説明

除虫装置

【課題】害虫の死骸を適切に除去することが可能であり、且つ、回収した溶液を再利用する場合に、害虫の死骸が適切に除去された溶液を用いることが可能である除虫装置を提供する。
【解決手段】除虫装置は、タンク3とフィルタ37とを備えている。タンク3は、供給部分311と回収部分321とを有している。供給部分311は、害虫を駆除するときに利用される溶液を貯留する。回収部分321は、駆除された害虫の死骸が混入された溶液を貯留する。タンク3は、連通口36aが形成された仕切壁36を有している。連通口36aは、タンク3の内部において、回収部分321のうちの天面3aと底面3bとの間の位置と、供給部分311とを連通させる。フィルタ37は連通口36aに配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除虫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫を駆除するための除虫装置等について、特開2002−300840号公報(特許文献1)、特開2003−61540号公報(特許文献2)、特開2004−81166号公報(特許文献3)、または、特開2004−97193号公報(特許文献4)に記載されたものが従来から知られている。
【0003】
上記従来の各除虫装置等は、比較的大型の装置であって、家庭内での使用が考慮されたものではなく、害虫を捕獲するための界面活性剤を含んだ大量の溶液から泡を大量に発泡させている。界面活性剤を含んだ大量の溶液は、豊富な容量を持つ容器等に貯留されている。
【0004】
特開2002−300840号公報(特許文献1)に記載された不快害虫駆除装置は、泡を含んだ溶液を床面に供給することにより、害虫を駆除している。
【0005】
特開2003−61540号公報(特許文献2)に記載された飛翔性害虫駆除装置は、溶液を貯留する容器に、駆除した害虫が混入されるように構成されている。
【0006】
特開2004−81166号公報(特許文献3)に記載された飛翔性害虫駆除装置は、溶液を貯留する泡原料容器と、駆除した害虫が混入された使用後の溶液を貯留する回収容器とを備えている。泡原料容器の底部と回収容器の底部とは、連通管によって互いに連通されている。回収容器の上方には、溶液に混入した害虫を捕獲する捕獲部材が配置されている。
【0007】
特開2004−97193号公報(特許文献4)に記載された飛翔性害虫捕捉装置は、溶液を貯留する泡生成液容器に、駆除した害虫が混入されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−300840号公報
【特許文献2】特開2003−61540号公報
【特許文献3】特開2004−81166号公報
【特許文献4】特開2004−97193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特開2002−300840号公報(特許文献1)に記載された不快害虫駆除装置は、害虫の駆除に寄与して役目が終えられた溶液を回収することがなく、単に廃棄している。このように、特開2002−300840号公報(特許文献1)に記載された不快害虫駆除装置は、役目が終えられた溶液を回収することについて、考慮されたものではない。
【0010】
また、特開2003−61540号公報(特許文献2)に記載された飛翔性害虫捕捉装置と、特開2004−97193号公報(特許文献4)に記載された飛翔性害虫捕捉装置とは、駆除した害虫が混入された溶液を使用し続けるだけであって、役目が終えられた溶液を回収することについて考慮されたものではない。さらに、役目が終えられた溶液を回収し且つ再利用する場合に、容器の外部に供給される溶液に害虫の死骸が含まれないように害虫の死骸を除去するような対策は、当然施されていない。
【0011】
特開2004−81166号公報(特許文献3)に記載された飛翔性害虫駆除装置において、捕獲部材は、回収容器の上方に配置されている。しかしながら、特開2004−81166号公報(特許文献3)に記載された飛翔性害虫駆除装置は、害虫の死骸を適切に除去することについて考慮されたものではない。
【0012】
特開2004−81166号公報(特許文献3)に記載された飛翔性害虫駆除装置において、回収容器の上方に捕獲部材が配置されているとしても、捕獲部材の機能が不十分であるような場合には、害虫の死骸等の不純物が捕獲部材を通過して、溶液と共に回収容器に貯留される。不純物等の重量を有するものは、回収容器の底部に溜まり易い。そのため、泡原料容器の底部と回収容器の底部とが連通管によって連通していることにより、回収容器の溶液に混入した不純物は、溶液と共に泡原料容器に移動してしまう。このように、特開2004−81166号公報(特許文献3)に記載された飛翔性害虫駆除装置においては、回収容器の溶液に不純物が混入しているような場合に、不純物が混入した溶液が再利用されてしまう。すなわち、特開2004−81166号公報(特許文献3)に記載された飛翔性害虫駆除装置は、回収した溶液を再利用する場合に、害虫の死骸が適切に除去されていない溶液を用いるような事態が発生するおそれがある。そのため、特開2004−81166号公報(特許文献3)に記載された飛翔性害虫駆除装置が、害虫の死骸を適切に除去することができるものであるとはいえない。
【0013】
これらのように、害虫の死骸を適切に除去し、且つ、回収した溶液を再利用する場合に、タンクの外部に供給される溶液に害虫の死骸が含まれないように、害虫の死骸を除去するような対策が施された除虫装置が望まれていた。
【0014】
そこで、本発明の目的は、害虫の死骸を適切に除去することが可能であり、且つ、回収した溶液を再利用する場合に、害虫の死骸が適切に除去された溶液を用いることが可能である除虫装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除する除虫装置である。本発明に従った除虫装置は、タンクと、連通部と、フィルタとを備えている。タンクは、供給部分と回収部分とを有している。供給部分は、害虫を駆除するときに利用される溶液を貯留する。回収部分は、駆除された害虫の死骸が混入された溶液を貯留する。連通部は、タンクの内部において、回収部分のうちの上端と下端との間の位置と、供給部分とを連通させる。フィルタは、連通部に配置されている。
【0016】
本発明に従った除虫装置によれば、タンクが供給部分と回収部分とを有していることにより、界面活性剤が含まれる溶液は、回収部分に一旦回収された後に、供給部分から再利用される。回収部分に貯留される溶液には、駆除された害虫の死骸が混入されている。このように、本発明に従った除虫装置によれば、駆除された害虫がタンクの内部に収容されることにより、害虫の死骸を除去することができる。
