説明

雀球遊技機

【課題】電源の断状態に遊技球が打ち出されても、遊技が滞りなく進行し得るように構成した雀球遊技機を提供する。
【解決手段】本雀球遊技機は、遊技球を位置Lに配備する球送り装置77と、位置Lにおける遊技球の有無の状態を検知する遊技球検知センサ81と、遊技球検知センサ81による検知結果を記憶する記憶手段104と、を備え、遊技中に雀球遊技機1の電源が再起動された際、記憶手段104に遊技球の有状態が記憶されていて且つ遊技球検知センサ81が遊技球の無状態を検知した場合には、球送り装置77により位置Lに遊技球を配備させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雀球遊技機に係り、詳しくは、電源の起動に係り生じ得る遊技進行上の不具合の解消を図った雀球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、封入循環式の遊技機として、雀球遊技機やアレンジ式遊技機が知られている。例えば、雀球遊技機では、各種遊技部品が配置された遊技盤の下部に、麻雀牌の図柄を付した所定数の入球口を備え、メダル投入口に遊技メダル(以下、単に「メダル」とも言う)が投入された後、例えば1ゲーム当たり14個の遊技球が遊技盤上に打ち出されて各遊技球が何れかの入球口に入球した際、当該入球口に対応する麻雀牌の図柄が、上記遊技盤上に配置された画像表示装置に表示されるように機能(手動配牌機能)する。
【0003】
近年では、メダル投入口に投入された遊技メダルを検出スイッチに基づいて検出した後、麻雀牌の図柄を画像表示装置に適宜の組合せで自動的に表示する機能(自動配牌機能)を備えた雀球遊技機も知られている(特許文献1参照)。この雀球遊技機では、画像表示装置に表示される手牌のうちから不要な牌(不要牌)が切り捨てられた際、1個の遊技球を再度打ち出しし得る状態となり、これら切り捨て操作(捨て牌操作)及び再打ち出し操作が所定回数以内にて繰り返し行われ、所定の上がり役が完成した時点で得点が計算され、その得点に応じた数の遊技メダルが払い出される。
【0004】
【特許文献1】特開平7−39620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したものを含む一般的な雀球遊技機においては、バネ等の付勢力を利用した機械的な打ち出し機構によって遊技球の打ち出しが行われる。この打ち出し機構では、遊技球の打ち出し強さは手動発射レバーの回動角度によって決定され、該手動発射レバーが操作されることにより遊技球が単発ずつ打ち出されるものとなる。
【0006】
このような雀球遊技機では、本体の電源が断状態(オフ状態)になった際であっても、遊技球が既に打ち出し前の待機状態となっている場合には、該遊技球を手動で打ち出し得る構造となっている。
【0007】
しかし、該雀球遊技機にあっては、本体の電源が断状態にある場合に遊技球が打ち出されたとしても、遊技領域に配設された各種入賞口等が有する通過センサ等は遊技球の通過を検知しないため、再び電源が入状態となった場合にあっても遊技球が打ち出し済みであると判定されないものとなっていた。従って、再び電源が入状態となった場合に、新たな遊技球が待機状態にセットされず、遊技進行が不能になる問題が生じ得るものとなっていた。
【0008】
そこで本発明は、電源の断状態に遊技球が打ち出された場合にあっても、遊技が滞りなく進行し得るように構成し、もって上述した課題を解決した雀球遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図9参照)、遊技球(Ba)を遊技機本体(1a)に備えた発射レバー(4)の操作によって遊技領域(2a)に打ち出して遊技してなる雀球遊技機(1)において、
前記発射レバー(4)にて操作される遊技球(Ba)を打ち出し位置(L)に配備する遊技球配備手段(77)と、
前記打ち出し位置(L)における遊技球(Ba)の有無の状態を検知する検知手段(81)と、
