説明

集合住宅の間取り選択システム

【課題】 集合住宅についての専門知識を持たない人であっても、容易に好みの間取りを選択できるようにした新たな間取り選択システムを提供する。
【解決手段】 住戸の間取り図などのデータを記録したデータベース1と、データベース1を管理するサーバ装置2と、通信網3を介してサーバ装置2に接続可能な端末装置4とを有し、端末装置から入居者情報(家族構成)と生活情報(ライフスタイル)とを入力することにより、生活情報を優先して入力された条件に該当する住戸の間取り図をデータベースから抽出し、端末装置に表示する集合住宅の間取り選択システムであって、データベースには、生活情報が暮らし方のアンケート形式により情報蓄積されて、住戸の間取り図と関連付けられており、端末装置による生活情報の入力が、端末装置の入力画面に表示された暮らし方を選択指示することで行われるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータによる集合住宅の間取り選択システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の集合住宅は、あらかじめ住戸の間取りが決まっており、顧客の要望で住戸の間取りを変更することは難しかったが、近年は、ライフスタイルの多様化によって、あらかじめ決められた間取りでは満足できないという顧客が増えており、最近では、顧客が間取りを自由に設計できる、いわゆるフリープラン方式と言われるものが提案されている。
【0003】
しかしながら、このフリープラン方式では、すべての顧客が建築に係わる専門知識を持っているとは限らないので、分譲時に設計相談できる専門家を必要とすることや、様々な間取り設計が行われるので、資材調達における積算業務や発注業務が煩雑になり、結果として、およそ100戸程度の分譲集合住宅までが限界で、それ以上規模が大きくなると対応できないとされている。
【0004】
そのため、現在では、いくつかの間取りの中から好みの間取りを選択できる、いわゆるセレクトプラン方式と言われるものが一般的になっている。
【0005】
ところが、このセレクトプラン方式も、ライフスタイルの多様化から、一つの住戸区画においても20〜30種類もの間取りが選べるものができており、100戸規模の分譲集合住宅でも住戸区画は10〜15区画程度はあるので、膨大な間取りの中から好みの間取りを選び出すのも並大抵ではなくなってきている。
【0006】
そこで、最近では、セレクトプラン方式において、コンピュータによる集合住宅の間取り選択システムが用いられるようになり、例えば、特開2003−141237号公報(特許文献1)あるいは特開2002−61400号公報(特許文献2)といった提案がなされるに至っている。
【0007】
ところが、特許文献1の間取り選択システムでは、多数の間取りの中から抽出する際に、抽出条件を階層化しているため、階層化された諸条件の上位条件の段階で選択をあやまった場合は、再度、上位の諸条件から入力する必要があるという課題があった。
【0008】
特に、特許文献1では、階層化された諸条件の上位条件として、住戸の価格から住戸面積を一義的に定めるようになっており不便な場合があった。
【0009】
確かに住居の購入には多額の費用を必要とするため、住戸の価格は選択の上で重要ではあるが、気に入った間取りが当初の予算より小額で見つかることもありうるし、逆に気に入った間取りがあれば、多少の予算オーバーも有りうるわけで、間取り選択システムとしては、まず気に入った間取りを抽出した上で、その後に価格検討する方がよいという意見がある。
【0010】
その意味では、特許文献2で提案されるライフステージ別間取り選択システム(段落0036以降)は、入居者数と年齢及び/又は趣向に応じて適した間取りを抽出し、比較することを上位条件としている点でよいという意見もある。
【0011】
但し、特許文献2のライフステージ別間取り選択システムも、抽出条件が階層化されていることに変わりは無く、例えば、家族構成と趣味趣向という条件からシステムが適切と
判断した間取りを表示し、その間取りが有する機能空間毎に好みの間取りを選択するが、結果として好みのものが見出せない場合は、上位の設定条件である機能空間の配分計画の設定段階までさかのぼり条件設定を変える必要が生じてくる。
【0012】
また、特許文献1と特許文献2に共通して言えることは、選択条件としての用語が難しいという課題がある。
【0013】
例えば、特許文献1では、間取り抽出における優先条件の設定方法として、部屋数や収納の広さ、リビングダイニングルームの広さを数値的に入力するようになっているが、自分が好みとするリビングダイニングルームの広さは何平米かを問われても、顧客は、にわかに答えがたい。
