説明

集光装置及び該集光装置を用いた光発電装置

【課題】集光過程でのエネルギー損失を抑制し、太陽光等の光エネルギーをより効率的に集光可能な集光装置を提供する。
【解決手段】本発明を例示する態様の集光装置1は、第1面11から入射した光を第2面12と第1面11との間で複数回反射させて集光するプリズム状の集光部10aを有する集光部材10と、反射面16が第2面12に対向して設けられた反射部材15とを備える。集光部10aは、第1面11に入射した光が、第2面12を透過し反射面16により反射されて第2面12から集光部に再入射し、この再入射した光が第1面11で全反射されるように構成される。集光部の頂角αは、再入射した光が第1面11で全反射される角度範囲における最小値近傍の角度であるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を集光する装置に関し、なお詳細には、受光した光が入射する第1面及び第1面に鋭角で交差する第2面を有し、入射した光を第2面と第1面との間で複数回反射させて集光するプリズム状の集光部を有する集光装置、及びこのような集光装置を用いた光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなプリズム状の集光部を有する集光装置は、例えば、太陽光を集光する集光装置として知られている。このような集光装置9の基本的な概念図を図11に示す。集光装置9は、太陽光が入射する第1面91と、第1面91と頂角αで交差し入射光を折り返す第2面92と、第1面91とほほ直角に交差する第3面93とからなり、断面視プリズム状ないし楔状に形成された集光部90aを有する集光部材90を備えて構成される。光発電装置は、集光された光を光電変換する光電変換素子(太陽電池)が第3面93に設けられて構成される。
【0003】
いま、集光部90aの水平方向の長さをL、鉛直方向の高さをHとし、紙面直交方向の幅を一定としたときに、この集光装置9の集光倍率は、一般的に(入射面積)/(出射面積)=L/Hで規定される。このように、集光装置の幾何学的な形状に基づいて規定される集光倍率を、本明細書においては「形状集光倍率」という。上記式から、形状集光倍率を高めるためには、頂角αを小さくすることが求められる。
【0004】
ところが、頂角αを小さくすると、これに伴って第1面91から入射した光の第2面92への入射角も小さくなり、太陽光の第1面91への入射角θを相当量大きくしないと入射光が第2面92を透過してしまう。一方、入射角θを大きくすると第1面91に入射する太陽光の単位面積当たりの光強度(エネルギー密度)が低くなるため、太陽光の光エネルギーを効率的に集光することが難しい。
【0005】
そこで、第2面92に金属膜を蒸着し、あるいはミラーを接着する等により反射面を形成して、第2面92での反射と第1面91での全反射とを繰り返すことにより、入射光を第3面93に集光するように構成した集光装置が提案されている (例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−275859号公報
【特許文献2】特開平11−340493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに、第2面92に金属膜等を形成して反射面とすることにより、第2面92で反射された光が第1面91に入射するときに全反射条件を満たすように設定すれば、以降、第1面91と第2面92との間で複数回折り返して集光した光を第3面93に導光することができる。そのため、集光部90a内に効率よく光を入射させて、形状集光倍率を高めることができる。
【0008】
しかしながら、このような構成では、第2面92での反射が金属膜やミラー等によるものであるため、反射面の吸収による光エネルギーの損失を排除することができない。集光装置9に入射した光は第1面91と第2面92との間で複数回折り返して集光されるため、エネルギー損失は反射回数のべき乗となり、集光過程(導光過程)でのエネルギー低下が大きいという課題があった。
【0009】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、集光過程でのエネルギー損失を抑制し、太陽光等の光エネルギーをより効率的に集光可能な集光装置を提供することを目的とする。また、太陽光等の光エネルギーをより効率的に利用可能な光発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明を例示する第1の態様は集光装置である。この集光装置は、受光した光が入射する第1面及び前記第1面に鋭角で交差する第2面を有して透明材料により形成され、部材内部に入射した光を第2面と第1面との間で複数回反射させて集光するプリズム状の集光部を有する集光部材と、反射面が第2面に対向して設けられた反射部材とを備える。集光部は、第1面に入射角θで入射した光が、第2面を透過し反射面により反射されて第2面から集光部に再入射し、再入射した光が第1面で全反射されるように構成されるとともに、第1面と第2面との交差角(実施形態における頂角)αは、再入射した光が第1面で全反射される角度範囲における最小値近傍の角度(最小値に対して*%程度の角度)であるように構成される。
