階段
【課題】 支柱の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板を備える階段であって、踏板を支持するブラケットが高い曲げ剛性を備えながらも看者に軽快な印象を与えることが可能な階段を提供することを課題とし、加えて、施工順序が限定され難く、かつ、構築後にメンテナンスや交換作業を行い易い階段を提供することを課題とする。
【解決手段】 支柱1の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板5,5,…のそれぞれが、支柱1から平面視V字状に張り出した一対のブラケット3,3によって支持された階段であって、各ブラケット3は、支柱1の外周面から水平に張り出す上フレーム31と、この上フレーム31の下方において支柱1の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレーム32とを備えて構成されており、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とが互いに連結されている。
【解決手段】 支柱1の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板5,5,…のそれぞれが、支柱1から平面視V字状に張り出した一対のブラケット3,3によって支持された階段であって、各ブラケット3は、支柱1の外周面から水平に張り出す上フレーム31と、この上フレーム31の下方において支柱1の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレーム32とを備えて構成されており、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とが互いに連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板を備える階段として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されたものが知られている。
【0003】
これらの階段は、支柱から平面視V字状に張り出す二つのブラケットで各踏板を支持するものであるが、細長のフレームを利用して各ブラケットを構成したことで、看者に軽快な印象を与えることに成功している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−76281号公報
【特許文献2】特開2004−76284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の階段においては、その構造上、各ブラケットの基端部(すなわち、支柱側の端部)に大きな曲げモーメントが作用することになるので、ブラケットの曲げ剛性を高めるための方策を講じる必要がある。
【0006】
すなわち、特許文献1の階段においては、水平に張り出す一本のフレームのみで各ブラケットが構成されていることから、その曲げ剛性を高めるためには、フレームの肉厚や外径を大きくする必要がある。ところが、フレームの外径等を大きくすると、フレーム自体が重厚になってしまうので、軽快な印象が薄れる虞がある。また、特許文献2についても、各踏板の前側を支持するブラケットが、一本のフレームのみで構成されていることから、特許文献1の階段と同様の問題が発生する虞がある。
【0007】
また、特許文献1および特許文献2の階段では、フレームの基端部が接続されたリング部材を支柱に環装して積層する構成を採用していることから、下段から順に構築せざるを得ないという問題があり、さらに、階段を構築した後に、中段にあるリング部材を容易に取り外すことができないという問題もある。つまり、特許文献1および特許文献2の階段では、その施工順序が限定されるとともに、構築後にメンテナンスや交換作業等を行い難いという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、支柱の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板を備える階段であって、踏板を支持するブラケットが高い曲げ剛性を備えながらも看者に軽快な印象を与えることが可能な階段を提供することを課題とし、加えて、施工順序が限定され難く、かつ、構築後にメンテナンスや交換作業を行い易い階段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、支柱の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板のそれぞれが、前記支柱から平面視V字状に張り出した一対のブラケットによって支持されている階段であって、前記各ブラケットは、前記支柱の外周面から水平に張り出す上フレームと、前記上フレームの下方において前記支柱の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレームとを備えて構成されており、前記上フレームの先端と前記下フレームの先端とが互いに連結されていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、要するに、上フレームと下フレームとを正面視横V字状に組み立ててなるブラケットを二個一組にして平面視V字状に配置したところに特徴がある。このような階段によれば、各ブラケットが平面トラス構造となるので、フレームを利用していながらも高い曲げ剛性を備えることとなり、かつ、看者に軽快な印象を与えることが可能となる。また、本発明に係る階段によれば、同一の外観を呈する複数のブラケットが、支柱の周囲に規則正しく配置されることになるので、調和の取れた安定感のある外観を呈することになる。
【0011】
なお、本発明においては、前記踏板の後側を支持する前記ブラケットを含む鉛直面内に、一段上の前記踏板の前側を支持する前記ブラケットを配置するとよい。このようにすると、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0012】
また、本発明においては、前記一対のブラケットの基端同士を、前記支柱の外周面に固定されたベースを介して互いに連結してもよい。つまり、各踏板を支持する二個一組のブラケットを、ベースを介して支柱の外周面に固定してもよい。このような構成を採用すると、一の踏板を支持する二個一組のブラケットをユニット化(一体化)しておくことが可能となるので、組立作業の簡易化を図ることが可能となる。また、ベースを外周面に固定する構成を採用すると、二個一組のブラケットからなるユニットを下段から順に取り付ける必要がなくなるので、施工順序が限定され難くなり、さらに、階段の構築後においては、踏板一段分のユニットだけを取り外すことが可能となるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0013】
なお、一対のブラケットの基端同士をベースで連結した場合には、前記各踏板の基端部分を前記ベースの上面に固定してもよい。このようにすると、各踏板をしっかりと固定することが可能となり、加えて、支柱の外周面まで踏板を配置することが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、上下に隣り合う前記ブラケットの基端同士を、前記支柱の外面に固定されたベースを介して互いに連結してもよい。つまり、上下に隣り合う二個一組のブラケットを、ベースを介して支柱の外周面に固定してもよい。このような構成を採用すると、上下に隣り合う二個一組のブラケットをユニット化(一体化)しておくことが可能となるので、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となる。また、ベースを外周面に固定する構成にしておけば、二個一組のブラケットからなるユニットを下段から順に取り付ける必要がなくなるので、施工順序が限定され難くなり、さらに、階段の構築後においては、中段にあるユニットだけを取り外すことが可能となるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0015】
ここで、各ブラケットを構成する前記上フレーム材と前記下フレームについては、その先端同士を、節点部材を介して互いに連結するとよい。
【0016】
また、上フレームの先端と下フレームの先端とを節点部材を介して互いに連結した場合には、前後に隣り合う前記節点部材同士を、連結フレームを介して互いに連結してもよい。このようにすると、同一の高さに位置する一対のブラケットと連結フレームとによって、四面体を呈する立体的なトラス構造体が形成されることになるので、各踏板をより安定的に支持することが可能となる。
【0017】
さらに、前記上フレームの先端と前記下フレームの先端とを、節点部材を介して互いに連結した場合には、上下に隣り合う前記節点部材同士を、互いに連結してもよい。このようにすると、一の踏板に作用する荷重がその上下にある踏板を支持するブラケットに分散することになるので、節点部材同士を連結しない場合に比べて、フレーム等を軽構造にすることができる。
【0018】
なお、上下方向に隣り合う前記節点部材同士を、柱状部材を介して互いに連結してもよい。このようにすると、蹴上げ高さごとにブラケットを準備しておく必要がなくなる。つまり、一の階段に合わせて製作したブラケットを蹴上げ高さの異なる他の階段に使用する場合には、柱状部材の高さ寸法を蹴上げ高さに応じて調整するだけでよく、同一寸法のブラケットを蹴上げ高さの異なる階段に共通して使用することが可能となる。なお、上下に隣り合う節点部材同士を柱状部材を介して連結した場合も、一の踏板に作用する荷重がその上下にある踏板を支持するブラケットに分散することになるので、節点部材同士を連結しない場合に比べて、フレーム等を軽構造にすることができる。
【0019】
また、上フレームと下フレームとを節点部材を介して連結した場合には、前記各節点部材に、前記各踏板の下面に沿って張り出す支持片を接続するとともに、前記各踏板の先端部分を前記支持片の上面に固定してもよい。このようにすると、例えば、上下に隣り合う節点部材同士を連結した後であっても、各踏板を固定することが可能となり、あるいは、各踏板を取り外すことが可能となる。
【0020】
なお、本発明においては、前記節点部材の上面に、手摺を支持する手摺支柱を立設してもよい。このようにすると、上下に隣り合う節点部材と手摺支柱とが一直線上に配置されることになるので、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る階段によると、踏板を支持するブラケットが高い曲げ剛性を備えながらも看者に軽快な印象を与えることが可能となる。加えて、本発明に係る階段によると、施工順序が限定され難く、かつ、構築後にメンテナンスや交換作業を行い易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態における「前後」は、階段の上り方向を向いたときを基準とする。
【0023】
<全体構成>
本実施形態に係る階段は、図1に示すように、支柱1の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板5,5,…のそれぞれが、支柱1から平面視(上面視)V字状に張り出した一対のブラケット3,3によって支持された階段である。また、本実施形態においては、複数の踏板5,5,…の先端部分(外縁部分)を取り巻くように複数の手摺支柱6,6,…が立設されており、これらの上端を繋ぐように手摺7が配置されている。
【0024】
なお、図2に示すように、各ブラケット3は、正面視横V字状を呈しており、かつ、同一の高さに位置する一対のブラケット3,3は、その基端同士が支柱1の外周面に固定されたベース2を介して互いに連結されており、その先端同士が連結フレーム4を介して互いに連結されている。つまり、本実施形態においては、ベース2と前後に隣り合う二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とによって四面体を呈する立体トラス構造体Tが形成されており、この立体トラス構造体Tに踏板5が支持されている、と言える。
【0025】
<支柱>
支柱1は、図3に示すように、鉛直方向に立設される支柱本体11と、支柱本体11の下端と下階の階段取付部F1(図1参照)との間に介設される支持部材12とを備えている。
【0026】
支柱本体11は、本実施形態では、円環状の断面を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。支柱本体11の外周面であってベース2が固定される領域Aには、複数(本実施形態では三つ)のネジ孔11a,11a,11aが形成されており、支柱本体11の下面には、複数の有底のネジ穴11b,11b,…が形成されている。外周面のネジ孔11aには、ベース2を固定するための六角穴付きのボルトB21が螺合され、下面のネジ穴11bには、支持部材12を固定するための六角穴付きのボルトB11が螺合される。なお、支柱本体11の内部は、密実であっても差し支えない。また、図示は省略するが、支柱本体11の外形を多角形としても差し支えない。
【0027】
支持部材12は、支柱本体11よりも径の大きいアルミニウム合金製の円板からなり、ボルトB11によって支柱本体11の下端に固定される。支持部材12の上面には、支柱本体11の下端部分が嵌め込まれる円形の凹部12aが形成されており、この凹部12aには、支柱本体11の複数のネジ穴11b,11b,…に対応する複数のボルト挿通孔12b,12b,…が形成されている。このボルト挿通孔12bには、ボルトB11が支持部材12の下面側から挿通される。また、凹部12aの外周側にも、複数のボルト挿通孔12c,12c,…が形成されている。このボルト挿通孔12cには、支持部材12を下階の階段取付部F1(図1参照)に固定するためのボルトB12が挿通される。
【0028】
<ベース>
ベース2は、図4の(a)に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられるブロック状の部材からなり、図4の(b)にも示すように、支柱本体11との当接面21が支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形されている。
【0029】