【0014】
しかも、仮に20平米としても、正方形か長方形か、窓はどこにあるかなどの条件によって、部屋の使い勝手が異なるため、単に広さだけでは、顧客が望む抽出条件にはならない。
【0015】
そもそも、空間は、床面の広さだけでなく、形状や天井高さも含めた上で認識されるものであり、当然のことながら、住戸全体面積におけるバランスというものも必要であり、単に床面の広さを聞かれても答えようがないという問題がある。
【0016】
また、特許文献2においても、機能空間の配分計画を選択するに当たって、キッチンなど水周りが住戸の中央にあるのが良いか、あるいはバルコニーに面しているのが良いか条件設定しろといわれても、その結果がどうなるのか予想もつかないため、顧客は悩んでしまう。
【0017】
つまり、どちらにも優位点と欠点があり、特に欠点は、水周り以外のところに表れる。例えば、キッチンなど水周りをバルコニー側に設けた場合、通常、バルコニー側にキッチン以外の部屋を2室設けることは難しくなるが、そうした条件が分からない者にとっては設定のしようがない。
【0018】
【特許文献1】特開2003−141237号公報
【特許文献2】特開2002−61400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記の問題点を踏まえてなされたもので、その目的とするところは、集合住宅についての専門知識を持たない人であっても、容易に好みの間取りを選択できるようにした新たな間取り選択システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は、次の通りである。即ち、請求項1に記載の発明による集合住宅の間取り選択システムは、住戸の間取り図などのデータを記録したデータベースと、データベースを管理するサーバ装置と、通信網を介してサーバ装置に接続可能な端末装置とを有し、端末装置から入居者情報(家族構成)と生活情報(ライフスタイル)とを入力することにより、生活情報を優先して入力された条件に該当する住戸の間取り図をデータベースから抽出し、端末装置に表示する集合住宅の間取り選択システムであって、データベースには、生活情報が暮らし方のアンケート形式により情報蓄積されて、住戸の間取り図と関連付けられており、端末装置による生活情報の入力が、端末装置の入力画面に表示された暮らし方を選択指示することで行われるようにしたことを特徴としている。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の集合住宅の間取り選択システムであって、端末装置の入力画面には、LD、キッチン、主寝室/洋室、和室/収納、その他など複数の選択肢が表示され、選択肢毎に暮らし方を選択指示するように構成されていることを特徴としている。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の集合住宅の間取り選択システムであって、端末装置の入力画面において、選択指示した暮らし方に優先順位を付けることが可能であり、選択指示されたすべての条件に該当する間取りが無い場合、優先順位が下位の入力項目が削除され、再度、検索されるように構成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の集合住宅の間取り選択システムであって、端末装置の検索結果を表示する画面に、削除された入力項目が表示されように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載の発明によれば、入居者情報(家族構成)と生活情報(ライフスタイル)の内、生活情報(ライフスタイル)を優先して、データベースの中から、条件に該当する住戸の間取りを抽出するので、従来のように家族構成から一義的に部屋数を限定することなく、よりライフスタイルにあった間取りの抽出が可能になる。
【0025】
即ち、従来の間取り選択システムでは、間取りの検索条件が階層的になっているために、4人家族であれば、通常、まず2LDKは適さないとして選択条件から削除されることになるが、同じ夫婦と子供2人の4人家族であっても、大きな子供部屋があり家具などで間仕切ればよいと思う顧客は、子供部屋と夫婦の部屋の2室からなる2LDKでもよい場合がある。また、2LDKと3LDKでは建築コストが異なるから、同じ予算でも、2LDKの方が3LDKよりも広い住戸区画を購入することが可能な場合もある。
【0026】
