説明

集客地分析装置及び集客地分析方法

【課題】高い精度で集客力のある集客地を分析することが可能な集客地分析装置及び集客地分析方法を提供する。
【解決手段】集客地分析装置600は、ナビゲーション設定情報を読み込むナビゲーション情報読込部601と、当該ナビゲーション設定情報のうち、ナビゲーションシステムがユーザを目的地まで誘導したときの設定情報であるナビゲーション情報を抽出する抽出部602と、当該ナビゲーション情報に含まれる目的地の位置情報に基づいて、ユーザの最終到着地のカーネル密度を算出する密度算出部603と、位置情報を含む集客地に関する集客地情報を設定する集客地情報設定部604と、当該集客地の中から、カーネル密度が所定閾値以上の領域に位置する集客地を抽出する集客地分析部605とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションデータから得られる情報を利用して、集客地における集客力等の分析を行う集客地分析装置及び集客地分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の位置情報や移動情報等を利用して、出店計画や商圏分析等が一般的に行われている。また、位置情報や移動情報を取得するための手段として携帯端末が用いられた以下に示すような技術が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、展示会場等において、顧客の集客状況や移動状況を表示することが可能な集客情報表示システムに関する技術が開示されている。これによれば、携帯端末の識別情報と位置情報とから、会場内における携帯端末位置の変化を画像として生成し表示する。
【0004】
また、特許文献2では、遊園地内において、来園者の興味動向を分析することが可能なオリエンテーションシステムに関する技術が開示されている。これによれば、来園者の歩行ルート及びとどまった時間を集計し、来園者の興味動向を分析する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−40919号公報
【特許文献2】特開2002−44008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および特許文献2におけるシステムにおいては、展示会場や遊園地といった狭い領域を対象としているので、携帯端末の位置情報やとどまる時間から集客場所を特定することが可能である。しかしながら、広域の領域を対象とした場合には、携帯端末から得られる位置情報、または、とどまった時間等に基づいて分析した集客場所は、目的の集客場所に到達する過程の一つであることが多く、必ずしも対象ユーザが目的とする集客場所であるとは限らないことが多い。このため、上記従来のシステムにおいては、集客地の分析をするにあたって高い精度を得ることができないという問題がある。
【0007】
本発明は、高い精度で集客地分析をすることが可能な集客地分析装置及び集客地分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の集客地分析装置は、目的地に関する情報を含む設定情報を入力することによって現在位置から目的地までユーザを誘導するナビゲーションシステム、から取得可能な設定情報に基づいて、集客地の分析を行う集客地分析装置であって、複数のナビゲーションシステムに入力された複数の設定情報を読み込むナビゲーション情報読込部と、ナビゲーション情報読込部によって読み込まれた複数の設定情報のうち、ナビゲーションシステムがユーザを目的地まで誘導したときの設定情報である分析対象設定情報を抽出する抽出部と、抽出部によって抽出された分析対象設定情報に含まれる目的地の位置情報に基づいて、ユーザの最終到着地の密度を算出する密度算出部と、位置情報を含む集客地に関する集客地情報を設定する集客地情報設定部と、集客地情報設定部において設定された集客地の中から、密度算出部において算出された最終到着地の密度が所定値以上の領域に位置する集客地を抽出する集客地分析部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の集客地分析方法は、目的地に関する情報を含む設定情報を入力することによって現在位置から目的地までユーザを誘導するナビゲーションシステム、から取得可能な設定情報に基づいて、集客地の分析を行う集客地分析装置における集客地分析方法であって、複数のナビゲーションシステムに入力された複数の設定情報を読み込むナビゲーション情報読出ステップと、ナビゲーション情報読出ステップにおいて読み出された複数の設定情報のうち、ナビゲーションシステムがユーザを目的地まで誘導したときの設定情報である分析対象設定情報を抽出する抽出ステップと、抽出ステップによって抽出された分析対象設定情報に含まれる目的地の位置情報に基づいて、最終到着地の密度を算出する密度算出ステップと、位置情報を含む集客地に関する集客地情報を設定する集客地情報設定ステップと、集客地情報設定ステップにおいて設定された集客地の中から、密度算出部において算出された最終到着地の密度が所定値以上の領域に位置する集客地を抽出する集客地分析ステップと、を備えていることを特徴とする。
