説明

除草剤耐性植物

本発明は、特に、作物及び雑草が生育する圃場で選択的に雑草を防除する方法に関し、当該方法は、雑草を防除する量の、ホモゲンチセートソラネシルトランスフェラーゼ(HST)阻害除草剤及び/又はヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害除草剤を含有する農薬組成物を前記圃場に施用することを含み、前記作物は、HSTをコードする領域を含む1つ以上の組換えポリヌクレオチドを保有する。また、本発明は、特に、作物及び雑草が生育する圃場で選択的に雑草を防除する方法に関し、当該方法は、雑草を防除する量のホモゲンチセートソラネシルトランスフェラーゼ(HST)阻害除草剤を含有する農薬組成物を前記圃場に施用することを含み、前記作物は、HPPD酵素をコードする領域を含む1つ以上の組換えポリヌクレオチドを保有する。また、本発明は、特に、前記方法に利用される組換えポリヌクレオチド及びベクターにも関する。更に、本発明は、HPPD阻害除草剤及びHST阻害除草剤を含有する除草組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場(locus)の雑草を選択的に防除する方法に関する。更に、本発明は、組換えDNA技術に関し、特に遺伝子組換えしていない同種植物と比較して除草剤に対する実質的な抵抗性又は実質的な耐性を呈する遺伝子組換え植物の生産に関する。遺伝子組換え植物において取得される、除草剤の用量/応答性の曲線が、非耐性の同種植物において取得されるものと比較して右にシフトする場合、当該遺伝子組換え植物は、実質的に「耐性」である。そのような用量/応答性の曲線は、x軸に「用量」を表示し、y軸に「死滅パーセンテージ」、「除草効果」等を表示する。耐性植物は、典型的には、所定の除草効果を生じさせるために、非耐性の同種植物の2倍以上の除草剤を要する。除草剤に対して実質的に「抵抗性」の植物は、野外において雑草を死滅させるのに農場で典型的に採用される濃度及び施用率で除草剤が与えられたとき、壊死性、溶解性、萎黄性(chlorotic)、又は他の病変を生じさせず、生じさせたとしてもそれらがわずかなものを指す。
【0002】
より具体的には、本発明は、プラストキノンに至る経路のヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)及び/又はこれに続くホモゲンチセートソラネシルトランスフェラーゼ(HST)のステップを阻害する除草剤に抵抗性の植物の生産に関する。
【背景技術】
【0003】
HPPDの阻害により作用する除草剤は、当該技術分野で公知である。HPPDの阻害は、チロシンからのプラストキノン(PQ)の生合成をブロックする。PQは、光合成中心の光保護に必須のカロテノイド色素の生合成における必須の補因子である。HPPD阻害除草剤は、師部移動脱色剤(phloem−mobile bleacher)であり、光に晒された新しい分裂組織及び葉を白化させる。白化部分はカロテノイドを欠き、クロロフィルが光破壊(photo−destruction)されており、それ自体、一重項酸素の光生産(photo−generation)を通じての光破壊の因子となる。HPPD阻害除草剤に対する実質的な抵抗性、又は実質的な耐性を呈する遺伝子組換え植物の生産方法は、例えばWO02/46387等で、既に報告されている。
【0004】
プラスキノン生合成経路においてHPPD以下の工程を触媒する酵素は、HSTである。HST酵素は、ホモゲンチセートからカルボキシル基を除去し、かつそれにソラネシルジホスフェートからソラネシル基を転移して、プラストキノンに至る前記生合成経路の中間体である2−メチル−6−ソラネシル−1,4−ベンゾキノリル(MSBQ)を形成する、フェニルトランスフェラーゼである。HST酵素は、細胞膜結合性であり、それらをコードする遺伝子は、プラスチド標的配列を有する。HSTをアッセイする方法は、近年開示された。
【0005】
遺伝子組換え植物中でのHSTの過剰発現が報告されており、そして当該植物のα−トコフェロールの濃度は僅かに高いことが示されている。しかしながら、HSTが、HSTを阻害することにより全体的に又は部分的に作用する、所定のクラスの除草化合物の標的部位であることは、これまで認識されていなかった。そして今日、とりわけ、遺伝子組換え植物中でのHSTの過剰発現により、HST阻害除草剤及び/又はHPPD阻害除草剤に対する耐性がもたらされることが見出された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって、本発明において、作物及び雑草が生育する圃場の雑草を選択的に防除する方法が提供され、当該方法は、雑草を防除する量の、ホモゲンチセートソラネシルトランスフェラーゼ(HST)阻害除草剤及び/又はヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害除草剤を含有する農薬組成物を前記圃場に施用することを含み、当該作物は、HSTをコードする領域を含む1つ以上のヘテロ接合組換えポリヌクレオチドを保有する。前記方法の好ましい態様において、前記作物は、更に、ヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)をコードする領域を含む追加のヘテロ接合ポリヌクレオチドを保有する。
【0007】
なおも更に、本発明は、作物及び雑草が生育する圃場の雑草を選択的に防除する方法を提供し、当該方法は、雑草を防除する量の、ホモゲンチセートソラネシルトランスフェラーゼ(HST)阻害除草剤を含有する農薬組成物を前記圃場に施用することを含み、当該作物は、HPPDをコードする領域を含む1つ以上のヘテロ接合組換えポリヌクレオチドを保有する。
【0008】
好ましい態様において、上記方法において言及される除草組成物は、HST阻害除草剤及びHPPD阻害除草剤の両方を含有する。
【0009】
本発明の目的において、HST阻害除草剤は、本明細書中で設定される「全抽出」アッセイ方法を使用して、150ppm未満、好ましくは60ppm未満のIC50でアラビドプシスHSTを阻害する分子自体、又はこれを生じるプロサイド(procide)である。HST阻害除草剤は、HPPD阻害剤としても作用する場合があり(HPPD酵素アッセイ及び/又はHPPD若しくはHST過剰発現遺伝子組換え植物株の応答の差異を使用して同定可能である)、そしてそれ故に、下記のように、それらのHSTの阻害の効果を自己相乗化することに注目すべきである。
【0010】
好ましくは、HST阻害除草剤は、
式(IIa)
【化1】


[式中、
、R、R及びRは、独立して水素又はハロゲンであり;但しR、R、R及びRの3つ以上がハロゲンである]
の化合物又はその塩;
【0011】
式(IIb)
【化2】


[式中、
及びRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、アリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール、又はヘテロアリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロアリールであり;
は、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキル−C−Cアルキル−、C−C10アルコキシ−C−Cアルキル−、C−C10シアノアルキル−、C−C10アルコキシカルボニル−C−Cアルキル−、N−C−Cアルキル−アミノカルボニル−C−Cアルキル−、N,N−ジ−(C−Cアルキル)−アミノカルボニルC−Cアルキル−、アリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール−C−Cアルキル−、又はヘテロシクリル−C−Cアルキル−若しくはヘテロシクリル部分が1〜3個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロシクリル−C−Cアルキル−であり;
は、アリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール、又はヘテロアリール若しくは1〜4個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロアリールであり;
は、ヒドロキシ、R−オキシ−、R10−カルボニルオキシ−、トリ−R11−シリルオキシ−又はR12−スルホニルオキシ−であり、
各R、R及びRは独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、C−C10アルキル、C−Cハロアルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヒドロキシ、C−C10アルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−C10アルコキシ−C−Cアルキル−、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル−、C−Cシクロアルキル−C−Cアルコキシ−、C−Cアルキルカルボニル−、フォルミル、C−Cアルコキシ−カルボニル−、C−Cアルキルカルボニルオキシ−、C−C10アルキルチオ−、C−Cハロアルキルチオ−、C−C10アルキルスルフィニル−、C−Cハロアルキルスルフィニル−、C−C10アルキルスルホニル−、C−Cハロアルキルスルホニル−、アミノ、C−C10アルキルアミノ−、ジ−C−C10アルキルアミノ−、C−C10アルキルカルボニルアミノ−、アリール若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリール、ヘテロアリール若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−若しくはヘテロアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリール−C−Cアルキル−、アリールオキシ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリールオキシ−、ヘテロアリールオキシ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリールオキシ−、アリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリールチオ−、又はヘテロアリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリールチオ−であり;
は、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、又はアリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜5個のハロ、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cアルコキシから独立して選択される置換基で置換されたアリール−C−Cアルキル−であり;
10は、C−C10アルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキル−C−C10アルキル−、C−C10ハロアルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cアルコキシ−C−C10アルキル−、C−Cアルキルチオ−C−Cアルキル、C−C10アルコキシ、C−C10アルケニルオキシ、C−C10アルキニルオキシ、C−C10アルキルチオ−、N−C−Cアルキル−アミノ−、N,N−ジ−(C−Cアルキル)−アミノ−、アリール若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR14で置換されたアリール、アリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR14で置換されたアリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR14で置換されたヘテロアリール−C−Cアルキル−、アリールオキシ若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR14で置換されたアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR14で置換されたヘテロアリールオキシ、アリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR14で置換されたアリールチオ−、又はヘテロアリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR14で置換されたヘテロアリールチオ−であり;
各R11は、独立して、C−C10アルキル、又はフェニル、若しくはハロ、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル若しくはC−Cアルコキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されたフェニルであり;
12は、C−C10アルキル、又はフェニル、若しくはハロ、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル若しくはC−Cアルコキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されたフェニルであり;
各R13は、独立してハロ、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル若しくはC−Cアルコキシであり;そして
各R14は、独立してハロ、シアノ、ニトロ、C−C10アルキル、C−Cハロアルキル、C−C10アルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル−、C−Cハロアルコキシ、C−C10アルキルチオ−、C−Cハロアルキルチオ−、C−C10アルキルスルフィニル−、C−Cハロアルキルスルフィニル−、C−C10アルキルスルホニル−、C−Cハロアルキルスルホニル−、アリール若しくはハロ、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル若しくはC−Cアルコキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されたアリール、又はヘテロアリール若しくはハロ、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル若しくはC−Cアルコキシから独立して選択される1〜4個の置換基で置換されたヘテロアリールである]
の化合物、又はその塩若しくはN−オキシド;
【0012】
式(IIc)
【化3】


[式中、
及びRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、アリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール、又はヘテロアリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロアリールであり;
は、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルケニル又はC−Cハロアルキニルであり;
は、アリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール、又はヘテロアリール若しくは1〜4個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロアリールであり;
は、ヒドロキシ、又はヒドロキシ基に代謝され得る基であり、
各R及びRは独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、C−C10アルキル、C−Cハロアルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヒドロキシ、C−C10アルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−C10アルコキシ−C−Cアルキル−、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル−、C−Cシクロアルキル−C−Cアルコキシ−、C−Cアルキルカルボニル−、フォルミル、C−Cアルコキシカルボニル−、C−Cアルキルカルボニルオキシ−、C−C10アルキルチオ−、C−Cハロアルキルチオ−、C−C10アルキルスルフィニル−、C−Cハロアルキルスルフィニル−、C−C10アルキルスルホニル−、C−Cハロアルキルスルホニル−、アミノ、C−C10アルキルアミノ−、ジ−C−C10アルキルアミノ−、C−C10アルキルカルボニルアミノ−、アリール若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリール、ヘテロアリール若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−若しくはヘテロアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリール−C−Cアルキル−、アリールオキシ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリールオキシ−、ヘテロアリールオキシ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリールオキシ−、アリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリールチオ−、又はヘテロアリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリールチオ−であり;そして
各R13は、独立してハロ、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル若しくはC−Cアルコキシである]
の化合物、又はその塩若しくはN−オキシド;
【0013】
式(IId)
【化4】


[式中、
及びRは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、アリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール、又はヘテロアリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロアリールであり;
は、水素、C−C10アルキル、C−Cハロアルキル、C−C10アルケニル、C−Cハロアルケニル、C−C10アルキニル、C−Cハロアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキル−C−Cアルキル−、C−C10アルコキシ−C−Cアルキル−、C−C10シアノアルキル−、C−C10アルコキシカルボニル−C−Cアルキル−、N−C−Cアルキル−アミノカルボニル−C−Cアルキル−、N,N−ジ−(C−Cアルキル)−アミノカルボニル−C−Cアルキル−、アリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール−C−Cアルキル−、又はヘテロシクリル−C−Cアルキル−若しくはヘテロシクリル部分が1〜3個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロシクリル−C−Cアルキル−であり;
は、アリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール、又はヘテロアリール若しくは1〜4個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロアリールであり;
は、ヒドロキシ、又はヒドロキシ基に代謝され得る基であり、
各R、R及びRは独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、C−C10アルキル、C−Cハロアルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヒドロキシ、C−C10アルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−C10アルコキシ−C−Cアルキル−、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル−、C−Cシクロアルキル−C−Cアルコキシ−、C−Cアルキルカルボニル−、フォルミル、C−Cアルコキシカルボニル−、C−Cアルキルカルボニルオキシ−、C−C10アルキルチオ−、C−Cハロアルキルチオ−、C−C10アルキルスルフィニル−、C−Cハロアルキルスルフィニル−、C−C10アルキルスルホニル−、C−Cハロアルキルスルホニル−、アミノ、C−C10アルキルアミノ−、ジ−C−C10アルキルアミノ−、C−C10アルキルカルボニルアミノ−、アリール若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリール、ヘテロアリール若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−若しくはヘテロアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリール−C−Cアルキル−、アリールオキシ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリールオキシ−、ヘテロアリールオキシ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリールオキシ−、アリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリールチオ−、又はヘテロアリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリールチオ−であり;そして
各R13は、独立してハロ、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル若しくはC−Cアルコキシである]
の化合物、又はその塩若しくはN−オキシド;
【0014】
式(IIe)
【化5】