この点、請求項1に記載の発明によれば、生活情報(ライフスタイル)を優先して条件に該当する住戸の間取りを抽出するので、上述のように大きな子供部屋を設け、家具で間仕切りして部屋を有効に使う場合や、子供部屋が可動間仕切りで形成できるようになっており、昼間はリビングルームと一体的に広々と使える間取りなどが排除されず、3人家族であれば3LDK、4人家族であれば4LDKといった従来の枠組みにとらわれない自由な発想に基づく間取りを抽出できることになる。
【0027】
それでいて、生活情報(ライフスタイル)の入力項目が少なくて、検索結果が膨大になる場合には、入居者情報(家族構成)に基づいて絞込み検索が行われ、端末装置の検索結果表示画面に表示される間取りの数が適当な範囲に抑えられることになる。つまり、生活情報(ライフスタイル情報)の入力項目が少ないのは、特にこだわりを持たない人と考えられるので、ごく一般的な間取りを抽出する意味で従来のような入居者情報を用いた絞込みを行うことになり、端末装置の画面に表示される間取りの数を適当な範囲に抑制するのである。
【0028】
殊に、請求項1に記載の発明によれば、端末装置による生活情報(ライフスタイル)の入力が、端末装置の入力画面に表示された暮らし方を選択指示することで行われるので、集合住宅についての専門知識を持たない人であっても、容易に好みの間取りを選択できる効果がある。
【0029】
即ち、従来の間取り選択システムのように、部屋数や広さを数値的に入力したり、キッチンを部屋の中央に配置するかバルコニー側に配置するかを選択するのではなく、これら
の事項に代えて、入居予定者の暮らし方、例えば、キッチンであれば、「料理中でも家族と会話を楽しみたい」、「子供と一緒にお菓子造りをしたい」、「キッチンの中は他人に見られたくない」、「まとめ買いをする方なので収納を充実させたい」といった入居予定者が持つと思われる生活イメージや暮らし方に対するこだわりを項目化し、その中から選択するようにしたので、従来のようにキッチンは住戸の中央が良いか、バルコニー側が良いか、さらには、カウンターキッチンが良いか、オープンキッチンが良いかと問われ、それぞれどうゆうものか想像に困ることもないし、何平米くらい欲しいですかと問われ頭を悩ますこともない。
【0030】
請求項2に記載の発明によれば、端末装置の入力画面に、LD、キッチン、主寝室/洋室、和室/収納、その他など複数の選択肢を表示させ、選択肢毎に暮らし方を選択指示するようにしたので、自分のライフスタイルを自覚し、整理して、生活情報(ライフスタイル)の入力(暮らし方の選択指示)をスムーズに進めることができる。
【0031】
請求項3に記載の発明によれば、検索結果の該当0件を回避できる効果がある。即ち、顧客がせっかく生活情報(ライフスタイル)を入力しても、該当する物件が0件では、酷であるし、なぜ0件なのか理由も分からないので、再度の検索が困難になる。検索の結果、該当する物件が0件となる理由としては、暮らし方(生活イメージ)として相反する項目が選択されている、顧客が選択指示したすべての項目を満足する間取りが無いなどが考えられる。ところが、検索結果が0件であると、項目に該当する物件が無いのか、項目の指定に間違いがあるのか、また、間違いがあるとしてどの項目が間違いなのかが顧客には分からない。そこで、請求項3に記載の発明では、サーバ装置は、データベースの中を検索し、検索結果が0件となった段階で、まず入力された検索項目(生活情報)のうち、顧客が優先順位を付けた下位の項目を検索項目から削除して、再度の検索を行う。これにより、取りあえず、顧客が優先順位として上位に位置づけるものについて、検索結果を表示でき、検索結果の該当0件を回避できる。
【0032】
殊に、請求項4に記載の発明によれば、端末装置の検索結果を表示する画面に、削除された入力項目が表示されるので、顧客は相反する項目が指定されていたことを知ることができ、これを削除したり、優先順位を変えたり、他の項目を選択指示する等して、再度の検索が可能であり、改めて最初からデータ入力する必要がないので、再度の検索が容易になる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は本発明に係る集合住宅の間取り選択システムを示し、住戸の間取り図などのデータを記録したデータベース1と、データベース1を管理するサーバ装置2と、LANあるいはインターネットなどの通信網3を介してサーバ装置2に接続可能な端末装置4とを有している。端末装置4としては、表示部と入力部、演算部、記憶部を有するパソコンが用いられており、図2に示すように、端末装置4から入居者情報(家族構成である)と生活情報(ライフスタイルである)とを入力することにより、生活情報を優先して入力された条件に該当する住戸の間取り図をデータベース1から抽出し、端末装置4に表示するように構成されている。
