説明

集塵機用予備フィルタの使用方法、及びその予備フィルタを使用した集塵機

【課題】気化した粘着シート成分を効率的に捕集するのに好適な当該集塵機用予備フィルタの使用方法、及び、その予備フィルタを使用した集塵機を提供する。
【解決手段】予備フィルタの使用方法は、気化した粘着シート成分を捕集する手段として当該予備フィルタを所定期間使用する段階と、その所定期間使用後に、複数のプレート5A〜5Hのうち最前段から最後段のプレートまでの間に位置する一部のプレート5D、5Eを取り外して洗浄する段階と、取り外した前記プレート5D、5Eより前に位置する全てのプレート5A、5B、5Cを最後段のプレート5Hの方向へシフトして、洗浄後の前記プレート5D、5Eを前記複数のプレート5A〜5Hの最前段に再配置する段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵機のフィルタの前段に設置される集塵機用予備フィルタの使用方法、及び、その予備フィルタを使用した集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤を塗布したフィルムからなる粘着シートにレーザ光を照射するなどして空気抜き穴を開ける場合には、フィルムが塵埃となって空気中に散乱・浮遊するので、空気中の塵埃を集塵機によって捕集する必要がある。
【0003】
従来、この種の集塵機は、多孔質セラミックや繊維等の濾過材を使用したフィルタを用い、ブロワーによって吸い込んだ空気をフィルタに通すことで、塵埃を捕集するようにしている。(例えば、特許文献1、2を参照)
【0004】
しかしながら、空気中にはレーザ光の照射によって溶融あるいは分解し気化した粘着剤も含まれており、このような空気中で従来の集塵機を使用すると、気化した粘着剤の付着によってフィルタの目詰まりが激しく、フィルタの圧損上昇が早期に訪れ、集塵機処理能力の早期低下、フィルタの早期交換という問題が発生する。
【0005】
前記問題を回避する方法としては、集塵機フィルタとして捕集効率の低いフィルタを使用する方法が考えられる。しかしながら、この方法によると、フィルタの長期使用は可能になるが、フィルタの後段に吸引手段として設置されているブロワーの内部に粘着剤が多量に付着してしまい、年間2回以上ブロワーの分解洗浄が必要となり、その洗浄にも長時間を要するという問題が生じる。
【0006】
以上の問題は、前述したレーザ光による穴開け加工の場合だけの問題ではなく、気化した粘着剤を含む空気中で従来の集塵機を使用する場合にも生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−238982号公報
【0008】
【特許文献2】特開平6−33734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的とするところは、気化した粘着シート成分を効率的に捕集するのに好適な集塵機用予備フィルタの使用方法、及び、その予備フィルタを使用した集塵機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る集塵機用予備フィルタの使用方法は、貫通穴を有する複数のプレートが所定ギャップを有して多段に配置され、隣り合うプレートの貫通穴の位置が相互に一致しないように設けられる集塵機用予備フィルタの使用方法であって、気化した粘着シート成分を捕集する手段として前記予備フィルタを所定期間使用する段階と、前記予備フィルタの所定期間使用後に、前記複数のプレートのうち最前段から最後段のプレートまでの間に位置する一部のプレートを取り外して洗浄する段階と、取り外した前記プレートより前に位置する全てのプレートを最後段のプレートの方向へシフトして、洗浄後の前記プレートを前記複数のプレートの最前段に再配置する段階と、を含むことを特徴とする。
【0011】
前記貫通穴は一枚のプレートに複数設けられるものとしてもよい。
【0012】
前記プレートは金属板及び/又はプラスチック板より形成されるものとしてもよい。
【0013】
