説明

隆起したパターンを有する電極

電流コレクター、及び前記電流コレクターと電気的に接触した活性材料を含む電気化学電池用の電極であって、前記電極が隆起したパターンを有する電極と、その製造及び使用方法と、それを組み込んだ電気化学電池と、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願(U.S.S.N.)第11/696,979号(2007年4月5日出願)に対する優先権を主張し、その全文を本明細書に参照することにより組み込むものとする。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、電気化学電池用の電極及びそれを用いて製造される電気化学電池に関する。
【背景技術】
【0003】
充電式リチウムイオン電池は、種々の電子デバイスに含まれている。ほとんどの市販のリチウムイオン電池は、充電中にインターカレーション機構を通してリチウムを組み込むことができる、グラファイトのような材料を含む負極を有する。このようなインターカレーション型電極は一般に、サイクル寿命が長く、良好なクーロン効率を示す。しかし、インターカレーション型材料の単位質量当たりの組み込み可能なリチウム量は、比較的少ない。
【0004】
充電中に合金化機構を通してリチウムを組み込む第2の部類の負極材料が既知である。これらの合金型材料は、多くの場合、インターカレーション型材料よりも、単位質量当たり、より多量のリチウムを取り込むことができるが、リチウムを合金に加えることは通常、大きな体積変化を伴う。いくつかの合金型負極は、比較的短いサイクル寿命及び低いエネルギー密度を呈する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
合金型負極の性能不足は、合金のリチオ化及び脱リチオ化から生じる負極の大きな容積変化に起因する場合がある。この容積変化により、このような電極がリチウムイオン電池に組み込まれるとき、大きな内部応力が発生する場合がある。結果として、負極は膨張し、普通充電/放電プロセス中、全ての方向に接触することができる。この膨張により、例えば電流コレクターが変形する、電流コレクターが裂ける、及び/又は電池のセパレーターを粉砕する場合がある、内部応力が生じ得る。これらの効果はいずれもサイクル寿命を大幅に縮め、また電池の安全性に悪影響を与える場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の問題を考慮して、充電及び放電中、合金負極材料を含む負極の体積膨張により生じる内部応力に耐えることができる、電気化学電池の設計に対する必要性が存在することが認識されている。
【0007】
1つの態様では、電流コレクター及び電流コレクターと電気的に接触した活性材料を含み、電極が隆起したパターンを有する電気化学電池用電極を提供する。
【0008】
別の態様では、電流コレクターに活性材料を加える工程と、隆起したパターンを有する活性材料を含む電流コレクターを提供する工程と、を含む、電極を製造する方法が提供される。
【0009】
更に別の態様では、負極、正極及びセパレーターを含み、負極、正極、又はその両方が電流コレクター及び電流コレクターと電気的に接触した活性材料を含み、電流コレクターと電気的に接触した活性材料を含む電極の少なくとも1つが隆起したパターンを有する、電気化学電池が提供される。
【0010】
本出願では:
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」と互換的に用いられ、記載された要素の1つ以上を意味する。
【0011】
用語「金属」は、元素又はイオン状態である、金属と、炭素、ケイ素、及びゲルマニウムのような半金属との両方を指す。
【0012】
用語「合金」は、単独の金属のいずれかと異なる物理的特性を有する2種以上の金属の組成物を指す。
【0013】
用語「リチオ化する」及び「リチオ化」は、リチウムを電極材料に加えるプロセスを指す。
【0014】
用語「脱リチオ化する」及び「脱リチオ化」は、電極材料からリチウムを除去するプロセスを指す。
【0015】
用語「活性材料」は、リチオ化及び脱リチオ化を受けることができる物質を指す。
【0016】
用語「不活性材料」は、リチオ化及び脱リチオ化を受けることができない物質を指す。
【0017】
用語「粉末」又は「粉末化材料」は、ある寸法における平均最大長が約100μm以下であることができる粒子を指す。
【0018】
用語「充電する」及び「充電」は、電気化学エネルギーを電池に供給するためのプロセスを指す。
【0019】
用語「放電する」及び「放電」は、例えば電池を使用して所望の作業を実行するときに、電池から電気化学エネルギーを取り除くためのプロセスを指す。
【0020】
語句「正極」とは、放電プロセス中に電気化学的還元及びリチオ化が生じる電極(多くの場合、カソードと呼ばれる)を指す。
【0021】
語句「負極」とは、放電プロセス中に電気化学的酸化及び脱リチオ化が生じる電極(多くの場合、アノードと呼ばれる)を指す。
【0022】
用語「隆起した形状(raised feature)」は、隆起したパターンのエンボス化要素を記載するために用いられる。
【0023】
語句「隆起したパターン」は、シートの平面の上若しくは下又はその両方に延在することができる、シート上の隆起した形状を指す。隆起したパターンは、隆起した形状の規則的な配列、隆起した形状のランダムな配置、隆起した形状の様々な規則的若しくはランダムな配置の組み合わせ、又は表面上の隆起した形状の任意の配置の形であることができ、更に隆起した形状は1、2、3、又はそれ以上の段階の深さからなることができる。更に、語句「隆起したパターン」は、隆起した形状を有する又は有さない、電極の波形を指すこともできる。隆起したパターンは、電極の平面上若しくは電極の平面下(一般的にデボス(debossing)として知られる)又はその両方に存在することができ、凸状若しくは凹状要素又はその両方を含むことができる。
