説明

陽イオン変性デンプン及び陰イオン性界面活性剤系を含むパーソナルケア組成物

パーソナルケア組成物であって、(a)分子量が1,000〜200,000、電荷密度が0.7meq/g〜7meq/gの水溶性陽イオン変性デンプンポリマーを0.01重量%〜10重量%、(b)1つ以上の陰イオン性界面活性剤を含んでいるとともに、(i)エトキシル化レベルが1〜6、及び(ii)陰イオン化レベルが1〜6である陰イオン性界面活性剤系を5重量%〜50重量%、並びに(c)化粧品に許容可能な媒質を含むパーソナルケア組成物。前記パーソナルケア組成物は、更に1つ以上の油性コンディショニング剤を約0.01重量%〜約10重量%含んでいる。毛髪又は皮膚を処理する方法は、前記パーソナルケア組成物を毛髪又は皮膚に適用する工程、及び毛髪又は皮膚をすすぐ工程から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽イオン変性デンプンポリマーを含むパーソナルケア組成物に関するものである。更に詳細には、本発明は陰イオン性界面活性剤系及び陽イオン変性デンプンポリマーを含むパーソナルケア組成物に関するものである。ある態様では、本発明は、更に1つ以上の油性コンディショニング剤を含む前記パーソナルケア組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗浄性界面活性剤とコンディショニング剤との種々の組み合わせを含むシャンプー組成物が既に知られている。これらの製品は典型的には、シリコーン、炭化水素油、脂肪酸エステル、又はこれらの混合物といったコンディショニング剤と組み合わせた陰イオン性洗浄界面活性剤を含む。これらの製品は、毛髪又は皮膚のコンディショニング性能及び洗浄性能の全てを単一のパーソナルケア製品から都合よく得る手段として、消費者の間で人気が高まり続けている。
【0003】
しかし多くのシャンプー組成物は、洗浄プロセス中に、コンディショニング剤の毛髪及び皮膚上への十分な付着を実現できない。こうした付着がない場合、大部分のコンディショニング剤は洗浄プロセス中に洗い流されるので、コンディショニング効果をほとんど又は全くもたらさない。コンディショニング剤の毛髪及び皮膚上への十分な付着がない場合、十分なコンディショニング性能を発揮させるためには、パーソナル洗浄組成物中に比較的高濃度のコンディショニング剤が必要になりかねない。しかし、高濃度のコンディショニング剤は、原料価格を上げ、泡立ちを減らし、また製品安定性への懸念を生じかねない。
【0004】
シャンプー中の洗浄性界面活性剤の作用によって、コンディショニング剤の高い付着性を実現させるのはさらに困難になっている。洗浄性界面活性剤は、毛髪及び皮膚から、油、脂、汚れ、及び粒子状物質を取り除く又は除去するように設計されている。その結果、洗浄性界面活性剤は、コンディショニング剤の付着を妨げかねず、付着したコンディショニング剤及び付着していないコンディショニング剤の双方をすすぎ作業の間に除去しかねない。従って、すすぎ作業によりコンディショニング剤の毛髪及び皮膚への付着が減少し、その結果、コンディショニング性能が低下する。
【0005】
コンディショニング剤の付着を改善するための1つの方法は、特定の陽イオン沈着ポリマーを使用することである。一般に、これらの陽イオン沈着ポリマーは、陽イオン性置換基で修飾したセルロース性ポリマー又はグアー性ポリマーなどの天然ポリマーである。コンディショニング剤の十分な付着は、最適化した界面活性剤系と組み合わせて、十分な電荷密度及び分子量を有する陽イオン沈着ポリマーを選択することによりもたらすことができる。ただし、この十分な付着をシャンプー組成物又はボディウォッシュ組成物で達成するには、一般にセルロース性又はグアー性沈着ポリマーの分子量は優に200,000を越す。高分子量の陽イオンデンプンも長年入手可能になっている。しかし、高分子量のデンプンでは、適度な湿潤コンディショニングを実現させたりぬれた髪を絡みにくくしたりできない。従って、低コストの陽イオン性ポリマー又は両性ポリマーを使用して、適度な湿潤コンディショニング及び高濃度のコンディショニング活性物質の付着を共に実現させる必要性が依然として存在している。
【0006】
また、コンディショニング剤をもたらすシャンプー組成物によって、洗浄性の低下、コンディショニング剤の蓄積、又は意図したヘアスタイルのボリューム低下が発生せず、更にはシャンプーに保存安定性が備わることが望ましい。従来は、シャンプーに十分なコンディショニング性能をもたらすために、高分子量ポリマーを高濃度で付着させることに加えて、分散シリコーンオイルの液滴を使用することが試みられてきた。しかし、これらの試みは、結果としてポリマー及びコンディショニング剤を蓄積させ、潜在的にヘアスタイルのボリュームを低下させる可能性がある。従って、シャンプー組成物に低コストの陽イオン性又は両性ポリマーを使用し、ヘアスタイルのボリュームを低下させることなく、十分なコンディショニング性能を発揮するようにする必要性が依然として存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故に、低コストの陽イオン性又は両性ポリマーを使用し、蓄積の影響又は洗浄性能の低下をもたらさず、毛髪及び/又は皮膚に優れたコンディショニング効果をもたらすパーソナル洗浄組成物の必要性が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)分子量が約1,000〜約200,000、電荷密度が約0.7〜約7meq/gの水溶性陽イオン変性デンプンポリマーを約0.01重量%〜約10重量%、(b)1つ以上の陰イオン性界面活性剤を含むとともに、(i)エトキシル化レベルが約1〜約6、(ii)陰イオン化レベルが約1〜約6の陰イオン性界面活性剤系を約5重量%〜約50重量%、並びに(c)化粧品に許容可能な媒質を含むパーソナルケア組成物に関するものである。
また、本発明は、更に1つ以上の油性コンディショニング剤を約0.01重量%〜約10重量%含む前記パーソナルケア組成物に関するものである。
更に、本発明は、前記パーソナルケア組成物を毛髪又は皮膚に適用する工程、及び毛髪又は皮膚をすすぐ工程を含む、毛髪又は皮膚を処理する方法にも関する。
【0009】
パーソナルケア組成物に本発明の陰イオン性界面活性剤系と陽イオン変性デンプンポリマーを組み合わせると、洗浄性能を低下させることなく、コンディショニング剤の毛髪及び/又は皮膚への付着を増大させることができる。ある特定の陰イオン性界面活性剤系は、エトキシル化レベル及び陰イオン化レベルによって示されるように、コアセルベート処方を最大限に活用することでポリマーのコンディショニング効果を最大化すると考えられている。ある特定の理論に制限されるものではないが、コアセルベートは、いずれかのコンディショニング活性物質を追加しなくても毛髪及び皮膚のコンディショニング力を向上させる。更に、分散コンディショニング剤の液滴を陰イオン性界面活性剤系に追加すると、コアセルベートによりコンディショニング剤の付着作用が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書は、本発明を特に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明については以下の説明を通じて理解が深まると考えられる。
【0011】
百分率、割合及び比率は全て、別段の定めがない限り、本発明の組成物の総重量に基づく数字である。前記重量は全て、記載した成分に関する限り有効濃度に基づくものであり、そのため別段の定めがない限り、市販材料に含まれる可能性のある溶媒又は副産物は包まれない。「重量百分率」という用語は、本明細書では「重量%」として表わされる場合がある。
別段の定めがない限り、本明細書で使用される分子量は全て、g/molで表される重量平均分子量である。
【0012】
本明細書において「含む」とは、最終結果に影響を与えない他の工程及び他の成分を追加できることを意味する。この用語には「から成る」及び「から本質的に成る」という用語も含まれる。本発明の組成物及び方法/プロセスは、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限、並びに本明細書に記載される追加又は任意の成分、要素、工程、もしくは制限のいずれかを含むものから成り、これらから本質的に成るようにできる。
【0013】
本明細書で使用する時、「電荷密度」という用語は、ポリマーが構成されるモノマー単位における正の電荷数と前記モノマー単位の分子量の比を指す。ポリマー分子量により乗じた電荷密度は、所与のポリマー鎖における正に荷電した部位の数を決定する。
【0014】
本明細書で使用する時、「ポリマー」という用語には、一種類のモノマーの重合によって作られるか、又は二種類(すなわち、コポリマー)もしくはそれ以上の種類のモノマーによって作られる物質が包まれる。
【0015】
本明細書で使用する時、「固体粒子」という用語は、液体又は気体ではない粒子を意味する。
【0016】
本明細書で使用する時、「水溶性」という用語は、ポリマーが本発明の組成物中の水に可溶性であることを意味する。一般にポリマーは、25°Cにおいて、水溶媒の少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%の濃度で可溶性であるべきである。
【0017】
本明細書で使用する時、「非水溶性」という用語は、化合物が本発明の組成物中の水に可溶性でないことを意味する。従って、化合物は水と混和しない。
【0018】
本発明のパーソナルケア組成物は、陽イオン変性デンプンポリマー、陰イオン性界面活性剤系、及び化粧品に許容可能な媒質を含む。これらの必須構成要素の各々、並びに好ましい又は任意の構成要素については、以下に詳細に記載する。
【0019】
