説明

隔壁形成用組成物、隔壁形成方法及び電気泳動表示素子

【課題】本発明の目的は、スタンパからの離型性、基材との密着性及び強度に優れる隔壁を形成可能な電気泳動表示素子の隔壁形成用組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、[A]脂環式アルキル骨格を有する重合性化合物、[B]フッ素原子及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する化合物、並びに[C]重合開始剤を含有する電気泳動表示素子の隔壁形成用組成物である。[A]重合性化合物は、ジ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁形成用組成物、隔壁形成方法及び電気泳動表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電した着色粒子の電気泳動現象を利用した非発光デバイスとして、電気泳動表示素子、これを用いた電子ペーパー等が知られている。電気泳動表示素子は、通常、相互に対向配置された基板間に、スペーサーを用いて一定間隔を設け、それぞれの基板上に電極を備えている。この基板間には、溶媒及び帯電した着色粒子から構成される分散液が封入されており、電極間に電圧差が付与されることで着色粒子は一方の電極側に泳動し、電圧差の極性に応じて着色粒子の色又は溶媒の色を視認することができる。
【0003】
このような電気泳動表示素子において、粒子の沈降等の望ましくない運動を抑制するために2つの電極間に仕切りを設け、空間をより小さな区画に分割することが提案されている。例えば、分散液をマイクロカプセルに封入した電気泳動表示素子の技術が知られている(特表2002−526812号公報参照)。しかしながら、かかる技術においては均一なサイズのマイクロカプセルの作製が困難なこと、マイクロカプセルの物理的強度が不十分であること、及び電気泳動表示素子のコントラスト比が低下すること等の不都合がある。
【0004】
そこで、マイクロカプセルを用いず熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、放射線硬化性樹脂等をエンボス加工又はパターニングすることにより、マイクロカップと呼ばれる隔壁を形成し、この隔壁で囲まれる微小区画を形成する方法が開発されている(特表2003−526817号公報参照)。しかしながら、かかる技術においてはエンボス加工を施すスタンパ(金型)に隔壁形成用の樹脂が詰まりやすく連続生産が困難なこと、基板上に形成した隔壁と基板との密着性が不十分であること、隔壁の物理的強度がマイクロカプセルよりは大きいものの依然として不十分であること等の不都合がある。
【0005】
このような状況から、スタンパからの離型性、基材との密着性及び強度に優れる隔壁を形成可能な電気泳動表示素子に用いられる隔壁形成用組成物の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−526812号公報
【特許文献2】特表2003−526817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的はスタンパからの離型性、基材との密着性及び強度に優れる隔壁を形成可能な電気泳動表示素子に用いられる隔壁形成用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]脂環式アルキル骨格を有する重合性化合物(以下、「[A]重合性化合物」とも称する)、
[B]フッ素原子及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する化合物(以下、「[B]化合物」とも称する)、並びに
[C]重合開始剤
を含有する電気泳動表示素子の隔壁形成用組成物である。
【0009】
当該隔壁形成用組成物は、[A]重合性化合物、[B]化合物及び[C]重合開始剤を含有することで、スタンパからの離型性、基材との密着性及び強度に優れる隔壁を形成することができる。
【0010】
[A]重合性化合物は、ジ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。[A]重合性化合物が、上記特定化合物であることで形成される隔壁の強度をより向上することができる。
【0011】
当該隔壁形成用組成物において、[B]化合物の含有量は、[A]重合性化合物100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。[B]化合物の含有量を上記特定範囲とすることで、当該隔壁形成用組成物のスタンパへの充填性、当該隔壁形成用組成物から形成される隔壁のスタンパからの離型性及び基材との密着性をより向上することができる。
【0012】
本発明の電気泳動表示素子の隔壁形成方法は、
(1)当該隔壁形成用組成物を用いて基板上に被形状転写層を形成する工程、
(2)上記被形状転写層に隔壁パターンの反転形状を有するスタンパを圧接する工程、
(3)上記スタンパが圧接された状態の被形状転写層を露光し硬化する工程、及び
(4)上記硬化された被形状転写層をスタンパから剥離する工程
を有する。
【0013】
当該隔壁形成用組成物を用いた本発明の隔壁形成方法によると、スタンパからの離型性、基材との密着性及び強度に優れる隔壁を形成することができる。
【0014】
当該隔壁形成用組成物から形成される隔壁を備える電気泳動表示素子も本発明に好適に含まれる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明は、スタンパからの離型性、基材との密着性及び強度に優れる隔壁を形成可能な電気泳動表示素子の隔壁形成用組成物、隔壁形成方法、並びに電気泳動表示素子を提供することができる。従って、当該隔壁形成用組成物は電気泳動表示素子、電子ペーパー等の電気泳動現象を利用した非発光デバイスに用いられる隔壁の形成材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】隔壁形成方法の一態様を示す概略図である
【発明を実施するための形態】
【0017】
<隔壁形成用組成物>
本発明の隔壁形成用組成物は、[A]重合性化合物、[B]化合物及び[C]重合開始剤を含有する。また、当該隔壁形成用組成物は、好適成分として[D]エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(以下、「[D]重合性化合物」とも称する)を含有してもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲でその他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分を詳述する。
【0018】
<[A]重合性化合物>
[A]重合性化合物は、脂環式アルキル骨格を有する重合性化合物である。[A]重合性化合物としては、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
