説明

集成材及び集成材の製造方法

【目的】 建築材料の広い範囲に渡って使用することができるとともに、養生期間の短縮を図って生産性を向上することができ、もってコストの低い集成材及び集成材の製造方法を提供する。
【構成】 集成材1、4は、複数本の間伐材2、5を水蒸気処理して軟化するとともに、各木材の接着剤層を介して圧縮成形することにより製造される。このとき、使用される各間伐材2、5の本数を適宜選択すれば各種の集成材1、4が得られ、建築材料として広い範囲に渡って使用することが可能となる。また、接着剤の接着時間に応じて加圧圧縮工程を行なうだけで各間伐材2、5が結着され、従来、1週間程度必要とされていた養生期間が1時間程度に短縮され得、集成材1、4の生産性が格段に向上される。更に、各間伐材2、5を剥皮した後、直ちに水蒸気処理、及び、加圧圧縮処理が行なわれ、従来のように間伐材の段階で予め面取り加工等の前処理を行なう必要がなく、極めてコストの低い集成材1、4が得られる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、杉や檜等の成育過程において除去される小径の間伐材や短尺及び端材の有効利用を図り得る集成材、及び、その集成材の製造方法に関し、特に、建築材料の広い範囲に渡って使用可能であるとともに、集成後における集成材の養生期間の短縮を図って生産性を向上し、もってコストの低い集成材及び集成材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、杉、檜等は建築材料として多用されているが、本来的に軟質材であることから堅牢度が低く、これよりその使用可能な範囲については自ずと制限が存在した。特に、杉、檜等の成育過程において除去される間伐材は小径木であり、また、極めて柔らかく湾曲していることが多いので、かかる間伐材は建築材料、例えば、柱等としては殆ど使用できないものであった。
【0003】このような間伐材の有効利用を図るべく、従来より各種の方法が提案されている。例えば、特開平3−231802号公報には、木材を水蒸気雰囲気内に置いて軟化させた後、高圧条件下にて圧縮成形して木材の変形を固定化する木材の改質処理方法が記載されている。また、特開平3−97503号公報には、木材を軟化させるに際して高周波誘電加熱により柔軟化させた後、加圧する木材の処理方法が記載されている。更に、特開平5−116112号公報には、複数の間伐材を予め面取り加工して楔形の四角形木柱素材とし、各四角形木柱素材を接着剤を介して接着しつつ組み立ててなる複合木柱材が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特開平3−231802号公報、及び、特開平3−97503号公報に記載された木材の処理方法は、間伐材を軟化した後加圧してその改質処理を行なうものではあるが、1本毎の間伐材に処理を行なうための処理方法に過ぎない。従って、使用価値の低い間伐材の改質を図って建築材料等として有効利用を図ることができるものではあるものの、このように改質処理された間伐材の利用範囲は、間伐材自体が小径木であることを考慮すれば、建築材料の広い範囲に渡って利用できるものではない。
【0005】また、前記特開平5−116112号公報に記載された複合木柱材は、複数の間伐材を接着剤にて相互に接着しつつ組み立てるものであるが、複合木柱材の形状を所定の形状(例えば、四角形状)に成形するためには、各間伐材を予め面取り加工を行なって楔形の四角形木柱素材としておく必要がある。このように各間伐材について予め面取り加工を行なうことは非常に煩雑な作業であり、また、これに伴ってコストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】本発明は前記従来の問題点を解消するためになされたものであり、建築材料の広い範囲に渡って使用することができるとともに、従来の集成材に必要な養生期間の短縮を図って生産性を向上することができ、もってコストの低い集成材及び集成材の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明の請求項1に係る集成材は、可塑処理された複数本の木材からなり、各木材の表面の接着剤層を介して所定形状に圧縮成形されてなる構成とされる。
【0008】また、本発明請求項2に係る集成材の製造方法は、複数本の木材を高温、高圧下にて水蒸気処理を行なうとともに各木材を軟化させる第1工程と、前記軟化した各木材の表面に接着剤を塗布する第2工程と、前記接着剤が塗布された各木材を加圧圧縮して所定の形状に成形する第3工程とからなる構成とされる。
