.36:913〜919ページ;Hlavkaら(1985年)Handbook of Experimental Pharmacology、第78巻(Springer−Verlag、Berlin);Gillら(1988年)Nature 334:721〜724ページを参照されたい。そのような開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0129】
選択可能なマーカー遺伝子の上記の一覧は、限定することを意味するものではない。任意の選択可能なマーカー遺伝子もまた本発明で使用することができる。
【0130】
本発明のAHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド分子は、作り出される植物の、除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤に対する抵抗性が増強するように植物を形質転換するためにベクター中に使用することができる。本発明の単離AHASL1ポリヌクレオチド分子は、植物の除草剤抵抗性を付与する際に、単独でまたはAHAS酵素の小サブユニット(AHASS)をコードするヌクレオチド配列と組み合わせてベクター中で使用することができる。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,348,643号を参照されたい。
【0131】
したがって、本発明は、本発明の選択可能なマーカー遺伝子を含む形質転換ベクターを提供する。選択可能なマーカー遺伝子は、本発明の除草剤抵抗性のAHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに作動可能に連結された、宿主細胞中での発現を駆動するプロモーターを含む。形質転換ベクターは、加えて、宿主細胞中で発現する対象とする遺伝子を含むことができ、望ましい場合、本発明のポリヌクレオチドに作動可能に連結された葉緑体標的配列を含むこともできる。
【0132】
本発明は、対象とする遺伝子を用いて形質転換された細胞を選択するために、本発明の形質転換ベクターを使用するための方法をさらに提供する。そのような方法では、形質転換ベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、非形質転換宿主細胞を死滅させるまたはその成長を阻害するレベルのイミダゾリノン除草剤またはスルホニルウレア除草剤に細胞を曝露し、除草剤の存在下で成長するその能力によって形質転換宿主細胞を同定する。本発明の一態様では、宿主細胞は、植物細胞であり、選択可能なマーカー遺伝子は、植物細胞中で発現を駆動するプロモーターを含む。
【0133】
本発明の形質転換ベクターは、対象とする遺伝子を用いて形質転換された植物を生産するために使用することができる。形質転換ベクターは、本発明の選択可能なマーカー遺伝子および導入され、典型的には形質転換植物中で発現する対象とする遺伝子を含む。そのような選択可能なマーカー遺伝子は、宿主細胞中での発現を駆動するプロモーターに作動可能に連結された本発明の除草剤抵抗性のAHASL1ポリヌクレオチドを含む。植物および植物細胞中で使用するために、形質転換ベクターは、植物細胞中での発現を駆動するプロモーターに作動可能に連結された本発明の除草剤抵抗性のAHASL1ポリヌクレオチドを含む選択可能なマーカー遺伝子を含む。
【0134】
本発明はまた、本発明の単離ポリヌクレオチド分子に作動可能に連結された、植物中での発現を駆動するプロモーターを含む植物発現ベクターに関する。単離ポリヌクレオチド分子は、配列番号2、3、4、5、もしくは6に記載されるアミノ配列またはその機能的断片および変異体を含むAHASL1タンパク質、具体的にはAHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。本発明の植物発現ベクターは特定のプロモーターに依存しない、ただ、そのようなプロモーターは植物細胞中で遺伝子発現を駆動することができる。好ましいプロモーターは、構成的なプロモーターおよび組織にとって好ましいプロモーターを含む。
【0135】
本発明の対象とする遺伝子は、望ましい結果に依存して変わる。たとえば、植物中の脂肪酸組成物の改変、植物のアミノ酸含有量の改変、植物の昆虫および/または病原菌に対する防衛メカニズムの改変、ならびにその他同種のものを含む、表現型の様々な変化は、対象とするものとなり得る。これらの結果は、異種性の産物の発現または植物中の内在性産物の発現の増加をもたらすことによって達成することができる。その代わりに、結果は、植物中の1つまたは複数の内在性産物、具体的には酵素または補因子の発現の低下をもたらすことによって達成することができる。これらの変化は、形質転換植物の表現型の変化をもたらす。
【0136】
本発明の一態様では、対象とする遺伝子は、たとえばバチルス・チューリンゲンシス毒素タンパク質遺伝子などのような昆虫抵抗性遺伝子を含む(米国特許第5,366,892号;第5,747,450号;第5,736,514号;第5,723,756号;第5,593,881号;およびGeiserら(1986年)Gene 48:109)。
【0137】
本発明のAHASL1タンパク質またはポリペプチドは、たとえばアブラナ属植物から精製することができ、組成物中に使用することができる。さらに、本発明のAHASL1タンパク質をコードする単離ポリヌクレオチド分子は、大腸菌または酵母などのような微生物中で本発明のAHASL1タンパク質を発現させるために使用することができる。発現されたAHASL1タンパク質は、当業者らに知られている任意の方法によって大腸菌または酵母の抽出物から精製することができる。
【0138】
本発明はまた、除草剤に抵抗性のトランスジェニック植物を作り出すための方法であって、本発明の単離ポリヌクレオチド分子に作動可能に連結された、植物中での発現を駆動するプロモーターを含む植物発現ベクターを用いて植物を形質転換するステップを含む方法にも関する。単離ポリヌクレオチド分子は、本発明のAHASL1タンパク質、具体的には、配列番号2、3、4、5、もしくは6に記載されるアミノ酸配列、配列番号12、13、14、15、もしくは16によってコードされるアミノ酸配列、または上述のアミノ酸配列の機能的断片および変異体を含むAHASL1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0139】
本発明はまた、非トランスジェニックアブラナ属植物、本発明の方法によって生産されるトランスジェニック植物、ならびにそのような非トランスジェニック植物およびトランスジェニック植物の後代および他の子孫に関し、これらの植物は、AHAS酵素を阻害する除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤およびスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性の増強または増加を示す。
【0140】
本発明のAHASL1ポリヌクレオチド、具体的には、除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質コードするポリヌクレオチドは、除草剤耐性の植物の抵抗性を増強するための方法での使用を見出す。本発明の一態様では、除草剤耐性の植物は、除草剤耐性のAHASLタンパク質または除草剤抵抗性のAHASLタンパク質を含む。除草剤耐性の植物は、除草剤耐性のAHASLヌクレオチド配列を用いて形質転換された植物および除草剤耐性のAHASLタンパク質をコードする内在性遺伝子をそれらのゲノム中に含む植物の両方を含む。そのような除草剤耐性の植物は、除草剤耐性について遺伝子操作された除草剤耐性の植物またはたとえば本発明のアブラナ属植物などのような組み換えDNAを含まない手段によって開発された除草剤耐性の植物とすることができる。除草剤耐性のAHASLタンパク質をコードするヌクレオチド配列ならびに除草剤耐性のAHASLタンパク質をコードする内在性遺伝子を含む除草剤耐性の植物は、本発明のポリヌクレオチドおよび植物ならびに当技術分野で知られているものを含む。たとえば、米国特許第5,013,659号、第5,731,180号、第5,767,361号、第5,545,822号、第5,736,629号、第5,773,703号、第5,773,704号、第5,952,553号、および第6,274,796号を参照されたい、これらのすべては、参照によって本明細書に組み込まれる。除草剤耐性の植物の抵抗性を増強するそのような方法は、本発明の除草剤抵抗性のAHASL1ポリヌクレオチド、具体的には、配列番号12、13、14、15、または16に記載される除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質をコードするポリヌクレオチド、配列番号2、3、4、5、または6に記載されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、ならびに除草剤抵抗性のAHAS活性を含むポリペプチドをコードする上述のポリヌクレオチドの断片および変異体に作動可能に連結された、植物細胞中での発現を駆動するプロモーターを含む少なくとも1つのポリヌクレオチド構築物を用いて除草剤耐性の植物を形質転換するステップを含む。この方法によって生産された植物は、本発明のポリヌクレオチド構築物を用いる形質転換前の除草剤抵抗性の植物と比較した場合に、少なくとも1つの除草剤に対する抵抗性が増強している。
【0141】
多数の植物形質転換ベクターおよび植物を形質転換するための方法は、入手可能である。たとえば、An,G.ら(1986年)Plant Pysiol.,81:301〜305ページ;Fry,J.ら(1987年)Plant Cell Rep.6:321〜325ページ;Block,M.(1988年)Theor.Appl Genet.76:767〜774ページ;Hincheeら(1990年)Stadler.Genet.Symp.203212.203〜212ページ;Cousinsら(1991年)Aust.J.Plant Physiol.18:481〜494ページ;Chee,P.P.およびSlightom,J.L.(1992年)Gene.118:255〜260ページ;Christouら(1992年)Trends.Biotechnol.10:239〜246ページ;D’Halluinら(1992年)Bio/Technol.10:309〜314ページ;Dhirら(1992年)Plant Physiol.99:81〜88ページ;Casasら(1993年)Proc.Nat.Acad Sci.USA 90:11212〜11216ページ;Christou,P.(1993年)In Vitro Cell.Dev.Biol.−Plant;29P:119〜124ページ;Daviesら(1993年)Plant Cell Rep.12:180〜183ページ;Dong,J.A.およびMchughen,A.(1993年)Plant Sci.91:139〜148ページ;Franklin,C.I.およびTrieu,T.N.(1993年)Plant.Physiol.102:167;Golovkinら(1993年)Plant Sci.90:41〜52ページ;Guo Chin Sci.Bull.38:2072〜2078ページ;Asanoら(1994年)Plant Cell Rep.13;Ayeres N.M.およびPark,W.D.(1994年)Grit.Rev.Plant.Sci.13:219〜239ページ;Barceloら(1994年)Plant.J.5:583〜592ページ;Beckerら(1994年)Plant.J.5:299〜307ページ;Borkowskaら(1994年)Acta.PhysiolPlant.16:225〜230ページ;Christou,P.(1994年)Agro.Food.Ind.Hi Tech.5:17〜27ページ;Eapenら(1994年)Plant Cell Rep.13:582〜586ページ;Hartmanら(1994年)Bio−Technology 12:919923;Ritalaら(1994年)Plant.Mol.Biol.24:317〜325ページ;ならびにWan,Y.C.およびLemaux,P.G.(1994年)Plant Physiol.104:3748を参照されたい。
【0142】
本発明の方法は、植物の中にポリヌクレオチド構築物を導入するステップを含む。「導入する」によって、植物の細胞の内部に構築物が侵入するようにポリヌクレオチド構築物を植物に提示することが意図される。本発明の方法は、ポリヌクレオチド構築物を植物に導入するための特定の方法に依存せず、ただ、ポリヌクレオチド構築物は、植物の少なくとも1つの細胞の内部に侵入する。安定的な形質転換方法、一過性の形質転換方法、およびウイルス媒介性の方法を含むが、これらに限定されない、植物の中にポリヌクレオチド構築物を導入するための方法は、当技術分野で知られている。
【0143】
「安定的な形質転換」によって、植物の中に導入されたポリヌクレオチド構築物は、植物のゲノムの中に統合され、その後代によって遺伝することができることが意図される。「一過性の形質転換」によって、植物の中に導入されたポリヌクレオチド構築物は、植物のゲノムの中に統合されないことが意図される。
【0144】
植物および植物細胞の形質転換について、本発明のヌクレオチド配列は、植物または植物細胞中でのヌクレオチド配列の発現に適した、当技術分野で知られている任意のベクターの中に標準的な技術を使用して挿入される。ベクターの選択は、好ましい形質転換技術および形質転換される標的植物種に依存する。本発明の一態様では、AHASL1ヌクレオチド配列は、植物細胞中での高レベルの発現で知られている植物プロモーターに作動可能に連結され、この構築物は、次いで、イミダゾリノン除草剤に感受性の植物およびそれが再生した形質転換植物の中に導入される。形質転換植物は、非形質転換植物を死滅させるまたは著しく傷害を与えるレベルのイミダゾリノン除草剤の曝露に耐性である。この方法は、任意の植物種に適用することができるが、作物、具体的には、少なくとも1つの除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤の存在下で典型的には成長させる作物に適用された場合に、最も有益である。
【0145】
植物発現カセットを構築し、植物の中に外来性の核酸を導入するための方法論は、当技術分野で一般的に知られており、以前に記載されている。たとえば、外来性DNAは、腫瘍誘発(Ti)プラスミドベクターを使用して植物の中に導入することができる。アグロバクテリウムに基づいた形質転換技術は、当技術分野でよく知られている。アグロバクテリウム株(たとえばアグロバクテリウム・ツメファシエンスまたはアグロバクテリウム・リゾゲネス)は、プラスミド(TiプラスミドまたはRiプラスミド)およびアグロバクテリウムによる感染に続いて植物に移入されるT−DNAエレメントを含む。T−DNA(移入されたDNA)は、植物細胞のゲノムの中に統合される。T−DNAは、RiプラスミドもしくはTiプラスミド上に配置してもよく、またはいわゆるバイナリーベクター中に別々に含まれる。アグロバクテリウム媒介性の形質転換のための方法は、たとえばHorsch RBら(1985年)Science 225:1229fに記載される。アグロバクテリウム媒介性の形質転換は、双子葉植物および単子葉植物の両方で使用することができる。アグロバクテリウムによる植物の形質転換は、White FF、Vectors for Gene Transfer in Higher Plants;Transgenic Plants、第1巻中のEngineering and Utilization、S.D.KungおよびR.Wu編、Academic Press、1993年、15〜38ページ;Jenes Bら(1993年)Techniques for Gene Transfer,in: Transgenic Plants、第1巻、Engineering and Utilization、S.D.KungおよびR.Wu編、Academic Press、128〜143ページ;Potrykus(1991年)Annu Rev Plant Physiol Plant Molec Biol 42:205〜225ページに記載される。外来性DNAデリバリーのために利用される他の方法は、直接的なDNA取り込みのためのPEG媒介性のプロトプラスト形質転換、エレクトロポレーション、マイクロインジェクションウィスカー(microinjection whisker)、および遺伝子銃または微粒子銃の使用を含む。そのような方法は当技術分野で知られている。(Vasilらに対する米国特許第5,405,765号;Bilangら(1991年)Gene 100:247〜250ページ;Scheidら(1991年)Mol.Gen.Genet.,228:104〜112ページ;Guercheら(1987年)Plant Science 52:111〜116ページ;Neuhauseら(1987年)Theor.Appl Genet.75:30〜36ページ;Kleinら(1987年)Nature 327:70〜73ページ;Howellら(1980年)Science 208:1265;Horschら(1985年)Science 227:1229〜1231ページ;DeBlockら(1989年)Plant Physiology 91:694〜701ページ;Methods for Plant Molecular Biology(WeissbachおよびWeissbach編)Academic Press,Inc.(1988年)ならびにMethods in Plant Molecular Biology(SchulerおよびZielinski編)Academic Press,Inc.(1989年)。形質転換の方法は、形質転換される植物細胞、使用されるベクターの安定性、遺伝子産物の発現レベル、および他のパラメーターに依存する。