【0011】
なお、前記の入射角θ及び交差角αは、第1面に入射して集光部により集光される光のエネルギー集光倍率が最大値近傍(例えば、図6に示す実施形態において最大エネルギー集光倍率となる入射角θ=76度に対して±5度程度)となるように設定することができる。また、受光する光は太陽光であり、前記交差角αは、太陽光の視直径を加味して設定することができる。
【0012】
さらに、前記第1面に対向して、受光した光を前記第2面に集光する集光レンズを備えて集光装置を構成しても良い。
【0013】
本発明を例示する第2の態様は光発電装置である。この光発電装置は、上記のような集光装置と、前記集光部材により集光された光を光電変換する光電変換素子とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様の集光装置は、集光部は、第1面に入射した光が、第2面を透過し反射面により反射されて第2面から集光部に再入射し、再入射した光が第1面で全反射されるように構成される。このような集光装置によれば、第1面に入射して最初の第2面は透過して反射面で反射されるものの、集光部に再入射して以降は、第1面及び第2面により全反射されて集光される。そのため、第2面に反射面を形成した構成よりも反射面の吸収による光エネルギーの損失を抑制することができる。さらに、本構成の集光装置では、第1面と第2面との交差角αが、再入射した光が第1面で全反射される角度範囲における最小値近傍の角度であるように構成される。後述するように、任意の入射角θに対して、上記のような反射状態となる交差角αは所定幅の角度範囲をもつ。本態様の集光装置では、その角度範囲における最小値近傍の角度に設定される。最小値近傍の角度は、最小値を含む小角度側の範囲の角度であり、集光部材の加工精度や組み立て精度、入射する光の入射中心軸に対する角度幅などを考慮して設定される。従って、このような構成の集光装置によれば、集光過程でのエネルギー損失を抑制し、太陽光等の光エネルギーをより効率的に集光可能な集光装置を提供することができる。
【0015】
なお、入射角θ及び交差角αを、エネルギー集光倍率が最大値近傍となるように設定する構成によれば、集光過程でのエネルギー損失を最大限抑制し、太陽光等の光エネルギーをさらに効率的に集光可能な集光装置を提供することができる。
【0016】
第2の態様の光発電装置は、上記のような集光装置と、集光された光を光電変換する光電変換素子とを備えて構成される。このため、太陽光等の光エネルギーをより効率的に利用可能な光発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1構成形態の集光装置(及び光発電装置)の概要図である。
【図2】プリズム状の集光部を有する集光装置により太陽光を集光する場合に、出射面に集光される光エネルギーについて説明するための説明図である。
【図3】プリズム状の集光部を有する3タイプの集光装置での導光状態の相違を説明するための説明図である。
【図4】全反射タイプの集光装置の成立条件を説明するための説明図である。
【図5】全反射+ミラータイプの集光装置の成立条件を説明するための説明図である。
【図6】3タイプの集光装置について、入射角度θに対して頂角αを最小としたときのエネルギー集光倍率をまとめたグラフである。
【図7】日本付近での太陽光のスペクトル分布を示すグラフである。
【図8】第2構成形態の集光装置の概要構成及び集光部を拡大して示す説明図である。
【図9】3タイプの集光装置のうち、ミラータイプの集光装置と全反射+ミラータイプの集光装置の第2面付近での光線の反射状態を拡大して比較した説明図である。
【図10】図9に示す2つのタイプの集光装置について、集光レンズに入射する太陽光の中心光軸の傾き角γを変化させたときの、エネルギー到達効率の変化の様子を示したグラフである。
【図11】従来のプリズム状の集光部を有する集光装置について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。まず、図11と同様のプリズム状の集光部90aを有する集光装置9によって太陽光を集光する場合を基礎として、第3面93に集光される光エネルギーについて、図2を参照しながら説明する。なお、図2は太陽光の中心光軸を進む光が屈折進行する面に沿った断面図である。
【0019】
いま、集光部90aの水平方向の長さをL(mm)、鉛直方向の高さをH(mm)、紙面直交方向の幅をd(mm)とする。また、太陽光の照射強度(エネルギー密度)は、日本付近の緯度のエアマス(air mass)AM=1.5から1sun(100mW/cm2)とし、太陽光の中心光軸の第1面91への入射角をθとする。
【0020】
このとき、集光部90aに入射する太陽光の第1面91におけるエネルギー密度Eは、太陽光の照射強度を基準として、下記(1)式のように表される。
【数1】

【0021】
第1面91に入射する太陽光の光エネルギーのうち、第3面93に到達する光エネルギーの割合(本明細書において、便宜的に「エネルギー到達効率」という)をRとすると、第3面に到達する光のエネルギー密度Xは、太陽光の照射強度を基準として、下記(2)式のようになる。