【0009】更に、本発明の請求項3に係る集成材の製造方法は、予め接着剤を塗布した複数本の木材を高温、高圧下にて水蒸気処理を行い各木材を軟化させる第1工程と、前記接着剤が塗布された各木材を加圧圧縮して所定の形状に成形する第2工程とからなる構成とされる。
【0010】
【作用】前記構成を有する本発明に係る集成材は、高温、高圧の水蒸気下で軟化され、一定の圧力で容易に塑性変形されることが可能となる。従って、小径木間の接触面を圧縮過程で増大させ、一体化した集成材を形成することができる。この集成材は圧縮過程で生じる残留応力を水蒸気雰囲気でのセルロース分子や接着剤の再配列によって、集成材に残留応力が殆ど無い状態にするという特徴を有する。
【0011】先ず、請求項2に係る製造方法では、第1工程において複数本の木材が高温、高圧下にて水蒸気処理される。かかる水蒸気処理により各木材は軟化される。この後、第2工程で軟化された各木材の表面に接着剤が噴霧される。ここに、接着剤は各木材を相互に結着するためのものである。更に、第2工程が終了した後、第3工程において前記のように接着剤が噴霧された各木材が加圧圧縮され、所定の形状に成形される。これにより、集成材が製造される。
【0012】また、請求項3に係る製造方法では、第1工程において予め接着剤を塗布した複数本の木材を高温、高圧下にて水蒸気処理を行い各木材を軟化させる。続く第2工程で、前記接着剤が塗布された各木材を加圧圧縮して所定の形状に成形する。このように水蒸気処理による可塑処理を行なう前に接着剤を塗布することにより、塗布される接着剤量の管理が簡単にできる。
【0013】前記のように製造された集成材では、複数本の木材が接着剤を介して相互に結着されているので、使用する木材の本数を適宜選択することにより建築材料の広い範囲に渡って使用可能な集成材が製造され得る。また、各木材相互を接着剤により結着しているので、接着剤が乾燥した後において早期に建築材料として使用可能な状態になり、これより集成材の残留応力を取り養生期間を短縮して生産性を向上することが可能となる。更に、集成材に使用される各木材は、特に、面取り加工等の前処理を必要としないことから、集成材及びその生産コストを格段に低く抑えることが可能となる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例に基づいて図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、図1及び図2に基づき実施例1に係る集成材の構成について説明する。ここに、図1は径が比較的揃った複数本の間伐材を圧縮集成した集成材の端面図、また、図2は径にばらつきのある複数本の間伐材を圧縮集成した集成材の端面図である。
【0015】先ず、図1において、集成材1は、複数本(図1の集成材1では12本)の間伐材2の間に接着剤3を介在させつつ、間伐材2相互を圧縮集成してなるものである。ここに、各間伐材2は杉、檜等の成育過程で除去された間伐材が使用されており、また、各間伐材2は、元口2Aが約15cm、末口2Bが約10cmである比較的径の揃った間伐材が用いられている。
【0016】また、各間伐材2は、図1に示すように、集成材1における縦列中、及び、横列中で元口2Aと末口2Bとが交互に配列されている。例えば、集成材1における最上位置にある間伐材2の横列を例にとれば、元口2Aが端面側になるように間伐材2を配列した場合には(横列の最も右方位置にある間伐材2)、その間伐材2に並ぶ間伐材2はその末口2Bが集成材1の端面側となるように配列される。そして、次に並べられる間伐材2はその元口2Aが集成材1の端面側に配置され、更に、次の間伐材2はその末口2Bが集成材1の端面側に配置される。このような間伐材2相互の関係が、集成材1の縦列、及び、横列において保持されている。このように各間伐材2を配列すれば、後述する圧縮成形を行なう際に、各間伐材2の間に隙間が生じ難くなり、また、接着剤3の使用量を節約することができる。
【0017】更に、接着剤3は、各間伐材2を相互に結着するためのものであり、本実施例で使用される接着剤としては各種の接着剤が使用できる。例えば、フェノール樹脂を主成分とするフェノール系接着剤、レゾルシノール樹脂を主成分とするレゾルシノール系接着剤等の熱硬化性接着剤が使用されて好適である。その他、熱硬化性接着剤としては、メラミン樹脂を主成分とするメラミン系接着剤、尿素樹脂を主成分とするユリア系接着剤、エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ系接着剤等も使用することができる。また、かかる熱硬化性接着剤に加えて、イソシアネートと水性高分子を主成分とする水性高分子−イソシアネート系接着剤や酢酸ビニル樹脂系接着剤等も使用可能である。ここに、使用する接着剤を選択するに際しては、接着剤のコスト、溶剤の種類や集成材の用途等を勘案して選択するのが望ましい。