【0024】
用語「z方向」及び「z方向寸法」は、電極の平面上又は下の、電極の平面に垂直な隆起したパターンの最大伸長を指す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1a】正方格子パターンの隆起した点を有する電極の実施形態。
【図1b】三角格子パターンの隆起した点を有する電極の実施形態。
【図1c】波形化されたひだを有する電極の実施形態。
【図1d】正弦波形の起伏のあるひだを有する電極の実施形態。
【図1e】2つの縁部上に斜めの起伏のあるひだを有する電極の実施形態。
【図2】本開示の別の実施形態における、隆起したパターンを有する電極を含む、ゼリーロール(jellyroll)形のリチウムイオン電気化学電池の分解図。
【図3a】ゼリーロール形の2種の電気化学電池の実施形態。図3aは、正方格子パターンの隆起した点を有する一方の電極と、平坦である他方の電極を有する。図3bは、平坦である両方の電極を有する。
【図3b】ゼリーロール形の2種の電気化学電池の実施形態。図3aは、正方格子パターンの隆起した点を有する一方の電極と、平坦である他方の電極を有する。図3bは、平坦である両方の電極を有する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書では、全ての数字は用語「約」で修飾されているとみなす。端点による数字範囲の列挙にはその範囲に含まれる全ての数が含まれる(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
【0027】
提供される電極は、電流コレクター及び電流コレクターと電気的に接触した活性材料を含む。電流コレクターは、任意の物質又は当該技術分野において既知である物質の組み合わせであることができる。例えば、典型的には、リチウムイオン電気化学電池で用いられる電流コレクターは、例えば、正極用のアルミニウム又はアルミニウム合金、並びに負極用の銅、ステンレス鋼、ニッケル、及びこれらの組み合わせのような、導電性金属又は合金の薄箔を含む。箔は、約5〜約20μmの厚さを有することができる。電流コレクターはまた、導電性コーティング又はフィルムを含むポリマーフィルムを含むことができる。
【0028】
したがって、電流コレクターと電気的に接触した少なくとも1つの活性材料が提供される。種々の活性材料を使用することができる。これらの活性材料は、複合コーティング中の粉末の形態、又は例えば、スパッタ薄膜のような活性材料の蒸着層の形態であることができる。負極用の活性材料は、単一の化学元素又は合金の形態であることができる。代表的な負極用活性材料としては、例えば、炭素、ケイ素、銀、リチウム、スズ、ビスマス、鉛、アンチモン、ゲルマニウム、亜鉛、金、プラチナ、パラジウム、ヒ素、アルミニウム、ガリウム、及びインジウムのような1種以上の金属又は半金属を挙げることができる。負極用活性材料としては更に、モリブデン、ニオビウム、タングステン、タンタル、鉄、銅、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、イットリウム、ランタニド、アクチニド、及びアルカリ土類金属のような1種以上の不活性元素を挙げることができる。合金は、非晶質であることができる、結晶性若しくはナノ結晶性であることができ、又は1つを超える相に存在することができる。粉末は、1方向に、100μm以下、80μm以下、60μm以下、40μm以下、20μm以下、若しくは2μm以下、又は更に小さな最大寸法を有することができる。粉末化物質は、例えば、サブミクロン、少なくとも0.5μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも5μm、若しくは少なくとも10μm、又は更に大きな粒径(最小寸法)を有することができる。例えば、好適な粉末は、0.5μm〜100μm、0.5μm〜80μm、0.5μm〜60μm、0.5μm〜40μm、0.5μm〜20μm、10〜60μm、20〜60μm、40〜60μm、2〜40μm、10〜40μm、5〜20μm、又は10〜20μmの寸法を有することが多い。
【0029】
合金が1相を超える相に存在するとき、粒子中にもともと存在する各相(すなわち、最初のリチオ化前)は、粒子中の他の相と接触することができる。例えば、ケイ素:銅:銀合金を主成分とした粒子内では、ケイ素相が銅ケイ化物相と銀又は銀合金相との両方と接触することができる。粒子中の各相は、例えば、1方向に約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、約15nm未満、又は更に小さな最大寸法を有することができる。
【0030】
代表的なケイ素含有活性材料はケイ素合金を含み、活性材料は、約50〜約85モルパーセント(モル%)のケイ素、約5〜約12モル%の鉄、約5〜約12モル%のチタン、及び約5〜約12モル%の炭素を含む。更に、活性材料は純ケイ素であることができる。有用なケイ素合金の更なる例としては、米国特許出願公開第2006/0046144号(オブロヴァック(Obrovac)ら)に論じられているもののようなケイ素、銅、及び銀又は銀合金を含む組成物;米国特許出願公開第2005/0031957号(クリステンセン(Christensen)ら)に論じられているもののような多相ケイ素含有電極;米国特許出願公第2007/0020521号、同第2007/0020522号、及び同第2007/0020528号(全てオブロヴァック(Obrovac)ら)に記載されるもののような、スズ、インジウム及びランタニド、アクチニド元素又はイットリウムを含むケイ素合金;米国特許出願公開第2007/0128517号(クリステンセン(Christensen)ら)に論じられているもののような高ケイ素含有量の非晶質合金;米国特許出願公開第2007/0269718号(クラウス(Krause)ら)、同第2007/0148544号(リー(Le)ら)、国際公開第2007/044315号(クラウス(Krause)ら)、及び米国特許第6,203,944号(ターナー(Turner))に記載されているような、電極に使用される他の粉末化材料が挙げられる。
