説明

集合包装箱

【課題】保護性、緩衝性、利便性及び集約性に配慮した薄型テレビディスプレイ枠の集合包装箱であり、包装箱内に収納したディスプレイ枠に損傷や擦り傷が発生せず、ディスプレイ枠の梱包作業を簡単にし、集合包装箱の再利用の可能な通い箱化を図ることができ、さらには樹脂製若しくは発泡製袋の廃棄を削減し、再資源化が図れるようにしたディスプレイ枠の集合包装箱を提供する。
【解決手段】上面が開口した箱形状を成す内枠2の対向せる夫々の上辺に所定間隔をあけて複数の凹溝3a、3b…が形成され、これらの対向せる凹溝ごとに長尺の支持板4の両端近傍に形成された凹部5a、5bを嵌合することにより複数の支持板4、4…を内枠2内の上部に並設するものとし、夫々の支持板4に収納シート6が内枠2の底部から離間した宙吊りの状態で固定され、収納シート6の波形状の各谷間7を収納スペースとして製品12を収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型テレビ等に使用する複数のディスプレイ枠等を収納する集合包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイビジョン映像を含めたデジタル放送に対応し得る薄型テレビの開発及び製造が急増している。そのようなディスプレイを保護する部材としてディスプレイ枠が使用されている。このディスプレイ枠は樹脂成形され、組み立て後に個々の包装仕様がなされるが、その間の包装箱としては、プラスチック製及びダンボール製の包装箱が一般的に使用されている。
【0003】
ところで、このような従来の包装箱は、その内部がダンボール製若しくはプラスチック樹脂製材料の仕切り板で複数に仕切られ、夫々の仕切り間にディスプレイ枠を収納するため、ディスプレイ枠を保護する目的で、包装箱の下部に緩衝性のある材料が施され、また包装箱の上部にも下部同様の緩衝材料が施され、さらにディスプレイ枠の表面にはキズの発生を防止するため、フィルム製の保護シールが施されるというように、種々の保護手段が必要とされていた。
【0004】
さらに、上記のディスプレイ枠の包装箱に関しては、次のような問題があった。
【0005】
包装箱としてプラスチック製や段ボール製のものが使用されているが、ディスプレイ枠はたわみやすく、強度、特に表面及び角部が輸送、荷扱い、保管時において擦れキズや外的緩衝による破損を受け易い。
【0006】
また、テレビのインチサイズの違いにより、その種類の増加に伴って包装箱の種類もまた増加しているのが現状であり、夫々十分に耐え得る包装材料を選択する必要があるため、通常の包装箱に比べて余分な材料を必要とする。
【0007】
また、仕切り板を個々に組み立てる作業が極めて面倒であり、多くの労力を必要とする。さらに、ディスプレイ枠を収納している樹脂製若しくは発泡製の袋は、組み立て後において不必要となり、廃棄が必要となる。また、多数のディスプレイ枠を収納する集合包装箱は、通い箱化された仕様になっておらず、一回限りで廃棄が必要となる。
【0008】
このような問題点を解消するために開発された従来技術として、特許文献1を参照すると、この文献の梱包箱は、例えばポータブルコンピュータの外観を特徴付けるような筐体のように、損傷やキズの発生を防止する必要がある製品の保護のためになされたものである。その構成は、少なくとも一つの製品が収納される箱体と、この箱体の底壁と筐体との間に介在され、筐体の下部に敷かれる所定の厚みを有する平板状のスペーサとを備えた構成を有する。
【0009】
従って、この文献の梱包箱においても、製品の損傷やキズの発生を防止するために、箱体の底壁と筐体との間に介在され、筐体の下に敷かれるスペーサを必要とし、そのための製造の手間、製造コストの高騰、筐体の内部に付設する労力等は、上記した従来の包装箱と同様に未解決である。
【特許文献1】特開2001−206432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、保護性、緩衝性、利便性及び集約性に配慮した薄型テレビディスプレイ枠の集合包装箱であり、包装箱内に収納したディスプレイ枠に損傷や擦り傷が発生せず、ディスプレイ枠の梱包作業を簡単にし、集合包装箱の再利用の可能な通い箱化を図ることができ、さらには樹脂製若しくは発泡製袋の廃棄を削減し、再資源化が図れるようにした集合包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題を解決するために、本発明における請求項1の集合包装箱は、上面が開口した箱形状を成す内枠の対向せる夫々の上辺に所定間隔をあけて複数の凹溝が形成され、これらの対向せる凹溝ごとに長尺の支持板の両端近傍に形成された凹部を嵌合することにより複数の支持板を前記内枠内の上部に並設し、夫々の支持板に収納シートが前記内枠の底部から離間した宙吊りの状態で固定され、前記収納シートの波形状の各谷間を収納スペースとして製品を収納することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の集合包装箱は、請求項1において、前記内枠はコ字形を成す2個の3面体の互いの内側を向き合わせることによって四面を成す箱形状としたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の集合包装箱は、請求項1又は2において、前記内枠は外箱に収納されるものとし、前記内枠における前記凹溝が形成された外側面に前記支持板の凹部から端部側へ突出する長さよりも大なる厚さのスペーサが介在されていることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の請求項4に記載の集合包装箱は、請求項1、2又は3において、前記内枠は外箱に収納され、前記内枠における前記凹溝が形成されない外側面には薄厚のスペーサが介在されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の集合包装箱は、内枠内に並設された収納シートは内枠の底部から離間した宙吊りの状態で固定され、収納シートの波形状の各谷間を収納スペースとして使用するようにしたものであり、各谷間に収納された夫々の製品は振り子のように振れるが、収納シートは緩衝性材料から構成されているため、谷間内の製品は損傷や擦れキズ等から保護されるものである。
【0016】
従って、本発明によれば、多数の薄型テレビのディスプレイ枠を従来の樹脂製又は発泡製等の袋を使用することなく、梱包作業を簡便にすると共に、損傷や擦れキズ等から保護された状態で箱内に収納することができ、外的衝撃、又は輸送中等における製品の破損防止にも寄与することができる。
【0017】
さらに、波形状の収納シートはアコーディオン状に畳めることができ、保管スペースの削減にも有益となる。
【0018】
また、本発明の集合包装箱は、再利用や集約化が可能であり、通い箱として、10数回以上の繰り返し使用を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明による集合包装箱1は、図1に示すように、上面が開口した箱形状を成す内枠2の対向せる夫々の上辺に所定間隔をあけて複数の凹溝3a、3b…が形成され、これらの対向せる凹溝(例えば対向する凹溝3a、3a)に長尺の支持板4の両端近傍に形成された凹部5a、5bを嵌合することにより複数の支持板4、4…を内枠2内の上部に並設し、夫々の支持板4に波形状の収納シート6が内枠2の底部から離間した宙吊りの状態(図4参照)で固定され、収納シート6の波形状の各谷間7、7…を収納スペースとして製品を収納するようにしたものである。なお、内枠2の上辺に形成した凹溝3a、3b…の裂け防止のために、凹溝3a、3b…の周辺箇所にシクラ(登録商標)等の合成紙を貼り付けるようにしてもよい。
【0021】
このような集合包装箱1の構成について詳細に述べると、図1に示す集合包装箱1は、外箱8と、外箱8に収納する内枠2と、内枠2に収納する波形状の収納シート6から構成されている。外箱8は既存の段ボール製箱形状を使用してもよく、開閉蓋8aを備え、開閉蓋8aを開けることよって上面を開口し、その上方から内枠2を挿入することによって、図6に示すように、内枠2が外箱8内に収納される。
【0022】
上記の内枠2の具体例としては、図2に示すように、コ字形を成す3面体9に形成し、2個の3面体9、9を用いて互いの内側を向き合わせることにより、包囲した四面を成す箱形状が形成される。また、このような内枠2の構成によって、該内枠2は上面が開口すると共に、底面もまた開いた状態となる。さらに、この内枠2には、クッション性を有する天板と底板を設けるようにしてもよい。
【0023】
この内枠2の対向せる夫々の上辺には、所定間隔をあけて複数の凹溝3、3…が形成されている。また、支持板4は、プラスチック製ボード、チップボード、プラスチック製ダンボール(ダンプラ(商標名))等を使用して、図3(a)に示すように長尺の長方形状に形成され、その両端近傍に、上記の内枠2の上辺に形成された凹溝3a、3b…に嵌合し得る凹部5a、5bが形成されている。このような支持板4を用いて、図1に示すように、内枠2の対向せる凹溝3a、3b…ごとに支持板4の両側の凹部5a、5bを嵌合することにより、複数の支持板4、4…を内枠2の上部に並設することができる。
【0024】
また、夫々の支持板4には長尺の収納シート6が波形状をなして設けられている。この収納シート6は、図3(b)(この図は波形状の収納シート6に支持板4を固定する前の状況を示す)に示すように、緩衝性の高い包装材料を用いた長尺の合成樹脂製シートや不織布等を波形状に折曲すると共に、収納シート6の両端と上側にて折曲された部位の内側に上記の支持板4、4…を接着剤等で固定することにより、図2に示すような収納シート6が形成される。この波形状の収納シート6はアコーディオン状に薄型に畳むことができる。
【0025】
なお、図2には2つの収納シート6、6を内枠2内に設けるようにしてあるが、これは規定長さの合成樹脂シートや不織布等を用いて1つの収納シートを作成し、図示の内枠2の容量に対して2つの収納シート6、6を並設するようにしたものである。この場合、図2に示すように、並設した2つの収納シート6、6において隣接する2つの支持板4A、4Bを合致して1つの内枠2の凹溝3Aに嵌合する(図4参照)ことができるように、内枠2の上辺の中央の凹溝3Aを他の凹溝3a、3b…の2倍の幅広としている。