【数2】

【0022】
(2)式で求められるエネルギー密度Xは、太陽光の照射強度に対する集光された光強度の比、すなわち、エネルギー密度を基準として表した集光倍率である。このように、エネルギー密度を基準として求めた集光倍率Xを、本明細書において「エネルギー集光倍率」という。
【0023】
第1面91と第2面92とがなす交差角、すなわち集光部90aの頂角をαとし、第1面91に厚さh(mm)の平行部91pを設けた場合、第3面93の高さHは、下記(3)式で表される。
H=h+L*tanα・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
【0024】
発明者らは、集光部の第2面92を、図3(1)〜(3)に示す3種類とした場合について、各タイプの集光装置で得られるエネルギー集光倍率Xを算出した。ここで、図3は、図2と同様の断面を部分的に拡大し、第1面から入射した光が第3面に向けて導光される様子を描いた模式図である。そして、図3における(1)は第2面92を平坦な研磨面とし第1面91から入射した光を第2面92で全反射させるタイプの集光装置、(2)は平面研磨した第2面92に金属膜を蒸着する等により第2面92を反射面としたタイプの集光装置、(3)は空気層を介して反射面96が第2面92と対向する反射部材(ミラー)95を設け、第2面92を透過した光が反射部材95の反射面96で反射されて第2面92から集光部材に再入射させるようにしたタイプの集光装置である。
【0025】
図3(1)〜(3)は、集光部の長さをL=30(mm)、太陽光の中心光軸の入射角θ=72度、視直径を0.52度とし、集光部材の屈折率をn=1.5とした場合に、各タイプについて、エネルギー集光倍率Xが最大となる状態を例示している。以降では、説明の便宜上から、(1)を「全反射タイプ」、(2)を「ミラータイプ」、(3)を「全反射+ミラータイプ」と称して説明する。
【0026】
(全反射タイプの集光装置のエネルギー集光倍率)
まず、全反射タイプの集光装置を例として、第1面91から入射した太陽光が第2面92で全反射されて折り返され、集光部材内部を伝播して第1面91で全反射されるときの条件について、図4を参照して説明する。図4は図2と同様の断面図であり、同様構成の各部には図2と同一の符号を付している。なお、説明簡明化のため、波長分散及び集光部材90の吸収はないものとして説明する。
【0027】
図4に示されるように、入射角θで第1面91から集光部90aに入射した光は、集光部材90の屈折率nに応じた屈折角θ1で第2面92に向けて部材内部を進行する。このとき、第2面92への入射角θ2は、第1面91と第2面92とがなす角度すなわち集光部90aの頂角をαとしたときに、θ2=θ1+αである。第2面92で反射した光は、部材内部を第1面91に向けて進行し、第1面91に入射角θ3で入射する。このとき、第1面91への入射角θ3は、θ3=θ2+α=θ1+2αとなる。以降、同様に各面への入射角度がαずつ増加してゆく。
【0028】
従って、全反射タイプの集光装置においては、第1面91から集光部90aに入射した太陽光が、第2面92に最初に入射するときの入射角θ2=θ1+αが、集光部材90における全反射角以上であることが条件になる。
【0029】
以上の条件、すなわち、集光部90aの長さL=30(mm)、第1面91への太陽光の中心光軸の入射角θ=72度、太陽の視直径0.52度、集光部材90の屈折率n=1.5等を適用して、全反射タイプの集光装置の最小の頂角αを求めると、頂角α=2.6度となる。このとき形状集光倍率L/H、等は以下のようになる。
・L/H=30/(0.1+30*tan2.6°)=20.5
・cos72°=0.309
・R=79.5%
エネルギー到達効率Rの低下分20.5%は、入射面(第1面)91でのフレネル反射による損失(フレネル損失)によるものである。
【0030】
これらの値を(2)式に代入してエネルギー集光倍率Xを求めると、全反射タイプの集光装置のエネルギー集光倍率X1は、X1=5.0(sun)となる。
【0031】
(ミラータイプの集光装置のエネルギー集光倍率)
次に、ミラータイプの集光装置において、第1面91から入射した太陽光が、第2面92及び第1面91で折り返されて集光されるための条件について、再び図4を参照して説明する。
【0032】
このタイプの集光装置では、第2面92にアルミニウム等の金属膜が蒸着されることにより、あるいはミラーを第2面92に接着することなどにより、第2面92自体が反射面(鏡面)になっている。そのため、第1面91から集光部90aに入射した太陽光は、仮に第2面92に最初に入射するときの入射角θ2が集光部材90の全反射角未満であっても、反射面である第2面92によって反射角θ2で反射される。従って、ミラータイプの集光装置においては、第2面92により反射されて第1面91に入射する光の入射角度θ3=θ1+2αが、集光部材90における全反射角以上であることが条件になる。
【0033】
