階段支柱の連結構造
【課題】複数の支柱本体を連設してなる階段支柱の連結構造であって、支柱本体同士の接合部分の外観がすっきりとしている階段支柱の連結構造を提供すること。
【解決手段】螺旋状に配置された複数の踏板を支持する階段支柱1の連結構造であって、上下方向に連設された二つの支柱本体11,11と、隣り合う支柱本体11,11を連結する連結部材12とで階段支柱1を構成し、支柱本体11を管状に成形するとともに、連結部材12を隣り合う支柱本体11,11の各々の内空部11fに相対回転不能な状態で挿入する。
【解決手段】螺旋状に配置された複数の踏板を支持する階段支柱1の連結構造であって、上下方向に連設された二つの支柱本体11,11と、隣り合う支柱本体11,11を連結する連結部材12とで階段支柱1を構成し、支柱本体11を管状に成形するとともに、連結部材12を隣り合う支柱本体11,11の各々の内空部11fに相対回転不能な状態で挿入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段支柱の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の踏板を螺旋状に配置してなる階段は、特許文献1や特許文献2などに開示されている。
【0003】
これらに開示された階段は、階段支柱から平面視V字状に張り出す二つのブラケットで各踏板を支持する形式の階段であるが、細長のフレームを利用して各ブラケットを構成したことで、看者に軽快な印象を与えることに成功している。
【0004】
ところで、このような階段を階高が大きいフロア間に設置する場合や複数階に亘って設置する場合には、特許文献3に開示されているように、複数の支柱本体を上下方向に連設して長尺の階段支柱を形成する必要がある。なお、特許文献3の階段支柱の連結構造においては、支柱本体の端部に設けたフランジ同士を突き合わせるとともに、フランジ同士をボルト・ナットで締結することにより、上下方向に隣り合う支柱本体同士を連結している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−76281号公報
【特許文献2】特開2004−76284号公報
【特許文献3】特開平9−256583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献3の階段支柱の連結構造では、支柱本体のフランジが露出したままになるので、看者に無骨な印象を与えてしまう虞がある。さらに、特許文献3の階段支柱の連結構造においては、接合部分に作用する引張力やせん断力、さらには曲げモーメントやねじりモーメントなどに対してフランジ同士を締結するボルト・ナットだけで抵抗する必要があることから、太径のボルト・ナットを使用するか、あるいは、多数のボルト・ナットを使用する必要があるが、このようにすると、接合部分の美観が損なわれる虞がある。また、支柱本体にフランジを設けるには、溶接作業等を必要とすることから、その製造に手間と時間とを要するという問題もある。
【0007】
このような観点から、本発明は、複数の支柱本体を連設してなる階段支柱の連結構造であって、支柱本体同士の接合部分の外観がすっきりとしている階段支柱の連結構造を提供することを課題とし、さらには、製造が容易な支柱本体を備えた階段支柱の連結構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決する本発明は、螺旋状に配置された複数の踏板を支持する階段支柱の連結構造であって、上下方向に連設された複数の支柱本体と、隣り合う前記支柱本体同士を連結する連結部材とを備えており、前記支柱本体は、管状に成形されており、前記連結部材は、隣り合う前記支柱本体の各々の内空部に相対回転不能な状態で挿入されていることを特徴とする。
【0009】
この階段支柱の連結構造においては、階段支柱を構成する支柱本体同士を、その内空部に挿入した連結部材を介して連結しているので、連結部材が露出することがなく、したがって、接合部分の外観がすっきりとしたものになる。また、この階段支柱の連結構造は、隣り合う支柱本体の境界部分を跨ぐように連結部材を配置しているので、境界部分(接合部分)においても曲げモーメントやせん断力に対して高い抵抗力を発揮し、さらに、相対回転不能な状態で連結部材を支柱本体の内空部に挿入しているので、ねじりに対しても高い抵抗力を発揮する。
【0010】
支柱本体と連結部材とを相対回転不能とするには、例えば、前記支柱本体の内周面に、周方向に等しい間隔をあけて複数の凹部を配置するとともに、前記連結部材の外周面に、周方向に等しい間隔をあけて前記凹部に係合する複数の凸部を配置すればよい。
【0011】
なお、前記支柱本体の前記複数の凹部の角度ピッチを、前記踏板の中心角と等しくしておけば、上下方向に隣り合う支柱本体同士の接合位置を踏板の中心角と等しい角度ピッチで周方向に回転させることができるので、複数の支柱本体の各々の周囲に踏板を配置した場合であっても、複数の踏板を規則正しく配置することが可能となる。
【0012】
本発明においては、前記支柱本体に前記内空部に連通する挿通孔を形成するとともに、前記連結部材の前記挿通孔に対応する位置に雌ネジ孔を形成し、前記挿通孔に挿通したボルトの軸部を前記雌ネジ孔に螺合することにより、前記支柱本体と前記連結部材とを固定してもよい。このようにすると、連結部材の上下方向のずれを確実に防止することが可能となる。なお、このボルトに対してねじりモーメント等に起因するせん断力が作用するが、連結部材を相対回転不能な状態で支柱本体の内空部に挿入しているので、ボルトのみで支柱本体を接合する場合に比べて、ボルトが負担するせん断力の大きさは小さいものとなる。
【0013】
なお、前記支柱本体および前記連結部材をアルミニウム合金製の押出形材で構成すれば、その製造が容易になるとともに、押出成形する際に凹部や凸部を形成することができるので、好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る階段支柱の連結構造によると、支柱本体を連結する連結部材が外部に露出することがないので、支柱本体同士の接合部分の外観がすっきりとしたものになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、本実施形態における「前後」は、階段の上り方向を向いたときを基準とする。
【0016】
<全体構成>
本実施形態に係る階段支柱の連結構造を具備する階段は、図1に示すように、階段支柱1の周囲に複数の踏板5,5,…を螺旋状に配置してなる階段であって、複数階に亘って配置されている。なお、以下の説明においては、下階(1階)の階段取付部F1から中間階(2階)の階段取付部F2に至る部分を下階段部K1といい、中間階の階段取付部F2から上階(3階)の階段取付部F3に至る部分を上階段部K2ということがある。
【0017】
本実施形態においては、階段支柱1の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板5,5,…のそれぞれが、階段支柱1から平面視(上面視)V字状に張り出した一対のブラケット3,3(図2参照)によって支持されている。また、本実施形態においては、複数の踏板5,5,…の先端部分(外縁部分)を取り巻くように複数の手摺支柱6,6,…が立設されており、これらの上端を繋ぐように手摺7が配置されている。
【0018】
なお、図2に示すように、各ブラケット3は、正面視横V字状を呈しており、かつ、同一の高さに位置する一対のブラケット3,3は、その基端同士が階段支柱1の外周面に固定されたベース2を介して互いに連結されており、その先端同士が連結フレーム4を介して互いに連結されている。つまり、本実施形態においては、ベース2と前後に隣り合う二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とによって四面体を呈する立体トラス構造体Tが形成されており、この立体トラス構造体Tに踏板5が支持されている、と言える。
【0019】
<階段支柱>
階段支柱1(以下、「支柱1」と称する。)は、図3に示すように、上下方向(鉛直方向)に連設された複数(本実施形態では二つ)の支柱本体11,11と、隣り合う支柱本体11,11を連結する連結部材12と、下側の支柱本体11(最下段の支柱本体11)の下端と下階の階段取付部F1(図1参照)との間に介設される支持部材13とを備えている。
【0020】
支柱本体11は、本実施形態では、管状に成形されたアルミニウム合金製の押出形材からなる。支柱本体11の外周面であってベース2が固定される領域Aには、複数(本実施形態では三つ)の雌ネジ孔11a,11a,11aが形成されている。雌ネジ孔11aには、ベース2を固定するための六角穴付きのボルトB21の軸部が螺合される。
【0021】
下側の支柱本体11の上端部および上側の支柱本体11の下端部には、それぞれ、内空部11fに連通する挿通孔11b,11b,…が形成されている。挿通孔11bには、連結部材12を固定するための六角穴付きのボルトB11の軸部が挿通される。
【0022】
上下方向に連設された支柱本体11,11のうち、最下段の支柱本体11の下面には、複数の有底の雌ネジ穴11c,11c,…が形成されている。雌ネジ穴11cには、支持部材13を固定するための六角穴付きのボルトB12が螺合される。なお、図示は省略するが、支柱本体11の外形を多角形としても差し支えない。
【0023】
図4の(b)に示すように、挿通孔11bは、支柱本体11の内周面に形成された凹部11dに開口している。挿通孔11bは、その外側の部位が拡径されていて、段付き円筒状を呈している。挿通孔11bの拡径された部位には、ボルトB11の頭部が収容される。
【0024】
支柱本体11の内周面には、複数の凹部11d,11d,…が周方向に等しい間隔をあけて配置されている。凹部11dは、支柱本体11の全長に亘って互いに平行に設けられた突条11e,11eに挟まれた空間であり、支柱本体11を押出成形する際に形成される。複数の凹部11d,11d,…の角度ピッチαは、踏板5の中心角β(図10参照)と等しくなっている。
【0025】
図3に示す連結部材12は、上下方向に隣り合う支柱本体11,11の境界部分を跨ぐように配置されるものであって(図4の(a)参照)、隣り合う支柱本体11,11の各々の内空部11fに相対回転不能な状態で挿入される。連結部材12は、管状に成形されたアルミニウム合金製の押出形材からなり、その上下方向の中央部分には、下側の支柱本体11の挿通孔11b,11b,…および上側の支柱本体11の挿通孔11b,11b,…に対応する位置に、雌ネジ孔12a,12a,…が形成されている。そして、挿通孔11bに挿通したボルトB11の軸部を雌ネジ孔12aに螺合することにより、支柱本体11と連結部材12とが固定される。なお、本実施形態においては、雌ネジ孔12aは、連結部材12の外周面に形成された後記する凸部12bに形成されている。
【0026】
図4の(c)に示すように、連結部材12の外周面には、支柱本体11の凹部11dに係合する複数の凸部12b,12b,…が周方向に等しい間隔をあけて配置されている。凸部12bは、支柱本体11の凹部11dに丁度嵌まり込むような形状に成形されていて、複数の凸部12b,12b,…の角度ピッチも、踏板5の中心角β(図10参照)と等しくなっている。また、周方向に隣り合う凸部12b,12bの間には、支柱本体11の突条11eに係合する溝条12cが形成されている。凸部12bおよび溝条12cは、連結部材12の全長に亘って設けられていて、連結部材12を押出成形する際に形成される。
【0027】
なお、本実施形態においては、ボルトB11を使用して支柱本体11と連結部材12とを固定したが、これに限定されることはなく、溶接や接着等の方法により固定しても差し支えない。
【0028】
図3に示す支持部材13は、支柱本体11よりも径の大きいアルミニウム合金製の円板からなり、ボルトB12によって支柱本体11の下端に固定される。支持部材13の上面には、支柱本体11の下端部分が嵌め込まれる円形の嵌合凹部13aが形成されており、この嵌合凹部13aには、支柱本体11の複数の雌ネジ穴11c,11c,…に対応する複数のボルト挿通孔13b,13b,…が形成されている。このボルト挿通孔13bには、ボルトB12が支持部材13の下面側から挿通される。また、嵌合凹部13aの外周側にも、複数のボルト挿通孔13c,13c,…が形成されている。このボルト挿通孔13cには、支持部材13を下階の階段取付部F1(図1参照)に固定するためのボルトB13が挿通される。
【0029】
<ベース>
ベース2は、図5の(a)に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられるブロック状の部材からなり、図5の(b)にも示すように、支柱本体11との当接面21が支柱本体11の外周面の形状に合わせて円筒面に成形されている。
【0030】
ベース2には、当接面21とは反対側の面22に、一対の連結溝22a,22aが上下方向に形成されている。なお、連結溝22aは、支柱本体11の半径方向に沿って形成されており、連結溝22aの内壁面には、凹凸が形成されている。また、一対の連結溝22a,22aの間には、支柱本体11の領域A(図3参照)に形成された雌ネジ孔11a,11a,11a(図3参照)に対応する複数(本実施形態では三つ)の段付きのボルト挿通孔22b,22b,22bが形成されている。
【0031】
ベース2の上面23には、その中央部に有底の雌ネジ穴23aが形成されている。この雌ネジ穴23aには、踏板5の基端部を固定するための六角穴付きの皿ボルトB51(図10参照)が螺合される。
【0032】
<ブラケット>
ブラケット3は、図6の(a)に示すように、支柱1の外周面から水平に張り出す上フレーム31と、この上フレーム31の下方において支柱1の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレーム32と、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とを連結する節点部材33とを備えていて、正面視横V字状を呈している。なお、本実施形態に係るブラケット3は、図2に示すように、節点部材33に接続された支持片34を備えている。
【0033】
上フレーム31は、図6の(a)に示すように、その基端部がベース2の上部に接続され、ベース2を介して支柱1の外周面に固定される。上フレーム31は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部31aを有している。接続端部31aは、中空押出形材の端部をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。接続端部31aは、図6の(b)および(c)に示すように、ベース2の連結溝22a(図6の(c)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図6の(b)参照)に嵌合可能であり、接続端部31aの先端部分には、ベース2の連結溝22aの凹凸あるいは後記する節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が上フレーム31の軸線に直交する方向(図6の(a)において上下方向)に沿って形成されている。このようにしておくと、上フレーム31に大きな軸力(引張力)が作用しても、これがベース2や節点部材33から引き抜かれることがない。なお、接続端部31aがベース2および節点部材33の軸線方向に長い偏平状に形成されていることから、上フレーム31と節点部材33との接続構造は、ベース2および節点部材33の軸線方向(つまり、上下方向)の外力に対する強度が高い。
