説明

除電除塵装置

【課題】安価な装置構成で、広範囲に配置された被除電対象物を除電及び除塵することができる除電除塵装置を提供する。
【解決手段】除電除塵装置10Aは、イオン42を発生する無風型除電器12と、無風型除電器12の個数よりも多い複数の送風部46(エア管52)を有し、ワークWに向けて清浄空気53を送風する送風装置14とを備える。無風型除電器12で発生させたイオン42を、複数のエア管52からの清浄空気53によりワークWに到達させ、ワークWの除電及び除塵を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極性若しくは負極性の電荷により帯電している各種帯電物、例えば半導体関連の被除電対象物等について除電及び除塵を行うための除電除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電電極(放電針)と、放電電極の周囲に空気流を噴出する空気吹出し口を有するイオナイザー(除電装置若しくは除電除塵装置とも呼ばれる)が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。このような構成のイオナイザーでは、放電電極に対して高電圧をかけ、放電電極の先端部近辺でコロナ放電させて空気をイオン化させるとともに、空気吹出し口から清浄空気を噴出させ、被除電対象物(ワーク)にイオンを含んだ清浄空気を吹き付けて除電及び除塵する。一方、送風装置を持たないタイプのイオナイザー(無風型イオナイザー)も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−285628号公報
【特許文献2】特開2006−156219号公報
【特許文献3】特開2006−19154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のイオナイザーでは、半導体装置のような小さいワークを複数製造する場合に、すべてのワークに対してばらつきなく除電するためには、除電したいワーク列につき1つのイオナイザーが必要となる。すなわち、多箇所(広範囲)にわたって除電したい場合には、イオナイザーが多数必要となり、装置が高価なものとなる。また、無風型イオナイザーでは、イオンをワークに十分に照射することが困難であるとともに、除電に長い時間を要し、しかも除塵ができないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、安価な装置構成で、広範囲に配置された被除電対象物を除電及び除塵することができる除電除塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係る除電除塵装置は、イオンを発生する少なくとも1つの無風型除電器と、前記無風型除電器の個数よりも多い複数の送風部を有し、被除電対象物に向けて清浄空気を送風する送風装置と、を備え、前記無風型除電器で発生させたイオンを、前記複数の送風部からの清浄空気により前記被除電対象物に到達させ、前記被除電対象物の除電及び除塵を行うことを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、無風型除電器で発生させたイオンを、複数の送風部からの空気により被除電対象物に迅速且つ広範囲に到達させることができる。よって、安価な装置構成で、広範囲に配置された被除電対象物を除電及び除塵することができる。
【0008】
上記の除電除塵装置において、前記無風型除電器は、複数のイオン発生部が長手方向に間隔を置いて設けられた長尺状のバー型除電器であり、前記送風部は、それぞれ、前記被除電対象物に向けて清浄空気を噴出する複数の空気吹出し口が長手方向に間隔を置いて設けられたエア管であり、前記エア管は、互いに間隔を置いて、前記無風型除電器の長手方向と平行に配置されているとよい。
【0009】
これにより、無風型除電器で発生させたイオンを広い範囲に効果的に拡散させることができるため、除電及び除塵をより効果的に行うことができるとともに、除電時間の短縮化を図ることができる。
【0010】
上記の除電除塵装置において、前記送風装置は、前記被除電対象物と前記無風型除電器との間に配置されるとよい。
【0011】
これにより、無風型除電器で発生させたイオンを被除電対象物に対して好適に吹き付けることができ、除電及び除塵をより効果的に行うことができる。
【0012】
上記の除電除塵装置において、前記除電除塵装置は、パレット上に縦方向及び横方向に複数個ずつ並べられた前記被除電対象物に対して除電及び除塵をするものであり、前記エア管は、前記被除電対象物からなる複数の列のそれぞれに対応して設けられているとよい。