本発明に係る集塵機は、空気を吸引する吸引手段と、前記空気の吸引経路に設置されるフィルタと、前記フィルタの前段に設置される予備フィルタと、を有し、前記予備フィルタは、気化した粘着シート成分を捕集する手段として、貫通穴を有する複数のプレートを備え、前記複数のプレートは、取り外して洗浄後に再使用可能であるとともに、所定ギャップを有して多段に配置され、隣り合うプレートの貫通穴の位置が相互に一致しないように設けられ、前記複数のプレートのうち、取り外して洗浄後に再使用されるプレートは、最前段から最後段のプレートまでの間に位置する一部のプレートであって、その取り外したプレートより前に位置する全てのプレートを最後段のプレートの方向へシフトして、前記複数のプレートの最前段に再配置されることを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0014】
前記本発明に係る集塵機は、前記空気の吸引経路として、独立した2つの吸引経路を有し、この吸引経路ごとに前記フィルタと前記予備フィルタが配置されていて、かつ、それぞれの吸引経路に設けられている切り替え弁の操作により、前記2つの吸引経路の切り替えが行われることで、使用するフィルタと予備フィルタが選択可能に設けられるように構成することができる。
【0015】
本発明において、気化した粘着シート成分とは、例えば粘着剤を塗布したフィルムからなる粘着シートにレーザ光を照射するなどして気化した粘着剤や、気化したフィルム成分を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、前記の通り、集塵機用予備フィルタを所定期間使用後に、複数のプレートのうち最前段から最後段のプレートまでの間に位置する一部のプレートを取り外して洗浄するとともに、取り外した前記プレートより前に位置する全てのプレートを最後段のプレートの方向へシフトして、洗浄後の前記プレートを前記複数のプレートの最前段に再配置する方式(使用済みプレートのシフト再利用方式)を採用したため、気化した粘着シート成分の捕集効率が高まる。従って、当該フィルタの後段に吸引手段として設置されているブロワーの内部に粘着剤が多量に付着してしまう事態を回避でき、ブロワーの分解洗浄回数を削減できる。また、集塵機フィルタの目詰まりが減り、長期間使用することが可能である。さらに、プレートは洗浄後、再使用可能であるので、ランニングコストの低減も図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明を適用した集塵機用予備フィルタの断面図である。
【図2】図2(a)はパンチングプレートの平面図、図2(b)はパンチングプレートでの気化した粘着シート成分の捕集効果を試した実験結果の模式図である。
【図3】図3は図1の予備フィルタを使用した集塵機の一実施形態の断面図である。
【図4】図4は図1の予備フィルタを使用した集塵機の他の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明を適用した集塵機用予備フィルタの断面図である。
【0020】
本予備フィルタ1は、集塵機2Aのフィルタ3の前段に設置されるものであって、貫通穴4を有する複数のプレート5が所定ギャップGを有して多段に配置され、隣り合うプレート5の貫通穴4の位置が相互に一致しないように設けられる。
【0021】
各プレート5は、図1のように互いにプレート面が平行になるように配置されることが好ましく、図示しない支持手段によって定位置に固定される。
【0022】
各プレート5は、必ずしも平行に配置される必要はなく、お互いが多少の角度を有して配置されてもよい。隣り合うプレートの配置角度は、好ましくは45度以下であり、より好ましくは30度以下である。隣り合うプレートの配置角度が45度を超えると、吸引方向に対する空気の流れが乱れ、捕集効率が低下するおそれがあり、さらに複数のプレートを配置するために予備フィルタの設置に必要な場所が大きくなり、集塵機が大型化するというおそれがある。図1では3枚のプレート5A、5B、5Cを例示したが、その枚数は必要に応じて適宜変更することができ、特に限定されることはない。
【0023】
プレート5の枚数は、5〜50枚が好ましく、10〜30枚がより好ましい。プレートの枚数が5枚未満だと捕集効果が十分でない場合があり、50枚を超えるとさらなる捕集効果を望めないばかりか設備の大型化につながり、設備費の増大ばかりでなく設置場所の確保も必要となるので好ましくない。
【0024】
各プレート5はいずれも、スチール、アルミ、銅、鉄又はステンレスなどの金属板に貫通穴4を打ち抜き加工したもの(以下「パンチングプレート5」という)からなる。このパンチングプレート5の他の例として、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック板に貫通穴を複数打ち抜き加工したもの、あるいは、金属板とプラスチック板を貼り合せた合板に貫通穴を複数打ち抜き加工したものを採用してもよい。