【0034】
下フレーム32は、図6の(a)に示すように、その基端部がベース2の下部に接続され、ベース2を介して支柱1の外周面に固定される。下フレーム32は、アルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部32aを有している。接続端部32aは、ベース2の連結溝22a(図6の(c)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図6の(b)参照)に嵌合可能であり、その先端部分には、上フレーム31の凹凸と同様の凹凸が形成されている。なお、接続端部32aの凹凸は、下フレーム32の軸線に対して角度αをなす方向に沿って形成されている。これにより、下フレーム32は、その軸線がベース2および節点部材33の軸線に対して角度αだけ傾斜した状態でベース2および節点部材33に接続されることになる。
【0035】
節点部材33は、図7に示すように、円柱形状を呈しており、その外周面には、その中心線方向に沿って複数(本実施形態では三つ)の連結溝33a,33a,…が形成されている。連結溝33aの内壁面には、その中心線方向(図7では上下方向)に沿って凹凸が形成されている。また、節点部材33の中心線上には、ボルト挿通孔33bが形成されている。節点部材33は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝33aおよびボルト挿通孔33bは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。なお、節点部材33は、鋳造により製作してもよい。また、節点部材33の形状も図示のものに限定されることはなく、例えば、多角柱形状にしても差し支えない。
【0036】
図2に示す支持片34は、踏板5の先端部分(外縁部分)を支持するものであって、節点部材33から踏板5の下面に沿って張り出している。支持片34は、図8に示すように、偏平状の接続端部34aと、この接続端部34aから張り出す張出部34bとを有している。接続端部34aは、節点部材33の連結溝33a(図7参照)に嵌合可能であり、接続端部34aの先端部分には、節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、張出部34bには、これを上下方向に貫通する雌ネジ孔34cが形成されている。この雌ネジ孔34cには、踏板5の先端部分を固定するための六角穴付きの皿ボルトB52(図10参照)が螺合される。
【0037】
ここで、上下に隣り合うブラケット3,3の関係を、図2を参照して詳細に説明する。この図に示すように、本実施形態においては、踏板5の後側を支持するブラケット3を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3が配置されており、かつ、上下に隣り合う節点部材33,33同士が柱状部材35を介して互いに連結されている。なお、柱状部材35は、節点部材33と同一の直径を有するアルミニウム合金製の円柱であり、その中心には、図示せぬボルト挿通孔が形成されている。
【0038】
このように、本実施形態においては、隣接するブラケット3,3は、その外周部において互いに連結されており、一段下のブラケット3がその上段のブラケット3を支持している。なお、最下段の踏板5の前側を支持するブラケット3’については、図9に示すように、その先端部分が下階の階段取付部F1に支持されている。ブラケット3’においては、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端を連結する節点部材33’の長さが、その他のブラケット3の節点部材33(図7参照)よりも大きくなっていて、その下端部に接続された一対の支持片34’,34’を介して下階の階段取付部F1に固定されている。なお、支持片34’は、踏板5を支持する支持片34(図8参照)の上下を逆さにしたものなので、その詳細な説明を省略する。また、節点部材33’と下階の階段取付部F1との間には、ワッシャ36’が介設されている。
【0039】
<連結フレーム>
図2に示すように、連結フレーム4は、前後に隣り合う節点部材33,33を連結するものであって、本実施形態では水平に配置されており、同一の高さに位置する節点部材33,33を互いに連結している。連結フレーム4は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その端部に偏平状の接続端部4aを有している。接続端部4aは、節点部材33の連結溝33a(図6の(b)参照)に嵌合可能であり、接続端部4aの先端部分には、上フレーム31(図6の(b)参照)と同様の凹凸が形成されている。
【0040】
<立体トラス構造体の組立方法>
ここで、図2を参照してベース2と二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とで構成される立体トラス構造体Tの組立方法を説明する。立体トラス構造体Tを組み立てるには、ベース2の二つの連結溝22a,22a(図5の(a)参照)のそれぞれに、上フレーム31の一端および下フレーム32の一端を接続するとともに、上フレーム31の他端および下フレームの他端を節点部材33に接続して二つのブラケット3,3を形成したうえで、前後に隣り合う節点部材33,33を連結フレーム4で連結し、さらに、節点部材33に支持片34を接続すればよい。なお、上フレーム31をベース2に接続するには、図6の(c)に示すように、ベース2の上面側(あるいは下面側)から、上フレーム31の接続端部31aに形成された凹凸をベース2の連結溝22aに挿入すればよく、溶接や特別な工具は必要ない。上フレーム31の節点部材33への接続方法、下フレーム32のベース2および節点部材33への接続方法および連結フレーム4の節点部材33への接続方法も同様である。
【0041】
なお、ベース2の下面には、上フレーム31および下フレーム32の下方向への抜け出しを防止する板状の規制部材24(図5の(a)参照)が固着される。また、ベース2の連結溝22aには、上フレーム31の接続端部31aと下フレーム32の接続端部32aとの間に、連結溝22aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入され、節点部材33の連結溝33aには、支持片34の接続端部34a(図8参照)の下側および連結フレーム4の接続端部4a(図2参照)の下側に、連結溝33aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入される。なお、連結溝22aと接続端部31a等との間に生じる微細な隙間を埋めるべく、この隙間に接着剤などを流し込んでもよい。
【0042】
<踏板>
踏板5は、図10に示すように、略扇形状を呈する板材からなり、その基端部分(支柱1側の端部)がベース2の上面に固定され、先端部分(外縁部分)が支持片34の上面に固定される。踏板5の基端側の縁辺5aは、支柱1の外周面に合わせて円弧状に成形されており、支柱1の外周面に当接している。また、踏板5の先端側の縁辺5bも円弧状に成形されている。なお、踏板5の先端側の角部5c,5cは、柱状部材35の外形に合わせて切り欠かれている。なお、踏板5は、例えば、アルミニウム合金製としてもよいし、木製やガラス製としても差し支えない。
【0043】
なお、踏板5の基端部分をベース2の上面に固定すると、踏板5の基端部分をしっかりと固定することが可能となる。また、踏板5の基端側の縁辺5aを、支柱1の外周面に合わせて円弧状に成形すると、踏板5の縁辺5aが支柱1の外周面にぴったりと当接することになるので、すっきりとした外観となる。
【0044】
<手摺支柱>
手摺支柱6は、図11の(a)に示すように、手摺子61と、この手摺子61の上端に取り付けられる上接続部材62と、手摺子61の下端に取り付けられる下接続部材63とを備えていて、本実施形態では、節点部材33の上面に立設される。
【0045】
手摺子61は、本実施形態では、略矩形の外形を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。手摺子61の内部には、図11の(b)にも示すように、四つのビスホール61a,61a,…と、四つの溝部61b,61b,…とが形成されている。また、手摺子61の側面には、複数の貫通孔61c,61c,…が形成されている。この貫通孔61cには、ワイヤー等の線状部材64(図1参照)が挿通される。なお、図示は省略するが、支柱本体11の外形を円形としても差し支えない。
【0046】
上接続部材62は、図11の(a)に示すように、手摺子61の上端部と手摺7との間に介設されるものであって、手摺子61の上端面に当接するフランジ部62aと、このフランジ部62aの下面に突設された下側突部62bと、フランジ部62aの上面に斜めに突設された上側突部62cと、上側突部62cの上端に設けられた取付部62dとを備えている。下側突部62bは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されている。また、取付部62dは、手摺7の下面に当接可能な形状に成形されている。なお、上接続部材62を手摺子61の上端部に固定するには、下側突部62bを手摺子61の内部に挿入したうえで、手摺子61の側面から、下側突部62bを貫通するタッピングネジB62を螺入すればよい。
【0047】
下接続部材63は、手摺子61の下端部と節点部材33との間に介設されるものであって、節点部材33の上面に当接する基部63aと、この基部63aの上面に突設された挿入部63cとを備えている。基部63aは、節点部材33と同一の外径を有する円板状に成形されており、手摺子61のビスホール61a,61a,…(図11の(b)参照)に対応する位置には、図11の(c)にも示すように、挿通孔63b,63b,…が形成されている。この挿通孔63bには、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するためのタッピングネジB63(図11の(a)参照)が挿通される。挿入部63cは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されており、かつ、その外周部には、手摺子61の溝部61bに係合する係合突部63dが形成されている。また、挿入部63cの中央部には、雌ネジ孔63eが形成されている。この雌ネジ孔63eには、節点部材33のボルト挿通孔33b(図7参照)に挿通された長ボルトB31(図11の(a)参照)が螺合される。なお、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するには、挿入部63cを手摺子61の内部に挿入したうえで、基部63aの挿通孔63bにタッピングネジB63を挿通し、その先端部を手摺子61のビスホール61aに螺入すればよい。
【0048】
<手摺>
図1に示す手摺7は、複数の手摺支柱6,6,…を縫うように配置されており、本実施形態では、螺旋状に曲げ加工が施されたアルミニウム合金製の押出形材からなる。なお、手摺7を手摺支柱6の上端部に固定するには、手摺7の下面に図11に示す上接続部材62の取付部62dを当接させたうえで、取付部62dの下面から図示せぬタッピングネジを螺入すればよい。
【0049】
<その他>
図1に示すように、本実施形態に係る階段においては、下側の支柱本体11の外周面と中間階の階段取付部(梁や壁など)F2との間に中央支承8が介設されており、下階段部K1の最上段のブラケット3と中間階の階段取付部F2との間に側部支承9が介設されている。また、上側の支柱本体11の外周面と上階の階段取付部(梁や壁など)F3との間に中央支承8が介設されており、上階段部K2の最上段のブラケット3と上階の階段取付部F3との間に側部支承9が介設されている。なお、以下では、階段取付部F2に取り付けられた中央支承8および側部支承9について説明をする。
【0050】
中央支承8は、図3に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられる支柱側部材8Aと、階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材8Bと、支柱側部材8Aと躯体側部材8Bとを連結する連結軸8Cとからなる。
【0051】
支柱側部材8Aは、支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形された支柱当接部81と、この支柱当接部81に突設された突出部82とを備えている。支柱当接部81には、突出部82の両側のそれぞれに、ボルト挿通孔81a,81aが形成されており、突出部82には、その中央部に貫通孔82aが形成されている。支柱当接部81のボルト挿通孔81aには、六角穴付きのボルトB81が挿通され、このボルトB81は、支柱本体11に形成された雌ネジ孔11gに螺合される。なお、支柱側部材8Aは、アルミニウム合金を鋳造して形成してもよいし、アルミニウム合金製の押出形材を加工して形成してもよい。
【0052】
躯体側部材8Bは、階段取付部F2に取り付けられる躯体当接部83と、この躯体当接部83の中央に突設された一対の保持部84,84とを備えている。躯体当接部83には、一対の保持部84,84の両側のそれぞれに、図示せぬボルト挿通孔が形成されており、このボルト挿通孔にボルトB82が挿通されている。また、一対の保持部84,84は、支柱側部材8Aの突出部82を挿入可能な間隔をもって対峙しており、各保持部84の中央部には、貫通孔84aが形成されている。なお、支柱側部材8Aは、アルミニウム合金を鋳造して形成してもよいし、アルミニウム合金製の押出形材を加工して形成してもよい。
【0053】
連結軸8Cは、支柱側部材8Aの突出部82に設けられた貫通孔82aおよび躯体側部材8Bの一対の保持部84,84に設けられた貫通孔84aに挿通されるボルト85と、このボルト85に螺合するナット86とで構成されている。なお、ボルト85の頭部およびナット86には、これを覆い隠すキャップ87が取り付けられる。
【0054】
なお、支柱側部材8Aと躯体側部材8Bとを連結するには、支柱側部材8Aの突出部82を躯体側部材8Bの一対の保持部84,84の間に挿入したうえで、支柱側部材8Aの突出部82の貫通孔82aおよび躯体側部材8Bの各保持部84の貫通孔84aにボルト85を挿通し、その軸部にナット86を螺合すればよい。
【0055】
側部支承9は、図12に示すように、節点部材33に取り付けられるブラケット側部材9Aと、階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材9Bと、ブラケット側部材9Aと躯体側部材9Bとを連結する連結軸9Cとからなる。なお、躯体側部材9Bおよび連結軸9Cの構成は、前記した中央支承8の躯体側部材8Bおよび連結軸8Cの構成と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0056】
