説明

集光型太陽電池モジュール

【課題】 導光技術を利用した集光型太陽電池モジュールにおいて、装置の大型化を招くことなく、導光中の光の損失を低減することができる集光型太陽電池モジュールを提供する。また、太陽追尾システムへの要求性能を軽減し、又は、太陽追尾システムを設けない場合にも一定の集光機能を維持することができる集光型太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】 集光型太陽電池モジュール1は、太陽光を集める複数の集光手段2と、複数の分枝路3を有する枝状に形成され、前記集光手段2毎にそれぞれ設けられる複数の入射端面3a、及び当該入射端面3aに入射した太陽光が合流して導かれる少なくとも1つの射出端面7を有する平面導波路4と、前記射出端面7から射出する光を受光して、電力に変換する太陽電池素子8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定範囲の太陽光を集光して太陽電池素子に導くことにより、効率的に発電する集光型太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
1970年代のオイルショックの時代から太陽光発電の重要性はよく認知されている。このような太陽光発電に用いる太陽電池モジュールの太陽電池素子としては、単結晶や多結晶のバルク半導体を使用するもの、アモルファスシリコン、CIGS(Copper
Indium Gallium DiSelenide)、等の薄膜半導体を使用するものが実用化されているが、素子の製造コストが高いことが普及の足かせになってる。また、コスト面で有利な有機太陽電池が盛んに研究されているが、性能面に課題があって実用化には至っていない。
【0003】
そこで、レンズなどの光学部品を用いて太陽光を小面積の太陽電池に集めることにより太陽電池素子の数量を減らすことができる集光型太陽電池モジュール(CPVシステム:concentrator photovoltaic system)が、高性能でコスト削減可能な太陽電池モジュールとして注目されている。しかし、集光型太陽電池モジュールは、小面積の太陽電池素子の位置に太陽光を集めるので、高い精度で太陽を追尾する必要がある。したがって、集光型太陽電池モジュールは、多くの場合はコンピュータ制御の太陽追尾システムを付ける必要があり、この太陽追尾システムが開発コスト、製造コスト、及び設置コストを増加させる要因となる。
【0004】
そこで、さらに太陽追尾システムへの付加を減らして、コストを削減させるために、特に導光技術を用いた集光型太陽電池モジュールが注目されている。このような導光技術を用いた集光型太陽電池モジュール100の第1の例としては、例えば、図8に示すように、太陽光Lを集光するレンズエレメント101が多数並列的に配列されたレンズアレイ102が設けられ、このレンズアレイ102の各レンズエレメント101の焦点位置に光ファイバ状の導光部材103の端部を配置し、レンズエレメント101によって集光された太陽光Lが導光部材103を介して太陽電池素子104に導かれる集光型太陽電池モジュール100が挙げられる(特許文献1)。この集光型太陽電池モジュール100によると、レンズアレイ102に照射する太陽光Lが各レンズエレメント101により導光部材103端部にそれぞれ集光され、この導光部材103により太陽電池素子104に導かれるので、集光倍率を増加させることができ、小さな太陽電池素子104で効率よく発電できる。しかも、レンズエレメント101が多数並列的に配列されたレンズアレイ102を用いて集光することで、1つのレンズで広い面積から太陽光Lを集光する場合に比べて重量を減らすことができるので、太陽追尾システムへの負荷を低減させることができる。
【0005】
また、別の導光技術を用いた集光型太陽電池モジュール200の第2の例として、複数のレンズエレメント201を多数並列的に並べたレンズアレイ202の下方に導光板203を用い、レンズアレイ202のレンズエレメント201の焦点位置にプリズム状の反射部材204を配置して構成された集光型太陽電池モジュール200が開示されている(非特許文献1)。この集光型太陽電池モジュール200によると、レンズエレメント201の焦点に集められた太陽光Lは、反射部材204で反射して、導光板203を所定方向に伝播し、全反射を繰り返して、導光板203の端部に設置されている太陽電池素子205に入射する。したがって、レンズアレイ202に照射した太陽光Lを高い集光倍率で太陽電池素子205に導くことができるので、効率よく発電することができる、特に、導光板203は、数ミリメートル程度のきわめて薄くすることができるので、集光型太陽電池モジュール200としては、極めて薄く製造することができ、太陽追尾システムへの重量負荷を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−166704
