説明

集塵機の連動システム

【課題】簡易な構成で集塵機を電動工具と連動させる。
【解決手段】マルノコ10のダストノズル18にホース6を介して接続される集塵機1に、ON操作によって集塵機1が運転する薄型スイッチ19をコード22を介して電気的接続して、薄型スイッチ19を、マルノコ10のスイッチレバー15に設けて、スイッチレバー15の操作に伴う薄型スイッチ19の操作で集塵機1をマルノコ10と連動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルノコ等の電動工具のノズルにホースを介して接続される集塵機を、電動工具に連動して運転させるための集塵機の連動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルノコやグラインダ、カンナ等の電動工具を使用する場合、粉塵や切削屑が排出されるため、電動工具に設けたノズルにホースを介して集塵機を接続し、集塵機を作動させながら切削作業等を行うことで、粉塵等を飛散させずに集塵機に直接集塵させることがよく行われている。この場合、両者を使用する際の作業性を向上させるために、集塵機に電動工具との連動機構を付加したシステムが知られている。これは、集塵機に、電動工具の電源コードを差し込むコンセントと連動/非連動の切替スイッチとを設けて、連動を選択した際には、集塵機内の制御部が、コンセント側への電流を検出してモータを駆動させる一方、非連動を選択した際には、手動によるメインスイッチの操作によって集塵機を単独運転させるものである。
【0003】
しかし、この連動機能では、電源コードで交流電源を得るAC工具しか使用できない。よって、本件出願人は、特許文献1に開示のように、電動工具に、電動工具の作動を検出して運転信号を送信する送信機を設け、外部機器との連動機能を備えた集塵機のコンセントに、送信機からの運転信号を受信して内部の受信通電回路に通電させるアダプタを差し込み接続して、無線による連動システムを発明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−36723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の連動システムでは、電動工具に送信機を、集塵機にアダプタを夫々設けて無線による通信システムを構築する必要があるため、連動システムの採用にコストがかさむ上、アダプタを管理する手間も生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、より簡易な構成で集塵機を電動工具と連動させることができる集塵機の連動システムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電動工具のノズルにホースを介して接続される集塵機を、電動工具に連動して運転させるための集塵機の連動システムであって、集塵機に、ON操作によって集塵機が運転する外部スイッチをコードを介して電気的接続して、当該外部スイッチを、電動工具に対してその作動操作と共に操作可能な位置に設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、コードを電動工具のノズルとホースとの接続部分で分離して、ノズル側のコードとホース側のコードとに、ノズルとホースとの接続と同時に連結して両コードを電気的接続させるコネクタを夫々設けたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、外部スイッチを、電動工具の作動時に操作される操作部材に設けたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項2の構成において、コネクタを、ホース側に設けられ、ホース側のコードが接続される一対の第1端子ピンを端面に突設した第1コネクタと、ノズル側に設けられ、ノズル側のコードが接続されて第1端子ピンと対応する一対の第2端子ピンを端面に突設し、第1コネクタと嵌合する第2コネクタとし、第1端子ピンと第2端子ピンとの何れか一方を、端面から出没可能且つ弾性手段によって突出位置へ付勢して設けて、両コネクタの嵌合に伴う両端子ピン同士の当接によって一方の端子ピンが弾性手段に抗して後退し、両端子ピンが押圧状態で接触することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、両コネクタの各端面に、両コネクタの嵌合状態で互いに吸着する磁石を設けたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項2の構成において、コネクタを、ホース側とノズル側との何れか一方に設けられ、当該側のコードが接続される一対の異径の端子リングを同軸且つ軸方向へずらせて段状に外装した第1コネクタと、他方に設けられて当該側のコードが接続され、端子リングと対応して先端位置を軸方向へずらせた一対の端子板を有する筒状の第2コネクタとし、ノズルとホースとの接続に伴って第2コネクタが第1コネクタへ外装されることで、端子板の先端が夫々対応する前記端子リングに接触することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、集塵機に電気的接続した外部スイッチを電動工具に設ける簡単な構成で集塵機を電動工具と連動させることができる。