説明

集合住宅の管理装置

【課題】集合住宅の居住者の利便性を確保しつつセキュリティ性を向上させる。
【解決手段】集合住宅12の何れかの住戸14へ配達する来訪者に対しては、事前に来訪者用暗証番号を教示しておき、屋外側指示ユニット40のテンキーを介して来訪者用暗証番号が入力された場合は、共用玄関20の共用玄関扉22を一時開放(解錠)することで共用部分24への入場を許可し、共用部分24から退去する迄の経過時間を計測する。経過時間が規定時間以上になった場合は、まず室内側ユニット30を通じて居住者へ通報し、更に経過時間が長くなるに従って通報先を管理会社、警備会社へ切替える。また、屋外側指示ユニット40のテンキーを介して居住者用暗証番号が入力された場合は、共用玄関扉22を一時開放(解錠)すると共に警備解除が指示される迄の経過時間を計測し、規定時間以上になっても室内側ユニット30を介して居住者から警備解除が指示されない場合は管理会社へ通報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅の管理装置に係り、特に、複数の住戸が設けられた集合住宅の共用玄関に設置され、前記共用玄関の通過を阻止する施錠状態の一時解除を指示可能な共用錠装置を備えた集合住宅の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯性の向上を目的として、集合住宅の共用玄関に、居住者であれば解錠可能な共用錠装置を設置することが一般的となってきている。但し、集合住宅の共用玄関に共用錠装置を設置した場合、新聞やその他の配達物を配達する配達者が、共用錠装置を解錠できず共用玄関を通過できないことで、配達先の住戸へ配達物を直接配達することが不可能となるので、居住者の利便性が低下するという課題が生ずる。
【0003】
上記に関連して特許文献1には、宅配業者の配達員が集合住宅等の建物内に入館する際に、業者用施解錠キーから業者用施解錠情報を読み取り、この読み取った業者用施解錠情報の正当性を判別して宅配業者を特定した後、配達員の滞留時間の計時を開始し、配達員が退館する際には、再度業者用施解錠キーから業者用施解錠情報を読み取り、この読み取った業者用施解錠情報の正当性を判別して宅配業者を特定した後、配達員の滞留時間の計時を終了し、計時した滞留時間が予め設定された警報発報時間を経過した場合は、配達員の不当な滞在を警告する警報内容を発報することで、セキュリティ性と利便性の向上を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−174165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、滞留時間が警報発報時間を上回った滞留者に対して建物から退館する際に警告するものであり、滞留者が建物内に長時間滞留していたとしても、滞留している間は滞留者に対する警告が行われないので、防犯効果が低いという問題がある。また、上記のように滞留者が建物内に長時間滞留することが可能になると、集合住宅の居住者が、集合住宅のうち共用玄関と各住戸の玄関との間の共用部分で犯罪等に巻き込まれる恐れも生じる。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、本構成を有しない場合と比較して、利便性を確保しつつセキュリティ性を向上できる集合住宅の管理装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る集合住宅の管理装置は、複数の住戸が設けられた集合住宅の共用玄関に設置され、前記共用玄関の通過を阻止する施錠状態の一時解除を、前記集合住宅の来訪者用の第1の指示方法及び前記集合住宅の居住者用の第2の指示方法で各々指示可能な共用錠装置と、前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示して前記集合住宅の共用部分に入場した来訪者が、前記集合住宅外へ退去したか否かを検知する退去検知手段と、前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、第1の警備処理として、前記一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、前記経過時間が予め設定された時間に達しても前記退去検知手段によって前記退去が検知されないときには通報し、前記退去検知手段によって前記退去が検知されない状態が更に継続したときには、前記通報を再度行うと共に、前記通報によって通知する警戒レベルを高くする、及び、前記通報の通報先をより警戒レベルの高い事象に対処可能な通報先へ切替える、の少なくとも一方を行う制御手段と、を含んで構成されている。
【0008】
請求項1記載の発明では、複数の住戸が設けられた集合住宅の共用玄関に共用錠装置が設置されており、この共用錠装置は、共用玄関の通過を阻止する施錠状態の一時解除を、集合住宅の来訪者用の第1の指示方法及び集合住宅の居住者用の第2の指示方法で各々指示可能とされている。また、退去検知手段は、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示して集合住宅の共用部分に入場した来訪者が、集合住宅外へ退去したか否かを検知する。そして制御手段は、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、第1の警備処理として、前記一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、前記経過時間が予め設定された時間に達しても退去検知手段によって前記退去が検知されないときには通報し、退去検知手段によって前記退去が検知されない状態が更に継続したときには、前記通報を再度行うと共に、前記通報によって通知する警戒レベルを高くする、及び、前記通報の通報先をより警戒レベルの高い事象に対処可能な通報先へ切替える、の少なくとも一方を行う。
【0009】
これにより、集合住宅の居住者以外の人は、第1の指示方法を認識していなければ共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示できないので、集合住宅と無関係な人が共用玄関を通過して集合住宅の共用部分に入場することが阻止される。また、集合住宅の居住者以外の人のうち、集合住宅内の住戸へ配達物を配達する配達者等の来訪者に対しては、事前に第1の指示方法を通知しておくことで、前記配達者が共用玄関を通過して集合住宅の共用部分に入場することが可能となり、居住者の利便性が確保される。
【0010】
また、集合住宅の来訪者が、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示して共用玄関を通過した後、予め設定された時間に達しても退去検知手段によって前記来訪者の退去が検知されないときには通報されるので、来訪者が集合住宅外へ退去する際に警告する場合と比較して、通報受信者が、共用部分に比較的長時間滞留している来訪者の存在を認識できることで、セキュリティ性を向上させることができる。
【0011】
更に、来訪者の退去が退去検知手段によって検知されない状態が更に継続したときには、通報が再度行われると共に、通報によって通知する警戒レベルを高くする、及び、通報の通報先をより警戒レベルの高い事象に対処可能な通報先へ切替える、の少なくとも一方が行われるので、通報受信者により、共用部分に不当に長時間滞留している来訪者を排除する等の対処を行うことが可能となり、セキュリティ性を更に向上させることができる。従って、請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、利便性を確保しつつセキュリティ性を向上させることができる。
【0012】
請求項2記載の発明に係る集合住宅の管理装置は、複数の住戸が設けられた集合住宅の共用玄関に設置され、前記共用玄関の通過を阻止する施錠状態の一時解除を、前記集合住宅の来訪者用の第1の指示方法及び前記集合住宅の居住者用の第2の指示方法で各々指示可能な共用錠装置と、前記集合住宅の個々の住戸に各々設けられた、警備解除を指示するための指示手段、又は、個々の住戸の玄関に設置された個別錠装置の解錠を検知する解錠検知手段と、前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示して前記集合住宅の共用部分に入場した来訪者が、前記集合住宅外へ退去したか否かを検知する退去検知手段と、前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、前記一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、前記経過時間が予め設定された時間に達しても前記退去検知手段によって前記退去が検知されないときには通報する第1の警備処理を行い、前記第2の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、前記第1の警備処理と異なる処理を行う制御手段と、を含んで構成されている。
【0013】
請求項2記載の発明では、複数の住戸が設けられた集合住宅の共用玄関に、請求項1記載の発明と同様の共用錠装置が設置されている。また、集合住宅の個々の住戸には、警備解除を指示するための指示手段、又は、個々の住戸の玄関に設置された個別錠装置の解錠を検知する解錠検知手段が各々設けられており、退去検知手段は、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示して集合住宅の共用部分に入場した来訪者が、集合住宅外へ退去したか否かを検知する。そして制御手段は、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、前記一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、前記経過時間が予め設定された時間に達しても退去検知手段によって前記退去が検知されないときには通報する第1の警備処理を行い、第2の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、第1の警備処理と異なる処理を行う。
