説明

陽性粒子検出および陰性粒子検出の両方のための質量分析計

減圧チャンバー内のイオンのような陽性粒子および陰性粒子両方を測定するために適切な質量分析計。この質量分析計は、この陽性粒子および陰性粒子を分離するために適切な方向を有する適切な磁束をもつ継鉄のギャップを提供する整調可能な常磁性セグメントを備える。極性を変えることは、これらイオンの飛行を調節する。従って、負に荷電したイオンおよび正に荷電したイオンは、反対の極性の下で類似の飛行経路に従い、単一アレイの検出器の使用を可能にする。上記ギャップに適切な磁束を提供するために、上記整調可能な常磁性セグメントに代えて、またはそれに加えて、1つ以上のコイルが用いられ得、そして/またはこの整調可能な磁性セグメントの整調プロセスを容易にする。検出器は、検出器領域、2荷電モード増幅器、第1および第2のCCDシフトレジスターを備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、スイッチ可能な磁性セクション、このようなスイッチ可能な磁性セクションを備える質量分析計の二重焦点合わせセクションに関し、そしてより特定すれば、陽性および陰性両方の粒子検出のための質量分析計に関する。さらに、本発明は、例えば、本発明の質量分析計と、その他の分光光度計、クロマトグラフ、または任意のその他の特定の機器(単数または複数)との組み合わせのような、上記スイッチ可能な磁性セクションをもつ質量分析計を備える機器に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
質量分析計は、生命科学をモニターするプロセスから広がる多くの適用で広範に用いられている。過去60年の経過に亘り、広範な種類の機器が開発されている。新たな開発の焦点は、2つの群れにある:(1)高い質量解像度およびMS/MS能力をもつ、なおより高い質量範囲のための突進、および(2)小さなデスクトップMS機器の開発である。
【0003】
質量分析計は、複合混合物の分析のために、しばしば、ガスクロマトグラフ(GC/MS)と組み合わされる。これは、揮発性化合物(VOC)および準揮発性化合物(準VOC)分析の場合そうである。GC/MS機器は、代表的には、ガス入口システム(上記GCはこれの一部である)、イオン抽出器を備えた電子衝撃に基づくイオナイザー(EI)、イオンビームを焦点合わせし、イオン分離し、およびイオン検出するいくつかの光学的要素をもつ。イオン化はまた、化学的イオン化を経由して実行され得る。
【0004】
イオン分離は、時間ドメインまたは空間的ドメインで実施され得る。時間ドメインにおける質量分離の例は、飛行時間型質量分析計である。時間ドメイン分離は、一般に用いられる四重質量分析計で観察され得る。ここで、この「四重フィルター」は、イオナイザーから検出器に伝達される唯一の質量/荷電比を可能にする。全質量スペクトルは、この「質量フィルター」を通る質量範囲を走査することによって記録される。その他の時間ドメイン分離は、イオンエネルギーまたは磁場強度のいずれかが変動する磁場に基づき、ここで再び、この質量フィルターが、伝達される唯一の質量/荷電比を可能にし、そしてスペクトルは、この質量範囲を通る走査を通じて記録され得る。
【0005】
代替の概念は、イオンが磁場で空間的に分離され、そして位置感知検出器で検出される質量分析計である。二重焦点合わせ質量分析法の概念は、最初、1940年にMattauchおよびHerzog(MH)によって導入された(J.Mattauch、Ergebnisse der exakten Naturwissenschaften、第19巻、170〜236頁、1940、これは、その全体が参考として本明細書中に援用される)。
【0006】
二重焦点合わせは、拡散するエネルギーおよび拡散する空間的ビームの両方を再焦点合わせする機器の能力をいう。磁石および微細機械加工技術における近代の発達は、これら機器のサイズの劇的な減少を可能にする。VOCおよび準VOC分析をし得る質量分析計における焦点平面の長さは、数センチメートルまで減少している。
【0007】
小共焦点平面レイアウトMattauch−Herzog機器の代表的な仕様は以下に要約される:
電子衝撃イオン化、レニウムフィラメント
DC電圧および永久磁石
イオンエネルギー:0.5〜2.5kV DC
質量範囲:2〜200 D
ファラデーカップ検出器アレイまたはストリップ荷電検出器または電気光学的検出器
1011ゲインまでの積分操作増幅器
衝撃係数:>99%
読み出し時間:0.03秒〜10秒
感度:ストリップ荷電検出器で約10ppm
伝統的な機器では、イオン光学的要素は、減圧チャンバーフロア中、またはチャンバー壁上に取り付けられる。これらの光学的要素はまた、減圧ハウジングレイアウトの一体化部分であり得る。小さな機器では、しかし、これらイオン光学的要素は、「光学的ベンチ」として作用するベースプレート上に容易に構築され得る。このベンチは、上記イオン光学的要素のすべての要素を保持する。このベースプレートは、減圧フランジに対して取り付けられ、減圧下で質量分析計を操作するために必要な減圧シールを提供する。このベースプレートはまた、減圧フランジそれ自体であり得る。
【0008】
Mattauch−Herzogレイアウトにおけるイオン検出器は、位置感知検出器である。多くの概念が過去数十年間に亘り開発されてきた。最近の開発は、従前に用いられた電気工学的イオン検出(EOID)に対する代替として、半導体を基礎にする直接イオン検出に焦点をあてている。
【0009】
電気光学的検出器(EOID)は、マルチチャネルプレート(MCP)中のイオンを電子に変換し、これら電子を増幅し(同じMCP中)、そしてこれら(上記MCPから発せられる)電子で燐フィルムを照射する。燐フィルム上に形成されたイメージは、光ファイバーカップラーを経由して光ダイオードで記録される(その全体が参考として本明細書中に援用される米国特許第5,801,380号を参照のこと)。電気光学的イオン検出器(EOID)が、質量分析計の焦点平面に沿って空間的に分離されたイオンの同時測定のために意図される。このデバイスは、イオンを電子に、次いで光子に変換することにより作動し得る。これら光子は、このイオンで誘導される信号のイメージを形成する。これらイオンは、微細チャネル電子増倍管アレイ上に衝突することにより電子を生成する。これら電子は、光子イメージを生成する燐光体でコートされた光ファイバープレートに加速される。これらイメージは、光検出器アレイを用いて検出される。電気光学的イオン検出器(EOID)は、多くの方法で高度に有利であるが、それは複数の変換を必要とするので、比較的複雑である。さらに、燐光体の必要な使用から、それらは、検出器の動的範囲を制限し得る点で複雑であり得る。微細チャネルデバイスもまた、複雑であり得る。なぜなら、それは、印加されるべき高電圧、例えば、1KVを必要とし得るからである。これはまた、微細チャネルデバイスのような特定の構造物が、106 Torrのような減圧環境中に配置されることを要求し得る。これらのより高い圧力の操作では、この微細チャネルデバイスは、イオンフィードバックおよび電気放電を経験し得る。フリンジ磁界は、電子軌跡に影響し得る。等方性燐光放射もまた、解像度に影響し得る。質量分析計の解像度は、それ故、これらおよびその他の影響に起因して損なわれ得る。
【0010】
