階層化された分散アンテナシステム
【課題】 分散アンテナシステムは、信号処理装置と物理アンテナとの間に時間多重チャネル、波長多重チャネルなどの多重伝送チャネルを物理アンテナ数に応じて準備する必要がある。
【解決手段】 分散アンテナシステム内の一部のアンテナにより構成され、アンテナに対する物理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第一のアンテナ網と、
複数の該第一のアンテナ網と接続し、無線端末と送受信する信号を処理する信号処理手段に対して論理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第二のアンテナ網と、該第一のアンテナ網と該第二のアンテナ網との接続点に該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御手段を具備することを特徴とする分散アンテナシステムにより課題は解決する。
【解決手段】 分散アンテナシステム内の一部のアンテナにより構成され、アンテナに対する物理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第一のアンテナ網と、
複数の該第一のアンテナ網と接続し、無線端末と送受信する信号を処理する信号処理手段に対して論理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第二のアンテナ網と、該第一のアンテナ網と該第二のアンテナ網との接続点に該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御手段を具備することを特徴とする分散アンテナシステムにより課題は解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書で開示される技術は、ネットワークシステムに関し、特に、端末がアンテナを分散配置して構成される無線ネットワークを介して通信を行う、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの周波数利用効率向上に向け、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が様々な無線通信システムで実用化を迎えている。MIMO技術については、例えば非特許文献1で開示されている。MIMOでは送信機と受信機との双方で複数のアンテナを使用することで、送信機―受信機との間で同一時間・周波数上に複数の伝送チャネルを構成することができる。
【0003】
これら複数の伝送チャネルの通信品質が良ければ高いスループットを達成できるが、送信機と受信機との間の距離が離れることによる伝搬減衰や、例えば周波数リユースが1に近いセルラシステムでは別の送信機から当該受信機への干渉により通信品質が低下する。このため、送信機と受信機との位置関係により通信品質、およびスループットに偏差が生じる。
【0004】
送信機と受信機との位置関係による通信品質やスループットの偏差を抑える技術として分散アンテナシステム(DAS:Distributed Antenna System)が知られている。分散アンテナシステムについては、例えば非特許文献2に開示されている。この技術は、インフラ側のアンテナを分散配置することで、無線端末とインフラ側アンテナとの最大距離を短縮できる、すなわち伝搬減衰の最大値を下げることができるため、場所に依存せず比較的安定した無線通信品質やスループットを提供できる。また、インフラ側のアンテナ同士が相互に離れているため、無線端末が相互に離れたインフラ側アンテナを同時に使用することで、伝搬ロスとシャドーイングにより決定する伝搬路品質の長区間変動に関するサイトダイバーシチ効果を得ることができる。
【0005】
さらに、分散アンテナシステムにおいて無線端末毎に適したインフラ側アンテナを適切に選択することで、当該無線端末と所望信号を送受信する際の伝搬ロスを減らし、他の無線端末が通信している干渉信号の伝搬ロスを増やすことができ、結果として所望信号対干渉信号の受信電力比の改善により通信品質やスループットが向上する。無線端末毎に適したインフラ側アンテナを適切に選択する方法は特許文献1、上記選択結果に応じたアンテナ切り替え装置に関しては特許文献2に開示されている。
【0006】
非特許文献3では、セルラシステムの通信規格の一つであるLTE(Long Term Evolution)では、上記MIMOを実現するために論理的なアンテナポートを定義されている。
【0007】
分散アンテナネットワークは、接続するアンテナ数が増加するほど多くの信号が流れるため、大規模な分散アンテナネットワークを構築するためには大容量の光ファイバネットワークが必要となる。
【0008】
非特許文献4では、大容量の光ファイバネットワークを構成する方法としてWDM−PON(Wavelength Division Multiplexing−Passive Optical Network)が開示されている。非特許文献4では、加入者ごとに異なる波長を割り当てて通信を行うが、これでは加入者ごとに異なる波長を通信するための装置(ONU:Optical Network Unit)が必要となりコスト高となるため、加入者側に設置する装置としては複数の波長を取り扱える単一種の装置とし、初期設定時に当該加入者が使用する波長を決定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−53768
【特許文献2】特開2009−33226
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】D.Agrawal,et al.,“Space−Time Coded OFDM for High Data−Rate Wireless Communication Wideband Channels”,VTC98,vol.3,pp.2232−2236,May 1998.
【非特許文献2】A.A.M.Saleh,et al.,“Distributed Antennas for Indoor Radio Communications”,IEEE Trans. on Conmmunications,Vol.35,pp.1245−1251,Dec.1987.
【非特許文献3】3GPP,“Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA); Physical Channels and modulation”,TR36.211,Ver9.0.0,Dec.2009.
【非特許文献4】鈴木ほか、“広域WDM−PON技術”、電子情報通信学会技術研究報告、CS2005−39、Nov.2005.
【非特許文献5】IEEE802.3−2008,“PhysicalMedium Dependent(PMD) sublayer and medium,type 1000BASE−PX10 and 1000BASE−PX20(long wavelength passive optical networks)”, clause60,section5,2008.
【非特許文献6】3GPP,“Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA); Physical Layer Procedures”,TR36.213,Ver9.0.1,Dec.2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
分散アンテナシステムは、信号処理装置と物理アンテナとの間にケーブルなどの物理的なチャネルや、時間多重チャネルや波長多重チャネルなど物理的なチャネルの中に構成される多重伝送チャネルを物理アンテナ数に応じて、システムを構成する必要がある。さらに、無線端末位置に応じて信号処理装置が持つ論理アンテナポートと物理アンテナとの間の伝送チャネルを自由に切り替えられるシステムの場合、信号処理装置と物理アンテナとの間の全区間において全ての多重伝送チャネルを通すだけのケーブル能力が必要となるうえ、物理アンテナ側で全ての多重伝送チャネルを送受信できる終端装置が必要となる。このため、分散アンテナシステムの大規模化によりケーブルや物理アンテナに対する要求性能は向上し、かつ物理アンテナ総数も増加することから物理アンテナ展開に必要なコストが増加する。また、端末がしようする物理アンテナ数は限られるため、分散された全ての物理アンテナによって、ある端末向けのデータを送信しようすると、端末の通信品質やスループットも下がり、リソースの有効活用ができない。
【0012】
また、信号処理装置が提供すべき論理アンテナポートの数は、本来分散アンテナシステム内で収容すべき最大瞬時トラフィック量に比例する。トラフィック量の地理分布は時間帯により変動するため、リソースの有効利用を考慮すると、トラフィック量が少ない地域に配置された複数の物理アンテナに対しては適応的に同一論理アンテナポートを割り当てるのが望ましい。つまり、論理的なアンテナポート数よりも物理アンテナの数が多くなることが想定されるが、信号処理装置側が論理アンテナポート数分しか入出力インターフェースを持たないため、信号処理装置と物理アンテナとの間の全区間で物理アンテナ数分の多重伝送チャネルを構成した場合、ケーブルの両端に設置する多重伝送チャネルの終端装置のコストを必要以上に高めることになる。
【0013】
本発明では、ネットワークシステムのリソースを効率よく利用する目的を実現するための、ネットワークシステム、基地局システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題のいずれかを解決するための本発明の一態様である、ネットワークシステムは、物理アンテナと、複数の物理アンテナが接続されて構成される第一のネットワークが複数構成され、第二のネットワークを介して複数の第一のネットワーク間を制御する基地局システムとを備える。基地局システムは、物理アンテナが提供する物理的アンテナポートと、基地局システムが提供する論理的なアンテナポートとの対応付けを行う。第二のネットワークには、網間制御装置が、第一のネットワークごとに構成され、対応付けに基づいて、第一のネットワークごとに、必要な信号を抽出し、第一のネットワークを構成する複数の物理アンテナごとに対応づけられる伝送チャネルに再合成し、再合成された信号を各物理アンテナに、送信する。
【0015】
さらに、別の態様では、基地局システムは、物理アンテナが提供する物理的アンテナポートと、基地局システムが提供する論理的なアンテナポートとの対応付けを行うシステム制御装置を備え、システム制御装置が使用する伝送チャネルは、制御用チャネルとして、第二のネットワークに割り当てられ、各網間制御装置に制御信号を送るときに用いられる。
【0016】
また、別の態様である分散アンテナシステムは、アンテナに対する物理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第一のアンテナ網と、複数の該第一のアンテナ網と接続し、無線端末と送受信する信号を処理する信号処理手段に対して論理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第二のアンテナ網と、該第一のアンテナ網と該第二のアンテナ網との接続点に該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御手段を具備する態様である。
【0017】
より具体的な態様では、分散アンテナシステムのうち、論理的なアンテナポートが提供される第二のネットワークと、複数の物理的なアンテナポートのうち一部の物理的なアンテナポートが提供される第一のアンテナ網とで階層化したネットワークが構成される。この階層化されたネットワーク構成において、第二のネットワークは、第一のネットワークに提供される物理的なアンテナポート数に依存することなく、論理的なアンテナポート数の分だけ多重伝送チャネルを構成すればよい。一方、第一のネットワークでは、アンテナ数がどれだけ増加しても、一つの第一のネットワークで収容する物理アンテナポートの数に上限を設けることで、第一のアンテナ網で構成すべき多重伝送チャネル数は物理アンテナポート数を上限としてもよい。第一のネットワークの収容数の上限を超える物理アンテナをシステムに増設する場合、新たな第一のネットワークを追加すれば良い。この態様によると、多重伝送チャネル数に対する要求条件を緩和でき、信号処理装置やアンテナに設置される多重チャネル終端装置の設定が容易になり、コスト低減につながる。
【0018】
また、別の具体的な態様として、該第一のネットワークと該第二のネットワークとの接続点に該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御手段を設け、端末位置に応じて信号処理装置とアンテナとの間の伝送チャネルを切り替えられる態様とする。それにおり、システムの柔軟性による各無線端末への高い無線通信品質を提供することができる。その他の態様としては、以下の実施形態で述べる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によると、複数のアンテナによる無線通信を行う場合、有線ネットワークを含めたリソースを効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施例による階層化されたネットワークシステム
【図2】本実施例による各種アンテナポートと多重伝送チャネルとの関係の一例
【図3】本実施例による各種アンテナポートと多重伝送チャネルの使用方法例
【図4】階層化されていない分散アンテナネットワークによる各種アンテナポートと多重伝送チャネルの使用方法例
【図5】本実施例による第一網終端装置
【図6】本実施例による網間制御装置
【図7A】本実施例によるアグリゲータの第一形態
【図7B】本実施例によるアグリゲータの第二形態
【図8】本実施例による上り通信品質推定器の構成
【図9】本実施例による多重伝送チャネル分離器および多重化器の構成
【図10】本実施例による網間制御装置内コントローラの構成
【図11】本実施例による第二網終端装置の構成
【図12】本実施例による信号処理装置とシステム制御装置の構成
【図13】本実施例によるシステム制御シーケンス
【図14】本実施例による無線端末ID管理テーブル
【図15】本実施例によるLAP−PAP割り当て管理テーブル
【図16】本実施例による上り通信品質推定用パラメータ通知パケット
【図17】本実施例による上り通信品質推定結果管理テーブル
【図18】本実施例による上り通信品質推定結果通知パケット
【図19】本実施例によるLAP−PAP割り当てフローチャート
【図20】本実施例によるLAP−PAP割り当て通知パケット
【図21】本実施例による第二網下り伝送チャネル分離器の構成
【図22A】本実施例によるLAP−多重伝送チャネル変換テーブルの第一形態
【図22B】本実施例によるLAP−多重伝送チャネル変換テーブルの第二形態
【図23】本実施例による第二網上り多重伝送チャネル分離器と第二網多重伝送チャネル多重化器の構成
【図24】本実施例による第一アグリゲータの制御方法
【図25】本実施例による第一網終端装置の装置構成例
【図26】本実施例による網間制御装置の装置構成例
【図27】本実施例によるシステム制御装置の装置構成例
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を用いて、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
図1は、本実施例によるネットワークシステムを示す。本実施例の通信システムは、例えば、図1に示すような第二網終端装置3及び複数の網間制御装置を含む階層化された分散アンテナネットワークシステムである。
【0023】
信号処理装置1、システム制御装置2、第二網終端装置3は、基地局システムを構成してもよい。基地局システムは、さらに、網間制御装置を含む場合もある。
【0024】
信号処理装置1は、無線端末と通信する信号の送受信処理を実施する。論理的なアンテナポート(LAP:Logical Antenna Port)を介して同時に複数の信号を入出力する。LAPを介して入出力する信号としては、例えばベースバンドのサンプリング信号を用いる。ベースバンド信号処理は、例えば非特許文献3や非特許文献6で開示されているLTEなどの通信規格に従って実現する。
【0025】
システム制御装置2は、各々の網間制御装置5を制御するための制御情報生成、および各々の網間制御装置5から制御情報生成に必要な情報を収集する。LAPを介して生成した制御情報の出力、および制御情報生成に必要なフィードバック情報の入力を行う。
【0026】
第二網終端装置3は、信号処理装置1やシステム制御装置2が生成して異なるLAPから入力された信号を第二のアンテナ網のケーブル4上で多重伝送するために、各LAPからの入力信号を別々の多重伝送チャネルに載せる機能と、第二のアンテナ網のケーブル4上で多重伝送されている信号を多重伝送チャネルごとに分離し、各多重伝送チャネルの信号を各々別のLAPへ出力する機能とを持っている。図1の例では、第二のアンテナ網のケーブル4で波長多重伝送(WDM:Wavelength Division Multiplexing)する例を挙げているが、複数のLAPに関する信号が多重化できれば時間分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)や空間(ケーブル)分割多重(SDM:Spatial Division Multiplexing)で実現しても良い。図1はWDMの例であり、この場合各LAPは波長λ0からλ6に対応づけられる。
【0027】
なお、信号処理装置1からアンテナ8を介して無線端末に伝送されるいわゆる下り信号と、無線端末からアンテナ8を介して信号処理装置1へ伝送されるいわゆる上り信号は別の多重伝送チャネル(例えば波長)を用いる。つまり、下り伝送用の波長λ0からλ6と上り伝送用の波長λ0からλ6は別のものである。
【0028】
第二のアンテナ網のケーブル4は光ファイバで実現され、第二網終端装置3と、複数の網間制御装置5と接続されている。図1の例ではリング構成を採っているが、全ての網間制御装置5と第二網終端装置3をカスケード接続してもよい。本実施例で採用可能な網構成の特徴は、複数の網間制御装置5から入力される信号を第二網終端装置3へ出力する前に合成可能な構成である。つまり、第二網終端装置3を幹として各網間制御装置5を枝とするツリー構成は不適である。一方、第二網終端装置3と複数の網間制御装置5を幹として各第一網終端装置7を枝とするツリー構成は本実施例に適しており、上記のリング構成やカスケード接続はこの条件を満たしている。
【0029】
網間制御装置5は、第一のアンテナ網ごとに設けられる装置であり、第二のアンテナ網に複数設置され、システム制御装置2からの多重伝送チャネル割り当て通知に従い、第二のアンテナ網で使用されている多重伝送チャネルの選択利用を行う。図1の例では、システム制御装置2に関する制御チャネルλ0を全ての網間制御装置5で共通で利用し、無線端末と通信するLAPの信号のうち、第一の網間制御装置5−1はλ1からλ3を使用し、第二の網間制御装置5−2はλ3からλ6を使用する。λ3は二つの網間制御装置5−1、5−2で使用される。
【0030】
下り伝送の場合、第二のアンテナ網で使用されていた多重伝送チャネルλ1からλ6の信号を、第一のアンテナ網で使用する多重伝送チャネルλ0からλ’4に載せ替える。載せ替え前のチャネルと載せ替え後のチャネルとの関係は、システム制御装置2からλ0の多重伝送チャネルを通して通知される。一つの第二のアンテナ網の多重伝送チャネル(第二網多重伝送チャネル)が複数の第一のアンテナ網の多重伝送チャネル(第一網多重伝送チャネル)に割り当てられている場合、マルチキャスト送信を実施する。
【0031】
上り伝送の場合、第一網多重伝送チャネルの信号を第二網多重伝送チャネルに載せ替える。載せ替え前のチャネルと載せ替え後のチャネルとの関係は、システム制御装置2からλ0の多重伝送チャネルを通して通知される。一つの第二網多重伝送チャネルが複数の第一網多重伝送チャネルに割り当てられている場合、複数の第一網多重伝送チャネルの信号を合成してから第二網多重伝送チャネルに載せ替える。また、複数の網間制御装置5で同一の第二網多重伝送チャネル(図1のλ3に相当)が割り当てられる場合もあるため、第二のアンテナ網ケーブル4から上り伝送用の第二網多重伝送チャネルの信号(信号Aとする)を取り込み、当該網間制御装置5で第一網多重伝送チャネルの信号を第二網多重伝送チャネルに載せ替えた信号を信号Aと合成し、再度第二のアンテナ網ケーブル4へ出力する。このように、複数の信号を合成する動作を、本実施例ではアグリゲーションと定義する。上記のとおり、アグリゲーションには複数の第一網多重伝送チャネル間を合成する第一種アグリゲーションと、第二網多重伝送チャネルの信号に対して第一のアンテナ網からの上り信号を合成する第二種アグリゲーションとがある。