【0017】
溶液とともに回収部分に回収された害虫の死骸のうち、比較的大きな害虫のものは、回収部分の底部に沈んでいる。一方、害虫の死骸のうち、比較的小さな害虫のものは、回収部分の液面付近に浮かんでいる。本発明に従った除虫装置によれば、タンクの内部において、回収部分のうちの上端と下端との間の位置と、供給部分とは、連通部によって連通されている。そのため、本発明に従った除虫装置によれば、回収部分に貯留された溶液のうち、害虫の死骸があまり多く含まれていない部分を供給部分に移動させることができる。
【0018】
さらに、連通部にはフィルタが配置されている。そのため、連通部を介して回収部分から供給部分に溶液が移動する場合には、溶液に含まれる害虫の死骸よりもさらに細かい不純物が、フィルタによって除去される。このように、回収部分から供給部分に移動した溶液には、不純物等があまり含まれないため、供給部分には比較的清潔な溶液が貯留される。すなわち、本発明に従った除虫装置によれば、回収した溶液を再利用する場合に、害虫の死骸が適切に除去された溶液を用いることが可能である。
【0019】
本発明に従った除虫装置は、タンクの内部の溶液の液面の高さを検知する検知部をさらに備えていることが好ましい。また、本発明に従った除虫装置は、検知部が検知する液面の高さが所定の高さよりも低い場合に、タンクの供給部分から溶液を供給することを停止することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、タンクにおいて、必要十分な量の溶液を常に貯留することができる。そのため、溶液に含まれる界面活性剤の濃度が適切に管理される。
【0021】
本発明に従った除虫装置は、タンクの内部の溶液の液面の高さを検知する検知部をさらに備えていることが好ましい。さらに、本発明に従った除虫装置は、検知部が検知する液面の高さが所定の高さよりも低い場合に、使用者に警告する警告部をさらに備えていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、溶液の量が不足していることを使用者に警告することができる。そのため、溶液が不足している状態で、当該除虫装置が継続して使用されることを防止することができる。また、当該警告により、溶液に含まれる界面活性剤の濃度を所定の濃度以内に抑えることを使用者に促すことができる。あるいは、この構成によれば、溶液の量が不足して当該除虫装置を継続して使用することができないことを、使用者に警告することができる。
【0023】
本発明に従った除虫装置において、タンクは、溶液を貯留する容器部分と、容器部分に着脱自在に取り付けられる蓋部分とを有していることが好ましい。また、蓋部分のうち、回収部分の蓋を形成する部分には、開口部が形成されていることが好ましい。さらに、本発明に従った除虫装置は、ネット部材をさらに備えていることが好ましい。ネット部材は、少なくとも開口部の上方を覆い、開口部からタンクの外方に向かって溶液に含まれる害虫の死骸を通過させることが不可能であり且つ開口部からタンクの外方に向かって溶液を通過させることが可能であるように構成されていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、使用者は、タンクの溶液を開口部から廃棄することができる。このとき、タンクの回収部分に溜められた害虫の死骸等の不純物は、開口部を覆うネット部材により、タンクから外部に流出しない。タンクに溜められた害虫の死骸等は、溶液が廃棄された後に、溶液とは別にタンクから容易に取り除かれる。このように、本発明に従った除虫装置の構成によれば、害虫の死骸と溶液とを個別に且つ容易にタンクから取り除くことができる。
【0025】
本発明に従った除虫装置において、タンクは、溶液を貯留する容器部分と、容器部分に着脱自在に取り付けられる蓋部分とを有していることが好ましい。蓋部分のうち、回収部分の蓋を形成する部分には、開口部と、固定部材とが形成されていることが好ましい。固定部材は、開口部の外周に配置されていることが好ましい。また、固定部材は、市販の袋部材が少なくとも開口部の上方を覆うことができるように袋部材を固定させるものであることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、使用者は、開口部の上方を覆うように固定部材に取り付けられた袋部材を用いて、タンクに溜められた害虫の死骸等の不純物と溶液とを容易にタンクから取り除くことができる。このように、本発明に従った除虫装置の構成によれば、害虫の死骸と溶液とを容易に廃棄することができる。
【0027】
本発明に従った除虫装置において、タンクは、溶液を貯留する容器部分と、容器部分に着脱自在に取り付けられる蓋部分とを有していることが好ましい。また、本発明に従った除虫装置は、押さえ部材をさらに備えていることが好ましい。押さえ部材は、蓋部分が取り外された容器部分の一部に収容されることが可能であるように構成されていることが好ましい。また、押さえ部材は、蓋部分が取り外された容器部分の一部に収容された場合に、押さえ部材の外方に向かって溶液に含まれる害虫の死骸を通過させることが不可能であり且つ押さえ部材の外方に向かって溶液を通過させることが可能であるように構成されていることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、使用者は、蓋部分が取り外されたタンクから、溶液を廃棄することができる。このとき、押さえ部材が容器部分に収容されるように使用者が押さえ部材を用いることにより、タンクの回収部分に溜められた害虫の死骸等の不純物が、タンクから外部に流出することを防ぐことができる。さらに、タンクに溜められた害虫の死骸等は、溶液が廃棄された後に、溶液とは別に廃棄される。このように、本発明に従った除虫装置の構成によれば、害虫の死骸と溶液とを個別に且つ容易に廃棄することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、害虫の死骸を適切に除去することが可能であり、且つ、回収した溶液を再利用する場合に、害虫の死骸が適切に除去された溶液を用いることが可能である除虫装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に従った除虫装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明に従った除虫装置の全体を示す斜視図である。
【図3】本発明に従った除虫装置の泡供給部を概略的に示す正面図である。
【図4】本発明に従った除虫装置のタンクの一例を示す断面図である。
