説明

陳列棚における反射ミラーの角度調節方法

【課題】品物を載置可能な複数段の載置台に対応付けて配置した複数段の透過型のスクリーンの表面側にその裏面側からプロジェクタによって投影されて反射ミラーによって反射された一画面のプロジェクタ投影画像を表示させるに際して、反射ミラーの角度を容易に正しく設定できるようにする。
【解決手段】陳列棚の基体内部の天井面に目標物151を形成しておく。その位置は、一画面のプロジェクタ投影画像中の天井面150に至る領域と重なり合う位置である。そして、反射ミラー109の角度が正しく設定された状態で目標物151に重なり合うように一画面のプロジェクタ投影画像中の天井面150に至る領域に含ませた位置合わせ用の目印画像をプロジェクタに投影させ、目印画像が目標物151に重なり合うように反射ミラー109の角度を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品物の陳列に適した棚であって、プロジェクタを用いて陳列対象となる品物についての情報を透過投影できるようにした陳列棚における反射ミラーの角度調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
品物を陳列する陳列棚は、代表的には小売業の店舗、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ホームセンター、デパート内の各種商品の売場等で広く用いられている。小売業の店舗では、陳列棚に商品を陳列し、陳列する商品に対応付けて棚札が付けられる。棚札は、対応付けられる商品の価格やその他の情報を顧客に示すことを目的としている。このような棚札として、近年、電子棚札が開発されている(特許文献1参照)。電子棚札は、例えば液晶パネルや有機ELパネル等によって形成されている(例えば、特許文献1の段落0008参照)。
【0003】
小売業の店舗で用いられる陳列棚は、商品を陳列し、棚札や電子棚札を用いて陳列した商品の価格やその他の情報を示すことを主要な用途としている。これに対して、陳列棚に陳列した商品を顧客に注目させ、より多くの購買に繋げるようにする手法として、POP広告(Point of Purchase )という手法が従来から広く用いられている。特許文献2には、陳列棚の天壁にプロジェクタとこのプロジェクタからの投影画像を透過投影するスクリーンとを設けた陳列棚(特許文献2ではショーケース)が開示されている。このような技術を採用することで、通常は紙などの記録媒体に印刷されたPOP広告の取り付け作業を行うことなく、スクリーンに透過投影するプロジェクタ投影画像によって、陳列棚に陳列された商品の展示効果を促進することが期待される(特許文献2の段落0018参照)。
【0004】
特許文献1に示されている電子棚札は、情報表示領域を広くとることが困難である。その主な理由は価格面からの理由であるが、別の理由としては、液晶パネルや有機ELパネルの歩留まりの面からも、情報表示領域を広くとることが困難なことが説明できる。また、特許文献1には、複数の薄型表示装置を横に連結して横長に形成することが開示されているが(図8参照)、この場合には、どうしても薄型表示装置同士の間に継ぎ目が生じてしまう。このため、継ぎ目の部分では、自然で綺麗な表示をすることができない。
【0005】
また、電子棚札では情報表示領域を広くとることができないという事情から、そこに表示できる情報は、対応する商品の価格とその他の僅かな情報に留まる。このため、POP広告のような機能を電子棚札に持たせることは困難である。
【0006】
このようなことから、品物を載置可能な複数段の載置台に対応付けて複数段の透過型のスクリーンを設けておき、透過型のスクリーンの表面側にその裏面側からプロジェクタによって投射される一画面のプロジェクタ投影画像を表示させるようにした陳列棚が創案されている(特許文献3参照)。このような陳列棚は、プロジェクタによって投射される一画面のプロジェクタ投影画像を複数段の載置台に対応付けられる複数段のスクリーンにその背面から投影する点で、プロジェクタからの投影画像をスクリーンに透過投影するに留まる特許文献2に記載されている陳列棚(特許文献2ではショーケース)とは相違する。
【0007】
【特許文献1】特開2005−099888公報
【特許文献2】特開2001−245756公報
【特許文献3】特開2007−289636公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3に記載されている陳列棚では、複数段の透過型のスクリーンという構造物に対して、プロジェクタから投影する一画面のプロジェクタ投影画像を正しく位置合わせすることが重要となる。とりわけ、特許文献3には、プロジェクタが投影する一画面のプロジェクタ投影画像を反射ミラーで反射して個々の陳列棚に対応する複数個の投射ミラーに導く構造のものが開示されている(特許文献3の図11、図12参照)。このような構造を採用した場合、反射ミラーの角度ずれが個々のスクリーンに対する大きな位置ずれを引き起こしてしまうので、反射ミラーの角度は正しく設定されていなければならない。ところが、陳列棚は相当程度に大型の機器であるために、個体差が生じ易く、また、設置場所の平滑性に依存する筐体の歪みや経年変化による筐体の歪み等も生じ易い。このようなことを考慮すると、反射ミラーの角度を正しく設定することが困難である。その結果、プロジェクタから投影する一画面のプロジェクタ投影画像をスクリーンに対して正しく位置合わせするということについても、その困難性が高い。
【0009】
本発明の目的は、品物を載置可能な複数段の載置台に対応付けて配置した複数段の透過型のスクリーンの表面側にその裏面側からプロジェクタによって投影されて反射ミラーによって反射された一画面のプロジェクタ投影画像を表示させる構造を前提として、反射ミラーの角度を容易に正しく設定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1の空間を内部に形成して天井面を有する基体と、前記基体の前面に配置されて前記第1の空間に連通する水平方向に延出する第2の空間を内部に形成し、上面に品物を載置可能である複数段の載置台と、個々の前記載置台の前方領域に位置付けられ、前記第2の空間側である裏面側から投影されるプロジェクタ投影画像を表面側に透過投影可能な複数個の透過型のスクリーンと、プロジェクタ投影画像を投影するプロジェクタを水平向きに配置するために前記第1又は第2の空間の下方位置に設けられているプロジェクタ設置部と、前記プロジェクタから投影される一画面のプロジェクタ投影画像を前記第1の空間と前記第2の空間との連絡部分を横切るように上方に向けて反射する反射ミラーと、前記反射ミラーを反射して前記第1の空間内で上方に向けて案内される一画面のプロジェクタ投影画像の重複しない複数の一部領域を個々に前記第2の空間に向けて反射して前記スクリーンの裏面側に投影させる複数個の投射ミラーと、前記反射ミラーの角度を調節する反射ミラー調節機構と、を備える陳列棚における前記反射ミラーの角度調節方法であって、一画面のプロジェクタ投影画像中の前記天井面に至る領域に含ませた位置合わせ用の目印画像を有するプロジェクタ投影画像を前記プロジェクタに投影させる工程と、
前記反射ミラーの角度が正しく設定された状態で前記目印画像が所定の位置関係を保つように前記天井面に形成された位置合わせ用の目標物に対して、前記目印画像が前記所定の位置関係に位置付けられるように前記反射ミラー調節機構によって前記反射ミラーの角度を調節する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、陳列棚が有する基体の天井面に形成された位置合わせ用の目標物に対して、一画面のプロジェクタ投影画像に含まれている位置合わせ用の目印画像が所定の位置関係に位置付けられるように反射ミラー調節機構によって反射ミラーの角度を調節することによって、反射ミラーの角度を容易に正しく設定することができ、その結果、プロジェクタから投影する一画面のプロジェクタ投影画像を容易にスクリーン上に正しく位置合わせすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の一形態を図1ないし図25に基づいて説明する。本実施の形態は、スーパーマーケットへの適用に適した陳列棚システム11について紹介する。
【0013】
図1は、陳列棚システム11を構成する陳列棚101の斜視図である。本実施の形態の陳列棚システム11は、店舗内に設置される陳列棚101と、陳列棚101に内蔵されるプロジェクタ201(図2、図15参照)と、プロジェクタ201と同様に陳列棚101に内蔵されるプロジェクタ画像送信装置としてのコンピュータ301(図2、図15参照)とから構成されている。
【0014】
陳列棚101は、品物である商品Aを載置して陳列可能な載置台102を有している。載置台102は、三段設けられている。ここでは便宜上、下から載置台102a、102b、102cと呼ぶ。これらの載置台102(載置台102a、102b、102c)は、背が高く内部が空洞となった直方体形状の基体103の前面に、内部が空洞である直方体形状をした三つの載置台基部104が固定されることにより、それらの載置台基部104の上面に形成されている。つまり、載置台基部104の上面は、商品Aを載置することができる載置台102として機能するように平板面形状に形成されている。そして、載置台基部104のうち、一番下方に位置付けられている載置台基部104aは最も高さ寸法が大きく形成され、その上方に位置する二段の載置台基部104b、104cは略同一の高さ寸法で形成されている。これらの二段の載置台基部104b、104cは、個々のその高さ位置を可変自在に基体103に取り付けられている。その構造については後述する。
【0015】