【0032】
また、システム制御装置2における制御情報生成に必要な情報を生成してシステム制御装置2へ送信する機能も有する。この機能についての詳細は後述する。
【0033】
第一のアンテナ網のケーブル6は、光ファイバおよび光スプリッタで実現され、複数の第一網終端装置7と一つの網間制御装置5と接続されている。図1の例ではツリー構成を採っているが、網間制御装置5が全ての第一網終端装置7と接続していれば良く、リング構成やカスケード構成でもよい。
【0034】
第一網終端装置7は、1または複数の物理的なアンテナポート(PAP:Physical Antenna Port)を介して1または複数のアンテナと接続する。PAPを介して入出力される信号はRF(Radio Frequency)アナログ信号である。このため第一網終端装置7は、アンテナ側にパワーアンプや低ノイズアンプを少なくとも有し、第一のアンテナ網のケーブル6側に第一網多重伝送チャネルの信号を選択的に受信する機能と、第一網多重伝送チャネルのうち一つのチャネルから選択的に信号を送信する機能とを有する。図1の例は、第一のアンテナ網をWDM-PON(Passive Optical Network)で構成することを想定しており、ある一つの第一のアンテナ網に所属する第一網終端装置7は異なる波長(λ0からλ’4)で通信を行うが、別の第一のアンテナ網に所属する第一網終端装置7とは同一の波長を利用できる。このような第一のアンテナ網間の多重伝送チャネル再利用が、分散アンテナネットワークの構築コストを下げるポイントである。なお、第二のアンテナ網と同様、網間制御装置5と第一網終端装置との間で使用される多重伝送チャネルは、上り伝送と下り伝送で別のものとする。
【0035】
アンテナ8は、ダイポールアンテナやエスパアンテナなど何でもよいが、無線通信システムが使用する無線周波数で使用可能なものとする。第一網終端装置7とは同軸ケーブルやセミリジッドケーブルで接続される。
【0036】
図2は、各種アンテナポートと多重伝送チャネルとの関係を表す一例である。
第二のアンテナ網に接続している装置は、第二のアンテナ網に接続されている装置の種別を示す第2網接続装置210より、信号処理装置1とシステム制御装置2である。信号処理装置1は、第二網接続装置210と、LogicalAntennaPort220との対応づけにより、論理アンテナポートLAP1からLAP6の6つを有し、システム制御装置2は、論理アンテナポートLAP0にインターフェースを持つ。これらのLAPに対して、第二網多重伝送チャネルλ0からλ6が1つずつ割り当てられる。
【0037】
網間制御装置5は、第二のアンテナ網に複数接続されるため、それぞれにIDを付与し、図2の網間制御装置識別ID240に格納される。それぞれの網間制御装置5は、第一網多重伝送チャネルを5つλ0からλ’4までを有し、網間制御装置識別ID240と第1網伝送チャネル250とで対応づけを示している。第二網多重伝送チャネルと第一網多重伝送チャネルとの間の変換は、網間制御装置5によって実施される。ただし、第二網多重伝送チャネルのλ0に関しては、システム制御装置と網間制御装置との間の制御情報の伝送に使用するためのチャネルであり、第一のアンテナ網に対しては出力しない。表中では、第2網接続装置210のシステム制御装置に対応づけられる、網間制御装置識別ID240、第一網多重伝送チャネル、Physical Antenna Port260及び第一網接続アンテナ270の欄は、N/A(Not Applicable)と表記している。
【0038】
第一のアンテナ網に接続しているアンテナは、第一網接続アンテナ270とPhysical Antenna Port 260との対応づけによりそれぞれ物理アンテナポートPAP0からPAP4が割り当てられており、さらに第一網伝送チャネル250との対応づけにより、これらのPAP各々に対し第一網多重伝送チャネルλ0からλ’4が割り当てられる。PAPや第一網多重伝送チャネルは、異なる第一のアンテナ網間で共通で使用され、多重伝送チャネルの再利用が為される。
【0039】
図2において、第二網多重伝送チャネル−LAP間、および第一網多重伝送チャネル−PAP間は括りつけとなっている。システム制御装置2が各網間制御装置5に指定するのはLAP−PAP間の接続関係である。一つのLAPに対して複数のPAPが割り当てられている場合、第一種または第二種のアグリゲーションが必要となるLAPであることを意味する。図2の例では網間制御装置ID0のλ0からλ’2と、網間制御装置ID1のλ0からλ’1とがそれぞれ第一種アグリゲーションの対象であり、上り伝送時にこれらの第一網多重伝送チャネルの信号が合成され、それぞれ第二網多重伝送チャネルのλ1とλ3の信号として第二のアンテナ網へ出力される。また、第二網多重伝送チャネルのλ3は網間制御装置ID0とID1で共用されているため、第二種アグリゲーションの対象となる。それぞれの網間制御装置のλ3に関する上り伝送信号が合成され、LAP3を介して信号処理装置1へ出力される。
【0040】
図3は、図2に基づいて作成した各種アンテナポートと多重伝送チャネルと各種装置との関係を示す図である。
【0041】
第二網終端装置3は、LAPと第二網多重伝送チャネルとの変換と、第二網多重伝送チャネルの下り伝送信号多重化と上り伝送信号分離を行う。各々の網間制御装置5は、第二網終端装置3から第二網多重伝送チャネルで送信される下り伝送信号の選択分離と第一網多重伝送チャネルへの変換、ならびにアンテナ8側から入力される上り伝送信号の第二網多重伝送チャネルへの変換と、同一LAPの上り信号に対するアグリゲーションを実施する。
【0042】
アンテナ8を介して、無線端末9と無線周波数信号の伝送を行う。各無線端末9に対して無線で伝送される信号のLAPは図示の通りである。無線端末9−1と9−3は複数のアンテナ8を用いて同一LAPの信号を通信するため、サイトダイバーシチの状態での通信となる。無線端末9−4は複数LAPの信号を通信するため、ネットワークMIMOの状態での通信となる。各アンテナ8でどのLAPの信号を送受信するかは、システム制御装置2が第二網多重伝送チャネルのλ0を介して各網間制御装置5を制御することで実現する。
【0043】
図4は、図3で実現した接続を、階層化していない分散アンテナネットワークで実現した場合の接続例を示す。図3との一番の違いは、LAPとPAPとの間に
【特許文献2】で開示されているようなフォトスイッチ10を挿入している点である。動作としては、各PAPがどの多重伝送チャネル(λ1からλ6)を使用すべきかを、λ0を通してシステム制御装置2から各PAPのインターフェースを持つ第一網終端装置7に通知し、各第一網終端装置7は通知された多重伝送チャネルを用いて上り伝送信号と下り伝送信号を信号処理装置1と通信する。
【0044】
以上の動作をさせる場合、全ての第一網終端装置7で全ての多重伝送チャネルが使用される可能性が生じるため、LAPの数が増えて多重伝送チャネルの数が増加するほど第一網終端装置7に高い性能が求められるようになり、コスト高となる。また、フォトスイッチ10は、全LAP数対全PAP数の入出力端子が必要となり、かつ無線端末位置に合わせたLAP−PAP間の自由な接続を実現できるようにするため、全てのLAPが全てのPAPに対して接続可能である必要がある。これらのことから、LAP数やPAP数が増加するほどスイッチとしてより高性能が求められ、コスト高となる。
【0045】
以上のことから、階層化していない分散アンテナネットワークは、第一網終端装置7やフォトスイッチ10が扱うべき多重伝送チャネル数や、LAP−PAP接続の組み合わせが増加するためコスト高となる。
【0046】
図5は、本実施例による第一網終端装置7の実施例を示す。第一網終端装置は、情報を保持するメモリ111,それを参照する光復調器101と光変調器とを備える。また、第一網終端装置は、デジタル信号とアナログ信号間の変換を行う、変換器であるデジタルアナログ変換器102,アナログデジタル変換器108を有する。ベースバンド信号と無線周波数信号間の変換を行うコンバータであるアップコンバータ103,とダウンコンバーター109を有する。さらに、パワーアンプ104及びローノイズアンプ110を備える。
網端制御装置5、アンテナ8に接続される。網端制御装置5から伝送される下り信号は、第一網多重伝送チャネルのいずれかを使用して光信号として伝送される。使用する波長は、図3の例に従えばλ0(DL)からλ’4(DL)のいずれかである。DLはDownlinkの略で、下り伝送であることを意味する。上り伝送はUL(Uplink)である。下り伝送と上り伝送で異なる多重伝送チャネルを使用するため、区別のためこのような表記とした。網端制御装置5に対して伝送する上り信号は、下り伝送と同様、第一網多重伝送チャネルのいずれかを使用して光信号として伝送される。使用する波長は、図3の例に従えばλ0(UL)からλ’4(UL)のいずれかである。
【0047】
各第一網終端装置7が使用する第一網多重伝送チャネル(λ’0,…,λ’4)は、動作中は変更しないため、メモリ111に当該第一網終端装置7が使用する第一網多重伝送チャネルを記憶させておく。光復調器101と光変調器107は、メモリ111の記憶内容を参照して使用すべき第一網多重伝送チャネルを決定し、それぞれ特定波長(λ0など)の光信号から電気信号への変換、電気信号から特定波長の光信号への変換を行う。光復調器101と光変調器107は、装置としては複数の波長を扱うことができるが、運用上使用する波長は1つである。複数の波長を扱えるようにするのは製品の単一ラインナップ化が目的である。
【0048】
光復調器101は、電気信号に変換された下り伝送信号に対し、デジタルアナログ変換器102を通してアナログ信号へ変換する。アップコンバータ103は、ベースバンド信号を無線周波数信号に変換し、パワーアンプ104で増幅し、下り伝送信号と上り伝送信号を分流するデュプレクサ105を通してアンテナ8から無線周波数信号を送信する。デュプレクサ105とアンテナ8との間にPAP106を定義しているが、これは物理的な装置を意味するものではなく、論理的なインターフェースを意味する。
【0049】
アンテナ8で上り伝送信号を受信した場合、デュプレクサ105を通してローノイズアンプ110は、上り電送信号を増幅し、ダウンコンバータ109は、無線周波数信号をベースバンドアナログ信号に変換する。そして、アナログデジタル変換器108は、ベースバンドアナログ信号をベースバンドデジタル信号に変換する。このベースバンドデジタル信号を光変調器107は、特定波長の光信号に変換し、網間制御装置5へ上り伝送信号を送信する。
【0050】
以上は、第一網終端装置7でベースバンドデジタル信号と無線周波数アナログ信号との変換を行う前提で説明した。なお、他の装置で無線周波数アナログ信号に変換済みの場合、デジタルアナログ変換器102、アップコンバータ103、ダウンコンバータ108、アナログデジタル変換器109は不要となり、光変調器107と光復調器101は、光強度変調に対応したものを使用する。光−電気間の変換点でデジタル信号を扱う場合は強度変調でも位相変調でも良い。
【0051】
また、以上の説明では第一網終端装置7同士がWDMされていることを前提にしていたが、TDM−PONのように第一網終端装置7同士がTDMされる場合、第一網終端装置7毎にタイムスロットを割り当てる。非特許文献5のように、各第一網終端装置7にタイムスロットを割り当てて上り伝送/下り伝送を行ってもよい。TDM−PON方式を採る場合、本実施例の網間制御装置5がOLT(Optical Line Terminal)、第一網終端装置7がONU(Optical Network Unit)に相当する。
【0052】
図6は、本実施例による網間制御装置5の例を示す。
【0053】
左側は第二網終端装置3および他の網間制御装置5に接続され、右側は複数の第一網終端装置7(図6の例では5個の第一網終端装置7)と接続される。
【0054】
第二網多重伝送チャネル分離器116は、下り伝送信号を受信し、当該網間制御装置5が取り出すべき第二網多重伝送チャネル(図6ではλ0およびλaからλe)を対応する光復調器101aに入力する。各光復調器101aは、取り込んだ各第二網多重伝送チャネル(λa、λb、λc、λd、λe)を電気信号に変換する。光変調器107aは、入力されるλaからλeの信号に関して、第一網多重伝送チャネルλ0(DL)からλ’4(DL)に載せ替え、各々の第一網終端装置7に下り伝送信号を送信する。一方、網間制御装置5を制御する情報を含むλ0の信号に関しては、第二網多重伝送チャネル分離器116は、光復調器101bを介して、電気信号に変換され、コントローラ112に入力する。コントローラ112は様々な制御を行うが、詳しくは後述する。第一アグリゲータで、信号をどのように合成するかはコントローラ112から指示される。
【0055】
以下、上り伝送信号の処理について説明する。
【0056】
光復調器101dそれぞれは、第一網終端装置7から第一網多重伝送チャネルλ0(UL)からλ’4(UL)の信号を電気信号に変換し、変換された信号群Aを第一アグリゲーター113に出力する。第一アグリゲータ113は、コントローラ112からの制御信号に従って、信号群Aを合成し、第二アグリゲータ114に出力する。
【0057】
一方、第二網多重伝送チャネルに流れている信号を、上り多重伝送チャネル分離器117は、当該網間制御装置5が取り出すべき第二網多重伝送チャネル(図6ではλaからλe)を光変調器101cにに入力する。光変調器101cは、取り込んだ各第二網多重伝送チャネルの信号を電気信号に変換し、第二アグリゲータそれぞれに出力する。、以下、複数の変調器101cにより変換された信号群を信号群Bと呼ぶ。
【0058】
信号群Aに対しては、第一アグリゲータ113により第一多重伝送チャネル間の信号を合成出力する。第二アグリゲータ114それぞれは、第一アグリゲータ113の出力と信号群Bのいずれかとを加算し、加算結果を光変調器107に出力する。光変調器107bは、光信号へ変換し第二網多重伝送チャネル多重化器118に出力する。
【0059】
上り通信品質推定器115は、信号群Aから制御情報を作成し、光変調器107cにより、システム制御装置2へ通知するための制御情報を光信号に変換し、第二網多重伝送チャネル多重化器118に出力する。
【0060】
第二網多重伝送チャネル多重化器118は、第二アグリゲータ114を通した第二網多重伝送チャネルの信号と、第二アグリゲータ114を通していない(λothersと表記)信号とを多重化し、第二のアンテナ網へ出力する。さらに、第二網多重伝送チャネル多重化器118では、システム制御装置2へ通知するための制御情報を第二網多重伝送チャネルλ0として多重化する。こ
以上で網間制御装置の概要説明は終わりである。以下、第一アグリゲータ113、第二アグリゲータ114、上り通信品質推定器115、第二網下り多重伝送チャネル分離器116、第二網上り多重伝送チャネル分離器117、第二網多重伝送チャネル多重化器118、およびコントローラ112各々の詳細について順番に説明する。
【0061】
図7Aは、アナログ信号を入出力する第一アグリゲータ113の構成例である。
【0062】
この図では2入力(input0,input1)2出力(output0, output1)の例を挙げているが、入出力数はこれに限定されない。スイッチ121の数は入力数×出力数、合波器122は出力数の分だけ準備すれば良い。
スイッチ121は、それぞれコントローラ112から電気的に個別にOpen/Closeを制御される。合波器122は、アナログ回路で構成され、同一周波数の複数の入力信号を干渉させる形で合波する。これにより、複数のアンテナ8で受信した信号が、あたかもマルチパス信号として合成された信号が出力されることになる。
【0063】
図7Bは、第一のアグリゲータの変形例で、デジタル信号を入出力する第一アグリゲータの構成例である
図7Aと異なる点は、復調器124を有する点である。デジタル信号の場合はアナログ信号と異なり、振幅情報が複数シンボル(例えばBPSKやQPSK)に分割されているため、復調器124は、まずは各入力を復調して振幅情報を取り出すための論理回路で構成される。復調器124は、取り出した振幅情報をアナログ信号と同様にスイッチ121に出力する。加算機は、複数のスイッチ121からの出力を加算し、加算結果である振幅情報を分割して変調シンボルに変換する変調器126を通して出力する。加算器125、変調器126は論理回路で実現可能である。
【0064】
第2アグリゲータの構成は、図7Aまたは図7Bと同様であるが、コントローラ112からのスイッチ121に対する制御は不要で、加算機は、単純な2入力1出力を行う。また、第一アグリゲータ113の出力は再度第二アグリゲータ114で加算されるため、第一アグリゲータ113の出力側の変調器126と、第二アグリゲータ114の第一アグリゲータ113側入力の復調器124はなくても良い。
【0065】
図8は、本実施例による上り通信品質推定器115の構成を示す。動作としては、各アンテナ8で受信した信号のうち、無線端末9毎に異なる信号に対するマッチドフィルタ128処理を施し、アンテナ8毎に受信信号のレベルを比較評価する。例えば非特許文献3の5.5.3節、および非特許文献4の8.2節にSRS(Sounding Reference Signal)が記載されている。SRSのシーケンス生成および送信タイミングや周期を決定するためにいくつかのパラメータを端末個別に設定する。つまり、SRSのシーケンスや送信タイミングにより端末を区別することができる。端末毎の各種パラメータはシステム制御装置2から網間制御装置5に転送される。また、ある時刻においてどのパラメータを持つ端末についてマッチドフィルタ処理を施すべきかがシステム制御装置2から指示される。
【0066】
以上の動作を実現するため、パタンジェネレータ127は、コントローラ112から上記各種パラメータの指定を受け、SRSシーケンスの生成、各種パラメータに従ったシーケンス配置、およびIFFT処理によりベースバンド時間領域信号を生成し、サンプル毎の値を全てのマッチドフィルタ128に設定する。各マッチドフィルタ128は積和演算を実施し結果出力するため、その結果をフィードバック情報生成器129に出力する。フィードバック情報生成器129は、マッチドフィルタ128の出力結果を受け、システム制御装置2へ送信するための制御情報パケットを生成する。パタンジェネレータ127、マッチドフィルタ128は論理回路で構成され、フィードバック情報生成器129はプロセッサで構成される。
【0067】
図9は、本実施例による多重伝送チャネル分離器および多重化器を示す。多重伝送チャネルの信号は、チャネル多重された状態でinput1から入力される。同入力は分離用波長選択スイッチWSS(Wavelength Selective Switch)130で、コントローラ112から指示された多重伝送チャネルの分離を行い、output2側へ出力し、それ以外は下方へスルー出力する。分離用波長選択スイッチ130は、分離すべき多重伝送チャネル数分をカスケード接続すれば複数の多重伝送チャネルを取り出すことが可能となる。
【0068】
スイッチ132は、分離用波長選択スイッチ130から取り出した値(Output2と同値)を再度合波用波長選択スイッチ131へ入力するか、第二アグリゲータ114の出力を光変調器107に通した値を入力する選択機構を有する。
【0069】
多重化用波長選択スイッチ131は、コントローラ112から指示された多重伝送チャネルに関してスイッチ132側から合流させる。
【0070】
第二網下り伝送チャネル分離器116、第二網上り多重伝送チャネル分離器117、および第二網多重伝送チャネル多重化器118は、図9の構成に基づく。
【0071】
第二網下り伝送チャネル分離器116は、特定の波長の信号を網間制御装置5に取り込む一方、他の網間制御装置5にも伝送する必要があるため、取り込んだ信号を第一のアンテナ網側に流すパスと、スイッチ132側に折り返すパスとが必要となる。この2つのパスはスプリッタによって分岐させる。スイッチ132は上側と接続するように設定し、多重化用波長選択スイッチ131で一度取り込んだ多重伝送チャネルの信号を再度合流させる。
【0072】
第二網上り多重伝送チャネル分離器117と第二網多重伝送チャネル多重化器118は図9の構成で実現でき、第二網上り多重伝送チャネル分離器117は分離用波長選択スイッチ130、第二網多重伝送チャネル多重化器118は多重化用波長選択スイッチ131で実現できる。スイッチ132は下側に接続し、Input2から入力される第二アグリゲータ114出力を光変調器107に通した信号を多重化用波長選択スイッチ131で合流させる。ここで合流させる多重伝送チャネルの信号は分離用波長選択スイッチ130で分離し、第二アグリゲータ114を介して多重化用波長選択スイッチ131で再度合流させているため、分離用波長選択スイッチ130および多重化用波長選択スイッチ131による多重伝送チャネルの欠損は発生しない。
