説明

陳列棚システム

【課題】機械的な接点を持たずに電子棚札に電力を供給する陳列棚システムを提供する。
【解決手段】陳列棚には、商品を載置可能な棚板と、電子棚札を設置可能な棚札設置手段と、380nm〜1000nmの波長帯域内の光を発光する光源とを備え、前記電子棚札には、電子棚札表面に表示部と、商品情報を外部端末から受信する受信部と、商品情報を記憶する記憶部と、表示するための駆動回路と、電子棚札裏面に前記光源からの光の少なくとも一部を受信する太陽電池とを備え、前記太陽電池からの電力で動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの商品の陳列に使用され、商品の情報や価格等を電子的に表示する陳列棚システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの商品陳列棚に電子棚札システムを採用する提案がなされている。かかる電子棚札システムでは、本店のホストコンピュータと営業店の小売端末を無線、または有線で接続し、ホストコンピュータから送信された商品情報を営業店の端末からそれぞれ店内の棚に送信し、電子的に価格情報などを表示して運用している。
特許文献1には、表示手段として、液晶ディスプレイを使用した例が記載されている。電子棚札は原則として商品種類の数だけ用意しなければならないため、その数量ゆえ電池交換が事実上不可能である。このため、電池寿命を可能な限り長持ちさせる必要があり、部分的にカラーで表示可能であるが、省電力タイプのモノクロ反射型LCDを使用している。
【0003】
商品情報として、バーコード表示を液晶ディスプレイで実現するには、ドットマトリックスで構成されたドット画素で表示させる。このため表示に要する画素数が相当多くなり、すなわち、行電極および列電極の本数が相対的に多くなるので、表示データの書換時に消費電力が増加する問題点の解決する方法が知られている。例えば特許文献2には、メモリー性のある液晶と太陽電池を使用した例が開示されている。
【0004】
さらに最近の電子棚札は、電子POP(point of purchase advertising:購買時点広告)などに利用され、照明などともにより多く電力を必要とするディスプレイ、電子機器を使用するようになり、陳列棚に給電する方法が例えば特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−51267号公報
【特許文献2】特開2003−222893号公報
【特許文献3】特開2008−305737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載の陳列棚によれば、照明付き表示部アタッチメント(もしくは照明付き拡大レンズアタッチメント)を棚板の長手方向(所定の陳列方向)に対する任意の位置で給電レールの設置溝に取り付けることができ、さらにその照明付き表示部アタッチメントのLEDに対して供給電極部を介して電力を供給することができる。そして給電レールが棚板の前方側端部に設置されて、その上方部分と下方部分の両方において設置溝及び供給電極部を備えていることにより、すなわち設置する棚板の上方側と下方側の両方(所定の陳列方向と直交する両方向)に対して高い配置自由度で給電を行うことができる。
【0007】
しかしながら、陳列物に対してエアーカーテンを発生させて低温保存する場合、給電レールが棚板の前方側端部に設置されているので、大気中の水蒸気が結露して電気的な接点部に水によるダメージを与える場合がある。
【0008】
さらに、給電電極部は溝内に配置されているので、清掃などのメンテナンス性が悪く、大気中の塵、商品陳列時に誤って入ってしまった異物が長時間堆積することによるカビの発生など衛生面での課題もある。
【0009】
また、重量のある陳列物により、棚板が撓む場合があり、照明付き表示部アタッチメントと供給電極部とが接触不良になる場合がある。
【0010】
上記課題は、照明付き表示部アタッチメントを、取り外し可能な液晶ディスプレイを使用した電子棚札や電子POPなどに利用されるディスプレイ、電子機器におきかえても同様の課題となる。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、主たる目的は機械的な接点を利用した電力供給手段による問題を解決することである。つまり、機械的な接点を持たずに電子棚札に電力を供給する陳列棚システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を達成するために、以下の18の発明について記載する。
【0013】