[式中、
、A、A及びAは、独立して、C−R又はNであり、但しA、A、A及びAの1つ以上がNであり、及び但し、A及びAの両方がNの場合、A及びAは両方がC−Rではなく;
各Rは、独立して水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、アリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール、又はヘテロアリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロアリールであり;
は、水素、C−C10アルキル、C−Cハロアルキル、C−C10アルケニル、C−Cハロアルケニル、C−C10アルキニル、C−Cハロアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルキル−C−Cアルキル−、C−C10アルコキシ−C−Cアルキル−、C−C10シアノアルキル−、C−C10アルコキシカルボニル−C−Cアルキル−、N−C−Cアルキル−アミノカルボニル−C−Cアルキル−、N,N−ジ−(C−Cアルキル)−アミノカルボニル−C−Cアルキル−、アリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール−C−Cアルキル−、又はヘテロシクリル−C−Cアルキル−若しくはヘテロシクリル部分が1〜3個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロシクリル−C−Cアルキル−であり;
は、アリール若しくは1〜5個の同一でも相異してもよいRで置換されたアリール、又はヘテロアリール若しくは1〜4個の同一でも相異してもよいRで置換されたヘテロアリールであり;
は、ヒドロキシ、又はヒドロキシ基に代謝され得る基であり、
各R、R及びRは独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、C−C10アルキル、C−Cハロアルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヒドロキシ、C−C10アルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−C10アルコキシ−C−Cアルキル−、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cシクロアルキル−C−Cアルキル−、C−Cシクロアルキル−C−Cアルコキシ−、C−Cアルキルカルボニル−、フォルミル、C−Cアルコキシカルボニル−、C−Cアルキルカルボニルオキシ−、C−C10アルキルチオ−、C−Cハロアルキルチオ−、C−C10アルキルスルフィニル−、C−Cハロアルキルスルフィニル−、C−C10アルキルスルホニル−、C−Cハロアルキルスルホニル−、アミノ、C−C10アルキルアミノ−、ジ−C−C10アルキルアミノ−、C−C10アルキルカルボニルアミノ−、アリール若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリール、ヘテロアリール若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−若しくはアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−若しくはヘテロアリール部分が1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリール−C−Cアルキル−、アリールオキシ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリールオキシ−、ヘテロアリールオキシ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリールオキシ−、アリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたアリールチオ−、又はヘテロアリールチオ−若しくは1〜3個の同一でも相異してもよいR13で置換されたヘテロアリールチオ−であり;そして
各R13は、独立してハロ、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル若しくはC−Cアルコキシである]
の化合物、又はその塩若しくはN−オキシド;並びに
【0015】
式(IIf)
【化6】


[式中、
は、C−Cアルキル又はC−Cアルキルオキシ−C−Cアルキルであり;
は水素又はC−Cアルキルであり;
Gは、水素、−(C=L)R、−(SO)R、又は−(P=L)Rであり、ここでLが酸素又は硫黄であり;
は、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール、C−C10アリール−C−Cアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−Cシクロアルキルオキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−C10アリールオキシ、C−C10アリール−C−Cアルキルオキシ−、アミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cアルケニルアミノ、C−C10アリールアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ジ(C−Cアルケニル)アミノ、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)アミノ、又は3〜8員の窒素含有ヘテロ環式環であり、
は、C−Cアルキル、C−C10アリール、C−Cアリールアミノ基、又はジ(C−Cアルキル)アミノであり;そして
及びRは、同一でも相異してもよく、そして独立してC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−C10アリール、C−Cアルキルオキシ、C−Cシクロアルキルオキシ、C−C10アリールオキシ、C−C10アリール−C−Cアルキルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルアミノ又はジ(C−Cアルキル)アミノであり、
ここでR、R、R及びRの基の任意のものが、ハロゲン、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、C−C10アリール−C−Cアルキル−、C−Cシクロアルキルオキシ、C−C10アリールオキシ、C−C10アリール−C−Cアルキルオキシ、C−C10アリールアミノ、(C−Cアルキル)(C−C10アリール)アミノ、及び1つ以上のC−Cアルキルで置換されていてもよい3〜8員の窒素含有ヘテロ環式環で置換されてもよく;
はC−Cアルキルであり;
はC−Cアルキルであり;
nは0、1、2、3又は4であり;
そしてnが2以上の整数を表すとき各Zは、同一でも相異してもよく、そして、Z及びZの基の中の炭素原子の数の合計が、2以上である]
の化合物;
からなる群から選択される。
【0016】
式(IIa)のHST化合物は公知であり、例えばハロキシジン及びピリクロール等が挙げられる。式(IIb)のHST化合物は公知であり、例えばWO2008/009908に記載されている。式(IIc)のHST化合物は公知であり、例えばWO2008/071918に記載されている。式(IId)のHST化合物は公知であり、例えばWO2009/063180に記載されている。式(IIe)のHST化合物は公知であり、例えばWO2009/090401及びWO2009/090402に記載されている。式(IIf)のHST化合物は公知であり、例えばWO2007/119434に記載されている。
【0017】
好ましくは、式(IIa)
【化7】


の化合物において、R、R、R及びRは、独立して、水素、ブロモ、クロロ又はフルオロであり;但しR、R、R及びRの1つ以上がブロモ、クロロ又はフルオロのいずれかであり、最も好ましくは、当該式(IIa)の化合物において、R及びRはフルオロ、そしてR及びRはクロロであり(ハロキシジン)、又はR、R及びRはクロロ、そしてRは水素である(ピリクロール)。
【0018】
「HPPD阻害除草剤」という用語は、直接、又はプロサイドとして、HPPDを阻害するように作用し、活性形態において、WO02/46387に記載のオンレート及びオフレート手法を使用してアッセイしたとき、アラビドプシスHPPDに対して、Ki値が5nM未満、好ましくは1nM未満の除草剤を指す。本発明の範囲内において、ヒドロキシフェニルピルベート(又はピルビン酸)ジオキシゲナーゼ(HPPD)、4−ジドロキシフェニルピルベート(又はピルビン酸)ジオキシゲナーゼ(4−HPPD)、及びp−ヒドロキシフェニルピルベート(又はピルビン酸)ジオキシゲナーゼ(p−HPPD)は、同義語である。
【0019】
好ましくは、前記HPPD阻害除草剤は、
式(Ia)
【化8】


[式中、
及びRは、水素であり、又は一緒になってエチレン橋を形成し;
は、ヒドロキシ又はフェニルチオ−であり;Rは、ハロゲン、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ−C−Cアルキル−、C−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ−C−Cアルキル−であり;
Xは、メチン、炭素又はC−Rであり、ここでRは、水素、C−CハロアルコキシC−Cアルキル、又は以下の基
【化9】


であり;そして
は、アルキルスルホニル−又はハロアルキルである]
の化合物;
【0020】
式(IIb)
【化10】


[式中、
及びRは、独立してC−Cアルキルである]
の化合物;及びその遊離酸;
【0021】
式(Ic)
【化11】


[式中、
はヒドロキシ、フェニルカルボニル−C−Cアルコキシ−若しくはフェニル部分のパラ位がハロゲン又はC−Cアルキルで置換されたフェニルカルボニル−C−Cアルコキシ−、又はフェニルスルホニルオキシ−若しくはフェニル部分のパラ位がハロゲン又はC−Cアルキルで置換されたフェニルスルホニルオキシ−であり;
はC−Cアルキルであり;
は水素又はC−Cアルキルであり;
及びRは、独立してハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、又はC−Cアルキルスルホニル−であり;そして
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ− C−Cアルコキシ−、又は
【化12】


の基である]
の化合物;
【0022】
式(Id)
【化13】


[式中、
はヒドロキシであり;
はC−Cアルキルであり;
は水素であり;そして
、R及びRは、独立してC−Cアルキルである]
の化合物;
【0023】
式(Ie)
【化14】


[式中、
はシクロプロピルであり;
及びRは独立してハロゲン、C−Cハロアルキル、又はC−Cアルキルスルホニル−であり;そして
は水素である]
の化合物;並びに
【0024】
式(If)
【化15】


