説明

集団除染モバイルユニット

【課題】本発明は、核、放射線、生物又は化学(NRBC)災害の場合に被災者を避難させ、トリアージを行い、除染するために用いられる集団除染モバイルユニットを対象としている。【解決手段】本発明によれば、モバイルユニットは、被災者の脱衣のための最初のゾーン(A)と、シャワーか小型シャワーによる湿性除染のための中間ゾーン(B)と、乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)とを有し、前記ゾーンは、中仕切りによって少なくとも1つの歩行可能者用レーンと1つの歩行不能者用レーンとに区分され、 前記ユニットが1つの屋根パネルと1つの床パネルと2つの妻壁パネル(1c)とを備えた搬送可能なモバイルコンテナから成り、これらの固定したパネルが湿性除染のための中間ゾーン(B)を形成し、前記コンテナが、広げられた位置においてそれぞれ脱衣のための最初のゾーン(A)と乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)との境界を成す2つの広げられる側面パネル(1e)を備えており、 パネル(1f)が、前記コンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、脱衣のための最初のゾーン(A)と乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)とを仕切るために広げられる側面パネル(1e)と共に配置される広げられた位置との間の前記コンテナに移動させて組み立てられ、
仕切りが、前記ユニットがレーンを形成するように広げられた位置にあるとき、前記ユニットによって形成された内部空間に縦に配置されることによって特徴付けられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集団除染モバイルユニットを対象としている。
【背景技術】
【0002】
本発明は、核、放射線、生物又は化学(NRBC)災害の場合に被災者を避難させ、トリアージを行い、除染するために用いられるモバイルユニットの技術分野に関する。これらのユニットは、被災者の感染の進行を常に抑えるために民間人又は軍人の作業員によって用いられる。
【0003】
集団除染モバイルユニット(UMD)は、被災地近傍の治療エリア内に速やかに設置されなければならない。
【0004】
UMDの上流側で、被災者は、被災者について調査し、身元を確認する作業員によって受け入れられる。次に、被災者は歩行可能者か歩行不能者であるかどうかによって選別され、除染のためにUMDへ誘導される。
【0005】
自体公知の方法で、UMDは、中仕切りによって少なくとも1つの歩行可能者用レーン(場合によっては女性用に1つと男性用に1つ)と1つの歩行不能者用レーンとに区分されている幾つかのゾーンを有する。
【0006】
UMDは、以下のゾーンを一般に有する。
- 衣服をハサミで切って、防水加工され、識別表示された袋に入れて保管する被災者の脱衣のための最初のゾーン。歩行不能な被災者は、ストレッチャーに乗せられる。
- 被災者が除染溶液で身体を洗うシャワーによる湿性除染のための中間ゾーン。作業員が歩行不能な被災者の世話をし、小型シャワーで被災者の身体を洗い流す。
- 乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン。作業員は、除染シャワーから出て来た被災者の身体を乾かし、汚染率を検査し、汚染率が許可された限界値以下の場合は、ゾーンから退去させるために被災者に使い捨ての衣服を提供する。除染が不十分な場合、被災者は、再除染のためにシャワーへ再び誘導される。
【0007】
骨格がユニット式で、急速組立・折り畳式であるテント型のUMDは、公知である。このような骨格は、例えば文献EP 1.493.886(ユティリス)に記載されている。一旦この骨格が配置されると、各ゾーンを仕切るフレキシブルシートで覆われる。
【特許文献1】EP 1.493.886
【0008】
この種のUMDの組立に要する平均時間は、約1時間30分で、作業員が少なくとも4〜5人必要であり、依然として組立時間が比較的長く、人件費が高くつく。例えば風や雨の場合で、気象条件が良くない場合には、この組立時間は延長されうる。
【0009】
UMDが湿性除染のための中間ゾーンからの汚染廃液を環境中へ放出しないことが重要である。
【0010】
このために、きれいな水用の第1タンクと、湿性除染のための中間ゾーンからの汚染水が貯蔵される第2タンクとをエンクロージャの外側に配置することが慣例になっている。
【0011】