基体103には、更に、最も高い位置に位置する載置台102cよりも上方に位置させて、天板部105が固定されている。この天板部105も、載置台102と同様に、内部が空洞となった直方体形状の部材によって形成されている。陳列棚101を形成する基体103、載置台基部104及び天板部105は、一例として、金属製のフレーム(図示せず)を骨格としてこのフレームに板金部材が取り付けられて形成されている。
【0016】
次いで、載置台基部104及び天板部105の正面には、スクリーン106が取り付けられている。ここでは便宜上、スクリーン106うち、載置台基部104aに設けられているものをスクリーン106a、載置台基部104bに設けられているものをスクリーン106b、載置台基部104cに設けられているものをスクリーン106c、天板部105に設けられているものをスクリーン106dと呼ぶ。これらのスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)は、いずれも、載置台基部104(載置台基部104a、104b、104c)及び天板部105の横幅一杯に切れ目なく形成された横長形状に形成されている。そして、それらのスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)は、例えば磨りガラス様の構造を備え、裏面から投影されるプロジェクタ投影画像を表面側に透過投影可能な透過型のものである。
【0017】
図2は、陳列棚システム11を構成する陳列棚101とプロジェクタ201とコンピュータ301(プロジェクタ画像送信装置)とを陳列棚101の内部構造と共に示す全体の縦断側面図である。図2より明らかなように、基体103と個々の載置台基部104(載置台基部104a、104b、104c)及び天板部105とは、その内部で空間が連通している。ここでは便宜上、基体103の内部に形成されている空洞を第1の空間FSと呼び、載置台基部104(104a、104b、104c)及び天板部105の内部に形成されている空洞を第2の空間SSと呼ぶこととする。第2の空間SSは、基体103の前面側で第1の空間FSの空間に連通し、水平方向に延出している。
【0018】
陳列棚101は、そのような内部空間(第1の空間FS及び第2の空間SS)を利用し、プロジェクタ201がそのレンズ202から投射するプロジェクタ投影画像を個々のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)に向けて導く。つまり、プロジェクタ201は、一例として液晶プロジェクタであり、コンピュータ301から送信されたプロジェクタ画像の画像データを受信し、受信した画像データに基づくプロジェクタ投影画像を生成してレンズ202から投射する。このようなプロジェクタ201は、最も下方に位置する載置台基部104aの内部である第2の空間SSに設けられたプロジェクタ設置部107aに設置され、陳列棚101の内部でその後方に向けてプロジェクタ投影画像を投射可能に配置されている。また、載置台基部104aの内部である第2の空間SSには、プロジェクタ設置部107aの上方に位置させてコンピュータ載置部107bが設けられている。コンピュータ載置部107bにはコンピュータ301が載置されている。図2に示すように、コンピュータ301としては、一例として、横置き配置されるデスクトップ型のものが用いられている。別の一例として、ノートパソコンをコンピュータ301として用いても良い。
【0019】
陳列棚101の内部空間(第1の空間FS及び第2の空間SS)には、プロジェクタ201から投射されたプロジェクタ投影画像を個々のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)の背面に向けて導くための光学系108が設けられている。光学系108は、プロジェクタ201から投射されたプロジェクタ投影画像を最初に受光して上方に向けて反射する反射ミラー109と、反射ミラー109によって反射されたプロジェクタ投影画像を個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に向けて反射する四つの投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)とを基本として構成されている。個々の投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)は、プロジェクタ201からの光路長を略一致させ得るような位置にそれぞれ配置されている。もっとも、プロジェクタ201から最下方に位置するスクリーン106aまでは十分な光路長がとれないので、反射ミラー109と投射ミラー110aとの間には、一枚の折返しミラー111を配置し、その光路長を確保している。
【0020】
ここで重要なことは、プロジェクタ201がそのレンズ202から投射するプロジェクタ投影画像は、一画面構成の画像であるということである。このような一画面構成のプロジェクタ投影画像は、四つの投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)によって分割されて個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に導かれる。
【0021】
図3は、陳列棚101の分解斜視図である。陳列棚101の基体103は、四隅に立設される四本の柱部112と、四本の柱部112の下端及び上端を連結する複数本の連結体113とによって形成されたゲージ構造体をなす。複数本の連結体113は互いに連結されて上下一対の矩形形状をなし、四本の柱部112の上端と下端とをそれぞれ連結固定させている。これらの柱部112及び連結体113は、一例として、L字に屈曲させた細長い金属板によって形成されている。
【0022】
陳列棚101の両側には、左右一対の側壁114が取り付けられている。これらの側壁114は、一例として平板状の鉄板によって形成され、両側に位置するそれぞれ二本ずつの柱部112及びこれらの柱部112を連結する上下二本の連結体113に連結固定されている。
【0023】
陳列棚101の底部には、底板115(図4参照)が取り付けられている。底板115は、一例として平板状の鉄板によって形成され、下部に位置する矩形形状に連結された四本の連結体113に連結固定されている。
【0024】
陳列棚101の上面には、天板116が取り付けられている。天板116は、一例として平板状の鉄板によって形成され、上部に位置する矩形形状に連結された四本の連結体113に連結固定されている。
【0025】
陳列棚101の背面は、上下二枚の補強板117で補強されている。これらの補強板117は、一例として細長い平板状の鉄板によって形成されており、背面側に位置する左右二本の柱部112に掛け渡されて固定されている。
【0026】
こうして、柱部112、連結体113及び補強板117というゲージ構造体に、側壁114、底板115及び天板116という壁構造体が連結固定されることで、基体103は強固な構造強度を維持している。
【0027】
図3に示すように、基体103の前面下部には載置台基部104aが固定され、基体103の前面上部には天板部105が固定されている。そして、これらの載置台基部104aと天板部105との間に配置される二段の載置台基部104b、104cは、基体103を構成する前面側に位置する左右一対の柱部112に高さ調節自在に取り付けられている。ここで重要なことは、四つの投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)のうち、下から二段目の載置台基部104bに対応付けられている下から二段目の投射ミラー110bは、その載置台基部104bが有するスクリーン106bに向けてプロジェクタ投影画像を投射する。よって、下から二段目の載置台基部104bと下から二段目の投射ミラー110bとが互いに対応付けられている。また、下から三段目の載置台基部104cに対応付けられている下から三段目の投射ミラー110cは、その載置台基部104cが有するスクリーン106cに向けてプロジェクタ投影画像を投射する。よって、下から三段目の載置台基部104cと下から三段目の投射ミラー110cとが互いに対応付けられている。こうして互いに対応付けられている下から二段目の載置台基部104bと下から二段目の投射ミラー110bとは、連結構造をなす左右一対の連結アーム118によって一体的に連結され、共に高さ調節自在である。同様に、互いに対応付けられている下から三段目の載置台基部104cと下から三段目の投射ミラー110cとは、連結構造をなす左右一対の連結アーム118によって一体的に連結され、共に高さ調節自在である。
【0028】
図3に示すように、基体103は、最下段の載置台基部104aと天板部105との間の前面が開口している。この開口部分に、二段の載置台基部104b、104cが高さ調節自在に取り付けられるので、それらの載置台基部104b、104cの部分ではその開口部分が閉塞される。これに対して、最下段の載置台基部104aと二段目の載置台基部104bとの間の部分、二段目の載置台基部104bと三段目の載置台基部104cとの間の部分、そして、三段目の載置台基部104cと天板部105との間の部分には、開口部分が残る。そこで、基体103には、それらの三箇所に三枚の化粧パネル119を着脱可能な構造とし、開口部分を塞ぐことができるようにしている。これらの化粧パネル119は、開口部分の高さに応じて様々な幅のものが用意され、最適幅のものを選択して基体103に装着できるようになっている。
【0029】
また、基体103の背面には、バックパネル120が着脱自在に取り付けられている(図1、図2も参照のこと)。このバックパネル120は、上下二枚に分割されており、一例として平板状の鉄板によって形成されている。
【0030】
更に、最下段の載置台基部104aの前面には、フロントパネル121が着脱自在に取り付けられている(図1、図2も参照のこと)。このフロントパネル121は、一例として平板状の鉄板によって形成されている。