【0031】
本開示の電極はまた、活性材料、グラファイト及び結合剤を含む複合材料を含むことができる。グラファイトを含む負極の例は、出願人による同時係属出願、米国特許出願第11/679,591号(クリステンセン(Christensen)ら)に開示されている。
【0032】
有用な負極はまた、電流コレクターに直接付着し、電流コレクターと電気的に接触した活性材料の薄膜として提供することができる。薄膜は、例えば、蒸着若しくは化学蒸着、プラズマ蒸着、又はスパッタリングを用いて電流コレクターに適用することができる。薄膜は純元素又は合金の形であることができる。薄膜は純ケイ素であることができる。薄膜は、活性元素のみ、又は活性元素と不活性元素との両方を含む合金であることができる。有用な薄膜負極の例は、米国特許第6,203,944号、同第6,255,017号、同第6,436,578号、及び同第6,699,336号(全てターナー(Turner)又はターナーら)に記載されている。
【0033】
本開示の、電気化学電池及びバッテリ又はバッテリパックの正極を製造するために有用な活性材料としては、リチウムが挙げられる。正活性材料の例としては、Li4/3Ti5/3、LiV、LiV、LiCo0.2Ni0.8、LiNiO、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiMn、及びLiCoO;米国特許第6,964,828号に記載されているもののようなコバルト、マンガン、及びニッケルの混合された金属酸化物を含む正活性材料組成物;米国特許第7,078,128号(ルウ(Lu)ら);並びに米国特許第6,680,145号(オブロヴァツ(Obrovac)ら)に記載されているもののようなナノ複合材料正活性材料が挙げられる。
【0034】
本開示の電極は結合剤を含むことができる。代表的なポリマー結合剤としては、エチレン、プロピレン、又はブチレンモノマーから調製したもののようなポリオレフィン;フッ化ビニリデンモノマーから調製したもののようなフッ素化ポリオレフィン;ヘキサフルオロプロピレンモノマーから調製したもののような全フッ素化(perfluorinated)ポリオレフィン;全フッ素化ポリ(アルキルビニルエーテル);全フッ素化ポリ(アルコキシビニルエーテル);又はこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマー結合剤の具体例としては、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びプロピレンのポリマー又はコポリマー;並びにフッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロピレンのコポリマーが挙げられる。
【0035】
いくつかの電極では、結合剤は架橋されていてもよい。架橋により、結合剤の機械的特性を改善することができ、また活性材料組成物と、存在し得る任意の導電性希釈剤との間の接触を改善することができる。他の結合剤としては、米国特許公開第2006/0099506号(クラウス(Krause)ら)に記載されている、芳香族、脂肪族、又は脂環式ポリイミドのようなポリイミドが挙げられる。
【0036】
結合剤を含む電極としては、共同所有出願である、米国特許出願第11/671,601号(リー(Le))に開示されているようなリチウムポリアクリレートを挙げることができる。リチウムポリアクリレートは、水酸化リチウムにより中和されるポリ(アクリル酸)から調製することができる。本出願では、ポリ(アクリル酸)が、アクリル酸又はメタクリル酸又はこれらの誘導体の任意のポリマー又はコポリマーを含み、この場合少なくとも約50モル%、少なくとも約モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約モル%、又は少なくとも約90モル%のコポリマーが、アクリル酸若しくはメタクリル酸を使用して製造される。これらのコポリマーを形成するために使用することができる有用なモノマーとしては、例えば、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基(分枝状又は非分枝状)を有するアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、ヒドロキシアルキルアクリレート等が挙げられる。特に関心のあるものは、特に中和後又は部分的な中和後に、水溶性であるアクリル酸又はメタクリル酸のポリマー又はコポリマーである。水溶性は典型的には、ポリマー若しくはコポリマー及び/又は組成物の分子量の関数である。ポリ(アクリル酸)は非常に水溶性が高く、有意なモル分率のアクリル酸を含むコポリマーと同様に好ましい。ポリ(メタクリル)酸は、特に分子量が大きい場合、水溶性が低い。
【0037】