これらの2つの外部タンクを使用するには、UMDのエンクロージャの周囲に比較的広い自由空間が必要であり、設置場所によってはいつも可能なわけではない。機器全体(暖房、発電装置、ポンピングエレメントなど)がエンクロージャの外側に配置されているだけに、UMDの設置に必要な場所は一層広くなる。
【0012】
もう一つの欠点は、エンクロージャの外側に配置された機器が自然の外的要因(雨、気温など)に弱いというところにあり、特殊保護手段が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術の全ての欠点に対して、本発明が解決しようとする主な技術的問題は、最小限の人員で設置場所に容易にかつ速やかに配置することができるUMDを提案することである。
【0014】
本発明は、最小限の機器のみを必要とし、環境汚染を効果的に検査するのに適したUMDを提案することも目的としている。
【0015】
本発明の他の目的は、用いられる機器の完全性を簡単に保持して、設置に小さい空間を必要とするUMDを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明が提案する解決策は、被災者の脱衣のための最初のゾーンと、シャワーか小型シャワーによる湿性除染のための中間ゾーンと、乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンとを有する集団除染モバイルユニットであり、前記ゾーンは、中仕切りによって少なくとも1つの歩行可能者用レーンと1つの歩行不能者用レーンとに区分され、
- 前記ユニットが1つの屋根パネルと1つの床パネルと2つの妻壁パネルとを備えた搬送可能なモバイルコンテナから成り、これらの固定したパネルが湿性除染のための中間ゾーンの境界を成し、
- 前記コンテナが、広げられた位置においてそれぞれ脱衣のための最初のゾーンと乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンとの境界を成す2つの広げられる側面パネルを備えており、
- 追加パネルが、前記コンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、脱衣のための最初のゾーンと乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンとを仕切るために広げられる側面パネルと共に配置される広げられた位置との間の前記コンテナに移動させて組み立てられ、
- 仕切りが、前記ユニットがレーンを形成するように広げられた位置にあるとき、前記ユニットによって形成された内部空間に縦に配置されることによって特徴付けられる。
【0017】
本発明の対象であるUMDは、このようにあらゆる設置場所に非常に容易に搬送可能であり、その骨格の特徴によって、それを30分以内に広げるには2人の作業員で足りる。
【0018】
UMDの設計を容易にし、それを容易に広げられる本発明の有利な特徴によれば、
- 屋根パネルと床パネルは、モバイルコンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、それぞれ脱衣のための最初のゾーンと乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンとの屋根及び床を形成するように広げられる側面パネルと共に配置される広げられた位置との間の前記コンテナに配置された水平軸の周囲を回転させて組み立てられ、
- 妻壁パネルは、モバイルコンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、脱衣のための最初のゾーンと乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンとの妻壁を形成するように広げられる側面パネルと共に配置される広げられた位置との間の前記コンテナに配置された垂直軸の周囲を回転させて組み立てられる。
【0019】
環境汚染を簡単に検査することを可能にする本発明の好適な特徴によれば、湿性除染のための中間ゾーンは、汚染廃液リサイクル装置と共に配置される。
【発明の効果】
【0020】
その利点としては、このリサイクル装置は、湿性除染のための中間ゾーンからの汚染廃液を除去し、供給タンクに再注入するのに適したポンピングエレメントを備えており、前記ポンピングエレメントは、濾過モジュール及び/又は前記廃液の熱化学処理モジュールと共に配置される。
【0021】
本発明の他の好適な特徴によれば、各ゾーンの内部体積は、外部に対して加圧に保持される。このように、UMDのエンクロージャは完全に密閉され、如何なる汚染物質もこのエンクロージャ内に自由に侵入できない。また、好ましくは、各ゾーンは異なる圧力レベルで保持されるので、空気は乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンから脱衣のための最初のゾーンへ流れる。
