説明

除草剤活性ピランジオンを含んでなる除草剤組成物、および除草剤活性ピランジオンの使用法

本発明は、


の構造の化合物A−13を、植物またはその区画に適用するステップを含んでなる、稲作物中において雑草を防除する方法;化合物A−13を植物またはその区画に適用するステップを含んでなる、有用作物中においてヒエ属(Echinochloa)雑草および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)雑草を防除する方法;および化合物A−13を含有する除草剤組成物に関する。本発明はまた、活性成分として、a)除草的有効量の
式(I)、


(式中、Rはシクロプロピルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、R、R、R、およびRは互いに独立して、水素またはC〜Cアルキルであり、YはOであり、Gは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホニウム、またはアンモニウムであり、またはGはC(O)−RまたはC(O)−O−Rの潜在化基である)の化合物;およびb)フェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、プロピリスルフロン、およびN−[2−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−6−フルオロフェニル]−1,1−ジフルオロ−N−メチルメタンスルホンアミドからなる群から選択される共除草剤の混合物を含んでなる、除草剤組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の除草剤活性ピランジオンの新しい使用法、具体的には、特定の置換4−(ビフェニル−3−イル)−ピラン−3,5−ジオン化合物である、この特定のピランジオンを適用するステップを含んでなる、稲作物などの有用農作物中で、雑草(例えばヒエ属(Echinochloa)および/またはアゼガヤ属(Leptochloa))を防除する方法に関する。本発明はまた、この特定のピランジオン除草剤を含んでなる新しい除草剤組成物にも関する。
【0002】
本発明はまた、例えば有用農作物中、特に稲作物中で、草と雑草を防除する新しい除草剤組成物にも関し、該組成物は、除草剤活性環式ジオン(具体的には除草剤活性ピランジオン、さらに具体的には置換4−(ビフェニル−3−イル)−ピラン−3,5−ジオン化合物)、そのエノールケトン互変異性体、またはそのエノールケトン互変異性体のエノール基誘導体;および共除草剤を含んでなる。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2008/071405A1号パンフレット(Syngenta Participations AG and Syngenta Limited)は、除草剤として使用するのに適した、ピランジオン、チオピランジオン、およびシクロヘキサンジオン化合物、およびそれらのエノールケトン互変異性体誘導体を開示する。下文で定義される式(I)のピランジオンおよび誘導体化合物は、国際公開第2008/071405A1号パンフレットにおいて包括的に開示される。国際公開第2008/071405A1号パンフレットもまた、これらのピランジオン化合物および誘導体と、イマゾスルフロンまたはピロキサスルホン(KIH−485)などの様々な混合物パートナーとの混合物を開示する。
【0004】
国際公開第2008/071405A1号パンフレットは、それぞれ95頁および109頁において、特に、
【0005】
【化1】

【0006】
の2つの特定化合物A−66およびA−167を開示する。国際公開第2008/071405A1号パンフレットで開示される化合物A−66およびA−167は、本明細書中でそれぞれ「基準化合物A−4」および「化合物A−16」として言及される。
【0007】
ピロキサスルホンおよび他のイソキササゾリン除草剤は、国際公開第02/062770号パンフレットから派生した欧州特許出願公開第1364946A1号明細書(クミアイ化学工業株式会社およびイハラケミカル工業株式会社)で最初に開示された。超長鎖脂肪酸(VLCFA)の阻害剤であるピロキサスルホンは、および/または植物中で細胞分裂を阻害する。ピロキサスルホン(CAS登録番号447399−55−5)は、
【0008】
【化2】

【0009】
の構造を有するイソキササゾリン除草剤である。
【0010】
CAS登録番号が639826−16−7であるフェノキサスルホンは、
【0011】
【化3】

【0012】
の構造を有し、どちらも国際公開第01/012613A1号パンフレット(クミアイ化学工業株式会社およびイハラケミカル工業株式会社)から派生した、欧州特許出願公開第1203768A1号明細書およびカナダ国特許出願公開第2380499A1号明細書で開示されるイソキササゾリン除草剤の範囲に含まれる。例えば具体的にはフェノキサスルホンであるイソキササゾリン除草剤と、様々な他の除草剤との混合物は、特開2004/002324A号公報および特開2005/145958A号公報(どちらの公報もクミアイ化学工業株式会社およびイハラケミカル工業株式会社)で開示される。国際公開第2008/114493号パンフレットから派生した欧州特許出願公開第2135508A1号明細書(クミアイ化学工業株式会社)は、(A)例えばフェノキサスルホン(12頁の表2の化合物54)などのイソキササゾリン誘導体、および(B)シクロヘキサンジオンタイプ化合物、フェニルピラゾリンタイプ化合物、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノンタイプ化合物、またはピノキサデンなどの他の共除草剤の一覧から選択される化合物を含有する、除草剤組成物を開示する。
【0013】
イマゾスルフロン(CAS登録番号122548−33−8)は、
【0014】
【化4】

【0015】
の構造を有する除草剤である。The Pesticide Manual,15th edition,2009,British Crop Production Council、項目482(イマゾスルフロン)は、水稲(75〜95g/ha用量)および芝生(500〜1000g/ha用量)中でイマゾスルフロンを使用して、ほとんどの一年生(タイヌビエ(Echinochloa oryzicola)を除く)および多年生広葉雑草、およびカヤツリグサ科を防除することを開示する。
【0016】
Syngenta Limited名義で2010年5月25日に出願され、国際公開第2010/136431A1号パンフレットとして2010年12月2日に公開された、同時係属PCT出願EP2010/057121号明細書は、国際公開第2008/071405A1号パンフレットで開示される化合物のいくつかを製造する新しい方法、およびこの方法で使用し得る新しい最終段階中間製品を開示し、それは本明細書の目的で式(Iaa)の化合物と命名される。具体的には、国際公開第2010/136431A1号パンフレットは、この最終段階中間製品として、式(Iaa)、
【0017】
【化5】

【0018】
の化合物を開示する。
【0019】
国際公開第2010/136431A1号パンフレットの5頁は、上式(Iaa)の好ましい化合物群では、Rがエチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシフルオロ、臭素またはヨウ素であり;R、R、R、およびRが互いに独立して水素またはメチルであり;Rが臭素、4−クロロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、または2,4−ジ−クロロフェニルであり;Rが水素であり;YがOであり;
あるいはより好適には、Rがエチルまたはシクロプロピルであり;R、R、R、およびRがメチルであり;Rが、4−クロロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニルまたは2,4−ジ−クロロフェニル臭素であり;RがHであり;YがOであることを開示する。
【0020】
国際公開第2010/136431A1号パンフレットの6頁はまた、発明のさらなる態様において、式(Iaa)の化合物が、酸の存在下で以下の反応スキーム1に従って、(特に)式(A)の4−フェニル−3,5−ピランジオンに容易に変換され得ることが分かったことを開示する。
【0021】
国際公開第2010/136431A1号パンフレットの6頁からの反応スキーム1は、以下を開示する。
【0022】
【化6】

【0023】
式中、
Y、R、R、R、r、R、R、R、およびRは、国際公開第2010/136431A1号パンフレットに記載される。
【0024】
国際公開第2010/136431A1号パンフレットとして公開されたこの同時係属PCT出願は、上の式(A)の化合物を作成するための上掲の反応スキーム1の方法と、これらの化合物が除草剤である事実を開示する。国際公開第2010/136431A1号パンフレットでは、これらの除草剤が駆除するいかなる特定雑草種についても、あるいはそれに対してこれらの除草剤が使用される特定作物についても、あるいはこれらの除草剤といずれかの他の活性成分とのいかなる混合物についても、あるいはこれらの除草剤のいかなる調合物についても開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
特に稲作物中での用途(またはその中で使用するのに適した混合物)、および/または稲作物中に見られるヒエ属(Echinochloa)および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)などの草および/または雑草を防除するための用途(またはそれに適した混合物)など、国際公開第2008/071405A1号パンフレットで開示されるピランジオン化合物またはエノール−ケトン−互変異性体−誘導体化合物内の新しい化合物、その新しい用途、そしてその共除草剤混合物パートナーを発見することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の第1の態様は、
【0027】
【化7】

【0028】
の構造、(そして代案として、またはそれに加えて、
【0029】
【化8】

【0030】
として表し得る構造)を有する化合物A−13を、植物(例えば湛水植物)またはその区画(例えば湛水区画)に適用するステップを含んでなる、稲作物(例えば水稲;および/または移植または湿式種播き(湿式播種)または乾式種播き(乾式播種)稲;好適には移植水稲)中において、雑草(例えばヒエ属(Echinochloa)および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)を含んでなる;および/または湛水雑草)を防除する方法を提供する。この方法は、散布量30〜250g/haまたは60〜250g/haまたは80〜250g/ha、好適には80〜200g/ha、例えば90〜150g/ha、例えば120〜125g/haの化合物A〜13を使用し得る。
【0031】
より好適には、防除される雑草は、ヒエ属(Echinochloa)(例えばイヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)、ノゲタイヌビエ(Echinochloa oryzoides)、ワセビエ(Echinochloa colonaまたはcolonum)(ECHCO)、エキノクロア・クルス−パボニス(Echinochloa crus−pavonis)、またはタイヌビエ(Echinochloa oryzicola);またはエキノクロア・ムリカタ(Echinochloa muricata)またはブルグ(Echinochloa stagnina))および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)(例えばアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)またはレプトコラ・パニコイデス(Leptochloa panicoides));最も好適にはイヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)および/またはアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)を含んでなる。
【0032】
本発明の第2の態様は、
【0033】
【化9】

【0034】
の構造、(そして代案として、またはそれに加えて、
【0035】
【化10】

【0036】
として表し得る構造)の化合物A−13を、植物(例えば湛水植物)またはその区画(例えば湛水区画)に適用するステップを含んでなる、有用作物(例えば稲;例えば水稲;および/または移植または湿式種播き(湿式播種)または乾式種播き(乾式播種)稲)中において、ヒエ属(Echinochloa)雑草(例えば湛水ヒエ属(Echinochloa)雑草)および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)雑草(例えば湛水アゼガヤ属(Leptochloa)雑草)を防除する方法を提供する。この方法は、
散布量30−250g/haまたは60−250g/haまたは80−250g/ha、好適には80−200g/ha、例えば90−150g/ha、例えば120−125g/haの化合物A−13を使用し得る。
【0037】
より好適には、防除される雑草は、ヒエ属(Echinochloa)(例えばイヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)、ノゲタイヌビエ(Echinochloa oryzoides)、ワセビエ(Echinochloa colonaまたはcolonum)(ECHCO)、エキノクロア・クルス−パボニス(Echinochloa crus−pavonis)、またはタイヌビエ(Echinochloa oryzicola);またはエキノクロア・ムリカタ(Echinochloa muricata)またはブルグ(Echinochloa stagnina))および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)(例えばアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)またはレプトコラ・パニコイデス(Leptochloa panicoides);最も好適にはイヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)および/またはアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)を含んでなる。
【0038】
本発明の第3の態様は、活性成分として、
a)除草的有効量の式(I)、
【0039】
【化11】

【0040】
(式中、
はシクロプロピルであり、
はフェニルまたはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシまたはハロゲンによって置換されたフェニルであり、
、R、R、およびRは互いに独立して、水素またはC〜Cアルキルであり、
YはOであり、
Gは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホニウム、またはアンモニウムであり、またはGはC(O)−RまたはC(O)−O−R
(式中、RはH、C〜C18アルキル、C〜C18アルケニル、C〜C18アルキニル、C〜C10ハロアルキル、C〜C10シアノアルキル、C〜C10ニトロアルキル、C〜C10アミノアルキル、C〜CアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CジアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜Cアルキル、C〜CアルコキシC〜Cアルキル、C〜CアルケニロキシC〜Cアルキル、C〜CアルキニロキシC〜Cアルキル、C〜CアルキルチオC〜Cアルキル、C〜CアルキルスルフィニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルスルホニルC〜Cアルキル、C〜CアルキリデンアミノキシC〜Cアルキル、C〜CアルキルカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルコキシカルボニルC〜Cアルキル、アミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルアミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CジアルキルアミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルカルボニルアミノC〜Cアルキル、N−C〜Cアルキルカルボニル−N−C〜CアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CトリアルキルシリルC〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル(式中、フェニルは、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、ヘテロアリールC〜Cアルキル(式中、ヘテロアリールはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、C〜Cハロアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたフェニル、ヘテロアリールまたはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたヘテロアリールであり、
はC〜C18アルキル、C〜C18アルケニル、C〜C18アルキニル、C〜C10ハロアルキル、C〜C10シアノアルキル、C〜C10ニトロアルキル、C〜C10アミノアルキル、C〜CアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CジアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜Cアルキル、C〜CアルコキシC〜Cアルキル、C〜CアルケニロキシC〜Cアルキル、C〜CアルキニロキシC〜Cアルキル、C〜CアルキルチオC〜Cアルキル、C〜CアルキルスルフィニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルスルホニルC〜Cアルキル、C〜CアルキリデンアミノキシC〜Cアルキル、C〜CアルキルカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルコキシカルボニルC〜Cアルキル、アミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルアミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CジアルキルアミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルカルボニルアミノC〜Cアルキル、N−C〜Cアルキルカルボニル−N−C〜CアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CトリアルキルシリルC〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル(式中、フェニルはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、ヘテロアリールC〜Cアルキル(式中、ヘテロアリールはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、C〜Cハロアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたフェニル、ヘテロアリールまたはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたヘテロアリールである)の潜在化基である)
の化合物と、
b)フェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、プロピリスルフロン、およびN−[2−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−6−フルオロフェニル]−1,1−ジフルオロ−N−メチルメタンスルホンアミドからなる群から選択される共除草剤
との混合物を含んでなる、除草剤組成物を提供する。
【0041】
本発明の第4の態様は、
(a)
【0042】
【化12】