[式中、
はシクロプロピルであり;
及びRは独立してハロゲン、C−Cハロアルキル、又はC−Cアルキルスルホニル−であり;そして
は水素である]
の化合物;
からなる群から選択される。
【0025】
HPPD阻害剤の例も、WO2009/016841に記載されている。好ましい態様において、HPPD阻害剤は、ベンゾビシクロン、メソトリオン、スルコトリオン、テフリルトリオン、テンボトリオン、4−ヒドロキシ−3−[[2−(2−メトキシエトキシ)メチル]−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]カルボニル]−ビシクロ[3.2.1]−オクト−3−エン−2−オン(ビシクロピロン)、ケトスピラドックス若しくはその遊離酸、ベンゾフェナップ、ピラスルフォトール、ピラゾリネート、ピラゾキシフェン、トプラメゾン、[2−クロロ−3−(2−メトキシエトキシ)−4−(メチルスルホニル)フェニル](1−エチル−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾル−4−イル)−メタノン、(2,3−ジヒドロ−3,3,4−トリメチル1,1−ジオキシドベンゾ[b]チエン−5−イル)(5−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)−メタノン、イソキサクロルトール(isoxachlortole)、イソキサフルトール、α−(シクロプロピルカルボニル)−2−(メチルスルホニル)−β−オキソ−4−クロロ−ベンゼンプロパンニトリル、及びα−(シクロプロピルカルボニル)−2−(メチルスルホニル)−β−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−ベンゼンプロパンニトリルからなる群から選択される。
【0026】
これらのHPPD阻害剤は公知であり、以下のChemical Abstracts登録番号を有する:
ベンゾビシクロン(CAS RN 156963−66−5)、メソトリオン(CAS RN 104206−82−8)、スルコトリオン(CAS RN 99105−77−8)、テフリルトリオン(CAS RN 473278−76− 1)、テンボトリオン(CAS RN 335104−84−2)、4−ヒドロキシ−3−[[2−(2−メトキシエトキシ)メチル]−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]カルボニル]−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン(CAS RN 352010−68−5)、ケトスピラドックス(CAS RN 192708−91−1)若しくはその遊離酸(CAS RN 187270−87−7)、ベンゾフェナップ(CAS RN 82692−44−2)、ピラスルフォトール(CAS RN 365400− 11−9)、ピラゾリネート(CAS RN 58011−68−0)、ピラゾキシフェン(CAS RN 71561−11−0)、トプラメゾン(CAS RN 210631−68−8)、[2−クロロ−3−(2−メトキシエトキシ)−4−(メチルスルホニル)フェニル](1−エチル−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾル−4−イル)−メタノン(CAS RN 128133−27−7)、(2,3−ジヒドロ−3,3,4−トリメチル1,1−ジオキシドベンゾ[b]チエン−5−イル)(5−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)−メタノン(CAS RN 345363−97−5)、イソキサクロルトール(CAS RN 141112−06−3)、イソキサフルトール(CAS RN 141112−29−0)、α−(シクロプロピルカルボニル)−2−(メチルスルホニル)−β−オキソ−4−クロロ−ベンゼンプロパンニトリル(CAS RN 143701−66−0)、並びにα−(シクロプロピルカルボニル)−2−(メチルスルホニル)−β−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−ベンゼンプロパンニトリル(CAS RN 143701−75−1)。
【0027】
以下の定義は、式I及び式IIにおいて使用される用語に適用される。
【0028】
アルキル部分(単独で、又はアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル等のより大きな基の部分として)は、直鎖又は分岐鎖であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル又はneo−ペンチル等が挙げられる。アルキル基は、好ましくはC−Cアルキル基であり、より好ましくはC−Cであり、そして最も好ましくはメチル基である。
【0029】
アルケニル及びアルキニル部分(単独で、又はアルケニルオキシ又はアルキニルオキシ等のより大きな基の部分として)は、直鎖又は分岐鎖の形態をとり、そしてアルケニル部分は、必要に応じて、(E)又は(Z)配位をとってもよい。例として、ビニル、アリル(allyl)及びプロパルギルが挙げられる。アルケニル及びアルキニル基は、好ましくは、C−Cアルケニル及びアルキニル基であり、より好ましくはC−Cであり、そして最も好ましくはC−Cアルケニル及びアルキニル基である。
【0030】
好ましくは、アルコキシアルキル基は、2〜8個の炭素原子又は酸素原子の長さの鎖を有する。アルコキシアルキル基の例として、2−メトキシ−エチルが挙げられる。
【0031】
ハロゲンは、一般的に、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくは、フッ素又は塩素である。ハロアルキルのように、他の用語とつなげられたハロゲンも同様である。
【0032】
ハロアルキル基は、好ましくは、1〜4個の炭素原子の長さの鎖を有する。ハロアルキルは、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリクロロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロエチル又は2,2,2−トリクロロエチル等が挙げられ;好ましくは、トリクロロメチル、ジフルオロクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はクロロフルオロメチルである。
【0033】
ハロアルコキシアルキル基は、好ましくは、2〜8個の炭素又は酸素原子の長さの鎖を有する。ハロアルコキシアルキル基の例として、2,2,2−トリフルオロエトキシメチル−が挙げられる。
【0034】
アルコキシアルコキシ基は、好ましくは、2〜8個の炭素又は酸素原子の長さの鎖を有する。アルコキシアルコキシ基の例として:メトキシメトキシ、2−メトキシ−エトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシメトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシメトキシ及びブトキシブトキシ等が挙げられる。アルコキシアルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子の長さの鎖を有する。アルコキシアルキルの例として、例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、n−プロポキシメチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシメチル又はイソプロポキシエチル等が挙げられる。
【0035】
アルコキシアルコキシアルキル基は、好ましくは、3〜8個の炭素又は酸素原子の長さの鎖を有する。アルコキシアルコキシアルキルの例として:メトキシメトキシメチル、メトキシエトキシメチル、エトキシメトキシメチル及びメトキシエトキシエチル等が挙げられる。
【0036】
シアノアルキル基は、1つ以上のシアノ基で置換されたアルキル基であり、例えば、シアノメチル又は1,3−ジシアノプロピル等が挙げられる。
【0037】
シクロアルキル基は、単環式又は二環式であってもよく、任意で1つ以上のメチル基で置換されてもよい。シクロアルキル基は、好ましくは、3〜8個の炭素原子、より好ましくは3〜6個の炭素原子を有する。単環式シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等が挙げられる。
【0038】
本願明細書中で、「アリール」という用語は、単環、二環又は三環であってもよい環系を指す。そのような環の例として、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、インデニル又はフェナンタレニル等が挙げられる。好ましいアリール基は、フェニルである。
【0039】
「ヘテロアリール」という用語は、1つ以上のヘテロ原子を含み、単環又は2つ以上の環が融合した環で構成される、芳香族環系を指す。好ましくは、単環であれば最大3つ、二環であれば最大4つのヘテロ原子を含み得て、それらのヘテロ原子は、好ましくは、窒素、酸素及び硫黄から選択され得る。そのような基の例として、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル等が挙げられる。好ましいヘテロアリール基は、ピリジンである。二環基の例として、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリニル、シンノリニル(cinnolinyl)、キノキサリニル及びピラゾロ[1,5−a]ピリミジニル等が挙げられる。
【0040】
「ヘテロシクリル」という用語は、ヘテロアリールに加えて、不飽和若しくは部分不飽和類似体を含むものとして定義され、例えば、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチオフェニル、クロメン−4−オニル、9H−フルオレニル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−ジオキセピニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ピペリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキサニル、4,5−ジヒドロ−イソキサゾリル、テトラヒドロフラニル及びモルホリニル等が挙げられる。
【0041】
上記方法において、除草剤は、作物が発芽する前に、及び/又は作物が発芽した後に、圃場に施用されてもよいことを理解されたい。好ましい態様において、除草剤は、作物が発芽した後に施用され、これは、「オーバーザトップ(over−the−top)」施用と称される。所望の雑草防除を達成するために、必要に応じて、単発又は複数回の施用が行われてもよい。
【0042】
「雑草」という用語は、任意の望まれない植物を指し、例えば、ダイズ作物の圃場における、キャリーオーバー、又は「意図しない(rogue)」若しくは「自然発生(volunteer)」作物等が挙げられる。
【0043】
典型的には、前記ヘテロ接合ポリヌクレオチドは、(i)植物の作用可能なプロモーターと作用可能に連結した(ii)HST酵素をコードする領域及び(iii)転写終結因子を保有する。典型的には、当該ヘテロ接合ポリヌクレオチドは、更に、葉緑体又はミトコンドリア等の細胞内小器官、好ましくは葉緑体がHST酵素の標的となることを可能にするポリペプチドをコードする領域を保有し得る。当該ヘテロポリヌクレオチドは、転写エンハンサー等を更に含み得る。更に、当該HST酵素をコードする領域は、体内でHST酵素の発現が必要とされる植物宿主に依存して、「コドン最適化」がなされてもよい。当業者は、本発明において利用された、植物の作用可能なプロモーター、転写終結因子、葉緑体移行ペプチド、エンハンサー等を、十分に承知している。
【0044】
前記HSTは、「野生型」酵素であってもよく、又は除草剤耐性植物の生産に関してより好ましい動力学的特性が得られるように改変されたものであってもよい。好ましい態様において、前記HSTは、以下のペプチドモチーフ:−
W−(R/K)−F−L−R−P−H−T−I−R−G−T;及び/又は
N−G−(Y/F)−I−V−G−I−N−Q−I−(Y/F)−D;及び/又は
I−A−I−T−K−D−L−P;及び/又は
Y−(R/Q)−(F/W)−(I/V)−W−N−L−F−Y
を1つ以上含むことを特徴とする。
【0045】
適切なHSTは、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)、グリシン・マックス(Glycine max)、オリザ・サティバ(Oryza sativa)又はクラミドモナス・レインハルドティイ(Chlamydomonas reinhardtii)に由来する。なおも好ましい態様において、HSTは、配列番号1〜配列番号10からなる群から選択される。配列番号1〜10において提供されるアミノ酸配列は、葉緑体移行ペプチドをコードする領域を含むHSTアミノ酸配列の例示であることを留意されたい。
【0046】
配列番号11〜20は、配列番号1〜10として記載されるHSTをコードするDNA配列に対応し、一方、配列番号21〜24は、移行ペプチド領域の無い切断された成熟HST配列をコードするDNA配列の例示である。
【0047】
配列番号25〜28において提供されるアミノ酸配列は、HPPDアミノ酸配列の例示であり、配列番号29〜32は、それらをコードするDNA配列である。HPPD阻害除草剤に対する耐性を付与するのに適したHPPDは、当業者に周知であり、例えばWO 02/46387が挙げられる。配列番号33は、TMV翻訳エンハンサーのDNA配列を提供し、そして、配列番号34は、5’末端でアラビドプシスHSTをコードするDNA配列と連結したTMV翻訳エンハンサーのDNA配列を提供する。
【0048】
前記方法に使用される作物が、更に、更なる除草剤耐性酵素をコードする更なるヘテロ接合ポリヌクレオチドを保有することを、更に理解されたい。更なる除草剤耐性酵素の例として、例えば、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)、グリホセートアセチルトランスフェラーゼ(GAT)、シトクロームP450、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)、アセト乳酸合成酵素(ALS)、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPGO)、フィトエンデサチュラーゼ(PD)、ジカンバ分解酵素(例えばWO 02/068607)及びアリールオキシ除草剤分解酵素(例えばWO2007/053482及びWO2005/107437で言及されるもの)からなる群から選択される、除草剤耐性酵素が挙げられる。
【0049】
上記方法において使用される農薬組成物は、更に、1つ以上の追加の農薬(特に除草剤)を含有してもよく、作物は、当該農薬に対して、本来的に耐性であるか、本明細書中に挙げる1つ以上の追加のトランス遺伝子の発現により抵抗性である。好ましい態様において、1つ以上の追加の除草剤は、グリホセート(その農薬として許容される塩を含む);グルフォシネート(その農薬として許容される塩を含む);クロロアセトアニリド、例えばアラクロール、アセトクロール、メトラクトール、S−メトラクロール;光化学系II阻害剤、例えば、アメトリン、アトラジン、シアナジン及びテルブチラジン(terbuthylazine)等のトリアジン、ヘキサジノン及びメトリブジン等のトリアジノン、並びにクロロトルウロン(chlorotoluron)、ジウロン、イソプロトウロン(isoproturon)、リンウロン及びテルブチウロン等の尿素等;ALS阻害剤、例えば、アミドスルフウロン、クロルスルフウロン、フルピルスルフウロン、ハロスルフウロン、ニコスルフウロン、プリミスルフウロン、プロスルフウロン、リムスルフウロン、トリアスルフウロン、トリフロキシスルフウロン及びトリトスルフウロン等のスルホニル尿素等;ジフェニルエーテル、例えばアシフルロフェン及びフォメサフェン等からなる群から選択される。
【0050】
本発明は、更に、植物の作用可能なプロモーターと作用可能に連結したHST酵素をコードする領域を含む組換えポリヌクレオチドを提供し、ここで、当該HST酵素をコードする領域は、配列番号11、配列番号12、配列番号14又は配列番号15において記載されるポリヌクレオチド配列を含まない。好ましい態様において、HST酵素は、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10からなる群から選択される。
【0051】
本発明は、なおも更に、(i)植物の作用可能なプロモーターと作用可能に連結したHST酵素をコードする領域、並びに(ii)植物の作用可能なプロモーターと作用可能に連結した追加の除草剤耐性酵素をコードする領域を含む、1つ以上の追加のヘテロ接合ポリヌクレオチドを含む、組換えポリヌクレオチドを提供する。当該追加の除草剤耐性酵素は、例えば、ヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)、5−エノールピルビルシキキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)、グリホセートアセチルトランスフェラーゼ(GAT)、シトクロームP450、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)、アセト乳酸合成酵素(ALS)、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPGO)、フィトエンデサチュラーゼ(PD)、及びWO 02/068607で言及されているジカンバ分解酵素からなる群から選択される除草剤耐性酵素からなる群から選択される。
【0052】
好ましくは、前記組換えポリヌクレオチドは、(i)植物の作用可能なプロモーターと作用可能に連結したHSTをコードする領域、及び(ii)植物の作用可能なプロモーターと作用可能に連結したHPPDをコードする領域を含む。また、当該ポリヌクレオチドが、それぞれ上記で例示した除草剤耐性酵素をコードする、2つ、3つ、又はそれ以上の追加の領域を含む場合もある。故に、他の好ましい態様において、前記組換えポリヌクレオチドは、(i)HST酵素をコードする領域、(ii)HPPD酵素をコードする領域、及び(iii)グリホセート耐性酵素をコードする領域を含む。
【0053】
更に、本発明は、本発明の組換えポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0054】
更に、本発明は、遺伝子組換えしていない同種植物と比較して、HST阻害除草剤及び/又はHPPD阻害除草剤に対する実質的な抵抗性又は実質的な耐性を呈する、HST酵素を過剰発現する遺伝子組換え植物に関する。本発明の形質転換植物は、典型的には、高温及び乾燥耐性等のストレス耐性の亢進を呈することも留意されたい。
【0055】
故に、本発明は、更に、遺伝子組換えしていない同種植物細胞と比較して、HST阻害除草剤及び/又はHPPD阻害除草剤に対する実質的な抵抗性又は実質的な耐性を呈する、HST酵素を過剰発現する遺伝子組換え植物細胞に関する。当該植物細胞は、上記本発明の組換えポリヌクレオチドを保有する。HSTをコードする領域及び1つ以上の追加の除草剤耐性酵素をコードする任意の領域は、同一の(「連結」)又は個別の、形質転換組換えポリヌクレオチド分子に含まれて提供され得ることを理解されたい。
【0056】
更に、前記植物は、遺伝子組換えにより更なる形質、例えば昆虫、真菌及び/又は線虫に対する抵抗性を付与するヘテロ接合ポリヌクレオチドを保有してもよい。
【0057】
更に、本発明は、本発明の植物細胞を含む、形態的に正常な稔性HST阻害剤耐性植物、植物細胞、組織及び種子を提供する。
【0058】
形質転換植物又は植物細胞として、限定されないが、農作物、果物及び野菜が挙げられ、例えば、キャノーラ、ヒマワリ、タバコ、サトウダイコン、綿花、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、ソルガム、トマト、マンゴー、モモ、リンゴ、ヨウナシ、イチゴ、バナナ、メロン、マンゲルワーゼル(mangelworzel)、ジャガイモ、人参、レタス、キャベツ、タマネギ等が挙げられる。特に好ましい遺伝子改変植物は、ダイズ植物、サトウキビ、エンドウ、農芸用のマメ、一般的なブドウ、柑橘類、アルファルファ、ライ、オーツ、芝生及び飼料草、亜麻及び菜種、並びに既に述べたもの以外の木の実を生じる植物である。本方法の特に好ましい態様において、前記植物は、双子葉植物であり、好ましくは、キャノーラ、ヒマワリ、タバコ、サトウダイコン、ダイズ、綿花、ソルガム、トマト、マンゴー、モモ、リンゴ、ヨウナシ、イチゴ、バナナ、メロン、ジャガイモ、人参、レタス、キャベツ、タマネギであり、特に好ましくは、ダイズである。更に好ましい態様において、上記植物は、トウモロコシ又はイネである。好ましくは、本発明の植物は、ダイズ、イネ又はトウモロコシである。また、本発明には、上記の植物の子孫、並びに、そのような植物及び子孫の種子又は他の育苗材料が含まれる。
【0059】
特に好ましい側面において、本発明の組換えポリヌクレオチドは、式Ia又はIgの化合物からなる群から選択されるHPPD化学のクラスのHPPD阻害除草剤による傷害から、ダイズ作物を保護するために使用される。更なる態様において、当該HPPD阻害除草剤は、スルコトリオン、メソトリオン、テンボトリオン、並びに、Xが窒素であり、RがCF、CFH又はCFHであり、並びに/又はR及びRが一緒にエチレンの橋を形成する、式Iaの化合物から選択される。
【0060】
なおも更に、本発明は、植物材料を、HST酵素をコードする領域を保有する組換えポリヌクレオチドで形質転換する工程、当該形質転換した植物材料を、HST阻害剤及び/又はHPPD阻害剤を使用して選択する工程、当該材料を形態的に正常な稔性植物に再生させる工程を含む、HST阻害及び/又はHPPD阻害除草剤に耐性の遺伝子組換え植物を生産する方法を提供する。好ましい態様において、当該形質転換植物材料は、HST阻害除草剤を、単独で、又はHPPD阻害除草剤と組み合わせて使用して選択される。
【0061】
更に、本発明は、HST酵素をコードする領域を植物の形質転換の選択マーカーとして保有する、組換えポリヌクレオチドの使用、及び、HSTの阻害により全体的に又は部分的に機能する除草剤に耐性を有する植物の生産における、HST酵素をコードする領域を保有する組換えポリヌクレオチドの使用に関する。
【0062】
なおも更に、本発明は、植物形質転換における選択剤としてのHST阻害剤の使用、及び潜在的な除草剤のインビトロスクリーニングにおける組換えHST酵素の使用に関する。
【0063】
なおも更に、本発明は、HPPD阻害除草剤(上記で定義した)、及びHST阻害除草剤(上記で定義した)を含有する、除草組成物、好ましくは相乗的な除草組成物を提供する。当該組成物中のHPPD阻害除草剤とHST阻害除草剤との比率は、任意の適切な比率をとり、典型的には、100:1〜1:100、好ましくは1:10〜1:100、なおもより好ましくは1:1〜1:20である。当業者は、最適な比率が、日常的な実験の最適化の事項としてもたらされ得る、2つの除草剤の相対的な強度及び範囲に依存するであろうことを認識し得る。
【0064】
前記除草組成物は、更に、1つ以上の追加の農薬成分を含有する場合もある。当該追加の農薬として、例えば、除草剤、殺真菌剤又は殺虫剤(例えばチオメトキサム)等が挙げられるが、除草剤が好ましい。故に、当該追加の除草剤は、好ましくは、グリホセート(その農薬として許容される塩を含む);グルフォシネート(その農薬として許容される塩を含む);クロロアセトアニリド、例えばアラクロール、アセトクロール、メトラクトール、S−メトラクロール;光化学系II(PS−II)阻害剤、例えば、アメトリン、アトラジン、シアナジン及びテルブチラジン等のトリアジン、ヘキサジノン及びメトリブジン等のトリアジノン、並びにクロロトルウロン(chlorotoluron)、ジウロン、イソプロトウロン(isoproturon)、リンウロン及びテルブチウロン等の尿素等;ALS阻害剤、例えば、アミドスルフウロン、クロルスルフウロン、フルピルスルフウロン、ハロスルフウロン、ニコスルフウロン、プリミスルフウロン、プロスルフウロン、リムスルフウロン、トリアスルフウロン、トリフロキシスルフウロン及びトリトスルフウロン等のスルホニル尿素等;ジフェニルエーテル、例えばアシフルロフェン及びフォメサフェン等からなる群から選択される。PS−II除草剤は、そのような混合物が特に良好な効率を呈するようにするのに特に好ましい。
【0065】
故に、本発明は、なおも更に、雑草を防除する量の上記で定義した相乗的な除草組成物を圃場に施用することを含む、作物及び雑草が生育する圃場で選択的に雑草を防除する方法を提供する。本発明の更なる態様において、HPPD及びHST阻害除草剤は、混合物として同時に施用されるのではなく、連続的な噴霧により施用される。故に、例えば、本発明の雑草防除の計画において、HST除草剤は、HPPD除草剤が既に予め施用された作物の圃場に施用されるのが有利であり得る。通常、当該連続的施用は同一の季節において行われるが、特に、より持続的なHPPD除草剤の場合は、HST阻害除草剤が、後の季節に施用される場合もある。加えて、HST阻害除草剤は、HPPD阻害除草剤が1つの季節のより早期に、又は前の季節に施用されさえする、雑草防除の計画の部分として使用されるのが有利である。
【0066】
前記HPPD阻害除草剤は、例えば1〜1000g/ha、より好ましくは2〜200g/ha等の、任意の適切な割合で圃場に施用されてもよい。同様に、当該HST阻害除草剤は、例えば10〜2000g/ha、より好ましくは50〜400g/ha等の、任意の適切な割合で施用されてもよい。
【0067】
他の態様において、前記HPPD阻害除草剤は、他の除草剤の非存在下で施用された場合に雑草に対して致死未満量(sub−lethal)となる割合で、圃場に施用される。実際の致死未満量の割合は、存在している雑草の種類及び実際のHPPD阻害剤に依存し得るが、典型的には、50g/ha未満であり、好ましくは10g/ha未満である。故に、本発明は、更に、HST阻害除草剤の雑草防除効率を増大させるための、致死未満量のHPPD阻害除草剤の使用を提供する。
【0068】
本発明は、更に、以下の非限定的な実施例及び配列表から、更に明確になるであろう。
【0069】
配列表
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


