説明

集塵カバー及び集塵カバーユニット

【課題】粉塵を回収する構造が作業効率の低下につながる問題を解消するとともに、その対策のための構造を利用して集塵効率も有効に向上させた集塵カバーを提供する。
【解決手段】先端1a側に回転刃11を軸着し基端側をグリップ12とするカッター本体1に適用され、回転刃11の外周位を周壁20によって部分的に覆った状態でカッター本体1に取り付けられるカバー本体2と、回転刃11による被削材6の切削によって生じる粉塵を集塵する集塵ホース3の集塵口3aを取り付け可能な集塵口取付部4とを備えたものであり、その集塵口取付部4を、回転刃11の回転方向に沿って切削位置Xよりも下流側であり且つカバー本体2の周壁20の始端よりも上流側となる部位に開口端31を臨ませて集塵口3aを取り付け得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓦や床材、壁材などの切断時に発生する粉塵を簡単、適切、高効率で回収することを可能にする集塵カバー及び集塵カバーユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の集塵カバーとして、例えば特許文献1、2等に示されるように、モータと該モータによって回転駆動される回転刃を有するカッターに対し、前記回転刃を部分的に覆う位置に着脱可能としたものが知られている。この集塵カバーは、回転刃による被削材の切削によって生じる粉塵を排出するために周壁の一部に排出口を作り込み、この排出口に集塵ホースを着脱可能に接続するようにしている。
【特許文献1】特開2002−46018号公報
【特許文献2】特開2007−38645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、かかる集塵カバーを採用した従来のカッターは、非使用時にカッター本体を使用時の姿勢のままで接地させると、集塵カバーよりも回転刃が優先的に接地して歯を傷づけるので、カッターを回転させて上下反転させて接地させたり、駆動軸が床に垂直となるように寝かせて接地させる必要があった。このため、頻繁にカッターを仮置きする必要がある場合に、作業効率の大幅な低下につながり、その都度集塵ホースや電気ケーブル等を捻ったり引っ張ったりするため、これらの接続不良や損傷にも繋がり易く、仮置き状態も不安定になるとう問題があった。
【0004】
特に、捕獲位置である排出口が切削位置から遠ざかるほど、粉塵の方向は回転刃の回転に伴って水平方向から垂直方向に向きを変えるため、その流れに沿って粉塵を集塵しようとすれば、集塵カバーの周壁の途中に作り込まれた排出口の位置に応じて集塵ホースはカッター本体に対して斜め上方に立ち上がった状態とならざるを得ない。このため、集塵ホースが作業の妨げになり、また仮置きする際には実際には上下反転させても集塵ホースが邪魔になり、駆動軸が上を向くようにカッター本体を寝かせる以外にはなかった。
【0005】
更に、上記のように集塵カバーは駆動軸回りに回転可能とされているが、集塵カバーに作り込んだ排出口に集塵ホースを取り付ける構造であるため、集塵ホースの先端と切削箇所との直接的な距離がほとんど不変であり、調整機能に乏しいものであった。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、粉塵を回収する構造が作業効率の低下につながる問題を解消するとともに、その対策のための構造を利用して集塵効率も有効に向上させた集塵カバー及び集塵カバーユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の集塵カバーは、先端側に回転刃を軸着しそれよりも基端側をグリップとするカッター本体に適用され、前記回転刃の外周位を周壁によって部分的に覆った状態で前記カッター本体に取り付けられるカバー本体と、前記回転刃による被削材の切削によって生じる粉塵を集塵する集塵ホースの集塵口を取り付け可能な集塵口取付部とを備えたものであり、前記集塵口取付部を、前記回転刃の回転方向に沿って切削位置よりも下流側であり且つカバー本体の周壁の始端よりも上流側となる部位に開口端を臨ませて集塵口を取り付け得るように構成したことを特徴とする。
