説明

除草組成物

【課題】新規な除草組成物および除草方法を提供する。
【解決手段】グリホサート、ビアラホス、グルホシネートおよびそれらの塩から選ばれる1種以上のアミノ酸系除草活性成分と、トリアジフラムを含有する除草組成物。該アミノ酸系除草活性成分と、トリアジフラムを同時にまたは近接して別々に処理する除草方法。アミノ酸系除草活性成分として好ましいものは、グリホサートおよびその塩である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2種類の公知の除草活性成分を併用することにより、各種の有害な雑草を効率的に防除する除草組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
雑草類の繁茂は農業生産性の低下や生活環境の悪化などをもたらし、雑草の防除には有効な除草剤の利用が一般的に行われている。一般に、雑草発生前の処理では土壌処理剤の散布、発生後では茎葉処理剤の散布が有効であるが、雑草の種類が多岐に渡る場合にはグリホサート、ビアラホス、グルホシネートまたはそれらの塩の利用が特に有効である。しかしながら、これらの除草剤は土壌処理効果が乏しいことにより散布後しばらくたってから発生する雑草に対する抑制効果はあまり期待できない。よって、土壌処理効果を持った薬剤との混用が残効性を付与するためには有効な手段となる。トリアジフラムは残効性を有する芝用土壌処理除草剤として使用されている。既報の混用の例としてはグリホサートまたはその塩類、グルホシネートまたはその塩類と、ターバシル、ブロマシル、メトリブジン、ベンタゾンまたはその塩類との混合除草液剤が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−224002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、茎葉処理効果に特徴を持った薬剤と土壌処理効果に特徴を持った薬剤を併用することにより、雑草を枯殺または抑制し、その効果が長期に渡って持続する除草組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究した結果,グリホサート、ビアラホス、グルホシネートまたはそれらの塩と、トリアジフラムを含有する除草組成物が、これら薬剤を単独として用いた場合の欠点を補うだけでなく、それぞれの合計の効果のみではなく、優れた相乗作用を奏することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記〔1〕および〔2〕に記載の除草組成物(以下、本発明組成物と称する。)、並びに〔3〕および〔4〕記載の除草方法(以下、本発明方法と称する。)に関するものである。
【0006】
〔1〕 グリホサート、ビアラホス、グルホシネートおよびそれらの塩から選ばれる1種以上のアミノ酸系除草活性成分と、トリアジフラムを含有する除草組成物。
【0007】
〔2〕 アミノ酸系除草活性成分がグリホサートまたはその塩である請求項1記載の除草組成物。
【0008】
〔3〕 グリホサート、ビアラホス、グルホシネートおよびそれらの塩から選ばれる1種以上のアミノ酸系除草活性成分と、トリアジフラムを同時にまたは近接して別々に処理する除草方法。
【0009】
〔4〕 アミノ酸系除草活性成分がグリホサートまたはその塩である請求項3記載の除草方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、それぞれの活性成分を併用した場合に期待される合計の効果にとどまらず、相乗的除草効果を示し、優れた茎葉兼土壌処理効果を奏するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
グリホサート、ビアラホスおよびグルホシネートは、公知の非選択性除草剤であり、一般には、それらの塩の形で用いられる。本発明のグリホサート、ビアラホスおよびグルホシネートの塩とは、有機または無機の塩であって農薬として使用できるものであれば特に限定はないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アンモニウム、イソプロピルアミン塩およびトリメチルスルホニウム塩等があげられる。好ましい塩としては、イソプロピルアミン塩、アンモニウム塩、トリメチルスルホニウム塩およびカリウム塩である。
【0012】
グリホサートカリウム塩(以下、活性成分Aと称する。)を含有する薬剤は、「ラウンドアップマックスロード」(商品名)として市販されており、ビアラホスを含有する薬剤は「ハービー液剤」(商品名)として市販されている。また、グルホシネートアンモニウム塩を含有する液剤は、「バスタ液剤」(商品名)として市販されており、いずれも容易に入手できる。
【0013】
一方、トリアジフラムは芝用土壌処理剤として使用されている。
【0014】
トリアジフラム(以下、活性成分Bと称する。)を含有する薬剤は、「イデトップフロアブル」(商品名)として市販されており、これも容易に入手できる。
【0015】
本発明組成物および本発明方法は、活性成分Aと活性成分Bに加えて、更に下記活性成分Cを用いることができる。また、本発明組成物および本発明方法は、活性成分Bに代えて下記活性成分Cを用いることもできる。