異なる形態に従って、直接荷電測定は、微細加工ファラデーカップ検出器アレイに基づき得る。ここでは、個々にアドレス可能なファラデーカップのアレイが、イオンビームをモニターする。このアレイの個々の要素中で収集された荷電は、マルチプレクサユニットを経由して増幅器に手渡される。このレイアウトは、必要な増幅器および貫通接続の数を減少する。この概念は、以下のような最近の刊行物に詳細に記載されている。「A.A.Scheidemann、R.B.Darling、F.J.Schumacher、およびA.Isakarov、Tech.Digest of the 14th Int.Forum on Process Anallytical Chem.(IFPAC−2000)、レーク ラスベガス、ネバダ、2000年1月23〜26日、アブストラクトI−067」;「R.B.Darling、A.A.Scheidemann、K.N.Bhat、およびT.−C.Chen,,Proc.of the 14th IEEE Int.Conf.on Micro Electro Mechanical Systems(MEMS−2001)、インターラーケン、スイス、2001年1月21〜25日、90〜93頁」;および「荷電粒子ビーム検出システム」と題する非仮特許出願第09/744,360号;これら3つのすべては、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0011】
質量分析計に関するその他の重要な参考文献には、Nier、D.J.Schlutter Rev.Sci.Instrum.56(2)、214〜219頁、1985;およびT.W.Burgoyneら、J.Am.Soc.Mass Spectrum 8、307〜318頁、1997;があり、これら両方は、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0012】
あるいは、特に低エネルギーイオンには、接地され、かつ絶縁されたバックグラウンド上の平坦金属細片(ストリップ荷電検出器(SCD))が、イオンビームをモニターするために用いられ得る。ここでも、荷電は、マルチプレクサを経由して増幅器に手渡される。
【0013】
非常に重要なイオン検出器アレイが、米国特許第6,576,899号に開示され、これもまた、その全体が参考として本明細書中に援用される。それはまた、シフトレジスターベース直接イオン検出器と称され得る。
【0014】
その出願は、例えば、質量分析計システム、例えば、測定の前に電子および光子の変換(例えば、EOID)なしで質量分析計デバイス中のイオンの直接測定を可能にする改変システムを備えたガスクロマトグラフィー−質量分析計(GC/MS)システムで用いられ得る、荷電感知システムを規定している。1つの事例では、それは、荷電連結デバイス(CCD)技術を用い得る。このCCD技術は、金属酸化物半導体を含み得る。このシステムは、この検出器を用いる、荷電粒子の直接検出および収集を用い得る。検出された荷電粒子は、CCDの一部と関連するシフトレジスター中に直接蓄積する等価なイメージ荷電を形成する。この信号荷電は、従来様式でこのCCDを通って単一の出力増幅器にクロックされ得る。このCCDは、全検出器について1つの荷電から電圧への変換増幅器のみを用いるので、検出器アレイ中の個々の要素の信号ゲインおよびオフセットが最小にされ得る。
Mattauch−Herzogレイアウトでは、検出器アレイは、ファラデーカップ検出器アレイもしくはストリップ荷電検出器のいずれか、または前記の検出器のその他のいずれかのタイプから構成され、磁石の出口に配置され得る。この位置は、一般に、「焦点平面」と称される。
【0015】
ファラデーカップ検出器アレイ(FCDA)は、ディープイオンエッチング(DRIE)により作製され得る。ストリップ荷電検出器(SCD)は、蒸着法により作製され得る。活性要素をもつダイス(FCDAまたはSCD)は、通常、レーザー切断または鋸引きのような従来技法でウエハーから切り出される。
【0016】
このFCDAまたはSCDダイスは、磁石の前面に保持される必要があり、そして「ファラデーカップ検出器アレイ」−「入力/出力」−「プリント回路ボード」(FCDA−I/O−PCB)と呼ばれる、検出器要素で収集された荷電を読み出すためのマルチプレクサおよび増幅器ユニットに電気的に接続される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
伝統的なMattauch−Herzog器具では、上記イオン光学的要素は、減圧チャンバー壁上に配置され、そして位置感知イオン検出器は、イオン飛行経路の出口フランジ上に取り付けられる。この配列は、減圧の外側に磁石を有する結果として要求される。上記マルチプレクサおよび増幅器ユニットもまた、伝統的なMattauch−Herzog機器の場合には、減圧チャンバーの外側に位置決めされる。
【0018】
本発明によれば、イオン光学的要素のすべてのパーツが「ベースプレート」上に配置されることが高度に好ましく、それ故、位置感知半導体を基礎にしたイオン検出器は、この同一ベースプレートに対して取り付けられ得る。しかし、本発明の特定の実施形態では、磁性セクションの一部は減圧下に、そして一部は大気圧下に存在し得る。さらに、マルチプレクサおよび増幅器ユニットもまた、減圧チャンバーの内側に位置決めされ得、これは、多くの利点を提示する。
【0019】
一般に、通常はイオンである検出される粒子は、陰性または陽性のいずれかであり得る。現在まで、陽性粒子を検出するために特定のクラスの機器が用いられ、そして陰性粒子を検出するために異なるクラスの機器が用いられている。
【0020】
本発明によれば、陽性粒子および陰性粒子の両方を検出および測定するために単一の器具が用いられている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の簡単な要旨)
前記のように、本発明は、スイッチ可能な磁気セクション、このようなスイッチ可能な磁気セクションを備える質量分析計の二重焦点合わせセクションに関し、そしてより詳細には、陽性および陰性両方の粒子検出のための質量分析計に関する。さらに、本発明は、例えば、本発明の質量分析計とその他の質量分析計、クロマトグラフ、または任意のその他の特定の機器(単数または複数)との組み合わせのような、上記のスイッチ可能な磁気セクションを備えた質量分析計を備える機器に関する。
【0022】
より詳細には、本発明は、以下を備える質量分析計のスイッチ可能な磁気セクションに関する:
上部ヨークセグメント;
該上部ヨークセグメントと対向する下部ヨークセグメント;および
N極およびS極を有し、該上部ヨークセグメントと下部ヨークセグメントとの間に、極の各々と個々のヨークセグメントの各々との間に磁石/ヨークギャップが存在するように配置される整調可能な永久磁石、を備え、
ここで、該上部ヨークセグメントおよび該下部ヨークセグメントが、その中で異なる質量のイオンが異なる経路に従う磁石ギャップまたは戻り磁束をさらに提供する。
【0023】
前記磁石/ヨークギャップは、前記分析計の作動の間に実質的にゼロであり、そして前記整調可能な永久磁石セグメントの整調を含む操作の間にゼロより大きくてもよい。
【0024】
前記磁石ヨークセグメントはまた、コイルをさらに備え得る。
【0025】
前記上部ヨークセグメントは第1のスライダー上に支持され得、該第1のスライダーが、第1のピストンによって第1のカラム上でスライドするように作動可能である。さらに、前記整調可能な磁石セグメントは第2のスライダー上に支持され得、該第2のスライダーが、第2のピストンによって第2のカラム上でスライドするように作動可能である。
【0026】
本発明はさらに、質量分析計に関し、これは、
減圧チャンバー;
該減圧チャンバー中に受容されるイオン供給源;
第1の時間で第1の配向の、そして第2の時間で第2の配向の、該減圧チャンバー中の磁場を選択的に生成するために作動可能な磁気アセンブリ;および
少なくとも1つの検出器領域、該検出器領域に連結された少なくとも2つの荷電モード増幅器、少なくとも2つのCCDシフトレジスター、第1の該荷電モード増幅器の1つに連結された第1の該CCDシフトレジスターの1つ、および第2の該荷電モード増幅器の1つに連結された第2の該CCDシフトレジスターの1つを備えるイオン検出器を備える。
【0027】
本発明におけるストリップ荷電コレクターは、好ましくは、米国特許第6,576,899B2における教示に従うリセットラインシステムに連結される。各々の新たな測定の前に、このシステムは、上記ストリップ荷電検出器から先の測定からの蓄積された荷電を排出するために用いられる。従って、このストリップ荷電検出器は、各新たな測定の前に所定の所望電位にセットされる。