【0013】
これにより、被除電対象物の列毎にイオンを含む清浄空気が吹き連れられるため、すべての被除電対象物に対して確実に除電及び除塵を実施することができる。
【0014】
また、上記の除電除塵装置において、前記エア管の空気吹出し口は、前記各列における前記被除電対象物の各々に対応した位置に設けられているとよい。
【0015】
これにより、イオンの照射と空気の吹付けを被除電対象物毎に確実に行うことができるため、除電及び除塵をより効果的に行うことができる。
【0016】
さらに、上記の除電除塵装置において、前記無風型除電器及び前記送風装置が内部に設置され、前記被除電対象物を収容可能な処理チャンバと、前記処理チャンバに接続された集塵装置と、をさらに備えるとよい。
【0017】
これにより、除塵された塵埃が周囲に飛散して被除電対象物に再付着することを防止することができ、除電及び除塵をより確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の除電除塵装置によれば、安価な装置構成で、広範囲に配置された被除電対象物を除電及び除塵することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る除電除塵装置の斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿った一部省略断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線に沿った一部省略断面図である。
【図4】被除電対象物を載置した状態のパレットの斜視図である。
【図5】第2実施形態に係る除電除塵装置の一部省略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る除電除塵装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1〜図3は、第1実施形態に係る除電除塵装置10Aの構成を示す図であって、図1は、除電除塵装置10Aの斜視図であり、図2は、図1におけるII−II線に沿った一部省略断面図であり、図3は、図1におけるIII−III線に沿った一部省略断面図である。この除電除塵装置10Aは、ワークW(被除電対象物)に対して、正イオン及び負イオンを照射することにより除電を行うとともに、清浄空気53を吹き付けて除塵を行うものである。
【0022】
そこで、除電除塵装置10Aの構成を説明する前に、まず、処理対象となるワークWについて説明する。図4に示すように、除電及び除塵の対象となるワークWは、例えば、半導体装置であり、パレット2上に複数個が載置された状態で、上流側工程から除電除塵装置10Aに搬入され、除電及び除塵の処理が実施された後、下流側工程に向けて搬出される。
【0023】
パレット2は、平面視で略四角形であり、その上面には、縦方向(図4中、X方向)及び横方向(図4中、Y方向)に、複数のワーク保持溝4が形成されている。図示例に係るパレット2では、横方向に並ぶ5つのワークWを1列として、これが縦方向に5列分配列されている。なお、1つのワーク列を構成するワークWの個数及びワーク列の列数は、それぞれ5個及び5列に限らず、ワークWの種類、大きさ、パレット2の大きさ等によって、適宜変更可能である。
【0024】
次に、除電除塵装置10Aの構成について説明する。図1〜図3に示すように、除電除塵装置10Aは、無風型除電器12と、送風装置14と、処理チャンバ16と、集塵装置18とを備え、無風型除電器12によりイオン42を発生させ、発生させたイオン42を送風装置14から噴出される清浄空気53によりワークWに吹き付けて除電及び除塵を行い、さらに、ワークWの周囲に飛散した塵埃を集塵装置18により回収(収集)する。以下、各構成要素について、具体的に説明する。
【0025】
処理チャンバ16は、中空の箱型であって、その内部に形成された処理室20(処理空間)の上部側に、無風型除電器12及び送風装置14が設置されている。また、処理チャンバ16は、ワークWを載置したパレット2を内部に収容できるように構成されるとともに、ワーク搬送方向Aの上流側の側面22にはパレット2を搬入するための搬入口24が形成され、ワーク搬送方向Aの下流側の側面26にはパレット2を搬出するための搬出口28が形成されている。
【0026】