【0019】
【化1】

【0020】
上記式中、nは、1又は2である。Rは、重合性官能基である。Rは、単結合、酸素原子、炭素数1〜6のアルカンジイル基である。但し、炭素数1〜6のアルカンジイル基は炭素骨格鎖中に酸素原子を含んでいてもよい。また、R及びRが複数の場合、複数のR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Rは、n価の炭素数5〜20の脂環式アルキル骨格を有する基である。
【0021】
で示される重合性官能基としては、例えば(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、エポキシ基(オキセタニル基、3,4−エポキシシクロヘキセニル基も含む)、イソシアネート基等が挙げられる。
【0022】
n=1である場合の[A]重合性化合物としては、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート、シクロヘキサンイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0023】
n=2である場合の[A]重合性化合物としては、例えばシクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレート、イソボルニルジメタクリレート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジグリシジル、1,4−ビス[(オキシラン−2−イルメトキシ)メチル]シクロヘキサン等が挙げられる。これらのうち、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレート、1,4−ビス[(オキシラン−2−イルメトキシ)メチル]シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0024】
上記Rとしては(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましく、(メタ)アクリル基を2つ有することがより好ましい。[A]重合性化合物が、ジ(メタ)アクリレート化合物であることで、形成される隔壁の強度をより向上することができる。
【0025】
[A]重合性化合物の合成方法としては、特に限定されず従来公知の方法により合成することができる。また、市販品を使用することもできる。
【0026】
当該隔壁形成用組成物において[A]重合性化合物は単独又は2種以上を使用することができる。[A]重合性化合物の含有量としては、後述する[B]化合物の含有割合にて詳述する。
【0027】
<[B]化合物>
[B]化合物は、フッ素原子及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する化合物である。
【0028】
フッ素原子を有する[B]化合物としては、末端、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキル基及び/又はフルオロアルキレン基を有する化合物が好ましく、例えば1,1,2,2−テトラフルオロ−n−オクチル(1,1,2,2−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロ−n−オクチル(n−ヘキシル)エーテル、ヘキサエチレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−n−ペンチル)エーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロ−n−ブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−n−ペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロ−n−ブチル)エーテル、パーフルオロ−n−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−n−デカン、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロ−n−ドデカン、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキルリン酸ナトリウム、フルオロアルキルカルボン酸ナトリウム、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、他のフルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルキルポリオキシエタノール、パーフルオロアルキルアルコキシレート、カルボン酸フルオロアルキルエステル等が挙げられる。
【0029】
フッ素原子を有する[B]化合物としては、市販品を使用することができ例えばBM−1000、BM−1100(以上、BM CHEMIE製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183、同F178、同F191、同F444、同F471、同F476(以上、DIC製)、フロラードFC−170C、同−171、同−430、同−431(以上、住友スリーエム製)、サーフロンS−112、同−113、同−131、同−141、同−145、同−382、サーフロンSC−101、同−102、同−103、同−104、同−105、同−106(以上、旭硝子製)、エフトップEF301、同303、同352(以上、新秋田化成製)、フタージェントFT−100、同−110、同−140A、同−150、同−250、同−251、同−300、同−310、同−400S、FTX−218、同−251(以上、ネオス製)等が挙げられる。
【0030】
同様に、ケイ素原子を有する[B]化合物としても、市販品を使用することができ、例えばトーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH−190、同SH−193、同SZ−6032、同SF−8428、同DC−57、同DC−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4446、TSF−4460、TSF−4452(以上、モメンティブ製)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KF−6015(以上、信越化学工業製)等が挙げられる。
【0031】
当該隔壁形成用組成物において[B]化合物は単独又は2種以上を使用することができる。[B]化合物の含有量としては、[A]重合性化合物の含有量100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.5質量部以上5質量部以下がより好ましい。[B]化合物の含有量を上記範囲とすることで、スタンパへの充填性、スタンパからの離型性及び基材との密着性をより向上することができる。