【0073】
以上で取り上げたスイッチ131は、それぞれの場合において固定的に運用されるため、目的に応じてスイッチ131を介さず、必要な線を直接結合しても良い。スイッチ131をスイッチとして実装する場合はディプスイッチのようなコンフィグレーションを設定するスイッチとしての運用を想定する。
【0074】
図10は、本実施例による網間制御装置内のコントローラ112の構成を示す。
【0075】
パケットデコーダ133は、システム制御装置2が生成する網間制御装置5に対する制御情報を復号し、いくつかの情報を取り出す。
【0076】
チャネルセレクタ135は、パケットデコーダ133により復号された情報のうち、当該網間制御装置5が取り込むべき第二網多重伝送チャネルはチャネルセレクタ135が取り込み、当該多重伝送チャネルを分離および多重化するための制御信号を分離用波長選択スイッチ130および多重化用波長選択スイッチ131に通知する。いわゆるハードウェアドライバのような動作をする。
【0077】
アグリゲーションコントローラ134は、第一アグリゲータ113で、どの第一網多重伝送チャネル同士をアグリゲーションして第二網多重伝送チャネルの信号として出力するかを制御するために、図2に示すような多重伝送チャネルのマッピング情報を元に、第一アグリゲータ113内のスイッチ121に対する制御信号を送信する役割を持つハードウェアドライバである。このアグリげーションコントローラ134により、第一網多重伝送チャネルと第二網多重伝送チャネルとの関係で、同一の第二網多重伝送チャネルを複数の第一網多重伝送チャネルで共用する場合、上り伝送時はアグリゲーションの制御が可能となる。
【0078】
パラメータセレクタ136は、無線端末9のIDから各種パラメータを引き出せるテーブルをメモリ上に持ち、メモリ上からパラメータを読みだし、上り通信品質推定器115に設定するハードウェアドライバである。無線端末9のIDと各種パラメータとを括りつけた情報は、システム制御装置2から送信され、
メモリに保持されている。
【0079】
図11は、本実施例による第二網終端装置3の構成である。
【0080】
光変調機1107は、下り伝送信号に対して、各LAPに対して別々の多重伝送チャネルで光下り伝送信号の電気信号を光信号に変換し、変換された複数の多重伝送チャネルの光信号を光合波器1137が、多重化し、第二のアンテナ網へ出力する。
【0081】
上り伝送信号に対しては、各多重伝送チャネルでの受信信号が多重化された状態で光分波器1138により分岐を行い、各光復調器101により多重伝送チャネル毎の光信号を電気信号へ変換し、各々対応するLAPへ出力する。
【0082】
光合波器1137と光分波器1138は1対Nの平面導波路基板や光ファイバ型のスプリッタで実現できる。
【0083】
図12は、本実施例による一または複数の信号処理装置1とシステム制御装置2の構成である。各信号処理装置1は、ネットワークインターフェース142、上り信号生成器145,制御情報受信器146とを有する。システム制御装置2は、ネットワークインターフェース142と、コントローラ141と、送信制御信号生成器139と、制御情報受信器140と、を有する。
【0084】
送信制御信号生成器(generator)139は、コントローラ141から入力された制御情報から所定の形式(後述)のパケットを生成し、LAP0(DL)から出力し、網間制御装置5に向けて送信する。制御情報受信器(Receiver)140は、LAP0(UL)から入力された所定形式(後述)のパケットを分解し、網間制御装置5からのフィードバック情報をコントローラ141へ出力する。
【0085】
コントローラ141は、網間制御装置5からのフィードバック情報を元に網間制御装置5に対する制御情報を生成する。制御情報に関する詳細は後述する。
【0086】
制御ネットワークインターフェース142は、ルータ143を介して信号処理装置1との通信を行うために使用する。信号処理装置1からサービスを受けている無線端末の識別子の情報をシステム制御装置2へ通知するのに使用する。
【0087】
上位ネットワーク144は、セルラシステムであれば基地局とゲートウェイとの間のアクセスネットワークであり、無線LANであれば公衆のネットワークであり、インターネットサービスプロバイダのゲートウェイなどと接続される。
【0088】
信号処理装置1は、複数の基盤148を備え、ラックに収納されている。基盤148間は、Router143を介して接続される。基盤148それぞれは、ネットワークインターフェース1420、下り信号生成器145、上り信号受信器146を、有する。
【0089】
下り信号生成器145は、上位ネットワーク144からルータ143とネットワークインターフェース142を介して無線端末9毎のデータビット系列を入力し、例えば非特許文献3で開示されている標準規格に従ってベースバンド信号を生成する。上り信号受信器146は、例えば非特許文献3で開示されている標準規格に従って無線端末9によって生成されたベースバンド信号に対する受信処理を行って、無線端末9毎のビット系列を取り出し、ネットワークインターフェース1420とルータ143を介して上位ネットワーク144にデータを出力する。
【0090】
図13のシステム制御シーケンスを説明するために、図13に関係する図14、図15について説明する。
【0091】
図14は、端末固有のID(端末恒久ID)1410と、セルID1420と、一時的に端末に割り当てるID(セル内一時ID)1430との対応関係を示すテーブルである。このテーブルシステム制御装置2が有する。
【0092】
図15は、セルID1510と、LAPの識別子1520と、LAPに対応するPAPリスト1530との対応付けを示す。セルID1520は、基地局の通信範囲毎に対応づけられる識別子である。LAP1520は、信号処理装置1及びシステム制御装置2と、第二終端装置3間のインターフェースである論理アンテナポートを特定する識別子である。PAPのリスト1530は、網間制御装置のIDと、各PAPの識別子との組み合わせで構成される。LAP1520とPAPのリスト1530とは、図2のLogicalAntennaPortとPhysicalAntennaPortとの組み合わせに対応する。
【0093】
図13は、本実施例によるシステム制御シーケンスの実施例である。まず信号処理装置1は、非特許文献6の6章に無線端末からのランダムアクセスに従った無線端末9からの初期アクセス信号の受信を確認したら、無線端末9毎に一時的にセル固有のIDを割り当てる(S1001)。なおセルIDは、図12に示した信号処理装置1内の、破線で囲まれたサブセット毎に別のものを割り当てることとする。
【0094】
また、無線端末9は、上記の一時的なID(一時ID)の他、物理的な端末として唯一のID(恒久ID)が割り振られているため、これらの一時IDと恒久IDとの関係をシステム制御装置2へルータ143を介して通知する(S1002)。この通知を受けて、システム制御装置2は、図14に示す表を更新する(S1003)。
【0095】
システム制御装置2は、一定周期(例えば10秒)毎に図14のテーブルの情報を、網間制御装置5毎にパケット化して各網間制御装置5へ送信する(S1004)。システム制御装置2は、自身の制御により図15のテーブルを管理する。セルID1510とLAP1520との関係は動作中には変更しないが、LAPに対応するPAPリスト1530に含まれるPAPと網間制御装置IDは制御により変化する。これにより、セルID毎に上記パケットの送信宛先を決定することができる。例えば、図14と図15の例では、システム制御装置2は、セルID=0に所属する無線端末9が、図14から端末恒久ID0,3,6であると認識し、これらの端末に割り当てられた一時ID12,567,1023を、セルID=0のLAP1,2が割り当てられている網間制御装置ID0に対して送信する。
【0096】
図16は、S1004のメッセージとして送信するパケットフォーマットの実施例である。まず先頭に、以下に続く情報がS1004の情報であることを示すヘッダ201を置き、続いて宛先の網間制御装置5のID202を付加して受け取り手を明確にする。その次は、セルID何個分の情報を以下に含んでいるかを示すセルID数フィールド203を付加し、セルID毎の使用中の端末一時IDを含んだセルID固有情報フィールド204を付加する。セルID固有情報フィールド204の中は、以下に続く上記使用中の端末一時IDの数を示すフィールド205と、使用中の端末一時IDのフィールド206が続く。
【0097】
図13に戻り、S1004のメッセージを受信した網間制御装置5は、図10に示すパケットデコーダ133で自身宛のメッセージをヘッダ201および宛先フィールド202を検出して、宛先フィールド202以降に続くフィールドをパラメータセレクタ136に出力する。パラメータセレクタ136は、図14の情報のサブセット(当該網端制御装置にS1004で送信されたセルIDに関する情報のみ)に従い、図8のパタンジェネレータ127に図14のセルIDとセル内一時IDを順番に1個ずつ(例えば1ミリ秒間隔)設定し、マッチドフィルタ128出力をフィードバック情報生成器129で収集する(S1005)。
【0098】
フィードバック情報生成器129は、一定周期毎(例えば10秒毎)にシステム制御装置2に対してマッチドフィルタ128の出力を元にフィードバック情報を生成して送信する(S1006)。マッチドフィルタ128からは、パタンジェネレータ127が設定したセルIDとセル内一時IDに関する出力が、例えば1ミリ秒毎に出力される。上記のS1006の送信周期の間に、同一のセルIDとセル内一時IDに関するマッチドフィルタ128出力が得られるため、これを送信周期の間で平均化処理を行い、セルIDとセル内一時ID毎に1つの結果を求める。平均化した結果は図17のような形式でまとめられる(S1007)。マッチドフィルタ128はPAP毎に準備される。
【0099】
図18は、S1007のメッセージとして送信するパケットフォーマットの実施例である。まず先頭に、以下に続く情報がS1007の情報であることを示すヘッダ211を置き、続いて送信元の網間制御装置5のID212を付加して送信元を明確にする。その次は、セルID何個分の情報を以下に含んでいるかを示すセルID数フィールド213を付加し、セルID毎にフィードバック情報に含まれる端末一時IDを含んだセルID固有情報フィールド214を付加する。セルID固有情報フィールド214の中は、以下に続く上記端末一時IDの数を示すフィールド215と、端末一時ID毎のマッチドフィルタ出力を格納したフィールド216が続く。フィールド216の中は、PAPの数を示すフィールド217と、PAP毎のマッチドフィルタ出力値のフィールド218が続く。
【0100】
S1007のメッセージの宛先は、システム制御装置2であり、システム制御装置2の制御情報受信器140でS1007のデコード処理を実施し、図17に相当する情報を全ての網間制御装置から収集した状態となる。情報を収集したら、システム制御装置2は、物理アンテナ(PAPと網間制御装置ID)とLAPとの割り当てを実施する(S1008)。
【0101】
S1008完了後、システム制御装置2から網間制御装置5に対してLAPと網間制御装置ID及びPAPとの組み合わせを通知する。
【0102】
図20は、通知のパケットフォーマットの一例を示す。まず先頭に、以下に続く情報がS1009の情報であることを示すヘッダ221を置き、続いて宛先の網間制御装置5のID222を付加して受け取り手を明確にする。その次は、PAP何個分の情報を以下に含んでいるかを示すPAP数フィールド223を付加し、PAP毎に割り当てられたLAP番号を通知するフィールド224が続く。
【0103】
図13に戻り、S1009のパケットは、網間制御装置5のパケットデコーダ133でデコードされ、PAP数フィールド223とPAP−LAPマッピングフィールド224との情報をアグリゲーションコントローラ134とチャネルセレクタ135とに入力する。
【0104】
S1010では、S1009でシステム制御装置2から網間制御装置5に通知された情報を元に、アグリゲーションコントローラ134とチャネルセレクタ135は、LAP−PAP接続制御を実施する。
【0105】
図19は、図13のS1008の詳細である、システム制御装置2が行うLAP−PAP割り当てのフローチャートを示す。
【0106】
S2001では、システム制御装置2は、無線端末9毎に網間制御装置5で測定したマッチドフィルタ出力に対して、物理アンテナ(網間制御装置IDとPAPのセットで一意に定まる)を降順にソートする。S2002では、物理アンテナ毎に当該物理アンテナに関するマッチドフィルタ出力が最大の無線端末数をカウントする。S2003では、S2002のカウント結果が最大の物理アンテナを選択し、これを便宜上アンテナAと定義する。
【0107】
S2004では、アンテナAを最大マッチドフィルタ出力とする無線端末の、S2001でのソート結果から得られる上位Mアンテナを選択し、その和集合を便宜上アンテナBと定義する。Mは整数で定義される設定パラメータであり、例えば2に設定する。この値はシステムオペレータが自由に設定できる値で、大きく設定すればセルIDあたりで収容する無線端末数が増加して無線端末あたりのスループットが低下するデメリットと、セルID間の干渉が発生しにくくなることによるスループット向上というメリットとのトレードオフが発生する。S2004では、S2003で選択したアンテナAの周辺のアンテナが選択されることになる。
【0108】
S2005では、アンテナAとアンテナBを一つのグループと見なして、このグループのいずれかのアンテナをマッチドフィルタ最大出力とする無線端末の数をカウントしている。つまり、当該アンテナグループから無線通信サービスを受ける可能性が、無線端末が移動しない限り極めて高い無線端末の数をカウントしている。S2006では、S2005でカウントした無線端末数がしきい値(例えば100無線端末)を超えるかどうかを判定し、超えていなければS2007でこれまでのアンテナAとアンテナBをアンテナAとして再定義し、S2004から処理を再開し、ある1つのセルIDで収容する物理アンテナのエリアを拡大する。しきい値を超えていればS2008で、アンテナAとアンテナBに属する物理アンテナグループに一つのセルIDを割り当て、あるセルIDで無線通信サービスを提供する物理アンテナグループを確定する。
【0109】
S2010とS2011では、ある一つのアンテナ(S2002のカウント値が当該アンテナグループ内で最大)を基準として、そこから地理的な距離が近い順に、当該セルIDが持つ複数のLAPを交互に割り当てる。物理アンテナの地理的な座標は、例えばアンテナ設置時にGPS(Global Positioning System)で測位した結果をデータベース化してシステム制御装置2にテーブルとして持っておくことができる。
【0110】
S2012では、全ての物理アンテナにセルIDやLAPが割り当てられたかどうかを判定し、割り当てられていれば図19のフローチャートは終了する。一方、割り当てられていない場合は、既にセルIDやLAPが割り当てられている物理アンテナを除外してS2003から処理を再開し、別のセルIDやLAPの割り当てを実施する。以上の手順から、図2に示すLAP対網間制御装置ID&PAPの組み合わせが確定する。以上の図19のフローチャートが、図13のS1008に相当する。
【0111】
以下、S1010の具体的な実施例である、アグリゲーションコントローラ134とチャネルセレクタ135によるLAP−PAP接続制御について、図20ないし図23を用いて説明する。
【0112】
図21は、本実施例による第二網下り伝送チャネル分離器116の構成と、コントローラ112との関係を示す。矢印は、それぞれ信号の流れを示す。第二網下り伝送チャネル分離器116は、分離用波長選択スイッチ130−1、130−2、、、130−6、及び多重化用波長選択スイッチ131―1,131−2、、、131−6を有する。第二のアンテナ網4を流れる多重伝送チャネルの信号は左上から左下(A→B)に向かって流れている。この多重伝送チャネルの信号に対し、図9とは異なり、分離用波長選択スイッチ130と多重化用波長選択スイッチ131とがカスケード接続され、それぞれPAPの数+1個のスイッチが、その処理に関わる。
【0113】
コントローラ114は、図10と同様に、パケットデコーダ133とチャネルセレクタ135を備える。パケットデコーダ133は、制御情報や図20の形式通知されたパケットを解析し、チャネルセレクタ135は、それぞれの分離用波長選択スイッチ130と多重化用波長選択スイッチ131に対して、制御情報に固定的に割り当てられた多重伝送チャネル、および図20の形式で通知された結果を元に、PAPに割り当てられたLAPに対応する多重伝送チャネルに相当する情報を設定する。この設定により、第二網下り伝送チャネル分離器116の各スイッチ130、131は、制御によって決定された多重伝送チャネルの周波数λに基づいて、LAPの信号を取り込むと。
【0114】
なお、分離用波長選択スイッチ130が取り込んだ信号は、LAPごとに対応する光復調器101を経由してPAPに転送されるパス2110と、全ての第二網多重伝送チャネルを次の網間制御装置5へ転送(複数の網間制御装置5で同一のLAPを共用するため)するため多重化用波長選択スイッチ131へ再入力するパス2120とが存在する。
【0115】
図22A及び図22Bは、LAPと多重伝送チャネル変換テーブルを示す。これらのテーブルを、各網間制御装置5とシステム制御装置2で保持する。網間制御装置5においては、LAPとPAPに関して、個別のテーブルを保持しても良い。図22Aは、全ての多重伝送チャネルが波長多重される場合におけるLAPの識別子2210と多重伝送チャネル2220及び2230との関係である。多重伝送チャネルは、下り伝送チャネル2220、上り伝送チャネル2230それぞれ記述されている。
【0116】
図22Bは、波長多重と時間多重が組合わさった場合におけるLAPの識別子2210と多重伝送チャネル2240及び2250との関係を表している。2240,2250のコラムにあるインタレース(Interlace)とは、時間を一定間隔毎(例えば1ミリ秒毎)に区切って、区切った時間に対して順番にインタレース番号0,1,2,3,0・・・といったように割り振ったもので、インタレース番号を時間多重チャネル番号として扱う。上記のインタレース番号割り当ての例では、各時間多重チャネルは4ミリ秒毎に1ミリ秒ずつ現れることになる。
【0117】
図23は、本実施例による第二網上り多重伝送チャネル分離器117、および第二網多重伝送チャネル多重化器118の構成を示す。矢印は、それぞれ信号の流れを示す。第二のアンテナ網4を流れる多重伝送チャネルの信号は左上から左下(C→D)に向かって流れている。この多重伝送チャネルの信号に対し、多重伝送分離器117は、図9と異なり、制御用及びPAPに対応するLAPごとに対応する分離用波長選択スイッチ130を備える。多重伝送チャネル多重化器118も同様に、制御用及びPAPに対応するLAPごとに対応する多重化用波長選択スイッチ131を有する。それぞれの分離用波長選択スイッチ130と多重化用波長選択スイッチ131に対しては、チャネルセレクタ135が、当該網間制御装置5に割り当てられたLAPに相当する多重伝送チャネル(図22Aまたは図22B)を指定する。LAP数がPAP数より少ない場合は、不要な分離用波長選択スイッチ130と多重化用波長選択スイッチ131があるので、多重伝送チャネルが指定されていない、これらの不要なスイッチは、多重伝送チャネルの信号をDの方向へスルー出力するよう制御する。
【0118】
第二アグリゲータ114は、第一アグリゲータ113から出力される信号と各分離用波長選択スイッチ130で取り込んだ信号とを合成する。合成された信号を、光変調器107は、光信号に変換し、多重化用波長選択スイッチ131に出力する。第二のアンテナ網4に多重化用波長選択スイッチ131は、光信号に変換された信号を、多重伝送チャネルを再合流させる。
【0119】
図24は、本実施例による第一アグリゲータの制御方法に関する実施例である。矢印は、それぞれ信号の流れを示す。
【0120】
システム制御装置2からパケットデコーダ133を介してアグリゲーションコントローラ134に、LAPとPAPのマッピング情報が入力される(2410)。スイッチ121は、いずれかのPAPに接続されており、それぞれのスイッチ121に図示の通り当該網間制御装置5が扱うLAPのうち何番目のLAPに関するスイッチ121であるかという属性を持っている。つまり、PAP=X,LAP=Yという属性を各スイッチ121が持っている。このとき、Y番目のLAPがX番目のPAPにマッピングされていれば当該スイッチ121はCloseで、マッピングされていなければOpenとなる。このように、アグリゲーションコントローラ134は、各スイッチ121に対してOpen/Closeの1ビットの情報を送り、各スイッチを制御する。