【0031】
図4は、陳列棚101の基体103の背面図である。基体103の背面側を構成する左右一対の柱部112には、二枚のバックパネル120の四隅に対応させた位置に背面装着孔122が形成されている。図3に示すように、二枚のバックパネル120の四隅には、それらの背面装着孔122に対応する位置に位置させて、それらの背面装着孔122に引っ掛けることができる形状のバックパネルフック123が設けられている。そこで、バックパネルフック123を背面装着孔122に引っ掛けることで、二枚のバックパネル120を基体103の背面に着脱自在に取り付けることができる。
【0032】
図5は、基体103に対して載置台102(載置台102b、102c)を高さ調節自在に取り付けるための着脱構造を示す斜視図である。上記着脱構造として、基体103の前面側を構成する左右一対の柱部112には、複数個の前面装着孔124が高さ方向に一列に列設されている。そして、載置台102b、102cを構成する載置台基部104b、104cの背面側両側部には、前面装着孔124に引っ掛けることができる形状の載置台フック125が設けられている。載置台フック125は、上下に隣接する二つの前面装着孔124にダブルで引っ掛けることができるダブル構造を有している。前面装着孔124に載置台フック125を引っ掛けると、載置台基部104b、104cの背面が柱部112に接触した状態となる。これにより、自重で前方側が下方に倒れようとする載置台基部104b、104cが柱部112に支えられ、載置台102bは対応する投射ミラー110b、110cと共に基体103に確実に取り付けられる。この場合、前面装着孔124の配列ピッチは、載置台102b、102cの高さ調節を可能とする最小ピッチを規定することになる。
【0033】
図3に示すように、柱部112に形成されている前面装着孔124は、化粧パネル119の装着にも貢献している。つまり、化粧パネル119の背面側両側部には、載置台基部104b(104c)の背面側両側部に設けられている載置台フック125と同一の形状を有している化粧パネルフック126が設けられている。そこで、化粧パネルフック126を前面装着孔124に引っ掛けることで、三枚の化粧パネル119を基体103の前面に着脱自在に取り付けることができる。
【0034】
ここで、基体103に対して載置台102(載置台102b、102c)を高さ調節自在に取り付けるための着脱構造の別の一例を図6ないし図8に基づいて説明する。
【0035】
図6は、その着脱構造を示す斜視図である。本例では、四本の柱部112に、それぞれ基体103の内部空間である第1の空間FSの側に延出するように高さ調節自在のストッパピン127を設けている。そして、二段目及び三段目の載置台基部104b、104cと投射ミラー110b、110cとを一体的に連結固定する左右一対の連結アーム118をそれらのストッパピン127で挟むように保持することで、それらの載置台基部104b、104c及び投射ミラー110b、110cを任意位置に位置固定できるようにしている。この構造を図7に示す。
【0036】
図7(a)は、ストッパピン127に位置規制される前の状態を示す載置台102(載置台102b、102c)の側面図、図7(b)はストッパピン127に位置規制されている状態を示す載置台102(載置台102b、102c)の側面図である。連結アーム118は、その前方側下端を前方側に位置する柱部112に取り付けられているストッパピン127に支持され、後方側上端を後方側に位置する柱部112に取り付けられているストッパピン127に支持されている。これにより、二段目及び三段目の載置台基部104b、104cと投射ミラー110b、110cとを一体的に連結固定する左右一対の連結アーム118の前方側と後方側とが前後一対のストッパピン127で挟むように保持され、載置台基部104b、104c及び投射ミラー110b、110cを位置固定することができる。
【0037】
この際、ストッパピン127は、高さ調節自在に柱部112に取り付けられている。したがって、前方側と後方側との柱部112に取り付けられている一対のストッパピン127の高さを可変して適宜設定することで(図7(a)参照)、載置台基部104b、104c及び投射ミラー110b、110cを所望の高さ位置に位置固定することが可能となる(図7(b)参照)。
【0038】
また、連結アーム118の前方側下端にはストッパピン127が嵌合する半円状の嵌合溝128が形成されている。このような嵌合溝128にストッパピン127が勘合することで、載置台基部104b、104c及び投射ミラー110b、110cの前後方向への位置ずれが抑制され、それらの載置台基部104b、104c及び投射ミラー110b、110cを確実に位置固定することが可能である。
【0039】
図8は、ストッパピン127の高さ調節構造を示す斜視図である。本例では、柱部112が二重構造をなしている。つまり、断面正方形のパイプ状部材である柱基体112aが設けられ、その周囲を外囲部材112bが覆っている。外囲部材112bは、柱基体112aの全周を完全に覆っておらず、柱基体112aを覆わない位置においてスリット112cを形成している。そして、スリット112cを形成している部分では柱基体112aと外囲部材112bとの間に隙間が形成されており、この隙間に一対のスペーサ112dが圧入された状態となっている。これらのスペーサ112dが互いに対面する位置にはスリット112cに連通する隙間が残されており、この隙間がスリット112cに沿って形成されている移動子移動空間112eとなっている。こうして、柱部112が形成されている。
【0040】
ストッパピン127は、柱部112に形成されているスリット112cと移動子移動空間112eとを利用して高さ調節自在に柱部112に取り付けられている。つまり、移動子移動空間112eには、直方体形状の移動子129がスライド移動自在に嵌合している。そして、移動子129には、そのスライド移動位置に拘らずスリット112cから露出する位置にねじ孔129aが形成されており、このねじ孔129aにストッパピン127に形成されているねじ127aが螺合している。したがって、ストッパピン127を時計方向に回転させることで移動子129のねじ孔129aに対してストッパピン127のねじ127aが締め込まれ、ストッパピン127と移動子129との間に外囲部材112bが挟持され、これによってストッパピン127がその位置で位置固定される。ストッパピン127の高さを調節する場合には、ストッパピン127を反時計方向に回転させてストッパピン127と移動子129との間での外囲部材112bの挟持を解除すればよい。これにより、ストッパピン127をスリット112cに沿わせて移動させることが可能となる。そこで、所望の位置で再びストッパピン127を時計方向に回動させれば、その位置でストッパピン127が位置固定される。
【0041】
以上説明したように、基体103に対して載置台102(載置台102b、102c)を高さ調節自在に取り付けるための着脱構造として、図6ないし図8に示す一例では、載置台102(載置台102b、102c)の位置を無段階に調節することが可能となる。
【0042】
図9は、反射ミラー109の角度を調節するための反射ミラー調節機構130を分解して示す斜視図である。反射ミラー109は、断面コの字形をした金属製の反射ミラー保持板131に、例えば接着等の手法によって面接触状態で固定されている。反射ミラー109を保持する反射ミラー保持板131は、基体103の両側部に両端が固定されている断面正方形のパイプ状部材である金属製の反射ミラー支持柱132に角度調節自在に取り付けられている。その角度調節構造を図10をも用いて説明する。
【0043】
図10は、反射ミラー調節機構130を分解して示す縦断側面図である。反射ミラー保持板131の裏面側には、弾性を有する角度調整板133が溶接されている。角度調整板133は、その溶接された部分以外の部分が、反射ミラー保持板131とは僅かに離間して配置されている。このような角度調整板133には、反射ミラー保持板131に対する溶接部分の近傍に位置付けられた一対の固定ねじ孔134と、これらの固定ねじ孔134よりも溶接部分から離反して位置付けられた一個の調節ねじ孔135とが形成されている。
【0044】
そして、反射ミラー支持柱132に二つ形成された大小二つの挿通孔136a、136bを挿通した二つの固定ねじ137が固定ねじ孔134に螺合して締め込まれることで、反射ミラー支持柱132に反射ミラー保持板131が固定されている。この場合、反射ミラー支持柱132は傾斜して基体103に取り付けられており、反射ミラー保持板131は基体103の上向きになった面に固定されていることから、反射ミラー保持板131に保持されている反射ミラー109も上向き状態で取り付けられている。
【0045】
また、角度調整板133に形成されている調節ねじ孔135には、調節ねじ138が螺合して締め込まれており、その先端の当接部139が反射ミラー保持板131の裏面に当接している。これにより、調節ねじ138を締めこんだり緩めたりすることによって、角度調整板133に対する反射ミラー保持板131の角度が微妙に変化し、反射ミラー保持板131に保持されている反射ミラー109の角度の調節が可能となる。
【0046】
図11は、反射ミラー109の角度調節作業を説明するための反射ミラー調節機構130の側面図である。調節ねじ138を時計方向に回転させると、調節ねじ138が締め込まれ、その当接部139が反射ミラー保持板131の裏面を押す。これにより、角度調整板133が自らの弾性によって撓み、反射ミラー保持板131に保持されている反射ミラー109がその上向き角度を増大させる方向に傾斜する。これに対して、調節ねじ138を反時計方向に回転させると、調節ねじ138が緩む。これにより、角度調整板133が自らの弾性によって復元方向に復帰し、反射ミラー保持板131に保持されている反射ミラー109がその上向き角度を減少させる方向に傾斜する。こうして、調節ねじ138を時計方向と反時計方向とに回転させることで、反射ミラー109の角度調節が可能となる。
