説明

集じんカバー

【課題】 本発明の目的は、あらゆる条件下において良好な集じん性能と優れた実用性をもつ集じんカバー付グラインダーを、シンプルな構成で安価に提供することである。
【解決手段】 複数の引張ばね7を介してグラインダー本体1に連結された、集じん機用ダクト10付カバー8の一部を、マグネット14による吸着力を利用した着脱自在なサブカバー16とし、サブカバー16を取り外した際には、グラインダー本体1に装着されたカップ23の一部が外部に露出可能な構成とする。更に取り外したサブカバー16は、カバー8上に設けられた別の取付座34へも装着が可能な構成とする。カバー8およびサブカバー16の下端面には、各々取り外し可能なブラシユニット17を装着した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に電動グラインダーを用いて研削作業を行なう際に発生する粉塵の飛散防止・捕集のために用いられる集じんカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動グラインダーを用いて研削作業を行なう際、粉塵の発生は避けられないものであるが、この粉塵の飛散防止・捕集を行なうべく、これまでに様々な方法が考案されている。
【0003】
例えば実開平5−70864号公報、特開平8−25220号公報、特開平10−315134号公報等では、電動グラインダーに研削ディスクの一部を覆う集じんカバーを装着する実施例を考案している。
これらの公報で考案された集じんカバー付グラインダーでは、研削により発生した粉塵をカバー内部に取り込み、カバーの一部に設けられたダクト部に連結された集じん機の吸引力によりこれを捕集することが可能である。
更にこれらの集じんカバー付グラインダーでは、研削ディスク側面の一部が露出されたカバー開口部を壁側にあてがえば、研削ディスクが壁際まで届くことになるため、これを利用して、全周が覆われたカバーを用いた場合では成しえない、壁際までの研削作業も可能である。
【0004】
しかしながらこれらの集じんカバー付グラインダーでは、カバーの一部が開放されていることから、どうしても粉塵が外部に漏れやすくなり、集じんカバーとしての役割を果たすのには不十分なものであると言わざるをえない。
【0005】
そこで、例えば特許2525128号公報、特開2005−313288号公報等で考案されている集じんカバー付グラインダーでは、必要に応じて研削ディスク側面の一部を露出できるように、集じんカバーに開閉式の窓部を設けており、壁際研削以外の作業時に開口部を閉じることにより、より効率の良い集じんが可能となっている。
【0006】
しかし上記した集じんカバー付グラインダーにおいては、開口部を壁に当てつけ壁際の研削作業を行なおうとした場合、開口部に壁が完全に覆いきれないスキマ部が残るため、集じん効率が完全なものとはなりえない。
【0007】
特開2005−288566号公報で考案されている集じんカバー付グラインダーでは、カバー開口部が壁に対して均一な面を構成しており、壁に当てつけた場合には開口部をほとんど塞ぐことになるため、より集じん効率の良い壁際研削作業が期待できるが、カバーを開閉するための構成が複雑になり、コストや強度の面で問題点が残る。
特開2002−301661号公報で考案されている集じんカバー付グラインダーでは、カバーの一部をはめ込み着脱式とすることで上述した問題点を解決しているが、現実には研削作業により生じた粉麈がはめ込み部に進入すると、はめあいが渋くなり着脱作業が著しく困難になるため、完全な対処法とは言い難い。また外した側のカバーを紛失しやすいという欠点もある。
【0008】
【特許文献1】 実開平5−70864号公報
【特許文献2】 特開平8−25220号公報
【特許文献3】 特開平10−315134号公報
【特許文献4】 特許2525128号公報
【特許文献5】 特開2005−313288号公報
【特許文献6】 特開2005−288566号公報
【特許文献7】 特開2002−301661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電動グラインダーを用いて研削作業を行なう際に発生する粉塵の拡散防止策としては、研削ディスクへ覆いを付ける方法が有効であるが、全周を覆ってしまうと壁際までの研削作業が不可能となる。
上述した集じんカバー付グラインダーは上記問題点を解決すべく考案されたものであるが、そのいずれもが、ある条件下で集じん効率が劣るものであったり、構成が複雑すぎたり、実用性が低いものであったりした。
【0010】
本発明の目的は、あらゆる条件下において良好な集じん性能と優れた実用性をもつ集じんカバー付グラインダーを、シンプルな構成で安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、集じんカバーの一部を磁石による吸着力を利用した着脱自在な別体カバーにより開放可能とし、且つ別体カバーを集じんカバーの別箇所へも、やはり磁石による吸着力を利用して装着可能とすることにより達成される。