第1の発明は、陳列棚と電子棚札からなる陳列棚システムにおいて、陳列棚は、商品を載置可能な載置部と、電子棚札を設置可能な棚札設置手段と、380nm〜1000nmの波長帯域内の光を発光する光源とを備え、また電子棚札は、電子棚札表面に表示部と、商品情報を外部端末から受信する受信部と、商品情報を記憶する記憶部と、表示するための駆動回路と、電子棚札裏面に光源からの光の少なくとも一部を受光する太陽電池とを備えること。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、表示部は、光源からの光を利用して反射で表示すること。
【0015】
第3の発明は、上記第2の発明において、表示部は、メモリー性のある反射型の表示部であること。
【0016】
第4の発明は、上記第1の発明において、表示部は、透過型の表示部であること。
【0017】
第5の発明は、上記第1の発明において、光源が、780nm〜1000nmの波長帯域内の光を発光すること。
【0018】
第6の発明は、上記第1の発明において、少なくとも可視光光源と赤外線光源の2種類であって、可視光光源は380nm〜780nmの波長帯域の光を発光し、赤外線光源は、780nm〜1000nmの光を発光すること。
【0019】
第7の発明は、上記第6の発明において、可視光光源は電子棚札の表示部に当たるように設置し、赤外線光源は電子棚札の太陽電池に当たるように電子棚札を設置すること。
【0020】
第8の発明は、上記第6または7の発明において、光源がバックライトと発光ダイオードの2種類の光源であること。
【0021】
第9の発明は、上記第1の発明において、光源が発光ダイオードであること。
【0022】
第10の発明は、上記第1の発明において、光源が有機エレクトロルミネッセンス素子であること。
【0023】
第11の発明は、上記第1の発明において、光源がサイドライト型バックライトであること。
【0024】
第12の発明は、上記第1の発明において、陳列棚の前記光源の少なくとも一部に380nm〜780nmの波長帯域内の光を90%以上透過する透過部を含む光源プレートを備えること。
【0025】
第13の発明は、上記第1の発明において、陳列棚の前記光源の少なくとも一部に780nm〜1000nmの波長帯域内の光を90%以上透過する透過部を含む光源プレートを備えること。
【0026】
第14の発明は、上記第1の発明において、陳列棚はセンサーを備え、センサーは電子棚札が設置の有無を検出し、センサーが電子棚札を検出しない場合に光源を消灯すること。
【0027】
第15の発明は、上記第14の発明において、消灯する光源は380〜780nmの波長帯域内の光であること。
【0028】
第16の発明は、上記第1〜15のいずれか1つに記載の発明において、棚札設置手段がマグネットであること。
【0029】
第17の発明は、上記第1〜15のいずれか1つに記載の発明において、棚札設置手段がフックであること。
【0030】
第18の発明は、上記第1〜15のいずれか1つに記載の発明において、棚札設置手段が2本のレールであること。
【発明の効果】
【0031】
本発明の陳列棚システムでは、電気的な接点部を用いなくても380nmから1000nmの波長帯域内の光で非接触に電子棚札で必要な電力を供給できる。よって、冷蔵庫や冷凍庫などの環境においても水蒸気結露によるダメージを受ける事は無い。
【0032】
さらに電気的な接点部を用いないことにより、載置部の棚板の前方側端部をフラットな構造にする事が可能である。よって清掃などのメンテナンス性が良く、大気中の塵、商品陳列時に誤って入ってしまった異物が長時間堆積することなく衛生管理面でも優れている。
【0033】
また、重量のある陳列物により、棚板が撓む場合でも、380nmから1000nmの波長帯域内の光で非接触に電子棚札で必要な電力を供給できるので、接触不良は発生しない。
【0034】
さらに、発光部からの光の波長が780nmから1000nmの赤外線を用いることで、発光部から光が漏れても可視光でないので人間には視認できない。よって、買い中のお客様が、陳列棚から発する光により不快を感じることは無い。
【0035】
また、電子棚札に表示する商品情報を外部端末から受信し商品情報を記憶する記憶部を電子棚札内に設けることで再度書き込みをする必要がなくなり、省力化が可能となった。具体的な例として、商品展示レイアウト変更時などでの移動により電子棚札の太陽電池に発光部からの光が遮断しても、移動後太陽電池で発光部の光を再度受光することで、レイアウト変更前の表示を再表示できることが挙げられる。
【0036】
さらに、電子棚札の商品情報を外部端末から受信する受信部と、表示する表示部がメモリー性のある反射型の表示装置にすることでも省力化が可能となった。具体的な例としては、一度受信した表示情報をメモリー性のある反射型の表示装置に書き込むことで、商品展示レイアウト変更時などでの移動により電子棚札の太陽電池に発光部からの光が遮断しても、反射型の表示装置は表示を維持する。別の表現を用いると、一旦表示装置に書き込みを済ませて、発光部をOFFすることができる。これはメモリー性のある表示装置であるため、発光部からの光を常時受ける必要がないため可能なことである。