【0018】次に、図2に示す集成材4について説明する。この集成材4は、前記図1に示す集成材1と基本的に同様の構成を有しており、使用されている各間伐材5が、その径においてばらついている点で相違する。集成材は、複数本(図2の集成材4では20本)の間伐材5の間に接着剤3を介在させつつ、間伐材5相互を圧縮集成してなるものである。
【0019】ここに、各間伐材5は、その平均の径が約6cm乃至20cmの範囲に存在する間伐材が使用されている。かかる間伐材5を集成すべく相互に配列する場合、各間伐材5は元口の径と末口の径を勘案して平均の径が前記所定範囲に入るかどうかで選択されることから、前記図1に示した集成材1の間伐材2とは異なり、各間伐材5の元口、末口を交互に配列する必要は特にない。但し、集成材4の全体形状を考慮して各間伐材5を適当に配列するのが望ましい。ここに、径のばらついた間伐材は一般に使用価値が半減し、利用し難いものであるが、前記のような集成材4では十分使用価値が存在するものである。
【0020】尚、接着剤3については、前記図1に示す集成材1に使用されるものと同一であるので、その説明は省略する。続いて、前記のように構成される集成材1、4を製造するに際して使用される圧縮成形装置について図3に基づき説明する。ここに、図3は圧縮成形装置を模式的に示す断面図である。図3において、圧縮成形装置10は、断面四角形の筒状に長く形成された圧力容器11(紙面に垂直な方向に長く形成されている)を備えており、かかる圧力容器11の上壁及び左右両壁にはそれぞれロッド孔12、13、14が穿設されている。
【0021】ロッド孔12には、圧力容器11の外側で一端にプレスシリンダ15が連結されるとともに、圧力容器11の内側で他端にプレス金型16が取り付けられたプレスロッド17がスライド可能に挿通されている。これにより、後述する各間伐材2、5の加圧圧縮を行なう際に、プレスロッド17はプレスシリンダ15を介して下方に移動され、このプレスロッド17の移動に伴ってプレス金型16が各間伐材2、5を上方より加圧するものである。また、プレス金型16には多数の蒸気孔16Aが形成されており、各蒸気孔16Aからは後述する水蒸気処理の際に水蒸気が通過されて下方に配置された各間伐材2、5に噴射される。
【0022】また、圧力容器11の左壁に穿設されたロッド孔13には、前記プレスロッド17と同様に、圧力容器11の外側で一端にプレスシリンダ18が連結されるとともに、圧力容器11の内側で他端にプレス金型19が取り付けられたプレスロッド20がスライド可能に挿通されている。プレス金型19には、前記プレス金型16と同様、多数の蒸気孔19Aが形成されており、各蒸気孔19Aからは水蒸気処理の際に水蒸気が通過されて間伐材2、5に噴射される。
【0023】更に、圧力容器11の右壁に穿設されたロッド孔14には、前記プレスロッド17、20と同様に、圧力容器11の外側で一端にプレスシリンダ21が連結されるとともに、圧力容器11の内側で他端にプレス金型22が取り付けられたプレスロッド23がスライド可能に挿通されている。また、プレス金型22には、前記プレス金型16、19と同様、多数の蒸気孔22Aが形成されており、各蒸気孔22Aからは水蒸気処理の際に水蒸気が通過されて間伐材2、5に噴射される。
【0024】また、圧力容器11の内部において、下方位置にはプレス金型24が固定的に設置されており、かかるプレス金型24上には加圧圧縮される複数本の間伐材2、5が載置される。更に、かかるプレス金型24には、前記各プレス金型16、19、22と同様、多数の蒸気孔24Aが形成されており、各蒸気孔24Aからは水蒸気処理の際に水蒸気が通過されて間伐材2、5に噴射される。
【0025】前記プレス金型19の内側には、スライド機構(図示せず)を介してプレス金型19の内壁に沿って上下方向に、及び、プレス金型19と共に左右方向にスライド移動可能なスライドプレス金型25が配設されており、また、前記プレス金型22の内側には、同様にスライド機構を介してプレス金型22の内壁に沿って上下方向に、及び、プレス金型22と共に左右方向にスライド移動可能なスライドプレス金型26が配設されている。また、各スライドプレス金型25、26には、前記各プレス金型16等と同様、それぞれ多数の蒸気孔25A、26Aが形成されている。これらの各スライドプレス金型25、26は、前記プレス金型24上に複数本の間伐材2、5が載置された際に、各間伐材2、5が崩れることを防止し、各間伐材2、5の積層状態を保持する作用を行なうものである。
