説明

集光構造体及び光発電装置

【課題】入射した太陽光を効率良く集光することができ、窓に利用した場合でも視認性を確保することができる集光構造体を提供する。
【解決手段】集光構造体10は、透明な導光体11と、導光体11の一方の面側に設けられた第1の層12と、導光体11の他方の面側に設けられ、かつ導光体11側の面と反対側の面に凹凸構造14が形成された第2の層13とを備えている。第1の層12及び第2の層13はいずれも透明でかつ導光体11より光の屈折率が小さな材質で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光構造体及び光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に配慮したエネルギー源の一つとして太陽光が注目され、太陽光発電が実施されるとともに種々の装置が提案されている。従来の太陽光発電装置の多くは集光部と光−電気変換部とが一体化されている。太陽光発電装置として集光部と光−電気変換部とが一体化されていることに起因する問題点を改善するため、太陽光発電装置を集光装置と光−電気変換装置とに分割した太陽光発電装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、図5に示すように、中央のプラスチック層51を屈折率の異なるプラスチック層52,53で挟むことによって、光の閉じ込め効果を出すとともに、その外側に材料・構造の異なるプラスチック層54,55を配置することでプラスチック層51の中に太陽光を閉じ込める効率を高めた集光装置が開示されている。そして、集光装置の端部に光−電気変換装置を設置することで太陽光発電装置が構成される。
【0003】
プラスチック層54は、プラスチック製の集光装置の大気中にふれる部分を散乱が大きく入った光が伝達しやすい条件の成分が増加するようにしたものである。プラスチック層55は、集光装置の表裏を意識する必要がなく使用できるようにするために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−117446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、プラスチック層54,55の構造に関して明確な記載はない。また、特許文献1の集光装置は、集光効率を上げることを目的としており、「窓」を集光部に利用して太陽光発電を行う場合には、非常に暗い窓となり、窓から外部を見る際の視認性が悪くなり、意匠性も悪くなる。
【0006】
また、太陽光発電では、光−電気変換部(太陽電池)の構造により光−電気変換に適した光の波長があり、集光装置で集光した光の全てが太陽光発電に寄与するのではない。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、入射した太陽光を効率良く集光することができ、窓に利用した場合でも視認性を確保することができる集光構造体及びその集光構造体を備えた光発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明の集光構造体は、透明な導光体と、前記導光体の一方の面側に設けられ、透明でかつ前記導光体より光の屈折率が小さな材質で形成された第1の層と、前記導光体の他方の面側に設けられ、透明でかつ前記導光体より光の屈折率が小さな材質で形成され、かつ前記導光体側の面と反対側の面に凹凸構造が形成された第2の層とを備えている。ここで、「透明」とは、少なくとも可視光を透過することを意味する。
【0008】
この発明の集光構造体は、光源(例えば太陽)からの光が第1の層から入射する状態で使用される。第1の層及び第2の層の屈折率は導光体の屈折率より小さいため、第1の層及び第2の層の屈折率が導光体の屈折率より大きい場合に比べて、第1の層から導光体に入射した光が導光体と第2の層との界面で第1の層へ向かうように反射した後、導光体と第1の層との界面で第2の層へ向かうように反射することを繰り返す割合が大きくなる。また、導光体と第2の層との界面で第1の層へ向かうように反射せずに第2の層に入射した光のうち一部の光は、凹凸構造で導光体側へ向かうように反射し、残りの光は第2の層から出射する。凹凸構造で導光体側へ向かうように反射した光は、導光体内を導光体と第1の層との界面及び導光体と第2の層との界面で反射を繰り返して導光体内を進む。なお、凹凸構造のサイズやピッチは、μmのオーダー(例えば、数十μm程度)であり、凹凸構造のサイズ・角度・繰り返しピッチを変えることで、凹凸構造が導光体側へ向けて反射する光の割合が調整される。したがって、入射した太陽光を効率良く集光することができ、窓に利用した場合でも視認性を確保することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記導光体と前記第2の層との間に、透明でかつ前記導光体より光の屈折率が小さな材質で形成された第3の層を有する。この発明では、第2の層の屈折率と第3の層の屈折率との組み合わせを調整することで、第3の層がない構成に比べて集光効率を向上させることが可能になる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において前記第1の層には前記導光体側の面と反対側の面に太陽光の反射防止機能を有する凹凸構造が形成されている。