説明

障害対応コンピュータ、障害対応コンピュータシステム、コンピュータの障害対応方法、及び、プログラム

【課題】簡易で、かつ低コストな方法で、ネットワーク環境を自動的に設定し、迅速にデータを復元する。
【解決手段】所定時刻に、バックアップ用パラメータ情報400とネットワーク情報104を不揮発性記憶装置12に、ユーザデータ103をバックアップ用コンピュータにバックアップする。そして、ユーザデータ103の復元時には、不揮発性記憶装置12に記憶されているネットワーク情報104を用いてネットワーク環境を設定し、バックアップ用パラメータ情報400を用いてバックアップ用コンピュータ6にアクセスして、バックアップされていたユーザデータ103を取得して復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害回復後のデータ復元および復元に必要なネットワーク環境の設定を自動的に行う障害対応コンピュータ、障害対応コンピュータシステム、コンピュータの障害対応方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータなどユーザが個々で利用しているコンピュータにおいて、ユーザデータの一般的なバックアップ方法として、記憶装置に保持されているデータを、ネットワークを介して他のコンピュータの記憶装置に保存する方法がある。
【0003】
保存されたバックアップデータは、ユーザコンピュータが故障し、基本ソフトウェアから再セットアップを行う場合に利用される。その場合の手順は、まず、基本ソフトウェアの再セットアップ後にネットワークの設定を行い、次に、バックアップ用コンピュータと通信してデータの復元を行うというものである。この作業には、事前に、IPアドレスやゲートウェイなどのネットワーク情報や、バックアップアップデータが保存されている他のコンピュータにアクセスするための情報(IPアドレス、ログインID、パスワードなど)が必要となる。
【0004】
しかし、利用者個人がネットワーク情報等を把握していることは少ない。また、システム管理者はネットワーク情報等を把握しているが、非常に多くのコンピュータに関する情報を管理している場合が多く、対象となるコンピュータのネットワーク情報を即座に回答することは困難である。そのため、従来のコンピュータのデータ復元には、非常に時間がかかっていた。
【0005】
そこで、ネットワークアドレスの設定が不要なプロトコルを用いて、ネットワーク情報を管理するデータベースを保有するサーバに問い合わせる技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ネットワーク情報を記憶した2つで1組のネットワーク構成装置を用意し、これを通信を行う双方の装置に接続して通信を確立する技術もある(特許文献2参照)。
さらに、ネットワークを介することなく直接接続された2つの装置の間で相互にネットワーク情報を共有し、必要に応じて一方の装置が他方の装置にネットワーク情報を問い合わせる技術もある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−227593号公報
【特許文献2】特開2004−362323号公報
【特許文献3】特開平9−204319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術では、ネットワークアドレス設定不要のプロトコルで通信する機能を持つサーバがネットワーク情報を管理するデータベースを保有する必要があった。
また、特許文献2、特許文献3の技術では、2重に装置を構成する必要があり、システム構築のコストが増大した。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡易で、かつ低コストな方法で、ネットワーク環境を自動的に設定し、迅速にデータを復元することができる障害対応コンピュータ、障害対応コンピュータシステム、コンピュータの障害対応方法、及び、プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点に係る障害対応コンピュータシステムは、
コンピュータと、当該コンピュータとネットワークを介して接続されたバックアップ用コンピュータと、から構成される障害対応コンピュータシステムにおいて、
前記コンピュータは、
前記コンピュータの電源切断後も記憶内容を保持する不揮発性記憶装置と、
予め定められた時刻に、前記コンピュータのネットワーク環境を設定するためのネットワーク情報と、前記バックアップ用コンピュータにアクセスするためのバックアップ用パラメータ情報と、を前記不揮発性記憶装置に保存するとともに、前記コンピュータのユーザによって作成されたユーザデータを前記バックアップ用コンピュータに保存するための処理を実行するデータ保存手段と、
