説明

階層型項目選択装置及び方法及びプログラム

【課題】 階層構造で項目を絞り込む場合、表示領域の範囲内で追加の項目を提示可能とし、提示する項目は最終的に選択する項目が多い部分を優先的に選択する。
【解決手段】 本発明は、利用者によって選択された項目、該利用者から指定された条件、及び、表示可能な項目数を取得し、条件を満たすような最終項目数を算出する。表示領域に余分に表示可能な数kを求め、条件を満たすような最終項目数が多い上位k件の項目を、木構造上に配置された項目のリストを格納した項目リスト記憶手段から検索して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層型項目選択装置及び方法及びプログラムに係り、特に、木構造を使って階層的に配置されている項目について、上位の階層から順に選択していき、所望の項目を得るような階層型項目選択装置及び方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木構造を使って階層的に配置されている項目を、上位の階層に属する項目から順に表示画面を用いて利用者に提示し、利用者が下階層の項目の選択を繰り返すことで所望の項目を得るような項目選択装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、項目を選択するだけでなく、最終的に選択する項目に対する制約条件を受け付けるような項目選択装置が存在する。
【0004】
例えば、図書館の図書検索に用いる場合であれば、著者の姓や名あるいは出版年といった条件を指定した上で、日本十進分類方や国際十進分類法によって分類された階層を選択していくことにより、最終項目である所望の図書に関する情報を検索することができる。
【0005】
もし、項目を提示する表示画面に十分大きな余裕があるのであれば、現在選択対象となっている階層の項目に加えて、より下の階層の項目も提示することで、離れた階層の項目を一度に選択可能となり、ひとつずつ階層を選択していく場合に比べて選択の手数を減らすことが考えられるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4229984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、単純に複数の階層を提示しようとしたのであれば、次のような問題がある。
【0008】
・下の階層を全て表示するのは一般に表示領域の余裕が大きい必要があり、表示領域の余裕がさほどない場合等には表示できず、利用できる状況が限られてしまう。
【0009】
・およそ選択されそうもない項目も表示することになるため、無駄が多く、利用者の認知負荷が大きい。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、階層構造で項目を絞り込む場合、表示領域の範囲内で追加の項目を提示することを可能とし、提示する項目は最終的に選択する項目が多い部分を優先的に選択することが可能な階層型項目選択装置及び方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明(請求項1)は、木構造により階層化された項目について、所望の項目を検索するための階層型項目選択装置であって、
木構造上に配置された項目のリストを格納した項目リスト記憶手段と、
利用者によって選択された項目、該利用者から指定された条件、及び、表示可能な項目数を取得する入力手段と、
表示領域に余裕がある場合に、前記利用者によって選択された項目について、前記条件に基づいて最終項目数が多い項目を、前記表示可能な項目数に応じて前記項目リスト記憶手段から検索して出力する項目選出手段と、を有する。
【0012】
また、本発明(請求項2)は、前記項目選出手段において、
前記利用者によって選択された項目より下の階層で、葉節点(最終項目)を除く各節点を除く各節点(項目)の配下で、前記条件を満たす最終項目の数を算出し、条件付項目数記憶手段に格納する手段と、
前記表示可能な項目数から選択された項目直下の階層での項目数を減じ、余分に表示領域に表示可能な項目数kを算出する手段と、
前記条件付項目数記憶手段を参照して、最終項目の数が多い上位k件の項目を抽出する手段と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、木構造を使って階層的に配置されている項目について、上位の階層から順に選択していき、しかも、最終的に選択する項目に対する制約条件を受け付けるような種類の項目選択装置において、単に選択するべき階層に属する項目を列挙するのではなく、表示領域の余裕の範囲内で追加の項目を提示することが可能となり、しかも、その提示する項目は最終的に選択する項目(葉節点に属する項目)が多い部分を優先的に選択可能となるため、利用者は少ない選択数で最終的な選択項目を選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態における階層項目選択装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態における項目リストの例である。
【図3】本発明の一実施の形態における図書検索に用いる場合の条件・項目提示画面の例である。
【図4】本発明の一実施の形態における項目選択装置の動作のフローチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態における項目選出部の処理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態における階層項目選択装置の構成を示す。
【0017】
同図に示す階層項目選択装置10は、条件付項目数記憶部11、項目リスト記憶部12、入力部13、項目選出部14、条件・項目提示画面15から構成される。
【0018】
条件付項目数記憶部11、項目リスト記憶部12は、ハードディスク等の記憶媒体である。
【0019】
条件付項目数記憶部11は、節点名、あるいは、節点番号と、それに対応する現在指定されている条件を満たすような最終項目数の数を格納する。
【0020】
項目リスト記憶部12は、木構造状に配置された項目のリストが格納される。利用者が項目選択装置10を通じて最終的に選択する項目は常に木構造の末端、すなわち、葉節点に格納されているものとする。図書検索に用いた場合の項目リストの例を図2に示す。同図の例では、最終選択項目は各書誌(例えば、『消費者物価指数年次報告』)に相当する。
【0021】
条件・項目提示画面15は、図3に示すように、選択可能な項目一覧と、指定可能な条件から構成される。選択可能な項目一覧は、利用者が項目を選択したり、条件を入力する度に、項目選出部14によって選出されたものによって書き換える。図3は図書検索に用いた場合の例を示す。項目提示画面の大きさが、選択可能な項目の数を事前に定める。図3であれば、選択可能項目数は12である。