【0028】
上記質量分析計は、さらに:
前記イオン供給源と前記イオン検出器との間の前記減圧チャンバー中に受容される1セットの移動光学的要素;および
該イオン供給源と該イオン検出器との間の該減圧チャンバー中に受容される静電セクター分析器をさらに備え得る。
【0029】
前記磁気アセンブリは、前記減圧チャンバーに対する回転のために取り付けられた永久磁石を備え得る。
【0030】
前記磁気アセンブリはまた、永久磁石およびヨークまたは磁束リターンを備え得、この磁石は、減圧チャンバーに対する回転のために位置決めされ得る。この磁気アセンブリはまた、前記減圧チャンバーの外側にそれに対する回転のために取り付けられた永久磁石を備え得る。この磁石ギャップまたは磁束リターンは、該減圧チャンバー内に少なくとも部分的に取り付けられ得る。
【0031】
前記磁気アセンブリは、磁束リターンの周りに巻かれたコイル、電流供給源、および第1の時間に第1の方向の、かつ第2の時間で第2の方向の該電流供給源から該コイルを通って流れる電流を生じるよう選択的に作動可能な少なくとも1つのスイッチを備える。
【0032】
本発明はまた、質量分析計を作動する方法に関し、この方法は:
第1の期間の間に減圧チャンバー中で第1の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程;
該第1の期間の間に該減圧チャンバー内の磁場に第1の荷電のイオンを注入する工程;
該第1の期間の間に第1の検出器領域で該第1の荷電のイオンを受容する工程;
第2の期間の間に該減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために該磁石を作動する工程;
該第2の期間の間に該減圧チャンバー内の磁場に第2の荷電のイオンを注入する工程;および
該第2の期間の間に第1の検出器領域で該第2の荷電のイオンを受容する工程、を包含する。
【0033】
この方法は:
前記第1の期間の間に、前記第1の検出器領域から第1の荷電モード増幅器に信号を提供する工程;および
前記第2の期間の間に、前記第1の検出器領域から第2の荷電モード増幅器に信号を提供する工程をさらに包含し得る。
【0034】
さらに、この方法は、前記第1の期間の間に、前記第1の荷電モード増幅器から第1のCCDシフトレジスターに信号を提供する工程;および
前記第2の期間の間に、前記第2の荷電モード増幅器から第2のCCDシフトレジスターに信号を提供する工程をさらに包含し得る。
【0035】
前記第2の期間の間に減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程は、第1の位置から第2の位置に永久磁石を回転する工程を包含し得る。
【0036】
また、前記第1の期間の間に減圧チャンバー中で第1の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程は、第1の位置に永久磁石を回転する工程を包含し得、そして前記第2の期間の間に該減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために該磁石を作動する工程は、該第1の位置から第2の位置に永久磁石を回転する工程を包含し得る。
【0037】
前記第2の期間の間に減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程は、第1の方向から第2の方向までコイルを通過する電流の方向をスイッチする工程を包含し得る。
【0038】
前記第1の期間の間に減圧チャンバー中で第1の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程は、第1の方向にコイルを通じて電流を供給する工程を包含し得、そして前記第2の期間の間に該減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために該磁石を作動する工程は、該第1の方向から第2の方向に該コイル中の電流流れの方向を変化する工程を包含し得る。
【0039】
本発明はさらに、質量分析計の磁気セクションを作動する方法に関し、該磁気セクションが上部ヨークセグメント、下部ヨークセグメント、およびN極およびS極を有する整調可能な永久磁石セグメントを備え、該整調可能な永久磁石が、該複数セグンメントの一方の側面の近傍で該上部ヨークセグメントと該下部ヨークセグメントとの間に配置され、該複数のセグメントが、該複数のセグメントの対向する側面に磁石ギャップをさらに有し:
該磁石ギャップ内で第1の極性を有するイオンの経路に影響することが所望されるとき、該N極を該上部ヨークセグメントに向かって、かつ該S極を該下部ヨークセグメントに向かって方向付けて第1の安定な位置をとる工程;
該磁石ギャップ内で第2の極性を有するイオンの経路に影響することが所望されるとき、該N極を該下部ヨークセグメントに向かって、かつ該S極を該上部ヨークセグメントに向かって方向付けて第2の安定な位置をとる工程であって、該第1の極性が該第2の極性と実質的に反対である工程を包含する。
【0040】
この方法は、前記第1の安定な位置および第2の安定な位置の1つから、個々の反対の位置に前記整調可能な永久磁石セグメントを回転することが所望されるとき、前記上部ヨークおよび下部ヨークセグメントの少なくとも1つに、該永久磁石セグメントによって提供される磁場とは反対の磁場を課す工程をさらに包含し得る。
【0041】
これら安定な位置は、上記整調可能な永久磁石セグメントが、それが自由に回転し、そして上記ヨークセグメントの引力により回転するときとる位置である。
【0042】
この方法はまた、前記整調可能な永久磁石セグメントが前記第1の安定な位置または第2の安定な位置にあるとき、前記整調可能な永久磁石セグメントの極を個々のヨークセグメントと実質的に接触させる工程をさらに包含し得る。
【0043】
さらに、この方法は、前記整調可能な永久磁石セグメントが、前記第1の安定な位置または第2の安定な位置にあること、およびそれから離れ回転されることが意図されることから選択される状況にあるとき、該整調可能な永久磁石セグメントの極と個々のヨークセグメントとの間の距離を維持する工程をさらに包含し得る。
【0044】
本発明はまた、質量分析計(MS)のみならず、質量分析計とその他の質量分析計との組み合わせ(例えば、MS/MS)、および本発明の整調可能な永久磁石セクションおよび/または電磁セクションを備えるガスクロマトグラフの質量分析計と組み合わせ(例えば、CG/MSおよびGC/GC/MS)に関する。本発明はさらに、制限されずに自動デバイスおよび電気スプレーデバイスを含む、質量分析計との組み合わせで用いられる種々の周辺機器に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の読者の理解は、描写する図面を組み合わせて考慮し、以下の詳細な説明を参照することによって増大され得る。
【0046】
(発明の詳細な説明)
前述のように、本発明は、スイッチ可能な磁気セクション、このようなスイッチ可能な磁気セクションを備える質量分析計の二重焦点合わせセクションに関し、そしてより詳細には、陽性および陰性両方の粒子検出のための質量分析計に関する。さらに、本発明は、例えば、本発明の質量分析計の、その他の分析計、クロマトグラフ、または任意のその他の特定の機器(単数または複数)との組み合わせのような、前述のスイッチ可能な磁気セクションを備えた質量分析計を備える機器に関する。
【0047】
ここで、図1を参照して、別個の先行するユニットであるガスクロマトグラフ装置12ともに、二重焦点合わせ質量分析計(Mattauch Herzogレイアウト)10の概略図がある。
【0048】
この二重焦点合わせ質量分析計10は、イオナイザー14、シャントおよびアパーチャ16、静電エネルギー分析器18、磁気セクション20、および共平面セクション22を備える。
【0049】