【0043】
の構造、代案としては、またはそれに加えて
【0044】
【化13】

【0045】
として表し得る構造の化合物A−13、および
(b)キャリア、溶剤および/または界面活性物質
を含んでなる、除草剤組成物を提供する。
【0046】
好適には、例えば本発明の第4の態様では、除草剤組成物は、湿潤性粉末、水分散性顆粒、乳剤、マイクロ乳剤、水中油型エマルション、油流動剤、水性分散体、油性分散体、可溶性液体、またはキャリアとして水または水混和性有機溶剤を含む水溶性濃縮物の形態の調合物である。より好適には、除草剤組成物は、乳剤の形態の調合物である。
【0047】
式(I)の化合物の置換基の定義において、各アルキル部分は、単独で、またはハロアルキルまたはアルコキシなどのより大きな基の一部として、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖であり、好適には、メチル、エチル、プロピルまたはブチルである。
【0048】
好ましいハロゲンは、フッ素、塩素、および臭素である。
【0049】
ハロアルキル基は、同一であるかまたは異なるハロゲン基の1つ以上で置換されたアルキル基であり、例えば、CF、CFCl、CFH、CClH、FCH、ClCH、BrCH、CHCHF、(CHCF、CFCHまたはCHFCHである。
【0050】
基Gは、水素、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、スルホニウムカチオン(好適には−S(C〜Cアルキル)またはアンモニウムカチオン(好適には−NHまたは-N(C〜Cアルキル))、または潜在化基を示す。これらの潜在化基Gは、処理区域または植物への適用前、最中、またはそれに続いて(好適には最中またはそれに続いて、より好適にはそれに続いて)、生化学的、化学的または物理的処理の1つまたは組み合わせにより除去されて、GがHである式の(I)化合物が得られるように選択される。これらの処理の例としては、酵素的切断、化学的加水分解、および光分解(photoloysis)が挙げられる。このような基Gを持つ化合物は、場合によっては、処理植物のクチクラ浸透改善と、作物の耐性増大と、他の除草剤、除草剤解毒剤、植物成長調節物質、殺真菌剤または殺虫剤を含有する調合混合物の適合性または安定性改善と、または土壌中浸出の低減などの特定の利点を提供することもできる。
【0051】
潜在化基Gは、C(O)−RまたはC(O)−O−Rであり、式中、
はH、C〜C18アルキル、C〜C18アルケニル、C〜C18アルキニル、C〜C10ハロアルキル、C〜C10シアノアルキル、C〜C10ニトロアルキル、C〜C10アミノアルキル、C〜CアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CジアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜Cアルキル、C〜CアルコキシC〜Cアルキル、C〜CアルケニロキシC〜Cアルキル、C〜CアルキニロキシC〜Cアルキル、C〜CアルキルチオC〜Cアルキル、C〜CアルキルスルフィニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルスルホニルC〜Cアルキル、C〜CアルキリデンアミノキシC〜Cアルキル、C〜CアルキルカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルコキシカルボニルC〜Cアルキル、アミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルアミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CジアルキルアミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルカルボニルアミノC〜Cアルキル、N−C〜Cアルキルカルボニル−N−C〜CアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CトリアルキルシリルC〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル(式中、フェニルはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、ヘテロアリールC〜Cアルキル(式中、ヘテロアリールはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、C〜Cハロアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたフェニル、ヘテロアリールまたはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたヘテロアリールであり;
はC〜C18アルキル、C〜C18アルケニル、C〜C18アルキニル、C〜C10ハロアルキル、C〜C10シアノアルキル、C〜C10ニトロアルキル、C〜C10アミノアルキル、C〜CアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CジアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜Cアルキル、C〜CアルコキシC〜Cアルキル、C〜CアルケニロキシC〜Cアルキル、C〜CアルキニロキシC〜Cアルキル、C〜CアルキルチオC〜Cアルキル、C〜CアルキルスルフィニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルスルホニルC〜Cアルキル、C〜CアルキリデンアミノキシC〜Cアルキル、C〜CアルキルカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルコキシカルボニルC〜Cアルキル、アミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルアミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CジアルキルアミノカルボニルC〜Cアルキル、C〜CアルキルカルボニルアミノC〜Cアルキル、N−C〜Cアルキルカルボニル−N−C〜CアルキルアミノC〜Cアルキル、C〜CトリアルキルシリルC〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル(式中、フェニルはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、ヘテロアリールC〜Cアルキル(式中、ヘテロアリールはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、C〜Cハロアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたフェニル、ヘテロアリールまたはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたヘテロアリールである。
【0052】
式(I)の化合物中で、好適にはRはメチル、メトキシ、または塩素などのハロゲン、より好適にはフッ素または塩素によって置換されるフェニルである。
【0053】
さらにより好適には、Rは4−クロロフェニル、4−クロロ−2−フルオロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−クロロ−2−メチルフェニル、または4−クロロ−2−メトキシフェニルである。最も好適には、Rは、4−クロロ−2−フルオロフェニルまたは2,4−ジクロロフェニルである。
【0054】
好ましいのは、R、R、R、およびRが互いに独立して、水素またはC〜Cアルキル、より好適にはメチルである、式(I)の化合物である。
【0055】
好適には、RおよびRはC〜Cアルキル;より好適にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはt−ブチル;さらにより好適にはメチルである。
【0056】
好適には、Gは水素、C(O)−RまたはC(O)−O−Rであり、式中、RおよびRはC〜Cアルキル、より好適にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはt−ブチル、さらにより好適にはメチルである。
【0057】
特定の実施形態では、Gは水素である。
【0058】
Gが水素である場合、式(I)の化合物は、下に示す2つの平衡化互変異性型の第1または第2番目として、または双方の互変異性型の混合物として存在し得る。式(I)の化合物は、本発明の用法では、第1の互変異性型、第2の互変異性型、および第1および第2の互変異性型の混合物を包含する。
【0059】
【化14】

【0060】
好適には、式(I)の化合物は、
【0061】
【化15】

【0062】
(化合物A−12、代案としては、またはそれに加えて、
【0063】
【化16】

【0064】
として表し得る)、
【0065】
【化17】

【0066】
(化合物A−13、代案としては、またはそれに加えて、
【0067】
【化18】

【0068】
として表し得る)、
【0069】
【化19】

【0070】
(化合物A−14)、
【0071】
【化20】

【0072】
(化合物A−15)、または
【0073】
【化21】

【0074】
(化合物A−16、代案としては、またはそれに加えて、
【0075】
【化22】

【0076】
として表し得る)
である。
【0077】
より好適には、式(I)の化合物は、化合物A−12、A−13、A−14またはA−15である。
【0078】
さらにより好適には、式(I)の化合物は、化合物A−12またはA−13である。
【0079】
最も好適には、式(I)の化合物は化合物A−13である。
【0080】
本発明の化合物A−16は、以前、国際公開第2008/071405A1号パンフレットで化合物A−167として開示され、その中で開示される調製法を使用して合成し得る。
【0081】
共除草剤の好ましいまたは特定のまたは任意の実施形態は、次のとおりである。
【0082】
特定の一実施形態では、共除草剤はイプフェンカルバゾンである。CAS(Chemical Abstracts Service))登録番号が212201−70−2であるイプフェンカルバゾンは、トリアゾロン(または「テトラゾリノン」)クラスの除草剤であり、通常、植物中で細胞分裂を阻害する、超長鎖脂肪酸阻害剤であると考えられている。イプフェンカルバゾンは、
【0083】
【化23】

【0084】
の構造を有する。
【0085】
イプフェンカルバゾンはまた、その塩(例えば農業的に許容可能な塩)の形態であってもよく、塩はイプフェンカルバゾンの意味に包含される。イプフェンカルバゾンは、国際公開第98/38176号パンフレットから派生した欧州特許出願公開第0974587A1号明細書(北興化学工業株式会社)の32頁の表1a中で、化合物231として開示される。
【0086】
共除草剤がイプフェンカルバゾンである特定の実施形態では、好適には、式(I)の化合物は、化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13である。
【0087】
特定の一実施形態では、共除草剤はプロピリスルフロンである。CAS登録番号が570415−88−2であるプロピリスルフロン(TH−547)は、
【0088】
【化24】

【0089】
の構造を有する。
【0090】
プロピリスルフロンはまた、その塩(例えば農業的に許容可能な塩)の形態であってもよく、塩はプロピリスルフロンの意味に包含される。プロピリスルフロンおよびその合成は、国際公開第03/061388号パンフレットから派生した欧州特許出願公開第1466527A1号明細書(住化武田農薬株式会社)の44〜45頁の合成実施例4で、化合物38として開示される。
【0091】
共除草剤がプロピリスルフロンである特定の実施形態では、式(I)の化合物は、好適には化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13である。化合物A−13の実施形態は、例えば乳剤(EC)調合物として、および/または湛水条件において適用した場合、下文中の生物学的実施例1とそのコメントで開示される、特定の利点を有するようである。
【0092】
特定の一実施形態では、共除草剤はN−[2−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−6−フルオロフェニル]−1,1−ジフルオロ−N−メチルメタンスルホンアミドである。CAS登録番号が874195−61−6であるこの化合物は、
【0093】
【化25】

【0094】
の構造を有し、Bayer CropScience AGによって目下開発されている、ケトスルホンアニリドクラスの除草剤である。それは、特に国際公開第2006/008159A1号パンフレット(殺真菌剤用途;Bayer CropScience AG)で、開示されている。その提案されているISO一般名は、triafamone(SN 1211)である。それはまた、その塩(例えば農業的に許容可能な塩)の形態であってもよい。したがってN−[2−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−6−フルオロフェニル]−1,1−ジフルオロ−N−メチルメタンスルホンアミドに対する本明細書の全ての言及は、化合物またはその塩(例えば農業的に許容可能な塩)を包含することが意図される。
【0095】
しかし好適には、共除草剤はフェノキサスルホンである。CAS登録番号が639826−16−7であるフェノキサスルホンは、4,5−ジヒドロ−1,2−オキサゾール(4,5−ジヒドロ−イソオキサゾール)クラスの除草剤である。フェノキサスルホンは、超長鎖脂肪酸阻害剤である可能性が高く、および/または植物中で細胞分裂を阻害する可能性が高い。フェノキサスルホンは、
【0096】
【化26】