そこで、前記同様の条件、すなわち、集光部90aの長さL=30(mm)、第1面91への太陽光の中心光軸の入射角θ=72度、太陽の視直径0.52度、集光部材90の屈折率n=1.5等を適用して、ミラータイプの集光装置の最小の頂角αを求めると、頂角α=1.3度となる。このとき形状集光倍率L/H、等は以下のようになる。
・L/H=30/(0.1+30*tan1.3)=38.4
・cos72°=0.309
・R=34.4%
【0034】
エネルギー到達効率Rの低下分65.6%は、入射面(第1面)91でのフレネル損失、及び反射面(第2面)92での吸収損失10%によるものである。なお、エネルギー到達効率Rの低下量が大きいのは、入射面でのフレネル損失は太陽光が第1面91に入射する一回限りであるが、反射面での吸収損失は太陽光が第2面92で反射されるたびに累積的に増大するためである。
【0035】
これらの値を(2)式に代入してエネルギー集光倍率Xを求めると、ミラータイプの集光装置のエネルギー集光倍率X2は、X2=4.1(sun)となる。
【0036】
(全反射+ミラータイプの集光装置のエネルギー集光倍率)
次に、全反射+ミラータイプの集光装置において、第1面91から入射した太陽光が効率的に集光されるための条件について、図5を参照して説明する。図5は図4と同様の断面図であり、同様構成の各部には図4と同一の符号を付している。
【0037】
図5に示されるように、入射角θで第1面91から集光部90aに入射した光は、集光部材90の屈折率nに応じた屈折角θ1で屈折し、第2面92に入射角θ2=θ1+αで入射する。本タイプでは、形状集光倍率を向上させるため入射角θ2は集光部材90の全反射角未満とし、第2面に入射した光が出射角θ21で第2面92から出射するように設定される。第2面92から出射した光はミラー95の反射面96によって反射され、反射面96を第2面92と平行に配置した場合には、入射角θ21で第2面92から集光部90aに再入射する。このとき、第2面92から部材内部に再入射する際の光の屈折角はθ2であり、第1面91から第2面92への入射角と同一である。第2面92から再入射した光は、部材内部を第1面91に向けて進行し、第1面91に入射角θ3で入射する。第1面91への入射角θ3は、θ3=θ2+α=θ1+2αとなる。以降の各面への入射角は前述同様であり、各面に入射するたびに順次αずつ増加してゆく。
【0038】
従って、全反射+ミラータイプの集光装置において、入射角θで第1面91から集光部90aに入射した太陽光が最も効率的に集光されるのは、最初の第2面への入射時に第2面92を透過し、且つ、第2面92に再入射した光が第1面91に入射するときの入射角θ3=θ1+2αが、集光部材90における全反射角以上になる場合である。
【0039】
このとき、前記同様の条件、すなわち、集光部90aの長さL=30(mm)、第1面91への太陽光の中心光軸の入射角θ=72度、太陽の視直径0.52度、集光部材90の屈折率n=1.5等を適用して、上記条件を満たす頂角αを求めると、1.3度≦αの角度範囲となる。本技術において、頂角αは、この角度範囲における最小値近傍の角度に設定され、具体的には1.27度以上(最小値に対して3%程度)に設定される。本構成例では頂角αを1.3度に設定した場合を示す。このとき、形状集光倍率L/H、等は以下のようになる。
・L/H=30/(0.1+30*tan1.3)=38.4
・cos72°=0.309
・R=71.7%
【0040】
エネルギー到達効率Rの低下分28.3%は、入射面(第1面91及び第2面92)でのフレネル損失、及びミラーの反射面96での吸収損失10%によるものである。但し、第2面92から集光部90aに再入射した光は、その後は第1面91及び第2面92で全反射されて集光されるため、反射面の吸収によるエネルギー損失は一回のみである。
【0041】
これらの値を(2)式に代入してエネルギー集光倍率Xを求めると、全反射+ミラータイプの集光装置のエネルギー集光倍率X3は、X3=8.5(sun)となる。
【0042】
以上から、太陽光の中心光軸の入射角θをθ=72度とした場合について、3つのタイプの集光装置のエネルギー集光倍率Xを比較すると、次のようになる。
・全反射タイプの集光装置:エネルギー集光倍率X1=5.0(sun)
・ミラータイプの集光装置:エネルギー集光倍率X2=4.1(sun)
・全反射+ミラータイプの集光装置:エネルギー集光倍率X3=8.5(sun)
太陽光の入射角θが72度の条件では、全反射+ミラータイプのエネルギー集光倍率が最も高いことがわかる。
【0043】
太陽光の中心光軸の入射角θを、θ=64〜84度の範囲で変化させて各タイプの集光装置についてエネルギー集光倍率X(X1,X2,X3)を同様に算出し、これをグラフにまとめた結果を図6に示す。図では左側から順に、全反射タイプ、ミラータイプ、全反射+ミラータイプとし、各々について入射角をθ=64〜84度の範囲で4度ピッチで変化させたときの、各入射角で得られるエネルギー集光倍率を棒グラフで示している。なお、頂角αはタイプごとに各入射角に対して最小の入射角度を適用している。
【0044】