【0146】
植物細胞の中にヌクレオチド配列を導入し、植物ゲノムの中への続く挿入のための他の適した方法は、Crosswayら(1986年)Biotechniques 4:320〜334ページのようなマイクロインジェクション、Riggsら(1986年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:5602〜5606ページによって記載されるようなエレクトロポレーション、Townsendら、米国特許第5,563,055号、Zhaoら、米国特許第5,981,840号によって記載されるようなアグロバクテリウム媒介性の形質転換、Paszkowskiら(1984年)EMBO J.3:2717〜2722ページによって記載されるような遺伝子直接移入、ならびにたとえばSanfordら、米国特許第4,945,050号;Tomesら、米国特許第5,879,918号;Tomesら、米国特許第5,886,244号;Bidneyら、米国特許第5,932,782号;Plant Cell,Tissue,and Organ Culture:Fundamental Methods中のTomesら(1995年)「微粒子銃を介しての無傷植物細胞への直接的なDNA移入(Direct DNA Transfer into Intact Plant Cells via Microprojectile Bombardment)、GamborgおよびPhillips編(Springer−Verlag、Berlin);McCabeら(1988年)Biotechnology 6:923〜926ページ);およびLec1形質転換(国際公開第00/28058号)に示す弾道粒子加速を含む。Weissingerら(1988年)Ann.Rev.Genet.22:421〜477ページ;Sanfordら(1987年)Particulate Science and Technology 5:27〜37ページ(タマネギ);Christouら(1988年)Plant Physiol.87:671〜674ページ(ダイズ);McCabeら(1988年)Bio/Technology 6:923〜926ページ(ダイズ);FinerおよびMcMullen(1991年)In Vitro Cell Dev.Biol.27P:175〜182ページ(ダイズ);Singhら(1998年)Theor.Appl.Genet.96:319〜324ページ(ダイズ);Dattaら(1990年)Biotechnology 8:736〜740ページ(イネ);Kleinら(1988年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4305〜4309ページ(トウモロコシ);Kleinら(1988年)Biotechnology 6:559〜563ページ(トウモロコシ);Tomes、米国特許第5,240,855号;Buisingら、米国特許第5,322,783号、および第5,324,646号;Plant Cell,Tissue,and Organ Culture:Fundamental Methods中のTomesら(1995年)「微粒子銃を介しての無傷植物細胞への直接的なDNA移入(Direct DNA Transfer into Intact Plant Cells via Microprojectile Bombardment)」、Gamborg編(Springer−Verlag、Berlin)(トウモロコシ);Kleinら(1988年)Plant Physiol.91:440〜444ページ(トウモロコシ);Frommら(1990年)Biotechnology 8:833〜839ページ(トウモロコシ);Hooykaas−Van Slogterenら(1984年)Nature(London)311:763〜764ページ;Bowenら、米国特許第5,736,369号(穀物);Bytebierら(1987年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:5345〜5349ページ(ユリ科);The Experimental Manipulation of Ovule Tissues中のDe Wetら(1985年)、Chapmanら編(Longman、New York)、197〜209ページ(花粉);Kaepplerら(1990年)Plant Cell Reports 9:415〜418ページおよびKaepplerら (1992年)Theor.Appl.Genet.84:560〜566ページ(ウィスカー媒介性の形質転換);D’Halluinら(1992年)Plant Cell 4:1495〜1505ページ(エレクトロポレーション);Liら(1993年)Plant Cell Reports 12:250〜255ページおよびChristouおよびFord(1995年)Annals of Botany 75:407〜413ページ(イネ);Osjodaら(1996年)Nature Biotechnology 14:745〜750ページ(アグロバクテリウム・ツメファシエンスを介してのトウモロコシ)もまた参照されたい。これらのすべては、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0147】
本発明のポリヌクレオチドは、ウイルスまたはウイルス核酸と植物を接触させることによって植物の中に導入することができる。一般的に、そのような方法は、ウイルスDNA分子またはウイルスRNA分子内に本発明のポリヌクレオチド構築物を組み込むステップを含む。本発明のAHASL1タンパク質は、ウイルスポリタンパク質の一部分として最初に合成されてもよく、これは、後に、インビボまたはインビトロで、タンパク質分解によって処理されて、望ましい組み換えタンパク質を生産してもよいことが認識される。さらに、本発明のプロモーターはまた、ウイルスRNAポリメラーゼによる転写に利用されるプロモーターをも包含することが認識される。ウイルスDNA分子またはウイルスRNA分子を伴って、植物の中にポリヌクレオチド構築物を導入し、その中でコードされるタンパク質を発現させるための方法は、当技術分野で知られている。たとえば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,889,191号、第5,889,190号、第5,866,785号、第5,589,367号、および第5,316,931号を参照されたい。
【0148】
形質転換された細胞は、従来の方法に従って植物に成長させてもよい。たとえばMcCormickら(1986年)Plant Cell Reports 5:81〜84ページを参照されたい。次いで、これらの植物は、成長させ、同じ形質転換された株または異なる株と受粉させてもよく、望ましい表現型の特徴の構成的な発現を有する結果として生じる雑種は同定される。2世代以上の世代は、望ましい表現型の特徴の発現が、安定して維持され、遺伝することを確認するために成長させてもよく、次いで、望ましい表現型の特徴の発現を確認するために収穫された種子が得られてきた。このように、本発明は、本発明のポリヌクレオチド構築物、たとえば、それらのゲノムの中に安定して組み込まれた本発明の発現カセットを有する形質転換された種子(「トランスジェニック種子」とも呼ばれる)を提供する。
【0149】
本発明は、単子葉植物および双子葉類を含むが、これらに限定されない任意の植物種の形質転換に使用することができる。対象とする植物種の例は、コーンまたはトウモロコシ(Zea mays)、アブラナ属種(たとえばセイヨウアブラナ、カブ、セイヨウカラシナ)、具体的には種子油の供給源として有用なそれらのアブラナ属種、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa))、イネ(イネ(Oryza sativa))、ライ麦(ライムギ(Secale cereale))、モロコシ(モロコシ(Sorghum bicolor)、ソルガム(Sorghum vulgare))、キビ(たとえばトウジンビエ(トウジンビエ(Pennisetum glaucum))、プロソミレット(proso millet)(キビ(Panicum miliaceum))、アワ(アワ(Setaria italica))、シコクビエ(シコクビエ(Eleusine coracana))、ヒマワリ(ヒマワリ(Helianthus annuus))、ベニバナ(ベニバナ(Carthamus tinctorius))、コムギ(コムギ(Triticum aestivum)、イギリスコムギ亜種 デュラム小麦)、ダイズ(ダイズ(Glycine max))、タバコ(タバコ(Nicotiana tabacum))、ジャガイモ(ジャガイモ(Solanum tuberosum))、ピーナッツ(ピーナッツ(Arachis hypogaea))、ワタ(カイトウメン(Gossypium barbadense)、ワタ(Gossypium hirsutum))、サツマイモ(サツマイモ(Ipomoea batatus))、キャッサバ(キャッサバ(Manihot esculenta))、コーヒー(コーヒー属種)、ココナッツ(ココヤシ(Cocos nucifera))、パイナップル(パイナップル(Ananas comosus))、柑橘類の木(ミカン属種)、ココア(カカオ(Theobroma cacao))、茶(茶(Camellia sinensis))、バナナ(バショウ属種)、アボカド(アボカド(Persea americana))、イチジク(イチジク(Ficus casica))、グアバ(グアバ(Psidium guajava(登録商標)))、マンゴー(マンゴー(Mangifera indica))、オリーブ(オリーブ(Olea europaea))、パパイヤ(パパイヤ(Carica papaya))、カシュー(カシューノキ(Anacardium occidentale))、マカダミア(マカダミア(Macadamia integrifolia))、アーモンド(アーモンド(Prunus amygdalus))、サトウダイコン(サトウダイコン(Beta vulgaris))、サトウキビ(サトウキビ属種)、カラスムギ、オオムギ、野菜、観賞植物、および針葉樹を含むが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の植物は、作物(たとえばヒマワリ、アブラナ属種、ワタ、砂糖、テンサイ、ダイズ、ピーナッツ、アルファルファ、ベニバナ、タバコ、トウモロコシ、イネ、コムギ、ライ麦、オオムギ、ライコムギ、モロコシ、キビなど)である。
【0150】
本発明の除草剤抵抗性の植物は、雑草をコントロールするための方法での使用を見出す。したがって、本発明は、本発明の除草剤抵抗性の植物の近くの雑草をコントロールするための方法をさらに提供する。方法は、雑草および除草剤抵抗性の植物に有効量の除草剤を適用するステップを含み、植物は、野生型植物と比較した場合に、少なくとも1つの除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤またはスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性が増加している。雑草をコントロールするためのそのような方法では、本発明の除草剤抵抗性の植物は、好ましくは、ヒマワリ、アルファルファ、アブラナ属種、ダイズ、ワタ、ベニバナ、ピーナッツ、タバコ、トマト、ジャガイモ、コムギ、イネ、トウモロコシ、モロコシ、オオムギ、ライ麦、キビ、およびモロコシを含むが、これらに限定されない作物である。
【0151】
除草剤、具体的にはイミダゾリノン除草剤およびスルホニルウレア除草剤に対する抵抗性が増加している植物を提供することによって、種々様々の配合物は、植物の成長を増強し、栄養分についての競争を低下させるために、雑草から植物を防御するために使用することができる。除草剤は、本明細書で記載される植物の周囲のエリアの雑草の、出芽前、出芽後完熟前、栽培前、および栽培時のコントロールのために単独で使用することができるまたは他の添加剤を含有するイミダゾリノン除草剤配合物を使用することができる。除草剤はまた、種子の処理として使用することもできる。すなわち、有効濃度もしくは有効量の除草剤または有効濃度もしくは有効量の除草剤を含む組成物は、種子の播種前にまたはその間に種子に直接適用することができる。イミダゾリノン除草剤またはスルホニルウレア除草剤の配合物または組成物中に見つけられる添加剤は、他の除草剤、洗浄剤、補助剤、展着剤、固着剤、安定化剤、またはその他同種のものを含む。除草剤配合物は、湿性調製物または乾燥調製物とすることができ、流動性粉末、乳化性濃縮物、および液体濃縮物を含むことができるが、これらに限定されない。除草剤および除草剤配合物は、たとえば、噴霧、灌漑、散布、コーティング、およびその他同種のものによって、従来の方法に従って適用することができる。
【0152】
本発明は、AHAS阻害性除草剤の使用を含む方法を提供する。これらの方法では、AHAS阻害性除草剤は、種子の処理、土壌の処理、および葉面の処理を含むが、これらに限定されない当技術分野で知られている任意の方法によって適用することができる。
【0153】
本発明は、AHAS酵素の活性を阻害する少なくとも1つの除草剤に対する植物、植物組織、植物細胞、または他の宿主細胞の耐性または抵抗性を増強するための方法を提供する。好ましくは、そのようなAHAS阻害性除草剤は、イミダゾリノン除草剤、スルホニルウレア除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤、スルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン除草剤、またはその混合物である。より好ましくは、そのような除草剤は、イミダゾリノン除草剤、スルホニルウレア除草剤、そのまたは混合物である。本発明について、イミダゾリノン除草剤は、PURSUIT(登録商標)(イマゼタピル(Imazethapyr))、CADRE(登録商標)(イマザピック)、RAPTOR(登録商標)(imazamox)、SCEPTER(登録商標)(イマザキン(imazaquin))、ASSERT(登録商標)(イマゼサベンズ(imazethabenz))、ARSENAL(登録商標)(イマザピル)、前述の除草剤のいずれかの誘導体、2つ以上の前述の除草剤の混合物、たとえばイマザピル/imazamox(ODYSSEY(登録商標))を含むが、これらに限定されない。より具体的には、イミダゾリノン除草剤は、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−ニコチン酸、[2−(4−イソプロピル)−4−][メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−3−キノリンカルボン]酸、[5−エチル−2−(4−イソプロピル−]4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸、[2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−]イミダゾリン−2−イル)−5−メチルニコチン酸、ならびにメチル[6−(4−イソプロピル−4−]メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−m−トルイル酸およびメチル[2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−]オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−p−トルイル酸の混合物から選択することができるが、これらに限定されない。5−エチル−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−ニコチン酸および[2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−]イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸の使用は好ましい。[2−(4−イソプロピル−4−]メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸の使用は特に好ましい。