【0010】
なお、ナビゲーションシステムにおいて入力する目的地情報は、目的地名称や電話番号、地図において任意に指定した場所等を含み、例えば、緯度、経度といった位置情報と関連付けて管理される。
【0011】
このような集客地分析装置および集客地分析方法によれば、ナビゲーションシステムから取得可能な設定情報のうち、例えば、ナビゲーションシステムによる誘導を途中で中断した場合等、ユーザが入力した目的地に最終的に到着しなかった場合の設定情報を取り除き、ユーザが入力した目的地に最終的に到着した場合の設定情報に含まれる目的地の位置情報を利用してユーザの最終到着地の密度を算出する。これにより、実際にユーザが到着した位置である最終到着地と強い関連のある地域を集客力のある集客地として抽出することができるので、高い精度で集客地分析を実行することが可能となる。
【0012】
また、本発明の集客地分析装置では、抽出部は、ナビゲーションシステムがユーザを誘導した内容を記録したログ情報に基づいて、ナビゲーションシステムがユーザを目的地まで誘導したものと判定してもよい。このような集客地分析装置によれば、ナビゲーションシステムに入力された設定情報のうち、ユーザがナビゲーションシステムによって入力した目的地まで誘導されたときの設定情報を確実に抽出することが可能となる。
【0013】
また、本発明の集客地分析装置では、集客地分析部は、集客地の位置する最終到着地の密度に基づいて集客地の集客力に関するランキングを出力してもよい。このような集客地分析装置によれば、複数の集客地の中から、集客力のある集客地を客観的に分析することが可能となる。
【0014】
また、本発明の集客地分析装置では、地図情報を読み込む地図情報読込部と、密度算出部において算出された最終到着地の密度と、集客地情報設定部において設定された集客地の位置と、地図情報読込部によって読み込まれた地図情報と、を重ね合わせて出力する出力部と、をさらに備えていてもよい。このような集客地分析装置によれば、集客力のある集客地の分布状況や、集客力の度合いを客観的に判断することが可能な情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高い精度で集客力のある集客地を分析することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好適な実施形態にかかる集客地分析装置を含む通信システムのシステム構成図である。
【図2】図1の移動機および各種処理ノードの詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の好適な実施形態にかかる集客地分析装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】ナビゲーション設定情報、ナビゲーションログ情報およびナビゲーション情報のデータ構成の一例を説明する図である。
【図5】最終到着地のカーネル密度のデータ構成の一例を説明する図である。
【図6】集客地設定情報のデータ構成の一例を説明する図である。
【図7】最終到着地のカーネル密度の算出方法の一例を説明する図である。
【図8】最終到着地の分布状況の一例を示す図である。
【図9】最終到着地のカーネル密度の算出方法の一例を説明する図である。
【図10】最終到着地のカーネル密度分布の一例を説明する図である。
【図11】集客力のある集客地を出力する一例を示す図である。
【図12】図1の通信システムにおける処理を示すフローチャートである。
【図13】図3の集客地分析装置における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0018】
[通信システムの構成]
図1は、本発明の好適な一実施形態に係る通信システム10のシステム構成図である。図1に示すように、この通信システム10は、移動機100、BTS(基地局)200、RNC(無線制御装置)300、交換機400、各種処理ノード700および管理センタ500を含んで構成されている。また、この管理センタ500は、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503および可視化ソリューションユニット504から構成されている。
【0019】
移動機100は、目的地に関する情報を含む設定情報が入力されることによって現在位置から目的地までユーザを誘導するナビゲーションシステムが実装されている。移動機100は、図2(a)に示すように、ナビアプリケーション部101と、ナビゲーションデータ送信部102とを有している。
【0020】
ナビアプリケーション部101は、ユーザによる上記設定情報の入力を受け付け、当該設定情報に従って、現在位置から目的地までユーザの誘導を実行する部分である。ここでいう設定情報とは、例えば、図4(a)に示すような、「ユーザ識別子」、「目的地名」、「緯度」、「経度」、「ナビID」を主に含む設定情報テーブルに従って構成されている。ここで、「目的地名」が入力された場合には、ナビアプリケーション部101は、入力情報をジオプロセッシング(空間処理)し、ポイントデータ、すなわち、「緯度」、「経度」に置き換える。なお、住所等を設定情報として有する場合も同様の処理が為される。