図6から、太陽光の入射角θ=64〜84度の範囲では、どの入射角においても全反射+ミラータイプの集光装置のエネルギー集光倍率が最も高いこと、全反射+ミラータイプで比較的エネルギー集光倍率が低いθ=64度、84度でも、他のタイプで得られる最大エネルギー集光倍率よりも高いことが分かる。また、全反射+ミラータイプの集光装置では、入射角がθ=76度のときにエネルギー集光倍率が最大となることが分かる。このとき算出されたエネルギー集光倍率はX3=9.1になっている。
【0045】
(第1構成形態)
以下、全反射+ミラータイプの集光装置のより具体的な構成形態について説明する。第1構成形態の集光装置1の概要構成図を図1に示す。図1は、これまで説明してきた各図と同様に、太陽光の中心光軸を進む光が屈折進行する面に沿った断面図である。
【0046】
集光装置1は、受光面である第1面11及び第1面に頂角αで交差する第2面12並びに第1面と直交する第3面13によりプリズム状の集光部10aが形成された集光部材10と、第2面12と離間層17を介して対向配置された反射部材15とを備え、第1面11から入射した光のうち第2面12を透過した光が、反射部材15の反射面16により反射されて第2面12から集光部10aに再入射するように構成される。図1では、第3面13に光電変換素子(太陽電池)18を配設して光発電装置PVS1とした構成を示す。
【0047】
集光部材10は、集光する光の波長に対して光透過性を有する透明材料により形成される。本構成形態の集光装置では、太陽光のスペクトル分布(図7を参照)に対応して光透過性を有する透明材料が用いられる。このような透明材料として、例えばBK7に代表される各種の光学ガラス、PMMA(ポリメチルメタクリレート)やPC(ポリカーボネート)等の透明樹脂材料が例示される。第1〜第3面11〜13は平坦に光学研磨されて形成される。なお、集光部10aの長さL、紙面直交方向の幅d等は、光電変換素子18のサイズや集光装置1が用いられるシステムの規模等によって任意に設定することができる。本構成麗では、屈折率n=1.5の光学ガラスを用い、L=30(mm)、集光部10aの頂角α=0.8度とした。
【0048】
反射部材15は、集光部材の第2面12に対向する反射面16を有して構成される。図示する構成例は、集光部材10と同一形状に形成した基材の上面(集光部材10における第2面12に対応する面の外面)にアルミニウムを蒸着して反射面(ミラー面)を形成した構成を例示する。なお、太陽光の波長帯域に対して反射率が高い反射面を形成するものであれば良く、例えば、銀や金、銅などを蒸着して反射面を形成しても良い。また蒸着する材料に応じて適宜な保護皮膜等を形成しても良い。反射面16をアルミニウム蒸着で形成することにより、反射部材15の製造コストを低廉化することができる。一方、反射部材15を銀または金コートのミラーとすることにより、反射面での吸収損失を低減しエネルギー集光倍率を高めることができる。
【0049】
離間層17は、集光部材10の第2面12と、反射部材15の反射面16とを光学的に分離するものである。本構成例における離間層17は空気層であり、集光部材の第2面12と反射部材の反射面16との間にエアギャップが形成されるようにしている。離間層17は、集光部材よりも低屈折率で厚さが第2面12と反射面16とを光学的に分離可能なものであれば良く、具体的には、太陽光の波長分布におけるエネルギー密度が高い領域の波長(例えば420〜800nm)よりも大きければよい。
【0050】
集光部材の第2面12及び反射部材の反射面16の一般的な加工精度(うねり・粗さ)を考慮すると、両者を重ね合わせたときに少なくとも1μm程度のエアギャップが生じる。このエアギャップは、太陽光のエネルギー密度が高い波長帯域の光について、第2面12と反射面16とを光学的に分離するのに十分な厚さである。このため、反射部材15の反射面16に集光部材10の第2面12を重ねて載置固定するだけで、第2面12と反射面16とが所要の離間層17を介して対向配置される。これにより、簡明な構成で集光装置1を構成することができる。
【0051】
なお、集光部材の第2面12と反射部材の反射面16との間(例えば対向面の四隅部分等)に、厚さが数μm程度、あるいはそれ以上のスペーサを配設して離間層17を形成しても良い。このような構成によれば、太陽光の波長帯域全体について確実に第2面12と反射面16とを光学的に分離することができる。
【0052】
このようにして構成される集光装置1では、入射角θで第1面11から入射して第2面12を透過した光は、離間層17を介して配設された反射部材の反射面16で反射され、第2面12から屈折角θ2=θ1+αで集光部10aに再入射する(図5を参照)。第2面から再入射した光は、集光部を進行して第1面11に入射角θ3=θ1+2αで入射する。入射角θ3は、屈折率n=1.5の集光部材10の全反射角以上になっており、この光は第1面11で全反射されて第2面12に向かい、第2面12に入射角θ4=θ1+3α(不図示)で入射する。
【0053】
入射角θ4は、当然のことながら集光部材10の全反射角を超えており、第2面12で全反射されて再び第1面11に向かう。以降同様にして、第1面11と第2面12とに全反射されて折り返され、次第に各面への入射角θnが増大しながら(すなわち光の進行方向が徐々に水平左方に近づくように変化しながら)第3面13に向けて集光される。第3面13は集光装置1の出射面であり、集光されて第3面13に到達した光が第3面13から出射する。図示する構成例においては、集光装置1から出射した光が光電変換素子18に入射して電力に変換される。