【0034】
データベース1には、後述するように、生活情報(ライフスタイル)が暮らし方のアンケート形式により情報蓄積されており、生活情報の各項目(暮らし方)は、サーバ装置2に設定されたコード表によって住戸の間取り図と関連付けられている。図3は、生活情報の各項目と間取り図の関連付けを行うコード表を例示している。
【0035】
図2示した本システムの流れでは、入居者情報(家族構成)を入力し、次に生活情報(ライフスタイル)を入力し検索するので、従来の間取り選択システムと一見変わらないよ
うに見えるが、上図の動作の流れで分かるとおり、入居者情報(家族構成)に関して記憶部にデータは蓄積されるが、間取り検索では、基本的に生活情報(ライフスタイル)によって検索するところに本発明の第一の特徴がある。
【0036】
生活情報(ライフスタイル)の各項目内容の詳細については後述するが、結局は、生活情報の中で子供部屋に関するこだわりを問う項目があったり、各部屋の使い方を問う項目があるので、ほぼ必要とされる間取りを抽出可能である。
【0037】
従来であれば、入居予定者が1人である場合、4LDKや5LDKの間取りをあらかじめ除外して検索されるが、理由はともかく、たくさん部屋が欲しいと思う人がいるかもしれないので、検索範囲を最初から狭めることは行わない。本システムは、あくまで、ライフスタイルを優先するものである。
【0038】
また、生活情報(ライフスタイル)を用いて検索する理由としては、熟年夫婦であるから「和室のある住戸」という従来の枠組みを排除する意味もある。こういう間取りは若者向きとか熟年向きという概念は、ライフスタイルが多様化している現在では不要である。極端な言い方ではあるが、基本的には、年齢に関係なく生活情報(ライフスタイル)の入力段階で、和室を必要とする人に、和室のある間取りを抽出すればよいという考え方を優先している。詳細は後述するが、その意味で、生活情報(ライフスタイル)の項目設定は重要である。但し、生活情報(ライフスタイル)の入力項目が少なく、検索結果が多い場合は、入居者情報を用いて絞込みを行うことになる。つまり、生活情報(ライフスタイル)の入力項目が少ないのは、特にこだわりを持たない人と考えられるので、ごく一般的な間取りを抽出する意味で従来のような入居者情報を用いた絞込みを行う。また、入居予定者が3人以上の場合、1LDKの間取りは検索結果から除外されたり、4人以上の場合、2LDKや1LDKが検索結果から除外される場合がある。除外される場合とは、入居予定人数に対して部屋数が少なく、住戸全体の面積が狭い場合である。上述したように、4人家族であっても、大きな部屋があれば家具で仕切るなど住まいの工夫ができるが、住戸全体の面積が狭い場合はそうした対応が難しい。そのため、例えば、住戸面積の小さいものは、入居者情報に基づいて検索結果から除外される。但し、本発明の選択システムは、従来のように、入居者情報(家族構成)によって、一律に間取りを限定するのではなく、4人家族であっても十分に生活の工夫ができる広さのある住戸であれば、2LDKや1lDKであっても検索結果として抽出するという意味で、生活情報(ライフスタイル)を優先するというものである。
【0039】
尚、本システムにおいて、入居者情報(家族構成)から入力していく理由は、こうした手順を踏むことで、「2年後には子供がひとり増えるかも知れない」、「3年後には子供に個室が必要かも」、「5年後にはおばあちゃんを呼んで暮らそう」など、近い将来における自分のライフスタイルが自覚でき、生活情報(ライフスタイル)の入力がスムーズに進むと考えられるためである。
【0040】
以上のように、本システムでは、生活イメージや暮らし方のこだわりによって検索するので、3人家族であれば3LDK、4人家族であれば4LDKといった従来の枠組みにとらわれない、自由な発想に基づく間取りを抽出することができる。
【0041】
次に、上記の間取り選択システムの動作を、端末装置4の画面に表示される順序に従って具体的に説明する。
【0042】
図4は、サーバ装置2に接続した端末装置4に表示される初期画面であり、ここでは、顧客の氏名、電話番号などが入力される。
【0043】
図5は、入居者情報(家族構成)の入力画面であり、家族構成が入力される。お名前、電話番号の欄には、図4の画面で入力された結果が表示される。尚、図5における生年月の入力欄は、省略してもよく、20代、30代という年齢年代の入力欄に変えて実施してもよい。また、子供に関しては、乳児、園児、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人という区分で表示し、年齢を推定するようにして実施してもよい。