ベース2には、当接面21とは反対側の面22に、一対の連結溝22a,22aが上下方向に形成されている。なお、連結溝22aは、支柱本体11の半径方向に沿って形成されており、連結溝22aの内壁面には、凹凸が形成されている。また、一対の連結溝22a,22aの間には、支柱本体11の領域A(図3参照)に形成されたネジ孔11a,11a,11a(図3参照)に対応する複数(本実施形態では三つ)の段付きのボルト挿通孔22b,22b,22bが形成されている。
【0030】
ベース2の上面23には、その中央部に有底のネジ穴23aが形成されている。このネジ穴23aには、踏板5の基端部を固定するための六角穴付きの皿ボルトB51(図9参照)が螺合される。
【0031】
<ブラケット>
ブラケット3は、図5の(a)に示すように、支柱1の外周面から水平に張り出す上フレーム31と、この上フレーム31の下方において支柱1の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレーム32と、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とを連結する節点部材33とを備えていて、正面視横V字状を呈している。なお、本実施形態に係るブラケット3は、図2に示すように、節点部材33に接続された支持片34を備えている。
【0032】
上フレーム31は、図5の(a)に示すように、その基端部がベース2の上部に接続され、ベース2を介して支柱1の外周面に固定される。上フレーム31は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部31aを有している。接続端部31aは、中空押出形材の端部をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。接続端部31aは、図5の(b)および(c)に示すように、ベース2の連結溝22a(図5の(c)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図5の(b)参照)に嵌合可能であり、接続端部31aの先端部分には、ベース2の連結溝22aの凹凸あるいは後記する節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が上フレーム31の軸線に直交する方向(図5の(a)において上下方向)に沿って形成されている。このようにしておくと、上フレーム31に大きな軸力(引張力)が作用しても、これがベース2や節点部材33から引き抜かれることがない。なお、接続端部31aがベース2および節点部材33の軸線方向に長い偏平状に形成されていることから、上フレーム31と節点部材33との接続構造は、ベース2および節点部材33の軸線方向(つまり、上下方向)の外力に対する強度が高い。
【0033】
下フレーム32は、図5の(a)に示すように、その基端部がベース2の下部に接続され、ベース2を介して支柱1の外周面に固定される。下フレーム32は、アルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部32aを有している。接続端部32aは、ベース2の連結溝22a(図5の(c)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図5の(b)参照)に嵌合可能であり、その先端部分には、上フレーム31の凹凸と同様の凹凸が形成されている。なお、接続端部32aの凹凸は、下フレーム32の軸線に対して角度αをなす方向に沿って形成されている。これにより、下フレーム32は、その軸線がベース2および節点部材33の軸線に対して角度αだけ傾斜した状態でベース2および節点部材33に接続されることになる。
【0034】
節点部材33は、図6に示すように、円柱形状を呈しており、その外周面には、その中心線方向に沿って複数(本実施形態では三つ)の連結溝33a,33a,…が形成されている。連結溝33aの内壁面には、その中心線方向(図6では上下方向)に沿って凹凸が形成されている。また、節点部材33の中心線上には、ボルト挿通孔33bが形成されている。節点部材33は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝33aおよびボルト挿通孔33bは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。なお、節点部材33は、鋳造により製作してもよい。また、節点部材33の形状も図示のものに限定されることはなく、例えば、多角柱形状にしても差し支えない。
【0035】
図2に示す支持片34は、踏板5の先端部分(外縁部分)を支持するものであって、節点部材33から踏板5の下面に沿って張り出している。支持片34は、図7に示すように、偏平状の接続端部34aと、この接続端部34aから張り出す張出部34bとを有している。接続端部34aは、節点部材33の連結溝33a(図6参照)に嵌合可能であり、接続端部34aの先端部分には、節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、張出部34bには、これを上下方向に貫通するネジ孔34cが形成されている。このネジ孔34cには、踏板5の先端部分を固定するための六角穴付きの皿ボルトB52(図9参照)が螺合される。
【0036】
ここで、上下に隣り合うブラケット3,3の関係を、図2を参照して詳細に説明する。この図に示すように、本実施形態においては、踏板5の後側を支持するブラケット3を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3が配置されており、かつ、上下に隣り合う節点部材33,33同士が柱状部材35を介して互いに連結されている。なお、柱状部材35は、節点部材33と同一の直径を有するアルミニウム合金製の円柱であり、その中心には、図示せぬボルト挿通孔が形成されている。
【0037】
このように、本実施形態においては、隣接するブラケット3,3は、その外周部において互いに連結されており、一段下のブラケット3がその上段のブラケット3を支持している。なお、最下段の踏板5の前側を支持するブラケット3’(図1参照)については、その先端部分(図1のB部分)が下階の階段取付部F1に支持されている。図8を参照してより詳細に説明すると、ブラケット3’については、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端を連結する節点部材33’の長さが、その他のブラケット3の節点部材33(図6参照)よりも大きくなっていて、その下端部に接続された一対の支持片34’,34’を介して下階の階段取付部F1に固定されている。なお、支持片34’は、踏板5を支持する支持片34(図7参照)の上下を逆さにしたものなので、その詳細な説明を省略する。また、節点部材33’と下階の階段取付部F1との間には、ワッシャ36’が介設されている。
【0038】
<連結フレーム>
図2に示すように、連結フレーム4は、前後に隣り合う節点部材33,33を連結するものであって、本実施形態では水平に配置されており、同一の高さに位置する節点部材33,33を互いに連結している。連結フレーム4は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その端部に偏平状の接続端部4aを有している。接続端部4aは、節点部材33の連結溝33a(図5の(b)参照)に嵌合可能であり、接続端部4aの先端部分には、上フレーム31(図5の(b)参照)と同様の凹凸が形成されている。
【0039】
<立体トラス構造体の組立方法>
ここで、図2を参照してベース2と二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とで構成される立体トラス構造体Tの組立方法を説明する。立体トラス構造体Tを組み立てるには、ベース2の二つの連結溝22a,22a(図4の(a)参照)のそれぞれに、上フレーム31の一端および下フレーム32の一端を接続するとともに、上フレーム31の他端および下フレームの他端を節点部材33に接続して二つのブラケット3,3を形成したうえで、前後に隣り合う節点部材33,33を連結フレーム4で連結し、さらに、節点部材33に支持片34を接続すればよい。なお、上フレーム31をベース2に接続するには、図5の(c)に示すように、ベース2の上面側(あるいは下面側)から、上フレーム31の接続端部31aに形成された凹凸をベース2の連結溝22aに挿入すればよく、溶接や特別な工具は必要ない。上フレーム31の節点部材33への接続方法、下フレーム32のベース2および節点部材33への接続方法および連結フレーム4の節点部材33への接続方法も同様である。
【0040】
なお、ベース2の下面には、上フレーム31および下フレーム32の下方向への抜け出しを防止する板状の規制部材24(図4の(a)参照)が固着される。また、ベース2の連結溝22aには、上フレーム31の接続端部31aと下フレーム32の接続端部32aとの間に、連結溝22aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入され、節点部材33の連結溝33aには、支持片34の接続端部34a(図7参照)の下側および連結フレーム4の接続端部4a(図2参照)の下側に、連結溝33aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入される。なお、連結溝22aと接続端部31a等との間に生じる微細な隙間を埋めるべく、この隙間に接着剤などを流し込んでもよい。
【0041】
<踏板>
踏板5は、図9に示すように、略扇形状を呈する板材からなり、その基端部分(支柱1側の端部)がベース2の上面に固定され、先端部分(外縁部分)が支持片34の上面に固定される。踏板5の基端側の縁辺5aは、支柱1の外周面に合わせて円弧状に成形されており、支柱1の外周面に当接している。また、踏板5の先端側の縁辺5bも円弧状に成形されている。なお、踏板5の先端側の角部5c,5cは、柱状部材35の外形に合わせて切り欠かれている。なお、踏板5は、例えば、アルミニウム合金製としてもよいし、木製やガラス製としても差し支えない。
【0042】
なお、踏板5の基端部分をベース2の上面に固定すると、踏板5の基端部分をしっかりと固定することが可能となる。また、踏板5の基端側の縁辺5aを、支柱1の外周面に合わせて円弧状に成形すると、踏板5の縁辺5aが支柱1の外周面にぴったりと当接することになるので、すっきりとした外観となる。
【0043】
<手摺支柱>
手摺支柱6は、図10の(a)に示すように、手摺子61と、この手摺子61の上端に取り付けられる上接続部材62と、手摺子61の下端に取り付けられる下接続部材63とを備えていて、本実施形態では、節点部材33の上面に立設される。
【0044】
手摺子61は、本実施形態では、略矩形の外形を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。手摺子61の内部には、図10の(b)にも示すように、四つのビスホール61a,61a,…と、四つの溝部61b,61b,…とが形成されている。また、手摺子61の側面には、複数の貫通孔61c,61c,…が形成されている。この貫通孔61cには、ワイヤー等の線状部材64(図1参照)が挿通される。なお、図示は省略するが、支柱本体11の外形を円形としても差し支えない。
【0045】
上接続部材62は、図10の(a)に示すように、手摺子61の上端部と手摺7との間に介設されるものであって、手摺子61の上端面に当接するフランジ部62aと、このフランジ部62aの下面に突設された下側突部62bと、フランジ部62aの上面に斜めに突設された上側突部62cと、上側突部62cの上端に設けられた取付部62dとを備えている。下側突部62bは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されている。また、取付部62dは、手摺7の下面に当接可能な形状に成形されている。なお、上接続部材62を手摺子61の上端部に固定するには、下側突部62bを手摺子61の内部に挿入したうえで、手摺子61の側面から、下側突部62bを貫通するタッピングネジB62を螺入すればよい。
【0046】
下接続部材63は、手摺子61の下端部と節点部材33との間に介設されるものであって、節点部材33の上面に当接する基部63aと、この基部63aの上面に突設された挿入部63cとを備えている。基部63aは、節点部材33と同一の外径を有する円板状に成形されており、手摺子61のビスホール61a,61a,…(図10の(b)参照)に対応する位置には、図10の(c)にも示すように、挿通孔63b,63b,…が形成されている。この挿通孔63bには、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するためのタッピングネジB63(図10の(a)参照)が挿通される。挿入部63cは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されており、かつ、その外周部には、手摺子61の溝部61bに係合する係合突部63dが形成されている。また、挿入部63cの中央部には、ネジ孔63eが形成されている。このネジ孔63eには、節点部材33のボルト挿通孔33b(図6参照)に挿通された長ボルトB31(図10の(a)参照)が螺合される。なお、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するには、挿入部63cを手摺子61の内部に挿入したうえで、基部63aの挿通孔63bにタッピングネジB63を挿通し、その先端部を手摺子61のビスホール61aに螺入すればよい。
【0047】
<手摺>
図1に示す手摺7は、複数の手摺支柱6,6,…を縫うように配置されており、本実施形態では、螺旋状に曲げ加工が施されたアルミニウム合金製の押出形材からなる。なお、手摺7を手摺支柱6の上端部に固定するには、手摺7の下面に図10に示す上接続部材62の取付部62dを当接させたうえで、取付部62dの下面から図示せぬタッピングネジを螺入すればよい。
【0048】
<その他>
図1に示すように、本実施形態に係る階段においては、支柱1の外周面と上階の階段取付部(梁や壁など)F2との間に中央支承8が介設されており、最上段のブラケット3と上階の階段取付部F2との間に側部支承9が介設されている。
【0049】