【0047】
図12は、投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度を調節するための投射ミラー調節機構140を分解して示す斜視図である。投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)は、断面コの字形をした金属製の投射ミラー保持板141に、例えば接着等の手法によって面接触状態で固定されている。投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)を保持する投射ミラー保持板141は、断面正方形のパイプ状部材である金属製の投射ミラー支持柱142に角度調節自在に取り付けられている。ここで、図12に示している投射ミラー支持柱142は、高さ調節が可能である載置台102b、102cに対応する投射ミラー110b、110cのためのものであり、その両端が、載置台基部104b、104cと投射ミラー110b、110cとを一体的に連結する連結構造をなす一対の連結アーム118に固定されている。これに対して、高さ調節できない載置台102a及び天板部105に対応する投射ミラー110a、110dのための投射ミラー支持柱142は、その両端が基体103の両側部に固定されている。以下、投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度調節構造を図13をも用いて説明する。
【0048】
図13は、投射ミラー調節機構140を分解して示す縦断側面図である。投射ミラー保持板141の裏面側には、弾性を有する角度調整板143が溶接されている。角度調整板143は、その溶接された部分以外の部分が、投射ミラー保持板141とは僅かに離間して配置されている。このような角度調整板143には、投射ミラー保持板141に対する溶接部分の近傍に位置付けられた一対の固定ねじ孔144と、これらの固定ねじ孔144よりも溶接部分から離反して位置付けられた一個の調節ねじ孔145とが形成されている。
【0049】
そして、投射ミラー支持柱142に二つ形成された大小二つの挿通孔146a、146bを挿通した二つの固定ねじ147が固定ねじ孔144に螺合して締め込まれることで、投射ミラー支持柱142に投射ミラー保持板141が固定されている。この場合、投射ミラー支持柱142は傾斜して基体103に取り付けられており、投射ミラー保持板141は基体103の下向きになった面に固定されていることから、投射ミラー保持板141に保持されている投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)も下上向き状態で取り付けられている。
【0050】
また、角度調整板143に形成されている調節ねじ孔145には、調節ねじ148が螺合して締め込まれており、その先端の当接部149が投射ミラー保持板141の裏面に当接している。これにより、調節ねじ148を締めこんだり緩めたりすることによって、角度調整板143に対する投射ミラー保持板141の角度が微妙に変化し、投射ミラー保持板141に保持されている投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度の調節が可能となる。
【0051】
図14は、投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度調節作業を説明するための投射ミラー調節機構140の側面図である。調節ねじ148を時計方向に回転させると、調節ねじ148が締め込まれ、その当接部149が投射ミラー保持板141の裏面を押す。これにより、角度調整板143が自らの弾性によって撓み、投射ミラー保持板141に保持されている投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)がその下向き角度を減少させる方向に傾斜する。これに対して、調節ねじ148を反時計方向に回転させると、調節ねじ148が緩む。これにより、角度調整板143が自らの弾性によって復元方向に復帰し、投射ミラー保持板141に保持されている投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)がその下向き角度を増大させる方向に傾斜する。こうして、調節ねじ148を時計方向と反時計方向とに回転させることで、投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度調節が可能となる。
【0052】
図15は、プロジェクタ201に画像データを送信するコンピュータ301のハードウェア構成を示すブロック図である。基体103において、コンピュータ載置部107bに載置されているコンピュータ301は、その本体部302のみである(図2、図4参照)。コンピュータ301を機能させるためには、本体部302に対して、ディスプレイ303、キーボード304、及び、マウスやタッチパッド等のポインティングデバイス305を接続させる必要がある。本体部302に対してこれらのディスプレイ303、キーボード304及びポインティングデバイス305を接続するには、フロントパネル121を開き、本体部302を取り出して外部に露出させる。別の一例として、コンピュータ載置部107bに載置して基体103に収納するコンピュータ301がノートパソコンであれば、予め、本体部302にディスプレイ303、キーボード304及びポインティングデバイス305が接続されている状態となっている。
【0053】
このようなコンピュータ301は、制御部としてのマイクロコンピュータ306を有している。マイクロコンピュータ306は、各種演算処理を実行するCPU307を主体に構成され、このCPU307にBIOS等の固定データを固定的に記憶するROM308と各種可変データを書き替え自在に記憶してワークエリアとして使用されるRAM309とがバスライン310を介して接続されて構成されている。このようなマイクロコンピュータ306には、HDD311とCD−ROMドライブ312とが接続され、一例として、OS(オペレーティングシステム、図16参照)や各種のアプリケーションプログラムを記憶するCD−ROM313からCD−ROMドライブ312が情報を読み取り、これをHDD311にイントールすることができるように構成されている。
【0054】
また、前述のディスプレイ303、キーボード304及びポインティングデバイス305もマイクロコンピュータ306に接続されている。ディスプレイ303は、マイクロコンピュータ306に対する出力機器となり、キーボード304及びポインティングデバイス305は、マイクロコンピュータ306への入力機器となる。
【0055】
更に、マイクロコンピュータ306にはデータ送信部としての通信インターフェース314も接続されている。この通信インターフェース314は、通信線401を介してプロジェクタ201に対してデータ通信を実行するためのものであり、一例として、USBが用いられる。通信インターフェース314は、プロジェクタ201との間の通信を可能とするプロトコルをサポートしている必要がある。
【0056】
図16は、プロジェクタ201が投射するプロジェクタ投影画像の基礎となるプロジェクタ画像の画像データを編集生成してプロジェクタ201に投影させるためのコンピュータ301上での仕組みを例示する模式図である。コンピュータ301は、そのような画像データの編集及び生成を可能とする。そのための仕組みとして、コンピュータ301は、HDD311にインストールされているアプリケーションプログラムとして、画像形成投影ソフトウェア351をインストールしている。また、この画像形成投影ソフトウェア351と共に利用される画像ライブラリー352もHDD311にインストールされており、更には、プロジェクタ画像中での後述する表示領域IMGA(図17、図20等参照)の表示位置を特定する表示位置定義を設定する表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354もHDD311にインストールされている。
【0057】
本実施の形態の画像形成投影ソフトウェア351は、コンピュータ301上で画像データを編集生成することが可能であり、生成した画像データ上に文字を重畳させることも可能にプログラミングされている。また、画像形成投影ソフトウェア351は、画像データの編集生成に際して、画像ライブラリー352に含まれている各種のモデル画像を利用し、これを編集生成した画像上に貼り付けることができるようにもプログラミングされている。画像ライブラリー352は、各種の食品等の写真データや絵柄データをモデル画像として記憶している。その他、画像ライブラリー352は、反射ミラー109の角度調節用のプロジェクタ画像も記憶している。
【0058】
図17は、プロジェクタ201が投射するプロジェクタ投影画像の基礎となるコンピュータ301上で編集生成されたプロジェクタ画像の一例を示す模式図である。図2に基づいて前述したように、プロジェクタ201がそのレンズ202から投射する一画面構成のプロジェクタ投影画像は、四つの投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)によって分割されて個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に導かれるように画像構成されている。そこで、画像形成投影ソフトウェア351によって編集生成することができるプロジェクタ投影画像の基礎となる一画面のプロジェクタ画像は、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に位置合わせされて帯状に形成された表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)に、所望の画像が編集されて生成されている。プロジェクタ画像は、それらの表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)以外の領域がブラックアウトされている。
