説明

隠蔽画像又は隠蔽情報の認証方法及びその認証システム

【課題】 画像又は情報を隠蔽した印刷物に対して所定の波長領域で発現する画像と真正画像とを照合し、また、発現する画像から隠蔽情報を読み出し、その内容を真正情報と照合して認証するための隠蔽画像又は隠蔽情報の認証方法及びその認証システムに関するもの。
【解決手段】 所定の波長領域における吸収又は反射に対する感度を有する隠蔽画像を、撮像装置でn回(1回以上)撮像し、撮像によって取得した画像情報に対して所定の画像補正処理を行い、取得した画像の真正を認証する隠蔽画像又は隠蔽情報の認証方法及びその認証システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像又は情報を隠蔽した印刷物に対して所定の波長領域で発現する画像と真正画像とを照合し、また、発現する画像から隠蔽情報を読み出し、その内容を真正情報と照合して認証するための隠蔽画像又は隠蔽情報の認証方法及びその認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券、有価証券及び通行券などの貴重印刷物や、運転免許証、パスポート、保険証など個人を認証する証明証書は、第三者に偽造及び改ざんされないために常に新たな偽造防止技術を盛り込むことが要求されている。
【0003】
その偽造防止技術の一例として、当局出願の「網点印刷物」がある。これは、図19に示すように、一つの第1の領域(14)と、第1の領域に隣接する一つの第2の領域(15、16)とが複数組配置され、各々の第2の領域の周囲が、複数の第1の領域により囲まれ、第1の領域は、第2の領域より面積が大きく、第2の領域(15、16)は、赤外線吸収性色素を含むブラックインキを用いて構成された第2aの領域(15)と、赤外線吸収色素を含まないインキを用いて構成された黒色系である第2bの領域(16)とを有し、各々の第2における第2aの領域と第2bの領域との比率に応じて、複数の第2の領域における第2aの領域により階調画像が構成されている。
【0004】
例えば、第2の領域の埋め込み画像(IR画像)を、模様やマークとした場合、IR領域に感度を持ったカメラ(IRカメラ)でその領域を撮像し、表示モニタを通して、その埋め込んだ模様を肉眼で確認でき、その結果、観察者の判断によって真偽判別を行うことが可能である。
【0005】
このように、埋め込み情報が模様やマークであり、印刷物の真偽判別が観察者の判断によって行われる場合については、人間の目は比較的柔軟であるため、IR領域のコントラストが低くても、その模様を認識することが可能であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の撮像されたIR画像を、真正画像に対してパターンマッチング等の手法により機械認証を行わせる場合、印刷物の物理状態や画像撮像環境によっては、IR反射領域と吸収領域間で十分な濃度差が得られず、IR画像の濃度コントラストが低いこと等の理由により、その結果、真正印刷物であっても、真正と判断されない場合がある。
【0007】
また、第2の領域の埋め込み画像(IR画像)をコード情報として印刷物を作製し、これに対して機械読み取りを行わせようとした場合には、一般的な手法、つまりIRカメラで取り込んだ画像を直接認証処理するような工程だけでは、隠蔽されている情報を取得し、認証するまでには至らない。これは、取り込んだIR画像の濃度が低く、機械的認証処理を行うために必要なコントラストが得られず、正常な認証処理が行えないためである。
【0008】
そこで、認証処理して隠蔽されている情報を取得できるようにするため、IR画像のコントラストをあげることも考えられるが、そのため第2の領域の割合を増やす(IR画像のコントラストをあげる)と、可視画像上にその模様が浮かび上がってくるため、可視画像に悪影響を及ぼすだけでなく秘匿性までもが低下し、埋め込み情報としての効果を喪失してしまう。そのため、IR画像のコントラストは、高くすることができない、といった制限がある。
【0009】
それを解決するためには、このような印刷物の読み取り処理として、図20に示す処理により隠蔽画像又は隠蔽情報を取得する必要がある。この処理は、まずIR照射及びIRカメラによってコード情報を画像として、パソコン等の認証機器に取り込む。次に、取り込んだ画像を画像処理ソフトで、濃度補正処理、2値化等の画像処理を施し、画像処理を施した画像に対して、所定の認証処理プログラムを実行させることによってコード情報に秘匿されている情報を取得する必要があり、複数の機械とソフトを用意し、3段階の読み取り作業を行う必要があるため、時間や手間を要し、人的負荷が高く、きわめて煩雑(面倒な処理)であった。
【0010】
また、画像取込装置の撮像部として、きわめて多画素数かつ高解像度のものを使用した場合、印刷物の網点構成が鮮明に撮像される。図12(a)のQRコードを多画素数かつ高解像度の画像取込装置で撮像した場合、QRコードのセルにおいては、図12(b)のように、セル内の網点部分は低画素値であり光を通さないため濃色として認識され、セル内の網点部分以外は高画素値であり光を通すため淡色として認識される。このように、多画素数かつ高解像度が故にQRコードのセル部分をベタな領域として認識できず、低画素値である網点の領域と高画素値である網点以外の領域、このニつの領域の集合体として鮮明に認識してしまい、その結果、認証処理に影響を与える可能性がある。
【0011】
さらに、隠蔽した画像として、コード化したIR隠蔽画像を例に挙げたが、蛍光発光等のUV隠蔽画像、すかし等の透過光画像を含む可視領域における隠蔽画像でも同様のことが言え、隠蔽された画像又は情報を認証するには困難を強いられる場合があった。
【0012】
また、認識作業については、様々な環境で行われることが考えられ、IR画像取込時に当然室内蛍光灯等の外光の影響を受ける場合がある。また、IRカメラからの画像取込時の取込タイミングとの時間差による機器間の特性の影響も受けることが考えられる。これらの影響の結果、画像上に、ちらつき、ホワイトノイズといった形で取込画像の画質を低下させていた。
【0013】
また、外光も含め照射光の照射ムラや、IRカメラにおける暗電流等の影響による撮像エリアの濃度の空間的な不均一性等により、取込画像において発生する濃度ムラによる空間的な濃度差についても、デコード処理を阻害していた。
【0014】
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、具体的には、所定の波長領域における反射、透過及び/又は吸収に対する特性を有する隠蔽画像を、撮像部でn回撮像し、撮像によって取得した画像情報に対して画像処理を行い、取得した画像の真正を認証する隠蔽画像又は隠蔽情報の認証方法、及びその認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の隠蔽画像の認証方法は、所定の波長領域において反射、透過及び/又は吸収に対する特性を有するインキ組成物により隠蔽画像を施した印刷物における、隠蔽画像の認証方法であって、隠蔽画像を、撮像部でn回撮像することによって隠蔽画像情報を取得し、取得したn個の隠蔽画像情報を加算し、加算して得られた画像に対して所定の階調変換を行い、階調変換後の画像と、あらかじめ記憶されている真正画像とを照合することによって、隠蔽画像の認証を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明の隠蔽画像の認証方法で行う隠蔽画像情報の加算とはS/N比向上処理であり、所定の階調変換とは、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするためのコントラスト増幅処理であることを特徴とする。
