説明

隠蔽機能を付加したカード付き積層体

【課題】個人情報の自署ができ、かつ自署された個人情報を隠蔽し、また、改ざんができないようにする。
【解決手段】自署領域30を有するカード表面シート21を第1の粘着層23を介して積層した第1のプラスチックフィルム24と、第2の粘着層27を介して台紙10の上面の所定の箇所に積層される第2のプラスチックフィルム26とを擬似接着し、カード表面シート21と第1の粘着層23との間の自署領域30に対応する領域にセパレータシート22の部分22a、22bを介在させ、自署領域30の1辺に対応する位置にセパレータシート22から第1の粘着層23に至る第1のハーフカット41を入れ、自署領域30を囲む他辺に対応する位置にセパレータシート22から擬似接着部25に至る第2のハーフカット42を入れ、自署領域の一部を分割する位置にセパレータシート22から第1の粘着層23に至る第3のハーフカット43を入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隠蔽機能を付加したカード付き積層体に関し、特に、カードに個人情報の自署ができ、かつ自署された個人情報を隠蔽し、また、改ざんができないようにした隠蔽機能を付加したカード付き積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
会員証や健康保険証などのカードが分離可能に備え付けられているカード付き積層体としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されたものが知られている。
【0003】
しかし、特許文献1に開示されたカードにおいては、臓器提供の可否などの個人情報を自署する機能を有さない。
【0004】
また、特許文献2には、内側剥離紙22aをカード用紙3から剥がして第3のプラスチックフィルム23と共にめくり、これにより、カード用紙3の裏面に設けられた自署欄8を露出させて、該自署欄8に氏名又は住所などカードが要求する自署による個人情報を個別裏面情報12として表記し、その後、側剥離紙22aを接着剤24の塗布面から剥がし、第3のプラスチックフィルム23を元の位置に戻し、当該第3のプラスチックフィルム23をカード用紙3の裏面に剥離不可に接着し、自署欄8を被覆してラミネート加工する構成が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、裏面に住所や氏名等を筆記する際に、非接着領域40のセパレータシート15と粘着剤層12と透明フィルム13とを捲って第1の基材11の裏面側一部を露出させ、その露出した部分を筆記可能部11bとして住所や氏名等を筆記し、その後、セパレータシート15を粘着剤層12から剥離し、露出した粘着剤層12を第1の基材11に貼着して保護する構成が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献2または特許文献3の構成においては、自署した個人情報を隠蔽する機能を有さないので、個人情報が見えてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平8−511215号公報
【0008】
【特許文献2】特開2003−182270号公報
【0009】
【特許文献3】特開2007−21868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、個人情報の自署ができ、かつ自署された個人情報を隠蔽し、また、改ざんができないようにした隠蔽機能を付加したカード付き積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は、所定のカード形状の第1のプラスチックフィルムと第2のプラスチックフィルムとを擬似接着部で擬似接着し、前記第1のプラスチックフィルムに筆記可能な自署領域を有するカード表面シートを第1の粘着層を介して積層し、前記第2のプラスチックフィルムを第2の粘着層を介して台紙の上面の所定の箇所に積層した隠蔽機能を付加したカード付き積層体であって、前記カード表面シートと前記第1の粘着層との間の前記自署領域に対応する領域にセパレータシートを介在させるとともに、前記自署領域の1辺に対応する位置に前記セパレータシートから前記第1の粘着層に至る第1のハーフカットを入れ、前記自署領域を囲む他辺に対応する位置に前記セパレータシートから前記擬似接着部に至る第2のハーフカットを入れ、さらに前記自署領域の一部を分割する位置に前記セパレータシートから前記第1の粘着層に至る第3のハーフカットを入れたことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記セパレータシートは、前記第1のプラスチックフィルムに前記カード表面シートを積層するに際して、前記第1の粘着層の全面に形成されたセパレータシートの一部を前記第1のハーフカットおよび前記第2のハーフカットを用いて残すことにより形成することができる。