【表10】


【表11】


【表12】


【表13】


【表14】

【実施例】
【0070】
様々な最初の植物形質転換事象(event)の除草剤耐性又は抵抗性レベルの平均及び分布を、異なる除草剤の濃度範囲で、植物のダメージ及び分裂組織の白化に基づいて、通常の方法で評価する。これらのデータは、例えば用量/応答性の曲線から得られるGR50値等の観点から表現され得る。当該用量/応答性の曲線は、x軸に「用量」を表示し、y軸に「死滅パーセンテージ」、「除草効果」、「緑色植物の発芽数」等を表示する。例えば、GR50値の増大は、内在的な阻害剤耐性のレベル(例えばKi x kcat./KmHPP値の増大)、並びに/又は発現されるHPPD及び/若しくはHSTの発現レベルの増大に対応する。
【0071】
下記実施例は、表A〜Fに記載される様々なHST阻害除草剤を使用して実施される。
【表15】


【表16】


【表17】


【表18】


【表19】


【表20】

【0072】
実施例1
昆虫細胞及びE. coliを用いた植物HST酵素のクローニング及び発現
cDNAライブラリーから得られたアラビドプシス(配列番号11)及びイネ(配列番号12若しくは配列番号13)、又は合成した、完全長HSTコード配列(ATG開始コドンを除く)を、EcoRIフランク部位を加えて増幅する。これらの、完全長配列、及び切断コード配列(ARG 64から開始する成熟配列をコードし、アラビドプシスのものは配列番号21、イネのものは配列番号22及び23である)を、両方ともpAcG3Xベクター(BD Biosciences Cat. No. 21415P)中のEcoRI部位に挿入してクローニングし、これらを用いてSf9 (スポンドプテラ・フギペルダ(Spodoptera fugiperda))昆虫細胞を(下記のように)形質転換して、細胞中で、Xa因子開裂部位を有するN末端GST融合タンパク質として、発現させた。同様に、変異した切断成熟(ARG 69)アラビドプシスHSTをコードする、昆虫細胞にコドンを最適化したDNA配列(配列番号24)を、pAcG3XのEcoRI部位に挿入してクローニングし、これをSf9細胞中でN末端GST融合タンパク質として発現させた。アラビドプシスHSTのSWISSPROT受入番号(タンパク質)は、Q1ACB3であり、アラビドプシスHSTのEMBL受入番号(DNA)は、DQ231060である。
【0073】
あるいは、アラビドプシス及びクラミドモナスの成熟HSTコード配列は、GST N末端融合タンパク質としてクローニングされ、E. coli中で発現させられる。
【0074】
実施例2
細胞の増殖及びHST酵素抽出物の調製
GST N末端融合タンパク質として成熟アラビドプシス又はクラミドモナスHSTを発現する、E. coli BL21A1細胞を増殖させ、回収し、破砕し、そしてHSTを発現している膜フラクションが得られる。
【0075】
例えば、1ngの組換えDNAを使用して、BL21DE3細胞を形質転換することにより、多くの個別のコロニーを取得する。これらのコロニーの1つをピックアップし、最終濃度50μg/mlのカナマイシンを添加したLuria Broth(LB)100mlに播種し、220rpmで振盪しながら、37℃で一昼夜培養する。翌朝、一昼夜培養した菌液10mlを用いて、最終濃度50μg/mlのカナマイシンを添加した新しい滅菌LB 1Lに播種し、これをODが600nmで0.6になるまで、37℃、220rpmで振盪培養し、その後0.1mlのIPTGの添加により誘導をかけ、そして15℃で一昼夜、誘導し続ける。細胞を、4℃で10分間、4600rpmで遠心分離し、そしてペレットを−80℃で保存する。例えば、菌液1Lから、湿重量約5gの細胞ペレットが得られることがわかっている。それから、E. coli細胞ペレットを、Roche製EDTA不含プロテアーゼ阻害剤錠剤(バッファー200mlに1錠)を添加したpH7.5の50mM Tris 25mlに再懸濁する。10mlの菌液を氷上でソニケーションにより溶解させる。得られた細胞のライゼートと、3000gで10分間遠心分離して、細胞核/デブリ等をペレットにする。上澄10mlを吸引し、これを150,000gで60分間、4℃で遠心分離する。膜を含有するペレットを、2mlの上記バッファー中に再懸濁する。これらの試料を、50% v/vとなるようにグリセロールを添加して希釈した後、100μlずつ分注して−80℃で保存する。
【0076】
pAcG3Xに由来する、HSTを発現する移入ベクター(上記)は、独立して、親バキュロウイルスベクターのFlashBac(Oxford Expression Technologies)と共に、Sf9懸濁細胞中に、同時に導入される。バキュロウイルスの増幅及びHSTタンパク質発現は、取扱説明書に従い実施される。
【0077】
Sf9懸濁培養細胞を、500mlErlenmeyerフラスコ中の、140mlのSfP0011培地(Invitrogen Cat No.10902)中で、1.0 EXP 6細胞/mlの密度で、二次培養する。27℃で24時間、120rpmで振盪培養した後、細胞密度を測定し、そして、140ml中に2.0 EXP 6細胞/mlとなるように再調整する。既知のタイターの増幅したウイルスストックを調製された懸濁フラスコに添加して、多重度を10とする。フラスコを密封し、27℃で72時間、125rpmで振盪培養し、細胞を溶解せずに、適切にタンパク質を発現させる。フラスコの内容物を均等に50mlファルコンチューブに分け、そして9000rpmで4分間遠心分離することにより、細胞を回収する。3mlの細胞ペレットを残して培地を捨て、これを液体窒素で急速に凍結して、そして−80℃で維持する。
【0078】
25mlのSf9細胞から得たペレット(4日間の発現の誘導後)を、Roche製EDTA不含プロテアーゼ阻害剤錠剤(バッファー200mlに1錠)を添加したpH7.5の50mM Tris 10mlに再懸濁し、それから手動ホモジナイザーを使用してホモジナイズする。得られた細胞ライゼートを、3000gで10分間遠心分離して、細胞核/デブリ等をペレットにする。上澄10mlを吸引し、これを150,000gで60分間、4℃で遠心分離する。膜を含有するペレットを、1mlの上記バッファー中に再懸濁する。これらの試料を、50% v/vとなるようにグリセロールを添加して希釈した後、100μlずつ分注して−80℃で保存する。
【0079】
発現のモニタリングのためのウエスタンブロットは、HRPコンジュゲート抗GST抗体(GE Healthcare、ワーキング希釈率1:5000)とのインキュベーション、続いてECL(GE Healthcare)とのインキュベーションにより行われる。
【0080】
アッセイ用のHST酵素の調製品も、新鮮な植物材料から直接調製される。例えば、HST酵素調製品は、ホウレンソウから得られる。第一の工程において、無傷のホウレンソウの葉緑体を、2ロットの500gの新鮮な若いホウレンソウの葉(例えば地元のスーパーマーケットの生鮮食品売り場にある)から調製する。包装されたホウレンソウは、通常洗ってあるが、葉が汚れているものを買った場合は、加工前に水中ですすがなければならない。柄、大きな葉及び中脈を除去する。各500gのロットの葉を、2Lのプラスチックビーカー中の1.5Lの「グラインド媒体」中に加える。グラインド媒体は、pH7.1で、330mMのグルコース、2mMのイソアスコルベート、5mMのMgCl2、及び0.1%のウシ血清アルブミンを含有する、低温(4℃)の、トリシン/NaOH緩衝液である。前記ビーカーを4℃に維持して、1.5’’カッティングプローブを取り付けたPolytron 6000ブレンダーに置き、中の混合物を、全ての葉が浸軟(macerated)するまで、8秒間、8〜10Krpmで、一気に攪拌する。このホモジネートを、5Lのビーカー(氷の中に立てた)中で、4層のムスリン及び2層の50μメッシュナイロン膜を通して濾過する。濾液をBeckman GS−6遠心分離機の250mlバスケットに移し、200xg(3020rpm)で2分間、4℃で回転させる。上澄を吸い取ると、葉緑体の堆積物が残る。葉緑体を、数mlの低温の再懸濁媒体中で、穏やかに旋回し、そして再懸濁媒体中に浸されたクイルブラシ(quill brush)を穏やかに使用して、再懸濁する。再懸濁媒体は、330mMのソルビトール、2mMのEDTA、5mMのKHPO、2mMのMgCl2及び0.1%のウシ血清アルブミンを含有する、pH7.8の50mM Hepes/KOHである。前記葉緑体は、5〜10mLの再懸濁緩衝液中に再懸濁されており、これを再び遠心分離し、更に再び再懸濁して、洗浄を行う。そして、当該葉緑体をもう一度遠心分離で沈殿させ、そしてタンパク質濃度が約40mg/mlとなるように、pH7.8の50mM トリシン−NaOHを約5ml用いて再懸濁する。この溶液を分注して、−80℃で凍結保存する。この再懸濁物を解凍し、HST活性アッセイに直接使用する。あるいは、葉緑体は、330mMのソルビトールを含有するpH7.8の50mM Tris/HCl緩衝液(代替再懸濁緩衝液)中に再懸濁され、そしてペルコール勾配(45%ペルコールを含有する上記緩衝液)上に重層されこれをスピンダウンし、無傷の葉緑体を取得する。これを前記代替再懸濁緩衝液中で2〜3回洗浄し、再びスピンダウンし、破壊緩衝液(ソルビトール不含)中に再懸濁し、瞬間凍結させ、分注して−80℃で保存する。
【0081】
実施例3
HST酵素のアッセイ
プレニルトランスフェラーゼ(HST)活性は、ファルネシル2リン酸(FDP)をプレニル供与体として使用する、[U−I4C]ホモゲンチセートのプレニル化の割合を判定することにより測定される。14Cホモゲンチセートは、Lアミノ酸オキシダーゼ及びHPPDを使用して、14Cチロシンから調製される。
【0082】
阻害因子の試験において、化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解する。2%v/vまでであれば、DMSOはアッセイに影響しない。対照アッセイは、阻害剤を含有するアッセイの場合と同じDMSO濃度で行われる。
【0083】
ホウレンソウの葉緑体(最終体積100μl)を用いたアッセイにおいて、最大2mgの葉緑体タンパク質、50mMのpH8.5 トリシン/NaOH、50mMのMgCl、200μMのファルネシル2リン酸(FDP)及び26μMの14C−ホモゲンチセート(167dpm/pmol)が含まれる。アッセイは、28℃で約1時間実行される。阻害因子の実験において、最終濃度500ppmのハロキシジンは、前記反応を完全に阻害することが見出される。あるいは、0秒で反応を停止して溶媒抽出を行ったものも、ベースライン参照となる。親油性反応産物は、本質的には本文中に記載されるように、抽出及び解析される。
【0084】
E. coliの細胞膜中に発現している前記組換えクラミドモナスHSTは、50mMのpH8.5 トリシン/NaOH、20mMのMgCl中の200μMのFDP及び100μMのホモゲンチセート(40dpm/pmol)を含む、標準的な反応混合物中でアッセイされる。アッセイは、酵素の添加により開始され、28℃で最長20分間実行される。
【0085】
組換えアラビドプシス及びイネHSTを、昆虫細胞中で発現させる。アッセイは、温度を27℃とする以外は、クラミドモナスHSTと同様に行われる。アッセイは、300μlの溶媒混合物(クロロホルム:メタノール、1:2)及び100μlの0.5%NaClで停止され、振盪/混合され、そして、ベンチトップエッペンドルフ遠心分離機中で、5分間回転させられる。80μlの下層の抽出物をTLCプレート(silica Gel 60、20cm x 20cm)FLA3000システムにロードし、ジクロロメタン中で35分間展開する。Fuji Phosphoimagerを使用して放射能を定量し、そして産物の量の定量的尺度として、バンド強度を組み入れる。酸化及び還元された2−メチル−6−ファルネシル−1,4−ベンゾキノール(MFBQ)に対応するバンドが同定され、それら2つのバンド強度の合計を計算して、MFBQ産物形成の全体量を推定する。例えば、8pmolのMFBQ min−1mg−1タンパク質(23pmol)及び7pmolのMFBQ min−1mg−1タンパク質(14pmol)の特異的活性は、それぞれ、トランスフェクションの4日後及び5日後の昆虫細胞の細胞膜中に発現しているGST融合切断アラビドプシスHST(配列番号3)を推定する。同様の結果が、E. coliに発現させたアラビドプシスHSTの過去の論文に述べられている。昆虫細胞に発現させたGST融合切断イネHST(配列番号4)の活性も、同様である。GST融合タンパク質としての、非切断HSTコード配列の発現も、HST活性を有する。昆虫細胞に最適化されたGST融合切断アラビドプシスHST(配列番号23)の発現は、特異的活性において、非最適化遺伝子の約3〜10倍の増大を示す。
【0086】
上記アッセイを使用して、一定の範囲の阻害因子の存在下で形成されるMFBQの量の、阻害因子非存在下で対照における量に対する阻害パーセンテージが報告される(表1)。良好な阻害因子は、低用量で優れた阻害パーセンテージをもたらす。
【0087】
上記反応条件下でアッセイされる全てのHST酵素調製物において、MFBQの形成は、14Cホモゲンチセート(HGA)からHSTにより触媒される唯一の反応ではないことが見出されている。実際に、14C HGAからの主要な(〜90%)放射性ラベル産物は、MFBQではない。これらの意図しない他の産物は、クロロホルム/メタノール中に同様に抽出されるが、ジクロロメタンTLCにおいて、ベースラインに、又はベースライン付近に留まることが見出される。4つの明らかな14Cラベルされたバンド(2組のキノン/キノールのペアに対応すると予想される)は、ジクロロメタン:ヘキサン:アセトニトリル:蟻酸が12:3:5:0.5の溶媒を用いた2次元目のTLCにおいて、部分的に分解される。そのようなバンドは、FPPの非存在下(又はFPPがピロリン酸塩に代えられているとき)で認められないことから、これらのバンドは、ファルネシル化と脱カルボキシル化が緊密に関連していないことにより形成されると仮定される。即ち、脱カルボキシル化を伴わないファルネシル化によりカルボキシル化MFBQが生じ、ファルネシル化を伴わない脱カルボキシル化により、メチルキノール/キノンが生じる。それらの正体が何であれ、MFBQより極性のこれらの産物は、全て真正の酵素反応の産物であることは明白である。なぜなら、FDPの非存在下で、又は非遺伝子組換え(HST非発現の)細胞膜を使用した場合、それらは形成されないからである。加えて、ハロキシジン等の阻害因子が、用量に応じて、前記他の産物の形成を阻害し、その阻害がMFBQの形成の阻害に明らかに共線状(co−linear)であることが見出されている。故に、HST酵素反応をほぼ完全に阻害する500ppmのハロキシジンの存在下では、MFBQ及び前記他の産物のいずれも形成されない。
【0088】
故に、改良された、より高感度及び簡便な形式の上記アッセイにおいて、TLC工程は、100%阻害の「対照」として500ppmのハロキシジン(又は適切な濃度の他の阻害因子)による処理が使用され、そしてクロロホルム/メタノール抽出物の一部が直接シンチレーションバイアルに取られ、定量されることにより行われる。
【0089】
これらのアッセイは、通常、100μMの14C HGA、25℃、20分未満(即ち対照アッセイの速度が線形である期間にわたり)で、そしてHillの式に適合する曲線(傾き、nの変更が可能)からIC50が得られるように使用される試験阻害因子の濃度範囲で行われる。
【0090】
結果
【表21】