A.陽イオン変性デンプンポリマー
本発明のパーソナルケア組成物は、水溶性の陽イオン変性デンプンポリマーを含む。本明細書で使用するとき、「陽イオン変性デンプン」という用語は、より小さな分子量に分解される前に陽イオン性基が付加されたデンプン、又は望ましい分子量に変性された後で陽イオン性基が付加されたデンプンを意味する。「陽イオン変性デンプン」という用語の定義には、両性変性デンプンも含まれる。「両性変性デンプン」という用語は、陽イオン性基及び陰イオン性基が付加されたデンプン加水分解産物を意味する。
【0020】
本発明のパーソナルケア組成物は、陽イオン変性デンプンポリマーを組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約5重量%含む。
【0021】
本発明のパーソナルケア組成物に用いる陽イオン変性デンプンポリマーの分子量は約1,000〜約200,000である。本発明のある実施形態では、陽イオン変性デンプンポリマーの分子量は約5,000〜約100,000である。本明細書で使用する時、「分子量」という用語は重量平均分子量を意味する。重量平均分子量は、以下の条件でゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)を使用して測定することができる。Alliance HPLC(Waters 2695分離モジュール)を使用し、2本のヒドロゲルカラム(Waters Ultrahydrogel Linear 6〜13μm、7.8×300nmGPCカラム、部品番号011545)を直列につなぎ、カラム温度30°C、流速0.9ml/分で、Viscotekモデル300TDA(トリプル検出器システム)、光散乱検出器(単一角度、90°)、粘度率検出器、及び屈折率検出器を使用し(検出器温度は全て30°C)、注入量25〜100μl、dn/dc=0.147で、American Polymer Standards Corporationのプルランナロースタンダード(pullulan narrow standard)P−800(MW=788,000)を使用して作成した方法を用いる。GPC法による重量平均分子量の測定に関する更なる詳細は、米国公開特許第2003/0154883A1号、名称「非熱可塑性デンプン繊維類及びこれらを製造するデンプン組成物(Non−Thermoplastic Starch Fibers and Starch Composition for Making Same)」に記載されている。
【0022】
本発明のパーソナルケア組成物は、電荷密度が約0.7meq/g〜約7meq/gの陽イオン変性デンプンポリマーを含む。このような電荷密度を得るための化学修飾には、デンプン分子へのアミノ基及び/又はアンモニウム基の付加が挙げられるが、これらに限定されない。これらのアンモニウム基の非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、ジメチルステアリルヒドロキシプロピルアンモニウムクロライド、及びジメチルドデシルヒドロキシプロピルアンモニウムクロライドなどの置換基が挙げられる。D.B.Solarek著『変性デンプンの中の陽イオンデンプン:特性と使用法(Cationic Starches in Modified Starches:Properties and Uses)』(O.B. Wurzburg編集、CRCプレス社、フロリダ州ボーカラトーン、1986年)の113〜125頁を参照されたい。陽イオン性基は、デンプンがより小さな分子量に分解される前、又はこのような変性の後に、デンプンに付加することができる。
【0023】
本発明の陽イオン変性デンプンポリマーの陽イオン性基の置換度は一般に約0.2〜約2.5である。本明細書で使用する時、陽イオン変性デンプンポリマーの「置換度」は、置換基によって誘導体化した各無水グルコース単位のヒドロキシル基数の平均値である。各無水グルコース単位は、置換に利用できる3つの可能なヒドロキシル基を有し、可能な最大置換度は3である。置換度は、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数として、モル平均ベースで表わされる。置換度は、当該技術分野において周知のプロトン核磁気共鳴分光法(「1H NMR」法)を使用して測定することができる。適した1H NMR技術としては、『ジメチルスルホキシド中、ヨウ素複合体形成、及び水−ジメチルスルホキシド中での溶媒和におけるデンプンのNMRスペクトルの観察(Observation on NMR Spectra of Starches in Dimethyl Sulfoxide Iodine−Complexing, and Solvating in Water−Dimethyl Sulfoxide)』(Qin−Ji Peng及びArthur S. Perlin著、Carbohydrate Research、160(1987年)、57〜72頁)、及び『NMR分光法によるオリゴ糖類の構造解析方法(An Approach to the Structural Analysis of Oligosaccharides by NMR Spectroscopy)』(J.Howard Bradbury及びJ.Grant Collins著、Carbohydrate Research、71、(1979年)、15〜25頁)に記載されているものが挙げられる。
【0024】
本発明のパーソナルケア組成物に用いる陽イオン変性デンプンポリマーは、マルトデキストリンを含んでいてもよい。その結果、本発明のある実施形態では、陽イオン変性デンプンポリマーは更に、約35未満、より好ましくは約1〜約20のデキストロース当量(「DE」)値によっても特徴付けることができる。DE値は、デキストロースを基準とした加水分解デンプンの還元当量の尺度であり、(ドライベースで)パーセントで表わされる。完全にデキストロースに加水分解させたデンプンのDE値は100であり、加水分解していないデンプンのDE値は0である。DE値の適した定量法には、「デキストロース当量(Dextrose Equivalent)」(コーン業界研究財団の構成会社の標準的分析方法(Standard Analytical Methods of the Member Companies of the Corn Industries Reseatch Foundation)、1版、方法E−26)に記載のものが含まれる。更に、本発明の陽イオン変性デンプンポリマーは、デキストリンを含んでいてもよい。デキストリンは、一般に幅広い分子量を有するデンプンの熱分解生成物である。
【0025】
化学修飾前のデンプンの供給源は、塊茎、豆果、穀物、及びグレインなどの様々な供給源から選択することができる。この供給源デンプンの非限定的な例としては、コーンスターチ、小麦スターチ、ライススターチ、ワクシーコーンスターチ、オート麦スターチ、キャッサバスターチ、ワクシー大麦、ワクシーライススターチ、グルテン状ライススターチ、スイートライススターチ、アミオカ、ポテトスターチ、タピオカスターチ、オート麦スターチ、サゴスターチ、スイートライス、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
本発明のある実施形態では、陽イオン変性デンプンポリマーは、粉化させた陽イオン性トウモロコシデンプン、陽イオン性タピオカ、陽イオン性ポテトデンプン、及びこれらの混合物から選択される。別の実施形態では、陽イオン変性デンプンポリマーは陽イオン性コーンスターチである。
【0027】
デンプンには、より小さな分子量に分解させる前又は修飾させた後に、更に1つ以上の修飾処理を施すことができる。例えば、これらの修飾には、架橋、安定化反応、リン酸化反応、及び加水分解が挙げられる。安定化反応としては、アルキル化及びエステル化が挙げられる。
【0028】
本発明の陽イオン変性デンプンポリマーは、加水分解デンプンの形態(例えば、酸、酵素、又はアルカリ分解)、酸化デンプンの形態(例えば、過酸化物、過酸、次亜塩素酸塩、アルカリ、又はその他いずれかの酸化剤)、物理的又は機械的に分解させたデンプンの形態(例えば、変性装置のサーモメカニカルエネルギー投入によるもの)、又はこれらの組み合わせによて組成物に添加することができる。
【0029】
デンプンの最適な形態は、水に溶解しやすく、ほぼ透明な水溶液(600nmにおける%透過率が>80)を形成するものである。組成物の透明度は、グレタグ・マクベス比色計カラーi5(Gretag Macbeth Colorimeter Color i5)を関連マニュアルに従って使用し、試料による紫外/可視光の吸収又は透過度を測定する紫外/可視(UV/VIS)分光測光法によって測定する。600nmの光波長は、化粧品組成物の透明度を特徴付けするために適切であることが明らかになっている。
【0030】
本発明の組成物に用いるのに適した陽イオン変性デンプンは、既知のデンプン供給元から入手可能である。また、本発明の組成物に用いるのに適したものには、当該技術分野において既知の方法で陽イオン変性デンプンに誘導可能な非イオン性変性デンプンも含まれる。その他の適した変性デンプンの出発原料は、本発明に用いるのに適した陽イオン変性デンプンポリマーを生成するように、当該技術分野において既知の方法で四級化することができる。
【0031】
B.陰イオン性界面活性剤系−エトキシル化レベル及び陰イオン化レベル
本発明のパーソナルケア組成物は、陰イオン性界面活性剤系を含む。陰イオン性界面活性剤系は、組成物に洗浄性能を提供するために含まれる。陰イオン性界面活性剤系には、少なくとも1種類の陰イオン性界面活性剤と、任意の両性界面活性剤、双極性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物が含まれている。このような界面活性剤は、本明細書に記載の必須成分と物理的及び化学的に適合すべきであり、さもなければ過度に製品の安定性、審美性、又は性能を損なうべきではない。