前記検知手段(81)による検知結果を記憶する記憶手段(104)と、を備え、
遊技中に前記遊技機本体(1a)の電源が再起動された際、前記記憶手段(104)に遊技球(Ba)の有状態が記憶されていて且つ前記検知手段(81)が遊技球の無状態を検知した場合には、前記遊技球配備手段(77)により前記打ち出し位置(L)に遊技球(Ba)を配備させてなる、
ことを特徴とする雀球遊技機(1)にある。
【0010】
請求項2に係る本発明は(例えば図6及び図9参照)、所定時間の経過を計時する計時手段(105)を備え、
前記計時手段(105)は、前記記憶手段(104)に遊技球(Ba)の有状態が記憶されていて且つ前記検知手段(81)が遊技球(Ba)の無状態を検知したことに応じて計時を開始し、
前記遊技球配備手段(77)は、前記計時手段(105)が前記所定時間の経過を計時したことを契機として前記打ち出し位置(L)に遊技球(Ba)を配備してなる、
請求項1記載の雀球遊技機(1)にある。
【0011】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によると、雀球遊技機は、遊技球を打ち出し位置に配備する遊技球配備手段と、打ち出し位置における遊技球の有無の状態を検知する検知手段と、検知手段による検知結果を記憶する記憶手段と、を備え、遊技中に雀球遊技機本体の電源が再起動された際、記憶手段に遊技球の有状態が記憶されていて且つ検知手段が遊技球の無状態を検知した場合には、遊技球配備手段により打ち出し位置に遊技球を配備させてなる。これにより、雀球遊技機本体の電源が断状態にある間に、打ち出し位置に配備された遊技球を遊技領域に打ち出した場合にあっても、該遊技機本体の電源が再起動された際に新たな遊技球を打ち出し位置に配備させることができる。従って、雀球遊技機本体の電源が再起動された際に、遊技球を打ち出し得る遊技状態となるにも拘らず打ち出し位置に遊技球が配備されていないといった、遊技進行が滞るような状況の発生を防ぐことができ、手動及び単発で遊技球を打ち出すような雀球遊技機の操作性や遊技性等の向上を図ることができるものとなる。
【0013】
請求項2に係る本発明によると、所定時間の経過を計時する計時手段を備え、計時手段が、記憶手段に遊技球の有状態が記憶されていて且つ検知手段が遊技球の無状態を検知したことに応じて計時を開始し、遊技球配備手段が、計時手段が所定時間の経過を計時したことを契機として打ち出し位置に遊技球を配備してなるので、雀球遊技機本体の電源が断状態の際に誤って遊技球が打ち出された場合であっても、該遊技機本体の再起動後に遊技球を打ち出し位置に好適なタイミングで配備することができる。また、遊技機本体の電源再投入後、所定時間の経過が計時された後に遊技球を配備するので、該電源再投入時に生じがちなノイズ等の影響により、打ち出し位置における遊技球の有無が誤認識されて該打ち出し位置に複数の遊技球が配備されることを防ぐことができる。また、雀球遊技機本体が再起動された際の、該遊技機本体に搭載された各種の装置やソフトウエアプログラム等の起動時設定処理に費やされる時間を確保することができるので、再起動後の遊技へと円滑に導入されるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る遊技機の実施の形態として、遊技場等に設置される雀球遊技機について図1ないし図8を参照して説明する。なお、図1は本実施形態における雀球遊技機を示す斜視図、図2は図1における遊技盤面部を抜粋して示す斜視図、図3は本雀球遊技機の前枠全体を開放して裏枠の内部構造を示す正面図、図4は循環ユニット、発射装置及び打ち出し部の全体的な位置関係を示す斜視図、図5は発射装置の要部を示す正面図、図6は球送り装置を図5の矢印C方向に見た状態で示すものであり、同図(a)は球送り前の状態を示す側面断面図、同図(b)は球送り後の状態を示す側面断面図、図7は操作パネルの構成を示す正面図、図8は図1における画像表示装置に表示する画面例を説明するための図である。