【表22】


【表23】


表1
様々な原料(表示される)に由来するHSTを使用して行われた、様々な濃度の様々な化合物における、(対照に対する)HST反応の阻害パーセンテージの計測結果を示す。アッセイはTLCに基づき、MFBQの生成量が推定された。
【表24】


【表25】


表2
全抽出(TLCではなく)アッセイに基づく、アラビドプシスHSTの阻害のIC50の推定値を示す。これらの推定値は、HPP濃度50μMのみで実施された3点の用量曲線から得られた。
【0091】
実施例4
ヘテロ接合HST酵素を発現するステーブル遺伝子組換え植物株の調製
例えば、配列番号11のアラビドプシスHSTを、二重の35s CMVプロモーター配列及びTMV翻訳エンハンサー配列の下流かつnos遺伝子由来の3’ターミネーターの上流にクローニングする。この発現カセットをpMJB1(WO98/20144に記載)中にライゲーションし、そしてpBIN19内にライゲーションし、そして、植物形質転換に先立ち、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株LBA4404を形質転換する。
【0092】
例えば、配列番号11の完全長アラビドプシスHSTを、オーバーラップPCRにより、TMV翻訳エンハンサー配列(配列番号33)と融合させ、そして同時に、PCRにより、5’XhoI部位及び3’LpnI部位を追加する。部位特異的突然変異により、内在的XhoIが除去される。TMV/HPPD融合体を、XhoI/KpnIを用いた消化によりpBIN19から取り出し、TMV/HST融合体(配列番号34)と入れ替える。こうして、TMV/HST融合体は、二重の35sプロモーターの下流かつnos遺伝子由来の3’ターミネーターの上流にクローニングされる。前記改変されたpBIN19ベクター(「pBinAT HST」)を再びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株LBA4404に形質転換する。
【0093】
同様に、植物の形質転換用のベクターは、任意のHST及び配列番号12〜20等のDNA配列を含むように構築される。
【0094】
あるいは、ベクターは、光合成原核生物、高等及び下等植物由来のHSTをコードするDNAを含み、それらの配列は、当業者に公知の方法を使用して、cDNAライブラリーから得られる。例えば、5〜20日齢の植物の苗から、Tri−Zol抽出(Life Technologies)を用いて、トータルRNAが調製される。例えば、アベナ・サティバ(Avena sativa)から、Oligotex mRNA精製システム(Qiagen)を使用して、mRNAが調製される。例えば、A.サティバHST遺伝子の5’末端は、内在的HST遺伝子に特異的なプライマー(HSTコンセンサス領域、例えば配列番号35、36、37及び38等に基づく)と共にGene Racer kit(Invitrogen)を使用して実施される、5’RACEを使用して同定される。遺伝子の3’末端は、適切なオリゴdTプライマー及び適切な内在的HST遺伝子プライマーと共にThemoscript RT(Life Technologies)を使用しての3’RACE、及びその後のPCRにより同定される。全ての方法は、様々な製造業者が提供するプロトコルに従い行われる。5’及び3’RACE反応で得られる産物は、pCR2.1 TOPO(Invitrogen)中にクローニングされ、クローニング産物は、ユニバーサルM13フォワード及びリバースプライマーを使用して、自動ABI377 DNAシークエンサーでシークエンシングされる。そして、プライマーがそれぞれHST遺伝子の翻訳開始及び終結コドンに合わせて設計される。両プライマーは、完全長コード配列を取得するために、One−step RTPCR kit(Qiagen又はInvitrogen)と共に使用される。取得される産物は、pCR 2.1 TOPO中にクローニングされ、シークエンシングされ、そして当業者に公知の配列(例えば本明細書中のHST配列)と比較することにより、HSTとして同定される。
【0095】
マスタープレートのバイナリーベクターpBinAT HST(上記)又は異なるHSTを含む類似のバイナリーベクターを保有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の単一細菌コロニーを、100mg/lのリファンピシン及び50mg/lのカナマイシンを含有する10mlのLBに播種する。これを、200rpmで攪拌しながら、28℃で一昼夜インキュベーションする。この菌液を、50mlの体積のLA(抗生物質添加)に播種する。これを再び、200rpmで攪拌しながら、28℃で一昼夜インキュベーションする。アグロバクテリウム細胞を、3000rpmで15分間遠心分離することによりペレット化し、そして30g/lのスクロースを含む、pH5.9のMS培地中に懸濁し、OD(600nm)=0.6にする。この懸濁物を、ペトリ皿に25mlずつ分注する。
【0096】
クローナル微小育苗タバコシュート栽培物(shoot culture)から、若い(まだ完全に展開していない)葉を切り出す。中脈及び葉の外側のマージンを取り除き、残ったラミナを、1cm角にカットする。これらを、アグロバクテリアの懸濁液に移し、20分間置く。そして、外植片を取り出し、滅菌濾紙の上に置いて余分な懸濁液を取り除き、これを、NBM培地(8g/lのプラントアガーで固形化した、MS培地、30g/lのスクロース、1mg/lのBAP、0.1mg/lのNAA、pH 5.9)に、背軸面が培地と接触するように置く。プレートあたり約7個の外植片を置き、それらを密封し、照明付きのインキュベーター中、明期16時間で3日間維持する。
【0097】
そして、外植片を、100mg/lのカナマイシン及びアグロバクテリアの更なる増殖を防ぐ抗生物質(200mg/lのチメンチン及び250mg/lカルベニシリン)を含む、NBM培地に移す。同一の培地上での更なるサブカルチャーを、2週間ごとに行う。
【0098】
シュートの外植片からカルスが形成され始めたら、これらをシュート伸長培地(MS培地、30g/lのスクロース、8g/lのプラントアガー、100mg/lのカナマイシン、200mg/lのチメンチン、250mg/lのカルベニシリン、pH5.9)に取る。ステーブル遺伝子組換え植物は、2週間以内に発根を開始する。最終的に遺伝子組換え植物あたり2つ以上の除草剤試験が可能となるように事象あたり複数の植物を生産するため、全ての発根シュートを育苗して、3つ以上の発根クローンを生じさせる。
【0099】
カナマイシンを含有する培地上で、発根し、活発なシュートの成長を示す、推定遺伝子組換え植物は、前記アラビドプシスHSTトランス遺伝子内の500bpを増幅したプライマーを使用してのPCRにより解析される。形質転換されていないタバコにおける同一のプライマーセットを使用しての評価により、これらのプライマーが本来のタバコHST遺伝子の配列を増幅し得ないことが、決定的に示されている。
【0100】
外来HST発現の相対レベルを大まかに評価するため、独立したPCRで陽性のタバコシュートの若葉を採取し、1cm角に切り、そして1mg/lのハロキシジンを含むNBM培地上に置く。これらの葉の外植片はカルスを形成し、最終的にシュートを再生する。これらのHSTを過剰発現する外植片は、緑色のカルス及びシュートを再生した。形質転換しなかった外植片又はHST発現が限定的な形質転換体の外植片は、脱色したカルス、及び萎縮し、脱色したシュートを形成し、最終的には死滅した。
【0101】
PCR陽性の事象は、ハロキシジンの存在下での、緑色のシュートを生ずるカルスの増殖に対応し(スコア>=3)、それらの多くのものが、非形質転換対照材料よりも良好な、一定レベルの耐性を呈することが見出される。
【0102】
発根した遺伝子組換えT0小植物(plantlet)を寒天から取り、50%ピート、50%John Innes soil no 3、又は例えばMetromix(登録商標)380soil (Sun Gro Horticulture, Bellevue, WA)等に徐放性肥料を混ぜたものを入れた3インチの円形、又は4インチの角型ポットに植え、温室中で8〜12日間、通常の給水条件で維持する。温室の条件は、日中約24〜27℃;夜間18〜21℃で、明期は約14時間である(英国の夏季)。湿度は〜65%で、光度は、ベンチレベルで最大2000μmol/mである。新しい組織が発生して、植物が2〜4枚の葉を有する段階となったら、各事象のクローンの幾つかに、0.2〜0.25%のX−77界面活性剤及び水に溶解した試験化合物を噴霧する。噴霧は、植物の頂点から約2インチの高さにノズルを備えたDeVriesスプレーチャンバー中で、2mphで移動する適切なトラックスプレーヤーを用いて行う。噴霧体積は、適切には1エーカーあたり25ガロンであり、例えば2000l/haである。
【0103】
試験化合物は、例えば、化合物2.3では500g/haで施用される。遺伝子改変植物が噴霧を受けるのと同時に、種子から成長させたw/tサムスンタバコ(Samsun tobacco)植物、並びに組織培養から再生した非遺伝子改変植物及び組織培養を行わなかった非遺伝子改変植物にも噴霧をした。ダメージは、同様のサイズ及び発生段階の非噴霧対照植物との比較により評価する。
【0104】
【表26】


