説明

除電装置

【課題】放電針のクリーニングを簡単、且つ、安全に行うことができる除電装置を提供すること。
【解決手段】一対の保護壁60,61を、除電対象側に突出して形成すると共に、複数のイオン放出口42を挟むようにイオン放出口42の配置方向(本体部12の長手方向)に沿って直線上に形成した。このため、保護壁60,61をガイド代わりにして、保護壁60,61に沿ってブラシなどを動かすことにより、複数のイオン放出口42及び放電針をまとめてクリーニングすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、放電針への高電圧の印加を通じたコロナ放電によりイオンを生成し、この生成されるイオンを除電対象へ吹きつける除電装置が知られている。この除電装置においては、放電針に空気中の異物(絶縁体)が析出するなどしてイオンの生成効率が経年的に低下する。このため、放電針を定期的にクリーニングすることが必要となる。たとえば、特許文献1の除電装置では、放電針を放電バーに取り付けた状態でクリーニングすることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−125445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、放電針は、絶縁体パイプに囲まれているため、クリーニングしにくいという問題があった。特に特許文献1の除電装置の場合、放電針を保護するために、放電針の先端は、絶縁体パイプの先端よりも引っ込ませてある。このため、放電針の周りは、余計にクリーニングしにくかった。また、放電針は、細いために折れる可能性もあり、メンテナンスの際、取り扱いには注意が必要であった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、放電針のクリーニングを簡単、且つ、安全に行うことができる除電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、除電対象に対して対向するように配置される対向面にイオン放出口が形成され、各イオン放出口にイオンを発生する放電針が配置される除電装置において、前記イオン放出口の周りを囲むように、保護壁が除電対象側に突出して形成されており、前記保護壁には、前記放電針を通過する予め決められた直線方向に沿って溝部が形成されていることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、除電対象に対して対向するように配置される対向面に複数のイオン放出口が形成され、各イオン放出口にイオンを発生する放電針がそれぞれ配置される除電装置において、複数のイオン放出口は、予め決められた直線方向に沿って1列に配置されており、一対の保護壁が、除電対象側に突出して形成されていると共に、複数の前記イオン放出口を挟むように前記イオン放出口の配置方向に沿って直線上に形成されていることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記一対の保護壁は、互いに連結することなく、その直線方向端部において離間していることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記保護壁において、前記イオン放出口と対向する面とは反対側の面は、外側に向かって広がるように傾いて構成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記保護壁は、絶縁体により形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放電針のクリーニングを簡単、且つ、安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、除電装置の本体部および放電針ユニットの分解斜視図、(b)は、除電装置の斜視図。
【図2】本体部の上部を切断した斜視図。
【図3】図1(b)のA−A線断面図。
【図4】図3のB−B線断面図。
【図5】図3のC−C線断面図。
【図6】図3のD−D線断面図。
【図7】本体部の下部を示す平面図。
【図8】本体部の下部を示す平面図。
【図9】保護壁を示す平面図。
【図10】保護壁の断面を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、除電装置11は、本体部12、および当該本体部12に着脱可能に取り付けられる放電針ユニット13を備えてなる。
【0013】
放電針ユニット13は、矩形板状の基台21、および当該基台21の下面に設けられた4つの保持部22、および各保持部22に保持される4つの放電針23を備えてなる。基台21および各保持部22は、合成樹脂材料により一体成型されている。各保持部22は、円柱状に形成されるとともに、基台21の延びる方向に沿って一定間隔をおいて直線状に設けられている。図5に併せて示されるように、各保持部22の先端部には、放電針23の基端部が嵌合状態で固定されている。各放電針23の中間部には、円錐コイルばね24が挿通された状態で固定されている。円錐コイルばね24は、導線が円錐状に巻回されてなる。円錐コイルばね24の小径部25は、放電針23に固定された状態で保持部22の先端に形成された凹部23aに収容されている。円錐コイルばね24の大径部26は、放電針23に非接触状態に維持される。また、基台21の下面には、環状のパッキン27が各保持部22の基部に挿通された状態で装着されている。
