説明

陰圧治療装置及びその制御方法

【課題】治療中の患者に対して余計な痛みを与えることなく、過陰圧状態になった被覆シートの内側の圧力を迅速に調整することが可能な陰圧治療装置及びその制御方法を提供すること。
【解決手段】被覆シートSの内側へ送出流路12を通じて流体を送出する送出手段1と、被覆シートSの内側から吸引流路21を通じて流体を吸引する吸引手段2と、吸引手段2により吸引された流体を収容する容器3と、被覆シートSの内側の圧力を測定する第1の圧力測定手段4と、吸引流路21の容器3よりも上流側の流路21aを遮断する流路開閉手段5と、吸引流路21の容器3よりも下流側の流路21bを大気に開放する開閉弁6と、を備える。被覆シートSの内側及び容器3内それぞれの圧力調整を流路21aが遮断された状態で行う。圧力調整完了後に流路21aの遮断を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陰圧治療装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、陰圧治療装置として、皮膚潰瘍や組織欠損等の創傷部を覆う被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、創傷部から滲出する体液を吸引し、被覆シートの内側から排出する治療装置が知られている。かかる陰圧治療装置によれば、壊死細胞や細菌等を創傷部から吸引除去するとともに、陰圧によって創傷部の血流を促進し、治療効果を高めることができる。
【0003】
ところで、陰圧治療装置による治療中に創傷部の高さが相対的に変位すると、被覆シートの内側の圧力が変動する。例えば、治療中の患者がベッドから立ち上がったり、あるいは無意識に姿勢を変えたりするだけで被覆シートの内側で圧力変動が生じる。このため、創傷部に対して処方箋に基づく治療を適切に行うためには、被覆シートの内側の圧力調整を迅速に行い、被覆シートの内側を所望の陰圧状態に保つ必要がある。
【0004】
ここで、被覆シートの内側の圧力調整が可能な陰圧治療装置として、被覆シートの内側に連通するチューブにリリーフバルブが設けられた陰圧治療装置が下記特許文献1及び特許文献2に開示されている。これらの陰圧治療装置によれば、リリーフバルブを所定のタイミングで開閉させてチューブ内を大気に開放することで被覆シートの内側を大気圧と等しい圧力に調整し、所定の圧力を超えないように被覆シートの内側の圧力を制御することができる。また、リリーフバルブを制御して創傷部に対して間欠的な陰圧を与えれば、創傷部に適度な刺激が与えられ、創傷部の治癒を促す肉芽組織の形成が促進される。
【0005】
しかしながら、これらの陰圧治療装置は、被覆シートの内側の圧力を高めるための圧力調整を行う際、陰圧状態の空間に供給された空気が一気に膨張し、被覆シートの内側の圧力が瞬間的に高くなる。このとき、被覆シートで覆われた創傷部は、陰圧から陽圧への瞬間的な圧力変動の影響により圧迫され強い衝撃を受ける。このため、従来の陰圧治療装置は、被覆シートの内側の圧力調整に際し、治療中の患者に対して余計な痛みを与えてしまうおそれがあった。
【0006】
さらに他の陰圧治療装置として、創傷部を洗浄するための洗浄液を被覆シートの内側へ送出する送出手段を備えた陰圧治療装置が下記特許文献3に開示されている。この陰圧治療装置によれば、送出手段を制御して洗浄液の送出流量を増減させることにより、被覆シートの内側の圧力を調整することができる。これにより、圧力調整を行う際に陰圧状態の空間へ空気を供給する必要がなくなり、被覆シートの内側における瞬間的な圧力変動は発生しない。このため、治療中の患者に対して余計な痛みを与えてしまうことなく、過陰圧状態になった被覆シートの内側の圧力調整を行うことができる。
【0007】
ところが、このような圧力調整方法では、被覆シートの内側が過陰圧状態から所望の陰圧状態に回復するまでに相当の時間を要する。このため、形式的には処方箋に基づく動作設定に従って陰圧治療装置を動作させたとしても、実質的には圧力調整の期間中は処方箋に基づく治療が行われていないことになる。これにより、治癒効果の見込みや完治までの期間予測などに誤差が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4068807号公報
【特許文献2】特許第3859085号公報