【0016】
活性成分C:アラクロール(alachlor/一般名)、アメトリン(ametryn/一般名)、アミノシクロピラクロール(aminocyclopirachlor/一般名)、アミノピラリド(aminopyralid/一般名)、アミプロホスメチル(amiprophosmethyl/一般名)、アニロホス(anilofos/一般名)、アシュラム(asulam/一般名)、アトラジン(atrazine/一般名)、アジムスルフロン(azimsulfuron/一般名)、ベンカルバゾン(bencarbazone/一般名)、ベスロジン(benefin/一般名)、ベンフレセート(benfuresate/一般名)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron−methyl/一般名)、ベンスリド(bensulide/一般名)、ベンタゾン(bentazone/一般名)、ベンタゾンの塩、ベンチオカーブ(benthiocarb/一般名)、ベンゾビシクロン(benzobicyclon/一般名)、ベンゾフェナップ(benzofenap/一般名)、ビアラホス(bialaphos)ビシクロピロン(bicyclopyrone/一般名)、ビフェノックス(bifenox/一般名)、ビスピリバック(bispyribac/一般名)、ブロマシル(bromacil/一般名)、ブロモブチド(bromobutide/一般名)、ブタクロール(butachlor/一般名)、ブタミホス(butamifos/一般名)、ブテナクロール(butenachlor/一般名)、カフェンストロール(cafenstrole/一般名)、カルフェントラゾンエチル(carfentrazone−ethyl)、クロメトキシニル(chlomethoxynil/一般名)、クロリダゾン(chloridazon/一般名)、クロルフタリム(chlorphtalim/一般名)、クロロIPC(chlorpropham/一般名)、TCTP(chlorthal−dimethyl,tetorachlorothiophene/一般名)、シンメスリン(cinmethylin/一般名)、シノスルフロン(cinosulfuron/一般名)、クロジナホップ(clodinafop/一般名)、クロマゾン(clomazone/一般名)、クロメプロップ(clomeprop)、クロピラリド(clopyralid/一般名)、CNP(一般名)、クミルロン(cumyluron/一般名)、シアナジン(cyanazin/一般名)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron/一般名)、シハロホップブチル(cyhalofop−butyl/一般名)、ダイカンバ(dicamba/一般名)、ジクロベニル(dichlobenil/一般名)、ジフルフェニカン(diflufenican/一般名)、ジメピペレート(dimepiperate/一般名)、ジメタメトリン(dimethametryn/一般名)、ジメテナミド(dimethenamid/一般名)、Pジメテナミド(dimethenamid―p/一般名)、ジチオピル(dithiopyl/一般名)、ジウロン(diuron/一般名)、ダイムロン(dymron/一般名)、エスプロカルブ(esprocarb/一般名)、エトフメセート(ethofumesate/一般名)、エトベンザニド(etobenzanid/一般名)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron/一般名)、フラザスルフロン(flazasulfuron/一般名)、フェノキサプロップエチル(fenoxaprop−ethyl/一般名)、フェノキサスルフォン(fenoxasulfone/一般名)、フェントラザミド(fentrazamide/一般名)、フロラスラム(florasulam/一般名)、フルアジホップ(fluazifop−butyl/一般名)、フルカルバゾンナトリウム塩(flucarbazone−sodium/一般名)、フルセトスルフロン(flucetosulfuron/一般名)、フルポキサム(flupoxam/一般名)、グルホシネート(glufosinate−ammonium/一般名)、グリホサートアンモニウム塩(glyphosate−ammonium/一般名)、グリホサートイソプロピルアミン塩(glyphosate−iso−propylammonium/一般名)、グリホサートカリウム塩(glyphosate−potassium/一般名)、グリホサートナトリウム塩(glyphosate−sodium/一般名)、グリホサートトリメシウム塩(glyphosate−trimesium/一般名)、ハロスルフロンメチル(halosulfuron−methyl/一般名)、ヘキサジノン(hexazinone/一般名)、イマザモックス(imazamox/一般名)、イマザピル(imazapyr/一般名)、イマゼタピル(imazethapyr/一般名)、イマザキン(imazaquin/一般名)、イマゾスルフロン(imazosulfuron/一般名)、インダノファン(indanofan/一般名)、インダジフラム(indaziflam/一般名)、ヨードスルフロンメチルナトリウム塩(iodosulfuron−methyl−sodium/一般名)、アイオキシニル(ioxynil