前記ユーザデータを復元する時に、前記不揮発性記憶装置から、前記ネットワーク情報と前記バックアップ用パラメータ情報とを読み出し、読み出したネットワーク情報を用いてネットワーク環境を設定し、読み出したバックアップ用パラメータ情報を用いて前記バックアップ用コンピュータにアクセスして、前記バックアップ用コンピュータから前記ユーザデータを復元するための処理を実行するデータ復元手段と、
を備えることを特徴とする。

【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点に係る障害対応コンピュータは、
ネットワークを介してバックアップ用コンピュータと接続されている障害対応コンピュータにおいて、
不揮発性記憶装置と、
予め定められた時刻に、自身のネットワーク環境を設定するためのネットワーク情報と、前記バックアップ用コンピュータにアクセスするためのバックアップ用パラメータ情報と、を前記不揮発性記憶装置に保存するとともに、前記コンピュータのユーザによって作成されたユーザデータを前記バックアップ用コンピュータに保存するための処理を実行するデータ保存手段と、
前記ユーザデータを復元する時に、前記不揮発性記憶装置から、前記ネットワーク情報と前記バックアップ用パラメータ情報とを読み出し、読み出したネットワーク情報を用いてネットワーク環境を設定し、読み出したバックアップ用パラメータ情報を用いて前記バックアップ用コンピュータにアクセスして、前記バックアップ用コンピュータから前記ユーザデータを復元するための処理を実行するデータ復元手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点に係るコンピュータの障害対応方法は、
ネットワークを介してバックアップ用コンピュータに接続されているコンピュータの障害対応方法であって、
予め定められた時刻に、ネットワーク環境を設定するためのネットワーク情報と、前記バックアップ用コンピュータにアクセスするためのバックアップ用パラメータ情報と、を不揮発性記憶装置に保存するとともに、前記コンピュータのユーザによって作成されたユーザデータを前記バックアップ用コンピュータに保存し、
前記ユーザデータを復元する時に、前記不揮発性記憶装置から、前記ネットワーク情報と前記バックアップ用パラメータ情報とを読み出し、読み出したネットワーク情報を用いてネットワーク環境を設定し、読み出したバックアップ用パラメータ情報を用いて前記バックアップ用コンピュータにアクセスして、前記バックアップ用コンピュータから前記ユーザデータを復元する、
を備えることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点に係るプログラムは、
ネットワークを介してバックアップ用コンピュータと接続され、不揮発性記憶装置を備えるコンピュータを、
予め定められた時刻に、前記コンピュータのネットワーク環境を設定するためのネットワーク情報と、前記バックアップ用コンピュータにアクセスするためのバックアップ用パラメータ情報と、を前記不揮発性記憶装置に保存するとともに、前記コンピュータのユーザによって作成されたユーザデータを前記バックアップ用コンピュータに保存するための処理を実行するデータ保存手段、
前記ユーザデータを復元する時に、前記不揮発性記憶装置から、前記ネットワーク情報と前記バックアップ用パラメータ情報とを読み出し、読み出したネットワーク情報を用いてネットワーク環境を設定し、読み出したバックアップ用パラメータ情報を用いて前記バックアップ用コンピュータにアクセスして、前記バックアップ用コンピュータから前記ユーザデータを復元するための処理を実行するデータ復元手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ネットワークの設定とバックアップ用データの読み出しを人手を介さないで自動的に行うことができ、コンピュータのデータ復元作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る障害対応コンピュータシステムの構成例を示す図である。
【図2】バックアップ用コンピュータの構成を示すブロック図である。
【図3】ユーザコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図4】ネットワーク情報の例を示す図である。
【図5】バックアップ用パラメータ情報の例を示す図である。
【図6】データ保存処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】パラメータ保存用プログラムの実行によってなされる処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】ネットワーク情報保存用プログラムの実行によってなされる処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】ユーザデータ保存用プログラムの実行によってなされる処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】データ復元処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】パラメータ復元用プログラムの実行によってなされる処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】ネットワーク情報復元用プログラムの実行によってなされる処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】ユーザデータ復元用プログラムの実行によってなされる処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る障害対応コンピュータシステム1000の構成を示す図である。