正極又は負極電極複合材料コーティングを製造するために、粉末化活性材料、結合剤、導電性希釈剤、フィルタ、付着促進剤、カルボキシメチルセルロース(CMC)のようなコーティング粘度を変化させるための増粘剤、及び当業者に既知である他の添加剤のような任意の選択した添加剤を、水又はN−メチルピロリドン(NMP)のような好適なコーティング溶媒中で混合して、コーティング分散液又はコーティング混合物を形成する。分散液を完全に混合し、次いでナイフコーティング、切欠き棒コーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、電気スプレーコーティング、又はグラビアコーティングのような任意の適切な分散コーティング技術により、箔電流コレクターに適用する。電流コレクターは、典型的には、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、又はニッケル箔のような導電性金属の薄箔である。スラリーを電流コレクターの箔上にコーティングして、次に空気中で乾燥させ、続いて、通常典型的には、約80℃〜約300℃の加熱オーブン内で約1時間乾燥させることにより、溶媒を全て取り除く。
【0038】
本開示は、電気化学電池で用いるための隆起したパターンを有する電極を提供する。更に、本開示は、リチウムイオン電気化学電池の電極を提供する。本開示は、本開示で論じるもの及びその予見できる改良を除き、隆起したパターンの隆起した形状の配置、隆起したパターンの隆起した形状の形若しくは外形、又は隆起した形状の深さに限定されない。
【0039】
典型的な負極活性材料を含有する電極は、5μm〜200μmのz方向寸法を有することができ、最低10%又は最大300%の体積膨張が可能である。この膨張は、約1μm〜約100μmの範囲のz方向寸法の変化に対応して、電極の表面に対して垂直な方向に生じることができる。本開示により、電気化学電池の一方の電極又は両方の電極は、隆起したパターンを含むことができる。電極の隆起したパターンは、一方の電極又は両方の電極の合計z方向寸法を増加させる効果を有する。リチウムイオン電池の充電中、負極の体積膨張により、エンボス化電極の隆起したパターンは平坦化することができる。本開示のこの様式では、一方又は両方の電極上の隆起したパターンは、負極の体積膨張に適応するための体積を提供することができる。隆起したパターンは、リチオ化中の負極の膨張により生じる、z方向寸法の増加におよそ等しい量、電極のz方向寸法の合計を増加させることができる。例えば、隆起したパターンをエンボス加工した後、増加する電極のz方向寸法は、約1mm未満、約0.5mm未満、約0.1mm未満、約50μm未満、約25μm未満、約10μm未満、又はそれより小さくてもよい。
【0040】
本開示は、隆起したパターンの隆起した形状の形又はアスペクト比に制限されない。隆起した形状は、エンボス加工中、電極コーティングの電流コレクターへの付着に影響を与えないように、またサイクリング中、より均等に電流を分布させるように、丸みをおびていてもよい。あるいは、隆起した形状は、円、正方形、楕円形、別の規則的な形又は不規則な形であることができる。電極はまた、波形化されていてもよい。波形化とは、電極が折りたたまれた形、又は実質的に平行な突起部と溝部を交互に有する形であり得ることを意味する。突起部及び溝部が丸みをおびていてもよいことも想到される。更に、隆起した形状は、真横から見たとき、電極が実質的に正弦波の断面を有するように、実質的に正弦波の様式で起伏を有することも可能である。波形化電極上に小さな隆起した形状を有することも可能である。
【0041】
本開示は、隆起したパターンの隆起した形状の輪郭によっても制限されない。隆起したパターンの隆起した形状の輪郭は、任意の既知の形であることができ、例えば丸みをおびた輪郭、又は球形、卵形、楕円形、放物体等の形の輪郭を挙げることができる。隆起した形状の輪郭は、丸みをおびた縁、斜縁、段差のある縁又は不規則な縁を有することができる。輪郭はまた、規則的であるかどうかにかかわらず、任意の三次元パターンに彫ることもできる。1つを超える隆起した形状を有するエンボス加工型の製造を含む任意の既知の手段により、又は異なるエンボス加工型を通る電極の複数の通路により作製される、段差のあるパターンが存在することもできる。
【0042】
本開示は、隆起したパターンの隆起した形状の配置によっても制限されない。本開示の1つの実施形態では、隆起した形状は、負極の体積膨張の適応が均等に分配されるように、あるパターンで又はランダムに、電極コーティング全域におよそ均等に分配することができる。隆起したパターンの隆起した形状の好適な配置としては、正方格子配置、三角格子配置、又はランダム配置が挙げられる。隆起した形状間の空隙により、電極の巻き取り及び充電中の負極の体積膨張の均等な適応を更に容易にすることができる。隆起した形状間の好適な空隙は、約2cm未満、約1cm未満、約5mm未満、約2mm未満、約0.5mm未満、約0.1mm未満、又は更には0mm(例えば起伏のある又は正弦波形状のような連続した隆起した形状の場合)であることができる。
【0043】
いくつかの代表的な隆起したパターンを図1a〜1eに示す。図1aは、電極110がエンボス化正方格子パターンの隆起した点を有する実施形態を示す。電極のある側面上では点が隆起した凸状表面であり、電極の他の側面では点がくぼんだ凹部表面であるように、箔の表面を通して点が突出している。図1bは、電極120がエンボス化三角格子パターンの隆起した点を有する実施形態を示す。図1cは、電極130が波形化され、実質的にv字形であるひだ又は折り目を有する実施形態を示す。図1dは、電極140が波形化され、実質的に正弦波形の起伏のあるひだを有する実施形態を示す。図1eは、電極150が2つの縁部上で斜めであり、起伏のあるひだを有する実施形態を示す。電極150は、電極の中央に平坦領域152を有し、両方の縁部154上に斜めの、波形化起伏を有する。
【0044】