【0054】
以上のような構成の集光装置1は、従来の全反射タイプの集光装置やミラータイプの集光装置と比較してエネルギー集光倍率Xが大幅に高く、その値は、反射面16が一般的なアルミニウム蒸着膜の場合であってもX=9.1(sun)に達する。従って、このような構成の集光装置1によれば、集光過程でのエネルギー損失を抑制し、太陽光等の光エネルギーをより効率的に集光可能な集光装置を提供することができる。なお、反射部材15の反射面16をAgコート、Auコートにした場合には、エネルギー集光倍率を更に高めることができる。
【0055】
(第2構成形態)
次に、第2構成形態の集光装置2について、図8〜図10を参照して説明する。ここで、図8は集光装置2の概要構成及び集光部を拡大して示す説明図である。図9は(1)ミラータイプの集光装置と(2)全反射+ミラータイプの集光装置の第2面付近での光線の反射状態を比較した説明図である。図10は、ミラータイプの集光装置と全反射+ミラータイプの集光装置2について、集光レンズ29に入射する太陽光の中心光軸の傾き角γを変化させたときの、エネルギー到達効率Rの変化の様子を示したグラフである。
【0056】
集光装置2は、大別的には、全反射+ミラータイプの集光部20a及び集光部により各面への入射角が増大された光を導光する導光部20bを備えた集光部材20と、集光部20aの第1面21に対向して設けられ第2面22に太陽光を集光する集光レンズ29と、反射面26が離間層(空気層)27を介して第2面22に対向して配置された反射部材25とを主体とする。そして、集光レンズ29を介して第1面21から入射した光が、第2面22を透過して反射面26により反射され、第2面22から集光部20aに再入射して第1面21で全反射されるように構成される。
【0057】
本構成形態の集光装置2は、端的には、入射面である第1面21に対する太陽光の中心光軸の入射角θが基本的には0度である点、及び太陽光が集光レンズ29を介して第2面22に集光入射する点が第1構成形態の集光装置1と異なっている。図8は、導光部20bの端部に光電変換素子(太陽電池)28を配設して光発電装置PVS2とした構成例を示す。
【0058】
本構成形態の集光部材20は、全反射+ミラータイプの集光部20aと、集光部20aにより入射角が増大された光を導光する導光部20bとから構成される。集光部20aは、受光面である第1面21と、第1面21に頂角αで交差する第2面22とによって断面視三角形のプリズム状ないし楔状に構成される。導光部20bは、集光部20aから延設されて右方に延びる第1面21と、第2面22と鈍角で交差して第1面21と平行に延びる第4面24、及び紙面に平行な前後の側面(不図視)とから構成される。出射面である第3面23は、導光部20bが設けられたことによって右方に移動し、集光部20aと反対側の導光部20bの端部(図において右端)に形成される。
【0059】
集光レンズ29は、第1面21の上方に第1面に対向して設けられ、中心光軸が第1面21に略垂直に照射される太陽光を、第1面21を通して第2面22に集光入射させる。図示する構成例において、集光レンズ29は、大きさが10(mm)×10(mm)の矩形で、焦点距離f=20(mm)、屈折率が1.5の非球面レンズを用い、この集光レンズ29に中心光軸が垂直に入射した場合を例示する。このとき、集光レンズ29の中心を通って第1面21に入射する太陽光の中心光軸の入射角θは0度である。
【0060】
集光レンズ29に対する太陽光の中心光軸の傾きγ(図8を参照)の正負は、図8において太陽が相対的に左方に傾いたときを+(プラス)、右方に傾いたときを−(マイナス)とする。また、図8及び図11では、太陽の視直径を0.52度(中心光軸に対して±0.26度)として光線追跡を行っている。
【0061】
集光部材20は、既述した集光部材10と同様に、集光する光の波長に対して光透過性を有する透明材料により形成される。本構成例では、屈折率n=1.5のPMMAを用い、集光部20a及び導光部20bの高さH×紙面直交方向の幅dを1(mm)×1(mm)、集光部20aを含む導光部20bの長さを100(mm)とした。
【0062】
反射部材25は、集光部材の第2面22に対向する反射面26を有して構成される。図では、反射面26が第2面と同一またはこれより幾分大きめのアルミニウム蒸着ミラーを用いた構成を例示する。なお、前述同様に、銀コードミラーや金コートミラー等を用いても良い。
【0063】
離間層27は、集光部材20の第2面22と、反射部材25の反射面26とを光学的に分離するものである。本構成例では離間層27を空気層とし、集光部材の第2面22と反射部材の反射面26との間にエアギャップが形成されるようにしている。離間層27の厚さは、第2面22と反射面26とを光学的に分離可能なものであれば良く、具体的には、太陽光の波長分布におけるエネルギー密度が高い領域の波長(例えば420〜800nm)よりも大きければよい。このため、集光部材20の第2面22に反射部材25の反射面26を重ねて固定するだけで、第2面22と反射面26とが所要の離間層27を介して対向配置される。これにより、簡明な構成で集光装置2を構成することができる。