【0037】
また、電子棚札に表示する商品情報を外部端末から受信する受信部と、商品情報を記憶する記憶部と、表示する表示部を透過型の表示装置を採用し、発光部からの光をバックライトとして利用することで、電子棚札で消費する電力は表示部で消費する電力が主要となり、発光部からの光を太陽電池に取込んで発電した電力で賄うことが可能となった。よって電気接点を使用せずとも、バックライトを利用した透過型の表示を使用できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る陳列棚システムの模式的図である。
【図2】本発明に係る陳列棚システムの、実施例1の形態を示す模式図である。
【図3】図2の矢印Cから見た(a)発光部の光源配置を示す正面図(b)光源に対応して電子棚札を配置した正面図である。
【図4】実施例2の発光部の光源と電子棚札の太陽電池の形態を示す模式図である。
【図5】実施例2の発光部のバックライトと電子棚札の表示部の形態を示す模式図である。
【図6】図4の矢印Dから見た(a)発光部の光源配置とバックライトを示す正面図(b)光源とバックライトに対応して電子棚札を配置した正面図である。
【図7】実施例3の発光部の配置とバックライトを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0040】
図1は、本発明に係る陳列棚システム1を表す模式図である。陳列棚システム1は、スーパーマーケット等の店舗に導入されて、店舗の床面に対して垂直に設置された背面板2に複数の棚板3が水平接続固定され、棚板3の上が商品の積載部4として使用されている。棚板3の長手方向(所定の陳列方向)前方側端部には発光部6が設置され、図示はしないが積載部4には商品を仕切る仕切り板でしきられ、各商品に対応する電子棚札5が発光部6の上面にマグネット20で示される電子棚札設置手段を介して取り付けられている。背面板2、棚板3、は金属製又は合成樹脂製で、発光部6への電源供給用の配線が取り付けられている。
【0041】
図2に電子棚札5の模式図を示す。寸法の都合で一部のみ記載した棚板3の前方側端部に取り付けられた発光部6は、光源プレート7に光源8を取り付け光源8の電極9を棚板3側に配置している。電極9は図示しないが、配線により駆動電源に接続されている。
【0042】
光源8としては、波長が780nmから1000nmの範囲の赤外線を発する発光ダイオードを使用する。後で説明する太陽電池の分光感度で特に感度の高い波長域に発光ダイオードの波長を合わせることで光電気変換効率を高めることが可能となる。本実施例では、太陽電池に単結晶シリコンを使用する場合特に感度が高く取れる900nm〜1000nmの波長を発光する赤外発光ダイオードTLN105B(F)(東芝セミコンダクター社製)を使用した。
【0043】
光源プレート7は、光源8からの光を透過する材料を使用することが望ましい。光源8が赤外線の場合、可視光を透過しなく、赤外線を透過する材料を使用することで、光源プレート7で光源8を隠すことが可能となり、商品陳列棚の美観維持に有効である。本実施例では可視光では黒色の赤外透過アクリル板を使用した。赤外透過アクリル板の光出射側の表面は図示のように平坦化されている。これにより表面のメンテナンス性を高めている。
【0044】
次に、図2の光源8から放射する光の模式例を矢印で記載した。矢印が図示するように光は電子棚札5の背面採光窓11を透過して太陽電池12に取込まれ、発電した電力により表示部13の表示状態維持する電力に使用される。電子棚札5は内部に太陽電池12と表示部13を有し、ケース10と背面採光窓11と前面カバー14により内部の防水性を保たれている。
【0045】
また、ケース10の商品陳列棚に面する部位にマグネット20が設置されている。さらに、光源プレート7の表面上にもマグネット20が設置されている。
【0046】
このマグネット20は、光源プレート7とケース10に設置されている。前述の光源プレート7とケース10のマグネット20の設置する極性はついになっており、一方がN極側が表面側に設置している場合、他方はS極側が表面側に来るように設置されている。
【0047】
本発明において、電子棚札5に重量のある電池を搭載しないため、簡単に取り外し可能なマグネット20を利用することができる。
【0048】
前面カバー14は可視光で透明であれば良く、表示部13の表示を店内照明15からの光を図中の矢印のように取込み、表示部13からの反射光を示す矢印のように観察者16に達し、視認可能となる。
【0049】
図2に図示した電子棚札5は光による電力供給を説明するために簡素化して図示している。実際の電子棚札5には、商品情報を外部端末から受信する受信部、商品情報を記憶する記憶部、表示部13を駆動する駆動回路以外にも、太陽電池12の発電した電力をマネージメントする電源回路、中央処理装置等が組み込まれている。