【0025】
プレート5の厚みは特に限定されるものではないが、0.2〜50mmが好ましく、0.5〜30mmがより好ましい。プレートの厚みが0.2mm未満だと吸引する空気でプレートが変形し十分な捕集効果が得られないことがあるばかりか、プレートが薄くコシが無いために洗浄工程の作業性に劣る場合がある。50mmを超えると、より広い設置場所を必要とするばかりでなく、洗浄工程において厚みや重さのために作業性に支障をきたす場合がある。
【0026】
各プレート5間のギャップGは特に限定されるものではないが、3〜100mmが好ましく、5〜50mmがより好ましい。各プレート5間のギャップGが3mm未満だと空気の流れが悪く、吸引手段8に負荷が掛かりすぎるので好ましくない。100mmを超えると設備の大型化につながり、設備費の増大ばかりでなく設置場所の確保も必要となるので好ましくない。
【0027】
各パンチングプレート5の貫通穴4の位置を詳細に説明する。1段目のパンチングプレート5Aの貫通穴4は、2段目のパンチングプレート5Bの貫通穴4の直径分だけ左側へずれることによって、1段目のパンチングプレート5Aの貫通穴4と完全に重ならないようになっている。2段目のパンチングプレート5Bの貫通穴4と3段目のパンチングプレート5Cの貫通穴4との関係も同様であり、このような貫通穴4の位置ずれによって、隣り合うパンチングプレート5の貫通穴4の位置は相互に一致しないようになっている。
【0028】
各パンチングプレート5の貫通穴4は複数設けている。貫通穴4は円形としたが、その形状に限定されることはなく、楕円や三角、四角などの多角形でもよい。
【0029】
各パンチングプレート5の貫通穴4の大きさは特に限定されるものではなく、0.25mm〜400mmが好ましい。貫通穴の大きさが0.25mm未満だと空気の抜けが悪く、吸引手段に負荷が掛かりすぎるので好ましくない。400mmを超えると空気の抜けが良すぎて、十分な捕集効果が得られないことがある。
【0030】
各パンチングプレート5における貫通穴4の設ける割合(開孔率)は、特に限定されるものではなく、10〜90%が好ましく、20〜50%がより好ましい。開孔率が10%未満だと空気の抜けが悪く、吸引手段に負荷が掛かりすぎるので好ましくない。90%を超えると空気の抜けが良すぎて、十分な捕集効果が得られないことがある。
【0031】
本予備フィルタ1には、外部の空気を吸い込んで最前段(1段目)のパンチングプレート5Aへ送るための吸引口部6と、最後段のパンチングプレート5Cの貫通穴4を通過した後の空気を集塵機2Aへ送るための排気口部7とが設けられる。尚、集塵機2Aの構造は公知であるため、その詳細説明は省略する。
【0032】
次に、前記の如く構成された予備フィルタ1の作用について図1を用いて説明する。
【0033】
集塵機2Aの運転を開始すると、集塵機2Aのブロワー(図示省略)の吸引力が本予備フィルタ1に作用し、本予備フィルタ1の吸引口部6から外部の空気を吸い込む。
【0034】
吸引口部6から吸い込まれた空気は、最前段(1段目)のパンチングプレート5Aの表面から同パンチングプレート5Aの貫通穴4を通って2段目のパンチングプレート5Bの表面に衝突する。衝突した空気は、2段目のパンチングプレート5Bの貫通穴4を通って3段目のパンチングプレート5Cの表面に衝突する。
【0035】
以上のようなパンチングプレート5との衝突及び貫通穴4の通過を繰り返すことによって、吸引口部6から吸い込まれた空気は、最前段のパンチングプレート5Aから最後段のパンチングプレート5Cの方向へジグザグに進行し、最終的に排気口部7から集塵機2Aへ吸い込まれる。
【0036】
集塵機2Aに吸い込まれた空気は、集塵機2A内部のフィルタ3を通って、図示しないブロワーの排気口から外部へ排出される。
【0037】
ところで、吸引口部6から吸い込む空気中に前述の気化した粘着シート成分(気化した粘着剤やフイルム成分)が含まれている場合、その気化した粘着シート成分は、パンチングプレート5との衝突や、その衝突時にパンチングプレート5側に熱を奪われる冷却効果によって固化され、当該パンチングプレート5の表裏面に捕集されると考えられる。
【0038】
図2(b)は、パンチングプレート5での気化した粘着シート成分の捕集効果を試した実験結果の拡大模式図である。尚、図中の黒点はパンチングプレート5で捕集した粘着シート成分の状態を示している。また、同図(a)はパンチングプレート5に設けられている貫通穴4の縁部周辺を拡大したものである。