電極の縁部がエンボス加工された隆起したパターンを有することができることも想到される。電極の全ての縁部がエンボス加工された隆起したパターンを有すること、一部の縁部のみがエンボス加工された隆起したパターンを有すること、1つの縁部のみがエンボス加工された隆起したパターンを有すること、縁部の一部のみがエンボス加工された隆起したパターンを有することができ、又はいくつかの実施形態では、縁部がエンボス加工された隆起したパターンを有さなくてもよい。例えば、細長い矩形(ウェブ)に製造された電極では、時にウェブの長縁に沿ってエンボス加工された隆起したパターンを有することが有利である。これを図1eに示す。時に、電気化学電池、特にリチウムイオン電気化学電池の構築においては、アノードの領域がカソードの領域より大きくてもよい。この場合、カソードの寸法を超えて延在するアノードの縁部のみに沿って、エンボス加工された隆起したパターンを有することが有利である場合がある。本開示の全ての上述の態様は、任意の組み合わせで、併用することができる。つまり、負極、正極のいずれか、又は両方の電極が、エンボス加工された隆起したパターンを有することができ、負極は更にエンボス加工された縁部を含むことができる。巻かれた電気化学電池では、時に、タブ222を電極の末端部に取り付けて、電気的な接触を促進することが望ましい。このタブは、溶接又ははんだ付けにより電極に取り付けることができる。電極のエンボス化領域が、電極のタブ222を取り付けることができる領域を含むのは望ましくない。エンボス加工パターンは、電極上におけるタブの良好な溶接部の形成を干渉する場合がある。
【0045】
本開示の別の態様は、活性材料を電流コレクターに加える工程、及び隆起したパターンを有する電流コレクターを提供する工程を含む、電極の製造方法を記載する。活性材料を加える工程は、コーティングを適用する工程を含むことができる。コーティングは、当業者に既知である任意の方法により添加することができる。例えば、活性材料は溶媒への分散液としてコーティングすることができる。それは蒸着することができる。それは、積層又は電気メッキすることができる。
【0046】
活性材料を電流コレクターに加えた後、電極を圧延してもよく、又はしなくてもよい。電極を圧延する場合、圧延工程は、隆起したパターンが加工中、平滑化又は消えないように、隆起したパターンを有する活性材料を含む電流コレクターを提供する前に行うことができる。
【0047】
隆起したパターンを有する活性材料を含む電流コレクターの提供は、1つ以上のエンボス加工ロールに電極を通すことにより行うことができる。エンボス加工ロールは、加熱してもよく、又は加熱しなくてもよい。1つの方法では、エンボス加工ロールは、隆起したパターンの陽刻(positive engraving)を有するロール、及び隆起したパターンの陰印象を有する逆のロール(counter roll)を含むことができる。別の実施形態では、1つのロールに隆起したパターンの像を彫ることができ、逆のロールを滑らかにゴム引きされた又は別のエラストマー表面で被覆することができる。更に別の実施形態では、隆起したパターンを有する活性材料を含む電流コレクターの提供は、例えば水圧プレスを用いてひだの間に電極を押しつけることにより達成できる。例えば、電極は隆起したパターンの陽刻及び陰刻を有する、適合する1組のプレートの間に押しつけること、又はあるプレートに隆起したパターンの像を彫り、他のプレートをゴム引きされた若しくは別のエラストマー表面に仕上げることができる。
【0048】
別の実施形態では、隆起したパターンを有する活性材料を含む電流コレクターの提供は、エラストマーシート、電極及び穴をあけた又は別の方法で隆起したパターンの陰像が彫られたシートを含む積み重ね体を、1組のローラーに通すことにより達成できる。これは、1工程又は多工程で行うことができる。
【0049】
隆起したパターンを提供するために用いられる圧力は、最低約500kPa、最低約200kPa、最低約100kPa、最低約50kPa、若しくは更に小さくてもよく、又は約500kPa以上、約1000kPa以上、若しくは更に大きくてよい。加工中の温度もまた制限されず、約20℃未満、約15℃未満、若しくは更に低くてもよく、又は約20℃超、約30℃超、約60℃超、約100℃超、約150℃超、若しくは更に高くてよい。
【0050】
複合活性材料を含む電極は、隆起したパターンを有する活性材料を含む電流コレクターを提供する前に圧延することができる。圧延は、圧力下で2つ以上のローラーに電極を通すことにより達成できる。所望により、1つ以上のローラーを加熱してもよく、又は冷却してもよい。ローラーに、約100MPa〜、約500MPa〜、約750MPa〜、約1000MPa〜、若しくは更に高い、又は〜約2000Mpa、〜約1500MPa、〜約1000MPa、〜約750MPa、若しくは更に低い圧力をかけることができる。
【0051】
本開示の更なる態様は、負極、正極、及びセパレーターを含む電気化学電池を提供し、負極、正極、又はその両方は、電流コレクター及び電流コレクターと電気的に接触した活性材料を含み、電流コレクターと電気的に接触した活性材料を含む電極の少なくとも1つは隆起したパターンを有する。本開示の電気化学電池は、セパレーターを含むことができる。それらはまた、電解質を含むことができる。
【0052】
本開示の電気化学電池は、各正極及び負極の少なくとも1つを取る工程であって、電極の少なくとも1つが、電流コレクターと電気的に接触した活性材料を含み、上述のような隆起したパターンを有する工程と、それらを電解質内に定置する工程とにより製造される。典型的には、ヘキスト・セラニーズ社(Hoechst Celanese, Corp.)(シャーロット(Charlotte)、ノースカロライナ州)から入手可能なセルガード(CELGARD)2400微多孔性物質のような微多孔性セパレーターを用いて、負極が正極に直接接触することによる短絡を防ぐ。