【0050】
また、電子棚札5の電力消費は動作状態により変動する。つまり、商品情報を受信し、記憶部への書き込みなどは、商品情報の更新時のみおこなわれ、それ以外の時間は表示に関係する部分のみ動作する。よって、受信時は電力消費が増え、それ以外は受信時より少ない電力しか必要ない。これに対応して、受信時は発光部6の発光ダイオードの光強度を強くし、受信時以外は光強度を弱くすることで電力利用効率を高めることができる。
【0051】
同様の目的で、太陽電池12の発電した電力の一部を二次電池に蓄え、受信時に二次電池の電力を利用する方法を用いることも可能である。
【0052】
本実施例では、表示部13には反射型の表示装置を使用することで、消費電力を低く抑える。ゆえに太陽電池12による発電電力で常時表示可能となる。例えばTN(Twisted Nematic)方式、STN(Super−Twisted Nematic)方式等の液晶モードを使用した反射型の表示装置を使用できる。
【0053】
図3は本発明に係る陳列棚システム1の棚板3側面部への電子棚札5の取り付けを説明する分解図である。(a)は光源プレート7に一定の間隔で配置された光源8を図中破線で記載している。光源8の間隔は商品サイズの小さい方にあわせた間隔で配置している。(b)は光源8の配置に合わせて電子棚札5を配置した例である。電子棚札5を取り付けてない空きエリア17の光源8は発光していても、赤外線なので視認することは無いく、お客様が違和感を、感じないようにしている。
【0054】
実際正面からの観察では光源8は見えないので、電子棚札5の太陽電池12と光源8の位置を合わせるための位置決め機構を光源プレート7に設けている。
【0055】
さらに、太陽電池12を電子棚札5の背面側に設けたことで、表面側を反射型の表示装置の表示エリアを外形ぎりぎりまでレイアウト可能となり、大きめの見やすい表示にもかかわらず、電子棚札5の設置間隔を短くすることが可能となり、小さな商品棚に使用できるようになった。従来の方法の、店内照明15から太陽電池12で電力を獲得する場合、表示エリアを小さくして太陽電池12を配置する必要があった。そのため従来の方法では電子棚札5のサイズの小型化と表示エリアのサイズの大型化は両立不可能であった。
【0056】
また、電子棚札5に表示する商品情報を外部端末から受信し商品情報を記憶する記憶部
を電子棚札5内に設ける。これにより、商品展示レイアウト変更時などでの移動により電子棚札5の太陽電池12に発光部6からの光が遮断しても、移動後太陽電池12で発光部6の光を再度受光することで、レイアウト変更前の表示を再表示できる。記憶部にはEEPROMが使用され、太陽電池12が発電を開始する事で電圧が発生し、電源回路が電圧の上昇を検知し、その情報を中央処理装置に伝えるとEEPROMが正常稼働状態に戻り、EEPROMに格納された情報を読み出し、表示部13に表示情報を書き込む。以上のステップにより正常な電子棚札5としての機能を復元する事ができる。レイアウト変更後の再書き込みは必要なくなく、省力化可能となった。
【0057】
また、別の方法として、表示部13がメモリー性のある反射型の表示装置を使用すれ方法がある。これで、一度受信した表示情報をメモリー性のある反射型の表示装置に書き込むことで、商品展示レイアウト変更時などでの移動により電子棚札5の太陽電池12に発光部6からの光が遮断しても、反射型の表示装置は表示を維持できる。
【0058】
メモリー性のある反射型の表示装置としては、電気泳動方式、電子粉流体方式、ツイストボール方式、液晶方式、エレクトロウェッティング方式、干渉方式等の表示方式を利用できる。これらは、一旦表示装置に書き込みを済ませてしまえば、発光部6からの光も必要なくなるので発光部6の発光ダイオードをOFFすることで消費電力化もできる。
【0059】
更に、発光部6にサイドライト型バックライトを使用し、光源波長に赤外線を使用することで、発光部6が全面に渡って発光する構成となる。それにより、太陽電池12は電子棚札5を何処に配置しても発電可能となり、電子棚札5配置を商品の陳列方向に自由に決めることが可能となる。
【実施例2】
【0060】
次に表示する表示部13が透過型の表示装置を電子棚札5に用いた例を説明する。通常、透過型の表示装置はバックライトと併用して使用する。しかし、実施例1のような太陽電池12により得られる電力では十分な明るさのバックライトを実現できない。そこで、図4、図5、図6に記載のようにバックライト18を発光部6に配置し、電子棚札5は裏面側から発光部6の光を取込み発電した電力を表示部13で利用し、商品情報を透過光で表示するような構成にした。
【0061】
図4は発光部6の光源8と電子棚札5の太陽電池12の形態を示す模式図である。基本配置は実施例1と類似しているので、異なる配置を説明する。本実施例では電子棚札5内の太陽電池12の背後には表示部13を配置していない。本実施例では透過型の表示装置を使用するので太陽電池12の背後では表示できないからである。