【特許文献3】特表2009−508550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、治療中の患者に対して余計な痛みを与えることなく、過陰圧状態になった被覆シートの内側の圧力を迅速に調整することが可能な陰圧治療装置及びその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の陰圧治療装置は、創傷部を覆う被覆シートの内側へ送出流路を通じて流体を送出する送出手段と、前記被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、該被覆シートの内側から吸引流路を通じて流体を吸引する吸引手段と、前記吸引流路に配設され、前記吸引手段により吸引された流体を収容する容器と、前記被覆シートの内側の圧力を測定する第1の圧力測定手段と、前記吸引流路の前記容器よりも上流側の流路に配設され、前記第1の圧力測定手段の測定値が所定の設定値よりも低いときに該上流側の流路を遮断する流路開閉手段と、前記吸引流路の前記容器よりも下流側の流路に配設され、前記流路開閉手段が前記上流側の流路を遮断している場合にのみ、該下流側の流路を大気に開放する開閉弁と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の陰圧治療装置は、前記容器内の圧力を測定する第2の圧力測定手段と、前記第1及び第2の圧力測定手段それぞれの測定値に基づいて、前記創傷部の高さが変位したときに前記被覆シートの内側で生じる圧力の変動値を算出する算出手段と、を備え、前記第1の圧力測定手段の測定値が前記所定の設定値であるときの前記被覆シートの内側と前記容器内との差圧が、前記算出手段により算出された変動値と等しい場合に、前記流路開閉手段が前記上流側の流路の遮断を解除するように構成してもよい。
【0012】
また、本発明は、創傷部を覆う被覆シートの内側へ送出流路を通じて流体を送出する送出手段と、前記被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、該被覆シートの内側から吸引流路を通じて流体を吸引する吸引手段と、前記吸引流路に配設され、前記吸引手段により吸引された流体を収容する容器と、を備えた陰圧治療装置の制御方法であって、前記被覆シートの内側の圧力を測定する第1の圧力測定ステップと、前記第1の圧力測定ステップで測定された測定値が所定の設定値よりも低いときに前記吸引流路の前記容器よりも上流側の流路を遮断する流路遮断ステップと、前記流路遮断ステップにおいて前記上流側の流路が遮断されている場合にのみ、前記吸引流路の前記容器よりも下流側の流路を大気に開放する流路開放ステップと、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の陰圧治療装置の制御方法は、前記容器内の圧力を測定する第2の圧力測定ステップと、前記第1及び第2の圧力測定ステップで測定されたそれぞれの測定値に基づいて、前記創傷部の高さが変位したときに前記被覆シートの内側で生じる圧力の変動値を算出する算出ステップと、を備え、前記第1の圧力測定ステップで測定された測定値が前記所定の設定値であるときの前記被覆シートの内側と前記容器内との差圧が、前記算出ステップで算出された変動値と等しい場合に、前記上流側の流路の遮断が解除されるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る陰圧治療装置及びその制御方法によれば、吸引流路を遮断可能な流路開閉手段を備えているので、被覆シートの内側と容器内とを遮断し、これらの圧力調整を別個独立して行うことができる。これにより、圧力調整を行うために被覆シートの内側へ送出された流体が一時的に被覆シートの内側から排出されなくなるため、過陰圧状態になった被覆シートの内側の圧力が所望の陰圧状態に回復する時間を大幅に短縮することができる。
【0015】
また、被覆シートの内側が過陰圧状態になると直ちに吸引流路を遮断するように流路開閉手段を制御するので、過陰圧状態になった被覆シートの内側に更なる陰圧がかかるのを回避することができる。これにより、過陰圧状態が創傷部に対して与える影響(例えば、出血量の増加、創傷部の組織損傷など)を最小限に抑えることができる。
【0016】
また、吸引流路が遮断されている場合にのみ、容器内から吸引手段へ通じる下流側の流路を大気に開放する開閉弁を備えているので、たとえ容器内に空気が供給されたとしても、このときに生じる陰圧から陽圧への瞬間的な圧力変動の影響により、治療中の創傷部が圧迫され強い衝撃を受けることもない。これにより、治療中の患者に対して余計な痛みを与えることなく、空気を利用して容器内の圧力調整を迅速に行うことが可能となる。
【0017】
さらに、本発明に係る陰圧治療装置及びその制御方法によれば、第1の圧力測定手段の測定値が所定の設定値であるときの被覆シートの内側と容器内との差圧が、算出手段により算出された変動値と等しい場合に、上流側の流路の遮断を解除するので、吸引流路の遮断解除後に生じる圧力平衡による圧力変動が、被覆シートの内側に与える影響を排除することができる。これにより、吸引流路の遮断解除後に被覆シートの内側で圧力変動を生じさせることなく所定の設定値に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る陰圧治療装置を示す概略全体図である。