ブラケット側部材9Aは、節点部材33から階段取付部F2に向かって張り出す板状の部材からなり、節点部材33の連結溝33a(図7参照)に接続される偏平状の接続端部91aと、躯体側部材9Bの一対の保持部94,94の間に挿入される挿入部91bとを備えている。接続端部91aの先端部分には、節点部材33の連結溝33a(図7参照)の凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、挿入部91bには、貫通孔91cが形成されており、この貫通孔91cに連結軸9Cを構成するボルト95が挿通される。
【0057】
<階段の構築方法>
次に、以上のように構成された階段の構築方法を詳細に説明する。まず、図3に示すように、下階の階段取付部F1(図1参照)に下側の支柱本体11を立設固定するとともに、中間階の階段取付部F2と支柱本体11との間に中央支承8を介設し、支柱本体11を階段取付部F2に固定する。なお、支柱本体11を下階の階段取付部F1に固定するには、支持部材13のボルト挿通孔13cに、その上側からボルトB13を挿通し、ボルトB13を階段取付部の適所に螺合すればよい。
【0058】
続いて、下側の支柱本体11の上端部の内空部11fに連結部材12の下半分を挿入するとともに、下側の支柱本体11の挿通孔11bに挿通したボルトB11の軸部を雌ネジ孔12aに螺合して下側の支柱本体11と連結部材12とを固定する。なお、連結部材12は、下側の支柱本体11を立設する前に、工場等において予め取り付けておいてもよいし、下側の支柱本体11を立設した後に取り付けてもよい。
【0059】
次に、上側の支柱本体11の下端部の内空部に連結部材12の上半分を挿入しつつ、上側の支柱本体11を下側の支柱本体11の上端面に立設し、上側の支柱本体11の挿通孔11bに挿通したボルトB11の軸部を雌ネジ孔12aに螺合して上側の支柱本体11と連結部材12とを固定する。また、図1に示すように、上階の階段取付部F3と上側の支柱本体11との間に中央支承8を介設し、支柱本体11を階段取付部F3に固定する。
【0060】
続いて、図13に示すように、四面体を呈する立体トラス構造体Tと踏板5とを含む段板ユニットU,U,…を支柱1(支柱本体11)の外周面に取り付けるとともに、下段の踏板5の後側を支持するブラケット3とその一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3(すなわち、同一の鉛直面内にあるブラケット3,3)を互いに連結する。同一の鉛直面内にあるブラケット3,3を連結するには、図11にも示すように、上下に隣り合う節点部材33,33の間に柱状部材35を介設するとともに、上側の節点部材33の上面に手摺支柱6を立設し、さらに下側の節点部材33の下面に上フレーム31等の抜け出しを防止するワッシャ36をあてがったうえで、ワッシャ36の下方から、下側の節点部材33のボルト挿通孔33b(図7参照)と柱状部材35の図示せぬボルト挿通孔と上側の節点部材33のボルト挿通孔33bとに長ボルトB31を挿通し、その先端を、手摺支柱6の挿入部63cに形成された雌ネジ孔63eに螺合すればよい。なお、長ボルトB31の頭部には、これを覆い隠すキャップ37が取り付けられる。
【0061】
なお、図13に示すように、下階段部K1の最下段の踏板5の前側を支持するブラケット3’は、その節点部材33’に接続された支持片34’を利用して下階の階段取付部F1に固定し、図12に示すように、下階段部K1の最上段の踏板5の後側を支持するブラケット3は、その節点部材33に接続されたブラケット側部材9Aと中間階の階段取付部F2に固定された躯体側部材9Bとを連結軸9Cを介して連結することにより中間階の階段取付部F2に固定する。また、図示は省略するが、上階段部K2(図1参照)の最上段の踏板5の後側を支持するブラケット3は、その節点部材33に接続されたブラケット側部材9Aと上階の階段取付部F3に固定された躯体側部材9Bとを連結軸9Cを介して連結することにより上階の階段取付部F3に固定する。
【0062】
そして、図1に示すように、手摺支柱6,6,…の上端に手摺7を取り付け、手摺子61の貫通孔61c(図11参照)に線状部材64を挿通すると、本実施形態に係る階段が完成する。
【0063】
なお、図13に示す段板ユニットUは、施工現場において組み立ててもよいが、工場等において予め組み立てておけば、施工現場での作業がより一層容易になる。また、段板ユニットUの取付順序は、下段から順に取り付けるのが好適であるが、これに限定されることはなく、上段から順に取り付けてもよいし、中段から取り付けてもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、立体トラス構造体Tと踏板5とを予め一体にしてなる段板ユニットUを支柱1の外周面に固定するという構築方法を例示したが、立体トラス構造体Tを支柱1の外周面に固定した後に、その上面に踏板5を固定するという構築方法を採用してもよいし、さらには、複数のベース2,2,…を支柱1の外周面に固定した後に、各ベース2に上フレーム31や下フレーム32を接続するという構築方法を採用してもよい。
【0065】
以上のように構成された本実施形態に係る支柱1の連結構造によると、図3に示すように、支柱1を構成する支柱本体11,11を、その内空部11fに挿入した連結部材12を介して連結しているので、連結部材12が露出することがなく、したがって、接合部分の外観がすっきりとしたものになる。また、図4の(a)に示すように、隣り合う支柱本体11,11の境界部分を跨ぐように連結部材12を配置しているので、この境界部分(接合部分)においても曲げモーメントやせん断力に対して高い抵抗力を発揮し、さらに、相対回転不能な状態で連結部材12を支柱本体11の内空部11f(図4の(b)参照)に挿入しているので、ねじりに対しても高い抵抗力を発揮する。
【0066】
また、本実施形態においては、図4の(b)および(c)に示すように、支柱本体11の挿通孔11bに挿通したボルトB11の軸部を連結部材12の雌ネジ孔12aに螺合することにより、支柱本体11と連結部材12とを固定したので、連結部材12の上下方向のずれを確実に防止することが可能となる。なお、ボルトB11に対してねじりモーメント等に起因するせん断力が作用するが、連結部材12を相対回転不能な状態で支柱本体11の内空部11fに挿入しているので、ボルトのみで支柱本体を接合する場合に比べて、ボルトB11が負担するせん断力の大きさは小さいものとなる。
【0067】
さらに、本実施形態のように、支柱本体11の複数の凹部11d,11d,…の角度ピッチαを、踏板5の中心角β(図10参照)と等しくしておけば、上下方向に隣り合う支柱本体11,11の接合位置(すなわち、支柱本体11と連結部材12の接合位置)を踏板5の中心角βと等しい角度ピッチで周方向に回転させることが可能となるので、支柱本体11,11の各々の周囲に配置した複数の踏板5,5,…を規則正しく配置することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態に係る階段によると、図2に示すように、立体トラス構造体Tによって踏板5を支持する構成としたので、看者に軽快な印象を与えることが可能となる。しかも、この階段によれば、踏板5の後側を支持するブラケット3を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3が配置されているので、すっきりとした外観で、かつ、調和の取れた安定感のある外観を実現することができる。なお、細長の部材(上フレーム31および下フレーム32)を組み合わせて構成した立体トラス構造体Tは、高い曲げ剛性を備えていることから、踏板5を安定的に支持することが可能である。
【0069】
さらに、本実施形態においては、図2に示すように、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とを、節点部材33を介して連結し、さらに、上下に隣り合う節点部材33,33を柱状部材35を介して互いに連結したので、一の踏板5に作用する荷重がその上下にある踏板5を支持するブラケット3に分散することになる。つまり、本実施形態に係る階段によれば、上下に隣り合う節点部材33,33を連結しない場合に比べて、上フレーム31等を軽構造にすることができる。
【0070】
しかも、本実施形態においては、上下に隣り合う節点部材33,33を、柱状部材35を介して互いに連結したので、蹴上げ高さごとにブラケット3を準備しておく必要がなくなる。つまり、一の階段の蹴上げ高さに合わせて製作したブラケット3を蹴上げ高さの異なる他の階段に使用する場合には、柱状部材35の高さ寸法のみを変更すればよく、ブラケット3については、蹴上げ高さの異なる階段に共通して使用することが可能となる。
【0071】
さらに、本実施形態に係る階段においては、図10に示すように、節点部材33に支持片34を接続するとともに、踏板5の先端部分を支持片34の上面に固定する構成としたので、例えば、上下に隣り合う節点部材33,33を連結した後であっても、踏板5を固定することが可能となり、あるいは、踏板5を取り外すことが可能となる。
【0072】
また、本実施形態に係る階段においては、ベース2と二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とで立体トラス構造体Tを形成するとともに、この立体トラス構造体Tと踏板5とを一体にした段板ユニットUを構成したので(図13参照)、組立作業の簡易化を図ることが可能となる。また、段板ユニットUを下段から順に取り付ける必要がないので、施工順序が限定され難くなり、さらに、階段の構築後においては、踏板一段分の段板ユニットUだけを取り外すことが可能となるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0073】
また、本実施形態に係る階段においては、図11に示すように、節点部材33の上面に手摺支柱6を立設し、上下に隣り合う節点部材33,33と手摺支柱6とを一直線上に配置したので、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0074】
なお、本実施形態においては、1階から3階に至る階段を例示したが、本発明に係る階段が設置される階数を限定する趣旨ではない。本発明に係る階段は、例えば、1階から中2階を介して2階へ至る階段、地下階から地上階に至る階段、屋上に至る階段などとして利用することができる。また、前記した階段の構成は、図示のものに限定されることはなく、適宜変更しても差し支えない。例えば、本実施形態においては、下階段部K1と上階段部K2の境界部分において、上下の支柱本体11,11を接合したが(図3参照)、これに限定されることはなく、他の位置で支柱本体11,11を接合しても差し支えない。また、本実施形態においては、二つの支柱本体11,11で支柱1を構成したが、三つ以上の支柱本体11で支柱1を構成しても差し支えない。
【0075】
さらに、本実施形態においては、支柱本体11の内周面に複数の凹部11d,11d,…を形成するとともに、連結部材12の外周面に凹部11dに係合する複数の凸部12b,12b,…を形成することで、支柱本体11と連結部材12の相対回転を不能にしたが(図4の(b)および(c)参照)、これに限定されることはなく、図示は省略するが、支柱本体11の内空部を断面n角形に成形するとともに、連結部材12の外形を断面n角形に成形することで、支柱本体11と連結部材12の相対回転を不能にしてもよい。この場合には、360°/nの値を、踏板5の中心角β(図10参照)と等しくするとよい。
【0076】
また、前記した本実施形態においては、同じ高さにあるブラケット3,3の基端同士を、ベース2を介して連結する構成を例示したが、例えば、図14に示す変形例のように、上下に隣り合うブラケット30,30の基端同士を、縦長のベース20を介して連結してもよい。つまり、上下に隣り合う二個一組のブラケット30,30とベース20とで平面トラス構造体T’を構成し、この平面トラス構造体T’を支柱1の外周面に固定する構成を採用してもよい。つまり、同一の鉛直面内にある二個一組のブラケット30,30の基端同士を、ベース20を介して連結してもよい。
【0077】
ここで、ベース20は、支柱本体11の外周面に取り付けられる縦長の部材からなり、その支柱本体11側との当接面が支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形されている。また、ベース20の支柱本体11とは反対側の面には、連結溝22aが上下方向に形成されている。なお、ベース20の連結溝22aの両側には、図示せぬボルト挿通孔が形成されていて、当該ボルト挿通孔に六角穴付きの皿ボルト(図示略)を挿通し、支柱本体11に形成された図示せぬ雌ネジ孔に螺合することでベース20が支柱本体11の外周面に固定される。
【0078】
また、図14に示す変形例においては、平面トラス構造体T’を構成する二個一組のブラケット30,30のうち、下側にあるブラケット30については、上フレーム31’の先端と下フレーム32の先端とが前記した節点部材33を介して連結されているが、上側にあるブラケット30については、上フレーム31’の先端と下フレーム32の先端とが節点部材33よりも長尺の節点部材33’(図9に示すものと同じもの)を介して連結されている。また、図14に示す変形例においては、上側にあるブラケット30の節点部材33’と下側にあるブラケット30の節点部材33とが直に連結されている。
【0079】
ここで、上フレーム31’の上部には、踏板5が載置される踏板支持部31bが形成されている。踏板支持部31bは、その上面が水平になっており、踏板5の下面に当接する。なお、上フレーム31’は、図15に示す断面のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものである。
【0080】
このように、上下に隣り合う二個一組のブラケット30,30を一体化して平面的なユニット(平面トラス構造体T’)を構成すると、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となり、さらには、ユニットが平面的であるが故に、複数のユニットを重ねた状態で運搬・保管することが可能となる。
【0081】
なお、前後に隣り合う節点部材33,33’を、連結フレーム4を介して互いに連結すると、前後に隣り合うブラケット30,30と連結フレーム4とで図2に示す立体トラス構造体Tと同様の立体トラス構造体が形成されることになるので、踏板5を安定的に支持することが可能である。
【0082】
なお、本実施形態に係る階段では、複数の手摺支柱6,6,…を縫うように複数の線状部材64が配置されているが、このほか、図示は省略するが、例えば、隣り合う手摺支柱6,6間にパネルを配置してもよい。なお、パネルについては、アクリルなどの透光性を有する板材のほか、木製の板材やアルミニウム合金製などの透光性を有さない板材で構成することができる。また、図示は省略するが、手摺支柱6,6の間に、一本以上の手摺支柱をさらに配置してもよい。
【0083】
<変形例>
前記した実施形態では、上階段部K2の支柱本体11と最上段のブラケット3とを階段取付部F3に直接的に固定する構成を例示したが、図16の(a)および(b)に示す本実施形態の変形例のように、踊場Lを介して間接的に上階の階段取付部F3に固定する構成であってもよい。