【0026】また、圧力容器11の左壁及び右壁の上方位置において多数のノズル27(図3には2つのノズル27のみを示す)が圧力容器11の長手方向に沿って設けられている。各ノズル27からは各間伐材2、5の表面に接着剤3が噴射されるものである。
【0027】ここに、前記のように構成される各プレスシリンダ15、18、21から各プレスロッド17、20、23に及ぼされる圧力は、各間伐材2、5の圧縮率に従って変更されるが、例えば、圧縮率50%では15kgf/cm2 、圧縮率30%では10kgf/cm2 に設定される。
【0028】尚、前記のように構成される圧縮成形装置10には、各プレス金型19、22、24及び各スライドプレス金型25、26により積層状態で保持された各間伐材2、5に対して、圧力容器11における四方の壁から加熱水蒸気を噴射する水蒸気噴射装置が設けられている。ここに、水蒸気噴射装置から噴射される水蒸気の水蒸気圧は10kgf/cm2 以上に設定されており、また、加熱温度は150℃乃至200℃の範囲に設定されている。
【0029】次に、前記のように構成された圧縮成形装置10を使用して複数本の間伐材2、5から集成材1、4を製造する方法について説明する。ここに、加圧圧縮を行なう前においては、前記各プレス金型16、20、22、24は図3に示す状態に保持されているものとする。
【0030】先ず、複数本の間伐材2、5を剥皮し、次いで圧力容器11内でプレス金型24上に剥皮した複数本の間伐材2、5を積層載置し、各スライドプレス金型25、26との協働により各間伐材2、5の積層状態を保持する(図3参照)。このとき、ほぼ同様の径を有する間伐材2については前記したように各間伐材2の元口、末口が交互に配列されるように積層され、また、径にばらつきのある間伐材5については前記したように集成材の形状等を考慮して積層される。
【0031】この後、水蒸気噴射装置から加熱水蒸気が各間伐材2、5に噴射される。このように噴射された水蒸気は、各プレス金型16、19、22、24の蒸気孔16A、19A、22A、24A、及び、各スライドプレス金型25、26の蒸気孔25A、26Aを通過し、各間伐材2、5に噴射される。かかる水蒸気処理は数分乃至数十分程度行なわれ、この水蒸気処理を行なっている間に各間伐材2、5は、軟化される。
【0032】このように各間伐材2、5が軟化された後、前記各ノズル27から接着剤が各間伐材2、5の表面に噴射される。噴射された接着剤は、各プレス金型16、19、22、24の蒸気孔16A、19A、22A、24A、及び、各スライドプレス金型25、26の蒸気孔25A、26Aを通過し、各間伐材2、5に噴射される。そして、接着剤を一定量噴射した後、接着剤が各間伐材2、5の表面に均一に行き渡らせるために5分程度静置する。
【0033】前記のように接着剤を各間伐材2、5に噴射した後、各間伐材2、5の圧縮率に従って加圧圧縮工程が行なわれる。この加圧圧縮工程においては、先ず、上方のプレスシリンダ15を介してプレスロッド17が加圧移動され、これによりプレス金型16が各間伐材2、5を上方から所定の圧力をもって加圧圧縮する。このとき、各間伐材2、5は軟化状態にあるので、各プレス金型19、22、24及びスライドプレス金型25、26との協働により、プレス金型16を介して圧縮される。また、各スライドプレス金型25、26は、プレス金型16の加圧状態に同期して下方に移動され、最終的に各プレス金型19、22の内側面に当接される。そして、プレス金型16は、圧縮率に従って所定量移動した時点で上下方向の圧縮を終了し、停止する。
【0034】次ぎに、各プレスシリンダ18、21、各プレスロッド20、23、各プレス金型19、22、及び、各スライドプレス金型25、26を介して、各間伐材2、5の左右方向への加圧圧縮が行なわれる。かかる加圧圧縮により各間伐材2、5は、図3中左右方向から圧力を受け、圧縮成形されていく。そして、圧縮率に従って各プレス金型19、22が所定量移動した時点で加圧圧縮工程が終了する。
【0035】尚、前記加圧圧縮工程の時間は、使用される接着剤の種類に従って接着時間が異なることから接着剤の種類によって左右されるが、大体30分程度加圧圧縮工程を行なうことにより各間伐材2、5は接着剤を介して相互に結着される。