【0021】
ナビゲーションデータ送信部102は、ナビゲーションシステムに入力された設定情報を後述するナビゲーションデータ受信部701に送信する部分である。ナビアプリケーション部101は、例えば、道路の結節点となるような位置においてユーザに進むべき進路候補を提示すると共に、ユーザが実際に進んだ進路を蓄積し、これらをナビゲーションログ情報として管理する。そして、ナビゲーションログ情報は、例えば、図4(b)に示すように、「ユーザ識別子」、「フラグ」、「タイムスタンプ」、「緯度」、「経度」、「ナビID」等を主に含むナビゲーションログテーブルに従って構成される。
【0022】
ナビゲーションデータ送信部102は、上記設定情報およびナビゲーションログ情報を後述するナビゲーションデータ受信部701に送信する。
【0023】
交換機400は、BTS200、RNC300を介して、移動機100の位置情報およびナビゲーションシステムにおける設定情報とログデータを収集する。RNC300は、移動機100との間で通信接続が行われる際に、RRCコネクション要求信号における遅延値を用いて移動機100の位置を測定することができる。交換機400は、このように測定された移動機100の位置情報を、移動機100が通信接続を実行する際に受け取ることができる。交換機400は受け取った位置情報を記憶しておき、所定のタイミング、または、管理センタ500からの要求に応じて収集した位置情報を管理センタ500に出力する。ここで、一般的に、RNC300は、約千個からなるものであり、日本全国に配置されている。一方で、交換機400は、300個程度日本国内に配置されている。
【0024】
各種処理ノード700は、RNC300および交換機400を通じて移動機100の位置情報を取得し、場合によっては位置の再計算などを行い、所定のタイミングで、または、管理センタ500からの要求に応じて、収集された位置情報を管理センタ500に出力する。また、各種処理ノード700は、図2(b)に示すように、ナビゲーションデータ受信部701を有している。ナビゲーションデータ受信部701は、ナビゲーションデータ送信部102から送信される設定情報を受信し、所定のタイミングで、または、管理センタ500からの要求に応じて、収集された位置情報および設定情報を管理センタ500に出力する。
【0025】
管理センタ500は、上述したとおり、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503および可視化ソリューションユニット504を含んで構成されており、各ユニットでは、移動機100から送信される設定情報を用いた各種処理を行う。
【0026】
社会センサユニット501は、各交換機400および各種処理ノード700から、又は、オフラインで、移動機100の位置情報および上述した設定情報等を含んだデータを収集するサーバ装置である。この社会センサユニット501は、交換機400および各種処理ノード700から定期的に出力されたデータを受信したり、または社会センサユニット501において予め定められたタイミングに従って交換機400および各種処理ノード700からデータを取得したりできるように構成されている。
【0027】
ペタマイニングユニット502は、社会センサユニット501から受信したデータを所定のデータ形式に変換するサーバ装置である。例えば、ペタマイニングユニット502は、ユーザ識別子をキーにソーティング処理を行ったり、ナビIDごとにソーティング処理を行ったりする。
【0028】
モバイルデモグラフィユニット503は、ペタマイニングユニット502において処理されたデータに対する集計処理、すなわち、各項目のカウンティング処理を行うサーバ装置である。例えば、モバイルデモグラフィユニット503は、最終到着地のポイントデータからカーネル密度を算出したり、ある領域に属する集客地のポイントデータを抽出したりすることができる。
【0029】
可視化ソリューションユニット504は、モバイルデモグラフィユニット503において集計処理されたデータを可視可能に処理するサーバ装置である。例えば、可視化ソリューションユニット504は、集計されたデータを地図上にマッピング処理することができる。この可視化ソリューションユニット504にて処理されたデータは、企業、官公庁、又は、個人等に提供され、店舗開発、道路交通調査、災害対策、環境対策などに利用される。なお、このように統計処理された情報は、当然にプライバシーを侵害しないように個人等は特定されないように加工されている。
【0030】
なお、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503および可視化ソリューションユニット504はいずれも、前述したようにサーバ装置により構成され、図示は省略するが、通常の情報処理装置の基本構成(即ち、CPU、RAM、ROM、キーボードやマウス等の入力デバイス、外部との通信を行う通信デバイス、情報を記憶する記憶デバイス、および、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイス)を備えることは言うまでもない。