勿論電動工具はAC工具、DC工具の何れも適用可能である。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、コードをホース及びノズルに沿って引き回すことができ、コードが邪魔にならない。また、コードを分離しても、ノズルとホースとの接続と同時にコネクタによって電気的接続されるので、余計な手間が生じず、作業性を損なうことはない。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、作業者が意識することなく操作部材の操作によって集塵機が確実に連動運転するため、信頼性の高い連動システムが得られる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、第1、第2コネクタの採用により、分離したコードの電気的接続が好適に維持される。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加えて、磁石の採用によって両コネクタの連結がスムーズ且つ確実に行える。
請求項6に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、第1、第2コネクタの採用により、分離したコードの電気的接続が好適に維持される。特に、端子リングに対して端子板が接触するので、ホースとノズルとの接続の際に位相を合わせる必要がない上、接続状態でホースやノズルにねじれが起きても電気的接続が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】形態1の集塵機の連動システムの説明図である。
【図2】形態1の薄型スイッチの斜視図である。
【図3】形態1の薄型スイッチの説明図で、(A)がA−A線断面、(B)がB−B線断面、(C)がC−C線断面、(D)が短手方向の側面を夫々示す。
【図4】形態1のホースとダストノズルとの接続部分の分解斜視図である(コードは省略)。
【図5】形態1のホースとダストノズルとの接続部分の説明図で、(A)が側面、(B)がD−D線断面、(C)がE−E線断面を夫々示す(コードは省略)。
【図6】形態2のホースとダストノズルとの接続部分の分解斜視図である(コードは省略)。
【図7】形態2のホースとダストノズルとの接続部分の説明図で、(A)が平面、(B)がA−A線断面を夫々示す(コードは省略)。
【図8】形態2のホースとダストノズルとの接続部分の斜視図である(コードは省略)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
図1は、電動工具としてマルノコを使用した集塵機の連動システムの一例を示す説明図である。
まず集塵機1は、タンク2の上部に、モータ及び吸込ファンを内蔵した本体3を載置してなり、本体3には電源コード4が接続されると共に、ホース6を接続可能な吸込口5が形成されている。8は運転スイッチで、本体3には、運転スイッチ8の操作に応じてモータの駆動を制御する図示しない制御部が設けられている。
よって、運転スイッチ8をON操作すると、本体3内のモータが駆動し、吸込口5に接続したホース6から粉塵等と共に外気を吸い込み、タンク2内を通過させて本体3から排気する。タンク2内と本体3との間には図示しないフィルタが介在されて、吸い込まれた粉塵等をフィルタで捕捉してタンク2内に集塵するようになっている。
【0011】
一方、マルノコ10は、図示しないモータを備えて円盤状の鋸刃12を回転させる本体11を、平面視矩形状のベース13上に取り付けた周知の形態で、本体11に設けられたハンドル14には、モータを駆動させる操作部材としてのスイッチレバー15が設けられると共に、電源となるバッテリーパック16が装着されている。また、本体11において鋸刃12の上方を覆うブレードカバー17には、切断屑を排出するダストノズル18が形成されて、ここにホース6の小径端部7が差し込み接続されている。
【0012】
19は、スイッチレバー15の押し込み操作側の外面に設けられた外部スイッチとしての薄型スイッチで、図2,3に示すように、下面に設けた両面テープ20によってスイッチレバー15に貼着され、スイッチレバー15の押し込み操作に伴う厚み方向の押圧で接点21,21が接触する。この薄型スイッチ19に接続されるコード22は、ホース6に沿って集塵機1まで引き回され、端部に設けたプラグ23を介して集塵機1の本体3に電気的接続されている。本体3内の制御部は、運転スイッチ8の操作時に加えて、薄型スイッチ19のON信号を得た場合にもモータを駆動させるようになっている。