【0039】
本実験では、図1に示す予備フィルタ1のパンチングプレート5の枚数を25枚(25段)とし、所定期間その予備フィルタ1を使用した後、パンチングプレート5の表面を肉眼で観察するものとした。また、パンチングプレート5は図2(a)に示す構造のものを使用した。予備フィルタ1の使用形態は、粘着剤を塗布したフィルムにレーザ光を照射して空気抜き穴を開ける装置を用意し、そのレーザ光の照射部に近づけて予備フィルタ1の吸引口部6を配置するものとした。
【0040】
本実験の結果は下記の表の通りである(図2(b)参照)。
【表1】

【0041】
本実験によると、図2(b)に示したように、1段目(最前段)のパンチングプレート5Aから粘着シート成分の捕集が始まり、2段、3段と段数が増えるのに従い徐々に粘着シート成分の捕集量が増え、3〜10段目のパンチングプレート5C〜5Fにおいて多量の粘着シート成分の捕集が確認された。特に、4段目と5段目のパンチングプレート5D、5Eでその捕集量が最大になることも確認された。この傾向は、気化した粘着シート成分が1段目から4〜5段目のパンチングプレート5A〜5Eまで衝突を繰り返すうちに、前述した冷却効果によって徐々に気化した粘着シート成分の温度が低下し、4〜5段目のパンチングプレート付近で気化した粘着シート成分の固化が最大になったことによるものと考えられる。
【0042】
次に、前記の如く構成された予備フィルタ1の使用方法について説明する。
【0043】
図2(b)のように粘着剤が付着したパンチングプレート5A〜5Hは全量洗浄し、再使用する方法も考えられる。しかしながら、そのような全洗浄方法によると、再使用開始時の粘着剤の捕集効率は、パンチングプレート5A〜5Hの貫通穴4が粘着シート成分で目詰まりを多少起こしている状態と比較すると、低下することが確認された。この場合、パンチングプレート5A〜5Hで捕集できなかった気化した粘着シート成分は最終的に集塵機2Aのブロワーまで到達し、ブロワーの内部に粘着シート成分が付着するので、定期的にブロワーの分解洗浄が必要となる。ブロワーに付着する粘着シート成分を極力少なくするには、パンチングプレート5A〜5Hで粘着シート成分を効率よく捕集する必要がある。
【0044】
粘着シート成分が付着したパンチングプレート5A〜5Hを全量洗浄せず、粘着剤が多量に付着したパンチングプレート5C〜5Fのうち任意の一部、例えば図2(b)において4段目と5段目のパンチングプレート5D、5Eのパンチングプレートのみを洗浄し、洗浄後のパンチングプレートを未洗浄のパンチングプレートと混在させて使用する実験を試みた。
【0045】
本実験では、図2(b)のように、4段目と5段目のパンチングプレート5C、5Dを洗浄し、1段目と2段目のパンチングプレートを後段へずらし、1段目と2段目に洗浄後のパンチングプレート5C、5Dを配置し、再使用した。その結果、再使用開始時から粘着シート成分の捕集効率が高められることが確認された。
【0046】
従来の集塵機においてブロワーの分解洗浄回数は2.7回/年であったが、本予備フィルタ1を採用することで、その回数は1回/2年以下となった。また、ブロワー内の汚染状況が格段によくなり、洗浄時間の短縮も図れた。
【0047】
図3は、図1の予備フィルタを使用した集塵機の一実施形態の断面図である。
【0048】
本集塵機2Bは、空気を吸引する吸引手段8と、空気の吸引経路Rに設置されるフィルタ3と、フィルタ3の前段に設置される予備フィルタ1と、吸引手段8及びフィルタ3を収容する集塵機本体ケース10と、予備フィルタ1を収容するフィルタケース11とを備えて構成される。
【0049】
吸引手段8は、集塵機本体ケース10内のブロワー室に設置されたブロワー8Aからなり、モータ8Bによるブロワー8Aの回転によって空気を吸引する。
【0050】
前記フィルタ3は、集塵機本体ケース10の吸引口部12からブロワー8Aの吸引口部8Cまでの吸引経路Rに設けられ、主に空気中の塵埃を捕集する手段として機能する。かかる機能を有するフィルタ3は、繊維などの濾材を使用した一般的な構造のものが使用される。
【0051】
予備フィルタ1は、図1の予備フィルタ1と同じ構造であって、フィルタケース11の吸引口部6から排気口部7までの吸引経路Rに設けられ、主に空気中の気化した粘着シート成分を捕集する手段として機能する。
【0052】