【0015】
本実施の形態では、27種の牌の図柄を各4個、計108個の牌を使用して遊技を行う雀球遊技機1を例に挙げて説明する。この27種の牌の図柄は、例えば、萬子が「一萬」〜「九萬」の9種、筒子が「一筒」〜「九筒」の9種、索子が「一索」と「九索」の2種、字牌が「東」「南」「西」「北」「白」「發」「中」の7種である。従って、萬子と筒子が数牌となり、索子の「一索」と「九索」は、順子を形成することができないので字牌に含めている。これにより、本実施形態における牌種とは、上記の「萬子」、「筒子」、「字牌」の3種を示すことになる。なお、上記した2種の数牌は、萬子、筒子、及び索子のうちのいずれの2種であってもよく、例えば、萬子と索子とで数牌を形成した場合には、筒子の「一筒」と「九筒」とを字牌とするように選定した雀球遊技機を構成してもよい。
【0016】
図1は、本実施形態における雀球遊技機1の全体を示す斜視図である。同図に示すように、本雀球遊技機1は遊技機本体1aを備えてなり、該遊技機本体1aの前面部は、基本的には遊技盤面部(遊技領域)2a、操作パネル3、操作パネル3の下方に設けられた遊技球発射レバー(発射レバー)4、メダル受け皿5、音声や効果音(以下、一括して音声という)を出力する音声出力装置であるスピーカー6、ランプ装置7等から構成される。上記遊技盤面部2aは、図2に示す遊技盤2に設けられた遊技エリアである。なお、符号1bは、遊技機本体1aに対して開閉可能に支持された前扉を示し、該前扉1bにはガラス部材41が配設され、前扉1bの閉止時には該ガラス部材41が遊技盤2と対向するように位置する。また、図1中の符号85は、不図示の発射装置によって打ち出された遊技球を遊技盤面部2a側に案内するガイドレールを示している。
【0017】
図2に示すように、遊技盤面部2aの略中央部には、所要の演出表示を行うための液晶パネル等の画像表示装置38を開口部13から露出した状態のセンター飾り12が配置されている。センター飾り12は、開口部13の上部に演出装置40を有し、開口部13の下部に遊技球の進路を振り分けるステージSを有している。
【0018】
センター飾り12の右方には、遊技球が通過可能なアタッカー作動通過口10が配置され、該アタッカー作動通過口10の直下方には、横長の長方形状のアタッカー9が配置されている。このアタッカー9は、開閉動作することで遊技球の入球を許可又は不許可に状態変化する可変入球口であり、具体的には、和了した際の上がり役が特別役(例えばビッグ役)である場合に開放して後続ゲーム中に自摸牌の選択を自由にするための可変入球口を構成している。これらアタッカー9とアタッカー作動通過口10とは、遊技盤面部2aに固定されたプラスチック等の装飾プレートにより一体化されている。
【0019】
また、センター飾り12の上方には表示部37が配置されており、更に、センター飾り12の左右下方には入球口11a,11bが配置され、センター飾り12の下方には入球口11c〜11e、…が配置されている。また、不図示ではあるがセンター飾り12の下方で且つ上記入球口11c〜11e、…の直ぐ上方には、各入球口の入球幅を規制するための多数の障害釘が打ち込まれている。なお、遊技盤面部2aには、風車(図示せず)や上記とは別の障害釘(図示せず)が設けられている。
【0020】
センター飾り12におけるステージSの下方には、複数個(本実施形態では25個)の入球口11c、11d、11e、…を有した入球ユニット53が配置されている。これら入球口11c、11d、11e、…は、索子牌を除いた牌の図柄25種(図柄は図示せず)に対応して25個が設けられている。また、入球口11a,11bにはそれぞれ「一索」と「九索」が表示されており、また入球口11cには「一萬」、入球口11dには「二萬」、入球口11eには「三萬」というように、所要の麻雀牌図柄が順次表示されている。なお、図中の符号53aは、入球ユニット53の前カバーを示している。
【0021】
