階段
【課題】支柱の周囲に配置された踏板を備える階段であって、軽快な印象を損なわずに踏板の外周部に発生する変位を抑制することが可能な階段を提供すること。
【解決手段】支柱1の周囲に配置される踏板5と、この踏板5の外周部を支持する第一ブラケット3と、踏板5の内周部を支持する第二ブラケット4と、を備える階段であって、第一ブラケット3に、支柱1の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレーム31,31を具備させるとともに、第二ブラケット4を、第一ブラケット3の基端部の上方に配置する。
【解決手段】支柱1の周囲に配置される踏板5と、この踏板5の外周部を支持する第一ブラケット3と、踏板5の内周部を支持する第二ブラケット4と、を備える階段であって、第一ブラケット3に、支柱1の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレーム31,31を具備させるとともに、第二ブラケット4を、第一ブラケット3の基端部の上方に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱の周囲に配置された踏板を備える階段として、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
この階段は、支柱の周囲に配置された踏板と、この踏板の外周部を支持する第一ブラケットと、踏板の内周部を支持する第二ブラケットと、を備えるものであるが、第一ブラケットを水平に張り出す一対のフレームで構成することで、看者に軽快な印象を与えることに成功している。
【特許文献1】特開2004−76281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の階段においては、その構造上、第一ブラケットを構成するフレームの基端部に大きな曲げモーメントが作用することになるので、第一ブラケットやこれに支持された踏板の外周部に大きな撓みや当該撓みに伴う揺れが生じる虞がある。このような撓みや揺れを小さくするためには、フレームの肉厚や外径を大きくするなどしてフレームの曲げ剛性を高める必要がある。ところが、フレームの外径等を大きくすると、フレーム自体が重厚になってしまうので、軽快な印象が薄れる虞がある。
【0005】
また、特許文献1の階段では、フレームの基端部が接続されたリング部材を支柱に環装して積層する構成を採用していることから、下段から順に構築せざるを得ないという問題があり、さらに、階段を構築した後に、中段にあるリング部材を容易に取り外すことができないという問題もある。つまり、特許文献1の階段では、その施工順序が限定されるとともに、構築後にメンテナンスや交換作業等を行い難いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、支柱の周囲に配置された踏板を備える階段であって、軽快な印象を損なわずに踏板の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能な階段を提供することを課題とし、加えて、施工順序が限定され難く、かつ、構築後にメンテナンスや交換作業を行い易い階段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する本発明は、支柱の周囲に配置される踏板と、前記踏板の外周部を支持する第一ブラケットと、前記踏板の内周部を支持する第二ブラケットと、を備える階段であって、前記第一ブラケットが、前記支柱の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレームを具備し、前記第二ブラケットが、前記第一ブラケットの基端部の上方に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明は、要するに、支柱の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレームで踏板の外周部(すなわち、支柱から離れた部位)を支持するところに特徴がある。ラチスフレームを斜めに配置すると、水平に配置した場合に比べて、ラチスフレームに発生する曲げ変形が小さくなるので、ラチスフレームを重厚にしなくとも、踏板の外周部に発生する撓みや当該撓みに伴う揺れを抑制することが可能となる。つまり、本発明によれば、軽快な印象を損なわずに踏板の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能となる。
【0009】
本発明においては、前記踏板の後側を支持する前記ラチスフレームを含む鉛直面内に、一段上の前記踏板の前側を支持する前記ラチスフレームを配置するとよい。このようにすると、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0010】
本発明においては、前記第一ブラケットに、前記一対のラチスフレームの先端部同士を連結する連結フレームを具備させてもよい。このようにすると、一対のラチスフレームの間隔が一定に保持されることになるので、前後方向(支柱の周方向)の揺れを抑制する効果が高まる。
【0011】
なお、本発明においては、前記支柱の外面に固定されたベースに前記第一ブラケットを支持させてもよい。つまり、踏板の外周部を支持する一対のラチスフレームのそれぞれを、ベースを介して支柱の外面に固定してもよい。このような構成を採用すると、ベースや一対のラチスフレームを最下段から順に取り付ける必要がなくなるので、施工順序が制限されなくなる。また、ベースやラチスフレームを取り外す順序も制限されなくなるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0012】
なお、支柱の外面にベースを配置する場合には、前記ベースに前記第二ブラケットを支持させてもよい。このようにすると、第一ブラケットと第二ブラケットをベースを介して一体化しておくことが可能となるので、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となる。
【0013】
前記ベースに前記第二ブラケットを支持させる場合には、前記第二ブラケットに、前記ベースの上面に固定される上固定部と、前記ベースの側面に固定される横固定部と、前記横固定部から前記踏板の下面に沿って張り出す支持部とを具備させるとよい。この場合には、前記踏板の内周部を前記支持部に固定するとよい。このようにすると、ベースと第二ブラケットとを強固に結合することが可能となるので、第二ブラケットに固定される踏板の安定度が向上する。また、上固定部よりも下に位置する支持部によって踏板を支持するので、踏板が厚い場合であっても、違和感なく踏板を設置することが可能となる。なお、前記上固定部の上面を、前記踏板の上面と面一にするとよい。このようにすると、踏板と支柱との取り合い部分の外観をすっきりとさせることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る階段によると、軽快な印象を損なわずに踏板の支持構造の剛性を高めることが可能となり、その結果、軽快な印象を損なわずに踏板の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能となる。加えて、本発明に係る階段によると、施工順序が限定され難くなるとともに、構築後にメンテナンスや交換作業を行い易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態における「前後」は、階段の上り方向を向いたときを基準とする。
【0016】
<全体構成>
本実施形態に係る階段は、図1に示すように、支柱1と、この支柱1の外面に固着されたベース2と、このベース2に支持された第一ブラケット3および第二ブラケット4と、支柱1の周囲に配置された踏板5と、を備えている。また、図2に示すように、本実施形態に係る階段は、複数の踏板5,5,…の外周部(外縁部分)を取り巻くように配置された複数の第一手摺支柱6,6,…および第二手摺支柱7,7,…と、これらの上端を繋ぐように配置された手摺8とを備えている。なお、本実施形態においては、支柱1の周囲に複数の踏板5,5,…を螺旋状に配置してなる階段(螺旋階段)を例示するが、本発明に係る階段の形態を限定する趣旨ではない。
【0017】
<支柱>
支柱1は、図3に示すように、鉛直方向に立設される支柱本体11と、支柱本体11の下端と下階の階段取付部F1(図2参照)との間に介設される台座部材12とを備えている。
【0018】
支柱本体11は、本実施形態では、円環状の断面を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。支柱本体11の外周面にあってベース2が固定される領域Aには、複数(本実施形態では二つ)のネジ孔11a,11aが形成されており、支柱本体11の下面には、複数の有底のネジ穴11b,11b,…が形成されている。外周面のネジ孔11aには、ベース2を固定するための六角穴付きのボルトB21が螺合され、下面のネジ穴11bには、台座部材12を固定するための六角穴付きのボルトB11が螺合される。なお、支柱本体11の内部は、密実であっても差し支えない。また、図示は省略するが、支柱本体11の外形を多角形としても差し支えない。