【0064】
なお、集光部材の第2面22と反射部材の反射面26との間(例えば対向面の四隅部分等)に、厚さが数μm程度あるいはそれ以上のスペーサを配設して離間層27を形成しても良い。このような構成によれば、太陽光の波長帯域全体について確実に第2面22と反射面26とを光学的に分離することができる。
【0065】
ここで、本構成形態の集光装置2では、太陽光が集光レンズ29により集光されて第1面21から入射する。このとき、レンズの中心を通って第1面21に入射する中心光軸上の光は、第1面への入射角θ=0度であり、第2面22には集光部20aの頂角αで入射する。また、第2面22への入射角はレンズ中心を通る光と中心から離れた縁部を通る光とで異なり、図において左端側を通る光の入射角が最も大きく、右端側を通る光の入射角が最も小さくなる。そのため、全反射タイプ、ミラータイプ、及び全反射+ミラータイプの集光装置において、集光部20aの頂角αは、前述した第1構成形態の集光装置1と異なった角度になる。
【0066】
まず、全反射タイプでは、第1面21から入射した光が最初に第2面22に入射するときの入射角が、集光部材20の全反射角以上であることが条件となる。この条件を満たす最小の頂角αを求めるとα=52度となる。一方、ミラータイプでは、第2面22で反射された光が第1面21に入射するときの入射角が集光部材20の全反射角以上であることが条件となる。この条件を満たす最小の頂角αを求めるとα=26度となる。また、全反射+ミラータイプでは、第2面22を透過して、反射面26で反射された光が第1面21に入射するときの入射角が集光部材20の全反射角以上であることが条件となる。この条件を満たす頂角の角度範囲は26〜51度となり、最小の頂角はα=26度である。
【0067】
太陽は時間とともに方位と高度が変化するため、このような3タイプの集光装置では、太陽を追尾する追尾装置が必要である。このとき、集光レンズ29で集光した光を第2面22に確実に入射させるためには、集光レンズ29側から見た第2面22の面積が大きいこと、具体的には集光部20aの頂角αが小さいことが望まれる。そこで、以下では、相対的に頂角αが小さいミラータイプと全反射+ミラータイプとを比較する。なお、ミラータイプの集光装置は、全反射+ミラータイプの集光装置2における集光部材の第2面22にアルミニウムを蒸着し、第2面自体を鏡面とした集光装置である。全反射+ミラータイプの集光装置2と相違するミラータイプの集光装置の第2面は、符号「′」を付して第2面22′と表記する。
【0068】
図9は、(1)ミラータイプの集光装置と(2)全反射+ミラータイプの集光装置の第2面付近での光線の反射状態を比較したものである。図中に、枠囲みしてa,b,c,dの符号を付した各部分の部分拡大図を示す。(1)図のa及びbは、ミラータイプの集光装置における第2面付近での光線の反射状態であり、aは第1面21から入射した光の第2面22′での最初の反射状態、bは第2面22′での2度目の反射状態である。(2)図のc及びdは、全反射+ミラータイプの集光装置2における第2面付近での光線の反射状態であり、cは第1面から入射した光の第2面付近での最初の反射状態、dは第2面付近での2度目の反射状態である。なお、両タイプとも集光レンズ29に対する太陽光の中心光軸の傾き角γ(図8を参照)が−2度の状態を示している。
【0069】
図9(1)のミラータイプの集光装置では、第1面21から集光部20a内に入射した光の第2面付近での反射は、1度目及び2度目とも第2面22′すなわちアルミニウム蒸着膜が形成された反射面による反射である。以降、導光部20bでは第1面21及び第4面24により全反射されて第3面23に到達する。この形態の集光装置においては、第1面21から入射した光は、第2面22′で反射されるたびに反射面での吸収損失が発生する。この条件下で算出されたミラータイプの集光装置のエネルギー到達効率Rは64%であった。
【0070】
図9(2)の全反射+ミラータイプの集光装置2では、第1面21から集光部内に入射した光の第2面付近での反射は、最初の反射が反射部材25の反射面26による反射、2度目の反射が第2面22による全反射である。以降、導光部20bでは第1面21及び第4面24により全反射されて第3面23に到達する。そのため、第1面21から入射した光は、最初の反射時に反射面26での吸収損失が生じ、第2面22に再入射する時にフレネル損失が発生する。但し、第2面22による2度目の反射以降は全反射であり、エネルギー損失は発生しない。本条件下で算出された全反射+ミラータイプの集光装置2のエネルギー到達効率Rは71%であった。
【0071】
図10は、ミラータイプの集光装置と全反射+ミラータイプの集光装置2について、集光レンズ29に入射する太陽光の中心光軸の傾き角γを−3度〜+3度の範囲でを変化させたときの、エネルギー到達効率Rの変化の様子を示したグラフである。図中横軸は集光レンズ29に入射する太陽光の中心光軸の傾き角γ、左側の縦軸はエネルギー到達効率R、右側の縦軸は全反射+ミラータイプの集光装置2のエネルギー到達効率からミラータイプの集光装置のエネルギー到達効率を差し引いたエネルギー到達効率の差ΔRである。