【0032】
<[C]重合開始剤>
当該隔壁形成用組成物に含有される[C]重合開始剤は、放射線に感応して[A]重合性化合物の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。このような[C]重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。
【0033】
O−アシルオキシム化合物としては、例えばエタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1,2−オクタンジオン−1−4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)等が挙げられる。これらのうち、1,2−オクタンジオン−1−4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
【0034】
アセトフェノン化合物としては、例えばα−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物が挙げられる。
【0035】
α−アミノケトン化合物としては、例えば2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0036】
α−ヒドロキシケトン化合物としては例えば1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0037】
これらのアセトフェノン化合物のうちα−アミノケトン化合物が好ましく、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンがより好ましい。
【0038】
ビイミダゾール化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられる。これらのうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール又は2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールがより好ましい。
【0039】
[C]重合開始剤としては、市販品を使用してもよく例えば2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア379)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02)、1,2−オクタンジオン−1−4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)(イルガキュアOXE01)(以上、BASF製)等が挙げられる。
【0040】
[C]重合開始剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。当該隔壁形成用組成物における[C]重合開始剤の含有量としては、[A]重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましく、1質量部〜20質量部がより好ましい。[C]重合開始剤の含有量を上記特定範囲とすることで、形成される隔壁の強度及び基板との密着性をより向上することができる。
【0041】
<[D]重合性化合物>
当該隔壁形成用組成物は、好適成分として[D]エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(但し、[A]重合性化合物と重複する構造を有する重合性化合物は除く)を含有することができる。
【0042】
[D]重合性化合物としては、例えばω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート等のほか、直鎖アルキレン基を有し、かつ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有し、かつ3個〜5個の(メタ)アクリロイロキシ基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0043】
[D]重合性化合物の市販品としては、例えば
アロニックスM−400、同M−402、同M−405、同M−450、同M−1310、同M−1600、同M−1960、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同M−8100、同M−8530、同M−8560、同M−9050、アロニックスTO−1450、同TO−1382(以上、東亞合成製);
KAYARAD DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同MAX−3510(以上、日本化薬製);
ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業製);
ウレタンアクリレート系化合物として、ニューフロンティア R−1150(第一工業製薬製);
KAYARAD DPHA−40H、UX−5000(以上、日本化薬製);
UN−9000H(根上工業製);
アロニックスM−5300、同M−5600、同M−5700、M−210、同M−220、同M−240、同M−270、同M−6200、同M−305、同M−309、同M−310、同M−313、同M−315(以上、東亞合成製);
KAYARAD HDDA、KAYARAD HX−220、同HX−620、同R−526、同R−167、同R−604、同R−684、同R−551、同R−712、UX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101、UX−8101、UX−0937、MU−2100、MU−4001(以上、日本化薬製);
アートレジンUN−9000PEP、同UN−9200A、同UN−7600、同UN−333、同UN−1003、同UN−1255、同UN−6060PTM、同UN−6060P(以上、根上工業製);
SH−500Bビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業製)等が挙げられる。その他、N−ビニルピロリドン、モノグリシジルエーテル等のいわゆる反応性希釈剤が挙げられる。
【0044】
[D]重合性化合物は、単独又は2種以上を混合して使用できる。当該隔壁形成用組成物における[D]重合性化合物の含有量としては、[A]重合性化合物100質量部に対して、1質量部〜400質量部が好ましく、10質量部〜100質量部がより好ましい。[D]重合性化合物の含有割合を上記範囲とすることで、当該隔壁形成用組成物から形成される隔壁はより基板との密着性及び十分な強度を有することができる。
【0045】
<その他の任意成分>