【0019】
台座部材12は、支柱本体11よりも径の大きいアルミニウム合金製の円板からなり、ボルトB11によって支柱本体11の下端に固定される。台座部材12の上面には、支柱本体11の下端部分が嵌め込まれる円形の凹部12aが形成されており、この凹部12aには、支柱本体11の複数のネジ穴11b,11b,…に対応する複数のボルト挿通孔12b,12b,…が形成されている。このボルト挿通孔12bには、ボルトB11が挿通される。また、凹部12aの外周側にも、複数のボルト挿通孔12c,12c,…が形成されている。このボルト挿通孔12cには、台座部材12を下階の階段取付部F1(図2参照)に固定するためのボルトB12が挿通される。
【0020】
<ベース>
ベース2は、図4の(a)に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられるブロック状の部材からなる。図4の(b)にも示すように、ベース2の支柱本体11との当接面21は、支柱本体11の外周面に沿うように円筒面状に成形されており、当接面21の反対側の側面22は、平面状に成形されている。
【0021】
ベース2の側面22には、一対の連結溝22a,22aが上下方向に沿って形成されている。なお、連結溝22aの内壁面には、凹凸が形成されている。また、一対の連結溝22a,22aの間には、支柱本体11の領域A(図3参照)に形成されたネジ孔11a,11a(図3参照)に対応する複数(本実施形態では二つ)の段付きのボルト挿通孔22b,22bと、有底のネジ穴22cとが形成されている。ボルト挿通孔22bには、ボルトB21(図3参照)の軸部が挿入され、ネジ穴22cには、第二ブラケット4(図5参照)を固定するための六角穴付きのボルトB42(図5参照)の軸部が螺合される。
【0022】
ベース2の上面23には、その中央部に有底のネジ穴23aが形成されている。このネジ穴23aには、第二ブラケット4(図5参照)を固定するための六角穴付きの皿ボルトB41(図5参照)が螺合される。
【0023】
なお、ベース2の下面には、ラチスフレーム31(図5参照)の下方向への抜け出しを防止する板状の規制部材24が固着される。
【0024】
<第一ブラケット>
第一ブラケット3は、図5に示すように、踏板5の外周部を支持するものであり、ベース2を介して支柱1の外面から張り出す一対のラチスフレーム31,31と、このラチスフレーム31,31の先端部同士を連結する連結フレーム32と、ラチスフレーム31と連結フレーム32との間に介設される節点部材33とを備えて構成されていて、本実施形態では、ベース2とともにトラスを形成している。
【0025】
ラチスフレーム31は、図6の(a)に示すように、その基端部がベース2の下部に接続されており、ベース2から斜め上方に向かって張り出している。図6の(b)に示すように、前後一対のラチスフレーム31,31は、平面視V字状に配置されていて、その先端側に向かうに従って間隔が広がっている。なお、図6の(b)においては、規制部材24およびワッシャ35の図示を省略している。ラチスフレーム31は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、図7の(a)および(b)に示すように、その両端に偏平状の接続端部31aを有している。接続端部31aは、中空押出形材の端部をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。接続端部31aは、ベース2の連結溝22a(図7の(b)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図7の(a)参照)に嵌合可能であり、接続端部31aの先端部分には、ベース2の連結溝22aの凹凸あるいは後記する節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が形成されている。このようにしておくと、ラチスフレーム31に大きな軸力(引張力)が作用しても、これがベース2や節点部材33から引き抜かれることがない。なお、接続端部31aがベース2および節点部材33の軸線方向に長い偏平状に形成されていることから、ラチスフレーム31と節点部材33との接続構造は、ベース2および節点部材33の軸線方向(つまり、上下方向)の外力に対する強度が高い。なお、接続端部32aの凹凸は、ラチスフレーム31の軸線に対して角度α(図6の(a)参照)をなす方向に沿って形成されている。これにより、ラチスフレーム31は、その軸線がベース2および節点部材33の軸線に対して角度αだけ傾斜した状態でベース2および節点部材33に接続されることになる。
【0026】
ここで、上下に隣り合うラチスフレーム31,31の関係を、図1を参照して詳細に説明する。この図に示すように、本実施形態においては、踏板5の後側を支持するラチスフレーム31を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するラチスフレーム31が配置されている。
【0027】
連結フレーム32は、本実施形態では水平に配置されており、図5に示すように、ベース2、一対のラチスフレーム31,31および節点部材33,33とともにトラスを形成している。連結フレーム32は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その端部に、図7の(a)に示す接続端部31aと同様の接続端部を有している。連結フレーム32の接続端部も、節点部材33の連結溝33a(図7の(a)参照)に嵌合可能であり、接続端部の先端部分には、ラチスフレーム31(図7の(a)参照)と同様の凹凸が形成されている。
【0028】
節点部材33は、ラチスフレーム31と連結フレーム32とを連結するものであって、図8に示すように、円柱形状を呈しており、その外周面には、その中心線方向に沿って複数(本実施形態では二つ)の連結溝33a,33aが形成されている。連結溝33aの内壁面には、その中心線方向(図8では上下方向)に沿って凹凸が形成されている。また、節点部材33の中心線上には、ボルト挿通孔33bが形成されている。節点部材33は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝33aおよびボルト挿通孔33bは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。なお、節点部材33は、鋳造により製作してもよい。また、節点部材33の形状も図示のものに限定されることはなく、例えば、多角柱形状にしても差し支えない。
【0029】
なお、図6の(a)に示すように、節点部材33の上下には、ワッシャ35,35が配置される。また、第一ブラケット3を構成する二つの節点部材33,33のうち、前側に位置する節点部材33の下側には、柱状部材34が配置される。柱状部材34は、前側の節点部材33とその下方に位置する踏板5との間に介設されるものであり、本実施形態では、節点部材33よりも小径のアルミニウム合金製の円柱からなる。柱状部材34の中心には、図示せぬボルト挿通孔が形成されている。
【0030】
第一ブラケット3を組み立てるには、図5に示すように、一対のラチスフレーム31,31の基端部をベース2に接続するとともに、各ラチスフレーム31,31の先端部を節点部材33に接続し、さらに、連結フレーム32を節点部材33に接続すればよい。ラチスフレーム31をベース2に接続するには、図7の(b)に示すように、ベース2の上面側(あるいは下面側)から、ラチスフレーム31の接続端部31aに形成された凹凸をベース2の連結溝22aに挿入すればよく、溶接や特別な工具は必要ない。ラチスフレーム31の節点部材33への接続方法および連結フレーム32の節点部材33への接続方法も同様である。また、ベース2の連結溝22aには、ラチスフレーム31の接続端部31aの上側に、連結溝22aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入される。なお、連結溝22aと接続端部31a等との間に生じる微細な隙間を埋めるべく、この隙間に接着剤などを流し込んでもよい。
【0031】
<第二ブラケット>
図5に示す第二ブラケット4は、踏板5の内周部を支持するものであり、第一ブラケット3の基端部の上方に配置される。第二ブラケット4は、ベース2の上面23に固定される上固定部41と、ベース2の側面22に固定される横固定部42と、この横固定部42から踏板5の下面に沿って張り出す支持部43とを備えて構成されている。
【0032】