【0154】
本発明について、スルホニルウレア除草剤は、クロルスルフロン、メトスルフロンメチル、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、ベンスルフロンメチル、ニコスルフロン、エタメツルフロンメチル、リムスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリアスルフロン、プリミスルフロンメチル、シノスルフロン、アミドスルフロン(amidosulfluon)、フルザスルフロン(fluzasulfuron)、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ハロスルフロン、アジムスルフロン、シクロスルフロン(cyclosulfuron)、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロンメチル、ホラムスルフロン、ヨードスルフロン、オキサスルフロン、メソスルフロン、プロスルフロン、スルホスルフロン、トリフロキシスルフロン、トリトスルフロン、前述の除草剤のいずれかの誘導体、および2つ以上の前述の除草剤の混合物を含むが、これらに限定されない。本発明のトリアゾロピリミジン除草剤は、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、およびペノキススラムを含むが、これらに限定されない。本発明のピリミジニルオキシベンゾエート除草剤は、ビスピリバック、ピリチオバック、ピリミノバック、ピリベンゾキシム、およびピリフタリドを含むが、これらに限定されない。スルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン除草剤は、フルカルバゾンおよびプロポキシカルバゾンを含むが、これらに限定されない。
【0155】
ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤は、ピリミジニルチオベンゾエート除草剤と密接に関係し、Weed Science Society of Americaによって後者の名称の見出し語で普及していることが認識されている。したがって、本発明の除草剤は、上記に記載されるピリミジニルオキシベンゾエート除草剤を含むが、これに限定されないピリミジニルチオベンゾエート除草剤をさらに含む。
【0156】
適用前に、AHAS阻害性除草剤は、通例の配合物、たとえば溶液、乳濁液、懸濁液、粉体、粉末、ペースト、および顆粒に変換することができる。使用形態は、特定の意図される目的に依存し、それぞれの場合で、本発明による化合物の細かく均一な分散を確実にするべきである。
【0157】
配合物は、たとえば、溶媒および/またはキャリヤー、望ましい場合、乳化剤、界面活性剤および分散剤、防腐剤、消泡剤、凍結防止剤、種子の処理の配合のために、さらに任意選択で着色剤および/または結合剤および/またはゲル化剤などのような農薬の配合に適した助剤を用いて活性化合物を増量することによって知られている様式で調製される(たとえば、検討のために、米国特許第3,060,084号、EP−A 707445(液体濃縮物について)、Browning、「凝集(Agglomeration)」、Chemical Engineering、1967年12月4日、147〜48ページ、Perry’s Chemical Engineer’s Handbook、第4版、McGraw−Hill、New York、1963年、8〜57ページを参照、ならびに以下を参照のこと。国際公開第91/13546号公報、米国特許第4,172,714号、米国特許第4,144,050号、米国特許第3,920,442号、米国特許第5,180,587号、米国特許第5,232,701号、米国特許第5,208,030号、英国特許第2,095,558号、米国特許第3,299,566号、Klingman、Weed Control as a Science、John WileyおよびSons,Inc.、New York、1961年、Hanceら、Weed Control Handbook、第8版、Blackwell Scientific Publications、Oxford、1989年、およびMallet,H.、Grubemann,A.、Formulation technology、Wiley VCH Verlag GmbH、Weinheim(Germany)、2001年、2.、D.A.Knowles、Chemistry and Technology of Agrochemical Formulations、Kluwer Academic Publishers、Dordrecht、1998年(ISBN 0−7514−0443−8))。
【0158】
適した溶媒の例は、水、芳香族溶媒(たとえばSolvesso産物、キシレン)、パラフィン(たとえば鉱油画分)、アルコール(たとえばメタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(たとえばシクロヘキサノン、ガンマ−ブチロラクトン)、ピロリドン(NMP、NOP)、アセテート(二酢酸グリコール)、グリコール、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸、および脂肪酸エステルである。原則として、溶媒混合物もまた使用することができる。
【0159】
適したキャリヤーの例は、粉砕された天然鉱物(たとえばカオリン、粘土、タルク、チョーク)および粉砕された合成鉱物(たとえば高度に分散させたシリカ、ケイ酸)である。
【0160】
適した乳化剤は、非イオン性乳化剤および陰イオン性乳化剤(たとえばポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、スルホン酸アルキル、およびアリールスルホン酸)である。分散剤の例は、リグニン−亜硫酸パルプ廃液およびメチルセルロースである。
【0161】
使用される適した界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、脂肪族アルコールスルホン酸、脂肪酸、および硫酸化脂肪族アルコールグリコールエーテルのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩、そのうえ、ホルムアルデヒドとのスルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体の縮合物、フェノールおよびホルムアルデヒドとのナフタレンまたはナフタレンスルホン酸の縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシ化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリールフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコールおよび脂肪族アルコールエチレンオキシド縮合物、エトキシ化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシ化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸廃液、ならびにメチルセルロースである。
【0162】
直接噴霧することができる溶液、乳濁液、ペースト、または油分散液の調製に適した物質は、灯油またはディーゼル油などのような中〜高沸点の鉱油画分、そのうえコールタール油および植物または動物起原の油、脂肪族炭化水素、環状炭化水素、および芳香族炭化水素、たとえばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン、またはそれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、高極性溶媒、たとえばジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、または水である。
【0163】
さらに、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのような凍結防止剤およびなどのような殺菌剤は、配合物に追加することができる。
【0164】
適した消泡剤は、たとえば、ケイ素またはステアリン酸マグネシウムをベースとする消泡剤である。種子の処理配合物は、加えて、結合剤および任意選択で着色剤を含んでもよい。
【0165】
結合剤は、処理の後の種子上への活性物質の付着を改善するために追加することができる。適した結合剤は、ブロックコポリマーEO/PO界面活性剤であるが、適した結合剤はまた、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンアミン、ポリエチレンアミド、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)、Polymin(登録商標)、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、チロース、およびこれらのポリマーに由来するコポリマーでもある。
【0166】
任意選択で、着色剤もまた配合物中に含むことができる。種子の処理配合物に適した着色剤または染料は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108である。
【0167】
適したゲル化剤の例は、ヤハズツノマタ(Satiagel(登録商標))である。粉末、展着のための物質、および散布することができる産物は、固体キャリヤーと活性物質を混合するまたは同時に粉砕することによって調製することができる。
【0168】
顆粒、たとえばコーティングした顆粒、浸透性の顆粒、および均質の顆粒は、活性化合物を固体キャリヤーに結合することによって調製することができる。固体キャリヤーの例は、シリカゲル、ケイ酸、タルク、カオリン、アタクレイ(attaclay)、石灰石、石灰、チョーク、ボール、黄土、粘土、ドロマイト、ケイ藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどのような土類鉱物、粉砕された合成物質、たとえば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、ならびに穀物粗びき粉、樹皮粗びき粉、木粗びき粉、および堅果殻粗びき粉などのような植物起原の産物などのような肥料、セルロース粉末、ならびに他の固体キャリヤーである。
【0169】
一般に、配合物は、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%のAHAS阻害性除草剤を含む。この場合、AHAS阻害性除草剤は、90重量%〜100重量%、好ましくは95重量%〜100重量%の純度で使用される(NMRスペクトルによる)。種子の処理の目的のために、それぞれの配合物は、2〜10倍に希釈することができ、活性化合物重量で0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の使用準備済の調製物の濃度をもたらす。
【0170】
AHAS阻害性除草剤は、それ自体、それらの配合物の形態またはそれから調製される使用形態で、たとえば、直接噴霧することができる溶液、粉末、懸濁液もしくは分散液、乳濁液、油分散液、ペースト、散布することができる産物、展着のための物質、または顆粒の形態で、噴霧、微粒化、散布、展着、または注入の手段によって使用することができる。使用形態は、もっぱら、意図される目的に依存し、それらは、それぞれの場合で、本発明によるAHAS阻害性除草剤の可能な限り細かい分散を確実にすることが意図される。
【0171】
水性の使用形態は、水を追加することによって、乳濁液濃縮物、ペースト、または水和剤(噴霧することができる粉末、油分散液)から調製することができる。乳濁液、ペースト、または油分散液を調製するために、物質それ自体または油もしくは溶媒中で溶解された物質は、湿潤剤、粘着剤、分散剤、または乳化剤の手段によって水中で均質化することができる。しかしながら、活性物質、湿潤剤、粘着剤、分散剤、または乳化剤および適切な場合、溶媒または油から構成される濃縮物を調製することもまた可能であり、そのような濃縮物は、水を用いる希釈に適している。
【0172】
使用準備済の調製物の活性化合物濃度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、それらは、重量当たり0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%である。
【0173】
AHAS阻害性除草剤はまた、極微量のプロセス(ULV)で上手く使用することができ、95重量%を超える活性化合物を含む配合物を適用することが可能であるまたは添加剤のない活性化合物を適用することが可能である。
【0174】
下記は、配合物の例である。
1.葉面適用のための、水を用いる希釈のための産物。種子の処理の目的のために、そのような産物は、希釈してまたは希釈せずに種子に適用することができる。
A)水溶性濃縮物(SL、LS)
10重量部のAHAS阻害性除草剤は、90重量部の水または水溶性溶媒中に溶解される。代替として、湿潤剤または他の助剤が追加される。AHAS阻害性除草剤は、水を用いる希釈に際して溶解し、それによって、10%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
B)分散性濃縮物(DC)
20重量部のAHAS阻害性除草剤は、10重量部の分散剤、たとえばポリビニルピロリドンの追加と共に、70重量部のシクロヘキサノン中に溶解される。水を用いる希釈によって分散液が生じ、それによって、20%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
C)乳化性濃縮物(EC)
15重量部のAHAS阻害性除草剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびヒマシ油エトキシレート(それぞれの場合で、5重量部)の追加と共に、7重量部のキシレン中に溶解される。水を用いる希釈によって乳濁液が生じ、それによって、15%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
D)乳濁液(EW、EO、ES)
25重量部のAHAS阻害性除草剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびヒマシ油エトキシレート(それぞれの場合で、5重量部)の追加と共に、35重量部のキシレン中に溶解される。この混合物は、乳化機(たとえばUltraturrax)の手段によって30重量部の水の中に投入され、均質の乳濁液になる。水を用いる希釈によって乳濁液が生じ、それによって、25%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
E)懸濁液(SC、OD、FS)
激しく動かされるボールミル中で、20重量部のAHAS阻害性除草剤は、10重量部の分散剤、湿潤剤、および70重量部の水または有機溶媒の追加と共に粉末にされて、細かいAHAS阻害性除草剤懸濁液が生じる。水を用いる希釈により、AHAS阻害性除草剤の安定的な懸濁液が生じ、それによって、20%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
F)水分散性顆粒および水溶性顆粒(WG、SG)
50重量部のAHAS阻害性除草剤は、50重量部の分散剤および湿潤剤の追加と共に、細かく粉砕され、専門的な装置の手段によって(たとえば押出成形、噴霧塔、流動層)、水分散性顆粒または水溶性顆粒として作製される。水を用いる希釈により、AHAS阻害性除草剤の安定的な分散液または溶液が生じ、それによって、50%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
G)水分散性粉末および水溶性粉末(WP、SP、SS、WS)
75重量部のAHAS阻害性除草剤は、25重量部の分散剤、湿潤剤、およびシリカゲルの追加と共にローターステーターミル(rotor−stator mill)中で粉砕される。水を用いる希釈により、AHAS阻害性除草剤の安定的な分散液または溶液が生じ、それによって、75%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。
I)ゲル配合物(GF)