【0031】
[集客地分析装置600の構成]
次に、本実施形態に係る集客地分析装置600について説明する。図3には集客地分析装置600の機能ブロック構成を示す。図3に示すように、集客地分析装置600は、ナビゲーション情報読込部601、抽出部602、密度算出部603、集客地情報設定部604、集客地分析部605、地図情報読込部606および出力部607を備えている。各部の機能は後述する。
【0032】
本実施形態における設定情報は、目的地の位置を示す位置情報、設定情報の識別子を示すナビIDおよび当該データのユーザ識別子を主に含むポイントデータの形式で処理される。また、ナビゲーションログ情報は、
多数のユーザについての複数の設定にわたるポイントデータは、ナビゲーション情報データベース670に保存されている。ここでの「ポイントデータ」としては、GPS測位システムで得られたGPS測位データを採用する。また、区間の位置情報を含むラインデータ、区間の領域を示すポリラインデータ、その他の地図情報は、地図情報データベース680に保存されている。
【0033】
図3の論理的な構成と図1のシステム構成との対応について概説する。ここでは、一例として、図3の集客地分析装置600が、図1のモバイルデモグラフィユニット503および可視化ソリューションユニット504に相当し、図3のナビゲーション情報データベース670および地図情報データベース680が、図1のペタマイニングユニット502に相当する。
【0034】
以下、図3の集客地分析装置600の各部の機能を説明する。ナビゲーション情報読込部601は、ナビゲーションシステムに入力した目的地に関する情報、設定情報のIDを示す「ナビID」、および、当該ユーザのユーザ識別子を含むポイントデータであって、複数のユーザについての複数の設定にわたる当該ポイントデータをナビゲーション情報データベース670から読み込む部分である。ポイントデータは、図4(a)に示すように、例えば、「ユーザ識別子」、「目的地」、「緯度」、「経度」および「ナビID」を主に含んで形成されるナビゲーション設定情報テーブルに従ってナビゲーション情報データベース670に格納されている。
【0035】
また、ナビゲーション情報読込部601は、ナビゲーションシステムがユーザを誘導した内容を記録したログ情報を読み込む部分でもある。具体的には、ナビゲーション情報読込部601は、図4(b)に示すような、「ユーザ識別子」、「フラグ」、「タイムスタンプ」、「経度」、「緯度」および「ナビID」を主に含むナビゲーションログ情報テーブルに従って構成されたデータをナビゲーション情報データベース670から読み込む。
【0036】
抽出部602は、ナビゲーション情報読込部601によって読み出された複数の設定情報のうち、ナビゲーションシステムがユーザを目的地まで誘導したときの設定情報である分析対象設定情報を抽出する。具体的には、抽出部602は、ナビゲーションシステムがユーザを誘導した内容を記録したログ情報に基づいて、ナビゲーションシステムがユーザを目的地まで誘導したものと判定する。具体的には、図4(a)に示すようなデータ構成のナビゲーション設定情報および図4(b)に示すようなデータ構成のナビゲーションログ情報に基づいて、「ナビID」、「緯度」、「経度」が共通するデータを抽出する。なお、「緯度」、「経度」は、完全に一致したものだけを共通とするのではなく、互いに所定範囲に位置する場合も共通するデータとして扱ってもよい。そして、抽出部602は、図4(c)に示すような、例えば、「ユーザ識別子」、「フラグ」、「タイムスタンプ」、「緯度」、「経度」、「開始時刻緯度」、「開始時刻経度」、「終了時刻緯度」および「終了時刻経度」を主に含んで形成されるナビゲーション情報(分析対象設定情報)テーブル従ったデータを生成する。
【0037】
密度算出部603は、抽出部602によって抽出されたナビゲーション情報に含まれる目的地の位置情報に基づいて、ユーザの最終到着地の密度を算出する。具体的には、図4(c)に示すようなナビゲーション情報に含まれる目的地の位置、すなわち、「目的地緯度」、「目的地経度」に基づいて、図9に示すようなカーネル密度を算出する。そして、密度算出部603は、図5に示すような、例えば、「エリア識別子」、「エリア名」、「エリアポリゴン情報」および「カーネル密度最大値」を主に含んで形成されるカーネル密度テーブルに従ったデータを生成する。
【0038】
集客地情報設定部604は、位置情報を含む集客地に関する集客地情報を設定する部分である。集客地情報は、システム管理者が任意に設定することが可能であり、集客力を分析したい集客地を入力する。集客地情報設定部604において設定された集客地情報は、図6に示すような、例えば、「集客地名」、「緯度」および「経度」を主に含んで形成される集客地情報テーブルに従って管理される。
【0039】
集客地分析部605は、集客地情報設定部604において設定された集客地の中から、密度算出部603において算出された最終到着地の密度が所定値以上の領域に位置する集客地を抽出する。具体的には、例えば、図9に示すようなカーネル密度の分布の中から、例えば、図10に示すようなカーネル密度が所定値以上の領域を抽出し、その領域に位置する集客地を、図6に示すような集客地情報に含まれる「緯度」、「経度」に基づいて抽出する。また、集客地分析部605は、前述したように抽出した集客地をカーネル密度に基づいて、例えば、図11に示すような集客地の集客力に関するランキングを出力する。