【図5】本発明に従った除虫装置のタンクの回収部分の一例を示す断面図であり、(A)は回収部分に溜められた溶液が廃棄される前のものであり、(B)は回収部分に溜められた溶液が廃棄されるときのものである。
【図6】本発明に従った除虫装置のタンクの回収部分の他の一例を示す断面図である。
【図7】本発明に従った除虫装置のタンクの回収部分の他の一例のうちの蓋部分を示す図であって、回収部分の内部から蓋部分を見た図である。
【図8】本発明に従った除虫装置のタンクの回収部分の他の一例のうちの蓋部分に形成された固定部材を示す図であって、(A)は固定部材の一例を示す断面図であり、(B)は固定部材の他の一例を示す断面図である。
【図9】本発明に従った除虫装置のタンクの回収部分のさらに他の一例に収容可能であるように構成された押さえ部材の全体を示す斜視図である。
【図10】本発明に従った除虫装置のタンクの回収部分のさらに他の一例のうちの容器部分と、容器部分に収容された押さえ部材とを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態に係る除虫装置100の概略的な構成図を示す。除虫装置100は、発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除するものである。また、除虫装置100は、家庭用の除虫装置であって、比較的小型のものである。図1に示すように、除虫装置100は、泡供給部10と流下部2とタンク3とポンプ14とを備えている。泡供給部10は、発泡部11と泡収容部12とを有している。
【0033】
ポンプ14の作動により、タンク3から発泡部11に溶液が供給される。また、除虫装置100は、制御部50を備えている。制御部50は、ポンプ14と発泡部11とを制御している。ポンプ14と発泡部11との作動により、発泡部11に供給された溶液が発泡する。
【0034】
なお、発泡部11の構成は、特に限定されない。発泡部11は、液体に泡を発生させることが可能であるように構成されているものであればよく、公知の技術が用いられている。発泡部11は、例えば、発泡部11に供給された溶液に空気を送るポンプ(図示せず)を有していてもよい。
【0035】
流下部2には、発泡した溶液が泡供給部10から供給される。図2に示すように、除虫装置100において、タンク3は、除虫装置100の底部に配置されている。流下部2は、タンク3よりも上方に配置されている。泡収容部12は、流下部2の上方に配置されている。タンク3は、泡供給部10と流下部2とから取り外しが可能であるように構成されている。泡供給部10と流下部2は、タンク3に着脱自在に取り付けられている。
【0036】
泡収容部12は、筒状の管状部材によって構成されている。図3に示すように、泡収容部12の下部には、複数の開口部121が形成されている。図示は省略するが、発泡部11の内部の空間と泡収容部12の内部の空間とは連通している。発泡部11にて発泡した泡を含む溶液は、少なくとも供給管13を流通する溶液の圧力によって、発泡部11から泡収容部12に移動する。泡を含む溶液は、開口部121を介して泡収容部12から吐出される。
【0037】
流下部2に供給された泡を含む溶液は、流下部2を上方から下方に向かって流下する。除虫装置100に集まる害虫は、流下部2を流下する溶液によって駆除される。
【0038】
界面活性剤を含む泡によって害虫を捕獲する方法としては、溶液の泡がはじけることによって界面活性剤の微細な霧が発生する。害虫が泡に接触または突入するときに、多くの泡が破裂して界面活性剤の霧が害虫の体または羽根にかかる。羽根が濡れて飛べなくなった害虫の体に付いた界面活性剤は、害虫の呼吸器官に入ったり体の表面を濡らしたりする。界面活性剤が呼吸器官に入った場合には、害虫の呼吸が止まる。このように、泡に捕獲された害虫は、最後には死に至る。
【0039】
図2を参照するように、捕獲された害虫を含む溶液は、流下部2を流下した後に回収口34bを介してタンク3に回収される。図1に示すように、除虫装置100のタンク3は、害虫を駆除するときに利用される溶液を貯留する供給部分311と、駆除された害虫の死骸が混入された溶液を貯留する回収部分321とを有している。なお、タンク3は、半透明状または非透明状であることが好ましい。
【0040】
また、図4に示すように、タンク3は、溶液を貯留する容器部分351と、容器部分351に着脱自在に取り付けられる蓋部分341とを有している。蓋部分341のうち、回収部分321の蓋を形成する部分には、回収口34bが形成されている。回収口34bを介して回収部分321に流入した溶液と、溶液に含まれる害虫の死骸等の不純物とは、回収部分321に一旦貯留される。つまり、回収部分321は、駆除された害虫の死骸が混入された溶液を貯留する。
【0041】
除虫装置100(図1参照)において、供給部分311と回収部分321とは、一体である。つまり、容器部分351は、供給部分311と回収部分321とを有している。また、蓋部分341は、一体である供給部分311と回収部分321とを覆っている。タンク3の容器部分351には、タンク3の底面3bから上方に向かって仕切壁36が延びている。仕切壁36により、容器部分351が供給部分311と回収部分321とに区画されている。仕切壁36の一部には、供給部分311と回収部分321とが連通されるように、連通口36aが形成されている。
【0042】
連通口36aのうちの少なくとも回収部分321側の下端は、タンク3の底面3bつまり容器部分351の底面よりも上方に位置している。タンク3の底面3bは、回収部分321の下端を形成している。また、連通口36aのうちの少なくとも回収部分321側の上端は、タンク3の天面3aよりも下方に位置している。タンク3の天面3aは、回収部分321の上端を形成している。一方、連通口36aのうちの供給部分311側の位置は、図4に示すように回収部分321側の位置と略同一であることに限定されない。このように、タンク3の内部において、回収部分321のうちの上端と下端との間の位置と、供給部分311とは、連通口36aによって連通されている。
【0043】
仕切壁36に形成された連通口36aは、連通部の一例である。連通口36aには、連通口36aを覆うように、フィルタ37が配置されている。このように、除虫装置100(図1参照)は、連通口36aが形成された仕切壁36を有するタンク3と、フィルタ37とを備えている。
【0044】
フィルタ37の材質は、特に限定されず、液体である溶液にフィルタ37が濡らされても損傷することが無いような材質であればよい。また、フィルタ37は、防腐性を有する材質によって形成されていることが好ましい。さらに、フィルタ37は、溶液に含まれる雑菌によって汚損することが無いように、様々な雑菌に対して抗菌性を有した材質によって形成されていることが好ましい。
