説明

陶芸作業用エプロン

【課題】立った状態でも座って股を開いた状態でも、それぞれの陶芸作業性が良好なエプロンを提供する。
【解決手段】少なくとも腰から両足首にかけた作業者の前部分を覆う下半身当て部200を有し、下半身当て部200は、矩形状の布の一角をほぼ直角に削落した、左右対称の2枚の原布地201,202の、削落した端縁部分203,204を互いに縫製してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陶芸作業、特にろくろ(轆轤)作業を行う際に用いて好ましいエプロンに関する。
【背景技術】
【0002】
陶芸用エプロンとしては胸から膝までのものが一般的であるが、ろくろ作業は椅子に座って股を開き、ろくろを挟んだ格好で行われるので、こうした短いエプロンでは膝から下の部分が汚れる。
【0003】
また、膝下まで長くしたエプロンであっても、座って股を開いた状態でろくろを挟むと、股と両膝の部分でエプロンが邪魔になって作業がやりずらいといった問題がある。尤も、着座して股を開いた状態で両脚にフィットする形状に縫製すればこうした問題は解決されるが、そうすると立った状態で両脚の部分が不自然になり、逆に立ったままで行う作業がやりずらいという問題がある。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、立った状態でも座って股を開いた状態でも、それぞれの陶芸作業性が良好なエプロンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の陶芸ろくろ作業用エプロンは、少なくとも腰から両足首にかけた作業者の前部分を覆う下半身当て部(200)を有し、前記下半身当て部(200)は、矩形状の布の一角をほぼ直角に削落した、左右対称の2枚の原布地(201,202)の、前記削落した端縁部分(203,204)を互いに縫製してなることを特徴とする。
【0005】
本発明では、下半身当て部の構成を、矩形状の布の一角を削落した左右対称の2枚の原布地の、削落した端縁部分を互いに縫製するものとし、ここで削落部分をほぼ直角にしたので、椅子に座って股を開いたときに、この縫製部分が股の付け根に沿うことになる。これにより、両脚の開度に拘わらず両脚の間に、ろくろ作業に適したスペースが形成される(図2参照)。またこのとき、両脚の付け根から足首までが下半身当て部で覆われるので、両脚が汚れたりすることもない(図2参照)。
【0006】
一方、起立したときに、削落した端縁部分は、両脚の付け根近傍において両脚の間に収まる格好になるので、前面から見ても不自然ではなく、立ったままで行う作業にも適している(図1参照)。
【発明の実施の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1は本発明に係るエプロンを装着して起立した状態を示す図であって、同図(A)は正面図、同図(B)は背面図、図2は本発明に係るエプロンを装着して椅子に座って股を開いた状態を示す図であって、同図(A)は正面図、同図(B)は斜視図、図3は本発明に係るエプロンを示す図であって、同図(A)は正面図、同図(B)は背面図、図4は本発明に係るエプロンを構成する生地を示す分解図、図5は図3(A)のV-V線に沿う断面図、図6は図3(A)のVI-VI線に沿う断面図である。
【0009】
本発明に係るエプロンは、陶芸作業、たとえば椅子に座って行うろくろ作業や、立ったままで行う、土をこねる作業、釉薬を塗布する作業、四角い陶器を作製する作業など、座って行う作業においても、立ったままで行う作業でも、作業性に優れた機能を発揮するものである。
【0010】
本例のエプロンは、図1(A)及び(B)に示すように、作業者の胸部から腹部にかけた前部分を覆う胸当て部100と、胸当て部100に連設されて作業者の腰から両足首にかけた前部分を覆う下半身当て部200と、下半身当て部200の上部両端に設けられた肩紐通し部300と、一端が胸当て部200に装着され他端が肩紐通し部300に通されたのち結ばれる2本の肩紐400と、を有する。これら胸当て部100、下半身当て部200、肩紐通し部300および肩紐400それぞれの、縫製前の単品生地の状態を図4に示す。なお、本発明のエプロンは、少なくとも下半身当て部200があればよく、胸当て部100、肩紐通し部300および肩紐400を省略したエプロンであってもよい。
【0011】
胸当て部100は、作業者の胸から腹部にかけた部分を覆う布製部材101と、この布製部材101の上端縁の裏側に縫製される短冊状の布製部材102とからなる。短冊状の布製部材102は、布製部材101の上端縁との間に肩紐400を挟み込んで補強する機能を司る。
【0012】