障害対応コンピュータシステム1000は、ユーザコンピュータ1、2、3、4と、バックアップ用コンピュータ6とを備える。ユーザコンピュータ1、2、3、4のそれぞれは、ネットワーク10を介して、バックアップコンピュータ6に接続され、相互にデータを送受信可能である。ユーザコンピュータ1、2、3、4は、後述する図3で説明する不揮発性記憶装置12を備えている点以外は、一般的なコンピュータ、例えば、パーソナルコンピュータと同様な構成である。
【0018】
バックアップ用コンピュータ6は、各ユーザコンピュータ1、2、3、4に記憶されているユーザデータをバックアップするためのコンピュータである。バックアップ用コンピュータ6は、図2に示すように、補助記憶装置61と主記憶装置62とネットワークアダプタ63と中央処理装置64とを備えて構成される。なお、バックアップ用コンピュータ6は、一般的なサーバコンピュータやストレージ装置等であってもよい。
【0019】
補助記憶装置61は、ハードディスク装置などから構成され、各種のデータやプログラムなどを記憶する。また、補助記憶装置61には、ユーザコンピュータ1〜4のバックアップデータが記憶される。バックアップデータには、バックアップの対象となるユーザコンピュータ1〜4のユーザデータ、および、当該ユーザデータがどのユーザコンピュータ1〜4から送信されたのかを示す情報等が含まれる。
【0020】
主記憶装置62は、RAM(Random Access Memory)等を備え、中央処理装置64のワークエリアとなる。
ネットワークアダプタ63は、ネットワーク10と接続するためのインターフェースである。
中央処理装置64は、補助記憶装置61に記憶されているプログラムを実行することで、各種の処理をする。
【0021】
図1に戻り、ユーザコンピュータ1、2、3、4は、ユーザによって利用されるコンピュータであり、そのユーザデータがバックアップ用コンピュータ6にバックアップされる。ユーザコンピュータ1(ユーザコンピュータ2、3、4も同様)は、図3に示すように、補助記憶装置11と、不揮発性記憶装置12と、主記憶装置13と、ネットワークアダプタ14と、中央処理装置15と、を備える。
【0022】
補助記憶装置11は、ハードディスク装置などから構成され、各種のデータやプログラムなどを記憶する。また、補助記憶装置11は、基本データ格納部100と、データ保存用プログラム格納部200と、データ復元用プログラム格納部300と、バックアップ用パラメータ情報400とを備える。
【0023】
基本データ格納部100は、基本ソフトウェア101と、アプリケーションプログラム102と、ユーザデータ103と、ネットワーク情報104とを記憶する。
【0024】
基本ソフトウェア101は、ユーザコンピュータ1の入出力処理等の基本的な各種の処理や、タスクスケジューラなどを実現するためのOS(Operating System)である。
アプリケーションプログラム102は、各種のアプリケーションを実行するためのプログラムである。
ユーザデータ103は、ユーザがアプリケーションを実行することによって様々に加工されるデータであり、例えば、ユーザの個人情報(氏名、住所等)等の情報が含まれる。
【0025】
ネットワーク情報104は、ユーザコンピュータ1のネットワーク環境を特定する情報である。具体的には、ネットワーク情報104は、図4に示すように、IPアドレス104X、サブネットマスク104Y、デフォルトゲートウェイアドレス104Z、DNS(Domain Name System)サーバアドレス104A、および、プロキシサーバアドレス104Bなどの情報から構成される。ネットワーク情報104が設定されていることにより、ユーザコンピュータ1は、ネットワーク10に接続可能となる。
【0026】
データ保存用プログラム格納部200には、パラメータ保存用プログラム201、ネットワーク情報保存用プログラム202、及び、ユーザデータ保存用プログラム203が格納されている。
【0027】
パラメータ保存用プログラム201は、後述するバックアップ用パラメータ情報400を不揮発性記憶装置12に保存する処理を中央処理装置15に行わせるためのプログラムである。
【0028】
ネットワーク情報保存用プログラム202は、ネットワーク情報104を不揮発性記憶装置12に保存する処理を中央処理装置15に行わせるためのプログラムである。