【0045】
フィルタ37は、例えば、銀イオンを含有した無機材料の抗菌剤が練り込まれたポリエチレン、または、ポリプロピレン等を含む材料によって形成されていてもよい。また、銀イオンを含有した無機材料の抗菌剤が練り込まれたポリエチレンもしくはポリプロピレン等は、それぞれ単独で用いられているものであってもよく、ポリエチレンもしくはポリスチレン等と共重合しているものであってもよく、または、ポリエチレンもしくはポリスチレン等と混合されているものであってもよい。
【0046】
除虫装置100によれば、タンク3は、少なくとも供給部分311の容量と回収部分321の容量とが加えられた容量を有している。そのため、除虫装置100は、害虫を駆除するときに利用される溶液を貯留するタンクと、駆除された害虫の死骸が混入された溶液を貯留するタンクとを別々に備えていないにもかかわらず、供給部分311と回収部分321とを有するタンク3を備えることにより、必要十分な量の溶液を貯留することができる。このように、除虫装置100が比較的小型のものであって且つ当該装置内にスペースを十分に確保することができないものであっても、除虫装置100は、必要十分な量の溶液をタンク3によって貯留することができる。
【0047】
供給部分311からタンク3の外部に供給される溶液の流れと、流下部2(図2参照)を流下した後に回収部分321に回収される溶液の流れとに基づき、タンク3に貯留される溶液は、回収部分321から供給部分311に移動するようにタンク3の内部を流れる。回収部分321から供給部分311に溶液が移動するときに、溶液に含まれる不純物は、フィルタ37に捕獲される。このように、供給部分311には、不純物が取り除かれた清潔な溶液が貯留される。そのため、供給部分311からは、清潔な溶液が発泡部11に供給される。
【0048】
蓋部分341のうち、供給部分311の蓋を形成する部分には、供給口34aが形成されている。また、供給部分311には、供給口34aを介して供給管13の一端側の部分が収容されている。供給管13の他端は、ポンプ14(図1参照)に接続されている。ポンプ14の作動により、供給部分311の溶液が供給管13を通ってタンク3の外部に供給される。供給部分311に貯留される溶液は不純物が取り除かれているため、除虫装置100においては、ポンプ14に害虫の死骸等の不純物が詰るような事態が防止されている。
【0049】
除虫装置100は、タンク3内の溶液の液面の高さを検知する検知部の一例としてのセンサ51を備えている。センサ51は、溶液が完全に消費される前または溶液が皆無であることを検知する。除虫装置100は、センサ51が検知する液面の高さが所定の高さよりも低い場合に、タンク3の供給部分311から溶液を供給することを停止する。なお、センサ51の構成は、一般的に利用される公知の構成であって、液面の高さを検知することができるものであれば特に限定されない。
【0050】
制御部50(図1参照)は、センサ51からの信号を受信する。制御部50は、センサ51からの信号に基づいて、タンク3の供給部分311から発泡部11に溶液を供給することを停止するように、ポンプ14を制御する。制御部50の制御により、ポンプ14の作動が停止する場合には、タンク3の供給部分311から発泡部11への溶液の供給が停止される。あるいは、制御部50は、センサ51からの信号に基づいて、使用者に溶液が不足していることを警告したり、除虫装置100の作動を停止させたりする。例えば、除虫装置100が長期間使用されずに放置されることによって溶液が蒸発している場合、または、溶液を後述するように廃棄した後に除虫装置100の使用が開始される場合等に、警告が行われたり除虫装置100の作動が停止されたりする。
【0051】
なお、所定の高さとは、例えば連通口36aの上端の位置と略同一の高さである。ただし、所定の高さは、連通口36aの上端よりも上方であってもよく、タンク3の天面3aであってもよい。あるいは、所定の高さは、例えば連通口36aの下端の位置と略同一の高さであってもよい。さらに、所定の高さは、タンク3の底面3bと略同一の高さであってもよく、底面3bよりも高い位置であってもよい。除虫装置100を使用している最中には、タンク3内部に害虫の死骸が含まれるため、所定の高さが底面3bよりも高い位置であっても溶液の残量が少ないことが想定される。
【0052】
図2に示すように、除虫装置100は、警告部60の一例としての表示部61を備えている。表示部61は、センサ51が検知する液面の高さが所定の高さよりも低い場合に、使用者に警告する。表示部61は、例えばLEDランプによって構成されている。除虫装置100が正常に作動している場合には、表示部61は例えば青色で点灯している。タンク3の液量が減少し、液面が低下していることを制御部50(図1参照)が判断する場合には、表示部61は青色とは異なる色(例えば赤色)で点灯または点滅する。
【0053】
なお、除虫装置100において、発泡部11の構成は特に限定されない。また、ポンプ14は、発泡部11の一部であってもよい。発泡部11は、公知の技術を利用したものであって、所定の単位時間において所望の量の泡を発生させることができるものであればよい。発泡部11は、例えばマイクロポンプを利用したものであってもよい。この場合には、発泡部11は、溶液に空気を送るマイクロポンプと、溶液が所定の量ずつ吐出されるマイクロポンプとを利用するものであってもよい。
【0054】
泡供給部10は、泡を含む溶液が開口部121を介して泡収容部12の外部に円滑に吐出されるように、ポンプ(図示せず)を有していてもよい。このポンプは、例えば発泡部11または泡収容部12に収容されていてもよい。また、このポンプは、例えば制御部50によって制御され、制御部50の制御に基づいて作動する。
【0055】
なお、泡収容部12の開口部121は、開閉自在に構成されているものであってもよい。この場合は、開口部121は、制御部50によって制御される。開口部121が開閉自在であることにより、泡収容部12から流下部2に吐出される溶液の量を調整することができる。
【0056】
上述したように、除虫装置100において、供給部分311と回収部分321とは、互いに一体であるように容器部分351と蓋部分341とによって構成されている。ただし、供給部分311と回収部分321とは、分離が可能であるように構成されていてもよい。この場合には、分離が可能であるように構成された供給部分311と回収部分321とが、それぞれ蓋部分と容器部分とを有している。
【0057】