【0084】
踊場Lは、図16の(b)に示すように、トラス構造を基調とした支持構造体100と、この支持構造体100の上面に固定された一対の下地材200,200と、この下地材200,200の上面に固定された踊場用踏板300と、踊場手摺ユニット400とを備えている。
【0085】
図17の(a)は、図16の(b)のX2−X2断面図であるが、この図に示すように、支持構造体100は、支柱1と階段取付部F3との間に介設された内側トラス110と、最上段のブラケット3の先端部分(外縁部分)と階段取付部F2との間に介設された外側トラス120と、内側トラス110の前側と外側トラス120の前側とを連結する上下一対の前側連結フレーム131,131(図18の(a)参照)と、内側トラス110の後側と外側トラス120の後側とを連結する後側連結フレーム132と、内側トラス110の前側と外側トラス120の後側とを連結する第一斜めフレーム133と、この第一斜めフレーム133の下方において内側トラス110の後側と外側トラス120の前側とを連結する第二斜めフレーム134とを備えている。
【0086】
内側トラス110は、図16の(b)に示すように、水平に配置された第一フレーム111と、この第一フレーム111の下方において斜めに配置された第二フレーム112と、第一フレーム111の前端(支柱1側の端部)と第二フレーム112の前端とを連結する長尺の前側節点部材113と、第一フレーム111の後端(階段取付部F3側の端部)と第二フレーム112の後端とを連結する短尺の後側節点部材114と、を備えていて、側面視直角三角形状を呈している。
【0087】
ここで、第一フレーム111および第二フレーム112の構成は、それぞれ図6(a)に示す上フレーム31および下フレーム32と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、前側節点部材113の構成は、図9に示す節点部材33’と同様であるので、その詳細な説明は省略し、後側節点部材114の構成は、図7に示す節点部材33と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0088】
また、外側トラス120の構成は、内側トラス110と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0089】
前側連結フレーム131は、図17の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の前側節点部材123とを連結するものであって、水平に配置されている。上下一対の前側連結フレーム131,131のうち(図18の(a)参照)、上側の前側連結フレーム131は、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されており、また、図18の(a)に示すように、下側の前側連結フレーム131は、上側の前側連結フレーム131を含む鉛直面内に配置されている。なお、前側連結フレーム131の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0090】
後側連結フレーム132は、図18の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の後側節点部材124とを連結するものであって、水平に配置されている。図17の(a)に示すように、後側連結フレーム132は、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されている。なお、後側連結フレーム132の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0091】
第一斜めフレーム133は、図17の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の後側節点部材124とを連結するものであって、本実施形態では、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されている。なお、第一斜めフレーム133の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0092】
第二斜めフレーム134は、図17の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の前側節点部材123とを連結するものであって、本実施形態では、内側トラス110の第二フレーム112と外側トラス120の第二フレーム122とを含む平面内に配置されている。
【0093】
なお、支持構造体100の組立は、前記した立体トラス構造体Tの組立方法に準じて行えばよい。
【0094】
内側トラス110の前側と支柱1の外周面との間には、図17の(a)に示すように、第一内側支承140が介設されており、内側トラス110の後側と階段取付部F3との間には、第二内側支承150が介設されている。また、外側トラス120の前側とブラケット3との間には、第一外側支承160が介設されており、外側トラス120の後側と階段取付部F3との間には、第二外側支承170が介設されている。さらに、外側トラス120の前側および後側には、階段取付部F3に直交する第二の階段取付部F3’との間に、補助支承180,180が介設されている。
【0095】
第一内側支承140は、図19の(a)に示すように、支柱1の外周面に取り付けられる支柱側部材141と、内側トラス110の前側節点部材113に取り付けられるトラス側部材142と、支柱側部材141とトラス側部材142とを連結する連結軸143とからなる。トラス側部材142は、偏平状の接続端部142aと、この接続端部142aから張り出すU字状の二股部142bとを有している。接続端部142aは、前側節点部材113の連結溝(図7に示す連結溝33aと同様のもの)に嵌合可能であり、接続端部142aの先端部分には、連結溝の凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、二股部142bには、支柱側部材141の突出部141aが挿入される。なお、支柱側部材141および連結軸143の構成は、図3に示す支柱側部材8Aおよび連結軸8Cと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0096】
第二内側支承150は、図19の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114に取り付けられるトラス側部材151と、階段取付部F3に取り付けられる躯体側部材152と、トラス側部材151と躯体側部材152とを連結する連結軸153とからなる。なお、トラス側部材151、躯体側部材152および連結軸153の構成は、それぞれ、図12に示すブラケット側部材9A、躯体側部材9Bおよび連結軸9Cと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0097】
第一外側支承160は、図19の(c)に示すように、ブラケット3の節点部材33に取り付けられるブラケット側部材161と、外側トラス120の前側節点部材123に取り付けられるトラス側部材162と、ブラケット側部材161とトラス側部材162とを連結する連結軸163とからなる。なお、ブラケット側部材161および連結軸163の構成は、それぞれ図12に示すブラケット側部材9Aおよび連結軸9Cと同様であり、トラス側部材162の構成は、図19の(a)に示すトラス側部材142と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0098】
また、図17(a)に示す第二外側支承170および補助支承180の構成は、それぞれ第二内側支承150と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0099】
図16の(b)に示す下地材200は、本実施形態の変形例では、断面ハット状を呈する形材からなる。本実施形態の変形例においては、支持構造体100の上面に前後一対の下地材200,200が配置されているが、その前側(図16の(b)において支柱1側)の下地材200は、図18の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の前側節点部材123との間に架設されており、後側(図16の(b)において階段取付部F3側)の下地材200は、図18の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の後側節点部材124との間に架設されている。
【0100】
踊場用踏板300は、図16の(a)に示すように、平面視矩形形状を呈する板材からなり、下地材200(図16の(b)参照)のフランジ部から螺入されたビスによって下地材200の上面に固定される。
【0101】
踊場手摺ユニット400は、内側トラス110に沿って配置されており、踊場用踏板300を貫通して下地材200の凹溝内に立設される第一の手摺支柱6’,6’と、この第一の手摺支柱6’,6’の間において踊場用踏板300の上面に立設される複数の第二の手摺支柱6”,6”と、第一の手摺支柱6’および第二の手摺支柱6”の上端を繋ぐように配置された水平手摺7’とを備えている。
【0102】
ここで、第一の手摺支柱6’の構成は、図11に示す手摺支柱6と同様であるので、その詳細な説明は省略する。なお、第一の手摺支柱6’は、内側トラス110の前側節点部材113(あるいは後側節点部材114)の下側から挿通された図示せぬ長ボルト(図11に示す長ボルトB31と同様のもの)によって下地材200とともに前側節点部材113(あるいは後側節点部材114)に固定される。
【0103】
ちなみに、第二の手摺支柱6”は、踊場用踏板300の下側から螺入された図示せぬタッピングネジによって踊場用踏板300の上面に固定される。
【0104】
このように、階段の最上段と上階の階段取付部F3との間に踊場Lを介設すると、階段取付部F3(あるいは第二の階段取付部F3’)の形状や階段取付部F3と支柱1との位置関係などが建物ごとに異なる場合であっても、柔軟に対応することが可能となる。しかも、この踊場Lによれば、その支持構造体100がトラス構造を基調としているため、同じくトラス構造を基調とした本実施形態に係る階段と調和し、すっきりとした外観を維持することが可能となる。加えて、この踊場Lは、その支持構造体100がトラス構造を基調としているが故に、軽量かつ強固である。
【0105】
なお、図16の(b)に示すように、この変形例に係る踊場Lにおいては、踊場用踏板300を、その上面の高さ位置が階段の最上段の踏板5よりも上方でかつ上階の床面よりも下方になるように設置したが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、階高や階段取付部F3との取り合いによっては、踊場用踏板300の上面が上階段部K2(図1参照)の最上段の踏板5の上面と同じ高さになるように設置してもよいし、あるいは、上階の床面と同じ高さになるように設置してもよい。
【0106】
また、図示は省略するが、下階段部K1の支柱本体11と最上段のブラケット3とを踊場を介して間接的に中間階の階段取付部F2に固定しても勿論差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本実施形態に係る階段支柱の連結構造を示す斜視図である。
【図2】踏板を支持する構造体を説明するための拡大斜視図である。
【図3】階段支柱の構成を説明するための分解斜視図である。
【図4】(a)は階段支柱の構成を説明するための側断面図、(b)は支柱本体を説明するための図であって(a)のZ1−Z1線断面図、(c)は連結部材を説明するための図であって(a)のZ1−Z1線断面図である。
【図5】(a)はベースを示す斜視図、(b)はベースの上面図である。
【図6】(a)はブラケットを示す正面図、(b)は上フレームと節点部材との接続方法を説明するための斜視図、(c)は上フレームとベースとの接続方法を説明するための斜視図である。
【図7】節点部材を示す斜視図である。
【図8】支持片を示す斜視図である。
【図9】最下段のブラケットを示す拡大斜視図である。
【図10】踏板の取付方法を説明するための斜視図である。
【図11】(a)は手摺支柱の構成を説明するための分解斜視図、(b)は手摺子の拡大斜視図、(c)は下接続部材の拡大斜視図である。
【図12】側部支承の構成を説明するための分解斜視図である。
【図13】階段の構築方法を説明するための分解斜視図である。
【図14】踏板を支持する構造体の変形例を説明するための分解斜視図である。
【図15】上フレームの変形例を示す断面図である。
【図16】(a)は、本実施形態に係る階段の変形例を示す平面図、(b)は(a)のX1−X1線断面図である。
【図17】(a)は図16の(b)のX2−X2線断面図、(b)は図16の(b)のX3−X3線断面図である。
【図18】(a)は図16の(b)のX4−X4線断面図、(b)は図16の(b)のX5−X5線断面図である。
【図19】(a)は図17の(a)のY1部分の拡大図、(b)は図17の(a)のY2部分の拡大図、(c)は図17の(a)のY3部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0108】
1 支柱(階段支柱)
11 支柱本体
11b 挿通孔
11d 凹部
12 連結部材
12a 雌ネジ孔
12b 凸部
2 ベース
3 ブラケット
4 連結フレーム
5 踏板
6 手摺支柱
7 手摺
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段支柱の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の踏板を螺旋状に配置してなる階段は、特許文献1や特許文献2などに開示されている。
【0003】
これらに開示された階段は、階段支柱から平面視V字状に張り出す二つのブラケットで各踏板を支持する形式の階段であるが、細長のフレームを利用して各ブラケットを構成したことで、看者に軽快な印象を与えることに成功している。
【0004】
ところで、このような階段を階高が大きいフロア間に設置する場合や複数階に亘って設置する場合には、特許文献3に開示されているように、複数の支柱本体を上下方向に連設して長尺の階段支柱を形成する必要がある。なお、特許文献3の階段支柱の連結構造においては、支柱本体の端部に設けたフランジ同士を突き合わせるとともに、フランジ同士をボルト・ナットで締結することにより、上下方向に隣り合う支柱本体同士を連結している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−76281号公報
【特許文献2】特開2004−76284号公報