【0062】
図5は発光部6のバックライト18と電子棚札5の表示部13の形態を示す模式図である。棚板3の前方側端部に取り付けられた発光部6は、光源プレート7にバックライト18を取り付けている。バックライト18の電極9は図示しないが、配線により駆動電源に接続されている。バックライト18から発する光を電子棚札5の表示部13が利用し、表示情報で変調された光は前面カバー14を透過して矢印のように観察者16に達し、視認可能となる。
【0063】
図6は図4の矢印Dが指し示す平面から見た(a)発光部6の光源8配置とバックライト18を示す正面図(b)光源8とバックライト18に対応して電子棚札5を配置した正面図である。
【0064】
図6(a)は発光部6を正面から見ているのでバックライト18と光源8の外形を破線で表記している。バックライト18と光源8のペアの間隔は商品サイズの小さい方にあわせた間隔で配置している。電子棚札5の表示部13の視認性を向上させる目的であるため。バックライト18は電子棚札5の表示部13と同様の形状である矩形状に形成されている。
【0065】
図6(b)はバックライト18と光源8のペアの間隔に合わせて電子棚札5を配置した例である。電子棚札5を取り付けてない空きエリア17の光源8は発光していても、赤外線なので視認することは無いが、バックライト18は可視光なので消燈しておくことが望ましい。
【0066】
光源8としては、780nmから1000nmの範囲の赤外線を発する発光ダイオードを使用し、太陽電池12に単結晶シリコンを使用する。バックライト18の光源8には可視光の発光ダイオードを使用できる。また、有機エレクトロルミネッセンス素子をバックライト18として利用してもよい。
【0067】
透過型の表示装置としては、透過型の単純マトリックス型やアクティブマトリクス型液晶表示装置を使用できる。バックライト18を白色光源8にすれば、カラー表示も可能となる。発光部6からの光をバックライト18として利用することで、電子棚札5で消費する電力は表示部13で消費する電力が主要となり、発光部6からの光を太陽電池12に取込んで発電した電力で賄うことが可能となる、前述検討した結果、電気接点を使用せずとも、バックライト18を利用した透過型の表示を使用でき、電子POP(point of purchase advertising:購買時点広告)などに利用可能となり、お客様により多くの商品情報を伝えることが可能となる。
【0068】
また、発光部6にサイドライト型バックライト18を使用し、光源波長に可視光を含む光源8とすることで、発光部6が全面に渡って発光する構成となる。よって、太陽電池12は電子棚札5を何処に配置しても発電可能となり、電子棚札5配置を商品の陳列方向に自由に決めることが可能となる。太陽電池12の種類の選定において、光源8が可視光を多く含む場合、アモルファスシリコン太陽電池12を利用することで変換効率を高めることが可能となる。
【実施例3】
【0069】
実施例3は、前述した実施例2とほぼ同じ構成をとるため、重複する構成の説明は省略する。実施例2との差異として、実施例3には電子棚札5が設置されているか否かを判断するセンサー19が棚板3に設置されている特徴がある。
【0070】
図7において、電子棚札5が設置されているか否かを判断するために、棚板3上に設置してある光源プレート7内にセンサー19を設置し、電子棚札5が設置されているときにはバックライト18や光源8に電力を供給し駆動させ、電子棚札5が設置されていないときは電力を供給しないよう構成しても良い。その場合、380nm〜780nmの波長帯域内の可視光線を含むバックライト18のみを対象とし、バックライト18が可視光の波長を含まない場合は消灯せず発光を続ける構成でもよい。これにより、商品陳列棚を利用するお客様がバックライト18の光を知覚できず、不快な印象を与えることがなくなる。
【0071】
また、バックライト18以外に、光源8が380nm〜780nmの波長帯域内の光を含む場合、光源8も同様に消灯する。
【0072】
また、電子棚札設置手段として挙げた光源プレート7上のマグネット20は、必ずしもマグネット20である必要はない。例えば、光源プレート7上に金属物を設置して磁気により陳列棚に電子棚札5を設置することができる。逆に光源プレート7上にマグネット20を設置し、電子棚札5に金属物を設置することでも磁気により陳列棚に電子棚札5を設置することが出来る。他にも、磁性を発生させて電子棚札5と陳列棚を固定する手段であれば他の手段を用いても良い。
【0073】
さらに、電子棚札設置手段は前述したマグネット20のほかに、フック状の引っ掛け部を有する構造であるなり、棚板3の上辺と下辺に2本のレールを取り付け、電子棚札5を横にスライドさせるようにして組み込むような形状をとっても良い。この場合、電子棚札5のケース10を2本のレールと噛み合う形状にする。