前記の如く構成された集塵機2Bは、ブロワー8Aの回転により、フィルタケース11の吸引口部6から外部の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、予備フィルタ1→フィルタケース11の排気口部7→集塵機本体ケース10の吸引口部12→フィルタ3を順に通過し、最後にブロワー8Aの排気口部8Dから外部へ排出される。
【0053】
さらに捕集効果を上げるために、気化した粘着シート成分の冷却効果による固化を促進するための予備フィルタ1を冷却する手段を設けてもよい。冷却手段としては、特に限定されるものではなく、公知のものを広く採用することができる。例えば予備フィルタ1を収納するフィルタケース11内に冷風を送り、予備フィルタ1を冷却する方法や、パンチングプレート5の支持手段(図示省略)を公知の冷凍機のコールドヘッドに接続し、冷凍機のコールドヘッドから前記支持手段を介してパンチングプレート5を直接冷却する方法などが挙げられる。
【0054】
図4は、図1の予備フィルタを使用した集塵機の他の実施形態の断面図である。
【0055】
本集塵機2Cは、吸引手段8、フィルタ3、予備フィルタ1、中間フィルタ9、集塵機本体ケース10を備え、下記(1)−(3)の構成を採用したものである。尚、吸引手段8、フィルタ3、予備フィルタ1の具体的な構成は、図3の集塵機2Bのものと同一であるので、その詳細説明は省略する。中間フィルタ9は、予備フィルタ1とフィルタ3の中間であって、予備フィルタ1の後段に設けられ、主に空気中の塵埃を捕集する手段として機能する。かかる機能を有する中間フィルタ9の構成素材はフィルタ3と同様である。
【0056】
(1)本集塵機2Cでは、機器全体の小型化・省スペース化を図るため、吸引手段8やフィルタ3を収容する集塵機本体ケース10内に予備フィルタ1、中間フィルタ9を収容し、集塵機本体ケース10の吸引口部12から吸引される外部の空気が、予備フィルタ1→中間フィルタ9→フィルタ3を順に通過し、最後にブロワー8Aの排気口部8Dから外部へ排出されるように構成した。
【0057】
(2)本集塵機2Cでは、年中無休の連続運転を可能にするため、集塵機本体ケース10内を縦方向に仕切り板13で仕切ることによって、集塵機本体ケース10の吸引口部12からブロワー8Aの吸引口部8Cまでの間に独立した2つの吸引経路R1、R2を形成し、吸引経路R1、R2ごとにフィルタ3と予備フィルタ1、中間フィルタ9を1つずつ配置し、それらを選択的に捕集に使用できる構成を採用した。
【0058】
使用するフィルタ3や予備フィルタ1、中間フィルタ9の選択は、切替え弁14A〜14Fの操作によって行われる。切替え弁14A〜14Fは、集塵機本体ケース10の吸引口部12と一方の吸引経路R1とを連通させる開口部15Aと、一方の吸引経路R1に位置する中間フィルタ9の下流に設けた開口部15Bと、ブロワー8Aの吸引口部8Cと一方の吸引経路R1とを連通させる開口部15Cと、集塵機本体ケース10の吸引口部12と他方の吸引経路R2とを連通させる開口部15Dと、他方の吸引経路R2に位置する中間フィルタ9の下流に設けた開口部15Eと、ブロワー8Aの吸引口部8Cと他方の吸引経路R2とを連通させる開口部15Eとに、それぞれ一つずつ合計6つ設けた。
【0059】
前記6つの切替え弁14A〜14Fは、操作棒16に取り付けられ、相互に連動してスライド動作するように構成されている。図4のように、一方の吸引経路R1側の3つの切替え弁14A、14B、14Cがそれぞれ対応する開口部15A、15B、15Cから離れ、かつ、他方の吸引経路R2側の3つの切替え弁14D、14E、14Fがそれぞれ対応する開口部15D、15E、15Fを塞いでいるときは、一方の吸引経路R1が有効となる。
【0060】
この場合、集塵機本体ケース10の吸引口部12から吸引された外部の空気は、一方の吸引経路R1を通ってブロワー8Aの排気口部8Dから外部へ排気される。このため、一方の吸引経路R1に設けたフィルタ3と予備フィルタ1、中間フィルタ9が捕集に使用される。他方の吸引経路R2に設けたフィルタ3と予備フィルタ1、中間フィルタ9はメンテナンス可能となる。
【0061】
逆に、一方の吸引経路R1側の3つの切替え弁14A、14B、14Cがそれぞれ対応する開口部15A、15B、15Cを塞ぎ、かつ、他方の吸引経路R2側の3つの切替え弁14D、14E、14Fがそれぞれ対応する開口部15D、15E、15Fから離れているときは、他方の吸引経路R2が有効となる。
【0062】