【0059】
ここで、本実施の形態においては、コンピュータ301によって編集生成可能なプロジェクタ画像中、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)は、個々独立に表示位置及び表示サイズが設定されている。個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを決定するためのデータが、図16に示すHDD311にインストールされている表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354である。
【0060】
画像形成投影ソフトウェア351は、その起動時、そのプログラムコードの全部又は一部が表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354と共にRAM309にコピーされ、画像形成投影ソフトウェア351に基づく処理速度の高速化が図られる。また、このような画像形成投影ソフトウェア351のRAM309へのコピーに付随して、画像ライブラリー352の全部又は一部もRAM309にコピーされ、処理速度の高速化が図られる。そして、マイクロコンピュータ306は、画像形成投影ソフトウェア351によって編集生成した画像データを、通信インターフェース314から通信線401を介してプロジェクタ201に送信することができる。
【0061】
図18は、コンピュータ301が画像形成投影ソフトウェア351に記述されているプログラムに従い実行する編集モードと投影モードと補正モードとの切り換え処理を説明するためのフローチャートである。画像形成投影ソフトウェア351は、その起動時、投影モードと編集モードと補正モードとに切り換え自在である。モード切り換えは、例えばキーボード304及びポインティングデバイス305によって操作指示する。
【0062】
編集モードが選択指定された場合には(ステップS101のY)、編集処理が可能となる(ステップS102)。CPU307は、ステップS102の編集処理に際して、図17に示すプロジェクタ画像をディスプレイ303に表示し、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に対応する個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)に所望の画像を重畳させる処理を許容する。
【0063】
投影モードが選択指定された場合には(ステップS103のY)、投影が可能となる(ステップS104)。CPU307は、ステップS104の投影処理に際して、ステップS102の編集処理によって編集生成した画像データを通信インターフェース314によってプロジェクタ201に送信するデータ送信処理を実行する。これにより、プロジェクタ201は、図17に例示するようなプロジェクタ投影画像の画像データを受信し、これに基づくプロジェクタ投影画像を投射する。その結果、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)の裏面に、プロジェクタ画像の画像データ中の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)に編集生成された画像が光学系108に導かれて投射され、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)の表面側にその画像が表示される。
【0064】
補正モードが選択指定された場合には(ステップS105のY)、補正処理が可能となる(ステップS106)。この補正処理では、反射ミラー109の角度調節処理と、プロジェクタ画像の画像データ中の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを調節する処理と、の実行が可能である。以下、これらの二つの補正処理を含む陳列棚101の各部の補正作業について説明する。
【0065】
本実施の形態の陳列棚101では、反射ミラー109の角度ずれが個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に対するプロジェクタ投影画像の大きな位置ずれを引き起こしてしまうので、反射ミラー109の角度が正しく設定されていなければならない。また、投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)についても同様である。ところが、陳列棚101は相当程度に大型の機器であるために、
個体差が生じ易く、また、設置場所の平滑性に依存する基体103の歪みや経年変化による基体103の歪み等も生じ易い。このため、本実施の形態の陳列棚101では、反射ミラー調節機構130によって反射ミラー109の角度調節を行なうことができ、投射ミラー調節機構140によって投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度調節を行なうことができる。そこで、例えば店舗等への陳列棚101の設置に際しては、反射ミラー109及び投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度調節を行なうことが望ましい。このような角度調節処理のうち、反射ミラー109の角度調節について、本実施の形態の陳列棚システム11は、図18に示すステップS106でのソフトウェア上の処理として、反射ミラー109の角度調節処理をサポートしている。
【0066】
図19は、反射ミラー109の角度調節方法を説明するための模式図である。図18に示すステップS106で、反射ミラー109の角度調節処理の実行が指定されると、画像形成投影ソフトウェア351は、反射ミラー109の角度調節用のプロジェクタ画像を画像ライブラリー352から呼び出し、通信線401を介してプロジェクタ201に送信する。これにより、プロジェクタ201は、反射ミラー109の角度調節用のプロジェクタ画像の画像データに基づくプロジェクタ投影画像をレンズ202より投影する。こうしてプロジェクタ201より投影されるプロジェクタ投影画像には、目印画像251が含まれている。この目印画像251は、一画面のプロジェクタ投影画像中、基体103の天板116の裏面側となる天井面150に至る領域に含まれている(図2参照)。そして、天井面150には、反射ミラー109の角度が正しく設定された状態であるならば、プロジェクタ201が投影する反射ミラー109の角度調節用のプロジェクタ投影画像に含まれている目印画像251が重なり合うはずの位置に、位置合わせ用の目標物151が記されている(図2参照)。目標物151は、例えば印刷等による印、凹凸形状、その他によって形成されている。したがって、プロジェクタ201が投影するプロジェクタ投影画像中の目印画像251が天井面150に形成されている目標物151に重なり合っていれば、反射ミラー109が正しい角度に設定されていることが分かる。
【0067】
これに対して、図19(a)に示すように、天井面150に形成された位置合わせ用の目標物151に対してプロジェクタ投影画像中の目印画像251が陳列棚101の前面方向に位置ずれしている場合には、反射ミラー109の角度が小さすぎて、反射ミラー109が立ちすぎていることになる。そこで、この場合には、反射ミラー調節機構130が有する調節ねじ138を時計方向に回す。これにより、反射ミラー109がその上向き角度を増大させる方向に傾斜する(図11参照)。したがって、天井面150に形成された位置合わせ用の目標物151に対してプロジェクタ投影画像中の目印画像251が重なるまで調節ねじ138を時計方向に回すことで、反射ミラー109を正しい角度に調節することができる。
【0068】
これに対して、図19(b)に示すように、天井面150に形成された位置合わせ用の目標物151に対してプロジェクタ投影画像中の目印画像251が陳列棚101の背面方向に位置ずれしている場合には、反射ミラー109の角度が大きすぎて、反射ミラー109が寝すぎていることになる。そこで、この場合には、反射ミラー調節機構130が有する調節ねじ138を反時計方向に回す。これにより、反射ミラー109がその上向き角度を減少させる方向に傾斜する(図11参照)。したがって、天井面150に形成された位置合わせ用の目標物151に対してプロジェクタ投影画像中の目印画像251が重なるまで調節ねじ138を反時計方向に回すことで、反射ミラー109を正しい角度に調節することができる。
【0069】
別の実施の形体としては、天井面150に、反射ミラー109の角度が正しく設定された状態であるならば、プロジェクタ201が投影する目印画像251と重なり合いはしないが、所定の位置関係をとるはずの位置に、位置合わせ用の目標物151を形成しておいてもよい。
【0070】
こうして、図18に示すステップS106での反射ミラー109の角度調節処理のサポートを受けることで、反射ミラー109の角度調節作業を容易に完遂することができる。
【0071】