【0014】
これにより、集合住宅の居住者以外の人は、第1の指示方法を認識していなければ共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示できないので、集合住宅と無関係な人が共用玄関を通過して集合住宅の共用部分に入場することが阻止される。また、集合住宅の居住者以外の人のうち、集合住宅内の住戸へ配達物を配達する配達者等の来訪者に対しては、事前に第1の指示方法を通知しておくことで、前記配達者が共用玄関を通過して集合住宅の共用部分に入場することが可能となり、居住者の利便性が確保される。
【0015】
また、集合住宅の来訪者が、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示して共用玄関を通過した後、予め設定された時間に達しても退去検知手段によって前記来訪者の退去が検知されないときには通報されるので、来訪者が集合住宅外へ退去する際に警告する場合と比較して、通報受信者が、共用部分に比較的長時間滞留している来訪者の存在を認識できることで、セキュリティ性を向上させることができる。従って、請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、利便性を確保しつつセキュリティ性を向上させることができる。
【0016】
なお、請求項2記載の発明において、制御手段は、例えば請求項3に記載したように、第2の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、第1の警備処理と異なる処理として、一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、経過時間が予め設定された時間に達しても指示手段を介して警備解除が指示されないか、又は、経過時間が予め設定された時間に達しても解錠検知手段によって個別錠装置の解錠が検知されないときには通報する第2の警備処理を行うように構成することができる。これにより、集合住宅の来訪者が、第2の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示して共用玄関を通過した後、予め設定された時間に達しても住戸内への入室が検知されないときにも、これを通報受信者が認識できることで、セキュリティ性を更に向上させることができる。
【0017】
なお、請求項2又は請求項3記載の発明において、制御手段は、例えば請求項4に記載したように、前記制御手段は、前記第1の警備処理として、前記通報を一旦行った後も前記退去検知手段によって前記退去が検知されない状態が更に継続したときには、前記通報を再度行うと共に、前記通報によって通知する警戒レベルを高くする、及び、前記通報の通報先をより警戒レベルの高い事象に対処可能な通報先へ切替える、の少なくとも一方を行うことが好ましい。これにより、共用部分に不当に長時間滞留している来訪者が存在していた場合に、請求項1記載の発明と同様に、通報受信者により、共用部分に長時間滞留している来訪者を排除する等の対処を行うことが可能となり、セキュリティ性を更に向上させることができる。
【0018】
請求項1又は請求項4記載の発明において、制御手段が第1の警備処理として、前記経過時間が長くなるに従って通報先を切替える処理を行う場合、制御手段は、例えば請求項5に記載したように、第1の警備処理において、最初に集合住宅の居住者に対して前記通報を行い、その後も退去検知手段によって来訪者の退去が検知されない状態が継続していた場合は、前記通報の通報先を、より警戒レベルの高い事象に対処可能な通報先として、集合住宅の管理会社又は警備会社へ切替える処理を行うように構成することができる。
【0019】
上記のように、最初に集合住宅の居住者に対して通報を行うことで、居住者に警戒を促し、居住者が共用部分で犯罪等に巻き込まれることを未然に防止することができる。また、更に来訪者の滞留が継続していた場合は集合住宅の管理会社又は警備会社へ通報することで、共用部分に不当に長時間滞留している来訪者を排除する等の対処を行うことが可能となる。従ってセキュリティ性を向上させることができる。
【0020】
また、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の発明において、第1の指示方法としては、例えば、予め登録された来訪者用の暗証番号を共用錠装置に入力する指示方法を適用することができる。この場合、例えば請求項6に記載したように、共用錠装置は、入力された暗証番号が予め登録された来訪者用の暗証番号に一致していた場合に施錠状態の一時解除を行い、退去検知手段は、集合住宅外側から共用錠装置に来訪者用の暗証番号が入力されることで、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された後、集合住宅の共用部分側から共用錠装置に来訪者用の暗証番号が入力されたか否かに基づいて、共用部分に入場した来訪者が集合住宅外へ退去したか否かを検知するように構成することができる。
【0021】
上記のように、第1の指示方法として来訪者用の暗証番号を入力する指示方法を適用した場合、例えば来訪者用の鍵(例えば電子キー等)を用いた指示方法と比較して、来訪者用の鍵を用意して来訪者に事前に渡しておく等の手間が省けるので、運用が簡単になる。また、来訪者用の暗証番号を都度登録する必要が生ずるものの、例えば来訪者用の暗証番号を乱数によって生成して来訪予定者へ都度通知する等のように、来訪者用の暗証番号に一時性を持たせることも可能となり、この場合、更にセキュリティ性を向上させることが可能となる。
【0022】
また、請求項6記載の発明において、例えば請求項7に記載したように、来訪者用の暗証番号は個々の来訪者毎に予め登録され、退去検知手段は、集合住宅外側から第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された際に入力された来訪者用の暗証番号と、共用部分側から第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された際に入力された来訪者用の暗証番号と、を比較することで、個々の来訪者を単位として前記集合住宅外へ退去したか否かを検知するように構成してもよい。これにより、例えば集合住宅の共用部分に入場した第1の来訪者が集合住宅外へ退去する前に、第2の来訪者が集合住宅の共用部分に入場した等のように、集合住宅の共用部分に一時的に複数の来訪者が存在している状態になった等の場合にも、個々の来訪者が来訪者用の暗証番号を入力して共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示してからの経過時間(滞留時間)を正確に管理することができる。
【0023】
また、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の発明において、例えば請求項8に記載したように、共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示した指示者の顔を撮影する撮影手段を更に設け、退去検知手段は、集合住宅外側から第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された際に撮影手段によって撮影された来訪者の顔画像と、共用部分側から第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された際に撮影手段によって撮影された来訪者の顔画像と、を比較することで、個々の来訪者を単位として集合住宅外へ退去したか否かを検知するように構成してもよい。
【0024】
請求項8記載の発明では、来訪者の顔(画像)によって個々の来訪者が識別されるので、請求項6記載の発明のように来訪者用の暗証番号を個々の来訪者毎に予め登録しておくことなく、来訪者用の暗証番号として全来訪者共通の単一の暗証番号を用意した態様においても、集合住宅の共用部分に一時的に複数の来訪者が存在している状態になった等の場合に、個々の来訪者が来訪者用の暗証番号を入力して共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示してからの経過時間(滞留時間)を正確に管理することができる。また、請求項6記載の発明のように来訪者用の暗証番号を個々の来訪者毎に予め登録しておけば、個々の来訪者が入力した来訪者用の暗証番号と個々の来訪者の顔(画像)により、個々の来訪者をより確実に識別することができる。
【0025】
また、請求項1〜請求項6の何れか1項記載の発明において、例えば請求項9に記載したように、共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示した指示者の顔を撮影する撮影手段と、集合住宅の来訪者として予め登録された人の顔画像を記憶する記憶手段と、を更に設け、制御手段は、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、撮影手段によって撮影された指示者の顔が記憶手段に顔画像として記憶されているか否かを判定し、指示者の顔が記憶手段に顔画像として記憶されていない場合は、共用錠装置の施錠状態が一時解除されないように制御するように構成してもよい。
【0026】