octanoate/一般名)、イプフェンカルバゾン(ipufencarbazone/一般名)、イソプロチュロン(isoproturon/一般名)、イソウロン(isouron/一般名)、イソキサベン(isoxaben/一般名)、イソキサフルトール(isoxaflutole/一般名)、カルブチレート(karbutilate/一般名)、レナシル(lenacil/一般名)、リニュロン(linuron/一般名)、MCC(一般名)、MCPA(一般名)、MCPB(一般名)、MCPP(一般名)、メフェナセット(mefenacet/一般名)、メソスルフロンメチル(mesosulfuron―methyl/一般名)、メソトリオン(mesotrione/一般名)、メタミホップ(metamifop/一般名)、メタミトロン(metamitron/一般名)、メタゾスルフロン(metazosulfuron/一般名)、メチオゾリン(methiozolin/一般名)、メチルダイムロン(methyl dymron/一般名)、メトラクロール(metolachlor/一般名)、メトリブジン(metribuzin/一般名)、メトスルフロンメチル(metsulfuron−methyl/一般名)、モリネート(molinate/一般名)、モノスルフロン(monosulfuron/一般名)、モノスルフロンメチル(monosulfuron−methyl/一般名)、ナプロアニリド(naproanilide/一般名)、ナプロパミド(napropamide/一般名)、ニコスルフロン(nicosulfuron/一般名)、ノルフルラゾン(norflurazon/一般名)、OK−701(試験名)、オルソベンカーブ(orbencarb/一般名)、オルソスルファムロン(orthosulfamuron/一般名)、オキサジアルギル(oxadiargyl/一般名)、オキサジアゾン(oxadiazon/一般名)、オキサジクロメホン(oxaziclomefone/一般名)、ペンディメタリン(pendimethalin/一般名)、ペノキススラム(penoxsulam/一般名)、ペントキサゾン(pentoxazone/一般名)、フェンメディファム(phenmedipham/一般名)、ピコリナフェン(picolinafen/一般名)、ピノキサデン(pinoxaden/一般名)、プレチラクロール(pretilachlor/一般名)、プロジアミン(prodiamine/一般名)、プロメトリン(prometryn/一般名)、プロパニル(propanil/一般名)、プロピソクロール(propisochlor/一般名)、プロポキシカルバゾンナトリウム塩(propoxycarbazone−sodium/一般名)、プロピリスルフロン(propyrisulfuron/一般名)、プロピザミド(propyzamide/一般名)、ピラクロニル(pyraclonil/一般名)、ピラスルホトール(pyrasulfotole/一般名)、ピラゾリネート(pyrazolynate/一般名)、ピラゾスルフロンエチル(pyrazosulfuron−ethyl/一般名)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen/一般名)、ピリブチカルブ(pyributicarb/一般名)、ピリフタリド(pyriftalid/一般名)、ピリミノバックメチル(pyriminobac−methyl/一般名)、ピリミスルファン(pyrimisulfan/一般名)、ピロキサスルホン(pyroxasulfone/一般名)、ピロキシスラム(pyroxsulam/一般名)、キンクロラック(quinclorac/一般名)、キノクラミン(quinoclamine/一般名)、キザロホップエチル(quizalofop−ethyl/一般名)、サフルフェナシル(saflufenacil/一般名)、セトキシジム(sethoxydim/一般名)、シデュロン(siduron/一般名)、シマジン(simazine/一般名)、シメトリン(simetryn/一般名)、スルフォスルフロン(sulfosulfuron/一般名)、テブティウロン(tebuthiuron/一般名)、テフリルトリオン(tefuryltrione/一般名)、テンボトリオン(tembotrione/一般名)、テプラロキシジム(tepraloxydim/一般名)、ターバシル(terbacil/一般名)、テトラピオン(tetrapion/flupropanate/一般名)、テニルクロール(thenylchlor/一般名)、チアザフルロン(thiazafluron/一般名)、チエンカルバゾンメチル(thiencarbazone−methyl/一般名)、チフェンスルフロンメチル(thifensulfuron−methyl/一般名)、トプラメゾン(topramezon/一般名)、トリアファモン(triafamone/一般名)、トリフロキシスルフロン(trifloxysulfuron/一般名)、トリフルラリン(trifluralin/一般名)、2,4−PA(一般名)、2,4−PAのエステルおよび2,4−PAの塩から選ばれる除草活性成分。