【特許文献3】特開平9−256583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献3の階段支柱の連結構造では、支柱本体のフランジが露出したままになるので、看者に無骨な印象を与えてしまう虞がある。さらに、特許文献3の階段支柱の連結構造においては、接合部分に作用する引張力やせん断力、さらには曲げモーメントやねじりモーメントなどに対してフランジ同士を締結するボルト・ナットだけで抵抗する必要があることから、太径のボルト・ナットを使用するか、あるいは、多数のボルト・ナットを使用する必要があるが、このようにすると、接合部分の美観が損なわれる虞がある。また、支柱本体にフランジを設けるには、溶接作業等を必要とすることから、その製造に手間と時間とを要するという問題もある。
【0007】
このような観点から、本発明は、複数の支柱本体を連設してなる階段支柱の連結構造であって、支柱本体同士の接合部分の外観がすっきりとしている階段支柱の連結構造を提供することを課題とし、さらには、製造が容易な支柱本体を備えた階段支柱の連結構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決する本発明は、螺旋状に配置された複数の踏板を支持する階段支柱の連結構造であって、上下方向に連設された複数の支柱本体と、隣り合う前記支柱本体同士を連結する連結部材とを備えており、前記支柱本体は、管状に成形されており、前記連結部材は、隣り合う前記支柱本体の各々の内空部に相対回転不能な状態で挿入されていることを特徴とする。
【0009】
この階段支柱の連結構造においては、階段支柱を構成する支柱本体同士を、その内空部に挿入した連結部材を介して連結しているので、連結部材が露出することがなく、したがって、接合部分の外観がすっきりとしたものになる。また、この階段支柱の連結構造は、隣り合う支柱本体の境界部分を跨ぐように連結部材を配置しているので、境界部分(接合部分)においても曲げモーメントやせん断力に対して高い抵抗力を発揮し、さらに、相対回転不能な状態で連結部材を支柱本体の内空部に挿入しているので、ねじりに対しても高い抵抗力を発揮する。
【0010】
支柱本体と連結部材とを相対回転不能とするには、例えば、前記支柱本体の内周面に、周方向に等しい間隔をあけて複数の凹部を配置するとともに、前記連結部材の外周面に、周方向に等しい間隔をあけて前記凹部に係合する複数の凸部を配置すればよい。
【0011】
なお、前記支柱本体の前記複数の凹部の角度ピッチを、前記踏板の中心角と等しくしておけば、上下方向に隣り合う支柱本体同士の接合位置を踏板の中心角と等しい角度ピッチで周方向に回転させることができるので、複数の支柱本体の各々の周囲に踏板を配置した場合であっても、複数の踏板を規則正しく配置することが可能となる。
【0012】
本発明においては、前記支柱本体に前記内空部に連通する挿通孔を形成するとともに、前記連結部材の前記挿通孔に対応する位置に雌ネジ孔を形成し、前記挿通孔に挿通したボルトの軸部を前記雌ネジ孔に螺合することにより、前記支柱本体と前記連結部材とを固定してもよい。このようにすると、連結部材の上下方向のずれを確実に防止することが可能となる。なお、このボルトに対してねじりモーメント等に起因するせん断力が作用するが、連結部材を相対回転不能な状態で支柱本体の内空部に挿入しているので、ボルトのみで支柱本体を接合する場合に比べて、ボルトが負担するせん断力の大きさは小さいものとなる。
【0013】
なお、前記支柱本体および前記連結部材をアルミニウム合金製の押出形材で構成すれば、その製造が容易になるとともに、押出成形する際に凹部や凸部を形成することができるので、好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る階段支柱の連結構造によると、支柱本体を連結する連結部材が外部に露出することがないので、支柱本体同士の接合部分の外観がすっきりとしたものになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、本実施形態における「前後」は、階段の上り方向を向いたときを基準とする。
【0016】
<全体構成>
本実施形態に係る階段支柱の連結構造を具備する階段は、図1に示すように、階段支柱1の周囲に複数の踏板5,5,…を螺旋状に配置してなる階段であって、複数階に亘って配置されている。なお、以下の説明においては、下階(1階)の階段取付部F1から中間階(2階)の階段取付部F2に至る部分を下階段部K1といい、中間階の階段取付部F2から上階(3階)の階段取付部F3に至る部分を上階段部K2ということがある。
【0017】
本実施形態においては、階段支柱1の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板5,5,…のそれぞれが、階段支柱1から平面視(上面視)V字状に張り出した一対のブラケット3,3(図2参照)によって支持されている。また、本実施形態においては、複数の踏板5,5,…の先端部分(外縁部分)を取り巻くように複数の手摺支柱6,6,…が立設されており、これらの上端を繋ぐように手摺7が配置されている。
【0018】
なお、図2に示すように、各ブラケット3は、正面視横V字状を呈しており、かつ、同一の高さに位置する一対のブラケット3,3は、その基端同士が階段支柱1の外周面に固定されたベース2を介して互いに連結されており、その先端同士が連結フレーム4を介して互いに連結されている。つまり、本実施形態においては、ベース2と前後に隣り合う二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とによって四面体を呈する立体トラス構造体Tが形成されており、この立体トラス構造体Tに踏板5が支持されている、と言える。
【0019】
<階段支柱>
階段支柱1(以下、「支柱1」と称する。)は、図3に示すように、上下方向(鉛直方向)に連設された複数(本実施形態では二つ)の支柱本体11,11と、隣り合う支柱本体11,11を連結する連結部材12と、下側の支柱本体11(最下段の支柱本体11)の下端と下階の階段取付部F1(図1参照)との間に介設される支持部材13とを備えている。
【0020】
支柱本体11は、本実施形態では、管状に成形されたアルミニウム合金製の押出形材からなる。支柱本体11の外周面であってベース2が固定される領域Aには、複数(本実施形態では三つ)の雌ネジ孔11a,11a,11aが形成されている。雌ネジ孔11aには、ベース2を固定するための六角穴付きのボルトB21の軸部が螺合される。
【0021】
下側の支柱本体11の上端部および上側の支柱本体11の下端部には、それぞれ、内空部11fに連通する挿通孔11b,11b,…が形成されている。挿通孔11bには、連結部材12を固定するための六角穴付きのボルトB11の軸部が挿通される。
【0022】
上下方向に連設された支柱本体11,11のうち、最下段の支柱本体11の下面には、複数の有底の雌ネジ穴11c,11c,…が形成されている。雌ネジ穴11cには、支持部材13を固定するための六角穴付きのボルトB12が螺合される。なお、図示は省略するが、支柱本体11の外形を多角形としても差し支えない。
【0023】
図4の(b)に示すように、挿通孔11bは、支柱本体11の内周面に形成された凹部11dに開口している。挿通孔11bは、その外側の部位が拡径されていて、段付き円筒状を呈している。挿通孔11bの拡径された部位には、ボルトB11の頭部が収容される。
【0024】
支柱本体11の内周面には、複数の凹部11d,11d,…が周方向に等しい間隔をあけて配置されている。凹部11dは、支柱本体11の全長に亘って互いに平行に設けられた突条11e,11eに挟まれた空間であり、支柱本体11を押出成形する際に形成される。複数の凹部11d,11d,…の角度ピッチαは、踏板5の中心角β(図10参照)と等しくなっている。
【0025】
図3に示す連結部材12は、上下方向に隣り合う支柱本体11,11の境界部分を跨ぐように配置されるものであって(図4の(a)参照)、隣り合う支柱本体11,11の各々の内空部11fに相対回転不能な状態で挿入される。連結部材12は、管状に成形されたアルミニウム合金製の押出形材からなり、その上下方向の中央部分には、下側の支柱本体11の挿通孔11b,11b,…および上側の支柱本体11の挿通孔11b,11b,…に対応する位置に、雌ネジ孔12a,12a,…が形成されている。そして、挿通孔11bに挿通したボルトB11の軸部を雌ネジ孔12aに螺合することにより、支柱本体11と連結部材12とが固定される。なお、本実施形態においては、雌ネジ孔12aは、連結部材12の外周面に形成された後記する凸部12bに形成されている。
【0026】
図4の(c)に示すように、連結部材12の外周面には、支柱本体11の凹部11dに係合する複数の凸部12b,12b,…が周方向に等しい間隔をあけて配置されている。凸部12bは、支柱本体11の凹部11dに丁度嵌まり込むような形状に成形されていて、複数の凸部12b,12b,…の角度ピッチも、踏板5の中心角β(図10参照)と等しくなっている。また、周方向に隣り合う凸部12b,12bの間には、支柱本体11の突条11eに係合する溝条12cが形成されている。凸部12bおよび溝条12cは、連結部材12の全長に亘って設けられていて、連結部材12を押出成形する際に形成される。
【0027】
なお、本実施形態においては、ボルトB11を使用して支柱本体11と連結部材12とを固定したが、これに限定されることはなく、溶接や接着等の方法により固定しても差し支えない。
【0028】
図3に示す支持部材13は、支柱本体11よりも径の大きいアルミニウム合金製の円板からなり、ボルトB12によって支柱本体11の下端に固定される。支持部材13の上面には、支柱本体11の下端部分が嵌め込まれる円形の嵌合凹部13aが形成されており、この嵌合凹部13aには、支柱本体11の複数の雌ネジ穴11c,11c,…に対応する複数のボルト挿通孔13b,13b,…が形成されている。このボルト挿通孔13bには、ボルトB12が支持部材13の下面側から挿通される。また、嵌合凹部13aの外周側にも、複数のボルト挿通孔13c,13c,…が形成されている。このボルト挿通孔13cには、支持部材13を下階の階段取付部F1(図1参照)に固定するためのボルトB13が挿通される。
【0029】
<ベース>
ベース2は、図5の(a)に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられるブロック状の部材からなり、図5の(b)にも示すように、支柱本体11との当接面21が支柱本体11の外周面の形状に合わせて円筒面に成形されている。
【0030】
ベース2には、当接面21とは反対側の面22に、一対の連結溝22a,22aが上下方向に形成されている。なお、連結溝22aは、支柱本体11の半径方向に沿って形成されており、連結溝22aの内壁面には、凹凸が形成されている。また、一対の連結溝22a,22aの間には、支柱本体11の領域A(図3参照)に形成された雌ネジ孔11a,11a,11a(図3参照)に対応する複数(本実施形態では三つ)の段付きのボルト挿通孔22b,22b,22bが形成されている。
【0031】
ベース2の上面23には、その中央部に有底の雌ネジ穴23aが形成されている。この雌ネジ穴23aには、踏板5の基端部を固定するための六角穴付きの皿ボルトB51(図10参照)が螺合される。
【0032】
<ブラケット>
ブラケット3は、図6の(a)に示すように、支柱1の外周面から水平に張り出す上フレーム31と、この上フレーム31の下方において支柱1の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレーム32と、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とを連結する節点部材33とを備えていて、正面視横V字状を呈している。なお、本実施形態に係るブラケット3は、図2に示すように、節点部材33に接続された支持片34を備えている。
【0033】
上フレーム31は、図6の(a)に示すように、その基端部がベース2の上部に接続され、ベース2を介して支柱1の外周面に固定される。上フレーム31は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部31aを有している。接続端部31aは、中空押出形材の端部をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。接続端部31aは、図6の(b)および(c)に示すように、ベース2の連結溝22a(図6の(c)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図6の(b)参照)に嵌合可能であり、接続端部31aの先端部分には、ベース2の連結溝22aの凹凸あるいは後記する節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が上フレーム31の軸線に直交する方向(図6の(a)において上下方向)に沿って形成されている。このようにしておくと、上フレーム31に大きな軸力(引張力)が作用しても、これがベース2や節点部材33から引き抜かれることがない。なお、接続端部31aがベース2および節点部材33の軸線方向に長い偏平状に形成されていることから、上フレーム31と節点部材33との接続構造は、ベース2および節点部材33の軸線方向(つまり、上下方向)の外力に対する強度が高い。
【0034】
下フレーム32は、図6の(a)に示すように、その基端部がベース2の下部に接続され、ベース2を介して支柱1の外周面に固定される。下フレーム32は、アルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部32aを有している。接続端部32aは、ベース2の連結溝22a(図6の(c)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図6の(b)参照)に嵌合可能であり、その先端部分には、上フレーム31の凹凸と同様の凹凸が形成されている。なお、接続端部32aの凹凸は、下フレーム32の軸線に対して角度αをなす方向に沿って形成されている。これにより、下フレーム32は、その軸線がベース2および節点部材33の軸線に対して角度αだけ傾斜した状態でベース2および節点部材33に接続されることになる。
【0035】
節点部材33は、図7に示すように、円柱形状を呈しており、その外周面には、その中心線方向に沿って複数(本実施形態では三つ)の連結溝33a,33a,…が形成されている。連結溝33aの内壁面には、その中心線方向(図7では上下方向)に沿って凹凸が形成されている。また、節点部材33の中心線上には、ボルト挿通孔33bが形成されている。節点部材33は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝33aおよびボルト挿通孔33bは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。なお、節点部材33は、鋳造により製作してもよい。また、節点部材33の形状も図示のものに限定されることはなく、例えば、多角柱形状にしても差し支えない。
【0036】
図2に示す支持片34は、踏板5の先端部分(外縁部分)を支持するものであって、節点部材33から踏板5の下面に沿って張り出している。支持片34は、図8に示すように、偏平状の接続端部34aと、この接続端部34aから張り出す張出部34bとを有している。接続端部34aは、節点部材33の連結溝33a(図7参照)に嵌合可能であり、接続端部34aの先端部分には、節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、張出部34bには、これを上下方向に貫通する雌ネジ孔34cが形成されている。この雌ネジ孔34cには、踏板5の先端部分を固定するための六角穴付きの皿ボルトB52(図10参照)が螺合される。