激しく動かされるボールミル中で、20重量部のAHAS阻害性除草剤は、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤湿潤剤、および70重量部の水または有機溶媒の追加と共に粉末にされ、細かいAHAS阻害性除草剤懸濁液が生じる。水を用いる希釈により、AHAS阻害性除草剤の安定的な懸濁液が生じ、それによって、20%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。このゲル配合物は、種子の処理としての使用に適している。
2.葉面適用のために希釈されずに適用される産物。種子の処理の目的のために、そのような産物は、希釈して種子に適用することができる。
A)散布することができる粉末(DP、DS)
5重量部のAHAS阻害性除草剤は、細かく粉砕され、95重量部の細かく分けられたカオリンとよく混合される。これにより、5%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する、散布することができる産物が生じる。
B)顆粒(GR、FG、GG、MG)
2分の1重量部のAHAS阻害性除草剤は、細かく粉砕され、95.5重量部のキャリヤーと結合し、それによって、0.5%(重量/重量)のAHAS阻害性除草剤を有する配合物が得られる。現行の方法は、押出成形、噴霧乾燥、または流動層である。これによって、葉の使用のために希釈されずに適用される顆粒が生じる。
【0175】
従来の種子の処理のための配合物は、たとえば流動性濃縮物FS、溶液LS、乾燥処理のための粉末DS、スラリー処理のための分散性水WS、水溶性粉末SSおよび乳濁液ESおよびECおよびゲル配合物GFを含む。これらの配合物は、希釈してまたは希釈せずに種子に適用することができる。種子への適用は、播種の前に、種子上に直接実行される。
【0176】
好ましい態様では、FS配合物は、種子の処理に使用される。典型的には、FS配合物は、1〜800g/lの活性成分、1〜200g/lの界面活性剤、0〜200g/lの凍結防止剤、0〜400g/lの結合剤、0〜200g/lのピグメント、および1リットルまでの溶媒、好ましくは水を含んでもよい。
【0177】
本発明は、本発明の除草剤抵抗性の植物の非トランスジェニック種子およびトランスジェニック種子を提供する。そのような種子は、たとえば、J05Z−07801、J04E−0139、J04E−0130、またはJ04E−0122の植物の除草剤抵抗性の特徴を含む非トランスジェニックアブラナ属種子および除草剤抵抗性のAHASL1タンパク質をコードする本発明のポリヌクレオチド分子を含むトランスジェニック種子を含む。
【0178】
種子の処理について、本発明による除草剤抵抗性の植物の種子は、除草剤、好ましくは、アミドスルフロン(amidosulfluon)、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、imazamox、イマザピック、イマザピル、イマザキン(imazaquin)、イマゼタピル(Imazethapyr)、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、ペノキススラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリチオバック、およびその混合物またはAHAS阻害性除草剤を含む配合物との混合物などのようなAHAS阻害性除草剤からなる群から選択される除草剤を用いて処理される。
【0179】
種子の処理という用語は、種子ドレッシング、種子コーティング、種子散布、種子浸漬、および種子ペレッティングなどのような当技術分野で知られている適した種子の処理の技術をすべて含む。
【0180】
本発明の一変形に従って、本発明のさらなる主題は、具体的には種まき機の中への適用によって土を処理するための方法である:顆粒状配合物のいずれも、任意選択で1つもしくは複数の固体もしくは液体の農業的に許容できるキャリヤーと共におよび/または任意選択で1つもしくは複数の農業的に許容できる界面活性剤と共に、組成物/配合物、たとえば顆粒状配合物としてAHAS阻害性除草剤を含有する。この方法は、たとえば、穀物、トウモロコシ、ワタ、およびヒマワリの苗床中に有利に使用される。
【0181】
本発明はまた、アミドスルフロン(amidosulfluon)、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、imazamox、イマザピック、イマザピル、イマザキン(imazaquin)、イマゼタピル(Imazethapyr)、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、ペノキススラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、およびピリチオバックからなる群から選択される少なくとも1つのALS阻害剤を含む種子の処理の配合物を用いてコーティングされたまたはそれを含有する種子をも含む。
【0182】
種子という用語は、完全な種子、種子片、吸根、球茎、鱗茎、果実、塊茎、穀粒、さし木、カットした苗条、およびその他同種のものを含むが、これらに限定されないすべての種類の種子および植物珠芽を包含し、好ましい態様では完全な種子を意味する。
【0183】
「コーティングされ、且つ/または含有する」という用語は、一般的に、活性成分が、適用の方法に依存して、多かれ少なかれ、繁殖産物の中に浸透する可能性があるが、活性成分は、大部分は、適用の時に繁殖産物の表面上にあることを表わす。上述の繁殖産物が(再)栽培される場合、それは活性成分を吸収してもよい。
【0184】
AHAS阻害性除草剤またはAHAS阻害性除草剤を含む配合物を用いる種子の処理の適用は、植物の播種および植物の出芽の前に種子に噴霧するまたは散布することによって実行される。
【0185】
種子の処理では、対応する配合物は、有効量のAHAS阻害性除草剤またはAHAS阻害性除草剤を含む配合物を用いて種子を処理することによって適用される。本明細書で、適用量は、一般的に、100kgの種子当たり、0.1g〜10kgのa.i(またはa.i.もしくは配合物の混合物)、好ましくは、100kgの種子当たり、1g〜5kg、具体的には、100kgの種子当たり、1g〜2.5kgである。レタスなどのような特定の作物については、量はより高くなり得る。
【0186】
本発明は、望ましくない植生を駆除するまたは雑草をコントロールするための方法であって、本発明による抵抗性の植物の種子を、播種の前および/または前発芽(pregermination)の後に、AHAS阻害性除草剤と接触させるステップを含む方法を提供する。方法は、たとえば、あるフィールドの土中にまたは温室の鉢植え培地(potting medium)中に種子を播種するステップをさらに含むことができる。方法は、望ましくない植生を駆除するまたは種子のすぐ近くの雑草をコントロールする際に特定の使用を見出す。
【0187】
望ましくない植生のコントロールは、雑草を死滅させることおよび/または他の場合には雑草の正常な成長を遅らせるもしくは阻害することを意味するものとして理解される。雑草は、最も広い意味では、それらが望まれない位置に成長するそれらの植物すべてを意味するものとして理解される。
【0188】
本発明の雑草は、たとえば、双子葉および単子葉の雑草を含む。双子葉の雑草は、属:シロガラシ属、マメグンバイナズナ属、ヤエムグラ属、ハコベ属、シカギク属、ローマカツミレ属、ガリンソガ属、アカザ属、イラクサ属、キオン属、ヒユ属、スベリヒユ属、オナモミ属、セイヨウヒルガオ属、サツマイモ属、タデ属、ツノクサネム属、ブタクサ属、アザミ属、ヒレアザミ属、ノゲシ属、ナス属、イヌガラシ属、キカシグサ属、アゼナ属、オドリコソウ属、クワガタソウ属、イチビ属、エメクス属(Emex)、チョウセンアサガオ属、スミレ属、チシマオドリコソウ属、ケシ属、ヤグルマギク属、ジャジクソウ属、キンポウゲ属、およびタンポポ属の雑草を含むが、これらに限定されない。単子葉の雑草は、属:ヒエ属、セタリア属、キビ属、メヒシバ属、アワガエリ属、イチゴツナギ属、ウシノケグサ属、オヒシバ属、ビロードキビ属、ドクムギ属、スズメノチャヒキ属、カラスムギ属、カヤツリグサ属、モロコシ属、カモジグサ属、ギョウギシバ属、ミズアオイ属、フィムブリスチスリス属(Fimbristyslis)、オモダカ属、ハリイ属、ホタルイ属、スズメノヒエ属、カモノハシ属、フェノクレア属(Sphenoclea)、ダクティロクテニウム属(Dactyloctenium)、コヌカグサ属、スズメノテッポウ属、およびアペラ属(Apera)の雑草を含むが、これらに限定されない。
【0189】
加えて、本発明の雑草は、たとえば、望ましくない位置で成長している作物を含むことができる。たとえば、主にダイズ植物を含むフィールド中にある自生のトウモロコシ植物は、トウモロコシ植物がダイズ植物のフィールド中で望まれない場合は、雑草と考えることができる。
【0190】
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、冠詞の文法上の1つまたは1つを超える(つまり少なくとも1つの)目的語を指すために本明細書で使用される。例として、「エレメント」(an element)は、1つまたは複数のエレメントを意味する。
【0191】
本明細書で使用されるように、単語「含む(comprising)」または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などのような変形は、述べられたエレメント、整数、もしくはステップまたはエレメント、整数、もしくはステップの群を包含することを意味するが、任意の他のエレメント、整数、もしくはステップまたはエレメント、整数、もしくはステップの群が除外されることを意味しないことが理解されるであろう。
【0192】
以下の例は、例証のために提供されるものであって、限定のために提供されるものではない。
【0193】
例1−AHASインビトロ酵素アッセイ
AHAS酵素アッセイは、Singhら(Anal.Biochem.171:173〜179ページ、1988年)によって記載されるように、AHAS阻害剤の存在下で、AHAS酵素の活性のレベルを測定することによって異なるサンプルの耐性レベルを定量するために使用される迅速な比色定量法である。2つのタイプの試験を使用した:たった1つの阻害剤を使用する基本的試験および2つの阻害剤の使用を必要とする集中的試験。両方の試験は、イミダゾリノン耐性のレベルを示し、集中的試験は、いくつかの植物系の間で明白な、わずかな耐性レベルの差異を正確に示すことができる。AHASアッセイストック溶液は、0.2Mのリン酸ナトリウム+0.2Mのリン酸水素ナトリウム+50mM 1,1シクロプロパンジカルボン酸(CPCA)+そのままの濃度のMurashige&Skoogsの基本的な塩+1mM Imazamox(AC 299,263テクノロジー等級)+5%H2SO4+2M NaOH+2.5%α−ナフトール+0.25%クレアチンを1Mリン酸緩衝液pH6.0中に含有する。
【0194】
最終的なAHASアッセイ溶液は、3つのタイプの溶液を含む。溶液Aは、10mMリン酸緩衝液+10%M&S培地+500uM CPCA+0.5%L−アラニン+50mMピルビン酸を含有する。溶液Bは、溶液A+2.5uM Imazamoxを含有する。溶液Cは、溶液B+0.2uMクロルスルフロンを含有する。
【0195】
基本的AHAS試験:Imazamox阻害剤:
試験は、96ウェルプレート中で行なった。それぞれの96ウェルプレートは、コントロールを含む19〜21個のサンプルのためのスペースを含有した。それぞれのウェルは、下記に記載されるように100ulのAHAS緩衝液を含有した。ラミナーフローフード中で、無菌AHAS緩衝液は、AおよびBとマークした2つの溶液のたらいの中に無菌的に移入した。「B」たらいへ、imazamoxを、2.5uMの濃度と等しいストック溶液から追加した。100ulの溶液Aを、それぞれのプレートの奇数番号の列のすべてに移入し、100ulの溶液Bを、すべての偶数番号の列に移入した。
【0196】
フェーズ1:サンプリング
4つのディスクは、コルクボーラーを使用して、10日齢の実生の中で最も小さな葉の根元から切り取った。他のAHAS遺伝子が抽だい期の後に活性化され、したがって誤った結果を生む可能性があるので、植物は、この生育ステージ前にサンプリングした。切り取りに続いて、ディスクは、AおよびBの溶液を含有するマイクロタイタープレートのウェルの中に移入した。
【0197】
全マイクロタイタープレートが一杯になったら、プレートは、14〜18時間、室温で蛍光灯下でインキュベートした。この時間の後にインキュベーションを停止させるために、プレートは−80℃のフリーザー中で凍結した。
【0198】
フェーズ2:反応
AHASプレートは、−80℃のフリーザーから取り出し、室温でまたは60℃のインキュベーター中で解凍した。25マイクロリットルの5%HSOをそれぞれのウェルに追加した。酸性化したプレートは、ディスクがすべて完全に褐色となるまで、約15分間60℃でインキュベートした。この時間の間に、ナフトール溶液を調製し、続いて、150ulのα−ナフトール/クレアチン溶液をそれぞれのウェルに追加した。それぞれのプレートを15分間60℃でインキュベートした。インキュベーションの後に、AHAS活性の差異は、イミダゾリノンサンプルおよび非イミダゾリノンサンプルの間で視覚的に比較した。AHAS活性に起因する「赤」色の強度は、マイクロタイタープレートリーダーを使用して測定し、イミダゾリノンサンプルおよび非イミダゾリノンサンプルについての定量値を出した。
【0199】
それぞれのウェルの吸光度は530nmで読み取った。この設定で、赤の強度の代表となる値を出した。赤のこの強度は、それぞれのウェル中でAHAS活性の量となった。所与のサンプルのimazamoxウェルのAHAS活性を、コントロールのAHAS活性によって割った場合、比は、「コントロールのAHAS活性パーセント」に関して出した。
【0200】
集中的なAHAS試験:Imazamox阻害剤およびクロルスルフロン阻害剤
AHAS試験でのクロルスルフロン、SUの組み込みは、PM1遺伝子およびbR遺伝子の耐性の性質に基づくものである。PM1およびbRは、SUに耐性ではないのに対して、PM2は、SUに対していくらかの耐性を示す。imazamox活性によって割ったSU活性の比は、4つすべての耐性レベルについて独自の値を出す(PM1/PM2、PM2、PM1、WT)。
【0201】
結果は、imazamoxおよびクロルスルフロンで阻害された場合のセイヨウカラシナで、bR、PM2、およびbR/PM2について図3に示す。
【0202】
Imazamoxの存在下での異なるセイヨウカラシナ突然変異の組み合わせのAHAS酵素活性
異なる突然変異の組み合わせ(aR×bR、PM2×A107T、PM2×bR、A104T×bR)を含有するホモ接合性倍加半数体(DH)セイヨウカラシナ系からのタンパク質抽出物のAHAS酵素活性は、未処理(0μM imazamox)サンプルの活性の百分率として測定した。コントロールとして、3つのセイヨウアブラナ系からのタンパク質抽出物もまた含んだ:セイヨウアブラナPM1、セイヨウアブラナPM2、およびセイヨウアブラナPM1/PM2。これらの突然変異の組み合わせについての結果およびimazamoxの100μMでの比較を図6に示す。
【0203】
例2−温室中での除草剤耐性試験
第1の実験は、1つの遺伝子(bRまたはPM2)および2つの遺伝子(bR/PM2)を含有するセイヨウカラシナ系ならびに2つの遺伝子(PM1/PM2)を含有するセイヨウアブラナ系の間でイミダゾリノン除草剤耐性に差異があるかどうかを決定するために計画した。
【0204】
それぞれの系からの6つの個々の植物をそれぞれの噴霧処理にさらした。イミダゾリノン除草剤Odyssey(登録商標)は、2〜3葉期に、1×(17g ai/エーカー)、2×(34g ai/エーカー)、および3×(51g ai/エーカー)で適用した。植物は、2〜3葉期、栽培後約14日目に噴霧した。噴霧室は、40psiに設定し、速度は、’80’(34.98L/ac)に設定した。以下の計算は、Odysseyの25mlストック溶液を作製するためになされた:170.025/34.98=0.1215gのOdyssey顆粒。これは以下の値の仮定に基づくものであった:エーカー当たり必要とされるOdysseyの量は17gであり、8.33mlの溶液を、噴霧室のそれぞれの流路中に出した。Merge(登録商標)は、0.5L/100Lまたは0.000125Lまたは125uLの量で追加した。噴霧の後に、植物は、トレー内で無作為化した。植物は、以下の評価によって、視覚的な除草剤に対する損傷(噴霧後7〜10日)について評価した:
1.いかなる損傷をも示さない植物
2.葉の変色または葉のわずかな湾曲を示す植物
3.目立つ葉の変色(たとえば黄色になるまたは紫色になる)を示すおよびいくつかの根元の分枝を示す植物。
4.死またはひどい障害をもたらす目立つ損傷を示す植物
【0205】
損傷が明らかとなった後に、草丈およびバイオマス(植物重量)を測定した。それぞれの品種について、噴霧処理およびコントロールを比較した。結果を表1に示す。
【表1】