【0072】
この図から、実質的な使用範囲となる太陽光の傾き角γ=−2度〜+2度の全範囲で全反射+ミラータイプの集光装置2の方がエネルギー到達効率が高いか同等になっている。特に、傾き角γ=−2度〜−1度の範囲では全反射+ミラータイプの集光装置2の方が明らかにエネルギー到達効率Rが高く、その差ΔRは最大7%に達することが分かる。
【0073】
なお、太陽光の傾き角γが0度〜+2度の範囲では、エネルギー到達効率Rがほぼ同等になっている。これは、例示した構成例では第2面近傍での反射回数が2回と少なく、全反射+ミラータイプで第2面22への再入射時に発生するフレネル損失と、ミラータイプで第2回目の第2面22′での反射時に発生する吸収損失とがほぼ同等になったこと、すなわち、第2面22での全反射による損失ゼロの効果が十分に発揮されなかったことによると考えられる。換言すれば、第2面近傍での反射回数が3回以上の構成では、より広い角度範囲でエネルギー到達効率の差ΔRが大きくなり、全反射+ミラータイプの集光装置の優位性が発揮されるものと考えられる。
【0074】
従って、このような構成の集光装置2によれば、集光過程でのエネルギー損失を抑制し、太陽光等の光エネルギーをより効率的に集光可能な集光装置を提供することができる。
【0075】
そして、以上説明したような集光装置1,2の第3面(出射面)13,23に光電変換素子18,28を設けた光発電装置PVS1,PVS2によれば、太陽光の光エネルギーを高効率で利用可能な光発電装置を提供することができる。
【0076】
なお、集光装置1,2は、集光した太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電装置のみならず、他の形態のエネルギー、例えば熱エネルギーに変換する装置にも適用できる。この場合、集光部材の第3面13,23から出射した光を光吸収体付きのヒートパイプに入射する等によって、集光された光エネルギーを熱エネルギーに光熱変換することができる。
【符号の説明】
【0077】
PVS1 光発電装置
PVS2 光発電装置
1 第1構成形態の集光装置
10 集光部材(10a 集光部) 11 第1面
12 第2面 13 第3面
15 反射部材 16 反射面
18 光電変換素子(太陽電池)
2 第2構成形態の集光装置
20 集光部材(20a 集光部、20b 導光部) 21 第1面
22 第2面 23 第3面
24 第4面 25 反射部材
26 反射面 28 光電変換素子(太陽電池)
29 集光レンズ
L 集光部の長さ H 集光部の高さ
α 集光部の頂角(第1面と第2面との交差角)
γ 集光レンズに対する太陽光の中心光軸の傾き
θ 第1面への入射角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光した光が入射する第1面及び前記第1面に鋭角で交差する第2面を有して透明材料により形成され、部材内部に入射した光を前記第2面と前記第1面との間で複数回反射させて集光するプリズム状の集光部を有する集光部材と、
反射面が前記第2面に対向して設けられた反射部材とを備え、
前記集光部は、前記第1面に入射角θで入射した光が、前記第2面を透過し前記反射面により反射されて前記第2面から前記集光部に再入射し、前記再入射した光が前記第1面で全反射されるように構成されるとともに、
前記第1面と前記第2面との交差角αは、前記再入射した光が前記第1面で全反射される角度範囲における、最小値近傍の角度であることを特徴とする集光装置。
【請求項2】
前記入射角θ及び前記交差角αは、前記第1面に入射して前記集光部により集光される光のエネルギー集光倍率が最大値近傍となるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の集光装置。
【請求項3】
前記受光した光は太陽光であり、
前記交差角αは、太陽光の視直径を加味して設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の集光装置。
【請求項4】
前記第1面に対向して、前記受光した光を前記第2面に集光する集光レンズを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の集光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の集光装置と、
前記集光部材により集光された光を光電変換する光電変換素子とを備えた光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−88690(P2013−88690A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230360(P2011−230360)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】