説明

階段用敷物の押え留め具

【課題】階段上に敷設した敷物を、階段の踏み面とけこみ面との角部の階段長手方向において、簡易にして、かつ安全確実に押え留めすることができる敷物の押え留め具を提供すること。
【解決手段】押えパイプ体1の両端部の弾性体8の端部が、一対の円筒支持体9内の弾性体受部12に当接するようにして円筒支持体9内に遊嵌され、両方の円筒支持体側のクッション性滑り留め部材16が階段の両方の壁面102、103に当接せられてセットされ、頭付き押えねじ15のねじ穴13へのねじ込みによって、そのねじ端で押えパイプ体1の両方の端部上面が固定的に押えられ、階段上に覆われた階段用敷物の上面で、かつ階段踏み面とけこみ面との角部の階段長手方向において、階段用敷物が上方より押えられて留められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホテルや旅館等の宿泊施設や公共施設等の階段において、階段上に覆われたジュタンやカーペット等の敷物の浮き上り防止するため、敷物の上面で、かつ階段踏み面とけこみ面との角部の階段長手方向において、敷物を上方より押えて留めるための階段用敷物の押え留め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、ホテル等の階段に敷かれたジュウタン等の敷物の浮き上りを防ぐには、敷物の上面で、かつ階段踏み面とけこみ面との角部の階段長手方向を金属棒で押え、この金属棒の両端は階段の壁面にねじ止めにて固着していた。
【0003】
この従来方法では、金属棒の両端を階段壁面にねじ着しなければならないために、階段壁面にねじ穴を明けることになって階段壁面に傷を付けることになるばかりか、外観上の見てくれ上においても好ましくはない。
【0004】
また、ねじ着のために工具を要し、作業性も悪いという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、階段上に敷設したジュウタン等の敷物の浮き上りを防ぐために、敷物を踏み面とけこみ面との角部の階段長手方向において、金属棒等の押え棒で押えて留める場合に、階段の壁面にねじ穴を明けてねじ着しなければならず、外観体裁上において見てくれが悪く、また、その作業性も悪いという点である。
【0006】
したがって、本発明の目的は、階段上に敷設したジュウタン等の敷物を、階段の踏み面とけこみ面との角部の階段長手方向において、押え部材で押えて留める場合に、階段壁面にねじ穴を明けるなど階段壁面に何らの傷を付けることなく、敷物を簡易にして、かつ安全確実に押え留めすることができる階段用敷物の押え留め具を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、夜間等の暗くなった場合における階段踏み面の目視確認が確実になし得て、その安全効果が得られる階段用敷物の押え留め具を提供することにある。
【0008】
これらの目的のため、本発明の請求項1に記載の階段用敷物の押え留め具は、 アクリル樹脂等の硬質樹脂製の中空部3を有する押えパイプ体1と、
該押えパイプ体1の両端部が遊嵌されて支持される一対の円筒支持体9を含み、
前記押えパイプ体1は、前記階段踏み面100側の長手方向に向けて多数の穴2が明けられるとともに、両端部の端面軸方向にはそれぞれ直接的または間接的に突設された弾性体係止部7を介してコイルばね等の弾性体8が係止装着され、
前記一対の円筒支持体9は、前記押えパイプ体1の前記弾性体8を含む両方の端部が遊嵌される開口部10を有する有底の円筒体であって、その開口部10と対向する閉塞側面11の内側部位には、前記弾性体8が当接する弾性体受部12が突設されるとともに、軸方向上面の中央部位には、垂直方向にねじ穴13を有する膨出部14が一体に突設されて、前記ねじ穴13には頭付き押えねじ15がそれぞれねじ込まれて立設され、さらに前記閉塞側面11の外側面にはそれぞれゴム製のクッション性滑り留め部材16が取り付けされて構成され、
前記押えパイプ体1の中空部3には光ファイバー等からなる照明線部材22が挿着されて、前記一対の円筒支持体9内には、その開口部10側から前記押えパイプ体1の両方の弾性体8が前記弾性体受部12に当接するようにして遊嵌され、この状態で、前記両方の円筒支持体9の前記クッション性滑り留め部材16が弾性体8の弾力に抗して階段の両方の壁面102、103に当接せられてセットされ、かつ前記頭付き押えねじ15のねじ込みによるねじ端で前記遊嵌されている押えパイプ体1の両方の端部上面が固定的に押えられ、前記階段上に覆われている敷物200の上面で、かつ階段踏み面100とけこみ面101との角部の階段長手方向において、前記階段用敷物200が上方より押え留めされる構成を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、一対の円筒支持体内にその開口部側から押えパイプ体の両方の弾性体が弾性体受部に当接するようにして遊嵌され、この状態で、両方の円筒支持体のクッション性滑り留め部材が弾性体の弾力に抗して階段の両方の壁面に当接せられてセットされ、かつ頭付き押えねじのねじ込みによるねじ端で遊嵌されている押えパイプ体の両方の端部上面が固定的に押えられて、階段上に敷設されている敷物の上面で、かつ階段踏み面とけこみ面との角部の階段長手方向において、階段用敷物が上方より押え留めされるものであるから、階段壁面にねじ穴を明けるなど階段壁面に何らの傷を付けることなく、敷物を簡易にして、かつ安全確実に敷押え留めすることができる。