【0017】
本発明の隠蔽画像の認証方法で行う隠蔽画像情報の加算とはS/N比向上処理であり、所定の階調変換とは、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするためのコントラスト増幅処理及び低画素値と高画素値を平均化するための平均化処理であることを特徴とする。
【0018】
本発明の隠蔽情報の認証方法は、所定の波長領域において反射、透過及び/又は吸収に対する特性を有するインキ組成物により隠蔽画像を施した印刷物における、隠蔽画像の認証方法であって、隠蔽画像を、撮像部でn回撮像することによって隠蔽画像情報を取得し、取得したn個の隠蔽画像情報を加算し、加算して得られた画像に対して所定の階調変換を行い、階調変換後の画像をデコード処理することによって隠蔽情報を取得し、取得した隠蔽情報と、あらかじめ記憶されている真正情報とを照合することによって、隠蔽情報の認証を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の隠蔽情報の認証方法で行う隠蔽画像情報の加算とはS/N比向上処理であり、所定の階調変換とは、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするためのコントラスト増幅処理及び外乱光による照明条件の空間的不均一性による照明ムラや暗電流等による撮像エリア内の不均一性による濃度ムラを取り除くための濃度ムラ除去処理であることを特徴とする。
【0020】
本発明の隠蔽情報の認証方法で行う隠蔽画像情報の加算とはS/N向上処理であり、所定の階調変換とは、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするためのコントラスト増幅処理、外乱光による照明条件の空間的不均一性による照明ムラや暗電流等による撮像エリア内の不均一性による濃度ムラを取り除くための濃度ムラ除去処理、及び低画素値と高画素値を平均化するための平均化処理であることを特徴とする。
【0021】
本発明の認証システムは、隠蔽画像又は隠蔽情報を認証するための認証システムであって、所定の波長領域において反射、透過及び/又は吸収に特性を有するインキ組成物によって印刷した隠蔽画像を、撮像部でn回撮像し、n個の隠蔽画像情報を取得するための画像取込装置と、取得した隠蔽画像情報をn個加算し、加算して得られた画像に対して所定の階調変換を行い、階調変換後の画像とあらかじめ記憶されている真正画像とを照合し認証するか、又は、階調変換後の画像をデコード処理することによって隠蔽情報を取得し、取得した隠蔽情報とあらかじめ記憶されている真正情報とを照合し認証するためのサーバとで構成され、画像取込装置とサーバがネットワークを介して接続されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の認証システムの画像取込装置が、照明一体型撮像部と反射防止シートと支持体とから構成されており、支持体の下部に、全反射防止シートが折りたたみ可能に固定されており、支持体の上部に、支持棒の一方の端が揺動可能に取り付けられており、支持棒の他端に照明一体型撮像部が固定可能に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この方法により、取り込んだ所定の波長領域における画像の機械認証、例えば、2次元コードの読み取りによる認証や、真正画像とのパターンマッチング等の手法により真偽判別を行わせる場合、所定の波長領域における反射領域と吸収領域間で十分な濃度差が得られない場合でも、高いS/N比、高いコントラストの画像が簡便に得られるので有効である。
【0024】
また、この認証システムにより、ネットワークを介して、遠隔地において認証が行え、また、その認証結果を含む真偽判別情報をサーバにおいて一元管理でき、サーバを介して情報の共有が可能となる。
【0025】
さらに、認証方法の変更や新規認証方法の登録の場合でも、サーバから更新内容を送信するだけでよく、端末ごとに更新作業を必要とせず、大幅な時間、コスト、作業等を削減に貢献する。
【0026】
また、本装置は所定のボタンを1回押下するだけで、認証に必要なすべての処理が実行可能であるため、操作面において特別なスキルが必要なく、簡単に誰でも認証処理が可能である。さらに、画像取込装置に具備している照明部及び各種濃度補正処理により、使用環境を限定することなく、画像の取り込み及び認証が行える。
【0027】
所定の波長領域は、本発明の一実施例として挙げたIR隠蔽画像のほかに、可視光領域においても、発光強度の弱い蛍光発光画像や、鮮明でないすかし画像といった、十分な濃度差がなく、ノイズ成分が多く、低コントラストで不鮮明な画像を用いて隠蔽情報を読取ることが要求される機械的認証処理を行う場合にも、本発明は最適である。また、紫外領域の画像についても同様なことが言える。
【0028】
また、今回の手法により、高S/N比、高コントラストにすることが可能であるため、人間の目視による認証の補助具としても利便性が高く有効である。
【0029】
装置に具備している補助照明及び各種濃度補正処理により、昼夜問わずIR画像取込が行え、使用環境を限定しない。また、本装置の電源は、バッテリー駆動としているため、屋外等ACアダプターによる供給が得られない場所でも使用可能であることも、機動的な活用に有効である。
【0030】
判定に利用する真偽判別処理方法(アルゴリズム)をサーバにのみ登録しておくことで、認証手法の拡散を防ぎ、秘匿性を高められる。
【0031】
認証局において真偽判別を行うため、認証方法の変更や新規認証方法の登録の場合でも、サーバで設定するだけでよく、端末ごとに更新作業を必要とせず、大幅な時間、コスト、作業等を削減できる。
【0032】
認証端末で認証機能が省略できるため、マシンパワーを必要とせず、小型で安価にできる。
【0033】
データベースを必要としないため、サーバの容量が少なくて済み、データベース登録の必要がないため、認証数に制限がない。また、不正者による個人情報等の漏えいの危険性がない。
【0034】
認証用データの埋め込みは、認証用図柄の印刷により実現しているため、IC等の特別な素子が不要である。
【0035】
また、単一素材で構成可能であるため、製造が容易であるとともに安価に製造できる。媒体が紙の場合には、不要になった印刷物は焼却できるため不燃ごみにならないので環境に配慮できるとともに、物理的な消去により情報の漏えいを防ぐことができる。
【0036】
通信手段としてインターネットを用いる場合には、時間や場所の制約がなく、多数の者が簡便に認証することが可能である。その結果、新たに専用回線を敷設する必要がないため、敷設コスト、時間等が不要であり、簡単に認証条件を整えることが可能である。
【0037】
認証する対象物がプラスチックカードやカラーレーザプリンタによる印刷物であっても、反射光の影響を受けずに画像の撮像が可能である。
【0038】
撮像部と照明が一体化されており、また、構造が単純であることから、小型・軽量化が図れ、製作費・修理費の低価格化にもなる。
【0039】
反射防止シートに接触した状態で撮像対象となる印刷物をセットするため、全反射光が撮像部に直接入射することなく、拡散及び平滑化された光となって反射され、ノイズの少ない撮像が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明における一体型認証システムの実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明における一体型認証システムの形態について示す。図2は、本発明における一体型認証システムの構成について示す。