【発明の効果】
【0012】
集じんカバーの一部を磁石による吸着力を利用した着脱自在な別体カバーにより開放可能としたことにより、通常の研削時はもとより、壁際まで研削を行ないたい場合にも、工具等を用いずに別体カバーを取り外し、研削ディスクの一部を露出させることで容易に作業を行なうことが可能な集じんカバー付グラインダーの提供が可能となる。
また取り外した別体カバーも磁石による吸着力を利用して容易に集じんカバー上に装着出来るので、紛失等の恐れも少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明集じんカバー付グラインダーの実施例を、図1〜13を用いて説明する。
本発明集じんカバー付グラインダーは図1に示す通り、グラインダー本体1のギヤケース2にアダプター3が装着されている。
本実施例中のグラインダーではギヤケース2が図2に示すように抜け止めを目的としたテーパ形状4となっており、アダプター3はこれに追従し密着する形状を有しているが、アダプター3はある程度の弾性を有する材料からなり、且つ一箇所が開放された略C字形状を有しているため、グラインダーへの取り付けの際にはアダプター3を多少開いてやれば無理なく装着が可能である。アダプター3の開放部にはボルト5とナット6が仮組みされており、上述した方法でギヤケース2へ装着した後、これらを締結すれば、アダプター3をグラインダー本体1へ固着させることが可能となる仕組みである。 またボルト5とナット6が仮組みされていることにより、アダプター3の開き過ぎによる塑性変形・破損も防止することが出来る。 アダプター3には4箇所に引張ばね7が取り付けられており、各々の引張ばね7はカバー8上の取付孔9へと連結されている。
カバー8の一部には、集じん機と接続するためのダクト10が設けてあり、また別の一部は平面状の切り口で開放されており、開放面11には鋼材鋳込式の着磁用スリーブ12と、位置決め用の差込穴13が各々複数箇所設けてある。
【0014】
一方で図3に示すように、この開放面11に合った形状を有し、上記スリーブ12に対応した位置に配置されたマグネット14と、上記差込穴13に対応した位置に配置されたピン15とを有するサブカバー16が、マグネット14の吸着力を利用して、カバー8に取り付け可能となっている。
【0015】
カバー8とサブカバー16の下端面には、図4に示すようなブラシユニット17が装着されている。ブラシユニット17にはフック18が複数箇所設けられており、カバー8側には各々の位置に対応して、取付孔19が配置されている。ゆえにブラシユニット17は、ねじの締結作業等なくカバー8に装着・取り外しを行なうことが可能である。
【0016】
グラインダー本体1から突出したスピンドル20には、図2に示すように、研削刃具の土台となるフランジA21、位置調整用のスペーサ22、研削を行なうカップ23、カップを固定するフランジB24が取り付けられ、フランジB24をスピンドル20のおねじ部25に締結させることにより、カップ23をグラインダー本体1に装着することが出来る。このときカップ23の下端面26はスペーサ22により、ブラシ下端面27よりも若干高い位置にくるよう調整されている。
【0017】
作業者はグラインダー本体1の電源を入れカップ23を駆動させた状態で、まず初めにブラシ部30を被研削材に接触させ、その後徐々にグラインダー本体1を下方に押し付けていけば、最終的にはカップ下端面26が被研削材に接触し、研削作業を開始することが出来る。
被研削材とカバー8との間には全周に渡りブラシがめぐらされているため、研削により発生した粉塵はカバー下端部からはほとんど漏れることなく内部で吹き溜まることになる。従いこのときカバー8に設けられたダクト10に集じん機を接続して吸引を行なえば、ほぼ全ての粉塵を捕集することが可能となる。
【0018】
実際の研削作業では、面研削だけではなく、カップ23を傾けエッジ部を用いて局所的に研削したい場面が多々あるが、上記構成による集じんカバー付グラインダーでは図5に示すように、カバー8と被研削材とを離すことなくカバー8内部でカップ23を傾けることが出来るため、このような特殊用途時においてもその集じん効率が著しく悪化することはない。
【0019】
グラインダー本体1とカバー8とを連結するアダプター3には図6に示すように4箇所のストッパ28が設けてあり、カップ23を傾けていった際、いずれかのストッパがカバー内壁と係合・係止するため、カップ23がカバー8と内部で接触することはない。また、4箇所のストッパの内2箇所は図1に示すように、カバー8に設けられた切欠部29内に出張るように造形されており、カバー8に対するグラインダー本体1の回り止めの役割を果たしている。
【0020】