【0022】
本発明の有利な特徴によれば、脱衣のための最初のゾーンは、前記最初のゾーンと外部との間の正の圧力勾配(P脱衣ゾーン− P外部 > 0)を維持するための圧力装置と共に配置される。この圧力勾配を考慮して、人が脱衣のための最初のゾーンに入ると、空気が外部に向かって一方向に流れ、前記最初のゾーンの外に汚染物質をよりうまく保持することができる。
【0023】
本発明の他の有利な特徴によれば、湿性除染のための中間ゾーンは、前記中間ゾーンと脱衣のための最初のゾーンとの間の正の圧力勾配(P湿性除染ゾーン− P脱衣ゾーン > 0)を維持するための圧力装置と共に配置される。この圧力勾配を考慮して、人が湿性除染のための中間ゾーンに入ると、空気が脱衣ゾーンに向かって一方向に流れ、前記中間ゾーンの外に汚染物質をよりうまく保持することができる。
【0024】
本発明の他の有利な特徴によれば、乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンは、前記最終ゾーンと湿性除染のための中間ゾーンとの間の正の圧力勾配(P最終ゾーン− P湿性除染ゾーン > 0)を維持するための圧力装置と共に配置される。この圧力勾配を考慮して、人が湿性除染のための中間ゾーンから出ると、空気が前記ゾーンに向かって一方向に流れ、乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンの外に汚染物質をよりうまく保持することができる。
【0025】
用いられる機器を外的要因から保護して、UMDの設置に必要な空間を縮小することを可能にする本発明のさらに他の好適な特徴によれば、発電装置、エアコンプレッサ及び汚染廃液リサイクル装置を装備したユーティリティモジュールは、モバイルコンテナに隣接して配置される。
本発明の他の利点及び特徴は、限定的ではなく指示例として作成された添付図面を参照して、以下の好適な実施形態に関する説明を読むと、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の対象である集団除染モバイルユニット(UMD)は、テロ行為であろうと産業事故であろうと、核、放射線、生物又は化学(NRBC)物質によって汚染されたエリアに迅速に出動して、被災者を速やかに避難させ、トリアージを行い、除染するように設計されている。
【0027】
本発明の対象であるUMDの骨格を作るために、搬送可能なモバイルコンテナ、すなわち通常機材や貨物の輸送に使用され、トラックのトレーラか四輪駆動車に一時的に或いは常時固定されるのに適したコンテナを用いる。
【0028】
本発明によれば、フランス特許FR2.821.869(アルストム)に記載されている型の搬送可能なモバイルコンテナを用いる。この種のコンテナは、特に好都合である。何故なら、車両による搬送時に、コンテナの外形寸法が従来のコンテナの外形寸法に収まり、コンテナが現場で広げられると、より大きい使用可能な空間を提供するからである。
【0029】
添付図と関連して、1つの屋根パネル1a、1つの床パネル1b及び2つの妻壁パネル1cを備えた20フィートコンテナを用いる。これらのパネルは、湿性除染のための中間ゾーンに相当する基室を構成する。有利に固定した2つの側面パネル1dは、湿性除染のための中間ゾーンBを仕切ることになる。
【0030】
図示しない実施形態の変形例では、2つの側面パネル1dは、コンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、中間ゾーンBを仕切る広げられた位置との間の前記コンテナに移動させて組み立てられる。これらは例えば折り畳むことを可能にする多くの垂直ヒンジを備えたパネルでありうる。
【0031】
図示しない本実施形態の他の変形例では、2つの側面パネル1dは、単なる壁が取り外しができるシートである。
【0032】
本発明によるコンテナは、広げられた位置においてそれぞれ脱衣のための最初のゾーンAと、乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンCとの境界を成す2つの広げられる側面パネル1eも備えている。
【0033】
側面パネル1eが折り畳まれた位置(図1a、図2a及び図2c)にあるとき、コンテナの外形寸法は、中間ゾーンBの外形寸法に収まる。側面パネル1eが広げられた位置(図1b、図2b及び図2d)にあるときは、コンテナの外形寸法は、2つのゾーンA及びCの外形寸法分だけ増えて、約30m2の使用できる総面積を有する。
【0034】
ドア2から最初のゾーンAに入り、最終ゾーンCから出ることが可能である。
【0035】