質量分析計(MS)の作動では、ガス状物質または蒸気が、直接またはガスクロマトグラフ12を通じてのいずれかで、イオナイザー14中に導入され、そこで、それは、電子により衝突され、それ故、イオンを生成し、このイオンは、上記シャントおよびアパーチャセクション16中で焦点合わせされ、イオンビーム24を形成する。順々に、それらは、同じ機械的エネルギーを有するようにされ、そしてそれらの荷電/質量比に従って、静電エネルギー分析器18、および磁気セクション20中でそれぞれ分離される。次いで、それらは、例えば、図2に示されるように、そして例えば、本明細書中に参考として援用される米国特許第5,801,380号に開示されるように、焦点平面セクション22中で検出される。このプロセスは、減圧ポンプ(図示せず)の使用とともに約10−5Torrの大きさの減圧下で生ずる。
【0050】
(液体注入器がかなりより一般的であるが)この特定の例においては、図1に示されるガスクロマトグラフ(GC)12は、サンプル注入器バルブVを備え、これは、サンプルの導入のための入口ポートS、このサンプルが、代表的には熱により、蒸発および/または分解し、そして分析されるべき一部(分析物と呼ばれる)が乾燥空気、水素、またはヘリウムのようなキャリアガスによって、キャピラリーカラムM(壁がコートされた開放管状、または多孔性層の開放管状、またはパックされたなど)まで運ばれた後の廃棄物のための出口ポートWを備え、このキャピラリーカラムMでその構成成分は、各構成成分または分析物と、微小ボアカラムMの壁の上にある定常相との間の異なる程度の相互作用によって分離され、このカラムMは、例えば、約50〜500μmの大きさのある程度小さい内径を有する。キャリアガスは、代表的には、0.2〜5atm.cm/秒で流れるが、例えば、20atm.cm/秒より高い流れが可能である。順番に、サンプルの雑多成分は、上記のように、さらなる分析計の分析のためにイオナイザーに侵入する。
【0051】
このキャピラリーチューブのボアが大きくなるほど、より大きな減圧ポンプが必要であり、そしてこのボアが小さくなるほど、流出液のピークが狭くなり、信号の大きな損失を生じる。一般に、このガス流れは、カラムの内径および長さ、ならびにキャリアガスの圧力および温度の関数である。ピークの幅は、再び、注入時間、カラムの定常相(例えば、極性、フィルム厚さ、カラム中の分布)、カラムの幅および長さ、温度およびガス速度の関数である。従って、妥協が決定されなければならない。この問題は、米国特許第6,046,451合によって取り扱われており、これは、本明細書中に参考として援用される。
【0052】
本発明の質量分析計は、非常に速く、その結果、狭いピーク幅でさえ、多くのスライスが収集され得、小キャピラリーボア、および小減圧ポンプでさえ、良好な性能を提供する。
【0053】
質量分析計(MSまたはGS/MS)の技術分野における主要な進行を提示するその他の特許は、米国特許第5,317,151号、米国特許第5,801,380号、米国特許第6,182,831B1号、米国特許第6,191,419B1号、米国特許第6,403,956B1号、および米国特許第6,576,899B2号であり、とりわけ、これら6つは、参考として本明細書中に参考として援用される。
【0054】
図2は、小型化質量分析計の主要構成要素またはMattauch−Herzogセクター10の撮影であり、これは、本発明による高度に好ましい形態である。ベースプレート28は、上記主要構成要素が存在する減圧スペースを覆うために減圧チャンバー(図示せず)に固定されるフランジ26の前面26A上に支持されている。
【0055】
これらすべての構成要素がベースプレート28上に支持され、これが、非常に頑健かつ正確な形態を生じることに注目することが重要である。さらに、減圧チャンバー壁上のこれら構成要素を取り付けるとき、次いで、減圧が、異なる圧力に起因して引かれるとき、この壁は移動する。わずかな動きでさえ、繊細な整列から抜け出し得る。しかし、本発明の事例におけるベースプレートは、このような動きから隔離され、そしてそれは減圧チャンバー内に存在するためにこのベースプレートのすべての側面上で圧力は等しいので、この整列は、このような負の影響から完全に単離されることが維持される。
【0056】
多くの減圧シールされた入力/圧力配線32が、減圧チャンバー内の構成要素(図示せず)と、この減圧チャンバーの外側のその他の構成要素との間の通信目的のためにこの減圧フランジ26上に配置される。
【0057】
イオナイザー14が、減圧フランジ26に近接して、ベースプレート28上に固定され、シャントとアパーチャとの組み合わせ16がイオナイザー14の前にある。フランジ26からさらに離れて、静電エネルギー分析器18が配置され、これもまた、ベースプレート28上に固定されている。
【0058】
順番に、磁気セクター20もまた、このベースプレート28上に固定される。この磁気セクター20は、ヨーク20B、およびこのヨーク20Bに取り付けられた磁石20Aを備える。このヨークは、高い磁束飽和値を有することが高度に望ましい。従って、少なくとも15,000Gの飽和値を有するヨーク20Bが好ましく、そしてより好ましいのは、20,000Gより多い飽和値を有するヨークである。このようなヨークは、hyperco−51A VNiFe合金から作製される。
【0059】
焦点平面セクション22は、磁気セクション20の前に配置され、その一方、可撓性ケーブル33は、焦点セクション22内に支持されたイオン検出器22A(示さず)から情報を受け、そしてそれを、好ましくはベースプレート28の下に配置されたマルチプレクサ/増幅器30に送達する。
【0060】
これらすべての構成要素がベースプレート28上に支持され、これが、非常に頑健かつ正確な形態を生じることに注目することが重要である。
【0061】
磁石設計に関し、磁石の容量および質量は、代表的には、磁石材料のエネルギー積値に反比例することに注目すべきである。代表的な磁石材料は、約5〜6MGOeのエネルギー積を有するAlnico Vである。その他の材料は、制限されずに、鋼鉄、Sm−Co合金およびNd−B−Fe合金を含む。不幸なことに、これら合金、そしてより特定すれば、Nd−B−Fe合金は、温度変動に対しかなりより高い感受性を有し、そして温度補償のための方法が、頻繁な機器校正およびその他の問題を避けるために必要であり得る。温度変動を補償するための1つの方法が米国特許第6,403,956B1号に開示かつ請求項に記載されている。しかし、その技術でさえ、より良好な温度補償および制御が、より正確な結果、およびかなりより少ない校正の必要性のために必要とされる。このような改良されたデバイスは、本発明者らの、「温度安定化された二重焦点合わせ分析計セクション」と題する、出願番号60/557920、書類番号ION406P1、2004年3月31日に出願され、本明細書中にその全体が参考として援用されるAdi Scheidemann、Gottfried Paul Gerhard KibelkaおよびEustathios Vassiliouの仮特許出願、そしてまた、「質量分析計の磁気セクションの安定化」と題する、出願番号第60/557,968D、書類番号ION410P1、2004年3月31日に出願され、本明細書中にその全体が参考として援用されるEustathios VassiliouおよびGottfried P.G.Kibelkaの本発明者らの仮特許出願に開示されている。
【0062】
以下の説明では、本発明の種々の実施形態の完全な理解を提供するために特定の具体的な詳細が提示される。しかし、当業者は、本発明がこれら詳細なくして実施され得ることを理解する。その他の例では、質量分析計に関連する周知の構造、減圧ポンプ、イオン供給源、シリコン製造、移動光学的要素および静電セクター分析器は、本発明の実施形態の記載を不必要にわかりにくくすることを避けるために詳細には示されないか、または説明されていない。
【0063】