【0040】
地図情報読込部606は、地図情報データベース680に格納されている地図情報を読み込む部分である。
【0041】
出力部607は、密度算出部603において算出された最終到着地のカーネル密度と、集客地情報設定部604において設定された集客地の「緯度」、「経度」と、地図情報読込部606によって読み込まれた地図情報とを位置重ね合わせて出力する部分である。具体的には、例えば、図10に示すように、地図情報と、カーネル密度が所定閾値以上の領域と、集客地の位置とを重ねて表示する。
【0042】
[集客地分析装置600における処理]
以下、集客地分析装置600が集客力のある集客地を分析する処理について、図12、図13を用いて詳細に説明する。まず、集客地分析装置600におけるナビゲーション情報読込部601が読み込むナビゲーション設定情報、ナビゲーションログ情報が、ナビゲーション情報データベースに格納されるまでの処理について説明を行う。
【0043】
最初に、図12に示すように、移動機100におけるナビアプリケーション部101は、ユーザから目的地に関する情報を受け付ける(ステップS1)。次に、ナビアプリケーション部101は、目的地までの位置、経路を計算する(ステップS2)。次に、ナビゲーションデータ送信部102は、ステップS1において入力を受け付けた目的地に関する情報を含む、例えば、図4(a)に示すような構成のナビゲーション設定情報を後述するナビゲーションデータ受信部701に送信する(ステップS3)。
【0044】
図12に戻って、次に、ナビアプリケーション部101は、ユーザを目的にまで誘導するためのナビゲーション処理を開始する(ステップS4)。ナビゲーション処理の一例としては、例えば、交差点等でユーザに進むべき進路を示す処理がある。次に、ナビゲーションデータ送信部102は、ナビアプリケーション部101が処理した内容を示すナビゲーションログ情報を送信する(ステップS5)。なお、ナビゲーションログ情報は、例えば、図4(b)に示すような構成のデータである。
【0045】
図12に戻って、次に、ナビアプリケーション部101は、ユーザが目的に到着したかどうかを確認し、ナビゲーションを終了するかどうかを判定する(ステップS6)。ナビアプリケーション部101は、ステップS1において入力された目的地にユーザが到着するまで、一連のナビゲーション処理を繰り返す(ステップS4〜ステップS6)。
【0046】
各種処理ノード700におけるナビゲーションデータ受信部701は、ステップS3においてナビゲーションデータ送信部102によって送信されたナビゲーション設定情報を受信して(ステップS11)、ナビゲーション情報データベース670に格納する。また、各種処理ノード700におけるナビゲーションデータ受信部701は、ステップS5においてナビゲーションデータ送信部102によって送信されたナビゲーションログ情報を受信して(ステップS12)、ナビゲーション情報データベース670に格納する。
【0047】
以下、集客地分析装置600が実行する集客地の分析処理について説明を行う。図13に示すように、最初に、ナビゲーション情報読込部601は、ナビゲーション設定情報とナビゲーションログ情報とをナビゲーション情報データベース670から読み込む(ステップS31)。
【0048】
ここで、ナビゲーション設定情報の中には、目的地の情報が入力されているが、ナビゲーション設定情報からは、この入力された目的地にユーザが到着したことまでは確定することができない。なぜなら、ナビゲーションシステムに目的地に入力しても、途中で目的地を変更したり、目印となる集客地をとりあえず設定しているだけで、最終到着地が入力した目的地ではなかったりする場合があるからである。そこで、本実施形態においては、以下のステップS32、ステップS33を処理することによって、ユーザが目的地に到着していることを判定している。
【0049】
すなわち、抽出部602は、ナビゲーションシステムがユーザを誘導した内容を記録したログ情報に基づいて、ナビゲーションシステムがユーザを目的地まで誘導したかどうかを判定する(ステップS32)。具体的には、図4(a)に示すナビゲーション設定情報および図4(b)に示すナビゲーションログ情報に基づいて、「ナビID」、「緯度」、「経度」が共通するデータを、後述するカーネル密度を算出する際の分析対象設定情報として抽出する。これにより、ナビゲーション設定情報の中から、目的地に到着したデータのみを抽出し、図4(c)に示すようなナビゲーション情報として取得する(ステップS33)。
【0050】
次に、密度算出部603は、図7に示すように、ステップS33で取得したナビゲーション情報に含まれる目的地の位置情報(P,P,・・・,P)、すなわち、「目的地緯度」、「目的地経度」に基づいて、ユーザの最終到着地のカーネル密度を算出する(ステップS34)。最終到着地のカーネル密度は、密度の高い領域ほど、図8に示すように、ユーザが最終到着地としてのポイント(P,P,・・・,P)が多いことを示している。図8において具体的に示すと、P〜Pのポイントが集中するエリアA1と、P〜P13のポイントが集中するエリアA2と、P14〜P17のポイントが集中するエリアA3とが、カーネル密度が高いことがわかる。
