説明

集合住宅インターホンシステムおよび制御装置

【課題】CPUによる受信データの読み出しタイミングが遅い場合でもまだ読み出していない受信データを消失させてしまうことがなく、受信データの読み出しによりCPUにかかる負荷を低減させることができる集合住宅インターホンシステムを提供する。
【解決手段】制御装置30がFIFOコントローラ34およびFIFOメモリ33を備えるように構成する。すなわち、FIFOメモリ33に受信した有効なデータを格納しておくことができるように構成することで、CPU35による受信データの読み出しタイミングが遅い場合でもデータが消失しないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅インターホンシステムおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、各住戸内に設置される複数の居室親機101と、一つ以上のマンション等の集合住宅のエントランスに設置される集合玄関機102と、集合玄関機102および居室親機101を制御する制御機103とを有する集合住宅インターホンシステム100が従来より知られている。
集合玄関機102は、来訪者が居住者を呼び出す際に操作する呼出ボタンおよび来訪者が居住者と通話するための通話部を有している。居室親機101は、集合玄関機102からの呼び出しに応答する際に操作する操作部、居住者が来訪者と通話するための通話部および表示部を有している。
この集合住宅インターホンシステム100の複数の居室親機101、集合玄関機102および制御装置103は、複数の通信路(幹線)L11、L12・・L17を介して接続されており、制御データや映像データ、音声データ等のデータを互いに通信できるように構成されている。
【0003】
制御装置103は、図4に示すように、居室親機101または集合玄関機102(以下、居室親機101等とする。)から送信されたデータを各通信路から受信するとともに、制御装置103から居室親機101等に送信すべきデータを各通信路Lに受け渡すための複数の通信インターフェース(以下、通信IFとする。)104と、各通信IF104が受信したデータが書き込まれる複数の受信バッファ105と、居室親機101等を制御し様々な処理を実行する制御部(CPU)106とを有している。
この図に示すように、居室親機101等から制御装置103にデータが送信される場合、居室親機101等から出力されたデータは各通信路L11、L12・・L17を介して制御装置103の対応する通信IF104に送信される。このように制御装置103に送信されたデータは通信IF104から受信バッファ105を介してCPU106に送信され、CPU106は、データの内容に基づいた処理を実行する。
なお、居室親機101等から送信されるデータとは、居室親機101等の図示しないCPUから制御装置103のCPU106に送られる通信メッセージを示す。具体的には、映像チャネルの使用許可を要求するメッセージ、居室親機101等が特定の映像チャネルを使用して映像を流すことを制御装置103に要求するとともに、それに伴う準備を要求するメッセージ、映像チャネルの使用の終了を要求するメッセージ、映像伝送の終了処理を要求するメッセージ、居室親機101等のステータスを通知するメッセージ、制御装置101からのメッセージを正常に受信したことを通知するメッセージ等があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−244357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように各居室親機101または集合玄関機102から制御装置103に送信されるデータは、一般的に複数のフレームデータとして送信されるが、上記のような集合住宅インターホンシステム100においては複数の通信路L11ないしL17を介して多数の居室親機101および一つ以上の集合玄関機102が制御装置103に接続されている(すなわち、制御装置103に多数の端末が接続されている)ため、多数の居室親機101等から同時期に連続してデータが送信される可能性がある。この場合、図5(1)に示すように、制御装置103は最大ですべての通信路L11、L12、・・から同時に次々とフレームデータを受信することとなり、すべての通信IF104、すなわち各通信IF104aないし104gのそれぞれが受信したフレームデータ(以下、受信データとする。)は、図5(2)に示すように各受信バッファ105aないし105gに順次書き込まれる。