これにより、居住者以外で、集合住宅の来訪者として顔画像が予め登録された人以外の人は、共用錠装置の施錠状態を一時解除することができず、共用玄関を通過が阻止されることになる。従って、仮に、例えば請求項6に記載の来訪者用の暗証番号が第三者に漏洩した等により、集合住宅と無関係な人が第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示することが可能になったとしてもセキュリティ性を確保することができる。
【0027】
また、請求項1〜請求項9の何れか1項記載の発明において、第2の指示方法には、予め登録された居住者用の暗証番号を共用錠装置に入力する指示方法が含まれていてもよく、この場合、共用錠装置は、例えば請求項10に記載したように、入力された暗証番号が予め登録された居住者用の暗証番号に一致していた場合に施錠状態の一時解除を行うように構成することができる。これにより、例えば第2の指示方法の中に、他の指示方法として、例えば集合住宅の居住者が所持する鍵又は電子キーを用いて指示する指示方法が含まれており、居住者が鍵又は電子キーを所持せずに集合住宅外へ出たとしても、居住者用の暗証番号を入力することで共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示することが可能になる。
【0028】
また、請求項3〜請求項9の何れか1項記載の発明において、第2の指示方法には、集合住宅の居住者が所持する鍵又は電子キーを用いて指示する指示方法を含む複数の指示方法があってもよく、この場合、制御手段は、例えば請求項11に記載したように、第2の指示方法のうち居住者が所持する鍵又は電子キーを用いた指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合は第2の警備処理を行わないように構成してもよい。この場合、第2の指示方法としての複数の指示方法の中に、他の指示方法として、例えば請求項10に記載の居住者用の暗証番号を入力する指示方法等が含まれていたとしても、居住者は鍵又は電子キーを所持していれば、居住者用の暗証番号等を入力する手間が省けるので、居住者の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、複数の住戸が設けられた集合住宅の共用玄関に、共用玄関の通過を阻止する施錠状態の一時解除を、来訪者用の第1の指示方法及び居住者用の第2の指示方法で各々指示可能な共用錠装置が設置された構成において、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、前記一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、前記経過時間が予め設定された時間に達しても来訪者の集合住宅外への退去が検知されないときには通報し、来訪者の退去が検知されない状態が更に継続したときには、前記通報を再度行うと共に、前記通報によって通知する警戒レベルを高くする、及び、前記通報の通報先をより警戒レベルの高い事象に対処可能な通報先へ切替える、の少なくとも一方を行うので、本構成を有しない場合と比較して、利便性を確保しつつセキュリティ性を向上できる、という優れた効果を有する。
【0030】
また本発明は、複数の住戸が設けられた集合住宅の共用玄関に、共用玄関の通過を阻止する施錠状態の一時解除を、来訪者用の第1の指示方法及び居住者用の第2の指示方法で各々指示可能な共用錠装置が設置された構成において、第1の指示方法で共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、前記一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、前記経過時間が予め設定された時間に達しても来訪者の集合住宅外への退去が検知されないときには通報するので、本構成を有しない場合と比較して、利便性を確保しつつセキュリティ性を向上できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態に係る集合住宅管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】集合住宅管理装置が設置された集合住宅の平面図である。
【図3】第1実施形態に係る出入管理処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係るタイマタイムアウト時処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る集合住宅管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態に係る出入管理処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係るタイマタイムアウト時処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態に係る集合住宅管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】第3実施形態に係る出入管理処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0033】
〔第1実施形態〕
図1には本実施形態に係る集合住宅管理装置10が示されており、図2には集合住宅管理装置10が設置された集合住宅12が示されている。図2に示すように、集合住宅12には住戸14が複数戸設けられており、個々の住戸14には、個々の住戸14の居住者が住戸14を出入りする際に開閉される玄関扉16が各々設けられている。なお、図2は集合住宅12の一階部分を示しているが、集合住宅12は複数階から成り、各階の間には階段18が設けられ、住戸14は集合住宅12の各階に各々複数戸設けられている。
【0034】
個々の住戸14の玄関扉16には、住戸14の居住者用の鍵によって施解錠の状態が切替可能な個別錠装置28(図1も参照)が各々取り付けられている。個別錠装置28は、例えばシリンダ錠等で構成することができ、この場合、居住者用の鍵としてはシリンダ錠用の鍵(シリンダ錠を回転可能な形状の鍵)が用いられる。また、居住者用の鍵は、スイッチがオンされると予め設定されたID等の情報を無線で送信するトランスポンダキー等の電子キーであってもよく、この場合、個別錠装置28は、居住者用の鍵としての電子キーから無線で受信したID等の情報を予め設定された情報と照合し、一致した場合にのみ解錠状態への切替えを行う構成を採用することができる。
【0035】
また、個々の住戸14の室内には、スピーカ及びマイクロフォンを備え、インターホンの親機として機能することが可能な室内側ユニット30(図1も参照)が各々設置されている。なお、室内側ユニット30には、警備状態の解除を指示するためのボタン(詳細は後述)を含む複数のボタンや、各種の情報を表示可能な表示部も設けられている。なお、室内側ユニット30は請求項2等に記載の指示手段の一例であり、個別錠装置28は請求項2等に記載の解錠検知手段の一例である。
【0036】
図2に示す集合住宅12の一階部分の一端部側には、個々の住戸14の居住者が集合住宅12を出入りする際に通過する共用玄関20が設けられており、共用玄関20には、共用玄関扉開閉部32(図1参照)によって開閉される共用玄関扉22が設けられている。集合住宅12は、共用玄関扉22と個々の住戸14の玄関扉16との間の空間が、個々の住戸14の居住者によって共用される共用部分24とされている。なお、共用玄関扉開閉部32は本発明における共用錠装置の一例の一部を構成している。
【0037】
図1に示すように、集合住宅管理装置10は出入管理装置26を備えている。出入管理装置26はマイクロコンピュータ等を含んで構成され、CPU26A、メモリ26B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリから成る不揮発性の記憶部26C及び通信I/F(インタフェース)部26Dを備えている。記憶部26Cには、集合住宅12の居住者用の暗証番号及び集合住宅12の来訪者用の暗証番号が予め登録された暗証番号テーブルが記憶されており、出入管理装置26で後述する出入管理処理を行うための出入管理プログラムも予め記憶されている。
【0038】
共用玄関扉開閉部32は出入管理装置26に接続されており、出入管理装置26からの指示に従って共用玄関扉22を開閉させる。これにより、共用玄関扉22は、通常は共用玄関20を人が通過することを阻止する閉止状態(施錠状態)で維持され、出入管理装置26から指示された場合にのみ、一時的に共用玄関20を人が通過可能な開放状態(解錠状態)とされる。
【0039】
また、個々の住戸14に設けられた個別錠装置28及び室内側ユニット30は出入管理装置26に各々接続されている。個別錠装置28は、自装置の施解錠の状態を検出し、検出結果を通知する機能を備えており、個々の個別錠装置28による施解錠の状態の検出結果は出入管理装置26へ各々通知される。また、居住者によって室内側ユニット30のボタンが操作されることで入力された指示は出入管理装置26に入力され、個々の室内側ユニット30の表示部には出入管理装置26によって各種情報が表示される。
【0040】
また、共用玄関20のうち、共用玄関扉22の設置位置近傍の屋外側の位置には屋外側指示ユニット34が設置されており、共用玄関扉22の設置位置近傍の屋内側の位置には屋内側指示ユニット40が設置されている(図2も参照)。屋外側指示ユニット34は、共用玄関扉22の設置位置近傍の屋外側から集合住宅12の共用部分24への入場を所望している利用者(居住者又は来訪者)が暗証番号等を入力するための屋外側テンキー36と、前記共用部分24への入場を所望している利用者が居住者用の鍵を所持しているか否かを検知する屋外側鍵検知部38と、を備えている。屋外側指示ユニット34は出入管理装置26に接続されており、利用者によって屋外側テンキー36が操作されることで入力された情報や屋外側鍵検知部38による検知結果は出入管理装置26に入力される。