【0097】
の構造を有する。
【0098】
フェノキサスルホンはまた、その塩(例えば農業的に許容可能な塩)の形態であってもよく、塩はフェノキサスルホンの意味に包含される。フェノキサスルホンは、どちらも国際公開第01/012613A1号パンフレット(クミアイ化学工業株式会社およびイハラケミカル工業株式会社)から派生した、欧州特許出願公開第1203768A1号明細書およびカナダ国特許出願公開第2380499A1号明細書で開示される、イソキササゾリン除草剤の範囲に含まれる。イソキササゾリン除草剤、例えば具体的にはフェノキサスルホンと、様々な他の除草剤との混合物は、特開2004/002324号公報および特開2005/145958号公報(どちらもクミアイ化学工業株式会社およびイハラケミカル工業株式会社の公報)で開示される。国際公開第2008/114493号パンフレットから派生した欧州特許出願公開第2135508A1号明細書(クミアイ化学工業株式会社)は、(A)イソキササゾリン誘導体、例えば具体的にはフェノキサスルホン(12頁の表2の化合物番号54)、および(B)シクロヘキサンジオンタイプ化合物、フェニルピラゾリンタイプ化合物、スルホニル−アミノカルボニルトリアゾリノンタイプ化合物、またはピノキサデンなどの他の共除草剤の一覧から選択される化合物を含有する、除草剤組成物を開示する。
【0099】
より好適には、式(I)の化合物は、化合物A−12、A−13、A−14またはA−15(さらにより好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)であり、共除草剤はフェノキサスルホンである。乳剤(EC)調合物として化合物A−13を適用した場合、化合物A−13の実施形態は、湛水条件下における、イヌビエ(Echinichloa crus−galli)(ECHCG)およびアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)雑草の双方に対する一般に良好な除草剤活性などの、下文中の生物学的実施例1とそのコメントで開示される、特定の利点を有するようである。
【0100】
好適には、式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)とフェノキサスルホンの重量比は、1:6〜3:2(例えば60:200、90:200、120:200、または240:200)、またはより好適には1:5〜1:1または1:4〜4:5(例えば60:200、90:200、または120:200)、またはさらにより好適には3:10〜4:5または3:10〜7:10(例えば60:200、90:200、または120:200)である。なおもより好適には、式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)とフェノキサスルホンの重量比は、2:5〜4:5または2:5〜7:10または9:20〜7:10(例えば90:200または120:200)である。最も好適には、式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)とフェノキサスルホンの重量比は、1:2〜7:10(例えば120:200)、好適には3:5である。
【0101】
好適には、式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)とイプフェンカルバゾンの重量比は、1:7〜1:1(例えば60:250、90:250、120:250、または240:250)、またはより好適には1:5〜2:3または6:25〜1:2(例えば60:250、90:250、または120:250)である。
【0102】
好適には、式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)とプロピリスルフロンの重量比は、1:2〜3:1(例えば60:80、90:80、120:80、または240:80)、またはより好適には1:2〜2:1または3:4〜3:2(例えば60:80、90:80、または120:80)である。
【0103】
特定の一実施形態では、式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)とN−[2−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−6−フルオロフェニル]−1,1−ジフルオロ−N−メチルメタンスルホンアミドの重量比は、1:20〜20:1、例えば1:10〜10:1である。
【0104】
本発明の除草剤組成物は、キャリア(例えば液体または固体キャリア)などの調合物アジュバント、溶剤および/または界面活性物質を使用して、様々な方法で調製し得る。したがって好適には本発明の除草剤組成物は、キャリア(例えば液体または固体キャリア)、溶剤および/または界面活性物質を含んでなる調合物である。
【0105】
調合物は、例えば散粉剤(DP)、ゲル、湿潤性粉末(WP)、顆粒(GR)(乳化性顆粒(EG)または特に水分散性顆粒(WG)など)、水分散性錠剤(WT)、発泡性圧縮錠剤、乳剤(EC)、マイクロ乳剤、水中油型エマルション(EW)、油流動剤(例えば拡散油(SO))、水性分散体(例えば水性懸濁濃縮物(SC))、油性分散体(OD)、サスポエマルション(SE)、カプセル懸濁液(CS)、可溶性液体、水溶性濃縮物(SL)(キャリアとして水または水混和性有機溶剤を含む)、含浸ポリマーフィルムの形態、または例えばManual on Development and Use of FAO Specifications for Plant Protection Products,5th Edition,1999からの未知の形態などの別の形態などの様々な物理的形状であり得る。
【0106】
好適には、調合物は、湿潤性粉末(WP)、顆粒(GR)(乳化性顆粒(EG)または特に水分散性顆粒(WG)など)、乳剤(EC)、マイクロ乳剤、水中油型エマルション(EW)、油流動剤(例えば拡散油(SO))、水性分散体(例えば水性懸濁濃縮物(SC))、油性分散体(OD)、可溶性液体、または水溶性濃縮物(SL)(キャリアとして水または水混和性有機溶剤を含む水溶性濃縮物)の形態である。より好適には、調合物は乳剤(EC)の形態である。
【0107】
このような調合物はそのまま使用し得て、または使用前に希釈し得る。希釈調合物は、例えば水、液体肥料、微量栄養素、生物有機体、油および/または溶剤との混合によって調製し得る。
【0108】
調合物は、例えば超微粒子固形物、顆粒、溶液、分散体またはエマルションの形態の組成物を得るための、活性成分と調合物アジュバントとの混合によって調製し得る。活性成分はまた、例えば超微粒子固形物、鉱物油、植物油、変性植物油、有機溶剤、水、界面活性物質またはそれらの組み合わせなどの他のアジュバントを用いて調合し得る。活性成分はまた、ポリマーからなる極微マイクロカプセル中に収容し得る。マイクロカプセルは、多孔性キャリア中に活性成分を含有する。これによって活性成分は、制御量(例えば徐放)でそれらの環境内に放出されるようになる。マイクロカプセルは、通常0.1〜500μmの直径を有する。それらはカプセル重量の約25〜95重量%の量で、活性成分を含有する。活性成分は、モノリシック固体形態、固体または液体分散体中の微粒子形態、または適切な溶液形態で存在し得る。封入膜は、例えば天然および合成ガム、セルロース、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタンまたは化学的に修飾されたポリマーおよびデンプンザンセート、または当業者に知られている他のポリマーを含んでなる。代案としては、活性成分が基体の固体マトリックス内に超微粒子粒子の形態で存在する極微マイクロカプセルを形成することが可能であるが、この場合、マイクロカプセルはカプセル化されない。
【0109】
本発明に従った組成物の調製に適した調合物アジュバントは、それ自体が既知であるものを包含し得る。
【0110】
液体キャリア(および/または溶剤)として、以下を使用してもよい。水、トルエン、キシレン、石油エーテル、植物油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酸無水物、アセトニトリル、アセトフェノン、酢酸アミル、2−ブタノン、炭酸ブチレン類、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、酢酸のアルキルエステル(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、または酢酸イソアミルなど)、ジアセトンアルコール、1,2−ジクロロプロパン、ジエタノールアミン、p−ジエチルベンゼン、ジエチレングリコール、アビエチン酸ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジプロキシトール、アルキルピロリドン、酢酸エチル、2−エチル−ヘキサノール、炭酸エチレン、1,1,1−トリクロロエタン、2−ヘプタノン、α−ピネン、d−リモネン、乳酸エチル、エチレングリコール、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、グリセロール、グリセロールアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、ヘキサデカン、ヘキシレングリコール、酢酸イソアミル、酢酸イソボルニル、イソオクタン、イソホロン、イソプロピルベンゼン、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸、ラウリルアミン、酸化メシチル、メトキシプロパノール、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、ラウリン酸メチル、オクタン酸メチル、オレイン酸メチル、塩化メチレン、m−キシレン、n−ヘキサン、n−オクチルアミン、オクタデカン酸、オクチルアミンアセテート、オレイン酸、オレイルアミン、o−キシレン、フェノール、ポリエチレングリコール(PEG 400)、プロピオン酸、プロピル乳酸、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、p−キシレン、トルエン、リン酸トリエチル、トリエチレングリコール、キシレンスルホン酸、パラフィン、鉱物油、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、または高分子量アルコール類(すなわちアミルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−ヘキサノール、シクロヘキサノール,エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、またはグリセロールなどのイソプロパノールよりも高い分子量を有するアルコール)、またはN−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン、重質芳香族炭化水素混合物(例えばC〜Cアルキルナフタレンと任意にナフタレンも含有する混合物、例えばSolvesso 200TM)または類似液体キャリア(および/または類似溶剤)。
【0111】
水は、濃縮剤形を希釈するための一般に好まれるキャリアである。
【0112】
適切な固体キャリアは、例えば滑石、二酸化チタン、葉蝋石粘土、シリカ(二酸化ケイ素)、アタパルガイト粘土、ケイ藻土、石灰石、炭酸カルシウム、ベントナイト、カルシウムモントモリロナイト(montomorillonite)、綿種子殻、小麦ミール、ダイズ粉、軽石、木粉、粉砕クルミ殻、リグニンおよび/または例えばCFR 180.1001.(c) & (d)に記載される類似材料である。
【0113】
多数の界面活性物質は、有利には固形剤中および液剤中の双方で、特に使用前にキャリアで希釈し得る調合物中で使用される。界面活性物質は、アニオン性、カチオン性、非イオン性またはポリマー性であってもよく、それらは乳化、湿潤または懸濁または他の目的で使用してもよい。典型的な界面活性物質としては、例えば硫酸ラウリルジエタノールアンモニウムなどのアルキル硫酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのアルキルアリールスルン酸塩;ノニルフェノールエトキシレートなどのアルキルフェノール−酸化アルキレン付加生成物;トリデシルアルコールエトキシレートなどのアルコール−酸化アルキレン付加生成物;ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸;ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸のジアルキルエステル;ソルビトールオレアートなどのソルビトールエステル;塩化トリメチルアンモニウムラウリルなどの四級アミン;ポリエチレングリコールステアラートなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル;酸化エチレンと酸化プロピレンのブロック共重合体;およびリン酸モノアルキルおよびジアルキルエステル塩;さらには例えば「McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual」,MC Publishing Corp.,Ridgewood,New Jersey,1981に記載される物質が挙げられる。
【0114】
殺虫性調合物中で通常使用し得るさらなるアジュバントとしては、結晶化阻害剤、粘度調節物質、懸濁剤、染料、抗酸化剤、発泡剤、吸光剤、混合助剤、消泡剤、錯化剤、中和またはpH調節物質および緩衝液、防蝕剤、芳香剤、湿潤剤、吸収改良剤、微量栄養素、可塑剤、流動促進剤、潤滑剤、分散剤、増粘剤、不凍剤、殺微生物剤、そして液肥および固形肥料も挙げられる。
【0115】
調合物はまた、例えばさらなる除草剤、除草剤解毒剤、植物成長調節物質、殺真菌剤または殺虫剤などの追加的活性物質を含んでなってもよい。
【0116】
本発明に従った組成物は、植物または動物起源油、鉱物油、このような油のアルキルエステルまたはこのような油の混合物、および油誘導体を含んでなる添加剤をさらに含み得る。本発明に従った組成物で使用される油添加剤の量は、噴霧混合物を基準にして一般に0.01〜10%である。例えば油添加剤は、噴霧混合物を調製した後に、所望の濃度で噴霧タンクに添加し得る。好ましい油添加剤は、鉱物油、または例えばナタネ油、オリーブ油またはヒマワリ油などの植物起源油、AMIGO(登録商標)(Rhone−Poulenc Canada Inc.)などの乳化植物油、例えばメチル誘導体などの植物起源油のアルキルエステル、または魚油または牛脂などの動物起源油を含んでなる。例えば好ましい添加剤は、活性構成要素として原則的に80重量%の魚油アルキルエステルと15重量%のメチル化ナタネ油、そして5重量%の通例の乳化剤とpH調節剤も含有する。特に好ましい油添加剤は、C〜C22脂肪酸のアルキルエステル、特にC12〜C18脂肪酸のメチル誘導体を含んでなり、例えばラウリン酸、パルミチン酸、およびオレイン酸のメチルエステルが重要である。これらのエステルは、ラウリン酸メチル(CAS−111−82−0)、パルミチン酸メチル(CAS−112−39−0)およびオレイン酸メチル(CAS−112−62−9)として知られている。好ましい脂肪酸メチルエステル誘導体は、Emery(登録商標)2230および2231(Cognis GmbH)である。これらおよび他の油誘導体はまた、Compendium of Herbicide Adjuvants,5th Edition,Southern Illinois University,2000からも知られている。
【0117】
油添加剤の適用と作用は、それらを非イオン性、アニオン性またはカチオン性界面活性剤などの界面活性物質と合わせることによって、さらに改善され得る。適切なアニオン性、非イオン性、およびカチオン性界面活性剤の例は、国際公開第97/34485号パンフレットの7および8頁に列挙される。好ましい界面活性物質は、ドデシルベンジルスルホネートタイプのアニオン性界面活性剤、特にそれらのカルシウム塩類であり、脂肪アルコールエトキシレートタイプの非イオン性界面活性剤もまた好ましい。特に好ましいのは、5〜40のエトキシル化度を有するエトキシル化C12−C22脂肪アルコールである。市販される界面活性剤の例は、Genapolタイプ(Clariant AG)である。シリコーン界面活性剤、特に例えばSilwet L−77(登録商標)として市販されるポリアルキル酸化物−変性ヘプタメチルトリシロキサン類もまた好ましく、過フッ化された界面活性剤もまた好ましい。総添加剤に対する界面活性物質濃度は、一般に1〜30重量%である。油または鉱物油またはその誘導体と界面活性剤との混合物からなり、またはそれを含んでなる油添加剤の例は、Edenor ME SU(登録商標)、Turbocharge(登録商標)(界面活性剤、1−オクタノールと石油の混合物)(Syngenta AG,CH)、およびActipron(登録商標)(BP Oil UK Limited,GB)である。
【0118】
前記界面活性物質はまた、単独で、すなわち油添加剤なしに、調合物中で使用してもよい。
【0119】
さらに油添加剤/界面活性剤混合物への有機溶剤の添加は、さらなる作用強化に貢献し得る。適切な溶剤は、例えば、Solvesso(登録商標)(ESSO)およびAromatic Solvent(登録商標)(Exxon Corporation)である。このような溶剤の濃度は、総重量の10〜80重量%であり得る。溶剤との混和材料中にあってもよいこのような油添加剤は、例えば米国特許第4834908号明細書に記載される。その中で開示される市販される油添加剤は、MERGE(登録商標)(BASF Corporation)の名称で知られている。本発明に従った好ましいさらなる油添加剤は、SCORE(登録商標)(Syngenta Crop Protection Canada)である。
【0120】
上に列挙した油添加剤に加えて、本発明に従った組成物の活性を増強するために、噴霧混合物にアルキルピロリドン調合物(例えばAgrimax(登録商標))を添加することもまた可能である。例えばポリアクリルアミド、ポリビニル化合物またはポリ−1−p−メンテン(例えばBond(登録商標)、Courier(登録商標)またはEmerald(登録商標))などの合成ラテックス調合物もまた使用し得る。例えばEurogkem Pen−e−trate(登録商標)などのプロピオン酸を含有する溶液もまた、活性増強剤として噴霧混合物中に混合し得る。
【0121】
本発明の除草剤調合物/除草剤組成物は、(a)0.1〜99重量%、特に0.1〜95重量%、より特には0.5〜60重量%または1〜40重量%の式(I)の化合物;および(b)1〜99.9重量%(重量基準で5〜99.9%、または40〜99.5%、または60%〜99%など)の調合物アジュバント(除草剤組成物/調合物重量を基準にして合計で、例えば1〜99.9%、例えば5〜99.9%または40〜99.5%のあらゆるキャリア(例えば液体または固体キャリア)(存在する場合)、あらゆる溶剤(存在する場合)、あらゆる界面活性物質(存在する場合)、および存在するあらゆる他の調合物アジュバント)を一般に含有する。
【0122】
調合物アジュバントは、好適には、重量で0〜25%(例えば1〜25%)の界面活性物質を含む。
【0123】
本明細書において文脈上他の意味に解すべき場合を除き、重量%は除草剤組成物または調合物の重量%を意味する。
【0124】
市販品(例えば液体組成物/調合物)が好適には濃縮物として調合される一方で、最終使用者は、常態では希釈調合物を用いる。
【0125】
好ましい調合物は、特に以下の組成を有する。
(%=除草剤組成物または調合物の重量%)
乳剤:
活性成分:1〜95%、特に1〜60%(例えば1〜40%)または60〜90%
界面活性剤:1〜30%、好適には5〜30%または5〜20%
液体キャリア(および/または溶剤):1〜90%または1〜80%、特に1〜35%または35〜90%(35〜80%など)
散粉剤:
活性成分:0.1〜10%、好適には0.1〜5%
固体キャリア:99.9〜90%、好適には99.9〜99%
懸濁濃縮物:
活性成分:2〜75%または5〜75%、好適には10〜50%
水:94〜24%、好適には88〜30%
界面活性剤:1〜40%、好適には2〜30%
湿潤性粉末:
活性成分:0.5〜90%、好適には1〜80%
界面活性剤:0.5〜20%、好適には1〜15%
固体キャリア:5〜95%、好適には15〜90%
顆粒:
活性成分:0.1〜30%、好適には0.1〜15%
固体キャリア:99.5〜70%、好適には97〜85%
「活性成分」という用語は、式(I)の化合物と共除草剤の混合物を指す。
【0126】
制限を意図しない以下の実施例によって、本発明をさらに例証する。
【実施例】
【0127】
【表1】