次いで、遊技機本体1aの内部には、図3に示すように、前扉1b全体を開放した状態において、電源基板55、主制御基板56、メダルホッパ57、メダル払出し装置48、及びメダルタンク60が上部から下部に向かって配設されている。なお、図中の符号51は、後述する打ち出し部52(図4参照)と一体的に構成される発射装置51を示しており、該発射装置51により遊技球が遊技盤面部2aへと打ち出される。
【0022】
図3の正面視における発射装置51の右上方には、ベース部材73aを介して、循環ユニット73が装着されている。そして、遊技機本体1aの前方側から前扉1bを透過した状態に視認すると、図4に示すように、前方側から発射装置51と、打ち出し部52と、循環ユニット73とが順次配置されている。
【0023】
発射装置51は、遊技球発射レバー4、発射バネ部70、打撃レバー71、及び打撃部材71aを有している。また、打ち出し部52は、前板を取り外した状態において、発射レール72aを有するレール部材72を備えている。上記打撃部材71aは、例えば図5に示すように、後述する球送り装置(遊技球配備手段)77から発射レール72aの発射側端部に順次送り出される遊技球Baを、打撃レバー71の瞬時の回動によって遊技盤面部2a上に打ち出すように構成される。
【0024】
循環ユニット73は、図4に示すように、前扉1bの左右幅方向に長尺に形成されるベース部材73aと、打ち出し前の遊技球を待機させる不図示の待機通路とを備えている。ベース部材73aは、発射装置51へ遊技球を1個ずつ送り出す球送り装置77を有するとともに、発射装置51から発射されて遊技盤面部2aまで到達し得ずに戻ってくる遊技球(所謂ファール球)を上記待機通路へ戻すためのファール球戻り通路75,76を備えている。
【0025】
上述した待機通路は、ファール球を含む遊技球を封入球として待機させつつ球送り装置77へ1個ずつ案内する機能を有する。この球送り装置77は、発射装置51の発射動作に連動して待機通路内に収容された遊技球を1個ずつ発射レール72a上に送り出す機能を備え、発射レール72aの発射側端部で且つベース部材73aと一体的に結合されている。
【0026】
上記球送り装置77は、図6(a),(b)に示すように、鉛直方向(同図の正面視における上下方向)に沿うように配置されたソレノイド91と、このソレノイド91の作動時に進退動作するプランジャ92と、このプランジャ92の先端部に連結されて回動支点93を中心に回動し得る回動レバー95と、この回動レバー95の先端部の係合切欠き95aに回動自在に係合することにより回動支点98を中心に回動し得る球送り出し部材97とを備えている。
【0027】
従って、上述の構成を有する球送り装置77は、図6(a)に示す待機状態において、待機通路側から送り込まれた遊技球Baを、ソレノイド91の作動で後退したプランジャ92に伴って同図の球受け位置に移動した球送り出し部材97の受け面97aで受け取る。そして、上記ソレノイド91が所定のタイミングで作動して、プランジャ92が図6(b)に示す下方側に突出すると、回動レバー95が同図の時計回り方向に回動する。これにより、球送り出し部材97が同図の反時計回り方向に回動して、受け面97a上に保持していた遊技球Baを、開口68を通して発射レール72a上の位置Lに配備することになる。
【0028】
発射レール72aの発射側端部の床面、つまり発射レール72a上の位置Lには、球送り装置77により配備された遊技球Baを検知する遊技球検知センサ(検知手段)81が配設されている。後述する遊技球配備制御手段103は、遊技中、該遊技球検知センサ81による遊技球の有無の検知状態を得ることで、位置Lに遊技球を配備するように球送り装置77を駆動制御する。
【0029】