【0041】
なお、屋外側鍵検知部38は、居住者用の鍵がシリンダ錠用の鍵であれば、居住者用の鍵であれば回転可能なシリンダ錠と、当該シリンダ錠が回転されたか否かを検出するセンサと、を備えた構成を採用することができる。また、居住者用の鍵がトランスポンダキー等の電子キーであれば、電子キーから無線で送信されたID等の情報を受信し、予め設定された情報と照合し、一致した場合に居住者用の鍵有りと判定する構成を採用することができる。また、屋外側指示ユニット34はスピーカ、マイクロフォン及び各種の情報を表示可能な表示部も備え(図示省略)、何れかの住戸14の室内に設置された室内側ユニット30を親機とするインターホンのインターホンの子機として機能することも可能とされている。
【0042】
また、屋内側指示ユニット40は、集合住宅12の共用部分24側から屋外側への退去を所望している利用者(居住者又は来訪者)が暗証番号等を入力するための屋内側テンキー42と、前記共用部分24から屋外側への退去を所望している利用者が居住者用の鍵を所持しているか否かを検知する屋内側鍵検知部44と、各種の情報を表示可能な表示部(図示省略)と、を備えている。屋内側指示ユニット40も出入管理装置26に接続されており、利用者によって屋内側テンキー42が操作されることで入力された情報や屋内側鍵検知部44による検知結果は出入管理装置26に入力される。
【0043】
なお、屋内側鍵検知部44についても、屋外側鍵検知部38と同様に、居住者用の鍵がシリンダ錠用の鍵であれば、居住者用の鍵であれば回転可能なシリンダ錠と、当該シリンダ錠が回転されたか否かを検出するセンサと、を備えた構成を採用することができ、居住者用の鍵がトランスポンダキー等の電子キーであれば、電子キーから無線で送信されたID等の情報を受信し、予め設定された情報と照合し、一致した場合に居住者用の鍵有りと判定する構成を採用することができる。
【0044】
また、出入管理装置26の通信I/F部26Dは、通信網46を介し、集合住宅12の管理を行う管理会社48に設置されたコンピュータ及び集合住宅の警備を行う警備会社50に設置されたコンピュータと各々接続されており、出入管理装置26は、管理会社48のコンピュータ及び警備会社50のコンピュータと通信可能とされている。なお、集合住宅12には、例えば共用部分24を撮像する監視カメラ等を含む監視システムが設置されていてもよく、この場合、出入管理装置26は監視システムとも接続される。
【0045】
次に本第1実施形態の作用を説明する。本第1実施形態では、利用者が共用玄関扉22の一時開放(一時解錠)を指示するための暗証番号として、個々の住戸14毎に事前に設定された居住者用の暗証番号と、集合住宅12の個々の来訪者に割り当てる複数の来訪者用の暗証番号と、が用意されている。居住者用の暗証番号は対応する住戸14を識別するための住戸IDと対応付けて暗証番号テーブルに予め登録されており、来訪者用の暗証番号は来訪者用の暗証番号であることを表す情報と対応付けて暗証番号テーブルに予め登録されている。
【0046】
従って、本第1実施形態において、集合住宅12の居住者は、居住者用の鍵を用いるか、屋外側指示ユニット34の屋外側テンキー36(又は屋内側指示ユニット40の屋内側テンキー42)を操作して居住者用暗証番号を入力することで、共用玄関扉22の一時開放(一時解錠)を指示可能とされている。このように、居住者が共用玄関扉22の一時開放(解錠)を指示するための第2の指示方法として、居住者用の鍵を用いる方法と、居住者用暗証番号を入力する方法と、が各々用意されていることで、居住者は、例えばゴミ捨て等の短時間の外出でも居住者用の鍵を所持する必要がなくなるので、居住者の利便性が向上する。
【0047】
一方、来訪者用の暗証番号は集合住宅12と無関係な人に対しては秘密とされている。これにより、集合住宅12と無関係な人が屋外側指示ユニット34の屋外側テンキー36(又は屋内側指示ユニット40の屋内側テンキー42)を操作して来訪者用の暗証番号を入力することで、集合住宅12の共用部分24に侵入することが阻止される。また、集合住宅12の何れかの住戸14への配達物の配達を予定している配達者等に対しては、配達先の住戸14の居住者により、複数の来訪者用暗証番号のうち非使用状態の来訪者用暗証番号が配達者に対して事前に教示される。これにより、配達者等の個々の来訪者に対して互いに異なる来訪者用暗証番号が教示されると共に、配達者等は屋外側指示ユニット34の屋外側テンキー36(又は屋内側指示ユニット40の屋内側テンキー42)を操作して事前に教示された来訪者用の暗証番号を入力することで、集合住宅12の共用部分24に入場することが可能となる。
【0048】
なお、非使用状態の来訪者用暗証番号は、居住者が室内側ユニット30を介して出入管理装置26に問い合わせ、出入管理装置26から通知されることで認識できる。また、出入管理装置26は暗証番号テーブルに登録されている来訪者用暗証番号のうち、上記の問い合わせに応答して通知した来訪者用暗証番号に対して使用中フラグを付与する。来訪者用暗証番号に付加した使用中フラグは、対応する来訪者用暗証番号を屋内側テンキー42に入力して集合住宅12外へ退去した来訪者が出現すると消去され、これにより、対応する来訪者用暗証番号が非使用状態に戻ることになる。
【0049】
なお、例えば居住者の友人や親類等、居住者の住戸14を訪問し、住戸14内で滞留する来訪者については、居住者が居住者用暗証番号を事前に教示しておくことで、居住者として共用玄関20を通過させるようにしてもよいし、来訪者が屋外側指示ユニット34を操作して居住者を呼び出し、居住者が室内側ユニット30を操作して共用玄関扉22の一時開放(一時解錠)を指示するか、或いは、居住者が共用玄関20へ出向いて屋内側指示ユニット40を介して共用玄関扉22の一時開放(一時解錠)を指示することで、上記の来訪者が共用玄関20を通過することを実現することも可能である。
【0050】
以下、集合住宅管理装置10の出入管理装置26によって常時実行される出入管理処理について、図3を参照して説明する。出入管理処理では、まずステップ60において、屋外側指示ユニット34の屋外側鍵検知部38により、共用部分24への入場を所望している利用者が居住者用の鍵を所持していることが検知されるか、又は、屋内側指示ユニット40の屋内側鍵検知部44により、共用部分24から屋外側への退去を所望している利用者が居住者用の鍵を所持していることが検知されたか否か判定する。
【0051】
ステップ60の判定が否定された場合はステップ64へ移行し、屋外側指示ユニット34の屋外側テンキー36が操作されたか否か判定する。ステップ64の判定も否定された場合はステップ66へ移行し、屋内側指示ユニット40の屋内側テンキー42が操作されたか否か判定する。ステップ66の判定も否定された場合はステップ67へ移行し、居住者から室内側ユニット30を介して警備の解除が指示されたか否か判定する。ステップ67の判定も否定された場合はステップ60に戻り、ステップ60,64〜67の何れかの判定が肯定される迄、ステップ60,64〜67を繰り返す。
【0052】
集合住宅12の居住者は、居住者用の鍵を所持している状態で共用玄関20を通過する場合、居住者用の鍵がシリンダ錠用の鍵であれば、屋外側鍵検知部38又は屋内側鍵検知部44のシリンダ錠に居住者用の鍵を挿入し、シリンダ錠を回転させる操作を行い、居住者用の鍵がトランスポンダキー等の電子キーであれば、当該電子キーに設けられたボタンを押すことでID等の情報を電子キーから無線によって送信させる操作を行う。
【0053】
上記の操作が行われると、屋外側鍵検知部38又は屋内側鍵検知部44によって居住者用の鍵の存在が検知されることで、ステップ60の判定が肯定されてステップ62へ移行し、共用玄関扉開閉部32によって共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させ、ステップ60に戻る。これにより、居住者用の鍵を所持している状態の居住者が共用玄関20を通過することが可能となる。
【0054】
また、居住者又は来訪者によって屋外側テンキー36が操作されると、ステップ64の判定が肯定されてステップ68へ移行し、屋外側テンキー36を介して入力された番号を暗証番号テーブルに登録されている居住者用の暗証番号と照合し、何れかの住戸14の居住者用暗証番号と一致しているか否かに基づいて、居住者用暗証番号が入力されたか否か判定する。ステップ68の判定が否定された場合はステップ70へ移行し、屋外側テンキー36を介して入力された番号を、暗証番号テーブルに登録され使用中フラグが付加されている来訪者用の暗証番号と照合し、何れかの来訪者用暗証番号と一致しているか否かに基づいて、来訪者用暗証番号が入力されたか否か判定する。
【0055】
ステップ70の判定が否定された場合はステップ78へ移行し、屋外側指示ユニット34の表示部にメッセージを表示する等により、番号を入力した利用者に対し、入力された番号が誤り(登録された暗証番号と不一致)であることを通知する。ステップ80では、何れの暗証番号とも一致しない番号が入力された回数が所定回に達したか否か判定する。この判定が否定された場合は、暗証番号の再入力を要請するメッセージ等を屋外側指示ユニット34の表示部に表示した後にステップ60に戻り、ステップ60以降の処理を繰り返す。これにより、居住者、或いは来訪者用暗証番号が事前に教示された来訪者が、屋外側テンキー36を介して暗証番号を誤入力した場合、暗証番号を再入力する機会が与えられることになる。
【0056】