【0206】
第2の実験は、温室中で、異なる量のimazamoxを用いて処理した場合に、セイヨウカラシナの異なる突然変異bR、bR/PM2、PM2、aR、A104T、およびA107Tを比較するために計画した。Imazamox噴霧試験(第2の温室実験)に使用したサンプルを下記の表2に示す。
表2:第2の温室実験で用いられたセイヨウカラシナ系
【表2】

【0207】
系毎の12個の個々の植物を表3に示されるようにそれぞれの処理レベルにさらした。Imazamox(Raptor(登録商標))+0.5%容量/容量Merge(登録商標)の7回の処理とした。植物は、1〜2本葉期に処理した。結果を図4に示す。
表3 処理レベル
【表3】

【0208】
他の温室実験では、セイヨウカラシナDH系は、AゲノムAHAS突然変異(aR、A104T、またはPM2)を含有するセイヨウカラシナ系およびBゲノムAHAS突然変異(bR、A107T)を含有するセイヨウカラシナ系の間の交雑から生産した。Aゲノム突然変異およびBゲノム突然変異(たとえば、aR/bR、A104T/bRなど)の両方についてホモ接合性であることが確証されたそれらのDH系は、0、35、70、および100g ai/haのimazamox(Raptor(登録商標)+0.75%Merge(登録商標))を用いる続く温室除草剤耐性試験のために選択した。薬害は、0〜9の段階で評価し、ここで、0は、作物傷害なしに等価であり、9は、植物死をもたらすひどい植物ネクローシスに等価である。これらの薬害曲線の結果を図8に示す。
【0209】
二重ホモ接合性DH系が同定されなかったそれらの組み合わせについては(aR/A107T突然変異の組み合わせの場合のように)、分離F2集団を温室中に定植した。それぞれのF2個体は、突然変異および接合性の性質を決定するために配列決定し、次いで、それぞれの傷害表現型を決定するために35g ai/haのimazamoxを噴霧した。aRおよびA107Tの突然変異について作物傷害表現型に対する遺伝子型の関連性の結果を図7に示す。
【0210】
例3−フィールドでの除草剤耐性試験
4つのセイヨウカラシナエントリーおよび1つのセイヨウアブラナエントリーを、除草剤耐性(様々な処理について表4を参照されたい)および収量について、North Dakotaの4つの位置にわたって、無作為化された分割ブロック計画(split block design)トライアル(4回の反復)で試験した。プロットは最小限の1.5×5mの大きさとした。個々のプロットは、包囲し、成熟時に収穫した。4つのセイヨウカラシナエントリーのうち、1つのエントリーは、ホモ接合性セイヨウカラシナPM1/PM2を生産するために自家受粉させる2世代が続く従来の戻し交雑技術によって、セイヨウアブラナからのPM1およびPM2の両方の突然変異をセイヨウカラシナに遺伝子移入することによって生産したPM1/PM2セイヨウカラシナ系であった。他の3つのセイヨウカラシナエントリーは、PM2突然変異と共に積み重ねられたBゲノムbR突然変異を含有するセイヨウカラシナの異なる遺伝子型であった。bR/PM2セイヨウカラシナ系はすべて、両方の突然変異についてホモ接合性であった。セイヨウアブラナエントリーは、PM1/PM2突然変異についてホモ接合性のCLEARFIELD(登録商標)市販比較品種であった。作物傷害評価(薬害%)は、処理の5〜7日後に(DAT)および18〜24DATに行なった。4つの位置の1つからの平均薬害パーセントを表5に示す。
【0211】
表4:除草剤の処理
【表4】