【0053】
開示されているリチウムイオン電池に種々の電解質を使用することができる。代表的な電解質としては、1種以上のリチウム塩、及び固体、液体、又はゲルの形態の電荷担持媒体を含む。代表的なリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、リチウムビス(オキサラト)ボレート、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiAsF、LiC(CFSO、及びこれらの組み合わせが挙げられる。代表的電荷担持媒体は、電池の電極が稼動する電気化学的帯域及び温度範囲内において、凍結又は沸騰することなく安定しており、好適な量の電荷が正極から負極へ運搬され得るだけの十分な量のリチウム塩を可溶化し、選択したリチウムイオン電池内で良好に機能することができる。代表的な固体電荷保持媒体としては、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素含有コポリマー、ポリアクリロニトリル、これらの組み合わせのようなポリマー性媒体、及び当業者によく知られている他の固体媒体が挙げられる。代表的な液体電荷担持媒体としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、g−ブチロラクトン(butylrolactone)、メチルジフルオロアセタート、エチルジフルオロアセタート、ジメトキシエタン、ジグリム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、これらの組み合わせ、及び当業者によく知られている他の媒体が挙げられる。代表的な電荷担持媒体ゲルとしては、米国特許第6,387,570号(ナカムラ(Nakamura)ら)及び同第6,780,544号(ノー(Noh))に記載されているものが挙げられる。電荷担持媒体の可溶化力は、好適な共溶媒を添加することによって向上させることができる。代表的な共溶媒としては、選択した電解質を含有するLiイオン電池と相溶性のある芳香族物質が挙げられる。代表的な共溶媒としては、トルエン、スルホラン、ジメトキシエタン、これらの組み合わせ、及び当業者によく知られている他の共溶媒が挙げられる。電解質は、当業者によく知られている他の添加剤を含むことができる。例えば、電解質としては、米国特許第5,709,968号(シミズ(Shimizu))、同第5,763,119号(アダチ(Adachi))、同第5,536,599号(アラムギール(Alamgir)ら)、同第5,858,573号(エイブラハム(Abraham)ら)、同第5,882,812号(ヴィスコ(Visco)ら)、同第6,004,698号(リチャードソン(Richardson)ら)、同第6,045,952号(カー(Kerr)ら)、及び同第6,387,571号(レイン(Lain)ら)、並びに米国特許出願公開第2005/0221168号、同第2005/0221196号、同第2006/0263696号、及び同第2006/0263697号(全て、ダーン(Dahn)ら)に記載されているもののような、レドックス化学シャトル(redox chemical shuttle)を含有することができる。
【0054】
電気化学電池は、いくつかの形状で構築することができる。電極は、通常、矩形又は円形シートとして電池内で使用される。負極と正極との間に挟まれたセパレーターを有する、負極シート及び正極シートを含む積み重ね体を製造して、層状構造を形成することが典型的である。2325コイン型電池のようなコイン型電池では、後にコイン型電池の本体に挿入することができる実質的に縦型の積み重ね体を形成するように、層状構造の構成要素を丸いディスクに切断することができる。正方形、矩形、三角形、規則的な形の多角形、又は任意の不規則な形の多角形などであるが、これらに限定されない種々の幾何学的な形である負極、セパレーター、及び正極を含む、実質的に縦型の積み重ね体を形成することも可能である。実質的に縦型の積み重ね体はまた、大幅に異なる2つの寸法を有する矩形であることもできる。例えば、図1a〜1eは、細長い矩形の形である本開示の負極を表す。これらの電極の1つを、同様の形の正極及びセパレーター(間に挟まれている)と組み合わせて、短い寸法と長い寸法を有する縦型の積み重ね体を形成することができる。いくつかの電気化学電池の設計では、上記細長い縦型の積み重ね体を、「ゼリーロール」として既知であるもののようにきつく巻くことができる。図2は、ゼリーロール形のリチウムイオン電気化学電池の構成要素200の代表的な図である。ゼリーロールは、コア240の周りに巻かれた4層を有する。この例では、最内層は、エンボス加工又は波形化されていないコーティングされた正極210である。この層に隣接するのはセパレーター層230である。次は、短い縁に溶接されたタブ222を有する、コーティングされたエンボス化負極220である。最後に、別のセパレーター層230が最外層である。カソード層210は、コア240及び電極210の縁に電気的に取り付けることができる最内層上のタブ(図中では見えない)を有する。ゼリーロールは、次いで電解質を充填して円筒形電気化学電池を形成することができる、缶又はパウチのような容器内に定置することができる。ゼリーロールはまた、平坦化し、容器内に定置して角柱電池を形成することもできる。
【0055】