【0121】
なお、図24は図7Aの実施例に基づいた変形例であるが、図7Aから図7Bの構成の変更にあわせた構成であれば、図7Bに基づく構成であってもよい。
【0122】
図25は、本実施例による図5の一部の構成を変更した第一網終端装置の変形例である。
【0123】
筺体301の中に、当該第一網終端装置で使用する多重伝送チャネルの情報が格納されているFlash ROM302と、光変調器107と光復調器101とで構成される光学部品ブロック304と、デジタルアナログ変換器102とアナログデジタル変換器108とデュプレクサ105などで構成される無線アナログ部品ブロック305とで構成され、Flash ROM302と光学部品ブロック304との間にメモリバス303を設置する。
【0124】
図26は、本実施例による図6の一部の構成を変形した網間制御装置である。矢印は信号の流れを示す。
【0125】
図26の網間制御装置は、下り伝送系受信光学部品ブロック401と、上り伝送系受信光学部品ブロック403と、下り伝送系送信光学部品ブロック402と上り伝送系送信光学部品ブロック404と、上り伝送系信号処理電子部品ブロック405と、を備える。その他の構成は、図6と同様である。
【0126】
下り伝送系受信光学部品ブロック401と上り伝送系受信光学部品ブロック403は、それぞれ、分離用波長選択スイッチ130と光復調器101とで構成される。下り伝送系送信光学部品ブロック402と上り伝送系送信光学部品ブロック404は、それぞれ、光変調器107と多重化用波長選択スイッチ131とで構成される。
【0127】
上り伝送系信号処理電子部品ブロック405は、第一アグリゲータ113、第二アグリゲータ114、および上り通信品質推定器115とで構成される。殆どが論理回路で構成されるが、上り通信品質推定器115内のフィードバック情報生成器129はプロセッサで構成する。
【0128】
406はDPRAMであり、コントローラ112とフィードバック情報生成器129からアクセス可能である。内容は、図22Aや図22Bに示すLAPまたはPAPに対する多重伝送チャネルの情報、コントローラ112内のアグリゲーションコントローラ134、チャネルセレクタ135、パラメータセレクタ136といったハードウェアドライバ類、フィードバック情報生成器129のプログラム、システム制御装置2から通知される無線端末毎のパラメータとLAP−PAPマッピング結果、ならびにフィードバック情報生成器129が平均化処理を実施するためのバッファとして利用する。407はDPRAMへのメモリバスである。408はコントローラ112から各ブロックに制御信号を通すための制御情報バスである。なお、コントローラ112はプロセッサにより実現する。
【0129】
図27は、本実施例によるシステム制御装置2の装置構成例である。図12と異なる点は、システム制御装置2は、プロセッサ501を備え、送信制御信号生成器139、制御情報受信器140、システムコントローラ141を、プロセッサ501でマルチスレッドまたはマルチプロセスのプログラムとして動作させる点である。制御ネットワークインターフェース142はIEEE802.3の通信規格に対応したハードウェアを用いる。DPRAM502は、上記各スレッドまたは各プロセスからのアクセスに対応するためのメモリである。DPRAMには、網間制御装置5からフィードバックされた図17のようなマッチドフィルタ出力テーブル2710と、信号処理装置1から通知された無線端末毎の一時ID情報の格納テーブル2720(図14)と、システムコントローラ141が生成したLAP−PAPマッピングテーブル2730と、プロセッサ501で動かすプログラム2740とが格納されている。プロセッサ501とDPRAM502との間はメモリバス503で接続される。
【0130】
上述の実施例によると、端末位置に応じて信号処理装置とアンテナとの間の伝送チャネルを自由に切り替えることによる無線通信品質の場所依存性低減と、多重伝送チャネル数に対する要求条件低下により信号処理装置やアンテナに設置される多重チャネル終端装置のコスト低減との両立が可能となる。
【0131】
上述のとおり、本実施例の実施例を説明したが、上記実施例に基づいて、及び実施例の変形の態様として、以下の態様がある。
【0132】
本実施例の第一の態様として、分散アンテナシステムは、該分散アンテナシステム内の一部のアンテナ群により構成され、アンテナに対する物理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第一のアンテナ網と、複数の該第一のアンテナ網と接続し、無線端末と送受信する信号を処理する信号処理手段に対して論理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第二のアンテナ網と、
該第一のアンテナ網と該第二のアンテナ網との接続点に該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御手段を具備する。第一の態様により、アンテナ網の階層化により大規模な分散アンテナシステムを構築する際のコストを低減でき、かつ端末位置に応じた信号処理装置とアンテナとの間の論理アンテナポートと物理アンテナポートとの間の接続制御により無線伝搬減衰と無線相互干渉を低減し、無線通信品質の端末位置による依存性を低減できる。
【0133】
さらに、第二の態様として、第一の態様の分散アンテナシステムがさらに、該第一のアンテナ網各々が取り扱う1または複数の該論理的なアンテナポートを、該第一のアンテナ網各々に割り当てるシステム制御手段を具備する。第二の態様により、論理アンテナポートと物理アンテナポートとの間の接続制御を分散アンテナシステム自体が自律的に実施できるようになる。
【0134】
第3の態様として、該第一のアンテナ網が、第一の態様の分散アンテナシステムが有する該論理的なアンテナポートのうち一部を、該システム制御手段が割り当て、割り当てられた該論理的なアンテナポートに関する該第二のアンテナ網からの入力信号を1または複数の該物理的なアンテナポートに対して複写出力し、また、複数の該物理的なアンテナポートから入力された信号を1つの該論理的なアンテナポートに関する該第二のアンテナ網への出力信号として集約する。第3の態様によれば、1つの論理アンテナポートに対して複数の物理アンテナポートを割り当てられるようになるため、より少ない論理アンテナポートで、物理アンテナポート全体で形成される無線サービスエリアに無線通信サービスを提供することができる。
【0135】
さらに、第4の態様として、第3の態様である分散アンテナシステムに含まれる第一のアンテナ網は、該システム制御手段により当該第一のアンテナ網に割当てられた該論理的なアンテナポートの数、または当該第一のアンテナ網が有する該物理的なアンテナポートの数のうち、いずれかに対応する数の多重伝送チャネルを有する。例えば、いずれか大きい数を上限とした多重伝送チャネルを有する分散アンテナシステムが第4の態様である。第4の態様によると、第一のアンテナ網で準備すべき多重チャネル数の上限を規定することで、第一のアンテナ網で使用するケーブルや多重伝送チャネルの終端装置の設計値に盛り込むマージンを減らすことができ、ケーブルや終端装置のコストを下げることができる。
【0136】
さらに、第4の態様に対し、第5の態様では、複数の該第一のアンテナ網が同一の多重伝送チャネルを有する分散アンテナシステムである。第5の態様によると、複数の第一のアンテナ網が持つ多重チャネルの仕様を共通化でき、複数の第一のアンテナ網を同一のケーブルや装置により構成できるため、量産効果によりケーブルや装置のコストを下げることができる。
【0137】
また、第6の態様として、第二の態様の分散アンテナシステムが有する第二のアンテナ網は、複数の該第一のアンテナ網に対し同一の該論理的なアンテナポートに関する信号を出力し、複数の該第一のアンテナ網から入力された信号を1つの該論理的なアンテナポートに関する該信号処理手段および該システム制御手段への出力信号として集約する態様である。つまり、第6の態様によると、同一の論理的なアンテナポートを同一または異なる第一のアンテナ網に所属する複数の物理的なアンテナポートへ割り当て、同一の論理的なアンテナポートに関して複数の無線端末からの信号が発生した際にこれらを集約する。それにより、第二のアンテナ網で準備すべき多重伝送チャネルの数を物理的なアンテナポート数への依存をする必要がなく、論理的なアンテナポート数への依存することで済む。また、必要最小限の多重伝送チャネル数での物理的なアンテナポートを使用した無線通信サービスを提供できる。
【0138】
第7の態様では、第6の態様の分散アンテナンシステムに含まれる該第二のアンテナ網で準備すべき多重チャネル数が、該信号処理手段及びシステム制御手段が有する論理的なアンテナポートの数に基づいて決定される態様である。例えば、該信号処理手段が有する該論理的なアンテナポートの数と、該システム制御手段が有する該論理的なアンテナポートの数との和を上限とした多重伝送チャネルを有する態様となる。第7の態様によると、第二のアンテナ網で使用するケーブルや多重伝送チャネルの終端装置の設計値に盛り込むマージンを減らすことができ、ケーブルや終端装置のコストを下げることができる。
【0139】
第8の態様では、第2の態様の分散アンテナシステムの論理的なアンテナポートのうち少なくとも1つを該システム制御手段に割り当て、該第二のアンテナ網で用意する多重伝送チャネルのうち少なくとも1つを、該網間制御手段を制御するための制御情報の伝送に使用する態様である。第8の態様により、システム制御手段から網間制御手段を遠隔で制御するための通信路を確保する。
【0140】
第9の態様では、第8の態様の分散アンテナシステムにおいて、さらに該システム制御手段は、該制御情報として、少なくとも宛先となる該網間制御手段の識別子と、該網間制御手段に接続されている該第一のアンテナ網に割り当てる該論理的なアンテナポートの識別子とを該網間制御手段に伝送する態様である。第9の態様によると、システム制御手段からそれぞれの網間制御手段に対し、当該第一のアンテナ網で取り扱うべき論理的なアンテナポートを指定することができる。
【0141】
第10の態様では、第9の態様である分散アンテナシステムであって、
該システム制御手段から該網間制御手段に伝送する該制御情報は、さらに該網間制御手段に接続されている該第一のアンテナ網における該論理的なアンテナポートと該物理的なアンテナポートとの間のマッピング情報を含み、システム制御手段は、少なくとも一つの網間制御手段に対し、当該第一のアンテナ網で取り扱うべき論理的なアンテナポートと、各々の取り扱うべき論理的なアンテナポートを当該第一のアンテナ網が持つ物理的なアンテナポートへ割り当て、網間制御手段は、マッピング情報に基づいて、第一網へ信号を振り分ける。
【0142】
第11の態様は、第9の態様の分散アンテナシステムでのシステム制御手段か該網間制御手段に伝送する該制御情報は、さらに該網間制御手段に接続されている該第一のアンテナ網に属する該物理的アンテナポートを介して無線通信を実施する該無線端末の識別子を含む。
【0143】
第12の態様は、第2の態様のシステム制御手段に、該論理的なアンテナポートのうち少なくとも1つに割り当て、その論理的なアンテナポート及び該第一のアンテナ網で多重伝送チャネルのうち少なくとも1つチャネルを介して、該網間制御手段から制御情報を収集する。
【0144】
第13の態様では、該網間制御手段からシステム制御手段に伝送する制御情報として、該網間制御手段に接続されている該第一のアンテナ網に属する該物理的アンテナポートを介して無線通信を実施する該無線端末毎の、該物理的なアンテナポート毎の無線受信品質の測定結果を含む。また、別の態様として、システム制御手段は、それぞれの網間制御手段に対し、当該第一のアンテナ網を使用している端末の識別子を通知し、網間制御手段が端末からの無線信号の受信品質を当該第一のアンテナ網に属する物理アンテナポート毎に測定し、測定結果を網間制御手段からシステム制御手段に通知する。そして、システム制御手段が端末の地理的分布に適した論理的なアンテナポートと物理的なアンテナポートとの間の適切な割り当てを行う。
【0145】
第14の態様は、無線端末と電波の送受信を行う複数のアンテナと、第一の有線ネットワークで構築される第一のアンテナ網を介して複数のアンテナと接続される網間制御装置と、第二の有線ネットワークで構築される第二のアンテナ網を介して当該網間制御装置と接続され、無線端末と送受信する信号を処理し、複数の論理的なアンテナポートを有する信号処理装置と、該第一のアンテナ網で、アンテナ毎に第一網終端装置と、該第二のアンテナ網での該網間制御装置及び該信号処理装置側に設置される第二網終端装置と、該網間制御装置を第二のアンテナ網を介して制御するシステム制御装置と、を有するシステムである。
【0146】
第14の態様は、つまり、第一のアンテナ網と第二のアンテナ網に階層化され、かつ網間制御装置で実施する論理的なアンテナポートと物理的なアンテナポートとの間の接続制御を、システム制御装置によりネットワークを介して行うシステムである。
【0147】
第15の態様は、第14の態様における該第一網終端装置は、該第一のアンテナ網が使用している多重伝送チャネルのうち一つを選択して該網間制御装置と信号を送受信する第一チャネル選択通信手段と、当該第一網終端装置と接続している該アンテナで無線信号を送受信するための無線周波数信号処理手段とを具備するシステムである。
【0148】
第16の態様は、第14の態様の該網間制御装置は、該第一のアンテナ網を介して複数の該第一網終端装置と多重通信するための第一多重通信手段と、該第二のアンテナ網が使用している多重伝送チャネルのうち一部または全部を選択して該第二網終端装置と多重通信するための第二多重通信手段と、該第一終端装置各々が使用する伝送チャネルを割り当てる第一伝送チャネル割当手段と、該第二のアンテナ網で使用する伝送チャネルと該第一のアンテナ網で使用する伝送チャネルとを相互変換する伝送チャネル変換手段と、該第二のアンテナ網で伝送している信号と該第一のアンテナ網から入力される信号とを合成、または該第二のアンテナ網から異なる多重伝送チャネルで入力される信号同士を合成する信号合成手段とを具備する。
【0149】
第17の態様では、第16の態様の網間制御装置は、さらに、該第一網終端装置から送信される多重伝送信号各々を参照して該無線端末からの送信信号の無線受信品質を測定する無線受信品質測定手段を具備する。第17の態様により、端末毎に適した物理的なアンテナポートをシステム制御装置に通知するための情報を生成する網間制御装置が構成される。
【0150】
第18の態様では、第14の態様の該第二網終端装置は、該第二のアンテナ網を介して複数の該網間制御装置と多重通信するための第三多重通信手段と、
該信号処理装置および該システム制御装置と多重通信するための第四多重通信手段とを具備する。
【0151】
第19の態様では、第14の態様の該システム制御装置は、該網間制御装置各々が該第二のアンテナ網で使用する多重伝送チャネルを割り当てる第二伝送チャネル割当手段と、該第二網終端装置と通信するための通信手段を具備する
【符号の説明】
【0152】
1…信号処理装置
2…システム制御装置
3…第二網終端装置
4…第二のアンテナ網を形成するケーブル
5…網間制御装置
6…第一のアンテナ網を形成するケーブル
7…第一網終端装置
8…アンテナ
9…無線端末
【技術分野】
【0001】
本願明細書で開示される技術は、ネットワークシステムに関し、特に、端末がアンテナを分散配置して構成される無線ネットワークを介して通信を行う、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの周波数利用効率向上に向け、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が様々な無線通信システムで実用化を迎えている。MIMO技術については、例えば非特許文献1で開示されている。MIMOでは送信機と受信機との双方で複数のアンテナを使用することで、送信機―受信機との間で同一時間・周波数上に複数の伝送チャネルを構成することができる。
【0003】
これら複数の伝送チャネルの通信品質が良ければ高いスループットを達成できるが、送信機と受信機との間の距離が離れることによる伝搬減衰や、例えば周波数リユースが1に近いセルラシステムでは別の送信機から当該受信機への干渉により通信品質が低下する。このため、送信機と受信機との位置関係により通信品質、およびスループットに偏差が生じる。
【0004】
送信機と受信機との位置関係による通信品質やスループットの偏差を抑える技術として分散アンテナシステム(DAS:Distributed Antenna System)が知られている。分散アンテナシステムについては、例えば非特許文献2に開示されている。この技術は、インフラ側のアンテナを分散配置することで、無線端末とインフラ側アンテナとの最大距離を短縮できる、すなわち伝搬減衰の最大値を下げることができるため、場所に依存せず比較的安定した無線通信品質やスループットを提供できる。また、インフラ側のアンテナ同士が相互に離れているため、無線端末が相互に離れたインフラ側アンテナを同時に使用することで、伝搬ロスとシャドーイングにより決定する伝搬路品質の長区間変動に関するサイトダイバーシチ効果を得ることができる。
【0005】
さらに、分散アンテナシステムにおいて無線端末毎に適したインフラ側アンテナを適切に選択することで、当該無線端末と所望信号を送受信する際の伝搬ロスを減らし、他の無線端末が通信している干渉信号の伝搬ロスを増やすことができ、結果として所望信号対干渉信号の受信電力比の改善により通信品質やスループットが向上する。無線端末毎に適したインフラ側アンテナを適切に選択する方法は特許文献1、上記選択結果に応じたアンテナ切り替え装置に関しては特許文献2に開示されている。
【0006】
非特許文献3では、セルラシステムの通信規格の一つであるLTE(Long Term Evolution)では、上記MIMOを実現するために論理的なアンテナポートを定義されている。
【0007】
分散アンテナネットワークは、接続するアンテナ数が増加するほど多くの信号が流れるため、大規模な分散アンテナネットワークを構築するためには大容量の光ファイバネットワークが必要となる。
【0008】
非特許文献4では、大容量の光ファイバネットワークを構成する方法としてWDM−PON(Wavelength Division Multiplexing−Passive Optical Network)が開示されている。非特許文献4では、加入者ごとに異なる波長を割り当てて通信を行うが、これでは加入者ごとに異なる波長を通信するための装置(ONU:Optical Network Unit)が必要となりコスト高となるため、加入者側に設置する装置としては複数の波長を取り扱える単一種の装置とし、初期設定時に当該加入者が使用する波長を決定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−53768
【特許文献2】特開2009−33226
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】D.Agrawal,et al.,“Space−Time Coded OFDM for High Data−Rate Wireless Communication Wideband Channels”,VTC98,vol.3,pp.2232−2236,May 1998.
【非特許文献2】A.A.M.Saleh,et al.,“Distributed Antennas for Indoor Radio Communications”,IEEE Trans. on Conmmunications,Vol.35,pp.1245−1251,Dec.1987.
【非特許文献3】3GPP,“Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA); Physical Channels and modulation”,TR36.211,Ver9.0.0,Dec.2009.
【非特許文献4】鈴木ほか、“広域WDM−PON技術”、電子情報通信学会技術研究報告、CS2005−39、Nov.2005.
【非特許文献5】IEEE802.3−2008,“PhysicalMedium Dependent(PMD) sublayer and medium,type 1000BASE−PX10 and 1000BASE−PX20(long wavelength passive optical networks)”, clause60,section5,2008.