【0013】
また、前記擬似接着部で前記カード部を分離した後、前記第2のハーフカットを用いて前記カード表面シートの前記自署領域を露出させて、該自署領域に自署を行い、その後、前記第3のハーフカットを用いて前記セパレータシートの一部を前記第1の粘着層から剥がして、前記カード部の前記第1のプラスチックフィルムの対応する部分を前記カード表面シートに前記第1の粘着層を介して接着させることができる。
【0014】
また、前記セパレータシートの少なくとも前記自署領域に対応する部分に、ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列の少なくとも1つを含むカモフラージュ印刷がされているように構成することができる。
【0015】
また、本発明は、所定のカード形状より大きい第1のプラスチックフィルムと第2のプラスチックフィルムとを擬似接着部で擬似接着し、前記第1のプラスチックフィルムを粘着層を介して筆記可能な台紙の裏面の所定の箇所に積層した隠蔽機能を付加したカード付き積層体であって、前記台紙と前記粘着層との間の前記自署領域に対応する領域にセパレータシートを介在させるとともに、前記自署領域の1辺に対応する位置に前記セパレータシートから前記粘着層に至る第1のハーフカットを入れ、前記自署領域を囲む他辺に対応する位置に前記セパレータシートから前記擬似接着部に至る第2のハーフカットを入れ、前記自署領域の一部を分割する位置に前記セパレータシートから前記粘着層に至る第3のハーフカットを入れ、さらにカード部を分離するための前記台紙から前記擬似接着部に至る第4のハーフカットを入れたことを特徴とする。
【0016】
ここで、前記セパレータシートは、前記第1のプラスチックフィルムを前記台紙に積層するに際して、前記粘着層の全面に形成されたセパレータシートの一部を前記第1のハーフカットおよび前記第2のハーフカットを用いて残すことにより形成することができる。
【0017】
また、前記第4のハーフカットは、一部がミシン目で構成されようにすることができる。
【0018】
また、前記第4のハーフカットを用いて前記擬似接着部で前記カード部を分離した後、前記第2のハーフカットを用いて前記カード表面シートの前記自署領域を露出させて、該自署領域に自署を行い、その後、前記第3のハーフカットを用いて前記セパレータシートの一部を前記粘着層から剥がして、前記カード部の前記第1のプラスチックフィルムを前記粘着層を介して前記台紙に接着させることができる。
【0019】
また、前記セパレータシートの少なくとも前記自署領域に対応する部分に、ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列の少なくとも1つを含むカモフラージュ印刷がされているように構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る隠蔽機能を付加したカード付き積層体によれば、以下のような効果を奏する。
1)前記カード表面シートと前記第1の粘着層との間の前記自署領域に対応する領域にセパレータシートを介在させた構成により、前記カード表面シートの自署領域を上記セパレータシートにより隠蔽することができるので、自署した臓器提供の可否等の個人情報が第3者に見られることを確実に防止することができる。
【0021】
2)前記台紙と前記粘着層との間の前記自署領域に対応する領域にセパレータシートを介在させた構成により、前記台紙の自署領域を上記セパレータシートにより隠蔽することができるので、自署した臓器提供の可否等の個人情報が第3者に見られること確実に防止することができる。
【0022】
3)前記セパレータシートは、前記第1のプラスチックフィルムに前記カード表面シートを積層するに際して、前記第1の粘着層の全面に形成されたセパレータシートの一部を前記第1のハーフカットおよび前記第2のハーフカットを用いて残すことにより形成されるように構成したので、自署領域の隠蔽が容易になり、また、別途隠蔽ラベルを貼付する作業も不要になる。
【0023】