【0037】
ここで、上下に隣り合うブラケット3,3の関係を、図2を参照して詳細に説明する。この図に示すように、本実施形態においては、踏板5の後側を支持するブラケット3を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3が配置されており、かつ、上下に隣り合う節点部材33,33同士が柱状部材35を介して互いに連結されている。なお、柱状部材35は、節点部材33と同一の直径を有するアルミニウム合金製の円柱であり、その中心には、図示せぬボルト挿通孔が形成されている。
【0038】
このように、本実施形態においては、隣接するブラケット3,3は、その外周部において互いに連結されており、一段下のブラケット3がその上段のブラケット3を支持している。なお、最下段の踏板5の前側を支持するブラケット3’については、図9に示すように、その先端部分が下階の階段取付部F1に支持されている。ブラケット3’においては、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端を連結する節点部材33’の長さが、その他のブラケット3の節点部材33(図7参照)よりも大きくなっていて、その下端部に接続された一対の支持片34’,34’を介して下階の階段取付部F1に固定されている。なお、支持片34’は、踏板5を支持する支持片34(図8参照)の上下を逆さにしたものなので、その詳細な説明を省略する。また、節点部材33’と下階の階段取付部F1との間には、ワッシャ36’が介設されている。
【0039】
<連結フレーム>
図2に示すように、連結フレーム4は、前後に隣り合う節点部材33,33を連結するものであって、本実施形態では水平に配置されており、同一の高さに位置する節点部材33,33を互いに連結している。連結フレーム4は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その端部に偏平状の接続端部4aを有している。接続端部4aは、節点部材33の連結溝33a(図6の(b)参照)に嵌合可能であり、接続端部4aの先端部分には、上フレーム31(図6の(b)参照)と同様の凹凸が形成されている。
【0040】
<立体トラス構造体の組立方法>
ここで、図2を参照してベース2と二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とで構成される立体トラス構造体Tの組立方法を説明する。立体トラス構造体Tを組み立てるには、ベース2の二つの連結溝22a,22a(図5の(a)参照)のそれぞれに、上フレーム31の一端および下フレーム32の一端を接続するとともに、上フレーム31の他端および下フレームの他端を節点部材33に接続して二つのブラケット3,3を形成したうえで、前後に隣り合う節点部材33,33を連結フレーム4で連結し、さらに、節点部材33に支持片34を接続すればよい。なお、上フレーム31をベース2に接続するには、図6の(c)に示すように、ベース2の上面側(あるいは下面側)から、上フレーム31の接続端部31aに形成された凹凸をベース2の連結溝22aに挿入すればよく、溶接や特別な工具は必要ない。上フレーム31の節点部材33への接続方法、下フレーム32のベース2および節点部材33への接続方法および連結フレーム4の節点部材33への接続方法も同様である。
【0041】
なお、ベース2の下面には、上フレーム31および下フレーム32の下方向への抜け出しを防止する板状の規制部材24(図5の(a)参照)が固着される。また、ベース2の連結溝22aには、上フレーム31の接続端部31aと下フレーム32の接続端部32aとの間に、連結溝22aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入され、節点部材33の連結溝33aには、支持片34の接続端部34a(図8参照)の下側および連結フレーム4の接続端部4a(図2参照)の下側に、連結溝33aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入される。なお、連結溝22aと接続端部31a等との間に生じる微細な隙間を埋めるべく、この隙間に接着剤などを流し込んでもよい。
【0042】
<踏板>
踏板5は、図10に示すように、略扇形状を呈する板材からなり、その基端部分(支柱1側の端部)がベース2の上面に固定され、先端部分(外縁部分)が支持片34の上面に固定される。踏板5の基端側の縁辺5aは、支柱1の外周面に合わせて円弧状に成形されており、支柱1の外周面に当接している。また、踏板5の先端側の縁辺5bも円弧状に成形されている。なお、踏板5の先端側の角部5c,5cは、柱状部材35の外形に合わせて切り欠かれている。なお、踏板5は、例えば、アルミニウム合金製としてもよいし、木製やガラス製としても差し支えない。
【0043】
なお、踏板5の基端部分をベース2の上面に固定すると、踏板5の基端部分をしっかりと固定することが可能となる。また、踏板5の基端側の縁辺5aを、支柱1の外周面に合わせて円弧状に成形すると、踏板5の縁辺5aが支柱1の外周面にぴったりと当接することになるので、すっきりとした外観となる。
【0044】
<手摺支柱>
手摺支柱6は、図11の(a)に示すように、手摺子61と、この手摺子61の上端に取り付けられる上接続部材62と、手摺子61の下端に取り付けられる下接続部材63とを備えていて、本実施形態では、節点部材33の上面に立設される。
【0045】
手摺子61は、本実施形態では、略矩形の外形を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。手摺子61の内部には、図11の(b)にも示すように、四つのビスホール61a,61a,…と、四つの溝部61b,61b,…とが形成されている。また、手摺子61の側面には、複数の貫通孔61c,61c,…が形成されている。この貫通孔61cには、ワイヤー等の線状部材64(図1参照)が挿通される。なお、図示は省略するが、支柱本体11の外形を円形としても差し支えない。
【0046】
上接続部材62は、図11の(a)に示すように、手摺子61の上端部と手摺7との間に介設されるものであって、手摺子61の上端面に当接するフランジ部62aと、このフランジ部62aの下面に突設された下側突部62bと、フランジ部62aの上面に斜めに突設された上側突部62cと、上側突部62cの上端に設けられた取付部62dとを備えている。下側突部62bは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されている。また、取付部62dは、手摺7の下面に当接可能な形状に成形されている。なお、上接続部材62を手摺子61の上端部に固定するには、下側突部62bを手摺子61の内部に挿入したうえで、手摺子61の側面から、下側突部62bを貫通するタッピングネジB62を螺入すればよい。
【0047】
下接続部材63は、手摺子61の下端部と節点部材33との間に介設されるものであって、節点部材33の上面に当接する基部63aと、この基部63aの上面に突設された挿入部63cとを備えている。基部63aは、節点部材33と同一の外径を有する円板状に成形されており、手摺子61のビスホール61a,61a,…(図11の(b)参照)に対応する位置には、図11の(c)にも示すように、挿通孔63b,63b,…が形成されている。この挿通孔63bには、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するためのタッピングネジB63(図11の(a)参照)が挿通される。挿入部63cは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されており、かつ、その外周部には、手摺子61の溝部61bに係合する係合突部63dが形成されている。また、挿入部63cの中央部には、雌ネジ孔63eが形成されている。この雌ネジ孔63eには、節点部材33のボルト挿通孔33b(図7参照)に挿通された長ボルトB31(図11の(a)参照)が螺合される。なお、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するには、挿入部63cを手摺子61の内部に挿入したうえで、基部63aの挿通孔63bにタッピングネジB63を挿通し、その先端部を手摺子61のビスホール61aに螺入すればよい。
【0048】
<手摺>
図1に示す手摺7は、複数の手摺支柱6,6,…を縫うように配置されており、本実施形態では、螺旋状に曲げ加工が施されたアルミニウム合金製の押出形材からなる。なお、手摺7を手摺支柱6の上端部に固定するには、手摺7の下面に図11に示す上接続部材62の取付部62dを当接させたうえで、取付部62dの下面から図示せぬタッピングネジを螺入すればよい。
【0049】
<その他>
図1に示すように、本実施形態に係る階段においては、下側の支柱本体11の外周面と中間階の階段取付部(梁や壁など)F2との間に中央支承8が介設されており、下階段部K1の最上段のブラケット3と中間階の階段取付部F2との間に側部支承9が介設されている。また、上側の支柱本体11の外周面と上階の階段取付部(梁や壁など)F3との間に中央支承8が介設されており、上階段部K2の最上段のブラケット3と上階の階段取付部F3との間に側部支承9が介設されている。なお、以下では、階段取付部F2に取り付けられた中央支承8および側部支承9について説明をする。
【0050】
中央支承8は、図3に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられる支柱側部材8Aと、階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材8Bと、支柱側部材8Aと躯体側部材8Bとを連結する連結軸8Cとからなる。
【0051】
支柱側部材8Aは、支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形された支柱当接部81と、この支柱当接部81に突設された突出部82とを備えている。支柱当接部81には、突出部82の両側のそれぞれに、ボルト挿通孔81a,81aが形成されており、突出部82には、その中央部に貫通孔82aが形成されている。支柱当接部81のボルト挿通孔81aには、六角穴付きのボルトB81が挿通され、このボルトB81は、支柱本体11に形成された雌ネジ孔11gに螺合される。なお、支柱側部材8Aは、アルミニウム合金を鋳造して形成してもよいし、アルミニウム合金製の押出形材を加工して形成してもよい。
【0052】
躯体側部材8Bは、階段取付部F2に取り付けられる躯体当接部83と、この躯体当接部83の中央に突設された一対の保持部84,84とを備えている。躯体当接部83には、一対の保持部84,84の両側のそれぞれに、図示せぬボルト挿通孔が形成されており、このボルト挿通孔にボルトB82が挿通されている。また、一対の保持部84,84は、支柱側部材8Aの突出部82を挿入可能な間隔をもって対峙しており、各保持部84の中央部には、貫通孔84aが形成されている。なお、支柱側部材8Aは、アルミニウム合金を鋳造して形成してもよいし、アルミニウム合金製の押出形材を加工して形成してもよい。
【0053】
連結軸8Cは、支柱側部材8Aの突出部82に設けられた貫通孔82aおよび躯体側部材8Bの一対の保持部84,84に設けられた貫通孔84aに挿通されるボルト85と、このボルト85に螺合するナット86とで構成されている。なお、ボルト85の頭部およびナット86には、これを覆い隠すキャップ87が取り付けられる。
【0054】
なお、支柱側部材8Aと躯体側部材8Bとを連結するには、支柱側部材8Aの突出部82を躯体側部材8Bの一対の保持部84,84の間に挿入したうえで、支柱側部材8Aの突出部82の貫通孔82aおよび躯体側部材8Bの各保持部84の貫通孔84aにボルト85を挿通し、その軸部にナット86を螺合すればよい。
【0055】
側部支承9は、図12に示すように、節点部材33に取り付けられるブラケット側部材9Aと、階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材9Bと、ブラケット側部材9Aと躯体側部材9Bとを連結する連結軸9Cとからなる。なお、躯体側部材9Bおよび連結軸9Cの構成は、前記した中央支承8の躯体側部材8Bおよび連結軸8Cの構成と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0056】
ブラケット側部材9Aは、節点部材33から階段取付部F2に向かって張り出す板状の部材からなり、節点部材33の連結溝33a(図7参照)に接続される偏平状の接続端部91aと、躯体側部材9Bの一対の保持部94,94の間に挿入される挿入部91bとを備えている。接続端部91aの先端部分には、節点部材33の連結溝33a(図7参照)の凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、挿入部91bには、貫通孔91cが形成されており、この貫通孔91cに連結軸9Cを構成するボルト95が挿通される。
【0057】
<階段の構築方法>
次に、以上のように構成された階段の構築方法を詳細に説明する。まず、図3に示すように、下階の階段取付部F1(図1参照)に下側の支柱本体11を立設固定するとともに、中間階の階段取付部F2と支柱本体11との間に中央支承8を介設し、支柱本体11を階段取付部F2に固定する。なお、支柱本体11を下階の階段取付部F1に固定するには、支持部材13のボルト挿通孔13cに、その上側からボルトB13を挿通し、ボルトB13を階段取付部の適所に螺合すればよい。
【0058】
続いて、下側の支柱本体11の上端部の内空部11fに連結部材12の下半分を挿入するとともに、下側の支柱本体11の挿通孔11bに挿通したボルトB11の軸部を雌ネジ孔12aに螺合して下側の支柱本体11と連結部材12とを固定する。なお、連結部材12は、下側の支柱本体11を立設する前に、工場等において予め取り付けておいてもよいし、下側の支柱本体11を立設した後に取り付けてもよい。
【0059】
次に、上側の支柱本体11の下端部の内空部に連結部材12の上半分を挿入しつつ、上側の支柱本体11を下側の支柱本体11の上端面に立設し、上側の支柱本体11の挿通孔11bに挿通したボルトB11の軸部を雌ネジ孔12aに螺合して上側の支柱本体11と連結部材12とを固定する。また、図1に示すように、上階の階段取付部F3と上側の支柱本体11との間に中央支承8を介設し、支柱本体11を階段取付部F3に固定する。
【0060】
