説明

除菌飲料水を設置した住居及び除菌飲料水の提供方法

【課題】新たな居住者が入居する場合に、新たな居住者が給水管水道配管内や屋内水道配管内の水を流して捨てることによる、水資源を無駄に消費する問題をなくし、一旦各水栓を全て開放した後に再び各水栓を閉じる作業を不要とし、引越し作業を完了した入居者が飲料水を確保して、直ちに通常の生活を始めることを可能にすることにある。
【解決手段】貸家、アパート、マンションなど賃貸用の住居を管理している大家、管理人若しくは管理会社又は不動産業者からの情報提供を受け、新たな居住者が入居する3日前から当日までに、新たな居住者が入居する住居に、逆浸透膜で濾過して雑菌を取り除いた水を詰めたボトル1及びボトル1の水を給水するサーバ2を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間水道を使用していない住居に新たな居住者が入居する場合に、新たな居住者に対して、飲むのに適した水を提供する住居及び飲むのに適した水を提供する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
夏季には1週間程度水道を使用していないと、水道配管内の水は流れずに滞留しているため、味が悪くなったり異臭を発したり、さらには細菌が増加して腹痛の原因となるなど、飲料水として適さない状態になる。
貸家、アパート、マンションなど賃貸用の住居では、1週間や2週間以上に渡り人が居住しない状況が多く発生し、1年以上に渡り人が居住しない状態が続くこともある。夏季では1週間以上、夏季以外の季節でも2週間以上、人が居住していない住居に新たな居住者が入居する場合には、入居者は水道配管内の水を直ちに飲料水として使用することができなかった。
水道本管については常に水が流れているので問題はないが、水道本管から各住居用の水道メーターまでの給水管水道配管内、及び水道メーターから流し台、洗面台、洗濯コーナー、浴室、トイレなどの各水栓までの屋内水道配管内の水は、人が居住していない期間中には流れていないため、長期間の滞留により飲料水として適さない状態になっているからである。
【0003】
このような場合に新たな居住者は、給水管水道配管内及び屋内水道配管内に滞留している水を入替える目的及び配管の内部を洗浄する目的で、複数箇所の各水栓を開放して水道水を流して捨てる作業(以下単に「管内入替洗浄作業」という)を行った後に、水道水を使用していた。
しかし、給水管水道配管や屋内水道配管に滞留している水は、飲料水として適さないとしても、流し台で野菜や皿を洗うために使用したり、洗面水や洗濯水として使用したり、浴室やトイレで使用することに問題があるわけではなく、配管内に滞留している水の入れ替えや配管の内部を洗浄する目的で、水道水を流して捨てることは水資源を無駄に消費する問題があった。
また、引越し作業を行った入居者は、水道水を飲料水として使用するために、入居後すぐに管内入替洗浄作業を行わなければならず、この作業が不便である問題と、管内入替洗浄作業が完了するまで水道水を飲料水として使用できないため、直ちに通常の生活を始めることができないという問題があった。
そこで、特許電子図書館の公報テキスト検索において、水道配管の水の滞留を防ぐ方法や、新たな居住者に飲料水を提供する方法などについて、先行出願があるか調査したが適当な発明はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−111228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、新たな居住者が給水管水道配管内や屋内水道配管内の水を入れ替えたり、配管の内部を洗浄する目的で、水道水を流して捨てることによる、水資源を無駄に消費する問題をなくすことにある。
また、新たな居住者による管内入替洗浄作業を不要にすることにある。さらに、引越し作業を行った入居者が直ちに飲料水を確保して、通常の生活を始めることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
貸家、アパート、マンションなど賃貸用の住居を管理している大家、管理人若しくは管理会社又は不動産業者(以下単に「住居関連業者」という)から、新たな居住者が入居する情報、入居する住居の情報及び入居予定日の情報を受け、新たな居住者が入居する日までに、新たな居住者が入居する住居に、雑菌を取り除いた飲料水(以下単に「除菌飲料水」という)を詰めたボトル及びボトルの除菌飲料水を給水するサーバを設置する。