【0044】
図6は、家族構成の変更の入力画面であり、ここでは、例えば「2年後には子供が一人増えるかも知れない」、「5年後にはおばあちゃんを呼んで暮らそう」といったように、現在の家族構成に加えて、将来、家族構成がどうなっているかを考え、必要であれば、将来の同居者を入力するように構成されている。尚、図6の画面では、夫婦、子供、祖父母を性別が分かるように絵柄として表示し、それぞれ入力装置(本例ではマウスだが、タッチパネル形式で画面上を指で指示するようにしてもよい)により絵柄を選択することでデータ入力可能にしてある。
【0045】
図7〜図11は、生活情報(ライフスタイル)の入力画面であり、画面中央に、LD、キッチン、主寝室/洋室、和室/収納、その他という五つの選択肢(タグ)が表示され、選択肢毎に暮らし方を選択指示するように構成されている。
【0046】
生活情報(ライフスタイル)の入力は、生活情報の入力項目として予め設定されたでアンケート形式による暮らし方(入居予定者が持つと思われる生活イメージや暮らし方に対するこだわりを項目化したもの)を選択指示することで行われる。これが本発明の第二の特徴である。
【0047】
例えば、LDについては、図7に示すように、「リビングはゆとりのある広さが第一優先だ」、「大画面テレビで、映像をゆっくり楽しみたい」、「窓が大きく明るいリビングが良い」、「人を招いてのホームパーティがしたい」、「リビングの中で宿題や仕事をすることが多い」、「将来はリビングを他の部屋とつなげて大きく使いたい」、「リビングは応接間的な空間でもある」、「LDKは一体的な空間として使いたい」、「ダイニングとリビングは分けて使えたら便利だ」の9項目が表示されている。キッチンについては図8に、主寝室/洋室については図9に、和室/収納については図10に、その他については図11に、夫々、示すような9項目が表示されている。顧客はこれらの項目を選択することによって生活情報(ライフスタイル)の入力を行うのであり、各項目は、いわゆるアンケート形式であるから、顧客にとってはなじみやすい。
【0048】
このように、端末装置4による生活情報(ライフスタイル)の入力が、端末装置4の入力画面に表示された暮らし方を選択指示することで行われるので、集合住宅についての専門知識を持たない人であっても、容易に好みの間取りを選択できる効果がある。
【0049】
因みに、従来の間取り構造により検索する方法では、「昼間は、リビングルームの隣の部屋と一体化し、広いスペースで子供を遊ばせ、夜は、リビングルームと隣の部屋を間仕切り、子供を静かに眠らせたい」といった暮らしのイメージを持つ顧客が好みの間取りを検索しようとしても難しかった。
【0050】
例えば、上記のイメージの間取りを検索するには、まず「リビングルームと洋室が隣り合わせでバルコニーに面している」必要があり、その他「リビングルームと洋室は可動間仕切りで仕切られている」あるいは「可動間仕切りは遮音性の高い素材でできている」などの条件を入力しなければならない。
【0051】
ところが、バルコニー側に面して3部屋を配置できるのは特殊であり、一般的には2部屋までが限界であるから、上記のような間取りは、キッチンなどの水周りを住戸の中央に
配置しないと設計するのが難しく、結果として、機能空間の配置を指定する場合は、「キッチンなどの水周りを住戸の中央に配置する」ものを選択しなければならない。しかしながら、通常、顧客には、はそうしたことはわからない。
【0052】
そこで、本システムでは、住戸の間取り構造ではなく暮らしのイメージを生活情報として入力してもらい、間取りの検索項目として使用するようにしているのである。そして、この実施形態では、上記のような間取りについては、主寝室/洋室というタグ(選択肢)の中に「子供部屋は、リビングを通っていく場所にしたい」という項目に隠されている。直接的表現にしない理由は、直接的表現にすると、そうゆう間取りしか抽出しないからである。本発明では、基本的に、間取りの抽出は、他の要素との組み合わせで抽出されるものであり、いろいろな暮らしのイメージの組み合わせにより抽出された複数の間取りを比較検討しながら、全体としてどの間取りが良いかが決定されるべきだと考えている。
【0053】
図7〜図11に示した生活情報の入力画面において、任意の項目を顧客が選択指示することにより、図12に入力例を示すように、チェックマークが付き、入力画面右側の項目欄に選択した項目が表示される。選択を誤った場合は、入力画面右側の項目欄で誤った項目を指定し、画面右下の「選択項目を削除」の指示ボタンで削除し、再度、画面中央の項目から正しいものを選択する。