【図2】創傷部を覆う被覆シートの内側を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る陰圧治療装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る陰圧治療装置を示す概略全体図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る陰圧治療装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図6】被覆シートの内側及び容器内の圧力の変動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る陰圧治療装置の実施形態について図面を用いて説明する。本明細書において、各図面は概略的に示されており、同一の符号で示されている場合は、同一の構成を示すものとする。本明細書において「陰圧」とは、被覆シートで覆われた内側の圧力が被覆シートの外側の圧力よりも低い圧力のことを意味し、「陰圧状態」とは、被覆シートの内側の圧力が被覆シートの外側の圧力(大気圧)よりも低い状態をいう。また、「過陰圧状態」とは、被覆シートの内側の圧力が所定の設定値よりも低い状態をいう。なお、図1、図2、及び図4中に示されている実線矢印は、流体が流れる方向を示すものとする。
【0020】
図1に示すように、第1実施形態に係る陰圧治療装置10は、皮膚潰瘍や組織欠損等の創傷部Wを覆う被覆シートSの内側へ送出流路12を通じて流体(洗浄液)を送出する送出手段1と、被覆シートSの内側から吸引流路21を通じて流体(洗浄液及び創傷部Wから滲出した体液)を吸引する吸引手段2と、吸引手段2により吸引された流体を収容する容器3と、被覆シートSの内側の圧力を測定する第1の圧力測定手段4と、吸引流路21の容器3よりも上流側の流路21aを遮断する流路開閉手段5と、吸引流路21の容器3よりも下流側の流路21bを大気に開放する開閉弁6と、を備えている。
【0021】
図2に示すように、創傷部Wには、空気や創傷部Wから滲出した体液などの流体を透過可能な多孔質のパッドPが配置され、創傷部W及びパッドPを被覆するように被覆シートSが貼着されている。創傷部Wを覆う被覆シートSの内側には、エアリークのない柔軟なチューブの開口端部が3本引き入れられている。この3本のチューブのうち、一のチューブが送出流路12の一部を構成し、他のチューブが吸引流路21(詳しくは、流路21a)の一部を構成し、さらに他のチューブが第1の圧力測定手段4に接続された圧力測定チューブを構成する。
【0022】
送出手段1は、洗浄液バッグBから供給流路11を通じて供給された流体(洗浄液)を、送出流路12を通じて創傷部Wを覆う被覆シートSの内側へ送出する。本実施形態では、送出手段1として、供給流路11の一部を成す柔軟なチューブを回転ヘッドで順次押し潰してチューブ内の流体を送るチューブポンプを採用している。このチューブポンプの回転ヘッドの回転を不図示の制御手段で制御することにより、送り出す流体の流量を調整することができる。なお、送出手段1として、例えば、ピストンポンプ、ダイアフラムポンプ、ベーンポンプ等の他の定量ポンプを採用することもできる。また、洗浄液として、例えば、生理食塩水や、生理食塩水に所要の薬剤等を添加した混合液を使用することができる。
【0023】
吸引手段2は、被覆シートSの内側を陰圧状態に保ちながら、被覆シートSの内側から吸引流路21を通じて流体(洗浄液及び創傷部Wから滲出した体液)を吸引する。本実施形態では、吸引手段2として、ダイヤフラム式真空ポンプを採用しており、流路21bを通じて容器3内の空気を吸引することで容器3内を減圧し、被覆シートSの内側から引き出された流路21aを通じて流体を吸引する。吸引手段2の動作は、所定の動作設定に基づいて不図示の制御手段により制御される。なお、吸引手段2として、例えば、チューブポンプ、ベーンポンプ等の他のポンプを採用することもできる。
【0024】
容器3は、吸引流路21の一部に配設され、吸引手段2により吸引された流体(空気及び創傷部Wから滲出した体液)を内部に収容する。本実施形態では、容器3の内部空間に流路21a及び流路21bそれぞれの開口端部が配置されており、この流路21a及び流路21bが、容器3の内部空間を介して被覆シートSの内側から吸引手段2まで連通する吸引流路21を形成している。また、既に容器3内に収容された流体が各流路21a、21bに侵入するのを防止するために、容器3と各流路21a、21bとの接続部は、容器3の上方部に設けるのが好ましい。
【0025】
なお、容器3内が流体で満杯になると、別の容器3に交換するか、あるいは、この流体を容器3の内部から排出する必要がある。このため、容器3は、内部に収容された流体の量を把握できることが好ましい。例えば、ガラスや透明樹脂などの透明材料を用いて、内部が視認可能なように形成したり、容器3内における流体の液面レベルを検知する液面検知センサを設けたりしてもよい。あるいは、これらを同時に採用することもできる。