凹凸構造のサイズやピッチは、第2の層に形成された凹凸構造より小さく、nmのオーダー(例えば、数十〜数百nm程度)である。この発明では、光源(例えば太陽)からの光が第1の層から効率良く入射されるため、第1の層に太陽光の反射防止機能を有する凹凸構造のない場合と比べて集光効率が向上する。また、凹凸構造のサイズ・角度・繰り返しピッチを変えることで、凹凸構造を介して導光体へ入射する光の波長を調整することが可能となり、集光構造体を用いて光発電を行う光発電装置の光−電気変換部の光−電気変換に適した範囲の波長の光が入射するように調整することが可能になる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記導光体と前第1の層との間に、透明でかつ前記導光体より光の屈折率が小さな材質で形成された第4の層を有する。この発明では、第1の層の屈折率と第4の層の屈折率との組み合わせを調整することで、第4の層がない構成に比べて集光効率を向上させることが可能になる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、
前記集光構造体は、その厚さ方向に延びる面に一部を除いて反射部が設けられている。この発明の集光構造体では、導光体に閉じ込められた状態で導光体内を進んだ光は反射部が設けられていない端面から出射される。そして、光発電装置に適用する場合は、反射部が設けられていない端面から出射された光が光発電装置の光−電気変換部に入射される状態、例えば、反射部が設けられていない端面と対向する位置に光−電気変換部を配置した状態で使用される。
【0013】
請求項6に記載の発明の光発電装置は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明の集光構造体と、光−電気変換部とを備え、前記集光構造体で集光された光が前記光−電気変換部に入射する構成である。この発明では、光発電装置の集光構造体を窓に利用した場合でも視認性を確保した状態で入射した太陽光を効率良く集光することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入射した太陽光を効率良く集光することができ、窓に利用した場合でも視認性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態を示し、(a)は集光構造体の模式図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は作用を説明する模式図。
【図2】(a)は集光構造体を光発電装置に適用した場合の模式図、(b)は集光構造体の模式図。
【図3】第2の実施形態を示し、集光構造体の模式図。
【図4】(a),(b)はそれぞれ別の実施形態の集光構造体の模式図。
【図5】従来技術の集光装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した集光構造体及び光発電装置の一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
【0017】
図1に示すように、集光構造体10は、透明な導光体11と、導光体11の一方の面側に設けられた第1の層12と、導光体11の他方の面側に設けられた第2の層13とを備えている。第1の層12及び第2の層13は、透明でかつ導光体11より光の屈折率が小さな材質で形成されている。第2の層13は、導光体11側の面と反対側の面に凹凸構造14が形成されている。導光体11と第2の層13との間には、透明でかつ導光体11より光の屈折率が小さな材質で形成された第3の層15が設けられている。第1の層12と第3の層15は同じ屈折率の材質で形成されている。ここで、「透明」とは、少なくとも可視光を透過することを意味する。
【0018】
導光体11、第1の層12及び第2の層13の材料は、ガラスでも樹脂でもよく、厚さ、面積、取り扱い易さ等を配慮して適宜選択される。
導光体11と第1の層12、導光体11と第3の層15及び第3の層15と第2の層13とは直接接合される構造でも、図示しない接着剤を介して接合される構造のいずれであってもよい。
【0019】
凹凸構造14は、例えば、角錐状あるいは円錐状の凸部が多数形成されることで構成されている。凹凸構造14は、サイズやピッチがμmのオーダー(例えば、数十μm程度)で形成されている。凹凸構造14のサイズ・角度・繰り返しピッチを変えることで、凹凸構造14が導光体11側へ向けて反射する光の割合が調整される。集光構造体10を窓に利用する場合は、凹凸構造14のサイズ・角度・繰り返しピッチは、第2の層13から出射される光の量が視認性を確保することができる量となるように設定される。
【0020】
次に前記のように構成された集光構造体10の作用を説明する。
図2に示すように、集光構造体10は、光源(例えば太陽)からの光が第1の層12から入射する状態で使用される。光が、屈折率の小さな媒質から屈折率の大きな媒質へ入射するときは、入射角より屈折角が小さくなり、光が、屈折率の大きな媒質から屈折率の小さな媒質へ入射するときは、入射角より屈折角が大きくなる。そして、光が、屈折率の大きな媒質から屈折率の小さな媒質との界面に入射するときの入射角が臨界角より大きいと全反射が生じる。