一方、操作パネル3には、図7に示すように、液晶表示装置等からなる画像表示部14、メダル投入口15、及び各種の操作ボタンが設けられている。この各種の操作ボタンとして、13個のボタンが横方向に並設された捨て牌ボタン16a、16b、…、16m、自摸牌捨てボタン17、リーチボタン18、牌選択右シフトボタン19、牌選択左シフトボタン20、自摸牌決定ボタン21、払い出しボタン22、遊技終了ボタン23、遊技開始ボタン24、及びリジェクト(REJECT)ボタン25が配置されている。なお、遊技者がこれらの各ボタン、例えば自摸牌決定ボタン21を操作すると、自摸牌決定信号が発生し、この信号がマイクロコンピュータ等から構成される遊技制御装置102(図6参照)に入力される。そして、該遊技制御装置102に搭載されている各種ソフトウエア(プログラム)は、入力された信号ごとに予め設定された処理を実行してゲームを進行させる。
【0030】
画像表示部14には、その表示面に種々の表示部が設定され、遊技者に対してゲームの進行に応じて必要となる、情報データ、画像、及び演出用画像が表示される。例えば、図8に示すように、表示面の上部横方向には、遊技メダル貯留枚数表示部26、残り遊技球数表示部27、風牌表示部28、表ドラ表示部29、裏ドラ表示部30、上がり牌表示部31、特別遊技のうち、ビッグゲームの権利を得ることができる上がり役を示すビッグゲーム上がり役表示部32、更に、チャンスゲームの権利を得ることができる上がり役を示すチャンスゲーム上がり役表示部33、捨て牌の図柄を表示する捨て牌表示部34が設けられ、ゲームの進行に応じて牌の図柄、演出画像、数値等が表示される。なお、上述した、ビッグゲームの権利を得ることができる上がり役及びチャンスゲームの権利を得ることができる上がり役を、以下「特別役」と称すると共に、該特別役以外の上がり役を「通常役」と称する。
【0031】
更に、画像表示部14の表示面の下部横方向には、13個の手牌の図柄を表示する手牌表示部35、及び自摸した牌の図柄を表示する自摸牌表示部36が設けられている。なお、手牌表示部35及び自摸牌表示部36に表示している各図柄の下部には、捨て牌ボタン16a、16b、…、に対応するボタン名(A、B、C、D、E、・・・)が表示されている。また、表示される麻雀牌の図柄はカラーで表示される。
【0032】
ところで、本実施の形態の雀球遊技機1は、図6に示すように、前述した遊技制御装置102と、該遊技制御装置102が有する遊技球配備制御手段103、記憶手段104、及び計時手段105とを備えている。そして、遊技球配備制御手段103は、その制御に係り記憶手段104及び計時手段105と信号やデータの送受を行う。
【0033】
遊技球配備制御手段103は、遊技進行に伴って発射装置51から打ち出される遊技球を、発射レール72aにおける位置Lに向けて送り出すように球送り装置77に配備させる。遊技球配備制御手段103は、球送り装置77に遊技球を配備させる際、位置Lに遊技球が複数配備されないよう、遊技球検知センサ81が検知した位置Lにおける遊技球の有無の状態を判定してから配備するように制御する。
【0034】
記憶手段104は、例えばEEPROMといった不揮発性のメモリからなり、遊技球検知センサ81により検知された位置Lにおける遊技球の有無の検知状態を記憶する。記憶手段104は、不揮発性のメモリであるため、遊技機本体1aの電源が断状態となった場合にあっても記憶した検知状態を保持する。また、計時手段105は、遊技制御装置102を構成するマイクロコンピュータに内蔵されたタイマであり、遊技球配備制御手段103等の他の制御手段や各種ソフトウエア(プログラム)からの実行を契機として、経過時間を計時する等の処理を行う。なお、記憶手段104は、上記した不揮発性のメモリ以外に、揮発性のRAMにバックアップ用電源を接続した構成等であってもよく、遊技機本体1aの電源が断状態となった場合であっても、該断状態となる前の検知状態の記憶を保持し得るものであれば特に限定されるものではない。
【0035】
続いて、上述した雀球遊技機1の遊技手順とこの手順に伴う各処理の概要について説明する。
【0036】
1ゲームは、遊技者がメダル投入口15へメダルを投入して、遊技開始ボタン24を押圧し、14個の手牌が配牌されることによりスタートする。そして、遊技者が捨て牌ボタン16a、16b、…、等の各種の操作ボタンを操作し、該操作に基づいて各種センサから発生される入力信号及び制御信号に基づき、1ゲームが進行していくことになる。