【0026】
第1の圧力測定手段4は、被覆シートSの内側に通じる圧力測定チューブに接続された圧力センサから成り、被覆シートSの内側の圧力を測定する。本実施形態では、圧力センサとして、ステンレスダイヤフラム式圧力センサを採用しており、圧力測定チューブを通じて、被覆シートSの内側の圧力を測定する。第1の圧力測定手段4により測定された測定値は、不図示の制御手段に送信される。なお、第1の圧力測定手段4として、例えば、シリコンダイヤフラム式圧力センサ等の他の圧力センサを採用することもできる。また、圧力測定チューブは、開口端部が被覆シートSの内側に直接引き入れられているが、吸引流路21から分岐して形成されていてもよい。
【0027】
流路開閉手段5は、吸引流路21の容器3よりも上流側の流路21aに配設され、この上流側の流路21aを所定のタイミングで遮断する。本実施形態では、流路開閉手段5として、柔軟なチューブから成る流路21aを可動スリーブで挟み付けて流路21aを遮断するピンチバルブを採用している。このピンチバルブの可動スリーブの動作を不図示の制御手段で制御して第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値よりも低いときに流路21aを遮断し、過陰圧状態になった被覆シートSの内側に更なる陰圧がかかるのを回避する。また、可動スリーブを所定のタイミングでもとの位置まで戻すことで、流路21aの遮断が解除される。なお、流路開閉手段5として、シャットオフバルブ(遮断弁)などの他のバルブを採用することもできる。
【0028】
開閉弁6は、吸引流路21の容器3よりも下流側の流路21bに配設され、一定条件のもと、この下流側の流路21bを大気に開放する。本実施形態では、開閉弁6として、リリーフバルブを採用しており、流路開閉手段5が上流側の流路21aを遮断している場合にのみ流路21bを大気に開放することで、容器3内が大気圧と等しい圧力となるように圧力調整が行われる。大気開放時に流路21aが遮断されているので、容器3内の瞬間的な圧力変動が被覆シートSの内側の圧力に影響を及ぼすことはない。大気中から吸引流路21内に細菌が侵入するのを防止するために、開閉弁6の大気開放部には、防水透湿性のフィルタ(図示省略)を設けるのが好ましい。なお、開閉弁6として、チェックバルブなどの他のバルブを採用することもできる。
【0029】
図3に示すように、本発明に係る陰圧治療装置は、以下に示す手順でその動作が制御される。以下、第1実施形態に係る陰圧治療装置10の制御方法について、図3を用いて詳細に説明する。
【0030】
始めに、陰圧治療装置10を動作させる前の事前準備を行う(S1)。具体的には、処方箋に基づいて選択した治療に最適な種類のパッドP及び各チューブを創傷部Wの所定位置に配置し、これらを被覆するように被覆シートSを貼着する(図2参照)。さらに、処方箋に基づいて、送出手段1及び吸引手段2の動作設定(例えば、洗浄液の送出流量、被覆シートSの内側の圧力値、送出手段1及び吸引手段2の動作時間など)を行う。事前準備が完了後、送出手段1及び吸引手段2を所定の動作設定に基づいて動作させること(S2)により、陰圧治療装置10による創傷部Wの治療が開始する。
【0031】
治療開始後に、事前準備において設定された陰圧治療装置10の動作が全て完了したかどうかが判断される(S3)。本実施形態では、送出手段1及び吸引手段2の動作時間を基準に判断される。つまり、予め設定された動作時間が既に経過した場合には「動作完了」と判断され、治療を終了する(S10)。この場合、治療完了後の誤動作などを確実に防止するために、治療終了と同時に陰圧治療装置10の電源が自動的に切られるようにするのが好ましい。一方、予め設定された動作時間がまだ経過していない場合には「動作未完了」として、陰圧治療装置10による治療が継続して行われる。
【0032】
次に、第1の圧力測定ステップとして、第1の圧力測定手段4を用いて被覆シートSの内側の圧力を測定する(S4)。本実施形態では、一定の時間間隔毎(例えば、100ms(ミリセカンド)毎)に定期的に被覆シートSの内側の圧力が測定され、その測定値は第1の圧力測定手段4と電子的に接続された不図示の制御手段に送信される。
【0033】
ここで、第1の圧力測定ステップにおいて測定された測定値に基づいて、被覆シートSの内側の圧力状態についての判断が行われる(S5)。本実施形態では、予め設定された被覆シートSの内側の圧力の設定値を閾値として、第1の圧力測定手段4により測定された測定値を設定値と対比することにより、被覆シートSの内側が「過陰圧状態」であるか否かの判断が為される。つまり、被覆シートSの内側の圧力が設定値よりも高い場合(即ち、設定値>測定値である場合)は、過陰圧状態とは判断されず、被覆シートSの内側の圧力が設定値よりも低い場合(即ち、設定値<測定値である場合)は、過陰圧状態であると判断される。
【0034】