【非特許文献6】3GPP,“Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA); Physical Layer Procedures”,TR36.213,Ver9.0.1,Dec.2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
分散アンテナシステムは、信号処理装置と物理アンテナとの間にケーブルなどの物理的なチャネルや、時間多重チャネルや波長多重チャネルなど物理的なチャネルの中に構成される多重伝送チャネルを物理アンテナ数に応じて、システムを構成する必要がある。さらに、無線端末位置に応じて信号処理装置が持つ論理アンテナポートと物理アンテナとの間の伝送チャネルを自由に切り替えられるシステムの場合、信号処理装置と物理アンテナとの間の全区間において全ての多重伝送チャネルを通すだけのケーブル能力が必要となるうえ、物理アンテナ側で全ての多重伝送チャネルを送受信できる終端装置が必要となる。このため、分散アンテナシステムの大規模化によりケーブルや物理アンテナに対する要求性能は向上し、かつ物理アンテナ総数も増加することから物理アンテナ展開に必要なコストが増加する。また、端末がしようする物理アンテナ数は限られるため、分散された全ての物理アンテナによって、ある端末向けのデータを送信しようすると、端末の通信品質やスループットも下がり、リソースの有効活用ができない。
【0012】
また、信号処理装置が提供すべき論理アンテナポートの数は、本来分散アンテナシステム内で収容すべき最大瞬時トラフィック量に比例する。トラフィック量の地理分布は時間帯により変動するため、リソースの有効利用を考慮すると、トラフィック量が少ない地域に配置された複数の物理アンテナに対しては適応的に同一論理アンテナポートを割り当てるのが望ましい。つまり、論理的なアンテナポート数よりも物理アンテナの数が多くなることが想定されるが、信号処理装置側が論理アンテナポート数分しか入出力インターフェースを持たないため、信号処理装置と物理アンテナとの間の全区間で物理アンテナ数分の多重伝送チャネルを構成した場合、ケーブルの両端に設置する多重伝送チャネルの終端装置のコストを必要以上に高めることになる。
【0013】
本発明では、ネットワークシステムのリソースを効率よく利用する目的を実現するための、ネットワークシステム、基地局システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題のいずれかを解決するための本発明の一態様である、ネットワークシステムは、物理アンテナと、複数の物理アンテナが接続されて構成される第一のネットワークが複数構成され、第二のネットワークを介して複数の第一のネットワーク間を制御する基地局システムとを備える。基地局システムは、物理アンテナが提供する物理的アンテナポートと、基地局システムが提供する論理的なアンテナポートとの対応付けを行う。第二のネットワークには、網間制御装置が、第一のネットワークごとに構成され、対応付けに基づいて、第一のネットワークごとに、必要な信号を抽出し、第一のネットワークを構成する複数の物理アンテナごとに対応づけられる伝送チャネルに再合成し、再合成された信号を各物理アンテナに、送信する。
【0015】
さらに、別の態様では、基地局システムは、物理アンテナが提供する物理的アンテナポートと、基地局システムが提供する論理的なアンテナポートとの対応付けを行うシステム制御装置を備え、システム制御装置が使用する伝送チャネルは、制御用チャネルとして、第二のネットワークに割り当てられ、各網間制御装置に制御信号を送るときに用いられる。
【0016】
また、別の態様である分散アンテナシステムは、アンテナに対する物理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第一のアンテナ網と、複数の該第一のアンテナ網と接続し、無線端末と送受信する信号を処理する信号処理手段に対して論理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第二のアンテナ網と、該第一のアンテナ網と該第二のアンテナ網との接続点に該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御手段を具備する態様である。
【0017】
より具体的な態様では、分散アンテナシステムのうち、論理的なアンテナポートが提供される第二のネットワークと、複数の物理的なアンテナポートのうち一部の物理的なアンテナポートが提供される第一のアンテナ網とで階層化したネットワークが構成される。この階層化されたネットワーク構成において、第二のネットワークは、第一のネットワークに提供される物理的なアンテナポート数に依存することなく、論理的なアンテナポート数の分だけ多重伝送チャネルを構成すればよい。一方、第一のネットワークでは、アンテナ数がどれだけ増加しても、一つの第一のネットワークで収容する物理アンテナポートの数に上限を設けることで、第一のアンテナ網で構成すべき多重伝送チャネル数は物理アンテナポート数を上限としてもよい。第一のネットワークの収容数の上限を超える物理アンテナをシステムに増設する場合、新たな第一のネットワークを追加すれば良い。この態様によると、多重伝送チャネル数に対する要求条件を緩和でき、信号処理装置やアンテナに設置される多重チャネル終端装置の設定が容易になり、コスト低減につながる。
【0018】
また、別の具体的な態様として、該第一のネットワークと該第二のネットワークとの接続点に該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御手段を設け、端末位置に応じて信号処理装置とアンテナとの間の伝送チャネルを切り替えられる態様とする。それにおり、システムの柔軟性による各無線端末への高い無線通信品質を提供することができる。その他の態様としては、以下の実施形態で述べる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によると、複数のアンテナによる無線通信を行う場合、有線ネットワークを含めたリソースを効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施例による階層化されたネットワークシステム
【図2】本実施例による各種アンテナポートと多重伝送チャネルとの関係の一例
【図3】本実施例による各種アンテナポートと多重伝送チャネルの使用方法例
【図4】階層化されていない分散アンテナネットワークによる各種アンテナポートと多重伝送チャネルの使用方法例
【図5】本実施例による第一網終端装置
【図6】本実施例による網間制御装置
【図7A】本実施例によるアグリゲータの第一形態
【図7B】本実施例によるアグリゲータの第二形態
【図8】本実施例による上り通信品質推定器の構成
【図9】本実施例による多重伝送チャネル分離器および多重化器の構成
【図10】本実施例による網間制御装置内コントローラの構成
【図11】本実施例による第二網終端装置の構成
【図12】本実施例による信号処理装置とシステム制御装置の構成
【図13】本実施例によるシステム制御シーケンス
【図14】本実施例による無線端末ID管理テーブル
【図15】本実施例によるLAP−PAP割り当て管理テーブル
【図16】本実施例による上り通信品質推定用パラメータ通知パケット
【図17】本実施例による上り通信品質推定結果管理テーブル
【図18】本実施例による上り通信品質推定結果通知パケット
【図19】本実施例によるLAP−PAP割り当てフローチャート
【図20】本実施例によるLAP−PAP割り当て通知パケット
【図21】本実施例による第二網下り伝送チャネル分離器の構成
【図22A】本実施例によるLAP−多重伝送チャネル変換テーブルの第一形態
【図22B】本実施例によるLAP−多重伝送チャネル変換テーブルの第二形態
【図23】本実施例による第二網上り多重伝送チャネル分離器と第二網多重伝送チャネル多重化器の構成
【図24】本実施例による第一アグリゲータの制御方法
【図25】本実施例による第一網終端装置の装置構成例
【図26】本実施例による網間制御装置の装置構成例
【図27】本実施例によるシステム制御装置の装置構成例
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を用いて、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
図1は、本実施例によるネットワークシステムを示す。本実施例の通信システムは、例えば、図1に示すような第二網終端装置3及び複数の網間制御装置を含む階層化された分散アンテナネットワークシステムである。
【0023】
信号処理装置1、システム制御装置2、第二網終端装置3は、基地局システムを構成してもよい。基地局システムは、さらに、網間制御装置を含む場合もある。
【0024】
信号処理装置1は、無線端末と通信する信号の送受信処理を実施する。論理的なアンテナポート(LAP:Logical Antenna Port)を介して同時に複数の信号を入出力する。LAPを介して入出力する信号としては、例えばベースバンドのサンプリング信号を用いる。ベースバンド信号処理は、例えば非特許文献3や非特許文献6で開示されているLTEなどの通信規格に従って実現する。
【0025】
システム制御装置2は、各々の網間制御装置5を制御するための制御情報生成、および各々の網間制御装置5から制御情報生成に必要な情報を収集する。LAPを介して生成した制御情報の出力、および制御情報生成に必要なフィードバック情報の入力を行う。
【0026】
第二網終端装置3は、信号処理装置1やシステム制御装置2が生成して異なるLAPから入力された信号を第二のアンテナ網のケーブル4上で多重伝送するために、各LAPからの入力信号を別々の多重伝送チャネルに載せる機能と、第二のアンテナ網のケーブル4上で多重伝送されている信号を多重伝送チャネルごとに分離し、各多重伝送チャネルの信号を各々別のLAPへ出力する機能とを持っている。図1の例では、第二のアンテナ網のケーブル4で波長多重伝送(WDM:Wavelength Division Multiplexing)する例を挙げているが、複数のLAPに関する信号が多重化できれば時間分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)や空間(ケーブル)分割多重(SDM:Spatial Division Multiplexing)で実現しても良い。図1はWDMの例であり、この場合各LAPは波長λ0からλ6に対応づけられる。
【0027】
なお、信号処理装置1からアンテナ8を介して無線端末に伝送されるいわゆる下り信号と、無線端末からアンテナ8を介して信号処理装置1へ伝送されるいわゆる上り信号は別の多重伝送チャネル(例えば波長)を用いる。つまり、下り伝送用の波長λ0からλ6と上り伝送用の波長λ0からλ6は別のものである。
【0028】
第二のアンテナ網のケーブル4は光ファイバで実現され、第二網終端装置3と、複数の網間制御装置5と接続されている。図1の例ではリング構成を採っているが、全ての網間制御装置5と第二網終端装置3をカスケード接続してもよい。本実施例で採用可能な網構成の特徴は、複数の網間制御装置5から入力される信号を第二網終端装置3へ出力する前に合成可能な構成である。つまり、第二網終端装置3を幹として各網間制御装置5を枝とするツリー構成は不適である。一方、第二網終端装置3と複数の網間制御装置5を幹として各第一網終端装置7を枝とするツリー構成は本実施例に適しており、上記のリング構成やカスケード接続はこの条件を満たしている。
【0029】
網間制御装置5は、第一のアンテナ網ごとに設けられる装置であり、第二のアンテナ網に複数設置され、システム制御装置2からの多重伝送チャネル割り当て通知に従い、第二のアンテナ網で使用されている多重伝送チャネルの選択利用を行う。図1の例では、システム制御装置2に関する制御チャネルλ0を全ての網間制御装置5で共通で利用し、無線端末と通信するLAPの信号のうち、第一の網間制御装置5−1はλ1からλ3を使用し、第二の網間制御装置5−2はλ3からλ6を使用する。λ3は二つの網間制御装置5−1、5−2で使用される。
【0030】
下り伝送の場合、第二のアンテナ網で使用されていた多重伝送チャネルλ1からλ6の信号を、第一のアンテナ網で使用する多重伝送チャネルλ0からλ’4に載せ替える。載せ替え前のチャネルと載せ替え後のチャネルとの関係は、システム制御装置2からλ0の多重伝送チャネルを通して通知される。一つの第二のアンテナ網の多重伝送チャネル(第二網多重伝送チャネル)が複数の第一のアンテナ網の多重伝送チャネル(第一網多重伝送チャネル)に割り当てられている場合、マルチキャスト送信を実施する。
【0031】
上り伝送の場合、第一網多重伝送チャネルの信号を第二網多重伝送チャネルに載せ替える。載せ替え前のチャネルと載せ替え後のチャネルとの関係は、システム制御装置2からλ0の多重伝送チャネルを通して通知される。一つの第二網多重伝送チャネルが複数の第一網多重伝送チャネルに割り当てられている場合、複数の第一網多重伝送チャネルの信号を合成してから第二網多重伝送チャネルに載せ替える。また、複数の網間制御装置5で同一の第二網多重伝送チャネル(図1のλ3に相当)が割り当てられる場合もあるため、第二のアンテナ網ケーブル4から上り伝送用の第二網多重伝送チャネルの信号(信号Aとする)を取り込み、当該網間制御装置5で第一網多重伝送チャネルの信号を第二網多重伝送チャネルに載せ替えた信号を信号Aと合成し、再度第二のアンテナ網ケーブル4へ出力する。このように、複数の信号を合成する動作を、本実施例ではアグリゲーションと定義する。上記のとおり、アグリゲーションには複数の第一網多重伝送チャネル間を合成する第一種アグリゲーションと、第二網多重伝送チャネルの信号に対して第一のアンテナ網からの上り信号を合成する第二種アグリゲーションとがある。
【0032】
また、システム制御装置2における制御情報生成に必要な情報を生成してシステム制御装置2へ送信する機能も有する。この機能についての詳細は後述する。
【0033】
第一のアンテナ網のケーブル6は、光ファイバおよび光スプリッタで実現され、複数の第一網終端装置7と一つの網間制御装置5と接続されている。図1の例ではツリー構成を採っているが、網間制御装置5が全ての第一網終端装置7と接続していれば良く、リング構成やカスケード構成でもよい。
【0034】
第一網終端装置7は、1または複数の物理的なアンテナポート(PAP:Physical Antenna Port)を介して1または複数のアンテナと接続する。PAPを介して入出力される信号はRF(Radio Frequency)アナログ信号である。このため第一網終端装置7は、アンテナ側にパワーアンプや低ノイズアンプを少なくとも有し、第一のアンテナ網のケーブル6側に第一網多重伝送チャネルの信号を選択的に受信する機能と、第一網多重伝送チャネルのうち一つのチャネルから選択的に信号を送信する機能とを有する。図1の例は、第一のアンテナ網をWDM-PON(Passive Optical Network)で構成することを想定しており、ある一つの第一のアンテナ網に所属する第一網終端装置7は異なる波長(λ0からλ’4)で通信を行うが、別の第一のアンテナ網に所属する第一網終端装置7とは同一の波長を利用できる。このような第一のアンテナ網間の多重伝送チャネル再利用が、分散アンテナネットワークの構築コストを下げるポイントである。なお、第二のアンテナ網と同様、網間制御装置5と第一網終端装置との間で使用される多重伝送チャネルは、上り伝送と下り伝送で別のものとする。
【0035】
アンテナ8は、ダイポールアンテナやエスパアンテナなど何でもよいが、無線通信システムが使用する無線周波数で使用可能なものとする。第一網終端装置7とは同軸ケーブルやセミリジッドケーブルで接続される。
【0036】
図2は、各種アンテナポートと多重伝送チャネルとの関係を表す一例である。
第二のアンテナ網に接続している装置は、第二のアンテナ網に接続されている装置の種別を示す第2網接続装置210より、信号処理装置1とシステム制御装置2である。信号処理装置1は、第二網接続装置210と、LogicalAntennaPort220との対応づけにより、論理アンテナポートLAP1からLAP6の6つを有し、システム制御装置2は、論理アンテナポートLAP0にインターフェースを持つ。これらのLAPに対して、第二網多重伝送チャネルλ0からλ6が1つずつ割り当てられる。
【0037】
網間制御装置5は、第二のアンテナ網に複数接続されるため、それぞれにIDを付与し、図2の網間制御装置識別ID240に格納される。それぞれの網間制御装置5は、第一網多重伝送チャネルを5つλ0からλ’4までを有し、網間制御装置識別ID240と第1網伝送チャネル250とで対応づけを示している。第二網多重伝送チャネルと第一網多重伝送チャネルとの間の変換は、網間制御装置5によって実施される。ただし、第二網多重伝送チャネルのλ0に関しては、システム制御装置と網間制御装置との間の制御情報の伝送に使用するためのチャネルであり、第一のアンテナ網に対しては出力しない。表中では、第2網接続装置210のシステム制御装置に対応づけられる、網間制御装置識別ID240、第一網多重伝送チャネル、Physical Antenna Port260及び第一網接続アンテナ270の欄は、N/A(Not Applicable)と表記している。
【0038】
第一のアンテナ網に接続しているアンテナは、第一網接続アンテナ270とPhysical Antenna Port 260との対応づけによりそれぞれ物理アンテナポートPAP0からPAP4が割り当てられており、さらに第一網伝送チャネル250との対応づけにより、これらのPAP各々に対し第一網多重伝送チャネルλ0からλ’4が割り当てられる。PAPや第一網多重伝送チャネルは、異なる第一のアンテナ網間で共通で使用され、多重伝送チャネルの再利用が為される。
【0039】
図2において、第二網多重伝送チャネル−LAP間、および第一網多重伝送チャネル−PAP間は括りつけとなっている。システム制御装置2が各網間制御装置5に指定するのはLAP−PAP間の接続関係である。一つのLAPに対して複数のPAPが割り当てられている場合、第一種または第二種のアグリゲーションが必要となるLAPであることを意味する。図2の例では網間制御装置ID0のλ0からλ’2と、網間制御装置ID1のλ0からλ’1とがそれぞれ第一種アグリゲーションの対象であり、上り伝送時にこれらの第一網多重伝送チャネルの信号が合成され、それぞれ第二網多重伝送チャネルのλ1とλ3の信号として第二のアンテナ網へ出力される。また、第二網多重伝送チャネルのλ3は網間制御装置ID0とID1で共用されているため、第二種アグリゲーションの対象となる。それぞれの網間制御装置のλ3に関する上り伝送信号が合成され、LAP3を介して信号処理装置1へ出力される。
【0040】
図3は、図2に基づいて作成した各種アンテナポートと多重伝送チャネルと各種装置との関係を示す図である。
【0041】
第二網終端装置3は、LAPと第二網多重伝送チャネルとの変換と、第二網多重伝送チャネルの下り伝送信号多重化と上り伝送信号分離を行う。各々の網間制御装置5は、第二網終端装置3から第二網多重伝送チャネルで送信される下り伝送信号の選択分離と第一網多重伝送チャネルへの変換、ならびにアンテナ8側から入力される上り伝送信号の第二網多重伝送チャネルへの変換と、同一LAPの上り信号に対するアグリゲーションを実施する。
【0042】
アンテナ8を介して、無線端末9と無線周波数信号の伝送を行う。各無線端末9に対して無線で伝送される信号のLAPは図示の通りである。無線端末9−1と9−3は複数のアンテナ8を用いて同一LAPの信号を通信するため、サイトダイバーシチの状態での通信となる。無線端末9−4は複数LAPの信号を通信するため、ネットワークMIMOの状態での通信となる。各アンテナ8でどのLAPの信号を送受信するかは、システム制御装置2が第二網多重伝送チャネルのλ0を介して各網間制御装置5を制御することで実現する。
【0043】
図4は、図3で実現した接続を、階層化していない分散アンテナネットワークで実現した場合の接続例を示す。図3との一番の違いは、LAPとPAPとの間に
【特許文献2】で開示されているようなフォトスイッチ10を挿入している点である。動作としては、各PAPがどの多重伝送チャネル(λ1からλ6)を使用すべきかを、λ0を通してシステム制御装置2から各PAPのインターフェースを持つ第一網終端装置7に通知し、各第一網終端装置7は通知された多重伝送チャネルを用いて上り伝送信号と下り伝送信号を信号処理装置1と通信する。
【0044】
以上の動作をさせる場合、全ての第一網終端装置7で全ての多重伝送チャネルが使用される可能性が生じるため、LAPの数が増えて多重伝送チャネルの数が増加するほど第一網終端装置7に高い性能が求められるようになり、コスト高となる。また、フォトスイッチ10は、全LAP数対全PAP数の入出力端子が必要となり、かつ無線端末位置に合わせたLAP−PAP間の自由な接続を実現できるようにするため、全てのLAPが全てのPAPに対して接続可能である必要がある。これらのことから、LAP数やPAP数が増加するほどスイッチとしてより高性能が求められ、コスト高となる。
【0045】
以上のことから、階層化していない分散アンテナネットワークは、第一網終端装置7やフォトスイッチ10が扱うべき多重伝送チャネル数や、LAP−PAP接続の組み合わせが増加するためコスト高となる。
【0046】
図5は、本実施例による第一網終端装置7の実施例を示す。第一網終端装置は、情報を保持するメモリ111,それを参照する光復調器101と光変調器とを備える。また、第一網終端装置は、デジタル信号とアナログ信号間の変換を行う、変換器であるデジタルアナログ変換器102,アナログデジタル変換器108を有する。ベースバンド信号と無線周波数信号間の変換を行うコンバータであるアップコンバータ103,とダウンコンバーター109を有する。さらに、パワーアンプ104及びローノイズアンプ110を備える。
網端制御装置5、アンテナ8に接続される。網端制御装置5から伝送される下り信号は、第一網多重伝送チャネルのいずれかを使用して光信号として伝送される。使用する波長は、図3の例に従えばλ0(DL)からλ’4(DL)のいずれかである。DLはDownlinkの略で、下り伝送であることを意味する。上り伝送はUL(Uplink)である。下り伝送と上り伝送で異なる多重伝送チャネルを使用するため、区別のためこのような表記とした。網端制御装置5に対して伝送する上り信号は、下り伝送と同様、第一網多重伝送チャネルのいずれかを使用して光信号として伝送される。使用する波長は、図3の例に従えばλ0(UL)からλ’4(UL)のいずれかである。