【0032】
本明細書のパーソナルケア組成物中に用いるのに適した陰イオン性界面活性剤構成成分には、毛髪ケア又は他のパーソナルケア組成物用として既知のものが挙げられる。パーソナルケア組成物中の陰イオン性界面活性剤系の濃度は、所望の洗浄及び起泡性能が実現されるよう十分高くするべきであり、一般に、組成物の約5重量%〜約50重量%、好ましくは約8重量%〜約30重量%、より好ましくは約10重量%〜約25重量%である。
【0033】
コアセルベート処方、湿潤コンディショニング性能、乾燥コンディショニング性能、及び毛髪上へのコンディショニング成分の付着などのパーソナルケア組成物の性能特性を考察する際に、ポリマー系の潜在性能を最大化するために、界面活性剤の濃度及び種類を最適化することが必要である。本発明のパーソナルケア組成物に用いる陰イオン性界面活性剤系のエトキシル化レベルは約1〜約6、陰イオン化レベルは約1〜約6である。パーソナルケア組成物に本発明の陽イオン変性デンプンポリマーと前記陰イオン性界面活性剤系を組み合わせると、洗浄性能を低下させることなく、コンディショニング剤の毛髪及び/又は皮膚への付着を増大させることができる。
【0034】
最適なエトキシル化レベルは、エトキシル化のモル数が既知である界面活性剤の特定分子量に基づき、界面活性剤構造の化学量論に基づいて計算することができる。同様に、界面活性剤の具体的な分子量及び陰イオン化反応の完了測定値をかんがみて、陰イオン化レベルを計算することができる。界面活性剤系内のエトキシル化又は陰イオン化を測定するために分析技術が開発されてきた。特定の界面活性剤系を表すエトキシル化のレベル及び陰イオン化のレベルは、次の方法で個々の界面活性剤のエトキシル化パーセント及び陰イオン化パーセントから計算する。
【0035】
組成物のエトキシル化のレベル=エトキシル化パーセント×活性なエトキシル化界面活性剤のパーセント(組成物の総重量に基づく)
【0036】
組成物の陰イオン化のレベル=エトキシル化界面活性剤の陰イオン化パーセント×活性なエトキシル化界面活性剤のパーセント(組成物の総重量に基づく)+非エトキシル化界面活性剤の陰イオン化パーセント×活性な非エトキシル化界面活性剤のパーセント(組成物の総重量に基づく)
【0037】
組成物がそれぞれ異なる陰イオンを有する2つ以上の界面活性剤を含む場合(例えば、界面活性剤Aがサルフェート基を有し、界面活性剤Bがスルホネート基を有する場合)、組成物の陰イオン化のレベルは上記のように計算した各陰イオンのモル濃度の合計である。
【0038】
計算例:
実施例1は、0.294321%のエトキシレート及び陰イオンとして0.188307%のサルフェートを有するエトキシル化界面活性剤、及び陰イオンとして0.266845%のサルフェートを有する非エトキシル化界面活性剤を示している。双方の界面活性剤とも29%活性である。
【0039】
実施例1のエトキシル化のレベルは0.294321×14(活性なエトキシル化界面活性剤の%)である。従って、実施例1の組成物のエトキシル化のレベルは、およそ4.12である。
【0040】
実施例1の陰イオン化のレベルは0.188307×14(活性なエトキシル化界面活性剤の%)+0.266845×2(活性な非エトキシル化界面活性剤の%)である。従って、実施例1の組成物の陰イオン化のレベルは、およそ3.17である。
【0041】
陰イオン性界面活性剤系は、サルフェート、スルホネート、スルホスクシネート、イセチオネート、カルボキシレート、ホスフェート、及びホスホネートから成る群から選択される陰イオンを有する、少なくとも1種類の陰イオン性界面活性剤を含む。好ましい陰イオンはサルフェートである。
【0042】
パーソナルケア組成物に用いるのに適した好ましい陰イオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートである。これらの物質は、それぞれROSO3M及びRO(C24O)xSO3Mの式を有し、式中、Rは炭素原子約8〜約18個のアルキル又はアルケニルであり、xは約1〜約10の値を有する整数であり、Mは陽イオン(アンモニウムなど)、アルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、一価金属(ナトリウム及びカリウムなど)、又は多価金属陽イオン(マグネシウム及びカルシウムなど)である。界面活性剤の溶解度は、選択した特定の陰イオン性界面活性剤及び陽イオンに左右される。
【0043】
アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートの双方において、Rは、好ましくは約8〜約18個の炭素原子、より好ましくは約10〜約16個の炭素原子、さらにより好ましくは約12〜約14個の炭素原子を有する。アルキルエーテルサルフェートは、典型的にはエチレンオキシドと約8〜約24個の炭素原子を有する一価アルコールとの縮合物として形成させる。アルコールは合成品又は脂肪(例えばココヤシ油、パーム核油、タロー)から誘導することができる。ココヤシ油又はパーム核油から誘導させたラウリルアルコール及び直鎖アルコールが好ましい。前記アルコール類を、約0〜約10mol、好ましくは約2〜約5mol、より好ましくは約3molのエチレンオキシドと反応させ、例えばアルコール1molにつき平均3molのエチレンオキシドを有する分子種の得られる混合物を硫酸化し、中和させる。
【0044】
本発明のパーソナルケア組成物に用いてもよいアルキルエーテルサルフェートの具体的かつ非限定的な例としては、ココナツアルキルトリエチレングリコールエーテルサルフェート、タローアルキルトリエチレングリコールエーテルサルフェート、及びタローアルキルヘキサ−オキシエチレンサルフェートのナトリウム塩及びアンモニウム塩が挙げられる。非常に好ましいアルキルエーテルサルフェートは個々の化合物の混合物から成るものであり、前記混合物中の化合物は、約10〜約16個の炭素原子の平均アルキル鎖及びエチレンオキシド約1〜約4モルの平均エトキシル化度を有する。また、このような混合物には、約0重量%〜約20重量%のC12-13化合物、約60重量%〜約100重量%のC14-15-16化合物、約0重量%〜約20重量%のC17-18-19化合物、約3重量%〜約30重量%のエトキシル化度0の化合物、約45重量%〜約90重量%のエトキシル化度約1〜約4の化合物、約10重量%〜約25重量%のエトキシル化度約4〜約8の化合物、及び約0.1重量%〜約15重量%の約8を超えるエトキシル化度の化合物が含まれている。
【0045】
陰イオン性界面活性剤の別の適した種類は、一般式R1−SO3−Mの有機硫酸反応生成物の水溶性塩であり、式中、R1は8〜24個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルから成る群から選択され、Mは陽イオンである。重要な例は、8〜24個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有するイソ−、ネオ−、インエソ−、及びn−パラフィンを含むメタン系炭化水素と、スルホン化剤(例えば、SO3、H2SO4、発煙硫酸)との、漂白及び加水分解を含む既知のスルホン化法によって得られる有機硫酸反応生成物の塩である。好ましいのは、C12〜18−n−パラフィンのスルホン化アルカリ金属及びアンモニウムである。
【0046】
パーソナルケア組成物に用いる陰イオン性界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
さらに他の適した陰イオン性界面活性剤は、イセチオン酸でエステル化し、水酸化ナトリウムで中和した脂肪酸の反応生成物であり(例えば、前記脂肪酸はココヤシ油又はパーム核油から誘導させる)、メチルタウリドの脂肪酸アミドのナトリウム又はカリウム塩である(例えば、前記脂肪酸はココヤシ油又はパーム核油から誘導させる)。
【0048】
シャンプー組成物に用いるのに適した他の陰イオン性界面活性剤はコハク酸塩であり、その例としては、N−オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ジアンモニウム、N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウムのジアミルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、及びスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルが挙げられる。
【0049】
他の適した陰イオン性界面活性剤としては、約10〜約24個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。本文脈においては、「オレフィンスルホネート」という用語は、非錯体化型三酸化イオウによってα−オレフィンをスルホン化し、続いて、前記反応によって形成させたスルホンを全て加水分解させて、対応するヒドロキシ−アルカンスルホネートをもたらすような条件で、酸性反応混合物を中和させることによって生成することのできる化合物を指す。オレフィンスルホネートを誘導させるα−オレフィンは、約10〜約24個の炭素原子、好ましくは約12〜約16個の炭素原子を有するモノ−オレフィンである。好ましくは、それらは直鎖オレフィンである。
【0050】
本明細書に用いるのに適した他の部類の陰イオン性界面活性剤は、β−アルキルオキシアルカンスルホネートである。これらの界面活性剤は、次の式で表される。
【0051】
【化1】