【0037】
つまり、遊技者がメダル投入口15にメダルを投入し、遊技開始ボタン24を押圧すると、1ゲームの遊技が開始できる状態になり、引き続き、ゲームを開始するために必要な14個の配牌の図柄が自動的に決められ、図8に示すような牌の図柄の画像が、画像表示部14の手牌表示部35と自摸牌表示部36に表示される。
【0038】
更に、図8に示すような表ドラの牌の図柄の画像が画像表示部14の表ドラ表示部29に表示され、ビッグ役及びチャンス役がビッグゲーム上がり役表示部32と、チャンスゲーム上がり役表示部33とにそれぞれ表示される。そして、遊技の開始条件が整ったことが画面表示又は音声で遊技者に報知される。
【0039】
この状態において、遊技者は、手牌表示部35と自摸牌表示部36に表示されている牌の図柄から、捨て牌を選択する操作を行う。遊技者は、捨てる牌の図柄を決定すると、この捨て牌の図柄に対応する捨て牌ボタン16a、16b、16c、…、或いは自摸牌捨てボタン17のいずれか1つを選択(オン)してこの牌を捨てる。すると、遊技球が遊技球発射位置に1球送られ、遊技球発射レバー4の操作で遊技盤面部2a内に遊技球を発射できる状態になる。
【0040】
遊技者が遊技球を発射し、この遊技球が入球口11a、11b、11c、…の何れかに入球すると、該入球に対応する牌(自摸牌)の図柄が自摸牌表示部36に表示される。この牌を自摸ったことで和了しない場合、遊技者は、14個の手牌の中から不要と思われる1個の牌を捨てる捨て牌操作を行う。そして、遊技者は、このような操作を順次実行していき、所望の上がり役が聴牌(テンパイ)したと判断した時点で、リーチボタン18を操作してリーチをかけ、或いはリーチをかけずに、1ゲーム中で発射可能な遊技球数が尽きるまで上がり牌を自摸る操作を続ける。なお、上記リーチボタン18を操作してリーチをかけた場合には、図8に示すような裏ドラの牌の図柄の画像が、画像表示部14の裏ドラ表示部30に表示される。
【0041】
ところで、従来の雀球遊技機においては、その遊技中、遊技球が打ち出し位置(例えば本実施の形態における位置L)に配備された状態にあれば、該遊技機本体の電源が断状態となった場合であっても遊技球を打ち出すことができるものとなっていた。そして、遊技球がこのような状態から打ち出された場合であっても、該遊技球は遊技領域内に配設されたいずれかの入球口へと入球するが、遊技機本体の電源が断状態にあるため、各入球口に配置された入球検知センサ等によって検知されることはなかった。上記入球検知センサにより検知されなかった場合には、遊技球が遊技領域に打ち出されたとは判定されず、遊技機本体の電源が再び起動された場合にあっても、次の遊技球が打ち出し位置に配備されず、遊技が進行不能になるという不具合を生じるものとなっていた。
【0042】
しかし、上記したような従来の雀球遊技機が有していた不具合は、本実施の形態における雀球遊技機1にて解消される。以下では、この不具合を解消する本雀球遊技機1の特徴をなす動作処理について図9を参照して説明する。同図は、雀球遊技機1における遊技中の一形態を示すタイムチャートである。
【0043】
図9におけるタイムチャートでは、雀球遊技機1における遊技中の任意の時点T0から、再起動された後の通常の遊技状態に戻る時点T5にかけての期間が、正面視左方から右方へと経時的に示されている。同図の符号aの段は、雀球遊技機1の電源の状態を示すもので、図中のONが電源の起動状態、OFFが電源の断状態として示される。符号bの段は、遊技球検知センサ81が位置Lにおける遊技球の有無を検知した状態を示すもので、図中のONが遊技球の検知状態(即ち有状態)で、OFFが遊技球の非検知状態(即ち無状態)として示される。符号cの段は、記憶手段104が遊技球検知センサ81の検知した遊技球の有無の状態を記憶した内容を示すもので、図中の1が遊技球の有状態を記憶している状態で、0が遊技球の無状態を記憶している状態として示される。更に、符号dの段は、計時手段105の計時の開始から終了までの時間的な経過が示される。