本実施形態において、パレット2は水平姿勢で工程ライン上を搬送され、処理チャンバ16に対しても、水平姿勢で搬出及び搬入が行われる。このため、搬入口24及び搬出口28は、搬送方向に直交する方向に長手方向を有する長尺な開口部として構成されている。また、処理チャンバ16内には、パレット2を搬送するための搬送コンベア30が、ワーク搬送方向Aに沿って設けられている。搬送コンベア30は、後述するコントローラ40によって、その駆動が制御される。処理室20内に搬入されたパレット2は、搬送コンベア30上で図示しない位置決め機構により所定位置に位置決めされるようになっている。
【0027】
処理チャンバ16において、常時開口している部分は搬入口24及び搬出口28のみであり、処理チャンバ16内(処理室20)は、略密閉状態が保持される。このような略密閉状態を効果的に保持するため、搬入口24及び搬出口28の大きさ(高さ及び幅)は、ワークWを載置したパレット2の搬入及び搬出に際して、当該パレット2が通過でき且つ当該パレット2と搬入口24及び搬出口28とが接触しない程度に、パレット2の通過断面積より僅かに大きく形成されるのがよい。
【0028】
なお、処理室20のメンテナンス等の利便性を考慮し、処理チャンバ16の上面板34の一部又は全部を開閉できるように構成してもよい。また、処理室20の密閉性を高めるため、搬入口24及び搬出口28をそれぞれ開閉する扉を処理チャンバ16に設け、パレット2の搬入時及び搬出時に当該扉を開き、除電及び除塵の処理時には当該扉を閉じるように構成してもよい。
【0029】
図示した構成の無風型除電器12は、筐体(ケース)を構成する本体32の全体形状が長尺状をなすバー型イオナイザーとして構成されており、本実施形態では処理チャンバ16内に1つだけ設置されている。無風型除電器12は、処理チャンバ16におけるワーク搬送方向Aの略中央に、ワーク搬送方向Aと直交する水平方向に長手方向を向けた状態で、処理チャンバ16の上面板34に適宜の固定手段(図示せず)により固定されている。無風型除電器12の配置方向は、図示例に限らず、例えば、ワーク搬送方向Aに沿う方向でもよい。
【0030】
無風型除電器12は、本体32の長手方向に間隔を置いて設けられた複数(図示例では、6個)のイオン発生部38と、イオン発生部38に高電圧を印加する高電圧発生部36(高電圧発生回路)とを有する。イオン発生部38は、放電電極38a(放電針とも呼ばれる)により構成されており、本体32の下部(下面)に配置されている。すなわち、放電電極38aは、下方に向けて配置されている。
【0031】
高電圧発生部36は、放電電極38aに電気的に接続されており、放電電極38aの周囲にコロナ放電を生じさるべく、放電電極38aへ高電圧を印加するように構成されている。高電圧発生部36の形態としては、直流電圧を発生するもの(直流式)、交流電圧を発生するもの(交流式)のいずれの形式であってもよい。
【0032】
高電圧発生部36が交流電圧を発生する場合、当該交流電圧は、正弦波状であってもよい。また、高電圧発生部36は、直流式又は交流式のいずれにおいても、パルス(矩形波)状の電圧を発生するものであってもよい。このような高電圧発生部36は、コントローラ40の制御作用下に高電圧の発生が制御される。なお、高電圧発生部36は、図示例では、無風型除電器12の本体32内に設けられているが、本体32外に設けられてもよい。
【0033】
上記のように構成された無風型除電器12において、コントローラ40の制御作用下に高電圧発生部36が直流電圧又は交流電圧を発生し、当該直流電圧又は交流電圧が放電電極38aに印加されると、放電電極38aの周囲にてコロナ放電が発生し、当該コロナ放電によって周囲空気がイオン化されることで、イオン42(正イオン及び負イオン)が生成される。このようにして発生したイオン42は、図2及び図3に示すように、発生位置(発生源)から下方に向かって広がるように拡散し、これにより処理室20内に除電空間44(イオン42を含む領域)が形成される。
【0034】
送風装置14は、清浄空気53をワークWに向かって噴出させる複数の送風部46と、当該送風部46に清浄空気53を供給するエア供給源48(空気供給装置、エアコンプレッサ)とを有する。送風部46は、無風型除電器12の個数よりも多く設けられる。すなわち、本実施形態の場合、無風型除電器12の個数は1であるため、送風部46は2以上設けられる。無風型除電器12が2以上設けられる場合、送風部46は、3以上設けられる。
【0035】
複数の送風部46は、それぞれ、長尺なエア管52a〜52eとして構成されている。各エア管52a〜52eには、ワークWに向けて清浄空気53を噴出する複数の空気吹出し口50が長手方向に間隔を置いて設けられている。なお、以下の説明において、エア管52a〜52e同士を区別する必要がない場合には、それらに共通の参照符号52を用いる。