【非特許文献1】Jason H.Karp,Eric J.Tremblay,and Joseph E.Ford,“Planar micro-opticsolar concentrator,”Opt.Express Vol.18,pp.1122-1133,2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、第1の例の集光型太陽電池モジュール100は、光ファイバ状の導光部材103が所定の曲率を超えて曲がった場合に、曲がった部分から内部を伝播している光が外部に漏れるマイクロベンディングロス(micro-bending loss)が発生する。したがって、導光部材103の曲率を所定範囲に抑える必要があるため、この集光型太陽電池モジュール100の厚さを薄くするには限界がある。
【0008】
また、第2の例の集光型太陽電池モジュール200は、レンズアレイ202のレンズエレメント201毎に反射部材204が配置されるので、レンズエレメント201により集光され、反射部材204で反射されて導光板203を伝播する光の一部L´が、別のレンズエレメント201の焦点位置に配置された反射部材204に入射して、導光板203の外部に漏れることになる。漏れた光は発電に寄与しない損失となるので、この損失を低減するために反射部材204は、導光板203の一部にしか設けることができない。したがって、この集光型太陽電池モジュール200には高い精度の太陽追尾システムが必要となる。また、曇りの日などのように太陽光Lが拡散される場合には、反射部材204に集光する光が減少するので、発電効率が悪くなる問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、導光技術を利用した集光型太陽電池モジュールにおいて、装置の大型化を招くことなく、導光中の光の損失を低減することができる集光型太陽電池モジュールを提供することを目的とする。また、太陽追尾システムへの要求性能を軽減し、又は、太陽追尾システムを設けない場合にも一定の集光機能を維持することができる集光型太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の集光型太陽電池モジュールは、太陽光を集める複数の集光手段と、複数の分枝路が形成され、前記集光手段毎にそれぞれ設けられる複数の入射端面、及び当該入射端面に入射した光が合流して導かれる少なくとも1つの射出端面を有する平面導波路と、前記射出端面から射出する光を受光して、電力に変換する太陽電池素子と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記入射端面は、少なくとも当該入射端面に上方から入射した光を略水平方向に変換することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記平面導波路は、その分岐点に、光の進行方向を当該平面導波路の合流方向に変換する分岐点反射手段を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記射出端面の面積は複数の前記入射端面の総面積よりも小さいことを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記集光手段と、前記平面導波路の前記入射端面との間に、第2の集光手段を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記太陽電池素子は、光電変換特性の異なる複数種類の素子を備え、前記射出端面と前記太陽電池素子との間に分光手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の集光型太陽電池モジュールによると、複数の集光手段でそれぞれ集光した太陽光を、枝状に分枝した平面導波路により1つの太陽電池素子に集めることができるので、光の損失を回避して、理論上は100パーセントの光利用効率を実現できる。また、複数の集光手段を用いることで集光手段から平面導波路までの距離を短くすることができ、また、平面導波路自体は極めて薄く製造することができるので、集光型太陽電池モジュール自体の厚さを薄く且つ軽くすることができ、太陽追尾システムを設けるような場合であっても、その重量負荷を軽減することができる。
【0017】
請求項2に記載の集光型太陽電池モジュールによると、入射端面は上方から入射した光を略水平方向に変換するので、集光型太陽電池モジュールをさらに薄くすることができる。
【0018】
請求項3に記載の集光型太陽電池モジュールによると、平面導波路の分岐点に、光の進行方向を平面導波路の合流方向に変換する分岐点反射手段が形成されるので、平面導波路の形状をより単純でより小型なものとすることができる。
【0019】
請求項4に記載の集光型太陽電池モジュールによると、射出端面の面積は複数の入射端面の総面積よりも小さいので集光手段によって集光された光が、さらに、平面導波路によっても集光されるので、集光倍率を高めることができ、より高効率の集光型太陽電池モジュールとすることができる。