上固定部41は、ベース2の上面23に覆設される部位である。図9の(a)に示すように、上固定部41は、平面視略台形を呈していて、その下面は、ベース2の上面23(図9の(b)参照)に密着するように平滑な平面に成形されている。また、上固定部41の内周側の端縁は、円弧状に成形されていて、支柱1の外周面に当接する。図5に示すように、上固定部41には、ベース2の上面23に形成されたネジ穴23aに対応する位置に、ザグリ付きの挿通孔41aが形成されている。挿通孔41aには、皿ボルトB41が挿入される。
【0033】
横固定部42は、図9の(b)に示すように、ベース2の側面22の上半部に覆設される部位であって、本実施形態においては、上固定部41の端縁に垂設されている。横固定部42は、平板状を呈していて、ベース2側の側面は、ベース2の側面22に密着するように平滑な平面に成形されている。横固定部42は、上固定部41から垂下する薄肉部42aと、この薄肉部42aの下側に延設された厚肉部42bとを備えている。図5に示すように、厚肉部42bには、ベース2のネジ穴22cに対応する位置に、段付きの挿通孔42cが形成されている。挿通孔42cには、ボルトB42が挿入される。
【0034】
支持部43は、踏板5を支持する部位である。支持部43は、踏板5の基端部の平面形状に合せて平面視台形を呈していて(図9の(a)参照)、その上面は、踏板5の下面に密着するように平滑な平面に成形されている。支持部43は、図9の(b)に示すように、横固定部42の厚肉部42bの上端部から水平に張り出していて、支持部43の上面はベース2の上面23よりも下に位置している。なお、支持部43には、ネジ孔43aが形成されている。ネジ孔43aには、踏板5を固定するためのボルトB51が螺合される。
【0035】
第二ブラケット4は、図9の(b)に示す断面を有するアルミニウム合金製の押出形材を加工することで容易に製造することができるが、アルミニウム合金製の鋳造品としてもよいし、アルミニウム合金製の板材等を溶接して製造してもよい。
【0036】
第二ブラケット4をベース2に取り付けるには、図5に示すように、上固定部41の挿通孔41aに皿ボルトB41を挿入しつつ、その軸部をベース2のネジ穴23a(図4の(a)参照)に螺合し、さらに、横固定部42の挿通孔42cにボルトB42を挿入しつつ、その軸部をベース2のネジ穴22c(図4の(a)参照)に螺合すればよい。
【0037】
<踏板>
踏板5は、略扇形状を呈する板材からなり、その内周部が第二ブラケット4の支持部43の上面に固定され、外周部が節点部材33(より詳細にはワッシャ35)の上面に固定される。踏板5の内周部側の端面5aは、平面状に成形されており、第二ブラケット4の横固定部42の薄肉部42aに当接する(図9の(b)参照)。踏板5の内周部には、段付きの挿通孔5cが形成されている。挿通孔5cには、ボルトB51が挿入される。踏板5の外周部側の端面5bは、円弧状に成形されている。踏板5の外周部の角部には、挿通孔5dが形成されている。挿通孔5dには、長ボルトB31(図10の(a)参照)が挿通される。なお、踏板5は、アルミニウム合金製としてもよいし、鉄製、木製、合成樹脂製としても差し支えない。
【0038】
<第一手摺支柱>
第一手摺支柱6は、図10の(a)に示すように、手摺子61と、この手摺子61の上端に取り付けられる上接続部材62と、手摺子61の下端に取り付けられる下接続部材63とを備えていて、本実施形態では、踏板5の外周部の上面に立設される。
【0039】
手摺子61は、本実施形態では、略矩形の外形を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。手摺子61の内部には、図10の(b)にも示すように、四つのビスホール61a,61a,…と、四つの溝部61b,61b,…とが形成されている。なお、図示は省略するが、手摺子61の外形を円形や楕円形としても差し支えない。
【0040】
上接続部材62は、図10の(a)に示すように、手摺子61の上端部と手摺8(図2参照)との間に介設されるものであって、手摺子61の上端面に当接するフランジ部62aと、このフランジ部62aの下面に突設された下側突部62bと、フランジ部62aの上面に斜めに突設された上側突部62cと、上側突部62cの上端に設けられた取付部62dとを備えている。下側突部62bは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されている。また、取付部62dは、手摺8の下面に当接可能な形状に成形されている。なお、上接続部材62を手摺子61の上端部に固定するには、下側突部62bを手摺子61の内部に挿入したうえで、手摺子61の側面から、下側突部62bを貫通するタッピングネジB62を螺入すればよい。
【0041】
下接続部材63は、手摺子61の下端部と節点部材33との間に介設されるものであって、節点部材33の上面に当接する基部63aと、この基部63aの上面に突設された挿入部63cとを備えている。基部63aは、節点部材33と同一の外径を有する円板状に成形されており、手摺子61のビスホール61a,61a,…(図10の(b)参照)に対応する位置には、図10の(c)にも示すように、挿通孔63b,63b,…が形成されている。この挿通孔63bには、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するためのタッピングネジB63(図10の(a)参照)が挿通される。挿入部63cは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されており、かつ、その外周部には、手摺子61の溝部61bに係合する係合突部63dが形成されている。また、挿入部63cの中央部には、ネジ孔63eが形成されている。このネジ孔63eには、節点部材33のボルト挿通孔33b(図8参照)に挿通された長ボルトB31(図10の(a)参照)が螺合される。なお、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するには、挿入部63cを手摺子61の内部に挿入したうえで、基部63aの挿通孔63bにタッピングネジB63を挿通し、その先端部を手摺子61のビスホール61aに螺入すればよい。
【0042】
<第二手摺支柱>
第二手摺支柱7は、図11に示すように、手摺子71と、この手摺子71の上端に取り付けられる上接続部材72とを備えていて、本実施形態では、踏板5の下側から螺入されたタッピングネジB71によって踏板5の外周部の上面に立設固定される。なお、手摺子71および上接続部材72の構成は、図10の(a)に示す手摺子61および上接続部材62と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0043】
<手摺>
図2に示す手摺8は、複数の第一手摺支柱6,6,…および第二手摺支柱7,7,…を縫うように配置されており、本実施形態では、螺旋状に曲げ加工が施されたアルミニウム合金製の押出形材からなる。なお、手摺8を第一手摺支柱6の上端部に固定するには、手摺8の下面に図10の(a)に示す上接続部材62の取付部62dを当接させたうえで、取付部62dの下面から図示せぬタッピングネジを螺入すればよい。手摺8を第二手摺支柱7の上端部に固定する場合も同様である。
【0044】
<階段の構築方法>
次に、以上のように構成された階段の構築方法を説明する。まず、下階の階段取付部F1に支柱1を立設固定する(図2参照)。なお、支柱1を下階の階段取付部F1に固定するには、図3に示すように、台座部材12のボルト挿通孔12cに、その上側からボルトB12を挿通し、ボルトB12を階段取付部の適所に螺合すればよい。
【0045】
続いて、図1に示すように、ベース2、第一ブラケット3、第二ブラケット4および踏板5を含む段板ユニットU,U,…を支柱1の外周面に取り付けるとともに、下段の踏板5の後側を支持するラチスフレーム31とその一段上の踏板5の前側を支持するラチスフレーム31(すなわち、同一の鉛直面内にあるラチスフレーム31,31)を互いに連結する。同一の鉛直面内にあるラチスフレーム31,31を連結するには、上側のラチスフレーム31が接続されている節点部材33と下段の踏板5との間に柱状部材34を介設し、さらに、上段の踏板5の上面に第一手摺支柱6を立設したうえで、下側の節点部材33、下段の踏板5、柱状部材34、上側の節点部材33、上段の踏板5に長ボルトB31を挿通して第一手摺支柱6に螺合し、さらに、長ボルトB31の下端部にナットN31(図10の(a)参照)を螺合して締め付ければよい。なお、長ボルトB31の下端部およびナットN31には、これらを覆い隠すキャップ36が取り付けられる。
【0046】
その後、図2に示すように、支柱1と上階の階段取付部F2との間に踊場Lを設置し、さらに、第二手摺支柱7,7,…を踏板5の上面に立設固定するとともに、第一手摺支柱6,6,…および第二手摺支柱7,7,…の上端に手摺8を取り付けると、本実施形態に係る階段が完成する。
【0047】
なお、図1に示す段板ユニットUは、施工現場において組み立ててもよいが、工場等において予め組み立てておけば、施工現場での作業がより一層容易になる。