【0128】
【表2】

【0129】
【表3】

【0130】
【表4】

【0131】
【表5】

【0132】
【表6】

【0133】
【表7】

【0134】
【表8】

【0135】
上述の例において「活性成分」という用語は、式(I)の化合物と共除草剤の混合物を指す。
【0136】
本発明はまた、有用植物(例えば湛水植物)、または栽培下にある区域(例えば湛水区域)、またはその区域(例えば湛水区域)を、本発明に従った除草剤組成物で処理するステップを含んでなる、有用作物中において草および雑草を防除(例えば選択的防除)する方法にも関する。
【0137】
本発明はまた、本明細書で定義される本発明の除草剤組成物を、植物(例えば湛水植物)またはその区画(例えば湛水区画)に適用するステップを含んでなる、有用作物中において草および雑草を防除する方法にも関する。
【0138】
本発明はまた、有用作物(例えば湛水植物)中、特に稲作物(例えば水稲)中において草および雑草を防除するための、本明細書で定義される除草剤組成物にも関する。防除される草および雑草は、例えばヒエ属(Echinochloa)および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)を含んでなり得る。
【0139】
例えばその中で本発明に従った組成物を使用し得る有用作物は、特に穀類、綿、ダイズ、甜菜、サトウキビ、プランテーション作物、ナタネ(例えばアブラナ)、トウモロコシまたは稲;または特に綿、ダイズ、甜菜、ナタネ(例えばアブラナ)、または稲であり得る。
【0140】
有用作物は、好適には稲、特にインディカ種稲(IR−64、Ciherang、例えばPusa−1121などのPusa、Jiayu 293、またはNK−3325ハイブリッドなど);またはジャポニカ種稲(コシヒカリ、アルボリオ、または例えばLiangyou peiju PS3100などのLiangyou peijuなど)である。
【0141】
稲は、好適には水稲である。
【0142】
稲は、例えば直播(例えば乾式播種または湿式播種)稲であり得て;それは任意に湛水し得る(例えば除草剤組成物を適用する前に)。しかし好適には稲は移植稲であり、それは典型的には湛水される(例えば除草剤組成物を適用する前に)。
【0143】
状況によっては、非選択的雑草防除もまた、可能かもしれない。
【0144】
防除される草および/または雑草は、例えばセタリア属(Setaria)、ヒエ属(Echinochloa)(例えばイヌビエ(Echinochloa crus−galli))、アゼガヤ属(Leptochloa)(例えばアゼガヤ(Leptochloa chinensis)、ホタルイ属(Scirpus)、ミズアオイ属(Monochoria)、ビロードキビ属(Brachiaria)、ツユクサ属(Commelina)、カヤツリグサ属(Cyperus)、オモダカ属(Sagittaria)、ミゾハコベ属(Elatine)、アゼトウガラシ属(Lindernia)、チョウジタデ属(Ludwigia)、ホタルイ属(Schoenoplectus)、ハコベ属(Stellaria)、オランダガラシ属(Nasturtium)、ヌカボ属(Agrostis)、メヒシバ属(Digitaria)、カラスムギ属(Avena)、シナピス属(Sinapis)、ドクムギ属(Lolium)、ナス属(Solanum)、スズメノチャヒキ属(Bromus)、スズメノテッポウ属(Alopecurus)、ソルガム属(Sorghum)、ツノアイアシ属(Rottboellia)、イチビ属(Abutilon)、キンゴジカ属(Sida)、オナモミ属(Xanthium)、ヒユ属(Amaranthus)、アカザ属(Chenopodium)、サツマイモ属(Ipomoea)、キク属(Chrysanthemum)、ヤエムグラ属(Galium)、スミレ属(Viola)および/またはクワガタソウ属(Veronica)などの単子葉および/または双子葉雑草であってもよい。
【0145】
好適には、防除される草および/または雑草は、例えば単子葉雑草、および/または水田などの稲田に見られる草および/または雑草を含んでなり;および/または好適には防除される草および/または雑草は、ヒエ属(Echinochloa)(例えばイヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)、ノゲタイヌビエ(Echinochloa oryzoides)、ワセビエ(Echinochloa colonaまたはcolonum)(ECHCO)、エキノクロア・クルス−パボニス(Echinochloa crus−pavonis)、またはタイヌビエ(Echinochloa oryzicola);またはエキノクロア・ムリカタ(Echinochloa muricata)またはブルグ(Echinochloa stagnina))、アゼガヤ属(Leptochloa)(例えばアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)またはレプトコラ・パニコイデス(Leptochloa panicoides)、ホタルイ属(Scirpus)(例えばウキヤガラ(Scirpus fluviatilis)、シルプス・ペンデュルス(Scirpus pendulus)、カンガレイ(Scirpus triangulatus)、または多数の他のホタルイ(Scirpus)種の1つ)、ミズアオイ属(Monochoria)(例えばコナギ(Monochoria vaginalis)(MOOVA)またはミズアオイ(Monochoria korsakovii))、ビロードキビ属(Brachiaria)、ツユクサ属(Commelina)、カヤツリグサ属(Cyperus)(例えばミズガヤツリ(Cyperus serotinus))、オモダカ属(Sagittaria)、ミゾハコベ属(Elatine)、アゼトウガラシ属(Lindernia)、チョウジタデ属(Ludwigia)および/またはホタルイ属(Schoenoplectus)(例えばヒメカンガレイ(Schoenoplectus mucronatus)またはイヌホタルイ(Schoenoplectus juncoides))を含んでなる。
【0146】
より好適には、防除される草および/または雑草は、ヒエ属(Echinochloa)(例えばイヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)、ノゲタイヌビエ(Echinochloa oryzoides)、ワセビエ(Echinochloa colonaまたはcolonum)(ECHCO)、エキノクロア・クルス−パボニス(Echinochloa crus−pavonis)、またはタイヌビエ(Echinochloa oryzicola);またはエキノクロア・ムリカタ(Echinochloa muricata)またはブルグ(Echinochloa stagnina))および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)(例えばアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)またはレプトコラ・パニコイデス(Leptochloa panicoides);最も好適にはイヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)および/またはアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)を含んでなる。
【0147】
さらにより好適には、防除される草および/または雑草(例えばヒエ属(Echinochloa)および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)を含んでなる)は、水稲作物、特に移植水稲作物中にある。
【0148】
「作物」という用語は、従来の品種改良法または遺伝子操作の結果として、除草剤または除草剤クラス(例えばALS、GS、EPSPS、PPO、ACCaseまたはHPPD阻害剤)耐性にされた作物もまた含むものと理解すべきである。従来の品種改良法によって、例えばイマザモックスなどのイミダゾリノン耐性にされた作物の例は、Clearfield(登録商標)夏ナタネ(カノーラ)またはClearfield(登録商標)稲である。遺伝子操作法によって除草剤耐性にされた作物の例としては、例えば商品名RoundupReady(登録商標)(グリホサート耐性トウモロコシまたはrice)またはLibertyLink(登録商標)(グルホシネート耐性トウモロコシまたは稲)の下に市販されるものなど、例えばグリホサート耐性またはグルホシネート耐性トウモロコシまたは稲変種が挙げられる。
【0149】
作物はまた、例えばBtトウモロコシ(アワノメイガ抵抗性)、Bt綿(メキシコワタミゾウムシ抵抗性)、そしてまたBtジャガイモ(コロラドハムシ抵抗性)など、遺伝子操作法によって、有害な昆虫に対して抵抗性にされたものと理解すべきである。Btトウモロコシの例は、NK(登録商標)(Syngenta Seeds)のBt−176トウモロコシハイブリッドである。Bt毒素は、天然ではバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)土壌細菌によって形成されるタンパク質である。毒素およびこのような毒素を合成できる遺伝子導入植物の例は、欧州特許出願公開第A451878号明細書、欧州特許出願公開第A374753号明細書、国際公開第93/07278号パンフレット、国際公開第95/34656号パンフレット、国際公開第03/052073号パンフレット、および欧州特許出願公開第A427529号明細書に記載される。殺虫抵抗性をコードする1つまたは複数の遺伝子を含有して、1つまたは複数の毒素を発現する遺伝子導入植物の例は、KnockOut(登録商標)(トウモロコシ)、Yield Gard(登録商標)(トウモロコシ)、NuCOTIN33B(登録商標)(綿)、Bollgard(登録商標)(綿)、NewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)、NatureGard(登録商標)、およびProtexcta(登録商標)である。作物およびそれらの種子材料は、除草剤耐性で同時に昆虫摂食抵抗性でもあり得る(「多重」遺伝子導入事象)。種子は、例えば殺虫活性Cry3タンパク質を発現する能力を有し、同時にグリホサート耐性であり得る。「作物」という用語は、いわゆる出力形質(例えば改善された香り、貯蔵安定性、栄養含有量)を含有する、従来の品種改良法または遺伝子操作の結果として得られる作物もまた含むものと理解すべきである。
【0150】
栽培下にある区域とは、作物が既に成長している土地、ならびにこれらの作物の栽培が意図される土地を含むものと理解すべきである。
【0151】
除草剤(共除草剤との混和材料中の式(I)の化合物)散布量は、広い制限内で変動してもよく、例えば土壌の性質、適用方法(出芽前または後;種子粉衣;播き溝への適用;無耕耘適用など)、作物、防除される雑草または草、支配的な気候条件、および/または適用方法、適用時期および/または標的作物によって律される他の要因に左右され得る。
【0152】
本発明に従った混合物(除草剤組成物)は、例えば1haあたり1〜4000g、特に5〜1000g/haまたは80〜800g/haの除草剤混合物(共除草剤との混和材料中の式(I)の化合物)の散布量で適用し得る。「ha」はヘクタールを意味する。
【0153】
有用作物(例えば稲)中において草および雑草を防除する方法(またはその防除法)では、および/または有用作物(例えば稲)中において草および雑草を防除するための除草剤組成物中では、本発明に従って、好適には、除草剤組成物は、あらゆる任意の対イオン重量を除いた式(I)の化合物重量としての計算で、ヘクタールあたり30〜240gの式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)の散布量で、植物またはその区画に適用される。より好適には、除草剤組成物は、あらゆる任意の対イオン重量を除いた、式(I)の化合物重量としての計算で、ヘクタールあたり50〜150gの式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)の散布量で、植物またはその区画に適用される。さらにより好適には、除草剤組成物は、あらゆる任意の対イオン重量を除いた式(I)の化合物重量としての計算で、ヘクタールあたり60〜125g(例えば60g、90g、または120g)の式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)の散布量で、植物またはその区画に適用される。最も好適には、除草剤組成物は、あらゆる任意の対イオン重量を除いた式(I)の化合物重量としての計算で、ヘクタールあたり、90〜125g、または90〜120g(例えば90gまたは120g)の式(I)の化合物(例えば化合物A−12、A−13、A−14またはA−15、より好適には化合物A−12またはA−13、最も好適には化合物A−13)の散布量で、植物またはその区画に適用される。
【0154】
有用作物(例えば稲)中において草および雑草を防除する方法(またはその防除法)では、および/または有用作物(例えば稲)中において草および雑草を防除する除草剤組成物中では、本発明に従って、好適には共除草剤はフェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、またはプロピリスルフロンであり;
−共除草剤がフェノキサスルホンである場合、除草剤組成物は、あらゆる任意の対イオン重量を除いたフェノキサスルホン重量としての計算で、ヘクタールあたり100〜400g(より好適には120〜400g、または150g〜300g、さらにより好適には175g〜250g、最も好適には200g)のフェノキサスルホンの散布量で、植物またはその区画に適用され;
−共除草剤がイプフェンカルバゾンである場合、除草剤組成物は、あらゆる任意の対イオン重量を除いたイプフェンカルバゾン重量としての計算で、ヘクタールあたり120〜500g(より好適には180g〜320g、最も好適には250g)のイプフェンカルバゾンの散布量で、植物またはその区画に適用され;
−共除草剤がプロピリスルフロンである場合、除草剤組成物は、あらゆる任意の対イオン重量を除いたプロピリスルフロン重量としての計算で、ヘクタールあたり40〜160g(より好適には60g〜120g、さらにより好適には60g〜100g、最も好適には80g)のプロピリスルフロンの散布量で、植物またはその区画に適用される。
【0155】
式(I)の化合物は、国際公開第2008/071405A1号パンフレット(Syngenta Participations AGおよびSyngenta Limited)で包括的に開示され、式(I)の特定の1化合物(例えば国際公開第2008/071405A1号パンフレットで化合物A−167として開示される本明細書の本化合物A−16)は、国際公開第2008/071405A1号パンフレットで具体的に開示される。
【0156】
本発明で使用される化合物A−13およびA−12の合成は、下文で開示される調製実施例に記載され、本発明で使用される式(I)の化合物の可能な一合成経路を例証する。
【0157】
式(I)の化合物の混合パートナー(例えばフェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、またはプロピリスルフロンなどの共除草剤)はまた、塩(例えば農業的に許容可能な塩)の形態であってもよい。
【0158】
好ましい除草剤組成物は、共除草剤としてフェノキサスルホンを含んでなる。別の好ましい組成物群は、共除草剤としてイプフェンカルバゾンを含んでなる。さらなる好ましい組成物群は、共除草剤としてプロピリスルフロンを含んでなる。
【0159】
本発明に従った除草剤組成物はまた、解毒剤と併用し得る。特に以下の解毒剤との混合物が考察された。式(I)の化合物+クロキントセット−メキシル、式(I)の化合物+クロキントセット酸とそれらの塩類、式(I)の化合物+フェンクロラゾール−エチル、式(I)の化合物+フェンクロラゾール酸とそれらの塩類、式(I)の化合物+メフェンピル−ジエチル、式(I)の化合物+メフェンピル二酸、式(I)の化合物+イソキサジフェン−エチル、式(I)の化合物+イソキサジフェン酸、式(I)の化合物+フリラゾール、式(I)の化合物+フリラゾールR異性体、式(I)の化合物+ベノキサコル、式(I)の化合物+ジクロルミド、式(I)の化合物+AD−67、式(I)の化合物+オキサベトリニル、式(I)の化合物+シオメトリニル、式(I)の化合物+シオメトリニルZ−異性体、式(I)の化合物+フェンクロリム、式(I)の化合物+シプロスルファミド、式(I)の化合物+無水ナフタル酸、式(I)の化合物+フルラゾール、式(I)の化合物+CL304,415、式(I)の化合物+ジシクロノン、式(I)の化合物+フルキソフェニム、式(I)の化合物+DKA−24、式(I)の化合物+R−29148、および式(I)の化合物+PPG−1292。解毒効果はまた、式(I)の化合物+ダイムロン、式(I)の化合物+MCPA、式(I)の化合物+メコプロップ、および式(I)の化合物+メコプロップ−Pの混合物についても観察され得る。
【0160】
上述の解毒剤および除草剤は、例えばPesticide Manual,Twelfth Edition,British Crop Protection Council,2000に記載される。R−29148は、例えばP.B.Goldsbrough et al.,Plant Physiology,(2002),Vol.130 pp.1497−1505およびその中の参考文献に記載され、PPG−1292は、国際公開第09211761号パンフレットから知られている。
【0161】
除草剤混合物の散布量は一般に0.001〜2kg/haであるが、好適には0.005〜1kg/haである。
【0162】
本発明に従った組成物中の式(I)の化合物と共除草剤の重量比は、特に1:20〜20:1、より特には1:10〜10:1である。特定の共除草剤(例えばフェノキサスルホン、イプフェンカルバゾンまたはプロピリスルフロン)のより具体的な重量比については、本明細書の他の箇所を参照されたい。
【0163】
除草剤に対する解毒剤の適用率は、適用方法に大きく左右される。解毒剤と除草剤の混合物の組み合わせを含んでなるタンク混合物の使用、または解毒剤と除草剤混合物の別々の適用のどちらかによって行われる圃場処理の場合、除草剤と解毒剤の比率は一般に100:1〜1:10、好適には20:1〜1:1である。圃場処理の場合、0.001〜1.0kgの解毒剤/ha、好適には0.001〜0.25kgの解毒剤/haが一般に適用される。
【0164】
本発明に従った組成物中では、用いられる油添加剤の量は、噴霧混合物を基準にして一般に0.01〜2%である。油添加剤は、例えば噴霧混合物を調製した後に、所望の濃度で噴霧タンクに添加し得る。
【0165】
本発明のいくつかの非限定的例は、以下の調合物実施例および/または生物学的実施例で開示される。以下の調製実施例は、化合物A−13およびA−12の可能な合成調合物を示す。
【0166】
調製実施例
以下の調製実施例は、化合物A−13およびA−12の可能な合成調合物を示す。
【0167】
実施例P8:4−(4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−イル)−2,2,6,6−テトラメチルピラン−3,5−ジオン(化合物A−13)の調製
【0168】
【化27】