中央支承8は、図3に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられる支柱側部材8Aと、上階の階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材8Bと、支柱側部材8Aと躯体側部材8Bとを連結する連結軸8Cとからなる。
【0050】
支柱側部材8Aは、支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形された支柱当接部81と、この支柱当接部81に突設された突出部82とを備えている。支柱当接部81には、突出部82の両側のそれぞれに、ボルト挿通孔81a,81aが形成されており、突出部82には、その中央部に貫通孔82aが形成されている。支柱当接部81のボルト挿通孔81aには、六角穴付きのボルトB81が挿通され、このボルトB81は、支柱本体11に形成されたネジ孔11cに螺合される。なお、支柱側部材8Aは、アルミニウム合金を鋳造して形成してもよいし、アルミニウム合金製の押出形材を加工して形成してもよい。
【0051】
躯体側部材8Bは、階段取付部F2に取り付けられる躯体当接部83と、この躯体当接部83の中央に突設された一対の保持部84,84とを備えている。躯体当接部83には、一対の保持部84,84の両側のそれぞれに、図示せぬボルト挿通孔が形成されており、このボルト挿通孔にボルトB82が挿通されている。いる。また、一対の保持部84,84は、支柱側部材8Aの突出部82を挿入可能な間隔をもって対峙しており、各保持部84の中央部には、貫通孔84aが形成されている。なお、支柱側部材8Aは、アルミニウム合金を鋳造して形成してもよいし、アルミニウム合金製の押出形材を加工して形成してもよい。
【0052】
連結軸8Cは、支柱側部材8Aの突出部82に設けられた貫通孔82aおよび躯体側部材8Bの一対の保持部84,84に設けられた貫通孔84aに挿通されるボルト85と、このボルト85に螺合するナット86とで構成されている。なお、ボルト85の頭部およびナット86には、これを覆い隠すキャップ87が取り付けられる。
【0053】
なお、支柱側部材8Aと躯体側部材8Bとを連結するには、支柱側部材8Aの突出部82を躯体側部材8Bの一対の保持部84,84の間に挿入したうえで、支柱側部材8Aの突出部82の貫通孔82aおよび躯体側部材8Bの各保持部84の貫通孔84aにボルト85を挿通し、その軸部にナット86を螺合すればよい。
【0054】
側部支承9は、図11に示すように、節点部材33に取り付けられるブラケット側部材9Aと、上階の階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材9Bと、ブラケット側部材9Aと躯体側部材9Bとを連結する連結軸9Cとからなる。なお、躯体側部材9Bおよび連結軸9Cの構成は、前記した中央支承8の躯体側部材8Bおよび連結軸8Cの構成と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0055】
ブラケット側部材9Aは、節点部材33から階段取付部F2に向かって張り出す板状の部材からなり、節点部材33の連結溝33a(図6参照)に接続される偏平状の接続端部91aと、躯体側部材9Aの一対の保持部94,94の間に挿入される挿入部91bとを備えている。接続端部91aの先端部分には、節点部材33の連結溝33a(図6参照)の凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、挿入部91bには、貫通孔91cが形成されており、この貫通孔91cに連結軸9Cを構成するボルト95が挿通される。
【0056】
<階段の構築方法>
次に、以上のように構成された階段の構築方法を詳細に説明する。まず、図12に示すように、下階の階段取付部F1に支柱1を立設固定するとともに、上階の階段取付部F2と支柱1との間に中央支承8を介設し(図3参照)、支柱1を上階の階段取付部F2に固定する。なお、支柱1を下階の階段取付部F1に固定するには、支持部材12のボルト挿通孔12c(図3参照)に、その上側からボルトB12を挿通し、ボルトB12を階段取付部の適所に螺合すればよい。
【0057】
続いて、四面体を呈する立体トラス構造体Tと踏板5とを含む段板ユニットU,U,…を支柱1の外周面に取り付けるとともに、下段の踏板5の後側を支持するブラケット3とその一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3(すなわち、同一の鉛直面内にあるブラケット3,3)を互いに連結する。同一の鉛直面内にあるブラケット3,3を連結するには、図10にも示すように、上下に隣り合う節点部材33,33の間に柱状部材35を介設するとともに、上側の節点部材33の上面に手摺支柱6を立設し、さらに下側の節点部材33の下面に上フレーム31等の抜け出しを防止するワッシャ36をあてがったうえで、ワッシャ36の下方から、下側の節点部材33のボルト挿通孔33b(図6参照)と柱状部材35の図示せぬボルト挿通孔と上側の節点部材33のボルト挿通孔33bとに長ボルトB31を挿通し、その先端を、手摺支柱6の挿入部63cに形成されたネジ孔63eに螺合すればよい。なお、長ボルトB31の頭部には、これを覆い隠すキャップ37が取り付けられる。
【0058】
なお、図12に示すように、最下段の踏板5の前側を支持するブラケット3’は、その節点部材33’に接続された支持片34’を利用して下階の階段取付部F1に固定し、図11に示すように、最上段の踏板5の後側を支持するブラケット3は、その節点部材33に接続されたブラケット側部材9Aと上階の階段取付部F2に固定された躯体側部材9Bとを連結軸9Cを介して連結することにより上階の階段取付部F2に固定する。
【0059】
そして、図1に示すように、手摺支柱6,6,…の上端に手摺7を取り付け、手摺子61の貫通孔61c(図10参照)に線状部材64を挿通すると、本実施形態に係る階段が完成する。
【0060】
なお、図12に示す段板ユニットUは、施工現場において組み立ててもよいが、工場等において予め組み立てておけば、施工現場での作業がより一層容易になる。
【0061】
また、段板ユニットUの取付順序は、下段から順に取り付けるのが好適であるが、これに限定されることはなく、上段から順に取り付けてもよいし、中段から取り付けてもよい。
【0062】
なお、本実施形態では、立体トラス構造体Tと踏板5とを予め一体にしてなる段板ユニットUを支柱1の外周面に固定するという構築方法を例示したが、立体トラス構造体Tを支柱1の外周面に固定した後に、その上面に踏板5を固定するという構築方法を採用してもよいし、さらには、複数のベース2,2,…を支柱1の外周面に固定した後に、各ベース2に上フレーム31や下フレーム32を接続するという構築方法を採用してもよい。
【0063】
以上のように構成された本実施形態に係る階段によると、立体トラス構造体Tによって踏板5を支持する構成としたので、看者に軽快な印象を与えることが可能となる。しかも、この階段によれば、踏板5の後側を支持するブラケット3を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3が配置されているので、すっきりとした外観で、かつ、調和の取れた安定感のある外観を実現することができる。なお、細長の部材(上フレーム31および下フレーム32)を組み合わせて構成した立体トラス構造体Tは、高い曲げ剛性を備えていることから、踏板5を安定的に支持することが可能である。
【0064】
さらに、本実施形態においては、図2に示すように、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とを、節点部材33を介して連結し、さらに、上下に隣り合う節点部材33,33を互いに連結したので、一の踏板5に作用する荷重がその上下にある踏板5を支持するブラケット3に分散することになる。つまり、本実施形態に係る階段によれば、上下に隣り合う節点部材33,33を連結しない場合に比べて、上フレーム31等を軽構造にすることができる。
【0065】
しかも、本実施形態においては、上下に隣り合う節点部材33,33を、柱状部材35を介して互いに連結したので、蹴上げ高さごとにブラケット3を準備しておく必要がなくなる。つまり、一の階段の蹴上げ高さに合わせて製作したブラケット3を蹴上げ高さの異なる他の階段に使用する場合には、柱状部材35の高さ寸法のみを変更すればよく、ブラケット3については、蹴上げ高さの異なる階段に共通して使用することが可能となる。
【0066】
さらに、本実施形態に係る階段においては、図9に示すように、節点部材33に支持片34を接続するとともに、踏板5の先端部分を支持片34の上面に固定する構成としたので、例えば、上下に隣り合う節点部材33,33を連結した後であっても、踏板5を固定することが可能となり、あるいは、踏板5を取り外すことが可能となる。
【0067】
また、本実施形態に係る階段においては、ベース2と二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とで立体トラス構造体Tを形成するとともに、このトラス構造体Tと踏板5とを一体にした段板ユニットUを構成したので(図12参照)、組立作業の簡易化を図ることが可能となる。また、段板ユニットUを下段から順に取り付ける必要がないので、施工順序が限定され難くなり、さらに、階段の構築後においては、踏板一段分の段板ユニットUだけを取り外すことが可能となるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0068】
また、本実施形態に係る階段においては、図10に示すように、節点部材33の上面に手摺支柱6を立設し、上下に隣り合う節点部材33,33と手摺支柱6とを一直線上に配置したので、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0069】
なお、前記した本実施形態においては、同じ高さにあるブラケット3,3の基端同士を、ベース2を介して連結する構成を例示したが、例えば、図13に示す変形例のように、上下に隣り合うブラケット30,30の基端同士を、縦長のベース20を介して連結してもよい。つまり、上下に隣り合う二個一組のブラケット30,30とベース20とで平面トラス構造体T’を構成し、この平面トラス構造体T’を支柱1の外周面に固定する構成を採用してもよい。つまり、同一の鉛直面内にある二個一組のブラケット30,30の基端同士を、ベース20を介して連結してもよい。
【0070】
ここで、ベース20は、支柱本体11の外周面に取り付けられる縦長の部材からなり、その支柱本体11側との当接面が支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形されている。また、ベース20の支柱本体11とは反対側の面には、連結溝22aが上下方向に形成されている。なお、ベース20の連結溝22aの両側には、図示せぬボルト挿通孔が形成されていて、当該ボルト挿通孔に六角穴付きの皿ボルト(図示略)を挿通し、支柱本体11に形成された図示せぬネジ孔に螺合することでベース20が支柱本体11の外周面に固定される。
【0071】
また、図13に示す変形例においては、平面トラス構造体T’を構成する二個一組のブラケット30,30のうち、下側にあるブラケット30については、上フレーム31’の先端と下フレーム32の先端とが前記した節点部材33を介して連結されているが、上側にあるブラケット30については、上フレーム31’の先端と下フレーム32の先端とが節点部材33よりも長尺の節点部材33’(図8に示すものと同じもの)を介して連結されている。また、図13に示す変形例においては、上側にあるブラケット30の節点部材33’と下側にあるブラケット30の節点部材33とが直に連結されている。
【0072】
ここで、上フレーム31’の上部には、踏板5が載置される踏板支持部31bが形成されている。踏板支持部31bは、その上面が水平になっており、踏板5の下面に当接する。なお、上フレーム31’は、図14に示す断面のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものである。
【0073】
このように、上下に隣り合う二個一組のブラケット30,30を一体化して平面的なユニット(平面トラス構造体T’)を構成すると、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となり、さらには、ユニットが平面的であるが故に、複数のユニットを重ねた状態で運搬・保管することが可能となる。
【0074】
なお、前後に隣り合う節点部材33,33’を、連結フレーム4を介して互いに連結すると、前後に隣り合うブラケット30,30と連結フレーム4とで図2に示す立体トラス構造体Tと同様の立体トラス構造体が形成されることになるので、踏板5を安定的に支持することが可能である。
【0075】
なお、本実施形態に係る階段では、複数の手摺支柱6,6,…を縫うように複数の線状部材64が配置されているが、このほか、図示は省略するが、例えば、隣り合う手摺支柱6,6間にパネルを配置してもよい。なお、パネルについては、アクリルなどの透光性を有する板材のほか、木製の板材やアルミニウム合金製などの透光性を有さない板材で構成することができる。また、図示は省略するが、手摺支柱6,6の間に、一本以上の手摺支柱をさらに配置してもよい。
【0076】
<変形例>
前記した実施形態では、支柱1と最上段のブラケット3とを上階の階段取付部F2に直接的に固定する構成を例示したが、図15の(a)および(b)に示す本実施形態の変形例のように、踊場Lを介して間接的に上階の階段取付部F2に固定する構成であってもよい。
【0077】
踊場Lは、図15の(b)に示すように、トラス構造を基調とした支持構造体100と、この支持構造体100の上面に固定された一対の下地材200,200と、この下地材200,200の上面に固定された踊場用踏板300と、踊場手摺ユニット400とを備えている。
【0078】
図16の(a)は、図15の(b)のX2−X2断面図であるが、この図に示すように、支持構造体100は、支柱1と階段取付部F2との間に介設された内側トラス110と、最上段のブラケット3の先端部分(外縁部分)と階段取付部F2との間に介設された外側トラス120と、内側トラス110の前側と外側トラス120の前側とを連結する上下一対の前側連結フレーム131,131(図17の(a)参照)と、内側トラス111の後側と外側トラス120の後側とを連結する後側連結フレーム132と、内側トラス110の前側と外側トラス120の後側とを連結する第一斜めフレーム133と、この第一斜めフレーム133の下方において内側トラス110の後側と外側トラス120の前側とを連結する第二斜めフレーム134とを備えている。