【0009】
このように構成しても、粉塵を集塵ホースによって適切に捕獲することができる。しかも、集塵口がカバー本体よりも回転上流側にあり、集塵ホースは使用状態においてカバーの周壁よりも下方に位置するため、使用中はカッター本体を角度をつけて使用することにより集塵ホースが切削の邪魔になることがなく、非使用時にカッター本体をほぼ水平にすれば集塵ホースをカッター本体の回転刃よりも優先的に接地させる構造にすることが容易である。このため、カッターを回転させたりホースを捻ったりせずに仮置きすることができ、作業効率の大幅な向上に資することができる。さらに、捕獲位置である集塵口の開口端が切削位置に近づくほど粉塵の方向は水平に近くなるため、集塵ホースが延びる方向は自ずとカッター本体に沿った方向となる。このため、集塵口の開口端をカバー本体の周壁よりも下方に位置づけることで、集塵口から延出する集塵ホースがカッター本体から上方に立ち上がって作業の妨げとなる状態を有効に解消することができる。勿論、集塵ホースの集塵口を集塵口取付部に対して脱着可能としておけば、取り外した使用態様も可能となり、取り扱いも容易となる。
【0010】
集塵口を集塵に適した捕獲位置に調整可能とするためには、集塵口取付部が、集塵口の開口端から回転刃による切削位置までの距離を可変としていることが望ましい。
【0011】
開口端を切削位置により近接させて配置することを可能にするためには、集塵口の外周に、当該集塵ホースの長手方向に沿って延びるスリットを設け、このスリット内に回転刃の一部を進入させ得るようにしておくことが好ましい。
【0012】
集塵効率を更に有効に高めるためには、集塵口の外周に、開口端で捕獲されなかった粉塵を集塵ホース内に誘導する捕獲孔を設けておく構成や、集塵口の外周に、切削面に柔軟に摺接可能なブラシを設けておく構成等が効果的である。
【0013】
回転刃の切削位置に応じてカバーを位置変更しても集塵機能を損なわないためには、カッター本体にカバー本体が、回転刃と同一軸心回りに位置変更可能に取り付けられ、そのカバー本体に一体的に集塵口取付部が設けられていることが望ましい。
【0014】
作業中に集塵口の位置を簡易に変更可能とするためには、カバー本体の基端側に設けたフランジをカッター本体の一部に設けたボス部に緩やかに嵌合させるとともに、前記フランジに、指先における操作を通じて当該フランジをボス部に固定可能な止め具を設けていることが好都合である。
【0015】
集塵口の開口端を適切な方位に調整可能とするためには、集塵口取付部の基端がカバー本体に、回転刃の軸心と平行な軸若しくは仮想軸回りに首振り可能に取り付けられていることが望ましい。
【0016】
以上の集塵カバーは、集塵口と集塵ホースが別体をなしている場合には、集塵口をカバー本体に取り付けることにより集塵カバーとし、その集塵カバーの集塵口に集塵ホースを着脱可能に接続するようにしてもよいし、集塵口と集塵ホースが一体をなしている場合には、集塵カバーの集塵口取付部に集塵ホースの集塵口を取り付けて集塵カバーユニットとして取り扱うこともできる。
【0017】
そして、上記の集塵カバーや集塵カバーユニットは、カッター本体に対して後付けで取り付け可能としてもよいが、当初よりカッター本体に一体的に取り付けてカッターを構成してもよいのは勿論である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上説明した構成であるから、瓦や床材、壁材などの切断時に発生する粉塵を回収するにあたり、集塵口をカバー本体から位置的に独立させることで集塵ホースを作業の妨げとならない位置に配置することを可能にするとともに、その位置において高い効率の下に集塵を行うことができ、カッター本体を頻繁に仮置きする際にも作業効率の低下を来たさないようにした、新規有用な集塵カバー及び集塵カバーユニットを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