また、台所の流し台で野菜や皿を洗ったり、洗面水や洗濯水として使用したり、浴室やトイレで使用するなど、水道水を飲料水以外の用途に使用しつつ通常の生活を続ける内に、給水管水道配管内や屋内水道配管内の水を入れ替え、さらには管の内部を洗浄することが可能と考えられる期間(以下単に「入替洗浄期間」という)に必要となる量の飲料水を設置する。
【発明の効果】
【0007】
新たな居住者は入居したときに、入替洗浄期間の生活に必要となる量の飲料水を確保しているので、直ちに通常の生活を始めることが可能になった。また、新たな居住者は管内入替洗浄作業を行う必要がなくなると供に、管内入替洗浄作業のために多量の水道水を無駄に消費することがなくなった。
さらに、以上のような効果を体感したり、提供した除菌飲料水を利用した入居者は、除菌飲料水を詰めたボトル及びサーバに好感を持ち、除菌飲料水の美味しさと安全性、除菌飲料水の提供サービスの便利さなどを理解する。このため、提供した除菌飲料水を利用した入居者が、引き続き除菌飲料水を詰めたボトルの提供を希望することや、除菌飲料水の提供サービスについて口コミにより宣伝する効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】サーバにボトルを取り付けた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
新たな居住者が入居する住居に、新たな居住者が入居する3日前から入居する当日までの間に、除菌飲料水を詰めたボトル及びボトルの除菌飲料水を給水するサーバを設置した住居とする。特に、新たな居住者が入居する前日又は入居する当日に、ボトルとサーバを設置することが好ましく、入居する当日に設置する場合は、新たな居住者が引越しを完了して通常の生活を始める迄に、ボトルとサーバを設置することが好ましい。
除菌飲料水を設置したのは、除菌飲料水は長期間飲料水として使用可能であり、新たな居住者が安心して使用できるからである。除菌飲料水として蒸留水を使用することも好ましいが、逆浸透膜で濾過して雑菌を取り除いた水(以下単に「膜濾過水」という)を使用することが最も好ましい。逆浸透膜は水の分子だけを透過させるため、環境ホルモンなど一般の浄水器では濾過できない微少な化学物質まで除去することが可能であり、清浄な飲料水を得ることができるからである。
【0010】
さらに、夏季には1週間以上、夏季以外の季節には2週間以上、人が居住していない住居を選んでボトルとサーバを設置することが好ましい。夏季では1週間以上、夏季以外の季節でも2週間以上、人が居住していない住居の給水管水道配管内や屋内水道配管内の水は、特に飲料水として適さないからである。
また、設置する除菌飲料水の量を10〜36リットルとすることが好ましい。入替洗浄期間に必要となる飲料水の量として、2人暮らしの場合は18〜24リットルを目安とすればよく、1人暮らしの場合は10リットル、4人暮らしの場合は36リットル程度あれば足りると考えられるからである。もちろん、36リットルを超える量の除菌飲料水を設置することに問題はない。
【0011】
住居関連業者から、新たな居住者が入居する情報、入居する住居の情報及び入居予定日の情報の提供を受ける工程と、新たな居住者が入居する3日前から入居する当日までの間に、除菌飲料水を詰めたボトル及びボトルの除菌飲料水を給水するサーバを、入居する住居に設置するという工程からなる、新たな居住者に対する飲料水の提供方法とする。
さらに、上記した除菌飲料水の提供方法であって、夏季には1週間以上、夏季以外の季節には2週間以上、人が居住していない住居を対象とし、提供する除菌飲料水の量が10〜36リットルである飲料水の提供方法とする。
夏季では1週間以上、夏季以外の季節でも2週間以上人が居住していない住居では、給水管水道配管内や屋内水道配管内の水は、飲料水として適さないからであり、入替洗浄期間に必要となる量の飲料水として、2人暮らしの場合は18〜24リットルを目安とすればよく、1人暮らしの場合は10リットル、4人暮らしの場合は36リットル程度あれば足りると考えられるからである。
【実施例1】
【0012】
本実施例は、2人暮らしの家族が入居する場合を想定した実施例である。除菌飲料水として膜濾過水を使用し、膜濾過水12リットルを詰めたボトル1と、サーバ2とを新たな居住者が入居する住居に設置する。