次いで、反射ミラー109を正しい角度に設定したならば、個々の投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度も調節する。投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度の可変は、投射ミラー調節機構140により、図14に基づいて既に説明した通りである。そこで、ここでは、図18のフローチャート中、投影モードを選択指定し(ステップS103のY)、プロジェクタ201に図17に例示するようなプロジェクタ投影画像の画像データを送信する。これにより、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)の裏面に、プロジェクタ画像の画像データ中の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)に編集生成された画像が光学系108に導かれて投射され、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)の表面側にその画像が表示される。そこで、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に表示された画像を観察する。これにより、その表示位置ずれを知ることができるので、そのずれがなくなるように、個々の投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度を投射ミラー調節機構140によって可変し、その角度調節を行なう。
【0072】
こうして、個々の投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度調節作業を容易に完遂することができる。
【0073】
以上説明したように、反射ミラー調節機構130による反射ミラー109の角度調節と、投射ミラー調節機構140による投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度調節とを行なうことで、個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)にプロジェクタ201が投影するプロジェクタ投影画像を正しく表示することができる。これに対して、反射ミラー109及び投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度調節作業は、いずれも、基体103からバックパネル120を取り外し、基体103の背面から行なう作業である。したがって、この際には、陳列棚101が所定の設置位置に設置されていない。陳列棚101は、反射ミラー109及び投射ミラー110(110a、110b、110c、110d)の角度調節作業を行ない、基体103の背面にバックパネル120を取り付けた後、所定の設置位置に設置されることになる。このため、陳列棚101を所定の設置位置に設置すると、設置面の平滑性の相違等によって基体103が歪み、プロジェクタ投影画像の位置ずれが発生する可能性がある。あるいは、基体103の歪みは経年変化によっても生ずることがあるので、時間の経過と共にプロジェクタ投影画像の位置ずれが発生する可能性もある。そこで、本実施の形態の陳列棚システム11では、図18のフローチャート中、補正モードが選択指定されて実行される補正処理として(ステップS105のY、ステップS106)、プロジェクタ画像の画像データ中の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを調節する処理をユーザに提供している。この処理は、図16に示す表示基準ファイル353と共にプロジェクタ画像の画像データ中の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを規定する表示補正ファイル354の数値を書き換えることによってなされる。以下、このような補正処理を、図20ないし図25に基づいて詳述する。
【0074】
まず、プロジェクタ画像の画像データ中の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを調節する処理を実行するには、陳列棚101のフロントパネル121を開き、本体部302を取り出して外部に露出させる。そして、本体部302に、ディスプレイ303、キーボード304及びポインティングデバイス305を接続する。
【0075】
図20は、補正モード(図18中のステップS106参照)時にコンピュータ301のディスプレイ303に表示される補正画面の一例を示す模式図である。補正画面では、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)が例えばホワイト表示され、その他の領域がブラックアウトされる。ホワイト表示及びブラックアウトは、一例であり、表示領域IMGAとその他の領域とが視覚的に区別可能であれば、別の色や別の態様での表示であっても良い。ディスプレイ303に表示した個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)は、独立してその表示位置及び表示サイズを変更することができる。本実施の形態では、図23に示すフローチャートに基づいて、キーボード304の操作による表示領域IMGAの表示位置及び表示サイズの変更処理について説明する。その前に、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを決定する表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354について図21及び図22を参照して詳細に述べる。
【0076】
図21は、表示基準ファイル353の一例を示す模式図である。表示基準ファイル353中、「ID」、「X」、「Y」、「Width」、「Height」、「HorizontalFlip」及び「VerticalFlip」の定義は、表1に示す通りである。
【0077】
【表1】

【0078】
表1に示すように、「ID」、「X」、「Y」、「Width」及び「Height」の定義はint(整数)型、「HorizontalFlip」及び「VerticalFlip」の定義はbool(真偽)型である。
【0079】
図21に示す表示基準ファイル353中、<ID>と<ID>とで囲まれた数値が棚段を意味する。したがって、この棚段は、表示領域IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4のうちのいずれかを特定する。そして、その下に続く<X>と<X>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAのX座標を、<Y>と<Y>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAのY座標を、<Width>と<Width>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAの幅を、<Height>と<Height>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAの高さを、それぞれ定義する。よって、<X>と<X>とで囲まれた数値及び<Y>と<Y>とで囲まれた数値は、プロジェクタ画像中での個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置を特定する表示位置定義となる。また、<Width>と<Width>とで囲まれた数値及び<Height>と<Height>とで囲まれた数値は、プロジェクタ画像中での個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示サイズを特定する表示サイズ定義となる。そして、<HorizontalFlip>と<HorizontalFlip>との間のtrueは水平方向の反転表示を定義し、falseは水平方向の非反転表示を定義する。同様に、<VerticalFlip>と<VerticalFlip>との間のtrueは垂直方向の反転表示を定義し、falseは垂直方向の非反転表示を定義する。
【0080】
図22は、表示補正ファイル354の一例を示す模式図である。表示補正ファイル354中、「ShelfBoardID」、「DiffX」、「DiffY」、「DiffHeight」及び「DiffWidth」の定義は、表2に示す通りである。
【0081】
【表2】

【0082】
表2に示すように、「ShelfBoardID」、「DiffX」、「DiffY」、「DiffHeight」及び「DiffWidth」の定義は、全てint(整数)型である。
【0083】
図22に示す表示補正ファイル354中、<ShelfBoardID>と<ShelfBoardID>とで囲まれた数値が調整対象となる棚段を意味する。したがって、この調整対象となる棚段は、表示領域IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4のうちのいずれかを特定する。そして、その下に続く<DiffX>と<DiffX>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAのX座標のオフセット値を、<DiffY>と<DiffY>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAのY座標のオフセット値を、<DiffHeight>と<DiffHeight>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAの高さのオフセット値を、<DiffWidth>と<DiffWidth>とで囲まれた数値はその表示領域IMGAの幅のオフセット値を、それぞれ定義する。よって、<DiffX>と<DiffX>とで囲まれた数値及び<DiffY>と<DiffY>とで囲まれた数値は、プロジェクタ画像中での個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置を特定する表示位置定義となる。また、<DiffHeight>と<DiffHeight>とで囲まれた数値及び<DiffWidth>と<DiffWidth>とで囲まれた数値は、プロジェクタ画像中での個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示サイズを特定する表示サイズ定義となる。
【0084】