【0021】
そのため、第1の層12から導光体11に入射した光が導光体11と第3の層15との界面に入射するときの入射角が臨界角以上となる場合は、その光は導光体11と第3の層15との界面で全反射する。その後、図1(c)にaで示すように、導光体11と第1の層12との界面での全反射と、導光体11と第3の層15との界面での全反射を繰り返すようにして導光体11内を進む。その結果、導光体11の屈折率が第1の層12及び第3の層15の屈折率より小さな場合に比べて、導光体11内に入射した光が効率良く導光体11内に閉じ込められる。
【0022】
また、第1の層12から導光体11に入射した光が導光体11と第3の層15との界面に入射するときの入射角が臨界角未満でかつ所定の角度以上の場合は、図1(c)にbで示すように、導光体11と第3の層15との界面で全反射せずに第3の層15を経て第2の層13に入射する。第2の層13に入射した光の一部が凹凸構造14において導光体11側へ反射され、第3の層15を透過して導光体11に入射し、残りの光は第2の層13から集光構造体10の外部に出射する。導光体11に入射した光は、導光体11と第1の層12との界面での全反射と、導光体11と第3の層15との界面での全反射を繰り返すようにして導光体11内を進む。
【0023】
また、図1(c)にcで示す第1の層12に対して垂直(入射角0度)に入射した光や、導光体11に入射した光が導光体11と第3の層15との界面に入射するときの入射角が所定角度未満の場合は、光は第3の層15及び第2の層13を透過して集光構造体10から出射する。
【0024】
なお、図1(c)では、a及びbで示す光線は入射角及び出射角の関係を無視して模式的に示しているため、入射角と出射角との大小関係が屈折率の大小関係と対応しない部分がある。
【0025】
集光構造体10は、例えば、図2(a)に示すように、光−電気変換部20と組み合わせて光発電装置100を構成する。光−電気変換部20は、直方体状に形成された集光構造体10の一つの端面と対向して配置されている。集光構造体10は、その厚さ方向に延びる面のうち、光−電気変換部20と対向する端面を除いた3か所の端面に反射部16が設けられている。即ち、集光構造体10は、その厚さ方向に延びる面に、一部を除いて反射部16が設けられている。反射部16には、例えば反射用鏡面が使用される。図2(b)に示すように、反射部16は導光体11の端面だけでなく、第1の層12、第2の層13及び第3の層15の端面も覆うように設けられている。
【0026】
前記のように構成された光発電装置100では、集光構造体10に入射した太陽光は、前述したように効率良く導光体11内に閉じ込められた状態で導光体11内をいずれかの端面に向かって進む。光−電気変換部20と対向する端面に達した光は、その端面から光−電気変換部20に向けて出射され、光−電気変換部20で発電に使用される。光−電気変換部20と対向しない端面に達した光は、反射部16で反射されて再び導光体11内を進み、反射部16で1回あるいは複数回反射した後、光−電気変換部20と対向する端面から光−電気変換部20に向けて出射される。反射部16が設けられていない場合は、光−電気変換部20と対向しない端面に達した光は導光体11から集光構造体10の外部に出射され、太陽光発電に寄与しない。しかし、反射部16が設けられていることにより、集光構造体10に入射した太陽光が有効に太陽光発電に寄与する。また、集光構造体10を窓に利用した場合、集光構造体10に入射した太陽光の一部は第2の層13から出射され、窓から外を見る際の視認性を確保することができる。集光構造体10がそれ自身で窓としての強度を確保できない場合は集光構造体10を窓に貼付して使用する。集光構造体10がそれ自身で窓としての強度を確保できる場合は、集光構造体10のみで窓を構成してもよいが、集光構造体10を窓に貼付して使用する方が、取り扱い易い。
【0027】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)集光構造体10は、透明な導光体11と、導光体11の一方の面側に設けられた第1の層12と、導光体11の他方の面側に設けられ、かつ導光体11側の面と反対側の面に凹凸構造14が形成された第2の層13とを備えており、第1の層12及び第2の層13はいずれも透明でかつ導光体11より光の屈折率が小さな材質で形成されている。したがって、入射した太陽光を効率良く集光することができ、窓に利用した場合でも視認性を確保することができる。
【0028】
(2)導光体11と第2の層13との間に、透明でかつ導光体11より光の屈折率が小さな材質で形成された第3の層15を有する。したがって、第2の層13の屈折率と第3の層15の屈折率との組み合わせを調整することで、第3の層15がない構成に比べて集光効率を向上させることが可能になる。
【0029】
(3)集光構造体10は、その厚さ方向に延びる面に一部を除いて反射部16が設けられている。したがって、第1の層12から集光構造体10に入射した光の出射部は反射部16が設けられていない導光体11の端面となり、反射部16を設けない場合に比べて出射部から出射される光の強度が強くなる。
【0030】