【0014】
図1(a)に示すように、本体部12は、合成樹脂材料により直方体状に形成されている。本体部12の上面には、4つの挿入口31が形成されている。各挿入口31は、本体部12の延びる方向に沿って一定間隔をおいて、かつ放電針ユニット13の各放電針23と同軸をなすように設けられている。各挿入口31の内径は、放電針ユニット13の各保持部22の外径よりも大きく設定されている。
【0015】
また、同図に示すように、本体部12の上面には、2つの係合部材32が形成されている。これら係合部材32は、本体部12の延びる方向における両端側において互いに隣り合う2つの挿入口31の間に設けられている。図4に併せて示されるように、係合部材32は、本体部12の延びる方向に対して直交する幅方向において対向する2つの腕部33と、これら腕部33の先端にそれぞれ形成された2つの突部34とを備えてなる。これら突部34は、本体部12の幅方向において、互いに反対側に突出している。また、図3の上部に拡大して示すように、これら突部34の下面において、本体部12の延びる方向における外側には、それぞれ斜面35が形成されている。斜面35は、本体部12の延びる方向に沿って外側へ向かうにつれて、突部34の肉厚が薄くなるように傾斜している。
【0016】
図2に示すように、本体部12の内部には、空気流路100が形成されている。空気流路100は、本体部12の延びる方向に沿って延設されている。また、本体部12(空気流路100)の内部には、4つの筒部41が4つの挿入口31にそれぞれ対応して形成されている。図5に併せて示すように、各挿入口31は各筒部41を貫通して、本体部12の底面の近傍まで延設されている。各挿入口31の底壁の中央には、イオン放出口42が貫通して形成されている。また、図5に示すように、各筒部41の周壁には、小孔41aが形成されている。小孔41aは、筒部41の内方へ向うにつれて縮径する円錐台状に形成されている。
【0017】
図2に示すように、本体部12の内底面において、各筒部41の周囲には、4つの送風穴43がそれぞれ形成されている。図6に示されるように、各送風穴43は、本体部12の底面の近傍まで延設されている。各送風穴43の底壁には、送風口44が貫通して形成されている。
【0018】
図3に破線で示すように、本体部12における空気流路100の下方には、電極51が埋設されている。電極51は、銅などの金属材料により長尺状に形成されている。電極51は空気流路100に沿って延びるとともに、各筒部41に対応する範囲にわたって設けられている。図5に示されるように、電極51は、本体部12の延びる方向において、各挿入口31を貫通して設けられている。電極51において、各挿入口31の内部に露出している部分には、貫通孔52が形成されている。各貫通孔52は、各放電針23に対して同軸をなす。貫通孔52の内径は、放電針23の外径よりも大きく、かつ円錐コイルばね24の大径部26の外径よりも小さく設定されている。
【0019】
図1(b)に示すように、本体部12の端部にはチューブ継手63が設けられている。チューブ継手63には、図示しないエアチューブを介して圧縮空気源が接続される。圧縮空気源からの圧縮空気は、チューブ継手63を介して、本体部12の内部、すなわち空気流路100に供給される。また、本体部12のチューブ継手63と反対側の端部には、電源ケーブル64を介して、図示しない高圧電源(交流)が接続される。高圧電源からの電力は、電源ケーブル64を介して、電極51に印加される。
【0020】
つぎに、本体部12に対する放電針ユニット13の装着態様について説明する。図1(a)に示されるように、放電針ユニット13は、本体部12に対して上方から装着される。各放電針23および各保持部22は、本体部12の各挿入口31に上方から挿入される。図5に示されるように、放電針ユニット13の下方への変位は、基台21の下面が各パッキン27を介して、本体部12の上面に当接することにより規制される。この状態において、各挿入口31、正確には各筒部41の内周面と各保持部22の外周面との間に形成される隙間は、各パッキン27により上方から閉塞された状態となる。
【0021】
またこの状態において、各円錐コイルばね24の大径部26は、電極51の上面に対して弾性的に接触している。すなわち、各放電針23は、各円錐コイルばね24を介して、電極51に対して導通状態に接続されている。各円錐コイルばね24は、若干圧縮された状態に維持されている。このため、各円錐コイルばね24の電極51に対する接触圧が好適に確保される。またこの状態において、各放電針23は、電極51の各貫通孔52に非接触状態で挿通されている。各放電針23の先端部は、本体部12の各イオン放出口42の内部に非接触状態で挿入されている。