連通部の他の例としては、管状部材(図示せず)によって供給部分311と回収部分321とが連通されていてもよい。管状部材によって供給部分311と回収部分321とが連通されている場合は、供給部分311と回収部分321とが互いに一体であってもよく、供給部分311と回収部分321とが分離可能であってもよい。
【0058】
除虫装置100において、連通口36aに配置されるフィルタ37は、連通口36aに着脱自在に嵌め込まれていることが好ましい。使用者は、フィルタ37を連通口36aから取り外すことにより、フィルタ37を洗浄することができる。このように、除虫装置100において、清潔なフィルタ37を常に使用することができる。なお、フィルタ37は、一枚のシート状の部材によって形成されていてもよく、複数枚のシート状の部材が重ねられているものであってもよい。これら複数枚のシート状の部材の目の粗さは、それぞれ異なっていてもよく、同一であってもよい。
【0059】
除虫装置100において、センサ51は、図4に示すように供給部分311に配置されていることに限定されない。センサ51は、仕切壁36または回収部分321に配置されていてもよい。また、センサ51は、容器部分351のいずれか側壁内面に配置されていてもよく、タンク3の天面3aに配置されていてもよい。
【0060】
除虫装置100において、表示部61は、LEDランプによって構成されていることに限定されず、例えば液晶パネルであってもよい。特に、タンク3の内部の液面が低下していることを制御部50(図1参照)が判断する場合には、液晶パネルとしての表示部61は、除虫装置100のエラーを使用者に警告するために、エラーをイメージさせる図柄または文字等を表示する。あるいは、液晶パネルとしての表示部61は、例えば溶液の液面高さのデジタル値を液晶パネルに表示することができる。
【0061】
除虫装置100において、警告部60は、警告音を発生させるブザー62であってもよい。ブザーは、センサ51が検知する液面の高さが所定の高さよりも低い場合に、警告音を発生することにより、除虫装置100のエラーを使用者に警告する。ブザー62は、制御部50に制御されている。なお、ブザー62の配置は、特に限定されない。ブザー62は、所望の音量の警告音を発することができるような位置に配置されていればよく、且つ、他の構成部品の機能を妨げないような位置に配置されていればよい。タンク3には、ブザー62が発生させた音を除虫装置100の外部に伝わらせるためのブザー口62aが配置されている。ブザー口62aから外部に伝えられる警告音と、表示部61の表示とにより、より確実に使用者に警告することができる。
【0062】
以上のように、第1実施形態の除虫装置100は、発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除する。除虫装置100は、タンク3とフィルタ37とを備えている。タンク3は、供給部分311と回収部分321とを有している。供給部分311は、害虫を駆除するときに利用される溶液を貯留する。回収部分321は、駆除された害虫の死骸が混入された溶液を貯留する。また、タンク3は、連通口36aが形成された仕切壁36を有している。連通口36aは、タンク3の内部において、回収部分321のうちの天面3aと底面3bとの間の位置と、供給部分311とを連通させる。フィルタ37は、連通口36aに配置されている。
【0063】
除虫装置100によれば、タンク3が供給部分311と回収部分321とを有していることにより、界面活性剤が含まれる溶液は、回収部分321に一旦回収された後に、供給部分311から再利用される。回収部分321に貯留される溶液には、駆除された害虫の死骸が混入されている。このように、除虫装置100によれば、駆除された害虫がタンク3の内部のうちの回収部分321に収容されることにより、害虫の死骸を除去することができる。さらに、少なくとも回収部分321が非透明状である場合には、使用者は、回収部分321に収容された害虫の死骸を見なくて済むため、除虫装置100を快適に使用することができる。
【0064】
溶液とともに回収部分321に回収された害虫の死骸のうち、比較的大きな害虫のものは、回収部分321の底面3bに沈んでいる。一方、害虫の死骸のうち、比較的小さな害虫のものは、回収部分321の液面付近に浮かんでいる。除虫装置100によれば、連通口36aは、タンク3の内部において、回収部分321のうちの上端と下端との間の位置と、供給部分311とを連通させる。そのため、除虫装置100によれば、回収部分321に貯留された溶液のうち、害虫の死骸があまり多く含まれていない部分を供給部分311に移動させることができる。
【0065】
さらに、連通口36aにはフィルタ37が配置されている。そのため、連通口36aを介して回収部分321から供給部分311に溶液が移動されるときに、連通口36aを流通する溶液に含まれる害虫の死骸よりもさらに細かい不純物は、フィルタ37によって除去される。このように、回収部分321から供給部分311に移動した溶液には、不純物等があまり含まれないため、供給部分311には比較的清潔な溶液が貯留される。すなわち、除虫装置100によれば、回収した溶液を再利用する場合に、害虫の死骸が適切に除去された溶液を用いることが可能である。したがって、除虫装置100によれば、害虫の死骸を適切に除去することが可能であり、且つ、回収した溶液を再利用する場合に、害虫の死骸が適切に除去された溶液を用いることが可能である。
【0066】
除虫装置100は、タンク3の内部の溶液の液面の高さを検知するセンサ51を備えている。また、除虫装置100は、センサ51が検知する液面の高さが所定の高さよりも低い場合に、タンク3の供給部分311から溶液を供給することを停止する。
【0067】
この構成によれば、タンク3において、必要十分な量の溶液を常に貯留することができる。そのため、溶液に含まれる界面活性剤の濃度が適切に管理される。また、例えば、液面の所定の高さとして、回収部分321の液面の高さのうち、連通口36aによって供給部分311と回収部分321とが連通されている位置の高さが設定されている場合には、溶液の液面に浮かんだ不純物がフィルタ37に付着することが防止される。そのため、フィルタ37の詰まりを防止することができる。
【0068】
除虫装置100は、センサ51が検知する液面の高さが所定の高さよりも低い場合に、使用者に警告する表示部61を備えている。
【0069】
この構成によれば、表示部61の表示に基づいて、溶液の量が不足していることを使用者に警告することができる。そのため、溶液が不足している状態で、除虫装置100が継続して使用されることを防止することができる。また、当該警告により、溶液に含まれる界面活性剤の濃度を所定の濃度以内に抑えることを使用者に促すことができる。あるいは、この構成によれば、溶液の量が不足して除虫装置100を継続して使用することができないことを、使用者に警告することができる。