【0006】
CPU106は、各受信バッファ105aないし105gに書き込まれた受信データを順番に読み出して処理を実行するが、各受信バッファ105aないし105gに次のフレームデータが書き込まれる前までに受信データの読み出しを実行しないと、次の受信データが書き込まれることによって受信バッファ105内のデータが上書きされることとなる。
このため、CPU106がデータ読出以外の処理、例えば集合玄関機102と居室親機101の一つとの間に通話路を形成する等の他の処理も実行しなければならない場合にはCPU106の処理速度が間に合わず、図5(3)に示すように、受信した受信データがCPU106によって読み出される前に上書きされて消失してしまう場合がある。
【0007】
以上のようなことから、一つの通信路に100台以上もの端末が接続され、さらにそのような通信路が制御装置に複数接続されている大規模な集合住宅インターホンシステムにおいては、上記のような仕様では相当高速に処理できる制御部がない限り、CPUが受信データを取り損なうおそれがある。
また、CPUによる受信データの取り損ないが発生しないとしても、CPUは通信IFが受信データを受信する度に読み出し処理を実行する必要があるため、多数の受信データを読み出す処理自体がCPUに相当の負荷をかけることになり、CPUがそれ以外の処理ができなくなるおそれがある。
このような不都合を回避するための方法として、制御装置に接続される居室親機等の端末の数を削減したり、制御装置にCPUを複数設け、受信データの読み出しを並列的に実行するように構成したり、受信データを端末毎に区別してRAMに保存する等の方法が考えられる。
【0008】
しかしながら、制御装置に接続される居室親機等の端末の数を削減する方法では集合住宅インターホンシステムの仕様に制限がかかってしまい、制御装置にCPUを複数設ける方法や受信データを端末毎に区別してRAMに保存する方法では回路規模を大幅に増加させることとなるため、容易に採用できるものではない。
【0009】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、CPUによる受信データの読み出しタイミングが遅い場合でもまだ読み出していない受信データを消失させてしまうことがなく、受信データの読み出しによりCPUにかかる負荷を低減させることができる集合住宅インターホンシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願発明者は、以下のような集合住宅インターホンシステムおよび制御装置を提案する。
【0011】
本発明の集合住宅インターホンシステムは、集合住宅のエントランスに設置され、来訪者が居住者を呼び出す際に使用する集合玄関機と、各住戸内に設置され、前記集合玄関機からの呼び出しに応答する際に使用する複数の居室親機と、前記集合玄関機および前記居室親機を制御する制御装置と、前記居室親機または前記集合玄関機と前記制御装置との間のデータ通信に使用される複数の通信路と、を有する。
この制御装置は、前記集合玄関機および前記居室親機を制御して処理を行う制御部の他に、所定のデータを一時的に格納するFIFOメモリと、前記居室親機または前記集合玄関機から受け取ったデータが有効か否かを識別し、有効なデータであると識別した場合にこの有効なデータの先頭に送信元の通信路の番号を付与し、送信元の通信路の番号を付与したデータを前記FIFOメモリに順次入力するFIFOコントローラとを有しており、前記FIFOコントローラは、前記FIFOメモリが所定の容量になった場合、前記FIFOメモリが所定の容量になったことを前記制御部に通知する構成となっており、前記制御部は、前記FIFOコントローラからの通知があった場合、前記FIFOメモリ内のデータを一括して読み出す構成となっている。
また、本発明は、集合住宅のエントランスに設置され、来訪者が居住者を呼び出す際に使用する集合玄関機と、各住戸内に設置され、前記集合玄関機からの呼び出しに応答する際に使用する複数の居室親機と、前記居室親機または前記集合玄関機と前記制御装置との間のデータ通信に使用される複数の通信路とを有する集合住宅インターホンシステムにおいて用いられる、前記集合玄関機および前記居室親機を制御する制御装置を提供する。
