説明

集塵装置

【課題】室内空気質を改善する空気浄化機器に使用される集塵装置において、塵埃除去の際に通風を止めることなく連続運転を可能にした集塵装置を提供することを目的とする。
【解決手段】空気を流す通風路3と、この通風路3の下に隣接し開口で連通した回収室4と、流れ方向に垂直な回転軸5から放射状に植毛された円筒状ブラシ6と、円筒状ブラシ6を回転させる回転駆動装置7と、回収室4内に円筒状ブラシ6と接触する位置に設けられた接触体8を備えた構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に外気を取り入れて換気する際に、大気中に含まれる塵埃の除去に使用される集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の集塵装置は、給気を行う際に大気中の塵埃を捕集するためにフィルターを用いるが、このフィルターに塵埃が溜まって目詰まりすると圧力損失が大きくなり、換気風量が低下するため、定期的にフィルターの交換、あるいは掃除が必要であった。そこで、ブラシをフィルターの代わりに用いた集塵装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その集塵装置について図6を参照しながら説明する。
【0004】
図6に示すように、集塵装置101は気体が流通する空間に気体から塵埃を除去する処理室102を備え、この処理室102内にブラシで形成され空間を遮る程の大きさで仕切る方向に対向して備えた粉塵等を捕集する1または複数のフィルター103と、このフィルター103で捕集した粉塵等を落下させるバイブレータまたはモータあるいは超音波発振器等の落下手段104と落下した粉塵等の回収室105とを備えたものである。流入口106から流入した塵埃を含んだ気体がフィルター103を貫流する際に塵埃はフィルター103で捕集され、浄化された気体はフィルター103より下流の吐出口107から流出する。そしてフィルター103の目詰まりを除去する際は、落下手段104を作動させることで強制的にフィルター103から落下させ回収室105にて回収するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−140539号公報(第10頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の集塵装置においては、空気の流通する風路内に処理室を備えた構成となっていたので、通風と同時にフィルターからの塵埃の除去をすると捕集した塵埃が下流へ流れるため、連続運転ができないという課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、フィルターから塵埃を除去する際にも下流へ流れることを防止し通風の連続運転を可能にした集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明は、空気を流す通風路と、この通風路の下に隣接し開口で連通した回収室と、流れ方向に垂直な回転軸から放射状に植毛された円筒状ブラシと、円筒状ブラシを回転させる回転駆動装置と、前記回収室内に前記円筒状ブラシと接触する位置に設けられた接触体を備え、円筒状ブラシが回転し、接触体により円筒状ブラシが振動させられることで、回収室内で円筒状ブラシに付着した塵埃が除去される集塵装置であり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空気を流す通風路の下もしくは横に隣接し開口で連通した回収室と、流れ方向に垂直な回転軸から放射状に植毛された回転可能な円筒状ブラシと、回収室内に円筒状ブラシとの接触体を備えることにより、円筒状ブラシが回転し、接触体によりブラシが振動させられることで、回収室内で円筒状ブラシに付着した塵埃が円筒状ブラシから除去されるので、下流へ塵埃を流すことなく通風と円筒状ブラシからの塵埃除去を同時にすることが可能であり、塵埃除去の際に通風を止めることなく連続運転を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の集塵装置を示す構成図
【図2】同集塵装置の接触体の斜視図
【図3】同集塵装置の他の接触体の斜視図
【図4】同集塵装置の他の接触体の斜視図
【図5】本発明の実施の形態2の集塵装置の構成図
【図6】従来の集塵装置を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の集塵装置は、空気を流す通風路と、この通風路の下に隣接し開口で連通した回収室と、流れ方向に垂直な回転軸から放射状に植毛された円筒状ブラシと、前記円筒状ブラシを回転させる回転駆動装置と、前記回収室内に前記円筒状ブラシと接触する位置に設けられた接触体を備え、前記円筒状ブラシは前記通風路を塞ぎかつ前記通風路と前記回収室の開口を塞ぐように設置された構成を有する。これにより、円筒状ブラシが回転し、接触体により円筒状ブラシが振動させられることで、回収室内で円筒状ブラシに付着した塵埃が除去されるので、下流へ塵埃を流すことなく通風と円筒状ブラシから塵埃の除去を同時にすることが可能であり、塵埃除去の際に通風を止めることなく連続運転を可能にするという効果を奏する。