【0022】
以下に、本発明の項目選択装置の動作を説明する。
【0023】
図4は、本発明の一実施の形態における項目選択装置の動作のフローチャートである。
【0024】
ステップ1) 入力部13は、キーボードやタッチパネル等を介して利用者が指定した最終項目に関する条件(図3の書誌の条件)と、条件・項目提示画面に提示された選択可能項目のうち、利用者が選択した項目を入力として受け付け、項目選出部14に出力する。
【0025】
ステップ2) 項目選出部14は、図5に示す手順により項目を選択する。
【0026】
ステップ21) 項目選択部14は、利用者によって選択された項目、利用者が指定した条件、及び条件・項目提示画面において表示可能な項目数を入力として、利用者によって選択された項目より下の階層で、葉節点(最終項目)を除く各節点(項目)について、当該項目の配下で、現在利用者が指定している条件を満たすような葉節点の数を算出する。
【0027】
具体的には、例えば、図2のような項目リストと図3のような条件・項目提示画面を保持する装置において、『一般』配下の『社会科学』を選択し、条件として、出版年が「2010年」であり、書誌名が「円の」と前方一致すると指定した場合を想定する。装置は、配下の項目、すなわち、『社会科学』『政治』『法律』…『国防、軍事』及び『経営管理』…『通貨、貨幣』…といった各項目について、その配下で出版年が「2010年」であり、書誌名が「円の」と前方一致するような葉節点を計数する。例えば、『通貨、貨幣』についてはこの条件を満たすものは1件であるので、1となる。
【0028】
もし、利用者によって選択された項目が存在しない場合は、根節点を利用者によって選択された項目として同様の処理を行う。
【0029】
ここで、条件を満たすかどうかの確認方法は、条件との合致を確認する既知の任意の方法でよく、高速化のために専用のインデクス等を保持してもよい。例えば、図書検索での書誌名条件であれば、書誌名と葉節点に記述された項目名との文字列一致等によって可能であり、高速化のために転置インデクス等の手段を用いてもよい。
【0030】
ステップ22) 次に、項目選出部14は、ステップ21で算出した節点に対する条件を満たすような最終項目数を、条件付項目数記憶部11に格納する。
【0031】
ステップ23) 次に、項目選択部14は、余分に表示可能な項目数kを、表示可能な項目数から選択項目直下の階層での項目数を減じた値として求める。
【0032】
ステップ24) 項目選択部14は、選択項目直下の階層の項目と、ステップ23で求めたk件の項目を出力する。
【0033】
ステップ3) 条件・項目提示画面15は、選択可能項目を、項目選出部14によって選出された項目群に書き換え表示する。
【0034】
上記のような処理を行うことで、利用者が木構造に配置されたメニューを順次階層を辿って選択していく場合に、メニュー表示領域に余裕領域(表示可能な項目数から選択直下の階層での項目数を減じた数>0)が存在するとき、当該余裕領域に追加で表示項目を追加表示することが可能となる。このとき、リーフ数の多いノードを選択することで、リーフに到達するまでの検索の負荷を軽減することができる。
【0035】
なお、上記の図1に示す項目選択装置の各構成要素の動作をプログラムとして構築し、項目選択装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0036】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 項目選択装置
11 条件付き項目数記憶部
12 項目リスト記憶部
13 入力部
14 項目選出部
15 条件・項目提示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木構造により階層化された項目について、所望の項目を検索するための階層型項目選択装置であって、
木構造上に配置された項目のリストを格納した項目リスト記憶手段と、
利用者によって選択された項目、該利用者から指定された条件、及び、表示可能な項目数を取得する入力手段と、
表示領域に余裕がある場合に、前記利用者によって選択された項目について、前記条件に基づいて最終項目数が多い項目を、前記表示可能な項目数に応じて前記項目リスト記憶手段から検索して出力する項目選出手段と、
を有することを特徴とする階層型項目選択装置。
【請求項2】
前記項目選出手段は、
前記利用者によって選択された項目より下の階層で、葉節点(最終項目)を除く各節点を除く各節点(項目)の配下で、前記条件を満たす最終項目の数を算出し、条件付項目数記憶手段に格納する手段と、
前記表示可能な項目数から選択された項目直下の階層での項目数を減じ、表示領域に余分に表示可能な項目数kを算出する手段と、
前記条件付項目数記憶手段を参照して、最終項目の数が多い上位k件の項目を抽出する手段と、
を含む請求項1記載の階層型項目選択装置。
【請求項3】
木構造により階層化された項目について、所望の項目を検索するための階層型項目選択方法であって、
入力手段が、利用者によって選択された項目、該利用者から指定された条件、及び、表示可能な項目数を取得する入力ステップと、
項目選出手段が、表示領域に余裕がある場合に、前記利用者によって選択された項目について、前記条件に基づいて最終項目数が多い項目を、前記表示可能な項目数に応じて、木構造上に配置された項目のリストを格納した項目リスト記憶手段から検索して出力する項目選出ステップと、
を行うことを特徴とする階層型項目選択方法。
【請求項4】
前記項目選出ステップにおいて、
前記利用者によって選択された項目より下の階層で、葉節点(最終項目)を除く各節点を除く各節点(項目)の配下で、前記条件を満たす最終項目の数を算出し、条件付項目数記憶手段に格納するステップと、
前記表示可能な項目数から選択された項目直下の階層での項目数を減じ、表示領域に余分に表示可能な項目数kを算出するステップと、
前記条件付項目数記憶手段を参照して、最終項目の数が多い上位k件の項目を抽出するステップと、
を含む請求項3記載の階層型項目選択方法。
【請求項5】
コンピュータを、
請求項1または2に記載の階層型項目選択装置の各手段として機能させるための、階層型項目選択プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−105281(P2013−105281A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248071(P2011−248071)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】