当該隔壁形成用組成物は、上記の[A]重合性化合物、[B]化合物、[C]重合開始剤及び[D]重合性化合物に加え、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じてその他の任意成分を含有できる。これらの各任意成分は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。また、その他の任意成分の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0046】
<隔壁形成用組成物の調製方法>
当該隔壁形成用組成物は、[A]重合性化合物、[B]化合物及び[C]重合開始剤を混合することにより調製される。この隔壁形成用組成物は、適当な溶媒に溶解されて溶液状態として用いられてもよく、溶媒を使用せずに用いられてもよい。溶媒を使用しない場合、[A]重合性化合物及び/又は[D]重合性化合物を溶媒の代わりとして、いわゆる反応性希釈剤として用いるのが好適である。
【0047】
当該隔壁形成用組成物の調製に溶媒を使用する場合、各成分を均一に溶解又は分散るものが用いられる。このような溶媒としては、例えばアルコール、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、ケトン類、エステル等が挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0048】
アルコールとしては、例えばベンジルアルコール等;
グリコールエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等;
エチレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、例えばエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等;
ジエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等;
ジエチレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等;
ジプロピレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えばジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等;
プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、例えばプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネートとしては、例えばプロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート等;
ケトンとしては、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、メチルイソアミルケトン等;
エステルとしては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル等が挙げられる。
【0049】
これらの溶媒のうち、各成分の溶解性、各成分との反応性、塗膜形成の容易性等の観点から、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、3−メトキシブタノールが好ましい。
【0050】
また、上記溶媒とともに膜厚の面内均一性を高めるため、高沸点溶媒を併用できる。高沸点溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、1−オクタノール、1−ノナノール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン等が挙げられる。これらのうち、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン又はN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
【0051】
当該隔壁形成用組成物の溶媒として、高沸点溶媒を併用する場合、その使用量としては、全溶媒量に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。高沸点溶媒の使用量が50質量%以下の時、塗膜の膜厚均一性が良好となる。
【0052】
当該隔壁形成用組成物を溶液状態として調製する場合、溶媒の使用の有無に関わらず、25℃における粘度としては1mPa・s〜500mPa・sが好ましく、5mPa・s〜200mPa・sがより好ましい。上記特定範囲の粘度とすることで、塗布適性及びその他の加工適性を付与でき、スタンパを押し当てた際の微細隔壁パターンの形成能、即ちモールドの凹部のキャビティ内に当該隔壁形成用組成物が流れやすくなることで、大気が取り込まれにくくなりバブル欠陥の発生を抑制できる。硬化後の隔壁においては、基板との密着性、スタンパからの離型性、隔壁の強度、隔壁の平坦性等に優れる。なお、上記粘度は、東機産業製VISCOMETER RE−85Lにより測定した値をいう。
【0053】
<隔壁形成方法>
本発明の電気泳動表示素子の隔壁形成方法は、
(1)当該隔壁形成用組成物を用いて基板上に被形状転写層を形成する工程(以下、「工程1」と称する)、
(2)上記被形状転写層に隔壁パターンの反転形状を有するスタンパを圧接する工程(以下、「工程2」と称する)、
(3)上記スタンパが圧接された状態の被形状転写層を露光し硬化する工程(以下、「工程3」と称する)、及び
(4)上記硬化された被形状転写層をスタンパから剥離する工程(以下、「工程4」と称する)
を有する。
【0054】
当該隔壁形成用組成物を用いた本発明の隔壁形成方法によると、スタンパからの離型性、基材との密着性及び強度に優れる隔壁を形成することができる。以下、各工程を図1を参照しつつ詳述する。
【0055】
[工程(1)]
本工程は、当該隔壁形成用組成物を用いて基板上に被形状転写層を形成する工程であり、図1(1)で表される。基板20上に当該隔壁形成用組成物を塗布して、被形状転写層30を形成する。当該隔壁形成用組成物の塗布方法としては、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート方法、スリットスキャン法等が挙げられる。膜厚は、使用する用途によって異なるが1μm〜100μmである。また、当該隔壁形成用組成物は、多重塗布してもよい。基板(基材)としては、例えばソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる樹脂基板、アルミ箔、アルミ板、銅板、ステンレス板等の金属製基板等が挙げられる。樹脂基板は枚葉で用いられてもよく、長尺の樹脂フィルムロールとして用いられてもよい。樹脂フィルムロールとして用いられる場合、当該隔壁形成用組成物は連続的に塗布されることが効率的である。塗布された被形状転写層に溶媒が含まれる場合、公知の方法によって基板を加熱し溶媒を揮発させることが好ましい。