表3
化合物2.3(表中で化合物3と表記される)処理11日後の、アラビドプシスHST遺伝子改変タバコ植物の評価を示す。非処理対照と比較して、全ての植物が、50Og/haの処理で影響を受け、矮小化し、そして成長が遅れる。しかしながら、分裂組織が白色化し、本質的に死滅する対照と異なり、多くのHST遺伝子組換え植物は、分裂組織が緑色で、復活し、そして一部のものは、本質的に脱色していない。植物は、0〜10のスケールで評点され、0は、本質的に脱色し/焼け、及び分裂組織が死滅/白色化した状態を意味し、そして10は、植物全体が緑色でダメージを受けていないように見えるものを意味する。
【0105】
上記実験に加えて、E9及びF6の2つのアラビドプシスHST発現遺伝子組換え植物株を、成長段階が僅かに進んでいる(4〜5葉)点を除いて上記方法と同様に、250g/haのハロキシジンで処理した。処理の8日後、w/t植物は、55〜65%のダメージを受け、F6系は50〜75%のダメージを受け、一方、E9系は僅か20〜40%のダメージしか受けていなかった。
【0106】
処理の25日後、前記w/t及びF6植物は発育が阻害され、脱色し、及び矮化したままであった(50〜70%ダメージ)が、一方、E9植物は、良好な健康状態で、サイズも非処理コントロール植物に近かった。よって、アラビドプシスHTSの発現は、ハロキシジンに対する抵抗性を付与する。
【0107】
前記植物は、処理後28日が最長の、様々な処理後時間において、評価される。HST除草剤からのダメージが最も少ない事象(C8、G9、E9)において、植物を、開花させ、袋をかぶせ(bagged)、そして自家受粉させる。選択された事象で生じた種子を採取し、再びポットに播種し、そして除草剤抵抗性の噴霧試験において、除草剤抵抗性を再び試験する。T1植物株の中で、単一コピーの事象は、分離比が3:1であることにより(例えば、コンストラクトに依存して、カナマイシン選択及びwrt除草剤耐性形質の両方を有することにより)、及び定量的RT−PCRにより、同定される。
【0108】
実施例5
アラビドプシスHST、アベナHPPD又はシュードモナスHPPDを発現するように形質転換したT1及びT2遺伝子組換え植物の生産及び更なる試験
上記実施例のT0遺伝子組換えタバコ植物株B8及びG9を、自家受粉させる。各株の自家受粉により得られた種子の約50個を、3インチのポットに入れた土/ピート混合物に植え、温室中で7〜10日育て、そして、500g/haの化合物2.3を噴霧する(全て前記実施例と同じ)。各株において、約3/4の植物が前記除草剤に対して有意な抵抗性を示し、そしてそれらの幾つかの植物(恐らく単一挿入事象のホモ接合体)は、最高の抵抗性を見せる。より高度に耐性のT1植物の幾つかを再び自家受粉して、T2植物のバッチを生産する。
【0109】
6個のw/tサムスンタバコの種子、並びに8つの事象B8及びG9の種子を3インチのポットに植え、7〜12日間育て、そして、上記実施例のように、それらの小植物を、様々な化合物に対する抵抗性を試験するために噴霧試験に付し、そして処理の14日後に評価を行う。化合物は、0.7%のX77中で製剤化され、200l/haの噴霧体積で噴霧される。結果は、下記表4に描写されている。この結果は、除草剤耐性形質の遺伝性を明確に実証する。また、この結果は、また、これらの結果は、明らかな非遺伝子組換え分離個体は除いて、遺伝子組換えアラビドプシスHSTタバコT1植物は、化合物2.15及び2.30を用いて試験した場合にHST除草剤に対して抵抗性を有するが、その形質は特異的であり、それらの植物は、ノルフルラゾン及びアトラジン等の、試験された他の2つの除草剤に対して顕著な耐性を有していないことを示す。
【0110】
【表27】


表4
様々な除草剤による処理後14日での、アラビドプシスHST株B8及びG9のT1稔性植物に対する、除草剤のダメージ%の評価を示す。
【0111】
二重強化35S CMVプロモーター領域、Nos3’ターミネーター及びTMV翻訳エンハンサーの操作可能な支配化にある、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)株87−79の野生型HPPD遺伝子を発現するタバコ植物は、WO0246387の実施例4に詳述されているようにして、生産された。メソトリオンに対する耐性を呈するT0事象を自家受粉して、単一挿入T1株(除草剤耐性及びカナマイシン選択の形質の分離比が3:1である)を生産し、これを再び更に自家受粉して、C2と表記されるT2株が得られる。
【0112】
野生型タバコ植物の種子、C2タバコ植物及び更なるアラビドプシスHST発現タバコ株のT1子であるD2の種子を、3インチのポットに植え、それらを育て、表5に示す割合で、化合物1.1、2.30及び3.6を噴霧した。処理後7日での、ダメージパーセントの評点を評価した。推定非遺伝子組換え分離個体を除いて、アラビドプシスHST発現コンストラクトを保有するD2株は、前記2つのHSTに対して最高度の耐性を示したが、シュードモナスHPPDを保有するC2株は、この試験の条件下での最低限の耐性しか生じない。
【0113】
【表28】


表5
様々なHST阻害因子に対する、野生型(WT)サムスン、C1及びD2タバコラインの試験を示す。結果は、処理の7日後でのダメージ%で描写する。
【0114】
【表29】


表6
メソトリオンで処理したアラビドプシスHSTタバコのT0株の試験を示す。アラビドプシスHSTで形質転換したタバコの5つの株は、10g/haのメソトリオンで処理して10日で、同様に処理した野生型株よりも、ダメージが少なかった。アラビドプシスHSTの発現は、HPPD除草剤、メソトリオンに対する、ある程度の耐性を付与する。
【0115】
実施例6
HST除草剤に対する、アベナHPPDを発現する植物の抵抗性
二重強化35S CMVプロモーター領域、Nos3’ターミネーター及びTMV翻訳エンハンサーの操作可能な支配化にある、アベナ・サティバ(Avena sativa)の野生型HPPD遺伝子を発現するタバコの稔性T1株は、WO0246387に詳述されているようにして、生産された。メソトリオン耐性T0事象の自家受粉に由来するT1種子約30〜40個を、7〜10日齢まで育て、上記のように噴霧及び評価を行い、そしてそれらの結果(処理後6日)を、下記表7に描写する。本実験の条件下では、アベナHPPDは、HST阻害因子2.30及び3.6の両方に対して、ある程度の耐性が認められる。
【0116】
【表30】


表7
メソトリオン、化合物2.30及び化合物3.6に対する、野生型(WT)サムスンタバコ及びアベナHPPD発現タバコ株の試験を示す。結果は、処理の6日後のダメージパーセントを描写する。
【0117】
実施例7
タバコの形質転換、及びHST除草剤に耐性のHST発現形質転換体の選択
マスタープレートから前記バイナリーベクターpBinAT HST(実施例6に記載)を保有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の単一細菌コロニーを、100mg/lのリファンピシン及び50mg/lのカナマイシンを含有する10mlのLBに播種する。これを、200rpmで攪拌しながら、28℃で一昼夜インキュベーションする。
【0118】
この菌液を、50mlの体積のLA(抗生物質添加)に播種する。これを再び、200rpmで攪拌しながら、28℃で一昼夜インキュベーションする。アグロバクテリウム細胞を、3000rpmで15分間遠心分離することによりペレット化し、そして30g/lのスクロースを含む、pH5.9のMS培地中に懸濁し、OD(600nm)=0.6にする。この懸濁物を、ペトリ皿に25mlずつ分注する。
【0119】
クローナル微小育苗タバコシュート栽培物から、若い(まだ完全に展開していない)葉を切り出す。中脈及び葉の外側のマージンを取り除き、残ったラミナを、1cm角にカットする。これらを、アグロバクテリアの懸濁液に移し、20分間置く。そして、外植片を取り出し、滅菌濾紙の上に置いて余分な懸濁液を取り除き、これを、NBM培地(8g/lのプラントアガーで固形化した、MS培地、30g/lのスクロース、1mg/lのBAP、0.1mg/lのNAA、pH 5.9)に、背軸面が培地と接触するように置く。プレートあたり約7個の外植片を置き、それらを密封し、照明付きのインキュベーター中、明期16時間で3日間維持する。
【0120】
そして、外植片を、0.5mg/lのハロキシジン及びアグロバクテリアの更なる増殖を防ぐ抗生物質(200mg/lのチメンチン及び250mg/lカルベニシリン)を含む、NBM培地に移す。同一の培地上での更なるサブカルチャーを、2週間ごとに行う。
【0121】
シュートの外植片からカルスが形成され始めたら、これらをシュート伸長培地(MS培地、30g/lのスクロース、8g/lのプラントアガー、1mg/lのハロキシジン(若しくは適切に選別がなされる濃度の類似の物質若しくは他の任意のHST除草剤)、200mg/lのチメンチン、250mg/lのカルベニシリン、pH5.9)に取る。発根して持続的に増殖するシュートは、HSTトランス遺伝子のステーブル導入を解析するために、PCRに付される。最終的にこれらのシュートは土に移され、温室条件下で育成される。T1種子は、選択されたT0株から生産される。
【0122】
故に、HST阻害除草剤と組み合わせてのHST遺伝子の使用は、遺伝子組換え植物組織の選択の手段を提供することが見出される。
【0123】
実施例8
ヘテロ接合HPPD酵素を発現するステーブル遺伝子組換え植物株の育苗及び試験
タバコ、ダイズ及びトウモロコシの遺伝子組換え株は、例えばアベナ(配列番号26)、コムギ(配列番号27)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescence)(配列番号25)及び、WO 02/46387等に記載されるシェワネラ・コルウェリアナ(Shewanella colwelliana)(配列番号28)等に由来する、様々なヘテロ接合HPPDを発現するように改変されていてもよい。
【0124】
選択された事象の種子を回収し、ポットに播種し、そしてHPPD除草剤(例えばメソトリオン)に対する抵抗性の噴霧試験において、除草剤耐性を再び試験する。T1植物株の中で、単一コピーの事象は、分離比が3:1であることにより(例えば、wrt、カナマイシン及び/又は除草剤)、及び定量的RT−PCRにより、同定される。そのようにして選択されたT1タバコ(サムスン種)株の種子は、50%ピート、50%John Innes soil no 3を入れた3インチの円形ポットに播種される。3枚葉の段階まで成長させた後、植物に上記の如く噴霧して、同様に処理した非遺伝子組換えタバコ植物と比較しての、除草剤耐性を試験する。
【0125】
対照タバコ植物、及びシュードモナス又はコムギのいずれかのHPPD遺伝子を発現する遺伝子組換えT1植物に、37、111、333、及び1000g/haの割合で、HST阻害因子、例えば化合物2.3等を噴霧する。
【0126】
植物は、処理後16日で、ダメージ%が評価及び評点される。
【0127】
【表31】


表8
w/tタバコ植物と、シュードモナス若しくはコムギHPPDのいずれかを発現する遺伝子組換え植物との間の、処理後16日で観察されるダメージ%の比較を示す。
【0128】
いずれかのHPPD遺伝子の発現が、タバコ植物に、HST阻害剤の2.3やメソトリオンによる処理に対する高いレベルの抵抗性を提供することが観察される。処理されたw/tタバコ植物は、分裂組織が脱色されて白色化するが、遺伝子組換えHPPD発現植物は緑色の健康な分裂組織及び新しい葉を有し、殆どダメージが見受けられない。この試験において、植物は、噴霧の時点で相対的に大きかったため、対照は完全に防除されなかった。
【0129】
実施例9
様々なヘテロ接合HST及びHPPD酵素を発現し、且つそれらが重複して組み合わされて発現する遺伝子組換え植物の調製
除草剤耐性の温室試験
配列番号11の完全長アラビドプシス(開始コドン保有)HSTを、前記の様に、二重の35s CMVプロモーター配列及びTMV翻訳エンハンサー配列の下流かつnos遺伝子由来の3’ターミネーターの上流にクローニングする。この発現カセットをpMJB1(WO98/20144に記載)中にライゲーションし、そしてpBIN19内にライゲーションし、そして、植物形質転換に先立ち、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株LBA4404を形質転換する。上記のように、この発現コンストラクトを、バイナリーベクターにクローニングし(pBIN 35SアラビドプシスHST)、これを用いてタバコ植物を形質転換して、30〜50個の遺伝子組換え事象の集団を作成し、それらをカルスの段階で更に区分して、各遺伝子組換え「事象」から、2〜4個のクローン植物を生産する。そしてそれらを再生させ、土に植え、温室に移して試験する。
【0130】
同様の方法で、クラミドモナスHST遺伝子配列(AM285678)は、タバコにコドン最適化され、二重のカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター及びタバコモザイクウイルスエンハンサー配列の下流かつnos遺伝子ターミネーターの上流にクローニングし、これをバイナリーベクターにクローニングし、これを用いてタバコ植物を形質転換して、T0植物の集団を作成する。
【0131】
WO 02/46387の実施例5に記載されるのと全く同様に、コムギHPPD遺伝子配列(Embl DD064495)は、アラビドプシスルビスコ小サブユニット(SSU)プロモーターの下流かつnos遺伝子ターミネーターの上流にクローニングされて「SSUコムギHPPD nos発現カセット」が形成され、これを、バイナリーベクターにクローニングし、それを用いてタバコ植物を形質転換して、30〜50個の遺伝子組換え事象の集団を作成する。
【0132】
HST及びHPPD酵素を共に発現する植物の集団を生産するために、「pBinアラビドプシスHST/コムギHPPD」ベクターも構築される。SSUコムギHPPDnosカセット(上記)を、pBin 35SアラビドプシスHSTベクター(上記)のEcoRI部位にクローニングして、HST/HPPD発現コンストラクト及びバイナリーベクターを作成する。これを用いてタバコ植物を形質転換して、初代形質転換体の集団を作成する。
【0133】
あるいは、HPPD及びHSTの両方とも発現する遺伝子組換え植物は、最初に、ヘテロ接合HST又はHPPDのいずれかを発現するように形質転換し、続いて生じた組織を、他方の酵素を発現するように設計されたコンストラクトを用いて形質転換することにより生産される。例えば、WO 02/46387に記載のように、タバコ植物は、アラビドプシスルビスコ小サブユニットプロモーター、TMV翻訳エンハンサー及びnos遺伝子3’ターミネーターの制御下で、コムギ、アベナ又はシュードモナスHPPDを発現するように形質転換される。メソトリオンに対して高度な耐性を有するT0事象の例示物を自家受粉させることにより、T1種子が得られる。これらのT1種子は、単一の事象から約100個採取され、それらの表面を、1%Virkonを使用して15分間滅菌し、そして、滅菌水中で洗浄後、20g/lのスクロース、100mg/lのカナマイシンを含有するMS培地を8g/lのプラントアガーで固形化したMS培地にプレーティングする。個々の植物を、発芽し、インビトロで成長し、クローナルな組換えシュート栽培物を生産するように微小育苗(micropropagate)された、半接合及びホモ接合植物の混成集団から取り上げられる。これらのシュート栽培物の葉を、上記のコンストラクトを使用する形質転換方法及び選択方法に付する。最初に、HPPD及びHSTの共発現がHPPD単独の発現と比較して植物のメソトリオンに対する耐性のレベルを向上させるか否かを評価するために、HPPDのみの形質転換体と、HPPD及びHSTの形質転換体から調製したシュート栽培物の葉の外植片を、0.1〜5mg/lの濃度範囲のメソトリオンを含有するNBM培地に置く。HPPD及びHSTの形質転換体由来の外植片は、クローナルな単一の植物、HPPD事象に由来する材料から得た、HPPDのみの「バックグラウンド」外植片と比較して、より高濃度のメソトリオンの下であっても、緑色のカルスを形成し、再生シュートの脱色を抑制する。
【0134】
「対照」植物は、単一事象の単一植物に由来する、(HSTで)形質転換されていない、HPPD発現クローナルバックグラウンド材料から再生される。HSTで追加で形質転換されたT0 HST遺伝子組換え小植物は、前記ハロキシジンに対する実施例において記載されるように、このバックグラウンドに対して選択され、それらも再生させられる。小植物は、上記実施例と同様に、更なるクローンに微小育苗され、発根したものがポットに植えられ、温室中で育てられる。
【0135】
【表32】