【0020】
請求項5に記載の集光型太陽電池モジュールによると、集光手段と、平面導波路の入射端面との間に、第2の集光手段を備えるので、集光型太陽電池モジュールに入射する太陽光が集光手段の受光面の垂直方向からずれているような場合でも、入射した太陽光を第2の集光手段により、平面導波路の入射端面に導くことができ、太陽追尾システムの精度要求を低減することができる。また、この第2の集光手段により平面導波路の入射端面に入射する光を増やすことができるので、集光倍率を向上させることができる。
【0021】
請求項6に記載の集光型太陽電池モジュールによると、射出端面と太陽電池素子との間に設けられた分光手段より太陽光を波長ごとに分離して、それぞれの光電変換特性に適合した太陽電池素子に照射されるので、発電効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態の集光型太陽電池モジュールの全体構成を説明する正面図。
【図2】(A)は、第1の実施形態の集光型太陽電池モジュールを垂直に切り取った端面図、(B)は、入射端面が上方から入射した光を略水平方向に変換することを説明する(A)の一部拡大図。
【図3】平面導波路の内部を伝播する光を説明する一部省略斜視図。
【図4】(A)は、第2の実施形態の集光型太陽電池モジュールの全体構成を説明する正面図、(B)は、分岐点における光の伝播について説明する(A)の一部省略拡大図。
【図5】(A)は、第3の実施形態の集光型太陽電池モジュールの全体構成を説明する正面図、(B)は、分枝路における光の伝播について説明する(A)の一部省略拡大図。
【図6】第4の実施形態の集光型太陽電池モジュールを説明する一部省略斜視図。
【図7】第5の実施形態の集光型太陽電池モジュールを説明する正面図。
【図8】従来の導光技術を用いた太陽電池モジュールを説明する斜視図。
【図9】従来の別の導光技術を用いた太陽電池モジュールを説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の集光型太陽電池モジュール1の第1の実施形態について、図1から図3を参照しつつ説明する。この実施形態に係る集光型太陽電池モジュール1は、図1に示すように、太陽光Lを集光する複数の集光手段2と、複数の分枝路3を有して太陽光Lを導く平面導波路4と、この平面導波路4を支持する支持基板5と、平面導波路4の幹路6側の端部に形成された射出端面7から射出する太陽光Lを受光して、電力に変換する太陽電池素子8と、を備えている。
【0024】
集光手段2は、図2の(A)に示すように、例えば上面が平坦で下面が突出しており、受光部の形状が正方形の平凸レンズである。なお、図1(A)においては、図面を判り易くするために集光手段2を破線で円形に示している。この実施形態においては、例えば縦横4列の16枚の集光手段2が透明樹脂に一体形成されてレンズアレイ9を形成している。このように上面が平坦な平凸レンズの集光手段2を列設したレンズアレイ9を用いることにより、レンズアレイ9の上面に汚れが付着・堆積しにくくなり、又、汚れを落とし易くなる。したがって、メンテナンスしやすく、集光手段2の上面の汚れにより集光効率が下がることを抑制できる。なお、集光手段2の材質は、これに限定されるものではなく、光を透過するガラス、ゴム、透過性結晶などの樹脂以外の材料により形成されていてもよい。また、集光手段2であるレンズの受光面の形状は円形に限定されず、例えば矩形や多角形の隙間なく配列できる形状を採用することができる。また、集光手段2は平凸レンズに限定されるものではなく、平行な光束を収束させることができれば良く、フレネルレンズ、両凸レンズ、プリズム、複合レンズ等の屈折を利用して集光を行うレンズ、及び凹面鏡等の反射を利用して集光を行う反射鏡等の光学的な種々の集光手段2を用いることができる。
【0025】
平面導波路4は、絶対屈折率が例えば約1.5のガラスにより形成されており、金型を用いた射出成形や半導体プロセスにより製造される。例えば半導体プロセスにより製造される場合は、数マイクロメートル程度の微細な加工が可能であり、集光型太陽電池モジュール1の小型化を図ることができる。平面導波路4を支持する支持基板5は少なくとも平面導波路4よりも低屈折率の透明材料により形成されている。なお、支持基板5は、平面導波路4を支持することができればどのような形状でもよい。
【0026】
平面導波路4は図1(A)に示すように、複数の分枝路3を有するとともに、これら分枝路3が合流して、太陽光Lを太陽電池素子8に導く幹路6が形成されている。具体的には、幹路6からそれぞれ直角に4本に分枝した中間路13が形成されており、この中間路13からさらに4本の分枝路3に分枝している。これら各分枝路3の先端は、各集光手段2の焦点の上にそれぞれ配置されており、集光手段2により集光した太陽光Lの集光スポットとなっており、集光手段2から入射した太陽光Lを略水平方向に変換する入射端面3aを有している。
【0027】