【0013】
コード22は、ホース6とダストノズル18との接続部分で分離されて、ホース6側のコード22Aに設けた第1コネクタ24と、ダストノズル18側のコード22Bに設けた第2コネクタ25との連結によって電気的接続されている。以下、各コネクタの詳細を説明するが、第1コネクタ24においては、ホース6の先端側を前方、第2コネクタ25においては、ダストノズル18の先端側を前方として夫々説明する。
【0014】
まず第1コネクタ24は、図4,5に示すように、ホース6の表面に一体形成される下台26と、その下台26の上面を覆うカバー27との間に正負一対の第1端子ピン28,28を備え、カバー27の下面に突設した複数のピン29,29・・を、下台26の上面に形成した差込孔30,30・・に差し込むことで、第1端子ピン28を上下から挟持可能となっている。下台26における第1端子ピン28の後方には、第1端子ピン28に接続されたホース6側のコード22Aを後方へ引き出す凹部31が形成され、カバー27の後端にも、コード22Aの引き出し用の切欠き32が形成されている。また、下台26及びカバー27の前面には、第1端子ピン28,28の先端を突出させる嵌合凹部33が形成されている。
【0015】
次に、第2コネクタ25は、前後方向に貫通する一対の貫通孔34,34内に、第1コネクタ24の第1端子ピン28,28と対応する正負一対の第2端子ピン35,35を前後へスライド可能に収容するブロック体で、第2コネクタ25の両サイドには、ダストノズル18の先端に外装する円弧帯状の脚部36,36が延設されている。この各脚部36の先端には、係止部37が形成されており、この係止部37をダストノズル18に設けた溝38に係止させることで、第2コネクタ25はダストノズル18へ着脱可能に連結されている。
【0016】
また、各貫通孔34における第2端子ピン35の後方には、弾性手段となるコイルバネ39が夫々設けられている。第2コネクタ25の後面には、前面に突設したピン41,41・・を第2コネクタ25の後面に設けた差込孔42,42・・に差し込むことで、貫通孔34の後端を閉塞してコイルバネ39の突出を規制する抑えカバー40が設けられている。43,43は、第2端子ピン35に接続されたダストノズル18側のコード22Bを後方へ引き出すためのスリットである。
【0017】
さらに、第2コネクタ25の前面には、第1コネクタ24の嵌合凹部33に嵌合する嵌合凸部44が形成され、第1、第2コネクタ24,25の対向する両端面には、嵌合凹部33に嵌合凸部44が嵌合した状態で互いに吸着する磁石45,46が夫々設けられている。各第2端子ピン35は、常態ではコイルバネ39の付勢により、後端に設けたフランジが貫通孔34に設けた段部に当接し、前端が嵌合凸部44から突出する突出位置に保持されることになる。
【0018】
以上の如く構成された集塵機1の連動システムにおいては、集塵機1の吸込口5に接続したホース6の小径端部7をマルノコ10のダストノズル18に、第1、第2コネクタ24,25の位相を合わせて差し込む。すると、第2コネクタ25の嵌合凸部44が第1コネクタ24の嵌合凹部33に嵌合すると共に、第1コネクタ24の第1端子ピン28,28と当接した第2端子ピン35,35が、コイルバネ39,39の付勢に抗して第2コネクタ25内に後退し、第1端子ピン28,28の先端が第2コネクタ25の貫通孔34,34に進入する。よって、コイルバネ39,39で押圧される第2端子ピン35,35が第1端子ピン28,28と当接状態となり、両者が電気的接続される。この電気的接続は、第1、第2コネクタ24,25の端面間の磁石45,46同士の吸着によってスムーズに行われ、接続状態も好適に維持される。
【0019】
そして、マルノコ10による被切断材の切断作業を行う。すなわち、ベース13を被切断材上に載置してスイッチレバー15を押し込み、鋸刃12を回転させながらマルノコ10をスライドさせることで、鋸刃12による被切断材の切断が可能となる。
このときのスイッチレバー15の押し込みによって薄型スイッチ19がONするため、集塵機1では、制御部がモータを駆動させ、ホース6からの吸い込みを開始する。よって、鋸刃12で切断された切断屑は、ブレードカバー17からダストノズル18を介してホース6内に吸い込まれ、吸込口5からタンク2内に集塵される。
【0020】
一方、スイッチレバー15の押し込みを解除してマルノコ10の作動を停止させると、薄型スイッチ19がOFFするため、集塵機1の制御部がモータの駆動を停止させ、ホース6からの吸い込みが終了する。