【0169】
ステップ1:4’−クロロ−2’−フルオロ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルバルデヒドの調製
【0170】
【化28】

【0171】
5−ブロモサリシアルデヒド(5−bromosalicyaldehyde)(30.0g、0.15mol)、2−フルオロ−4−クロロフェニルボロン酸(30.0g、0.17mol)、および炭酸ナトリウム(24.0g、0.23mol)の混合物に、1,2−ジメトキシエタン(225ml)および蒸留水(75ml)を添加して、懸濁液を窒素雰囲気下で撹拌する。次にこの混合物に[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−パラジウム(II)クロリド(4.5g、7.5mmol)を添加し、続いて加熱して一晩還流する。室温への冷却と蒸留水(500ml)およびジクロロメタン(500ml)での希釈後、2相が分離し、水相をジクロロメタン(2×500ml)で再度抽出する。有機画分を合わせて、鹹水(800ml)で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させる。懸濁液を濾過し、濾液を真空内で濃縮する。次に粗製物をフラッシュカラム精製(イソヘキサン中の5〜10%酢酸エチル溶離液)によって精製し、4’−クロロ−2’−フルオロ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルバルデヒド(33.61g、89%)を淡黄色固体として得る。
【0172】
ステップ2:トリフルオロメタンスルホン酸4’−クロロ−2’−フルオロ−3−ホルミルビフェニル−4−イルエステルの調製
【0173】
【化29】

【0174】
無水ジクロロメタン(700ml)中の4’−クロロ−2’−フルオロ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルバルデヒド(33.60g、0.13mol)、およびピリジン(31.0ml、0.36mol)の氷冷混合物に、トリフル酸無水物(27.0ml、0.16mmol)を30分間かけて滴下して添加し、温度を10℃未満に保つ。次に反応混合物が室温に暖まるまで放置して、続いて一晩撹拌する。蒸留水(500ml)およびジクロロメタン(500ml)での希釈後、2相が分離して、水相をジクロロメタン(2×500ml)で再度抽出する。有機画分を合わせて鹹水(800ml)で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空内で濃縮する。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10%酢酸エチル溶離液)によって精製し、トリフルオロメタンスルホン酸4’−クロロ−2’−フルオロ−3−ホルミルビフェニル−4−イルエステルを黄色油として得る。
【0175】
ステップ3:4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−カルバルデヒドの調製
【0176】
【化30】

【0177】
トリフルオロメタンスルホン酸4’−クロロ−2’−フルオロ−3−ホルミルビフェニル−4−イルエステル(30.0g、0.078mol)、シクロプロピルボロン酸(8.80g、0.10mol)、リン酸カリウム(58.40g、0.28mol)、および臭化ナトリウム(8.0g、0.078mol)の混合物に、窒素雰囲気下でトルエン(300ml)次に蒸留水(30ml)を添加する。次にこの混合物にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(9.60g、8.40mmol)を一度に添加し、次に混合物を100℃で一晩加熱する。室温への冷却後、混合物を蒸留水(500ml)および酢酸エチル(500ml)で希釈し、2相が分離し、水相を酢酸エチル(2×500ml)で再度抽出する。有機画分を合わせて、蒸留水(1L)、次に鹹水(1L)で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させる。懸濁液を濾過し、濾液を真空内で濃縮する。粗生成物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー、次にさらに塩基性アルミナ上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン中の10%酢酸エチル)によって精製し、4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロ−ビフェニル−3−カルバルデヒド(7.6g、36%)を得る。
【0178】
ステップ4:4−[1−(4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−イル)メチリデン]−2,2,5,5−テトラメチルジヒドロフラン−3−オン
【0179】
【化31】

【0180】
無水1,2−ジメトキシエタン(75ml)中のジヒドロ−2,2,5,5−テトラメチルフラン−3−オン(8.40g、0.059mol)の氷冷溶液に、ナトリウムメトキシド(3.60g、0.066mol)を一度に添加し、混合物をこの温度で30分間撹拌する。次に4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−カルバルデヒド(14.80g、0.054mmol)の溶液を20分間かけて滴下して添加し、温度を10℃未満に保つ。反応混合物をこの温度で1時間撹拌し、次に室温に暖まるまで放置してから、ジエチルエーテルおよび蒸留水で希釈する。2相が分離し、水相をジエチルエーテル(×2)で再度抽出する。有機画分を合わせて鹹水で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させる。懸濁液を濾過して濾液を真空内で濃縮し、次のステップでそのまま使用するのに十分な純度の4−[1−(4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−イル)メチリデン]−2,2,5,5−テトラメチルジヒドロフラン−3−オン(19.80g)を得る。
【0181】
ステップ5:2−(4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−イル)−4,4,6,6−テトラメチル−1,5−ジオキサ−スピロ[2.4]ヘプタン−7−オン
【0182】
【化32】

【0183】
35℃のメタノール(830ml)中の4−[1−(4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−イル)メチリデン]−2,2,5,5−テトラメチルジヒドロフラン−3−オン(19.80g、0.050mol)の溶液に、50%水性過酸化水素(5.00ml、0.075mmol)、そして即座に続けて2M水酸化リチウム(5.00ml、0.01mol)溶液を添加する。混合物をこの温度でさらに2時間撹拌し、次に室温に放冷する。次に反応混合物を10%メタ重亜硫酸ナトリウム(KI−デンプン指示薬試験陰性)でクエンチし、次にジエチルエーテルで希釈する。メタノールの大部分を真空下で除去し、粗製混合物を蒸留水とジエチルエーテルの間で分配する。水相をジエチルエーテル(×2)でさらに抽出し、次に全ての有機物を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム(×2)、次に鹹水で洗浄する。硫酸マグネシウム上で乾燥後、懸濁液を濾過し、濾液を真空内で濃縮して2−(4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−イル)−4,4,6,6−テトラメチル−1,5−ジオキサ−スピロ[2.4]ヘプタン−7−オン(18.2g)を橙色気泡として得る。この材料は、次のステップでさらなる精製なしにそのまま使用するのに十分な純度である。
1H NMR(CDCl):δ7.48(s,1H),7.39(d,1H),7.32(t,1H),7.24−7.12(m,2H),7.00(d,1H),4.76(s,1H),1.84−1.76(m,1H),1.42−1.26(m,9H),1.11−0.96(m,2H),0.88−0.79(m,4H),0.78−0.71(m,1H)。
【0184】
ステップ6:4−(4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−イル)−2,2,6,6−テトラメチルピラン−3,5−ジオン(化合物A−13)の調製
【0185】
【化33】

【0186】
2−(4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−イル)−4,4,6,6−テトラメチル−1,5−ジオキサスピロ[2.4]ヘプタン−7−オン(18.20g、0.044mol)およびイッテルビウムトリフレート(2.40g、4.40mmol)の混合物に、5M過塩素酸リチウム(46mlジエチルエーテルおよび24.40g過塩素酸リチウムから調製される)の溶液を添加する。得られた懸濁液を室温で3日間撹拌し、次にジエチルエーテル(85ml)で希釈して、追加的イッテルビウムトリフレート(7.80g、0.014mol)を添加する。室温でさらに3日間撹拌後、追加的イッテルビウムトリフレート(13.63g、0.025mol)を添加し、反応混合物を11日間撹拌する。最後に追加の過塩素酸リチウム(24.40g、0.23mol)を一度に添加し、混合物を27℃(内部温度)で1日間加熱する。反応混合物をジエチルエーテルと蒸留水の間で分配し、2相が分離し、水相をジエチルエーテル(×2)で抽出する。有機画分を合わせて鹹水で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させる。懸濁液を濾過し、濾液真空内で濃縮する。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン中の10%酢酸エチル)によって精製し、油を得て、それをヘキサンで研和して4−(4’−クロロ−4−シクロプロピル−2’−フルオロビフェニル−3−イル)−2,2,6,6−テトラメチルピラン−3,5−ジオン(4.78g)を白色固体として得る。
1H NMR(CDCl):δ7.47(d,1H),7.38(t,1H),7.23(s,1H),7.21−7.12(m,3H),5.68(s,1H),1.75(m,1H),1.62(s,6H),1.49(s,6H),0.92−0.82(m,2H),0.81−0.75(m,1H),0.61−0.53(m,1H)
【0187】
実施例P9:4−(2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−イル)−2,2,6,6−テトラメチルピラン−3,5−ジオン(化合物A−12)の調製
【0188】
【化34】

【0189】
ステップ1:2’,4’−ジクロロ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルバルデヒドの調製
【0190】
【化35】

【0191】
5−ブロモサリシアルデヒド(5−bromosalicyaldehyde)(30.0g、0.15mol)、2,4−ジクロロフェニルボロン酸(32.0g、0.17mol)、および炭酸ナトリウム(24.0g、0.23mol)の混合物に、1,2−ジメトキシエタン(225ml)および蒸留水(75ml)を添加し、懸濁液を窒素雰囲気下で撹拌する。次にこの混合物に[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド(4.5g、7.5mmol)を添加し、続いて加熱して一晩還流する。室温への冷却、蒸留水(500ml)およびジクロロメタン(500ml)での希釈後、2相が分離し、水相をジクロロメタン(2×500ml)で再度抽出する。有機画分を合わせて鹹水(800ml)で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させる。懸濁液を濾過し、濾液を真空内で濃縮する。次に粗製物をフラッシュカラム精製(イソヘキサン中の10%酢酸エチル溶離液)によって最後に精製し、2’,4’−ジクロロ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルバルデヒド(32.73g、82%)を淡黄色固体として得る。
【0192】
ステップ2:トリフルオロメタンスルホン酸2’,4’−ジクロロ−3−ホルミルビフェニル−4−イルエステルの調製
【0193】
【化36】