【0036】
各エア管52には、空気供給ライン54(空気供給管)を介して、処理チャンバ16の外部に設けられたエア供給源48から清浄空気53が供給されるようになっている。エア供給源48は、コントローラ40の制御作用下に駆動が制御され、これにより各エア管52には供給量が調整・制御された清浄空気53が供給される。
【0037】
これらのエア管52は、互いに間隔を置いて、無風型除電器12の長手方向と平行に配置されている。すなわち、本実施形態において、無風型除電器12と複数のエア管52は、互いに平行に配置されている。また、エア管52は、処理チャンバ16の上面板34に固定されたブラケット35により支持及び固定され、無風型除電器12よりも下方で、且つ、処理時においてパレット2が存在する位置より上方すなわち、無風型除電器12とパレット2との間に配置されている。
【0038】
図2に示すように、エア管52は、複数のワーク列(図4で、Y方向に並ぶ複数のワークWにより構成される列)のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、複数のエア管52は、ワーク列の間隔と同じ間隔で、ワーク搬送方向Aに関して互いに間隔を置いて配置され、略真下に位置するワーク列に対して清浄空気53を吹き付けるように構成されている。
【0039】
このようなエア管52の組は、両端のエア管52a、52e間の中心が、無風型除電器12の略真下に位置するように配置されている。本実施形態では、送風装置14は5個(奇数)のエア管52a〜52eを有するため、中央のエア管52cが無風型除電器12の略真下に位置している。
【0040】
また、図3に示すように、各エア管52の空気吹出し口50は、各ワーク列におけるワークWの各々に対応した位置に設けられている。すなわち、空気吹出し口50は、ワーク列を構成するワークWの間隔(ワーク搬送方向Aに直交する方向のワーク間隔)と同じ間隔で、エア管52の長手方向に関して互いに間隔を置いて配置され、それらの各々の略真下に位置するワークWに対して清浄空気53を吹き付けるように構成されている。
【0041】
このように、本実施形態では、1つのワークWに対して1つの空気吹出し口50が割り当てられているため、パレット2上のすべてのワークWに対して清浄空気53を吹き付けることができる。
【0042】
また、図1に示すように、本実施形態に係る除電除塵装置10Aには、集塵装置18が設けられている。この集塵装置18は、処理チャンバ16に接続され処理室20に向けて開口するダクト58と、ダクト58に接続された集塵装置本体59とを有する。ダクト58は、処理室20に臨む幅広に形成された吸込み口60と、一端が吸込み口60に連結され、他端が集塵装置本体59に連結された管状のダクト本体62とを有する。
【0043】
図示例の吸込み口60は、処理チャンバ16におけるワーク搬送方向Aと直交する水平方向の一方側を構成する側面63に設けられており、ワーク搬送方向Aに沿って延在するように幅広に形成されている。図3に示すように、吸込み口60は、処理チャンバ16内に収容されたパレット2と略同一高さで開口するように設けられるとよい。このような位置に吸込み口60を設けると、吸込み口60とワークWとの距離を小さくすることができ、ワークWの周囲に飛散した塵埃を効果的に回収することができる。
【0044】
ダクト本体62は、例えば、フレキシブルパイプにより構成することができるが、このような構成に限らず、柔軟性を有しない構成であってもよい。また、幅広の吸込み口60を省略し、ダクト本体62の一端部を直接、処理チャンバ16の側面63に接続した構成であってもよい。
【0045】
集塵装置本体59は、ダクト58を介して処理室20内の塵埃を含む空気を吸引し、吸引した空気中の塵埃を内蔵されたフィルタで除去(回収)し、塵埃が除去された空気を除電除塵装置10Aの外部に排出するものである。図示例に係る集塵装置本体59は、処理チャンバ16の下部に設けられた基台64に格納され、保持されている。なお、集塵装置本体59は、上述したコントローラ40の制御作用下に駆動が制御され、これによって、処理室20からの吸引量が調整・制御される。
【0046】
本実施形態に係る除電除塵装置10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0047】