【0079】
内側トラス110は、図15の(b)に示すように、水平に配置された第一フレーム111と、この第一フレーム111の下方において斜めに配置された第二フレーム112と、第一フレーム111の前端(支柱1側の端部)と第二フレーム112の前端とを連結する長尺の前側節点部材113と、第一フレーム111の後端(階段取付部F2側の端部)と第二フレーム112の後端とを連結する短尺の後側節点部材114と、を備えていて、側面視直角三角形状を呈している。
【0080】
ここで、第一フレーム111および第二フレームの構成は、それぞれ図5(a)に示す上フレーム31および下フレーム32と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、前側節点部材113の構成は、図8に示す節点部材33’と同様であるので、その詳細な説明は省略し、後側節点部材114の構成は、図6に示す節点部材33と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0081】
また、外側トラス120の構成は、内側トラス110と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0082】
前側連結フレーム131は、図16の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の前側節点部材123とを連結するものであって、水平に配置されている。上下一対の前側連結フレーム131,131のうち(図17の(a)参照)、上側の前側連結フレーム131は、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されており、また、図17の(a)に示すように、下側の前側連結フレーム131は、上側の前側連結フレーム131を含む鉛直面内に配置されている。なお、前側連結フレーム131の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0083】
後側連結フレーム132は、図17の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の後側節点部材124とを連結するものであって、水平に配置されている。図16の(a)に示すように、後側連結フレーム132は、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されている。なお、後側連結フレーム132の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0084】
第一斜めフレーム133は、図16の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の後側節点部材124とを連結するものであって、本実施形態では、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されている。なお、後側連結フレーム132の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0085】
第二斜めフレーム134は、図16の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の前側節点部材123とを連結するものであって、本実施形態では、内側トラス110の第二フレーム112と外側トラス120の第二フレーム122とを含む平面内に配置されている。
【0086】
なお、支持構造体100の組立は、前記した立体トラス構造体Tの組立方法に準じて行えばよい。
【0087】
内側トラス110の前側と支柱1の外周面との間には、図16の(a)に示すように、第一内側支承140が介設されており、内側トラス110の後側と階段取付部F2との間には、第二内側支承150が介設されている。また、外側トラス120の前側とブラケット3との間には、第一外側支承160が介設されており、外側トラス120の後側と階段取付部F2との間には、第二外側支承170が介設されている。さらに、外側トラス120の前側および後側には、階段取付部F2に直交する第二の階段取付部F2’との間に、補助支承180,180が介設されている。
【0088】
第一内側支承140は、図18の(a)に示すように、支柱1の外周面に取り付けられる支柱側部材141と、内側トラス110の前側節点部材113に取り付けられるトラス側部材142と、支柱側部材141とトラス側部材142とを連結する連結軸143とからなる。トラス側部材142は、偏平状の接続端部142aと、この接続端部142aから張り出すU字状の二股部142bとを有している。接続端部142aは、前側節点部材113の連結溝(図6に示す連結溝33aと同様のもの)に嵌合可能であり、接続端部34aの先端部分には、連結溝の凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、二股部142bには、支柱側部材141の突出部141aが挿入される。なお、支柱側部材141および連結軸143の構成は、図3に示す支柱側部材8Aおよび連結軸8Cと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0089】
第二内側支承150は、図18の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114に取り付けられるトラス側部材151と、階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材152と、トラス側部材151と躯体側部材152とを連結する連結軸153とからなる。なお、トラス側部材151、躯体側部材152および連結軸153の構成は、それぞれ、図11に示すブラケット側部材9A、躯体側部材9Bおよび連結軸9Cと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0090】
第一外側支承160は、図18の(c)に示すように、ブラケット3の節点部材33に取り付けられるブラケット側部材161と、外側トラス120の前側節点部材123に取り付けられるトラス側部材162と、ブラケット側部材161とトラス側部材162とを連結する連結軸163とからなる。なお、ブラケット側部材161および連結軸163の構成は、それぞれ図11に示すブラケット側部材9Aおよび連結軸9Cと同様であり、トラス側部材162の構成は、図18の(a)に示すトラス側部材142と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0091】
また、図16(a)に示す第二外側支承170および補助支承180の構成は、それぞれ第二内側支承150と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0092】
図15の(b)に示す下地材200は、本実施形態の変形例では、断面ハット状を呈する形材からなる。本実施形態の変形例においては、支持構造体100の上面に前後一対の下地材200,200が配置されているが、その前側(図15の(b)において支柱1側)の下地材200は、図17の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の前側節点部材123との間に架設されており、後側(図15の(b)において階段取付部F2側)の下地材200は、図17の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の後側節点部材124との間に架設されている。
【0093】
踊場用踏板300は、図15の(a)に示すように、平面視矩形形状を呈する板材からなり、下地材200(図15の(b)参照)のフランジ部から螺入されたビスによって下地材200の上面に固定される。
【0094】
踊場手摺ユニット400は、内側トラス110に沿って配置されており、踊場用踏板300を貫通して下地材200の凹溝内に立設される第一の手摺支柱6’,6’と、この第一の手摺支柱6’,6’の間において踊場用踏板300の上面に立設される複数の第二の手摺支柱6”,6”と、第一の手摺支柱6’および第二の手摺支柱6”の上端を繋ぐように配置された水平手摺7’とを備えている。
【0095】
ここで、第一の手摺支柱6’の構成は、図10に示す手摺支柱6と同様であるので、その詳細な説明は省略する。なお、第一の手摺支柱6’は、内側トラス110の前側節点部材113(あるいは後側節点部材114)の下側から挿通された図示せぬ長ボルト(図10に示す長ボルトB31と同様のもの)によって下地材200とともに前側節点部材113(あるいは後側節点部材114)に固定される。
【0096】
ちなみに、第二の手摺支柱6”は、踊場用踏板300の下側から螺入された図示せぬタッピングネジによって踊場用踏板300の上面に固定される。
【0097】
このように、階段の最上段と上階の階段取付部F2との間に踊場Lを介設すると、階段取付部F2(あるいは第二の階段取付部F2’)の形状や階段取付部F2と支柱1との位置関係などが建物ごとに異なる場合であっても、柔軟に対応することが可能となる。しかも、この踊場Lによれば、その支持構造体100がトラス構造を基調としているため、同じくトラス構造を基調とした本実施形態に係る階段と調和し、すっきりとした外観を維持することが可能となる。加えて、この踊場Lは、その支持構造体100がトラス構造を基調としているが故に、軽量かつ強固である。
【0098】
なお、図15の(b)に示すように、この変形例に係る踊場Lにおいては、踊場用踏板300を、その上面の高さ位置が階段の最上段の踏板5よりも上方でかつ上階の床面よりも下方になるように設置したが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、階高や階段取付部F2との取り合いによっては、踊場用踏板300の上面が階段の最上段の踏板5の上面と同じ高さになるように設置してもよいし、あるいは、上階の床面と同じ高さになるように設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施形態に係る階段を示す斜視図である。
【図2】踏板を支持する構造体を説明するための拡大斜視図である。
【図3】支柱の構成を説明するための分解斜視図である。
【図4】(a)はベースを示す斜視図、(b)はベースの上面図である。
【図5】(a)はブラケットを示す正面図、(b)は上フレームと節点部材との接続方法を説明するための斜視図、(c)は上フレームとベースとの接続方法を説明するための斜視図である。
【図6】節点部材を示す斜視図である。
【図7】支持片を示す斜視図である。
【図8】最下段のブラケットを示す拡大斜視図である。
【図9】踏板の取付方法を説明するための斜視図である。
【図10】(a)は手摺支柱の構成を説明するための分解斜視図、(b)は手摺子の拡大斜視図、(c)は下接続部材の拡大斜視図である。
【図11】側部支承の構成を説明するための分解斜視図である。
【図12】階段の構築方法を説明するための分解斜視図である。
【図13】踏板を支持する構造体の変形例を説明するための分解斜視図である。
【図14】上フレームの変形例を示す断面図である。
【図15】(a)は、本実施形態に係る階段の変形例を示す平面図、(b)は(a)のX1−X1断面図である。
【図16】(a)は図15の(b)のX2−X2断面図、(b)は図15の(b)のX3−X3断面図である。
【図17】(a)は図15の(b)のX4−X4断面図、(b)は図15の(b)のX5−X5断面図である。
【図18】(a)は図16の(a)のY1部分の拡大図、(b)は図16の(a)のY2部分の拡大図、(c)は図16の(a)のY3部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0100】
1 支柱
2 ベース
3 ブラケット
31 上フレーム
32 下フレーム
33 節点部材
34 支持片
35 柱状部材
4 連結フレーム
5 踏板
6 手摺支柱
7 手摺
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板を備える階段として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されたものが知られている。
【0003】
これらの階段は、支柱から平面視V字状に張り出す二つのブラケットで各踏板を支持するものであるが、細長のフレームを利用して各ブラケットを構成したことで、看者に軽快な印象を与えることに成功している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−76281号公報
【特許文献2】特開2004−76284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の階段においては、その構造上、各ブラケットの基端部(すなわち、支柱側の端部)に大きな曲げモーメントが作用することになるので、ブラケットの曲げ剛性を高めるための方策を講じる必要がある。
【0006】
すなわち、特許文献1の階段においては、水平に張り出す一本のフレームのみで各ブラケットが構成されていることから、その曲げ剛性を高めるためには、フレームの肉厚や外径を大きくする必要がある。ところが、フレームの外径等を大きくすると、フレーム自体が重厚になってしまうので、軽快な印象が薄れる虞がある。また、特許文献2についても、各踏板の前側を支持するブラケットが、一本のフレームのみで構成されていることから、特許文献1の階段と同様の問題が発生する虞がある。
【0007】