【0012】
また、前記回収室の下面に傾斜をつけ下向きに凸形状にするという構成にしてもよい。これにより、円筒状ブラシから除去した塵埃が1箇所に集まるため回収室に溜まった塵埃を容易に廃棄することができるという効果を奏する。
【0013】
また、接触体を円筒状ブラシの回転方向に複数並べるという構成にしてもよい。これにより、円筒状ブラシの振動する回数が増えるので、円筒状ブラシに付着した塵埃の除去効率が増加するという効果を奏する。
【0014】
また、前記接触体の形状を前記円筒状ブラシの毛先を回転軸方向に変位させる形状してもよい。これにより、円筒状ブラシの回転方向と回転軸方向の両方の振動が生じるため円筒状ブラシに付着した塵埃の除去効率が増加するという効果を奏する。
【0015】
また、前記接触体の形状を回転方向にV形とし回転軸方向に複数並べるという構成にしてもよい。これにより、V形の溝で集約された毛が接触体通過後に瞬時に広がるため円筒状ブラシの振動が大きくなり円筒状ブラシに付着した塵埃の除去効率が増加するという効果を奏する。
【0016】
また、前記接触体の形状を、前記円筒状ブラシと接触する面に凹凸を付けた形状にするという構成にしてもよい。これにより、円筒状ブラシの毛先が乱雑な動きするため広がりやすくなり円筒状ブラシに付着した塵埃の除去効率が増加するという効果を奏する。
【0017】
また、前記円筒状ブラシの下流に通風した空気の一部を前記回収室に流入させるガイドを設置し、前記回収室に排出口を設け屋外と繋ぐという構成にしてもよい。これにより、通風した空気の一部を回収室に流入させることができ、ブラシが振動する際に風がブラシにあたることで塵埃の除去効率が増加し、回収室に流入させた空気を利用して円筒状ブラシから除去した塵埃を直接屋外に排出することができることで、回収室に溜まった塵埃を廃棄する手間が省けるという効果を奏する。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1に示すように、集塵装置1は、送風ダクト2の途中に設置され、空気を流す通風路3と、この通風路3の下に隣接し開口で連通した回収室4と、空気の流れ方向に垂直な管状の回転軸5から放射状に植毛された円筒状ブラシ6と、回転軸5の中心に円筒状ブラシ6を回転させる回転駆動装置7と、回収室4内に円筒状ブラシ6と接触する位置に設けられた接触体8で構成されている。
【0020】
接触体8の形状は、円筒状ブラシ6と同じ幅の板もしくは棒状のものであり、円筒状ブラシ6と接触した時に変形しない厚みがあるもので回収室4の壁面に固定される。接触体8の材質はアクリルがよく、他にも樹脂、金属などが考えられ、円筒状ブラシ6と接触した時に変形や破損がおこらない固い材質のもがよい。
【0021】
なお、本実施の形態において、接触体8を回収室4内に設けたが、回収室壁面と接触体8は一体となっていても良い。
【0022】
円筒状ブラシ6は、通風路3を塞ぎかつ通風路3と回収室4の開口を同時に塞ぐように設置されており、回転軸5により回転可能である。回転方向は上流側にあった円筒状ブラシ6の面が下流側に回る前に回収室4を通過する方向である。円筒状ブラシ6の素材は馬毛がよく、他にも、天然または合成繊維、動物の毛が考えられ、風圧によってなびかないものが良い。
【0023】
上記構成において、流入口9から集塵装置1に通風された空気が円筒状ブラシ6を通過する時に、円筒状ブラシ6の上流側の面で空気中の塵埃が捕集され、浄化された空気が吐出口10から流出する。
【0024】
このとき、円筒状ブラシ6が回転駆動装置7により回転させられ、毛先が回収室4内の接触体8に接触し振動することで捕集された塵埃は回収室4へ吐き出され、回収室4と通風路3は円筒状ブラシ6で塞がれているため通風路3への再飛散はないので下流へ塵埃を流すことなく、通風路3内の通風と円筒状ブラシ6からの塵埃除去を同時にすることが可能であり、塵埃除去の際に通風を止めることなく連続運転を可能にすることができる。
【0025】
また、回収室4の下面に傾斜を付け下向きに凸な形状とすることで、円筒状ブラシ6から除去した塵埃を1箇所に集めることができるため、回収室4に溜まった塵埃を容易に廃棄することができる。
【0026】
また、図1に示すように、接触体8を回転方向に対して所定間隔をあけて複数並べることで、円筒状ブラシ6の振動回数を増やすことができるため、付着した塵埃の除去効率を増加させることができる。また円筒状ブラシ6が接触体8により反回転方向に曲げられ、接触体8を越えて元に戻る反発力で次の接触体8に当たるように所定間隔を短くすれば、円筒状ブラシ6への衝撃力が増え、付着した塵埃の除去効率を増加させることができる。
【0027】