【0048】
また、段板ユニットUの取付順序は、下段から順に取り付けるのが好適であるが、これに限定されることはなく、上段から順に取り付けてもよいし、中段から取り付けてもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る階段は、支柱1の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレーム31,31で踏板5の外周部を支持したところに特徴がある。ラチスフレーム31を斜めに配置すると、水平に配置した場合に比べて、ラチスフレーム31に発生する曲げ変形が小さくなるので、ラチスフレーム31を重厚にしなくとも、踏板5の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能となる。つまり、本実施形態に係る階段によれば、軽快な印象を損なわずに踏板5の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能となる。
【0050】
本実施形態に係る階段においては、踏板5の後側を支持するラチスフレーム31を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するラチスフレーム31を配置したので、階段の外観がすっきりとしたものになっている。
【0051】
本実施形態に係る階段においては、一対のラチスフレーム31,31の先端部同士を連結フレーム32で連結することで、一対のラチスフレーム31,31の間隔を一定に保持しているので、前後方向(支柱の周方向)の揺れを抑制する効果が高まる。
【0052】
本実施形態においては、第一ブラケット3と第二ブラケット4とをベース2に組み付けるとともに、ベース2を支柱1の外面に固定しているので、ベース2や第一ブラケット3などを最下段から順に取り付ける必要がない。また、ベース2を取り外す順序も制限されなくなるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。なお、踏板5だけを取り外す場合には、図10に示す長ボルトB31を第一手摺支柱6の下接続部材63から離脱させるとともに、図11に示すタッピングネジB71を第二手摺支柱7の手摺子71から離脱させ、さらに、図5に示すボルトB51を第二ブラケット4から離脱させればよい。
【0053】
本実施形態においては、ベース2、第一ブラケット3、第二ブラケット4および踏板5を一体化して段板ユニットUを形成したので、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となる。なお、本実施形態では、段板ユニットUを支柱1の外周面に固定するという構築方法を例示したが、複数のベース2,2,…を支柱1の外周面に固定した後に、各ベース2に第一ブラケット3および第二ブラケット4を接続し、その後に踏板5を設置するという構築方法を採用してもよい。なお、ベース2を支柱1に固定した後に第二ブラケット4をベース2に固定する場合には、図示は省略するが、ベース2のボルト挿通孔22bを増やしてもよい。すなわち、図4に示すベース2においては、ネジ穴22c下側に二つのボルト挿通孔22b,22bが形成されているが、これに加えて、第二ブラケット4が設置される位置(例えば、ネジ穴22cの上側など)にボルト挿通孔22bを形成しても差し支えない。
【0054】
本実施形態においては、第二ブラケット4をベース2の上面と側面とに固定したので、その結合強度が高く、したがって、第二ブラケット4に固定される踏板5の安定度も高い。また、踏板5を木製や合成樹脂製とする場合には、アルミニウム合金製や鉄製とした場合に比べて、その厚さを大きくする必要があるが、上固定部41よりも下に位置する支持部43によって踏板5を支持するので、踏板5が厚い場合であっても、違和感なく踏板5を設置することが可能となる。なお、支持部43の位置を踏板5の厚さに合せて調節することで、踏板5の上面を上固定部41の上面と面一にすることができる。
【0055】
さらに、本実施形態においては、節点部材33と踏板5との間に柱状部材34を介設したので、一の踏板5に作用する荷重がその上下にある踏板5を支持する第一ブラケット3に分散することになる。つまり、本実施形態に係る階段によれば、柱状部材34を介設しない場合に比べて、ラチスフレーム31等を軽構造にすることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る階段においては、上下に隣り合う節点部材33,33、柱状部材34および第一手摺支柱6を一直線上に配置したので、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0057】
なお、前記した階段の構成は適宜変更しても差し支えない。例えば、前記した実施形態においては、ベース2を介して第一ブラケット3と第二ブラケット4とを支柱1に固定した場合を例示したが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、ベース2を省略し、第一ブラケット3と第二ブラケット4とを直に支柱1に固定しても差し支えない。
【0058】
また、前記した実施形態では、一対のラチスフレーム31,31を連結フレーム32で連結する構成を例示したが、連結フレーム32を省略してもよい。また、前記した実施形態では、節点部材33と踏板5との間に柱状部材34を介設する構成を例示したが、柱状部材34を省略してもよい。
【0059】
また、前記した実施形態では、ラチスフレーム31と連結フレーム32を、節点部材33を介して連結する構成を例示したが、ラチスフレーム31と連結フレーム32とを溶接等の手段を用いて直接接合しても差し支えない。
【0060】
また、前記した実施形態では、第一手摺支柱6,6の間に第二手摺支柱7,7を配置した場合を例示したが、第二手摺支柱7,7を省略しても差し支えない。この場合には、図12に示すように、複数本の線状部材9,9,…を手摺8と略平行に配置してもよい。なお、線状部材9は、第一手摺支柱6に設けられた図示せぬ透孔に挿通される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係る階段の一部を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る階段の全体を示す斜視図である。
【図3】支柱の構成を説明するための分解斜視図である。
【図4】(a)はベースを示す斜視図、(b)はベースの上面図である。
【図5】第一ブラケットおよび第二ブラケットを説明するための斜視図である。
【図6】(a)は第一ブラケットを説明するための正面図、(b)は(a)の下面図である。
【図7】(a)はラチスフレームと節点部材との接続方法を説明するための斜視図、(b)はラチスフレームとベースとの接続方法を説明するための斜視図である。
【図8】節点部材を示す斜視図である。
【図9】(a)は第二ブラケットを説明するための正面図、(b)は同じく平面図である。
【図10】(a)は第一手摺支柱の構成を説明するための分解斜視図、(b)は手摺子の拡大斜視図、(c)は下接続部材の拡大斜視図である。
【図11】第二手摺支柱の構成を説明するための分解斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る階段の全体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 支柱
2 ベース
3 第一ブラケット
31 ラチスフレーム
32 連結フレーム
33 節点部材
4 第二ブラケット
41 上固定部
42 横固定部
43 支持部
5 踏板
6 第一手摺支柱
7 第二手摺支柱
8 手摺
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱の周囲に配置された踏板を備える階段として、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
この階段は、支柱の周囲に配置された踏板と、この踏板の外周部を支持する第一ブラケットと、踏板の内周部を支持する第二ブラケットと、を備えるものであるが、第一ブラケットを水平に張り出す一対のフレームで構成することで、看者に軽快な印象を与えることに成功している。
【特許文献1】特開2004−76281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の階段においては、その構造上、第一ブラケットを構成するフレームの基端部に大きな曲げモーメントが作用することになるので、第一ブラケットやこれに支持された踏板の外周部に大きな撓みや当該撓みに伴う揺れが生じる虞がある。このような撓みや揺れを小さくするためには、フレームの肉厚や外径を大きくするなどしてフレームの曲げ剛性を高める必要がある。ところが、フレームの外径等を大きくすると、フレーム自体が重厚になってしまうので、軽快な印象が薄れる虞がある。