入射端面3aは、図2(A)及び(B)に示すように、分枝路3の上面と当該入射端面3aとが成す角が略45度に成るように入射端面3aを傾斜して形成されており、上方から集光手段2を通って集光した太陽光Lが、分枝路3の上面から平面導波路4内に入って、この平面導波路4の内側から分枝路3の入射端面3aに入射すると、太陽光Lは平面導波路4の界面でほぼ直角に全反射して、分枝路3内を伝播する。平面導波路4の絶対屈折率が約1.5のとき、平面導波路4から空気への臨界角は約42度となり、分枝路3の上面に対して直交する方向から入射する太陽光Lは、入射端面3aに対して45度の入射角で入射するので全反射する。このように分枝路3の入射端面3aに対する太陽光Lの入射角は、効率よく太陽光Lを伝播させるために臨界角以上であることが好ましく、集光手段2の最縁部に入射した太陽光Lであっても、この条件を満たすことができる焦点距離及び受光面積の集光手段2を選択する。なお、入射端面3aは、例えばアルミニウム蒸着などにより太陽光Lを反射可能に形成してもよい。
【0028】
また、平面導波路4は、図1及び図3に示すように、分枝路3が合流する分岐点11に、分枝路3内を伝播した太陽光Lの進行方向を合流方向に変換する分岐点反射手段12が設けられている。この分岐点反射手段12は、平面導波路4と空気との界面が分枝路3の長手方向に対して略45度となるように平面導波路4の分岐点11を切り欠いて形成されたものである。平面導波路4の分枝路3内を伝播した太陽光Lはこの分岐点反射手段12で全反射して直角に進路を変換される。そして、平面導波路4内を伝播する太陽光Lは幹路6に到達し、この幹路6の射出端面7に設置された太陽電池素子8に入射する。
【0029】
各部の寸法は、例えば集光手段2は一辺が3ミリメートルの正方形であって、集光スポットは一辺が80マイクロメートルとなるように、平面導波路4と所定距離を離して上方に設置されている。平面導波路4は、例えば高さが100マイクロメートルで、分枝路3の幅が100マイクロメートルに形成されている。そして2本の分枝路3が合流した位置での中間路13の幅は200マイクロメートルに形成されており、16本の全ての分枝路3が合流した幹路6の幅は1.6ミリメートルとなっている。したがって、16枚の集光手段2が列設されて形成されたレンズアレイ9が太陽光Lを受光する面積は、144mmであり、幹路6の端部に形成された射出端面7は、幅1.6ミリメートルで高さ100マイクロメートルなので、0.16ミリメートルとなり、集光倍率は900倍となる。
【0030】
以上のように、本実施形態の集光型太陽電池モジュール1によると、集光手段2により集光された太陽光Lが入射端面3aにより全反射して平面導波路4の分枝路3に伝播して、分枝路3が合流する分岐点11で分岐点反射手段12により全反射して、幹路6まで伝わり、射出端面7から太陽電池素子8に入射される。平面導波路4の界面では太陽光Lの入射角度が法線方向からずれていても、全反射の条件が成立する限り太陽光Lが外部に漏れることがなく、極めて効率的に太陽電池素子8に太陽光Lを集めることができる。
【0031】
〔第2の実施形態〕
次に本発明の第2の実施形態について、図4を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態においては、図6(A)に示すように、集光手段2を六方充填配置してレンズアレイ9が形成されている。このように配置することで円形の配置としては最も高密度に配置することができるので効率よく集光することができる。
【0032】
また本実施形態における平面導波路4は、分枝路3の分岐点11における合流方向と逆の面側を切り欠いて分岐点反射手段12が形成されており、この分岐点反射手段12が形成された界面に入射する太陽光Lが、全反射して直角に進路が変換される。そして分岐点反射手段12と対向する面には合流方向に向かって平面導波路4の幅が狭まるように傾斜面14が形成されている。このような傾斜面14が形成されることにより、分岐点反射手段12で全反射した太陽光Lがさらに傾斜面14で全反射して、幹路6側に合流することとなるので、太陽電池素子8側の幹路6幅を太くする必要がない。したがって、射出端面7の面積を小さく抑えることができるので集光倍率をさらに増加させることができる。
【0033】
〔第3の実施形態〕
次に本発明の第3の実施形態について、図5を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成は同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態における平面導波路4は、図5(A)に示すように、分枝路3が所定の曲率で湾曲して形成されている。このように形成した場合、分岐点11に切り欠きを設けて分岐点反射手段12を形成することなしに、図5(B)に示すように、平面導波路4内を伝播する太陽光Lの方向を合流方向に変換することができ、また、太陽電池素子8側の平面導波路4の幅を太くする必要がないため集光倍率に優れる。なお、分枝路3の曲率はマイクロベンディングロスが発生しない範囲とすることで、導光中の太陽光Lの損失を抑えることができる。