【0194】
無水ジクロロメタン(650ml)中の2’,4’−ジクロロ−4−ヒドロキシビフェニル−3−カルバルデヒド(31.70g、0.12mol)およびピリジン(25.0ml、0.29mol)の氷冷混合物に、トリフル酸無水物(22.0ml、0.13mmol)を30分間かけて滴下して添加し、温度を0〜10℃に保つ。次に反応混合物が室温に暖まるまで放置し、続いて一晩撹拌する。蒸留水(500ml)およびジクロロメタン(300ml)での希釈後、2相が分離し、有機相を飽和水性硫酸銅溶液(3×500ml)、水(500ml)、次に鹹水(500ml)でさらに洗浄する。硫酸マグネシウム上で乾燥後、溶剤を真空下で除去し、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10%酢酸エチル溶離液)によって精製し、トリフルオロメタンスルホン酸2’,4’−ジクロロ−3−ホルミルビフェニル−4−イルエステルを橙色油として得る。
【0195】
ステップ3:2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−カルバルデヒドの調製
【0196】
【化37】

【0197】
トリフルオロメタンスルホン酸2’,4’−ジクロロ−3−ホルミルビフェニル−4−イルエステル(30.0g、0.075mol)、シクロプロピルボロン酸(8.50g、0.097mol)、リン酸カリウム(56.30g、0.27mol)、および臭化ナトリウム(7.7g、0.075mol)の混合物に、窒素雰囲気下でトルエン(300ml)次に蒸留水(30ml)を添加する。次にこの混合物にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(9.30g、0.0081mol)を一度に添加し、次に混合物を100℃で一晩加熱する。室温への冷却後、混合物を蒸留水(500ml)および酢酸エチル(500ml)で希釈し、2相が分離する。水相を酢酸エチル(2×500ml)で再度抽出し、次に全ての有機画分を合わせ、次に蒸留水(1L)、次に鹹水(1L)で洗浄する。硫酸マグネシウム上での乾燥後、懸濁液を濾過し、濾液を真空内で濃縮する。粗生成物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン中の2〜10%酢酸エチル)、次にさらに塩基性アルミナ上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン中の10%酢酸エチル)によって精製し、2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−カルバルデヒド(11.7g、54%)を得る。
【0198】
ステップ4:4−[1−(2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−イル)−メチリデン]−2,2,5,5−テトラメチルジヒドロフラン−3−オン
【0199】
【化38】

【0200】
無水1,2−ジメトキシエタン(285ml)中のジヒドロ−2,2,5,5−テトラメチルフラン−3−オン(15.70g、0.11mol)の氷冷溶液に、ナトリウムメトキシド(6.50g、0.12mol)を一度に添加し、混合物をこの温度で30分間撹拌する。次に2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−カルバルデヒド(13.70g、0.047mmol)の溶液を20分間かけて滴下して添加し、温度を10℃未満に保つ。反応混合物をこの温度で2時間撹拌し、次に室温に暖まるまで放置してから、ジエチルエーテルおよび蒸留水で希釈する。2相が分離し、水相をジエチルエーテル(×2)で再度抽出する。有機画分を合わせて鹹水で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させる。懸濁液を濾過し、濾液真空内で濃縮する。水相を2M塩酸でさらに酸性化し、次にジエチルエーテル(×2)で再度抽出して、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、真空内で濃縮する。次に全ての有機物を合わせてトルエンで希釈して共沸し(×4)、次のステップでそのまま使用するのに十分な純度の4−[1−(2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−イル)−メチリデン]−2,2,5,5−テトラメチルジヒドロフラン−3−オン(20.0g)を得る。
【0201】
ステップ5:2−(2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−イル)−4,4,6,6−テトラメチル−1,5−ジオキサ−スピロ[2.4]ヘプタン−7−オン
【0202】
【化39】

【0203】
35℃のメタノール(800ml)中の4−[1−(2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−イル)−メチリデン]−2,2,5,5−テトラメチルジヒドロフラン−3−オン(20.0g、0.048mol)の溶液に、50%水性過酸化水素(4.80ml、0.072mmol)を添加し、続いて即座に2M水酸化リチウム(4.80ml、9.60mmol)溶液を添加する。混合物をこの温度でさらに2時間撹拌し、次に室温に放冷する。次に反応混合物を10%メタ重亜硫酸ナトリウム(KI−デンプン指示薬試験陰性)でクエンチし、次にジエチルエーテルで希釈する。メタノールの大部分を真空下で除去し、粗製混合物を蒸留水とジエチルエーテルの間で分配する。水相をジエチルエーテル(×2)でさらに抽出し、次に全ての有機物を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム(×2)、次に鹹水で洗浄する。硫酸マグネシウム上での乾燥後、懸濁液を濾過し、濾液真空内で濃縮して、2−(2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−イル)−4,4,6,6−テトラメチル−1,5−ジオキサ−スピロ[2.4]ヘプタン−7−オン(17.80g)を橙色気泡として得る。この材料は、次のステップでさらなる精製なしにそのまま使用するのに十分な純度である。
1H NMR(CDCl):δ7.49(s,1H),7.37(s,1H),7.37−7.25(m,2H),7.20(d,1H),6.99(d,1H),4.75(s,1H),1.80(m,1H),1.40−1.28(m,9H),1.10−0.98(m,2H),0.90−0.80(m,4H),0.75−0.80(m,1H)。
【0204】
ステップ6:4−(2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−イル)−2,2,6,6−テトラメチルピラン−3,5−ジオン(化合物A−12)の調製
【0205】
【化40】

【0206】
2−(2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−イル)−4,4,6,6−テトラメチル−1,5−ジオキサ−スピロ[2.4]ヘプタン−7−オン(17.80g、0.041mol)およびイッテルビウムトリフレート(2.20g、4.41mmol)の混合物に、5M過塩素酸リチウム(42mlジエチルエーテルおよび22.30g過塩素酸リチウムから調製される)の溶液を添加する。得られた懸濁液を室温で17日間撹拌し、その段階でさらなるジエチルエーテル(42ml)、過塩素酸リチウム(22.3g、0.21mol)、およびイッテルビウムトリフレート(19.8g、0.035mol)を添加する。次に反応混合物を27℃(内部温度)で1日間加熱し、続いてジエチルエーテルと蒸留水の間で分配する。2相が分離し、水相をジエチルエーテル(×2)で抽出し、次に全ての有機画分を合わせて鹹水で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させる。懸濁液を濾過し、濾液を真空内で濃縮する。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン溶離液)によって精製し、油を得て、それをヘキサンで研和して、4−(2’,4’−ジクロロ−4−シクロプロピルビフェニル−3−イル)−2,2,6,6−テトラメチルピラン−3,5−ジオン(2.80g)を白色固体として得る。
1H NMR(CDCl):δ7.48(s,1H),7.38(dd,1H),7.29(s,2H),7.16−7.11(m,2H),5.69(s,1H),1.76(m,1H),1.61(d,6H),1.49(d,6H),0.92−0.86(m,2H),0.82−0.76(m,1H),0.62−0.54(m,1H)。
【0207】
調合物実施例
【0208】
【表9】

【0209】
【表10】

【0210】
乳剤(EC)処理(調合物実施例1および基準調合物実施例2で使用される)
溶剤、続いて乳化剤を容器に入れる。透明溶液が得られるまで混合物を回転させる。次に活性成分を添加し、および透明溶液が得られるまで回転させる。
【0211】
調合物実施例3−[化合物A−12、A−14、A−15またはA−16]の1つを含有する乳剤(EC)調合物
調合物実施例3は、乳剤(EC)中で、化合物A−13が同一量の[化合物A−12、A−14、A−15またはA−16]の1つで置換された、調合物実施例1の変法である。
【0212】
調合物実施例4−化合物A−13および共除草剤を含有する乳剤(EC)調合物
調合物実施例4は、乳剤(EC)中で、化合物A−13に加えて、フェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、およびプロピリスルフロンからなる群から選択される1つの共除草剤が存在し、化合物A−13と1つの共除草剤が以下の重量比で存在する、調合物実施例1の変法である。
調合物実施例4A:化合物A−13とフェノキサスルホンの重量比が、60:200、または90:200、または120:200、または240:200。
調合物実施例4B:化合物A−13とイプフェンカルバゾンの重量比が、60:250、または90:250、または120:250、または240:250。調合物実施例4C:化合物A−13とプロピリスルフロンの重量比が、60:80、または90:80、または120:80、または240:80。
【0213】
調合物実施例5−[化合物A−12、A−14、A−15またはA−16]の1つと共除草剤とを含有する乳剤(EC)調合物
調合物実施例5は、乳剤(EC)中で、[化合物A−12、A−14、A−15またはA−16]の1つに加えて、フェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、およびプロピリスルフロンからなる群から選択される1つの共除草剤が存在し、[化合物A−12、A−14、A−15またはA−16]の1つと1つの共除草剤が以下の重量比で存在する、調合物実施例3の変法である。
調合物実施例5A:[化合物A−12、A−14、A−15またはA−16]とフェノキサスルホンの重量比が、60:200、または90:200、または120:200、または240:200。
調合物実施例5B:化合物[化合物A−12、A−14、A−15またはA−16]とイプフェンカルバゾン重量比が、60:250、または90:250、または120:250、または240:250。
調合物実施例5C:化合物[化合物A−12、A−14、A−15またはA−16]とプロピリスルフロンの重量比が、60:80、または90:80、または120:80、または240:80。
【0214】
【表11】

【0215】
懸濁濃縮物(SC)調合手順
全ての不活性物質(すなわち非除草剤)を水に添加して、均質になるまで混合する。次に活性成分(この場合はピロキサスルホン)を添加する。次に混合物を高剪断混合して、非常に大きな粒子を練磨に適したサイズに破砕する。このプレミックスをビーズミル(振盪機ミル)内で、中央値粒度(D50)が5μm未満になるまで練磨する。
【0216】
生物学的実施例
試験植物を温室内で栽培して、直播稲および移植稲の2つの主要な稲作付体系群をシミュレートする(稲作付体系の定義についてはS. K. De Datta(1981),Principle and Practices of Rice Production,John Wiley,New Yorkを参照されたい)。植物の準備および化学物質適用は2つの体系中で異なり、これらの実施例については、下の生物学的実施例でより詳細に記載される。
【0217】
生物学的実施例1−移植水稲中、および湛水アゼガヤ(Leptochloa chinensis)およびイヌビエ(Echinochloa crus−galli)中における式(I)の化合物と共除草剤の混合物の試験法、およびその結果(試験125)
IR−64品種(インディカ種の稲)の種籾を発芽用トレー内に播いた。7日後、発芽植物を2本ずつの3群として、沼沢地条件を再現する水で飽和させた標準砂壌土を含有する鉢に移植した。これらを温室区画(30/20℃昼/夜;18/6時間明期/暗期;75%湿度)内で、さらに9日間栽培した。稲と同じ温室条件で、試験物質適用の13日前に、アゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)およびイヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)を、鉢内に種子およそ10〜20個の2つの別々の群として播種した。したがって雑草の各鉢には、1群のLEFCHおよび別の1群のECHCGが入っていた。試験物質適用の前日に、全ての稲鉢および全ての雑草鉢を水深2〜3cmで湛水させた。適用時の成長段階は、次のとおりであった。稲:主茎上の2枚葉から分蘖まで;ECHCG:主茎上の2枚葉から分蘖まで;LEFCH:2〜3枚葉。
【0218】
試験物質の適切なアリコートを脱イオン水に混合し、所望の処理濃度を得て、試験溶液を調製した。試験物質のほとんどは、調合製品として使用した。具体的には、化合物A−13は、本明細書の調合物実施例1で開示されるEC050調合物(EC=乳剤)として適用した。基準化合物A−4は、本明細書の基準調合物実施例2で開示されるEC050調合物として適用した。ピロキサスルホン(比較共除草剤)は、本明細書の基準調合物実施例6で開示されるSC050調合物(SC=懸濁濃縮物)として適用した。イマゾスルフロン(比較共除草剤)は、GR0.25調合物(GR=顆粒)として適用した。
【0219】
(以下の結果表で「Technical」と標識される)純粋活性成分(例えばプロピリスルフロン、フェノキサスルホン、および化合物A−16)である試験物質は、42.22%N−メチルピロリドンと42.22%ジプロピレングリコールモノエチルエーテルを10.56%Emulsogen ELTM(ヒマシ油エトキシレート、CAS登録番号61791−12−6)中に溶解し、5%の試験物質と95%の(Emulsogen ELTM、N−メチルピロリドン、およびジプロピレングリコールモノエチルエーテル)を含有する原液を得て、調製された。
【0220】
試験物質の適用は、適切な鉢の冠水中に、必要量の試験溶液または試験調合物をピペットで穏やかに加えて実施した。
【0221】
次に試験植物を同一温室条件で栽培し、毎日2回水を供給して、冠水深度を2〜3cmに保った。
【0222】
適用の7および14日後に(DAA)、除草剤の損傷%の視覚的評価を行い、0=植物損傷皆無から100=完全死滅に至る視覚的除草剤損傷%として、ここに結果を示す。
【0223】
【表12】