この実施形態に係るカッターCを構成する集塵カバーAは、図1に示すように、先端側に回転刃11を軸着し基端側をグリップ12とするカッター本体1に適用され、前記回転刃11を部分的に覆った状態で前記カッター本体1に取り付けられるカバー本体2と、前記回転刃11による被削材の切削によって生じる粉塵を集塵する集塵ホース3の集塵口3aを取り付け可能な集塵口取付部4とを備える。
【0021】
カッター本体1は、図示しない位置に駆動源であるモータを内蔵しており、このモータによって回転駆動される駆動軸13が、図2に示すようにカッター本体1の先端1aに形成したボス部10からカッター本体1の長手方向と直交する方向に延びている。そして、その駆動軸13に円盤状をなす前記回転刃11を軸着している。
【0022】
カバー本体2は、図1及び図3等に示すように、回転刃11の全周の1/2弱を覆う位置に周壁20を具備してなるもので、この周壁20によって回転刃11の外周位を部分的に覆っている。このカバー本体2は、図2に示すように、基端側に形成した部分円筒状のフランジ21をカッター本体1のボス部10の外周に嵌め合わせて取り付けられるもので、そのフランジ21の外周にCリング金具22を巻き掛け、このCリング金具22を締め付ける位置に、ドライバー等の工具を使って操作可能なクランプ機構23を取り付けている。また、前記Cリング金具22を足場にしてフランジ21をボス部10に押し付け可能な位置に、指先で操作可能な止め具24を設けている。すなわち、クランプ機構23によってフランジ21をボス部10に緩やかに嵌め合わせた状態で、止め具24の操作を通じてカッター本体1に対するカバー本体2の固定/解除を行い得るようにしている。
【0023】
このような構造を通じて、カバー本体2は、カッター本体1に対する取付位置が回転刃11の駆動軸13と同一軸心回りに位置変更可能であり、止め具24を緩めることによって、図4(a)、(b)に示すようにカッター本体1に対するカバー本体2の位置を可変とし、被削材に対する切削位置X(X1,X2、…)に応じて回転刃11がカバー本体2から表出する領域、及び、回転刃11がカバー本体2の周壁20に覆われる領域を調整し、その調節位置に再び止め具24を使って固定し得るようにしている。
【0024】
集塵ホース3は、基端を図示しない集塵機に接続され、先端側に形成される開口端31を切削位置Xに臨ませて、開口端31から吸入した粉塵を集塵機に導く役割を果たす。
【0025】
その際、本実施形態は、集塵ホース3の集塵口3aをカバー本体2に取り付けるのではなく、図1及び図3等に示すように、集塵口取付部4を介してカバー本体2の隣接位置に取り付けるようにしている。
【0026】
集塵口取付部4は、この実施形態では下方に開口するソケット状のもので、基端をヒンジ機構41を介してカバー本体2の周壁20に、駆動軸13と平行な軸回りに回転可能に取り付け、弾性を付与してなる紙面垂直方向の一対の先端片42の間に集塵ホース3の集塵口3aを脱着可能に挟持させる構造をなしている。この際、集塵ホース3の集塵口3aのどの部位を集塵口取付部4に取り付けるかによって、開口端31から回転刃11による切削位置Xまでの距離が図3に矢印及び想像線で示すように可変とされている。集塵口3aは集塵ホース3に対して一体であっても、着脱可能な別体であっても構わない。ヒンジ機構41による集塵口取付部4の回動範囲は、ソケット内部の保持面がカッター本体1に対してほぼ平行となる姿勢からほぼ垂直となる姿勢の間とされる。
【0027】
すなわち、集塵口取付部4による集塵口3aの取付位置は、図3に矢印Yで示す回転刃11の回転方向に沿って、切削位置Xよりも下流側であり且つカバー本体2の周壁20の始端20aよりも上流側となる図3に斜線で示す部位に開口端31が臨むように設定されている。
【0028】