また、特許文献1および特許文献2の階段では、フレームの基端部が接続されたリング部材を支柱に環装して積層する構成を採用していることから、下段から順に構築せざるを得ないという問題があり、さらに、階段を構築した後に、中段にあるリング部材を容易に取り外すことができないという問題もある。つまり、特許文献1および特許文献2の階段では、その施工順序が限定されるとともに、構築後にメンテナンスや交換作業等を行い難いという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、支柱の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板を備える階段であって、踏板を支持するブラケットが高い曲げ剛性を備えながらも看者に軽快な印象を与えることが可能な階段を提供することを課題とし、加えて、施工順序が限定され難く、かつ、構築後にメンテナンスや交換作業を行い易い階段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、支柱の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板のそれぞれが、前記支柱から平面視V字状に張り出した一対のブラケットによって支持されている階段であって、前記各ブラケットは、前記支柱の外周面から水平に張り出す上フレームと、前記上フレームの下方において前記支柱の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレームとを備えて構成されており、前記上フレームの先端と前記下フレームの先端とが互いに連結されていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、要するに、上フレームと下フレームとを正面視横V字状に組み立ててなるブラケットを二個一組にして平面視V字状に配置したところに特徴がある。このような階段によれば、各ブラケットが平面トラス構造となるので、フレームを利用していながらも高い曲げ剛性を備えることとなり、かつ、看者に軽快な印象を与えることが可能となる。また、本発明に係る階段によれば、同一の外観を呈する複数のブラケットが、支柱の周囲に規則正しく配置されることになるので、調和の取れた安定感のある外観を呈することになる。
【0011】
なお、本発明においては、前記踏板の後側を支持する前記ブラケットを含む鉛直面内に、一段上の前記踏板の前側を支持する前記ブラケットを配置するとよい。このようにすると、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0012】
また、本発明においては、前記一対のブラケットの基端同士を、前記支柱の外周面に固定されたベースを介して互いに連結してもよい。つまり、各踏板を支持する二個一組のブラケットを、ベースを介して支柱の外周面に固定してもよい。このような構成を採用すると、一の踏板を支持する二個一組のブラケットをユニット化(一体化)しておくことが可能となるので、組立作業の簡易化を図ることが可能となる。また、ベースを外周面に固定する構成を採用すると、二個一組のブラケットからなるユニットを下段から順に取り付ける必要がなくなるので、施工順序が限定され難くなり、さらに、階段の構築後においては、踏板一段分のユニットだけを取り外すことが可能となるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0013】
なお、一対のブラケットの基端同士をベースで連結した場合には、前記各踏板の基端部分を前記ベースの上面に固定してもよい。このようにすると、各踏板をしっかりと固定することが可能となり、加えて、支柱の外周面まで踏板を配置することが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、上下に隣り合う前記ブラケットの基端同士を、前記支柱の外面に固定されたベースを介して互いに連結してもよい。つまり、上下に隣り合う二個一組のブラケットを、ベースを介して支柱の外周面に固定してもよい。このような構成を採用すると、上下に隣り合う二個一組のブラケットをユニット化(一体化)しておくことが可能となるので、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となる。また、ベースを外周面に固定する構成にしておけば、二個一組のブラケットからなるユニットを下段から順に取り付ける必要がなくなるので、施工順序が限定され難くなり、さらに、階段の構築後においては、中段にあるユニットだけを取り外すことが可能となるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0015】
ここで、各ブラケットを構成する前記上フレーム材と前記下フレームについては、その先端同士を、節点部材を介して互いに連結するとよい。
【0016】
また、上フレームの先端と下フレームの先端とを節点部材を介して互いに連結した場合には、前後に隣り合う前記節点部材同士を、連結フレームを介して互いに連結してもよい。このようにすると、同一の高さに位置する一対のブラケットと連結フレームとによって、四面体を呈する立体的なトラス構造体が形成されることになるので、各踏板をより安定的に支持することが可能となる。
【0017】
さらに、前記上フレームの先端と前記下フレームの先端とを、節点部材を介して互いに連結した場合には、上下に隣り合う前記節点部材同士を、互いに連結してもよい。このようにすると、一の踏板に作用する荷重がその上下にある踏板を支持するブラケットに分散することになるので、節点部材同士を連結しない場合に比べて、フレーム等を軽構造にすることができる。
【0018】
なお、上下方向に隣り合う前記節点部材同士を、柱状部材を介して互いに連結してもよい。このようにすると、蹴上げ高さごとにブラケットを準備しておく必要がなくなる。つまり、一の階段に合わせて製作したブラケットを蹴上げ高さの異なる他の階段に使用する場合には、柱状部材の高さ寸法を蹴上げ高さに応じて調整するだけでよく、同一寸法のブラケットを蹴上げ高さの異なる階段に共通して使用することが可能となる。なお、上下に隣り合う節点部材同士を柱状部材を介して連結した場合も、一の踏板に作用する荷重がその上下にある踏板を支持するブラケットに分散することになるので、節点部材同士を連結しない場合に比べて、フレーム等を軽構造にすることができる。
【0019】
また、上フレームと下フレームとを節点部材を介して連結した場合には、前記各節点部材に、前記各踏板の下面に沿って張り出す支持片を接続するとともに、前記各踏板の先端部分を前記支持片の上面に固定してもよい。このようにすると、例えば、上下に隣り合う節点部材同士を連結した後であっても、各踏板を固定することが可能となり、あるいは、各踏板を取り外すことが可能となる。
【0020】
なお、本発明においては、前記節点部材の上面に、手摺を支持する手摺支柱を立設してもよい。このようにすると、上下に隣り合う節点部材と手摺支柱とが一直線上に配置されることになるので、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る階段によると、踏板を支持するブラケットが高い曲げ剛性を備えながらも看者に軽快な印象を与えることが可能となる。加えて、本発明に係る階段によると、施工順序が限定され難く、かつ、構築後にメンテナンスや交換作業を行い易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態における「前後」は、階段の上り方向を向いたときを基準とする。
【0023】
<全体構成>
本実施形態に係る階段は、図1に示すように、支柱1の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板5,5,…のそれぞれが、支柱1から平面視(上面視)V字状に張り出した一対のブラケット3,3によって支持された階段である。また、本実施形態においては、複数の踏板5,5,…の先端部分(外縁部分)を取り巻くように複数の手摺支柱6,6,…が立設されており、これらの上端を繋ぐように手摺7が配置されている。
【0024】
なお、図2に示すように、各ブラケット3は、正面視横V字状を呈しており、かつ、同一の高さに位置する一対のブラケット3,3は、その基端同士が支柱1の外周面に固定されたベース2を介して互いに連結されており、その先端同士が連結フレーム4を介して互いに連結されている。つまり、本実施形態においては、ベース2と前後に隣り合う二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とによって四面体を呈する立体トラス構造体Tが形成されており、この立体トラス構造体Tに踏板5が支持されている、と言える。
【0025】
<支柱>
支柱1は、図3に示すように、鉛直方向に立設される支柱本体11と、支柱本体11の下端と下階の階段取付部F1(図1参照)との間に介設される支持部材12とを備えている。
【0026】
支柱本体11は、本実施形態では、円環状の断面を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。支柱本体11の外周面であってベース2が固定される領域Aには、複数(本実施形態では三つ)のネジ孔11a,11a,11aが形成されており、支柱本体11の下面には、複数の有底のネジ穴11b,11b,…が形成されている。外周面のネジ孔11aには、ベース2を固定するための六角穴付きのボルトB21が螺合され、下面のネジ穴11bには、支持部材12を固定するための六角穴付きのボルトB11が螺合される。なお、支柱本体11の内部は、密実であっても差し支えない。また、図示は省略するが、支柱本体11の外形を多角形としても差し支えない。
【0027】
支持部材12は、支柱本体11よりも径の大きいアルミニウム合金製の円板からなり、ボルトB11によって支柱本体11の下端に固定される。支持部材12の上面には、支柱本体11の下端部分が嵌め込まれる円形の凹部12aが形成されており、この凹部12aには、支柱本体11の複数のネジ穴11b,11b,…に対応する複数のボルト挿通孔12b,12b,…が形成されている。このボルト挿通孔12bには、ボルトB11が支持部材12の下面側から挿通される。また、凹部12aの外周側にも、複数のボルト挿通孔12c,12c,…が形成されている。このボルト挿通孔12cには、支持部材12を下階の階段取付部F1(図1参照)に固定するためのボルトB12が挿通される。
【0028】
<ベース>
ベース2は、図4の(a)に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられるブロック状の部材からなり、図4の(b)にも示すように、支柱本体11との当接面21が支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形されている。
【0029】
ベース2には、当接面21とは反対側の面22に、一対の連結溝22a,22aが上下方向に形成されている。なお、連結溝22aは、支柱本体11の半径方向に沿って形成されており、連結溝22aの内壁面には、凹凸が形成されている。また、一対の連結溝22a,22aの間には、支柱本体11の領域A(図3参照)に形成されたネジ孔11a,11a,11a(図3参照)に対応する複数(本実施形態では三つ)の段付きのボルト挿通孔22b,22b,22bが形成されている。
【0030】
ベース2の上面23には、その中央部に有底のネジ穴23aが形成されている。このネジ穴23aには、踏板5の基端部を固定するための六角穴付きの皿ボルトB51(図9参照)が螺合される。
【0031】
<ブラケット>
ブラケット3は、図5の(a)に示すように、支柱1の外周面から水平に張り出す上フレーム31と、この上フレーム31の下方において支柱1の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレーム32と、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とを連結する節点部材33とを備えていて、正面視横V字状を呈している。なお、本実施形態に係るブラケット3は、図2に示すように、節点部材33に接続された支持片34を備えている。
【0032】
上フレーム31は、図5の(a)に示すように、その基端部がベース2の上部に接続され、ベース2を介して支柱1の外周面に固定される。上フレーム31は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部31aを有している。接続端部31aは、中空押出形材の端部をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。接続端部31aは、図5の(b)および(c)に示すように、ベース2の連結溝22a(図5の(c)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図5の(b)参照)に嵌合可能であり、接続端部31aの先端部分には、ベース2の連結溝22aの凹凸あるいは後記する節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が上フレーム31の軸線に直交する方向(図5の(a)において上下方向)に沿って形成されている。このようにしておくと、上フレーム31に大きな軸力(引張力)が作用しても、これがベース2や節点部材33から引き抜かれることがない。なお、接続端部31aがベース2および節点部材33の軸線方向に長い偏平状に形成されていることから、上フレーム31と節点部材33との接続構造は、ベース2および節点部材33の軸線方向(つまり、上下方向)の外力に対する強度が高い。
【0033】
下フレーム32は、図5の(a)に示すように、その基端部がベース2の下部に接続され、ベース2を介して支柱1の外周面に固定される。下フレーム32は、アルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部32aを有している。接続端部32aは、ベース2の連結溝22a(図5の(c)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図5の(b)参照)に嵌合可能であり、その先端部分には、上フレーム31の凹凸と同様の凹凸が形成されている。なお、接続端部32aの凹凸は、下フレーム32の軸線に対して角度αをなす方向に沿って形成されている。これにより、下フレーム32は、その軸線がベース2および節点部材33の軸線に対して角度αだけ傾斜した状態でベース2および節点部材33に接続されることになる。
【0034】