【0022】
本体部12および放電針ユニット13が組み付けられることにより、本体部12の内部には、空気流路100から分岐するかたちで2つの空気供給経路が形成される。
すなわち、図5に矢印で示されるように、各筒部41の小孔41a、当該各筒部41の内周面と各保持部22の外周面との間の隙間(各挿入口31)、および電極51の各貫通孔52から第1の分岐流路101が形成されている。また、図6に矢印で示されるように、各送風穴43から、第2の分岐流路102が形成されている。そして、外部から空気流路100へ供給される圧縮空気は、第1の分岐流路101を介して、各イオン放出口42から外部へ放出される(第1の空気供給経路)。また、空気流路100へ供給される圧縮空気は、第2の分岐流路102を介して、各送風口44から放出される(第2の空気供給経路)。
【0023】
空気流路100から第1の分岐流路101に分流する空気は、各放電針23の周囲を通過する空気流、すなわちシースエアとして、各放電針23の先端付近に発生するイオンとともに各イオン放出口42から外部へ放出される。そして、各イオン放出口42から放出されるイオンの周囲には、各送風口44から放出される空気流、すなわちアシストエアが発生することにより、イオンがより遠くまで飛ばされる。
【0024】
本例の除電装置11は、放電針ユニット13の本体部12からの脱落を抑制するために、また、各第1の分岐流路101の気密状態を確保する目的で、本体部12には、放電針ユニット13の保持機構201が設けられている。
【0025】
図1(a)に示すように、保持機構201は、2つのスライドホルダ202を備えてなる。スライドホルダ202は、矩形状の天板203と、当該天板203に直交する2つの側壁204を備えてなる。これら側壁204は、天板203の延びる方向に沿う2つの長側縁に設けられるとともに、天板203の延びる方向に直交する幅方向において互いに対向している。2つの側壁204の対向間隔は、放電針ユニット13の基台21の幅と同じ程度に設定されている。また、2つの側壁204の先端縁には、それぞれ矩形板状の係合部材205が形成されている。これら係合部材205は、それぞれ天板203に対して平行をなして対向している。スライドホルダ202の内形形状は、基台21の端部の外形形状に対応している。
【0026】
これらスライドホルダ202は、2つの側壁204を下方へ向けて、基台21の両端側から中央へ向けてスライドさせるかたちで装着される。図4に示すように、2つの係合部材205は、基台21と本体部12の上面との間に形成される隙間に介在される。図3に示されるように、スライドホルダ202は、本体部12に取り付けられた放電針ユニット13の基台21の端部を内包するかたちで、かつ各放電針23の並ぶ方向に沿って往復摺動する。具体的には、スライドホルダ202は、図3に実線で示される第1の位置P1と、同じく2点鎖線で示す第2の位置P2との間を変位する。
【0027】
第1の位置P1は、放電針ユニット13が本体部12に対して固定的に保持された保持状態となる位置である。すなわち、スライドホルダ202の係合部材205が、本体部12の一部分である係合部材32の突部34に対して、放電針ユニット13の取り外し方向において係合する。このため、放電針23の引き抜き方向へ放電針ユニット13が変位することが規制される。
【0028】
第2の位置P2は、放電針ユニット13の保持状態が解除されて非保持状態となる位置である。すなわち、スライドホルダ202の係合部材205は、本体部12側の係合部材32の突部34から外れた位置に存在する。また、当該係合部材205は、図1(a)に示されるように、放電針ユニット13に対しても外れた位置に存在する。すなわち、放電針ユニット13の取り外し方向において、当該放電針ユニット13に干渉するものは存在しない。このため、放電針23を本体部12から取り外すことができる。
【0029】
また、本体部12の下面、すなわち、除電対象と対向する対向面には、図7に示すように、複数のイオン放出口42が、本体部12の長手方向に沿って、一定間隔を持って直線上に配置されている。なお、放電針ユニット13が本体部12に装着されたとき、放電針23の先端は、本体部12の下面とほぼ同じ位置となるように或いはわずかに突出するように設定されている。この保護壁60,61は、本体部12と一体形成されており、絶縁体の樹脂により構成されている。
【0030】
そして、本体部12の下面には、複数のイオン放出口42を挟むように、一対の保護壁60,61が形成されている。この保護壁60,61は、図5に示すように、下方に向かって(除電対象に向かって)突出するように形成されている。保護壁60,61の突出幅は、少なくとも放電針23の先端よりも長くなるように形成されており、対となる保護壁60,61の間に人間の指が入っても放電針23の先端に触れない長さとなっている。
【0031】