また、この実施形態は、図1に示すように、集塵口3aの開口端31の外周、具体的には使用状態において集塵ホース3の上面側となる部位に、開口端31から集塵口3aの所要距離に亘って当該集塵ホース3の長手方向に切り込んだスリット32を設けている。開口端31の切口はこの実施形態の場合、長手方向に直角であるが、切口の角度はこれに限定されない。スリット32の幅は、回転刃11の肉厚よりも幅広に設定され、回転刃11と干渉することなくその一部を進入させ得るものである。
【0029】
加えて、集塵口3aの外周、具体的には使用状態において集塵口3aの下面側となる部位に、周壁を貫通する捕獲孔33を複数個所に穿設している。この捕獲孔33は、開口端31に入らずに集塵口3aの下面側を通過しようとする粉塵を集塵ホース3内に誘導するためのものである。勿論、捕獲孔33の位置は下面側に限定されない。
【0030】
そして、その集塵口3aの外周下面側に、切削面に柔軟に摺接可能なブラシ34を設けている。なお、図1に示すカッター本体1のグリップ12の基端側には、集塵口取付部4からある程度離れた位置において集塵ホース3を保持するための補助取付部5が設けてある。この補助取付部5は、先端の弾性片51,51間の開口を介して集塵ホース3の中間部が脱着可能とされ、前記集塵口取付部4とともに集塵ホース3をカッター本体1の長手方向に沿って安定保持するためのものである。
【0031】
ここで、以上の構成を有するカッターCを用いた被削材3の切断作業について説明する。
【0032】
モータによって回転刃11を図5(a)に矢印Z1で示すように前方に向かって移動させるいわゆる押し切りを行いながら回転刃11を同図中矢印Yに沿って被削材6に滑り込ませてダウンカットする方向に回転駆動すると、被削材6が回転刃11によって切断され、被削材6には切削溝6aが回転刃11の通過跡に形成されていく。このとき、切削位置で生じた粉塵は、図中矢印Sで示すように回転刃11の回転方向であるY方向に沿って水平から鉛直方向に向きを変えつつ作業者側に排出される。
【0033】
そして、この位置には開口端31が開口しているため、粉塵は開口端31に吸入され、集塵ホース3を介して図示しない集塵機に集められる。開口端31に捕獲されずに、集塵口3aの下面側を通過しようとする粉塵は、ブラシ34によって堰き止められることとも相俟って、同図中矢印Tに示すように捕獲孔33を介して集塵口3a内に入り、集塵ホース3内に吸い込まれる。ブラシ34は可撓性を有することから、当該ブラシ34の先端は切削溝6a内にも入り込み、この切削溝6a内を通過しようとする粉塵の捕獲にも寄与する。
【0034】
また、図5(b)に示すように、回転刃11を矢印Z2で示すように後方に向かって移動させるいわゆる引き切りを行いながら回転刃11を同図中矢印Yに沿って被削材6をえぐり出すようにアップカットする方向に回転駆動する際には、切削溝6aは作業者側には生じず、切削溝6aを通じた粉塵の逸脱は殆ど生じないため、粉塵に対する捕獲効率は自ずと高められることになる。
【0035】
なお、集塵口取付部4はヒンジ機構41を介してカッター本体1に取り付けられていることから、図6に示すようにヒンジ機構41の軸回りに集塵口取付部4を回転させれば、開口端31ひいては集塵ホース3の方位を自在に変更することが可能である。
【0036】
以上のように、本実施形態の集塵カバーAは、先端1a側に回転刃11を軸着しそれよりも基端側をグリップ12とするカッター本体1に適用され、回転刃11の外周位を周壁20によって部分的に覆った状態でカッター本体1に取り付けられるカバー本体2と、回転刃11による被削材6の切削によって生じる粉塵を集塵する集塵ホース3の集塵口3aを取り付け可能な集塵口取付部4とを備えたものであり、その集塵口取付部4を、回転刃11の回転方向に沿って切削位置Xよりも下流側であり且つカバー本体2の周壁20の始端よりも上流側となる部位に開口端31を臨ませて集塵口3aを着脱可能に取り付け可能として、粉塵を、カバー本体2に進入する前に集塵ホース3によって捕獲するようにしたものである。
【0037】