【0029】
ユーザデータ保存用プログラム203は、ユーザデータ103をバックアップ用コンピュータ6に保存(バックアップ)する処理を中央処理装置15に行わせるためのプログラムである。
【0030】
データ保存用プログラム格納部200に格納されているプログラムは、タスクスケジューラにより、所定の時刻(例えば、ユーザコンピュータ1の電源投入時、および、所定の時刻)が経過する度に、中央処理装置15によって実行される。
【0031】
データ復元用プログラム格納部300には、パラメータ復元用プログラム301、ネットワーク情報復元用プログラム302、及び、ユーザデータ復元用プログラム303が格納されている。
【0032】
パラメータ復元用プログラム301は、不揮発性記憶装置12に書き込まれたバックアップ用パラメータ情報400を補助記憶装置11に復元する処理を中央処理装置15に行わせるためのプログラムである。
【0033】
ネットワーク情報復元用プログラム302は、不揮発性記憶装置12に書き込まれたネットワーク情報104を補助記憶装置11に復元する処理を中央処理装置15に行わせるためのプログラムである。
【0034】
ユーザデータ復元用プログラム303は、バックアップ用コンピュータ6から、バックアップされているユーザデータ(図示省略)をネットワーク10を介して読み出し、補助記憶装置11に復元する処理を中央処理装置15に行わせるためのプログラムである。
【0035】
データ復元用プログラム格納部300に格納されているプログラムは、、ユーザの指示等によってデータを復元する処理(データ復元処理)が開始されたタイミングで、中央処理装置15によって実行される。
【0036】
バックアップ用パラメータ情報400は、バックアップ用コンピュータ6へアクセスするために必要な情報である。具体的には、バックアップ用パラメータ情報400は、図5に示すように、バックアップ用コンピュータのIPアドレス400D、ログインID400E、ログインパスワード400Fなどの情報から構成される。
【0037】
図3に戻り、不揮発性記憶装置12は、半導体メモリ等の不揮発性メモリを備え、後述するデータ保存処理により、補助記憶装置11に記憶されているネットワーク情報104とバックアップ用パラメータ情報400とを保存(バックアップ)する不揮発性の記憶装置である。
【0038】
主記憶装置13は、補助記憶装置11に記憶された基本ソフトウェア101やユーザデータ103などを一時的に読み出して処理するためのワークエリアとして使用される。
ネットワークアダプタ14は、ネットワーク10と接続するためのインターフェースである。
【0039】
中央処理装置15は、補助記憶装置11に記憶された基本ソフトウェア101やアプリケーションプログラム102などのプログラムを読み出して実行して、ユーザコンピュータ1全体を管理したり、様々な処理を行う。
また、中央処理装置15は、データ保存用プログラム格納部200に記憶されている各プログラムを実行することにより、補助記憶装置11に記憶されているデータをバックアップとして保存する処理(データ保存処理)を行う。データ保存処理の詳細については後述する。
また、中央処理装置15は、データ復元用プログラム格納部300に記憶されている各プログラムを実行することにより、バックアップされていたデータを復元する処理(データ復元処理)を行う。データ復元処理の詳細については後述する。
【0040】
続いて、障害対応コンピュータシステム1000の動作について説明する。
【0041】
始めに、データ保存処理について説明する。
ユーザコンピュータ1の中央処理装置15は、タスクスケジューラ等によってスケジューリングされている、基本ソフトウェア101の起動時および予め設定されている時刻に、図6に示すデータ保存処理を実行する。
【0042】
データ保存処理が開始されると、中央処理装置15は、補助記憶装置11のデータ保存用プログラム格納部200に記憶されているパラメータ保存用プログラム201の実行(ステップS110)、ネットワーク情報保存用プログラム202の実行(ステップS120)、および、ユーザデータ保存用プログラム203の実行(ステップS130)を、この順で実行する。以上の処理により、ネットワーク情報104とバックアップ用パラメータ情報400は、不揮発性記憶装置12に保存(バックアップ)される。また、ユーザデータ103は、バックアップ用コンピュータ6に保存(バックアップ)される。
【0043】
図7は、パラメータ保存用プログラム201の実行(ステップS110)によってなされる処理を示したフローチャートである。
パラメータ保存用プログラム201を実行することにより、中央処理装置15は、補助記憶装置11から主記憶装置13にバックアップ用パラメータ情報400を読み込み(ステップS111)、これを不揮発性記憶装置12に保存する(ステップS112)。なお、不揮発性記憶装置12にバックアップ用パラメータ情報400が既に記憶されている場合には、これを上書き保存する。