4)前記セパレータシートは、前記第1のプラスチックフィルムを前記台紙に積層するに際して、前記粘着層の全面に形成されたセパレータシートの一部を前記第1のハーフカットおよび前記第2のハーフカットを用いて残すことにより形成されるように構成したので、自署領域の隠蔽が容易になり、また、別途隠蔽ラベルを貼付する作業も不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明に係る隠蔽機能を付加したカード付き積層体の実施例1を示すもので、図1(A)は、その平面図、図1(B)は、そのA−A断面図である。
【図2】図2は、図1に示した実施例1の隠蔽機能を付加したカード付き積層体の製造過程を説明する図である。
【図3】図3は、図1に示した隠蔽機能を付加したカード付き積層体から分離したカードの自署領域の隠蔽を説明する図である。
【図4】図4は、本発明に係る隠蔽機能を付加したカード付き積層体の実施例2を示すもので、図4(A)は、その平面図、図4(B)は、そのC−C断面図である。
【図5】図5は、図4に示した実施例2の隠蔽機能を付加したカード付き積層体の製造過程を説明する図である。
【図6】図6は、図4に示した隠蔽機能を付加したカード付き積層体から分離したカードの自署領域の隠蔽を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための実施例について、願書に添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1に本発明に係る隠蔽機能を付加したカード付き積層体の実施例1を示す。図1において、図1(A)は、実施例1の隠蔽機能を付加したカード付き積層体100の平面図を示し、図1(B)は、そのA−A断面図を示している。
【0027】
図1に示すように、この実施例1の隠蔽機能を付加したカード付き積層体100は、台紙10の所定領域上にカード形成用積層シート20を積層して構成される。
【0028】
カード形成用積層シート20は、上面からカード表面シート21、第1のセパレータシート22の部分22a,22b、第1の粘着層23、第1のプラスチックフィルム24、第2のプラスチックフィルム26、第2の粘着層27が積層された積層体からなり、第1のプラスチックフィルム24と第2のプラスチックフィルム26との間は、擬似接着部25で加熱溶融することにより直接擬似接着されている。
【0029】
ここで、台紙10は、例えば、上質紙(上質110K)を用いることができる。また、第1のプラスチックフィルム24は、例えば、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートシート(PET25μm)等を用いることができ、また、第2のプラスチックフィルム26は、例えば、ポリエチレンシート(PE)等を用いることができる。
【0030】
また、カード表面シート21は、自署が可能な材質で構成され、例えば、厚さ188μmの発泡ポリエステルフィルム(クリスパー188μm)、上質紙等を用いることができる。
【0031】
また、第1の粘着層23、第2の粘着層27は、例えば、エマルジョン型アクリル系粘着剤層から構成することができ、第1のセパレータシート22は、例えば、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等の紙の表面に、目止め層を形成した上で、シリコーン系等の剥離剤を塗布したセパレータシートを用いることができる。
【0032】
なお、擬似接着部25は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンや、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステルなどの軟質熱可塑性樹脂層から形成することもできる。
【0033】
また、カード形成用積層シート20の中の、後に詳述する自署領域30の1辺30aに対応する位置には、第1のセパレータシート22から第1の粘着層23に至る第1のハーフカット41が入れられ、自署領域30の上記1辺30aを除く他の3辺30bに対応する位置には、第1のセパレータシート22から擬似接着部25に至る第2のハーフカット42が入れられ、自署領域30の自署に使用しない部分を分割する分割線30cに対応する位置には、第1のセパレータシート22から第1の粘着層23に至る第3のハーフカット43が入れられる。
【0034】
上記構成の隠蔽機能を付加したカード付き積層体100は、カード表面シート21の上面に、会員証や健康保険証などのカード表面情報が印刷され、この隠蔽機能を付加したカード付き積層体100が郵送される場合等には、台紙10のカード形成用積層シート20が積層される領域以外の所定の領域10aに宛先情報等が印刷される。
【0035】
図2は、図1に示した実施例1の隠蔽機能を付加したカード付き積層体の製造過程を説明する図である。
【0036】