文脈がそうでないことを要求しない限り、以下の明細書および請求の範囲を通じ、用語「包含する」、ならびに「含む」および「備える」のようなその類似語は、開放し、包含する意味、すなわち、「含むが、制限されない」で解釈されるべきである。
【0064】
本明細書の全体を通じ、「1つの実施形態」または「実施形態」への参照は、その実施形態とともに説明される特定の特色、構造または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書の全体を通じ、種々の場所における語句「1つの実施形態では」または「実施形態では」の出現は、同じ実施形態にすべて参照しているのでは必ずしもない。さらに、上記特定の特色、構造、または特徴は、1つ以上の実施形態では、任意の適切な様式で組み合わされ得る。
【0065】
本明細書中で提供される見出しは、簡便さのみのためであり、そして請求項に記載の範囲または意味を解釈するものではない。
【0066】
より詳細には、図4により良好に示されるように、本発明は、集合的にヨーク20Bと称される上部ヨークセグメント20B1、およびこの上部ヨークセグメント20B1に対向する下部ヨークセグメント20B2を備える。N極NおよびS極Sを有する整調可能な永久磁石セグメント20AAは、この2つの対向するヨークセグメント20B1と20B2との間に配置される。このヨーク20Bは、磁石ギャップ20Cを有し、その中で、異なる質量のイオンは、異なる経路に従う。
【0067】
この整調可能な永久磁石セグメント20AAは、好ましくは1mmより小さい、そして好ましくは0.1mmの位数の、小さな磁石/ヨークギャップ20Dによって分離され得るか、またはそれは、好ましくは所定厚みの潤滑剤により分離されて実質的に接触していてもよい。このような潤滑剤は、減圧チャンバー15内側の使用のために油は用いることはできないので好ましくはテフロン(登録商標)またはグラファイトである。上記磁石ギャップ20C内ではできるだけ高い磁場を有することが所望されるので、上記磁石/ヨークギャップ20Dは、できるだけ小さくあるべきである。しかし、この磁石/ヨークギャップ20Dが小さくなるほど、少なくとも最初の90度についてこの整調可能な永久磁石セグメント20AAを回転することがより困難になる。この磁石/ヨークギャップ20Dがゼロに接近する場合、すべての実施の目的に、この回転は、不可能になる傾向がある。この問題は、本明細書中に説明されるように、本発明の多くの実施形態によって取り扱われ、かつ解決される。また、最適性能のために、上記永久磁石の両側面は平坦であり、かつこの磁石の上のヨークの両側面と同一平面上にあることが所望される。
【0068】
この実施形態の作動では、この整調可能な永久磁石セグメント20AAは、ヨークセグメント20B1および20B2に対して1つの方向または反対の方向にN極NおよびS極Sを有する様式で回転される。この方向に依存して、磁石ギャップ20Cは、この磁石ギャップ20Cの前に位置するイオン検出器(明瞭さの目的で示されていない)によって陽性イオンまたは陰性イオンを検出するために適切になる。
【0069】
形成され、そして検出されるべきイオンの極性に依存して、イオナイザー14、シャントおよびアパーチャ16、および静電分析器18の構成要素は、当該技術分野で周知の技法により適切な電位および極性をとらなければならないことに注目すべきである。
【0070】
図5により良好に示される、本発明の異なる実施形態では、このヨークは、コイル31をさらに備える。ベースプレート28は、コイル31の1つを収容するために凹部28Aを有する。
【0071】
この実施形態の作動は、先の実施形態の作動と類似し、整調可能な永久磁石セグメント20AAを回転することが所望されるとき、コイルが電流により、当該技術分野で周知の技法により、この磁石の引力の方向を脱安定化し、そしてこの磁石が反対の方向に回転する傾向を有するようにするような方向のヨーク上に磁場を提供するような様式で活性化される。これは、永久磁石の力に反対に作用することを支援する。この操作を実施することにより、この磁石を回転することが非常に容易であり、そしてそれが90度より多く回転した後、整調可能な永久磁石セグメント20AAの傾向は、コイル31により生成される電磁場の支援なくしてでさえ、回転を継続することである。この活性化されるコイル31を有するために必要な時間の持続時間は多くてもそれが整調可能な永久磁石セグメント20AAを180度回転するためにかかる長さの時間であるので、必要なエネルギーは最小である。
【0072】
図6は、陰性に荷電したイオンおよび陽性に荷電したイオンの両方を検出または測定し得る共焦点平面または二重焦点合わせ質量分析計10を概略的に示す。この質量分析計10は、イオン供給源14、それぞれ移動光学的要素および静電セクター分析器16および18、減圧チャンバー15、減圧チャンバー15内に減圧またはほぼ減圧状態を生成するために連結された1つ以上の減圧ポンプ(示さず)、減圧チャンバー15内に磁場を生成し得る磁気セクション20、および焦点平面22にあるイオン検出器22Aを含む。図6に示されるように、イオンは、最初、比較的真っ直ぐな経路17に従い、最終的に、磁場の影響下で湾曲した経路19に従う。
【0073】
上記イオン供給源14、それぞれ移動光学的要素および静電セクター分析器16および18、および焦点平面22にあるイオン検出器22Aは、減圧チャンバー15内に収容されている。図6に示されるように、磁気セクション20は、減圧チャンバー15中に収容され得る。
【0074】
イオン供給源14は、電気スプレーまたは大気圧イオン化を採用し得、そして特に試験されるべき分子が水溶液中に存在する場合、スプレーニードルの形態をとり得る。
【0075】
以下により詳細に論議される、焦点平面22にあるイオン検出器22Aは、ある時間に陰性に荷電した粒子を、そして別の時間に陽性に荷電した粒子を両方検出し得る。代表的には、このイオン検出器22Aが両方の極性の粒子を同時に検出することは必ずしも必要ではない。稼動内の迅速なスイッチングがしばしば要求される。例えば、しばしば10秒以内、好ましくは1秒以内、そしてより好ましくは0.1秒である。このような場合には、永久磁石の代わりに電磁石が要求され得る。
【0076】
以下により詳細に論議されるように、磁気セクション20は、永久磁石セグメント20AA、磁束リターンまたはヨーク20B、そして必要に応じて極23(図7)を含み得る。
【0077】
作動において、磁気セクション20は、減圧チャンバー15中の磁場の極性または配向の選択を可能にするようである。極性を変化することは、イオンの飛行経路を調節する。従って、陰性に荷電したイオンおよび陽性に荷電したイオンは、反対の極性の下では同様の飛行経路に従い、焦点平面22における検出器の単一アレイの使用を可能にする。
【0078】
いくつかの実施形態では、図7に示されるそれのように、磁気セクション20は、磁束リターンまたはヨーク20Bにおける回転のために取り付けられた永久磁石セグメント20AAを含む。この永久磁石セグメント20AAを単に回転することは、減圧チャンバー15中の磁場の極性を変更する。図7はまた、随意の極23を示す。図7の磁気セクション20は、図6に示されるような減圧チャンバー15内に位置決めされるために特に適切である。
【0079】
図7を続けて参照し、作動において、十分に長いレバーアームまたはハンドル25は、この減圧チャンバー15内の磁場の極性を変更するために永久磁石セグメント20AAの手動回転を可能にする。あるいは、質量分析計10は、例えば、圧縮空気またはその他のガス、電気モーターおよび1つ以上のかみあいギアのようなトランスミッション、ソレノイド、またはその他のアクチュエーターを経由する、永久磁石を回転するための機械的手段を含み得る。永久磁石セグメント20AAの使用は、電磁石に対し有意な利点を提供し、システム冷却負荷を低減すること、校正安定性を改良すること、およびより小さな小型システム設計を許容する。
【0080】
勿論、永久磁石セグメント20AAの回転力を低減するための、永久磁石セグメント20AAの電磁石31の組み合わせ(図5)は、前述のように、大きな利点を提供する。