また、何れの暗証番号とも一致しない番号が入力された回数が所定回に達すると、ステップ80の判定が肯定されてステップ82へ移行し、共用玄関扉22の開放(解錠)を拒否することを通知するメッセージを屋外側指示ユニット34の表示部に表示し、屋外側テンキー36を介しての暗証番号の入力受け付けを一定時間停止する処理を行った後にステップ60に戻る。上記のように、暗証番号の再入力の回数を制限することで、集合住宅12と無関係の人が屋外側テンキー36を介して番号の入力を繰り返した場合に、入力された番号が暗証番号テーブルに登録されている暗証番号に偶然に一致してしまう可能性が低減される。
【0057】
また、屋外側テンキー36を操作した利用者が居住者であり、当該居住者によって居住者用暗証番号が誤り無く入力された場合には、ステップ68の判定が肯定されてステップ72へ移行し、共用玄関扉開閉部32によって共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させる。これにより、屋外側テンキー36を介して居住者用暗証番号を入力した居住者が共用玄関20を通過することが可能となる。なお、ステップ68の判定が肯定された場合にステップ72で共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させる処理は、本発明における共用錠装置(より詳しくは請求項10に記載の共用錠装置)による処理の一例である。次のステップ74では、居住者によって入力された居住者用暗証番号と、共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させた時刻(タイマスタート時刻)と、を対応付けてメモリ26Bに各々記憶させる。
【0058】
またステップ76では、居住者用のタイマをスタートさせてステップ60に戻り、ステップ60以降の処理を繰り返す。なお、居住者用のタイマは、共用玄関扉22の設置位置近傍の屋外側に位置していた居住者が、共用玄関20を通過し共用部分24を通過して住戸14に入室した後に、室内側ユニット30を操作して警備の解除を指示する操作を行うのに要する時間に、十分な余裕時間を加算した時間に設定されている。共用玄関20を通過した居住者が、上記のように室内側ユニット30を操作して警備の解除を指示する操作を行うと、ステップ67の判定が肯定されてステップ108へ移行し、ステップ76でスタートさせた居住者用のタイマがストップされる。
【0059】
また、屋外側テンキー36を操作した利用者が、事前に来訪者用暗証番号の教示を受けた来訪者(例えば配達者)であり、当該来訪者によって来訪者用暗証番号が誤り無く入力された場合には、ステップ70の判定が肯定されてステップ84へ移行し、共用玄関扉開閉部32によって共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させる。これにより、屋外側テンキー36を介して来訪者用暗証番号を入力した来訪者が共用玄関20を通過することが可能となる。従って、事前に来訪者用暗証番号の教示を受けた配達者等については、共用玄関20を通過した後、共用部分24を通過して配達先の住戸14へ配達物を配達することが可能となり、居住者の利便性を確保することができる。なお、ステップ70の判定が肯定された場合にステップ84で共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させる処理は、本発明の共用錠装置(より詳しくは請求項6に記載の共用錠装置)による処理の一例である。
【0060】
次のステップ86では、来訪者によって入力された来訪者用暗証番号と、共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させた時刻(タイマスタート時刻)と、タイムアウト回数(初期値は0)と、を対応付けてメモリ26Bに各々記憶させる。またステップ88では、来訪者用のタイマをスタートさせてステップ60に戻り、ステップ60以降の処理を繰り返す。なお、来訪者用のタイマは、来訪者として配達者を想定し、共用玄関扉22の設置位置近傍の屋外側に位置していた配達者が、共用玄関20を通過し共用部分24を通過して配達先の住戸14へ配達物を届けた後に、共用部分24を通過して共用玄関20に到達するのに要する時間に、十分な余裕時間を加算した時間に設定されている。
【0061】
一方、居住者又は来訪者によって屋内側テンキー42が操作された場合には、ステップ66の判定が肯定されてステップ90へ移行し、屋内側テンキー42を介して入力された番号を暗証番号テーブルに登録されている居住者用の暗証番号と照合し、何れかの住戸14の居住者用暗証番号と一致しているか否かに基づいて、居住者用暗証番号が入力されたか否か判定する。ステップ90の判定が否定された場合はステップ92へ移行し、屋内側テンキー42を介して入力された番号を、暗証番号テーブルに登録され使用中フラグが付加されている来訪者用の暗証番号と照合し、何れかの来訪者用暗証番号と一致しているか否かに基づいて、来訪者用暗証番号が入力されたか否か判定する。
【0062】
ステップ92の判定が否定された場合はステップ96へ移行し、屋内側指示ユニット40の表示部にメッセージを表示する等により、番号を入力した利用者に対し、入力された番号が誤り(登録された暗証番号と不一致)であることを通知する。ステップ98では、何れの暗証番号とも一致しない番号が入力された回数が所定回に達したか否か判定する。この判定が否定された場合は、暗証番号の再入力を要請するメッセージ等を屋内側指示ユニット40の表示部に表示した後にステップ60に戻り、ステップ60以降の処理を繰り返す。これにより、居住者、或いは共用部分24に入場している来訪者が屋内側テンキー42を介して暗証番号を誤入力した場合、暗証番号を再入力する機会が与えられることになる。
【0063】
また、何れの暗証番号とも一致しない番号が入力された回数が所定回に達すると、ステップ98の判定が肯定されてステップ100へ移行し、共用玄関扉22の開放(解錠)を拒否することを通知するメッセージを屋外側指示ユニット34の表示部に表示する。また、次のステップ102では、正規の暗証番号を入力できず共用部分24に閉じこめられている利用者が存在していることを管理会社48のコンピュータへ通報した後にステップ60に戻る。これにより、管理会社48の管理者が集合住宅12へ出向き、状況の確認や管理者用の操作による共用玄関扉22の開放(解錠)等の対処がとられることになる。
【0064】
また、屋内側テンキー42を操作した利用者が居住者であり、当該居住者によって居住者用暗証番号が誤り無く入力された場合には、ステップ90の判定が肯定されてステップ94へ移行し、共用玄関扉開閉部32によって共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させてステップ60に戻る。これにより、屋内側テンキー42を介して居住者用暗証番号を入力した居住者が共用玄関20を通過することが可能となる。なお、ステップ90の判定が肯定された場合にステップ94で共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させる処理は、本発明における共用錠装置(より詳しくは請求項10に記載の共用錠装置)による処理の一例である。
【0065】
また、屋内側テンキー42を操作した利用者が、事前に来訪者用暗証番号の教示を受けた配達者等の来訪者であり、当該来訪者によって来訪者用暗証番号が誤り無く入力された場合には、ステップ92の判定が肯定されてステップ104へ移行し、共用玄関扉開閉部32によって共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させる。これにより、屋内側テンキー42を介して来訪者用暗証番号を入力した来訪者が共用玄関20を通過することが可能となる。なお、ステップ92の判定が肯定された場合にステップ104で共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させる処理は、本発明における共用錠装置(より詳しくは請求項6に記載の共用錠装置)による処理の一例である。
【0066】
次のステップ106では、先のステップ88でスタートさせた来訪者用のタイマのうち、来訪者用暗証番号を入力した来訪者に対応する来訪者用のタイマ(来訪者によって入力された来訪者用暗証番号と対応付けてメモリ26Bに記憶されている共用玄関扉22の開放(解錠)時刻にスタートさせた来訪者用のタイマ)を停止させ、暗証番号テーブルに登録されている来訪者用暗証番号のうち、来訪者によって入力された来訪者用暗証番号に付加されている使用中フラグを消去する。なお、ステップ106は先のステップ92と共に本発明における退去検知手段(より詳しくは請求項6,7に記載の退去検知手段)による処理の一例である。
【0067】
次に、来訪者用のタイマ又は居住者用のタイマがタイムアウトした場合に出入管理装置26によって実行されるタイマタイムアウト時処理について、図4を参照して説明する。このタイマタイムアウト時処理では、まずステップ120において、タイムアウトしたタイマのスタート時刻と対応付けてメモリ26Bに記憶されている暗証番号をメモリ26Bから読み出す。次のステップ122では、ステップ120でメモリ26Bから読み出した暗証番号を暗証番号テーブルに登録されている個々の暗証番号と照合し、暗証番号の照合結果に基づき、メモリ26Bから読み出した暗証番号が来訪者用の暗証番号か否か(タイムアウトしたタイマが来訪者用のタイマか否か)判定する。
【0068】
ステップ122の判定が肯定された場合、集合住宅12の共用部分24には、共用玄関20を通過して共用部分24に入場してからの経過時間が来訪者用のタイマが1回以上タイムアウトする時間に達している来訪者が存在していると判断できる。このため、ステップ124では、タイムアウトしたタイマのスタート時刻と対応付けてメモリ26Bに記憶されているタイムアウト回数をメモリ26Bから読み出し、次のステップ126では、ステップ124でメモリ26Bから読み出したタイムアウト回数に応じて分岐する。