【0041】
まず、本発明における一体型認証システムについて、図1及び図2を参照しながら説明する。一体型認証システムは、画像取込装置(1)と認証端末(2)とで構成されている。
【0042】
図3は画像取込装置(1)を示しており、(a)は上方から、(b)は下方から見た図であり、(c)は収納時の形態を示した図である。図3に示すように、画像取込装置(1)は、撮像部(3)、照明部(4)、全反射防止シート(17)及び支持体(18)を備えており、照明部(4)は撮像部(3)の周辺に配設し、照明一体型撮像部となる構成となっている。
【0043】
支持体(18)の下部には、全反射防止シート(17)が折りたたみ可能に固定されており、支持体(18)の上部には、支持棒の一方の端が揺動可能に取り付けられており、支持棒の他端に照明一体型撮像部(3、4)が固定可能に取り付けられている。
【0044】
照明部(4)は、印刷物に光を照射する手段であり、IR照明、透過光を含めた可視光照明、UV照明のいずれかが備わっている。通常、隠蔽画像を撮像する際は、太陽光などの自然の状態で撮像することが可能である。しかし、夜間や屋内等の光が弱く希望の撮像ができない場合には、隠蔽画像に対応した照射が可能なように、IR照明、可視光照明、UV照明から適当な照明が選択可能となっている。なお、本発明の図中では全反射光用の照明部を用いた場合を示しているが、すき入れ画像等の透過光画像により認証を行う場合は、透過光用の照明部を用いる。
【0045】
全反射防止シート(17)は、撮像部(3)に全反射光が入射するのを防ぐ手段であり、特定の波長を通過する梨地加工されたフィルムであることが好ましい。
【0046】
このフィルムは、印刷物との密着性や、重量、そして取扱性を考慮すると樹脂性であることが好ましく、少なくとも画像取込装置(1)側が梨地加工されている必要があるが、梨地加工の粗さが粗すぎると取込画像上に梨地パターンが現れ、認証精度が低下する可能性がある。
【0047】
また、フィルムの厚さについても、厚すぎると透過光量の減衰及び光の拡散が大きくなり、取込画像の画質が低下する可能性がある。逆に薄すぎると、強度や耐久性が低下する。
【0048】
よって、上記の必要条件をかんがみると、全反射防止シート(17)として適切なフィルムとしては、例えば十千万株式会社製Zマットフィルムがあり、厚みとして125μm程度のものを利用することが望ましい。ただし、認証処理に適した画像が取込可能なフィルムであれば、これに限ったことではない。
【0049】
撮像部(3)は、所定の波長領域における反射、透過及び/又は吸収に対する特性を有する隠蔽画像をn回撮像し、撮像によりn個の隠蔽画像情報を取得する手段である。
【0050】
この時、2回以上撮像する場合は、各画像において印刷物の撮像箇所が変動しないように、撮像部(3)と印刷物の相対位置関係を一定にして撮像を行う。この場合、撮像部(3)の設置手段として、三脚、スタンド等の器具を用いて固定してもよい。
【0051】
認証端末(2)は、制御部(5)、記憶部(6)及び報知部(7)から構成されている。
【0052】
制御部(5)は、画像取込装置(1)で取り込まれたn個の隠蔽画像情報を加算し、加算して得られた画像に対して所定の階調変換を行い、階調変換後の画像と、あらかじめ記憶されている真正画像とを照合することによって隠蔽画像の認証を行うか、又は画像取込装置(1)で取り込まれたn個の隠蔽画像情報を加算し、加算して得られた画像に対して所定の階調変換を行い、階調変換後の画像をデコード処理することによって隠蔽情報を取得し、取得した隠蔽情報と、記憶部(6)にあらかじめ記憶されている真正画像を照合することによって隠蔽画像の認証を行い、認証結果を報知部(7)に報知させる手段である。
【0053】
記憶部(6)は、認証の対象となる隠蔽画像の真正画像又は認証の対象となる隠蔽情報の真正情報をあらかじめ記憶させ、更に取込画像や認証結果を記憶させる手段である。
【0054】
報知部(7)は、制御部(5)での認証処理による認証結果を報知する手段である。認証者への認証結果の報知手段としては、パソコン等への画面表示、プリンタ等への印字出力、音響によるもの等、手段は選ばない。
【0055】
次に、本発明におけるネットワーク回線を利用した遠隔型認証システムの実施形態について図面を用いて説明する。
【0056】
図4は、本発明におけるLANを使用した遠隔型認証システムの形態を示す。図5は、本発明におけるインターネットを使用した遠隔型認証システムの形態を示す。図6は、本発明における遠隔型認証システムの構成を示す。
【0057】
まず、本発明における遠隔型認証システムの構成について、図6を参照しながら説明する。遠隔型認証システムは、画像取込装置(1)とサーバ(8)とがネットワーク(9)を介して接続されている。
【0058】
画像取込装置(1)は、認証用画像を取込む手段であり、撮像部(3)と報知部(7)とデータ送受信部(12)と操作部(10)と制御部(5)とから構成されている。
【0059】
画像取込装置(1)は、認証に必要な信号(画像データ等)を取り込むセンサ、カメラ等の手段である。
【0060】
報知部(7)は、認証した結果を報知する手段である。
【0061】
データ送受信部(12)は、取込データ等のサーバ(8)への送信、サーバ(8)からの認証結果の受信を行う手段である。
【0062】
操作部(10)は、画像取込やデータ送受信等の操作を行う手段である。
【0063】
制御部(5)は、画像取込装置(1)を構成している各部位の制御を行う手段である。
【0064】
サーバ(8)は、取り込まれた画像の認証を行う部位であり、記憶部(6)と操作設定部(11)とデータ送受信部(13)と制御部(12)とから構成されている。
【0065】
記憶部(6)は、一連の認証アルゴリズムの保存、画像取込装置(1)から送信されてきたデータや画像取込装置(1)へ送信する認証結果の一時保存を行う手段である。
【0066】
操作設定部(11)は、認証技術の選択、装置の操作、新規アルゴリズムの登録や変更を行う手段である。
【0067】
データ送受信部(13)は、取込データ等の画像取込装置(1)からの受信、画像取込装置(1)への認証結果の送信を行う手段である。
【0068】
制御部(12)は、サーバ(8)を構成している各部位の制御を行う手段であり、かつ、画像取込装置(1)から送信されてきた取込データに対して、認証アルゴリズムに従い一連の認証処理を行う手段である。ここでいう認証処理とは、あらかじめ設定した所定の方式であり、印刷物作成時に利用したエンコード方式に対応したデコード処理のことである。
【0069】
次に、認証方法について図面を用いて説明する。図7は、本発明の一実施例における隠蔽画像の認証方法のフローを示す。図8は、S/N比向上処理における処理手順について示す。図9(a)は、コントラスト増幅処理前の画像濃度分布を示し、図9(b)は、コントラスト増幅処理後の画像濃度分布を示す。図10は、濃度補正関数を示す。図11は、本発明の一実施例における隠蔽情報の認証方法のフローを示す。図12(a)は、本発明の一実施例における印刷物の隠蔽画像を、撮像部に取り込んだ際の画像情報を示し、図12(b)は、その画像情報のX−Y部分の画素値を示し、図12(c)は、図12(b)の画素値を平均化処理した画素値を示す。
【0070】
隠蔽画像による認証方法について、図7に示したフローに従って説明する。まず、所定の波長領域における反射又は吸収に対する特性を有する隠蔽画像を、撮像部(3)でn回撮像する(STEP01)。
【0071】