図1bに示す好適な実施形態によれば、2つの側面パネル1eは、ガイド手段4を介して水平転位移動させて組み立てられる。用いられるガイド手段は、側面パネル1eに固定され、屋根パネル1a及び/又は床パネル1bに配置されたレール内を滑走するガイドバーでありうる。同等の他の全てのガイド手段が用いられ得る。
【0036】
側面パネル1eを広げるのは手動で行われ得るが、ガイド手段4は、公知のタイプの動力部に有利に接続される。
【0037】
一旦側面パネル1eが広げられた位置になると、閉鎖手段がゾーンAとゾーンCとを仕切るために設けられる。
【0038】
図2b及び図2dと関連して、パネルは、コンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、最初のゾーンAと最終ゾーンCとを仕切るために広げられる側面パネル1eと共に配置される広げられた位置との間の前記コンテナに移動させて組み立てられる。
【0039】
ゾーンA 及びゾーンCの妻壁を形成するために、好ましくはコンテナに片付けられる折り畳まれた位置(図2a)と、側面パネル1eが広げられると、前記ゾーンを仕切る広げられた位置(図2b)との間の前記コンテナに移動させて組み立てられる妻壁パネル1fを用いる。
【0040】
本発明の好適な実施例によれば、妻壁パネル1fは、モバイルコンテナに配置された垂直軸10fの周囲を回転させて組み立てられる。
【0041】
特に図2c及び図2dと関連して、ゾーンA 及びゾーンCの屋根と床とを形成するために、好ましくはコンテナに片付けられる折り畳まれた位置(図2c)と、側面パネル1eが広げられると、前記ゾーンを仕切る広げられた位置(図2d)との間の前記コンテナに移動させて組み立てられる屋根パネル1g及び床パネル1hを用いる。
【0042】
本発明の好適な実施例によれば、屋根パネル1g及び床パネル1hは、それぞれモバイルコンテナに配置された水平軸10g及び10hの周囲を回転させて組み立てられる。
【0043】
図2a及び図2cと関連して、側面パネル1dがモバイルコンテナの骨格に組み込まれると、側面パネル1dは、可動式側面パネル1eと共に、妻壁パネル1f、屋根パネル1g及び床パネル1hが片付けられ得る空間の境界を成す。
【0044】
その際、コンテナを広げるのは、非常に迅速に行われる。すなわち、2つの側面パネル1eを広げた後、屋根パネル1g及び床パネル1hを、次に妻壁パネル1fを2つの側面パネル1eのそれぞれの軸の周囲を回転させるだけで十分であり、各パネルの位置維持装置が設けられる。
【0045】
被災者の脱衣のための最初のゾーンAと、湿性除染のための中間ゾーンBと、乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンCは、中仕切りによって異なる除染ラインを形成する少なくとも1つの歩行可能者用レーンと1つの歩行不能者用レーンとに区分されている。
【0046】
図3に示す特別な実施形態によれば、UMDは、1つの歩行不能者用レーン A1-B1-C1と、それぞれ女性専用、男性専用の2つの歩行可能者用レーン A2-B2-C2及びA3-B3-C3とを備えている。
【0047】
図3と関連して、仕切り1iは、レーンの境界を成すようにUMDの囲い内に縦に配置されている。仕切り1iは、好ましくはUMDを構成する各パネルを広げた後に配置されることになる硬質パネルである。
【0048】
本実施形態の変形例では、コンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、レーンA1-B1-C1、A2-B2-C2及びA3-B3-C3を仕切る広げられた位置との間の前記コンテナに移動させて組み立てられる硬質パネルを設けることができる。これらは例えば折り畳むことを可能にする多くの垂直ヒンジを備えたパネルでありうる。
【0049】
本実施形態の他の変形例では、仕切り1iは、UMDの各ゾーンA, B及びCを通して張った単なるシートである。
【0050】
本発明の好適な特徴によれば、UMDを構成する各パネルは、NRBC処理に適した構造上の理由により望み通りに除染可能なスライドパネルである。
【0051】
脱衣のための最初のゾーンAへの入場の際に、作業員は、被災者の衣服をハサミで切り、防水加工され、識別表示された袋に入れて保管する。吸着剤が被災者の身体に塗布される。歩行不能な被災者は、ストレッチャーに乗せられる。
【0052】
その利点としては、歩行不能者用レーン A1-B1-C1にストレッチャーを容易に移動することを可能にする骨組30を配置することを想定している。
【0053】
ドア2bから湿性除染のための中間ゾーンBにアクセスすることが可能である。このゾーンは、被災者が除染溶液で身体を洗うシャワー一式20を備えている。作業員が歩行不能な被災者の世話をし、小型シャワーで被災者の身体を洗う。
【0054】