表9
タバコ事象のT0集団は、前記(1)35SアラビドプシスHST遺伝子、(2)SSUコムギHPPD遺伝子又は(3)35SクラミドモナスHST遺伝子を有する発現カセットを択一的に保有する。除草剤ダメージの評価は、100gの化合物2.30の噴霧後の様々な時点で行われる。パラメーター「ht」は、対照植物と比較しての高さの減少%を指し、一方、パラメーター「blch」は、対照植物と比較しての分裂組織で観察される脱色の%を指す。3つのコンストラクトによる形質転換のいずれもが化合物2.30に対する耐性を付与することは明らかである。前記2つのHST遺伝子のいずれかで形質転換した集団において、最もダメージが少ない(矮化が30%未満の事象が約50%ある)最多数の植物が観察された。
【0136】
【表33】


表10
タバコ事象のT0集団は、前記(1)アラビドプシスHST遺伝子、(2)コムギHPPD遺伝子又は(3)クラミドモナスHST遺伝子を有する発現カセットを択一的に保有する。除草剤ダメージの評価は、40gの化合物1.1の噴霧後の様々な時点で行われる。パラメーター「ht」は、対照植物と比較しての高さの減少%を指し、一方、パラメーター「blch」は、対照植物と比較しての分裂組織で観察される脱色の%を指す。3つのコンストラクトによる形質転換のいずれもが化合物1.1に対する耐性を提供する。前記2つのHST遺伝子のいずれかで形質転換した集団において、最もダメージが少ない(矮化が35%未満の事象が50%超ある)最多数の植物が観察された。
【0137】
【表34】


タバコ事象のT0集団は、前記(1)アラビドプシスHST遺伝子、(2)アラビドプシスHST遺伝子と重ねたコムギHPPD遺伝子又は(3)クラミドモナスHST遺伝子を有する発現カセットを択一的に保有する。除草剤ダメージの評価は、500gの化合物2.3の噴霧後の様々な時点で行われる。パラメーター「ht」は、対照植物と比較しての高さの減少%を指し、一方、パラメーター「blch」は、対照植物と比較しての分裂組織で観察される脱色の%を指す。3つのコンストラクトによる形質転換のいずれもが化合物2.30に対する耐性を提供する。前記HPPD及びHST遺伝子の組み合わせで重ねて形質転換した植物において、最もダメージが少ない(矮化が30%未満の事象が50%超ある)最多数の植物が観察された。
【0138】
【表35】


タバコ事象のT0集団は、前記(1)アラビドプシスHST遺伝子、又は(2)クラミドモナスHST遺伝子を有する発現カセットを択一的に保有する。除草剤ダメージの評価は、15g/haのメソトリオンの噴霧後の様々な時点で行われる。前記クラミドモナスHST遺伝子を保有する多くの植物株がメソトリオンに対する一定の耐性を示し、特に3つの株は、同様に処理した対照植物と比較して、顕著に良好な緑化及び回復を示した。
【0139】
実施例10
ダイズ形質転換ベクターの構築
双子葉植物(ダイズ)の形質転換用のバイナリーベクターは、例えば、クラミドモナスHSTコード配列(配列番号15)の発現を駆動するアラビドプシスUBQ3にNos遺伝子3’ターミネーターを繋げて構築される。当該遺伝子は、HST遺伝子コード領域の推定アミノ酸配列に基づいて、ダイズでの発現用にコドン最適化されている。クラミドモナスHST遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号5に提供されている。必要に応じて、当該形質転換ベクターは、形質転換プロセス中のグルフォシネートベースの選択のために、2つのPAT遺伝子カセット(1つは35Sプロモーターを有し、1つはCMPプロモーターを有し、そしていずれもnosターミネーターを付したPAT遺伝子を有する)も含む。
【0140】
類似のバイナリーベクター(17108)も同様に構築されるが、これは、ダイズにコドン最適化されたアベナHPPD遺伝子を発現する発現カセットも含む。この場合、PAT遺伝子は存在せず、選択は、HPPD除草剤、又は、本明細書中に記載のように、HST除草剤を使用して得られる。
【0141】
実施例11
ダイズT0植物の樹立及び選択
ダイズの形質転換は、当業者に周知の方法を使用して行われる。組織培養物からT0植物を取り、これらを、2’’角型のポット中の、1%のgranular Marathon(登録商標)(Olympic Horticultural Products, Co., Mainland, PA)を混合した飽和土(Redi−Earth(登録商標) Plug and Seedling Mix, Sun Gro Horticulture, Bellevue, WA)で、Redi−Earth(登録商標)Mixが5〜10g/galのものに植え、温室に移す。植物を保湿ドームで覆い、そして、以下の:日中24℃;夜間18℃;明期23時間;相対湿度80%の環境条件に設定したConviron chamber(Pembina, ND)内に置く。
【0142】
土の中で植物が樹立されて新しい成長が認められるようになったら(1〜2週間以内)、植物のサンプルを採取して、前記HST及び/又はHPPD遺伝子、又はプロモーター(例えばprCMP及びprUBq3)の適切なプローブを使用してのTaqman(商標)解析により、所望のトランス遺伝子の存在が試験される。全ての陽性の植物及び陰性の植物の幾つかを、MetroMix(登録商標) 380土(Sun Gro Horticulture, Bellevue, WA)を入れた4’’角ポットに移植する。前記土には、推奨される割合で、Sierra17−6−12徐放肥料が含まれる。前記陰性の植物は、噴霧実験用の対照として扱われる。そして、前記植物を、標準的な温室に移して、1週間程度順化させる。環境条件は、日中27℃;夜間21℃;明期12時間(室内光);周囲湿度とする。順化(1週間程度)の後、植物に対して、所望の除草剤の噴霧を開始する。
【0143】
実施例12
HPPD/HST除草剤混合物
少量のHPPD阻害剤の添加の、HST除草剤の除草剤活性に対する影響
タバコ(サムスン種)の小植物を、無菌状態の、1/3の強度のMurashige and Skoog塩培地で出来た、様々な量の除草剤を含む寒天中で成長させた。発芽した小植物の脱色ダメージは、処理の7日後に評価される。小植物は、透明なパースペクスに覆われ、18℃(夜)及び24℃(昼)、明期16時間(〜500〜900μmol/m)、暗期8時間の体制で育てられる。除草剤の影響を受ける小植物は、脱色されて白色化し、成長が低下する。コルビー式を使用して、相乗的/拮抗的応答が計算される(Colby, S. R. (Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide Combinations”, Weeds, 15, p. 20−22, 1967)。
【0144】
【表36】


表13
寒天中のタバコ苗に対する、HST除草剤及びHPPD除草剤の二重施用の効果を示す。寒天中で発芽したタバコ種子を、0.004ppmのメソトリオンの存在下又は非存在下、様々な用量のハロキシジン及び0.75%DMSOで処理して、その7日後に観察される脱色%を評価する。メソトリオン自体は、この用量において、通常35%の脱色ダメージを生じるので、様々な用量のハロキシジンとの混合物におけるダメージの予想される値は、Colby (1967)により記載されるようにして計算される。
【0145】
他の除草剤試験の手順において、タバコ(サムスン種)の小植物を、無菌状態の、1/3の強度のMurashige and Skoog塩培地で出来た寒天中で成長させ、その4日後に、当該小植物を、12ウェルプレートのウェル中の2.9mlの滅菌液体培養培地(30mMのスクロースを含有する半分の強度のMurashige and Skoog培地)の表面に浮かべる。様々な用量で試験化合物を添加し、処理後14〜20日で、脱色ダメージを評価する。前記小植物に透明なパースペクスをかぶせ、18℃(夜)及び24℃(昼)、明期16時間(〜500〜900μmol/m)、暗期8時間の体制で育てられる。処理後14〜20日の期間にわたり、小植物は生長を続け、新しい組織を生産するが、防除的濃度の除草剤の存在下では、脱色されており、成長も僅かである。
【0146】
【表37】

表14
液体上で育ったタバコ苗に対する、HST除草剤及びHPPD除草剤の二重施用の効果を示す。液体培養培地上で発芽したタバコ種子を、0.001又は0.0005ppmのメソトリオンの存在下又は非存在下、様々な濃度のHST除草剤の化合物2.13及び0.75% v/v DMSOで処理して、その20日後に観察される脱色%を評価する。これらのメソトリオンの用量では、単独で施用する場合は最小で、それぞれ20%、又は0%の脱色ダメージしか生じない。
【0147】
得られたデータから、低用量のメソトリオンの添加が、HST阻害剤のハロキシジンの、寒天上で育ったタバコ植物に対する除草効果において、相乗効果を生じることが明らかになる。
【0148】
【表38】


表15a及び15b
液体培養培地上で育てたタバコの苗に対する、HST除草剤及びHPPD除草剤の二重施用の傷害効果を示す。液体培養培地上で発芽したタバコ種子を、0.001ppmのメソトリオンの存在下又は非存在下、様々な濃度のHST除草剤の、ハロキシジン(表15a)及び化合物2.13(表15b)、並びに0.75% v/v DMSOで処理して、その14日後に観察される脱色%を評価する。かかるメソトリオンの用量では、最小(0〜5%v)のダメージしか生じない。
【0149】
液体培養において、HST阻害剤の2.13の活性に対するメソトリオンの相乗効果は、ハロキシジンの活性に対する場合よりも更に明確になる。一定の用量のメソトリオンの添加自体は何ら顕著なダメージを生じるものではないが、予想される防除レベル(Colbyにより)が0%、0%及び50%に過ぎない用量の化合物2.13の脱色傷害を、40%、90%及び100%に至らしめる。同様に、類似する条件で、及び反復実験において、少量のメソトリオンが、ハロキシジン及び化合物2.15の用量依存的傷害に対して、相乗効果を有することが明らかになっている。
【0150】
実施例13
HST及びHPPD除草剤の混合物による、温室中の雑草の防除
雑草の種を、適切な土(例えば50%ピート、John Innes soil no 3)を入れたトレイに植え、日中24〜27℃;夜間18〜21℃、及び明期が約14時間(UKの夏季、又はこれより長い)の条件の温室中で育てる。湿度は〜65%で、明度は、ベンチレベルで最大2000μmol/mである。0.2〜0.25%のX−77界面活性剤を含む水に溶かした試験化合物をトレイに噴霧し、そして、適切なトラックスプレーヤー(例えば植物の頂点から約2インチの高さにノズルを備えたDeVriesスプレーチャンバー)中を約2mphで移動する、適切なトラックスプレーヤー上のブームから噴霧される。スプレー体積は適切には、500〜1000l/haである。噴霧は、発芽前に、及び発芽して約7〜12日後の小植物に対して、両方の時点で行われる。
【0151】
植物は、処理後14日で評価され、除草剤ダメージは、0〜100%のスケールで評点される。HST阻害剤の化合物2.30(表16及び17で化合物Aと表記されている)、ハロキシジン(化合物1.1)及び化合物2.13(表16及び17で化合物AEと表記されている)を、0〜500g/haの割合で噴霧する。メソトリオンは、1g/haの非常に低い割合で施用され、斯かる濃度では、本質的にはダメージを生じない(<10%ダメージ)。
【0152】
【表39】