また、ホース6をダストノズル18から抜き取ると、同時に第1コネクタ24が第2コネクタ25から離間し、第1端子ピン28,28が貫通孔34,34から抜き取られて第2端子ピン35,35との電気的接続も解除される。第2端子ピン35,35はコイルバネ39,39の付勢によって突出位置へ復帰する。
【0021】
このように、上記形態1の集塵機1の連動システムによれば、集塵機1に、ON操作によって集塵機1が運転する薄型スイッチ19をコード22を介して電気的接続して、薄型スイッチ19を、マルノコ10に対してその作動操作と共に操作可能な位置(ここではスイッチレバー15)に設けたことで、集塵機1に電気的接続した外部の薄型スイッチ19をマルノコ10に設ける簡易な構成で集塵機1をマルノコ10と連動させることができる。
【0022】
特にここでは、コード22をマルノコ10のダストノズル18とホース6との接続部分で分離して、ホース6側のコード22Aとダストノズル18側のコード22Bとに、ダストノズル18とホース6との接続と同時に連結して両コード22A,22Bを電気的接続させる第1、第2コネクタ24,25を夫々設けたことで、コード22をホース6及びダストノズル18に沿って引き回すことができ、コード22が邪魔にならない。また、コード22をコード22A,22Bとに分離しても、ダストノズル18とホース6との接続と同時に第1、第2コネクタ24,25によって電気的接続されるので、余計な手間が生じず、作業性を損なうことはない。
また、薄型スイッチ19を、マルノコ10のスイッチレバー15に設けているので、作業者が意識することなくスイッチレバー15の操作によって集塵機1が確実に連動運転し、信頼性の高い連動システムが得られる。
【0023】
さらにここでは、コード22A,22Bを接続するコネクタを、ホース6側に設けられ、コード22Aが接続される一対の第1端子ピン28,28を端面に突設した第1コネクタ24と、ダストノズル18側に設けられ、コード22Bが接続されて第1端子ピン28,28と対応する一対の第2端子ピン35,35を端面に突設し、第1コネクタ24と嵌合する第2コネクタ25とし、第2端子ピン35を、端面から出没可能且つコイルバネ39によって突出位置へ付勢して設けて、両コネクタ24,25の嵌合に伴う両端子ピン28,35同士の当接によって第2端子ピン35,35がコイルバネ39に抗して後退し、両端子ピン28,35が押圧状態で接触するようにしている。よって、分離したコード22A,22Bの電気的接続が好適に維持される。
特に、両コネクタ24,25の各端面に、両コネクタ24,25の嵌合状態で互いに吸着する磁石45,46を設けたことで、両コネクタ24,25の連結がスムーズ且つ確実に行える。
【0024】
なお、上記形態1では、第2コネクタをダストノズルに対して着脱可能に設けているが、第1コネクタもホースに対して着脱可能としてもよいし、両コネクタ共に固定してもよい。また、第1コネクタと第2コネクタとは、ホース側とダストノズル側とで互いに逆にして、ホース側の端子ピンをスライド可能として弾性手段で突出位置へ付勢しても差し支えない。
【0025】
[形態2]
次に、集塵機1の連動システムの他の形態を説明する。但し、形態1と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
図6は、ホース6とダストノズル18との接続部分を示す斜視図で、この接続部分以外の集塵機1及びマルノコ10の構成は形態1と同様である。
ここではホース6における小径端部7の根元部分に第1コネクタ50が設けられている。この第1コネクタ50は、当該根元部分へ段階的に小径となるように形成される大径部51、中径部52、小径部53との3つの段部と、中径部52の先端から大径部51にかけて軸方向に形成され、底面が小径部53の外面と一致する深さの第1溝54と、大径部51の先端から軸方向に形成され、底面が中径部52の外面と一致する深さの第2溝55と、中径部52と小径部53とに軸方向へずれた状態で段状に外装される一対の異径の端子リング56,57とを備えている。
【0026】
端子リング56,57には、帯状の接続片56a,57aが夫々後方へ延設されて、小径部53に外装される端子リング56の接続片56aが第1溝54に、中径部52に外装される端子リング57の接続片57aが第2溝55に夫々嵌合している。ここでは小径部53に外装される端子リング56の方が、中径部52に外装される端子リング57よりも小径となるため、端子リング56の接続片56aは、端子リング57の内側を非接触で貫通することになる。
この接続片56a,57aにホース6側のコード22Aが接続されてホース6に沿って後方へ引き出されている。58は、大径部51を含む後方側でホース6に外装される筒カバーで、図7にも示すように、内面には、接続片56a,57aに接続されたコード22Aを案内して後方へ引き出す引出口59が形成されている。