ここで、無効なデータは空のデータを意味し、有効なデータは空ではないデータを意味する。居室親機等と制御装置との間のデータの送受信動作自体は毎フレーム行われるが、居室親機等からのデータ送信は毎フレーム実行されるわけではない。すなわち、システムの起動時などには居室親機等から送信されるどのフレームにも有効なデータが入ることもあるが、通常時においては無効なデータが送信される場合も多い。また、居室親機等からデータを送信する際は、送信元である居室親機等において送信するデータが有効であるか無効であるかを示すフラグを立ててデータを送信するのが一般的である。
FIFOコントローラは、居室親機等から受け取ったデータのフラグを見て該データの有効性を識別し、有効なデータであると識別した場合、この有効なデータに送信元の通信路の番号を付与したデータをFIFOメモリに順次入力する構成となっている。
【0012】
よって、このようなFIFOコントローラおよびFIFOメモリを有する制御装置、またはこの制御装置を備える本発明の集合住宅インターホンシステムによれば、FIFOメモリに受信した有効なデータを格納しておくことができるため、制御部による受信データの読み出しタイミングが遅い場合でもデータを消失させてしまうことがない。
また、一般的に論理回路は制御部によるメモリアクセスよりも高速で並列処理することができるところ、FIFOコントローラは論理回路であるため、制御部により受信データの読み出しを実行する場合と比して安定して高速にFIFOメモリに受信データを移動させることができる。
また、FIFOコントローラまたはFIFOメモリは、FIFOメモリが所定の容量になった場合、FIFOメモリが所定の容量になったことを制御部に通知する構成となっており、制御部は、FIFOコントローラまたはFIFOメモリからの通知があった場合、FIFOメモリ内のデータを一括して読み出す構成となっているため、従来のような制御部による受信データの読み出しをデータの受信の度に実行する構成よりも制御部にかかる負荷を低減することができる。また、FIFOメモリには有効なデータのみが格納されるので、その後制御部によりFIFOメモリから読み出されるデータはすべて有効であるため、制御部がデータの有効性を判断する必要がなく、制御部にかかる負荷を低減することができる。
【0013】
前記制御部または前記FIFOコントローラはタイマを有しており、前記タイマに設定された所定の時間を経過しても前記FIFOコントローラからの通知がなかった場合、前記制御部による前記FIFOメモリ内のデータの一括読み出しを実行する構成としてもよい。
このような構成の制御装置、またはこの制御装置を備える集合住宅インターホン装置によれば、FIFOメモリが所定の容量にならない場合であっても所定の時間が経過する度にFIFOメモリ内のデータの読み出しが実行されるため、所定の時間内に制御装置が受信した有効なデータが少ない場合であっても受信データが読み出されずに放置されることを防止することができ、制御通信の即応性を保つことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、CPUによる受信データの読み出しタイミングが遅い場合でもまだ読み出していない受信データが消失してしまうことがなく、受信データの読み出しによりCPUにかかる負荷を低減させることができる集合住宅インターホンシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の集合住宅インターホンシステム1の全体構成を示す図。
【図2】本実施形態の集合住宅インターホンシステム1の制御装置30の構成を示す図。
【図3】FIFOコントローラ34の構成を示す図。
【図4】従来の集合住宅インターホンシステム100の全体構成を示す図。
【図5】(1)は、従来の集合住宅インターホンシステム100の居室親機101等から通信線Lを介して制御装置103にデータが送信される様子を時間軸で示す図であり、(2)は、従来の集合住宅インターホンシステム100の制御装置103の受信バッファ105の書き込みタイミングを示す図であり、(3)は、CPU106の処理の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の集合住宅インターホンシステムの好ましい実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
本実施形態による集合住宅インターホンシステム1は、概略で図1に示すように構成される。
この図に示すように、集合住宅インターホンシステム1は、各住戸内に設置される複数の居室親機10と、マンション等の集合住宅のエントランスに設置される一つ以上の集合玄関機20と、居室親機10および集合玄関機20を制御する制御装置30とを有している。