接触体8の円筒状ブラシ6への入り込み長さは、円筒状ブラシ6の素材の固さや毛の密度によって最適な長さは変わるもので、毛の根元まで動くように接触させるのがよいが、毛の根元付近まで接触させると円筒状ブラシ6の回転の抵抗が大きくなるため、円筒状ブラシ6の素材や密度に合わせて最適な長さを決めるのがよい。例えば、円筒状ブラシ6が線径0.1mmの馬毛200本で1束として、1束の径5mmとなるようにする。その1束を7mm間隔で配置したものを1列として、各列で、前列の束間の中点に束の中心が来るように5mm間隔で配置した場合、円筒状ブラシ6の毛先から3分の1の長さまで接触するようにするとよい。
【0028】
図2に接触体8の別の形状を示す。
【0029】
図2の接触体8aは、円筒状ブラシ6の毛先を回転軸方向に変位させる形状にすることで、回転方向と回転軸方向の振動を生じさせることができ、円筒状ブラシ6に付着した塵埃の除去効率が増加する。また、複数設ける場合は、回転軸方向が逆になるような接触体8bを並べて設けることにより、反対方向の反発力も生じさせ、塵埃の除去効率はさらに増加する。
【0030】
また、図3に示すように接触体8の形状を回転方向にV形とし回転軸方向に複数並べた形状にすることで、V形の溝で集束された毛が接触体8c通過後に瞬時に広がるため振動を大きくすることができ、効果に差はない。
【0031】
また、複数設ける場合は、隣り合う接触体8cと接触体8dでV形の溝と山が並ぶように設けることで、接触体8cでは集束していた箇所を接触体8dでは広げることができ、塵埃の除去効率はさらに増加する。
【0032】
また、図4に示すように接触体8eの形状を円筒状ブラシ6と接触する面に凹凸を付けた形状にすることで、円筒状ブラシ6の毛先が乱雑な動きするため広がりやすくなり、効果に差はない。
【0033】
(実施の形態2)
図5において、実施の形態1と同一の部分は同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】
図5に示すように、円筒状ブラシ6を通過した空気の一部を回収室4に流入させるガイド11を設置し、回収室4に排出口12を設け屋外と繋ぐことで、円筒状ブラシ6が振動する際に風があたり塵埃の除去効率が増加し、回収室4に流入させた空気を利用して円筒状ブラシ6から除去した塵埃を直接屋外に排出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明にかかる集塵装置は、室内空気質を改善する空気浄化機器などに適応できる。
【符号の説明】
【0036】
1 集塵装置
2 送風ダクト
3 通風路
4 回収室
5 回転軸
6 円筒状ブラシ
7 回転駆動装置
8、8a、8b、8c、8d、8e 接触体
9 流入口
10 吐出口
11 ガイド
12 排出口
101 集塵装置
102 処理室
103 フィルター
104 落下手段
105 回収室
106 流入口
107 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を流す通風路と、
この通風路の下に隣接し開口で連通した回収室と、
流れ方向に垂直な回転軸から放射状に植毛された円筒状ブラシと、
前記円筒状ブラシを回転させる回転駆動装置と、
前記回収室内に前記円筒状ブラシと接触する位置に設けられた接触体を備え、
前記円筒状ブラシは前記通風路と前記開口を塞ぐように設置され、
前記円筒状ブラシは回転により、前記接触体と接触することを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記回収室の下面に傾斜をつけ下向きに凸形状にした請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記接触体を前記円筒状ブラシの回転方向に複数並べた請求項1または2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記接触体の形状を前記円筒状ブラシの毛先を回転軸方向に変位させる形状にした請求項1から3のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項5】
前記接触体の形状を前記円筒状ブラシの回転方向にV形とし回転軸方向に複数並べた請求項1から3のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項6】
前記接触体の形状を前記円筒状ブラシと接触する面に凹凸を付けた形状にした請求項1から3のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項7】
前記円筒状ブラシの下流に通風した空気の一部を前記回収室に流入させるガイドを設置し、前記回収室と屋外を繋いだ請求項1から6のいずれかに記載の集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−179536(P2012−179536A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43488(P2011−43488)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】