【0069】
タイムアウト回数は初期値が0であり、読み出したタイムアウト回数が0の場合はステップ126からステップ128へ移行し、個々の住戸14に設置された室内側ユニット30のスピーカからアラーム音を出力させると共に、表示部にメッセージを表示させる等により、規定時間以上滞留している来訪者が共用部分24に存在していることを各住戸14の居住者へ各々通報する。これにより、各住戸14の居住者が、共用部分24に規定時間以上滞留している来訪者の存在を認識することができ、例えば住戸14から共用部分24へ出る等の行動を一時的に控える等の対処をとることで、セキュリティ性を向上させることができる。
【0070】
次のステップ132では、メモリ26Bに記憶されているタイムアウト回数を1だけインクリメントする。そしてステップ134では、来訪者用のタイマ再スタートさせると共に、メモリ26Bに記憶されているタイマのスタート時刻を更新し、タイマタイムアウト時処理を終了する。
【0071】
また、対応する来訪者用のタイマが1回タイムアウトした来訪者が、その後も集合住宅12の共用部分24に滞留していた場合、対応する来訪者用のタイマが再度タイムアウトすることでタイマタイムアウト時処理が再度起動される。この場合、ステップ124で取得したタイムアウト回数が1になっていることで、ステップ126からステップ130へ移行し、集合住宅12の共用部分24に規定時間の2倍以上の時間滞留している来訪者が存在していることを集合住宅12の管理会社48のコンピュータへ通報する。これにより、管理会社48の管理者が集合住宅12へ出向き、状況の確認や滞留者への尋問等の対処がとられることで、セキュリティ性を向上させることができる。
【0072】
また、対応する来訪者用のタイマが2回タイムアウトした来訪者が、その後も集合住宅12の共用部分24に滞留していた場合、対応する来訪者用のタイマが再度タイムアウトすることでタイマタイムアウト時処理が再度起動される。この場合、ステップ124で取得したタイムアウト回数が2になっていることで、ステップ126からステップ136へ移行し、集合住宅12の共用部分24に規定時間の3倍以上の時間滞留している来訪者が存在していることを警備会社50のコンピュータへ通報する。これにより、警備会社50の警備者が集合住宅12へ出向き、状況の確認や滞留者への尋問、排除、警察への通報等の対処がとられることで、セキュリティ性を向上させることができる。
【0073】
なお、上述したステップ128,130,136は本発明における第1の警備処理(より詳しくは請求項4,5に記載の第1の警備処理)の一例である。
【0074】
一方、居住者用のタイマがタイムアウトした場合はステップ122の判定が肯定されてステップ138へ移行し、居住者による共用部分24の通過に時間が掛かっていることを管理会社48のコンピュータへ通報する。これにより、管理会社48の管理者が集合住宅12へ出向き、状況の確認等の対処がとられることで、セキュリティ性を向上させることができる。
【0075】
なお、ステップ138は本発明における第2の警備処理の一例である。また、上述したタイマタイムアウト時処理は、出入管理処理(図3)のステップ76,88と共に本発明における制御手段(より詳しくは請求項1〜5,11に記載の制御手段)による処理の一例である。
【0076】
また、屋外側テンキー36を操作した利用者が居住者であり、当該居住者によって居住者用暗証番号が誤り無く入力された場合の処理は、上記で説明した処理に限られるものではない。例えば、居住者用のタイマをスタートさせたり、居住者用のタイマのタイムアウトを監視する等の処理を行うことなく、単に共用玄関扉開閉部32によって共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させる処理を行うようにしてもよい。請求項2記載の発明は、このような態様も権利範囲に含むものである。
【0077】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0078】
図5には本第2実施形態に係る集合住宅管理装置52が示されている。集合住宅管理装置52は、第1実施形態で説明した集合住宅管理装置10と比較して、屋外側指示ユニット34に、屋外側テンキー36を操作する利用者の顔を撮像する屋外側撮像部54が設けられており、屋内側指示ユニット40に、屋内側テンキー42を操作する利用者の顔を撮像する屋内側撮像部56が設けられている点で相違している。なお、屋外側撮像部54及び屋内側撮像部56は請求項8,9に記載の撮影手段の一例である。
【0079】
また、第1実施形態では、来訪者用暗証番号が予め複数用意され、個々の来訪者に対して互いに異なる来訪者用暗証番号が教示される態様を説明したが、本第2実施形態では、来訪者用暗証番号として単一の暗証番号が用意されており、個々の来訪者に対して同一の来訪者用暗証番号が教示される。
【0080】
次に図6を参照し、本第2実施形態に係る出入管理処理を説明する。本第2実施形態に係る出入管理処理では、利用者(居住者又は来訪者)によって屋外側テンキー36が操作されてステップ64の判定が肯定された場合、ステップ110へ移行し、屋外側テンキー36を操作した利用者の顔を屋外側撮像部54によって撮影し、この撮影によって得られた顔画像をメモリ26Bに記憶させる。そしてステップ68へ移行し、居住者用暗証番号が入力されたか否か判定する。
【0081】
また、屋外側テンキー36を操作した利用者が、事前に来訪者用暗証番号の教示を受けた来訪者(例えば配達者)であり、当該来訪者によって来訪者用暗証番号が誤り無く入力されることで、ステップ70の判定が肯定された場合には、ステップ84で共用玄関扉開閉部32によって共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させた後に、次のステップ87において、来訪者用暗証番号、共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させた時刻(タイマスタート時刻)、タイムアウト回数(初期値は0)に加え、先のステップ110の撮影によって得られた顔画像も各々対応付けてメモリ26Bに各々記憶させる。
【0082】
一方、利用者(居住者又は来訪者)によって屋内側テンキー42が操作されてステップ66の判定が肯定された場合はステップ112へ移行し、屋内側テンキー42を操作した利用者の顔を屋内側撮像部56によって撮影し、この撮影によって得られた顔画像をメモリ26Bに記憶させる。そしてステップ68へ移行し、居住者用暗証番号が入力されたか否か判定する。
【0083】
また、屋内側テンキー42を操作した利用者が、事前に来訪者用暗証番号の教示を受けた配達者等の来訪者であり、当該来訪者によって来訪者用暗証番号が誤り無く入力された場合には、ステップ92の判定が肯定されてステップ114へ移行し、先のステップ112の撮影によって得られた顔画像を、来訪者用暗証番号と対応付けてメモリ26Bに記憶されている顔画像とパターンマッチング等によって比較し(顔画像が複数記憶されている場合は個々の顔画像と各々比較する)、ステップ112で撮影された顔画像と同一の顔を現す顔画像を抽出する。
【0084】
そしてステップ104では、共用玄関扉開閉部32によって共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させ、次のステップ107では、ステップ114で抽出した顔画像と対応付けてメモリ26Bに記憶されている共用玄関扉22の開放(解錠)時刻にスタートさせた来訪者用のタイマ)を停止させる。このように、本第2実施形態では、第1実施形態において個々の来訪者が入力した来訪者用暗証番号に代えて、個々の来訪者の顔画像に基づいて個々の来訪者が識別される。
【0085】
なお、上述したステップ92,114,107は本発明における退去検知手段(より詳しくは請求項8に記載の退去検知手段)による処理の一例である。
【0086】
次に図7を参照し、本第2実施形態に係るタイマタイムアウト時処理について、第1実施形態で説明したタイマタイムアウト時処理(図4)と異なる部分のみ説明する。
【0087】
本第2実施形態に係るタイマタイムアウト時処理では、来訪者用のタイマがタイムアウトし、メモリ26Bから読み出したタイムアウト回数が0の場合、ステップ129において、個々の住戸14に設置された室内側ユニット30のスピーカからアラーム音を出力させると共に、表示部にメッセージを表示させる等により、規定時間以上滞留している来訪者が共用部分24に存在していることを各住戸14の居住者へ各々通報する処理が行われるが、このとき、タイムアウトしたタイマのスタート時刻と対応付けてメモリ26Bに記憶されている顔画像をメモリ26Bから読み出し、室内側ユニット30の表示部に表示させる処理も行われる。
【0088】
これにより、各住戸14の居住者が、共用部分24に規定時間以上滞留している来訪者の存在を認識できると共に、該当する居住者の顔も認識することができ、セキュリティ性を更に向上させることができる。
【0089】
また、対応する来訪者用のタイマが1回タイムアウトした来訪者が、その後も集合住宅12の共用部分24に滞留していた場合はステップ126からステップ131へ移行し、集合住宅12の共用部分24に規定時間の2倍以上の時間滞留している来訪者が存在していることを集合住宅12の管理会社48のコンピュータへ通報すると共に、該当する来訪者の顔画像もメモリ26Bから読み出して管理会社へ通知する。これにより、管理会社48の管理者が集合住宅12へ出向き、状況の確認や滞留者への尋問等の対処をとる際に、長時間滞留している来訪者を確実に認識できることで、セキュリティ性を更に向上させることができる。
【0090】
また、対応する来訪者用のタイマが2回タイムアウトした来訪者が、その後も集合住宅12の共用部分24に滞留していた場合はステップ126からステップ137へ移行し、集合住宅12の共用部分24に規定時間の3倍以上の時間滞留している来訪者が存在していることを警備会社50のコンピュータへ通報すると共に、該当する来訪者の顔画像もメモリ26Bから読み出して管理会社へ通知する。これにより、警備会社50の警備者が集合住宅12へ出向き、状況の確認や滞留者への尋問、排除、警察への通報等の対処をとる際に、長時間滞留している来訪者を確実に認識できることで、セキュリティ性を更に向上させることができる。
【0091】
なお、上記の第2実施形態では、来訪者用暗証番号として単一の暗証番号が用意され、個々の来訪者の顔画像に基づいて個々の来訪者を識別する態様を説明したが、これに限られるものではなく、来訪者用暗証番号として複数の暗証番号を予め設定しておき、個々の来訪者に互いに異なる来訪者用暗証番号を教示しておき、来訪者が屋内側テンキー42を介して入力した来訪者用暗証番号と、前記来訪者の顔と、の組み合わせに基づいて、来訪者が共用部分24から共用玄関20を通過して集合住宅12の外へ退去する際の来訪者の認識を行うようにしてもよい。
【0092】
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
図8には本第3実施形態に係る集合住宅管理装置56が示されている。本第3実施形態では、居住者が共用玄関扉22の一時開放(解錠)を指示するための第2の指示方法として、居住者用の鍵を用いる方法のみが設けられ、居住者用暗証番号を入力する方法が省略されている。また、来訪者用暗証番号については、第1実施形態と同様に予め複数設定され、集合住宅12の何れかの住戸14へ配達物を配達する配達者等の来訪者に対しては、配達先の住戸14の居住者により、複数の来訪者用暗証番号のうち非使用状態の来訪者用暗証番号が事前に教示されることで、配達者等の個々の来訪者に対して互いに異なる来訪者用暗証番号が教示される。
【0094】
また、集合住宅管理装置56は、第2実施形態で説明した集合住宅管理装置52と比較して、出入管理装置26の記憶部26Cに暗証番号テーブルに代えて暗証番号・顔画像テーブルが記憶され、この暗証番号・顔画像テーブルには、複数の来訪者用暗証番号に加えて、配達物の配達等を目的として集合住宅12を定期的に来訪する全ての来訪者の顔画像が予め登録されている。なお、暗証番号・顔画像テーブルを記憶する記憶部26Cは請求項9に記載の記憶手段の一例である。
【0095】
また、本第3実施形態では、屋内側指示ユニット40に設けられている屋内側撮像部56が、第2実施形態のように屋内側テンキー42を操作する利用者の顔を撮像することに代えて、共用玄関扉22近傍の屋内側の空間に存在する利用者を撮像するように、撮像範囲が調整されている。更に、本第3実施形態では居住者用の鍵が、スイッチがオンされると予め設定されたID等の情報を無線で送信するトランスポンダキー等の電子キーで構成されている。
【0096】
次に図9を参照し、本第2実施形態に係る出入管理処理を説明する。本第3実施形態に係る出入管理処理では、第1実施形態に係る出入管理処理(図3)や第2実施形態に係る出入管理処理(図6)のように、ステップ64の判定が否定された場合にステップ66で屋外側指示ユニット34の屋外側テンキー36が操作されたか否か判定することに代えて、ステップ65において、屋内側撮像部56によって共用玄関扉22近傍の屋内側の空間を撮影し、この撮影によって得られた画像に基づいて、共用玄関扉22近傍の屋内側の空間に共用部分24から退去しようとしている利用者が存在しているか否か判定する。ステップ65の判定が否定された場合はステップ67へ移行する。
【0097】
また、本第3実施形態に係る出入管理処理では、利用者(居住者又は来訪者)によって屋外側テンキー36が操作されてステップ64の判定が肯定された場合に、第2実施形態と同様に、ステップ110で屋外側テンキー36を操作した利用者の顔を屋外側撮像部54によって撮影し、この撮影によって得られた顔画像をメモリ26Bに記憶させる。
【0098】
前述のように、本第3実施形態では居住者用暗証番号が設定されておらず、居住者は、居住者用の鍵を用いる方法でのみ共用玄関扉22の一時開放(解錠)を指示可能とされているので、第3実施形態では、居住者用暗証番号が入力されたか否かを判定するステップ68が省略され、ステップ110の処理を行うとステップ70へ移行し、屋外側テンキー36を介して入力された番号を、暗証番号テーブルに登録され使用中フラグが付加されている来訪者用の暗証番号と照合し、何れかの来訪者用暗証番号と一致しているか否かに基づいて、来訪者用暗証番号が入力されたか否か判定する。
【0099】
ここで、事前に来訪者用暗証番号の教示を受けた来訪者(例えば配達者)によって屋外側テンキー36が操作され、当該来訪者によって来訪者用暗証番号が誤り無く入力された場合には、ステップ70の判定が肯定されてステップ115へ移行し、先のステップ110でメモリ26Bに記憶させた顔画像と同一の顔を表す顔画像が暗証番号・顔画像テーブルに登録されているか否か判定する。ステップ115の判定が否定された場合、屋外側テンキー36を介して来訪者用暗証番号を入力した来訪者は、配達物の配達等を目的として集合住宅12を定期的に来訪する来訪者でないと判断できるので、ステップ82へ移行し、共用玄関扉22の開放(解錠)を拒否することを通知するメッセージを屋外側指示ユニット34の表示部に表示してステップ60に戻る。
【0100】
これにより、来訪者用暗証番号が何らかの理由により集合住宅12と無関係な人に漏洩したとしても、集合住宅12と無関係な人が集合住宅12の共用部分24に入場することが阻止される。なお、上記のステップ115と、ステップ115の判定が否定された場合にステップ82で共用玄関扉22の開放(解錠)を拒否する処理は、請求項9に記載の制御手段による処理の一例である。
【0101】
また、ステップ115の判定が肯定された場合、屋外側テンキー36を介して来訪者用暗証番号を入力した来訪者は、配達物の配達等を目的として集合住宅12を定期的に来訪する来訪者と判断できるので、共用玄関扉開閉部32によって共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させ(ステップ84)、入力された来訪者用暗証番号、共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させた時刻(タイマスタート時刻)及びタイムアウト回数(初期値は0)を対応付けてメモリ26Bに各々記憶させ(ステップ86)、来訪者用のタイマをスタートさせる(ステップ88)処理を順に行う。
【0102】
また、共用玄関扉22近傍の屋内側の空間に共用部分24から退去しようとしている利用者の存在が検知されることで、前述のステップ65の判定が肯定された場合はステップ116へ移行し、屋内側指示ユニット40のスピーカからアラーム音を出力させると共に、屋内側指示ユニット40の表示部にメッセージを表示させる等により、共用玄関扉22近傍の屋内側の空間に存在している利用者に対し、居住者用の鍵(電子キー)の所持を検知できないことを通知し、来訪者であれば来訪者用暗証番号を入力を要請する。また、次のステップ117では一定時間以内に屋内側テンキー42を介して番号が入力されたか否か判定する。
【0103】
前述のように、本第3実施形態では居住者用暗証番号が設定されておらず、居住者は、居住者用の鍵を用いる方法でのみ共用玄関扉22の一時開放(解錠)を指示可能とされている。このため、共用玄関扉22近傍の屋内側の空間に存在している利用者が居住者であった場合、当該居住者は、上記の通知により、居住者用の鍵(電子キー)を住戸14に置き忘れたまま外出しようとしていたことを認識し、住戸14に戻って居住者用の鍵(電子キー)を所持する等の行動を行う。これにより、居住者用の鍵(電子キー)を住戸14に置き忘れたまま外出することで、外出後に共用玄関20を通過できない等の事態に陥ることが未然に防止される。また、この場合はステップ117の判定が否定されてステップ60に戻り、ステップ60以降の処理が繰り返される。
【0104】
一方、共用玄関扉22近傍の屋内側の空間に存在している利用者が居住者であった場合、当該居住者は、上記の要請に従い、屋内側テンキー42を介して来訪者用暗証番号を入力する。これにより、ステップ117の判定が肯定されてステップ92へ移行し、屋内側テンキー42を介して来訪者用の暗証番号が入力されたか否か判定する。来訪者によって来訪者用暗証番号が誤り無く入力された場合はステップ92の判定が肯定され、共用玄関扉22を一時的に開放(解錠)させ(ステップ104)、来訪者用暗証番号を入力した来訪者に対応する来訪者用のタイマを停止させる(ステップ106)処理が順に行われることになる。
【0105】
なお、上記では居住者によって屋外側テンキー36が操作されて居住者用の暗証番号が入力された場合に、居住者用のタイマをスタートさせ、居住者による共用部分24の通過時間を確認していたが、これに限られるものではなく、屋外側鍵検知部38によって居住者用の鍵の存在が検知された場合も居住者用のタイマをスタートさせ、同様の処理を行うようにしてもよい。
【0106】
また、上記では居住者によって室内側ユニット30が操作されて警備の解除が指示された場合に居住者用のタイマを停止させていたが、これに限られるものではなく、住戸14の個別錠装置28が施錠状態から解錠状態に切り替わった場合に、居住者が共用部分24を通過して住戸14に到達したと判断して居住者用のタイマを停止させるようにしてもよい。
【0107】
また、上記では、共用部分24に入場した来訪者の滞留時間が長くなる(タイムアウト回数が多くなる)に従って通報先を切替える態様を説明したが、例えば通報先は一定(例えば居住者と管理会社48)で、来訪者の滞留時間が長くなる(タイムアウト回数が多くなる)に従って通報で通知する警戒レベルを高くするようにしてもよい。