制御装置40は、通信路L1ないしL7を介して複数の居室親機10または一つ以上の集合玄関機20と接続されている。すなわち、通信路L1ないしL6にはそれぞれ多数(例えば100台)の居室親機10の端末が接続されており、通信路L7には一つ以上の集合玄関機2が接続されている。
【0018】
以下、居室親機10、集合玄関機20および制御装置30の構成について説明する。
【0019】
居室親機10は、来訪者等からの呼び出しに応答する際、管理人を呼び出す際または警報を報知する際等に操作する操作部、居住者が来訪者等と通話するための通話部、来訪者等を表示するための表示部、制御装置30との間で音声、映像等の各種データの送受信を行うための通信IFおよび居室親機10の各部を制御するためのCPUを備えている。
【0020】
集合玄関機20は、来訪者が居住者等を呼び出す際に操作する操作部、来訪者が居住者と通話するための通話部、操作部にて入力された居室番号等を表示するための表示部、制御装置30との間で音声、映像等の各種データの送受信を行うための通信IFおよび集合玄関機20の各部を制御するためのCPUを備えている。
【0021】
制御装置30は、図2に示すように、居室親機10または集合玄関機20(以下、居室親機10等とする。)から送信されたデータを各通信路L1ないしL7から受信するとともに、制御装置30から居室親機10等に送信すべきデータを各通信路L1ないしL7に受け渡すための複数の通信インターフェース(以下、通信IFとする。)31と、各通信IFが受信したデータが書き込まれる複数の受信バッファ32と、所定のデータを一時的に格納するFIFOメモリ33と、FIFOコントローラ34と、居室親機10等を制御し様々な処理を実行する、図示しないタイマを備えるCPU35とを有している。
【0022】
FIFOコントローラ34は、FIFOメモリ33へのデータの入力およびFIFOメモリ33からの出力を制御するためのものであり、図3に示すように、受信データ読出制御部341と、通信IF番号データ付加部342とを備えている。
【0023】
受信データ読出制御部341は、受信バッファ32に書き込まれたデータの有効性を示すフラグを確認することによって、該データが有効か否かを識別する。
【0024】
通信IF番号データ付加部342は、受信データ読出制御部341により有効なデータであると識別されたデータの先頭に送信元の通信路の番号を付与する構成となっている。
【0025】
次に、本実施形態の集合住宅インターホンシステム1において、居室親機10等から制御装置30にデータが送信された場合の制御装置30の動作について説明する。
【0026】
居室親機10等から出力されたデータは、各通信路L1、L2・・L7を介して制御装置30の対応する通信IF31に送信される。
ここで、居室親機101等から送信されるデータとは、居室親機101等の図示しないCPUから制御装置103のCPU106に送られる通信メッセージを示す。具体的には、映像チャネルの使用許可を要求するメッセージ、居室親機101等が特定の映像チャネルを使用して映像を流すことを制御装置103に要求するとともに、それに伴う準備を要求するメッセージ、映像チャネルの使用の終了を要求するメッセージ、映像伝送の終了処理を要求するメッセージ、居室親機101等のステータスを通知するメッセージ、制御装置101からのメッセージを正常に受信したことを通知するメッセージ等があげられる。この居室親機10等から出力されたデータには、送信元である居室親機10等において送信するデータが有効であるか無効であるかを示すフラグが立てられている。
【0027】
通信IF31が受信したデータ(以下、受信データとする。)は、通信IF30に接続される受信バッファ32に送られ、受信バッファ32に一時的に書き込まれる。
受信バッファ32に受信データが書き込まると、FIFOコントローラ34の制御のもと、受信データ読出制御部341は受信バッファ32に書き込まれたデータが有効であるか否かを識別する。
受信データ読出制御部341が受信バッファ32に書き込まれたデータが有効であると識別した場合、FIFOコントローラ34の制御のもと、通信IF番号データ付加部342は、該データの送信元の通信路Lの番号、すなわち通信路L1ないしL7のいずれかを示す番号をデータとしてFIFOメモリ33に書き込み、続いて受信データ読出制御部341が受信バッファ32に書き込まれたデータを読み出してFIFOメモリ33にすべて書き込む。