【0056】
[工程(2)]
本工程は、上記被形状転写層に隔壁パターンの反転形状を有するスタンパを圧接する工程であり、図1(2)で表される。基板20上に設けられた被形状転写層30に、凹凸パターン11を備えるスタンパ10を圧接する。なお、「被形状転写層」とは、硬化され凹凸パターンを有するまでの過程の全ての状態における層をいう。この被形状転写層30は、凹凸パターンを有することで、本発明における隔壁形成以外にも、例えばLSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子の層間絶縁膜、半導体素子製造時におけるレジスト膜等として利用することもできる。スタンパ10の材料としては、圧接に耐え得る強度を有していれば特に限定されず、シリコン、ガラス、金属、石英、樹脂等の公知の材料が用いられ、スタンパの表面には後述の離型性付与の他、耐腐食性、耐擦傷性付与のためにメッキ、蒸着、スパッタリング、CVD等で表面層が形成されていてもよい。後述する工程(3)において、スタンパ側から放射線を照射する場合、放射線を透過させるために、光透過性スタンパ材を用いることが好ましい。光透過性スタンパ材としては、例えばガラス、石英、PMMA、透明金属蒸着膜、光硬化膜、金属膜ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂や、ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜等が挙げられる。圧接圧力としては、例えば通常0.1MPa以上100MPa以下である。圧接圧力としては、0.1MPa〜50MPaが好ましく、0.1MPa〜30MPaがより好ましい。圧接時間としては、例えば、通常1秒以上300秒以下である。圧接時間としては、2秒〜60秒が好ましく、3秒〜30秒が効率面でより好ましい。ロール式ラミネーター等、ニップロール間を搬送させながら圧接を行う場合、搬送速度としては0.5cm/s〜5cm/sが好ましい。基材として長尺の樹脂フィルムロールを用いる場合、工程(1)において被形状転写層が連続的に形成された後、本工程においてスタンパも連続的に圧接するのが効率面で好ましい。この時、スタンパの形状は板状ではなく円筒ロール状とし、この円筒ロールの曲面上に凹凸パターンを備えたものであることが好ましい。
【0057】
なお、離型性をより向上させる観点からスタンパ10の圧接前に、凹凸パターン11の表面に離型剤を付着させてもよい。離型剤としては、例えばシリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポロエチレン系離型剤、ポロプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。これらのうち、シリコン系離型剤が好ましい。シリコン系離型剤としては、例えばポリジメチルシロキサン、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等が挙げられる。離型剤は単独又は2種以上を併用してもよい。
【0058】
[工程(3)]
本工程は、上記スタンパが圧接された状態の被形状転写層を露光し硬化する工程であり、図1(3)で表される。被形状転写層30に対して、スタンパ10が圧接された状態の被形状転写層30を放射線40で露光する。放射線としては、例えば可視光線;紫外線;ArFエキシマレーザー(波長193nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)等の遠紫外線;X線;電子線等の荷電粒子線等の放射線を用いることができる。また、露光は被形状転写層30の全面に行ってもよく、一部領域にのみ行ってもよい。また、上述のようにスタンパ10が光透過性スタンパ材である場合には、放射線40をスタンパ10を透過させて被形状転写層へ露光することができる。一方、基板20が光透過性材料である場合には、基板20の裏側から放射線40を透過させることもできる。放射線照射量(露光量)としては、照射される放射線の種類により異なるが、照度計(アイグラフィックス製UV METER UVPF−A1)により測定した値として、100J/m〜5,000J/mが好ましく、200J/m〜3,000J/mがより好ましい。本工程において、被形状転写層は基板とスタンパに挟まれた状態で露光され、空気に直接接していないため、酸素による重合阻害の影響が少ない。基材として長尺の樹脂フィルムロールを用いる場合、工程(1)及び工程(2)でそれぞれ連続的に被形状転写層を形成、スタンパを圧接した後、本工程においても連続的に放射線で露光することが効率的である。
【0059】
[工程(4)]
本工程は、上記硬化された被形状転写層をスタンパから剥離する工程であり、図1(3)で表される。スタンパ10を被形状転写層30から剥離する。この剥離工程を行う直前の状態における各層は、基板20、被形状転写層30、スタンパ10の順に積層されており、上記工程(3)の硬化によって、基板20と被形状転写層30との間の密着強度が、被形状転写層30とスタンパ10との間の密着強度より高くなることから共剥がれを防止しつつ剥離を行うことができる。剥離方法としては、例えば基板20を固定してスタンパ10を基板20から遠ざけるように移動させて剥離してもよく、スタンパ10を固定して基板20をスタンパ10から遠ざけるように移動させて剥離してもよく、基板20とスタンパ10の両方を相互に逆方向へ引っ張って剥離してもよい。基材として長尺の樹脂フィルムロールを用いる場合、工程(1)、工程(2)及び工程(3)でそれぞれ連続的に被形状転写層を形成、スタンパを圧接、放射線で露光した後、本工程においても連続的に基材とスタンパを遠ざけて剥離することが効率的である。スタンパから剥離させ、硬化した被形状転写層付き長尺樹脂フィルムは、巻き取ってロールとして扱ってもよいし、所望のサイズに切断して枚葉フィルムとして扱ってもよい。なお、工程(1)〜工程(4)を経て製造された被形状転写層付き基板は、引き続いて電気泳動表示素子を形成するのに用いられる。
【0060】
<電気泳動表示素子及びその製造方法>
当該隔壁形成用組成物から形成される隔壁を備える電気泳動表示素子も本発明に好適に含まれる。当該電気泳動表示素子は、例えば以下の方法により簡便に製造し、表示特性を確認することができる。
【0061】
片面に透明導電膜(電極)を備える透明基板の透明導電膜上に、上記「隔壁形成方法」と同様に操作して隔壁を形成する。透明基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG製の登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜、酸化亜鉛膜、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)膜等が挙げられる。次いで、隔壁によって囲まれた区画に、電気泳動表示液を充填し、別の透明導電膜付き透明基板で挟み、端部をエポキシ系接着剤等で封止することで、当該電気泳動表示素子が得られる。