【0054】
入力画面右側の項目欄では、上段の項目ほど優先されるように優先順位が付けられており、選択した項目の優先順位を設定することが可能である。優先順位の設定は、項目欄において、適宜項目を選び、上下を示す矢印を指定する(マウスでクリックする)ことで項目を上下させ、優先順位を並び替えることによって行われる。
【0055】
上記の入力を完了し、画面右下の「検索結果を見る」の指示ボタンで検索指示すると、検索結果が表示される。図13は、検索結果を表示する画面の一例である。図13に示すとおり、顧客が入力した検索項目が画面の左側に表示され、画面中央に検索項目に該当する間取り図が表示される。尚、画面の右側は、表示された間取りの住戸が、集合住宅全体のどの位置にあるかを示している。間取り図において、例えば「75b−1」という表示は、住戸の面積が75平米であることを表しており、「2LDKオール洋室」という表示から分かるとおり、住戸の大まかな特徴を表している。
【0056】
また、表示された間取りの各住戸について、解説が掲載されており、顧客が設定した生活イメージや暮らし方のこだわりに対して、なぜこの間取りが抽出されたがわかるようになっている。この解説は、顧客がイメージする暮らしを実現するためにどういう設計的な工夫をしているかを解説する設計者のメッセージでもある。そのため、顧客は、解説をみることで、生活イメージを具体的な住まいの形として理解でき、これから始まる新たな暮らしを想像することになる。
【0057】
図14は、生活情報の入力項目として相反する項目が選択指示された場合の入力画面を示し、図15は相反する項目が選択指示された状態での検索結果を示す。図14に示す入力画面右側の項目欄に表示されているとおり、LDに関して、「LDKは一体的な空間として使いたい」と「ダイニングとリビングは分けて使えたら便利だ」とが選択され、キッチンに関しては、「料理中にも家族と会話が出来るキッチンが良い」と「キッチンの中は他人に見られたくない」とが選択されているが、これらは両立し得ない項目である。
【0058】
従って、このような両立し得ない条件のすべてを満足する間取り図は無いが、図15に示す検索結果では、間取り図が表示されている。これは、この間取り選択システムが検索結果の該当0件を回避できるように構成されているからである。即ち、顧客がせっかく生活情報(ライフスタイル)を入力しても、該当する物件が0件では、酷であるし、なぜ0
件なのか理由も分からないので、再度の検索が困難になる。そこで、この間取り選択システムでは、サーバ装置がデータベースの中を検索し、検索結果が0件となった段階で、まず入力された検索項目(生活情報)のうち、顧客が優先順位を付けた下位の項目(図14の例では、「ダイニングとリビングは分けて使えたら便利だ」と「キッチンの中は他人に見られたくない」である)を検索項目から削除して、再度の検索を行い、顧客が優先順位として上位に位置づけるものについて、検索結果を表示し、検索結果の該当0件を回避しているのである。これが本発明の第三の特徴である。
【0059】
また、図15に示すように、検索結果を示す画面の左には、削除された入力項目「ダイニングとリビングは分けて使えたら便利だ」、「キッチンの中は他人に見られたくない」が×印を付して表示される。従って、顧客は相反する項目が指定されていたことを知ることができ、これを削除したり、優先順位を変えたり、他の項目を選択指示する等して、再度の検索が可能であり、改めて最初からデータ入力する必要がないので、再度の検索も容易である。
【0060】
また、検索結果の表示画面では、図13や図15に示すように、間取り図表示欄の右上に「絞込み検索」の指示ボタンが表示される。この指示ボタンを指示(クリック)することにより、図16に示で絞込み検索画面が表示されるので、部屋数、面積、和室の有無等を適宜選択して、絞込み検索を行い、検索結果を表示させることができる。
【0061】
尚、図4〜図16の画面左上に、「家族構成変更」の指示ボタンと「ライフスタイル変更」の指示ボタンが表示されており、さらに、図7〜図16では「家族構成変更」の指示ボタンの下に、現在入力されている家族構成が絵柄で表示されている。そして、入居者情報である家族構成に間違いがある場合は、「家族構成変更」の指示ボタンで入力画面が表示されるのでそこで変更し、生活情報であるライフスタイルの指定項目に間違いがある場合や優先順位を変更したい場合は、「ライフスタイル変更」の指示ボタンで入力画面を表示、修正変更を行うように構成されている。
【0062】