また、胸当て部100の部材101の下側両端のそれぞれには、短冊状の布製部材301がリング状に縫製されて肩紐通し部300が形成される。一方、胸当て部100の上側両端の裏側には、長尺紐状の2本の肩紐401,401の一端がそれぞれ縫製されている。また、胸当て部100の部材101の表側の中央には、陶芸作業で使用するヘラなどの道具を収容するためのポケット104が縫製されている。
【0013】
下半身当て部200は、図4に示すように、矩形状の布の一角、すなわち同図の右側の原布地202では左上の角であり、同じく左側の原布地201では右上の角をほぼ直角に削落した、左右対称の2枚の原布地201,202からなり、この削落した端縁部分203,204が互いに縫製されている。この縫製箇所を同図に点線で示す。
【0014】
また、原布地201,202の上端205,206は、上述した胸当て部100の下端縁103に連続して縫製されている。なお、図3に示すように、この上端205,206を胸当て部100の下端縁103に縫製する際にステッチを形成し、デザイン性や機能性を向上させてもよい。
【0015】
原布地201,202の削落部分の大きさは、下記のとおりであることが好ましい。すなわち、図4に示す縦、横及びコーナの半径Rについて、たとえば子供用エプロンの場合は、縦21cm、横18cm、Rが5〜6cm、大人のSサイズの場合は、縦23cm、横20cm、Rが5〜6cm、大人のMサイズの場合は、縦25cm、横20cm、Rが7cm、大人のLサイズの場合は、縦26cm、横21cm、Rが7cmである。
【0016】
本発明に係るエプロンでは、この原布地201,202の削落部分をほぼ直角にし、縦及び横の寸法を上記のとおりとしたので、図2に示すように椅子に座って股を開いたときに、この縫製部分209が股の付け根に沿うことになって、両脚の開度に拘わらず両脚の間に、ろくろ作業に適したスペース(同図に二点鎖線で示す。)が形成される。またこのとき、両脚の付け根から足首までが下半身当て部で覆われるので、両脚が汚れたりすることもない。
【0017】
なお、下半身当て部200の原布地201,202の表側には、それぞれポケット207,208が縫製されている。
【0018】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るエプロンを装着して起立した状態を示す、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図2】本発明に係るエプロンを装着して椅子に座って股を開いた状態を示す、(A)は正面図、(B)は斜視図である。
【図3】本発明に係るエプロンを示す、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図4】本発明に係るエプロンを構成する生地を示す分解図である。
【図5】図3(A)のV-V線に沿う断面図である。
【図6】図3(A)のVI-VI線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0020】
100…胸当て部
200…下半身当て部
201,202…原布地
203,204…削落した端縁部分
300…肩紐通し部
400…肩紐



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも腰から両足首にかけた作業者の前部分を覆う下半身当て部を有し、
前記下半身当て部は、矩形状の布の一角をほぼ直角に削落した、左右対称の2枚の原布地の、前記削落した端縁部分を互いに縫製してなることを特徴とする陶芸作業用エプロン。
【請求項2】
前記下半身当て部の原布地は、矩形状の布の一角を、縦21cm〜26cm、横18cm〜21cmで削落したものであることを特徴とする請求項1記載の陶芸作業用エプロン。
【請求項3】
前記下半身当て部の原布地の前記削落部のコーナの半径Rが、5cm〜7cmであることを特徴とする請求項1または2記載の陶芸作業用エプロン。
【請求項4】
前記下半身当て部に連設されて胸部から腹部にかけた作業者の前部分を覆う胸当て部と、
前記下半身当て部の上部両端に設けられた肩紐通し部と、
一端が前記胸当て部に装着され他端が前記肩紐通し部に通されたのち結ばれる一対の肩紐と、を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の陶芸作業用エプロン。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−265752(P2006−265752A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82790(P2005−82790)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(505104250)
【出願人】(505105349)
【Fターム(参考)】