式中、R1は約6〜約20個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、R2は約1〜約3個の炭素原子、好ましくは1個の炭素原子を有する低級アルキル基であり、Mは前述したような水溶性の陽イオンである。
【0052】
前述したサルフェート、イセチオネート、スルホネート、スルホスクシネートに加えて、陰イオン性界面活性剤のその他の潜在的な陰イオンとしては、ホスホネート、ホスフェート、及びカルボキシレートが挙げられる。
【0053】
本発明のパーソナルケア組成物は、更に両性界面活性剤、双極性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から成る群から選択される1つ以上の追加の界面活性剤を含んでいてもよい。本明細書のパーソナルケア組成物に用いるのに適した両性、双極性、陽イオン性、又は非イオン性界面活性剤としては、毛髪ケア組成物又は他のパーソナルケア組成物に用いるのに既知のものが挙げられる。このような界面活性剤の濃度は、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%であることが好ましい。適した界面活性剤の例は、米国特許第5,104,646号及び第5,106,609号(共にBolich,Jr.ら)に記載されているが、これらに限定されない。
【0054】
その他のパーソナルケア組成物に用いるのに適した界面活性剤の例は、「乳化剤及び洗剤(Emulsifiers and Detergents」(McCutcheon著、1989年、年報、M.C.Publishing Co.刊)に記載されているが、これらに限定されない。
【0055】
C.化粧品に許容可能な媒質
本発明のパーソナルケア組成物は、化粧品に許容可能な媒質を含む。媒質の濃度と種類は、他の構成成分との適合性及び当該製品の他の所望の特性に応じて選択する。一般に、化粧品に許容可能な媒質の量は、組成物の約20重量%〜約95重量%である。化粧品に許容可能な媒質は、本発明の組成物が注入可能な液体、ジェル、ペースト、乾燥パウダー、又は乾燥フィルムなどの形態を取るように選択することができる。
【0056】
本発明に有用な化粧品に許容可能な媒質は、水及び低級アルキルアルコールの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、炭素数1〜6の一価アルコールであり、好ましくはエタノール及びイソプロパノールから選択するものである。
【0057】
本発明の組成物のpHは、そのまま測定した場合、好ましくは約3〜約9、より好ましくは約4〜約8である。望ましいpHを達成するために、緩衝液及び他のpH調整剤を含めることができる。
【0058】
D.油性コンディショニング剤
本発明の好ましい実施形態では、パーソナルケア組成物は1つ以上の油性コンディショニング剤を含む。油性コンディショニング剤には、毛髪及び/又は皮膚に特別なコンディショニング効果を与えるために用いる物質が含まれる。毛髪トリートメント組成物において、適したコンディショニング剤は、光沢、柔軟性、櫛通りの良さ、静電気防止性、濡れたときの扱い、損傷、扱い易さ、コシ、及び脂っぽさに関連する1つ以上の効果を発揮するものである。本発明の組成物に有用な油性コンディショニング剤には、典型的には、乳化液体粒子を形成する非水溶性の水分散性不揮発性液体が含まれる。組成物に用いるのに適した油性コンディショニング剤は、一般にシリコーン(例えば、シリコーンオイル、陽イオン性シリコーン、シリコーンガム、高屈折率のシリコーン、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステル)、又はこれらの組み合わせとして特徴付けられるコンディショニング剤、あるいは本明細書の水性界面活性剤のマトリックスに液体の分散した粒子を形成するコンディショニング剤である。
【0059】
一般に、1つ以上の油性コンディショニング剤が、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約8重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約4重量%の濃度で含まれる。
【0060】
本発明の組成物の好ましい実施形態では、陽イオン性加水分解デンプンポリマーに対する油性コンディショニング剤の比率は、少なくとも約2:1である。
【0061】
1.シリコーンコンディショニング剤
本発明の組成物の油性コンディショニング剤は、好ましくは水に不溶性のシリコーンコンディショニング剤である。シリコーンコンディショニング剤は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。不揮発性シリコーンコンディショニング剤が好ましい。揮発性シリコーンが含まれている場合、揮発性シリコーンは、典型的にはシリコーンガムや樹脂のような、市販の形態の不揮発性シリコーン物質成分のための溶媒又はキャリアとしてのそれらの使用に付随するものである。シリコーンコンディショニング剤粒子は、シリコーン流体コンディショニング剤を含んでいてもよく、シリコーン流体の付着効率を改善するか、毛髪の光沢度を増大させるためのシリコーン樹脂のような他の構成成分を更に含んでいてもよい。
【0062】
適したシリコーンコンディショニング剤及びシリコーンのための任意の懸濁剤の非限定的な例は、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び米国特許第5,106,609号に記載されている。本発明の組成物に用いるシリコーンコンディショニング剤の粘度は、25°Cで測定した場合で、約2E−5〜約2m2/s(約20〜約2,000,000センチストーク(「csk」))、より好ましくは約0.001〜約1.8m2/s(約1,000〜約1,800,000csk)、さらに好ましくは約0.005〜約1.5m2/s(約5,000〜約1,500,000csk)、より好ましくは約0.01〜約1m2/s(約10,000〜約1,000,000csk)であるのが好ましい。
【0063】
本発明の不透明な組成物の実施形態では、パーソナルケア組成物は、パーソナルケア組成物中で測定した場合の粒径が約1μm〜約50μmの不揮発性シリコーンオイルを含む。毛髪に小さな粒子を付着させる目的の本発明の実施形態では、パーソナルケア組成物は、パーソナルケア組成物中で測定した場合の粒径が約100nm〜約1μmの不揮発性シリコーンオイルを含む。本発明のほぼ透明な組成物の実施形態では、パーソナルケア組成物中で測定した場合の粒径が約100nm未満の不揮発性シリコーンオイルを含む。
【0064】
本発明の組成物に用いるのに適した不揮発性シリコーンオイルは、有機修飾シリコーン及びフッ素修飾シリコーンから選択することができる。本発明のある実施形態では、不揮発性シリコーンオイルは、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、アミン基、四級基、カルボキシル基、脂肪酸基、エーテル基、エステル基、メルカプト基、サルフェート基、スルホネート基、ホスフェート基、プロピレンオキシド基、及びエチレンオキシド基から成る群から選択される有機基を有する有機修飾シリコーンである。
本発明の好ましい実施形態では、不揮発性シリコーンオイルはジメチコンである。
【0065】
シリコーン流体、ゴム、及び樹脂、並びにシリコーンの製造を論じる項を含むシリコーンの背景資料は、「ポリマーの科学と技術の百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」(John Wiley & Sons Inc.刊、1989年)の15巻、第2版、204〜308ページで確認できる。
【0066】
本発明の組成物に用いるのに適したシリコーン流体は、米国特許第2,826,551号、米国特許第3,964,500号、米国特許第4,364,837号、英国特許849,433、及び「シリコン化合物(Silicon Compounds)」(Petrarch Systems,Inc刊、1984年)に開示されている。
【0067】
2.有機コンディショニングオイル
本発明の組成物の油性コンディショニング剤には、少なくとも1種類の有機コンディショニングオイルを単独で、あるいは前記のシリコーンなどの他のコンディショニング剤と組み合わせて含めることができる。
【0068】
a.炭化水素油
本発明の組成物においてコンディショニング剤として使用するのに適切な有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも約10個の炭素原子を有する炭化水素油、例えば、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分岐鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、これらのポリマー及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。直鎖炭化水素油は、好ましくは約C12〜約C19である。分岐鎖炭化水素油(炭化水素ポリマーを包含する)は典型的には19個より多い炭素原子を含める。
【0069】
これらの炭化水素油の具体例には、パラフィン油、鉱物油、飽和及び不飽和ドデカン、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テトラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、ポリブテン、ポリデセン、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物の分岐鎖異性体、並びにより長鎖の炭化水素の分岐鎖異性体も使用可能であり、これらの例としては、Permethyl Corporationから入手可能な2,2,4,4,6,6,8,8−ジメチル−10−メチルウンデカン及び2,2,4,4,6,6−ジメチル−8−メチルノナンが挙げられる。好ましい炭化水素ポリマーは、Amoco Chemical CorporationからL−14ポリブテンとして入手可能なポリブテン(イソブチレンとブテンのコポリマーなど)である。