【0070】
(第2実施形態)
図5(A)および(B)に第2実施形態に係る除虫装置のタンク3を示す。第2実施形態に係る除虫装置のタンク3は、回収部分322と供給部分(図示せず)とを有している。第2実施形態に係る除虫装置のタンク3の供給部分については、第1実施形態に係る除虫装置100のタンク3の供給部分311と同様の構成であるとして、図示を省略する。
【0071】
図5(A)および(B)に示すように、第2実施形態に係る除虫装置のタンク3は、溶液を貯留する容器部分352と、容器部分352に着脱自在に取り付けられる蓋部分342とを有している。蓋部分342のうち、回収部分322の蓋を形成する部分には、開口部342aが形成されている。
【0072】
第2実施形態に係る除虫装置は、ネット部材38を備えている。ネット部材38は、少なくとも開口部342aの上方を覆い、開口部342aからタンク3の外方に向かって溶液に含まれる害虫の死骸を通過させることが不可能であり且つ開口部342aからタンク3の外方に向かって溶液を通過させることが可能であるように構成されている。ネット部材38の目の粗さとしては、小蠅等の小さい虫を通過させない程度のものが好ましい。また、ネット部材38は、蓋部分342に着脱自在に取り付けられていてもよい。この場合には、使用者は、ネット部材38を蓋部分342から取り外したうえで洗浄したり、ネット部材38を新しいものに交換したりすることができる。
【0073】
第2実施形態に係る除虫装置のタンク3の構成によれば、使用者は、タンク3の溶液を開口部342aから廃棄することができる。このとき、タンク3の回収部分322に溜められた害虫の死骸等の不純物は、開口部342aを覆うネット部材38により、タンク3から外部に流出しない。タンク3に溜められた害虫の死骸等は、溶液が廃棄された後に、溶液とは別にタンク3から容易に取り除かれる。このように、第2実施形態に係る除虫装置のタンク3の構成によれば、害虫の死骸と溶液とを個別に且つ容易にタンクから取り除くことができる。
【0074】
図5(A)および(B)に示すように、第2実施形態に係る除虫装置のタンク3において、蓋部分342には、柵342cが設けられている。柵342cは、タンク3の天面3aから底面3bに向かって延びるように、蓋部分342に形成されたリブ状の突起である。柵342cは、蓋部分342において、開口部342aと回収口34bとの間に配置されている。
【0075】
柵342cの下端342eは、天面3aと底面3bとの略中間位置よりも上方に位置している。柵342cの上下方向の寸法は、例えば、蓋部分342のうちの容器部分352の外側に位置する縁の上下方向の寸法と略同一である。ただし、柵342cの上下方向の寸法は、特に限定されない。柵342cの上下方向の寸法は、天面3aと底面3bとの略中間位置に下端342eが位置する程度のものであってもよく、または、底面3bの近傍に下端342eが位置する程度のものであってもよい。
【0076】
なお、柵342cの形状は、特に限定されない。柵342cは、天面3aから底面3bに向かって、曲線状に延びているものであってもよい。また、柵342cの断面形状は、略長方形であることに限定されない。
【0077】
使用者は、容器部分352のうちの図5(A)の左側の部分を持ちながら溶液を廃棄することにより、回収部分322に溜められた溶液を外部に容易に排出させることができる。さらに、柵342cが天面3aに形成されていることにより、害虫の死骸が使用者の手に近付くこと、または、廃棄する溶液が使用者の手に掛かることを防ぐことができる。
【0078】
なお、開口部342aの開口の数量は限定されない。蓋部分342には、比較的大きな口径を有する一つの開口が形成されていてもよい。
【0079】
なお、ネット部材38は、回収口34bの周り全体を取り囲むような形状を有していてもよい。この場合には、使用者は、溶液を廃棄するときに、タンク3を上下逆さまに向けながら、回収部分322から溶液を排出させることができる。
【0080】
第2実施形態に係る除虫装置のその他の構成は、第1実施形態に係る除虫装置100と同様である。第2実施形態に係る除虫装置のその他の構成については、同符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
(第3実施形態)
図6に第3実施形態に係る除虫装置のタンク3を示す。第3実施形態に係る除虫装置のタンク3は、回収部分323と供給部分(図示せず)とを有している。第3実施形態に係る除虫装置のタンク3の供給部分については、第1実施形態に係る除虫装置100のタンク3の供給部分311と同様の構成であるとして、図示を省略する。
【0082】
図6に示すように、第3実施形態に係る除虫装置のタンク3は、溶液を貯留する容器部分353と、容器部分353に着脱自在に取り付けられる蓋部分343とを有している。蓋部分343のうち、回収部分323の蓋を形成する部分には、開口部343aと、固定部材の一例としての外枠343bおよび内枠343cが形成されている。外枠343bおよび内枠343cは、開口部343aの外周に配置されている。また、外枠343bおよび内枠343cは、市販の袋部材Sが少なくとも開口部343aの上方を覆うことができるように袋部材Sを固定させる。
【0083】
外枠343bおよび内枠343cは、タンク3の天面3aから下方に向かって延びるように、蓋部分343に形成されたリブ状の突起である。図7に示すように、外枠343bおよび内枠343cは、開口部343aの外周を囲むように、天面3aに形成されている。
【0084】
図8(A)には、外枠343bに形成された突起状の保持部343dを示す。保持部343dの断面は、二つの頂点が外枠343bに重なった略三角の形状を有している。このとき、他の一つの頂点は、外枠343bの下端よりも上方に位置している。使用者は、蓋部分343を容器部分353から取り外したうえで、外枠343bと内枠343cとの間に袋部材Sの口(図示せず)を挟み込むことにより、保持部343dを介して袋部材Sを蓋部分343に固定する。このとき、袋部材Sが保持部343dに引っ掛かることによって、袋部材Sが蓋部分343に対して固定される。使用者は、袋部材Sが挟み込まれた蓋部分343を容器部分353に取り付けたうえでタンク3の開口部343aを下方に向けることにより、タンク3に溜められた害虫の死骸と溶液とを廃棄することができる。
【0085】
なお、袋部材Sの口の周りに取り付けられた紐(図示せず)を袋部材Sが有している場合には、当該紐が保持部343dに引っ掛かり易いため、袋部材Sは、外枠343bと内枠343cとの間に容易に固定される。なお、図示は省略するが、略三角形状の断面を有する保持部が、外枠343bではなく、内枠343cに形成されていてもよい。