(4)光発電装置100は、集光構造体10と、光−電気変換部20とを備え、集光構造体10で集光された光が光−電気変換部20に入射する構成である。したがって、集光構造体10を窓に利用しても、入射した太陽光を効率良く集光することができ、視認性も確保することができる。
【0031】
(5)集光構造体10は、光発電装置100の光−電気変換部20への光出射部となる導光体11の端面以外の端面に反射部16が設けられているため、集光構造体10に入射した光が効率良く光−電気変換部20での発電に使用される。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、集光構造体10の第2の実施形態を図3にしたがって説明する。この実施形態では、導光体11より太陽光の入射側の構成が第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0033】
図3に示すように、導光体11と第1の層12との間に、透明でかつ導光体11より光の屈折率が小さな材質で形成された第4の層17が設けられている。第4の層17の材質には屈折率が第3の層15の材質の屈折率と同じ材質が使用されている。第1の層12には導光体11側の面と反対側の面に太陽光の反射防止機能を有する凹凸構造18が形成されている。
【0034】
凹凸構造18は、例えば、角錐状あるいは円錐状の凸部が多数形成されることで構成されている。凹凸構造18のサイズやピッチは、第2の層13に形成された凹凸構造14より小さく、nmのオーダー(例えば、数十〜数百nm程度)で形成されている。凹凸構造18のサイズ・角度・繰り返しピッチを変えることで、凹凸構造18を介して導光体11へ入射する光の波長を調整することが可能となり、凹凸構造18は予め設定された範囲の波長の光が第4の層17を介して導光体11へ入射するようにサイズ・角度・繰り返しピッチが設定されている。「予め設定された範囲の波長の光」とは、集光構造体10を用いて光発電を行う光発電装置100の光−電気変換部20の光−電気変換に適した範囲の波長の光を意味する。
【0035】
したがって、この第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(5)と同様な効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(6)第1の層12には導光体11側の面と反対側の面に太陽光の反射防止機能を有する凹凸構造18が形成されている。したがって、光源(例えば太陽)からの光が第1の層12から効率良く入射されるため、第1の層12に太陽光の反射防止機能を有する凹凸構造18のない場合と比べて集光効率が向上する。
【0036】
(7)凹凸構造18のサイズやピッチは、第2の層13に形成された凹凸構造14より小さく、nmのオーダー(例えば、数十〜数百nm程度)であり、凹凸構造18のサイズ・角度・繰り返しピッチを変えることで、凹凸構造18を介して導光体11へ入射する光の波長を調整することが可能となる。そのため、凹凸構造18のサイズ・角度・繰り返しピッチを、集光構造体10を用いて光発電を行う光発電装置100の光−電気変換部20の光−電気変換に適した範囲の波長の光が入射するように設定すれば、光−電気変換部20の光−電気変換に適した範囲の波長の光を効率良く集光することができる。
【0037】
(8)導光体11と第1の層12との間に、透明でかつ導光体11より光の屈折率が小さな材質で形成された第4の層を有する。したがって、第1の層12の屈折率と第4の層17の屈折率との組み合わせを調整することで、第4の層17がない構成に比べて集光効率を向上させることが可能になる。
【0038】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1の実施形態における集光構造体10から第3の層15を省略して、図4(a)に示すように、第2の層13が導光体11に接合された構造としてもよい。
【0039】
○ 第2の実施形態における集光構造体10から第3の層15及び第4の層17を省略して、図4(b)に示すように、第1の層12及び第2の層13が導光体11に接合された構造としてもよい。また、第2の実施形態における集光構造体10から第3の層15及び第4の層17のいずれか一方のみを省略した構造としてもよい。
【0040】
○ 第2の実施形態や図4(b)に示す別の実施形態の集光構造体10のように、第1の層12にサイズやピッチがnmのオーダーの凹凸構造18を設けた場合は、導光体11と第2の層13との間に乱反射層を設けたり、第2の層13の外側に乱反射層を設けたりすることが好ましい。
【0041】
○ 導光体11を挟んで配置される層の屈折率は、導光体11の屈折率より小さければよく、異なる屈折率にしてもよい。例えば、第1の実施形態において第1の層12及び第3の層15、第2の実施形態において第3の層15及び第4の層17あるいは図4(a),(b)の別の実施形態において第1の層12及び第2の層13の屈折率をそれぞれ異なる屈折率にしてもよい。
【0042】
○ 凹凸構造14及び凹凸構造18の凸部は、角錐状あるいは円錐状に限らず他の形状であってもよい。また、凸部はサイズや角度が同じものだけが設けられる構成に限らず、異なるサイズや角度の凸部が混在したり、異なる形状の凸部が混在したりしてもよい。
【0043】