(登録商標)CLEARFIELDおよび唯一のCLEARFIELD記号はBASFの登録商標である。
【0212】
表5:North Dakota、Velvaの1つの位置でのOdysseyの1×除草剤適用に続いてのセイヨウカラシナPM1/PM2エントリーおよびセイヨウカラシナbR/PM2エントリーの平均薬害パーセントおよび平均収量
【表5】

【0213】
表5の結果は、セイヨウカラシナのPM1/PM2遺伝子移入突然変異が、商品化に適切な耐性を有していないことを示した。PM1/PM2セイヨウカラシナ系についての除草剤後(Odyssey(登録商標))薬害評価は、すべての試験した位置(Velva、Mohall、Fargo、Hettinger)について25〜50%の範囲であったが、Odyssey(登録商標)処理PM1/PM2セイヨウカラシナエントリーについての収量は、噴霧していないPM1/PM2セイヨウカラシナエントリーに対して、平均で50%低下した。bR/PM2セイヨウカラシナエントリー(S006、S007、S008)は、試験した位置のいずれについても1×Odyssey(登録商標)処理で薬害を示さず、収量の著しい減少を示さなかった。bR/PM2セイヨウカラシナエントリーはまた、すべての位置で、PM1/PM2セイヨウアブラナエントリーより低い薬害の量も示した。
【0214】
同様に、1つのセイヨウカラシナPM2のみのエントリー(J03Z−16413)およびPM1/PM2の積み重ねられた突然変異を含有する1つの市販のCLEARFIELD(登録商標)セイヨウアブラナ比較と共に、bR/PM2の積み重ねられた突然変異を含有する28個の異なるセイヨウカラシナエントリー(遺伝子型)を3つの位置でフィールド試験した。平均的なプロットサイズが1.5m×5mであった場合に、2つの反復からなる、無作為化された完全ブロック計画(complete block design)(1回の処理)を使用した。部分的なキャノーラ種子量を使用し、個々のプロット種子量は、それぞれのエントリーの1000個の種子重量に基づいて、それぞれの位置について同じ播種密度に調整した。除草剤は、下記の表6に示されるようにこのトライアルのすべてのエントリーに適用した。
表6:除草剤の処理
【表6】


(登録商標)CLEARFIELDおよび唯一のCLEARFIELD記号はBASFの登録商標である
【0215】
表7:農業的評価
【表7】

【0216】
表8:圃場試験結果
【表8−1】


【表8−2】

【0217】
bR/PM2の積み重ねられた突然変異を含有する2つのさらなる異なるセイヨウカラシナエントリー(遺伝子型)およびPM1/PM2の積み重ねられた突然変異を含有する1つの市販のCLEARFIELD(登録商標)セイヨウアブラナ比較を、連続する2年間にわたって複数の位置でフィールド試験した。部分的なキャノーラ種子量を使用し、個々のプロット種子量は、それぞれのエントリーの1000個の種子重量に基づいて、それぞれの位置について同じ播種密度に調整した。除草剤(Beyond(登録商標))は、下記の表9に示されるようにこのトライアルのすべてのエントリーに適用した。
表9:
【表9−1】