【0005】
また、特許文献1の階段では、フレームの基端部が接続されたリング部材を支柱に環装して積層する構成を採用していることから、下段から順に構築せざるを得ないという問題があり、さらに、階段を構築した後に、中段にあるリング部材を容易に取り外すことができないという問題もある。つまり、特許文献1の階段では、その施工順序が限定されるとともに、構築後にメンテナンスや交換作業等を行い難いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、支柱の周囲に配置された踏板を備える階段であって、軽快な印象を損なわずに踏板の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能な階段を提供することを課題とし、加えて、施工順序が限定され難く、かつ、構築後にメンテナンスや交換作業を行い易い階段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する本発明は、支柱の周囲に配置される踏板と、前記踏板の外周部を支持する第一ブラケットと、前記踏板の内周部を支持する第二ブラケットと、を備える階段であって、前記第一ブラケットが、前記支柱の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレームを具備し、前記第二ブラケットが、前記第一ブラケットの基端部の上方に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明は、要するに、支柱の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレームで踏板の外周部(すなわち、支柱から離れた部位)を支持するところに特徴がある。ラチスフレームを斜めに配置すると、水平に配置した場合に比べて、ラチスフレームに発生する曲げ変形が小さくなるので、ラチスフレームを重厚にしなくとも、踏板の外周部に発生する撓みや当該撓みに伴う揺れを抑制することが可能となる。つまり、本発明によれば、軽快な印象を損なわずに踏板の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能となる。
【0009】
本発明においては、前記踏板の後側を支持する前記ラチスフレームを含む鉛直面内に、一段上の前記踏板の前側を支持する前記ラチスフレームを配置するとよい。このようにすると、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0010】
本発明においては、前記第一ブラケットに、前記一対のラチスフレームの先端部同士を連結する連結フレームを具備させてもよい。このようにすると、一対のラチスフレームの間隔が一定に保持されることになるので、前後方向(支柱の周方向)の揺れを抑制する効果が高まる。
【0011】
なお、本発明においては、前記支柱の外面に固定されたベースに前記第一ブラケットを支持させてもよい。つまり、踏板の外周部を支持する一対のラチスフレームのそれぞれを、ベースを介して支柱の外面に固定してもよい。このような構成を採用すると、ベースや一対のラチスフレームを最下段から順に取り付ける必要がなくなるので、施工順序が制限されなくなる。また、ベースやラチスフレームを取り外す順序も制限されなくなるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。
【0012】
なお、支柱の外面にベースを配置する場合には、前記ベースに前記第二ブラケットを支持させてもよい。このようにすると、第一ブラケットと第二ブラケットをベースを介して一体化しておくことが可能となるので、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となる。
【0013】
前記ベースに前記第二ブラケットを支持させる場合には、前記第二ブラケットに、前記ベースの上面に固定される上固定部と、前記ベースの側面に固定される横固定部と、前記横固定部から前記踏板の下面に沿って張り出す支持部とを具備させるとよい。この場合には、前記踏板の内周部を前記支持部に固定するとよい。このようにすると、ベースと第二ブラケットとを強固に結合することが可能となるので、第二ブラケットに固定される踏板の安定度が向上する。また、上固定部よりも下に位置する支持部によって踏板を支持するので、踏板が厚い場合であっても、違和感なく踏板を設置することが可能となる。なお、前記上固定部の上面を、前記踏板の上面と面一にするとよい。このようにすると、踏板と支柱との取り合い部分の外観をすっきりとさせることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る階段によると、軽快な印象を損なわずに踏板の支持構造の剛性を高めることが可能となり、その結果、軽快な印象を損なわずに踏板の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能となる。加えて、本発明に係る階段によると、施工順序が限定され難くなるとともに、構築後にメンテナンスや交換作業を行い易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態における「前後」は、階段の上り方向を向いたときを基準とする。
【0016】
<全体構成>
本実施形態に係る階段は、図1に示すように、支柱1と、この支柱1の外面に固着されたベース2と、このベース2に支持された第一ブラケット3および第二ブラケット4と、支柱1の周囲に配置された踏板5と、を備えている。また、図2に示すように、本実施形態に係る階段は、複数の踏板5,5,…の外周部(外縁部分)を取り巻くように配置された複数の第一手摺支柱6,6,…および第二手摺支柱7,7,…と、これらの上端を繋ぐように配置された手摺8とを備えている。なお、本実施形態においては、支柱1の周囲に複数の踏板5,5,…を螺旋状に配置してなる階段(螺旋階段)を例示するが、本発明に係る階段の形態を限定する趣旨ではない。
【0017】
<支柱>
支柱1は、図3に示すように、鉛直方向に立設される支柱本体11と、支柱本体11の下端と下階の階段取付部F1(図2参照)との間に介設される台座部材12とを備えている。
【0018】
支柱本体11は、本実施形態では、円環状の断面を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。支柱本体11の外周面にあってベース2が固定される領域Aには、複数(本実施形態では二つ)のネジ孔11a,11aが形成されており、支柱本体11の下面には、複数の有底のネジ穴11b,11b,…が形成されている。外周面のネジ孔11aには、ベース2を固定するための六角穴付きのボルトB21が螺合され、下面のネジ穴11bには、台座部材12を固定するための六角穴付きのボルトB11が螺合される。なお、支柱本体11の内部は、密実であっても差し支えない。また、図示は省略するが、支柱本体11の外形を多角形としても差し支えない。
【0019】
台座部材12は、支柱本体11よりも径の大きいアルミニウム合金製の円板からなり、ボルトB11によって支柱本体11の下端に固定される。台座部材12の上面には、支柱本体11の下端部分が嵌め込まれる円形の凹部12aが形成されており、この凹部12aには、支柱本体11の複数のネジ穴11b,11b,…に対応する複数のボルト挿通孔12b,12b,…が形成されている。このボルト挿通孔12bには、ボルトB11が挿通される。また、凹部12aの外周側にも、複数のボルト挿通孔12c,12c,…が形成されている。このボルト挿通孔12cには、台座部材12を下階の階段取付部F1(図2参照)に固定するためのボルトB12が挿通される。
【0020】
<ベース>
ベース2は、図4の(a)に示すように、支柱本体11の外周面に取り付けられるブロック状の部材からなる。図4の(b)にも示すように、ベース2の支柱本体11との当接面21は、支柱本体11の外周面に沿うように円筒面状に成形されており、当接面21の反対側の側面22は、平面状に成形されている。
【0021】
ベース2の側面22には、一対の連結溝22a,22aが上下方向に沿って形成されている。なお、連結溝22aの内壁面には、凹凸が形成されている。また、一対の連結溝22a,22aの間には、支柱本体11の領域A(図3参照)に形成されたネジ孔11a,11a(図3参照)に対応する複数(本実施形態では二つ)の段付きのボルト挿通孔22b,22bと、有底のネジ穴22cとが形成されている。ボルト挿通孔22bには、ボルトB21(図3参照)の軸部が挿入され、ネジ穴22cには、第二ブラケット4(図5参照)を固定するための六角穴付きのボルトB42(図5参照)の軸部が螺合される。
【0022】
ベース2の上面23には、その中央部に有底のネジ穴23aが形成されている。このネジ穴23aには、第二ブラケット4(図5参照)を固定するための六角穴付きの皿ボルトB41(図5参照)が螺合される。