2回以上撮像する場合、撮像部を三脚、スタンド等の固定器具で固定することにより、画像撮像エリアの変動を防止することができる。
【0072】
通常、隠蔽画像を撮像する際は、太陽光などの自然の状態で撮像することが可能である。しかし、夜間や屋内等の光が弱い場合は希望の撮像ができない可能性がある。そういった場合には画像取込装置(1)に備え付けられている照明部(4)を用い、隠蔽画像に対応した所望の照射光を照射して撮像することが可能である。
【0073】
n回撮像することによって取得したn個の隠蔽画像情報は認証端末(2)へ取り込まれ、制御部(5)で、階調変換の一つであるS/N比向上処理が行われる(STEP02)。この処理は、図8に示す手順で取込データを加算することにより、時間的変動によるノイズの影響を低減させる方法であり、取込回数の1/2乗倍(√n)でS/N比が向上する。
【0074】
その後、S/N比が向上しノイズの影響の低減した画像に対して、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするため、階調変換の一つであるコントラスト増幅処理を行う(STEP03)。図9(a)に示すように、撮像して取り込んだコントラストの低い画像は、最大値と最小値の差が小さい。そこで、図9(b)に示すように最大値と最小値の差を拡張するような濃度補正関数により濃度差を拡張し、画像のコントラストを上げる。
【0075】
濃度補正関数として、例えば、図10のような計算機の有効メモリ(8ビット)を最大限利用し、最小画素値(黒部)と最大画素値(白部)を、それぞれ0と255になるような補正をかけ、濃度階調幅を拡張し、二次以上の式や特定の濃度を重み付けするような非線形な変換を行ってもよい。こうして、この処理により、所定の波長領域における画像取込時に濃度差の小さかった反射−吸収画像のコントラストが増強し、次工程の認証処理にたえうる画像が得られる。
【0076】
これらS/N比向上及びコントラスト増幅処理が施された画像に対して、ハートレー変換処理を実行し、認証用画像を生成する(STEP04)。
【0077】
その後、上記の処理により得られた認証用画像と、あらかじめ記憶部(6)に記憶されている真正画像とを照合させ、印刷物が真正なものかどうかの認証を行う(STEP05)。
【0078】
認証結果は、認証端末(2)の報知部(7)へ報知される(STEP06)。
【0079】
なお、ここでは、上記のようにS/N比向上処理、コントラスト増幅処理の処理順で行ったが、処理順についてはこれに限定されず、これ以外の順番でも構わない。
【0080】
画像取込装置(1)の撮像部(3)として、きわめて多画素数かつ高解像度のものを使用した場合、印刷物の網点構成が鮮明に撮像される。図12(a)のQRコードを多画素数かつ高解像度の画像取込装置で撮像した場合、QRコードのセルにおいては、図12(b)のように、セル内の網点部分は低画素値であり光を通さないため濃色として認識され、セル内の網点部分以外は高画素値であり光を通すため淡色として認識される。このように、多画素数かつ高解像度が故にQRコードのセル部分をベタな領域として認識できず、低画素値である網点の領域と高画素値である網点以外の領域、このニつの領域の集合体として鮮明に認識してしまい、その結果、認証処理に影響を与える可能性がある。
【0081】
そこで、ある画素を中心とした近傍領域(ある画素に近い位置にある画像の集合)の内側の画素の濃度値を全て加算した結果を出力するという操作を各画素で行う。多くの画素の値を加算することにより、図12(c)に示したように画素値が平均化されて滑らかになり、その部分は低画素値(濃色)である網点の領域と高画素値(淡色)である網点以外の領域との鮮明な区別がなくなり、濃色と淡色の間のベタな中間色として再表現されるため、その後の認証処理への影響を回避できる。この際、小さくなった濃度差は、上記のコントラスト増幅処理により回復可能である。
【0082】
次に、隠蔽情報の認証方法について図11に示したフローに従って説明する。まず、所定の波長領域における反射又は吸収に対する特性を有する隠蔽画像を、撮像部でn回撮像する(STEP07)。
【0083】
また、この場合も上記STEP01と同様、2回以上撮像する場合、撮像部を三脚、スタンド等の固定器具で固定することにより、画像撮像エリアの変動を防止することができる。
【0084】
また、上記STEP01と同様、画像取込装置(1)に備え付けられている照明部(4)を用い、隠蔽画像に対応した所望の照射光を照射して撮像することが可能である。
【0085】
通常、隠蔽画像を撮像する際は、太陽光などの自然の状態で撮像することが可能である。しかし、夜間や屋内等の光が弱い場合は希望の撮像ができない可能性がある。そういった場合には、上記STEP01と同様、画像取込装置(1)に備え付けられている照明部(4)を用い、隠蔽画像に対応した所望の照射光を照射して撮像することが可能である。
【0086】
上記STEP02と同様、n回撮像することによって取得したn個の隠蔽画像情報は、認証端末(2)へ取り込まれ、制御部(5)で、階調変換の一つであるS/N比向上処理が行われる(STEP08)。この処理は、取込データを加算することにより、時間的変動によるノイズの影響を低減させる方法であり、取込回数の1/2乗倍(√n)でS/N比が向上する。
【0087】
また、外乱光による照明条件の空間的不均一性による照明ムラや、暗電流等による撮像エリア内の不均一性による濃度ムラがある場合、この影響を取り除くため、階調変換の一つである濃度ムラ除去処理を行う(STEP09)。画像上の空間的な濃度ムラの画像成分を除去する方法として、シェーディング補正処理手法等の背景画像を減算又は除算することにより実行する方法や、FFT等を用いて濃度ムラの周波数成分をカットする方法がある。
【0088】
その後、上記STEP04と同様、S/N比が向上しノイズの影響の低減した画像に対して、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするための、階調変換の一つであるコントラスト増幅処理を行う(STEP10)。こうして、この処理により、所定の波長領域における画像取込時に濃度差の小さかった反射−吸収画像のコントラストが増強し、次工程のデコード処理にたえうる画像が得られる。
【0089】
取得した画像をデコード処理し、隠蔽画像に秘匿されている隠蔽情報を取得する(STEP11)。上記の処理により取得した隠蔽情報と、あらかじめ記憶部(6)に記憶されている真正情報とを照合させ、印刷物が真正なものかどうかの認証を行う(STEP12)。
【0090】
認証結果は、認証端末(2)の報知部(7)で報知される(STEP13)。
【0091】
なお、ここでも上記のようにS/N比向上処理、濃度ムラ除去処理、コントラスト増幅処理の処理順で行ったが、処理順についてはこれに限定されず、これ以外の順番でもかまわない。
【0092】
画像取込装置(1)の撮像部(3)として、きわめて多画素数かつ高解像度のものを使用した場合、印刷物の網点構成が鮮明に撮像される。図12(a)のQRコードを多画素数かつ高解像度の画像取込装置で撮像した場合、QRコードのセルにおいては、図12(b)のように、セル内の網点部分は低画素値であり光を通さないため濃色として認識され、セル内の網点部分以外は高画素値であり光を通すため淡色として認識される。このように、多画素数かつ高解像度が故にQRコードのセル部分をベタな領域として認識できず、低画素値である網点の領域と高画素値である網点以外の領域、このニつの領域の集合体として鮮明に認識してしまい、その結果、認証処理に影響を与える可能性がある。
【0093】