なお、上述した被覆シートSの内側の圧力状態についての判断(S5)は、その他の判断基準で行うこともできる。例えば、過陰圧状態を判断するための閾値が上記設定値とは異なる値に設定されていてもよい。あるいは、測定値が閾値よりも低い状態(即ち、閾値<測定値である状態)の継続時間を計測し、この計測値に別の閾値を設けてもよい。これにより、圧力調整を行う機会を必要最小限に抑えることができる。
【0035】
本実施形態では、被覆シートSの内側の圧力状態に応じて、異なった方法による圧力調整が行われる。即ち、被覆シートSの内側が「過陰圧状態」であるか否かによって、陰圧治療装置10の動作制御が異なる。これを以下に具体的に説明する。
【0036】
被覆シートSの内側が過陰圧状態ではないと判断された場合は、送出手段1及び吸引手段2を引き続き所定の動作設定に基づいて動作させる(S2)。かかる場合には、送出手段1及び吸引手段2の動作のみを制御することにより、被覆シートSの内側を所望の陰圧状態に保つことができる。つまり、第1の圧力測定手段4の測定値が設定レベルの範囲内であるときは、圧力調整のための特別な動作を行う必要はない。また、第1の圧力測定手段4の測定値が設定レベルよりも高いときは、送出手段1の動作を一定に保つとともに、吸引手段2の吸引圧を上昇させることで被覆シートSの内側に陰圧がかかり、被覆シートSの内側の圧力を設定レベルの範囲内まで回復させることができる。
【0037】
一方、被覆シートSの内側が過陰圧状態であると判断された場合は、流路遮断ステップとして、吸引流路21の容器3よりも上流側の流路21aを直ちに遮断する(S6)。本実施形態では、過陰圧状態の検出と同時に不図示の制御手段がピンチバルブ(流路開閉手段5)に動作命令の信号を送信し、柔軟なチューブから成る流路21aを可動スリーブで挟み付けることにより流路21aが遮断される。これにより、被覆シートSの内側と容器3内の空間が実質的に独立した空間となるため、互いの空間内において生じた圧力変動の影響を受けない状態にすることができる。
【0038】
流路遮断ステップにおいて流路21aが遮断された後、被覆シートSの内側及び容器3内それぞれの圧力調整が別個独立して行われる(S7)。本実施形態では、被覆シートSの内側の圧力調整として、送出流路12を通じて洗浄液を被覆シートSの内側へ送出することで、被覆シートSの内側における過陰圧状態が経時的に解消する。このとき、より迅速に過陰圧状態を解消させるために、一時的に洗浄液の送出流量を増加させるように送出手段1を制御するのが好ましい。
【0039】
一方、容器3内の圧力調整として、開閉弁6を開いて流路21b内を大気に開放する流路開放ステップを行うことで、容器3内の圧力を大気圧と等しい圧力まで瞬間的に変動させて過陰圧状態を迅速に解消する。その後、直ちに開閉弁6が閉じられる。なお、流路開放ステップを行うと瞬間的な圧力変動が大きいため、本実施形態では、流路21aが遮断されている場合にのみ流路開放ステップを行うように構成されている。これにより、創傷部Wが陰圧から陽圧への瞬間的な圧力変動の影響により圧迫され強い衝撃を受けるのを回避することができる。
【0040】
ここで、被覆シートSの内側及び容器3内それぞれの圧力調整が完了したかどうかの判断を行う(S8)。本実施形態では、容器3内の過陰圧状態は瞬間的に解消するため、被覆シートSの内側の圧力が少なくとも所定の設定値以上の圧力まで回復した場合に圧力調整が完了したものと判断される。つまり、第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値以上の値を示したとき(即ち、測定値≧設定値である場合)に圧力調整が完了し、第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値よりも低い場合(即ち、測定値<設定値である場合)は、被覆シートSの内側の圧力調整が継続して行われる(S7)。
【0041】
被覆シートSの内側及び容器3内それぞれの圧力調整が完了した後、流路21aの遮断を解除する(S9)。流路21aの遮断解除後、被覆シートSの内側と容器3の内部空間との間で生じる圧力平衡の影響により、それぞれの圧力が平衡圧力へと変動する。本実施形態では、流路21aの遮断を解除する時点で被覆シートSの内側の過陰圧状態が既に解消されているため、圧力平衡の影響による圧力変動が低減される。これにより、過陰圧状態に対する圧力調整時における被覆シートSの内側の圧力変動を必要最小限に低減することができる。その後、送出手段1及び吸引手段2を、再度、所定の動作設定に基づいて動作させ(S2)、所定の動作時間が経過した時点で治療が終了する(S10)。
【0042】
このように、陰圧治療装置10の動作を制御して被覆シートSの内側の圧力調整を行うことにより、被覆シートSの内側を常に所望の設定レベルの陰圧状態に保ちながら、被覆シートSの内側から吸引流路21を通じて流体(洗浄液及び創傷部Wから滲出した体液)を吸引し、被覆シートSの外側へ排出する、いわゆる創内持続陰圧洗浄療法による治療が創傷部Wに対して行われるのである。