【表9−2】


【表9−3】

【0218】
圃場における薬害のデータも、bRおよびPM2の両方の突然変異(bR/PM2についてホモ接合性)を含有する3つの異なる系から得て、PM1およびPM2の両方の突然変異(PM1/PM2についてホモ接合性)を含有する市販のセイヨウアブラナ系に対する圃場における薬害と比較した。これらの系に、1×BEYOND(登録商標)(35g ai/haのimazamox)を噴霧し、処理の7〜10日後に(DAT)薬害についてスコア化した。セイヨウカラシナ野生型系(つまり、いかなるAHAS突然変異をも有していない)にコントロールとして1×BEYOND(登録商標)を噴霧した。結果を下記の表10に提供する。
表10:
【表10】

【0219】
実験の同様のセットを、2×BEYOND(商標)を噴霧したbRおよびPM2の両方の突然変異(ホモ接合性bR/PM2)を含有する4つのさらなる中オレイン酸セイヨウカラシナ系で行なった。結果を下記の表11に示す。
表11:
【表11】

【0220】
それぞれの個々の突然変異に対するbRおよびPM2の突然変異を共に積み重ねる効果を研究するために、除草剤耐性フィールド試験を、PM2突然変異単独、bR突然変異単独、またはbRおよびPM2の両方の突然変異を含有するセイヨウカラシナエントリーで行なった。突然変異はすべて、すべてのエントリーでホモ接合性であった。3回の反復からなる、無作為化された完全ブロック計画(4回の処理)を1.5m×5mの平均的なプロットサイズで使用した。部分的なキャノーラ種子量を使用し、個々のプロット種子量は、それぞれのエントリーの1000個の種子重量に基づいて、それぞれの位置について同じ播種密度に調整した。除草剤(Beyond(登録商標)、1×量は35g ai/haである)は、下記の表10に示されるように、このトライアルのすべてのエントリーに適用した。単一形質または組み合わせられた形質を含有するセイヨウカラシナ系は、0×、1×、2×、または4×レベルの除草剤を用いて処理し、処理の10日、12日、14日、または28日後に(DAT)評価した。異なる二人の人間が、それぞれの量の除草剤を用いる処理の10、12、14、および/または28日後の薬害をスコア化した(表10に示されるように:スコアラー1対スコアラー2)。結果を下記の表12に示す。
表12:
【表12】

【0221】
bR/PM2の積み重ねられた突然変異系の耐性は、個々の突然変異系の耐性の合計よりも高いことをより明確に示すために(作物傷害または植物毒性は表12に示す)、bR/PM2積み重ねの実際の除草剤耐性パーセントを、単一PM2突然変異系および単一bR突然変異系の除草剤耐性パーセントの合計(予測される除草剤耐性)と比較した(表13)。単一突然変異に対抗するまたはそれを圧倒する除草剤レベル(2×および4×量で最も顕著)で、bR/PM2の積み重ねられた突然変異系で観察された除草剤耐性のレベルは、2つの個々のbR+PM2耐性を共に加算した場合に観察された除草剤耐性を超える。bR/PM2の積み重ねられた突然変異系は、相加的なレベルではなく相乗的なレベルの除草剤耐性を示す。イミダゾリノン耐性のこの増強された(相乗的)レベルは、bR/PM2の積み重ねられた突然変異を含有するセイヨウカラシナの30個を超える異なる遺伝子型で観察された。
表13:
【表13】

【0222】
要約すると、セイヨウカラシナbR/PM2系の耐性の相乗的なまたは増強されたレベルは、セイヨウアブラナPM1/PM2の積み重ねられた突然変異系で観察された耐性のレベルよりも高いことを示し、さらに、セイヨウカラシナPM1/PM2の積み重ねられた突然変異系で観察された耐性よりもはるかに高いことを示した(表5)。イミダゾリノン除草剤を用いて処理した場合、セイヨウカラシナbR/PM2系はいかなる収量ペナルティーをも示さなかったが、市販の量のイミダゾリノン除草剤を用いて処理した場合、セイヨウカラシナPM1/PM2系は著しい収量ペナルティーを示した。
【0223】
明細書に言及される刊行物および特許出願はすべて、本発明が属する当業者のレベルを示すものである。刊行物および特許出願はすべて、個々の刊行物または特許出願がそれぞれ具体的におよび個々に参照によって示された場合に組み込まれるのと同じ程度で、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0224】
前述の発明は、理解の明瞭さの目的のために、図および例によってある程度詳細に記載したが、ある種の変更および改変が、添付された請求項の範囲内で実施することができることは明らかであろう。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図1−5】