そこで、ある画素を中心とした近傍領域(ある画素に近い位置にある画像の集合)の内側の画素の濃度値を全て加算した結果を出力するという操作を各画素で行う。多くの画素の値を加算することにより、図12(c)に示したように画素値が平均化されて滑らかになり、その部分は低画素値(濃色)である網点の領域と高画素値(淡色)である網点以外の領域との鮮明な区別がなくなり、濃色と淡色の間のベタな中間色として再表現されるため、その後の認証処理への影響を回避できる。この際、小さくなった濃度差は、上記のコントラスト増幅処理により回復可能である。
【0094】
次に、実施例を挙げて具体的な実施形態について説明する。本実施例1、2、3、4、5及び6で使用する印刷物は、隠蔽画像として、IRの波長領域における反射又は吸収に対する特性を有する画像を隠蔽して作製することとし、IR隠蔽画像を撮像して認証する方法について説明する。
【0095】
図13(a)は、実施例1で使用する印刷物の可視画像を示し、図13(b)は、その印刷物における隠蔽情報を含んだIR画像を示し、図13(c)はS/N比向上処理後、図13(d)は、コントラスト増幅処理後、そして図13(e)はそのIR隠蔽画像情報を画像処理した後の画像に対して所定の認証処理後の画像(隠蔽情報)である。
【0096】
図14(a)は、実施例2で使用する印刷物の可視画像を示し、図14(b)は、その印刷物における隠蔽情報を含んだIR画像を示し、図14(c)はS/N比向上処理後、図14(d)は背景濃度ムラ除去処理後、図14(e)はコントラスト増幅処理後、そして、図14(f)はそのIR隠蔽画像情報を画像処理した後の画像に対してデコード処理した結果(隠蔽情報)である。
【実施例1】
【0097】
本発明の一実施例における一体型認証システム及び認証方法について、図1、図2、図7及び図13を用いて説明する。
【0098】
一体型認証システムは、画像取込装置(1)と認証端末(2)とで構成されている。画像取込装置(1)は、照明部(4)、撮像部(3)、全反射防止シート(17)及び支持体(18)を備えており、認証端末(2)は、制御部(5)、記憶部(6)及び報知部(7)から構成されている。
【0099】
最初に、隠蔽画像を付与した印刷物の作製方法について説明する。図19に示すように、一つの第1の領域(14)と、第1の領域に隣接する一つの第2の領域(15、16)とが複数組配置され、各々の第2の領域の周囲が、複数の第1の領域により囲まれ、第1の領域は、赤外線吸収性色素を含まないインキを用いて構成された画像(鳳凰)データを網点で配置し、第2の領域より面積が大きくなるようにした。第2の領域(15、16)は、赤外線吸収性色素を含むブラックインキを用いて構成された第2aの領域(15)と、赤外線吸収色素を含まないインキを用いて構成された黒色系である第2bの領域(16)とを有し、各々の第2における第2aの領域と第2bの領域との比率に応じて、複数の第2の領域における第2aの領域により画像データを網点で配置し、肉眼では認知不可能な画像とした。
【0100】
この隠蔽画像データは、原画像(背景画像)データfと、隠蔽画像である二値画像データ(二重円)gとを入力し、高速ハートレー変換により原画像データfを二次元の実数データ配列Fに変換し、二値画像データgの配列並べ替えにより二値画像データg’を生成し、二次元の実数データ配列Fと二値画像データg’との合成により二次元の実数データ配列Hを生成し、逆高速ハートレー変換により、二次元の実数データ配列Hを二値画像データ潜像化済み画像データ変換した二値画像データ潜像化済み画像データである。
【0101】
認証の方法について説明する。上記方法で作製した印刷物における隠蔽画像を認証する際の撮像条件は、取込画像の画質、撮像時間及び使用メモリ節約を考慮し、撮像回数は5回とする。
【0102】
印刷物を所定の位置にセットし、IRカメラにより図13(b)に示す隠蔽情報を含んだIR画像を5回撮像する。
【0103】
IRカメラで5回撮像することによって取得した5個のIR画像は、IR隠蔽画像情報として認証端末(2)へ取り込む。
【0104】
5個のIR隠蔽画像情報が取り込まれた認証端末(2)は、5個の画像を積算する。この結果√5倍だけS/N比が向上したIR隠蔽情報を含んだ画像である図13(c)が作製される。
【0105】
その後、認証端末(2)において、このS/N比が向上した画像と、先に取得した背景画像を除算することにより、濃度ムラが除去された画像が生成される。
【0106】
その後、図13(c)に示すS/N比が向上した画像の最小画素値(min)と最大画素値(max)を検索する。そして図10に示すように計算機の有効メモリ(8ビット)を最大限利用し、最小画素値(黒部)と最大画素値(白部)をそれぞれ0と255になるような補正をかけ濃度階調幅を拡張し、図13(d)に示す画像を生成する。
【0107】
図13(d)に示す隠蔽情報を含むIR画像に対して、所定の認証処理であるハートレー変換を実行し、図13(e)に示す認証用の画像を取得する。
【0108】
以上のような画像処理を行うことによって取得した図13(e)に示す認証用画像と、あらかじめ記憶部に記憶されている真正画像とを照合させ、印刷物が真正なものかどうかの認証を行う。認証結果は、認証端末(2)の報知部(7)で確認することが可能である。
【実施例2】
【0109】
本発明の一実施例における一体型認証システム及び認証方法について、図1、図2、図11及び図14を用いて説明する。
【0110】
一体型認証システムは、画像取込装置(1)と認証端末(2)とで構成されている。画像取込装置(1)は、照明部(4)、撮像部(3)、全反射防止シート(17)及び支持体(18)を備えており、認証端末(2)は、制御部(5)、記憶部(6)及び報知部(7)から構成されている。
【0111】
最初に、隠蔽情報を付与した印刷物の作製方法について説明する。図19に示すように、一つの第1の領域(14)と、第1の領域に隣接する一つの第2の領域(15、16)とが複数組配置され、各々の第2の領域の周囲が、複数の第1の領域により囲まれ、第1の領域は、赤外線吸収性色素を含まないインキを用いて構成された画像(鳳凰)データを網点で配置し、第2の領域より面積が大きくなるようにした。第2の領域(15、16)は、赤外線吸収性色素を含むブラックインキを用いて構成された第2aの領域(15)と、赤外線吸収色素を含まないインキを用いて構成された黒色系である第2bの領域(16)とを有し、各々の第2における第2aの領域と第2bの領域との比率に応じて、複数の第2の領域における第2aの領域により画像データを網点で配置し、肉眼では認知不可能な画像とした。
【0112】
認証の方法について説明する。上記方法で作製した印刷物における隠蔽画像を認証する際の撮像条件は、今回も、取込画像の画質、撮像時間及び使用メモリ節約を考慮し、撮像回数を5回とした。
【0113】
5個の背景画像情報が取込まれた認証端末(2)は、5個の背景画像を積算し、後工程で行う濃度ムラ除去用の画像を作製し、この画像を記憶部に記憶しておく。
【0114】
その後、印刷物を所定の位置にセットし、IRカメラにより、図14(b)に示す隠蔽情報を含んだIR画像を5回撮像する。
【0115】
IRカメラで5回撮像することによって取得した5個のIR画像を、認証端末(2)へ取り込む。
【0116】
5個のIR隠蔽画像情報が取込まれた認証端末(2)は、5個の画像を積算する。この結果√5倍だけS/N比が向上したIR隠蔽情報を含んだ画像である図14(c)が作製される。
【0117】
その後、認証端末(2)において、このS/N比が向上した画像と、先に取得した背景画像を除算することにより、図14(d)に示す濃度ムラが除去された画像が生成される。