【0070】
b.ポリオレフィン
本発明の組成物に用いる有機コンディショニングオイルには、液体ポリオレフィン、より好ましくは液体ポリ−α−オレフィン、より好ましくは水素添加液体ポリ−α−オレフィンも含めることができる。本明細書で用いるポリオレフィンは、C4〜約C14、好ましくは約C6〜約C12のオレフィンモノマーの重合によって調製する。
【0071】
本明細書のポリオレフィン液を製造するためのオレフィンモノマーの非限定的な例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、4−メチル−1−ペンテンのような分岐鎖異性体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、ポリオレフィン液を製造するのに適したものはオレフィン含有精製供給材料又は廃液である。
【0072】
c.脂肪酸エステル
本発明の組成物のコンディショニング剤として使用するのに適したその他の有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸エステルが挙げられる。これらの脂肪酸エステルには、脂肪酸又はアルコールから誘導させたヒドロカルビル鎖を有するエステルが含まれる。この脂肪酸エステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えばエトキシ又はエーテル結合等)のようなその他の適合性のある官能基をそこへ共有結合するか、又は包含してよい。
【0073】
好ましい脂肪酸エステルの具体例としては、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル、及びアジピン酸オレイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明の組成物に用いるのに適したその他の脂肪酸エステルは、多価アルコールエステルとして既知のものである。このような多価アルコールエステルには、アルキレングリコールエステルが含まれる。
【0075】
本発明の組成物に用いるのに適した更に他の脂肪酸エステルはグリセリドであり、これには、モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、好ましくはジ−及びトリ−グリセリド、より好ましくはトリグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。これらの種々の型の物質は、植物及び動物の油脂、例えばヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、とうもろこし油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカドオイル、パーム油、胡麻油、ラノリン及び大豆油から得ることができる。合成油には、トリオレイン及びトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
d.フッ素化コンディショニング化合物
有機コンディショニングオイルとして毛髪又は皮膚にコンディショニングを提供するのに適したフッ素化化合物としては、ペルフルオロポリエーテル、過フッ化オレフィン、前述したシリコーン流体のような流体又はエラストマーの形態を取り得るフッ素系特製ポリマー、及び過フッ化ジメチコンが挙げられる。適したフッ素化化合物の具体例としては、Ausimontから入手可能なHC/04、HC/25、HC01、HC/02、HC/03を含むFomblin製品ライン、Biosil Technologiesから入手可能な、Biosil Basics Fluoro Gerbet 3.5という通称のクエン酸ジオクチルドデシルフルオロエプチル、及びBiosil Technologiesから入手可能なBiosil Basics Fluorosil LFが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
e.脂肪族アルコール
本発明のパーソナルケア組成物に用いるのに適したその他の有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも約10個の炭素原子、より好ましくは約10〜約22個の炭素原子、最も好ましくは約12〜約16個の炭素原子を有する脂肪族アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明のパーソナルケア組成物に用いるのに適した脂肪族アルコールは、次の一般式に従うアルコキシル化脂肪族アルコールである。
【0078】
CH3(CH2nCH2(OCH2CH2pOH
式中、nは約8〜約20、好ましくは約10〜約14の正の整数であり、pは約1〜約30、好ましくは約2〜約23の正の整数である。
【0079】
f.アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体
本発明のパーソナルケア組成物に用いるのに適した有機コンディショニングオイルとしては、アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。適したアルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体の具体的かつ非限定的な例としては、Amercholから市販されているGlucam E−10、Glucam E−20、Glucam P−10、及びGlucquat 125が挙げられる。
【0080】
3.その他のコンディショニング剤
a.第四級アンモニウム化合物
本発明のパーソナルケア組成物にコンディショニング剤として用いるのに適した第四級アンモニウム化合物としては、アミド部分のようなカルボニル部分、又はリン酸エステル部分もしくは同様の親水性部分を有する長鎖置換基を有する親水性第四級アンモニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
有用な親水性第四級アンモニウム化合物の例としては、CTFA化粧品辞典(CTFA Cosmetic Dictionary)において、リシノールアミドプロピルトリモニウムクロリド、リシノールアミドトリモニウムエチルサルフェート、ヒドロキシステアルアミドプロピルトリモニウムメチルサルフェート、及びヒドロキシステアルアミドプロピルトリモニウムクロリドと表記されている化合物、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
他の有用な第四級アンモニウム界面活性剤の例としては、CTFA辞典に示されているような、クオタニウム−33、クオタニウム−43、イソステアルアミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、クオタニウム−22、及びクオタニウム26、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の組成物に有用なその他の親水性第四級アンモニウム化合物としては、クオタニウム−16、クオタニウム−27、クオタニウム−30、クオタニウム−52、クオタニウム−53、クオタニウム−56、クオタニウム−60、クオタニウム−61、クオタニウム−62、クオタニウム−63、クオタニウム−71、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
b.ポリエチレングリコール
コンディショニング剤として本明細書で有用な追加の化合物としては、CTFA名称PEG−200、PEG−400、PEG−600、PEG−1000、PEG−2M、PEG−7M、PEG−14M、PEG−45Mなどの、分子量が約2,000,000以下のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0085】
E.追加の構成成分
本発明のパーソナルケア組成物には、更に毛髪ケア又はパーソナルケア製品用として既知の追加成分を1つ以上、この追加成分が本明細書に記載の必須成分と物理的及び化学的に適合するか、製品の安定性、審美性、又は性能を過度に損なわない場合に含めてもよい。このような追加成分の個々の濃度は、パーソナルケア組成物の約0.001重量%〜約10重量%にすることができる。
【0086】
組成物に用いる追加成分の例としては、天然陽イオン沈着ポリマー、合成陽イオン沈着ポリマー、抗ふけ剤、粒子、懸濁剤、パラフィン系炭化水素、噴射剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒又は希釈剤(水溶性及び非水溶性)、真珠光沢助剤、起泡増進剤、追加の界面活性剤又は非イオン補助界面活性剤、殺シラミ剤、pH調整剤、香料、防腐剤、キレート剤、タンパク質、皮膚活性剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、及びビタミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
1.セルロース性又はグアー性陽イオン沈着ポリマー
本発明のパーソナルケア組成物は、更にセルロース性又はグアー性陽イオン沈着ポリマーを含んでもよい。一般に、このようなセルロース性又はグアー性陽イオン沈着ポリマーの濃度は、組成物の約0.05重量%〜約5重量%にすることができる。適したセルロース性又はグアー性陽イオン沈着ポリマーの分子量は約5,000超である。更に、このようなセルロース性又はグアー性沈着ポリマーの電荷密度は、パーソナルケア組成物の使用目的のpH下において約0.5meq/g〜約4.0meq/gであり、前記pHは一般に約pH3〜約pH9、好ましくは約pH4〜約pH8である。本発明の組成物のpHはそのままの状態で測定したものである。