このように、集塵口3aがカバー本体2よりも回転上流側にあり、集塵ホース3は使用状態においてカバー本体2の周壁20よりも下方に位置するため、使用中は図5等に示すようにカッター本体1を被削面に対して角度をつけて使用することにより集塵ホース3が切削の邪魔になることがなく、非使用時にカッター本体1を図7(a)に示すようにほぼ水平となる姿勢で床F等に置けば、集塵ホース3が集塵口3aともども他に依存せずに、或いはカッター本体1と協働して、同図(b)に示すようにカッターCの回転刃11の刃先よりも優先的に安定接地した状態となる。このため、従来型カッターのように、カッターCをカバー本体2の周壁20が下となるように上下反転させたり、駆動軸13が上を向くように寝かせて接地させる必要等がなく、集塵ホース3や図示しない電機ケーブル等を引っ張ったり捻ったりせずに使用姿勢のまま仮置きすることができ、作業効率の大幅な向上に資することができる。勿論、図示のように回転刃11は上方がカバー本体2に覆われているため上下反転させて接地させることが可能であり、駆動軸13を上に向けてカッター本体1を寝かせるように接地させることも可能であって、仮置きの方位に高い自由度が得られるという利点もある。
【0038】
特に、捕獲位置である開口端31が図3に示したように切削位置Xに近づくほど粉塵の方向は水平に近くので、この実施形態において集塵ホース3が延びる方向は、この種の従来型カッターとは異なり、自ずとカッター本体1の長手方向に沿った方向となる。このように、開口端31をカバー本体2の周壁20よりも下方に位置づけることで、集塵ホース3がカッター本体1から上方に立ち上がって作業の妨げとなる事態を有効に回避することができる。勿論、集塵ホース3は脱着可能であるから、取り外した使用態様をとることも容易に可能となる。
【0039】
また、従来型カッターでは集塵ホースをカバーに直接取り付けているために開口端31と回転刃11の距離は不変であるが、本実施形態では、集塵ホース3を着脱可能に取り付けるための集塵口取付部4が、図3に想像線で示したように、開口端31から回転刃11による切削位置Xまでの距離を可変としているため、開口端31を集塵に適した捕獲位置に調整することができる。
【0040】
さらに、図1に示したように、集塵口3aの外周に、集塵ホース3の長手方向に沿って延びるスリット32を設け、このスリット32内に回転刃11の一部を進入させ得るようにしているので、開口端31を、回転刃11と干渉させずに切削位置により近づけて集塵効率を効果的に高めることができる。
【0041】
加えて、集塵口3aの外周に、開口端31で捕獲されなかった粉塵を集塵ホース3内に誘導する捕獲孔33を設けており、集塵ホース3はカバー本体2の下方にあってカッター本体1に沿っていることから、その方向に逸脱した粉塵を再捕獲して捕獲効率を有効に高めることができる。
【0042】
また、図5(a)に示したように、カッターCを前方へと押しながら切断する押し切りにおいては、粉塵が切削後の溝を通じて逃げ易いが、集塵口3aの外周に、切削面に柔軟に摺接可能なブラシ34を設けているので、粉塵をより確実に捕獲することができる。勿論、ブラシは柔軟性を有するため、引き切りの際にも有効に機能することとなる。
【0043】
さらに、カッター本体1にカバー本体2が、回転刃11と同一軸心回りに位置変更可能に取り付けられ、そのカバー本体2に一体的に集塵口取付部4を設けているので、図4(a)、(b)に示したように回転刃11の切削位置に応じてカバー本体2を位置変更すると、集塵口取付部4がこれに追従して、集塵口3aは粉塵を捕獲する上で適した位置に移動することとなる。
【0044】
さらにまた、図2に示したように、カバー本体2の基端側に設けたフランジ21をカッター本体1の一部に設けたボス部10に緩やかに嵌合させるとともに、前記フランジ21に、指先における操作を通じて当該フランジ21をボス部10に固定可能な止め具24を設けているので、カッターCの使用中に止め具24に対する簡単な指先の操作を行うだけで、切削位置に応じてカバー本体2、ひいては開口端31を工具等を用いることなく適切な位置に容易に位置変更することが可能となる。
【0045】