【0118】
その後、図14(d)に示す、S/N比が向上した画像の最小画素値(min)と最大画素値(max)を検索する。そして、図7に示すように計算機の有効メモリ(8ビット)を最大限利用し、最小画素値(黒部)と最大画素値(白部)を、それぞれ0と255になるような補正をかけ、濃度階調幅を拡張し、図14(e)に示す濃度階調の画像を生成する。
【0119】
以上のような画像処理を行うことによって取得した図14(e)に示すIR隠蔽画像と、取得した画像をデコード処理することによって、図14(f)に示すIR隠蔽情報を取得する。
【0120】
図14(f)に示す取得したIR隠蔽情報と、あらかじめ記憶部に記憶されている真正情報とを照合させ、印刷物が真正なものかどうかの認証を行う。認証結果は、認証端末(2)の報知部(7)で確認することが可能である。
【0121】
実施例2では、濃度ムラ除去用の画像を撮像するため、印刷物をセットしない状態で赤外光を照射して背景画像を撮像し、背景画像情報として認証端末(2)に取り込む処理を行ったが、この処理に関しては、同じ情報を隠蔽した同一図柄の印刷物に対して、再度、同じ処理を行う必要はない。背景画像情報として認証端末(2)に取り込んだ際、認証端末(2)に記憶させておき、同じ情報を隠蔽した同一図柄の印刷物を認証する際に、読み出して使用することが可能である。また、背景画像情報は、印刷物とともにサーバ(8)にアルゴリズムとして記憶され、変更等があった場合はサーバ(8)から各認証端末(2)に変更情報が送信される。
【0122】
ここで説明したのは網点構成による印刷物に対する認証であったが、専用のIR反射及び吸収インキを用いて情報を隠蔽した印刷物に対して同様の認証を行うことも可能である。
【0123】
なお、上記のニつの実施例ではIR反射−吸収画像を用いたシステムを説明したが、端末装置に透過光ユニットを設けてIR透過光によるIR透過−吸収画像を撮像し、認証を行う方式でも可能である。
【0124】
これらの実施例では、隠蔽画像としてIRの波長領域における反射又は吸収に対する特性を有する画像を隠蔽して作製した印刷物を用い、IR隠蔽画像を撮像して認証を行ったが、UV照射による蛍光発光画像、すき入れ紙の透過光画像を元にした認証に本手法を利用することも可能である。
【実施例3】
【0125】
本発明の一実施例における、LANを使用した証書類の遠隔型認証システム及び認証方法について、図4、図6及び図15を用いて説明する。
【0126】
LANを使用した遠隔型認証システムは、画像取込装置(1)とサーバ(8)がネットワーク(9)を介して接続されている。画像取込装置(1)は、撮像部(3)と報知部(7)、データ送受信部(12)、操作部(10)及び制御部(5)から構成されており、サーバ(8)は、記憶部(6)、操作設定部(11)、データ送受信部(13)及び制御部(12)から構成されている。
【0127】
本実施例では、撮像部(3)を備えた装置としてIR領域に感度を持つIRカメラを使用する。また、報知部(7)で認証者に結果を知らせる方法として、認証結果が正と認証された場合は青ランプ、誤と認証された場合は赤ランプが点灯する形態とする。
【0128】
認証の方法について図15のフローを参照して説明する。まず、画像取込装置(1)側のIRカメラにより認証画像を撮像して画像を取り込み(STEP14)、取り込んだIR画像をサーバ(8)側に送信する(STEP15)。
【0129】
サーバ(8)は、画像取込装置(1)から送信されてきたIR画像を受信し(STEP18)、所定の認証処理を行う(STEP19)。所定の認証処理とは、印刷物に情報を埋め込んだときのエンコード方法に対応した所定のデコード処理であり、画像状態によっては前述した1平均化処理、2S/N比向上処理、3濃度ムラ除去処理、4コントラスト増幅処理のうち、一つ以上の処理をデコード処理の前に行ってもよい。
【0130】
認証した結果を画像取込装置(1)側に送信する(STEP20)。
【0131】
画像取込装置(1)側は、サーバ(8)側から送信されてきた認証結果を受信し(STEP16)、認証の結果が正であれば報知部(7)に青ランプが点灯し、認証の結果が誤であれば赤ランプが点灯する(STEP17)。
【0132】
本実施例では、認証の対象となる印刷物が、赤外領域に特性を持つ隠蔽画像で印刷されているためIRカメラを使用したが、これに限定される必要はなく、認証の対象となる印刷物が、紫外領域に特性をもつ隠蔽画像で印刷されている場合は、UVカメラを使用する。
【0133】
また、報知部(7)で認証者に結果を知らせる方法として、ランプの点灯による形態としたが、これに限定される必要はなく、結果報知部に液晶部分を設けてそこに認証結果を表示する形態、また、音響によって認証結果を報知する形態としてもよい。
【実施例4】
【0134】
本発明の一実施例における、インターネットを使用した証書類の遠隔型認証システム及び認証方法について、図5、図6及び図16を用いて説明する。
【0135】
インターネットを使用した遠隔型認証システムは、画像取込装置(1)、サーバ(8)がネットワーク(9)を介して接続されている。画像取込装置(1)は、撮像部(3)、報知部(7)、データ送受信部(12)、操作部(10)及び制御部(5)から構成されており、サーバ(8)は、記憶部(6)、操作設定部(11)、データ送受信部(13)及び制御部(12)から構成されている。
【0136】
本実施例では、サーバ(8)として認証局を想定する。また、撮像部(3)を備えた装置として通常市販の携帯電話を使用し、報知部(7)で認証者に結果を知らせる方法としては携帯電話の表示画面へ表示させる形態とする。
【0137】
認証の方法について図16のフローを参照して説明する。まず、画像取込装置(1)側の携帯電話により、認証局のURLが埋め込んである二次元コードを撮像し、認証局へアクセスする(STEP21)ことでサイト接続が開始する(STEP27)。
【0138】
次に、携帯電話により認証画像を撮像して画像を取り込み(STEP22)、取り込んだ画像をサーバ(8)側に送信する(STEP23)。
【0139】
認証局は、画像取込装置(1)から送信されてきた撮像画像を受信し(STEP28)、所定の認証処理を行う(STEP29)。所定の認証処理とは、印刷物に情報を埋め込んだときのエンコード方法に対応した所定のデコード処理であり、画像状態によっては前述したイ 平均化処理、ロ S/N比向上処理、ハ 濃度ムラ除去処理及びニ コントラスト増幅処理をうち、一つ以上の処理をデコード処理の前に行ってもよい。
【0140】
認証した結果を画像取込装置(1)側に送信する(STEP30)。
【0141】
画像取込装置(1)側は、認証局から送信されてきた認証結果を受信し(STEP24)、認証の結果が携帯電話の液晶画面に表示される(STEP25)。
【0142】
認証を終了する場合は認証局へのアクセスを終了させ(STEP26)、認証局でサイト接続の切断を行う(STEP31)。
【0143】
本実施例では、認証局のURLが埋め込んである二次元コードを撮像し認証局へアクセスを行う形態をとったが、これに限定される必要はなく、URLが直接記述してある印刷物の場合は、そのURLを直接打ち込んでアクセスすることも可能である。
【0144】
また、報知部(7)で認証者に結果を知らせる方法として、携帯電話の表示画面に表示させる形態としたが、これに限定される必要はなく、音響によって認証結果を報知する形態としてもよい。
【実施例5】
【0145】
本発明の一実施例における、インターネットを使用した証書類及び個人認証の遠隔型認証システム及び方法について、図5、図6及び図18を用いて説明する。