【0017】
活性成分Aと活性成分Cを併用することにより、殺草スペクトラムの拡大、施用薬量の低減、除草効果の持続性の向上等が期待できる。
【0018】
本発明組成物および本発明方法における活性成分Aと、活性成分Bとの好適な使用割合は、活性成分Aの1重量部に対して、活性成分Bは通常0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。
【0019】
本発明組成物および本発明方法における活性成分の好ましい処理量は、防除すべき植物の種類などにより左右されるが、通常は活性成分Aが100〜30000g/ha、活性成分Bが10〜10000g/haであり、好ましくは活性成分Aが500〜12000g/haであり、活性成分Bが100〜5000g/haである。
【0020】
本発明組成物および本発明方法により防除できる雑草を以下に例示する。主に畑地、果樹園および畦畔などに発生する雑草としては、イヌホウズキ(Solanum nigrum)及びチョウセンアサガオ(Datura stramonium)等に代表されるナス科(Solanaceae)雑草、アメリカフウロ(Granium carolinianum)等に代表されるフウロソウ科(Geraniaceae)雑草、イチビ(Abutilon theophrasti)及びアメリカキンゴジカ(Sida spinosa)等に代表されるアオイ科(Malvaceae)雑草、マルバアサガオ(Ipomoea purpurea)等のアサガオ類(Ipomoea spps.)及びヒルガオ類(Calystegia spps.)等に代表されるヒルガオ科(Convolvulaceae)雑草、イヌビユ(Amaranthus lividus)及びアオビユ(Amaranthus retroflexus)等に代表されるヒユ科(Amaranthaceae)雑草、オナモミ(xanthium pensylvanicum)、ブタクサ(Ambrosia artemisiaefolia)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ハキダメギク(Galinsoga ciliata)、セイヨウトゲアザミ(Cirsium arvense)、ノボロギク(Senecio vulgaris)及びヒメジョン(Erigeron annus)等に代表されるキク科(Compositae)雑草、イヌガラシ(Rorippa indica)、ノハラガラシ(Sinapis arvensis)及びナズナ(Capsella Bursapastoris)等に代表されるアブラナ科(Cruciferae)雑草、イヌタデ(Polygonum Blumei)及びソバカズラ(Polygonum convolvulus)等に代表されるタデ科(Polygonaceae)雑草、スベリヒユ(Portulaca oleracea)等に代表されるスベリヒユ科(Portulacaceae)雑草、シロザ(Chenopodium album)、コアカザ(Chenopodium ficifolium)及びホウキギ(Kochia scoparia)等に代表されるアカザ科(Chenopodiaceae)雑草、ハコベ(Stellaria media)等に代表されるナデシコ科(Caryophyllaceae)雑草、オオイヌノフグリ(Veronica persica)等に代表されるゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)雑草、ツユクサ(Commelina communis)等に代表されるツユクサ科(Commelinaceae)雑草、ホトケノザ(Lamium amplexicaule)及びヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)等に代表されるシソ科(Labiatae)雑草、コニシキソウ(Euphorbia supina)及びオオニシキソウ(Euphorbia maculata)等に代表されるトウダイグサ科(Euphorbiaceae)雑草、ヤエムグラ(Galium spurium)及びアカネ(Rubia akane)等に代表されるアカネ科(Rubiaceae)雑草、スミレ(Viola mandshurica)等に代表されるスミレ科(Violaceae)雑草並びにアメリカツノクサネム(Sesbania exaltata)及びエビスグサ(Cassia obtusifolia)等に代表されるマメ科(Leguminosae)雑草、カタバミ(Oxsalis courniculata)に代表されるカタバミ科(Oxsaldaseae)等の広葉雑草(Broad−leaved weeds)。