【0023】
なお、ベース2の下面には、ラチスフレーム31(図5参照)の下方向への抜け出しを防止する板状の規制部材24が固着される。
【0024】
<第一ブラケット>
第一ブラケット3は、図5に示すように、踏板5の外周部を支持するものであり、ベース2を介して支柱1の外面から張り出す一対のラチスフレーム31,31と、このラチスフレーム31,31の先端部同士を連結する連結フレーム32と、ラチスフレーム31と連結フレーム32との間に介設される節点部材33とを備えて構成されていて、本実施形態では、ベース2とともにトラスを形成している。
【0025】
ラチスフレーム31は、図6の(a)に示すように、その基端部がベース2の下部に接続されており、ベース2から斜め上方に向かって張り出している。図6の(b)に示すように、前後一対のラチスフレーム31,31は、平面視V字状に配置されていて、その先端側に向かうに従って間隔が広がっている。なお、図6の(b)においては、規制部材24およびワッシャ35の図示を省略している。ラチスフレーム31は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、図7の(a)および(b)に示すように、その両端に偏平状の接続端部31aを有している。接続端部31aは、中空押出形材の端部をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。接続端部31aは、ベース2の連結溝22a(図7の(b)参照)および後記する節点部材33の連結溝33a(図7の(a)参照)に嵌合可能であり、接続端部31aの先端部分には、ベース2の連結溝22aの凹凸あるいは後記する節点部材33の連結溝33aの凹凸に係合する凹凸が形成されている。このようにしておくと、ラチスフレーム31に大きな軸力(引張力)が作用しても、これがベース2や節点部材33から引き抜かれることがない。なお、接続端部31aがベース2および節点部材33の軸線方向に長い偏平状に形成されていることから、ラチスフレーム31と節点部材33との接続構造は、ベース2および節点部材33の軸線方向(つまり、上下方向)の外力に対する強度が高い。なお、接続端部32aの凹凸は、ラチスフレーム31の軸線に対して角度α(図6の(a)参照)をなす方向に沿って形成されている。これにより、ラチスフレーム31は、その軸線がベース2および節点部材33の軸線に対して角度αだけ傾斜した状態でベース2および節点部材33に接続されることになる。
【0026】
ここで、上下に隣り合うラチスフレーム31,31の関係を、図1を参照して詳細に説明する。この図に示すように、本実施形態においては、踏板5の後側を支持するラチスフレーム31を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するラチスフレーム31が配置されている。
【0027】
連結フレーム32は、本実施形態では水平に配置されており、図5に示すように、ベース2、一対のラチスフレーム31,31および節点部材33,33とともにトラスを形成している。連結フレーム32は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その端部に、図7の(a)に示す接続端部31aと同様の接続端部を有している。連結フレーム32の接続端部も、節点部材33の連結溝33a(図7の(a)参照)に嵌合可能であり、接続端部の先端部分には、ラチスフレーム31(図7の(a)参照)と同様の凹凸が形成されている。
【0028】
節点部材33は、ラチスフレーム31と連結フレーム32とを連結するものであって、図8に示すように、円柱形状を呈しており、その外周面には、その中心線方向に沿って複数(本実施形態では二つ)の連結溝33a,33aが形成されている。連結溝33aの内壁面には、その中心線方向(図8では上下方向)に沿って凹凸が形成されている。また、節点部材33の中心線上には、ボルト挿通孔33bが形成されている。節点部材33は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝33aおよびボルト挿通孔33bは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。なお、節点部材33は、鋳造により製作してもよい。また、節点部材33の形状も図示のものに限定されることはなく、例えば、多角柱形状にしても差し支えない。
【0029】
なお、図6の(a)に示すように、節点部材33の上下には、ワッシャ35,35が配置される。また、第一ブラケット3を構成する二つの節点部材33,33のうち、前側に位置する節点部材33の下側には、柱状部材34が配置される。柱状部材34は、前側の節点部材33とその下方に位置する踏板5との間に介設されるものであり、本実施形態では、節点部材33よりも小径のアルミニウム合金製の円柱からなる。柱状部材34の中心には、図示せぬボルト挿通孔が形成されている。
【0030】
第一ブラケット3を組み立てるには、図5に示すように、一対のラチスフレーム31,31の基端部をベース2に接続するとともに、各ラチスフレーム31,31の先端部を節点部材33に接続し、さらに、連結フレーム32を節点部材33に接続すればよい。ラチスフレーム31をベース2に接続するには、図7の(b)に示すように、ベース2の上面側(あるいは下面側)から、ラチスフレーム31の接続端部31aに形成された凹凸をベース2の連結溝22aに挿入すればよく、溶接や特別な工具は必要ない。ラチスフレーム31の節点部材33への接続方法および連結フレーム32の節点部材33への接続方法も同様である。また、ベース2の連結溝22aには、ラチスフレーム31の接続端部31aの上側に、連結溝22aと同一の寸法・形状を有する図示せぬ溝埋部材が挿入される。なお、連結溝22aと接続端部31a等との間に生じる微細な隙間を埋めるべく、この隙間に接着剤などを流し込んでもよい。
【0031】
<第二ブラケット>
図5に示す第二ブラケット4は、踏板5の内周部を支持するものであり、第一ブラケット3の基端部の上方に配置される。第二ブラケット4は、ベース2の上面23に固定される上固定部41と、ベース2の側面22に固定される横固定部42と、この横固定部42から踏板5の下面に沿って張り出す支持部43とを備えて構成されている。
【0032】
上固定部41は、ベース2の上面23に覆設される部位である。図9の(a)に示すように、上固定部41は、平面視略台形を呈していて、その下面は、ベース2の上面23(図9の(b)参照)に密着するように平滑な平面に成形されている。また、上固定部41の内周側の端縁は、円弧状に成形されていて、支柱1の外周面に当接する。図5に示すように、上固定部41には、ベース2の上面23に形成されたネジ穴23aに対応する位置に、ザグリ付きの挿通孔41aが形成されている。挿通孔41aには、皿ボルトB41が挿入される。
【0033】
横固定部42は、図9の(b)に示すように、ベース2の側面22の上半部に覆設される部位であって、本実施形態においては、上固定部41の端縁に垂設されている。横固定部42は、平板状を呈していて、ベース2側の側面は、ベース2の側面22に密着するように平滑な平面に成形されている。横固定部42は、上固定部41から垂下する薄肉部42aと、この薄肉部42aの下側に延設された厚肉部42bとを備えている。図5に示すように、厚肉部42bには、ベース2のネジ穴22cに対応する位置に、段付きの挿通孔42cが形成されている。挿通孔42cには、ボルトB42が挿入される。
【0034】
支持部43は、踏板5を支持する部位である。支持部43は、踏板5の基端部の平面形状に合せて平面視台形を呈していて(図9の(a)参照)、その上面は、踏板5の下面に密着するように平滑な平面に成形されている。支持部43は、図9の(b)に示すように、横固定部42の厚肉部42bの上端部から水平に張り出していて、支持部43の上面はベース2の上面23よりも下に位置している。なお、支持部43には、ネジ孔43aが形成されている。ネジ孔43aには、踏板5を固定するためのボルトB51が螺合される。
【0035】
第二ブラケット4は、図9の(b)に示す断面を有するアルミニウム合金製の押出形材を加工することで容易に製造することができるが、アルミニウム合金製の鋳造品としてもよいし、アルミニウム合金製の板材等を溶接して製造してもよい。
【0036】
第二ブラケット4をベース2に取り付けるには、図5に示すように、上固定部41の挿通孔41aに皿ボルトB41を挿入しつつ、その軸部をベース2のネジ穴23a(図4の(a)参照)に螺合し、さらに、横固定部42の挿通孔42cにボルトB42を挿入しつつ、その軸部をベース2のネジ穴22c(図4の(a)参照)に螺合すればよい。
【0037】
<踏板>