【0026】
上記の収納シート6の夫々の支持板4の凹部5a、5bを、図1又は図6に示すように内枠2の対向せる凹溝3a・3a、3b・3b…に嵌合すると、図5に示すように各支持板4の端部が内枠2の外方へ突出する突出片4a、4bができる。この両側の突出片4a、4bは凹部5a、5bの形成部位で破損し易いものとなるが、この破損を防止するために、内枠2における凹溝3a、3b…が形成された外側面に支持板4の凹部5a、5bから端部側へ突出する長さよりも大なる厚さのスペーサ10が固定されている。このため、内枠2を外箱8内に収納した場合でも、各支持板4の突出片4a、4bは、スペーサ10で保護され、突出片4a、4bの破損から防止される。
【0027】
また、図4に示すように、内枠2における凹溝3a、3b…が形成されない外側面には薄厚のスペーサ11、11…が固定されている。このスペーサ11を薄厚としたのは、スペーサ11と外箱8の内側との間に隙間14を作り、内枠2の3面体9の両側の可動面2a、2bに撓みを生じさせることによって、上記の収納シート6の各谷間7に収納した製品12が振り子状に揺れた場合でも、内枠2の可動面2a、2bが外側に撓んで、製品への衝撃を吸収できるようにしたものである。なお上記のスペーサ10及びスペーサ11は、粗目の積層段ボール等を利用して作成するとよい。
【0028】
上記の構成による集合包装箱1においては、図4に示すように、内枠2内に並設された収納シート6は内枠2の底部から離間した宙吊りの状態で固定され、収納シート6の波形状の各谷間7、7…を収納スペースとして、各谷間7、7…に製品12を上方から差し込むように収納すると、夫々の谷間7、7…間に隙間13ができ、各谷間7、7…に収納された夫々の製品12が振り子のように振れるが、収納シート6は緩衝性材料から構成されているため、谷間7内の製品は損傷や擦れキズ等から保護される。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の集合包装箱は、包装箱内に収納したディスプレイ枠に損傷や擦り傷が発生せず、ディスプレイ枠の梱包作業を簡単にし、集合包装箱の再利用の可能な通い箱化を図ることができ、さらに樹脂製若しくは発泡製袋の廃棄を削減し、再資源化が図れるようにした集合包装箱として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による集合包装箱の外箱と内枠と収納シートを分解した斜視図である。
【図2】本発明による集合包装箱の内枠と収納シートを分解した斜視図である。
【図3】(a)は本発明に係る支持板の平面図、(b)は収納シートの分解側面図である。
【図4】本発明による集合包装箱の短辺側の内部を示す断面図である。
【図5】本発明による集合包装箱の長辺側の内部を示す断面図である。
【図6】本発明による集合包装箱の外箱の開閉蓋を開いて内枠を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 集合包装箱
2 内枠
2a 可動面
3a、3b 凹溝
4 支持板
5a、5b 凹部
6 収納シート
7 谷間
8 外箱
8a 開閉蓋
9 3面体
4A、4B 支持板
3A 凹溝
10 スペーサ
11 スペーサ
12 製品
13 隙間
14 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した箱形状を成す内枠の対向せる夫々の上辺に所定間隔をあけて複数の凹溝が形成され、これらの対向せる凹溝ごとに長尺の支持板の両端近傍に形成された凹部を嵌合することにより複数の支持板を前記内枠内の上部に並設し、夫々の支持板に収納シートが前記内枠の底部から離間した宙吊りの状態で固定され、前記収納シートの波形状の各谷間を収納スペースとして製品を収納することを特徴とする集合包装箱。
【請求項2】
前記内枠はコ字形を成す2個の3面体の互いの内側を向き合わせることによって四面を成す箱形状としたことを特徴とする請求項1記載の集合包装箱。
【請求項3】
前記内枠は外箱に収納されるものとし、前記内枠における前記凹溝が形成された外側面に前記支持板の凹部から端部側へ突出する長さよりも大なる厚さのスペーサが介在されていることを特徴とする請求項1又は2記載の集合包装箱。
【請求項4】
前記内枠は外箱に収納され、前記内枠における前記凹溝が形成されない外側面には薄厚のスペーサが介在されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の集合包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−87805(P2008−87805A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269182(P2006−269182)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【出願人】(591135794)高島株式会社 (11)
【Fターム(参考)】