【0027】
一方、ダストノズル18には、筒状の第2コネクタ60が外装されている。この第2コネクタ60は、内面で軸方向に突設した一対の突条61,61を、ダストノズル18の前端から後方へ向けて形成した一対のスリット62,62に嵌合させることで、ダストノズル18に対して回転不能に連結される。
第2コネクタ60の外面には、四角形状の薄肉部63が前端から形成されて、その薄肉部63内に、一対の端子板64,65が設けられている。この端子板64,65は、薄肉部63の外面に凹設された同形状の嵌合部66に夫々嵌合して位置決めされ、第2コネクタ60の中心側へ折り返した前端64a,65aを、嵌合部66の前端に設けた透孔67を介して第2コネクタ60の内側に露出させている。ここでは前端の折り返し量は端子板64の方が長くなり、軸方向への長さは端子板65の方が前方へ長くなって、端子板64が端子リング56に、端子板65が端子リング57に夫々対応している。
【0028】
さらに、薄肉部63には、同形状のカバー68が設けられている。このカバー68は、下面に突設した図示しないピンを、薄肉部63の外面に凹設した差込孔69,69・・に差し込んで薄肉部63に嵌合させることで、図8にも示すように端子板64,65を含む薄肉部63の全体を覆って第2コネクタ60の外面と面一になる。第2コネクタ60には、後端から薄肉部63にかけて一対のスリット70,70が形成されて、カバー68の後端縁には、スリット70,70に嵌合する一対の突起71,71が形成されている。このスリット70,70を介して端子板64,65に接続したダストノズル18側のコード22Bが後方へ引き出し可能となっている。
【0029】
以上の如く構成された集塵機1の連動システムにおいては、ホース6に端子リング56,57及び筒カバー58を、ダストノズル18に第2コネクタ60を夫々装着して、ホース6の小径端部7をダストノズル18に差し込むと、図7のように第2コネクタ60が第1コネクタ50の中径部52まで覆って筒カバー58の先端に当接する。この状態で、端子板64の前端64aが内側の端子リング56に、端子板65の前端65aが外側の端子リング57に夫々当接して電気的接続される。その後、マルノコ10のスイッチレバー15を押し込むと、薄型スイッチ19がONして集塵機1が運転を開始し、スイッチレバー15の押し込みを解除してマルノコ10の作動を停止させると、薄型スイッチ19がOFFして集塵機1の運転が停止する。
そして、ホース6をダストノズル18から抜き取ると、第2コネクタ60もダストノズル18に追従して第1コネクタ50から離間し、端子板64,65と端子リング56,57との電気的接続を解除する。
【0030】
このように、上記形態2の集塵機1の連動システムにおいても、集塵機1に、ON操作によって集塵機1が運転する薄型スイッチ19をコード22を介して電気的接続して、薄型スイッチ19を、マルノコ10に対してその作動操作と共に操作可能な位置(ここではスイッチレバー15)に設けたことで、集塵機1に電気的接続した外部の薄型スイッチ19をマルノコ10に設ける簡易な構成で集塵機1をマルノコ10と連動させることができる。
また、形態1と同様に、第1、第2コネクタ50,60を夫々設けたことで、コード22が邪魔にならず、作業性を損なうことがないし、薄型スイッチ19をマルノコ10のスイッチレバー15に設けたことで、集塵機1が確実に連動運転し、信頼性の高い連動システムが得られる。
【0031】
特にここでは、コード22A,22Bを接続するコネクタを、ホース6側に設けられ、コード22Aが接続される一対の異径の端子リング56,57を同軸且つ軸方向へずらせて段状に外装した第1コネクタ50と、ダストノズル18側に設けられてコード22Bが接続され、端子リング56,57と対応して先端位置を軸方向へずらせた一対の端子板64,65を有する筒状の第2コネクタ60とし、ダストノズル18とホース6との接続に伴って第2コネクタ60が第1コネクタ50へ外装されることで、端子板64,65の先端が夫々対応する端子リング56,57に接触するようにしている。
【0032】
よって、分離したコード22A,22Bの電気的接続が好適に維持される。特に、端子リング56,57に対して端子板64,65が接触するので、形態1と比較して、ホース6とダストノズル18との接続の際に位相を合わせる必要がない上、接続状態でホース6やダストノズル18にねじれが起きても電気的接続が維持されるという利点がある。また、両コネクタ50,60を設けても突出部分が生じないため、引っ掛かりや破損等のおそれが少なくなり、取り扱い性に優れる利点もある。
【0033】
なお、上記形態2では、第1コネクタの段部をホースと一体に設けているが、ホースと別体のスリーブに設けて端子リングを外装するようにしてもよいし、第2コネクタをダストノズルと一体に設けてもよい。また、ここでも第1コネクタと第2コネクタとを逆に設けることができる。