野生ソルガム(Sorgham bicolor)、オオクサキビ(Panicum dichotomiflorum)、ジョンソングラス(Sorghum halepense)、イヌビエ(Echinochloa crus−galli var. crus−galli)、ヒメイヌビエ(Echinochloa crus−galli var. praticola)、栽培ビエ(Echinochloa utilis)、メヒシバ(Digitaria ciliaris)、カラスムギ(Avena fatua)、ブラックグラス(Alopecurus myosuroides)、オヒシバ(Eleusine indica)、エノコログサ(Setaria viridis)、アキノエノコログサ(Setaria faberi)及びスズメノテッポウ(Alopecurus aegualis)等に代表されるイネ科雑草(Graminaceous weeds)並びにハマスゲ(Cyperus rotundus,Cyperus esculentus)等に代表されるカヤツリグサ科雑草(Cyperaceous weeds)等が挙げられる。
主に水田や畦畔などに発生する雑草としては、例えば、ヒルムシロ(Potamogeton distinctus)等に代表されるヒルムシロ科(Potamogetonaceae)雑草、ヘラオモダカ(Alisma canaliculatum)、ウリカワ(Sagittaria pygmaea)及びオモダカ(Sagittaria trifolia)等に代表されるオモダカ科(Alismataceae)雑草、アゼガヤ(Leptochloa chinensis)、イヌビエ(Echinochloa crus−galli)、タイヌビエ(Echinochloa oryzicola)、アシカキ(Homalocenchrus japonocus)及びキシュウスズメノヒエ(Paspalum distichum)等に代表されるイネ科(Gramineae)雑草、クログワイ(Eleocharis kuroguwai)、ホタルイ(Scirpus juncoides)、シズイ(Scirpus nipponicus)、ミズガヤツリ(Cyperus serotinus)、タマガヤツリ(Cyperus difformis)及びヒナガヤツリ(Cyperus hakonensis)等に代表されるカヤツリグサ科(Cyperaceae)雑草、ウキクサ(Spirodela polyrhiza)及びアオウキクサ(Lemna paucicostata)等に代表されるウキクサ科(Lemnaceae)雑草、イボクサ(Murdannia keisak)等に代表されるツユクサ科(Commelinaceae)雑草、ミズアオイ(Monochoria korsakowii)及びコナギ(Monochoria vaginalis)等に代表されるミズアオイ科(Pontederiaceae)雑草、ミゾハコベ(Elatine triandra)等に代表されるミゾハコベ科(Elatinaceae)雑草、ヒメミソハギ(Ammannia multiflora)及びキカシグサ(Rotala indica)等に代表されるミソハギ科(Lythraceae)雑草、チョウジタデ(Lidwigia epilobioides)等に代表されるアカバナ科(Oenotheraceae)雑草、アブノメ(Dopatrium junceum)、オオアブノメ(Gratiola japonica)、キクモ(Limnophila sessilifolia)、アゼナ(Lindernia pyxidaria)及びアメリカアゼナ(Lindernia dubia)等に代表されるゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)雑草、クサネム(Aeschynomene indica)等に代表されるマメ科(Leguminosae)雑草、並びにアメリカセンダングサ(Bidens frondosa)及びタウコギ(Bidens tripartita)等に代表されるキク科(Compositae)雑草等が挙げられる。
芝地、運動場、空地、道路脇、及び線路端等非農耕地における雑草としては、上記で述べたものに加えて、スズメノカタビラ(Poa annua)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)、オオアレチノギク(Conyza sumatrensis)、タネツケバナ(Cardamine flexuosa)、シロツメクサ(Trifolium repens)、チドメグサ(Hydrocotyle sibthorpioides)、オオバコ(Plantago asiatica)、ヒメクグ(Cyperus brevifolius、Kyllinga brevifolia)、スギナ(Equisetum arvense)等が挙げられる。
【0021】
本発明組成物を除草剤として使用するにあたっては、活性成分Aと活性成分Bを混合物としてそのまま使用することもできるが、通常適当な固体担体又は液体担体と混合し、更に所望により界面活性剤、浸透剤、展着剤、増粘剤、凍結防止剤、結合剤、固結防止剤、崩壊剤、消泡剤、防腐剤および分解防止剤等を添加して、液剤(soluble concentrate)、乳剤(emulsifiable concentrate)、水和剤(wettable powder)、水溶剤(water soluble powder)、顆粒水和剤(water dispersible granule)、顆粒水溶剤(water soluble granule)、懸濁剤(suspension concentrate)、乳濁剤(concentrated emulsion)、サスポエマルジョン(suspoemulsion)、マイクロエマルジョン(microemulsion)、粉剤(dustable powder)、粒剤(granule)、錠剤(tablet)及び乳化性ゲル剤(emulsifiable gel)等任意の剤型の製剤にて実用に供することができる。また、省力化および安全性向上の観点から、上記任意の剤型の製剤を、水溶性カプセルおよび水溶性フィルムの袋等の水溶性包装体に封入して供することもできる。