続いて、図13に示すように、四面体を呈する立体トラス構造体Tと踏板5とを含む段板ユニットU,U,…を支柱1(支柱本体11)の外周面に取り付けるとともに、下段の踏板5の後側を支持するブラケット3とその一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3(すなわち、同一の鉛直面内にあるブラケット3,3)を互いに連結する。同一の鉛直面内にあるブラケット3,3を連結するには、図11にも示すように、上下に隣り合う節点部材33,33の間に柱状部材35を介設するとともに、上側の節点部材33の上面に手摺支柱6を立設し、さらに下側の節点部材33の下面に上フレーム31等の抜け出しを防止するワッシャ36をあてがったうえで、ワッシャ36の下方から、下側の節点部材33のボルト挿通孔33b(図7参照)と柱状部材35の図示せぬボルト挿通孔と上側の節点部材33のボルト挿通孔33bとに長ボルトB31を挿通し、その先端を、手摺支柱6の挿入部63cに形成された雌ネジ孔63eに螺合すればよい。なお、長ボルトB31の頭部には、これを覆い隠すキャップ37が取り付けられる。
【0061】
なお、図13に示すように、下階段部K1の最下段の踏板5の前側を支持するブラケット3’は、その節点部材33’に接続された支持片34’を利用して下階の階段取付部F1に固定し、図12に示すように、下階段部K1の最上段の踏板5の後側を支持するブラケット3は、その節点部材33に接続されたブラケット側部材9Aと中間階の階段取付部F2に固定された躯体側部材9Bとを連結軸9Cを介して連結することにより中間階の階段取付部F2に固定する。また、図示は省略するが、上階段部K2(図1参照)の最上段の踏板5の後側を支持するブラケット3は、その節点部材33に接続されたブラケット側部材9Aと上階の階段取付部F3に固定された躯体側部材9Bとを連結軸9Cを介して連結することにより上階の階段取付部F3に固定する。
【0062】
そして、図1に示すように、手摺支柱6,6,…の上端に手摺7を取り付け、手摺子61の貫通孔61c(図11参照)に線状部材64を挿通すると、本実施形態に係る階段が完成する。
【0063】
なお、図13に示す段板ユニットUは、施工現場において組み立ててもよいが、工場等において予め組み立てておけば、施工現場での作業がより一層容易になる。また、段板ユニットUの取付順序は、下段から順に取り付けるのが好適であるが、これに限定されることはなく、上段から順に取り付けてもよいし、中段から取り付けてもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、立体トラス構造体Tと踏板5とを予め一体にしてなる段板ユニットUを支柱1の外周面に固定するという構築方法を例示したが、立体トラス構造体Tを支柱1の外周面に固定した後に、その上面に踏板5を固定するという構築方法を採用してもよいし、さらには、複数のベース2,2,…を支柱1の外周面に固定した後に、各ベース2に上フレーム31や下フレーム32を接続するという構築方法を採用してもよい。
【0065】
以上のように構成された本実施形態に係る支柱1の連結構造によると、図3に示すように、支柱1を構成する支柱本体11,11を、その内空部11fに挿入した連結部材12を介して連結しているので、連結部材12が露出することがなく、したがって、接合部分の外観がすっきりとしたものになる。また、図4の(a)に示すように、隣り合う支柱本体11,11の境界部分を跨ぐように連結部材12を配置しているので、この境界部分(接合部分)においても曲げモーメントやせん断力に対して高い抵抗力を発揮し、さらに、相対回転不能な状態で連結部材12を支柱本体11の内空部11f(図4の(b)参照)に挿入しているので、ねじりに対しても高い抵抗力を発揮する。
【0066】
また、本実施形態においては、図4の(b)および(c)に示すように、支柱本体11の挿通孔11bに挿通したボルトB11の軸部を連結部材12の雌ネジ孔12aに螺合することにより、支柱本体11と連結部材12とを固定したので、連結部材12の上下方向のずれを確実に防止することが可能となる。なお、ボルトB11に対してねじりモーメント等に起因するせん断力が作用するが、連結部材12を相対回転不能な状態で支柱本体11の内空部11fに挿入しているので、ボルトのみで支柱本体を接合する場合に比べて、ボルトB11が負担するせん断力の大きさは小さいものとなる。
【0067】
さらに、本実施形態のように、支柱本体11の複数の凹部11d,11d,…の角度ピッチαを、踏板5の中心角β(図10参照)と等しくしておけば、上下方向に隣り合う支柱本体11,11の接合位置(すなわち、支柱本体11と連結部材12の接合位置)を踏板5の中心角βと等しい角度ピッチで周方向に回転させることが可能となるので、支柱本体11,11の各々の周囲に配置した複数の踏板5,5,…を規則正しく配置することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態に係る階段によると、図2に示すように、立体トラス構造体Tによって踏板5を支持する構成としたので、看者に軽快な印象を与えることが可能となる。しかも、この階段によれば、踏板5の後側を支持するブラケット3を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3が配置されているので、すっきりとした外観で、かつ、調和の取れた安定感のある外観を実現することができる。なお、細長の部材(上フレーム31および下フレーム32)を組み合わせて構成した立体トラス構造体Tは、高い曲げ剛性を備えていることから、踏板5を安定的に支持することが可能である。
【0069】
さらに、本実施形態においては、図2に示すように、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とを、節点部材33を介して連結し、さらに、上下に隣り合う節点部材33,33を柱状部材35を介して互いに連結したので、一の踏板5に作用する荷重がその上下にある踏板5を支持するブラケット3に分散することになる。つまり、本実施形態に係る階段によれば、上下に隣り合う節点部材33,33を連結しない場合に比べて、上フレーム31等を軽構造にすることができる。
【0070】
しかも、本実施形態においては、上下に隣り合う節点部材33,33を、柱状部材35を介して互いに連結したので、蹴上げ高さごとにブラケット3を準備しておく必要がなくなる。つまり、一の階段の蹴上げ高さに合わせて製作したブラケット3を蹴上げ高さの異なる他の階段に使用する場合には、柱状部材35の高さ寸法のみを変更すればよく、ブラケット3については、蹴上げ高さの異なる階段に共通して使用することが可能となる。
【0071】
さらに、本実施形態に係る階段においては、図10に示すように、節点部材33に支持片34を接続するとともに、踏板5の先端部分を支持片34の上面に固定する構成としたので、例えば、上下に隣り合う節点部材33,33を連結した後であっても、踏板5を固定することが可能となり、あるいは、踏板5を取り外すことが可能となる。
【0072】
また、本実施形態に係る階段においては、ベース2と二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とで立体トラス構造体Tを形成するとともに、この立体トラス構造体Tと踏板5とを一体にした段板ユニットUを構成したので(図13参照)、組立作業の簡易化を図ることが可能となる。また、段板ユニットUを下段から順に取り付ける必要がないので、施工順序が限定され難くなり、さらに、階段の構築後においては、踏板一段分の段板ユニットUだけを取り外すことが可能となるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0073】
また、本実施形態に係る階段においては、図11に示すように、節点部材33の上面に手摺支柱6を立設し、上下に隣り合う節点部材33,33と手摺支柱6とを一直線上に配置したので、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0074】
なお、本実施形態においては、1階から3階に至る階段を例示したが、本発明に係る階段が設置される階数を限定する趣旨ではない。本発明に係る階段は、例えば、1階から中2階を介して2階へ至る階段、地下階から地上階に至る階段、屋上に至る階段などとして利用することができる。また、前記した階段の構成は、図示のものに限定されることはなく、適宜変更しても差し支えない。例えば、本実施形態においては、下階段部K1と上階段部K2の境界部分において、上下の支柱本体11,11を接合したが(図3参照)、これに限定されることはなく、他の位置で支柱本体11,11を接合しても差し支えない。また、本実施形態においては、二つの支柱本体11,11で支柱1を構成したが、三つ以上の支柱本体11で支柱1を構成しても差し支えない。
【0075】
さらに、本実施形態においては、支柱本体11の内周面に複数の凹部11d,11d,…を形成するとともに、連結部材12の外周面に凹部11dに係合する複数の凸部12b,12b,…を形成することで、支柱本体11と連結部材12の相対回転を不能にしたが(図4の(b)および(c)参照)、これに限定されることはなく、図示は省略するが、支柱本体11の内空部を断面n角形に成形するとともに、連結部材12の外形を断面n角形に成形することで、支柱本体11と連結部材12の相対回転を不能にしてもよい。この場合には、360°/nの値を、踏板5の中心角β(図10参照)と等しくするとよい。
【0076】
また、前記した本実施形態においては、同じ高さにあるブラケット3,3の基端同士を、ベース2を介して連結する構成を例示したが、例えば、図14に示す変形例のように、上下に隣り合うブラケット30,30の基端同士を、縦長のベース20を介して連結してもよい。つまり、上下に隣り合う二個一組のブラケット30,30とベース20とで平面トラス構造体T’を構成し、この平面トラス構造体T’を支柱1の外周面に固定する構成を採用してもよい。つまり、同一の鉛直面内にある二個一組のブラケット30,30の基端同士を、ベース20を介して連結してもよい。
【0077】
ここで、ベース20は、支柱本体11の外周面に取り付けられる縦長の部材からなり、その支柱本体11側との当接面が支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形されている。また、ベース20の支柱本体11とは反対側の面には、連結溝22aが上下方向に形成されている。なお、ベース20の連結溝22aの両側には、図示せぬボルト挿通孔が形成されていて、当該ボルト挿通孔に六角穴付きの皿ボルト(図示略)を挿通し、支柱本体11に形成された図示せぬ雌ネジ孔に螺合することでベース20が支柱本体11の外周面に固定される。
【0078】
また、図14に示す変形例においては、平面トラス構造体T’を構成する二個一組のブラケット30,30のうち、下側にあるブラケット30については、上フレーム31’の先端と下フレーム32の先端とが前記した節点部材33を介して連結されているが、上側にあるブラケット30については、上フレーム31’の先端と下フレーム32の先端とが節点部材33よりも長尺の節点部材33’(図9に示すものと同じもの)を介して連結されている。また、図14に示す変形例においては、上側にあるブラケット30の節点部材33’と下側にあるブラケット30の節点部材33とが直に連結されている。
【0079】
ここで、上フレーム31’の上部には、踏板5が載置される踏板支持部31bが形成されている。踏板支持部31bは、その上面が水平になっており、踏板5の下面に当接する。なお、上フレーム31’は、図15に示す断面のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものである。
【0080】
このように、上下に隣り合う二個一組のブラケット30,30を一体化して平面的なユニット(平面トラス構造体T’)を構成すると、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となり、さらには、ユニットが平面的であるが故に、複数のユニットを重ねた状態で運搬・保管することが可能となる。
【0081】
なお、前後に隣り合う節点部材33,33’を、連結フレーム4を介して互いに連結すると、前後に隣り合うブラケット30,30と連結フレーム4とで図2に示す立体トラス構造体Tと同様の立体トラス構造体が形成されることになるので、踏板5を安定的に支持することが可能である。
【0082】
なお、本実施形態に係る階段では、複数の手摺支柱6,6,…を縫うように複数の線状部材64が配置されているが、このほか、図示は省略するが、例えば、隣り合う手摺支柱6,6間にパネルを配置してもよい。なお、パネルについては、アクリルなどの透光性を有する板材のほか、木製の板材やアルミニウム合金製などの透光性を有さない板材で構成することができる。また、図示は省略するが、手摺支柱6,6の間に、一本以上の手摺支柱をさらに配置してもよい。
【0083】
<変形例>
前記した実施形態では、上階段部K2の支柱本体11と最上段のブラケット3とを階段取付部F3に直接的に固定する構成を例示したが、図16の(a)および(b)に示す本実施形態の変形例のように、踊場Lを介して間接的に上階の階段取付部F3に固定する構成であってもよい。
【0084】
踊場Lは、図16の(b)に示すように、トラス構造を基調とした支持構造体100と、この支持構造体100の上面に固定された一対の下地材200,200と、この下地材200,200の上面に固定された踊場用踏板300と、踊場手摺ユニット400とを備えている。
【0085】
図17の(a)は、図16の(b)のX2−X2断面図であるが、この図に示すように、支持構造体100は、支柱1と階段取付部F3との間に介設された内側トラス110と、最上段のブラケット3の先端部分(外縁部分)と階段取付部F2との間に介設された外側トラス120と、内側トラス110の前側と外側トラス120の前側とを連結する上下一対の前側連結フレーム131,131(図18の(a)参照)と、内側トラス110の後側と外側トラス120の後側とを連結する後側連結フレーム132と、内側トラス110の前側と外側トラス120の後側とを連結する第一斜めフレーム133と、この第一斜めフレーム133の下方において内側トラス110の後側と外側トラス120の前側とを連結する第二斜めフレーム134とを備えている。
【0086】
内側トラス110は、図16の(b)に示すように、水平に配置された第一フレーム111と、この第一フレーム111の下方において斜めに配置された第二フレーム112と、第一フレーム111の前端(支柱1側の端部)と第二フレーム112の前端とを連結する長尺の前側節点部材113と、第一フレーム111の後端(階段取付部F3側の端部)と第二フレーム112の後端とを連結する短尺の後側節点部材114と、を備えていて、側面視直角三角形状を呈している。
【0087】
ここで、第一フレーム111および第二フレーム112の構成は、それぞれ図6(a)に示す上フレーム31および下フレーム32と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、前側節点部材113の構成は、図9に示す節点部材33’と同様であるので、その詳細な説明は省略し、後側節点部材114の構成は、図7に示す節点部材33と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0088】
また、外側トラス120の構成は、内側トラス110と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0089】