図23は、コンピュータ301が画像形成投影ソフトウェア351に記述されているプログラムに従い補正モードで実行する補正処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図23に示す処理は、図18のフローチャート中のステップS106の補正処理の処理内容をより詳細に示している。
【0085】
補正モードが開始すると、CPU307は、まず、表示基準ファイル353のデータ読み込み処理を実行し(ステップS201)、続いて、表示補正ファイル354のデータ読み込み処理を実行する(ステップS202)。これらの読み込み処理では、表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354をRAM309のワークエリアに一時記憶させる処理が実行される。
【0086】
すると、CPU307は、図23のフローチャートに示すルーチンとは別ルーチンで、図20に例示した補正画面をディスプレイ303に表示する。この際に表示される補正画面には、RAM309のワークエリアに一時記憶させた表示基準ファイル353及び表示補正ファイル354のデータに従った表示位置及び表示サイズで、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)をホワイト表示する。そして、CPU307は、図23のフローチャートに示すルーチンとは別ルーチンで、その補正画面の画像データをプロジェクタ201に送信するデータ送信処理を実行する。これにより、プロジェクタ201は補正画面の画像データに基づくプロジェクタ投影画像をレンズ202から投射する。その結果、陳列棚101の個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に補正画面中にホワイト表示される表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)が映し出される。これにより、補正処理を実行するコンピュータ301の操作者は、ディスプレイ303に表示される補正画面上での補正結果を個々のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)に映し出される表示結果として目で見て確認することができる。
【0087】
図23に示すフローチャート中、ステップS202に続く処理として、shelf=−1とする処理が実行される(ステップS203)。ここでいうshelf=で特定される数値は、図22に示す表示補正ファイル354中の<ShelfBoardID>と<ShelfBoardID>とで囲まれた数値、つまり、調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)を意味する。この数値が−1である場合、画像形成投影ソフトウェア351は、どの棚段(調整対象表示パネル)も選択されていない状態であると定義付けている。
【0088】
CPU307は、ステップS203の後、キーボード304によるキー入力待ちとなる(ステップS204)。そこで、CPU307は、キーボード304からいずれかのキーが押下入力されると、押下されたキーのキーコードを取得し(ステップS205)、そのキーコードによって特定されるキーが数字キーだったのかその他のキーだったのかを判定する(ステップS206)。
【0089】
CPU307は、ステップS206の判定の結果、押下されたキーが数字キーであったと判定した場合、そのキーコードによって特定される数値をRAM309のワークエリアにtempとして格納する(ステップS207)。そして、その格納した数値が有効か無効かを判定する(ステップS208)。つまり、CPU307は、陳列棚101が四段のスクリーン106(106a、106b、106c、106d)を有している構成上、それぞれのスクリーン106(106a、106b、106c、106d)を特定する1、2、3、4のいずれかの数値が格納されていると判定した場合のみ有効と判定し、その他の場合には無効と判定する。無効判定の場合にはステップS204のキー入力待ちにリターンする。これに対して、CPU307は、有効判定をすると、shelf=tempと設定する(ステップS209)。つまり、ステップS205で取得したキーコードによって特定されてRAM309にtempとして格納した数値を調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)として設定する。そして、CPU307は、ディスプレイ303を駆動制御し、補正画面中にホワイト表示している個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)中、その棚段に対応する表示領域IMGAの表示を強調表示する。強調表示は、一例として、ホワイト表示の表示色を別の色に変更したり、あるいは点滅表示したりすることによってなされる。
【0090】
図24は、補正モード時にコンピュータ301のディスプレイ303に表示される補正画面の画面遷移の一例を示す模式図である。図24では、表示領域IMGA3が強調表示されている様子を示している。
【0091】
図23のフローチャートの説明に戻る。CPU307は、ステップS206の判定の結果、押下されたキーが数字キーではなかったと判定した場合、shelf=で特定される数値が−1かどうかを確認し(ステップS211)、shelf=−1である場合にはステップS204のキー入力待ちにリターンする。shelf=−1である場合には、調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)が選択されていない状態なので、その選択を待つためである。
【0092】
CPU307は、ステップS211でshelf=−1でないことを確認したならば、ステップS205で取得したキーコードによって特定されるキーの種別を判定する(ステップS212)。
【0093】
CPU307は、ステップS212での判定により、矢印キーが押下されたと認識した場合、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)に対応する表示領域IMGAを、矢印キーの方向に1ドット移動する(ステップS213)。この際、CPU307は、移動に伴う表示位置のオフセットデータをRAM309のワークエリアに一時記憶する。つまり、この場合のオフセット値は、図22に示す表示補正ファイル354中、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)について、つまり、その数値が<ShelfBoardID>と<ShelfBoardID>との間に設定されている棚段について、<DiffX>と<DiffX>とで囲まれたX座標の数値及び<DiffY>と<DiffY>とで囲まれたY座標の数値として設定される。そして、ステップS204のキー入力待ちにリターンする。
【0094】
CPU307は、ステップS212での判定により、shift+矢印キーが押下されたと認識した場合、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)に対応する表示領域IMGAを、矢印キーの方向に拡大又は縮小する(ステップS214)。この際、CPU307は、拡大又は縮小である表示サイズのオフセットデータをRAM309のワークエリアに一時記憶する。つまり、この場合のオフセット値は、図22に示す表示補正ファイル354中、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)について、つまり、その数値が<ShelfBoardID>と<ShelfBoardID>との間に設定されている棚段について、<DiffHeight>と<DiffHeight>とで囲まれた高さの数値及び<DiffWidth>と<DiffWidth>とで囲まれた幅の数値として設定される。そして、ステップS204のキー入力待ちにリターンする。
【0095】
CPU307は、ステップS212での判定により、ctrl+Sキーが押下されたと認識した場合、ステップS213及びステップS214でRAM309のワークエリアに一時記憶されたオフセットデータを表示補正ファイル354に設定する(ステップS215)。そして、ステップS204のキー入力待ちにリターンする。
【0096】
CPU307は、ステップS212での判定により、Enterキーが押下されたと認識した場合、ステップS209でshelf=tempと設定することによって決められた調整対象となる棚段(調整対象表示パネル)に対応する表示領域IMGAに対してステップS210でなされた強調表示を解除する(ステップS216)。そして、shelf=−1として、どの棚段(調整対象表示パネル)も選択されていない状態に戻す(ステップS217)。そして、ステップS204のキー入力待ちにリターンする。
【0097】
CPU307は、ステップS212での判定により、ctrl+Qキーが押下されたと認識した場合、補正モードを終了する。
【0098】
以上説明したように、ステップS213の処理とステップS215の処理とによって、プロジェクタ画像中における表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置を個々独立に変更するデータ補正処理が実行される。また、ステップS214の処理とステップS215の処理とによって、プロジェクタ画像中における表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示サイズを個々独立に変更するデータ補正処理が実行される。
【0099】
なお、ステップS213〜ステップS216の処理の実行を指定するステップS212で判定されるキーの種別は、一つの例を例示しているに過ぎない。ステップS213〜ステップS216の処理の実行の指定は別の種類のキーによってなされてもよく、ポインティングデバイス305での操作指定によってなされてもよい。