表16
HST/HPPD除草剤混合物による雑草の発芽後の防除を示す。記載の数字は、観察されたダメージ%に対応する。
【0153】
【表40】


表17
HST/HPPD除草剤混合物による雑草の発芽前の防除を示す。
【0154】
実施例14
HPPD及びHST除草剤の間の相乗作用を示す更なる研究
表18及び19に結果を描写する更なる試験において、雑草の種子を、50%ピート/John Innes soil no 3を入れたトレイに植え、日中24〜27℃;夜間18〜21℃、及び明期が約15時間の温室中で育てる。湿度は〜65%で、明度は、ベンチレベルで最大2000μmol/mである。再び、噴霧化合物を0.2%のX77界面活性剤に溶かし、これが、植物の頂点から約2インチの高さにノズルを備えた2mphで移動するトラックスプレーヤー上のブームから噴霧される。噴霧体積は、500l/haである。噴霧は、発芽前、及び小植物が発芽してから約7〜12日後の両方において実行される。植物は、処理の14日後、0〜100%のスケールで評点される除草剤ダメージにより評価される。HPPD阻害除草剤は、化合物A22(4−ヒドロキシ−3−[[2−(2−メトキシエトキシ)メチル]−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]カルボニル]−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン)であり、単独で、及び様々なHST除草剤との混合物として、いずれも2g/haで噴霧される。結果及び噴霧率を、表18及び19に描写する。ここでも、Colby式を使用して、前記混合物を用いた処理の後に観察された相乗スコアを、各成分を単独で用いた場合の結果を基準として計算した。正の相乗効果は、HPPD除草剤と広範なHST阻害剤除草剤とを、発芽前及び発芽後の両方において、様々な雑草に施用するときに観察される。
【0155】
【表41】


表18
様々な雑草の、発芽後の雑草防除を示す。様々なHST阻害剤を単独で、及びA22との混合物として噴霧した後、防除%を評点する(単発試験のみ)。
【0156】
【表42】


表18(続き)
様々な雑草の、発芽後の雑草防除を示す。様々なHST阻害剤を単独で、及びA22との混合物として噴霧した後、防除%を評点する(単発試験のみ)。
【0157】
【表43】


表19
様々な雑草の、発芽前の雑草防除を示す。様々なHST阻害剤を単独で、及びA22との混合物として噴霧した後、処理後14日における防除%を評点する。
【0158】
【表44】


表19(続き)
様々な雑草の、発芽前の雑草防除を示す。様々なHST阻害剤を単独で、及びA22との混合物として噴霧した後、処理後14日における防除%を評点する。
【0159】
以上の表に提示するデータは、メソトリオンの添加が、低(致死未満)レベルであっても、発芽前及び発芽後の両方において、HST阻害除草剤による雑草防除を改善することを示唆している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物及び雑草が生育する圃場(locus)で選択的に雑草を防除する方法であって、雑草を防除する量の、ホモゲンチセートソラネシルトランスフェラーゼ(HST)阻害除草剤及び/又はヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害除草剤を含有する農薬組成物を前記圃場に施用することを含み、前記作物が、HSTをコードする領域を含む1つ以上の組換えポリヌクレオチドを保有する、前記方法。
【請求項2】
前記作物が、ヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)をコードする領域を含む追加の組換えポリヌクレオチドを保有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
作物及び雑草が生育する圃場で選択的に雑草を防除する方法であって、雑草を防除する量の、ホモゲンチセートソラネシルトランスフェラーゼ(HST)阻害除草剤を含有する農薬組成物を前記圃場に施用することを含み、前記作物が、HPPD酵素をコードする領域を含む1つ以上の組換えポリヌクレオチドを保有する、前記方法。
【請求項4】
前記農薬組成物が、HST阻害除草剤及びヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害除草剤を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記HST阻害除草剤が、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)及び(IIf)からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記HPPD阻害除草剤が、メソトリオン、スルコトリオン、イソキサフルトール、テンボトリオン、トプラメゾン、ベンゾフェナップ、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ピラスルフォトール、ケトスピラドックス若しくはその遊離酸、4−ヒドロキシ−3−[[2−(2−メトキシエトキシ)メチル]−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]カルボニル]−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン、[2−クロロ−3−(2−メトキシエトキシ)−4−(メチルスルホニル)フェニル](1−エチル−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾル−4−イル)−メタノン、α−(シクロプロピルカルボニル)−2−(メチルスルホニル)−β−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−ベンゼンプロパンニトリル、(2,3−ジヒドロ−3,3,4−トリメチル1,1−ジオキシドベンゾ[b]チエン−5−イル)(5−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)−メタノンからなる群から選択される、請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記HST酵素が、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)、グリシン・マックス(Glycine max)、オリザ・サティバ(Oryza sativa)又はクラミドモナス・レインハルドティイ(Chlamydomonas reinhardtii)に由来する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記HST酵素が、
(a)配列番号1〜10として記載されるHST酵素;及び
(b)以下のポリペプチドモチーフ:
W−(R/K)−F−L−R−P−H−T−I−R−G−T;及び/又は
N−G−(Y/F)−I−V−G−I−N−Q−I−(Y/F)−D;及び/又は
I−A−I−T−K−D−L−P;及び/又は
Y−(R/Q)−(F/W)−(I/V)−W−N−L−F−Y
の1つ以上を保有するHST
からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記作物が、更なる除草剤耐性酵素をコードする更なる組換えポリペプチドを保有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記更なる除草剤耐性酵素が、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)、グリホセートアセチルトランスフェラーゼ(GAT)、シトクロームP450、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)、アセト乳酸合成酵素(ALS)、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPGO)、フィトエンデサチュラーゼ(PD)、ジカンバ分解酵素及びアリールオキシ除草剤分解酵素からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記農薬組成物が、1つ以上の追加の除草剤を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の追加の除草剤が、グリホセート(その農薬として許容される塩を含む);グルフォシネート(その農薬として許容される塩を含む);クロロアセトアニリド、例えばアラクロール、アセトクロール、メトラクトール、S−メトラクロール;光化学系II阻害剤、例えば、アメトリン、アトラジン、シアナジン及びテルブチラジン(terbuthylazine)等のトリアジン、ヘキサジノン及びメトリブジン等のトリアジノン、並びにクロロトルウロン(chlorotoluron)、ジウロン、イソプロトウロン(isoproturon)、リンウロン及びテルブチウロン等の尿素等;ALS阻害剤、例えば、アミドスルフウロン、クロルスルフウロン、フルピルスルフウロン、ハロスルフウロン、ニコスルフウロン、プリミスルフウロン、プロスルフウロン、リムスルフウロン、トリアスルフウロン、トリフロキシスルフウロン及びトリトスルフウロン等のスルホニル尿素等;ジフェニルエーテル、例えばアシフルロフェン及びフォメサフェン等からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の追加の除草剤が、グリホセート及び/又はPS−II阻害除草剤である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
更に殺昆虫剤及び/又は殺真菌剤を前記圃場に施用することを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
植物の作用可能なプロモーターと作用可能に連結したHST酵素をコードする領域を保有する組換えポリヌクレオチドであって、当該HST酵素をコードする領域が、配列番号11、配列番号12、配列番号14又は配列番号15に記載されたポリヌクレオチド配列を含まない、前記ポリヌクレオチド。
【請求項16】
前記HSTが、配列番号3、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10からなる群から選択される、請求項15に記載の組換えポリヌクレオチド。
【請求項17】
(i)植物の作用可能なプロモーターと作用可能に連結したHST酵素をコードする領域、並びに(ii)植物の作用可能なプロモーターと作用可能に連結した、ヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼ(HPPD)、5−エノールピルビルシキキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)、グリホセートアセチルトランスフェラーゼ(GAT)、シトクロームP450、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)、アセト乳酸合成酵素(ALS)、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPGO)、フィトエンデサチュラーゼ(PD)、ジカンバ分解酵素及びアリールオキシ除草剤分解酵素からなる群から選択される除草剤耐性酵素をコードする、1つ以上の追加の領域を保有する、組換えポリヌクレオチド。
【請求項18】
(i)HST酵素をコードする領域及び(ii)HPPDをコードする1つ以上の追加の領域を保有する、請求項17に記載の組換えポリヌクレオチド。
【請求項19】
除草剤耐性酵素をコードする1つ以上の追加の領域を保有する、請求項17に記載の組換えポリヌクレオチド。
【請求項20】
前記ポリヌクレオチドが、(i)HST酵素をコードする領域、(ii)HPPD酵素をコードする領域及び(iii)グリホセート耐性酵素をコードする領域を保有する、請求項19に記載の組換えポリヌクレオチド。
【請求項21】
請求項15〜20のいずれか1項に記載の組換えポリヌクレオチドを保有するベクター。
【請求項22】
HST阻害除草剤及び/又はHPPD阻害除草剤に耐性の、請求項15〜20のいずれか1項に記載の組換えポリヌクレオチドを保有する植物細胞。
【請求項23】
前記植物が、トウモロコシ、ダイズ、コムギ、オオムギ、テンサイ、イネ及びサトウキビから選択される、請求項22に記載の植物細胞。
【請求項24】
請求項22又は請求項23のいずれか1項に記載の植物細胞を含む、HST阻害剤及び/又はHPPD阻害剤耐性植物。
【請求項25】
請求項22に記載の植物細胞を含む、種子、又はこれに由来する材料。
【請求項26】
HST阻害及び/又はHPPD阻害除草剤に耐性の遺伝子組換え植物を生産する方法であって、植物材料を、HSTをコードする領域、及び任意でHPPDをコードする領域を保有する組換えポリヌクレオチドで形質転換する工程、形質転換した植物材料を、HST阻害剤及び/又はHPPD阻害剤を使用して選択する工程、並びに得られた材料を形態的に正常な稔性植物に再生させる工程を含む、前記方法。
【請求項27】
前記組換えポリヌクレオチドが、非HST阻害除草剤の標的をコードする領域、並びに/又は、昆虫、真菌及び/若しくは線虫に対する耐性を形質転換された植物材料に付与することが出来るタンパク質をコードする領域を更に保有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項26又は27のいずれかに記載の方法により取得される、形態的に正常な稔性全形植物。
【請求項29】
HST酵素をコードする領域を植物の形質転換の選択マーカーとして保有する、組換えポリヌクレオチドの使用。
【請求項30】
全体的に又は部分的にHSTを阻害することにより機能する除草剤に耐性を有する植物の生産における、HST酵素をコードする領域を保有する組換えポリヌクレオチドの使用。
【請求項31】
植物形質転換における選択剤としての、HST阻害剤の使用。
【請求項32】
潜在的な除草剤のインビトロスクリーニングにおける、組換えHST酵素の使用。
【請求項33】
HPPD阻害除草剤及びHST阻害除草剤を含む、除草組成物。
【請求項34】
前記HPPD阻害組成物が請求項6に記載のものである、請求項33に記載の除草組成物。
【請求項35】
前記HST阻害除草剤が、請求項5に記載のものである、請求項33又は34のいずれかに記載の除草組成物。
【請求項36】
含有されるHPPD阻害除草剤とHST阻害除草剤とのモル比率が100:1〜1:100である、請求項33〜35のいずれか1項に記載の除草組成物。
【請求項37】
含有されるHPPD阻害除草剤とHST阻害除草剤とのモル比率が20:1〜1:20である、請求項36に記載の除草組成物。
【請求項38】
1つ以上の追加の農薬成分を更に含有する、請求項33〜37のいずれか1項に記載の除草組成物。
【請求項39】
前記1つ以上の追加の農薬成分が除草剤を含む、請求項38に記載の除草組成物。
【請求項40】
前記追加の除草剤が、グリホセート(その農薬として許容される塩を含む);グルフォシネート(その農薬として許容される塩を含む);クロロアセトアニリド、例えばアラクロール、アセトクロール、メトラクトール、S−メトラクロール;光化学系II阻害剤、例えば、アメトリン、アトラジン、シアナジン及びテルブチラジン等のトリアジン、ヘキサジノン及びメトリブジン等のトリアジノン、並びにクロロトルウロン、ジウロン、イソプロトウロン、リンウロン及びテルブチウロン等の尿素等;ALS阻害剤、例えば、アミドスルフウロン、クロルスルフウロン、フルピルスルフウロン、ハロスルフウロン、ニコスルフウロン、プリミスルフウロン、プロスルフウロン、リムスルフウロン、トリアスルフウロン、トリフロキシスルフウロン及びトリトスルフウロン等のスルホニル尿素等;ジフェニルエーテル、例えばアシフルロフェン及びフォメサフェン等からなる群から選択される、請求項39に記載の除草組成物。
【請求項41】
前記追加物が、グリホセート、グルフォシネート、アトラジン及びS−メトラクロールからなる群から選択される除草剤である、請求項40に記載の除草組成物。
【請求項42】
作物及び雑草が生育する圃場で選択的に雑草を防除する方法であって、雑草を防除する量の、請求項33〜41のいずれか1項に記載の除草組成物を前記圃場に施用することを含む、前記方法。
【請求項43】
前記組成物中に、単独で施用される場合に通常は雑草に対して致死未満量(sub−lethal)のHPPD阻害除草剤が存在する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
HST阻害除草剤が10〜2000g/ha施用され、そしてHPPD阻害除草剤が、5〜1000g ai/ha施用される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記作物が、前記除草組成物中に含有される除草剤に対する耐性を増大させる1つ以上の除草剤耐性酵素をコードする領域を含む組換えポリヌクレオチドを保有する、請求項42〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記除草剤耐性酵素が、HST、HPPD、EPSPS、GAT、シトクロームP450、PAT、ALS、PPGO、フィトエンデサチュラーゼ(PD)及びジカンバ分解酵素からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記作物が、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、ソルガム、ダイズ、テンサイ及びサトウキビから選択される、請求項42〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
HST阻害除草剤の雑草防除効率を増大させるための、致死未満量のHPPD阻害除草剤の使用。

【公表番号】特表2012−502624(P2012−502624A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526554(P2011−526554)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002188
【国際公開番号】WO2010/029311
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(500371307)シンジェンタ リミテッド (141)
【Fターム(参考)】