図2(A)に平面図、図2(B)にそのB−B断面図で示すカード形成用積層シート20は、その上面から第1のセパレータシート22、第1の粘着層23、第1のプラスチックフィルム24、第2のプラスチックフィルム26、第2の粘着層27、第2のセパレータシート28が積層され、第1のプラスチックフィルム24と第2のプラスチックフィルム26との間は、擬似接着部25で直接擬似接着されている。
【0037】
また、カード形成用積層シート20の中の自署領域30の1辺30aに対応する位置には、第1のセパレータシート22から第1の粘着層23に至る第1のハーフカット41が入れられ、自署領域30の上記1辺30aを除く他の3辺30bに対応する位置には、第1のセパレータシート22から擬似接着部25に至る第2のハーフカット42が入れられ、自署領域30の自署に使用しない部分を分割する分割線30cに対応する位置には、第1のセパレータシート22から第1の粘着層23に至る第3のハーフカット43が入れられる。
【0038】
そして、図2(C)に示すように、カード形成用積層シート20の第1のセパレータシート22から、第1のセパレータシート22の部分22a,22bを除く他の部分22cを剥ぎ取り、その上にカード表面シート21を積層する。ここで、カード表面シート21は、第1の粘着層23により第1のプラスチックフィルム24に接着される。ただし、カード表面シート21の下面と第1のセパレータシート22の部分22a,22bの上面との間は、接着されていない浮いた状態となっている。
【0039】
次に、図2(D)に示すように、このカード形成用積層シート20の最下面の第2のセパレータシート28を剥ぎ取って、このカード形成用積層シート20を台紙10の所定の位置に積層する。この場合、このカード形成用積層シート20は、第2の粘着層27により台紙10に接着される。なお、第2のセパレータシート28は、第1のセパレータシート22と同様に、例えば、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等の紙の表面に、目止め層を形成した上で、シリコーン系等の剥離剤を塗布したセパレータシートを用いることができる。
【0040】
図3は、図1に示した隠蔽機能を付加したカード付き積層体から分離したカードの自署領域の隠蔽を説明する図である。
【0041】
図1に示した隠蔽機能を付加したカード付き積層体100からカードを取り出す場合は、同図に示す擬似接着部25でカード部20aをカード形成用積層シート20から切り離し、図3(A)に示すようにして取り出す。
【0042】
ここで、取り出したカード部20aのカード表面シート21の下面と第1のセパレータシート22の部分22a,22bの上面との間は、上述したように、接着されていない浮いた状態となっているので、図3(B)に示すように、第2のハーフカット42を利用して、第1のセパレータシート22の部分22a,22b、第1の粘着層23、第1のプラスチックフィルム24の対応部分を矢印X方向に開くことができる。
【0043】
この状態で、カード表面シート21の裏面の自署領域30は露出されるので、この露出したカード表面シート21の裏面の自署領域30に隠蔽したい臓器提供の可否等の個人情報50を、図3(C)に示すように自署する。
【0044】
次に、図3(C)に示すように、第1のセパレータシート22の部分22aを剥いで第1の粘着層23を露出させ、第1のセパレータシート22の部分22b、第1の粘着層23、第1のプラスチックフィルム24の対応部分を矢印Y方向に閉じる。
【0045】
ここで、図3(D)に示すように、第1のプラスチックフィルム24は、第1のセパレータシート22の部分22aに対応する第1の粘着層23の部分でカード表面シート21に接着される。
【0046】
これにより、カード表面シート21の裏面の自署領域30に自署された個人情報50の改ざんはできなくなり、また、カード表面シート21の裏面の自署領域30に自署された個人情報50は、第1のセパレータシート22の部分22bにより隠蔽されるので、この個人情報50が第3者に見られることを確実に防止することができる。
【0047】
なお、この状態で、上記個人情報50が第3者に見られるのを、さらに確実に防止するために、第1のセパレータシート22の少なくとも上記自署領域30に対応する部分にランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列の少なくとも1つを含むカモフラージュ印刷を予め施すように構成してもよい。
【実施例2】
【0048】