【0108】
また、第1実施形態では、集合住宅12の何れかの住戸14への配達物の配達を予定している配達者等に対し、非使用状態の来訪者用暗証番号が事前に教示され、教示した来訪者用暗証番号を入力して集合住宅12外へ退去した来訪者が出現すると、対応する来訪者用暗証番号を非使用状態に戻す態様を説明し(第3実施形態も同様)、第2実施形態では、各来訪者が単一の来訪者用暗証番号を各々用いる態様を説明したが、これに限定されるものでもない。配達者の中にも、例えば新聞配達等のように集合住宅を定期的に(例えば毎日)来訪する配達者と、飲食物の配達のように注文を受けた場合にのみ不定期に来訪する配達者と、が存在することを考慮すると、定期的に来訪する配達者等に対しては来訪者用暗証番号を固定的に付与し(固定的に付与する来訪者用暗証番号は来訪者毎に相違させてもよいし、固定的に付与する来訪者用暗証番号は1つのみとし、第2実施形態のように来訪者の顔画像に基づいて個々の来訪者を識別してもよい)、不定期に来訪する配達者等に対しては来訪者用暗証番号を都度教示(付与)するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10,52,56 集合住宅管理装置
12 集合住宅
14 住戸
20 共用玄関
22 共用玄関扉
24 共用部分
26 出入管理装置
28 個別錠装置
30 室内側ユニット
32 共用玄関扉開閉部
34 屋外側指示ユニット
36 屋外側テンキー
38 屋外側鍵検知部
40 屋内側指示ユニット
42 屋内側テンキー
44 屋内側鍵検知部
54 屋外側撮像部
56 屋内側撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の住戸が設けられた集合住宅の共用玄関に設置され、前記共用玄関の通過を阻止する施錠状態の一時解除を、前記集合住宅の来訪者用の第1の指示方法及び前記集合住宅の居住者用の第2の指示方法で各々指示可能な共用錠装置と、
前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示して前記集合住宅の共用部分に入場した来訪者が、前記集合住宅外へ退去したか否かを検知する退去検知手段と、
前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、第1の警備処理として、前記一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、前記経過時間が予め設定された時間に達しても前記退去検知手段によって前記退去が検知されないときには通報し、前記退去検知手段によって前記退去が検知されない状態が更に継続したときには、前記通報を再度行うと共に、前記通報によって通知する警戒レベルを高くする、及び、前記通報の通報先をより警戒レベルの高い事象に対処可能な通報先へ切替える、の少なくとも一方を行う制御手段と、
を含む集合住宅の管理装置。
【請求項2】
複数の住戸が設けられた集合住宅の共用玄関に設置され、前記共用玄関の通過を阻止する施錠状態の一時解除を、前記集合住宅の来訪者用の第1の指示方法及び前記集合住宅の居住者用の第2の指示方法で各々指示可能な共用錠装置と、
前記集合住宅の個々の住戸に各々設けられた、警備解除を指示するための指示手段、又は、個々の住戸の玄関に設置された個別錠装置の解錠を検知する解錠検知手段と、
前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示して前記集合住宅の共用部分に入場した来訪者が、前記集合住宅外へ退去したか否かを検知する退去検知手段と、
前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、前記一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、前記経過時間が予め設定された時間に達しても前記退去検知手段によって前記退去が検知されないときには通報する第1の警備処理を行い、前記第2の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、前記第1の警備処理と異なる処理を行う制御手段と、
を含む集合住宅の管理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、前記第1の警備処理と異なる処理として、前記一時解除が指示されてからの経過時間を監視し、前記経過時間が予め設定された時間に達しても前記指示手段を介して警備解除が指示されないか、又は、前記経過時間が予め設定された時間に達しても前記解錠検知手段によって前記個別錠装置の解錠が検知されないときには通報する第2の警備処理を行う請求項2記載の集合住宅の管理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の警備処理として、前記通報を一旦行った後も前記退去検知手段によって前記退去が検知されない状態が更に継続したときには、前記通報を再度行うと共に、前記通報によって通知する警戒レベルを高くする、及び、前記通報の通報先をより警戒レベルの高い事象に対処可能な通報先へ切替える、の少なくとも一方を行う請求項2又は請求項3記載の集合住宅の管理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の警備処理において、最初に前記集合住宅の居住者に対して前記通報を行い、その後も前記退去検知手段によって前記退去が検知されない状態が継続していた場合は、前記通報の通報先を、より警戒レベルの高い事象に対処可能な通報先として、前記集合住宅の管理会社又は警備会社へ切替える処理を行う請求項1又は請求項4記載の集合住宅の管理装置。
【請求項6】
前記第1の指示方法は、予め登録された来訪者用の暗証番号を前記共用錠装置に入力する指示方法であり、
前記共用錠装置は、入力された暗証番号が予め登録された来訪者用の暗証番号に一致していた場合に前記施錠状態の一時解除を行い、
前記退去検知手段は、前記集合住宅外側から前記共用錠装置に前記来訪者用の暗証番号が入力されることで、前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された後、前記集合住宅の前記共用部分側から前記共用錠装置に前記来訪者用の暗証番号が入力されたか否かに基づいて、前記共用部分に入場した来訪者が前記集合住宅外へ退去したか否かを検知する請求項1〜請求項5の何れか1項記載の集合住宅の管理装置。
【請求項7】
前記来訪者用の暗証番号は個々の来訪者毎に予め登録され、
前記退去検知手段は、前記集合住宅外側から前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された際に入力された前記来訪者用の暗証番号と、前記共用部分側から前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された際に入力された前記来訪者用の暗証番号と、を比較することで、個々の来訪者を単位として前記集合住宅外へ退去したか否かを検知する請求項6記載の集合住宅の管理装置。
【請求項8】
前記共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示した指示者の顔を撮影する撮影手段を更に備え、
前記退去検知手段は、前記集合住宅外側から前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された際に前記撮影手段によって撮影された来訪者の顔画像と、前記共用部分側から前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された際に前記撮影手段によって撮影された来訪者の顔画像と、を比較することで、個々の来訪者を単位として前記集合住宅外へ退去したか否かを検知する請求項1〜請求項7の何れか1項記載の集合住宅の管理装置。
【請求項9】
前記共用錠装置の施錠状態の一時解除を指示した指示者の顔を撮影する撮影手段と、
前記集合住宅の来訪者として予め登録された人の顔画像を記憶する記憶手段と、
を更に備え、
前記制御手段は、前記第1の指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合に、前記撮影手段によって撮影された前記指示者の顔が前記記憶手段に顔画像として記憶されているか否かを判定し、前記指示者の顔が前記記憶手段に顔画像として記憶されていない場合は、前記共用錠装置の施錠状態が一時解除されないように制御する請求項1〜請求項8の何れか1項記載の集合住宅の管理装置。
【請求項10】
前記第2の指示方法には、予め登録された居住者用の暗証番号を前記共用錠装置に入力する指示方法が含まれており、
前記共用錠装置は、入力された暗証番号が予め登録された居住者用の暗証番号に一致していた場合に前記施錠状態の一時解除を行う請求項1〜請求項9の何れか1記載の集合住宅の管理装置。
【請求項11】
前記第2の指示方法には、前記集合住宅の居住者が所持する鍵又は電子キーを用いて指示する指示方法を含む複数の指示方法があり、
前記制御手段は、前記第2の指示方法のうち前記居住者が所持する前記鍵又は前記電子キーを用いた指示方法で前記共用錠装置の施錠状態の一時解除が指示された場合は、前記第2の警備処理を行わない請求項3〜請求項9の何れか1項記載の集合住宅の管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−2083(P2013−2083A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132399(P2011−132399)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】