このように、受信データ読出制御部341が受信バッファ32に書き込まれたデータが有効であると識別した場合には、FIFOコントローラ34により、その先頭に送信元の通信路の番号が付与された受信データがFIFOメモリ33に順次入力されることとなる。
受信バッファ32が次のフレームを受信する前にこの処理をすべての受信バッファ32に対して実行することで、受信データが上書きされて消失することを防止することができる。なお、この処理は、例えば通信路L1から通信路L7の順に実行される。
【0028】
よって、このようなFIFOコントローラ34およびFIFOメモリ33を有する制御装置30を備える本発明の集合住宅インターホンシステム1によれば、FIFOメモリ33に有効な受信データを格納しておくことができるため、CPU35による受信データの読み出しタイミングが遅い場合でもデータが消失してしまうことがない。
また、一般的に論理回路は制御部によるメモリアクセスよりも高速で並列処理することができるところ、FIFOコントローラ34は論理回路であるため、CPU35により受信データの読み出しを実行する場合と比して安定して高速にFIFOメモリ33に受信データを移動させることができる。
【0029】
一方、受信データ読出制御部341が受信バッファ32に書き込まれたデータが無効であると識別した場合、該データはFIFOメモリ33に入力されず、そのまま放置される。
放置されることにより、その後受信バッファ32に新たな受信データが書き込まれて上書きされることとなるが、該受信データは無効なデータであるため問題ない。
【0030】
以上のように、FIFOコントローラ34により順次FIFOメモリ33への受信データの入力が実行され、FIFOメモリ33に所定の容量以上(例えばFIFOメモリ33の容量の80%以上)蓄積されると、FIFOコントローラ34は、CPU35に対してFIFOメモリ33の読み出し処理の実行を要求する読出要求信号を送信する。
CPU35は、FIFOコントローラ34から読出要求信号を受信すると、FIFOメモリ33内のデータを一括して読み出し、その内容に基づいた処理を実行する。
【0031】
このように、本実施形態の集合住宅インターホンシステム1によれば、従来のようにCPU35による受信データの読み出しをデータの受信の度に実行するのではなく、CPU35はFIFOコントローラ34から読出要求信号を受信した場合にFIFOメモリ33内のデータを一括して読み出す構成となっているため、従来よりもCPU35にかかる負荷を低減することができる。また、FIFOメモリ33には有効なデータのみが格納されることとなるため、その後CPU35によりFIFOメモリ33から読み出されるデータはすべて有効となる。これにより、CPU35がデータの有効性を判断する必要がないため、CPU35にかかる負荷を低減することができる。
【0032】
また、CPU35は、図示しないタイマに設定された所定の時間(例えば1msec)を経過してもFIFOコントローラ34から読出要求信号がなかった場合、FIFOメモリ33内のデータの一括読み出しを実行する。
このような構成の集合住宅インターホン装置1によれば、FIFOメモリ33が所定の容量にならない場合であっても所定の時間が経過する度にFIFOメモリ33内のデータの読み出しが実行されるため、所定の時間内に制御装置30が受信した有効なデータが少ない場合であっても受信データが読み出されずに長時間放置されることを防止することができ、制御通信の即応性を保つことができる。
【0033】
なお、本実施形態の集合住宅インターホンシステム1においては、FIFOメモリ33に所定の容量以上蓄積された場合、FIFOコントローラ34がCPU35に対してFIFOメモリ33の読み出し処理の実行を要求する読出要求信号を送信する構成となっているものとして記載したが、このような読出要求信号をFIFOメモリ33がCPU35に対して直接送信する構成となっていてもよい。
【0034】
また、本実施形態の集合住宅インターホンシステム1においては、CPU35がタイマを有しており、所定の時間を経過してもFIFOコントローラ34から読出要求信号がなかった場合、FIFOメモリ33内のデータの一括読み出しを実行する構成となっているものとして記載したが、FIFOコントローラ34の方がタイマを有しており、所定の時間を経過してもFIFOメモリ33に所定の容量以上蓄積されない場合、CPU35に読出要求信号を送信するような構成となっていてもよい。
【0035】