【0146】
インターネットを使用した遠隔型認証システムは、画像取込装置(1)とサーバ(8)がネットワーク(9)を介して接続されている。画像取込装置(1)は、撮像部(3)、報知部(7)、データ送受信部(12)、操作部(10)及び制御部(5)から構成されており、サーバ(8)は、記憶部(6)と操作設定部(11)とデータ送受信部(13)と制御部(12)とから構成されている。
【0147】
本実施例では、サーバ(8)として認証局を想定する。また、撮像部(3)を備えた装置として通常市販の携帯電話を使用し、報知部(7)で認証者に結果を知らせる方法としては携帯電話の表示画面へ表示させる形態とする。
【0148】
認証の方法について図18のフローを参照して説明する。まず、画像取込装置(1)側の携帯電話により、認証局のURLが埋め込んである二次元コードを撮像し、認証局へアクセスする(STEP43)ことでサイト接続が開始する(STEP50)。
【0149】
次に、携帯電話により認証画像を撮像して画像を取り込み(STEP44)、取り込んだ画像と個人認証コードをサーバ(8)側に送信する(STEP45、STEP46)。
【0150】
認証局は、画像取込装置(1)から送信されてきた撮像画像と個人認証コードを受信し(STEP51、STEP52)、まず、印刷物の認証に対する所定の印刷物認証処理を行う(STEP53)。所定の認証処理とは、印刷物に情報を埋め込んだときのエンコード方法に対応した所定のデコード処理であり、画像状態によっては前述したイ 平均化処理、ロ S/N比向上処理、ハ 濃度ムラ除去処理及びニ コントラスト増幅処理をうち、1つ以上の処理をデコード処理の前に行ってもよい。
【0151】
認証した結果が正常であるかどうかの判断を行い(STEP54)、正常であれば、次に人物認証処理を行う(STEP55)。人物認証処理は、受信した個人認証コードと、前述した印刷物認証処理によって得られた個人を認証するためのカードとを比較照合することによって行う。
【0152】
認証した印刷物認証結果及び人物認証結果を画像取込装置(1)側に送信する(STEP56)。
【0153】
画像取込装置(1)側は、認証局から送信されてきた認証結果を受信し(STEP47)、印刷物認証結果及び人物認証結果が携帯電話の液晶画面に表示される(STEP48)。
【0154】
また、報知部(7)で認証者に結果を知らせる方法として、携帯電話の表示画面に表示させる形態としたが、これに限定される必要はなく、音響の違いによって認証結果を報知する形態としてもよい。
【0155】
認証を終了する場合は認証局へのアクセスを終了させ(STEP49)、認証局でサイト接続の切断を行う(STEP57)。
【実施例6】
【0156】
本発明の一実施例における、LANを使用した証書類及び個人認証の遠隔型認証システム及び認証方法について、図4、図6及び図17を用いて説明する。
【0157】
LANを使用した遠隔型認証システムは、画像取込装置(1)とサーバ(8)がネットワーク(9)を介して接続されている。画像取込装置(1)は、撮像部(3)、報知部(7)、データ送受信部(12)、操作部(10)及び制御部(5)から構成されており、サーバ(8)は、記憶部(6)と操作設定部(11)とデータ送受信部(13)と制御部(12)とから構成されている。
【0158】
本実施例では、撮像部(3)を備えた装置として、IR領域に感度を持つIRカメラとUV領域に感度を持つUVカメラを使用する。また、報知部(7)で認証者に結果を知らせる方法として、認証結果が正と認証された場合は青ランプ、誤と認証された場合は赤ランプが点灯する形態とする。
【0159】
認証の方法について図17のフローを参照して説明する。まず、画像取込装置(1)側のIRカメラとUVカメラにより認証画像を撮像して画像を取り込み(STEP32)、取り込んだIR画像とUV画像をサーバ(8)側に送信する(STEP33、STEP34)。
【0160】
サーバ(8)は、画像取込装置(1)から送信されてきたIR画像とUV画像を受信し(STEP37、STEP38)、まず、印刷物の認証に対する所定の印刷物認証処理を行う(STEP39)。所定の認証処理とは、印刷物に情報を埋込んだときのエンコード方法に対応した所定のデコード処理であり、画像状態によっては前述したイ 平均化処理、ロ S/N比向上処理、ハ 濃度ムラ除去処理及びニ コントラスト増幅処理のうち、1つ以上の処理をデコード処理の前に行ってもよい。
【0161】
認証した結果が正常であるかどうかの判断を行い(STEP40)、正常であれば、次に人物認証処理を行う(STEP41)。人物認証処理は、受信した個人認証コードと、前述した印刷物認証処理によって得られた個人を認証するためのコードとを比較照合することによって行う。
【0162】
認証した印刷物認証結果及び人物認証結果を画像取込装置(1)側に送信する(STEP42)。
【0163】
画像取込装置(1)側は、サーバ(8)側から送信されてきた印刷物認証結果及び人物認証結果を受信し(STEP35)、印刷物認証結果及び人物認証結果ともに正であれば報知部(7)に青ランプが点灯し、印刷物認証結果は正だが人物認証結果が誤であれば黄ランプが点灯し、印刷物認証果が誤であれば赤ランプが点灯する(STEP36)。
【0164】
本実施例では、認証の対象となる画像が、赤外領域に特性を持つ隠蔽画像で印刷されているためIRカメラを使用し、個人認証の対象となるコードが、紫外領域に特性を持つ隠蔽画像で印刷されているためUVカメラを使用したが、認証の対象となる画像及び個人認証コードの印刷形態によって、撮像するカメラを選択する。
【0165】
また、報知部(7)で認証者に結果を知らせる方法として、ランプの点灯による形態としたが、これに限定される必要はなく、結果報知部に液晶の小窓を設けてそこに認証結果を表示する形態、また、音響によって認証結果を報知する形態としてもよい。
【0166】
本実施例では、認証局のURLが埋め込んである二次元コードを撮像し認証局へのアクセスを行ったが、URLが直接記述してある印刷物の場合は、そのURLを直接打ち込んでアクセスすることも可能である。
【0167】
また、報知部(7)で認証者に結果を知らせる方法として、携帯電話の表示画面に表示させる形態としたが、これに限定される必要はなく、音響によって認証結果を報知する形態としてもよい。
【0168】
更に、図7、図8、図15、図16、図17及び図18示したフローについては、すべて1ルーチンでの処理手順となっているが、認証する対象物が複数の場合は、繰り返し処理を行う。
【0169】
詳しくは、STEP06の処理が終了した時点で認証対象物がない場合はフローどおりに認証処理を終了し、ある場合はSTEP01へ戻り処理を継続する。また、STEP13の処理が終了した時点で認証対象物がない場合はフローどおりに認証処理を終了し、ある場合はSTEP07へ戻り処理を継続する。また、STEP17の処理が終了した時点で認証対象物がない場合はフローどおりに認証処理を終了し、ある場合はSTEP14へ戻り処理を継続する。また、STEP25の処理が終了した時点で認証対象物がない場合はフローどおりに認証処理を終了し、ある場合はSTEP22へ戻り処理を継続する。また、STEP36の処理が終了した時点で認証対象物がない場合はフローどおりに認証処理を終了し、ある場合はSTEP32へ戻り処理を継続する。また、STEP48の処理が終了した時点で認証対象物がない場合はフローどおりに認証処理を終了し、ある場合はSTEP44へ戻り処理を継続する。
【0170】