この場合、集塵機本体ケース10の吸引口部12から吸引された外部の空気は、他方の吸引経路R2を通ってブロワー8Aの排気口部8Dから外部へ排気される。このため、他方の吸引経路R2に設けたフィルタ3と予備フィルタ1、中間フィルタ9が捕集に使用される。一方の吸引経路R1に設けたフィルタ3と予備フィルタ1、中間フィルタ9はメンテナンス可能となる。
【0063】
(3)本集塵機2Cにおいては、ブロワー8Aのメンテナンス性の向上を図るため、ブロワー8Aとそのモータ8Bを集塵機本体ケース10内の下部に配置し、ブロワー8Aの着脱を容易に行えるようにした。
【0064】
以上説明した図3、図4の集塵機2B、2Cによると、予備フィルタ1がフィルタ3の前段で、気化した粘着シート成分を捕集するから、気化した粘着シート成分の付着によるフィルタ3の目詰まりが減り、フィルタ3を長期間使用することが可能となる。また、気化した粘着シート成分の付着によるブロワー8Aの汚染状況が格段によくなり、ブロワー8Aの分解洗浄回数が減り、洗浄時間の短縮も図れる。更に予備フィルタ1のパンチングプレート5は洗浄後、再使用可能であるため、ランニングコストの低減も図れる。
【符号の説明】
【0065】
1 予備フィルタ
2A、2B、2C 集塵機
3 集塵機のフィルタ
4 貫通穴
5 プレート(パンチングプレート)
6 予備フィルタの吸引口部
7 予備フィルタの排気口部
8 吸引手段
8A ブロワー
8B モータ
8C ブロワーの吸引口部
8D ブロワーの排気口部
9 中間フィルタ
10 集塵機本体ケース
11 フィルタケース
12 集塵機本体ケースの吸引口部
13 仕切り板
14A、14B、14C、14D、14E、14F 切替え弁
15A、15B、15C、15D、15E、15F 開口部
16 操作棒
G ギャップ
R 吸引経路
R1 吸引経路
R2 吸引経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴を有する複数のプレートが所定ギャップを有して多段に配置され、隣り合うプレートの貫通穴の位置が相互に一致しないように設けられる集塵機用予備フィルタの使用方法であって、
気化した粘着シート成分を捕集する手段として前記予備フィルタを所定期間使用する段階と、
前記予備フィルタの所定期間使用後に、前記複数のプレートのうち最前段から最後段のプレートまでの間に位置する一部のプレートを取り外して洗浄する段階と、
取り外した前記プレートより前に位置する全てのプレートを最後段のプレートの方向へシフトして、洗浄後の前記プレートを前記複数のプレートの最前段に再配置する段階と、を含むこと
を特徴とする集塵機用予備フィルタの使用方法。
【請求項2】
空気を吸引する吸引手段と、
前記空気の吸引経路に設置されるフィルタと、
前記フィルタの前段に設置される予備フィルタと、を有し、
前記予備フィルタは、気化した粘着シート成分を捕集する手段として、貫通穴を有する複数のプレートを備え、
前記複数のプレートは、取り外して洗浄後に再使用可能であるとともに、所定ギャップを有して多段に配置され、隣り合うプレートの貫通穴の位置が相互に一致しないように設けられ、
前記複数のプレートのうち、取り外して洗浄後に再使用されるプレートは、最前段から最後段のプレートまでの間に位置する一部のプレートであって、その取り外したプレートより前に位置する全てのプレートを最後段のプレートの方向へシフトして、前記複数のプレートの最前段に再配置されること
を特徴とする集塵機。
【請求項3】
前記集塵機は、前記空気の吸引経路として、独立した2つの吸引経路を有し、この吸引経路ごとに前記フィルタと前記予備フィルタが配置されていて、かつ、それぞれの吸引経路に設けられている切り替え弁の操作により、前記2つの吸引経路の切り替えが行われることで、使用するフィルタと予備フィルタが選択可能に設けられていること
を特徴とする請求項2に記載の集塵機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−31846(P2013−31846A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221117(P2012−221117)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【分割の表示】特願2007−276772(P2007−276772)の分割
【原出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)