【0043】
本実施形態に係る陰圧治療装置10及びその制御方法によれば、吸引流路21の一部を構成する流路21aを遮断可能な流路開閉手段5を備えているので、被覆シートSの内側と容器3内とを遮断し、これらの圧力調整を別個独立して行うことができる。これにより、圧力調整を行うために被覆シートSの内側へ送出された流体が一時的に被覆シートSの内側から排出されなくなるため、過陰圧状態になった被覆シートSの内側の圧力が所望の圧力状態に回復する時間を大幅に短縮することができる。
【0044】
また、流路遮断ステップとして、被覆シートSの内側が過陰圧状態になると直ちに流路21aを遮断するように流路開閉手段5を制御するので、過陰圧状態になった被覆シートSの内側に更なる陰圧がかかるのを回避することができる。これにより、過陰圧状態が創傷部Wに対して与える影響(例えば、出血量の増加、創傷部Wの組織損傷など)を最小限に抑えることができる。
【0045】
また、容器3内の圧力調整において、流路開放ステップとして、流路21aが遮断されている場合にのみ、開閉弁6を開いて容器3内から吸引手段2へ通じる下流側の流路21b内を大気に開放する。このため、たとえ容器3内に空気が供給されたとしても、このときに生じる陰圧から陽圧への瞬間的な圧力変動の影響により、治療中の創傷部Wが圧迫され強い衝撃を受けることもない。これにより、空気を利用して容器3内の圧力調整を迅速に行うことが可能となる。
【0046】
よって、本実施形態に係る陰圧治療装置10及びその制御方法によれば、上述した効果の組合せとして得られる相乗効果により、治療中の患者に対して余計な痛みを与えることなく、過陰圧状態になった被覆シートの内側の圧力を迅速に調整することが可能な陰圧治療装置を提供することができる。
【0047】
以上、本発明の第1実施形態に係る陰圧治療装置10について説明したが、本発明に係る陰圧治療装置は、その他の形態で実施することができる。
【0048】
例えば、図4に示す陰圧治療装置20のような実施形態であってもよい。第2実施形態に係る陰圧治療装置20は、上述した陰圧治療装置10が備える各構成(送出手段1、吸引手段2、容器3、第1の圧力測定手段4、流路開閉手段5及び開閉弁6)に加えて、容器3内の圧力を測定する第2の圧力測定手段7と、創傷部Wの高さが変位したときに被覆シートSの内側で生じる圧力の変動値を算出する算出手段8と、を備えている。第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値であるときの被覆シートSの内側と容器3内との差圧が、算出手段8により算出された変動値と等しい場合に、流路開閉手段5が流路21aの遮断を解除する点に特徴がある。
【0049】
第2の圧力測定手段7は、容器3内に通じる第2の圧力測定チューブに接続された圧力センサから成り、容器3内の圧力を測定する。本実施形態では、圧力センサとして、ステンレスダイヤフラム式圧力センサを採用しており、第2の圧力測定チューブを通じて、容器3内の圧力を測定する。第2の圧力測定手段7により測定された測定値は、不図示の制御手段に送信される。なお、第2の圧力測定手段7として、例えば、シリコンダイヤフラム式圧力センサ等の他の圧力センサを採用することもできる。また、第2の圧力測定チューブ内に流体が侵入するのを防止するために、第2の圧力測定チューブと容器3との接続部は、容器3の上方部に設けるのが好ましい。
【0050】
算出手段8は、不図示の制御手段に組み込まれた演算プログラムであり、創傷部Wの高さが変位したときに被覆シートSの内側で生じる圧力の変動値を算出する。この圧力の変動値は、流路21aの遮断時における被覆シートSの内側と容器3内の差圧に相当する。よって、本実施形態では、流路21aを遮断したときに第1の圧力測定手段4及び第2の圧力測定手段7それぞれの測定値の差を算出することにより、前記変動値を算出する。また、算出手段8は、被覆シートSの内側及び容器3内それぞれの圧力調整期間中においても、第1の圧力測定手段4及び第2の圧力測定手段7それぞれの測定値の差を算出し、不図示の制御手段にフィードバックする。フィードバックされた差圧値は、容器3内の圧力調整を行うための制御パラメータとして利用される。
【0051】
図5に示すように、第2実施形態に係る陰圧治療装置20は、以下に示す手順でその動作が制御される。以下、陰圧治療装置20の制御方法について、図5を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態では、被覆シートSの内側及び容器3内の圧力調整が、流路21aが遮断されている状態で別個独立して行われる点を特徴としている。よって、以下の説明では、特に被覆シートSの内側及び容器3内それぞれの圧力を調整する手順(図3中のS7参照)について詳細に説明するものとし、図3に示す手順と共通する他の手順については、図示及び詳細な説明を省略する。