また、本発明を実施するための最良の形態及び実施例中では、所定の波長領域において反射、透過及び/又は吸収に対する特性を有するインキ組成物による隠蔽画像に関して、反射及び吸収に対する特性を有するインキ組成物を用いた場合の説明しか行っていないが、反射、透過、吸収のうちのどれか一つ又は二つ以上のすべての組合せにおいても実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本発明における一体型認証システムの形態について示す。
【図2】本発明における一体型認証システムの構成について示す。
【図3】(a)は本発明の一実施例における撮像部の正面図を示し、(b)は下方からの図を示し、(c)は撮像部の収納時を示す。
【図4】本発明の一実施例におけるLANを使用した遠隔型認証システムを示す図である。
【図5】本発明の一実施例におけるインターネットを使用した遠隔型認証システムを示す図である。
【図6】本発明におけるネットワークを利用した遠隔型認証システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施例における隠蔽画像の認証方法のフローを示す。
【図8】本発明におけるS/N比向上処理における処理手順を示す。
【図9】(a)は、本発明の一実施例におけるコントラスト増幅処理前の画像濃度分布を示し、(b)は、コントラスト増幅処理後の画像濃度分布を示す。
【図10】本発明における濃度補正関数を示す。
【図11】本発明の一実施例における隠蔽情報の認証方法のフローを示す。
【図12】(a)は、本発明の一実施例における印刷物の隠蔽画像を、撮像部に取り込んだ際の画像情報を示し、(b)は、その画像情報のX−Y部分の画素値を示し、(c)は、(b)の画素値を平均化処理した画素値を示す。
【図13】(a)は、本発明の一実施例における印刷物を示し、(b)はその印刷物における隠蔽情報を含むIR画像を示し、(c)は(b)をS/N比向上処理した後の画像を示し、(d)は(c)をコントラスト増幅処理した後の画像を示し、(e)は(d)をハートレー変換して得られた隠蔽画像を示す。
【図14】(a)は、本発明の一実施例における印刷物を示し、(b)はその印刷物における隠蔽情報を含むIR画像を示し、(c)は(b)をS/N比向上処理を施した後の画像を示し、(d)は(c)を背景濃度ムラ除去処理した後の画像を示し、(e)は(d)をコントラスト増幅処理した後の画像を示し、(f)は(e)をデコード処理して得られた隠蔽情報を示す。
【図15】本発明の一実施例におけるLANを使用した証書類の認証フローを示す図である。
【図16】本発明の一実施例におけるインターネットを使用した証書類の認証フローを示す図である。
【図17】本発明の一実施例におけるLANを使用した証書類及び個人認証のフローを示す図である。
【図18】本発明の一実施例におけるインターネットを使用した証書類及び個人認証のフローを示す図である。
【図19】本発明の認証対象となる印刷物の画線構成における第1の領域と第2の領域を示す。
【図20】従来の、隠蔽情報を取得するための処理手順を示す。
【符号の説明】
【0172】
1 画像取込装置
2 認証端末
3 撮像部
4 照明部
5 制御部
6 記憶部
7 報知部
8 サーバ
9 ネットワーク
10 操作部
11 操作設定部
12、13 データ送受信部
14 第1の領域
15 赤外線吸収性色素を含むブラックインキを用いて構成された第2aの領域
16 赤外線吸収色素を含まないインキを用いて構成された黒色系である第2bの領域
17 全反射防止シート
18 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長領域において反射、透過及び/又は吸収に対する特性を有するインキ組成物により隠蔽画像を施した印刷物における、前記隠蔽画像の認証方法であって、
前記隠蔽画像を、撮像装置でn回撮像することによってn個の隠蔽画像情報を取得し、取得した前記隠蔽画像情報をn個加算し、加算して得られた画像に対して所定の階調変換を行い、前記階調変換後の画像と、あらかじめ記憶されている真正画像とを照合することによって、隠蔽画像の認証を行うことを特徴とする隠蔽画像の認証方法。
【請求項2】
前記所定の階調変換が、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするためのコントラスト増幅処理であることを特徴とする請求項1記載の隠蔽画像の認証方法。
【請求項3】
前記所定の階調変換が、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするためのコントラスト増幅処理及び低画素値と高画素値を平均化するための平均化処理であることを特徴とする請求項1記載の隠蔽画像の認証方法。
【請求項4】
所定の波長領域において反射、透過及び/又は吸収に対する特性を有するインキ組成物により隠蔽情報を埋め込んだ隠蔽画像を施した印刷物における、前記隠蔽情報の認証方法であって、
前記隠蔽画像を、撮像装置でn回撮像することによってn個の隠蔽画像情報を取得し、取得した前記隠蔽画像情報をn個加算し、加算して得られた画像に対して所定の階調変換を行い、前記階調変換後の画像をデコード処理することによって隠蔽情報を取得し、取得した前記隠蔽情報と、あらかじめ記憶されている真正情報とを照合することによって、隠蔽情報の認証を行うことを特徴とする隠蔽情報の認証方法。
【請求項5】
前記所定の階調変換が、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするためのコントラスト増幅処理及び外乱光や照明条件による照明ムラと撮像エリア内における撮像ムラの影響を取り除くための濃度ムラ除去処理であることを特徴とする請求項4記載の隠蔽情報の認証方法。
【請求項6】
前記所定の階調変換が、所定の波長領域における吸収箇所と所定の波長領域における反射箇所との濃度差を大きくするためのコントラスト増幅処理、外乱光や照明による照明ムラと撮像エリア内における撮像ムラの影響を取り除くための濃度ムラ除去処理及び低画素値と高画素値を平均化するための平均化処理であることを特徴とする請求項4記載の隠蔽情報の認証方法。
【請求項7】
隠蔽画像又は隠蔽情報を認証するための認証システムであって、
所定の波長領域における反射、透過又は吸収に特性を有するインキ組成物によって印刷した隠蔽画像を、撮像装置でn回撮像し、n個の隠蔽画像情報を取得するための画像取込装置と、
取得した前記隠蔽画像情報をn個加算し、加算して得られた画像に対して所定の階調変換を行い、前記階調変換後の画像とあらかじめ記憶されている真正画像とを照合し認証するか、又は、前記階調変換後の画像をデコード処理することによって隠蔽情報を取得し、取得した前記隠蔽情報とあらかじめ記憶されている真正情報とを照合し認証するためのサーバとで構成され、
前記画像取込装置と前記サーバがネットワークを介して接続されていることを特徴とする認証システム。
【請求項8】
前記画像取込装置が、照明一体型撮像部と反射防止シートと支持体とから構成されており、
前記支持体の下部に、前記全反射防止シートが折りたたみ可能に固定されており、前記支持体の上部に、支持棒の一方の端が揺動可能に取り付けられており、前記支持棒の他端に前記照明一体型撮像部が固定可能に取り付けられていることを特徴とする請求項7記載の認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−293972(P2006−293972A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244324(P2005−244324)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】