節点部材33は、図6に示すように、円柱形状を呈しており、その外周面には、その中心線方向に沿って複数(本実施形態では三つ)の連結溝33a,33a,…が形成されている。連結溝33aの内壁面には、その中心線方向(図6では上下方向)に沿って凹凸が形成されている。また、節点部材33の中心線上には、ボルト挿通孔33bが形成されている。節点部材33は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝33aおよびボルト挿通孔33bは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。なお、節点部材33は、鋳造により製作してもよい。また、節点部材33の形状も図示のものに限定されることはなく、例えば、多角柱形状にしても差し支えない。
【0035】
図2に示す支持片34は、踏板5の先端部分(外縁部分)を支持するものであって、節点部材33から踏板5の下面に沿って張り出している。支持片34は、図7に示すように、偏平状の接続端部34aと、この接続端部34aから張り出す張出部34bとを有している。接続端部34aは、節点部材33の連結溝33a(図6参照)に嵌合可能であり、接続端部34aの先端部分には、節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、張出部34bには、これを上下方向に貫通するネジ孔34cが形成されている。このネジ孔34cには、踏板5の先端部分を固定するための六角穴付きの皿ボルトB52(図9参照)が螺合される。
【0036】
ここで、上下に隣り合うブラケット3,3の関係を、図2を参照して詳細に説明する。この図に示すように、本実施形態においては、踏板5の後側を支持するブラケット3を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3が配置されており、かつ、上下に隣り合う節点部材33,33同士が柱状部材35を介して互いに連結されている。なお、柱状部材35は、節点部材33と同一の直径を有するアルミニウム合金製の円柱であり、その中心には、図示せぬボルト挿通孔が形成されている。
【0037】
このように、本実施形態においては、隣接するブラケット3,3は、その外周部において互いに連結されており、一段下のブラケット3がその上段のブラケット3を支持している。なお、最下段の踏板5の前側を支持するブラケット3’(図1参照)については、その先端部分(図1のB部分)が下階の階段取付部F1に支持されている。図8を参照してより詳細に説明すると、ブラケット3’については、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端を連結する節点部材33’の長さが、その他のブラケット3の節点部材33(図6参照)よりも大きくなっていて、その下端部に接続された一対の支持片34’,34’を介して下階の階段取付部F1に固定されている。なお、支持片34’は、踏板5を支持する支持片34(図7参照)の上下を逆さにしたものなので、その詳細な説明を省略する。また、節点部材33’と下階の階段取付部F1との間には、ワッシャ36’が介設されている。
【0038】
<連結フレーム>
図2に示すように、連結フレーム4は、前後に隣り合う節点部材33,33を連結するものであって、本実施形態では水平に配置されており、同一の高さに位置する節点部材33,33を互いに連結している。連結フレーム4は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その端部に偏平状の接続端部4aを有している。接続端部4aは、節点部材33の連結溝33a(図5の(b)参照)に嵌合可能であり、接続端部4aの先端部分には、上フレーム31(図5の(b)参照)と同様の凹凸が形成されている。
【0039】
<立体トラス構造体の組立方法>
ここで、図2を参照してベース2と二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とで構成される立体トラス構造体Tの組立方法を説明する。立体トラス構造体Tを組み立てるには、ベース2の二つの連結溝22a,22a(図4の(a)参照)のそれぞれに、上フレーム31の一端および下フレーム32の一端を接続するとともに、上フレーム31の他端および下フレームの他端を節点部材33に接続して二つのブラケット3,3を形成したうえで、前後に隣り合う節点部材33,33を連結フレーム4で連結し、さらに、節点部材33に支持片34を接続すればよい。なお、上フレーム31をベース2に接続するには、図5の(c)に示すように、ベース2の上面側(あるいは下面側)から、上フレーム31の接続端部31aに形成された凹凸をベース2の連結溝22aに挿入すればよく、溶接や特別な工具は必要ない。上フレーム31の節点部材33への接続方法、下フレーム32のベース2および節点部材33への接続方法および連結フレーム4の節点部材33への接続方法も同様である。
【0040】
なお、ベース2の下面には、上フレーム31および下フレーム32の下方向への抜け出しを防止する板状の規制部材24(図4の(a)参照)が固着される。また、ベース2の連結溝22aには、上フレーム31の接続端部31aと下フレーム32の接続端部32aとの間に、連結溝22aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入され、節点部材33の連結溝33aには、支持片34の接続端部34a(図7参照)の下側および連結フレーム4の接続端部4a(図2参照)の下側に、連結溝33aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入される。なお、連結溝22aと接続端部31a等との間に生じる微細な隙間を埋めるべく、この隙間に接着剤などを流し込んでもよい。
【0041】
<踏板>
踏板5は、図9に示すように、略扇形状を呈する板材からなり、その基端部分(支柱1側の端部)がベース2の上面に固定され、先端部分(外縁部分)が支持片34の上面に固定される。踏板5の基端側の縁辺5aは、支柱1の外周面に合わせて円弧状に成形されており、支柱1の外周面に当接している。また、踏板5の先端側の縁辺5bも円弧状に成形されている。なお、踏板5の先端側の角部5c,5cは、柱状部材35の外形に合わせて切り欠かれている。なお、踏板5は、例えば、アルミニウム合金製としてもよいし、木製やガラス製としても差し支えない。
【0042】
なお、踏板5の基端部分をベース2の上面に固定すると、踏板5の基端部分をしっかりと固定することが可能となる。また、踏板5の基端側の縁辺5aを、支柱1の外周面に合わせて円弧状に成形すると、踏板5の縁辺5aが支柱1の外周面にぴったりと当接することになるので、すっきりとした外観となる。
【0043】
<手摺支柱>
手摺支柱6は、図10の(a)に示すように、手摺子61と、この手摺子61の上端に取り付けられる上接続部材62と、手摺子61の下端に取り付けられる下接続部材63とを備えていて、本実施形態では、節点部材33の上面に立設される。
【0044】
手摺子61は、本実施形態では、略矩形の外形を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。手摺子61の内部には、図10の(b)にも示すように、四つのビスホール61a,61a,…と、四つの溝部61b,61b,…とが形成されている。また、手摺子61の側面には、複数の貫通孔61c,61c,…が形成されている。この貫通孔61cには、ワイヤー等の線状部材64(図1参照)が挿通される。なお、図示は省略するが、支柱本体11の外形を円形としても差し支えない。
【0045】
上接続部材62は、図10の(a)に示すように、手摺子61の上端部と手摺7との間に介設されるものであって、手摺子61の上端面に当接するフランジ部62aと、このフランジ部62aの下面に突設された下側突部62bと、フランジ部62aの上面に斜めに突設された上側突部62cと、上側突部62cの上端に設けられた取付部62dとを備えている。下側突部62bは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されている。また、取付部62dは、手摺7の下面に当接可能な形状に成形されている。なお、上接続部材62を手摺子61の上端部に固定するには、下側突部62bを手摺子61の内部に挿入したうえで、手摺子61の側面から、下側突部62bを貫通するタッピングネジB62を螺入すればよい。
【0046】
下接続部材63は、手摺子61の下端部と節点部材33との間に介設されるものであって、節点部材33の上面に当接する基部63aと、この基部63aの上面に突設された挿入部63cとを備えている。基部63aは、節点部材33と同一の外径を有する円板状に成形されており、手摺子61のビスホール61a,61a,…(図10の(b)参照)に対応する位置には、図10の(c)にも示すように、挿通孔63b,63b,…が形成されている。この挿通孔63bには、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するためのタッピングネジB63(図10の(a)参照)が挿通される。挿入部63cは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されており、かつ、その外周部には、手摺子61の溝部61bに係合する係合突部63dが形成されている。また、挿入部63cの中央部には、ネジ孔63eが形成されている。このネジ孔63eには、節点部材33のボルト挿通孔33b(図6参照)に挿通された長ボルトB31(図10の(a)参照)が螺合される。なお、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するには、挿入部63cを手摺子61の内部に挿入したうえで、基部63aの挿通孔63bにタッピングネジB63を挿通し、その先端部を手摺子61のビスホール61aに螺入すればよい。
【0047】
<手摺>
図1に示す手摺7は、複数の手摺支柱6,6,…を縫うように配置されており、本実施形態では、螺旋状に曲げ加工が施されたアルミニウム合金製の押出形材からなる。なお、手摺7を手摺支柱6の上端部に固定するには、手摺7の下面に図10に示す上接続部材62の取付部62dを当接させたうえで、取付部62dの下面から図示せぬタッピングネジを螺入すればよい。
【0048】
<その他>
図1に示すように、本実施形態に係る階段においては、支柱1の外周面と上階の階段取付部(梁や壁など)F2との間に中央支承8が介設されており、最上段のブラケット3と上階の階段取付部F2との間に側部支承9が介設されている。
【0049】
中央支承8は、図3に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられる支柱側部材8Aと、上階の階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材8Bと、支柱側部材8Aと躯体側部材8Bとを連結する連結軸8Cとからなる。
【0050】
支柱側部材8Aは、支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形された支柱当接部81と、この支柱当接部81に突設された突出部82とを備えている。支柱当接部81には、突出部82の両側のそれぞれに、ボルト挿通孔81a,81aが形成されており、突出部82には、その中央部に貫通孔82aが形成されている。支柱当接部81のボルト挿通孔81aには、六角穴付きのボルトB81が挿通され、このボルトB81は、支柱本体11に形成されたネジ孔11cに螺合される。なお、支柱側部材8Aは、アルミニウム合金を鋳造して形成してもよいし、アルミニウム合金製の押出形材を加工して形成してもよい。
【0051】
躯体側部材8Bは、階段取付部F2に取り付けられる躯体当接部83と、この躯体当接部83の中央に突設された一対の保持部84,84とを備えている。躯体当接部83には、一対の保持部84,84の両側のそれぞれに、図示せぬボルト挿通孔が形成されており、このボルト挿通孔にボルトB82が挿通されている。いる。また、一対の保持部84,84は、支柱側部材8Aの突出部82を挿入可能な間隔をもって対峙しており、各保持部84の中央部には、貫通孔84aが形成されている。なお、支柱側部材8Aは、アルミニウム合金を鋳造して形成してもよいし、アルミニウム合金製の押出形材を加工して形成してもよい。
【0052】
連結軸8Cは、支柱側部材8Aの突出部82に設けられた貫通孔82aおよび躯体側部材8Bの一対の保持部84,84に設けられた貫通孔84aに挿通されるボルト85と、このボルト85に螺合するナット86とで構成されている。なお、ボルト85の頭部およびナット86には、これを覆い隠すキャップ87が取り付けられる。
【0053】
なお、支柱側部材8Aと躯体側部材8Bとを連結するには、支柱側部材8Aの突出部82を躯体側部材8Bの一対の保持部84,84の間に挿入したうえで、支柱側部材8Aの突出部82の貫通孔82aおよび躯体側部材8Bの各保持部84の貫通孔84aにボルト85を挿通し、その軸部にナット86を螺合すればよい。
【0054】
側部支承9は、図11に示すように、節点部材33に取り付けられるブラケット側部材9Aと、上階の階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材9Bと、ブラケット側部材9Aと躯体側部材9Bとを連結する連結軸9Cとからなる。なお、躯体側部材9Bおよび連結軸9Cの構成は、前記した中央支承8の躯体側部材8Bおよび連結軸8Cの構成と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0055】
ブラケット側部材9Aは、節点部材33から階段取付部F2に向かって張り出す板状の部材からなり、節点部材33の連結溝33a(図6参照)に接続される偏平状の接続端部91aと、躯体側部材9Aの一対の保持部94,94の間に挿入される挿入部91bとを備えている。接続端部91aの先端部分には、節点部材33の連結溝33a(図6参照)の凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、挿入部91bには、貫通孔91cが形成されており、この貫通孔91cに連結軸9Cを構成するボルト95が挿通される。
【0056】
<階段の構築方法>