【0034】
そして、上記形態1,2に共通して、薄型スイッチはスイッチレバーに限らず、例えばハンドル等のハウジングに設ける等、スイッチレバーの作動操作と共に操作可能であれば、取付位置は適宜変更できる。従って、外部スイッチとしては薄型スイッチに限らず、ボタン式やレバー式等の他のタイプも採用可能であるし、接点式以外に歪みゲージや圧力センサ等も使用できる。
また、コードを分離してコネクタで接続する形態に限らず、一本のコードを集塵機からマルノコまで分離することなく引き回しても差し支えない。但し、この場合、結束バンド等を用いてホースの適宜位置でコードを固定するのが望ましい。
その他、電動工具もマルノコ以外に、集塵機にホースを介して接続して粉塵等を集塵するタイプであれば、グラインダやカンナ、サンダやカッタ等にも本発明は適用可能であるし、DC工具に限らずAC工具であっても適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1・・集塵機、2・・タンク、3・・本体、6・・ホース、7・・小径端部、8・・切替スイッチ、10・・マルノコ、11・・本体、12・・鋸刃、13・・ベース、15・・スイッチレバー、18・・ダストノズル、19・・薄型スイッチ、20・・両面テープ、21・・接点、22(22A,22B)・・コード、23・・プラグ、24,50・・第1コネクタ、25,60・・第2コネクタ、26・・下台、27・・カバー、28・・第1端子ピン、35・・第2端子ピン、39・・コイルバネ、40・・抑えカバー、45,46・・磁石、56,57・・端子リング、56a,57a・・接続片、58・・筒カバー、63・・薄肉部、64,65・・端子板、68・・カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具のノズルにホースを介して接続される集塵機を、前記電動工具に連動して運転させるための集塵機の連動システムであって、
前記集塵機に、ON操作によって前記集塵機が運転する外部スイッチをコードを介して電気的接続して、前記外部スイッチを、前記電動工具に対してその作動操作と共に操作可能な位置に設けたことを特徴とする集塵機の連動システム。
【請求項2】
前記コードを前記電動工具のノズルとホースとの接続部分で分離して、前記ノズル側のコードとホース側のコードとに、前記ノズルとホースとの接続と同時に連結して両コードを電気的接続させるコネクタを夫々設けたことを特徴とする請求項1に記載の集塵機の連動システム。
【請求項3】
前記外部スイッチを、前記電動工具の作動時に操作される操作部材に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の集塵機の連動システム。
【請求項4】
前記コネクタを、前記ホース側に設けられ、前記ホース側のコードが接続される一対の第1端子ピンを端面に突設した第1コネクタと、前記ノズル側に設けられ、前記ノズル側のコードが接続されて前記第1端子ピンと対応する一対の第2端子ピンを端面に突設し、前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタとし、前記第1端子ピンと第2端子ピンとの何れか一方を、前記端面から出没可能且つ弾性手段によって突出位置へ付勢して設けて、前記両コネクタの嵌合に伴う前記両端子ピン同士の当接によって前記一方の端子ピンが前記弾性手段に抗して後退し、前記両端子ピンが押圧状態で接触することを特徴とする請求項2に記載の集塵機の連動システム。
【請求項5】
前記両コネクタの各端面に、前記両コネクタの嵌合状態で互いに吸着する磁石を設けたことを特徴とする請求項4に記載の集塵機の連動システム。
【請求項6】
前記コネクタを、前記ホース側とノズル側との何れか一方に設けられ、当該側のコードが接続される一対の異径の端子リングを同軸且つ軸方向へずらせて段状に外装した第1コネクタと、他方に設けられて当該側のコードが接続され、前記端子リングと対応して先端位置を前記軸方向へずらせた一対の端子板を有する筒状の第2コネクタとし、前記ノズルとホースとの接続に伴って前記第2コネクタが前記第1コネクタへ外装されることで、前記端子板の先端が夫々対応する前記端子リングに接触することを特徴とする請求項2に記載の集塵機の連動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−79082(P2011−79082A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232640(P2009−232640)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】