【0086】
図8(B)には、外枠343bに形成された突起状の保持部343bdと、内枠343cに形成された突起状の保持部343cdとを示す。保持部343bdおよび保持部343cdは、略半球体形状を有している。保持部343bdは、保持部343cdよりも下方に配置されている。図8(B)に示す固定部材の例においては、外枠343bまたは内枠343cのいずれか一方に保持部が形成されている場合に比べて、外枠343bおよび内枠343cと袋部材Sとの間の摩擦力が増大するため、袋部材Sは、より強固に外枠343bと内枠343cとの間に固定される。
【0087】
なお、外枠343bおよび内枠343cは、タンク3の天面3aではなく、蓋部分343の外側に配置されるものであってもよい。つまり、外枠343bおよび内枠343cは、開口部343aの外周を囲むように、蓋部分343の外側表面に形成されていてもよい。外枠343bおよび内枠343cが蓋部分343の外側表面に形成されている場合には、使用者は、蓋部分343を容器部分353から取り外すことなく、タンク3の溶液を廃棄することができる。あるいは、蓋部分343が、袋部材Sを覆うことができるように構成されているものであってもよい。さらに、袋部材Sを支持する構成を蓋部分343が有していてもよい。袋部材Sを支持する構成は、例えば、蓋部分343に形成または固定された突起状の支柱である。このような支持構造により、溶液を廃棄するときに、抵抗または溶液の重量によって袋部材Sの蓋部分343に対する固定が外れることを防止することができる。
【0088】
なお、図示は省略するが、第2実施形態に係る除虫装置のタンク3と同様に、蓋部分343には、回収口34bと外枠343bとの間に柵が設けられていてもよい。ただし、タンク3の天面3aに外枠343bおよび内枠343cが形成されている場合には、外枠343bおよび内枠343cが所望の上下方向の寸法を有することにより、外枠343bおよび内枠343cが当該柵を兼用することができる。また、使用者は、例えば小径の多数の孔が形成された袋部材Sを用いることが好ましい。
【0089】
以上のように、第3実施形態に係る除虫装置のタンク3の構成によれば、使用者は、開口部343aの上方を覆うように外枠343bと内枠343cとの間に挟み込まれた袋部材Sを用いて、タンク3に溜められた害虫の死骸等の不純物と溶液とを容易にタンク3から取り除くことができる。このように、第3実施形態に係る除虫装置のタンク3の構成によれば、害虫の死骸と溶液とを容易に廃棄することができる。さらに、袋部材Sに小径の多数の孔が形成されている場合には、袋部材Sを介して溶液と不純物とを容易に分離することができる。
【0090】
(第4実施形態)
第1実施形態と第2実施形態と第3実施形態とは、タンク3に溜められた害虫の死骸と溶液とを廃棄することにより、タンク3の再利用が可能であるように構成された除虫装置について説明した。以下に説明するように、第4実施形態に係る除虫装置のタンク3は、タンク3に溜められた害虫の死骸等の不純物と共に廃棄されることが考慮されたものである。
【0091】
図9には、タンク3に溜められた溶液を廃棄する際に利用される押さえ部材40の一例を示す。図10に示すように、押さえ部材40は、蓋部分(図示せず)が取り外された容器部分354の一部に収容されることが可能であるように構成されている。図10には、容器部分354から蓋部材が既に取り外された回収部分324を示す。つまり、第4実施形態に係る除虫装置のタンク3は、溶液を貯留する容器部分354と、容器部分354に着脱自在に取り付けられる蓋部分とを有している。なお、第4実施形態に係る除虫装置のタンク3の供給部分については、第1実施形態に係る除虫装置100のタンク3の供給部分311と同様の構成であるとして、図示を省略する。
【0092】
図9に示すように、押さえ部材40は、板状部41を有している。板状部41には、複数の貫通孔41hが形成されている。貫通孔41hは、板状部41の表側と裏側とを貫通するように延びている。また、押さえ部材40は、板状部42を有している。板状部42には、複数の貫通孔42hが形成されている。貫通孔42hは、板状部42の表側と裏側とを貫通するように延びている。
【0093】
貫通孔41hの口径と貫通孔42hの口径とは、押さえ部材40の外方に向かって溶液に含まれる害虫の死骸を通過させることが不可能であり且つ押さえ部材40の外方に向かって溶液を通過させることが可能な程度のものである。貫通孔41hの口径と貫通孔42hの口径とは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。さらに、貫通孔41hは、すべて同一の口径を有するものであってもよく、それぞれ異なる口径を有するものであってもよい。同様に、貫通孔42hは、すべて同一の口径を有するものであってもよく、それぞれ異なる口径を有するものであってもよい。このように、押さえ部材40は、後述するように蓋部分が取り外された容器部分354(図10参照)の一部に収容された場合に、押さえ部材40の外方に向かって溶液に含まれる害虫の死骸を通過させることが不可能であり且つ押さえ部材40の外方に向かって溶液を通過させることが可能であるように構成されている。
【0094】
板状部41と板状部42とは、板状部41の裏側表面と板状部42の表側表面とが互いに面するように、重ねられている。さらに、押さえ部材40の表面には、環状の紐44が取り付けられている。使用者は、後述するようにタンク3の溶液を処理した後には、タンク3の容器部分354(図10参照)のうちの回収部分324から、紐44を摘まみながら押さえ部材40を容易に取り出すことができる。
【0095】
板状部41の一端部には、二本のスライド孔431が形成されている。スライド孔431は、板状部41が延びる方向に沿って延びた貫通孔である。一方、板状部42の他端部には、二本の突起432が形成されている。突起432は、板状部42の表側表面から板状部41に向かって延び、スライド孔431に嵌め込まれている。使用者は、突起432がスライド孔431の中を移動するように板状部41と板状部42とを動かすことにより、容器部分354(図10参照)のうちの回収部分324の形状または寸法に合わせて、押さえ部材40の形状または寸法を調節することができる。このように、スライド孔431と突起432とによって、押さえ部材40のスライド機構43が構成されている。
【0096】
図10に示すように、容器部分354のうちの少なくとも回収部分324の形状または寸法に対応した押さえ部材40は、回収部分324に収容される。使用者は、容器部分354の回収部分324に押さえ部材40を置いたうえでタンク3を傾けることにより、タンク3に溜められた溶液を回収部分324から排出させることができる。タンク3の溶液を処理した後には、使用者は、回収部分324から、紐44を摘まみながら押さえ部材40を容易に取り出すことができる。