図4に本発明に係る隠蔽機能を付加したカード付き積層体の実施例2を示す。図4において、図4(A)は、実施例2の隠蔽機能を付加したカード付き積層体200の平面図を示し、図1(B)は、そのC−C断面図を示している。なお、図4において、図1乃至3に示した隠蔽機能を付加したカード付き積層体100と同一の機能を果たす部分には説明の便宜上図1乃至3で用いた符号と同一の符号を用いる。
【0049】
図4に示すように、この実施例2の隠蔽機能を付加したカード付き積層体200は、台紙10の所定領域の下面にカード形成用積層シート70を積層して構成される。
【0050】
カード形成用積層シート70は、上面から、セパレータシート72の部分72a,72b、粘着層73、第1のプラスチックフィルム74、第2のプラスチックフィルム76、上質紙77が積層された積層体からなり、第1のプラスチックフィルム74と第2のプラスチックフィルム76との間は、擬似接着部75で加熱溶融することにより直接擬似接着されている。
【0051】
ここで、台紙10は、例えば、実施例1と同様に、上質紙(上質110K)を用いることができ、第1のプラスチックフィルム74は、実施例1と同様に、例えば、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートシート(PET25μm)等を用いることができ、第2のプラスチックフィルム76は、実施例1と同様に、例えば、ポリエチレンシート(PE)等を用いることができ、上質紙77は、例えば、上質紙(上質45K)等を用いることができる。
【0052】
また、粘着層73は、例えば、実施例1で用いた第1の粘着層23、27と同様の粘着層を用いることができる。また、擬似接着部75は、実施例1と同様に軟質熱可塑性樹脂層から形成することもでき、セパレータシート72は、例えば、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等の紙の表面に、目止め層を形成した上で、シリコーン系等の剥離剤を塗布したセパレータシートを用いることができる。
【0053】
また、カード形成用積層シート70の中の、後に詳述する自署領域30の1辺30aに対応する位置には、セパレータシート72から粘着層73に至る第1のハーフカット81が入れられ、自署領域30の上記1辺30aを除く他の3辺30bに対応する位置には、セパレータシート72から擬似接着部75に至る第2のハーフカット82が入れられ、自署領域30の自署に使用しない部分を分割する分割線30cに対応する位置には、セパレータシート72から粘着層73に至る第3のハーフカット83が入れられる。
【0054】
また、台紙10の上面のカードに対応する領域分60の位置に、台紙10から擬似接着部75に至る第4のハーフカット90が入れられる。この第4のハーフカット90は、一部がミシン目で構成され、またその4隅には、後に、カードを取り出すことを容易にするためのひげ90aが形成される。
【0055】
上記構成の隠蔽機能を付加したカード付き積層体200は、台紙10の上面のカードに対応する領域分60に、会員証や健康保険証などのカード表面情報が印刷され、この隠蔽機能を付加したカード付き積層体200が郵送される場合等には、台紙10の上面のカードに対応する領域分60以外の所定の領域10aに宛先情報等が印刷される。
【0056】
図5は、図4に示した実施例2の隠蔽機能を付加したカード付き積層体の製造過程を説明する図である。
【0057】
図5(A)に平面図、図5(B)にそのD−D断面図で示すカード形成用積層シート70は、図4(A)に示したカードに対応する領域分60より若干大きく形成される。
【0058】
カード形成用積層シート70は、その上面からセパレータシート72、粘着層73、第1のプラスチックフィルム74、第2のプラスチックフィルム76、上質紙77が積層されており、第1のプラスチックフィルム74と第2のプラスチックフィルム76との間は擬似接着部75で直接擬似接着されている。また、第2のプラスチックフィルム76と上質紙77とは接着されていて、裏面シートを形成している。
【0059】
また、カード形成用積層シート70の中の自署領域30の1辺30aに対応する位置には、セパレータシート72から粘着層73に至る第1のハーフカット81が入れられ、自署領域30の上記1辺30aを除く他の3辺30bに対応する位置には、セパレータシート72から擬似接着部75に至る第2のハーフカット82が入れられ、自署領域30の自署に使用しない部分を分割する分割線30cに対応する位置には、セパレータシート72から粘着層73に至る第3のハーフカット83が入れられる。
【0060】