【0052】
被覆シートSの内側の圧力調整は、以下の手順で行われる。始めに、流路21aを遮断(図3中のS6参照)後に、第1の圧力測定手段4を用いて被覆シートSの内側の圧力を測定する(S711)。本実施形態では、測定された被覆シートSの内側の圧力は、第1の圧力測定手段4と電子的に接続された不図示の制御手段に送信され、被覆シートSの内側の圧力調整が行われる期間中、継続的に監視される。例えば、測定値の変動をグラフなどに表示して視認できるように構成してもよい。
【0053】
次に、第1の圧力測定手段4の測定値と所定の設定値とを対比する(S712)。第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値と等しい値でない場合は、送出手段1を制御して流体(洗浄液)の送出流量を増加させる(S713)。これらの手順を第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値と等しい値になるまで繰り返し行う。第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値と等しい値になったときに被覆シートSの内側の圧力調整が完了する(S714)。
【0054】
容器3内の圧力調整は、以下の手順で行われる。始めに、第2の圧力測定ステップとして、第2の圧力測定手段7を用いて容器3内の圧力を測定する(S721)。本実施形態では、測定された容器3内の圧力は、第2の圧力測定手段7と電子的に接続された不図示の制御手段に送信され、容器3内の圧力調整が行われる期間中、継続的に監視される。例えば、測定値の変動をグラフなどに表示して視認できるように構成してもよい。
【0055】
次に、算出ステップとして、創傷部Wの高さが変位したときに被覆シートSの内側で生じた圧力の変動値を算出する(S722)。この圧力の変動値は、流路21aの遮断時における被覆シートSの内側と容器3内の差圧に相当する。よって、本実施形態では、流路21aを遮断したときに第1の圧力測定手段4及び第2の圧力測定手段7それぞれの測定値の差を算出することにより、前記変動値を得ることができる。
【0056】
ここで、本実施形態では、容器3内の圧力調整が行われる期間中、第1の圧力測定手段4及び第2の圧力測定手段7それぞれの測定値の差(差圧値)を継続的に算出し(S723)、前記算出ステップにおいて算出した変動値と対比する(S724)。変動値と差圧値が等しい値でない場合は、開閉弁6を操作して容器3内の大気開放を行ったり、吸引手段2を制御して容器3内を減圧したりして、変動値と差圧値が等しい値となるように容器3内の圧力を調整する(S725)。
【0057】
その後、変動値と差圧値が等しい値となった場合に、圧力調整が完了したかどうか判断される(S8)。本実施形態では、被覆シートSの内側の圧力調整(S714)が完了しているかどうかを基準にこの判断が為される。つまり、第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値と一致するまで上述の手順が繰り返し行われ、第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値と一致した場合に圧力調整完了と判断され、流路21aの遮断が解除される(S9)。言い換えれば、第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値と一致するまで流路21aの遮断は解除されない。
【0058】
上述した手順により、過陰圧状態になった被覆シートSの内側の圧力調整を行った場合における、被覆シートSの内側及び容器3内の圧力の変動を表すグラフを図6に示す。図6に示すように、陰圧治療装置20による治療を開始後しばらくして被覆シートSの内側の圧力が所定の設定値に達し、その後被覆シートSの内側の圧力が一定に保たれている(図6のA地点までの実線を参照)。このとき、被覆シートSの内側と容器3内との間で差圧Paが生じている。これは、創傷部Wの高さと容器3の高さが相対的に異なるためである。これは、例えば、創傷部Wの位置や治療中の患者の姿勢などに起因する。
【0059】
創傷部Wの高さが変位(上昇)することにより(図6のA地点参照)、被覆シートSの内側が過陰圧状態になる。このとき、被覆シートSの内側の圧力と設定値との間で差圧Pbが生じる。過陰圧状態が検出された時点で流路21aが遮断される(図6のB地点参照)。このとき、変動値PはP=Pa+Pbで表される。
【0060】
流路21aが遮断された状態において、被覆シートSの内側の圧力が所定の設定値になるまで圧力調整が行われる(図6の期間D(B地点からC地点まで)を参照)。被覆シートSの内側の圧力が所定の設定値に到達した時点で流路21aの遮断が解除される(図6のC地点参照)。
【0061】