また、この保護壁60,61は、本体部12の長手方向に沿って直線上に伸びるように形成されている。また、対となる保護壁60,61は、イオン放出口42にそれぞれ隣接されていると共に、イオン放出口42の配置方向と直交する方向において、イオン放出口42の長さ(直径の長さ)だけ離れた距離で配置されている。なお、対となる保護壁60,61の間の距離は、作業者の指が入らない程度の距離(本実施形態では、0.5cm)となっている。また、保護壁60,61は、本体部12の端部において、繋がらないように形成されている。また、保護壁60,61は、端部において、突出幅が徐々に小さくなるように設定されている。
【0032】
また、保護壁60,61のイオン放出口42と対向する面とは反対側の面(外側の面)は、図5,図6に示すように、外側に向かうにつれて広がるように傾けて形成されている。これにより、図6の矢印が示すように、イオン放出口42により放出されたイオンが保護壁60,61に沿って外側に移動しやすくなり、外側に配置されている送風口44から放出されるアシストエアによって運ばれやすくなる。また、保護壁60,61の角を丸く形成したため、作業者の指に角が当たらないようにすることができる。
【0033】
ここで、イオン放出口42及び放電針23のクリーニング方法について説明する。このように保護壁60,61を構成したため、保護壁60,61をガイド代わりにして、保護壁60,61に沿ってブラシなどを動かすことにより、複数のイオン放出口42及び放電針23を簡単にクリーニングすることができる。また、保護壁60,61の間の溝に沿って、はき出すことにより、保護壁60,61の間のゴミ、及びイオン放出口42或いは放電針23の周りのゴミを容易に取り除くことができる。
【0034】
つぎに、前述のように構成した除電装置の動作を説明する。
電極51および各円錐コイルばね24を介して各放電針23に高圧電源からの高電圧(交流)が印加されると、各放電針23の先端付近にコロナ放電が発生して各放電針23の周囲の空気がイオン化される。本例では、各放電針23に対して交流電圧を印加することによりコロナ放電を発生させる交流方式が採用されているので、プラスおよびマイナスのイオンが交互に生成される。
【0035】
コロナ放電により各放電針23の周囲に生成されるイオンは、空気流路100から第1の分岐流路101に分流して各放電針23の周囲を通過するシースエアとともに、各イオン放出口42から外部に放出される。各放電針23の周囲にシースエアを流すことにより、各放電針23における異物(絶縁体)の析出、あるいは異物の付着などが抑制される。また、第1の分岐流路101の上流側に設けられた小孔41aにより、シースエアの圧力は、空気流路100に供給される空気圧力よりも小さくされる。このため、イオンの発生効率が維持される。
【0036】
そして、各イオン放出口42から放出されるイオンの周囲には、空気流路100から第2の分岐流路102に分流して各送風口44から放出されるアシストエアが発生する。このアシストエアにより、各イオン放出口42から放出されるイオンがより遠くまで運ばれる。当該イオンが除電対象に供給されることにより、当該対象の電荷が中和されて静電気が除去される。
【0037】
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)一対の保護壁60,61を、除電対象側に突出して形成すると共に、複数のイオン放出口42を挟むようにイオン放出口42の配置方向(本体部12の長手方向)に沿って直線上に形成した。このため、保護壁60,61をガイド代わりにして、保護壁60,61に沿ってブラシなどを動かすことにより、複数のイオン放出口42及び放電針23をまとめてクリーニングすることができる。すなわち、複数のイオン放出口42を挟むように一対の保護壁60,61は、直線上に形成されているため、ガイド代わりとなり、クリーニングが容易となる。また、保護壁60,61は、端部において繋がっていないため、ブラシを端部に動かすことにより、ゴミなどを容易にはき出すことができる。
【0038】
(2)一対の保護壁60,61の端部において、突出幅が徐々に小さくなるように設定した。このため、保護壁60,61に沿ってブラシなどを移動させた際、端部において、はき出したゴミを容易に取り除くことができる。
【0039】
(3)また、保護壁60,61のイオン放出口42と対向する面とは反対側の面(外側の面)を、外側に向かうにつれて広がるように傾けて形成した。これにより、イオン放出口42により放出されたイオンが保護壁60,61に沿って外側に移動しやすくなり、保護壁60,61の外側に配置されている送風口44から放出されるアシストエアにのって下方に運ばれやすくなる。また、保護壁60,61の角が丸みを帯びるように形成した。これにより、作業者の指に角が当たらないようにすることができる。
【0040】
(4)保護壁60,61は、絶縁体の樹脂により形成されている。このため、保護壁60,61が電位を帯びることが無く、イオンを効率的に放出することができる。