【0062】
なお、一対の透明導電膜付き透明基板のうち、いずれか一方は必ずしも透明である必要はない。一方の導電膜付き基板が不透明である場合、電気泳動による表示は透明基板側からのみ視認される。また、電子ペーパー等の工業製品として、高解像度の表示が可能な電気泳動表示素子を製造するには、TFT駆動の微細画素電極を形成した基板を用いることが好ましい。製造した電気泳動表示素子の両基板間、即ち両電極間に電圧を印加すると、表示液中の帯電着色粒子が反対電荷の電極方向に泳動する。例えば、色及び電荷の符号の異なる2種類の粒子を分散させた表示液を用いれば、印加電圧の向きを変えることにより、2色の粒子の色による表示が可能となる。
【0063】
本発明の隔壁形成用組成物又は隔壁形成方法によって形成された隔壁は、電気泳動表示液を微小区画に分割して表示液中の粒子の沈降を抑制する効果を有するとともに、一対の基板間の距離を一定に保つスペーサとしての役割も有する。隔壁によって囲まれる微小区画の形状は、平面上に連続して密に並べられる形状であれば特に制限はないが、例えば正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、正六角形等の形状が挙げられる。このとき、微小区画部分と隔壁部分の基板上での面積比は、隔壁の強度が損なわれない範囲で、できるだけ微小区画部分の面積が大きい方が、例えばコントラスト比等の表示性能が向上するため好ましい。即ち、隔壁の幅は、スタンパを圧接して硬化させる手法で形成可能であって、強度が損なわれない範囲で出来るだけ狭い方が好ましい。具体的には隔壁の幅は30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
【0064】
微小区画の孔径は、小さければ表示液中の粒子の沈降をより抑制できること点で好ましいが、隔壁の占める面積が増加するため表示性能が低下する恐れがある。逆に微小区画の孔径が大きければ隔壁の占める面積が減り、コントラスト比等の表示性能は向上するが、分散液中の粒子の沈降が発生しやすくなる恐れがある。微小区画1つの長辺と短辺の平均値を孔径とすると、孔径としては好ましくは10μm〜300μm、より好ましくは30μm〜200μmである。
【0065】
隔壁の高さは、高ければ一対の基板間の距離が増加するため、表示液中の粒子の泳動に時間がかかり応答速度が低下する恐れがある。また、印加電圧が増加し消費電力が増大する恐れがある。さらにはスタンパを圧接して硬化させる際に、隔壁を形成しにくくなる恐れがある。ただし表示液の厚みが増えるため、コントラスト比を向上させやすくなる。逆に隔壁が低ければ、隔壁を形成しやすくなるほか、泳動が短時間で済むため応答速度が向上しやすくなり、印加電圧が少なくて済むため消費電力を下げやすくなる。一方で表示液の厚みが減るため、コントラスト比が低下する恐れがある。隔壁の高さは好ましくは10μm〜200μm、より好ましくは15μm〜100μmである。上記の形状の微小区画および隔壁を形成するため、スタンパには微小区画と隔壁の凹凸を反転させた形状の凹凸が形成されて用いられる。
【0066】
電気泳動表示液は、溶媒と該溶媒中に分散した帯電着色粒子とを含む。帯電着色粒子は、色の異なる2種類以上の粒子が含まれていてもよく、帯電極性(+及び−)の異なる2種以上の粒子が含まれていてもよい。その他、媒体を着色させるための染料、粒子の帯電制御剤、粒子の分散剤、界面活性剤等が含まれていてもよいが、粒子の分散性を確保するため分散剤を用いることが好ましい。
【0067】
溶媒は絶縁性を有することが好ましく、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、パーフルオロエーテル類、高純度石油、エチレングリコール、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、これらの混合物等が挙げられる。
【0068】
これらのうち、アルキルベンゼン、イソパラフィン、シリコーンオイル、パーフルオロエーテル類、又はこれらと他の溶媒との混合物が好ましい。
【0069】
上記シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル等のシロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル;フッ素変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらのうち、ジメチルシリコーンオイルが好ましい。
【0070】
シリコーンオイルの粘度としては、温度25℃の環境下において、1mPa・s以上100mPa・s以下が好ましく、1mPa・s以上50mPa・s以下がより好ましい。
【0071】
パラフィン系炭化水素溶媒としては、炭素数20以上(沸点80℃以上)のノルマルパラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素等が挙げられる。パラフィン系炭化水素溶媒としては、イソパラフィンが好ましい。イソパラフィンとしては、例えばシェルゾル71(シェル石油製)、アイソパーO、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーG、アイソパーM(以上、エクソンモービル製)、IPソルベント(出光興産製)等が挙げられる。
【0072】
帯電着色粒子としては、無機又は有機の各種顔料を用いることができ、表面改質又は表面被覆した顔料を用いてもよい。ポリマー粒子、中空ポリマー粒子を着色粒子として用いてもよく、内部に顔料を含有させたポリマー粒子、内部に顔料を含有させた中空ポリマー粒子も好ましい。
【0073】
顔料を表面改質、表面被覆する方法としては、例えばポリマー等をコーティングする方法、ポリマーと混合してメカノケミカル処理する方法、チタネート系・シラン系等のカップリング剤で処理する方法、グラフト重合する方法等が挙げられる。
【0074】
帯電着色粒子に用いる顔料としては、例えば無彩色又は有彩色を用いることができ、例えば鉛白、亜鉛華、リトポン、二酸化チタン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、カオリン、雲母、硫酸バリウム、グロスホワイト、アルミナホワイト、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、1−アミノアントラキノン、アンサントロン、アントラピリミジン、アゾ、ジアゾ、アゾメチン、キナクリドン、キナクリドンキノン、キノフタロン、ジオキサジン、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ペリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピラントロン又はチオインジゴシリーズ等が挙げられる。また、適用可能な場合、金属錯体又はレーキの形態であってもよい。銅、亜鉛又はニッケルフタロシアニン、1,4−ジケト−3,6−ジアリール−ピロロ[3,4−c]ピロール、ジオキサジン、イソインドリノン、インダントロン、ペリレン、キナクリドン等の非置換又は部分的にハロゲン化されたフタロシアニンを含む。