【0010】
また、押えパイプ体の中空部には光ファイバー等からなる照明線部材が挿着され、この照明線部材による発光や点滅照明は多数の穴から外部に照射されるものであるから、夜間等の暗くなった場合における階段踏み面の目視確認が確実になし得て、その安全効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態についてその作用と共に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る階段用敷物の押え留め具の一例での設置位置を示す一部省略の概略側面図、図2は、同上の一部を省略し、かつ一部を断面して示す平面図、図3は、本発明に係る階段用敷物の押え留め具の一例での一部省略の平面図で、図4は、図3の4方向から見た端面図、図5は、一部を省略した要部の側断面図で、本実施例において、本階段用敷物の押え留め具は、階段上に敷かれたジュウタンやカーペット等の敷物200の上面で、かつ階段踏み面100とけこみ面101との角部の階段長手方向において、敷物200を上方より押えて留めるための押え留め具であって、押えパイプ体と、該押えパイプ体の両端部が遊嵌される一対の円筒支持体等を含んでいる。
【0013】
押えパイプ体1は、アクリル樹脂等の好ましくは透明な硬質樹脂製あって中空部3を有し、その全長は、階段の踏み面100の長手方向の長さよりもやや短く、その径は、例えば20〜30mmの丸パイプ体となっている。
【0014】
押えパイプ体1の長手方向には、図5、図7および図8に示されているように、階段踏み面100側(一方向)に向けて等間隔の一列状態で、中空部3と連通する多数の穴2が明けられており。また、後述する照明線部材22の挿入用穴21が明けられている。
【0015】
なお、本実施例において、押えパイプ体1は丸形としたが、これに限定されず角形としてもよい。
【0016】
押えパイプ体1の両端外周に刻設された雄ねじ部4には、それぞれ雌ねじ部5が周設されたねじ穴を有する断面コ字形状の円筒状キャップ体6が一体的に冠着されている。
【0017】
円筒状キャップ体6は、硬質樹脂材による一体成形品として得られ、開口部と対向する閉塞側面の中央部位には、弾性体係止部7が一体に突設され、該弾性体係止部7にはコイルばね、ゴム等の弾性体8の一端が軸方向に向けて係止装着されている。
【0018】
一対の円筒支持体9は、好ましくは硬質合成樹脂材による成形品として得られるものであって、押えパイプ1の端部2遊嵌される開口部10を有する有底の短形の丸形筒状体で、図3から図6に示されているように、開口部10と対向する閉塞側面11の内側中央部位には、弾性体8の先端部が当接する弾性体受部12が一体に突設されている。
【0019】
また、一対の円筒支持体9における軸方向のケース上面にして、かつ開口部10に近接した中央部位には、垂直方向に金属製のねじ穴13がモールドされた膨出部14が一体に突設され、金属製のねじ穴13には頭付き押えねじ15がそれぞれねじ込まれて立設されている。
【0020】
また、一対の円筒支持体9における閉塞側面11の内外面の上下部の二個所には、軟質ゴム製のクッション性滑り止め部材16が取り付けられ、使用時において、このクッション性滑り止め部材16によって、階段壁面102、103を損傷等しないようになっている。
【0021】
このクッション性滑り止め部材16は、図6に示されているように、やや大径の円形部17と、この円形部17とH状に一体に連結され、かつ中心に盲穴18を有するやや小径の円形部19を含み、このクッション性滑り止め部材16は、円筒支持体9の閉塞側面11の上下部の二個所に明けられた貫通穴20に、外側よりやや小径の円形部19をその盲穴18を介しての変形によって圧入し、やや小径の円形部19が内側とされ、やや大径の円形部17が外側とされて抜け出ないように一体的に取り付けされている。
【0022】
なお、一対の円筒支持体9は、押えパイプ体1と対応させて丸形の筒状体としたが、これに限定されず、押えパイプ体が角形の場合には、これに対応した角形筒状体としてもよい。
【0023】
押えパイプ体1の中空部3には、その挿入用穴21から照明線部材22が挿入されて、該照明線部材22が光源(図示しない)の点灯により発光してこれが多数の穴2から外部に照射され、階段の踏み面個所が目視できるようになっている。
【0024】
なお、照明線部材22は、例えば、複数本の光ファイバーを結束したものでもよく、また、発光ダイオード(LED)素子の組み込まれた部材であってもよい。
【0025】