【0022】
固体担体としては、例えば石英、方解石、海泡石、ドロマイト、チョーク、カオリナイト、パイロフィライト、セリサイト、ハロサイト、メタハロサイト、木節粘土、蛙目粘土、陶石、ジークライト、アロフェン、シラス、きら、タルク、ベントナイト、活性白土、酸性白土、軽石、アタパルジャイト、ゼオライトおよび珪藻土等の天然鉱物質、例えば焼成クレー、パーライト、シラスバルーン、バーミキュライト、アタパルガスクレーおよび焼成珪藻土等の天然鉱物質の焼成品、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウムおよび塩化カリウム等の無機塩類、例えばブドウ糖、果糖、しょ糖および乳糖などの糖類、例えば澱粉、粉末セルロースおよびデキストリン等の多糖類、例えば尿素、尿素誘導体、安息香酸および安息香酸の塩等の有機物、例えば木粉、コルク粉、トウモロコシ穂軸、クルミ殻およびタバコ茎等の植物類、フライアッシュ、ホワイトカーボン(例えば、含水合成シリカ、無水合成シリカおよび含水合成シリケート等)ならびに肥料等が挙げられる。
【0023】
液体担体としては、例えばキシレン、アルキル(CまたはC10等)ベンゼン、フェニルキシリルエタンおよびアルキル(CまたはC等)ナフタレン等の芳香族炭化水素類、マシン油、ノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびナフテン等の脂肪族炭化水素類、ケロシン等の芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素の混合物、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコール等のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等の多価アルコール、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノフェニルエーテル等のエーテル、アセトフェノン、シクロヘキサノンおよびγ−ブチロラクトン等のケトン、脂肪酸メチルエステル、コハク酸ジアルキルエステル、グルタミン酸ジアルキルエステル、アジピン酸ジアルキルエステルおよびフタル酸ジアルキルエステル等のエステル、N−アルキル(C、CまたはC12等)ピロリドン等の酸アミド、大豆油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、綿実油およびヒマシ油等の油脂、ジメチルスルホキシドならびに水が挙げられる。
【0024】
これら固体および液体担体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0025】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル(モノまたはジ)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸(モノまたはジ)エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物およびアルキルグリコシド等のノニオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸または燐酸エステル塩、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキルフェニルエーテル硫酸または燐酸エステル塩、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル硫酸または燐酸エステル塩、ポリカルボン酸塩(例えば、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩およびマレイン酸とオレフィンとの共重合物等)およびポリスチレンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩およびアルキル4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、アミノ酸型およびベタイン型等の両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤ならびにフッ素系界面活性剤が挙げられる。
【0026】