○ 集光構造体10と光−電気変換部20と組み合わせて光発電装置100を構成するとき、光−電気変換部20は、直方体状に形成された集光構造体10の導光体11の一つの端面と対向する位置だけでなく、複数の端面あるいは全ての端面と対向する位置に配置してもよい。また、光−電気変換部20は、光の入射部の大きさが導光体11の一つの端面全体と対向する大きさに限らず、一つの端面より小さな大きさであってもよい。
【0044】
○ 集光構造体10から出射される光を、導光部材を介して光−電気変換部20の光の入射部に入射する構成としてもよい。光−電気変換部20の光の入射部の大きさと、集光構造体10の光出射部の大きさが異なる場合、特に集光構造体10の光出射部の大きさが大きな場合には、導光部材を介して光−電気変換部20の光の入射部に入射する構成が好ましい。また、集光構造体10から出射される光を、導光部材を介して光−電気変換部20の光の入射部に入射する構成では、集光構造体10及び光−電気変換部20を近接した位置に配置するスペースを確保しなくても、それぞれ別に配置スペースを確保すればよい。
【0045】
○ 集光構造体10を光発電装置100の集光部に用いる場合、窓に利用するのではなく集光部としてのみ利用するようにしてもよい。
○ 集光構造体10を光発電装置100の集光部としてのみ利用する場合、窓における視認性を確保する必要がないため、第2の層13に設けられた凹凸構造14は、第2の層13に入射した光ができるだけ導光体11側へ反射する構造にするのが好ましい。
【0046】
○ 光発電装置100の集光構造体10を利用する窓は建物の窓に限らず、車両や船などの乗り物の窓であってもよい。
○ 光発電装置100を自動車に適用する場合、集光構造体10を自動車の屋根(ルーフ)やボンネットに取り付けてもよい。この場合、屋根やボンネットは平面ではなく異なる曲率を有する曲面が組み合わされた形状に形成されているため、集光構造体10を樹脂製として屋根やボンネットの形状に合わせて形成するのが好ましい。
【0047】
○ 集光構造体10をシート状やフィルム状にしてもよい。シート状やフィルム状の場合、可撓性が大きいため、集光構造体10を取り付ける位置が多少湾曲していても支障なく取り付けることができる。
【0048】
○ 光発電装置100は光源を太陽光とする物に限らず、太陽光以外の光、例えば。蛍光灯等の照明器具の光を光源としてもよい。
○ 集光構造体10は光発電装置100の集光部以外に利用してもよい。例えば、太陽光を窓の在る室内に採り入れるのではなく、集光構造体10で集光した太陽光を光ファイバーなどのガイド部材を介して窓の無い室内に採り入れて照明用に利用してもよい。
【0049】
○ 反射部16の幅(集光構造体10からみて厚み)は、少なくとも導光体11の端面だけを覆うように設けられていてもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
【0050】
(1)請求項3に記載の発明において、前記凹凸構造はサイズやピッチが、前記第2の層に形成された凹凸構造より小さく、nmのオーダーであり、予め設定された範囲の波長の光を入射するように前記サイズやピッチが設定されている。
【符号の説明】
【0051】
10…集光構造体、11…導光体、12…第1の層、13…第2の層、14,18…凹凸構造、15…第3の層、16…反射部、17…第4の層、20…光−電気変換部、100…光発電装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な導光体と、
前記導光体の一方の面側に設けられ、透明でかつ前記導光体より光の屈折率が小さな材質で形成された第1の層と、
前記導光体の他方の面側に設けられ、透明でかつ前記導光体より光の屈折率が小さな材質で形成され、かつ前記導光体側の面と反対側の面に凹凸構造が形成された第2の層と
を備えている集光構造体。
【請求項2】
前記導光体と前記第2の層との間に、透明でかつ前記導光体より光の屈折率が小さな材質で形成された第3の層を有する請求項1に記載の集光構造体。
【請求項3】
前記第1の層には前記導光体側の面と反対側の面に太陽光の反射防止機能を有する凹凸構造が形成されている請求項1又は請求項2に記載の集光構造体。
【請求項4】
前記導光体と前記第1の層との間に、透明でかつ前記導光体より光の屈折率が小さな材質で形成された第4の層を有する請求項3に記載の集光構造体。
【請求項5】
前記集光構造体は、その厚さ方向に延びる面に一部を除いて反射部が設けられている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の集光構造体。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の集光構造体と、光−電気変換部とを備え、前記集光構造体で集光された光が前記光−電気変換部に入射する構成を特徴とする光発電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−99681(P2012−99681A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246967(P2010−246967)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】