(5)保護壁60,61の間の距離は、イオン放出口42の配置方向と直交する方向において、イオン放出口42の長さだけ離れた距離とした。このため、保護壁60,61の間の距離を指が入らない長さとすることにより、イオン放出口42の中に指を入らないように防止できる。すなわち、放電針23に指が触れないようにすることができる。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、4つのイオン放出口42を設けたが、イオン放出口42及び放電針23の数を任意に変更しても良い。例えば、図8に示すように、イオン放出口42の数を8つに変更し、一定間隔を空けて直線上に配置しても良い。その際、保護壁60,61の長さは、イオン放出口42の数に応じて伸ばしても良い。また、保護壁60,61は、その一部ずつ(例えば4つずつ)挟むようにしても良い。
【0042】
・上記実施形態では、複数のイオン放出口42を挟むように、直線上に保護壁60,61を対となるように設けたが、予め決められた直線上にブラシが通る通過用の溝が構成されるならば、どのような形状でイオン放出口42の周りを囲っても良い。例えば、図9に示すように、イオン放出口42の周りを1つずつ囲むように、保護壁70を除電対象側に突出するように形成しても良い。その際、保護壁70は、イオン放出口42の中心を通過する予め決められた直線方向に沿ってブラシ通過用の溝部42a(切り欠き構造部)を設ければよい。このようにすれば、イオン放出口42をクリーニングする際、簡単に、ゴミを取り除くことができる。
【0043】
・上記実施形態では、保護壁60,61は、本体部12から一体形成されていたが、一体形成しなくても良い。
・上記実施形態では、保護壁60,61の端部において、突出幅を徐々に短くしたが、短くしなくても良い。
【0044】
・上記実施形態では、保護壁60,61の角を丸くなるように形成したが、図10に示すように、丸くしなくても良い。この際、外側に向かって広がるように傾けるようになっている。
【0045】
・上記実施形態では、保護壁60,61は、外側に向かって広がるように傾けられていたが、傾けなくても良い。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0046】
(イ)前記イオン放出口の大きさは、放電針の断面積より大きく形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の除電装置。
(ロ)前記保護壁には、イオン放出口の中心を通過する予め決められた直線方向に沿って溝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の除電装置。
【0047】
(ハ)一対の前記保護壁は、前記イオン放出口の配置方向と直交する方向において、前記イオン放出口の長さだけ離れた距離で配置されていることを特徴とする請求項2のうちいずれか一項に記載の除電装置。
【符号の説明】
【0048】
11…除電装置、12…本体部、13…放電針ユニット、21…基台、22…保持部、23…放電針、27…パッキン(弾性部材)、31…挿入口、41a…小孔(絞り部)、42…イオン放出口、44…送風口、60,61…保護壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除電対象に対して対向するように配置される対向面にイオン放出口が形成され、各イオン放出口にイオンを発生する放電針が配置される除電装置において、
前記イオン放出口の周りを囲むように、保護壁が除電対象側に突出して形成されており、
前記保護壁には、前記放電針を通過する予め決められた直線方向に沿って溝部が形成されていることを特徴とする除電装置。
【請求項2】
除電対象に対して対向するように配置される対向面に複数のイオン放出口が形成され、各イオン放出口にイオンを発生する放電針がそれぞれ配置される除電装置において、
複数のイオン放出口は、予め決められた直線方向に沿って1列に配置されており、
一対の保護壁が、除電対象側に突出して形成されていると共に、複数の前記イオン放出口を挟むように前記イオン放出口の配置方向に沿って直線上に形成されていることを特徴とする除電装置。
【請求項3】
前記一対の保護壁は、互いに連結することなく、その直線方向端部において離間していることを特徴とする請求項2に記載の除電装置。
【請求項4】
前記保護壁において、前記イオン放出口と対向する面とは反対側の面は、外側に向かって広がるように傾いて構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の除電装置。
【請求項5】
前記保護壁は、絶縁体により形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の除電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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