【0088】
適したセルロース性又はグアー性陽イオン沈着ポリマーには、次の式に従うものが含まれる。
【0089】
【化2】

式中、Aはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基であり、Rはアルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、又はヒドロキシアルキレン基、もしくはこれらの組み合わせであり、R1、R2、及びR3は独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、もしくはアルコキシアリール基であり、各基は約18個までの炭素原子を含み、各陽イオン性部分の炭素原子の総数(即ち、R1、R2、及びR3にある炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xは陰イオン性対イオンである。このような対イオンの非限定的な例としては、ハロゲン化物(例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)、スルフェート及びメチルスルフェートが挙げられる。これらの多糖類ポリマーの陽イオン置換度は、一般に無水グルコース単位当たりの陽イオン性基が約0.01〜約1である。
【0090】
本発明のある実施形態では、セルロース性又はグアー性陽イオン沈着ポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であり、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム10と呼ばれており、Amerchol Corp.(米国、ニュージャージー州エジソン)から入手可能である。
【0091】
2.合成陽イオン沈着ポリマー
本発明のパーソナルケア組成物は、更に合成陽イオン沈着ポリマーを含んでいてもよい。一般に、このような合成陽イオン沈着ポリマーの濃度は、組成物の約0.025重量%〜約5重量%にすることができる。このような合成陽イオン沈着ポリマーの分子量は約1,000〜約5,000,000である。更に、このような合成陽イオン沈着ポリマーの電荷密度は約0.5meq/g〜約10meq/gである。
【0092】
適した合成陽イオン沈着ポリマーとしては、水溶性又は分散性の陽イオン性非架橋コンディショニングコポリマーのうち、(i)1つ以上の陽イオン性モノマー単位、及び(ii)1つ以上の非イオン性モノマー単位又は末端に負電荷を有するモノマー単位を有し、更に正味の正電荷、約0.5meq/g〜約10meq/gの陽イオン電荷密度、及び約1,000〜約5,000,000の平均分子量を有するものが挙げられる。
適した合成陽イオン沈着ポリマーの非限定的な例は、米国特許出願公開US2003/0223951A1号(Gearyら)に記載されている。
【0093】
3.抗ふけ活性物質
本発明の組成物は、更に抗ふけ活性物質を含んでもよい。抗ふけ活性物質の適した非限定的な例としては、ピリジンチオン塩、アゾール、硫化セレン、粒子状イオウ、角質溶解剤、及びこれらの混合物が挙げられる。このような抗ふけ活性物質は、物理的及び化学的に組成物の必須構成成分と適合すべきであり、さもなければ過度に製品の安定性、審美性、又は性能を損なうべきではない。
【0094】
ピリジンチオン抗菌剤及び抗ふけ剤は、例えば、米国特許第2,809,971号、米国特許第3,236,733号、米国特許第3,753,196号、米国特許第3,761,418号、米国特許第4,345,080号、米国特許第4,323,683号、米国特許第4,379,753号、及び米国特許第4,470,982号に記載されている。
【0095】
アゾール抗菌剤には、クリンバゾール及びケトコナゾールなどのイミダゾールが含まれる。
【0096】
硫化セレン化合物は、例えば、米国特許第2,694,668号、米国特許第3,152,046号、米国特許第4,089,945号、及び米国特許第4,885,107号に記載されている。
【0097】
イオウもまた、本発明の抗菌性組成物において粒子状抗菌性/抗ふけ剤として使用することができる。
【0098】
本発明は、サリチル酸のような1つ以上の角質溶解剤を更に含んでいてもよい。
【0099】
本発明の追加の抗菌活性物質は、コバノブラッシノキ(茶の木)及び炭の抽出物を含んでいてもよい。
【0100】
組成物中に存在する時、抗ふけ活性物質は、組成物の約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約2重量%の量で含まれる。
【0101】
4.粒子
本発明の組成物は、任意に粒子を含んでもよい。本発明に有用な粒子は、無機、合成、又は半合成にすることができる。本発明の組成物には、組成物の約20重量%以下、より好ましくは約10重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下の粒子を添加することが好ましい。本発明の実施形態では、粒子の平均粒径は約300μm未満である。
【0102】
無機粒子の例としては、コロイド状シリカ、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカゲル、ケイ酸マグネシウム、ガラス粒子、タルク、雲母、絹雲母、及び種々の天然及び合成粘土(ベントナイト、ヘクトライト、及びモンモリロナイトなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
合成粒子の例として、シリコーン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン(登録商標)など)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、及びアクリル粉末などが挙げられる。
【0104】
ハイブリッド粒子の例としては、絹雲母及び架橋ポリスチレンのハイブリッド粉末、雲母及びシリカのハイブリッド粉末が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
5.乳白剤
本発明の組成物は、更に1つ以上の乳白剤を含んでもよい。乳白剤は、一般に組成物に色や真珠光沢などの望ましい審美効果を付与するために洗浄組成物で使用されるものである。本発明の組成物には、組成物の約20重量%以下、より好ましくは約10重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下の乳白剤を添加することが好ましい。
【0106】
適した乳白剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、ポリメチルメタクリレート、微粉化テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、硫酸バリウム、アクリレートポリマー類、ケイ酸アルミニウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、チョーク、コーンスターチ、珪藻土、フラー土、グリセリルスターチ、水和シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、微結晶セルロース、コメデンプン、シリカ、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、ナイロン、シリル化シリカ、シルクパウダー、大豆粉、酸化第一スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末、又はこれらの混合物が挙げられる。上述の粉末は、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーンオイル、又は単独のもしくは組み合わせによる様々なその他の剤により表面処理されてもよく、これらは粉末表面をコーティングし粒子を性質上疎水性にする。
【0107】
乳白剤は、更に種々の有機及び無機顔料を含んでもよい。有機顔料は、一般に、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン染料などの種々の芳香族である。無機顔料としては、酸化鉄、ウルトラマリン、及びクロム又は水酸化クロムカラー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0108】
6.懸濁剤
本発明の組成物は、水不溶性物質を組成物中に分散させた形態において懸濁するために、又は組成物の粘度を変性するために有効な濃度で懸濁剤を更に含んでいてもよい。このような懸濁剤の濃度は、一般に組成物の約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.3重量%〜約5.0重量%である。
【0109】
本明細書で有用な懸濁剤としては、陰イオン性ポリマー及び非イオン性ポリマーが挙げられる。本明細書で有用な懸濁剤は、架橋アクリル酸ポリマー(CTFA名称カルボマー)などのビニルポリマーである。
【0110】
7.パラフィン系炭化水素
本発明の組成物は、1つ以上のパラフィン系炭化水素を含んでもよい。本発明の組成物に用いるのに適したパラフィン系炭化水素には、1atm(101.325kPa)における蒸気圧が約21°C(約70°F)以上のものなど、毛髪ケア組成物又はその他のパーソナルケア組成物用として既知の物質が含まれる。非限定的な例としては、ペンタン及びイソペンタンが挙げられる。
【0111】