【0044】
図9に示すように、雀球遊技機1は、時点T0にて起動状態の遊技進行中にあり、時点T1にて球送り装置77によって位置Lに遊技球が配備される。位置Lに遊技球が配備されると、遊技球検知センサ81が遊技球を検知することでONとなり、続いて記憶手段104が該遊技球検知センサ81の検知状態を記憶することで1の状態となる。
【0045】
そして、例えば停電等に起因して、雀球遊技機1の電源が時点T2にてOFF(断状態)となる。このとき、遊技球検知センサ81は非通電状態となるため、遊技球を検知することが不能となる(図中の破線で示した部分)。ここで、記憶手段104は不揮発性のメモリであるため、自身が非通電状態になってもその記憶状態、即ち時点T1で記憶した遊技球の有状態を保持し続けて1の状態を保っている。
【0046】
次いで、雀球遊技機1の電源が上記したようなOFFとなった際、該雀球遊技機1にて遊技している遊技者が、故意又は過失を問わず、遊技球発射レバー4を操作することで位置Lに配備された遊技球を、遊技盤面部2aへと打ち出す(時点T3)。これにより、該打ち出された遊技球は、遊技盤面部2aに配設された入球口11a,11b,11c,…等のうち、例えば入球口11aへと入球する。
【0047】
ここで、通常の遊技状態においては、入球口11a等に遊技球が入球した際には、各入球口に配設された通過センサが遊技球の通過を検知し、該検知に応じた所定の動作処理がなされる。しかし、上記時点T2にて雀球遊技機1の電源が断状態となっているため、遊技球が上記入球口11aに入球した場合にあっても、該入球口11a内に配設された通過センサは該遊技球を検知せず、従って該検知に応じた所定の動作処理等がなされることもない。
【0048】
その後、停電等の障害が復旧するなどし、雀球遊技機1の電源が再起動されると(時点T4)、遊技球検知センサ81が通電状態となるが、位置Lには遊技球が存在しないことから、遊技球検知センサ81の検知状態は遊技球が無状態のOFFとなる。このとき、記憶手段104の記憶内容は、遊技球が有状態の1となっていることから、該記憶手段104の記憶内容と上記遊技球検知センサ81の検知状態とが一致しないため、遊技球配備制御手段103は、再起動前に位置Lに配備されていた遊技球が雀球遊技機1の電源が断状態の間に打ち出されてしまったと判定する。そして、このことに基づき、遊技球配備制御手段103は、計時手段105に所定時間(例えば10秒間)の計時を開始させ、更に、該所定時間の経過が計時されたことを契機として、球送り装置77により位置Lに遊技球を配備するよう制御する。これにより、位置Lに配備された遊技球が雀球遊技機1の電源が断状態のときに打ち出された場合にあっても、雀球遊技機1が再起動された際に位置Lに遊技球を配備することができるようになるので、遊技が進行不能となることを防止することができる。
【0049】
以上説明したように、雀球遊技機1は、遊技球を位置Lに配備する球送り装置77と、位置Lにおける遊技球の有無の状態を検知する遊技球検知センサ81と、遊技球検知センサ81による検知結果を記憶する記憶手段104と、を備え、遊技中に雀球遊技機1の電源が再起動された際、記憶手段104に遊技球の有状態が記憶されていて且つ遊技球検知センサ81が遊技球の無状態を検知した場合には、球送り装置77により位置Lに遊技球を配備させてなる。これにより、雀球遊技機1の電源が断状態にある間に、位置Lに配備された遊技球を遊技盤面部2aに打ち出した場合にあっても、該遊技機1の電源が再起動された際に新たな遊技球を位置Lに配備させることができるようになる。従って、雀球遊技機1の電源が再起動された際に、遊技球を打ち出し得る遊技状態となるにも拘らず位置Lに遊技球が配備されていないといった、遊技が進行不能となるような状況が発生することを防ぐことができ、手動及び単発で遊技球を打ち出すような雀球遊技機における操作性や遊技性等の向上を図ることができるものとなる。