【0047】
各第一網終端装置7が使用する第一網多重伝送チャネル(λ’0,…,λ’4)は、動作中は変更しないため、メモリ111に当該第一網終端装置7が使用する第一網多重伝送チャネルを記憶させておく。光復調器101と光変調器107は、メモリ111の記憶内容を参照して使用すべき第一網多重伝送チャネルを決定し、それぞれ特定波長(λ0など)の光信号から電気信号への変換、電気信号から特定波長の光信号への変換を行う。光復調器101と光変調器107は、装置としては複数の波長を扱うことができるが、運用上使用する波長は1つである。複数の波長を扱えるようにするのは製品の単一ラインナップ化が目的である。
【0048】
光復調器101は、電気信号に変換された下り伝送信号に対し、デジタルアナログ変換器102を通してアナログ信号へ変換する。アップコンバータ103は、ベースバンド信号を無線周波数信号に変換し、パワーアンプ104で増幅し、下り伝送信号と上り伝送信号を分流するデュプレクサ105を通してアンテナ8から無線周波数信号を送信する。デュプレクサ105とアンテナ8との間にPAP106を定義しているが、これは物理的な装置を意味するものではなく、論理的なインターフェースを意味する。
【0049】
アンテナ8で上り伝送信号を受信した場合、デュプレクサ105を通してローノイズアンプ110は、上り電送信号を増幅し、ダウンコンバータ109は、無線周波数信号をベースバンドアナログ信号に変換する。そして、アナログデジタル変換器108は、ベースバンドアナログ信号をベースバンドデジタル信号に変換する。このベースバンドデジタル信号を光変調器107は、特定波長の光信号に変換し、網間制御装置5へ上り伝送信号を送信する。
【0050】
以上は、第一網終端装置7でベースバンドデジタル信号と無線周波数アナログ信号との変換を行う前提で説明した。なお、他の装置で無線周波数アナログ信号に変換済みの場合、デジタルアナログ変換器102、アップコンバータ103、ダウンコンバータ108、アナログデジタル変換器109は不要となり、光変調器107と光復調器101は、光強度変調に対応したものを使用する。光−電気間の変換点でデジタル信号を扱う場合は強度変調でも位相変調でも良い。
【0051】
また、以上の説明では第一網終端装置7同士がWDMされていることを前提にしていたが、TDM−PONのように第一網終端装置7同士がTDMされる場合、第一網終端装置7毎にタイムスロットを割り当てる。非特許文献5のように、各第一網終端装置7にタイムスロットを割り当てて上り伝送/下り伝送を行ってもよい。TDM−PON方式を採る場合、本実施例の網間制御装置5がOLT(Optical Line Terminal)、第一網終端装置7がONU(Optical Network Unit)に相当する。
【0052】
図6は、本実施例による網間制御装置5の例を示す。
【0053】
左側は第二網終端装置3および他の網間制御装置5に接続され、右側は複数の第一網終端装置7(図6の例では5個の第一網終端装置7)と接続される。
【0054】
第二網多重伝送チャネル分離器116は、下り伝送信号を受信し、当該網間制御装置5が取り出すべき第二網多重伝送チャネル(図6ではλ0およびλaからλe)を対応する光復調器101aに入力する。各光復調器101aは、取り込んだ各第二網多重伝送チャネル(λa、λb、λc、λd、λe)を電気信号に変換する。光変調器107aは、入力されるλaからλeの信号に関して、第一網多重伝送チャネルλ0(DL)からλ’4(DL)に載せ替え、各々の第一網終端装置7に下り伝送信号を送信する。一方、網間制御装置5を制御する情報を含むλ0の信号に関しては、第二網多重伝送チャネル分離器116は、光復調器101bを介して、電気信号に変換され、コントローラ112に入力する。コントローラ112は様々な制御を行うが、詳しくは後述する。第一アグリゲータで、信号をどのように合成するかはコントローラ112から指示される。
【0055】
以下、上り伝送信号の処理について説明する。
【0056】
光復調器101dそれぞれは、第一網終端装置7から第一網多重伝送チャネルλ0(UL)からλ’4(UL)の信号を電気信号に変換し、変換された信号群Aを第一アグリゲーター113に出力する。第一アグリゲータ113は、コントローラ112からの制御信号に従って、信号群Aを合成し、第二アグリゲータ114に出力する。
【0057】
一方、第二網多重伝送チャネルに流れている信号を、上り多重伝送チャネル分離器117は、当該網間制御装置5が取り出すべき第二網多重伝送チャネル(図6ではλaからλe)を光変調器101cにに入力する。光変調器101cは、取り込んだ各第二網多重伝送チャネルの信号を電気信号に変換し、第二アグリゲータそれぞれに出力する。、以下、複数の変調器101cにより変換された信号群を信号群Bと呼ぶ。
【0058】
信号群Aに対しては、第一アグリゲータ113により第一多重伝送チャネル間の信号を合成出力する。第二アグリゲータ114それぞれは、第一アグリゲータ113の出力と信号群Bのいずれかとを加算し、加算結果を光変調器107に出力する。光変調器107bは、光信号へ変換し第二網多重伝送チャネル多重化器118に出力する。
【0059】
上り通信品質推定器115は、信号群Aから制御情報を作成し、光変調器107cにより、システム制御装置2へ通知するための制御情報を光信号に変換し、第二網多重伝送チャネル多重化器118に出力する。
【0060】
第二網多重伝送チャネル多重化器118は、第二アグリゲータ114を通した第二網多重伝送チャネルの信号と、第二アグリゲータ114を通していない(λothersと表記)信号とを多重化し、第二のアンテナ網へ出力する。さらに、第二網多重伝送チャネル多重化器118では、システム制御装置2へ通知するための制御情報を第二網多重伝送チャネルλ0として多重化する。こ
以上で網間制御装置の概要説明は終わりである。以下、第一アグリゲータ113、第二アグリゲータ114、上り通信品質推定器115、第二網下り多重伝送チャネル分離器116、第二網上り多重伝送チャネル分離器117、第二網多重伝送チャネル多重化器118、およびコントローラ112各々の詳細について順番に説明する。
【0061】
図7Aは、アナログ信号を入出力する第一アグリゲータ113の構成例である。
【0062】
この図では2入力(input0,input1)2出力(output0, output1)の例を挙げているが、入出力数はこれに限定されない。スイッチ121の数は入力数×出力数、合波器122は出力数の分だけ準備すれば良い。
スイッチ121は、それぞれコントローラ112から電気的に個別にOpen/Closeを制御される。合波器122は、アナログ回路で構成され、同一周波数の複数の入力信号を干渉させる形で合波する。これにより、複数のアンテナ8で受信した信号が、あたかもマルチパス信号として合成された信号が出力されることになる。
【0063】
図7Bは、第一のアグリゲータの変形例で、デジタル信号を入出力する第一アグリゲータの構成例である
図7Aと異なる点は、復調器124を有する点である。デジタル信号の場合はアナログ信号と異なり、振幅情報が複数シンボル(例えばBPSKやQPSK)に分割されているため、復調器124は、まずは各入力を復調して振幅情報を取り出すための論理回路で構成される。復調器124は、取り出した振幅情報をアナログ信号と同様にスイッチ121に出力する。加算機は、複数のスイッチ121からの出力を加算し、加算結果である振幅情報を分割して変調シンボルに変換する変調器126を通して出力する。加算器125、変調器126は論理回路で実現可能である。
【0064】
第2アグリゲータの構成は、図7Aまたは図7Bと同様であるが、コントローラ112からのスイッチ121に対する制御は不要で、加算機は、単純な2入力1出力を行う。また、第一アグリゲータ113の出力は再度第二アグリゲータ114で加算されるため、第一アグリゲータ113の出力側の変調器126と、第二アグリゲータ114の第一アグリゲータ113側入力の復調器124はなくても良い。
【0065】
図8は、本実施例による上り通信品質推定器115の構成を示す。動作としては、各アンテナ8で受信した信号のうち、無線端末9毎に異なる信号に対するマッチドフィルタ128処理を施し、アンテナ8毎に受信信号のレベルを比較評価する。例えば非特許文献3の5.5.3節、および非特許文献4の8.2節にSRS(Sounding Reference Signal)が記載されている。SRSのシーケンス生成および送信タイミングや周期を決定するためにいくつかのパラメータを端末個別に設定する。つまり、SRSのシーケンスや送信タイミングにより端末を区別することができる。端末毎の各種パラメータはシステム制御装置2から網間制御装置5に転送される。また、ある時刻においてどのパラメータを持つ端末についてマッチドフィルタ処理を施すべきかがシステム制御装置2から指示される。
【0066】
以上の動作を実現するため、パタンジェネレータ127は、コントローラ112から上記各種パラメータの指定を受け、SRSシーケンスの生成、各種パラメータに従ったシーケンス配置、およびIFFT処理によりベースバンド時間領域信号を生成し、サンプル毎の値を全てのマッチドフィルタ128に設定する。各マッチドフィルタ128は積和演算を実施し結果出力するため、その結果をフィードバック情報生成器129に出力する。フィードバック情報生成器129は、マッチドフィルタ128の出力結果を受け、システム制御装置2へ送信するための制御情報パケットを生成する。パタンジェネレータ127、マッチドフィルタ128は論理回路で構成され、フィードバック情報生成器129はプロセッサで構成される。
【0067】
図9は、本実施例による多重伝送チャネル分離器および多重化器を示す。多重伝送チャネルの信号は、チャネル多重された状態でinput1から入力される。同入力は分離用波長選択スイッチWSS(Wavelength Selective Switch)130で、コントローラ112から指示された多重伝送チャネルの分離を行い、output2側へ出力し、それ以外は下方へスルー出力する。分離用波長選択スイッチ130は、分離すべき多重伝送チャネル数分をカスケード接続すれば複数の多重伝送チャネルを取り出すことが可能となる。
【0068】
スイッチ132は、分離用波長選択スイッチ130から取り出した値(Output2と同値)を再度合波用波長選択スイッチ131へ入力するか、第二アグリゲータ114の出力を光変調器107に通した値を入力する選択機構を有する。
【0069】
多重化用波長選択スイッチ131は、コントローラ112から指示された多重伝送チャネルに関してスイッチ132側から合流させる。
【0070】
第二網下り伝送チャネル分離器116、第二網上り多重伝送チャネル分離器117、および第二網多重伝送チャネル多重化器118は、図9の構成に基づく。
【0071】
第二網下り伝送チャネル分離器116は、特定の波長の信号を網間制御装置5に取り込む一方、他の網間制御装置5にも伝送する必要があるため、取り込んだ信号を第一のアンテナ網側に流すパスと、スイッチ132側に折り返すパスとが必要となる。この2つのパスはスプリッタによって分岐させる。スイッチ132は上側と接続するように設定し、多重化用波長選択スイッチ131で一度取り込んだ多重伝送チャネルの信号を再度合流させる。
【0072】
第二網上り多重伝送チャネル分離器117と第二網多重伝送チャネル多重化器118は図9の構成で実現でき、第二網上り多重伝送チャネル分離器117は分離用波長選択スイッチ130、第二網多重伝送チャネル多重化器118は多重化用波長選択スイッチ131で実現できる。スイッチ132は下側に接続し、Input2から入力される第二アグリゲータ114出力を光変調器107に通した信号を多重化用波長選択スイッチ131で合流させる。ここで合流させる多重伝送チャネルの信号は分離用波長選択スイッチ130で分離し、第二アグリゲータ114を介して多重化用波長選択スイッチ131で再度合流させているため、分離用波長選択スイッチ130および多重化用波長選択スイッチ131による多重伝送チャネルの欠損は発生しない。
【0073】
以上で取り上げたスイッチ131は、それぞれの場合において固定的に運用されるため、目的に応じてスイッチ131を介さず、必要な線を直接結合しても良い。スイッチ131をスイッチとして実装する場合はディプスイッチのようなコンフィグレーションを設定するスイッチとしての運用を想定する。
【0074】
図10は、本実施例による網間制御装置内のコントローラ112の構成を示す。
【0075】
パケットデコーダ133は、システム制御装置2が生成する網間制御装置5に対する制御情報を復号し、いくつかの情報を取り出す。
【0076】
チャネルセレクタ135は、パケットデコーダ133により復号された情報のうち、当該網間制御装置5が取り込むべき第二網多重伝送チャネルはチャネルセレクタ135が取り込み、当該多重伝送チャネルを分離および多重化するための制御信号を分離用波長選択スイッチ130および多重化用波長選択スイッチ131に通知する。いわゆるハードウェアドライバのような動作をする。
【0077】
アグリゲーションコントローラ134は、第一アグリゲータ113で、どの第一網多重伝送チャネル同士をアグリゲーションして第二網多重伝送チャネルの信号として出力するかを制御するために、図2に示すような多重伝送チャネルのマッピング情報を元に、第一アグリゲータ113内のスイッチ121に対する制御信号を送信する役割を持つハードウェアドライバである。このアグリげーションコントローラ134により、第一網多重伝送チャネルと第二網多重伝送チャネルとの関係で、同一の第二網多重伝送チャネルを複数の第一網多重伝送チャネルで共用する場合、上り伝送時はアグリゲーションの制御が可能となる。
【0078】
パラメータセレクタ136は、無線端末9のIDから各種パラメータを引き出せるテーブルをメモリ上に持ち、メモリ上からパラメータを読みだし、上り通信品質推定器115に設定するハードウェアドライバである。無線端末9のIDと各種パラメータとを括りつけた情報は、システム制御装置2から送信され、
メモリに保持されている。
【0079】
図11は、本実施例による第二網終端装置3の構成である。
【0080】
光変調機1107は、下り伝送信号に対して、各LAPに対して別々の多重伝送チャネルで光下り伝送信号の電気信号を光信号に変換し、変換された複数の多重伝送チャネルの光信号を光合波器1137が、多重化し、第二のアンテナ網へ出力する。
【0081】
上り伝送信号に対しては、各多重伝送チャネルでの受信信号が多重化された状態で光分波器1138により分岐を行い、各光復調器101により多重伝送チャネル毎の光信号を電気信号へ変換し、各々対応するLAPへ出力する。
【0082】
光合波器1137と光分波器1138は1対Nの平面導波路基板や光ファイバ型のスプリッタで実現できる。
【0083】
図12は、本実施例による一または複数の信号処理装置1とシステム制御装置2の構成である。各信号処理装置1は、ネットワークインターフェース142、上り信号生成器145,制御情報受信器146とを有する。システム制御装置2は、ネットワークインターフェース142と、コントローラ141と、送信制御信号生成器139と、制御情報受信器140と、を有する。
【0084】
送信制御信号生成器(generator)139は、コントローラ141から入力された制御情報から所定の形式(後述)のパケットを生成し、LAP0(DL)から出力し、網間制御装置5に向けて送信する。制御情報受信器(Receiver)140は、LAP0(UL)から入力された所定形式(後述)のパケットを分解し、網間制御装置5からのフィードバック情報をコントローラ141へ出力する。
【0085】
コントローラ141は、網間制御装置5からのフィードバック情報を元に網間制御装置5に対する制御情報を生成する。制御情報に関する詳細は後述する。
【0086】
制御ネットワークインターフェース142は、ルータ143を介して信号処理装置1との通信を行うために使用する。信号処理装置1からサービスを受けている無線端末の識別子の情報をシステム制御装置2へ通知するのに使用する。
【0087】
上位ネットワーク144は、セルラシステムであれば基地局とゲートウェイとの間のアクセスネットワークであり、無線LANであれば公衆のネットワークであり、インターネットサービスプロバイダのゲートウェイなどと接続される。
【0088】
信号処理装置1は、複数の基盤148を備え、ラックに収納されている。基盤148間は、Router143を介して接続される。基盤148それぞれは、ネットワークインターフェース1420、下り信号生成器145、上り信号受信器146を、有する。
【0089】
下り信号生成器145は、上位ネットワーク144からルータ143とネットワークインターフェース142を介して無線端末9毎のデータビット系列を入力し、例えば非特許文献3で開示されている標準規格に従ってベースバンド信号を生成する。上り信号受信器146は、例えば非特許文献3で開示されている標準規格に従って無線端末9によって生成されたベースバンド信号に対する受信処理を行って、無線端末9毎のビット系列を取り出し、ネットワークインターフェース1420とルータ143を介して上位ネットワーク144にデータを出力する。
【0090】
図13のシステム制御シーケンスを説明するために、図13に関係する図14、図15について説明する。
【0091】
図14は、端末固有のID(端末恒久ID)1410と、セルID1420と、一時的に端末に割り当てるID(セル内一時ID)1430との対応関係を示すテーブルである。このテーブルシステム制御装置2が有する。
【0092】
図15は、セルID1510と、LAPの識別子1520と、LAPに対応するPAPリスト1530との対応付けを示す。セルID1520は、基地局の通信範囲毎に対応づけられる識別子である。LAP1520は、信号処理装置1及びシステム制御装置2と、第二終端装置3間のインターフェースである論理アンテナポートを特定する識別子である。PAPのリスト1530は、網間制御装置のIDと、各PAPの識別子との組み合わせで構成される。LAP1520とPAPのリスト1530とは、図2のLogicalAntennaPortとPhysicalAntennaPortとの組み合わせに対応する。
【0093】
図13は、本実施例によるシステム制御シーケンスの実施例である。まず信号処理装置1は、非特許文献6の6章に無線端末からのランダムアクセスに従った無線端末9からの初期アクセス信号の受信を確認したら、無線端末9毎に一時的にセル固有のIDを割り当てる(S1001)。なおセルIDは、図12に示した信号処理装置1内の、破線で囲まれたサブセット毎に別のものを割り当てることとする。
【0094】
また、無線端末9は、上記の一時的なID(一時ID)の他、物理的な端末として唯一のID(恒久ID)が割り振られているため、これらの一時IDと恒久IDとの関係をシステム制御装置2へルータ143を介して通知する(S1002)。この通知を受けて、システム制御装置2は、図14に示す表を更新する(S1003)。
【0095】
システム制御装置2は、一定周期(例えば10秒)毎に図14のテーブルの情報を、網間制御装置5毎にパケット化して各網間制御装置5へ送信する(S1004)。システム制御装置2は、自身の制御により図15のテーブルを管理する。セルID1510とLAP1520との関係は動作中には変更しないが、LAPに対応するPAPリスト1530に含まれるPAPと網間制御装置IDは制御により変化する。これにより、セルID毎に上記パケットの送信宛先を決定することができる。例えば、図14と図15の例では、システム制御装置2は、セルID=0に所属する無線端末9が、図14から端末恒久ID0,3,6であると認識し、これらの端末に割り当てられた一時ID12,567,1023を、セルID=0のLAP1,2が割り当てられている網間制御装置ID0に対して送信する。
【0096】
図16は、S1004のメッセージとして送信するパケットフォーマットの実施例である。まず先頭に、以下に続く情報がS1004の情報であることを示すヘッダ201を置き、続いて宛先の網間制御装置5のID202を付加して受け取り手を明確にする。その次は、セルID何個分の情報を以下に含んでいるかを示すセルID数フィールド203を付加し、セルID毎の使用中の端末一時IDを含んだセルID固有情報フィールド204を付加する。セルID固有情報フィールド204の中は、以下に続く上記使用中の端末一時IDの数を示すフィールド205と、使用中の端末一時IDのフィールド206が続く。
【0097】
図13に戻り、S1004のメッセージを受信した網間制御装置5は、図10に示すパケットデコーダ133で自身宛のメッセージをヘッダ201および宛先フィールド202を検出して、宛先フィールド202以降に続くフィールドをパラメータセレクタ136に出力する。パラメータセレクタ136は、図14の情報のサブセット(当該網端制御装置にS1004で送信されたセルIDに関する情報のみ)に従い、図8のパタンジェネレータ127に図14のセルIDとセル内一時IDを順番に1個ずつ(例えば1ミリ秒間隔)設定し、マッチドフィルタ128出力をフィードバック情報生成器129で収集する(S1005)。
【0098】
フィードバック情報生成器129は、一定周期毎(例えば10秒毎)にシステム制御装置2に対してマッチドフィルタ128の出力を元にフィードバック情報を生成して送信する(S1006)。マッチドフィルタ128からは、パタンジェネレータ127が設定したセルIDとセル内一時IDに関する出力が、例えば1ミリ秒毎に出力される。上記のS1006の送信周期の間に、同一のセルIDとセル内一時IDに関するマッチドフィルタ128出力が得られるため、これを送信周期の間で平均化処理を行い、セルIDとセル内一時ID毎に1つの結果を求める。平均化した結果は図17のような形式でまとめられる(S1007)。マッチドフィルタ128はPAP毎に準備される。
【0099】
図18は、S1007のメッセージとして送信するパケットフォーマットの実施例である。まず先頭に、以下に続く情報がS1007の情報であることを示すヘッダ211を置き、続いて送信元の網間制御装置5のID212を付加して送信元を明確にする。その次は、セルID何個分の情報を以下に含んでいるかを示すセルID数フィールド213を付加し、セルID毎にフィードバック情報に含まれる端末一時IDを含んだセルID固有情報フィールド214を付加する。セルID固有情報フィールド214の中は、以下に続く上記端末一時IDの数を示すフィールド215と、端末一時ID毎のマッチドフィルタ出力を格納したフィールド216が続く。フィールド216の中は、PAPの数を示すフィールド217と、PAP毎のマッチドフィルタ出力値のフィールド218が続く。