光又は音による表示装置型の警報手段が最初のゾーンAにいる人に中間ゾーンBへの入場許可を与えるために設けられる。実際には、人が中間ゾーンBにいる限り、このゾーンへの入場許可は与えられない。この措置によって、UMDの囲い内の病原体の伝播を回避することが可能である。
【0055】
ドア2cから乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーンCにアクセスすることが可能である。作業員は、中間ゾーンBから出て来た被災者の身体を乾かし、汚染率を検査し、汚染率が許可された限界値以下の場合は、医療センターに行かせるか避難させる前に被災者に使い捨ての衣服を提供する。除染が不十分な場合、被災者は、再湿性除染のためにシャワー20へ再び誘導される。
【0056】
前述のように、光又は音による表示装置型の警報手段が中間ゾーンBにいる人に最終ゾーンCへの入場許可を与えるために設けられる。実際には、人が最終ゾーンCにいる限り、このゾーンへの入場許可は与えられない。
【0057】
本発明によれば、廃液除染装置が汚染物質の環境への汚染拡大を回避するために設けられる。
【0058】
固体廃棄物(消費財、衣服など)は、各ゾーンA, B及びCに配置されたオートクレーブか焼却炉で除染される。
【0059】
図4と関連して、UMDの骨組に隣接して配置され、独立型オートクレーブモジュール300のエンクロージャを前記UMDのエンクロージャに連結するのに適した装置を備えた前記モジュールを用いることを予定することもできる。
【0060】
実際には、オートクレーブモジュール300は、オートクレーブ301を備えた搬送可能な10フィートコンテナから成る。プレート302は、オートクレーブ301とUMDのエンクロージャとの間に移動させて組み立てられる。防水加工された向かい合ったオリフィスがこの連結を可能にするためにオートクレーブモジュール300の骨組と、UMDのパネルとに設けられる。衣服、試料又は汚染された他の全ての機器を除染するには、UMDのエンクロージャ内にいる作業員が前記機器をプレート302上に位置付けて、このプレートをオートクレーブ301の内側へ押すだけで十分である。その際、オートクレーブ301が始動し、処理後に機器がトラップ303の代わりに再利用される。
【0061】
オートクレーブモジュール300のエンクロージャは、それを外部に対して陽圧(Pエンクロージャ− P外部 > 0)に保持するのに適した圧力装置304と共に配置される。この圧力勾配は、汚染物質がオートクレーブモジュール300のエンクロージャ内に侵入するのを阻止する。このエンクロージャにはエアロック室305からだけアクセスできる。
【0062】
中間ゾーンBからの汚染廃液の処理のために、リサイクル装置を設ける。
【0063】
図3と関連して、このリサイクル装置は、中間ゾーンBからの汚染廃液を吸入するのに適したポンピングエレメント100を備えている。
【0064】
このようにポンプで汲み上げられた廃液は、好ましくは汚染物質と前記廃液とを分けるのに適した逆浸透膜型濾過モジュール101に注入される。処理すべき汚染物質の性質によっては、廃液熱化学処理モジュールを単独か又は濾過モジュール101と組み合わせて用いることが必要であることもある。熱処理は廃液を60oC〜90oCで加熱することにあり、化学処理はSanytex(登録商標)タイプの化学物質を使用することにある。
【0065】
濾過モジュール101の出口で、処理廃液がフレキシブルタンク型の清水タンク102に再注入される。ポンプ103は、清水タンク102内の清水をシャワー20へ送るために設けられる。ポンプ103は、場合によっては水加熱器に連結される。
【0066】
これらの各手段によって、シャワーへの給水及び汚染廃液処理のために閉回路を実現することが可能であるので、1つのタンクだけがUMDの正常な作動に必要である。
【0067】
各ゾーンA, B及びCの内部体積は、如何なる汚染物質も本発明の対象であるUMD内に自由に侵入できないように外部に対して加圧に保持される。
【0068】
好ましくは、各ゾーンは異なる圧力レベルで保持されるので、空気は最終ゾーンCから最初のゾーンAへ流れる。
【0069】
図3と関連して、脱衣のための最初のゾーンAは、前記最初のゾーンAと外部との間の正の圧力勾配(PゾーンA −P外部 > 0)を維持するためのエアコンプレッサ型の圧力装置200と共に有利に配置されている。この圧力勾配を考慮して、人が最初のゾーンAに入ると、空気が外部に向かって一方向に流れ、前記最初のゾーンの外に汚染物質をよりうまく保持することができる。
【0070】
実際には、最初のゾーンAは、0Pa〜+2 Paの圧力に保持される。
【0071】