踏板5は、略扇形状を呈する板材からなり、その内周部が第二ブラケット4の支持部43の上面に固定され、外周部が節点部材33(より詳細にはワッシャ35)の上面に固定される。踏板5の内周部側の端面5aは、平面状に成形されており、第二ブラケット4の横固定部42の薄肉部42aに当接する(図9の(b)参照)。踏板5の内周部には、段付きの挿通孔5cが形成されている。挿通孔5cには、ボルトB51が挿入される。踏板5の外周部側の端面5bは、円弧状に成形されている。踏板5の外周部の角部には、挿通孔5dが形成されている。挿通孔5dには、長ボルトB31(図10の(a)参照)が挿通される。なお、踏板5は、アルミニウム合金製としてもよいし、鉄製、木製、合成樹脂製としても差し支えない。
【0038】
<第一手摺支柱>
第一手摺支柱6は、図10の(a)に示すように、手摺子61と、この手摺子61の上端に取り付けられる上接続部材62と、手摺子61の下端に取り付けられる下接続部材63とを備えていて、本実施形態では、踏板5の外周部の上面に立設される。
【0039】
手摺子61は、本実施形態では、略矩形の外形を有する中空のアルミニウム合金製の押出形材からなる。手摺子61の内部には、図10の(b)にも示すように、四つのビスホール61a,61a,…と、四つの溝部61b,61b,…とが形成されている。なお、図示は省略するが、手摺子61の外形を円形や楕円形としても差し支えない。
【0040】
上接続部材62は、図10の(a)に示すように、手摺子61の上端部と手摺8(図2参照)との間に介設されるものであって、手摺子61の上端面に当接するフランジ部62aと、このフランジ部62aの下面に突設された下側突部62bと、フランジ部62aの上面に斜めに突設された上側突部62cと、上側突部62cの上端に設けられた取付部62dとを備えている。下側突部62bは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されている。また、取付部62dは、手摺8の下面に当接可能な形状に成形されている。なお、上接続部材62を手摺子61の上端部に固定するには、下側突部62bを手摺子61の内部に挿入したうえで、手摺子61の側面から、下側突部62bを貫通するタッピングネジB62を螺入すればよい。
【0041】
下接続部材63は、手摺子61の下端部と節点部材33との間に介設されるものであって、節点部材33の上面に当接する基部63aと、この基部63aの上面に突設された挿入部63cとを備えている。基部63aは、節点部材33と同一の外径を有する円板状に成形されており、手摺子61のビスホール61a,61a,…(図10の(b)参照)に対応する位置には、図10の(c)にも示すように、挿通孔63b,63b,…が形成されている。この挿通孔63bには、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するためのタッピングネジB63(図10の(a)参照)が挿通される。挿入部63cは、手摺子61の内部に挿入可能な形状に成形されており、かつ、その外周部には、手摺子61の溝部61bに係合する係合突部63dが形成されている。また、挿入部63cの中央部には、ネジ孔63eが形成されている。このネジ孔63eには、節点部材33のボルト挿通孔33b(図8参照)に挿通された長ボルトB31(図10の(a)参照)が螺合される。なお、下接続部材63を手摺子61の下端部に固定するには、挿入部63cを手摺子61の内部に挿入したうえで、基部63aの挿通孔63bにタッピングネジB63を挿通し、その先端部を手摺子61のビスホール61aに螺入すればよい。
【0042】
<第二手摺支柱>
第二手摺支柱7は、図11に示すように、手摺子71と、この手摺子71の上端に取り付けられる上接続部材72とを備えていて、本実施形態では、踏板5の下側から螺入されたタッピングネジB71によって踏板5の外周部の上面に立設固定される。なお、手摺子71および上接続部材72の構成は、図10の(a)に示す手摺子61および上接続部材62と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0043】
<手摺>
図2に示す手摺8は、複数の第一手摺支柱6,6,…および第二手摺支柱7,7,…を縫うように配置されており、本実施形態では、螺旋状に曲げ加工が施されたアルミニウム合金製の押出形材からなる。なお、手摺8を第一手摺支柱6の上端部に固定するには、手摺8の下面に図10の(a)に示す上接続部材62の取付部62dを当接させたうえで、取付部62dの下面から図示せぬタッピングネジを螺入すればよい。手摺8を第二手摺支柱7の上端部に固定する場合も同様である。
【0044】
<階段の構築方法>
次に、以上のように構成された階段の構築方法を説明する。まず、下階の階段取付部F1に支柱1を立設固定する(図2参照)。なお、支柱1を下階の階段取付部F1に固定するには、図3に示すように、台座部材12のボルト挿通孔12cに、その上側からボルトB12を挿通し、ボルトB12を階段取付部の適所に螺合すればよい。
【0045】
続いて、図1に示すように、ベース2、第一ブラケット3、第二ブラケット4および踏板5を含む段板ユニットU,U,…を支柱1の外周面に取り付けるとともに、下段の踏板5の後側を支持するラチスフレーム31とその一段上の踏板5の前側を支持するラチスフレーム31(すなわち、同一の鉛直面内にあるラチスフレーム31,31)を互いに連結する。同一の鉛直面内にあるラチスフレーム31,31を連結するには、上側のラチスフレーム31が接続されている節点部材33と下段の踏板5との間に柱状部材34を介設し、さらに、上段の踏板5の上面に第一手摺支柱6を立設したうえで、下側の節点部材33、下段の踏板5、柱状部材34、上側の節点部材33、上段の踏板5に長ボルトB31を挿通して第一手摺支柱6に螺合し、さらに、長ボルトB31の下端部にナットN31(図10の(a)参照)を螺合して締め付ければよい。なお、長ボルトB31の下端部およびナットN31には、これらを覆い隠すキャップ36が取り付けられる。
【0046】
その後、図2に示すように、支柱1と上階の階段取付部F2との間に踊場Lを設置し、さらに、第二手摺支柱7,7,…を踏板5の上面に立設固定するとともに、第一手摺支柱6,6,…および第二手摺支柱7,7,…の上端に手摺8を取り付けると、本実施形態に係る階段が完成する。
【0047】
なお、図1に示す段板ユニットUは、施工現場において組み立ててもよいが、工場等において予め組み立てておけば、施工現場での作業がより一層容易になる。
【0048】
また、段板ユニットUの取付順序は、下段から順に取り付けるのが好適であるが、これに限定されることはなく、上段から順に取り付けてもよいし、中段から取り付けてもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る階段は、支柱1の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレーム31,31で踏板5の外周部を支持したところに特徴がある。ラチスフレーム31を斜めに配置すると、水平に配置した場合に比べて、ラチスフレーム31に発生する曲げ変形が小さくなるので、ラチスフレーム31を重厚にしなくとも、踏板5の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能となる。つまり、本実施形態に係る階段によれば、軽快な印象を損なわずに踏板5の外周部に発生する撓みや揺れを抑制することが可能となる。
【0050】
本実施形態に係る階段においては、踏板5の後側を支持するラチスフレーム31を含む鉛直面内に、一段上の踏板5の前側を支持するラチスフレーム31を配置したので、階段の外観がすっきりとしたものになっている。
【0051】
本実施形態に係る階段においては、一対のラチスフレーム31,31の先端部同士を連結フレーム32で連結することで、一対のラチスフレーム31,31の間隔を一定に保持しているので、前後方向(支柱の周方向)の揺れを抑制する効果が高まる。
【0052】
本実施形態においては、第一ブラケット3と第二ブラケット4とをベース2に組み付けるとともに、ベース2を支柱1の外面に固定しているので、ベース2や第一ブラケット3などを最下段から順に取り付ける必要がない。また、ベース2を取り外す順序も制限されなくなるので、メンテナンスや部品の交換を行い易くなる。なお、踏板5だけを取り外す場合には、図10に示す長ボルトB31を第一手摺支柱6の下接続部材63から離脱させるとともに、図11に示すタッピングネジB71を第二手摺支柱7の手摺子71から離脱させ、さらに、図5に示すボルトB51を第二ブラケット4から離脱させればよい。
【0053】
本実施形態においては、ベース2、第一ブラケット3、第二ブラケット4および踏板5を一体化して段板ユニットUを形成したので、現場での組立作業を簡易迅速に行うことが可能となる。なお、本実施形態では、段板ユニットUを支柱1の外周面に固定するという構築方法を例示したが、複数のベース2,2,…を支柱1の外周面に固定した後に、各ベース2に第一ブラケット3および第二ブラケット4を接続し、その後に踏板5を設置するという構築方法を採用してもよい。なお、ベース2を支柱1に固定した後に第二ブラケット4をベース2に固定する場合には、図示は省略するが、ベース2のボルト挿通孔22bを増やしてもよい。すなわち、図4に示すベース2においては、ネジ穴22c下側に二つのボルト挿通孔22b,22bが形成されているが、これに加えて、第二ブラケット4が設置される位置(例えば、ネジ穴22cの上側など)にボルト挿通孔22bを形成しても差し支えない。