【0100】
S1007のメッセージの宛先は、システム制御装置2であり、システム制御装置2の制御情報受信器140でS1007のデコード処理を実施し、図17に相当する情報を全ての網間制御装置から収集した状態となる。情報を収集したら、システム制御装置2は、物理アンテナ(PAPと網間制御装置ID)とLAPとの割り当てを実施する(S1008)。
【0101】
S1008完了後、システム制御装置2から網間制御装置5に対してLAPと網間制御装置ID及びPAPとの組み合わせを通知する。
【0102】
図20は、通知のパケットフォーマットの一例を示す。まず先頭に、以下に続く情報がS1009の情報であることを示すヘッダ221を置き、続いて宛先の網間制御装置5のID222を付加して受け取り手を明確にする。その次は、PAP何個分の情報を以下に含んでいるかを示すPAP数フィールド223を付加し、PAP毎に割り当てられたLAP番号を通知するフィールド224が続く。
【0103】
図13に戻り、S1009のパケットは、網間制御装置5のパケットデコーダ133でデコードされ、PAP数フィールド223とPAP−LAPマッピングフィールド224との情報をアグリゲーションコントローラ134とチャネルセレクタ135とに入力する。
【0104】
S1010では、S1009でシステム制御装置2から網間制御装置5に通知された情報を元に、アグリゲーションコントローラ134とチャネルセレクタ135は、LAP−PAP接続制御を実施する。
【0105】
図19は、図13のS1008の詳細である、システム制御装置2が行うLAP−PAP割り当てのフローチャートを示す。
【0106】
S2001では、システム制御装置2は、無線端末9毎に網間制御装置5で測定したマッチドフィルタ出力に対して、物理アンテナ(網間制御装置IDとPAPのセットで一意に定まる)を降順にソートする。S2002では、物理アンテナ毎に当該物理アンテナに関するマッチドフィルタ出力が最大の無線端末数をカウントする。S2003では、S2002のカウント結果が最大の物理アンテナを選択し、これを便宜上アンテナAと定義する。
【0107】
S2004では、アンテナAを最大マッチドフィルタ出力とする無線端末の、S2001でのソート結果から得られる上位Mアンテナを選択し、その和集合を便宜上アンテナBと定義する。Mは整数で定義される設定パラメータであり、例えば2に設定する。この値はシステムオペレータが自由に設定できる値で、大きく設定すればセルIDあたりで収容する無線端末数が増加して無線端末あたりのスループットが低下するデメリットと、セルID間の干渉が発生しにくくなることによるスループット向上というメリットとのトレードオフが発生する。S2004では、S2003で選択したアンテナAの周辺のアンテナが選択されることになる。
【0108】
S2005では、アンテナAとアンテナBを一つのグループと見なして、このグループのいずれかのアンテナをマッチドフィルタ最大出力とする無線端末の数をカウントしている。つまり、当該アンテナグループから無線通信サービスを受ける可能性が、無線端末が移動しない限り極めて高い無線端末の数をカウントしている。S2006では、S2005でカウントした無線端末数がしきい値(例えば100無線端末)を超えるかどうかを判定し、超えていなければS2007でこれまでのアンテナAとアンテナBをアンテナAとして再定義し、S2004から処理を再開し、ある1つのセルIDで収容する物理アンテナのエリアを拡大する。しきい値を超えていればS2008で、アンテナAとアンテナBに属する物理アンテナグループに一つのセルIDを割り当て、あるセルIDで無線通信サービスを提供する物理アンテナグループを確定する。
【0109】
S2010とS2011では、ある一つのアンテナ(S2002のカウント値が当該アンテナグループ内で最大)を基準として、そこから地理的な距離が近い順に、当該セルIDが持つ複数のLAPを交互に割り当てる。物理アンテナの地理的な座標は、例えばアンテナ設置時にGPS(Global Positioning System)で測位した結果をデータベース化してシステム制御装置2にテーブルとして持っておくことができる。
【0110】
S2012では、全ての物理アンテナにセルIDやLAPが割り当てられたかどうかを判定し、割り当てられていれば図19のフローチャートは終了する。一方、割り当てられていない場合は、既にセルIDやLAPが割り当てられている物理アンテナを除外してS2003から処理を再開し、別のセルIDやLAPの割り当てを実施する。以上の手順から、図2に示すLAP対網間制御装置ID&PAPの組み合わせが確定する。以上の図19のフローチャートが、図13のS1008に相当する。
【0111】
以下、S1010の具体的な実施例である、アグリゲーションコントローラ134とチャネルセレクタ135によるLAP−PAP接続制御について、図20ないし図23を用いて説明する。
【0112】
図21は、本実施例による第二網下り伝送チャネル分離器116の構成と、コントローラ112との関係を示す。矢印は、それぞれ信号の流れを示す。第二網下り伝送チャネル分離器116は、分離用波長選択スイッチ130−1、130−2、、、130−6、及び多重化用波長選択スイッチ131―1,131−2、、、131−6を有する。第二のアンテナ網4を流れる多重伝送チャネルの信号は左上から左下(A→B)に向かって流れている。この多重伝送チャネルの信号に対し、図9とは異なり、分離用波長選択スイッチ130と多重化用波長選択スイッチ131とがカスケード接続され、それぞれPAPの数+1個のスイッチが、その処理に関わる。
【0113】
コントローラ114は、図10と同様に、パケットデコーダ133とチャネルセレクタ135を備える。パケットデコーダ133は、制御情報や図20の形式通知されたパケットを解析し、チャネルセレクタ135は、それぞれの分離用波長選択スイッチ130と多重化用波長選択スイッチ131に対して、制御情報に固定的に割り当てられた多重伝送チャネル、および図20の形式で通知された結果を元に、PAPに割り当てられたLAPに対応する多重伝送チャネルに相当する情報を設定する。この設定により、第二網下り伝送チャネル分離器116の各スイッチ130、131は、制御によって決定された多重伝送チャネルの周波数λに基づいて、LAPの信号を取り込むと。
【0114】
なお、分離用波長選択スイッチ130が取り込んだ信号は、LAPごとに対応する光復調器101を経由してPAPに転送されるパス2110と、全ての第二網多重伝送チャネルを次の網間制御装置5へ転送(複数の網間制御装置5で同一のLAPを共用するため)するため多重化用波長選択スイッチ131へ再入力するパス2120とが存在する。
【0115】
図22A及び図22Bは、LAPと多重伝送チャネル変換テーブルを示す。これらのテーブルを、各網間制御装置5とシステム制御装置2で保持する。網間制御装置5においては、LAPとPAPに関して、個別のテーブルを保持しても良い。図22Aは、全ての多重伝送チャネルが波長多重される場合におけるLAPの識別子2210と多重伝送チャネル2220及び2230との関係である。多重伝送チャネルは、下り伝送チャネル2220、上り伝送チャネル2230それぞれ記述されている。
【0116】
図22Bは、波長多重と時間多重が組合わさった場合におけるLAPの識別子2210と多重伝送チャネル2240及び2250との関係を表している。2240,2250のコラムにあるインタレース(Interlace)とは、時間を一定間隔毎(例えば1ミリ秒毎)に区切って、区切った時間に対して順番にインタレース番号0,1,2,3,0・・・といったように割り振ったもので、インタレース番号を時間多重チャネル番号として扱う。上記のインタレース番号割り当ての例では、各時間多重チャネルは4ミリ秒毎に1ミリ秒ずつ現れることになる。
【0117】
図23は、本実施例による第二網上り多重伝送チャネル分離器117、および第二網多重伝送チャネル多重化器118の構成を示す。矢印は、それぞれ信号の流れを示す。第二のアンテナ網4を流れる多重伝送チャネルの信号は左上から左下(C→D)に向かって流れている。この多重伝送チャネルの信号に対し、多重伝送分離器117は、図9と異なり、制御用及びPAPに対応するLAPごとに対応する分離用波長選択スイッチ130を備える。多重伝送チャネル多重化器118も同様に、制御用及びPAPに対応するLAPごとに対応する多重化用波長選択スイッチ131を有する。それぞれの分離用波長選択スイッチ130と多重化用波長選択スイッチ131に対しては、チャネルセレクタ135が、当該網間制御装置5に割り当てられたLAPに相当する多重伝送チャネル(図22Aまたは図22B)を指定する。LAP数がPAP数より少ない場合は、不要な分離用波長選択スイッチ130と多重化用波長選択スイッチ131があるので、多重伝送チャネルが指定されていない、これらの不要なスイッチは、多重伝送チャネルの信号をDの方向へスルー出力するよう制御する。
【0118】
第二アグリゲータ114は、第一アグリゲータ113から出力される信号と各分離用波長選択スイッチ130で取り込んだ信号とを合成する。合成された信号を、光変調器107は、光信号に変換し、多重化用波長選択スイッチ131に出力する。第二のアンテナ網4に多重化用波長選択スイッチ131は、光信号に変換された信号を、多重伝送チャネルを再合流させる。
【0119】
図24は、本実施例による第一アグリゲータの制御方法に関する実施例である。矢印は、それぞれ信号の流れを示す。
【0120】
システム制御装置2からパケットデコーダ133を介してアグリゲーションコントローラ134に、LAPとPAPのマッピング情報が入力される(2410)。スイッチ121は、いずれかのPAPに接続されており、それぞれのスイッチ121に図示の通り当該網間制御装置5が扱うLAPのうち何番目のLAPに関するスイッチ121であるかという属性を持っている。つまり、PAP=X,LAP=Yという属性を各スイッチ121が持っている。このとき、Y番目のLAPがX番目のPAPにマッピングされていれば当該スイッチ121はCloseで、マッピングされていなければOpenとなる。このように、アグリゲーションコントローラ134は、各スイッチ121に対してOpen/Closeの1ビットの情報を送り、各スイッチを制御する。
【0121】
なお、図24は図7Aの実施例に基づいた変形例であるが、図7Aから図7Bの構成の変更にあわせた構成であれば、図7Bに基づく構成であってもよい。
【0122】
図25は、本実施例による図5の一部の構成を変更した第一網終端装置の変形例である。
【0123】
筺体301の中に、当該第一網終端装置で使用する多重伝送チャネルの情報が格納されているFlash ROM302と、光変調器107と光復調器101とで構成される光学部品ブロック304と、デジタルアナログ変換器102とアナログデジタル変換器108とデュプレクサ105などで構成される無線アナログ部品ブロック305とで構成され、Flash ROM302と光学部品ブロック304との間にメモリバス303を設置する。
【0124】
図26は、本実施例による図6の一部の構成を変形した網間制御装置である。矢印は信号の流れを示す。
【0125】
図26の網間制御装置は、下り伝送系受信光学部品ブロック401と、上り伝送系受信光学部品ブロック403と、下り伝送系送信光学部品ブロック402と上り伝送系送信光学部品ブロック404と、上り伝送系信号処理電子部品ブロック405と、を備える。その他の構成は、図6と同様である。
【0126】
下り伝送系受信光学部品ブロック401と上り伝送系受信光学部品ブロック403は、それぞれ、分離用波長選択スイッチ130と光復調器101とで構成される。下り伝送系送信光学部品ブロック402と上り伝送系送信光学部品ブロック404は、それぞれ、光変調器107と多重化用波長選択スイッチ131とで構成される。
【0127】
上り伝送系信号処理電子部品ブロック405は、第一アグリゲータ113、第二アグリゲータ114、および上り通信品質推定器115とで構成される。殆どが論理回路で構成されるが、上り通信品質推定器115内のフィードバック情報生成器129はプロセッサで構成する。
【0128】
406はDPRAMであり、コントローラ112とフィードバック情報生成器129からアクセス可能である。内容は、図22Aや図22Bに示すLAPまたはPAPに対する多重伝送チャネルの情報、コントローラ112内のアグリゲーションコントローラ134、チャネルセレクタ135、パラメータセレクタ136といったハードウェアドライバ類、フィードバック情報生成器129のプログラム、システム制御装置2から通知される無線端末毎のパラメータとLAP−PAPマッピング結果、ならびにフィードバック情報生成器129が平均化処理を実施するためのバッファとして利用する。407はDPRAMへのメモリバスである。408はコントローラ112から各ブロックに制御信号を通すための制御情報バスである。なお、コントローラ112はプロセッサにより実現する。
【0129】
図27は、本実施例によるシステム制御装置2の装置構成例である。図12と異なる点は、システム制御装置2は、プロセッサ501を備え、送信制御信号生成器139、制御情報受信器140、システムコントローラ141を、プロセッサ501でマルチスレッドまたはマルチプロセスのプログラムとして動作させる点である。制御ネットワークインターフェース142はIEEE802.3の通信規格に対応したハードウェアを用いる。DPRAM502は、上記各スレッドまたは各プロセスからのアクセスに対応するためのメモリである。DPRAMには、網間制御装置5からフィードバックされた図17のようなマッチドフィルタ出力テーブル2710と、信号処理装置1から通知された無線端末毎の一時ID情報の格納テーブル2720(図14)と、システムコントローラ141が生成したLAP−PAPマッピングテーブル2730と、プロセッサ501で動かすプログラム2740とが格納されている。プロセッサ501とDPRAM502との間はメモリバス503で接続される。
【0130】
上述の実施例によると、端末位置に応じて信号処理装置とアンテナとの間の伝送チャネルを自由に切り替えることによる無線通信品質の場所依存性低減と、多重伝送チャネル数に対する要求条件低下により信号処理装置やアンテナに設置される多重チャネル終端装置のコスト低減との両立が可能となる。
【0131】
上述のとおり、本実施例の実施例を説明したが、上記実施例に基づいて、及び実施例の変形の態様として、以下の態様がある。
【0132】
本実施例の第一の態様として、分散アンテナシステムは、該分散アンテナシステム内の一部のアンテナ群により構成され、アンテナに対する物理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第一のアンテナ網と、複数の該第一のアンテナ網と接続し、無線端末と送受信する信号を処理する信号処理手段に対して論理的なアンテナポートをインターフェースとして有する第二のアンテナ網と、
該第一のアンテナ網と該第二のアンテナ網との接続点に該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御手段を具備する。第一の態様により、アンテナ網の階層化により大規模な分散アンテナシステムを構築する際のコストを低減でき、かつ端末位置に応じた信号処理装置とアンテナとの間の論理アンテナポートと物理アンテナポートとの間の接続制御により無線伝搬減衰と無線相互干渉を低減し、無線通信品質の端末位置による依存性を低減できる。
【0133】
さらに、第二の態様として、第一の態様の分散アンテナシステムがさらに、該第一のアンテナ網各々が取り扱う1または複数の該論理的なアンテナポートを、該第一のアンテナ網各々に割り当てるシステム制御手段を具備する。第二の態様により、論理アンテナポートと物理アンテナポートとの間の接続制御を分散アンテナシステム自体が自律的に実施できるようになる。
【0134】
第3の態様として、該第一のアンテナ網が、第一の態様の分散アンテナシステムが有する該論理的なアンテナポートのうち一部を、該システム制御手段が割り当て、割り当てられた該論理的なアンテナポートに関する該第二のアンテナ網からの入力信号を1または複数の該物理的なアンテナポートに対して複写出力し、また、複数の該物理的なアンテナポートから入力された信号を1つの該論理的なアンテナポートに関する該第二のアンテナ網への出力信号として集約する。第3の態様によれば、1つの論理アンテナポートに対して複数の物理アンテナポートを割り当てられるようになるため、より少ない論理アンテナポートで、物理アンテナポート全体で形成される無線サービスエリアに無線通信サービスを提供することができる。
【0135】
さらに、第4の態様として、第3の態様である分散アンテナシステムに含まれる第一のアンテナ網は、該システム制御手段により当該第一のアンテナ網に割当てられた該論理的なアンテナポートの数、または当該第一のアンテナ網が有する該物理的なアンテナポートの数のうち、いずれかに対応する数の多重伝送チャネルを有する。例えば、いずれか大きい数を上限とした多重伝送チャネルを有する分散アンテナシステムが第4の態様である。第4の態様によると、第一のアンテナ網で準備すべき多重チャネル数の上限を規定することで、第一のアンテナ網で使用するケーブルや多重伝送チャネルの終端装置の設計値に盛り込むマージンを減らすことができ、ケーブルや終端装置のコストを下げることができる。
【0136】
さらに、第4の態様に対し、第5の態様では、複数の該第一のアンテナ網が同一の多重伝送チャネルを有する分散アンテナシステムである。第5の態様によると、複数の第一のアンテナ網が持つ多重チャネルの仕様を共通化でき、複数の第一のアンテナ網を同一のケーブルや装置により構成できるため、量産効果によりケーブルや装置のコストを下げることができる。
【0137】
また、第6の態様として、第二の態様の分散アンテナシステムが有する第二のアンテナ網は、複数の該第一のアンテナ網に対し同一の該論理的なアンテナポートに関する信号を出力し、複数の該第一のアンテナ網から入力された信号を1つの該論理的なアンテナポートに関する該信号処理手段および該システム制御手段への出力信号として集約する態様である。つまり、第6の態様によると、同一の論理的なアンテナポートを同一または異なる第一のアンテナ網に所属する複数の物理的なアンテナポートへ割り当て、同一の論理的なアンテナポートに関して複数の無線端末からの信号が発生した際にこれらを集約する。それにより、第二のアンテナ網で準備すべき多重伝送チャネルの数を物理的なアンテナポート数への依存をする必要がなく、論理的なアンテナポート数への依存することで済む。また、必要最小限の多重伝送チャネル数での物理的なアンテナポートを使用した無線通信サービスを提供できる。
【0138】
第7の態様では、第6の態様の分散アンテナンシステムに含まれる該第二のアンテナ網で準備すべき多重チャネル数が、該信号処理手段及びシステム制御手段が有する論理的なアンテナポートの数に基づいて決定される態様である。例えば、該信号処理手段が有する該論理的なアンテナポートの数と、該システム制御手段が有する該論理的なアンテナポートの数との和を上限とした多重伝送チャネルを有する態様となる。第7の態様によると、第二のアンテナ網で使用するケーブルや多重伝送チャネルの終端装置の設計値に盛り込むマージンを減らすことができ、ケーブルや終端装置のコストを下げることができる。
【0139】
第8の態様では、第2の態様の分散アンテナシステムの論理的なアンテナポートのうち少なくとも1つを該システム制御手段に割り当て、該第二のアンテナ網で用意する多重伝送チャネルのうち少なくとも1つを、該網間制御手段を制御するための制御情報の伝送に使用する態様である。第8の態様により、システム制御手段から網間制御手段を遠隔で制御するための通信路を確保する。
【0140】
第9の態様では、第8の態様の分散アンテナシステムにおいて、さらに該システム制御手段は、該制御情報として、少なくとも宛先となる該網間制御手段の識別子と、該網間制御手段に接続されている該第一のアンテナ網に割り当てる該論理的なアンテナポートの識別子とを該網間制御手段に伝送する態様である。第9の態様によると、システム制御手段からそれぞれの網間制御手段に対し、当該第一のアンテナ網で取り扱うべき論理的なアンテナポートを指定することができる。
【0141】
第10の態様では、第9の態様である分散アンテナシステムであって、
該システム制御手段から該網間制御手段に伝送する該制御情報は、さらに該網間制御手段に接続されている該第一のアンテナ網における該論理的なアンテナポートと該物理的なアンテナポートとの間のマッピング情報を含み、システム制御手段は、少なくとも一つの網間制御手段に対し、当該第一のアンテナ網で取り扱うべき論理的なアンテナポートと、各々の取り扱うべき論理的なアンテナポートを当該第一のアンテナ網が持つ物理的なアンテナポートへ割り当て、網間制御手段は、マッピング情報に基づいて、第一網へ信号を振り分ける。
【0142】
第11の態様は、第9の態様の分散アンテナシステムでのシステム制御手段か該網間制御手段に伝送する該制御情報は、さらに該網間制御手段に接続されている該第一のアンテナ網に属する該物理的アンテナポートを介して無線通信を実施する該無線端末の識別子を含む。
【0143】
第12の態様は、第2の態様のシステム制御手段に、該論理的なアンテナポートのうち少なくとも1つに割り当て、その論理的なアンテナポート及び該第一のアンテナ網で多重伝送チャネルのうち少なくとも1つチャネルを介して、該網間制御手段から制御情報を収集する。
【0144】
第13の態様では、該網間制御手段からシステム制御手段に伝送する制御情報として、該網間制御手段に接続されている該第一のアンテナ網に属する該物理的アンテナポートを介して無線通信を実施する該無線端末毎の、該物理的なアンテナポート毎の無線受信品質の測定結果を含む。また、別の態様として、システム制御手段は、それぞれの網間制御手段に対し、当該第一のアンテナ網を使用している端末の識別子を通知し、網間制御手段が端末からの無線信号の受信品質を当該第一のアンテナ網に属する物理アンテナポート毎に測定し、測定結果を網間制御手段からシステム制御手段に通知する。そして、システム制御手段が端末の地理的分布に適した論理的なアンテナポートと物理的なアンテナポートとの間の適切な割り当てを行う。
【0145】