【0074】
また、電子棚札5を棚板3に固定し、着脱可能であれば前述した構成の以外においてもいかなる手段を用いても構わない。
【符号の説明】
【0075】
1 陳列棚システム
2 背面板
3 棚板
4 載置部
5 電子棚札
6 発光部
7 光源プレート
8 光源
9 電極
10 ケース
11 背面採光窓
12 太陽電池
13 表示部
14 前面カバー
15 店内照明
16 観察者
17 空きエリア
18 バックライト
19 センサー
20 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列棚と電子棚札からなる棚陳列システムにおいて、
前記陳列棚が、
商品を載置可能な棚板と、
前記電子棚札を前記棚板に設置可能な棚札設置手段と、
前記棚板に380nm〜1000nmの波長帯域内の光を発光する光源とを備え、
前記電子棚札が、
商品情報を外部端末から受信する受信部と、
前記商品情報を記憶する記憶部と、
表示部と、
前記表示部に前記商品情報を表示するための駆動回路と、
裏面に前記光源からの光の少なくとも一部を受光する太陽電池とを備える陳列棚システム。
【請求項2】
前記表示部は、前記光源からの光を利用して反射で表示する請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項3】
前記表示部は、メモリー性のある反射型の表示部である請求項2に記載の陳列棚システム。
【請求項4】
前記表示部は、透過型の表示部である請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項5】
前記光源は、780nm〜1000nmの波長帯域内の光を発光する請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項6】
前記光源は、少なくとも可視光光源と赤外線光源の2種類であって、前記可視光光源は380nm〜780nmの波長帯域の光を発光し、前記赤外線光源は、780nm〜1000nmの波長帯域の光を発光する請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項7】
前記2種類の光源は、可視光光源が前記電子棚札の表示部に当たるようにし、赤外線光源が前記電子棚札の太陽電池に当たるように電子棚札を設置する請求項6に記載の陳列棚システム。
【請求項8】
前記光源は、バックライトと発光ダイオードの2種類の光源である請求項6または7に記載の陳列棚システム。
【請求項9】
前記光源は、発光ダイオードである請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項10】
前記光源は、有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項11】
前記光源は、サイドライト型バックライトである請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項12】
前記陳列棚は、380nm〜1000nmの波長帯域内の光を90%以上透過する透過部を含む光源プレートを前記光源の少なくとも一部に備える請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項13】
前記陳列棚は、780nm〜1000nmの波長帯域内の光を90%以上透過する透過部を含む光源プレートを前記光源の少なくとも一部に備える請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項14】
前記陳列棚はセンサーを備え、前記センサーは前記電子棚札の設置の有無を検出し、前記センサーが記電子棚札を検出しない場合に前記光源を消灯する請求項1に記載の陳列棚システム。
【請求項15】
前記陳列棚において、消灯する光源は380〜780nmの波長帯域内の光である請求項14に記載の陳列棚システム。
【請求項16】
前記棚札設置手段は、マグネットである請求項1〜15のいずれか1つに記載の陳列棚システム。
【請求項17】
前記棚札設置手段は、フックである請求項1〜15のいずれか1つに記載の陳列棚システム。
【請求項18】
前記棚札設置手段は、2本のレールである請求項1〜15のいずれか1つに記載の陳列棚システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−36426(P2011−36426A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186730(P2009−186730)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】