このパラメータ保存用プログラム201の実行によってなされる処理により、例えば、補助記憶装置11に障害が発生し、バックアップ用パラメータ情報400が失われた場合でも、不揮発性記憶装置12に、そのバックアップが残される。
【0044】
図8は、ネットワーク情報保存用プログラム202の実行(ステップS120)によってなされる処理を示したフローチャートである。
ネットワーク情報保存用プログラム202の実行により、中央処理装置15は、補助記憶装置11から主記憶装置13にネットワーク情報104を読み込み(ステップS121)、これを不揮発性記憶装置12に保存する(ステップS122)。なお、不揮発性記憶装置12にネットワーク情報104が既に記憶されている場合には、これを上書き保存する。
このネットワーク情報保存用プログラム202の実行によってなされる処理により、例えば、補助記憶装置11に障害が発生し、ネットワーク情報104が失われた場合でも、不揮発性記憶装置12に、そのバックアップが残される。
【0045】
図9は、ユーザデータ保存用プログラム203の実行(ステップS130)によってなされる処理を示したフローチャートである。
ユーザデータ保存用プログラム203の実行により、中央処理装置15は、補助記憶装置11から主記憶装置13にバックアップ用パラメータ情報400を読み込む(ステップS131)。同様に、中央処理装置15は、補助記憶装置11から主記憶装置13にユーザデータ103を読み込む(ステップS132)。そして、中央処理装置15は、ステップS131で読み込んだバックアップ用パラメータ情報400に設定されているバックアップ用コンピュータ6のIPアドレス400D、ログインID400E、および、ログインパスワード400Fを用いて、ネットワーク10を介してバックアップ用コンピュータ6にアクセスし、ユーザデータ103をバックアップ用コンピュータ6に送信する(ステップS133)。バックアップコンピュータ6の中央処理装置64は、受信したユーザデータ103を送信元であるユーザコンピュータ1を特定する情報と対応付けて、補助記憶装置61にバックアップデータとして保存(バックアップ)する。
【0046】
ここで、ユーザコンピュータ1とバックアップ用コンピュータ6のネットワークアドレスが異なる場合には、ユーザコンピュータ1は、バックアップ用コンピュータ6と直接には通信せず、図示しないゲートウェイを介して通信する。
【0047】
また、ユーザコンピュータ1がインターネットと直接接続できない場合には、ユーザコンピュータ1はプロシキサーバとしてユーザコンピュータ2、3、4のいずれかによってその通信を代行してもらってもよい。これらゲートウェイ及びプロシキサーバのアドレスは前述したネットワーク情報104に含まれているものを利用すればよい。
【0048】
このように、本実施形態では、所定時刻にユーザデータ103をバックアップするだけでなく、バックアップ用パラメータ情報400とネットワーク情報104もバックアップするようにしている。このため、ユーザコンピュータ1の稼働中にバックアップ用パラメータ情報400またはネットワーク情報104のいずれか一方または双方に変更があった場合でも、これらのバックアップ用パラメータ情報400とネットワーク情報104は、不揮発性記憶装置12にバックアップされる。一般的に、ユーザデータ103は随時バックアップされても、バックアップ用パラメータ情報400やネットワーク情報104はコンピュータの稼働開始時の1回だけバックアップされ、ユーザコンピュータ1の稼働中はバックアップされない。この点、本発明は特許文献1の技術と相違する。
【0049】
次に、データ復元処理について説明する。
【0050】
補助記憶装置11の故障などの障害が発生した後、障害回復により、失われたデータの復元が必要になった場合、ユーザコンピュータ1のユーザは、データの復元を図示せぬ入力部などから指示する。この指示を受けて、中央処理装置15は、図10に示すデータ復元処理を実行する。
【0051】
データ復元処理が開始されると、中央処理装置15は、補助記憶装置11のデータ復元用プログラム格納部300に記憶されているパラメータ復元用プログラム301の実行(ステップS210)、ネットワーク情報復元用プログラム302の実行(ステップS220)、および、ユーザデータ復元用プログラム303の実行(ステップS230)をこの順で実行する。以上の処理により、バックアップ用コンピュータ6から補助記憶装置11に、ユーザデータ103が転送され、復元される。
【0052】
図11は、パラメータ復元用プログラム301の実行(ステップS210)によってなされる処理を示したフローチャートである。
パラメータ復元用プログラム301を実行することにより、中央処理装置15は、不揮発性記憶装置12から主記憶装置13にバックアップ用パラメータ情報400を読み込み(ステップS211)、読み込んだバックアップ用パラメータ情報400を補助記憶装置11に保存(復元)する(ステップS212)。この処理により、ユーザは、バックアップ用コンピュータ6のIPアドレス400DやログインID400E、および、パスワード400Fを知らなくても、バックアップ用コンピュータ6にアクセスして、ユーザデータ103を復元することができる。