【0036】これにより、各間伐材2、5は、それぞれ図1、図2に示すように圧縮集成され、集成材1、4が得られるものである。このとき、接着剤は固化した接着剤3(図1、図2参照)として集成材1、4中に残存されている。このように製造された集成材1、4は、実際に家屋における柱や梁、あるいは造作材の芯材等として使用される場合には、集成材1、4における各4面に化粧板等を貼り付ける等して使用してもよい。
【0037】また、実施例2に係る集成材の製造方法では、基本的に前記実施例1と同様であるが、接着剤を塗布した後、水蒸気処理を行なうものである。このような工程では、接着剤が完全に塗布されたことを確認した後、可塑処理を行なうことができ、工程管理が容易になる。
【0038】以上詳細に説明した通り本実施例に係る集成材1、4は、複数本の間伐材2、5を水蒸気処理して軟化するとともに、各木材表面の接着剤層を介して圧縮成形することにより得られるものであり、従って、使用される各間伐材2、5の本数を適宜選択すれば各種の集成材1、4を得ることができる。これにより、本実施例に係る集成材1、4は、建築材料として広い範囲に渡って使用することができるものである。
【0039】また、本実施例に係る集成材1、4は、各間伐材2、5を接着剤を介して相互に結着するようにしたので、接着剤の接着時間に応じて加圧圧縮工程を行なうだけで各間伐材2、5を結着することができる。これにより、従来、1週間程度必要とされていた養生期間を1時間程度に短縮することができ、もって集成材1、4の生産性を格段に向上することができるものである。
【0040】更に、本実施例に係る集成材1、4では、各間伐材2、5を剥皮した後、直ちに水蒸気処理、及び、加圧圧縮処理を行なうことができるので、従来のように間伐材の段階で予め面取り加工等の前処理を行なう必要がなく、これより極めてコストの低い集成材1、4を製造することができるものである。
【0041】尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、本実施例に係る集成材1、4では、図1、図2に示すように、直方体状の集成材を例にとって説明したが、前記圧縮成形装置10に使用される各プレス金型16等の形状を種々変更すれば、各種の所望形状を有する集成材が得られることは明かである。
【0042】
【発明の効果】以上説明した通り本発明は、建築材料の広い範囲に渡って使用することができるとともに、養生期間の短縮を図って生産性を向上することができ、もってコストの低い集成材及び集成材の製造方法を提供することができ、その産業上奏する効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】径が比較的揃った複数本の間伐材を圧縮集成した集成材の端面図である。
【図2】径にばらつきのある複数本の間伐材を圧縮集成した集成材の端面図である。
【図3】圧縮成形装置を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1、4・・・集成材、2、5・・・間伐材、3・・・接着剤、10・・・圧縮成形装置、11・・・圧力容器、15、18、21・・・プレスシリンダ、17、20、23・・・プレスロッド、16、19、22・・・プレス金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】 可塑処理された複数本の木材からなり、各木材の表面の接着剤層を介して所定形状に圧縮成形されてなることを特徴とする集成材。
【請求項2】 複数本の木材を高温、高圧下にて水蒸気処理を行なうとともに各木材を軟化させる第1工程と、前記軟化した各木材の表面に接着剤を塗布する第2工程と、前記接着剤が塗布された各木材を加圧圧縮して所定の形状に成形する第3工程とからなることを特徴とする集成材の製造方法。
【請求項3】 予め接着剤を塗布した複数本の木材を高温、高圧下にて水蒸気処理を行い各木材を軟化させる第1工程と、前記接着剤が塗布された各木材を加圧圧縮して所定の形状に成形する第2工程とからなることを特徴とする集成材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平7−32325
【公開日】平成7年(1995)2月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−195548
【出願日】平成5年(1993)7月12日
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【上記1名の代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 郁生 (外2名)
【出願人】(593227523)