そして、集塵口取付部4の基端がカバー本体2に、ヒンジ機構41を介して回転刃11の軸心と平行な軸回りに首振り可能に取り付けられているので、集塵口3aの開口端31、ひいては集塵ホース3の角度が変更可能となり、カバー本体2の位置変更に伴ってこれらを適切な方位に調整することが容易となる。
そして、集塵口3aが集塵ホース3と別体であれば、集塵口3aを取り付けた集塵カバーAに集塵ホース3を接続すれば集塵が可能となるし、集塵口3aが集塵ホース3と一体であれば、集塵カバーAにこれらを取り付けて全体を集塵カバーユニットとして取り扱うこともできる。
【0046】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態を回転刃側から見た示す斜視図。
【図2】同実施形態をカバー側から見た斜視図。
【図3】同側面図。
【図4】同カッターの機能説明図。
【図5】同カッターの使用状態を示す図。
【図6】同カッターの他の使用状態を示す図。
【図7】同カッターの他の機能説明図。
【符号の説明】
【0048】
1…カッター本体
1a…先端
2…カバー本体
3…集塵ホース
3a…集塵口
4…集塵口取付部
6…被削材
11…回転刃
20…周壁
20a…始端
24…止め具
31…開口端
32…スリット
33…捕獲孔
34…ブラシ
A…集塵カバー
C…カッター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に回転刃を軸着しそれよりも基端側をグリップとするカッター本体に適用され、前記回転刃の外周位を周壁によって部分的に覆った状態で前記カッター本体に取り付けられるカバー本体と、前記回転刃による被削材の切削によって生じる粉塵を集塵する集塵ホースの集塵口を取り付け可能な集塵口取付部とを備えた集塵カバーであって、
前記集塵口取付部が、前記回転刃の回転方向に沿って切削位置よりも下流側であり且つカバー本体の周壁の始端よりも上流側となる部位に開口端を臨ませて集塵口を取り付け得るようにしたものであることを特徴とする集塵カバー。
【請求項2】
集塵口取付部が、集塵口の開口端から回転刃による切削位置までの距離を可変とするものである請求項1記載の集塵カバー。
【請求項3】
集塵口の外周に、当該集塵ホースの長手方向に沿って延びるスリットを設け、このスリット内に回転刃の一部を進入させ得るようにしている請求項2記載の集塵カバー。
【請求項4】
集塵口の外周に、開口端で捕獲されなかった粉塵を集塵ホース内に誘導する捕獲孔を設けている請求項1〜3何れかに記載の集塵カバー。
【請求項5】
集塵口の外周に、切削面に柔軟に摺接可能なブラシを設けている請求項4記載の集塵カバー。
【請求項6】
カッター本体にカバー本体が、回転刃と同一軸心回りに位置変更可能に取り付けられるものにおいて、前記カバー本体に一体的に集塵口取付部を設けている請求項1〜5何れかに記載の集塵カバー。
【請求項7】
カバー本体の基端側に設けたフランジをカッター本体の一部に設けたボス部に緩やかに嵌合させるとともに、前記フランジに、指先における操作を通じて当該フランジをボス部に固定可能な止め具を設けている請求項6記載の集塵カバー。
【請求項8】
集塵口を着脱可能に取り付けるための集塵口取付部の基端がカバー本体に、回転刃の軸心と平行な軸若しくは仮想軸回りに首振り可能に取り付けられている請求項1〜7何れかに記載の集塵カバー。
【請求項9】
請求項1〜8何れかに記載の集塵カバーの集塵口に集塵ホースを取り付けて構成されることを特徴とする集塵カバーユニット。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−255215(P2009−255215A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106191(P2008−106191)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(508115200)
【Fターム(参考)】