ゼリーロールの2つの実施形態を図3a及び3bに示す。図3aは、ゼリーロール310において、エンボス化パターンが隆起した点の三角格子パターンであったことを除き、図2に記載したようなゼリーロール200を製造するために用いたのと同じプロセスにより製造されたゼリーロール310の図である。アノードはエンボス加工されており、カソードは平坦であった。図3bは、図3bにおいて、両方の電極が平坦であることを除き、図3aと同じ構成要素及び寸法を有する層で製造されたゼリーロール320である。これらの図は、任意のエンボス加工された電極を有さないものより多くの体積を巻き取るエンボス加工された電極を有するゼリーロールを例示する。図3aのゼリーロールは、膨張及び収縮のために、エンボス化パターンの間に空間を提供する。
【0056】
縦型の積み重ね体が複数の層を含み得ることもまた想到される。例えば、負極、セパレーター、及び正極の縦型積み重ね体を取り、互いに電気的に接触しないように外側の電極の間に追加のセパレーターを定置することにより、それを別の縦型積み重ね体上に定置することが可能である。したがって、この様式で複数の縦型積み重ね体を製造することができる。
【0057】
本開示の電池は、携帯型コンピュータ、タブレット型表示器、携帯情報端末、携帯電話、モータ駆動装置(例えば、装具及び乗り物)、機器、照明装置(例えば、懐中電灯)、及び加熱装置を含む、種々のデバイスに使用できる。本発明の1つ以上の電気化学電池を組み合わせて、バッテリパックを提供することができる。充電式リチウムイオン電池及びバッテリパックの構成及び使用に関する更なる詳細は、当業者によく知られている。
【0058】
本開示は更に以下の実施例で説明され、そこでは特に指示しない限り、全てのパーセントは重量パーセントである。
【実施例】
【0059】
予備実施例1−合金粉末
ケイ素塊(123.31g、アルファ・エイサー(Alfa Aesar)/99.999%、ワード・ヒル(Ward Hill)、ミシシッピ州)、鉄片(41.29g、アルファ・エイサー/99.97%)、及びチタンスポンジ(35.40g、アルファ・エイサー/99.7%)をアーク炉内で融解させることにより、合金組成物Si74.8Fe12.6Ti12.6、を調製した。合金インゴットを破壊し、粉砕して、およそ150μmの長寸法を有する粒子を有する合金粉末を生成した。
【0060】
Si66.5Fe11.2Ti11.211.2合金を、Si74.8Fe12.6Ti12.6合金粉末(2.872g)及びグラファイト(0.128g)(ティムレックス(TIMREX)SFG44、ティムカル社(TimCal Ltd)、ボディオ(Bodio)、スイス)を、スペックス・ミル(スペックス・セルチプレップグループ(Spex Certiprep Group)、メタチェン(Metuchen)、ニュージャージー州)内にて、16個のタングステンカーバイト製ボール(直径3.2mm)とともに、1時間アルゴン雰囲気中で、反応性ボールミル粉砕によって製造した。
【0061】
(実施例1)
64.02重量%の合金粉末、Si66.5Fe11.2Ti11.211.2、(平均粒径1mm、密度=3.65g/cm)、32.98重量%のティムレックス(TIMREX)SLP30グラファイト粉末(密度=2.26g/cm、d002=0.3354〜0.3356ナノメートル、ティムカル社(TimCal Ltd.)、2.5重量%のリチウムポリアクリレート及び0.5重量%のカルボキシメチルセルロースという組成を有する負極を以下のように調製した。
【0062】
2.3kgの脱イオン水、93.23gのポリ(アクリル酸)(450MW、アルドリッチ(Aldrich))及び31.08gのLiOHを、ロス(Ross)遊星形ミキサー(チャールズ・ロス・アンド・サン社(Charles Ross and Son Company)、ニューヨーク)内で1時間混合した。3.00kgの合金粉末、1.545kgのSLP−30グラファイト及び23.67gのCMC(セルロースガムタイプ7H3SF、ハーキュレス(Hercules)、ウィルミントン(Wilmington)、デラウェア州)の乾燥粉末混合物を、この溶液にゆっくりと添加した。添加後、分散液を1.5時間混合した。得られたスラリーを、30.5cm/分の速度で、ナイフオーバーロール(knife-over-roll)を用いてヒラノ塗布機(Hirano coater)上で10μmの銅箔にコーティングした。コーティングを、約30℃に維持された3領域オーブン(three zone oven)内で、窒素流下にて乾燥させた。順次、箔の両面をコーティングした。
【0063】
乾燥したコーティングを、70μmの厚さになるまで、約1000MPaの圧力下で圧延ロールにより押圧した。次いで、電極を幅58mm×長さ780mmの断片に切り離した。電極コーティングの領域を、濡れた布で電極の1端の両面から取り除き、1.0cmの銅箔電流コレクターを露出させた。これを行うことにより、後の工程で電極上にタブを溶接することが可能になった。次いで、電極を、三角格子パターン内に0.159cmの穴の直径と0.277cmの穴の中心間距離を有する円形穴をあけた、12.7cm×122cmの16ゲージ鋼シート上に定置した。0.70mmの厚さのゴムシートを、次いで、コーティングがタブのために除去されている領域を除いて電極全体を被覆するように、電極上に定置した。このアセンブリを、次いで、ローラーの間のギャップが、ローラーの通過後、電極が隆起した点のパターンを備え、エンボス加工された電極の厚さが110μmになるように調節されている、1対の鋼ローラーを通過させた。
【0064】
上述のように製造した負極を、セパレーター層とエンボス化パターンを有さない箔正極を交互に有する、図2に示すようなゼリーロール状に巻いた。得られるロール、図3aは、いずれかの電極上にエンボス化パターンを有さない、同じ寸法(厚さ及び幅)の2つの箔電極で製造された対照ゼリーロールより、著しく直径が大きかった。対照を図3bに示す。