【0075】
好ましい顔料としては、カラーインデックスに記載されている顔料であって、
ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、17、24、34、42、53、62、73、74、83、93、95、108、109、110、111、119、120、123、128、129、139、147、150、151、154、164、168、173、174、175、180、181、184、185、188、191、191:1、191:2、193、194及び199;
ピグメントオレンジ5、13、16、22、31、34、40、43、48、49、51、61、64、71、73及び81;
ピグメントレッド2、4、5、23、48、48:1、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57、57:1、88、89、101、104、112、122、144、146、149、166、168、170、177、178、179、181、184、185、190、192、194、202、204、206、207、209、214、216、220、221、222、224、226、242、248、254、255、262、264、270及び272;
ピグメントブラウン23、24、25、33、41、42、43及び44;
ピグメントバイオレット19、23、29、31、37及び42;
ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、25、26、28、29、60、64及び66;
ピグメントグリーン7、17、36、37、50及び58;
ピグメントブラック7、12、27、30、31、32及び37;
バットレッド74;
3,6−ジ(3’,4’−ジクロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、3,6−ジ(4’−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン及び3−フェニル−6−(4’−tert−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン並びにこれらの混合物及び固体溶液である。顔料は2種以上を併用してもよい。
【0076】
帯電着色粒子の濃度としては、表示特性や応答特性又はその用途によって種々選択されるが1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましい。色の異なる複数の粒子を混合する場合には、その粒子総量が上記範囲であることが好ましい。
【0077】
分散剤としては特に限定されないが、好ましくは主としてポリ(アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステル)からなる鎖と、窒素原子を含む成分で構成された鎖とを含むブロックコポリマーである。より好ましくは、主としてポリ(アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステル)からなる鎖、窒素原子を含む成分で構成された鎖、及び2つの末端基からなる直鎖のブロックコポリマーである。窒素原子を含む成分で構成された鎖は、好ましくはポリエチレンイミン及び/又はポリ(ビニルピリジン)である。分散剤の数平均分子量Mnとしては、通常2,000〜30,000であり、好ましくは、3,000〜20,000である。
【0078】
分散剤の市販品としては、例えばDISPERBYK−102、同106、同108、同109、同111、同116、同130、同145、同180、同185、同191、同192、同2000、同2001、同2008、同2095、同2096、同2155等のDISPERBYKシリーズ;BYK−220S、同9076、同9077等のBYKシリーズ及びANTI−TERRAシリーズ(以上、ビックケミー製)、EFKA−4300、同4340等のEFKAシリーズ(以上、BASF製)、SOLSPERSE−3000、同5000、同8000、同11200、同12000、同16000、同17000、同18000、同24000、同28000、同35000等のSOLSPERSEシリーズ(以上、ルーブリゾール製)、アジスパーPB−821、同PB−822、同PB−881、同PN−411、同PA−111等のアジスパーシリーズ(以上、味の素ファインテクノ製)、ディスパロンシリーズ(楠本化成製)等が挙げられる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例に本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0080】
実施例及び比較例で使用した各成分の詳細を示す。
【0081】
<[A]重合性化合物>
A−1:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
A−2:イソボルニルアクリレート
A−3:アダマンタンジアクリレート
A−4:トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメタクリレート
A−5:1,4−ビス[(オキシラン−2−イルメトキシ)メチル]シクロヘキサン
A−6:イソホロンジイソシアネート
【0082】
<[B]化合物>
B−1:ポリエーテル変性ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業製、KF−6015)
B−2:パーフルオロアルキル基を有する重合体(DIC製、メガファックF−444)
【0083】
<[C]重合開始剤>
C−1:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF製、イルガキュア907)
C−2:エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(BASF製、イルガキュアOXE02)
【0084】
<[D]重合性化合物>
D−1:1,9−ノナンジオールジアクリレート
D−2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(日本化薬製、DPHA)
【0085】
<隔壁形成用組成物の調製>
[実施例1]
[A]重合性化合物としての上記(A−1)100質量部、[B]化合物としての上記(B−1)1質量部、及び[C]重合開始剤としての(C−1)5質量部を混合し隔壁形成用組成物を調製した。粘度は120mPa・sであった。