【0081】
図8は、少なくとも部分的に減圧チャンバー15の外側に位置する磁気セクション20を有する質量分析計10の実施形態を概略的に示す。磁気セクション20を減圧チャンバー15の外側に部分的に配置することは、多くの別個の利点、特に、磁気セクション20が回転永久磁石セグメント20AAを含む場合に提供する。例えば、潤滑のために容易な接近を提供するため、およびそうでなければ、永久磁石セグメント20AAの回転に応答して生じ得る外からのガス侵入事象を、減圧を汚染することから防ぐためである。この回転する永久磁石セグメント20AAを、減圧チャンバー15の外側に配置することはまた、構造を簡単にし、減圧チャンバー15中への「共通貫通」上のシールの必要性をなくする。上記で論議されたように、上記分析計10は、磁場を配向するために永久磁石セグメント20AAを回転するための種々の手段を採用し得る。さらに、好ましくは、コイルが、熱移動を容易にするために減圧チャンバーの外側に位置決めされる。
【0082】
図9は、磁気アセンブリ18の磁束リターンまたはヨーク20Bの一部分が減圧チャンバー15内に配置され、そして磁気セクション20の永久磁石セグメント20AAが減圧チャンバー15の外側に位置決めされる質量分析計10の実施形態を示す。図9の磁気セクション20は、例えば、図8に示されるような、減圧チャンバー15中に部分的に位置決めされるために特に適切である。この永久磁石セグメント20AAは、シャフト上に取り付けられ得るか、またはシリンダーもしくは円滑な低摩擦回転のために適切なその他の構造中に包囲され得る。
【0083】
図10は、電磁石29および磁束リターンまたはヨーク20Bを採用する磁気セクション20を示す。磁束リターンまたはヨーク20Bの一部の周りに巻かれたコイル31は、電流供給源34に選択的に接続され、磁場を生成する。この磁気セクション20は、コイル31を通る方向性の電流流れを手動または自動的いずれかで選択するよう選択的に作動可能な1つ以上のスイッチを採用し得る。従って、磁場の極性は、この1つ以上のスイッチ36を単に操作し、コイル31を通る電流の流れを逆転することにより変更され得る。
【0084】
図11は、イオン検出器22Aをより詳細に示す。このイオン検出器22Aは、本明細書に参考として援用される米国特許第6,576,899号に記載されるのと類似の形態をとり得る。しかし、この米国特許第6,576,899号に記載されるイオン検出器は、陽性または陰性いずれかの1つのタイプのイオンを測定し得るのみである。
【0085】
両方の極性のイオンを測定するために、このイオン検出器22Aの基板40上の各検出器領域38a〜38n(特許6,576,899、位置100−105−110−115を参照のこと)は、2荷電モード増幅器42a〜42nおよび44a〜44nにそれぞれ連結されている。第1のセットの荷電モード増幅器42a〜42nは、第1のCCDシフトレジスター46aに連結され、その一方、第2のセットのこの荷電モード増幅器44a〜44nは、第2のCCDシフトレジスター46bに連結されている。
【0086】
従って、現存するCCDベースのイオン検出器22Aが、設計中にn−チャネルおよびp−チャネルCCD技術の両方を取り込むことによって、陽性イオンおよび陰性イオンの両方を検出するために改変され得る。従前の設計は、陽性イオンを検出するために、ファラデーカップとして供される金属電極に連結されるn−チャネル荷電モード増幅器を利用する。この新たな実施形態では、陰性イオン検出のためにp−チャネル荷電モード増幅器を使用するようにする。このさらなる構造は、標準的なCCDプロセスフローにn−ウェル技術の付加により取り込まれ、そして単一の半導体チップ上に容易に形成され得る。
【0087】
この陰性イオンチャネルは、陽性イオン検出器チャネルの検出電極を共有し、オペレーターまたは指令コンピューターにより制御される許可スイッチのバンクにより一方または他方(両方同時にではない)が選択される。陰性イオンチャネルに対する荷電読み取りは、陽性イオンについて現存するCCD読み出し構造(示さず)を共有することにより、またはこの操作のために特別に第2のCCD読み出し構造(示さず)を取り込むことにより、いずれかで達成される。
【0088】
上記に記載の形態は、モニターされるべき極性の選択を可能にする。
【0089】
磁石ギャップ20C(図4および5)中の磁場は、上記整調可能な永久磁石セグメント20AAが2つの対向するヨークセグメント20B1および20B2に接触する場合に最大になることは明瞭である。従来の状況下では、これは、整調プロセスの間に永久磁石セグメント20AAから対向するヨークセグメント20B1および20B2を分離する方法がなければ、この永久磁石セグメント20AAの整調を実際不可能にするであろう。しかし、このような分離は、分離のプロセスの間に達成されるべき過剰のエネルギーを必要とする大きな力を必要とし得る。
【0090】
この問題は、図12および13により良好に示される、本発明の別の実施形態によって解決される。この実施形態によれば、上部ヨークセグメント20B1は、第1のピストン54Aによって第1のカラム52A上をスライドするように作動可能である、第1のスライダー50A上に支持される。
【0091】
上記と同様な様式で、上記整調可能な永久磁石セグメント20AAは、第2のピストン54Bによって第2のカラム52B上をスライドするように適合可能である、第2のスライダー50B上に支持される。
【0092】
この第1および第2のピストン54Aおよび54Bは、それぞれ、例えば、電磁力、水力、空気力などのような、任意のタイプのピストンであり得る。
【0093】
下部ヨークセグメント20B2は、好ましくは、ベースプレート28上に支持される。
【0094】
この実施形態の作動では、最初、この上部および下部ヨークセグメント20B1および20B2は、上記整調可能な永久磁石セグメント20AAと接触している。この整調可能な永久磁石セグメント20AAを回転することが所望されるとき、上記コイル31は、上部ヨークセグメント20B1および下部磁気セグメント20B2に、この整調可能な永久磁石セグメント20AAの引力に少なくとも部分的に反対に作用するような強度の磁場を提供するようにされる。順番に、上記第1のピストン54Aは第1のスライダー50Aを持ち上げ(図12)、これは、上部ヨークセグメント20B1を整調可能な磁石セグメント20AAから分離する。この作用は、コイル31によって提供される反対に作用する磁場に起因して最小の力のみを必要とし、上部ヨークセグメント20B1は、もはや強力に引かれないか、またはそれは、この整調可能な磁石セグメント20AAによって、反発されさえされる。順番に、または同時に、第2のピストン54Bは、第2のスライダー50Bを持ち上げ(図13)、これは、下部ヨークセグメント20B2を、上記磁石セグメント20AAから分離する。この作用は、コイル31によって提供される反対に作用する磁場に起因して最小の力のみを必要とし、下部ヨークセグメント20B2は、もはや強力に引かれないか、またはそれは、この整調可能な磁石セグメント20AAによって、反発されさえされる。
【0095】
この分離の後、上記整調可能な磁石セグメント20AAは、実質的に180度容易に回転され、コイル31は活性化されなくされ、そしてこれらピストン54Aおよび54Bは、個々のスライダー50Aおよび50Bを解放し、それ故、上部ヨークセグメント20B1および下部ヨークセグメント20B2が整調可能な磁石セグメント20AAとの接触に戻ることを可能にする。水力システム(ガスまたは液体)は、けた違いの一緒の効果を防ぐことを支援し得る。また、上記コイルを逆に用いて、閉鎖を容易にするための電力を段階的に減少し得る。勿論、移動構成要素の上下の適正なシークエンスが必要である。
【0096】
そのように所望される場合、コイル31は、反対の方向に活性化され得、磁石ギャップ20C(図5)中の磁場を補強する。また、これらコイルは、例えば、本明細書中に参考として援用される本発明者らの同時係属中の仮出願第60/557,968号に開示されるように、磁石ギャップ20C内の温度変動に起因する磁場変動を補償するために用いられ得る。