さらに、顧客は、注目される間取りを選択(検索結果の表示画面で気に入った間取り図をクリック)することでその詳細をみることができる。図17は選択された間取り図の詳細を表示する。画面の左側には、選択項目があり、例えば、家具配置シミュレーションを選択すると、図18に示すように、画面の右に家具の絵柄が表示され、図19に示すように、マウスでクリックし、移動することで各部屋の使い勝手を確認できるようになっている。バーチャルモデルルームを選択すると、図20、図21に示すように、住戸の中を3次元で見ることができる。
【0063】
尚、本システムが、分譲集合住宅のモデルルームなどで運用される場合は、家具配置シミュレーション・プログラムをCD−Rなどの記憶媒体に出力可能であり、かつ家具の寸法は変更可能なので、自宅で家具寸法を確認しながら家具の配置を確認可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る集合住宅の間取り選択システムの構成図である。
【図2】上記間取り選択システムにおける検索の動作を説明する図である。
【図3】生活情報の各項目と間取り図の関連付けを行うコード表である。
【図4】端末装置に表示される初期画面である。
【図5】家族構成を入力するための入力画面である。
【図6】家族構成を変更するための入力画面である。
【図7】「LD」についての生活情報の入力画面である。
【図8】「キッチン」についての生活情報の入力画面である。
【図9】「主寝室/洋室」についての生活情報の入力画面である。
【図10】「和室/収納」についての生活情報の入力画面である。
【図11】「その他」についての生活情報の入力画面である。
【図12】入力例を示す入力画面である。
【図13】検索結果を表示する画面である。
【図14】相反する項目の入力例を示す入力画面である。
【図15】相反する項目による検索結果を表示する画面である。
【図16】絞込み検索を行うための入力画面である。
【図17】選択した間取り図の詳細を表示する画面ある。
【図18】家具配置シュミレーションを行うための入力画面である。
【図19】家具の配置動作を表示する画面である。
【図20】バーチャルモデルルームを表示する画面である。
【図21】バーチャルモデルルームを表示する画面である。
【符号の説明】
【0065】
1 データベース
2 サーバ装置
3 通信網
4 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸の間取り図などのデータを記録したデータベースと、データベースを管理するサーバ装置と、通信網を介してサーバ装置に接続可能な端末装置とを有し、端末装置から入居者情報(家族構成)と生活情報(ライフスタイル)とを入力することにより、生活情報を優先して入力された条件に該当する住戸の間取り図をデータベースから抽出し、端末装置に表示する集合住宅の間取り選択システムであって、データベースには、生活情報が暮らし方のアンケート形式により情報蓄積されて、住戸の間取り図と関連付けられており、端末装置による生活情報の入力が、端末装置の入力画面に表示された暮らし方を選択指示することで行われるようにしたことを特徴とする集合住宅の間取り選択システム。
【請求項2】
端末装置の入力画面には、LD、キッチン、主寝室/洋室、和室/収納、その他など複数の選択肢が表示され、選択肢毎に暮らし方を選択指示するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の集合住宅の間取り選択システム。
【請求項3】
端末装置の入力画面において、選択指示した暮らし方に優先順位を付けることが可能であり、選択指示されたすべての条件に該当する間取りが無い場合、優先順位が下位の入力項目が削除され、再度、検索されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の集合住宅の間取り選択システム。
【請求項4】
端末装置の検索結果を表示する画面に、削除された入力項目が表示されように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の集合住宅の間取り選択システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2006−12070(P2006−12070A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191753(P2004−191753)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)