このように構成された本押え留め具は、図1、図2、図5に示されているように、押えパイプ体1の両端部が、一対の円筒支持体9の開口部10側からその弾性体8の端部が弾性体受部12に当接するようにしてそれぞれ遊嵌され、この状態で、両方の円筒支持体9のクッション性滑り止め部材16を弾性体8の弾力に抗して階段の両方の壁面102、103に当接させて、階段上に覆われた階段用敷物200の上面において、階段踏み面100とけこみ面101との角部の階段長手方向にセットされる。
【0026】
すると、押えパイプ体1は、弾性体8の弾発力によって壁面102、103側に押圧されて、それぞれの円筒支持体9と共にクッション性滑り留め部材16は壁面102、103に固定的に押し付けられる。
【0027】
次いで、頭付き押えねじ15のねじ込みによるねじ端で、遊嵌されている押えパイプ体1の両方の端部上面を固定的に押えれば、階段上に覆われた階段用敷物200の上面で、かつ階段踏み面100とけこみ面101との角部の階段長手方向において、階段用敷物200は上方より押えられて浮き上りが防止されるとともに、照明線部材22の発光により階段踏み面個所がはっきりと目視される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る階段用敷物の押え留め具の一例での設置位置を示す一部省略の概略側面図である。
【図2】同上の一部を省略し、かつ一部を断面して示す平面図である。
【図3】本発明に係る階段用敷物の押え留め具の一例での一部省略の平面図である。
【図4】図3の4方向から見た端面図である。
【図5】一部を省略した要部の側断面図である。
【図6】クッション性滑り止め部材の取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図7】押えパイプ体の部分拡大側面図である。
【図8】図7の8−8線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 押えパイプ体
2 穴
3 中空部
6 円筒状キャップ体
7 弾性体係止部
8 弾性体
9 一対の円筒支持体
10 開口部
11 閉塞側面
12 弾性体受部
13 ねじ穴
14 膨出部
15 頭付き押えねじ
16 クッション性滑り留め部材
22 照明線部材
100 階段踏み面
101 階段けこみ面
102、103 階段壁面
200 階段用敷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段上に敷かれたジュウタンやカーペット等の敷物(200)の上面で、かつ階段踏み面(100)とけこみ面(101)との角部の階段長手方向において、前記敷物(200)を上方より押えて留めるための押え留め具であって、
アクリル樹脂等の硬質樹脂製の中空部(3)を有する押えパイプ体(1)と、
該押えパイプ体(1)の両端部が遊嵌されて支持される一対の円筒支持体(9)を含み、
前記押えパイプ体(1)は、前記階段踏み面(100)側の長手方向に向けて多数の穴(2)が明けられるとともに、両端部の端面軸方向にはそれぞれ直接的または間接的に突設された弾性体係止部(7)を介してコイルばね等の弾性体(8)が係止装着され、
前記一対の円筒支持体(9)は、前記押えパイプ体(1)の前記弾性体(8)を含む両方の端部が遊嵌される開口部(10)を有する有底の円筒体であって、その開口部(10)と対向する閉塞側面(11)の内側部位には、前記弾性体(8)が当接する弾性体受部(12)が突設されるとともに、軸方向上面の中央部位には、垂直方向にねじ穴(13)を有する膨出部(14)が一体に突設されて、前記ねじ穴(13)には頭付き押えねじ(15)がそれぞれねじ込まれて立設され、さらに前記閉塞側面(11)の外側面にはそれぞれゴム製のクッション性滑り留め部材(16)が取り付けされて構成され、
前記押えパイプ体(1)の中空部(3)には光ファイバー等からなる照明線部材(22)が挿着されて、前記一対の円筒支持体(9)内には、その開口部(10)側から前記押えパイプ体(1)の両方の弾性体(8)が前記弾性体受部(12)に当接するようにして遊嵌され、この状態で、前記両方の円筒支持体(9)の前記クッション性滑り留め部材(16)が弾性体(8)の弾力に抗して階段の両方の壁面(102、103)に当接せられてセットされ、かつ前記頭付き押えねじ(15)のねじ込みによるねじ端で前記遊嵌されている押えパイプ体(1)の両方の端部上面が固定的に押えられ、前記階段上に覆われている敷物(200)の上面で、かつ階段踏み面(100)とけこみ面(101)との角部の階段長手方向において、前記階段用敷物(200)が上方より押え留めされる構成を特徴とする階段用敷物の押え留め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−7738(P2009−7738A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167049(P2007−167049)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【特許番号】特許第4016065号(P4016065)
【特許公報発行日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(392023038)宝養生資材株式会社 (18)