【0034】
〔第4の実施形態〕
次に本発明の第4の実施形態について、図6を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態から第3の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態の集光型太陽電池モジュール1は、さらに、集光手段2と平面導波路4の入射端面3aとの間に、第2の集光手段15を備える。なお、図6では図示の都合上、集光手段2の記載は省略しているが、第2の集光手段15の上に集光手段2が形成されている。この第2の集光手段15は、上面が平坦で下面が大きく突出する放物面に形成されたの平凸レンズであって、上面から入射した太陽光Lを下面の界面で全反射させて、平面導波路4の入射端面3aに導くものである。このように構成すると、集光手段2の上面に対して垂直方向からずれて入射した太陽光Lであっても第2の集光手段15に入射すれば、平面導波路4の入射端面3aに導かれるので、太陽光Lの許容角度が広くなり、太陽追尾システムの精度への要求を軽減できる。なお、このような第2の集光手段15は上述の第1の実施形態から第3の実施形態のいずれにも付加することができる。
【0035】
〔第5の実施形態〕
次に本発明の第5の実施形態について、図7を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態から第4の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態の集光型太陽電池モジュール1は、2つ以上の光電変換特性の異なる太陽電池素子8a,8bを備えており、これらの太陽電池素子8a,8bと平面導波路4の射出端面7との間に凸レンズ16及び透過型回折素子17からなる分光手段18を備えている。凸レンズ16は平面導波路4の射出端面7から射出され発散する光束を平行な光束に変換するものである。そして、平行な光束は透過型回折素子17を通過して分光され、それぞれの波長に合致した変換特性の太陽電池素子8a,8bに入射する。なお、分光手段18は回折素子17に限定されるものではなく、プリズムなどを組み合わせてもよい。光の波長毎に適した変換特性の太陽電池素子8を用いることで、この集光型太陽電池モジュール1の発電効率をより高いものにすることができる。
【0036】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る集光型太陽電池モジュール1は、建築物の屋根や屋上に設置する集光型太陽電池モジュール1として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 太陽電池モジュール
2 集光手段
3 分枝路
4 平面導波路
7 射出端面
8 太陽電池素子
11 分岐点
12 分岐点反射手段
15 第2の集光手段
18 分光手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を集める複数の集光手段と、
複数の分枝路が形成され、前記集光手段毎にそれぞれ設けられる複数の入射端面、及び当該入射端面に入射した光が合流して導かれる少なくとも1つの射出端面を有する平面導波路と、
前記射出端面から射出する光を電力に変換する太陽電池素子と、
を備えることを特徴とする集光型太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記入射端面は、少なくとも当該入射端面に上方から入射した光を略水平方向に変換することを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記平面導波路は、その分岐点に、光の進行方向を当該平面導波路の合流方向に変換する分岐点反射手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記射出端面の面積は複数の前記入射端面の総面積よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記集光手段と、前記平面導波路の前記入射端面との間に、第2の集光手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記太陽電池素子は、光電変換特性の異なる複数種類の素子を備え、
前記射出端面と前記太陽電池素子との間に分光手段を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62398(P2013−62398A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200310(P2011−200310)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】