【0100】
図25は、ディスプレイ303上での表示座標の一例を示す模式図である。ここで、表示補正ファイル354にオフセット値を設定することが、何故にプロジェクタ画像中における表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを個々独立に変更することになるのかについて説明する。
【0101】
図25に例示するように、ディスプレイ303の表示コントローラ(図示せず)は、X=0〜1024、Y=0〜768の座標系でディスプレイ303を表示制御するものとする。そして、CPU307は、ディスプレイ303に対する表示内容の基準座標及び基準サイズ(幅、高さ)を、表3に示すように仮定する。
【0102】
【表3】

【0103】
この仮定中の「BaseX」、「BaseY」、「BaseWidth」及び「BaseHeight」には、図21に示す表示基準ファイル353中で「X」、「Y」、「Width」及び「Height」として定義されている数値が当て嵌められる。
【0104】
また、CPU307は、表示位置のオフセット量及び表示サイズのオフセット量を表4に示すように仮定する。
【0105】
【表4】

【0106】
この仮定中の「DiffX」、「DiffY」、「DiffWidth」及び「DiffHeight」には、図22に示す表示補正ファイル354中で「DiffX」、「DiffY」、「DiffHeight」及び「DiffWidth」として定義されている数値が当て嵌められる。
【0107】
また、CPU307は、補正反映後の表示位置及び表示サイズを表5に示すように仮定する。
【0108】
【表5】

【0109】
そして、CPU307は、上記仮定の下、補正反映後の個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示座標を表6に示すように設定し、表示コントローラ(図示せず)を制御する。
【0110】
【表6】

【0111】
その結果、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)は、図22に示す表示補正ファイル354中で「DiffX」、「DiffY」、「DiffHeight」及び「DiffWidth」として定義されたオフセット値が反映された表示位置及び表示サイズで表示されることになる。
【0112】
以上説明したように、本実施の形態のコンピュータ301によれば、個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及び表示サイズを調整することが可能である。これは、一例として、陳列棚101の個体差やその経年変化によって、個々のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)に対する個々の表示領域IMGA(IMGA1、IMGA2、IMGA3、IMGA4)の表示位置及びサイズがずれるような場合、そのずれを解消する極めて有効な解決策となる。その結果、複数段の透過型のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)という構造物に対して、プロジェクタ201から投影する一画面のプロジェクタ投影画像を正しく位置合わせすることができ、個々のスクリーン106(スクリーン106a、106b、106c、106d)に位置ずれなくプロジェクタ投影画像を表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の一形態を示す陳列棚の斜視図である。
【図2】陳列棚システムを構成する陳列棚とプロジェクタとコンピュータ(プロジェクタ画像送信装置)とを陳列棚の内部構造と共に示す全体の縦断側面図である。
【図3】陳列棚の分解斜視図である。
【図4】陳列棚の基体の背面図である。
【図5】基体に対して載置台を高さ調節自在に取り付けるための着脱構造を示す斜視図である。
【図6】基体に対して載置台を高さ調節自在に取り付けるための着脱構造の別の一例を示す斜視図である。
【図7】図6に示す別の一例として、(a)はストッパピンに位置規制される前の状態を示す載置台の側面図、(b)はストッパピンに位置規制されている状態を示す載置台の側面図である。
【図8】図6に示す別の一例として、ストッパピンの高さ調節構造を示す斜視図である。
【図9】反射ミラーの角度を調節するための反射ミラー調節機構を分解して示す斜視図である。
【図10】反射ミラー調節機構を分解して示す縦断側面図である。
【図11】反射ミラーの角度調節作業を説明するための反射ミラー調節機構の側面図である。
【図12】投射ミラーの角度を調節するための投射ミラー調節機構を分解して示す斜視図である。
【図13】投射ミラー調節機構を分解して示す縦断側面図である。
【図14】投射ミラーの角度調節作業を説明するための投射ミラー調節機構の側面図である。
【図15】プロジェクタに画像データを送信するコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図16】プロジェクタの投影画像の基礎となる画像データを編集生成してプロジェクタに投影させるためのコンピュータ上での仕組みを例示する模式図である。
【図17】プロジェクタが投射するプロジェクタ投影画像の基礎となるコンピュータ上で編集生成されたプロジェクタ画像の一例を示す模式図である。
【図18】コンピュータが画像形成投影ソフトウェアに記述されているプログラムに従い実行する編集モードと投影モードと補正モードとの切り換え処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】反射ミラーの角度調節方法を説明するための模式図であり、(a)は基体の天井面に形成された位置合わせ用の目標物に対してプロジェクタ投影画像中の目印画像が陳列棚の前面方向に位置ずれしている場合の調節方法(調節ねじを時計方向に回す)を示す模式図、(b)は基体の天井面に形成された位置合わせ用の目標物に対してプロジェクタ投影画像中の目印画像が陳列棚の背面方向に位置ずれしている場合の調節方法(調節ねじを反時計方向に回す)を示す模式図である。
【図20】補正モード時にコンピュータのディスプレイに表示される補正画面の一例を示す模式図である。
【図21】表示基準ファイルの一例を示す模式図である。
【図22】表示補正ファイルの一例を示す模式図である。
【図23】コンピュータが画像形成投影ソフトウェアに記述されているプログラムに従い補正モードで実行する補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図24】補正モード時にコンピュータのディスプレイに表示される補正画面の画面遷移の一例を示す模式図である。
【図25】ディスプレイ上での表示座標の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0114】
102(102a、102b、102c)…載置台,103…基体,106(106a、106b、106c、106d)…スクリーン,107a…プロジェクタ設置部,109…反射ミラー,110…投射ミラー(110a、110b、110c、110d),130…反射ミラー調節機構,151…目標物,150…天井面,201…プロジェクタ,251…目印画像,A…商品(品物)FS…第1の空間,SS…第2の空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の空間を内部に形成して天井面を有する基体と、前記基体の前面に配置されて前記第1の空間に連通する水平方向に延出する第2の空間を内部に形成し、上面に品物を載置可能である複数段の載置台と、個々の前記載置台の前方領域に位置付けられ、前記第2の空間側である裏面側から投影されるプロジェクタ投影画像を表面側に透過投影可能な複数個の透過型のスクリーンと、プロジェクタ投影画像を投影するプロジェクタを水平向きに配置するために前記第1又は第2の空間の下方位置に設けられているプロジェクタ設置部と、前記プロジェクタから投影される一画面のプロジェクタ投影画像を前記第1の空間と前記第2の空間との連絡部分を横切るように上方に向けて反射する反射ミラーと、前記反射ミラーを反射して前記第1の空間内で上方に向けて案内される一画面のプロジェクタ投影画像の重複しない複数の一部領域を個々に前記第2の空間に向けて反射して前記スクリーンの裏面側に投影させる複数個の投射ミラーと、前記反射ミラーの角度を調節する反射ミラー調節機構と、を備える陳列棚における前記反射ミラーの角度調節方法であって、
一画面のプロジェクタ投影画像中の前記天井面に至る領域に含ませた位置合わせ用の目印画像を有するプロジェクタ投影画像を前記プロジェクタに投影させる工程と、
前記反射ミラーの角度が正しく設定された状態で前記目印画像が所定の位置関係を保つように前記天井面に形成された位置合わせ用の目標物に対して、前記目印画像が前記所定の位置関係に位置付けられるように前記反射ミラー調節機構によって前記反射ミラーの角度を調節する工程と、
を備える、陳列棚における反射ミラーの角度調節方法。
【請求項2】
前記所定の位置関係は、前記反射ミラーの角度が正しく設定された状態で前記目標物と前記目印画像とが重なり合う位置関係である、請求項1記載の陳列棚における反射ミラーの角度調節方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−195333(P2009−195333A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37958(P2008−37958)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000152228)株式会社内田洋行 (105)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】