これら界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、本発明組成物の製剤100重量部に対し、通常0.05〜20重量部の範囲が望ましい。また、これら界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0027】
次に本発明組成物の配合例を示す。但し本発明組成物は、これらのみに限定されるものではない。なお、以下の配合例において「部」は重量部を意味し、「活性成分」は活性成分A、活性成分Bおよび活性成分Cの総称である。
【0028】
〔水和剤〕
活性成分 0.1〜80部
固体担体 5〜98.9部
界面活性剤 1〜10部
その他 0〜5部
その他として、例えば固結防止剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0029】
〔乳 剤〕
活性成分 0.1〜30部
有機溶剤 45〜95部
界面活性剤 4.9〜30部
水 0〜50部
その他 0〜10部
その他として、例えば展着剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0030】
〔懸濁剤〕
活性成分 0.1〜70部
液体担体 15〜98.89部
界面活性剤 1〜12部
その他 0.01〜30部
その他として、例えば凍結防止剤、増粘剤等が挙げられる。
【0031】
〔顆粒水和剤〕
活性成分 0.1〜90部
固体担体 0〜98.9部
界面活性剤 1〜20部
その他 0〜10部
その他として、例えば結合剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0032】
〔液 剤〕
活性成分 0.01〜70部
液体担体 20〜99.99部
その他 0〜10部
その他として、例えば凍結防止剤、展着剤等が挙げられる。
【0033】
〔粒 剤〕
活性成分 0.01〜80部
固体担体 10〜99.99部
その他 0〜10部
その他として、例えば結合剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0034】
〔粉 剤〕
活性成分 0.01〜30部
固体担体 65〜99.99部
その他 0〜5部
その他として、例えばドリフト防止剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0035】
次に、本発明組成物の配合例をより具体的に示すが、本発明組成物はこれらに限定されるものではない。
【0036】
尚、以下の配合例において、「部」は重量部を意味する。
【0037】
〔配合例1〕水和剤
活性成分A 10部
活性成分B 10部
パイロフィライト 74部
ソルポール5039 4部
(非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との混合物:東邦化学工業(株)商品名)
カープレックス#80D 2部
(合成含水珪酸:塩野義製薬(株)商品名)
以上を均一に混合粉砕して水和剤とする。
【0038】
〔配合例2〕乳 剤
活性成分A 2部
活性成分B 2部
キシレン 76部
N−メチリピロリドン 15部
ソルポール2680 15部
(非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との混合物:東邦化学工業(株)商品名)
以上を均一に混合して乳剤とする。
【0039】
〔配合例3〕懸濁剤
活性成分A 10部
活性成分B 10部
アグリゾールS−710 10部
(非イオン性界面活性剤:花王(株)商品名)
ルノックス1000C 0.5部
(アニオン性界面活性剤:東邦化学工業(株)商品名)
キサンタンガム 0.2部
水 69.3部
以上を均一に混合した後、湿式粉砕して懸濁剤とする。
【0040】
〔配合例4〕顆粒水和剤
活性成分A 40部
活性成分B 40部
ハイテノールNE−15 5部
(アニオン性界面活性剤:第一工業製薬(株)商品名)
バニレックスN 10部
(アニオン性界面活性剤:日本製紙(株)商品名)
カープレックス#80D 5部
(合成含水珪酸:塩野義製薬(株)商品名)
以上を均一に混合粉砕した後、少量の水を加えて攪拌混合し、押出式造粒機で造粒し、乾燥して顆粒水和剤とする。
【0041】
〔配合例5〕粒 剤
活性成分A 5部
活性成分B 5部
ベントナイト 30部
タルク 60部
以上を均一に混合粉砕した後、少量の水を加えて攪拌混合し、押出式造粒機で造粒し、乾燥して粒剤とする。
【0042】
〔配合例6〕粉 剤
活性成分A 2部
活性成分B 2部
カープレックス#80D 0.5部
(合成含水珪酸:塩野義製薬(株)商品名)
カオリナイト 94部
リン酸ジイソプロピル 1.5部
以上を均一に混合粉砕して粉剤とする。
【0043】
使用に際しては、上記の各製剤を水で1〜20000倍に希釈して、または希釈せずにそのまま散布する。
【実施例】
【0044】
活性成分Aと活性成分Bを併用した場合に、単独の効果から期待される効果を上回る効果を奏することを以下の試験例で示す。
【0045】