【0050】
また、計時手段105が、記憶手段104に遊技球の有状態が記憶されていて且つ検知手段が遊技球の無状態を検知したことに応じて計時を開始し、球送り装置77が、計時手段105が所定時間(例えば10秒間)の経過を計時したことを契機として位置Lに遊技球を配備してなるので、雀球遊技機1の電源が断状態の際に誤って遊技球が打ち出された場合であっても、該遊技機1の再起動後に遊技球を位置Lに好適なタイミングで配備することができる。また、雀球遊技機1の電源再投入後、所定時間の経過が計時された後に遊技球を配備するので、該電源再投入時に生じがちなノイズ等の影響により、位置Lにおける遊技球の有無が誤認識されて該位置Lに複数の遊技球が配備されることを防ぐことができる。更に、雀球遊技機1が再起動された際の、該遊技機1に搭載された各種の装置やソフトウエアプログラム等の起動時設定処理に費やされる時間を確保することができるので、再起動後の遊技へと円滑に導入されるものとなる。
【0051】
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の雀球遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した雀球遊技機も、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態における雀球遊技機を示す斜視図である。
【図2】図1における遊技盤面部を抜粋して示す斜視図である。
【図3】本雀球遊技機の前枠全体を開放して裏枠の内部構造を示す正面図である。
【図4】循環ユニット、発射装置及び打ち出し部の全体的な位置関係を示す斜視図である。
【図5】発射装置の要部を示す正面図である。
【図6】球送り装置を図5の矢印C方向に見た状態で示すものであり、同図(a)は球送り前の状態を示す側面断面図、同図(b)は球送り後の状態を示す側面断面図である。
【図7】操作パネルの構成を示す正面図である。
【図8】図1における画像表示装置に表示する画面例を説明するための図である。
【図9】本雀球遊技機における遊技中の一形態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 雀球遊技機
1a 遊技機本体
2a 遊技領域(遊技盤面部)
4 発射レバー(遊技球発射レバー)
77 遊技球配備手段(球送り装置)
81 検知手段(遊技球検知センサ)
104 記憶手段
105 計時手段
Ba 遊技球
L 打ち出し位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を遊技機本体に備えた発射レバーの操作によって遊技領域に打ち出して遊技してなる雀球遊技機において、
前記発射レバーにて操作される遊技球を打ち出し位置に配備する遊技球配備手段と、
前記打ち出し位置における遊技球の有無の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果を記憶する記憶手段と、を備え、
遊技中に前記遊技機本体の電源が再起動された際、前記記憶手段に遊技球の有状態が記憶されていて且つ前記検知手段が遊技球の無状態を検知した場合には、前記遊技球配備手段により前記打ち出し位置に遊技球を配備させてなる、
ことを特徴とする雀球遊技機。
【請求項2】
所定時間の経過を計時する計時手段を備え、
前記計時手段は、前記記憶手段に遊技球の有状態が記憶されていて且つ前記検知手段が遊技球の無状態を検知したことに応じて計時を開始し、
前記遊技球配備手段は、前記計時手段が前記所定時間の経過を計時したことを契機として前記打ち出し位置に遊技球を配備してなる、
請求項1記載の雀球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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