そして、図5(C)に示すように、カード形成用積層シート70のセパレータシート72からセパレータシート72の部分72a,72bを除く他の部分72cを剥ぎ取り、このカード形成用積層シート70を、図5(D)に示すように、台紙10の下面の所定の位置に積層する。この場合、このカード形成用積層シート70は、粘着層73により台紙10に接着される。
【0061】
ここで、台紙10の下面とセパレータシート72の部分72a,72bの上面との間は、接着されていない浮いた状態となっている。
【0062】
次に、図5(D)に示すように、台紙10の上面のカードに対応する領域分60の位置に、台紙10から擬似接着部75に至る第4のハーフカット90を入れる。
【0063】
図6は、図4に示した隠蔽機能を付加したカード付き積層体から分離したカードの自署領域の隠蔽を説明する図である。
【0064】
図4に示した隠蔽機能を付加したカード付き積層体200からカードを取り出す場合は、図6(A)に示すように、第4のハーフカット90を用いて、擬似接着部75でカード部70aをカード形成用積層シート70から切り離して取り出す。ここで、裏面シートを形成する第2のプラスチックフィルム76と上質紙77は、擬似接着部75で隠蔽機能を付加したカード付き積層体200に接着された状態となっているので、ここでのゴミの発生はない。
【0065】
また、取り出したカード部70aの台紙10の下面とセパレータシート72の部分72a,72bの上面との間は、上述したように、接着されていない浮いた状態となっているので、図6(B)に示すように、第2のハーフカット82を利用して、セパレータシート72の部分72a,72b、粘着層73、第1のプラスチックフィルム74の対応部分を矢印X方向に開くことができる。
【0066】
そして、この状態で、台紙10の裏面の自署領域30は露出されるので、この露出した台紙10の裏面の自署領域30に隠蔽したい臓器提供の可否等の個人情報50を、図6(C)に示すように自署する。
【0067】
次に、図6(C)に示すように、セパレータシート72の部分72aを剥いで粘着層73を露出させ、セパレータシート72の部分72b、粘着層73、第1のプラスチックフィルム74の対応部分を矢印Y方向に閉じる。
【0068】
ここで、第1のプラスチックフィルム74は、図6(D)に示すように、セパレータシート72の部分72aに対応する粘着層73の部分で台紙10に接着される。
【0069】
これにより、台紙10の裏面の自署領域30に自署された個人情報50の改ざんはできなくなり、また、台紙10の裏面の自署領域30に自署された個人情報50は、セパレータシート72の部分72bにより隠蔽されるので、この個人情報50が第3者に見られることを確実に防止することができる。
【0070】
なお、この状態で、上記個人情報50が第3者に見られるのを、さらに確実に防止するために、セパレータシート72の少なくとも上記自署領域30に対応する部分にランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列の少なくとも1つを含むカモフラージュ印刷を予め施すように構成してもよい。
【0071】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10…台紙
20…カード形成用積層シート
20a…カード部
21…カード表面シート
22…第1のセパレータシート
23…第1の粘着層
24…第1のプラスチックフィルム
25…擬似接着部
26…第2のプラスチックフィルム
27…第2の粘着層
28…第2のセパレータシート
30…自署領域
41…第1のハーフカット
42…第2のハーフカット
43…第3のハーフカット
50…個人情報
70…カード形成用積層シート
70a…カード部
72…セパレータシート
73…粘着層
74…第1のプラスチックフィルム
75…擬似接着部
76…第2のプラスチックフィルム
77…上質紙
81…第1のハーフカット
82…第2のハーフカット
83…第3のハーフカット
90…第4のハーフカット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のカード形状の第1のプラスチックフィルムと第2のプラスチックフィルムとを擬似接着部で擬似接着し、前記第1のプラスチックフィルムに筆記可能な自署領域を有するカード表面シートを第1の粘着層を介して積層し、前記第2のプラスチックフィルムを第2の粘着層を介して台紙の上面の所定の箇所に積層した隠蔽機能を付加したカード付き積層体であって、
前記カード表面シートと前記第1の粘着層との間の前記自署領域に対応する領域にセパレータシートを介在させるとともに、