【0097】
本発明はまた、本発明の整調可能な永久磁石セクションを備える、質量分析計のその他の質量分析計との組み合わせ(例えば、MS/MS)、および質量分析計とのガスクロマトグラフの組み合わせ(例えば、GC/MSおよびGC/GC/MS)に関する。本発明は、さらに、自動サンプリングデバイスおよび電気スプレーデバイスを制限されないで含む、質量分析計との組み合わせで用いられる種々の周辺機器に関する。
【0098】
上記に提示された実施形態は、ストリップ荷電検出器アレイ、ファラデーカップ検出器アレイ、およびシフトレジスターを基礎にする直接イオン検出チップに言及しているが、本発明は、任意のタイプのイオン検出器アレイに関する。
【0099】
本発明の作動を示す実施形態の例は、例示目的のみのためにここで与えられ、そしていかなる様式においても本発明の範囲を限定する、または制限として解釈されるべきではない。
【0100】
例示の実施形態の1つで記載される任意の特徴(単数または複数)は、本発明によるその他の例示の実施形態に取り込まれた任意の特徴と組み合わせられ得る。
【0101】
与えられた任意の説明は、推測的であり、そして請求項の範囲を制限すべきではない。
【0102】
異なる図面中の同じ参照番号は、同一であるか、または等価な要素または機能を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、ガスクロマトグラフに接続されたMattauch Herzog分析計の概略図を示す。
【図2】図2は、小型Mattauch Herzog分析計の減圧部分の撮影であり、減圧フランジ、ベースプレート、イオナイザー、静電エネルギー分析器、磁気セクション、および焦点平面セクションを含む。
【図3】図3は、図2におけるようなMattauch Herzog分析計の斜視図であり、減圧フランジ、ベースプレート、イオナイザー、静電エネルギー分析器、磁気セクション、および磁気セクションを含む。上記焦点プレーンセクションは明瞭さの目的のために示されていない。
【図4】図4は、図2におけるのと同様のMattauch Herzog分析計の斜視図であり、減圧フランジ、ベースプレート、イオナイザー、静電エネルギー分析器、および本発明の好ましい実施形態によるスイッチ可能な磁気セクションを含む。上記焦点プレーンセクションは明瞭さの目的のために示されていない。
【図5】図5は、図2におけるのと同様のMattauch Herzog分析計の斜視図であり、減圧フランジ、ベースプレート、イオナイザー、静電エネルギー分析器、および本発明の別の好ましい実施形態による電磁コイルをともなうスイッチ可能な磁気セクションを含む。上記焦点プレーンセクションは明瞭さの目的のために示されていない。
【図6】図6は、イオン供給源、移動光学的要素、静電セクター分析器、磁石アセンブリ、減圧チャンバーおよびイオン検出器を備える共焦点平面質量分析計の概略図であり、ここで、この磁石アセンブリは、減圧チャンバー内に位置決めされ、そしてこの減圧チャンバー内で選択的に反対の極性をもつ磁場を生成し得、そしてこのイオン検出器は、ある時間に陰性に荷電した粒子を、そして別の時間に陽性に荷電した粒子の両方を検出し得る。
【図7】図7は、減圧ハウジング内側に取り付けるために適切な磁石アセンブリの概略図である。
【図8】図8は、イオン供給源、移動光学的要素、静電セクター分析器、磁石アセンブリ、減圧チャンバーおよびイオン検出器を備える共焦点平面質量分析計の概略図であり、ここで、この磁石アセンブリの少なくとも一部分は、減圧チャンバーの外側に位置決めされ、かつこの減圧チャンバー内で選択的に反対の極性をもつ磁場を生成し得、そしてこのイオン検出器は、ある時間に陰性に荷電した粒子を、そして別の時間に陽性に荷電した粒子の両方を検出し得る。
【図9】図9は、減圧チャンバーの外側に取り付けられた永久磁石およびこの減圧チャンバー内に少なくとも部分的に取り付けられた磁束リターンを備える磁石アセンブリの概略図である。
【図10】図10は、電磁気を採用する磁石アセンブリの概略図である。
【図11】図11は、共焦点平面質量分析計との使用のために適切なイオン検出器の示された実施形態の電気的概略図である。
【図12】図12は、スイッチ可能な磁気セクションの上部コアセグメントのための評価システムの概略図である。
【図13】図13は、スイッチ可能な磁気セクションの永久磁石セグメントのための評価システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析計を備える機器であって、該質量分析計が:
減圧チャンバー;
該減圧チャンバー中に受容されるイオン供給源;
第1の時間で第1の配向の、そして第2の時間で第2の配向の、該減圧チャンバー中の磁場を選択的に生成するために作動可能な磁気アセンブリ;および
少なくとも1つの検出器領域、該検出器領域に連結された少なくとも2つの荷電モード増幅器、少なくとも2つのCCDシフトレジスター、第1の該荷電モード増幅器の1つに連結された第1の該CCDシフトレジスターの1つ、および第2の該荷電モード増幅器の1つに連結された第2の該CCDシフトレジスターの1つを備えるイオン検出器を備える、機器。
【請求項2】
前記質量分析計が:
前記イオン供給源と前記イオン検出器との間の前記減圧チャンバー中に受容される1セットの移動光学的要素;および
該イオン供給源と該イオン検出器との間の該減圧チャンバー中に受容される静電セクター分析器をさらに備える、請求項1に規定される機器。
【請求項3】
前記磁気アセンブリが、前記減圧チャンバーに対する回転のために取り付けられた永久磁石を備える、請求項1に規定される機器。
【請求項4】
前記磁気アセンブリが、永久磁石および磁束リターン、減圧チャンバーに対する回転のために取り付けられた永久磁石を備える、請求項1に規定される機器。
【請求項5】
前記磁気アセンブリが、前記減圧チャンバー内にそれに対する回転のために取り付けられた永久磁石を備える、請求項1に規定される機器。
【請求項6】
前記磁気アセンブリが、前記減圧チャンバーの外側にそれに対する回転のために取り付けられた永久磁石を備える、請求項1に規定される機器。
【請求項7】
前記磁気アセンブリが、前記減圧チャンバーの外側にそれに対する回転のために取り付けられた永久磁石、および該減圧チャンバー内に少なくとも部分的に取り付けられた磁束リターンを備える、請求項1に規定される機器。
【請求項8】
前記磁気アセンブリが、磁束リターンの周りに巻かれたコイル、電流供給源、および第1の時間に第1の方向の、かつ第2の時間で第2の方向の該電流供給源から該コイルを通る電流を生じるよう選択的に作動可能な少なくとも1つのスイッチを備える、請求項1に規定される機器。
【請求項9】
質量分析計を作動する方法であって:
第1の期間の間に減圧チャンバー中で第1の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程;
該第1の期間の間に該減圧チャンバー内の磁場に第1の荷電のイオンを注入する工程;
該第1の期間の間に第1の検出器領域で該第1の荷電のイオンを受容する工程;
第2の期間の間に該減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために該磁石を作動する工程;
該第2の期間の間に該減圧チャンバー内の磁場に第2の荷電のイオンを注入する工程;および
該第2の期間の間に第1の検出器領域で該第2の荷電のイオンを受容する工程、を包含する、方法。
【請求項10】
前記第1の期間の間に、前記第1の検出器領域から第1の荷電モード増幅器に信号を提供する工程;および
前記第2の期間の間に、前記第1の検出器領域から第2の荷電モード増幅器に信号を提供する工程をさらに包含する、請求項9に規定される方法。
【請求項11】