ここで、注目すべき点は、被覆シートSの内側と容器3内の差圧値を変動値Pと等しい値に常に保ちながら、容器3内の圧力が調整されているという点である。流路21aの遮断を解除すると、流路21aの遮断直前の被覆シートSの内側と容器3内の圧力差を保つように、それぞれの圧力が変動する圧力平衡が生じる。しかしながら、本実施形態では、被覆シートSの内側の圧力が所定の設定値に到達した時点で、被覆シートSの内側と容器3内の差圧値が変動値Pに保たれているので、流路21aの遮断解除後に被覆シートSの内側において圧力変動がほとんど生じない。
【0062】
本実施形態に係る陰圧治療装置20及びその制御方法によれば、第1の圧力測定手段4の測定値が所定の設定値であるときの被覆シートSの内側と容器3内との差圧が、算出手段8により算出された変動値Pと等しい場合に、流路21aの遮断を解除するように制御することで、流路21aの遮断解除後に生じる圧力平衡による圧力変動が、被覆シートSの内側に与える影響を排除することができる。これにより、流路21aの遮断解除後に被覆シートSの内側で圧力変動を生じさせることなく所定の設定値に保つことができる。
【0063】
また、被覆シートSの内側と容器3内の差圧値を変動値Pと等しい値に常に保ちながら、容器3内の圧力を調整することができるので、流路21aの遮断を解除する最適なタイミングを正確且つ容易に制御することができる。これにより、流路21aの遮断解除に関する誤動作を確実に防止するとともに、治療の安全化を図ることができる。
【0064】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0065】
10、20:陰圧治療装置
1 :送出手段
2 :吸引手段
3 :容器
4 :第1の圧力測定手段
5 :流路開閉手段
6 :開閉弁
7 :第2の圧力測定手段
8 :算出手段
11:供給流路
12:送出流路
21:吸引流路
W :創傷部
S :被覆シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷部を覆う被覆シートの内側へ送出流路を通じて流体を送出する送出手段と、
前記被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、該被覆シートの内側から吸引流路を通じて流体を吸引する吸引手段と、
前記吸引流路に配設され、前記吸引手段により吸引された流体を収容する容器と、
前記被覆シートの内側の圧力を測定する第1の圧力測定手段と、
前記吸引流路の前記容器よりも上流側の流路に配設され、前記第1の圧力測定手段の測定値が所定の設定値よりも低いときに該上流側の流路を遮断する流路開閉手段と、
前記吸引流路の前記容器よりも下流側の流路に配設され、前記流路開閉手段が前記上流側の流路を遮断している場合にのみ、該下流側の流路を大気に開放する開閉弁と、
を備えることを特徴とする陰圧治療装置。
【請求項2】
前記容器内の圧力を測定する第2の圧力測定手段と、
前記第1及び第2の圧力測定手段それぞれの測定値に基づいて、前記創傷部の高さが変位したときに前記被覆シートの内側で生じる圧力の変動値を算出する算出手段と、を備え、
前記第1の圧力測定手段の測定値が前記所定の設定値であるときの前記被覆シートの内側と前記容器内との差圧が、前記算出手段により算出された変動値と等しい場合に、前記流路開閉手段が前記上流側の流路の遮断を解除することを特徴とする、請求項1に記載の陰圧治療装置。
【請求項3】
創傷部を覆う被覆シートの内側へ送出流路を通じて流体を送出する送出手段と、前記被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、該被覆シートの内側から吸引流路を通じて流体を吸引する吸引手段と、前記吸引流路に配設され、前記吸引手段により吸引された流体を収容する容器と、を備えた陰圧治療装置の制御方法であって、
前記被覆シートの内側の圧力を測定する第1の圧力測定ステップと、
前記第1の圧力測定ステップで測定された測定値が所定の設定値よりも低いときに前記吸引流路の前記容器よりも上流側の流路を遮断する流路遮断ステップと、
前記流路遮断ステップにおいて前記上流側の流路が遮断されている場合にのみ、前記吸引流路の前記容器よりも下流側の流路を大気に開放する流路開放ステップと、を備えることを特徴とする陰圧治療装置の制御方法。
【請求項4】
前記容器内の圧力を測定する第2の圧力測定ステップと、
前記第1及び第2の圧力測定ステップで測定されたそれぞれの測定値に基づいて、前記創傷部の高さが変位したときに前記被覆シートの内側で生じる圧力の変動値を算出する算出ステップと、を備え、
前記第1の圧力測定ステップで測定された測定値が前記所定の設定値であるときの前記被覆シートの内側と前記容器内との差圧が、前記算出ステップで算出された変動値と等しい場合に、前記上流側の流路の遮断が解除されることを特徴とする、請求項3に記載の陰圧治療装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate