説明

隠蔽標示を有するトリム部品

【課題】使用中にのみ観察者が見ることのできる車両用トリム部品を提供すること。
【解決手段】車両用トリム部品は、外面、内面、並びに外面及び内面の少なくとも一方の上の仕上げ材を有する基板を備える。照明状態と非照明状態との間で作動可能な照明源が、基板の背後に配置されて、照明源が照明状態にある場合は仕上げ材を通して光を向ける。基板に関連するマスクが、少なくともマスク部分及び非マスク部分を画定し、非マスク部分は非マスク部分よりも多くの光を透過する。仕上げ材は、マスク部分及び非マスク部分の両方にわたって延在し、照明源が非照明状態にある場合はマスク部分と非マスク部分との間の目に見える差を隠蔽する。照明源が照明状態にある場合は光が非マスク部分及び仕上げ材を通過して、マスク部分と非マスク部分との間に目に見える区別を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、包括的には視覚ディスプレイに関する。一態様では、本発明は、ディスプレイの照明源が照明状態にある場合にのみ視覚的に識別可能な標示又は他のマークを有するディスプレイに関する。ディスプレイは、車両用トリム部品を含む様々な物体に組み込むことができる。
【背景技術】
【0002】
[関連技術の説明]
自動車は、自動車の外面又は内面に取り付けられる、いくつかのタイプの装飾的且つ機能的な車両用トリム部品を備える。外部トリム(external trim:外装)部品の例としては、限定はされないが、スポイラー、ドアハンドル、ナンバープレートフレーム、及び種々のバー(ナンバープレートの上の照明バー(lighting bar)及びセンターハイマウントストップライト(CHMSL)を取り付けるためのバー等)が挙げられる。これら部品のいくつかは、標示又は他の視覚的マークを含む。視覚的マークは、車両の外観をカスタマイズする装飾的マーク、又は車両のメーカー若しくはモデル等の情報(車両記章(badging)として知られている)を観察者に伝えるための標示等、静的なものであり得る。他の視覚的マークは、運転者の意図する動作を伝えるために点灯する方向指示器及びブレーキライト等、動的又は双方向的なものである。動的な視覚的マークの別の例は、キーレスエントリシステムのキーパッドである。通常、キーパッドはドアパネル又はドアハンドルに取り付けられ、ユーザが所定の順序でキーを押して車両のドアをロック解除できるように、数字又は文字が記された複数の個別のキーを有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念ながら、方向指示器、キーパッド、及び車内の制御部(例えば、クルーズコントロール、ラジオ、及び温度調節器)等の視覚的マークの中には、車両の美的外観に肯定的に寄与しないものがある。これらの視覚的マークが非使用時に照明されない場合でも、照明されていないマークが観察者には見えてしまう。さらに、常用されなくても常に視覚的に識別可能である視覚的マークの中には、実際に運転者の注意を逸らす可能性があるものもある。したがって、これらの視覚的マークは、使用時にのみ見えることが望ましい。さらに、装飾的マーク、車両のメーカー/モデル標示、及び車内のディスプレイ(例えば、計器パネルディスプレイ)等の静的な視覚的マークの外観は単調で地味(drab and lackluster)なため、所望の外観を生み出さないか、又は視覚的マークに所望の注意を引かない可能性がある。後者の場合、車両の製造業者は、車両のメーカー及びモデルの識別に車両記章を利用するだけでなく、広告媒体としても利用することが有利である。車両記章が視覚的に魅力的なものであるほど、より効果的な販促手段となるであろう。したがって、車両部品が視覚的に魅力のある標示又は他のマークを有することが望ましい。
【0004】
さらに、車両用トリム部品以外の多くの物品は、ありきたりのディスプレイ及び制御部を有するため、同様の欠点がある。このような物体の例としては、家庭電化製品、オーディオ/ビデオ機器、及び標識が挙げられる。今日の競争の激しい市場では、製品の外観、又は或る製品若しくは事業に関連するディスプレイの外観は、顧客の購買決定の重要な要因となる可能性があり、或る製品又はディスプレイを他のものよりも際立たせることを促す外観は、顧客の購買決定に好ましい影響を及ぼす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[発明の概要]
本発明による車両用トリム部品は、外面、内面、並びに外面及び内面の少なくとも一方の上の仕上げ材を有する基板と、照明状態と非照明状態との間で作動可能であり、基板の背後に配置されて、照明状態にある場合は仕上げ材を通して光を向ける照明源と、基板に関連するマスクであって、少なくともマスク部分及び非マスク部分を画定し、非マスク部分はマスク部分よりも多くの光を透過する、基板に関連するマスクとを備える。仕上げ材は、マスク部分及び非マスク部分の両方にわたって延在し、照明源が非照明状態にある場合はマスク部分と非マスク部分との間の目に見える差を隠蔽し、照明源が照明状態にある場合は光が非マスク部分及び仕上げ材を通過して、マスク部分と非マスク部分との間に目に見える区別を与える。
【0006】
一実施形態によると、仕上げ材は、マスク部分及び非マスク部分にわたって基板に施されるコーティングを含む。コーティングは、メタリック塗料等の塗料であり得る。コーティングはである。コーティングは、車両用トリム部品が取り付けられる車両に車両用トリム部品の仕上げ材を一致させることができるように、色を含み得る。
【0007】
別の実施形態によると、コーティングは、基板の外面及び内面の少なくとも一方に施される膜を含む。膜はハイドログラフプロセスを用いて施され得る。代替的に、膜は基板とともにインサート成形され得る。
【0008】
別の実施形態によると、仕上げ材は、外面に所望の感触を与えるようにテクスチャ加工される。
【0009】
さらに別の実施形態によると、仕上げ材は基板と一体形成される。
【0010】
別の実施形態によると、仕上げ材は、基板の外面及び内面の少なくとも一方の上の少なくとも1つの金属蒸着層を含む。
【0011】
一実施形態によると、マスクのマスク部分は、基板の内面に施されるコーティングを含む。別の実施形態によると、マスクのマスク部分は、基板の外面に施されるコーティングを含む。
【0012】
別の実施形態によると、マスクは、基板とは別個であるとともに非マスク部分が開口として内部に形成される本体を含む。マスクは基板の内面に取り付けられ得る。
【0013】
別の実施形態によると、マスクは、基板の内面の一体部分であり、マスクのマスク部分は、基板のうち非マスク部分よりも厚い部分である。非マスク部分は、基板の内面から材料を除去することにより形成され得る。材料はレーザエッチングプロセスにより除去され得る。
【0014】
さらに別の実施形態によると、マスクのマスク部分は基板上に印刷される。マスク部分は、シルクスクリーンプロセス、スクリーン印刷プロセス、及び印刷パッドプロセスの少なくとも1つにより印刷され得る。
【0015】
別の実施形態によると、マスクのマスク部分は基板の内面に成形される。
【0016】
一実施形態によると、照明源は、発光ダイオード、白熱電球、蛍光電球、電界発光光源、ネオンライト、遠隔の光源から光を受け取るライトパイプ、光を受け取る光ファイバー、液晶ディスプレイ、及びレーザから成る群から選択される少なくとも1つの光源である。
【0017】
別の実施形態によると、光源は表示画面であり、表示画面は、表示画面が非照明状態にある場合は仕上げ材により隠される。
【0018】
一実施形態によると、非マスク部分は標示を画定する。標示は、商標、1つ又は複数の英数字、ロゴ、デザイン、記号、写真、画像、インジケータ、及びフリットの少なくとも1つであり得る。
【0019】
一実施形態によると、基板は、高分子材料、ガラス、導体材料、及びシリコーンから成る群から選択される材料から構成される。
【0020】
一実施形態によると、非マスク部分は、非マスク部分を通過する光を分配する少なくとも1つの光学領域を含む。
【0021】
別の実施形態によると、車両用トリム部品は、少なくとも1つのキーを備えるキーパッドをさらに備え、キーパッドは、照明源が非照明状態にある場合は視覚的に識別不可能である。車両用トリム部品は、ドアハンドルの形態であり得る。
【0022】
別の実施形態によると、基板は半透明であり得る。仕上げ材は基板の内面上にあり得、マスクは仕上げ材に施され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[発明の実施形態の説明]
次に図を参照すると、図1は、本発明による隠蔽標示を有する例示的な車両用トリム部品20を有する車両10を示す。トリム部品20は、標示又は他のマークが照明されると標示又は他のマークを表示するようになっている。標示又は他のマークが照明されていない場合、観察者がこれらを発見することは完全に不可能であり、車両用トリム部品10の外観は、標示又は視覚的マークの全くないトリム部品の外観と同一である。その結果、マークは非使用時には隠されるため車両10の物理的外観を損なうことがなく、トリム部品20は、マークが照明されている間は魅力的であり美的に優れている。
【0024】
本明細書で用いる場合、「標示」という用語は、目視することができる任意の種類のマークを指す。標示の例としては、限定はされないが、ロゴ、数字及び文字、記号、デザイン、画像、及び写真が挙げられる。例示的なデザインはフリットであり、これは、一般的に自動車ガラスに見られ、不透明な実線又は帯、及び徐々に不透明から透明になるように錯覚させる徐々に小さくなる不透明ドットの平行線を含む。標示は、伝達的、機能的、装飾的、双方向的、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0025】
本明細書で用いる場合、「トリム部品」という用語は、車両の外面又は内面に位置する任意の部品を指すことができる。車両は、オートバイ、スクーター、全地形用車両(ATV)、スノーモービル、ウェーブランナー、ジェットスキー、又はボート等、自動車又は他のタイプの電動式車両であり得る。トリム部品は、装飾的、機能的、又はそれらの組み合わせであり得る。外部トリム部品の例としては、限定はされないが、ボディサイドモールディング、スポイラー、ドアハンドル、ナンバープレートフレーム、ボンネットルーバー、サイドルーバー、及びブレーキルーバー、トラックキャップ及びトラックカバー、並びにバー(ナンバープレートの上の照明バー及びセンターハイマウントストップライト(CHMSL)を取り付けるためのバー等)が挙げられる。さらに、トリム部品は、車両ボンネットの下の照明、ボンネットの装飾照明(cosmetic lighting)、トラック荷台の照明、及び点滅、閃光、又は救急車、消防車、及びパトカー等の緊急車両のメッセージ照明を提供するようになっていてもよい。トリム部品の他の例としては、車両の製造業者ではなく車両の所有者又は車両の所有者に雇われた専門家により車両10に通常は加えられる、多くのカスタムアクセサリが挙げられる。内部トリム部品の例としては、限定はされないが、内部ドアハンドル、内部ドアハンドルのベゼル、インストルメントクラスタ、ゲージ、走行距離計及び速度計ディスプレイ、警告灯、変速機位置指示器(shifting mechanism position indicator)、ラジオ制御部/ノブ、温度制御ディスプレイ及び制御部、クルーズコントロールディスプレイ及び制御部、ステアリングホイール搭載アクセサリ制御部(すなわち、ラジオ制御部及びクルーズコントロール制御部)、車内記章(例えば、計器パネル上、ドアパネル上、ステアリングホイール上)、アクセサリライト、識別ラベル(例えば、カップホルダ用、電源出力カバー用、シフトノブ用、グローブボックスドア用)、バイザーライト、及びLCD又は他のタイプのフラットパネルディスプレイ(サウンドシステム、全地球測位システム、及び車載撮像システム等)が挙げられる。さらに、トリム部品は、トランク内照明、ドアが開くと点灯するドア内面の安全照明、及び作業照明、周辺照明、及びムード照明等のヘッドライナートリム照明を提供するようになっていてもよい。
【0026】
トリム部品は、車両用トリム部品又は車両との使用に限定されない。本明細書で説明する発明は、ユーザとやりとりする制御機構を有し、非使用時には隠蔽される、すなわち隠されることにより美的に有利であると思われるものを含む、非自動車用途で用いることもできる。このような装置の例としては、限定はされないが、電子レンジ、洗濯機及び乾燥機、コンロ(stovetops)、オーブン、厨房機器、及び園芸機器(トリマー、エッジャー、ブロワー、除雪機、及び芝刈り機等)、視聴覚エンターテイメント装置(ステレオコンポ、テレビ、据置型及び携帯型ビデオゲームコンソール、MP3プレーヤーを含む携帯型音楽プレーヤー、CDプレーヤー、及びラジオ等)、携帯型パーソナルコンピュータ(ラップトップ及び携帯情報端末(PDA))、リモコン、及び計算機等の機器が挙げられる。本発明は、住宅又は建物のアドレス番号、広告標識、店内の製品ディスプレイ、及び商売の開店/閉店標識等、非双方向的なディスプレイに利用することもできる。本発明とともに用いるのに適した屋外部品の他の例としては、下端及び下端のインサート(例えば、ホリデーライティング又は他の装飾的照明を隠蔽するための)、ガレージドアパネル、雨樋、フェンス及び柵、並びにソーラーパネルカバーが挙げられる。本発明は、階段の手すり及び幅木等、屋内で用いることもできる。さらに、本発明は、屋内及び/又は屋外のセキュリティカメラを隠蔽するために、家庭用セキュリティシステムと一体化してもよい。さらに、本発明はオフィス家具とともに利用することができることも意図される。
【0027】
概して、本発明は多くの用途で用いることができるが、簡略にするためにそのうちのいくつかのみを本明細書において示す。上記の例は、例示のためのみに提供されており、本発明をいかなる形で限定することも意図されない。以下に示す本発明の特定の実施形態は、説明のために自動車用の外部トリム部品に関して記載するが、本発明は、上述のもの等の他の用途で用いることもできることが理解される。
【0028】
図1に示す例示的な車両用トリム部品20は、車両10の後端にあるナンバープレート用の取り付け場所12の上方に配置される、ナンバープレート照明の形態である。トリム部品20は、図2〜図7においてより詳細に示され、これらの図は、本発明に関するトリム部品20の要素を示す。トリム部品20がトリム部品20の他の機能に関する他の要素を備えていてもよいことは、車両部品技術分野の熟練者(当業者)には明らかであろう。
【0029】
図2は、非照明状態のトリム部品20を示しており、この状態ではトリム部品20がいかなるタイプの標示も有さないかのように見える。しかしながら、トリム部品20が照明されると、図3に示すように、観察者が照明状態の標示22を見ることができる。図3の例示的な標示22は、文字及びデザインを含むロゴであり、図4は、方向指示灯の形態の別の例示的な標示22を示す。標示22は、適当な距離から見ることができるとともにトリム部品20上の任意の適当な場所に配置することができるようなサイズであることが好ましい。次に、図5〜図6Aを参照すると、トリム部品20は、外面26及び内面28を有する基板30を備える。基板は、外面26上の仕上げ材32及び標示22を画定するマスク34を有し、トリム部品20の照明源36が、基板30のうち内面28に面する側に位置付けられる。本出願では、「前」及び「後」という用語は、トリム部品20が車両10に取り付けられたときの車両10から離れた向き及び車両10に近い向きそれぞれを指し、より一般的には、基板30のうち照明源36から遠い側及び照明源36に近い側それぞれを指す。例えば、外面26は基板30の前側にあり、内面28は基板30の後側にある。本実施形態の例示的なトリム部品20の基板30は、面40と、面40に対してほぼ直角に後方に延びる一対の対向する側壁42並びに上壁及び下壁44とを備える。
【0030】
基板30はトリム部品20のベースとなり、一実施形態によれば、高分子材料からできている。例示的な高分子材料としては、シリコーン及びナイロンが挙げられる。代替的に基板30は、ガラス又は任意の他の適当な材料からできていてもよい。例えば、基板30は、電荷が印加されると不透明度等の光学特性が変化する導体材料から少なくとも部分的にできていてもよい。基板30は、トリム部品20の所望の特性に応じて基板30を剛性又は可撓性にするように、外面26と内面28との間の距離である任意の適当な肉厚を含むことができる。例えば、基板30は可撓性膜の形態であってもよい。さらに、本発明の一実施形態による基板30は、光を著しくぶれさせたり歪ませたりせずに透過するように、半透明又は十分に透明であり得る。さらに、基板30は、くすんだ外観又は琥珀色の外観等の所望の視覚効果を与えるため、所望の色を得るため、所望の灯色出力を得るため、又は電子機器を隠すために、着色された透明材料からできていてもよく、これについてはより詳細に後述する。
【0031】
基板30の前側にある仕上げ材32は、照明源36が点灯していない場合にマスク34及び照明源36を隠蔽し、トリム部品20に所望の外観を与える。さらに、仕上げ材32は、トリム部品20の前側から見るとほぼ不透明であることにより、照明源36が点灯していない場合に、照明源36、マスク34、及び仕上げ材32の後側にある任意の他の部品を隠蔽する。しかしながら、仕上げ材32は、その後側にある照明源36から発せられる光を透過するため、照明源36が照明状態にある場合、観察者には照明源36からの光が見えることにより標示22が見える。さらに、仕上げ材32は、照明源36が非照明状態にある場合に照明源36及びマスク34を隠すことにより、トリム部品20に標示のないトリム部品と同じ外観を与える。本発明の一実施形態によれば、仕上げ材32は、トリム部品20の外観が車両10のうちトリム部品20に隣接する部分の外観と同様であるように選択することができる。したがって、仕上げ材32は、照明源36が点灯していない場合に車両10の隣接部分に効果的に「溶け込んで」、所望の美的外観を生み出すようにさせる。
【0032】
所望の光学特性を与えるのに加えて、仕上げ材32は、所望の視覚効果及び触覚効果を生み出すようにテクスチャ加工することができる。例えば、テクスチャ加工された仕上げ材は、照明源36からの光を濾過するか又は拡散させること等により所望の光出力を生成することができる。さらに、テクスチャ加工された仕上げ材は、車両10の隣接領域のテクスチャとは異なるテクスチャを有するため、トリム部品20がその他の点で車両10に「溶け込んでいる」場合に、観察者は車両10の残りの部分からトリム部品20を識別及び区別することができる。仕上げ材32は、いかなる材料(複数可)からできていてもよく、上述の光学特性を与えるのに適したいかなる形態を有してもよい。仕上げ材32に望まれる光学特性は、その化学組成から仕上げ材32に固有の特性により、又は仕上げ材32の特定の厚さを選択することにより、得ることができる。
【0033】
一実施形態によれば、仕上げ材32は基板30に施されるコーティングである。例示的なコーティング材料としては、限定はされないが、Alsa Corporationから入手可能なGhost Chrome(登録商標)塗料等のメタリック塗料を含む塗料が挙げられる。他の適当な塗料としては、噴霧プロセスを用いて施すことができる自動車用又は非自動車用塗料が挙げられる。塗料は、仕上げ材32に望まれる光学特性を得るとともに塗料が堆積し過ぎないようにするのに必要な、特定の厚さに従って施すことができる。場合によっては、トリム部品20を車両10に一致させるため等、所望の色を得るために、塗料に色を足してもよく、塗料を保護クリアコートでコーティングしてもよく、保護クリアコートにも同様に色を足して所望の色を得ることができる。コーティングは、任意の適当な金属蒸着プロセスを利用してトリム部品20に蒸着される、アルミニウム又はクロム等の金属の形態であってもよい。
【0034】
代替的に、仕上げ材32は、上述の特性を有する材料からできているか、又は上述の特性を有する材料でコーティングされる別個の部品を含んでもよい。例えば、仕上げ材32は、所望の化粧的(cosmetic)外観を与えるとともにトリム部品20に望まれる光学特性を与えるために基板30に載せられる、高分子材料又は織物材料等の適当な材料からできている薄膜であってもよい。膜は、べた色であってもよく、パターン又は画像を含んでいてもよい。基板30に膜を施す別の例示的なプロセスは、ハイドログラフプロセスであり、このプロセスでは、炭素繊維に似た外観等の所望の外観を有する膜を液体上に浮かばせ、基板30を液体に浸漬させることで、基板30を液体から取り出すと膜が基板30に付着するようにする。代替的に、膜は基板30とともにインサート成形してもよい。このプロセスでは、膜を金型キャビティに挿入することができ、次に金型を閉じて材料を射出し、基板30を形成する。膜及び基板30は単一部品となり、膜が基板30の化粧的外皮として機能する。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、仕上げ材32は基板30と一体化することができる。例えば、基板30は、所望の色を有する高分子を成形したものであってもよく、基板30の肉厚は、仕上げ材32に必要とされる光学特性を得るために選択することができる。したがって、基板30はこの場合、トリム部品20のベースとして、またトリム部品20の仕上げ材32として機能する。
【0036】
マスク34は、マスク部分46及び非マスク部分48を備え、非マスク部分48は、マスク部分46よりも多くの光を透過するとともに標示22を画定する。仕上げ材は、マスク部分46及び非マスク部分48の両方にわたって延在し、照明源36が点灯していない場合にマスク部分46と非マスク部分48との間の目に見える差を隠蔽する。したがって、照明源が非照明状態にある場合には標示22は視覚的に識別不可能である。本実施形態では、マスク34は、非マスク部分48が基板30の面40と一致するように設計されるが、マスク34のうち基板30の任意の場所に対応するどの場所にも非マスク部分48が位置付けられることも、本発明の範囲内である。さらに、マスク34は、基板30の内面28に施されるものとして図示されているが、マスク34は、基板30の外面26に、又はトリム部品20の任意の他の適当な場所に位置付けることができる。
【0037】
一実施形態によれば、マスク部分46は、マスク34の後側に位置する照明源36からの光が、一般的に半透明、透明、又は中空(すなわち、開口又は穴)であり得る非マスク部分48のみを通過することを確実にするように、黒色である。その結果、図6Aに示すように、照明源36が点灯すると光が非マスク部分48、基板30、及び仕上げ材32を通して輝いて、標示22が観察者に見えるようにする。代替的に、光がマスク部分46及び非マスク部分48の両方を通して、ただし標示22が視覚的に識別可能であるように異なる強度で輝くように、マスク部分46及び非マスク部分48の不透明度を選択することができる。非マスク部分48は、非マスク部分48を通して輝く光が標示22に所望の外観を与えるように着色されるように、任意に着色されてもよい。
【0038】
マスク34は、いかなる材料(複数可)からできていてもよく、マスク部分46及び非マスク部分48を形成するのに適したいかなる形態を有してもよい。マスク34は、例えば、そこから材料を除去することにより非マスク部分48が形成される、高分子材料又は織物等の不透明材料からできていてもよく、又は不透明コーティングが施された別個の部品であってもよい。代替的に、マスク34は、基板30又は仕上げ材32に施される塗料等のコーティングであってもよく、又は接着剤等により基板30又は仕上げ材32に取り付けられる膜であってもよい。マスク34は、基板30から材料を除去して、照明源36から背面照明されると光を通過させる薄壁部分を形成すること、又は薄壁部分を組み込んだ設計を有する金型を用いて基板30を成形すること等により、基板30と一体形成することもできる。これらの例では、薄壁部分がマスク34の非マスク部分48を形成する。
【0039】
多くの異なる方法を用いて、マスク34を製造することができる。例えば、マスク34は、インク又は他の材料をスクリーンから表面に通過させるスクリーン印刷プロセス(例えば、シルクスクリーン印刷)、又はスタンプを用いてインク又は他の材料をインクパッドから表面に転写する印刷パッドプロセス等の、印刷プロセスを用いて施すことができる。スクリーン印刷プロセス及び印刷パッドプロセスでは、スクリーン及びパッドは標示22に従って設計される。代替的に、マスク34は、複数の樹脂を1つの金型に射出してマスク部分46及び非マスク部分48を形成する2ショット成形(two shot molding:2個取り成形)プロセスを用いて製造してもよい。関連のプロセスであるインサート成形/オーバーモールディングにおいて、固体の透明部品を金型に挿入して、樹脂等の不透明材料を透明部品の周りに射出してもよい。透明部品のうち不透明材料で覆われない部分は非マスク部分48を形成し、不透明材料はマスク部分46を形成する。代替的に、マスク34は、上述のように基板30であり得る単一部品、又は非マスク部品48を形成するように成形品の残りの部分よりも薄い壁を有する部分を有する、基板30とは別個の部品を成形することにより、作製することができる。
【0040】
レーザエッチング及びCNC加工プロセス等の他の方法は、例えば、非マスク部分48を形成するために材料を除去することを伴う。レーザエッチングでは、塗料等の不透明コーティングを基板30又は別個の構造部品に施してマスク部分46を形成することができ、レーザにより塗料を除去して非マスク部分48を形成する。CNC加工プロセスは、切削又はフライス削り等により材料を部品から除去して非マスク部分48を形成するのに用いることができる、既知のプロセスである。材料は、非マスク部分48を形成するために完全に除去されてもよく、又は照明源36が点灯すると光を通過させるのに十分な薄さにしてもよい。
【0041】
照明源36は、基板30、仕上げ材32、及びマスク34の後側に配置され、マスク34の非マスク部分48、基板30、及び仕上げ材32を透過する光を発生することで、マスク34のマスク部分46と非マスク部分48との間に目に見える区別を与えることにより、標示22を観察者に視覚的に識別可能にする。照明源36は、トリム部品20に取り付けてもよく、又はトリム部品20の背後の車両10の外面に取り付けてもよい。照明源36は、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、電界発光光源(electroluminescent source:エレクトロルミネセンス光源)(例えば、ライトパッド)、白熱電球、蛍光電球、ネオンライト、及びレーザを含むがこれらに限定されない、任意の適当な光発生装置であり得る。照明源の別の例は、液晶ディスプレイ(LCD)又はプラズマディスプレイ等の表示画面である。さらに、照明源36は、遠隔の光源から光を受け取って光を分配するライトパイプ及び光ファイバーを備えることができる。さらに、照明源36は、白色であっても着色されてもよく、異なる色の複数の光源を含んでもよい。光源36は、車両10の電気系統に接続されて、継続的に照明状態であってもよく、又は車両10の1つ又は複数の状態又はその環境に応じて、交互に照明状態と非照明状態とになるようになっていてもよい。例えば、照明源36は、ユーザがイグニションをオンにしたとき、方向指示器スイッチを作動させたとき、ブレーキをかけたとき、加速したとき、キーレスエントリシステムの遠隔フォブを起動したとき、ドアハンドル(entry handle)に触れたとき、又は観察者が車両10の所定距離内にいるときに、点灯するようになっていてもよい。さらに、照明源36は、ユーザにより音声起動されてもよい。場合によっては、照明源36は、照明源36からの光の強度が照明状態ごとに異なる複数の照明状態で動作してもよい。例えば、照明状態は、照明源36からの光の強度がアクティブ照明状態中よりも弱い、スタンバイ照明状態を含むことができる。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、照明源36はマスク34を形成するようになっていてもよい。例えば、電界発光パッドを標示22に従った形状にしてもよく、又はコーティングをパッドに施すことで、パッド上にマスク又はステンシルを効果的に形成して光が通過できる領域を画定してもよい。代替的に、複数のLEDを表示22に対応する形状で構成してもよい。本発明の別の実施形態によれば、マスク34を効果的に形成するライトパイプ及び光ファイバー等の光学系を基板30に成形してもよい。光学系は、照明源36から集光して、標示22に対応するパターンで光を投影する。
【0043】
トリム部品20は、ユーザからの入力を受けるスイッチ及びセンサ等の電子機器(図示せず)をさらに備えることができる。例えば、トリム部品20は、ユーザが作動させると信号を発生するメンブレンスイッチ又は静電容量センサ若しくは電界効果センサを備えることができる。さらに、電子機器は、例えば車両10の全地球測位システム及び/又はコンピュータとともに用いることができる、上述の表示画面を含み得る。このような電子機器を用いるドアハンドルの形態のトリム部品の一例を、図12に関して以下に示す。
【0044】
上述のように、照明源36が非照明状態にある場合、トリム部品20の外観は、図2に示すように標示のないトリム部品の外観とほぼ同一である。照明源36が照明状態にある場合、図6Aに示すように、照明源36からの光はマスク34の非マスク部分48を透過するが、光はマスク部分46にはあまり又はほとんど透過しない。非マスク部分48を通して輝く光は、基板30の面40及び基板30の外面26の仕上げ材32も同様に透過するため、図3又は図4に示すように、観察者は標示22を知覚することができる。したがって、仕上げ材32は、所望の場合にはマスク34、したがって標示22を隠し、標示22は、照明状態にある場合には見えるだけでなく魅力的な外観を有する。
【0045】
本発明によるトリム部品120の第2の実施形態を有する車両110を図7に示す。トリム部品120は、図8〜図11にさらに詳細に示されており、図において、第1の実施形態の部品と同様の部品は1XXという形で同様の符号で示し、この場合、XXは第1の実施形態の部品の符号である。第2の実施形態のトリム部品120は、車両110のドア114の外面に取り付けられる車両のドアハンドルである。
【0046】
図8は、非照明状態のトリム部品120を示しており、この状態ではトリム部品120がいかなるタイプの標示も有さないかのように見える。しかしながら、トリム部品120が照明されると、図9に示すように、観察者は照明状態の標示122を見ることができる。図9の例示的な標示122は、文字及びデザインを含むロゴである。
【0047】
図10及び図11をさらに参照すると、ドアハンドルの形態のトリム部品120は、ハンドルベース150と、ハンドルベース150に取り外し可能に取り付けられるハンドルキャップ160と、ハンドルベース150及びハンドルキャップ160に隣接してドア114に取り付けられるベゼル162とを備える。トリム部品120がドアハンドルの他の機能に関する他の要素を備えていてもよいことは、車両部品技術分野の熟練者(当業者)には明らかであろう。例示的なドアハンドルは、米国特許出願第10/710,806号に開示されており、当該出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【0048】
ハンドルベース150は、ドア114の外面に取り付けられ、ハンドルベース150をドア114に枢着するためのピボットマウント152を一端に、ラッチアクチュエータ154をピボットマウント152の反対端に備える。ピボットマウント152及びラッチアクチュエータ154は、車両110の外部から見えないようにドア114の内側に配置される。ラッチアクチュエータ154は、任意の適当な様式でドアラッチ(図示せず)に動作可能に結合され、ハウジング本体150がピボットマウント152を中心に枢動している間にラッチアクチュエータ154が変位することでドアラッチが解除されることにより、ユーザがドア114を開いて車両110に入ることができる。
【0049】
ハンドルキャップ160は、ハンドルベース150の前面に取り付けられて、トリム部品120に所望の外観を与える。ユーザは、ハンドルベース150を枢動させてドアラッチを解除するためにトリム部品120を掴む場合、ハンドルベース150及びハンドルキャップ160の両方を掴む。第1の実施形態のトリム部品20と同様に、ハンドルキャップ160は、外面126上に仕上げ材132及び内面128上にマスク134を有する基板130を備える。トリム部品120はさらに、ハンドルキャップ160とハンドルベース150との間に位置する照明源136を備える。基板130、仕上げ材132、マスク134、及び照明源136は、第1の実施形態の対応する部品と同様であり、標示122及び観察者に対するその視認性に関して同様に機能する。
【0050】
一実施形態によれば、ハンドルキャップ160は、ハンドルベース150に取り外し可能に取り付けられ、異なる標示122を有する交換用ハンドルキャップ160と交換することができる。ハンドルキャップ160は交換可能であるため、ユーザは、パーソナライズしたハンドルキャップがパーソナライズした標示を対応するマスク上に有するように、トリム部品120をパーソナライズすることができる。さらに、トリム部品120の製造及び組み立ては、ハンドルキャップ160の交換可能な性質により容易になる。ハンドルキャップ160は、トリム部品120のうち、車両の特定のメーカー又はモデルに合わせて特注する必要がある唯一の部品である。ハンドルキャップ160を交換する場合、ハンドルキャップ160全体を取り外して交換することができる。代替的に、マスク134が基板130と一体ではない場合、マスク134のみを取り外して交換すればよい。
【0051】
場合によっては、標示122は、図12に示すようにキーレスエントリシステムのキーパッドと一体であってもよい。このようなキーパッドを有する例示的な車両のドアハンドルは、米国特許出願第60/522,663号及び米国特許出願公開第2003/0031025号に開示されており、これらの全体が参照により本明細書に援用される。標示122は、個別のキー170を有するキーパッドを備え、ユーザがこれらのキー170に所定の順序で触れてキーレスエントリシステムのロック機構(図示せず)をロック解除することにより、ユーザはドアラッチを解除するためにトリム部品120を掴んで引くことができる。キー170は、ユーザがキーレスエントリシステムを操作するために触れなければならないトリム部品120上の場所(複数可)を特定する視覚インジケータを提供する。キー170は、キー170の背後に配置されてユーザがキー170に触れるとユーザの指の存在を感知することが可能な、メンブレンスイッチ、静電容量センサ、又は電界効果センサ等、スイッチ又はセンサの形態の電子機器と連動することができる。したがって、ユーザがトリム部品のキー170に触れると、電子機器がユーザの指の存在を検知し、ユーザがキー170に所定の順序で触れると、電子機器がロック機構と動作可能に通信してドアをロック解除する。キー170は、図12に示すように照明状態にある場合はユーザに見え、非照明状態にある場合は識別不可能であることが有利である。代替的に、キー170は、ハンドルベース150及びハンドルキャップ160の背後、又はドア114の外部パネル上に配置されるエスカチオン上に位置してもよい。上記のスイッチ及びセンサ等の電子機器を起動させるためにユーザが触れなければならないトリム部品120上の1つ又は複数の場所を特定する視覚インジケータとして、標示122を利用するという概念は、キーレスエントリシステム以外の用途で用いてもよい。
【0052】
第2の実施形態のトリム部品120は、ストラップ型ドアハンドルに関して説明したが、トリム部品120はこのようなドアハンドルに限定されない。トリム部品120は、パドルハンドル及び車両部品技術分野の熟練者(当業者)に既知の他のタイプのハンドル等、任意の適当なタイプのドアハンドルを含むことができる。
【0053】
本発明による隠蔽表示を有するトリム部品の他の実施形態の例を、図13〜図16に示す。第1の実施形態の部品と同様の部品は2XXという形で同様の符号で示し、この場合、XXは第1の実施形態の部品の符号である。図13〜図16は、車両210のサイドドア214に組み込まれるバーの形態のトリム部品220を有する車両210を示す。図13では、標示222は、照明状態にある場合に車両210の視認性を高める安全サイドライトとして機能し、図14の標示は、ロゴとして構成される。さらに、図13及び図14の標示222は、運転者が車両210内の制御レバーを作動させると点滅する方向指示器として機能することもできる。図15及び図16では、標示222は、照明状態にある場合に車両210に隣接する地面領域272を照明する安全又はパドルライトとして構成される。照明状態は、遠隔のキーレスエントリフォブを作動させると、又は任意の他の適当な事象により、達成することができる。図15の標示222は、単一の細長いパドルライトであり、図22の標示222は、合わせてパドルライトを形成する複数の短い分離されたセグメントから成る。
【0054】
本明細書で説明するトリム部品20、120の基板30、仕上げ材32、及びマスク34の相対的な位置は、任意且つ適当に変えることができる。例えば、マスク34を基板30よりも前に配置してもよく、又は所望であれば仕上げ材32を基板30とマスク34との間に配置してもよい。さらに、仕上げ材32を基板の内面28に位置付けてもよく、マスクを仕上げ材32に施してもよい。さらに、本発明によるトリム部品20、120は、所望であればマスク34を含まなくてもよい。例えば、照明源36からの光が基板30全体を透過してもよい。代替的に、トリム部品は、トリム部品の特定の領域に光を集中させる照明源を備えていてもよい。例えば、基板30の背後に配置されるLCDディスプレイ自体が集光(focused)照明源を含み、給電状態にある場合にはLCDディスプレイが基板30及び仕上げ材32を通して見えるようになるが、給電されていない場合は仕上げ材32により隠蔽される。
【0055】
本発明によるトリム部品の実施形態のいずれかの基板、仕上げ材、及びマスクの組み合わせを製造する方法300の例示的なフローチャートを、図17A及び図17Bに示す。図17Aに示す方法300は、ステップ302において、基板30にマスク34を施すことにより開始する。マスク34は、基板30の前側又は基板30の後側に施すことができる。一実施形態によれば、マスク34は、基板30上に標示22の形態のステンシルを配置し、黒色塗料等の不透明コーティングを基板30に噴霧又は他の方法で施し、次にステンシルを除去することにより施される。次に、ステップ304において、仕上げ材32を基板30のうちマスク34とは反対側に施す。一実施形態によれば、仕上げ材32は、上述のGhost Chrome等の塗料で基板30をコーティングすることにより施される。マスク34が基板30の後側に施される場合、仕上げ材32は基板30の前側に施される。仕上げ材32が施された後、ステップ306において、任意でクリアコート等の保護コーティングを仕上げ材32に施すことができる。図17Aの方法300では、所望であればステップ302及び304は逆の順序で行ってもよい。
【0056】
上述の方法300では、仕上げ材32及びマスク34を対向する側に施して基板30が製造される。代替的に、方法300は、図17Bに示すように、基板30の同じ側に仕上げ材32及びマスク34がある基板30を製造するように変更してもよい。図17Bの方法300を開始するには、ステップ310において、仕上げ材32が基板30の後側等、基板30に施される。一実施形態によれば、仕上げ材32は、上述のGhost Chrome等の塗料で基板30の後側をコーティングすることにより、基板30の後側に施される。次に、ステップ312において、マスク34が仕上げ材32に施される。一実施形態によれば、マスク34は、仕上げ材32の後側に標示22の形態のステンシルを配置し、黒色塗料等の不透明コーティングを仕上げ材32に噴霧又は他の方法で施し、次にステンシルを除去することにより施される。
【0057】
本発明による隠蔽標示を有する車両用トリム部品は、非照明状態にある場合は標示及び照明源を隠蔽し、照明状態にある場合は標示に魅力的な外観を与えることが有利である。結果として、車両の美的外観に寄与しない標示は、非使用時には隠される。さらに、視覚的に魅力のある標示は、効果的な広告媒体として機能するとともに、車両のパーソナライズに関する独創的なオプションを車両の所有者に与えることができる。
【0058】
本発明は、或る特定の実施形態に関して特に説明したが、これは例示のためであり限定のためではないことを理解すべきであり、添付の特許請求の範囲は従来技術が許す限り広く解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態による外部トリム部品を有する車両の斜視図である。
【図2】外部トリム部品の隠蔽標示が非照明状態にある、図1の外部トリム部品の正面図である。
【図3】ロゴとして構成される隠蔽標示を照明状態で示す、図1の外部トリム部品の正面図である。
【図4】方向指示灯として構成される隠蔽標示を照明状態で示す、図1の外部トリム部品の正面図である。
【図5】図1〜図4の外部トリム部品の分解斜視図である。
【図6】外部トリム部品内のマスクを示す、図1〜図4の外部トリム部品を後方から見た分解斜視図である。
【図6A】図6の線6A−6Aに沿って見た断面図である。
【図7】外部トリム部品の代替的な一実施形態を有する車両の斜視図である。
【図8】隠蔽標示が非照明状態にある、図7の外部トリム部品の代替的な実施形態の正面図である。
【図9】ロゴとして構成される隠蔽標示を照明状態で示す、図7の外部トリム部品の代替的な実施形態の正面図である。
【図10】図7〜図9の外部トリム部品の代替的な実施形態の分解斜視図である。
【図11】外部トリム部品内のマスクを示す、図1〜図4の外部トリム部品の代替的な実施形態を後方から見た分解斜視図である。
【図12】ロゴ及びキーレスエントリパッドとして構成される標示がいずれも照明状態で示される、図7の外部トリム部品の代替的な実施形態の正面図である。
【図13】標示が安全ライトとして構成される、外部トリム部品の代替的な一実施形態を有する車両の斜視図である。
【図14】標示がロゴとして構成される、図13と同様の斜視図である。
【図15】標示がパドルライトとして構成される、図13と同様の斜視図である。
【図16】標示が別のタイプのパドルライトとして構成される、図15と同様の斜視図である。
【図17A】隠蔽標示を有するトリム部品のいくつかの実施形態のいずれかの基板、仕上げ材、及びマスクを製造する方法の例示的なフローチャートである。
【図17B】隠蔽標示を有するトリム部品のいくつかの実施形態のいずれかの基板、仕上げ材、及びマスクを製造する方法の例示的なフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用トリム部品であって、
外面、内面、並びに前記外面及び前記内面の少なくとも一方の上の仕上げ材を有する基板と、
照明状態と非照明状態との間で作動可能であり、前記基板の背後に配置されて、前記照明状態にある場合は前記仕上げ材を通して光を向ける照明源と、
前記基板に関連するマスクであって、少なくともマスク部分及び非マスク部分を画定し、前記非マスク部分は前記マスク部分よりも多くの光を透過する、前記基板に関連するマスクと
を備え、前記仕上げ材は、前記マスク部分及び前記非マスク部分の両方にわたって延在し、前記照明源が前記非照明状態にある場合は前記マスク部分と前記非マスク部分との間の目に見える差を隠蔽し、前記照明源が前記照明状態にある場合は光が前記非マスク部分及び前記仕上げ材を通過して、前記マスク部分と前記非マスク部分との間に目に見える区別を与える、車両用トリム部品。
【請求項2】
前記仕上げ材は、前記マスク部分及び前記非マスク部分にわたって前記基板に施されるコーティングを含む、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項3】
前記コーティングは塗料である、請求項2に記載の車両用トリム部品。
【請求項4】
前記コーティングはメタリック塗料である、請求項3に記載の車両用トリム部品。
【請求項5】
前記コーティングは、前記車両用トリム部品が取り付けられる車両に前記車両用トリム部品の前記仕上げ材を一致させることができるように、色を含む、請求項4に記載の車両用トリム部品。
【請求項6】
前記コーティングは、前記基板の前記外面及び前記内面の前記少なくとも一方に施される膜を含む、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項7】
前記膜はハイドログラフプロセスを用いて施される、請求項6に記載の車両用トリム部品。
【請求項8】
前記膜は前記基板とともにインサート成形される、請求項6に記載の車両用トリム部品。
【請求項9】
前記仕上げ材は、前記外面に所望の感触を与えるようにテクスチャ加工される、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項10】
前記仕上げ材は前記基板と一体形成される、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項11】
前記仕上げ材は、前記基板の前記外面及び前記内面の前記少なくとも一方の上の少なくとも1つの金属蒸着層を含む、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項12】
前記マスクの前記マスク部分は、前記基板の前記内面に施されるコーティングを含む、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項13】
前記マスクの前記マスク部分は、前記基板の前記外面に施されるコーティングを含む、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項14】
前記マスクは、前記基板とは別個であるとともに前記非マスク部分が開口として内部に形成される本体を含む、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項15】
前記マスクは前記基板の前記内面に取り付けられる、請求項14に記載の車両用トリム部品。
【請求項16】
前記マスクは、前記基板の内面の一体部分であり、前記マスクの前記マスク部分は、前記基板のうち前記非マスク部分よりも厚い部分である、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項17】
前記非マスク部分は、前記基板の前記内面から材料を除去することにより形成される、請求項16に記載の車両用トリム部品。
【請求項18】
前記材料はレーザエッチングプロセスにより除去される、請求項17に記載の車両用トリム部品。
【請求項19】
前記マスクの前記マスク部分は前記基板上に印刷される、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項20】
前記マスク部分は、シルクスクリーンプロセス、スクリーン印刷プロセス、及び印刷パッドプロセスの少なくとも1つにより印刷される、請求項19に記載の車両用トリム部品。
【請求項21】
前記マスクの前記マスク部分は前記基板の前記内面上に成形される、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項22】
前記照明源は、発光ダイオード、白熱電球、蛍光電球、電界発光光源、ネオンライト、遠隔の光源から光を受け取るライトパイプ、光を受け取る光ファイバー、液晶ディスプレイ、及びレーザから成る群から選択される少なくとも1つの光源である、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項23】
前記光源は表示画面であり、前記表示画面は、該表示画面が前記非照明状態にある場合は前記仕上げ材により隠される、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項24】
前記非マスク部分は標示を画定する、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項25】
前記標示は、商標、1つ又は複数の英数字、ロゴ、デザイン、記号、写真、画像、インジケータ、及びフリットの少なくとも1つである、請求項24に記載の車両用トリム部品。
【請求項26】
前記基板は、高分子材料、ガラス、導体材料、及びシリコーンから成る群から選択される材料から構成される、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項27】
前記非マスク部分は、該非マスク部分を通過する光を分配する少なくとも1つの光学領域を含む、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項28】
少なくとも1つのキーを備えるキーパッドをさらに備え、前記キーパッドは、前記照明源が前記非照明状態にある場合は視覚的に識別不可能である、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項29】
前記キーパッドはキーレスエントリパッドを含む、請求項28に記載の車両用トリム部品。
【請求項30】
ドアハンドルの形態である、請求項28に記載の車両用トリム部品。
【請求項31】
前記基板は半透明である、請求項1に記載の車両用トリム部品。
【請求項32】
前記仕上げ材は前記基板の前記内面上にあり、前記マスクは前記仕上げ材に施される、請求項31に記載の車両用トリム部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【公開番号】特開2006−213319(P2006−213319A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−26507(P2006−26507)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(506039737)アダック プラスティックス,インク. (4)
【Fターム(参考)】