8.噴射剤
本発明の組成物は、更に1つ以上の噴射剤を含んでもよい。本発明の組成物に用いるのに適した噴射剤には、液化ガス噴射剤及び圧縮ガス噴射剤などの、毛髪ケア組成物又はその他のパーソナルケア組成物に用いるのに既知の物質が含まれる。適した噴射剤は、1atm(101.325kPa)における蒸気圧が約21°C(約70°F)未満である。適した噴射剤の非限定的な例としては、アルカン、イソアルカン、ハロアルカン、ジメチルエーテル、窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0112】
9.その他の任意成分
本発明の組成物は、芳香剤を含んでもよい。
本発明の組成物は、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、パントテン酸、パントテニルエチルエーテル、パンテノール、ビオチン及びこれらの誘導体、並びにビタミンA、D、E、及びそれらの誘導体などの水溶性及び非水溶性ビタミンを含んでもよい。また、本発明の組成物は、アスパラギン、アラニン、インドール、グルタミン酸及びそれらの塩、並びにチロシン、トリプタミン、リジン、ヒスタジン及びこれらの塩などの水溶性及び非水溶性アミノ酸を含んでもよい。
本発明の組成物は、塩化ナトリウムなどの一価又は二価の塩を含んでもよい。
本発明の組成物はまた、キレート剤を含んでもよい。
本発明の組成物は、更に脱毛防止及び発毛促進剤又は発毛剤に有用な物質を含んでもよい。
【0113】
F.製造方法
本発明の組成物は一般に、室温又は高温、例えば約72°Cのいずれかにおいて、成分を共に混合することにより製造してもよい。固体成分が組成物中に存在する場合のみ熱を使用する必要がある。成分は、バッチ変性温度で混合する。電解質、ポリマー、芳香剤、及び粒子を含む追加成分は、室温で製品に添加してもよい。
【0114】
G.毛髪又は皮膚を処理する方法
本発明のパーソナルケア組成物は、従来の方法で、毛髪又は皮膚を洗浄及びコンディショニングするために用いられる。一般に、本発明の毛髪又は皮膚を処理する方法には、本発明のパーソナルケア組成物を毛髪又は皮膚に適用する工程が含まれる。更に詳細には、パーソナルケア組成物の有効量を好ましくは水でぬらした毛髪又は皮膚に適用して、その後、パーソナルケア組成物を洗い流す。こうした有効量は、一般に約1g〜約50g、好ましくは約1g〜約20gである。毛髪への適用作業には、典型的にはほとんど又は全ての毛髪が組成物と接触するように組成物を毛髪全体に行き渡らせることが含まれる。
【0115】
この毛髪又は皮膚を処理する方法には、(a)有効量のパーソナルケア組成物を毛髪又は皮膚に適用する工程、及び(b)組成物を適用した毛髪又は皮膚の領域を水ですすぐ工程が含まれる。所望の洗浄及びコンディショニング効果を達成するために、これらの工程を好きなだけ何回も繰返すことができる。
【0116】
本発明の方法の使用目的に合わせて、パーソナルケア組成物は、シャンプー、ボディウォッシュ、ジェル、ローション、クリーム、ムース、及びスプレーなどの種々の形態を取ることができる。これらの一部の形態では、パーソナルケア組成物をポンプ式ディスペンサーボトル又はエアゾール容器に包装してもよい。その他の有用な形態では、パーソナルケア組成物を乾燥させてフィルム又は粉末状にしたり、あるいはパーソナルケア組成物を基材に適用し、基材ごと毛髪又は皮膚に適用することができる。
【0117】
非限定的な実施例
以下の実施例に示す組成物は、本発明の組成物の具体的な実施形態を説明したものであるが、これらに限定することを意図したものではない。その他の変更は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実行される。例示したこれら本発明の組成物の実施形態は、コンディショニング剤の毛髪及び/又は皮膚への付着を増大させる。
【0118】
次の実施例で説明される組成物は、従来の配合及び混合方法によって調製するが、その例は上に記載してある。例示した全ての量は重量パーセントで示されており、別段の定めがない限り、希釈剤、防腐剤、着色剤溶液、イメージ成分、植物などの微量物質は除外してある。
【0119】
以下の実施例は、本発明のシャンプー組成物の代表的なものである。
【0120】
【表1】

1 陽イオンデンプン、MW=25,200、DS=0.50、CD=2.1meq/g
2 陽イオンデンプン、MW=79,600、DS=0.65、CD=2.5meq/g
3 両性デンプン、MW=85,000、第四級アンモニウム化合物DS=0.5meq/g、陰イオン
DS=0.5meq/g
4 29%活性のラウレス硫酸ナトリウム、供給元:P&G
5 29%活性のラウリル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
6 47.3%活性のアルキルグリセリルスルホン酸ナトリウム(AGS−1214)、供給元:P&G
7 Miranol C2M Conc NP、40%活性、供給元:Rhodia
8 Tegobetaine F−B、30%活性、供給元:Goldschmidt Chemicals
9 Promidium 2、供給元:Unichema
10 塩化ナトリウムUSP(食品等級)、供給元:Morton
【0121】
【表2】

1 陽イオンデンプン、MW=25,200、DS=0.50、CD=2.1meq/g
2 陽イオンデンプン、MW=79,600、DS=0.65、CD=2.5meq/g
3 両性デンプン、MW=85,000、第四級アンモニウム化合物DS=0.5meq/g、陰イオンDS=0.5meq/g
4 29%活性のラウレス硫酸ナトリウム、供給元:P&G
5 29%活性のラウリル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
6 ダウ・コーニング・シリコーンマイクロエマルションDC−1870、内相粘度=72,000、粒径30nmのジメチコノールでTEAドデシルベンゼンスルホネート及びラウレス23を主要界面活性剤として使用、25%活性シリコーン
7 ダウ・コーニング・サンプル2−1865、内相粘度=44Pa・s(44,000cps)、粒径30nmのジメチコノールでTEAドデシルベンゼンスルホネート及びラウレス23を主要界面活性剤として使用、25%活性シリコーン
8 ダウ・コーニング・サンプル2−1865、内相粘度=34Pa・s(34,000cps)、粒径30nmのジメチコノールでTEAドデシルベンゼンスルホネート及びラウレス23を主要界面活性剤として使用、25%活性
9 マイクロエマルション、内相粘度=25.4Pa・s(25,400cps)、粒径30nmのジメチコノール、Dow Corningの水蒸気ストリッピング方法により得られたD4<1%、25%活性シリコーン、供給元:Dow Corning
10 Miranol C2M Conc NP、40%活性、供給元:Rhodia
11 Tegobetaine F−B、30%活性、供給元:Goldschmidt Chemicals
12 Promidium 2、供給元:Unichema
13 Monamid CMA、供給元:Goldschmidt Chemical
14 塩化ナトリウムUSP(食品等級)、供給元:Morton
【0122】
【表3】

1 陽イオンデンプン、MW=25,200、DS=0.50、CD=2.1meq/g
2 陽イオンデンプン、MW=79,600、DS=0.65、CD=2.5meq/g
3 29%活性のラウレス硫酸ナトリウム、供給元:P&G
4 29%活性のラウリル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
5 Dow Corning DimethicoreエマルションDC−1664、粒径3ミクロン、50%活性
6 Miranol C2M Conc NP、40%活性、供給元:Rhodia
7 Tegobetaine F−B、30%活性、供給元:Goldschmidt Chemicals
8 Promidium 2、供給元:Unichema
9 エチレングリコールジステアレート、EGDS Pure、供給元:Goldschmidt Chemicals
10 塩化ナトリウムUSP(食品等級)、供給元:Morton
【0123】
【表4】

1 陽イオンデンプン、MW=25,200、DS=0.50、CD=2.1meq/g
2 陽イオンデンプン、MW=79,600、DS=0.65、CD=2.5meq/g
3 29%活性のラウレス硫酸ナトリウム、供給元:P&G
4 29%活性のラウリル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
5 Dimethicone Gum Viscasil 330M、粒径3ミクロン、50%活性、供給元:General Electric
6 Miranol C2M Conc NP、40%活性、供給元:Rhodia
7 Tegobetaine F−B、30%活性、供給元:Goldschmidt Chemicals
8 Promidium 2、供給元:Unichema
9 エチレングリコールジステアレート、EGDS Pure、供給元:Goldschmidt Chemicals
10 塩化ナトリウムUSP(食品等級)、供給元:Morton
【0124】
【表5】

1 陽イオンデンプン、MW=25,200、DS=0.50、CD=2.1meq/g
2 陽イオンデンプン、MW=79,600、DS=0.65、CD=2.5meq/g
3 ポリクオタニウム(Polyquaterium)10ポリマー、MW=2.0MM、電荷密度=0.7
4 UCare Polymer JR30M、MW=2.0MM、電荷密度=1.32meq/g、供給元:Dow Chemicals