除電除塵装置10Aにおいて、複数のワークWを載置したパレット2が搬入口24を介して処理室20内に搬入されると、図示しない位置決め機構により、パレット2が処理室20内の所定位置に位置決めされる。次に、コントローラ40の制御作用下に、無風型除電器12、送風装置14及び集塵装置18が動作を開始する。すなわち、無風型除電器12では、高電圧発生部36により放電電極38aに高電圧が印加されることで放電電極38aの周囲にイオン42が発生し、イオン42が拡散する。また、送風装置14では、エア供給源48から清浄空気53がエア管52に供給され、エア管52の空気吹出し口50からパレット2上のワークWに向けて清浄空気53が噴出(射出)される。さらに、集塵装置18の集塵装置本体59が駆動することで、ダクト58の吸込み口60から処理室20内が吸引される。
【0048】
そうすると、無風型除電器12により発生させたイオン42は、エア管52から噴出された清浄空気53によりワークWに向けて迅速に移動し、ワークWに照射される。これにより、ワークWに帯電していた電荷がイオンにより中和される。すなわち、ワークWが除電される。また、ワークWに吹き付けられた清浄空気53により、ワークWに付着していた塵埃が除去される。
【0049】
本実施形態に係る除電除塵装置10Aでは、送風装置14は、無風型除電器12よりも多い数の送風部46(エア管52)を有するので、無風型除電器12で発生させたイオン42を、複数の送風部46からの空気によりワークWに迅速且つ広範囲に到達させることができる。よって、安価な装置構成で、広範囲に配置されたワークWを除電及び除塵することができる。特に、本実施形態に係る除電除塵装置10Aでは、無風型除電器12が1つのみであるため、装置の製造コストをより安価にすることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る除電除塵装置10Aでは、無風型除電器12がバー型除電器であり、送風部46が複数の空気吹出し口50を有するエア管52であるため、無風型除電器12で発生させたイオン42を効果的に拡散させ、広範囲に除電空間44を形成できる。このため、除電及び除塵の能力が向上し、除電時間の短縮化を図ることができる。
【0051】
さらに、本実施形態に係る除電除塵装置10Aでは、送風装置14の送風部46(エア管42)は、ワークWと無風型除電器12との間に配置されるため、無風型除電器12で発生させたイオン42をワークWに対して好適に吹き付けることができる。よって、除電及び除塵を一層効果的に行うことができる。
【0052】
また、本実施形態に係る除電除塵装置10Aでは、エア管52は、複数のワーク列のそれぞれに対応して設けられているので、ワーク列毎にイオン42を含む清浄空気53が吹き付けられる(図2参照)。これにより、すべてのワークWに対して確実に除電及び除塵を実施することができる。
【0053】
またさらに、本実施形態に係る除電除塵装置10Aでは、エア管52の空気吹出し口50は、各ワーク列におけるワークWの各々に対応した位置に設けられているので(図3参照)、イオン42の照射と空気の吹付けをワークW毎に確実に行うことができる。
【0054】
上記のようにしてワークWから除去された塵埃は、ダクト58の吸込み口60からダクト本体62を介して集塵装置本体59に吸引され、集塵装置本体59に内蔵されたフィルタにより回収される。従って、除塵された塵埃が周囲に飛散してワークWに再付着することを防止することができ、除電及び除塵をより確実に行うことができる。
【0055】
以上のようにしてワークWに対する除電及び除塵が実施されたら、パレット2は搬出口28を介して搬出され、下流側工程に移送される。
【0056】
次に、図5を参照し、第2実施形態に係る除電除塵装置10Bについて説明する。なお、第2実施形態に係る除電除塵装置10Bにおいて、第1実施形態に除電除塵装置10Aと同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0057】
図5に示すように、本実施形態に係る除電除塵装置10Bでは、複数のエア管52のうち両端のエア管52a、52e以外のエア管52b〜52dには、空気吹出し口50に加え、さらに別の空気吹出し口70が設けられている。なお、以下では、空気吹出し口50と空気吹出し口70とを区別するため、空気吹出し口50を「第1の空気吹出し口50」と言い、空気吹出し口70を「第2の空気吹出し口70」と言う。
【0058】
各エア管52b〜52dにおいて、第2の空気吹出し口70は、無風型除電器12との距離がより遠い位置に隣接する他のエア管52側に向かって清浄空気53が噴出されるように形成されている。すなわち、図5の構成例のように、中央のエア管52cが無風型除電器12の略真下に配置されている場合、中央のエア管52cには、その両側に隣接するエア管52b、52d側にそれぞれ開口した第2の空気吹出し口70が設けられている。エア管52bには、無風型除電器12からの距離が当該エア管52bよりも遠い位置に隣接する他のエア管52a側に第2の空気吹出し口70が設けられている。エア管52dには、無風型除電器12からの距離が当該エア管52dよりも遠い位置に隣接する他のエア管52e側に第2の空気吹出し口70が設けられている。各第2の空気吹出し口70は、斜め下方に向けて開口しているが、水平方向に向けて開口してもよい。