次に、以上のように構成された階段の構築方法を詳細に説明する。まず、図12に示すように、下階の階段取付部F1に支柱1を立設固定するとともに、上階の階段取付部F2と支柱1との間に中央支承8を介設し(図3参照)、支柱1を上階の階段取付部F2に固定する。なお、支柱1を下階の階段取付部F1に固定するには、支持部材12のボルト挿通孔12c(図3参照)に、その上側からボルトB12を挿通し、ボルトB12を階段取付部の適所に螺合すればよい。
【0057】
続いて、四面体を呈する立体トラス構造体Tと踏板5とを含む段板ユニットU,U,…を支柱1の外周面に取り付けるとともに、下段の踏板5の後側を支持するブラケット3とその一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3(すなわち、同一の鉛直面内にあるブラケット3,3)を互いに連結する。同一の鉛直面内にあるブラケット3,3を連結するには、図10にも示すように、上下に隣り合う節点部材33,33の間に柱状部材35を介設するとともに、上側の節点部材33の上面に手摺支柱6を立設し、さらに下側の節点部材33の下面に上フレーム31等の抜け出しを防止するワッシャ36をあてがったうえで、ワッシャ36の下方から、下側の節点部材33のボルト挿通孔33b(図6参照)と柱状部材35の図示せぬボルト挿通孔と上側の節点部材33のボルト挿通孔33bとに長ボルトB31を挿通し、その先端を、手摺支柱6の挿入部63cに形成されたネジ孔63eに螺合すればよい。なお、長ボルトB31の頭部には、これを覆い隠すキャップ37が取り付けられる。
【0058】
なお、図12に示すように、最下段の踏板5の前側を支持するブラケット3’は、その節点部材33’に接続された支持片34’を利用して下階の階段取付部F1に固定し、図11に示すように、最上段の踏板5の後側を支持するブラケット3は、その節点部材33に接続されたブラケット側部材9Aと上階の階段取付部F2に固定された躯体側部材9Bとを連結軸9Cを介して連結することにより上階の階段取付部F2に固定する。
【0059】
そして、図1に示すように、手摺支柱6,6,…の上端に手摺7を取り付け、手摺子61の貫通孔61c(図10参照)に線状部材64を挿通すると、本実施形態に係る階段が完成する。
【0060】
なお、図12に示す段板ユニットUは、施工現場において組み立ててもよいが、工場等において予め組み立てておけば、施工現場での作業がより一層容易になる。
【0061】
また、段板ユニットUの取付順序は、下段から順に取り付けるのが好適であるが、これに限定されることはなく、上段から順に取り付けてもよいし、中段から取り付けてもよい。
【0062】
なお、本実施形態では、立体トラス構造体Tと踏板5とを予め一体にしてなる段板ユニットUを支柱1の外周面に固定するという構築方法を例示したが、立体トラス構造体Tを支柱1の外周面に固定した後に、その上面に踏板5を固定するという構築方法を採用してもよいし、さらには、複数のベース2,2,…を支柱1の外周面に固定した後に、各ベース2に上フレーム31や下フレーム32を接続するという構築方法を採用してもよい。
【0063】
以上のように構成された本実施形態に係る階段によると、立体トラス構造体Tによって踏板5を支持する構成としたので、看者に軽快な印象を与えることが可能となる。しかも、この階段によれば、踏板5の後側を支持するブラケット3を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するブラケット3が配置されているので、すっきりとした外観で、かつ、調和の取れた安定感のある外観を実現することができる。なお、細長の部材(上フレーム31および下フレーム32)を組み合わせて構成した立体トラス構造体Tは、高い曲げ剛性を備えていることから、踏板5を安定的に支持することが可能である。
【0064】
さらに、本実施形態においては、図2に示すように、上フレーム31の先端と下フレーム32の先端とを、節点部材33を介して連結し、さらに、上下に隣り合う節点部材33,33を互いに連結したので、一の踏板5に作用する荷重がその上下にある踏板5を支持するブラケット3に分散することになる。つまり、本実施形態に係る階段によれば、上下に隣り合う節点部材33,33を連結しない場合に比べて、上フレーム31等を軽構造にすることができる。
【0065】
しかも、本実施形態においては、上下に隣り合う節点部材33,33を、柱状部材35を介して互いに連結したので、蹴上げ高さごとにブラケット3を準備しておく必要がなくなる。つまり、一の階段の蹴上げ高さに合わせて製作したブラケット3を蹴上げ高さの異なる他の階段に使用する場合には、柱状部材35の高さ寸法のみを変更すればよく、ブラケット3については、蹴上げ高さの異なる階段に共通して使用することが可能となる。
【0066】
さらに、本実施形態に係る階段においては、図9に示すように、節点部材33に支持片34を接続するとともに、踏板5の先端部分を支持片34の上面に固定する構成としたので、例えば、上下に隣り合う節点部材33,33を連結した後であっても、踏板5を固定することが可能となり、あるいは、踏板5を取り外すことが可能となる。
【0067】
また、本実施形態に係る階段においては、ベース2と二個一組のブラケット3,3と連結フレーム4とで立体トラス構造体Tを形成するとともに、このトラス構造体Tと踏板5とを一体にした段板ユニットUを構成したので(図12参照)、組立作業の簡易化を図ることが可能となる。また、段板ユニットUを下段から順に取り付ける必要がないので、施工順序が限定され難くなり、さらに、階段の構築後においては、踏板一段分の段板ユニットUだけを取り外すことが可能となるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0068】
また、本実施形態に係る階段においては、図10に示すように、節点部材33の上面に手摺支柱6を立設し、上下に隣り合う節点部材33,33と手摺支柱6とを一直線上に配置したので、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0069】
なお、前記した本実施形態においては、同じ高さにあるブラケット3,3の基端同士を、ベース2を介して連結する構成を例示したが、例えば、図13に示す変形例のように、上下に隣り合うブラケット30,30の基端同士を、縦長のベース20を介して連結してもよい。つまり、上下に隣り合う二個一組のブラケット30,30とベース20とで平面トラス構造体T’を構成し、この平面トラス構造体T’を支柱1の外周面に固定する構成を採用してもよい。つまり、同一の鉛直面内にある二個一組のブラケット30,30の基端同士を、ベース20を介して連結してもよい。
【0070】
ここで、ベース20は、支柱本体11の外周面に取り付けられる縦長の部材からなり、その支柱本体11側との当接面が支柱本体11の外周面の形状に合わせて成形されている。また、ベース20の支柱本体11とは反対側の面には、連結溝22aが上下方向に形成されている。なお、ベース20の連結溝22aの両側には、図示せぬボルト挿通孔が形成されていて、当該ボルト挿通孔に六角穴付きの皿ボルト(図示略)を挿通し、支柱本体11に形成された図示せぬネジ孔に螺合することでベース20が支柱本体11の外周面に固定される。
【0071】
また、図13に示す変形例においては、平面トラス構造体T’を構成する二個一組のブラケット30,30のうち、下側にあるブラケット30については、上フレーム31’の先端と下フレーム32の先端とが前記した節点部材33を介して連結されているが、上側にあるブラケット30については、上フレーム31’の先端と下フレーム32の先端とが節点部材33よりも長尺の節点部材33’(図8に示すものと同じもの)を介して連結されている。また、図13に示す変形例においては、上側にあるブラケット30の節点部材33’と下側にあるブラケット30の節点部材33とが直に連結されている。
【0072】
ここで、上フレーム31’の上部には、踏板5が載置される踏板支持部31bが形成されている。踏板支持部31bは、その上面が水平になっており、踏板5の下面に当接する。なお、上フレーム31’は、図14に示す断面のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものである。
【0073】
このように、上下に隣り合う二個一組のブラケット30,30を一体化して平面的なユニット(平面トラス構造体T’)を構成すると、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となり、さらには、ユニットが平面的であるが故に、複数のユニットを重ねた状態で運搬・保管することが可能となる。
【0074】
なお、前後に隣り合う節点部材33,33’を、連結フレーム4を介して互いに連結すると、前後に隣り合うブラケット30,30と連結フレーム4とで図2に示す立体トラス構造体Tと同様の立体トラス構造体が形成されることになるので、踏板5を安定的に支持することが可能である。
【0075】
なお、本実施形態に係る階段では、複数の手摺支柱6,6,…を縫うように複数の線状部材64が配置されているが、このほか、図示は省略するが、例えば、隣り合う手摺支柱6,6間にパネルを配置してもよい。なお、パネルについては、アクリルなどの透光性を有する板材のほか、木製の板材やアルミニウム合金製などの透光性を有さない板材で構成することができる。また、図示は省略するが、手摺支柱6,6の間に、一本以上の手摺支柱をさらに配置してもよい。
【0076】
<変形例>
前記した実施形態では、支柱1と最上段のブラケット3とを上階の階段取付部F2に直接的に固定する構成を例示したが、図15の(a)および(b)に示す本実施形態の変形例のように、踊場Lを介して間接的に上階の階段取付部F2に固定する構成であってもよい。
【0077】
踊場Lは、図15の(b)に示すように、トラス構造を基調とした支持構造体100と、この支持構造体100の上面に固定された一対の下地材200,200と、この下地材200,200の上面に固定された踊場用踏板300と、踊場手摺ユニット400とを備えている。
【0078】
図16の(a)は、図15の(b)のX2−X2断面図であるが、この図に示すように、支持構造体100は、支柱1と階段取付部F2との間に介設された内側トラス110と、最上段のブラケット3の先端部分(外縁部分)と階段取付部F2との間に介設された外側トラス120と、内側トラス110の前側と外側トラス120の前側とを連結する上下一対の前側連結フレーム131,131(図17の(a)参照)と、内側トラス111の後側と外側トラス120の後側とを連結する後側連結フレーム132と、内側トラス110の前側と外側トラス120の後側とを連結する第一斜めフレーム133と、この第一斜めフレーム133の下方において内側トラス110の後側と外側トラス120の前側とを連結する第二斜めフレーム134とを備えている。
【0079】
内側トラス110は、図15の(b)に示すように、水平に配置された第一フレーム111と、この第一フレーム111の下方において斜めに配置された第二フレーム112と、第一フレーム111の前端(支柱1側の端部)と第二フレーム112の前端とを連結する長尺の前側節点部材113と、第一フレーム111の後端(階段取付部F2側の端部)と第二フレーム112の後端とを連結する短尺の後側節点部材114と、を備えていて、側面視直角三角形状を呈している。
【0080】
ここで、第一フレーム111および第二フレームの構成は、それぞれ図5(a)に示す上フレーム31および下フレーム32と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、前側節点部材113の構成は、図8に示す節点部材33’と同様であるので、その詳細な説明は省略し、後側節点部材114の構成は、図6に示す節点部材33と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0081】
また、外側トラス120の構成は、内側トラス110と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0082】
前側連結フレーム131は、図16の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の前側節点部材123とを連結するものであって、水平に配置されている。上下一対の前側連結フレーム131,131のうち(図17の(a)参照)、上側の前側連結フレーム131は、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されており、また、図17の(a)に示すように、下側の前側連結フレーム131は、上側の前側連結フレーム131を含む鉛直面内に配置されている。なお、前側連結フレーム131の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0083】
後側連結フレーム132は、図17の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の後側節点部材124とを連結するものであって、水平に配置されている。図16の(a)に示すように、後側連結フレーム132は、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されている。なお、後側連結フレーム132の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0084】
第一斜めフレーム133は、図16の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の後側節点部材124とを連結するものであって、本実施形態では、内側トラス110の第一フレーム111と外側トラス120の第一フレーム121とを含む平面(水平面)内に配置されている。なお、後側連結フレーム132の構成は、図2に示す連結フレーム4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0085】
第二斜めフレーム134は、図16の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の前側節点部材123とを連結するものであって、本実施形態では、内側トラス110の第二フレーム112と外側トラス120の第二フレーム122とを含む平面内に配置されている。
【0086】
なお、支持構造体100の組立は、前記した立体トラス構造体Tの組立方法に準じて行えばよい。