【0224】
【表13】

【0225】
【表14】

【0226】
【表15】

【0227】
生物学的実施例1の結果に対するコメント
1.化合物A−13および基準化合物A−4へのフェノキサスルホンの添加は、化合物A−13(60、90または120g/ha)または基準化合物A−4(60または90g/ha)単独で得られる、LEFCHに対する低い(0〜5%)除草剤活性を増大させた。
2.LEFCHの完全な防除は、60、90または120g/haの化合物A−13(それぞれ90、90、および95%のLEFCH防除)、または60、90または120g/haの基準化合物A−4(3用量の全てで95%のLEFCH防除)のいずれかと組み合わせられた、200g/haフェノキサスルホンによって達成された。これは200g/haフェノキサスルホンの単独適用で達成される(70%)よりも、高レベルのLEFCH防除である。
3.ECHCGの良好な防除は、60、90または120g/haの化合物A−13(それぞれ80、85、および80%のECHCG防除)または60、90または120g/haの基準化合物A−4(それぞれ95、90、および99%のECHCGの防除)のいずれかと組み合わせられた、200g/haフェノキサスルホンによって達成された。これは200g/haフェノキサスルホンの単独適用で達成される(65%)よりも、高レベルのLEFCH防除である。化合物A−13とフェノキサスルホンの混合物でも、これはまた、60、90または120g/haの化合物A−13の単独適用で達成される(35%、55%、および55%)よりも、高レベルのECHCH防除である。
4.場合によっては、混合物パートナー(フェノキサスルホンまたはプロピリスルフロン)を化合物A−13または基準化合物A−4に含めることで、IR−64稲の損傷(植物毒性)の実質的増大なしにECHCGに対する除草活性が改善され、したがって選択性マージンが明白に改善された。明白に改善されたIR−64稲とECHCGの選択性があったのは、化合物A−13(60、90または120g/ha)または基準化合物A−4(60g/ha)添加80g/haプロピリスルフロン;そしてまた化合物A−13(60、90または120g/ha)または基準化合物A−4(60g/ha)添加200g/haフェノキサスルホンであった。
5.200g/haフェノキサスルホンと60、90または120g/haの化合物A−13との混合物は、全て、IR−64稲に対する低(5%)植物毒性(損傷)と共に、良好なECHCGおよびLEFCH防除を示す。相対的に、200g/haフェノキサスルホンと60、90または120g/haの基準化合物A−4との混合物は、IR−64稲により高い(10%、25%、35%それぞれ)植物毒性(損傷)を及ぼす。したがって200g/haフェノキサスルホンと化合物A−13の混合物は、IR−64移植水稲に対して使用した場合、200g/haフェノキサスルホンと基準化合物A−4の混合物よりも、さらに選択性が高い除草剤のようである。
6.80g/haプロピリスルフロンと化合物A−13または基準化合物A−4の混合物は、一般にECHCGに対して、80g/haの比較共除草剤イマゾスルフロンと化合物A−13または基準化合物A−4の混合物よりも、効果が高い傾向がある。
7.化合物A−13は、単独での使用、またはイマゾスルフロン、プロピリスルフロンまたはフェノキサスルホンとの試験混合物での使用のどちらの場合も、一般にIR−64移植水稲に対して非常に低い毒性(損傷)を示した。相対的に、基準化合物A−4とイマゾスルフロンまたはフェノキサスルホンの混合物は、特により高い化合物A−4散布量で、稲に対してより高い植物毒性を示す傾向がある。
【0228】
生物学的実施例2−移植稲中における化合物A−13単独の選択性マージン評価(試験109)
IR−64品種の種籾を発芽用トレー内に播き、7日後、それらを2本ずつの3群として、沼沢地条件を再現する水で飽和させた標準砂壌土を含有する鉢に移植した。これらを温室区画(30/20℃昼/夜;18/6時間明期/暗期;75%湿度)内で、9日間栽培した。稲と同じ条件で、適用の13日前に、およそ10〜20個のイヌビエ(Echinochloa crus−galli)種子を播種した。適用の前日に、全ての鉢を水深2〜3cmで湛水させた。適用時の成長段階は、次のとおりであった。稲:2〜3枚葉;ECHCG:2〜3枚葉。
【0229】
適切なアリコートの試験物質(ここでは本明細書の調合物実施例1で開示されるEC050として化合物A−13)を脱イオン水に混合し、所望の処理濃度を得て試験溶液を調製した。
【0230】
適用は、適切な鉢の冠水中に、必要量の試験溶液をピペットで穏やかに加えて実施した。
【0231】
試験植物を同一温室条件で栽培し、毎日2回水を供給して、冠水深度を2〜3cmに保った。
【0232】
適用の14日後に、除草剤の損傷%の視覚的評価を行った(0=植物損傷皆無、100=完全死滅)。
【0233】
【表16】

【0234】
生物学的実施例2の結果に対するコメント
良好なECHCG活性があり、120g/haの化合物A−13によって、同率での低い稲植物毒性(5%)と共に90%のECHCG防除が達成され、したがって稲の中において化合物A−13が良好な選択性マージンを有することが示唆され、また稲に対する化合物A−13の単独使用では、約120g/haの適用が適切な散布量であることが示唆された。
【0235】
生物学的実施例3−移植稲における化合物A−13単独の調合物(試験120)
コシヒカリ品種の種籾を発芽用トレー内に播き、7日後、それらを2本ずつの3群として、沼沢地条件を再現する、水で飽和させた標準粘土を含有する鉢に移植した。これらを温室区画(30/20℃昼/夜;18/6時間明期/暗期;75%湿度)内で、9日間栽培した。稲と同じ条件で、適用の13日前に、およそ10〜20個のイヌビエ(Echinochloa crus−galli)種子を播種した。適用の前日に、全ての鉢を水深2〜3cmで湛水させた。適用時の成長段階は、次のとおりであった。稲:2〜3枚葉、ECHCG:2〜3枚葉。
【0236】
適切なアリコートの試験物質(ここでは本明細書の調合物実施例1で開示されるEC050として化合物A−13)を脱イオン水に混合し、所望の処理濃度を得て試験溶液を調製した。
【0237】
適用は、適切な鉢の冠水中に、必要量の試験溶液をピペットで穏やかに加えて実施した。
【0238】
試験植物を同一温室条件で栽培し、毎日2回水を供給して、冠水深度を2〜3cmに保った。
【0239】
適用の14日後に、除草剤の損傷%の視覚的評価を行った(0=植物損傷皆無、100=完全死滅)。
【0240】
【表17】

【0241】
生物学的実施例3の結果に対するコメント
125g/haの化合物A−13では、ECHCGは防除され(85〜90%)、同散布量で稲植物毒性は10〜15%であった。この4倍の率(500g/ha)では、稲植物毒性は20〜30%であり、したがって稲に対する使用における、妥当な選択性マージンが示唆された。
【0242】
生物学的実施例4−主要稲作付体系中における化合物A−13の試験(試験110)
移植(TPR)栽培法
コシヒカリ品種の種籾を発芽用トレー内に播き、7日後、それらを2本ずつの3群として、沼沢地条件を再現する、水で飽和させた標準砂壌土を含有する鉢に移植した。これらを温室区画(30/20℃昼/夜;18/6時間明期/暗期;75%湿度)内で、9日間栽培した。稲と同じ条件で、適用の13日前に、およそ10〜20個のイヌビエ(Echinochloa crus−galli)種子を播種した。適用の前日に、全ての鉢を水深2〜3cmで湛水させた。適用時の成長段階は、次のとおりであった。稲:2〜3枚葉;ECHCG:4枚葉。
【0243】
適切なアリコートの試験物質(ここでは調合物実施例1のEC050としての化合物A−13)を脱イオン水に混合し、所望の処理濃度を得て試験溶液を調製した。
【0244】
適用は、適切な鉢の冠水中に、必要量の試験溶液をピペットで穏やかに加えて実施した。
【0245】
試験植物を同一温室条件で栽培し、毎日2回水を供給して、冠水深度を2〜3cmに保った。
【0246】
反復回数:1回の試験のみ。
【0247】
適用の14日後に、除草剤の損傷%の視覚的評価を行った(0=植物損傷皆無、100=完全死滅)。
【0248】
湿式播種稲(WSR)栽培法
IR−64およびアルボリオ品種の種籾、イヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)、およびアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)を、沼沢地条件を再現する、水で飽和させた標準砂壌土を含有する発芽用トレーに播種した。それらは間隔を置いて播種して、適用時に以下の成長段階にある植物を得た。IR−64およびアルボリオ稲:主茎上に3枚葉から分蘖まで;ECHCG:2つの異なる葉の段階:0〜0.5枚葉および2〜3枚葉;LEFCH:3枚葉。温室区画条件は、30/20℃昼/夜;18/6時間明期/暗期;75%湿度であった。
【0249】
試験物質(ここではEC050調合物実施例1としての化合物A−13)適切なアリコートとアジュバント(アジュバントとして0.2%Adsee)を脱イオン水に混合し、所望の処理濃度を得て試験溶液を調製した。
【0250】
適用は、トラック噴霧装置を使用して、葉面散布として実施した。適用3日後に、2〜3cmの水深でトレーに湛水し、試験期間中このレベルを保った。
【0251】
反復回数:1回の試験のみ。
【0252】
適用の14日後に、除草剤の損傷%の視覚的評価を行った(0=植物損傷皆無、100=完全死滅)。
【0253】
乾式播種稲(DSR)栽培法
ワセビエ(Echinochloa colona)(ECHCO)種子を標準砂壌土を含有する発芽用トレーに播種した。それらは間隔を置いて播種して、適用時に0〜0.5枚葉および2〜3枚葉の植物を得た。灌水は、土壌を飽和状態でなく湿った状態に保つために行われた。温室区画条件は、30/20℃昼/夜;18/6時間明期/暗期;75%湿度であった。
【0254】
試験物質(ここではEC050調合物実施例1としての化合物A−13)適切なアリコートとアジュバント(アジュバントとして0.2%Adsee)を脱イオン水に混合し、所望の処理濃度を得て試験溶液を調製した。
【0255】
適用は、トラック噴霧装置を使用して、葉面散布として実施した。
【0256】
試験植物を同一温室条件で栽培し、水を供給して湿潤状態を保った。
【0257】
反復回数:1回の試験のみ。
【0258】
適用の14日後に、除草剤の損傷%の視覚的評価を行った(0=植物損傷皆無、100=完全死滅)。
【0259】
【表18】

【0260】
生物学的実施例4に対するコメント
移植稲:125g/haの化合物A−13では、稲とECHCGの間に特定の選択性マージンがあった。
湿式播種稲:0.5枚葉および3枚葉の2つの異なる成長段階にあるECHCGは、60および125g/haの化合物A−13によって防除(90〜100%)され、試験された2品種の稲(IR−64およびアルボリオ)に対する損傷は、わずかまたは皆無(0〜5%)であった。したがって稲とECHCGの間に、良好な選択性マージンがあるようであった。125g/haの化合物A−13では良好な活性(65%)があったが、LEFCHの完全な防除はなく、この場合も稲の損傷は最小であった。
乾式播種稲:0.5枚葉および3枚葉の2つの異なる成長段階にあるECHCGは、60および125g/haの化合物A−13によって防除された。未処理ユニットの成長不良のために稲データは得られず、したがっていかなる選択性マージンの程度も判定され得なかった。
【0261】
生物学的実施例5−直播稲システムまたは移植稲システムにおける式(I)の化合物と共除草剤との混合物を試験する一般的方法、または直播稲システムまたは移植稲システム
直播システムでは、単子葉および/または双子葉試験雑草および/またはイネ(インディカ種および/またはジャポニカ種の品種)を、試験に必要とされる種と所望の成長段階(典型的には2週間前後)に応じて、化学物質適用前に異なる間隔で溝に播種する。このように準備した植物を使用して、発芽後の適用をシミュレートする。さらに発芽前の適用もまたシミュレートするために、化学物質適用の1または2日間前に同一種植物を播種する。適用後、異なる間隔で溝に湛水して、湿式および乾式播種水稲システムをシミュレートする。
【0262】
直播き稲システムに対する化学物質の適用は、0.6mlアセトン中の技術的活性成分の調合物と、10.6%Emulsogen ELTM(ヒマシ油エトキシレート、登録番号61791−12−6)、42.2%N−メチルピロリドン、42.2%ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(登録番号34590−94−8)、および0.2%X−77(登録番号11097−66−8)を含有する45mlの調合物溶液とから得られる水性噴霧溶液を植物に噴霧することからなる。
【0263】
直播試験に含めた植物は、BBCHスケールを使用して0および12〜13の2つの成長段階(GS)にあるイヌビエ(Echinochloa crus−galli)(ECHCG)、GS12〜13のアゼガヤ(Leptochloa chinensis)(LEFCH)、GS12〜13のビロードキビ(Brachiaria)種、GS12〜13のツユクサ(Commelina)種、GS12〜13のカヤツリグサ(Cyperus)種、およびGS12〜13のコナギ(Monochoria vaginalis)(MOOVA)およびその他の草であり;ジャポニカ種およびインディカ種の稲品種(例えば稲品種IR−64(インディカ種稲)またはアルボリオ)もまた含めた。
【0264】
移植稲システムをシミュレートするために、直播体系稲と同一手順に従って、単子葉および双子葉試験雑草を播種した。 イネが(BBCHスケールを使用して)12〜13の成長段階(GS)に達するまで最初に苗トレー内で栽培し、次にそれらをあらかじめ播いた雑草の傍らの同一溝内に移植する。移植後、溝に湛水する。化学物質処理は、稲の移植の4〜9日後(DAT)に実施される。化学物質は、直播システムと同様にして調合された化学溶液の10mlアリコートとして、各溝内に適用する。
【0265】
移植システムの試験に含めた植物は、2つの成長段階(0および12〜13のBBCHスケール)にあるヒエ種(Echinochloa);GS12〜13のカヤツリグサ種(Cyperus)、およびコナギ(Monochoria vaginalis)(MOOVA)である。
【0266】
化学物質適用後(DAA)に、試験植物を最適条件下において温室で21日間栽培する。試験を14および21DAAに評価する。アセスメントは、未処理対照と比較した、処理植物の視覚的損傷の評価からなる。損傷重篤性は、0〜100のスケール(0=植物損傷皆無;100=植物死滅)を使用して表される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