更に、被研削材の表面上に多少の段差等があってもブラシ30がこれらに柔軟に対応するため、作業中の引掛かりや粉麈漏れを最小限に抑えることが可能である。また長年の使用でブラシ30が痛んだ場合でも、ブラシユニット17のみを取り外し交換が可能なので、ランニングコストにも優れる。
【0021】
一方上記構成による集じんカバー付グラインダーではサブカバー16を取り外せばカップ側面が露出するため、これを利用して作業者は壁際まで研削作業を行なうことが出来る。
具体的にはサブカバー16を取り外して現れるカバー8側の開放面11を、図7に示すように壁にあてがいながら研削を行なえばよい。カバー8とサブカバー16との連結に用いられるピン15はサブカバー16側に設けてあり、カバー8側開放面は起伏がない平面形状であるため、ここを壁にあてがっている限りは粉塵が大量に外部に漏れ出すことはない。
【0022】
サブカバー16はマグネット14による吸着式であるため、特別な工具等を使用することなく容易に着脱を行なうことが可能である。またカバー8とサブカバー16との間には、上述した位置決め用の差込穴13とピン15が複数箇所に渡り設けてあるため、取り付け位置がずれたり、研削作業中容易に外れたりすることはない。
【0023】
一方で実際の被研削材には磁石に吸着する特性を持つ成分を含むものも多く、そのような場合にはマグネット14表面部に研削粉が付着し、その結果カバー8とサブカバー16との吸着力が弱まる恐れがある。
上記現象を防止する策として、図8に示す構成では、マグネット14をピン15aの先端に配している。
ピン15aが挿通される差込穴13aには、図9に示すように穴の底面に着磁用スリーブ12が埋め込まれており、マグネット14は差込穴13aの中で吸着することとなる。
すなわち本構成では差込穴13aがマグネット14に対する防じん効果の役割をなすため、容易にカバー8とサブカバー16との吸着力が弱まることはない。
万一マグネット14に研削粉が付着した場合でも、マグネット14はピン15aの先端に配されているため、研削粉を拭き取るのは容易である。
また通常形状のピン15が挿通される差込穴13を貫通穴にしておけば、ここに研削粉が溜まってカバー8とサブカバー16との吸着の弊害となる事態を防止することができる。
【0024】
更に上記構成による集じんカバー付グラインダーでは、図1に示すように、カバー8天面上にも同様に着磁用スリーブ12とピン差込穴13を有する取付座34が設けられているため、作業者は取り外したサブカバー16をマグネット14の吸着力を利用して図10のように装着することが出来る。従って取り外したサブカバー16を紛失する可能性を低減させることも出来る。
【0025】
一方で、サブカバー16を取り外した状態で研削を行なう場合、本構造ではどうしても壁からカバーを離した瞬間に内部の粉塵が流出しやすくなる。
しかし図11に示すように、カップ側面の一部を露出させた状態を維持させつつ、可能な限り他開放箇所を遮断するカバープレート31をサブカバー16の代わりに装着すれば、上述した壁際研削の機能を損なうことなく、粉塵漏れも最小限に抑えることが出来る。
【0026】
無論カバープレート31にもサブカバー16と同様のマグネット14とピン15が設けられており、その着脱性もサブカバー16同様に容易なものである。また下端面には、やはりサブカバー16と同様にブラシ部30が設けてあり、円滑な研削作業性を実現するものである。
更に、サブカバー16とカバープレート31のいずれかを使用中の場合、もう一方を図12のようにカバー8の取付座34に装着しておけば、必要に応じて両者を迅速に交換することも可能となる。
【0027】
また図13に示すように、サブカバー16上に内部を覗き見ることの出来る小窓32を設けておけば、ある程度集じん効率は低下するものの、内部のカップ先端33を確認することが出来るので、より確実な作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明集じんカバー付グラインダーの一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の一部断面図。
【図3】図1の別角度斜視図。
【図4】図1の展開斜視図。
【図5】図1に示す集じんカバー付グラインダーの一使用状況を示す一部断面図。
【図6】図1に示す集じんカバー付グラインダーの一構成部品の斜視図。
【図7】図1に示す集じんカバー付グラインダーの一使用状況を示す斜視図。
【図8】図1に示す集じんカバー付グラインダーの別実施例を示す斜視図。
【図9】図1に示す集じんカバー付グラインダーの別実施例を示す斜視図。
【図10】図1に示す集じんカバー付グラインダーの別形態例を示す斜視図。
【図11】図1に示す集じんカバー付グラインダーの別実施例を示す斜視図。
【図12】図11の別形態例を示す斜視図。
【図13】図1に示す集じんカバー付グラインダーの別実施例を示す上面図。
【符号の説明】
【0029】