2種類の活性成分を併用した場合の相乗的除草効果については、次のように説明することができる。すなわち個々の活性成分はその除草活性にそれぞれ欠点を示す場合が多くあるが、その場合2種の活性成分を組み合わせた除草活性が、その2種の活性成分の各々の活性の単純な合計(期待される活性)よりも大きくなる場合にこれを相乗作用という。2種の活性成分の組み合わせにより期待される活性は次のように計算することができる(Colby S.R.、除草剤の組み合わせの相乗および拮抗作用反応の計算、WEED 第15巻、20―22巻(1967)参照)。
【0046】
C=α+β―(α・β/100)
α:除草剤Aをakg/haの量で処理したときの抑制率
β:除草剤Bをbkg/haの量で処理したときの抑制率
C:除草剤Aをakg/ha、除草剤Bをbkg/haの量で処理した場合に期待される抑制率
即ち、実際の抑制率が上記計算値よりも大きいならば相乗的、同じならば相加的ということができる。
【0047】
〔効果試験−1〕
下記の雑草がほぼ均一に繁茂した圃場において、薬剤を水で希釈し小型スプレーで均一に処理した。薬剤処理138日後に、各種雑草に対する除草効果を観察評価で0=影響なし〜100=完全枯殺の判定基準に従い調査した。
【0048】
第1表に活性成分Aと活性成分Bを各々単独で使用した場合の除草効果を示した。第2表に活性成分Aと活性成分Bを併用した場合の除草効果を示した。
【0049】
表中、「処理量/10a」は10アール当たりの処理量を意味し、「gae」は活性成分A(グリホサートカリウム塩)をグリホサート酸に換算した重量を意味し、「gai」は活性成分B(トリアジフラム)の重量を意味する。また、Eは実測値を表し、Cは前記Colbyの式より求めた期待値を表す。
第1表
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量/10a スズメテッポウ イヌガラシ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
活性成分A 135gae 80 35
活性成分B 45gai 0 0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

第2表
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量/10a スズメノテッポウ イヌガラシ
E C E C
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
活性成分A+ 135gae+ 98 80 90 35
活性成分B 45gai
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

〔効果試験−2〕
下記の雑草がほぼ均一に繁茂した圃場において、薬剤を水で希釈し小型スプレーで均一に処理した。薬剤処理138日後に、各種雑草に対する除草効果を観察評価で0=影響なし〜100=完全枯殺の判定基準に従い調査した。
【0050】
第3表に活性成分Aと活性成分B各々単独で使用した場合の除草効果を示した。第4表に薬剤Aと薬剤Bを併用した場合の除草効果を示した。
【0051】

第3表
―――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量/10a セイヨウタンポポ ギシギシ
―――――――――――――――――――――――――――――――――
活性成分A 135gae 75 67
活性成分B 45gai 0 30
―――――――――――――――――――――――――――――――――

第4表
―――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量/10a セイヨウタンポポ ギシギシ
E C E C
―――――――――――――――――――――――――――――――――
活性成分A+ 135gae+ 100 75 90 77
活性成分B 45gai
―――――――――――――――――――――――――――――――――

以上の結果から明らかなように、本発明組成物および本発明方法は、相乗的除草効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明組成物および本発明方法は、雑草の防除に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリホサート、ビアラホス、グルホシネートおよびそれらの塩から選ばれる1種以上のアミノ酸系除草活性成分と、トリアジフラムを含有する除草組成物。
【請求項2】
アミノ酸系除草活性成分がグリホサートまたはその塩である請求項1記載の除草組成物。
【請求項3】
グリホサート、ビアラホス、グルホシネートおよびそれらの塩から選ばれる1種以上のアミノ酸系除草活性成分と、トリアジフラムを同時にまたは近接して別々に処理する除草方法。
【請求項4】
アミノ酸系除草活性成分がグリホサートまたはその塩である請求項3記載の除草方法。

【公開番号】特開2012−232943(P2012−232943A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103106(P2011−103106)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】