【0097】
以上のように、第4実施形態に係る除虫装置のタンク3の構成によれば、使用者は、蓋部分が取り外されたタンク3から、溶液を廃棄することができる。このとき、押さえ部材40が容器部分354に収容されるように使用者が押さえ部材40を用いることにより、タンク3の回収部分324に溜められた害虫の死骸等の不純物が、タンク3から外部に流出することを防ぐことができる。さらに、タンク3に溜められた害虫の死骸等は、溶液が廃棄された後に、溶液とは別に廃棄される。このように、第4実施形態に係る除虫装置のタンク3の構成によれば、害虫の死骸と溶液とを個別に且つ容易に廃棄することができる。
【0098】
また、少なくとも容器部分354のうちの回収部分324が、タンク3に溜められた害虫の死骸等の不純物と共に廃棄することができるものである場合には、使用者は、回収部分324を害虫の死骸等の不純物と共に廃棄することでできる。そのため、この場合には、より簡便に害虫の死骸を処分することができる。さらに、少なくとも容器部分354のうちの回収部分324が、廃棄することができるものであり、且つ、非透明状である場合には、使用者は、害虫の死骸を処分するときに死骸を見なくて済む。このように第4実施形態に係る除虫装置のタンク3が構成されている場合には、使用者はさらに容易に死骸を処分することができる。
【0099】
なお、図9に示すスライド機構43の構成は一例であり、押さえ部材40は、他の公知の技術を利用して板状部41と板状部42とが互いにスライドするように構成されているものであればよい。また、押さえ部材40においてスライド機構43が移動する方向は、板状部41と板状部42とのように二方向であることに限定されない。例えば、押さえ部材40が複数のスライド機構(図示せず)を有することにより、様々な形状または寸法を有するタンク3の回収部分324に対応するように押さえ部材40の形状または寸法を調節することができる。
【0100】
なお、スライド機構43を有する押さえ部材40は、容器部分354に着脱自在に取り付けられる蓋部材を兼ねていてもよい。蓋部材を兼用する押さえ部材40のスライド機構43は、例えば、容器部分354の外側に配置される蓋部分の縁の一部である。
【0101】
なお、押さえ部材40は、貫通孔41hを覆うネット部材と貫通孔42hを覆うネット部材とを別に有していてもよい。また、押さえ部材40は、貫通孔41hと貫通孔42hとがそれぞれ板状部41と板状部42と形成されている構成に限定されない。押さえ部材40は、押さえ部材40の表面に形成された開口部(図示せず)を覆うように、押さえ部材40にネットが取り付けられているものであってもよい。
【0102】
なお、第1実施形態に係る除虫装置100と第2実施形態に係る除虫装置と第3実施形態に係る除虫装置とにおいても、タンク3は、タンク3に溜められた溶液が廃棄された後に、タンク3に残った害虫の死骸と共に廃棄されるものであってもよい。
【0103】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0104】
3:タンク、36a:連通口、37:フィルタ、38:ネット部材、40:押さえ部材、51:センサ、60:警告部、61:表示部、62:ブザー、100:除虫装置、311:供給部分、321,322,323,324:回収部分、341,342,343:蓋部分、342a:開口部、343a:開口部、343b:外枠、343c:内枠、343d,343bd,343cd:保持部、351,352,353,354:容器部分、S:袋部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、
害虫を駆除するときに利用される溶液を貯留する供給部分と、駆除された害虫の死骸が混入された溶液を貯留する回収部分とを有するタンクと、
前記タンクの内部において、前記回収部分のうちの上端と下端との間の位置と、前記供給部分とを連通させる連通部と、
前記連通部に配置されたフィルタとを備えた、除虫装置。
【請求項2】
前記タンクの内部の溶液の液面の高さを検知する検知部をさらに備え、
前記検知部が検知する液面の高さが所定の高さよりも低い場合に、前記タンクの前記供給部分から溶液を供給することを停止する、請求項1に記載の除虫装置。
【請求項3】
前記タンクの内部の溶液の液面の高さを検知する検知部と、
前記検知部が検知する液面の高さが所定の高さよりも低い場合に、使用者に警告する警告部とをさらに備えた、請求項1または請求項2に記載の除虫装置。
【請求項4】
前記タンクは、溶液を貯留する容器部分と、前記容器部分に着脱自在に取り付けられる蓋部分とを有し、
前記蓋部分のうち、前記回収部分の蓋を形成する部分には、開口部が形成され、
少なくとも前記開口部の上方を覆い、前記開口部から前記タンクの外方に向かって溶液に含まれる害虫の死骸を通過させることが不可能であり且つ前記開口部から前記タンクの外方に向かって溶液を通過させることが可能であるように構成されたネット部材をさらに備えた、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項5】
前記タンクは、溶液を貯留する容器部分と、前記容器部分に着脱自在に取り付けられる蓋部分とを有し、
前記蓋部分のうち、前記回収部分の蓋を形成する部分には、開口部と、前記開口部の外周に配置され、且つ、市販の袋部材が少なくとも前記開口部の上方を覆うことができるように前記袋部材を固定させる固定部材とが形成されている、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項6】
前記タンクは、溶液を貯留する容器部分と、前記容器部分に着脱自在に取り付けられる蓋部分とを有し、
前記蓋部分が取り外された前記容器部分の一部に収容されることが可能であるように構成された押さえ部材をさらに備え、
前記押さえ部材は、前記蓋部分が取り外された前記容器部分の一部に収容された場合に、前記押さえ部材の外方に向かって溶液に含まれる害虫の死骸を通過させることが不可能であり且つ前記押さえ部材の外方に向かって溶液を通過させることが可能であるように構成されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の除虫装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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