【0059】
各エア管52b〜52dにおいて、第2の空気吹出し口70は、長手方向に沿って間隔を置いて複数設けられている。第2の空気吹出し口70は、エア管52b〜52dの長手方向に関して第1の空気吹出し口50と同じ位置に設けられてもよく、異なる位置に設けられてもよい。
【0060】
上記のように構成された除電除塵装置10Bによれば、無風型除電器12で発生させたイオン42が、第2の空気吹出し口70から噴出される清浄空気53により、中心から端に向かって、すなわち両端に位置するエア管52a、52e側に向かって拡散されるので、イオン42を広範囲に迅速に到達させることができる。よって、広範囲にわたってパレット2上に載置されたワークWに対してより効果的にイオン42を供給することができるため、すべてのワークW対する除電及び除塵を一層確実に実施することが可能となる。
【0061】
なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する各構成部分については、第1実施形態における当該共通の各構成部分がもたらす作用及び効果と同一又は同様の作用及び効果が得られることは勿論である。
【0062】
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
10A、10B…除電除塵装置 12…無風型除電器
14…送風装置 16…処理チャンバ
18…集塵装置 38…イオン発生部
42…イオン 44…除電空間
46…送風部
50…空気吹出し口(第1の空気吹出し口)
52、52a〜52e…エア管
70…空気吹出し口(第2の空気吹出し口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを発生する少なくとも1つの無風型除電器と、
前記無風型除電器の個数よりも多い複数の送風部を有し、被除電対象物に向けて清浄空気を送風する送風装置と、を備え、
前記無風型除電器で発生させたイオンを、前記複数の送風部からの清浄空気により前記被除電対象物に到達させ、前記被除電対象物の除電及び除塵を行う、
ことを特徴とする除電除塵装置。
【請求項2】
請求項1記載の除電除塵装置において、
前記無風型除電器は、複数のイオン発生部が長手方向に間隔を置いて設けられた長尺状のバー型除電器であり、
前記送風部は、それぞれ、前記被除電対象物に向けて清浄空気を噴出する複数の空気吹出し口が長手方向に間隔を置いて設けられたエア管であり、
前記エア管は、互いに間隔を置いて、前記無風型除電器の長手方向と平行に配置されている、
ことを特徴とする除電除塵装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の除電除塵装置において、
前記送風装置は、前記被除電対象物と前記無風型除電器との間に配置される、
ことを特徴とする除電除塵装置。
【請求項4】
請求項2記載の除電除塵装置において、
前記除電除塵装置は、パレット上に縦方向及び横方向に複数個ずつ並べられた前記被除電対象物に対して除電及び除塵をするものであり、
前記エア管は、前記被除電対象物からなる複数の列のそれぞれに対応して設けられている、
ことを特徴とする除電除塵装置。
【請求項5】
請求項4記載の除電除塵装置において、
前記エア管の空気吹出し口は、前記各列における前記被除電対象物の各々に対応した位置に設けられている、
ことを特徴とする除電除塵装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の除電除塵装置において、
前記無風型除電器及び前記送風装置が内部に設置され、前記被除電対象物を収容可能な処理チャンバと、
前記処理チャンバに接続された集塵装置と、をさらに備える、
ことを特徴とする除電除塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−94724(P2012−94724A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241592(P2010−241592)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】