前記第1の期間の間に、前記第1の荷電モード増幅器から第1のCCDシフトレジスターに信号を提供する工程;および
前記第2の期間の間に、前記第2の荷電モード増幅器から第2のCCDシフトレジスターに信号を提供する工程をさらに包含する、請求項10に規定される方法。
【請求項12】
前記第2の期間の間に減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程が、第1の位置から第2の位置に永久磁石を回転する工程を包含する、請求項9に規定される方法。
【請求項13】
前記第1の期間の間に減圧チャンバー中で第1の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程が、第1の位置に永久磁石を回転する工程を包含し、そして前記第2の期間の間に該減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために該磁石を作動する工程が、該第1の位置から第2の位置に永久磁石を回転する工程を包含する、請求項9に規定される方法。
【請求項14】
前記第2の期間の間に減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程が、第1の方向から第2の方向までコイルを通過する電流の方向をスイッチする工程を包含する、請求項9に規定される方法。
【請求項15】
前記第1の期間の間に減圧チャンバー中で第1の配向を有する磁場を生成するために磁石を作動する工程が、第1の方向にコイルを通じて電流を供給する工程を包含し、そして前記第2の期間の間に該減圧チャンバー中で第2の配向を有する磁場を生成するために該磁石を作動する工程が、該第1の方向から第2の方向に該コイル中の電流流れの方向を変化する工程を包含する、請求項9に規定される方法。
【請求項16】
質量分析計のスイッチ可能な磁気セクションであって:
上部ヨークセグメント;
該上部ヨークセグメントと対向する下部ヨークセグメント;および
N極およびS極を有し、該上部ヨークセグメントと該下部ヨークセグメントとの間に、極の各々と個々のヨークセグメントの各々との間に磁石/ヨークギャップが存在するように配置される整調可能な永久磁石、を備え、
ここで、該上部ヨークセグメントおよび該下部ヨークセグメントが、その中で異なる質量のイオンが異なる経路に従う磁石ギャップまたは戻り磁束をさらに提供する、スイッチ可能な磁気セクション。
【請求項17】
前記磁石/ヨークギャップが、前記分析計の作動の間に実質的にゼロであり、そして前記整調可能な永久磁石セグメントの整調を含む操作の間にゼロより大きい、請求項16に規定されるスイッチ可能な磁気セクション。
【請求項18】
前記磁石ヨークセグメントがコイルをさらに備える、請求項16または17に規定されるスイッチ可能な磁気セクション。
【請求項19】
前記上部ヨークセグメントが第1のスライダー上に支持され、該第1のスライダーが、第1のピストンによって第1のカラム上でスライドするように作動可能である、請求項18に規定されるスイッチ可能な磁気セクション。
【請求項20】
前記整調可能な磁石セグメントが第2のスライダー上に支持され、該第2のスライダーが、第2のピストンによって第2のカラム上でスライドするように作動可能である、請求項19に規定されるスイッチ可能な磁気セクション。
【請求項21】
上部ヨークセグメント;
該上部ヨークセグメントと対向する下部ヨークセグメント;および
N極およびS極を有し、該上部ヨークセグメントと該下部ヨークセグメントとの間に、極の各々と個々のヨークセグメントの各々との間に磁石/ヨークギャップが存在するように配置される整調可能な永久磁石、を備え、
ここで、該上部ヨークセグメントおよび該下部ヨークセグメントが、その中で異なる質量のイオンが異なる経路に従う磁石ギャップまたは戻り磁束をさらに提供する、スイッチ可能な磁気セクションを備える質量分析計を備える機器。
【請求項22】
前記スイッチ可能な磁気セクションの磁石/ヨークギャップが、前記分析計の作動の間に実質的にゼロであり、そして前記整調可能な永久磁石セグメントの整調を含む操作の間にゼロより大きい、請求項21に規定される機器。
【請求項23】
前記磁石ヨークセグメントがコイルをさらに備える、請求項21または22に規定される機器。
【請求項24】
前記上部ヨークセグメントが第1のスライダー上に支持され、該第1のスライダーが、第1のピストンによって第1のカラム上でスライドするように作動可能である、請求項23に規定される機器。
【請求項25】
前記整調可能な磁石セグメントが第2のスライダー上に支持され、該第2のスライダーが、第2のピストンによって第2のカラム上でスライドするように作動可能である、請求項24に規定される機器。
【請求項26】
質量分析計の磁気セクションを作動する方法であって、該磁気セクションが上部ヨークセグメント、下部ヨークセグメント、およびN極およびS極を有する整調可能な永久磁石セグメントを備え、該整調可能な永久磁石が、該複数セグンメントの一方の側面の近傍で該上部ヨークセグメントと該下部ヨークセグメントとの間に配置され、該複数のセグメントが、該複数のセグメントの対向する側面に磁石ギャップをさらに有し:
該磁石ギャップ内で第1の極性を有するイオンの経路に影響することが所望されるとき、該N極を該上部ヨークセグメントに向かって、かつ該S極を該下部ヨークセグメントに向かって方向付けて第1の安定な位置をとる工程;
該磁石ギャップ内で第2の極性を有するイオンの経路に影響することが所望されるとき、該N極を該下部ヨークセグメントに向かって、かつ該S極を該上部ヨークセグメントに向かって方向付けて第2の安定な位置をとる工程であって、該第1の極性が該第2の極性と実質的に反対である工程、を包含する、方法。
【請求項27】
前記第1の安定な位置および第2の安定な位置の1つから、個々の反対の位置に前記整調可能な永久磁石セグメントを回転することが所望されるとき、前記上部ヨークおよび下部ヨークセグメントの少なくとも1つに、該永久磁石セグメントによって提供される磁場とは反対の磁場を課す工程をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記整調可能な永久磁石セグメントが前記第1の安定な位置または第2の安定な位置にあるとき、前記整調可能な永久磁石セグメントの極を個々のヨークセグメントと実質的に接触させる工程をさらに包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記整調可能な永久磁石セグメントが、前記第1の安定な位置または第2の安定な位置にあること、およびそれから離れ回転されることが意図されることから選択される状況にあるとき、該整調可能な永久磁石セグメントの極と個々のヨークセグメントとの間の距離を維持する工程をさらに包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記整調可能な永久磁石セグメントが、前記第1の安定な位置または第2の安定な位置にあること、およびそれから離れ回転されることが意図されることから選択される状況にあるとき、該整調可能な永久磁石セグメントの極と個々のヨークセグメントとの間の距離を維持する工程をさらに包含する、請求項29に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2007−521616(P2007−521616A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517815(P2006−517815)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/021113
【国際公開番号】WO2005/008719
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(505469757)オイ コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】