【0053】
ユーザコンピュータ1を実際に使用しているユーザは、バックアップ用コンピュータ6のIPアドレス400D、ログインID400E、および、ログインパスワード400Fなどを知らない場合が多い。この場合、補助記憶装置11に障害が発生し、その記憶データが喪失すると、ユーザはバックアップ用コンピュータ6にアクセスすることができず、ユーザデータ103を復元できないことになる。本実施形態では、このような場合でも、ユーザがネットワーク管理者などに問い合わせる必要もなく、ユーザデータ103の復元を進められる。
【0054】
図12は、ネットワーク情報復元用プログラム302の実行(ステップS220)によってなされる処理を示したフローチャートである。
ネットワーク情報復元用プログラム302を実行することにより、中央処理装置15は、不揮発性記憶装置12から主記憶装置13にネットワーク情報104を読み込み(ステップS221)、読み込んだネットワーク情報104を補助記憶装置11に保存(復元)する(ステップS222)。そして、中央処理装置15は、復元したネットワーク情報104を用いてネットワーク環境の設定(IPアドレスやゲートウェイなどの設定)を行う(ステップS223)。
【0055】
この処理によってネットワーク情報104が復元されることにより、ユーザは、ユーザコンピュータ1のIPアドレスなどのネットワーク情報を知らなくても、ユーザコンピュータ1をネットワーク100と接続することができる。従って、ユーザコンピュータ1を実際に使用しているユーザは、ネットワーク情報104をネットワーク管理者などに問い合わせる必要がない。
【0056】
図13は、ユーザデータ復元用プログラム303の実行(ステップS230)によってなされる処理を示したフローチャートである。
ユーザデータ復元用プログラム303を実行することにより、中央処理装置15は、まず、パラメータ復元用プログラム301の実行によって復元されたバックアップ用パラメータ情報400を補助記憶装置11から主記憶装置13に読み込む(ステップS231)。
【0057】
そして、中央処理装置15は、読み込んだバックアップ用パラメータ情報400に含まれるバックアップ用コンピュータ6のIPアドレス400D、ログインID400E、および、パスワード400Fなどを用いて、バックアップ用コンピュータ6にアクセスし、ユーザデータ103の取得要求を送信する(ステップS232)。バックアップ用コンピュータ6の中央処理装置64は、ユーザコンピュータ1からユーザデータ400の取得要求を受信すると、補助記憶装置61に記憶されているバックアップデータからユーザコンピュータ1のユーザデータ103を取得して、ユーザコンピュータ1に送信する。ユーザコンピュータ1の中央処理装置15は、バックアップ用コンピュータ6からユーザデータ103を受信すると、補助記憶装置11に保存(復元)する(ステップS233)。
【0058】
このように、本実施形態では、ユーザデータの復元の際に、不揮発性記憶装置12に記憶されているネットワーク情報104とバックアップ用パラメータ情報400とを補助記憶装置11に復元する。そして、復元したこれらの情報を用いて、バックアップ用コンピュータ6にアクセスすることが可能となり、バックアップ用コンピュータ6からユーザデータを取得し、復元することができる。従って、ユーザは、ユーザコンピュータ1のネットワーク環境や、バックアップ用コンピュータ6のIPアドレスなどがわからなくても、容易にユーザデータの復元をすることができる。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、不揮発性記憶装置12は不揮発性メモリにより構成したが、これに限らず、補助記憶装置11を構成するハードディスク以外のディスク装置、例えば、フレキシブルディスクや光磁気記憶装置などにより構成してもよい。また、不揮発性記憶装置12は、USBメモリ等の着脱式のメモリであってもよい。
【0060】
また、ネットワーク10の種類は特に限定されるものでなく、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネットなど種々のネットワークが該当する。
【符号の説明】
【0061】
1、2、3、4 ユーザコンピュータ
6 バックアップ用コンピュータ
10 ネットワーク
11 補助記憶装置
12 不揮発性記憶装置
13 主記憶装置
14 ネットワークアダプタ
15 中央処理装置(CPU)
100 基本データ格納部
101 基本ソフトウェア
102 アプリケーションプログラム
103 ユーザデータ
104 ネットワーク情報
200 データ保存用プログラム格納部
201 パラメータ保存用プログラム
202 ネットワーク情報保存用プログラム
203 ユーザデータ保存用プログラム
300 データ復元用プログラム格納部