【0054】
本実施形態においては、第二ブラケット4をベース2の上面と側面とに固定したので、その結合強度が高く、したがって、第二ブラケット4に固定される踏板5の安定度も高い。また、踏板5を木製や合成樹脂製とする場合には、アルミニウム合金製や鉄製とした場合に比べて、その厚さを大きくする必要があるが、上固定部41よりも下に位置する支持部43によって踏板5を支持するので、踏板5が厚い場合であっても、違和感なく踏板5を設置することが可能となる。なお、支持部43の位置を踏板5の厚さに合せて調節することで、踏板5の上面を上固定部41の上面と面一にすることができる。
【0055】
さらに、本実施形態においては、節点部材33と踏板5との間に柱状部材34を介設したので、一の踏板5に作用する荷重がその上下にある踏板5を支持する第一ブラケット3に分散することになる。つまり、本実施形態に係る階段によれば、柱状部材34を介設しない場合に比べて、ラチスフレーム31等を軽構造にすることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る階段においては、上下に隣り合う節点部材33,33、柱状部材34および第一手摺支柱6を一直線上に配置したので、階段の外観がすっきりとしたものになる。
【0057】
なお、前記した階段の構成は適宜変更しても差し支えない。例えば、前記した実施形態においては、ベース2を介して第一ブラケット3と第二ブラケット4とを支柱1に固定した場合を例示したが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、ベース2を省略し、第一ブラケット3と第二ブラケット4とを直に支柱1に固定しても差し支えない。
【0058】
また、前記した実施形態では、一対のラチスフレーム31,31を連結フレーム32で連結する構成を例示したが、連結フレーム32を省略してもよい。また、前記した実施形態では、節点部材33と踏板5との間に柱状部材34を介設する構成を例示したが、柱状部材34を省略してもよい。
【0059】
また、前記した実施形態では、ラチスフレーム31と連結フレーム32を、節点部材33を介して連結する構成を例示したが、ラチスフレーム31と連結フレーム32とを溶接等の手段を用いて直接接合しても差し支えない。
【0060】
また、前記した実施形態では、第一手摺支柱6,6の間に第二手摺支柱7,7を配置した場合を例示したが、第二手摺支柱7,7を省略しても差し支えない。この場合には、図12に示すように、複数本の線状部材9,9,…を手摺8と略平行に配置してもよい。なお、線状部材9は、第一手摺支柱6に設けられた図示せぬ透孔に挿通される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係る階段の一部を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る階段の全体を示す斜視図である。
【図3】支柱の構成を説明するための分解斜視図である。
【図4】(a)はベースを示す斜視図、(b)はベースの上面図である。
【図5】第一ブラケットおよび第二ブラケットを説明するための斜視図である。
【図6】(a)は第一ブラケットを説明するための正面図、(b)は(a)の下面図である。
【図7】(a)はラチスフレームと節点部材との接続方法を説明するための斜視図、(b)はラチスフレームとベースとの接続方法を説明するための斜視図である。
【図8】節点部材を示す斜視図である。
【図9】(a)は第二ブラケットを説明するための正面図、(b)は同じく平面図である。
【図10】(a)は第一手摺支柱の構成を説明するための分解斜視図、(b)は手摺子の拡大斜視図、(c)は下接続部材の拡大斜視図である。
【図11】第二手摺支柱の構成を説明するための分解斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る階段の全体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 支柱
2 ベース
3 第一ブラケット
31 ラチスフレーム
32 連結フレーム
33 節点部材
4 第二ブラケット
41 上固定部
42 横固定部
43 支持部
5 踏板
6 第一手摺支柱
7 第二手摺支柱
8 手摺
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の周囲に配置される踏板と、
前記踏板の外周部を支持する第一ブラケットと、
前記踏板の内周部を支持する第二ブラケットと、を備える階段であって、
前記第一ブラケットが、前記支柱の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレームを具備し、
前記第二ブラケットが、前記第一ブラケットの基端部の上方に配置されていることを特徴とする階段。
【請求項2】
前記踏板の後側を支持する前記ラチスフレームを含む鉛直面内に、一段上の前記踏板の前側を支持する前記ラチスフレームが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の階段。
【請求項3】
前記第一ブラケットが、前記一対のラチスフレームの先端部同士を連結する連結フレームを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段。
【請求項4】
前記支柱の外面に固定されたベースをさらに備え、
前記第一ブラケットが、前記ベースに支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の階段。
【請求項5】
前記第二ブラケットが、前記ベースに支持されていることを特徴とする請求項4に記載の階段。
【請求項6】
前記第二ブラケットは、前記ベースの上面に固定される上固定部と、前記ベースの側面に固定される横固定部と、前記横固定部から前記踏板の下面に沿って張り出す支持部とを備えており、
前記踏板の内周部が前記支持部に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の階段。
【請求項7】
前記上固定部の上面が、前記踏板の上面と面一になっていることを特徴とする請求項6に記載の階段。
【請求項1】
支柱の周囲に配置される踏板と、
前記踏板の外周部を支持する第一ブラケットと、
前記踏板の内周部を支持する第二ブラケットと、を備える階段であって、
前記第一ブラケットが、前記支柱の周面から斜め上方に向かって張り出す一対のラチスフレームを具備し、
前記第二ブラケットが、前記第一ブラケットの基端部の上方に配置されていることを特徴とする階段。
【請求項2】
前記踏板の後側を支持する前記ラチスフレームを含む鉛直面内に、一段上の前記踏板の前側を支持する前記ラチスフレームが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の階段。
【請求項3】
前記第一ブラケットが、前記一対のラチスフレームの先端部同士を連結する連結フレームを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段。
【請求項4】
前記支柱の外面に固定されたベースをさらに備え、
前記第一ブラケットが、前記ベースに支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の階段。
【請求項5】
前記第二ブラケットが、前記ベースに支持されていることを特徴とする請求項4に記載の階段。
【請求項6】
前記第二ブラケットは、前記ベースの上面に固定される上固定部と、前記ベースの側面に固定される横固定部と、前記横固定部から前記踏板の下面に沿って張り出す支持部とを備えており、
前記踏板の内周部が前記支持部に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の階段。
【請求項7】
前記上固定部の上面が、前記踏板の上面と面一になっていることを特徴とする請求項6に記載の階段。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−297863(P2007−297863A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128155(P2006−128155)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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