【0086】
[実施例2〜10及び比較例1〜3]
表1に示す種類、量の各成分を使用したこと以外は、実施例1と同様に操作し、隔壁形成用組成物を調製した。なお、表1中の「−」は該当する成分を使用しなかったことを表す。
【0087】
<隔壁の形成>
ギャップ100μmのブレード型アプリケーターを用いて、基板として厚さ50μmの透明PETフィルム(帝人デュポンフィルム製、テトロンフィルム)上に、実施例及び比較例の隔壁形成用組成物を4cm/秒〜5cm/秒の速さで塗布し、膜厚約50μm〜55μmの被形状転写層を形成した。離型剤(ダイキン工業製、ダイフリーGA−7500)を予め塗布したニッケル電鋳スタンパ(転写すると、高さ30μm、幅20μm、間隔130μmの格子状のパターン形状を有する)を塗布面に乗せ、押し圧0.2MPaのロール式ラミネーターで2cm/sで搬送させながら圧接した。コンベア式のUV照射装置(アイグラフィックス製、空冷メタルハライドランプ、照度180mW/cm、合計照射量900mJ/cm)で、基板の裏側から紫外線を照射して上記スタンパが圧接された状態の被形状転写層を露光し、硬化させた。その後、上記露光された被形状転写層をスタンパから剥離し、隔壁を得た。なお、スタンパを被形状転写層に圧接した時に、スタンパの端からあふれた被形状転写層(隔壁形成用組成物)は、硬化、未硬化によらずPET基材とともに切り取って除去した。
【0088】
<評価>
形成した各隔壁を用いて下記の評価を行った。結果を表1にあわせて示す。
【0089】
[スタンパからの離型性]
硬化された被形状転写層をスタンパから剥離した際の、スタンパからの離型性を目視で確認するとともに、スタンパ凹部の目詰まり具合を形状測定レーザーマイクロスコープ(VK−9700、キーエンス製)で確認した。硬化された被形状転写層が容易にスタンパから剥離し、スタンパ凹部の目詰まりが見られない場合を「A」(良好)と判断し、スタンパと共に被形状転写層基板が基板から共剥がれした場合や、スタンパ凹部の目詰まりが目立つ場合を「B」(不良)と判断した。
【0090】
[基材との密着性(個)]
形成した隔壁パターンを有する基板について、プレッシャークッカー試験(120℃、湿度100%、4時間)を行った後、JIS K−5400−1990の8.5.3:付着性碁盤目テープ法により碁盤目100個中、残った碁盤目の数から隔壁パターンの密着性を評価した。残った碁盤目の数が、100に近いほど良好と判断した。
【0091】
[隔壁の強度(μm)]
形成した隔壁パターンをフィッシャースコープH100C(フィッシャーインストルメンツ製)で50μm角状の平面圧子を用い50mNの荷重により圧縮試験を行い圧縮変位量を測定した。圧縮変位量の値が0.5μm以下の場合、隔壁の強度を良好と判断した。
【0092】
<電気泳動表示素子の製造>
実施例及び比較例で調製した隔壁形成用組成物を用い、基板として片面に100nm厚のITO層を備える厚さ0.7mm厚のガラス板を用いた以外は、上記「隔壁の形成」と同様に操作して、ITO面上に隔壁を形成した。隔壁によって囲まれた区画に、電気泳動表示液(エクソンモービル製、アイソパーM溶媒中に、表面をシランカップリング剤処理した平均粒径250nmの酸化チタンを10%、表面をポリマー被覆による有機処理をした平均粒径24nmのカーボンブラックを2%、分散剤としてのビックケミー製、BYK−9077を2%分散させた溶液)を充填し、別のITO付きガラスで挟み、端部をエポキシ系接着剤で封止し電気泳動表示素子を製造した。隔壁及び電気泳動表示液を挟む一対のITO膜間に10V/10μm間隔の直流電圧を印加した。印加により、+電極側に酸化チタンが泳動し白色に見え、反対側の−電極側にカーボンブラックが泳動し黒色に見え、電圧を反転させると白と黒が反転し、白・黒の表示が可能であり、かつ格子状の隔壁によって電気泳動表示液を微小な空間に分割したことにより、電気泳動表示液が沈降、凝集することがなかった場合を電気泳動表示素子の作動状態を「A」(良好と判断)、作動状態に不具合が発生した場合を「B」(不良と判断)とした。
【0093】
【表1】

【0094】
表1の結果から電気泳動表示素子に用いられる当該隔壁形成用組成物から形成される隔壁は、良好なスタンパからの離型性、基材との密着性及び強度を有することがわかった。また、当該隔壁形成用組成物から形成される隔壁を備える当該電気泳動表示素子は、良好に作動することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、スタンパからの離型性、基材との密着性及び強度に優れる隔壁を形成可能な電気泳動表示素子の隔壁形成用組成物、隔壁形成方法、並びに電気泳動表示素子を提供することができる。従って、当該隔壁形成用組成物は電気泳動表示素子、電子ペーパー等の電気泳動現象を利用した非発光デバイスに用いられる隔壁の形成材料として好適である。
【符号の説明】
【0096】
10 スタンパ
11 凹凸パターン
20 基板
30 被形状転写層
40 放射線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]脂環式アルキル骨格を有する重合性化合物、
[B]フッ素原子及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の元素を有する化合物、並びに
[C]重合開始剤
を含有する電気泳動表示素子の隔壁形成用組成物。
【請求項2】
[A]重合性化合物が、ジ(メタ)アクリレート化合物である請求項1に記載の隔壁形成用組成物。
【請求項3】
[B]化合物の含有量が、[A]重合性化合物100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下である請求項1又は請求項2に記載の隔壁形成用組成物。
【請求項4】
(1)請求項1、請求項2又は請求項3に記載の隔壁形成用組成物を用いて基板上に被形状転写層を形成する工程、
(2)上記被形状転写層に隔壁パターンの反転形状を有するスタンパを圧接する工程、
(3)上記スタンパが圧接された状態の被形状転写層を露光し硬化する工程、及び
(4)上記硬化された被形状転写層をスタンパから剥離する工程
を有する電気泳動表示素子の隔壁形成方法。
【請求項5】
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の隔壁形成用組成物から形成される隔壁を備える電気泳動表示素子。

【図1】
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【公開番号】特開2012−168254(P2012−168254A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27274(P2011−27274)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】