同様に、湿性除染のための中間ゾーンBは、前記中間ゾーンBと脱衣のための最初のゾーンAとの間の正の圧力勾配(PゾーンB − PゾーンA > 0)を維持するためのエアコンプレッサ型の圧力装置200と共に有利に配置されている。この圧力勾配を考慮して、人が中間ゾーンBに入ると、空気が最初のゾーンAに向かって一方向に流れ、前記中間ゾーンの外に汚染物質をよりうまく保持することができる。
【0072】
実際には、中間ゾーンBは、+2Pa〜+5 Paの陽圧に保持される。
【0073】
同様に、最終ゾーンCは、前記最終ゾーンCと中間ゾーンBとの間の正の圧力勾配(PゾーンC − PゾーンB > 0)を維持するように圧力装置200と共に有利に配置されている。この圧力勾配を考慮して、人が中間ゾーンBから出ると、空気が前記ゾーンに向かって一方向に流れ、最終ゾーンCの外に汚染物質をよりうまく保持することができる。
【0074】
実際には、最終ゾーンCは、+3Pa〜+6 Paの陽圧に保持される。
【0075】
UMDの各ゾーンを効果的な圧力で保持するために、シールによる気密システムが前記UMDを構成する各パネル間と、各ドアに設けられる。用いられるシールによる気密システムは、当業技術者に公知のタイプである。
【0076】
その利点としては、UMDの各ゾーンは、前記ゾーン内の温度を一定に保つように空気調整が行われる。
【0077】
用いられる機器を外的要因(雨、風など)から保護するために、ユーティリティモジュールは、本発明の対象であるUMDに電気エネルギー、水及び空気を供給する。UMDとユーティリティモジュールとの組み合わせによって、完全に自立して作動し、被災地の近傍で容易に広げられ得るモバイルユニットが構成される。
【0078】
実際には、このユーティリティモジュールは、発電装置、圧力装置200及び前述の汚染廃液リサイクル装置を装備している。
【0079】
ユーティリティモジュールは、モバイルコンテナの妻壁パネル1cの内の1つに一時的に或いは常時モバイルコンテナに隣接して配置される。ドアは、保守点検及び/又は各装置の始動の場合にモジュールの内部に入れるように設けられる。
【0080】
本発明の有利な実施形態によれば、外部インタフェースは、前記UMDを前記ユーティリティモジュールに迅速かつ容易に接続できるようにモバイルコンテナの妻壁パネル1cに配置される。
【0081】
外部インタフェースは、当業技術者に公知の高速接合型の、発電装置、圧力装置200及び汚染廃液リサイクル装置への接続手段を備えている。ユーティリティモジュールとUMDとの接続は、このように迅速に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1a】折り畳まれた位置にある本発明の対象であるUMDの斜視図である。
【図1b】広げられた位置にある本発明の対象であるUMDの斜視図である。
【図2a】折り畳まれた位置にある本発明の対象であるUMDの水平断面略図である。
【図2b】広げられた位置にある本発明の対象であるUMDの水平断面略図である。
【図2c】折り畳まれた位置にある本発明の対象であるUMDの垂直断面略図である。
【図2d】広げられた位置にある本発明の対象であるUMDの垂直断面略図である。
【図3】各構成要素の配置を示す広げられた位置にある本発明の対象であるUMDの水平断面略図である。
【図4】本発明の対象であるUMDと共に配置されるのに適したオートクレーブモジュールの水平断面略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被災者の脱衣のための最初のゾーン(A)と、シャワーか小型シャワーによる湿性除染のための中間ゾーン(B)と、乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)とを有する集団除染モバイルユニットであって、前記ゾーンが中仕切りによって少なくとも1つの歩行可能者用レーン(A2-B2-C2 ; A3-B3-C3)と1つの歩行不能者用レーン(A1-B1-C1)とに区分され、
- 前記ユニットが1つの屋根パネル(1a)と1つの床パネル(1b)と2つの妻壁パネル(1c)とを備えた搬送可能なモバイルコンテナから成り、これらの固定したパネルが湿性除染のための中間ゾーン(B)を形成し、
前記コンテナが、広げられた位置においてそれぞれ脱衣のための最初のゾーン(A)と乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)との境界を成す2つの広げられる側面パネル(1e)を備えており、
パネル(1f, 1g, 1h)が、前記コンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、脱衣のための最初のゾーン(A)と乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)とを仕切るために広げられる側面パネル(1e)と共に配置される広げられた位置との間の前記コンテナに移動させて組み立てられ、