また、本実施形態の集合住宅インターホンシステム1は、複数の居室親機10と、一つ以上の集合玄関機20と、制御装置30とを有するものとして記載したが、さらに管理人室に設置される一つ以上の管理室親機を備える構成としてもよい。この場合、管理室親機から送信されるデータも居室親機10から送信されるデータと同様、通信路Lを介して制御装置に送信され、上記のように処理されることとなる。
【符号の説明】
【0036】
1,100・・集合住宅インターホンシステム、10,101・・居室親機、20,102・・集合玄関機、30,103・・制御装置、31,104・・通信IF、32,105・・受信バッファ、33・・FIFOメモリ、34・・FIFOコントローラ、35,106・・CPU(制御部)、341・・受信データ読出制御部、342・・通信IF番号データ付加部、L・・通信路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅のエントランスに設置され、来訪者が居住者を呼び出す際に使用する集合玄関機と、各住戸内に設置され、前記集合玄関機からの呼び出しに応答する際に使用する複数の居室親機と、前記集合玄関機および前記居室親機を制御する制御装置と、前記居室親機または前記集合玄関機と前記制御装置との間のデータ通信に使用される複数の通信路と、
を有する集合住宅インターホンシステムにおいて、
前記制御装置は、前記集合玄関機および前記居室親機を制御して処理を行う制御部の他に、所定のデータを一時的に格納するFIFOメモリと、前記居室親機または前記集合玄関機から受け取ったデータが有効か否かを識別し、有効なデータであると識別した場合にこの有効なデータの先頭に送信元の通信路の番号を付与し、送信元の通信路の番号を付与したデータを前記FIFOメモリに順次入力するFIFOコントローラとを有しており、
前記FIFOコントローラまたは前記FIFOメモリは、前記FIFOメモリが所定の容量になった場合、前記FIFOメモリが所定の容量になったことを前記制御部に通知する構成となっており、
前記制御部は、前記FIFOコントローラからの通知があった場合、前記FIFOメモリ内のデータを一括して読み出す構成となっている、
集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記制御部または前記FIFOコントローラはタイマを有しており、
前記タイマに設定された所定の時間を経過しても前記FIFOコントローラからの通知がなかった場合、前記制御部による前記FIFOメモリ内のデータの一括読み出しを実行する構成となっている、
請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
集合住宅のエントランスに設置され、来訪者が居住者を呼び出す際に使用する集合玄関機と、各住戸内に設置され、前記集合玄関機からの呼び出しに応答する際に使用する複数の居室親機と、前記居室親機または前記集合玄関機と前記制御装置との間のデータ通信に使用される複数の通信路とを有する集合住宅インターホンシステムにおいて用いられる、前記集合玄関機および前記居室親機を制御する制御装置であって、
前記集合玄関機および前記居室親機を制御して処理を行う制御部の他に、所定のデータを一時的に格納するFIFOメモリと、前記居室親機または前記集合玄関機から受け取ったデータが有効か否かを識別し、有効なデータであると識別した場合にこの有効なデータの先頭に送信元の通信路の番号を付与し、送信元の通信路の番号を付与したデータを前記FIFOメモリに順次入力するFIFOコントローラとを有しており、
前記FIFOコントローラまたは前記FIFOメモリは、前記FIFOメモリが所定の容量になった場合、前記FIFOメモリが所定の容量になったことを前記制御部に通知する構成となっており、
前記制御部は、前記FIFOコントローラからの通知があった場合、前記FIFOメモリ内のデータを一括して読み出す構成となっている、
制御装置。
【請求項4】
前記制御部または前記FIFOコントローラはタイマを有しており、
前記タイマに設定された所定の時間を経過しても前記FIFOコントローラからの通知がなかった場合、前記制御部による前記FIFOメモリ内のデータの一括読み出しを実行する構成となっている、
請求項3記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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