5 UCare Polymer KG30M、MW=2.0MM、電荷密度=1.96meq/g、供給元:Dow Chemicals
6 Jaguar Excel、供給元:Rhodia
7 29%活性のラウレス硫酸ナトリウム、供給元:P&G
8 29%活性のラウリル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
9 Dow Corning Silicone Micro−emulsion DC−1870、内相粘度=72,000、粒径30nmのジメチコノールでTEAドデシルベンゼンスルホネート及びラウレス23を主要界面活性剤として使用、25%活性シリコーン
10 Dow Corningサンプル2−1865、内相粘度=44Pa・s(44,000cps)、粒径30nmのジメチコノールでTEAドデシルベンゼンスルホネート及びラウレス23を主要界面活性剤として使用、25%活性シリコーン
11 Dow Corningサンプル2−1865、内相粘度=34Pa・s(34,000cps)、粒径30nmのジメチコノールでTEAドデシルベンゼンスルホネート及びラウレス23を主要界面活性剤として使用、25%活性
12 マイクロエマルション、内相粘度=25.4Pa・s(25,400cps)、粒径30nmのジメチコノール、Dow Corningの水蒸気ストリッピング方法により得られたD4<1%、25%活性シリコーン、供給元:Dow Corning
13 Miranol C2M Conc NP、40%活性、供給元:Rhodia
14 Tegobetaine F−B、30%活性、供給元:Goldschmidt Chemicals
15 Promidium 2、供給元:Unichema
16 塩化ナトリウムUSP(食品等級)、供給元:Morton
【0125】
【表6】

1 陽イオンデンプン、MW=25,200、DS=0.50、CD=2.1meq/g
2 陽イオンデンプン、MW=79,600、DS=0.65、CD=2.5meq/g
3 29%活性のラウレス硫酸ナトリウム、供給元:P&G
4 29%活性のラウリル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
5 アミノシリコーン、供給元:General Electric、末端アミノプロピル置換、粘度350,000、
【0126】
【数1】

粒径3μm
6 DC2−8194アミノシリコーン、供給元:Dow Corning、粒径〜30nm
7 Cromollient SCE、供給元:Croda
8 Monamid CMA、供給元:Goldschmidt Chemical
9 Miranol C2M Conc NP、40%活性、供給元:Rhodia
10 Tegobetaine F−B、30%活性、供給元:Goldschmidt Chemical
11 Promidium2、供給元:Unichema
12 エチレングリコールジステアレート、EGDS Pure、供給元:Goldschmidt Chemicals
13 塩化ナトリウムUSP(食品等級)、供給元:Morton
以下の実施例は、本発明のボディウォッシュ組成物の代表的なものである。
【0127】
【表7】

1 陽イオンデンプン、MW=79,600、DS=0.65、CD=2.5meq/g
2 UCare Polymer JP、MW=2.0MM、電荷密度=0.7meq/g、供給元:Dow Chemicals
3 UCare Polymer KG30M、MW=2.0MM、電荷密度=1.96meq/g、供給元:Dow Chemicals
4 平均およそ3molのエトキシル化を有する29%活性のラウレス硫酸ナトリウム、供給元:P&G
5 29%活性のラウリル硫酸ナトリウム、供給元:P&G
6 DC2−1870、粒径30nmのジメチコンでTEAドデシルベンゼンスルホネート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルを主要界面活性剤として使用、供給元:Dow Corning
7 CO−1695、供給元:P&G
8 Stepan−MILD LSB、供給元:Steppan
9 Star、供給元:P&G
10 Tegobetaine(30%活性)、供給元:Goldschmidt(Degussa)
11 45%活性のSchercoteric MS−2、供給元:Scher Chemicals,Inc.)
12 Plantaren PS−100、供給元:Cognis Care Chemicals
13 Prolipid 151、供給元:ISP
14 Promidium 2、供給元:Unichema
15 Fomblin HC/04、供給元:Ausimont
16 塩化マグネシウム6−六水和物、供給元:Fisher Chemicals
17 塩化ナトリウムUSP(食品等級)、供給元:Morton
【0128】
本明細書で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれているが、いかなる文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることの容認として解釈すべきでない。
【0129】
本発明の特定の実施形態について説明及び記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明白である。従って、本発明の範囲内にある前記変更及び修正の全てを、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物であって、
a)0.01重量%〜10重量%の水溶性陽イオン変性デンプンポリマーであって、該水溶性陽イオン変性デンプンポリマーの分子量が1,000〜200,000、好ましくは5,000〜100,000であり、並びに電荷密度が0.7meq/g〜7meq/gであり、
b)5重量%〜50重量%の陰イオン性界面活性剤系であって、該陰イオン性界面活性剤系が少なくとも1つ以上の陰イオン性界面活性剤を含んでいるとともに、エトキシル化レベル及び陰イオン化レベルが
i)該エトキシル化レベルが1〜6、及び
ii)該陰イオン化レベルが1〜6
であり、そして
c)化粧品に許容可能な媒質
を含むパーソナルケア組成物。
【請求項2】
1つ以上の油性コンディショニング剤を0.01重量%〜10重量%、更に含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記油性コンディショニング剤と前記水溶性陽イオン変性デンプンポリマーとの比率が少なくとも2:1である、請求項2に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
前記油性コンディショニング剤が、不揮発性シリコーンオイル、炭化水素油、ポリオレフィン、脂肪酸エステル、フッ素化コンディショニング化合物、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項2又は3に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
前記水溶性陽イオン変性デンプンポリマーがマルトデキストリンを含み、デキストロース当量が35未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
前記水溶性陽イオン変性デンプンポリマーの陽イオン性基の置換度が0.2〜2.5である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
両性界面活性剤、双極性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から成る群から選択される1つ以上の界面活性剤を、更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
分子量が200,000超、電荷密度が0.15meq/g〜4.0meq/gのセルロース性又はグアー性陽イオン沈着ポリマーを0.05重量%〜5重量%、更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
前記セルロース性又はグアー性陽イオン沈着ポリマーの電荷密度が、前記陽イオン変性デンプンポリマーの電荷密度の1/4〜1/2である、請求項8に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項10】
分子量が1,000〜5,000,000、電荷密度が2meq/g〜10meq/gの合成陽イオン沈着ポリマーを0.025重量%〜5重量%、更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
分散非水溶性粒子、乳白剤、懸濁剤、抗ふけ剤、不揮発性パラフィン系炭化水素、及び噴射剤から成る群から選択される1つ以上の追加成分を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
毛髪又は皮膚を処理する方法であって、
a)請求項1〜11のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物を前記毛髪又は皮膚に適用すること、及び
b)前記毛髪又は皮膚を水ですすぐこと
を含む方法。

【公表番号】特表2008−505187(P2008−505187A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520432(P2007−520432)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023780
【国際公開番号】WO2006/014416
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】