1はグラインダー本体、2はギヤケース、3はアダプター、7は引張ばね、8はカバー、10は集じん機連結用ダクト、12は着磁用スリーブ、14はマグネット、16はサブカバー、17はブラシユニット、23はカップ、28はストッパ、31はカバープレート、32は小窓、34は取付座 である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に電動機により回転駆動をする研削刃具を着脱可能に取り付けられたグラインダー本体と、このグラインダー本体に対し、前記研削刃具を覆うように造形され、その一部に集じん機との連結用ダクト部を備え、研削刃具と被研削材との接触により発生する粉塵の拡散防止及び捕集を行なう集じんカバーが取り付けられた集じんカバー付グラインダーにおいて、前記研削刃具側面の一部を外部に露出させるべく、前記集じんカバーの一部を磁石による吸着力を利用して着脱自在な別体カバーとしたことを特徴とする集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項2】
上記別体カバーを、やはり磁石による吸着力を利用して上記集じんカバー上の別箇所への装着を可能としたことを特徴とする請求項1記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項3】
上記集じんカバーおよび別体カバーとの連結面は、略平面状であることを特徴とする請求項1、2記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項4】
上記集じんカバーと、別体カバーとの間に、位置決めピンおよび差込穴部を設けたことを特徴とする請求項1、2記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項5】
上記位置決めピンが別体カバー側、差込穴部が本体カバー側に設けられたことを特徴とする請求項1、2および請求項4記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項6】
上記磁石を、上記位置決めピンの先端に配設し、該ピン部を受け入れる差込穴部の底面には前記磁石を吸着させるための鋼材部品を配設したことを特徴とする請求項1、2および請求項4、5記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項7】
上記差込穴は貫通穴であることを特徴とする請求項1、2および請求項4、5記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項8】
上記集じんカバーとグラインダー本体との連結は、弾性体を介してなることを特徴とする請求項1記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項9】
上記集じんカバーとグラインダー本体がアダプターを介して連結されており、該アダプターの一部形状が集じんカバーと係合して、グラインダー本体の可動範囲を制限する事を特徴とする請求項1、8記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項10】
上記集じんカバー、別体カバーの下端面にはブラシ材が設けられていることを特徴とする請求項1、2記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項11】
上記ブラシ材は着脱可能であることを特徴とする請求項1、2および請求項10記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項12】
上記別体カバーを取り外し、上記集じんカバーの一部を開放させ、上記研削ディスク側面の一部を露出させた状態を維持させつつ他開放箇所を遮断するプレートカバーを、やはり磁石による吸着力を利用して、上記カバーの開放部および別箇所への装着を可能としたことを特徴とする請求項1、2記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。
【請求項13】
上記別体カバー上に、内部を覗くことができる小窓部を設けたことを特徴とする請求項1、2記載の集じんカバー付グラインダーまたはその集じんカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−49469(P2008−49469A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256464(P2006−256464)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(594069742)株式会社斎藤商会 (9)
【出願人】(390010685)三京ダイヤモンド工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】