前側連結フレーム131は、図17の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の前側節点部材123とを連結するものであって、水平に配置されている。上下一対の前側連結フレーム131,131のうち(図18の(a)参照)、上側の前側連結フレーム131は、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されており、また、図18の(a)に示すように、下側の前側連結フレーム131は、上側の前側連結フレーム131を含む鉛直面内に配置されている。なお、前側連結フレーム131の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0090】
後側連結フレーム132は、図18の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の後側節点部材124とを連結するものであって、水平に配置されている。図17の(a)に示すように、後側連結フレーム132は、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されている。なお、後側連結フレーム132の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0091】
第一斜めフレーム133は、図17の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の後側節点部材124とを連結するものであって、本実施形態では、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されている。なお、第一斜めフレーム133の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0092】
第二斜めフレーム134は、図17の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の前側節点部材123とを連結するものであって、本実施形態では、内側トラス110の第二フレーム112と外側トラス120の第二フレーム122とを含む平面内に配置されている。
【0093】
なお、支持構造体100の組立は、前記した立体トラス構造体Tの組立方法に準じて行えばよい。
【0094】
内側トラス110の前側と支柱1の外周面との間には、図17の(a)に示すように、第一内側支承140が介設されており、内側トラス110の後側と階段取付部F3との間には、第二内側支承150が介設されている。また、外側トラス120の前側とブラケット3との間には、第一外側支承160が介設されており、外側トラス120の後側と階段取付部F3との間には、第二外側支承170が介設されている。さらに、外側トラス120の前側および後側には、階段取付部F3に直交する第二の階段取付部F3’との間に、補助支承180,180が介設されている。
【0095】
第一内側支承140は、図19の(a)に示すように、支柱1の外周面に取り付けられる支柱側部材141と、内側トラス110の前側節点部材113に取り付けられるトラス側部材142と、支柱側部材141とトラス側部材142とを連結する連結軸143とからなる。トラス側部材142は、偏平状の接続端部142aと、この接続端部142aから張り出すU字状の二股部142bとを有している。接続端部142aは、前側節点部材113の連結溝(図7に示す連結溝33aと同様のもの)に嵌合可能であり、接続端部142aの先端部分には、連結溝の凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、二股部142bには、支柱側部材141の突出部141aが挿入される。なお、支柱側部材141および連結軸143の構成は、図3に示す支柱側部材8Aおよび連結軸8Cと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0096】
第二内側支承150は、図19の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114に取り付けられるトラス側部材151と、階段取付部F3に取り付けられる躯体側部材152と、トラス側部材151と躯体側部材152とを連結する連結軸153とからなる。なお、トラス側部材151、躯体側部材152および連結軸153の構成は、それぞれ、図12に示すブラケット側部材9A、躯体側部材9Bおよび連結軸9Cと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0097】
第一外側支承160は、図19の(c)に示すように、ブラケット3の節点部材33に取り付けられるブラケット側部材161と、外側トラス120の前側節点部材123に取り付けられるトラス側部材162と、ブラケット側部材161とトラス側部材162とを連結する連結軸163とからなる。なお、ブラケット側部材161および連結軸163の構成は、それぞれ図12に示すブラケット側部材9Aおよび連結軸9Cと同様であり、トラス側部材162の構成は、図19の(a)に示すトラス側部材142と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0098】
また、図17(a)に示す第二外側支承170および補助支承180の構成は、それぞれ第二内側支承150と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0099】
図16の(b)に示す下地材200は、本実施形態の変形例では、断面ハット状を呈する形材からなる。本実施形態の変形例においては、支持構造体100の上面に前後一対の下地材200,200が配置されているが、その前側(図16の(b)において支柱1側)の下地材200は、図18の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の前側節点部材123との間に架設されており、後側(図16の(b)において階段取付部F3側)の下地材200は、図18の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の後側節点部材124との間に架設されている。
【0100】
踊場用踏板300は、図16の(a)に示すように、平面視矩形形状を呈する板材からなり、下地材200(図16の(b)参照)のフランジ部から螺入されたビスによって下地材200の上面に固定される。
【0101】
踊場手摺ユニット400は、内側トラス110に沿って配置されており、踊場用踏板300を貫通して下地材200の凹溝内に立設される第一の手摺支柱6’,6’と、この第一の手摺支柱6’,6’の間において踊場用踏板300の上面に立設される複数の第二の手摺支柱6”,6”と、第一の手摺支柱6’および第二の手摺支柱6”の上端を繋ぐように配置された水平手摺7’とを備えている。
【0102】
ここで、第一の手摺支柱6’の構成は、図11に示す手摺支柱6と同様であるので、その詳細な説明は省略する。なお、第一の手摺支柱6’は、内側トラス110の前側節点部材113(あるいは後側節点部材114)の下側から挿通された図示せぬ長ボルト(図11に示す長ボルトB31と同様のもの)によって下地材200とともに前側節点部材113(あるいは後側節点部材114)に固定される。
【0103】
ちなみに、第二の手摺支柱6”は、踊場用踏板300の下側から螺入された図示せぬタッピングネジによって踊場用踏板300の上面に固定される。
【0104】
このように、階段の最上段と上階の階段取付部F3との間に踊場Lを介設すると、階段取付部F3(あるいは第二の階段取付部F3’)の形状や階段取付部F3と支柱1との位置関係などが建物ごとに異なる場合であっても、柔軟に対応することが可能となる。しかも、この踊場Lによれば、その支持構造体100がトラス構造を基調としているため、同じくトラス構造を基調とした本実施形態に係る階段と調和し、すっきりとした外観を維持することが可能となる。加えて、この踊場Lは、その支持構造体100がトラス構造を基調としているが故に、軽量かつ強固である。
【0105】
なお、図16の(b)に示すように、この変形例に係る踊場Lにおいては、踊場用踏板300を、その上面の高さ位置が階段の最上段の踏板5よりも上方でかつ上階の床面よりも下方になるように設置したが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、階高や階段取付部F3との取り合いによっては、踊場用踏板300の上面が上階段部K2(図1参照)の最上段の踏板5の上面と同じ高さになるように設置してもよいし、あるいは、上階の床面と同じ高さになるように設置してもよい。
【0106】
また、図示は省略するが、下階段部K1の支柱本体11と最上段のブラケット3とを踊場を介して間接的に中間階の階段取付部F2に固定しても勿論差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本実施形態に係る階段支柱の連結構造を示す斜視図である。
【図2】踏板を支持する構造体を説明するための拡大斜視図である。
【図3】階段支柱の構成を説明するための分解斜視図である。
【図4】(a)は階段支柱の構成を説明するための側断面図、(b)は支柱本体を説明するための図であって(a)のZ1−Z1線断面図、(c)は連結部材を説明するための図であって(a)のZ1−Z1線断面図である。
【図5】(a)はベースを示す斜視図、(b)はベースの上面図である。
【図6】(a)はブラケットを示す正面図、(b)は上フレームと節点部材との接続方法を説明するための斜視図、(c)は上フレームとベースとの接続方法を説明するための斜視図である。
【図7】節点部材を示す斜視図である。
【図8】支持片を示す斜視図である。
【図9】最下段のブラケットを示す拡大斜視図である。
【図10】踏板の取付方法を説明するための斜視図である。
【図11】(a)は手摺支柱の構成を説明するための分解斜視図、(b)は手摺子の拡大斜視図、(c)は下接続部材の拡大斜視図である。
【図12】側部支承の構成を説明するための分解斜視図である。
【図13】階段の構築方法を説明するための分解斜視図である。
【図14】踏板を支持する構造体の変形例を説明するための分解斜視図である。
【図15】上フレームの変形例を示す断面図である。
【図16】(a)は、本実施形態に係る階段の変形例を示す平面図、(b)は(a)のX1−X1線断面図である。
【図17】(a)は図16の(b)のX2−X2線断面図、(b)は図16の(b)のX3−X3線断面図である。
【図18】(a)は図16の(b)のX4−X4線断面図、(b)は図16の(b)のX5−X5線断面図である。
【図19】(a)は図17の(a)のY1部分の拡大図、(b)は図17の(a)のY2部分の拡大図、(c)は図17の(a)のY3部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0108】
1 支柱(階段支柱)
11 支柱本体
11b 挿通孔
11d 凹部
12 連結部材
12a 雌ネジ孔
12b 凸部
2 ベース
3 ブラケット
4 連結フレーム
5 踏板
6 手摺支柱
7 手摺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に配置された複数の踏板を支持する階段支柱の連結構造であって、
上下方向に連設された複数の支柱本体と、隣り合う前記支柱本体同士を連結する連結部材とを備えており、
前記支柱本体は、管状に成形されており、
前記連結部材は、隣り合う前記支柱本体の各々の内空部に相対回転不能な状態で挿入されていることを特徴とする階段支柱の連結構造。
【請求項2】
前記支柱本体の内周面には、複数の凹部が周方向に等しい間隔をあけて配置されており、
前記連結部材の外周面には、前記凹部に係合する複数の凸部が周方向に等しい間隔をあけて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の階段支柱の連結構造。
【請求項3】
前記支柱本体の前記複数の凹部の角度ピッチが、前記踏板の中心角と等しいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段支柱の連結構造。
【請求項4】
前記支柱本体には、前記内空部に連通する挿通孔が形成されており、
前記連結部材には、前記挿通孔に対応する位置に、雌ネジ孔が形成されており、
前記挿通孔に挿通したボルトの軸部を前記雌ネジ孔に螺合することにより、前記支柱本体と前記連結部材とが固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の階段支柱の連結構造。
【請求項5】
前記支柱本体および前記連結部材は、アルミニウム合金製の押出形材からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の階段支柱の連結構造。
【請求項1】
螺旋状に配置された複数の踏板を支持する階段支柱の連結構造であって、
上下方向に連設された複数の支柱本体と、隣り合う前記支柱本体同士を連結する連結部材とを備えており、
前記支柱本体は、管状に成形されており、
前記連結部材は、隣り合う前記支柱本体の各々の内空部に相対回転不能な状態で挿入されていることを特徴とする階段支柱の連結構造。
【請求項2】
前記支柱本体の内周面には、複数の凹部が周方向に等しい間隔をあけて配置されており、
前記連結部材の外周面には、前記凹部に係合する複数の凸部が周方向に等しい間隔をあけて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の階段支柱の連結構造。
【請求項3】
前記支柱本体の前記複数の凹部の角度ピッチが、前記踏板の中心角と等しいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段支柱の連結構造。
【請求項4】
前記支柱本体には、前記内空部に連通する挿通孔が形成されており、
前記連結部材には、前記挿通孔に対応する位置に、雌ネジ孔が形成されており、
前記挿通孔に挿通したボルトの軸部を前記雌ネジ孔に螺合することにより、前記支柱本体と前記連結部材とが固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の階段支柱の連結構造。
【請求項5】
前記支柱本体および前記連結部材は、アルミニウム合金製の押出形材からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の階段支柱の連結構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
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【図6】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−120008(P2007−120008A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309304(P2005−309304)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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