【0087】
内側トラス110の前側と支柱1の外周面との間には、図16の(a)に示すように、第一内側支承140が介設されており、内側トラス110の後側と階段取付部F2との間には、第二内側支承150が介設されている。また、外側トラス120の前側とブラケット3との間には、第一外側支承160が介設されており、外側トラス120の後側と階段取付部F2との間には、第二外側支承170が介設されている。さらに、外側トラス120の前側および後側には、階段取付部F2に直交する第二の階段取付部F2’との間に、補助支承180,180が介設されている。
【0088】
第一内側支承140は、図18の(a)に示すように、支柱1の外周面に取り付けられる支柱側部材141と、内側トラス110の前側節点部材113に取り付けられるトラス側部材142と、支柱側部材141とトラス側部材142とを連結する連結軸143とからなる。トラス側部材142は、偏平状の接続端部142aと、この接続端部142aから張り出すU字状の二股部142bとを有している。接続端部142aは、前側節点部材113の連結溝(図6に示す連結溝33aと同様のもの)に嵌合可能であり、接続端部34aの先端部分には、連結溝の凹凸に係合する凹凸が上下方向に沿って形成されている。また、二股部142bには、支柱側部材141の突出部141aが挿入される。なお、支柱側部材141および連結軸143の構成は、図3に示す支柱側部材8Aおよび連結軸8Cと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0089】
第二内側支承150は、図18の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114に取り付けられるトラス側部材151と、階段取付部F2に取り付けられる躯体側部材152と、トラス側部材151と躯体側部材152とを連結する連結軸153とからなる。なお、トラス側部材151、躯体側部材152および連結軸153の構成は、それぞれ、図11に示すブラケット側部材9A、躯体側部材9Bおよび連結軸9Cと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0090】
第一外側支承160は、図18の(c)に示すように、ブラケット3の節点部材33に取り付けられるブラケット側部材161と、外側トラス120の前側節点部材123に取り付けられるトラス側部材162と、ブラケット側部材161とトラス側部材162とを連結する連結軸163とからなる。なお、ブラケット側部材161および連結軸163の構成は、それぞれ図11に示すブラケット側部材9Aおよび連結軸9Cと同様であり、トラス側部材162の構成は、図18の(a)に示すトラス側部材142と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0091】
また、図16(a)に示す第二外側支承170および補助支承180の構成は、それぞれ第二内側支承150と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0092】
図15の(b)に示す下地材200は、本実施形態の変形例では、断面ハット状を呈する形材からなる。本実施形態の変形例においては、支持構造体100の上面に前後一対の下地材200,200が配置されているが、その前側(図15の(b)において支柱1側)の下地材200は、図17の(a)に示すように、内側トラス110の前側節点部材113と外側トラス120の前側節点部材123との間に架設されており、後側(図15の(b)において階段取付部F2側)の下地材200は、図17の(b)に示すように、内側トラス110の後側節点部材114と外側トラス120の後側節点部材124との間に架設されている。
【0093】
踊場用踏板300は、図15の(a)に示すように、平面視矩形形状を呈する板材からなり、下地材200(図15の(b)参照)のフランジ部から螺入されたビスによって下地材200の上面に固定される。
【0094】
踊場手摺ユニット400は、内側トラス110に沿って配置されており、踊場用踏板300を貫通して下地材200の凹溝内に立設される第一の手摺支柱6’,6’と、この第一の手摺支柱6’,6’の間において踊場用踏板300の上面に立設される複数の第二の手摺支柱6”,6”と、第一の手摺支柱6’および第二の手摺支柱6”の上端を繋ぐように配置された水平手摺7’とを備えている。
【0095】
ここで、第一の手摺支柱6’の構成は、図10に示す手摺支柱6と同様であるので、その詳細な説明は省略する。なお、第一の手摺支柱6’は、内側トラス110の前側節点部材113(あるいは後側節点部材114)の下側から挿通された図示せぬ長ボルト(図10に示す長ボルトB31と同様のもの)によって下地材200とともに前側節点部材113(あるいは後側節点部材114)に固定される。
【0096】
ちなみに、第二の手摺支柱6”は、踊場用踏板300の下側から螺入された図示せぬタッピングネジによって踊場用踏板300の上面に固定される。
【0097】
このように、階段の最上段と上階の階段取付部F2との間に踊場Lを介設すると、階段取付部F2(あるいは第二の階段取付部F2’)の形状や階段取付部F2と支柱1との位置関係などが建物ごとに異なる場合であっても、柔軟に対応することが可能となる。しかも、この踊場Lによれば、その支持構造体100がトラス構造を基調としているため、同じくトラス構造を基調とした本実施形態に係る階段と調和し、すっきりとした外観を維持することが可能となる。加えて、この踊場Lは、その支持構造体100がトラス構造を基調としているが故に、軽量かつ強固である。
【0098】
なお、図15の(b)に示すように、この変形例に係る踊場Lにおいては、踊場用踏板300を、その上面の高さ位置が階段の最上段の踏板5よりも上方でかつ上階の床面よりも下方になるように設置したが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、階高や階段取付部F2との取り合いによっては、踊場用踏板300の上面が階段の最上段の踏板5の上面と同じ高さになるように設置してもよいし、あるいは、上階の床面と同じ高さになるように設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施形態に係る階段を示す斜視図である。
【図2】踏板を支持する構造体を説明するための拡大斜視図である。
【図3】支柱の構成を説明するための分解斜視図である。
【図4】(a)はベースを示す斜視図、(b)はベースの上面図である。
【図5】(a)はブラケットを示す正面図、(b)は上フレームと節点部材との接続方法を説明するための斜視図、(c)は上フレームとベースとの接続方法を説明するための斜視図である。
【図6】節点部材を示す斜視図である。
【図7】支持片を示す斜視図である。
【図8】最下段のブラケットを示す拡大斜視図である。
【図9】踏板の取付方法を説明するための斜視図である。
【図10】(a)は手摺支柱の構成を説明するための分解斜視図、(b)は手摺子の拡大斜視図、(c)は下接続部材の拡大斜視図である。
【図11】側部支承の構成を説明するための分解斜視図である。
【図12】階段の構築方法を説明するための分解斜視図である。
【図13】踏板を支持する構造体の変形例を説明するための分解斜視図である。
【図14】上フレームの変形例を示す断面図である。
【図15】(a)は、本実施形態に係る階段の変形例を示す平面図、(b)は(a)のX1−X1断面図である。
【図16】(a)は図15の(b)のX2−X2断面図、(b)は図15の(b)のX3−X3断面図である。
【図17】(a)は図15の(b)のX4−X4断面図、(b)は図15の(b)のX5−X5断面図である。
【図18】(a)は図16の(a)のY1部分の拡大図、(b)は図16の(a)のY2部分の拡大図、(c)は図16の(a)のY3部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0100】
1 支柱
2 ベース
3 ブラケット
31 上フレーム
32 下フレーム
33 節点部材
34 支持片
35 柱状部材
4 連結フレーム
5 踏板
6 手摺支柱
7 手摺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板のそれぞれが、前記支柱から平面視V字状に張り出した一対のブラケットによって支持されている階段であって、
前記各ブラケットは、前記支柱の外周面から水平に張り出す上フレームと、前記上フレームの下方において前記支柱の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレームとを備えて構成されており、
前記上フレームの先端と前記下フレームの先端とが互いに連結されていることを特徴とする階段。
【請求項2】
前記踏板の後側を支持する前記ブラケットを含む鉛直面内に、一段上の前記踏板の前側を支持する前記ブラケットが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の階段。
【請求項3】
前記一対のブラケットの基端同士が、前記支柱の外周面に固定されたベースを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段。
【請求項4】
前記各踏板の基端部分が前記ベースの上面に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の階段。
【請求項5】
上下に隣り合う前記ブラケットの基端同士が、前記支柱の外面に固定されたベースを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段。
【請求項6】
前記上フレームの先端と前記下フレームの先端とが、節点部材を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の階段。
【請求項7】
前後に隣り合う前記節点部材同士が、連結フレームを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項6に記載の階段。
【請求項8】
上下に隣り合う前記節点部材同士が、互いに連結されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の階段。
【請求項9】
上下方向に隣り合う前記節点部材同士が、柱状部材を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の階段。
【請求項10】
前記各節点部材に、前記各踏板の下面に沿って張り出す支持片が接続されており、前記各踏板の先端部分が前記支持片の上面に固定されていることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載の階段。
【請求項11】
前記節点部材の上面に、手摺を支持する手摺支柱が立設されていることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか一項に記載の階段。
【請求項1】
支柱の周囲に螺旋状に配置された複数の踏板のそれぞれが、前記支柱から平面視V字状に張り出した一対のブラケットによって支持されている階段であって、
前記各ブラケットは、前記支柱の外周面から水平に張り出す上フレームと、前記上フレームの下方において前記支柱の外周面から斜め上方に向かって張り出す下フレームとを備えて構成されており、
前記上フレームの先端と前記下フレームの先端とが互いに連結されていることを特徴とする階段。
【請求項2】
前記踏板の後側を支持する前記ブラケットを含む鉛直面内に、一段上の前記踏板の前側を支持する前記ブラケットが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の階段。
【請求項3】
前記一対のブラケットの基端同士が、前記支柱の外周面に固定されたベースを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段。
【請求項4】
前記各踏板の基端部分が前記ベースの上面に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の階段。
【請求項5】
上下に隣り合う前記ブラケットの基端同士が、前記支柱の外面に固定されたベースを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段。
【請求項6】
前記上フレームの先端と前記下フレームの先端とが、節点部材を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の階段。
【請求項7】
前後に隣り合う前記節点部材同士が、連結フレームを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項6に記載の階段。
【請求項8】
上下に隣り合う前記節点部材同士が、互いに連結されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の階段。
【請求項9】
上下方向に隣り合う前記節点部材同士が、柱状部材を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の階段。
【請求項10】
前記各節点部材に、前記各踏板の下面に沿って張り出す支持片が接続されており、前記各踏板の先端部分が前記支持片の上面に固定されていることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載の階段。
【請求項11】
前記節点部材の上面に、手摺を支持する手摺支柱が立設されていることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか一項に記載の階段。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−241843(P2006−241843A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59182(P2005−59182)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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