またボトル1を2個設置するものとして、合計24リットルの膜濾過水を提供する。2個のボトル1の内の1個をサーバ2の上に上下逆さまにして載せると、ボトル1の中の膜濾過水はサーバ2の中に流れ、入居者などがレバー3aを押したときにコック3から膜濾過水が流れ出る。
本実施例では、新たな居住者が入居する前日又は入居する日に、設置する2個のボトル1の内の少なくとも1個のボトル1と、サーバ2を設置する。新たな居住者が入居する日に設置する場合は、新たな居住者が引越しを完了する迄に設置して、入居後直ちに通常の生活を始めることができるようにする。
【0013】
飲料水の提供者はあらかじめ住居関連業者との間で、夏季では1週間以上、夏季以外の季節では2週間以上人が居住していない住居に、新たな居住者が入居するとの情報、入居する住居の情報及び入居予定日の情報を、住居関連業者が飲料水の提供者に連絡する旨取り決めておく。
そして、住居関連業者から上記の情報提供を受け、新たな居住者が入居する前日又は入居する日に、濾過水12リットルを詰めたボトル1及びサーバ2を入居する住居に設置する。上記したとおり、新たな居住者が引越しを完了して通常の生活を始める迄に、2個のボトル1の内の少なくとも1個のボトル1とサーバ2を設置することが好ましい。
【0014】
新たな居住者は、引越しを完了したときに、当面の生活に必要となる量の飲料水を確保しているので、直ちに通常の生活を始めることが可能になる。
また、入替洗浄期間に必要となる量の飲料水を確保した新たな居住者は、管内入替洗浄作業を行う必要がなく、多量の水道水を無駄に消費することもなくなった。
そして、以上のような効果を体感したり、提供した膜濾過水を利用した入居者は、膜濾過水を詰めたボトル1及びサーバ2による、飲料水の提供サービスに好感を持ち、膜濾過水の美味しさと安全性、膜濾過水の提供サービスの便利さなどを理解する。
このため、提供した膜濾過水を利用した入居者が、引き続き膜濾過水を詰めたボトル1の提供を希望することや、飲料水の提供者による膜濾過水の提供サービスについて、口コミにより宣伝する効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、飲料水を提供するサービス産業、アパートやマンションなどの賃貸及び不動産の斡旋を行う不動産関連の産業において利用される。
【符号の説明】
【0016】
1 :ボトル 2 :サーバ 3 :コック 3a:レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新たな居住者が入居する住居に、前記新たな居住者が入居する3日前から入居する当日までの間に、雑菌を取り除いた飲料水(以下単に「除菌飲料水」という)を詰めたボトル及び前記ボトルの前記除菌飲料水を給水するサーバを設置したことを特長とする住居。
【請求項2】
請求項1に記載した住居であって、夏季には1週間以上、夏季以外の季節には2週間以上、前記住居には人が居住していないものとし、設置する除菌飲料水の量が10〜36リットルであることを特長とする住居。
【請求項3】
貸家、アパート、マンションなど賃貸用の住居の大家、管理人若しくは管理会社又は不動産業者(以下単に「住居関連業者」という)から、新たな居住者が入居する情報、入居する住居の情報及び入居予定日の情報の提供を受ける工程と、前記新たな居住者が入居する3日前から入居す当日までの間に、除菌飲料水を詰めたボトル及び前記ボトルの前記除菌飲料水を給水するサーバを、前記入居する住居に設置する工程を有することを特長とする、新たな居住者に対する飲料水の提供方法。
【請求項4】
請求項3に記載した飲料水の提供方法であって、夏季には1週間以上、夏季以外の季節には2週間以上、人が居住していない住居を対象として、住居関連業者から情報の提供を受けるものとし、提供する除菌飲料水の量が10〜36リットルであることを特長とする飲料水の提供方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−5762(P2013−5762A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141049(P2011−141049)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(511155589)
【Fターム(参考)】