の構造、代案としては、またはそれに加えて、
【化2】

として表し得る構造の化合物A−13を、植物またはその区画に適用するステップを含んでなる、稲作物中において雑草を防除する方法。
【請求項2】
前記雑草が、ヒエ属(Echinochloa)および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記稲が水稲である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記稲が移植水稲である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
80〜200g/haの散布量の前記化合物A−13が使用される、請求項1、2、3または4に記載の方法。
【請求項6】
【化3】

の構造、代案としては、またはそれに加えて
【化4】

として表し得る構造の化合物A−13を、植物またはその区画に適用するステップを含んでなる、有用作物中においてヒエ属(Echinochloa)雑草および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)雑草を防除する方法。
【請求項7】
前記ヒエ属(Echinochloa)雑草および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)雑草が湛水される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記防除される雑草が、イヌビエ(Echinochloa crus−galli)、ノゲタイヌビエ(Echinochloa oryzoides)、ワセビエ(Echinochloa colonaまたはcolonum)、エキノクロア・クルス−パボニス(Echinochloa crus−pavonis)、タイヌビエ(Echinochloa oryzicola)、エキノクロア・ムリカタ(Echinochloa muricata)、ブルグ(Echinochloa stagnina)、アゼガヤ(Leptochloa chinensis)および/またはレプトコラ・パニコイデス(Leptochloa panicoides)を含んでなる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
活性成分として、
a)除草的有効量の
式(I)、
【化5】

(式中、
1はシクロプロピルであり、
2はフェニルまたはC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシまたはハロゲンによって置換されたフェニルであり、
4、R5、R6、およびR7は互いに独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、
YはOであり、
Gは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スルホニウム、またはアンモニウムであり、またはGはC(O)−RaまたはC(O)−O−Rb
(式中、RaはH、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C10ハロアルキル、C1〜C10シアノアルキル、C1〜C10ニトロアルキル、C1〜C10アミノアルキル、C1〜C5アルキルアミノC1〜C5アルキル、C2〜C8ジアルキルアミノC1〜C5アルキル、C3〜C7シクロアルキルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシC1〜C5アルキル、C3〜C5アルケニロキシC1〜C5アルキル、C3〜C5アルキニロキシC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルチオC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルスルフィニルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルスルホニルC1〜C5アルキル、C2〜C8アルキリデンアミノキシC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルカルボニルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシカルボニルC1〜C5アルキル、アミノカルボニルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルアミノカルボニルC1〜C5アルキル、C2〜C8ジアルキルアミノカルボニルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルカルボニルアミノC1〜C5アルキル、N−C1〜C5アルキルカルボニル−N−C1〜C5アルキルアミノC1〜C5アルキル、C3〜C6トリアルキルシリルC1〜C5アルキル、フェニルC1〜C5アルキル(式中、フェニルはC1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、C1〜C3ハロアルコキシ、C1〜C3アルキルチオ、C1〜C3アルキルスルフィニル、C1〜C3アルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、ヘテロアリールC1〜C5アルキル(式中、ヘテロアリールはC1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、C1〜C3ハロアルコキシ、C1〜C3アルキルチオ、C1〜C3アルキルスルフィニル、C1〜C3アルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、C2〜C5ハロアルケニル、C3〜C8シクロアルキル、フェニルまたはC1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、C1〜C3ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたフェニル、ヘテロアリールまたはC1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、C1〜C3ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたヘテロアリールであり;
bはC1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニル、C2〜C10ハロアルキル、C1〜C10シアノアルキル、C1〜C10ニトロアルキル、C2〜C10アミノアルキル、C1〜C5アルキルアミノC1〜C5アルキル、C2〜C8ジアルキルアミノC1〜C5アルキル、C3〜C7シクロアルキルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシC1〜C5アルキル、C3〜C5アルケニロキシC1〜C5アルキル、C3〜C5アルキニロキシC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルチオC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルスルフィニルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルスルホニルC1〜C5アルキル、C2〜C8アルキリデンアミノキシC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルカルボニルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシカルボニルC1〜C5アルキル、アミノカルボニルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルアミノカルボニルC1〜C5アルキル、C2〜C8ジアルキルアミノカルボニルC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルカルボニルアミノC1〜C5アルキル、N−C1〜C5アルキルカルボニル−N−C1〜C5アルキルアミノC1〜C5アルキル、C3〜C6トリアルキルシリルC1〜C5アルキル、フェニルC1〜C5アルキル(式中、フェニルはC1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、C1〜C3ハロアルコキシ、C1〜C3アルキルチオ、C1〜C3アルキルスルフィニル、C1〜C3アルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、ヘテロアリールC1〜C5アルキル(式中、ヘテロアリールはC1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、C1〜C3ハロアルコキシ、C1〜C3アルキルチオ、C1〜C3アルキルスルフィニル、C1〜C3アルキルスルホニル、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって任意に置換される)、C3〜C5ハロアルケニル、C3〜C8シクロアルキル、フェニルまたはC1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、C1〜C3ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたフェニル、ヘテロアリールまたはC1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、C1〜C3ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロによって置換されたヘテロアリールである)の潜在化基である)の化合物;および
b)フェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、プロピリスルフロン、およびN−[2−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−6−フルオロフェニル]−1,1−ジフルオロ−N−メチルメタンスルホンアミドからなる群から選択される共除草剤
の混合物を含んでなる除草剤組成物。
【請求項10】
2がフッ素または塩素によって置換されたフェニルである、請求項9に記載の除草剤組成物。
【請求項11】
4、R5、R6、およびR7がメチルである、請求項9または10に記載の除草剤組成物。
【請求項12】
Gが水素、C(O)−RaまたはC(O)−O−Rb(式中、RaおよびRbはC1〜C6アルキルである)である、請求項9、10または11に記載の除草剤組成物。
【請求項13】
Gが水素である、請求項12に記載の除草剤組成物。
【請求項14】
前記式(I)の化合物が、
【化6】

(化合物A−12、代案としては、またはそれに加えて、
【化7】

として表し得る)、
【化8】

(化合物A−13、代案としては、またはそれに加えて、
【化9】

として表し得る)、
【化10】

(化合物A−14)、
【化11】

(化合物A−15)、または
【化12】

(化合物A−16、代案としては、またはそれに加えて、
【化13】

として表し得る)、である、請求項9〜13のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項15】
前記式(I)の化合物が、化合物A−12またはA−13である、請求項14に記載の除草剤組成物。
【請求項16】
前記式(I)の化合物が化合物A−13である、請求項14に記載の除草剤組成物。
【請求項17】
前記共除草剤がフェノキサスルホンまたはイプフェンカルバゾンである、請求項9〜16のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項18】
前記共除草剤がフェノキサスルホンである、請求項9〜16のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項19】
前記共除草剤がイプフェンカルバゾンである、請求項9〜16のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項20】
前記共除草剤がプロピリスルフロンである、請求項9〜16のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項21】
前記共除草剤がN−[2−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−6−フルオロフェニル]−1,1−ジフルオロ−N−メチルメタンスルホンアミドである、請求項9〜16のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項22】
前記式(I)の化合物が化合物A−13であり、前記共除草剤がフェノキサスルホンである、請求項18に記載の除草剤組成物。
【請求項23】
前記式(I)の化合物と前記フェノキサスルホンとの重量比が1:6〜3:2である、請求項9〜18または22のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項24】
前記式(I)の化合物と前記フェノキサスルホンとの重量比が3:10〜7:10である、請求項23に記載の除草剤組成物。
【請求項25】
前記式(I)の化合物と前記フェノキサスルホンとの重量比が2:5〜7:10である、請求項24に記載の除草剤組成物。
【請求項26】
前記式(I)の化合物と前記フェノキサスルホンとの重量比が1:2〜7:10である、請求項25に記載の除草剤組成物。
【請求項27】
前記共除草剤がイプフェンカルバゾンであり、前記式(I)の化合物と前記イプフェンカルバゾンの重量比が1:7〜1:1である、請求項9〜17または19のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項28】
前記共除草剤がプロピリスルフロンであり、前記式(I)の化合物と前記プロピリスルフロンの重量比が1:2〜3:1である、請求項9〜16、または20のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項29】
前記式(I)の化合物と前記プロピリスルフロンの重量比が3:4〜3:2である、請求項28に記載の除草剤組成物。
【請求項30】
キャリア、溶剤および/または界面活性物質を含んでなる調合物である、請求項9〜29のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項31】
前記調合物が、湿潤性粉末、水分散性顆粒、乳剤、マイクロ乳剤、水中油型エマルション、油流動剤、水性分散体、油性分散体、可溶性液体、またはキャリアとして水または水混和性有機溶剤を含む水溶性濃縮物の形態である、請求項30に記載の除草剤組成物。
【請求項32】
前記調合物が乳剤の形態である、請求項31に記載の除草剤組成物。
【請求項33】
c)解毒剤、および任意にd)油添加剤を含んでなる、請求項1〜32のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項34】
有用作物中において草および雑草を防除するための、請求項9〜33のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項35】
稲作物中において草および雑草を防除するための、請求項34に記載の除草剤組成物。
【請求項36】
請求項9〜35のいずれか一項に記載の除草剤組成物を前記植物またはその区画に適用するステップを含んでなる、有用作物中において草および雑草を防除する方法。
【請求項37】
前記有用作物が稲作物である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記有用作物が移植水稲作物である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
防除される前記草および雑草が、ヒエ属(Echinochloa)および/またはアゼガヤ属(Leptochloa)を含んでなる、請求項36、37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記除草剤組成物が、あらゆる任意の対イオン重量を除いた前記式(I)の化合物重量としての計算で、ヘクタールあたり30〜240gの前記式(I)の化合物の散布量で前記植物またはその区画に適用される、請求項36、37、38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記除草剤組成物が、あらゆる任意の対イオン重量を除いた前記式(I)の化合物重量としての計算で、ヘクタールあたり50〜150gの前記式(I)の化合物の散布量で前記植物またはその区画に適用される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記共除草剤がフェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、またはプロピリスルフロンであり;
−前記共除草剤がフェノキサスルホンである場合、前記除草剤組成物が、あらゆる任意の対イオン重量を除いたフェノキサスルホン重量としての計算で、ヘクタールあたり100〜400gのフェノキサスルホンの散布量で前記植物またはその区画に適用され;
−前記共除草剤がイプフェンカルバゾンである場合、前記除草剤組成物が、あらゆる任意の対イオン重量を除いたイプフェンカルバゾン重量としての計算で、ヘクタールあたり100〜500gのイプフェンカルバゾンの散布量で前記植物またはその区画に適用され;
−前記共除草剤がプロピリスルフロンである場合、前記除草剤組成物が、あらゆる任意の対イオン重量を除いたプロピリスルフロン重量としての計算で、ヘクタールあたり40〜160gのプロピリスルフロンの散布量で前記植物またはその区画に適用される、
請求項36、37、38、39、40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記共除草剤がフェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、またはプロピリスルフロンであり;
−前記共除草剤がフェノキサスルホンである場合、前記除草剤組成物が、あらゆる任意の対イオン重量を除いたフェノキサスルホン重量としての計算で、ヘクタールあたり200gのフェノキサスルホンの散布量で前記植物またはその区画に適用され;
−前記共除草剤がイプフェンカルバゾンである場合、前記除草剤組成物が、あらゆる任意の対イオン重量を除いたイプフェンカルバゾン重量としての計算で、ヘクタールあたり250gのイプフェンカルバゾンの散布量で前記植物またはその区画に適用され;
−前記共除草剤がプロピリスルフロンである場合、前記除草剤組成物が、あらゆる任意の対イオン重量を除いたプロピリスルフロン重量としての計算で、ヘクタールあたり80gのプロピリスルフロンの散布量で前記植物またはその区画に適用される、
請求項42に記載の方法。
【請求項44】
(a)
【化14】

の構造、代案としては、またはそれに加えて、
【化15】

として表し得る構造の化合物A−13、および
(b)キャリア、溶剤および/または界面活性物質
を含んでなる、除草剤組成物。
【請求項45】
(a)0.1〜99重量%の式(I)の化合物;および
(b)1〜99.9重量%の調合物アジュバントまたは調合物アジュバント群
を含有する、請求項44に記載の除草剤組成物。
【請求項46】
(a)0.5〜60重量%の式(I)の化合物;および
(b)40〜99.5重量%の調合物アジュバントまたは調合物アジュバント群
を含有する、請求項45に記載の除草剤組成物。
【請求項47】
(a)0.5〜60重量%の式(I)の化合物;および
(b)除草剤組成物重量を基準にして、合計で40〜99.5%のあらゆるキャリア(存在する場合)、あらゆる溶剤(存在する場合)、あらゆる界面活性物質(存在する場合)、および存在するあらゆる他の調合物アジュバントを含有する、請求項46に記載の除草剤組成物。
【請求項48】
前記調合物アジュバントまたは調合物アジュバン群が、1〜25重量%の界面活性物質を含む、45、46または47に記載の除草剤組成物。
【請求項49】
湿潤性粉末、水分散性顆粒、乳剤、マイクロ乳剤、水中油型エマルション、油流動剤、水性分散体、油性分散体、可溶性液体、またはキャリアとして水または水混和性有機溶剤を含む水溶性濃縮物の形態の調合物である、請求項44、45、46、47または48に記載の除草剤組成物。
【請求項50】
前記調合物が乳剤の形態である、請求項49に記載の除草剤組成物。

【公表番号】特表2013−514343(P2013−514343A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543888(P2012−543888)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/GB2010/002269
【国際公開番号】WO2011/073616
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(500371307)シンジェンタ リミテッド (141)
【Fターム(参考)】