【図1−6】

【図1−7】

【図1−8】

【図1−9】

【図1−10】

【図1−11】

【図2−1】

【図2−2】

【図2−3】

【図2−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドをコードするアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーをそのゲノム中に含むアブラナ属植物であって、前記AHASLポリペプチドは、
a)配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するポリペプチド、
b)配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するポリペプチド、および
c)配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置にロイシンを有するポリペプチド
からなる群から選択されるアブラナ属植物。
【請求項2】
セイヨウカラシナ、セイヨウアブラナ、カブ、アビシニアガラシ、キャベツ、およびクロガラシからなる群から選択される、請求項1に記載のアブラナ属植物。
【請求項3】
植物が、除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドをコードするアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)ポリヌクレオチドの少なくとも2つのコピーを含み、AHASLポリペプチドが、
a)配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するポリペプチド、
b)配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するポリペプチド、および
c)配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置にロイシンを有するポリペプチド
からなる群から選択される、請求項1に記載のアブラナ属植物。
【請求項4】
配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するポリペプチドおよび配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置にロイシンを有するポリペプチドを含む、請求項3に記載のアブラナ属植物。
【請求項5】
セイヨウカラシナ、セイヨウアブラナ、カブ、アビシニアガラシ、キャベツ、およびクロガラシからなる群から選択される、請求項4に記載のアブラナ属植物。
【請求項6】
セイヨウカラシナである、請求項5に記載のアブラナ属植物。
【請求項7】
植物が以下のとおりである請求項6に記載のアブラナ属植物:
a)J05Z−07801と命名された植物系であるか、
b)J05Z−07801と命名された植物系の後代であるか、
c)a)〜b)の植物のうち1つの突然変異体、組み換え体、もしくは遺伝子操作された誘導体であるか、または
d)a)〜c)の植物の少なくとも1つの後代である植物である。
【請求項8】
AHASLポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーをそのゲノム中に含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載のアブラナ属植物の種子。
【請求項9】
除草剤が、イミダゾリノン、スルホニルウレア、トリアゾロピリミジン、およびピリミジニルオキシベンゾエートからなる群から選択される、請求項1に記載のアブラナ属植物。
【請求項10】
除草剤が、イミダゾリノンである、請求項9に記載のアブラナ属植物。
【請求項11】
アブラナ属植物の近縁である雑草をコントロールするための方法であって、該雑草およびアブラナ属植物に、有効量のイミダゾリノン除草剤、スルホニルウレア除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤、またはその混合物を適用するステップを含み、アブラナ属植物は、除草剤抵抗性のアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)ポリペプチドをコードするAHASLコードポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーをそのゲノム中に含み、前記AHASLポリペプチドが、
a)配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するポリペプチド、
b)配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するポリペプチド、および
c)配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置にロイシンを有するポリペプチド
からなる群から選択される方法。
【請求項12】
植物が、配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するポリペプチドおよび配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置にロイシンを有するポリペプチドを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アブラナ属植物が、セイヨウカラシナ、セイヨウアブラナ、カブ、アビシニアガラシ、キャベツ、およびクロガラシからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
植物が、セイヨウカラシナである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アブラナ属植物が以下のとおりである請求項14に記載の方法:
a)J05Z−07801と命名された植物系であるか、
b)J05Z−07801と命名された植物系の後代であるか、
c)a)〜b)の植物のうち1つの突然変異体、組み換え体、もしくは遺伝子操作された誘導体であるか、または
d)a)〜c)の植物の少なくとも1つの後代である植物である。
【請求項16】
除草剤が、イミダゾリノン、スルホニルウレア、トリアゾロピリミジン、およびピリミジニルオキシベンゾエートからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
以下からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子をコードする単離AHASL:
a)配列番号3に示すヌクレオチド配列、
b)配列番号4に示すヌクレオチド配列、
c)配列番号5に示すヌクレオチド配列、
d)配列番号3に示すヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、そのタンパク質は、配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するヌクレオチド配列、
e)配列番号4に示すヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、そのタンパク質は、配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するヌクレオチド配列、
f)配列番号5に示すヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、そのタンパク質は、配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するヌクレオチド配列、
g)a)〜f)に示すヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、および
h)a)〜g)に示すヌクレオチド配列からなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列に完全に相補的なヌクレオチド配列。
【請求項18】
コードされたAHASLタンパク質が、
a)配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置のアスパラギン、
b)配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置のトレオニン、および
c)配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置のロイシン
からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異をさらに含む、請求項17に記載の単離ポリヌクレオチド分子。
【請求項19】
請求項17または18に記載のポリヌクレオチド分子に作動可能に連結されたプロモーターを含む発現ベクター。
【請求項20】
請求項19に記載の発現ベクターを用いて形質転換された形質転換植物。
【請求項21】
イミダゾリノン、スルホニルウレア、トリアゾロピリミジン、およびピリミジニルオキシベンゾエートからなる群から選択される除草剤に対する抵抗性が増加している、請求項20に記載の植物。
【請求項22】
セイヨウカラシナ、セイヨウアブラナ、カブ、アビシニアガラシ、キャベツ、およびクロガラシからなる群から選択される、請求項21に記載の植物。
【請求項23】
トランスジェニック植物を生産するための方法であって、
a)請求項19に記載の発現ベクターを用いて植物細胞を形質転換するステップ、および
b)植物細胞から、AHASLポリペプチドを発現するトランスジェニック植物を産生するステップ
を含む方法。
【請求項24】
以下のステップを含む、形質転換された植物細胞、植物組織、植物、またはその一部分を同定するまたは選択するための方法:
a)形質転換された植物細胞、植物組織、植物、またはその一部分を提供するステップであって、形質転換された植物細胞、植物組織、植物、またはその一部分は、請求項17または18に記載のポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドは、選択マーカーとして使用されるAHASL突然変異ポリペプチドをコードし、形質転換された植物細胞、植物組織、植物、またはその一部分は、さらなる単離ポリヌクレオチドを含んでもよいステップ、
b)形質転換された植物細胞、植物組織、植物、またはその一部分を、少なくとも1つのAHAS阻害剤またはAHAS阻害性化合物と接触させるステップ、
c)植物細胞、植物組織、植物、またはその一部分が、阻害剤または阻害性化合物によって影響を受けるかどうかを決定するステップ、および
d)形質転換された植物細胞、植物組織、植物、またはその一部分を同定するかまたは選択するステップ。
【請求項25】
除草剤抵抗性の植物を生産するための方法であって、除草剤に抵抗性である第1の植物を除草剤に抵抗性ではない第2の植物と交雑させるステップを含み、第1の植物は、請求項1〜7、9〜10、および20〜22までのいずれか一項に記載の植物である方法。
【請求項26】
除草剤に抵抗性の後代植物を選択するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項25または26に記載の方法によって生産される除草剤抵抗性の植物。
【請求項28】
第1の植物の除草剤抵抗性の特徴を含む、請求項27に記載の植物の種子。
【請求項29】
植物の除草剤抵抗性を増加させるための方法であって、第1の植物を第2の植物と交雑させるステップを含み、第1の植物は、請求項1〜7まで、9〜10まで、20〜22まで、および27のいずれか一項に記載の植物である方法。
【請求項30】
第2の植物の除草剤抵抗性と比較した場合に、増加した除草剤抵抗性を含む後代植物を選択するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項29または30に記載の方法によって生産される植物。
【請求項32】
増加した除草剤抵抗性を含む、請求項31に記載の植物の種子。
【請求項33】
請求項1〜7まで、9〜10まで、20〜22まで、27、および31に記載の植物のいずれか1つのアブラナ属植物の近くの雑草をコントロールするための方法であって、雑草およびアブラナ属植物に、有効量のイミダゾリノン除草剤、スルホニルウレア除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤、またはその混合物を適用するステップを含む方法。
【請求項34】
AゲノムおよびBゲノム、ならびにAゲノム上の第1の除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドおよびBゲノム上の第2の除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含む植物を生産することができるセイヨウカラシナ植物の種子であって、第2のポリヌクレオチドは、bR突然変異をコードし、第1および第2の除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドは、AHAS阻害性除草剤に対する相乗的なレベルの抵抗性を提供する種子。
【請求項35】
植物が、第1のポリヌクレオチドを含有する植物および第2のポリヌクレオチドを含有する植物の抵抗性の相加的なレベルと比較して、少なくとも約10%高い抵抗性を有する、請求項34に記載の種子。
【請求項36】
植物が、第1のポリヌクレオチドを含有する植物および第2のポリヌクレオチドを含有する植物の抵抗性の相加的なレベルと比較して、少なくとも約20%高い抵抗性を有する、請求項35に記載の種子。
【請求項37】
植物が、第1のポリヌクレオチドを含有する植物および第2のポリヌクレオチドを含有する植物の抵抗性の相加的なレベルと比較して、少なくとも約30%高い抵抗性を有する、請求項36に記載の種子。
【請求項38】
植物が、以下のとおりである請求項34に記載の種子。
a)J05Z−07801と命名された植物系であるか、
b)J05Z−07801と命名された植物系の後代であるか、
c)a)〜b)の植物のうち1つの突然変異体、組み換え体、もしくは遺伝子操作された誘導体であるか、または
d)a)〜c)の植物の少なくとも1つの後代である植物である。
【請求項39】
以下のステップを含むセイヨウカラシナ種子を生産するための方法:
第1のセイヨウカラシナ系を第2のセイヨウカラシナ系と交雑するステップであって、第1のアブラナ属植物系は、第1の除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドをコードする第1のアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーをそのゲノム中に含み、第1のAHASLポリペプチドが、
a)配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するポリペプチド、
b)配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するポリペプチド、および
c)配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置にロイシンを有するポリペプチド
からなる群から選択されるステップ、および
種子を得るステップ。
【請求項40】
第2のアブラナ属植物系が、第2の除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドをコードする第2のアセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピーをそのゲノム中に含み、第2のAHASLポリペプチドが、
a)配列番号1の位置653または配列番号2の位置638または配列番号3の位置635に対応する位置にアスパラギンを有するポリペプチド、
b)配列番号1の位置122または配列番号4の位置107または配列番号5の位置104に対応する位置にトレオニンを有するポリペプチド、および
c)配列番号1の位置574または配列番号6の位置557に対応する位置にロイシンを有するポリペプチド
からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
第1および第2のAHASLポリヌクレオチドが、異なるゲノム上に位置する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
第1のセイヨウカラシナ系が以下のとおりである、 請求項39に記載の方法:
a)J05Z−07801と命名された植物系であるか、
b)J05Z−07801と命名された植物系の後代であるか、
c)a)〜b)の植物のうち1つの突然変異体、組み換え体、もしくは遺伝子操作された誘導体であるか、または
d)a)〜c)の植物の少なくとも1つの後代である植物である。
【請求項43】
種子のサンプルが、ATCC寄託番号PTA−8305の下で寄託されている、J05Z−07801と命名されたセイヨウカラシナ植物系の種子。
【請求項44】
請求項43に記載の種子から成長させた植物。
【請求項45】
請求項44に記載の植物からの植物の一部分。
【請求項46】
花粉、プロトプラスト、胚珠、および細胞からなる群から選択される、請求項45に記載の植物の一部分。
【請求項47】
以下のステップを含む、セイヨウカラシナ植物を育種するための方法:
第1の系を、第2のセイヨウカラシナ系と交雑させるステップであって、第1のセイヨウカラシナ系は、突然変異系J05Z−07801の種子を成長させることから得られたセイヨウカラシナ植物であり、種子のサンプルは、ATCC委託番号PTA−8305の下で寄託されているステップ、および
種子を得るステップ。
【請求項48】
種子が、AHAS除草剤抵抗性について評価される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1つのAHAS除草剤に対する抵抗性を示す種子を選択するステップをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
シロイヌナズナAHASL1ポリペプチドのアミノ酸位置122に対応する、Aゲノム上のAHASLポリペプチドの位置にトレオニンを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む非天然セイヨウカラシナ植物。
【請求項51】
以下のとおりである、請求項50に記載の非天然セイヨウカラシナ植物:
a)J04E−0122と命名された植物系であるか、
b)J04E−0122と命名された植物系の後代であるか、
c)a)〜b)の植物のうち1つの突然変異体、組み換え体、もしくは遺伝子操作された誘導体であるか、または
d)a)〜c)の植物の少なくとも1つの後代である植物である。
【請求項52】
シロイヌナズナAHASL1ポリペプチドのアミノ酸位置122に対応する、Bゲノム上のAHASLポリペプチドの位置にトレオニンを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む非天然セイヨウカラシナ植物。
【請求項53】
以下のとおりである、請求項52に記載の非天然セイヨウカラシナ植物:
a)J04E−0130と命名された植物系である、
b)J04E−0130と命名された植物系の後代であるか、
c)a)〜b)の植物のうち1つの突然変異体、組み換え体、もしくは遺伝子操作された誘導体であるか、または
d)a)〜c)の植物の少なくとも1つの後代である植物である。
【請求項54】
シロイヌナズナAHASL1ポリペプチドのアミノ酸位置653に対応する、Aゲノム上のAHASLポリペプチドの位置にアスパラギンを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む非天然セイヨウカラシナ植物。
【請求項55】
以下のとおりである、請求項54に記載の非天然セイヨウカラシナ植物:
a)J04E−0139と命名された植物系であるか、
b)J04E−0139と命名された植物系の後代であるか、
c)a)〜b)の植物のうち1つの突然変異体、組み換え体、もしくは遺伝子操作された誘導体であるか、または
d)a)〜c)の植物の少なくとも1つの後代である植物である。
【請求項56】
AゲノムおよびBゲノム、ならびにAゲノム上の第1の除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドおよびBゲノム上の第2の除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドを含む植物を生産することができるセイヨウカラシナ植物の種子であって、第1のポリヌクレオチドは、aR突然変異をコードし、第1および第2の除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドは、AHAS阻害性除草剤に対する相乗的なレベルの抵抗性を提供する種子。
【請求項57】
第2の除草剤抵抗性のAHASLポリペプチドが、シロイヌナズナAHASL1ポリペプチドのアミノ酸位置122に対応する、Bゲノム上のAHASLポリペプチドの位置にトレオニンを有する、請求項56に記載の種子。
【請求項58】
植物が、第1のポリヌクレオチドを含有する植物および第2のポリヌクレオチドを含有する植物の抵抗性の相加的なレベルと比較して、少なくとも約10%高い抵抗性を有する、請求項56に記載の種子。
【請求項59】
植物が、第1のポリヌクレオチドを含有する植物および第2のポリヌクレオチドを含有する植物の抵抗性の相加的なレベルと比較して、少なくとも約20%高い抵抗性を有する、請求項58に記載の種子。
【請求項60】
植物が、第1のポリヌクレオチドを含有する植物および第2のポリヌクレオチドを含有する植物の抵抗性の相加的なレベルと比較して、少なくとも約30%高い抵抗性を有する、請求項59に記載の種子。
【請求項61】
請求項43、50、52、54、または56に記載の植物のいずれか1つのセイヨウカラシナ植物の近くの雑草をコントロールするための方法であって、雑草およびセイヨウカラシナ植物に、有効量のイミダゾリノン除草剤、スルホニルウレア除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート除草剤、またはその混合物を適用するステップを含む方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−523103(P2010−523103A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501618(P2010−501618)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002645
【国際公開番号】WO2009/031031
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(509275769)
【出願人】(509275611)ヴィテッラ、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】