【0051】
次に、集客地分析部605は、ステップS34において算出されたカーネル密度が所定閾値以上のエリアを抽出する(ステップS35)。集客地分析部605は、例えば、図8において、カーネル密度Dの閾値をDとすると、図9に示すような領域B、B、Bを抽出する。
【0052】
次に、集客地分析部605は、集客地情報設定部604において入力された集客地の位置情報に基づいて、ステップS35において抽出されたエリアB1,B2,B3に位置する集客地X、X、Xを抽出する(ステップS36)。
【0053】
次に、集客地分析部605は、カーネル密度が所定閾値以上ある領域B1,B2,B3の集客地X、X、Xについて、カーネル密度に基づいて集客地のランキングを算出する(ステップS37)。例えば、集客地X、X、Xの位置におけるカーネル密度の大小関係が、X>X>Xの場合、集客地分析部605が判定するランキングの順番は、集客地X、集客地X、集客地Xの順番となる。これにより、ユーザの最終到着地と強い関連のある集客地を判定することが可能となる。
【0054】
次に、集客地分析部605は、ステップS37において算出されたランキングを、例えば、図11に示すようなデータ形式で出力する(ステップS38)
また、ステップS37、ステップS38と並行して、ステップS41、ステップS42が処理される。すなわち、地図情報読込部606は、地図情報データベース680から地図情報を読み込む(ステップS41)。
【0055】
次に、出力部607は、ステップS35において算出されたカーネル密度が所定閾値以上の領域と、ステップS36において抽出された集客地の位置と、ステップS43で読み込んだ地図情報とを重ね合わせて出力する(ステップS42)。出力部607は、例えば、カーネル密度Dが所定閾値D以上の領域と、集客地の位置X、X、X、Xと、地図情報とを重ね合わせることにより、図10に示すようなデータを出力することができる。また、出力部607は、密度算出部603が算出するカーネル密度Dに従って、例えば、図9に示すように、所定のカーネル密度Dを有する領域ごと(例えば、D<D、D≦D<D、D≧D)に色またはハッチングを施したデータを、地図情報と重ね合わせて出力してもよい。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態の集客地分析装置600によれば、ナビゲーションシステムから取得可能なナビゲーション設定情報のうち、例えば、ナビゲーションシステムによる誘導を途中で中断した場合等、入力した目的地にユーザが最終的に到着しなかった場合の設定情報を取り除き、入力した目的地にユーザが最終的に到着した場合のみの設定情報に含まれる目的地の位置情報を利用してユーザの最終到着地に対するカーネル密度を算出する。これにより、実際にユーザが到着した位置である最終到着地と強い関連のある地域を集客力のある集客地として抽出することができるので、高い精度で集客地分析を実行することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態の集客地分析装置600によれば、集客地分析部605は、集客地の位置する最終到着地のカーネル密度に基づいて集客地の集客力に関するランキングを出力しているので、複数の集客地X〜Xの中から、集客力のある集客地を客観的に分析することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態の集客地分析装置600によれば、ユーザの最終到着地のカーネル密度と、集客地の位置と、地図情報とを重ね合わせて出力することができるので、集客力のある集客地の分布状況や、集客力の度合いを客観的に判断することが可能な情報を提供することができる。
【0059】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0060】
上記実施形態の集客地分析装置600では、ナビゲーションログ情報に基づいて、ナビゲーションシステムに入力した目的地までユーザが到着したかどうかの判定を行ったがこれに限定されるものではない。例えば、ナビゲーション設定情報として入力された目的地に到着したときに、ナビアプリケーション部101が、図4(c)に示すようなナビゲーション情報を生成し、ナビゲーションデータ送信部102が、ナビゲーション情報を送信するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態の集客地分析装置600では、カーネル密度が所定閾値D以上ある領域を算出し、当該領域にある集客地を抽出する例を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、集客地分析部605は、密度算出部603が算出するカーネル密度が所定閾値(例えば、D)以上ある領域を集客力のある集客地として抽出してもよい。
【0062】