前記自署領域の1辺に対応する位置に前記セパレータシートから前記第1の粘着層に至る第1のハーフカットを入れ、前記自署領域を囲む他辺に対応する位置に前記セパレータシートから前記擬似接着部に至る第2のハーフカットを入れ、さらに前記自署領域の一部を分割する位置に前記セパレータシートから前記第1の粘着層に至る第3のハーフカットを入れた
ことを特徴とする隠蔽機能を付加したカード付き積層体。
【請求項2】
前記セパレータシートは、
前記第1のプラスチックフィルムに前記カード表面シートを積層するに際して、前記第1の粘着層の全面に形成されたセパレータシートの一部を前記第1のハーフカットおよび前記第2のハーフカットを用いて残すことにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の隠蔽機能を付加したカード付き積層体。
【請求項3】
前記擬似接着部で前記カード部を分離した後、
前記第2のハーフカットを用いて前記カード表面シートの前記自署領域を露出させて、該自署領域に自署を行い、
その後、前記第3のハーフカットを用いて前記セパレータシートの一部を前記第1の粘着層から剥がして、前記カード部の前記第1のプラスチックフィルムの対応する部分を前記カード表面シートに前記第1の粘着層を介して接着させることを特徴とする請求項1または2に記載の隠蔽機能を付加したカード付き積層体。
【請求項4】
前記セパレータシートの少なくとも前記自署領域に対応する部分に、ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列の少なくとも1つを含むカモフラージュ印刷がされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の隠蔽機能を付加したカード付き積層体。
【請求項5】
所定のカード形状より大きい第1のプラスチックフィルムと第2のプラスチックフィルムとを擬似接着部で擬似接着し、前記第1のプラスチックフィルムを粘着層を介して筆記可能な台紙の裏面の所定の箇所に積層した隠蔽機能を付加したカード付き積層体であって、
前記台紙と前記粘着層との間の前記自署領域に対応する領域にセパレータシートを介在させるとともに、
前記自署領域の1辺に対応する位置に前記セパレータシートから前記粘着層に至る第1のハーフカットを入れ、前記自署領域を囲む他辺に対応する位置に前記セパレータシートから前記擬似接着部に至る第2のハーフカットを入れ、前記自署領域の一部を分割する位置に前記セパレータシートから前記粘着層に至る第3のハーフカットを入れ、さらにカード部を分離するための前記台紙から前記擬似接着部に至る第4のハーフカットを入れた
ことを特徴とする隠蔽機能を付加したカード付き積層体。
【請求項6】
前記セパレータシートは、
前記第1のプラスチックフィルムを前記台紙に積層するに際して、前記粘着層の全面に形成されたセパレータシートの一部を前記第1のハーフカットおよび前記第2のハーフカットを用いて残すことにより形成されることを特徴とする請求項5に記載の隠蔽機能を付加したカード付き積層体。
【請求項7】
前記第4のハーフカットは、
一部がミシン目で構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の隠蔽機能を付加したカード付き積層体。
【請求項8】
前記第4のハーフカットを用いて前記擬似接着部で前記カード部を分離した後、
前記第2のハーフカットを用いて前記カード表面シートの前記自署領域を露出させて、該自署領域に自署を行い、
その後、前記第3のハーフカットを用いて前記セパレータシートの一部を前記粘着層から剥がして、前記カード部の前記第1のプラスチックフィルムを前記粘着層を介して前記台紙に接着させることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の隠蔽機能を付加したカード付き積層体。
【請求項9】
前記セパレータシートの少なくとも前記自署領域に対応する部分に、ランダムな形状の配列、所定形状の繰り返し配列の少なくとも1つを含むカモフラージュ印刷がされていることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の隠蔽機能を付加したカード付き積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−18204(P2013−18204A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153774(P2011−153774)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000186566)小林クリエイト株式会社 (169)
【Fターム(参考)】