仕切り(1i)が、前記ユニットがレーン(A1-B1-C1;A2-B2-C2;A3-B3-C3)を形成するように広げられた位置にあるとき、前記ユニットによって形成された内部空間に縦に配置されることを特徴とするモバイルユニット。
【請求項2】
屋根パネル(1g)と床パネル(1h)がモバイルコンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、それぞれ脱衣のための最初のゾーン(A)と乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)との屋根及び床を形成するように広げられる側面パネル(1e)と共に配置される広げられた位置との間の前記コンテナに配置された水平軸(10g, 10h)の周囲を回転させて組み立てられ、
妻壁パネル(1f)がモバイルコンテナに片付けられる折り畳まれた位置と、脱衣のための最初のゾーン(A)と乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)との妻壁を形成するように広げられる側面パネル(1e)と共に配置される広げられた位置との間の前記コンテナに配置された垂直軸(10f)の周囲を回転させて組み立てられる請求項1に記載のモバイルユニット。
【請求項3】
前記ユニットを構成する各パネル(1a, 1b, 1c, 1d, 1e, 1f, 1g, 1h, 1i)がNRBC処理に適した構造上の理由により望み通りに除染可能なスライドパネルである前記請求項の何れか一項に記載のモバイルユニット。
【請求項4】
湿性除染のための中間ゾーン(B)が汚染廃液リサイクル装置と共に配置される前記請求項の何れか一項に記載のモバイルユニット。
【請求項5】
リサイクル装置が湿性除染のための中間ゾーン(B)からの汚染廃液を除去し、供給タンク(102)に再注入するのに適したポンピングエレメント(100)を備えており、前記ポンピングエレメントが濾過モジュール(101)及び/又は前記廃液の熱化学処理モジュールと共に配置される請求項4に記載のモバイルユニット。
【請求項6】
各ゾーン(A, B, C)の内部体積が外部に対して加圧に保持される前記請求項の何れか一項に記載のモバイルユニット。
【請求項7】
各ゾーン(A, B, C)が異なる圧力レベルで保持されるので、空気が乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)から脱衣のための最初のゾーン(A)へ流れる前記請求項の何れか一項に記載のモバイルユニット。
【請求項8】
脱衣のための最初のゾーン(A)が前記最初のゾーン(A)と外部との間の正の圧力勾配(P脱衣ゾーン−P外部 > 0)を維持するための圧力装置(200)と共に配置される前記請求項の何れか一項に記載のモバイルユニット。
【請求項9】
湿性除染のための中間ゾーン(B)が前記中間ゾーン(B)と脱衣のための最初のゾーン(A)との間の正の圧力勾配(P湿性除染ゾーン− P脱衣ゾーン > 0)を維持するための圧力装置(200)と共に配置される前記請求項の何れか一項に記載のモバイルユニット。
【請求項10】
乾燥、検査及び着衣のための最終ゾーン(C)が前記最終ゾーン(C)と湿性除染のための中間ゾーン(B)との間の正の圧力勾配(P最終ゾーン− P湿性除染ゾーン > 0)を維持するための圧力装置(200)と共に配置される前記請求項の何れか一項に記載のモバイルユニット。
【請求項11】
発電装置、圧力装置(200)及び汚染廃液リサイクル装置を装備したユーティリティモジュールがモバイルコンテナに隣接して配置される前記請求項の何れか一項に記載のモバイルユニット。
【請求項12】
独立型オートクレーブモジュール(300)が前記ユニットの骨組に隣接して配置され、前記モジュールが前記モジュールのエンクロージャを前記ユニットのエンクロージャに連結するのに適した装置(302)を備えている前記請求項の何れか一項に記載のモバイルユニット。


【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−540165(P2009−540165A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514839(P2009−514839)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000953
【国際公開番号】WO2007/144490
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508308008)
【Fターム(参考)】