また、上記実施形態の集客地分析装置600では、ステップS37とステップS38およびステップS41とステップS42を並列的に処理する例を挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、例えば、ステップS37、ステップS38、ステップS41、ステップS42の順番で処理したり、ステップS41、ステップS42、ステップS37、ステップS38の順番で処理してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…通信システム、100…移動機、101…ナビアプリケーション部、102…ナビゲーションデータ送信部、400…交換機、500…管理センタ、501…社会センサユニット、502…ペタマイニングユニット、503…モバイルデモグラフィユニット、504…可視化ソリューションユニット、600…集客地分析装置、601…ナビゲーション情報読込部、602…抽出部、603…密度算出部、604…集客地情報設定部、605…集客地分析部、606…地図情報読込部、607…出力部、670…ナビゲーション情報データベース、680…地図情報データベース、700…各種処理ノード、701…ナビゲーションデータ受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地に関する情報を含む設定情報を入力することによって現在位置から前記目的地までユーザを誘導するナビゲーションシステム、から取得可能な前記設定情報に基づいて、集客地の分析を行う集客地分析装置であって、
複数の前記ナビゲーションシステムに入力された複数の前記設定情報を読み込むナビゲーション情報読込部と、
前記ナビゲーション情報読込部によって読み込まれた複数の前記設定情報のうち、前記ナビゲーションシステムがユーザを前記目的地まで誘導したときの設定情報である分析対象設定情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記分析対象設定情報に含まれる前記目的地の位置情報に基づいて、ユーザの最終到着地の密度を算出する密度算出部と、
位置情報を含む集客地に関する集客地情報を設定する集客地情報設定部と、
前記集客地情報設定部において設定された前記集客地の中から、前記密度算出部において算出された前記最終到着地の密度が所定値以上の領域に位置する前記集客地を抽出する集客地分析部と、
を備えていることを特徴とする集客地分析装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記ナビゲーションシステムが前記ユーザを誘導した内容を記録したログ情報に基づいて、前記ナビゲーションシステムがユーザを前記目的地まで誘導したものと判定することを特徴とする請求項1に記載の集客地分析装置。
【請求項3】
前記集客地分析部は、前記集客地の位置する前記最終到着地の密度に基づいて前記集客地の集客力に関するランキングを出力する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の集客地分析装置。
【請求項4】
地図情報を読み込む地図情報読込部と、
前記密度算出部において算出された前記最終到着地の密度と、前記集客地情報設定部において設定された集客地の位置と、地図情報読込部によって読み込まれた前記地図情報と、を重ね合わせて出力する出力部と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の集客地分析装置。
【請求項5】
目的地に関する情報を含む設定情報を入力することによって現在位置から前記目的地までユーザを誘導するナビゲーションシステム、から取得可能な前記設定情報に基づいて、集客地の分析を行う集客地分析装置における集客地分析方法であって、
複数の前記ナビゲーションシステムに入力された複数の前記設定情報を読み込むナビゲーション情報読出ステップと、
前記ナビゲーション情報読出ステップにおいて読み出された複数の前記設定情報のうち、前記ナビゲーションシステムがユーザを前記目的地まで誘導したときの設定情報である分析対象設定情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された前記分析対象設定情報に含まれる前記目的地の位置情報に基づいて、ユーザの最終到着地の密度を算出する密度算出ステップと、
位置情報を含む集客地に関する集客地情報を設定する集客地情報設定ステップと、
前記集客地情報設定ステップにおいて設定された前記集客地の中から、前記密度算出部において算出された前記最終到着地の密度が所定値以上の領域に位置する前記集客地を抽出する集客地分析ステップと、
を備えていることを特徴とする集客地分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−123553(P2011−123553A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278681(P2009−278681)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】