第14の態様は、無線端末と電波の送受信を行う複数のアンテナと、第一の有線ネットワークで構築される第一のアンテナ網を介して複数のアンテナと接続される網間制御装置と、第二の有線ネットワークで構築される第二のアンテナ網を介して当該網間制御装置と接続され、無線端末と送受信する信号を処理し、複数の論理的なアンテナポートを有する信号処理装置と、該第一のアンテナ網で、アンテナ毎に第一網終端装置と、該第二のアンテナ網での該網間制御装置及び該信号処理装置側に設置される第二網終端装置と、該網間制御装置を第二のアンテナ網を介して制御するシステム制御装置と、を有するシステムである。
【0146】
第14の態様は、つまり、第一のアンテナ網と第二のアンテナ網に階層化され、かつ網間制御装置で実施する論理的なアンテナポートと物理的なアンテナポートとの間の接続制御を、システム制御装置によりネットワークを介して行うシステムである。
【0147】
第15の態様は、第14の態様における該第一網終端装置は、該第一のアンテナ網が使用している多重伝送チャネルのうち一つを選択して該網間制御装置と信号を送受信する第一チャネル選択通信手段と、当該第一網終端装置と接続している該アンテナで無線信号を送受信するための無線周波数信号処理手段とを具備するシステムである。
【0148】
第16の態様は、第14の態様の該網間制御装置は、該第一のアンテナ網を介して複数の該第一網終端装置と多重通信するための第一多重通信手段と、該第二のアンテナ網が使用している多重伝送チャネルのうち一部または全部を選択して該第二網終端装置と多重通信するための第二多重通信手段と、該第一終端装置各々が使用する伝送チャネルを割り当てる第一伝送チャネル割当手段と、該第二のアンテナ網で使用する伝送チャネルと該第一のアンテナ網で使用する伝送チャネルとを相互変換する伝送チャネル変換手段と、該第二のアンテナ網で伝送している信号と該第一のアンテナ網から入力される信号とを合成、または該第二のアンテナ網から異なる多重伝送チャネルで入力される信号同士を合成する信号合成手段とを具備する。
【0149】
第17の態様では、第16の態様の網間制御装置は、さらに、該第一網終端装置から送信される多重伝送信号各々を参照して該無線端末からの送信信号の無線受信品質を測定する無線受信品質測定手段を具備する。第17の態様により、端末毎に適した物理的なアンテナポートをシステム制御装置に通知するための情報を生成する網間制御装置が構成される。
【0150】
第18の態様では、第14の態様の該第二網終端装置は、該第二のアンテナ網を介して複数の該網間制御装置と多重通信するための第三多重通信手段と、
該信号処理装置および該システム制御装置と多重通信するための第四多重通信手段とを具備する。
【0151】
第19の態様では、第14の態様の該システム制御装置は、該網間制御装置各々が該第二のアンテナ網で使用する多重伝送チャネルを割り当てる第二伝送チャネル割当手段と、該第二網終端装置と通信するための通信手段を具備する
【符号の説明】
【0152】
1…信号処理装置
2…システム制御装置
3…第二網終端装置
4…第二のアンテナ網を形成するケーブル
5…網間制御装置
6…第一のアンテナ網を形成するケーブル
7…第一網終端装置
8…アンテナ
9…無線端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークシステムであって、
端末と無線ネットワークを介して通信可能な複数のアンテナからなるアンテナ群により構成され、アンテナに対する物理的なアンテナポートが提供される第一のネットワークと、
複数の該第一のネットワークと接続し、無線端末と送受信する信号を処理する信号処理手段が提供する論理的なアンテナポートにより構成される第二のネットワークと、
該第一のネットワークと該第二のネットワークとに接続され、該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御装置と、を有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1記載のネットワークシステムであって、
該第一のネットワーク各々が取り扱う1または複数の該論理的なアンテナポートを、該第一のネットワーク各々に割り当てるシステム制御装置をさらに有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項3】
請求項2記載のネットワークシステムであって、
前記システム制御装置は、該第一のネットワークごとに論理的なアンテナポートを割当て、前記割り当てられた該論理的なアンテナポートに関する該第二のネットワークからの入力信号を1または複数の該物理的なアンテナポートに対して出力し、複数の該物理的なアンテナポートから入力された信号を1つの該論理的なアンテナポートに関する該第二のネットワークへの出力信号として集約することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項4】
請求項3記載のネットワークシステムであって、
該第一のネットワークは、該システム制御装置により当該第一のネットワークに割当てられた該論理的なアンテナポートの数、または当該第一のネットワークが有する該物理的なアンテナポートの数のうち、いずれか大きい数を上限とした多重伝送チャネルを有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項5】
請求項4記載のネットワークシステムであって、
複数の該第一のネットワークは、同一の多重伝送チャネルを有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項6】
請求項2記載のネットワークシステムであって、
前記網間制御装置は、複数の該第一のネットワークに対し同一の該論理的なアンテナポートに関する信号を出力し、複数の該第一のネットワークから入力された信号を1つの該論理的なアンテナポートに関する該信号処理装置および該システム制御装置への出力信号として集約することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項7】
請求項6記載のネットワークシステムであって、
該第二のネットワークは、該信号処理装置が有する該論理的なアンテナポートの数と、該システム制御装置が有する該論理的なアンテナポートの数との和を上限とした多重伝送チャネルを有する、ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項8】
請求項2記載のネットワークシステムであって、
前記システム制御装置は、該論理的なアンテナポートのうち少なくとも1つを割り当てられ、該第二のネットワークで構成される多重伝送チャネルのうち少なくとも1つを用いて、該網間制御装置を制御するための制御情報を網間制御装置に送信すること、を特徴とするネットワークシステム。
【請求項9】
請求項8記載のネットワークシステムであって、
該システム制御装置から該網間制御装置に伝送する該制御情報は、少なくとも宛先となる該網間制御装置の識別子と、該網間制御装置に接続されている該第一のネットワークに割り当てる該論理的なアンテナポートの識別子とを含むことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項10】
請求項9記載のネットワークシステムであって、
該システム制御装置から該網間制御装置に伝送する該制御情報は、さらに該網間制御装置に接続されている該第一のネットワークにおける該論理的なアンテナポートと該物理的なアンテナポートとの間のマッピング情報を含むことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項11】
請求項9記載のネットワークシステムであって、
該システム制御装置から該網間制御装置に伝送する該制御情報は、さらに該網間制御装置に接続されている該第一のネットワークに属する該物理的アンテナポートを介して無線通信を実施する該無線端末の識別子を含むことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項12】
請求項2記載のネットワークシステムであって、
該システム制御装置は、該論理的なアンテナポートのうち少なくとも1つに割り当てられ、その論理的なアンテナポート及び該第一のアンテナ網で多重伝送チャネルのうち少なくとも1つチャネルを介して、該網間制御手段から制御情報を収集する、ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項13】
請求項12記載のネットワークシステムであって、
該網間制御装置からシステム制御装置に伝送する該制御情報は、該網間制御装置に接続されている該第一のネットワークに属する該物理的アンテナポートを介して無線通信を実施する該無線端末毎の、該物理的なアンテナポート毎の無線受信品質の測定結果を含むことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項14】
分散アンテナシステムであって、
無線端末と送受信する信号を処理し、複数の論理的なアンテナポートを提供する信号処理装置と、
無線端末と無線ネットワークを介して信号の送受信を行う複数のアンテナと、
少なくとも1以上のアンテナから構成されるアンテナ群と第一の有線ネットワークを介して接続され、前記アンテナ群ごとに対応する網間制御装置と、
前記網間制御装置と第二の有線ネットワークを介して接続される第二網終端装置と、
該網間制御装置を第二の有線ネットワークを介して制御するシステム制御装置と、を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項15】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該第一網終端装置は、該第一のアンテナ網が使用している多重伝送チャネルのうち一つを選択して該網間制御装置と信号を送受信する第一チャネル選択通信部と、当該第一網終端装置と接続している該アンテナで無線信号を送受信するための無線周波数信号処理部と、を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項16】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該網間制御装置は、該第一のアンテナ網を介して複数の該第一網終端装置と多重通信するための第一多重通信部と、
該第二のアンテナ網が使用している多重伝送チャネルのうち一部または全部を選択して該第二網終端装置と多重通信するための第二多重通信部と、
該第一終端装置各々が使用する伝送チャネルを割り当てる第一伝送チャネル割当手段と、該第二のアンテナ網で使用する伝送チャネルと該第一のアンテナ網で使用する伝送チャネルとを相互変換する伝送チャネル変換部と、
該第二のアンテナ網で伝送している信号と該第一のアンテナ網から入力される信号とを合成、または該第二のアンテナ網から異なる多重伝送チャネルで入力される信号同士を合成する信号合成部と、を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項17】
請求項16記載の分散アンテナシステムであって、
該網間制御装置は、該第一網終端装置から送信される多重伝送信号各々を参照して該無線端末からの送信信号の無線受信品質を測定する無線受信品質測定部を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項18】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該第二網終端装置は、該第二のアンテナ網を介して複数の該網間制御装置と多重通信するための第三多重通信部と、
該信号処理装置および該システム制御装置と多重通信するための第四多重通信部とを有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項19】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該システム制御装置は、該網間制御装置各々が該第二のアンテナ網で使用する多重伝送チャネルを割り当てる第二伝送チャネル割当部と、
該第二網終端装置と通信するための通信部と、を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項20】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該第一網終端装置、該網間制御装置、該第二網終端装置のいずれかにデジタル信号とアナログ信号を相互変換するためのアナログ―デジタル変換部およびデジタル―アナログ変換部とを有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項1】
ネットワークシステムであって、
端末と無線ネットワークを介して通信可能な複数のアンテナからなるアンテナ群により構成され、アンテナに対する物理的なアンテナポートが提供される第一のネットワークと、
複数の該第一のネットワークと接続し、無線端末と送受信する信号を処理する信号処理手段が提供する論理的なアンテナポートにより構成される第二のネットワークと、
該第一のネットワークと該第二のネットワークとに接続され、該物理的なアンテナポートと該論理的なアンテナポートとの接続を制御する網間制御装置と、を有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1記載のネットワークシステムであって、
該第一のネットワーク各々が取り扱う1または複数の該論理的なアンテナポートを、該第一のネットワーク各々に割り当てるシステム制御装置をさらに有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項3】
請求項2記載のネットワークシステムであって、
前記システム制御装置は、該第一のネットワークごとに論理的なアンテナポートを割当て、前記割り当てられた該論理的なアンテナポートに関する該第二のネットワークからの入力信号を1または複数の該物理的なアンテナポートに対して出力し、複数の該物理的なアンテナポートから入力された信号を1つの該論理的なアンテナポートに関する該第二のネットワークへの出力信号として集約することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項4】
請求項3記載のネットワークシステムであって、
該第一のネットワークは、該システム制御装置により当該第一のネットワークに割当てられた該論理的なアンテナポートの数、または当該第一のネットワークが有する該物理的なアンテナポートの数のうち、いずれか大きい数を上限とした多重伝送チャネルを有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項5】
請求項4記載のネットワークシステムであって、
複数の該第一のネットワークは、同一の多重伝送チャネルを有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項6】
請求項2記載のネットワークシステムであって、
前記網間制御装置は、複数の該第一のネットワークに対し同一の該論理的なアンテナポートに関する信号を出力し、複数の該第一のネットワークから入力された信号を1つの該論理的なアンテナポートに関する該信号処理装置および該システム制御装置への出力信号として集約することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項7】
請求項6記載のネットワークシステムであって、
該第二のネットワークは、該信号処理装置が有する該論理的なアンテナポートの数と、該システム制御装置が有する該論理的なアンテナポートの数との和を上限とした多重伝送チャネルを有する、ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項8】
請求項2記載のネットワークシステムであって、
前記システム制御装置は、該論理的なアンテナポートのうち少なくとも1つを割り当てられ、該第二のネットワークで構成される多重伝送チャネルのうち少なくとも1つを用いて、該網間制御装置を制御するための制御情報を網間制御装置に送信すること、を特徴とするネットワークシステム。
【請求項9】
請求項8記載のネットワークシステムであって、
該システム制御装置から該網間制御装置に伝送する該制御情報は、少なくとも宛先となる該網間制御装置の識別子と、該網間制御装置に接続されている該第一のネットワークに割り当てる該論理的なアンテナポートの識別子とを含むことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項10】
請求項9記載のネットワークシステムであって、
該システム制御装置から該網間制御装置に伝送する該制御情報は、さらに該網間制御装置に接続されている該第一のネットワークにおける該論理的なアンテナポートと該物理的なアンテナポートとの間のマッピング情報を含むことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項11】
請求項9記載のネットワークシステムであって、
該システム制御装置から該網間制御装置に伝送する該制御情報は、さらに該網間制御装置に接続されている該第一のネットワークに属する該物理的アンテナポートを介して無線通信を実施する該無線端末の識別子を含むことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項12】
請求項2記載のネットワークシステムであって、
該システム制御装置は、該論理的なアンテナポートのうち少なくとも1つに割り当てられ、その論理的なアンテナポート及び該第一のアンテナ網で多重伝送チャネルのうち少なくとも1つチャネルを介して、該網間制御手段から制御情報を収集する、ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項13】
請求項12記載のネットワークシステムであって、
該網間制御装置からシステム制御装置に伝送する該制御情報は、該網間制御装置に接続されている該第一のネットワークに属する該物理的アンテナポートを介して無線通信を実施する該無線端末毎の、該物理的なアンテナポート毎の無線受信品質の測定結果を含むことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項14】
分散アンテナシステムであって、
無線端末と送受信する信号を処理し、複数の論理的なアンテナポートを提供する信号処理装置と、
無線端末と無線ネットワークを介して信号の送受信を行う複数のアンテナと、
少なくとも1以上のアンテナから構成されるアンテナ群と第一の有線ネットワークを介して接続され、前記アンテナ群ごとに対応する網間制御装置と、
前記網間制御装置と第二の有線ネットワークを介して接続される第二網終端装置と、
該網間制御装置を第二の有線ネットワークを介して制御するシステム制御装置と、を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項15】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該第一網終端装置は、該第一のアンテナ網が使用している多重伝送チャネルのうち一つを選択して該網間制御装置と信号を送受信する第一チャネル選択通信部と、当該第一網終端装置と接続している該アンテナで無線信号を送受信するための無線周波数信号処理部と、を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項16】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該網間制御装置は、該第一のアンテナ網を介して複数の該第一網終端装置と多重通信するための第一多重通信部と、
該第二のアンテナ網が使用している多重伝送チャネルのうち一部または全部を選択して該第二網終端装置と多重通信するための第二多重通信部と、
該第一終端装置各々が使用する伝送チャネルを割り当てる第一伝送チャネル割当手段と、該第二のアンテナ網で使用する伝送チャネルと該第一のアンテナ網で使用する伝送チャネルとを相互変換する伝送チャネル変換部と、
該第二のアンテナ網で伝送している信号と該第一のアンテナ網から入力される信号とを合成、または該第二のアンテナ網から異なる多重伝送チャネルで入力される信号同士を合成する信号合成部と、を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項17】
請求項16記載の分散アンテナシステムであって、
該網間制御装置は、該第一網終端装置から送信される多重伝送信号各々を参照して該無線端末からの送信信号の無線受信品質を測定する無線受信品質測定部を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項18】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該第二網終端装置は、該第二のアンテナ網を介して複数の該網間制御装置と多重通信するための第三多重通信部と、
該信号処理装置および該システム制御装置と多重通信するための第四多重通信部とを有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項19】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該システム制御装置は、該網間制御装置各々が該第二のアンテナ網で使用する多重伝送チャネルを割り当てる第二伝送チャネル割当部と、
該第二網終端装置と通信するための通信部と、を有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【請求項20】
請求項14記載の分散アンテナシステムであって、
該第一網終端装置、該網間制御装置、該第二網終端装置のいずれかにデジタル信号とアナログ信号を相互変換するためのアナログ―デジタル変換部およびデジタル―アナログ変換部とを有することを特徴とする分散アンテナシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−15572(P2012−15572A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147061(P2010−147061)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]