301 パラメータ復元用プログラム
302 ネットワーク情報復元用プログラム
303 ユーザデータ復元用プログラム
400 バックアップ用パラメータ情報
1000 障害対応コンピュータシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータと、当該コンピュータとネットワークを介して接続されたバックアップ用コンピュータと、から構成される障害対応コンピュータシステムにおいて、
前記コンピュータは、
前記コンピュータの電源切断後も記憶内容を保持する不揮発性記憶装置と、
予め定められた時刻に、前記コンピュータのネットワーク環境を設定するためのネットワーク情報と、前記バックアップ用コンピュータにアクセスするためのバックアップ用パラメータ情報と、を前記不揮発性記憶装置に保存するとともに、前記コンピュータのユーザによって作成されたユーザデータを前記バックアップ用コンピュータに保存するための処理を実行するデータ保存手段と、
前記ユーザデータを復元する時に、前記不揮発性記憶装置から、前記ネットワーク情報と前記バックアップ用パラメータ情報とを読み出し、読み出したネットワーク情報を用いてネットワーク環境を設定し、読み出したバックアップ用パラメータ情報を用いて前記バックアップ用コンピュータにアクセスして、前記バックアップ用コンピュータから前記ユーザデータを復元するための処理を実行するデータ復元手段と、
を備えることを特徴とする障害対応コンピュータシステム。
【請求項2】
前記不揮発性記憶装置は着脱可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の障害対応コンピュータシステム。
【請求項3】
ネットワークを介してバックアップ用コンピュータと接続されている障害対応コンピュータにおいて、
不揮発性記憶装置と、
予め定められた時刻に、自身のネットワーク環境を設定するためのネットワーク情報と、前記バックアップ用コンピュータにアクセスするためのバックアップ用パラメータ情報と、を前記不揮発性記憶装置に保存するとともに、前記コンピュータのユーザによって作成されたユーザデータを前記バックアップ用コンピュータに保存するための処理を実行するデータ保存手段と、
前記ユーザデータを復元する時に、前記不揮発性記憶装置から、前記ネットワーク情報と前記バックアップ用パラメータ情報とを読み出し、読み出したネットワーク情報を用いてネットワーク環境を設定し、読み出したバックアップ用パラメータ情報を用いて前記バックアップ用コンピュータにアクセスして、前記バックアップ用コンピュータから前記ユーザデータを復元するための処理を実行するデータ復元手段と、
を備えることを特徴とする障害対応コンピュータ。
【請求項4】
ネットワークを介してバックアップ用コンピュータに接続されているコンピュータの障害対応方法であって、
予め定められた時刻に、ネットワーク環境を設定するためのネットワーク情報と、前記バックアップ用コンピュータにアクセスするためのバックアップ用パラメータ情報と、を不揮発性記憶装置に保存するとともに、前記コンピュータのユーザによって作成されたユーザデータを前記バックアップ用コンピュータに保存し、
前記ユーザデータを復元する時に、前記不揮発性記憶装置から、前記ネットワーク情報と前記バックアップ用パラメータ情報とを読み出し、読み出したネットワーク情報を用いてネットワーク環境を設定し、読み出したバックアップ用パラメータ情報を用いて前記バックアップ用コンピュータにアクセスして、前記バックアップ用コンピュータから前記ユーザデータを復元する、
を備えることを特徴とするコンピュータの障害対応方法。
【請求項5】
ネットワークを介してバックアップ用コンピュータと接続され、不揮発性記憶装置を備えるコンピュータを、
予め定められた時刻に、前記コンピュータのネットワーク環境を設定するためのネットワーク情報と、前記バックアップ用コンピュータにアクセスするためのバックアップ用パラメータ情報と、を前記不揮発性記憶装置に保存するとともに、前記コンピュータのユーザによって作成されたユーザデータを前記バックアップ用コンピュータに保存するための処理を実行するデータ保存手段、
前記ユーザデータを復元する時に、前記不揮発性記憶装置から、前記ネットワーク情報と前記バックアップ用パラメータ情報とを読み出し、読み出したネットワーク情報を用いてネットワーク環境を設定し、読み出したバックアップ用パラメータ情報を用いて前記バックアップ用コンピュータにアクセスして、前記バックアップ用コンピュータから前記ユーザデータを復元するための処理を実行するデータ復元手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−231537(P2010−231537A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78857(P2009−78857)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】