【0065】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。本出願で参照した参考文献は全て、参照することにより本明細書に組み込まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流コレクターと、
前記電流コレクターと電気的に接触した活性材料と、
を含み、
電極は隆起したパターンを有する、電気化学電池用の電極。
【請求項2】
前記電流コレクターが箔を含む、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記箔が約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルの厚さを有する、請求項2に記載の電極。
【請求項4】
前記電流コレクターが、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ステンレス鋼、ニッケル、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の電極。
【請求項5】
前記電極が負極を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極。
【請求項6】
前記活性材料が合金粉末を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電極。
【請求項7】
前記粉末がグラファイトを含む、請求項6に記載の電極。
【請求項8】
前記電極が正極を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極。
【請求項9】
前記活性材料が薄膜として提供される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電極。
【請求項10】
前記隆起したパターンが、波形若しくは隆起した形状又はその両方を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電極。
【請求項11】
前記電極の少なくとも1つの縁部上に隆起したパターンを更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電極。
【請求項12】
前記隆起したパターンが、凸状及び凹状の隆起した形状を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電極。
【請求項13】
前記パターンが、実質的に正弦波の断面を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電極。
【請求項14】
前記パターンが正方格子又は三角格子を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電極。
【請求項15】
隆起した点を更に含む、請求項14に記載のパターン。
【請求項16】
活性材料を電流コレクターに加える工程と、
隆起したパターンを有する活性材料を含む電流コレクターを提供する工程と、
を含む、電極を製造する方法。
【請求項17】
前記活性材料を加えることが、コーティングを適用する工程を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コーティングを乾燥させる工程を更に含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記活性材料を加える工程が、物質の薄膜を適用する工程を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記隆起したパターンを有する電流コレクターを提供する工程が、エンボス加工ローラーに前記電極を通す工程を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記隆起したパターンを有する電流コレクターを提供する工程が、約10kPa〜約250kPaの圧力で実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記活性材料を含む電流コレクターを圧延する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
圧延がエンボス加工の前に行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
圧延が、前記活性材料を含む前記電流コレクターを、約250MPa〜約1500MPaの圧力で、ローラーの間を通す工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
負極と、
正極と、
セパレーターと、
を含み、
前記負極、前記正極、又はその両方は、請求項1〜15のいずれか一項に記載の電極を含む、電気化学電池。
【請求項26】
請求項25に記載の電池を少なくとも1つ含む、バッテリパック。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図1d】
image rotate

【図1e】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate


【公表番号】特表2010−524177(P2010−524177A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502171(P2010−502171)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/055844
【国際公開番号】WO2008/124227
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】