説明

集積マイクロ波送受信機タイル構造

【課題】被検者の誘電体マイクロ波走査において、顕著な相違または異常を検出するシステムに使用する集積マイクロ波送受信機タイル構造を提供する。
【解決手段】集積マイクロ波送受信機タイル構造は、(a)規定した行および列パターン(35)に配列された、複数の一体形成されたマイクロ波送受信機(60)のアレイを有する、第1の全体的に平面の回路ボード層(35a)構造であって、各送受信機(60)が、前記第1層構造の面(35a)に対して概略的に垂直に延びる、関連の送受信機軸(60a)を有する、第1回路ボード層構造と、(b)送受信機に動作的に接続された送受信機機能動作回路を含み、送信および受信動作モードにおいて同時に送受信機の動作を促進するように機能する、第2の全体的に平面の回路ボード層(35b)構造とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己充足型、小型送受信機タイル構造、即ち、人の検体の誘電体マイクロ波走査、特に、所与の個人の「誘電体シグネチャ」(dielectric signature)に関する顕著な相違または異常を、基準線生理的応答データに関して、そして規定した選別基準にしたがって検出する目的で行われるような走査を伴うシステム、装置、および方法論において、およびこれらに関して採用可能なタイル(tile)に関する。別の言い方をすれば、本発明の送受信機タイル構造は、特に、物体走査環境(誘電体走査環境)において用いるのに特に適しており、内蔵送受信機、およびそれらの支持動作構造は、生理(physiology)(人の生理)と非生理(non-physiology)との間での物体走査差別化を実行するように構成されている。「送受信機」という用語は、ここでは、信号を同時に送信および受信するデバイスを意味する定義で用いることとする。
【背景技術】
【0002】
先行の特許および特許出願に対する参照、
および本願への援用
本明細書において、本発明に関連する興味深い背景技術に対して種々の参照を行う。これらは、以下に纏めた(a)米国特許、および(b)単一の現在係属中の米国通常特許出願に含まれている。
【0003】
米国特許第4,234,844号「電磁非接触測定装置」
米国特許第4,318,108号「双方向合焦アンテナ」
米国特許第4,532,939号「生体における生活組織を殺す非接触高熱方法および装置」
米国特許第4,878,059号、「遠場/近場送信/受信アンテナ」
米国特許第4,912,982号「導管内の流体のあるパラメータを測定する非摂動空洞方法および装置」
米国特許第4,947,848号、「誘電定数変化の監視」
米国特許第4,949,094号「寄生アレイを用いた近場/遠場アンテナ」
米国特許第4,975,968号「間欠誘電測定調査方法および装置」
米国特許第5,083,089号「流体混合比監視方法および装置」
米国特許第6,057,761号「セキュリティ・システムおよび方法」、および
Tex Yuklによって2002年11月25日に出願された米国特許出願第10/304,388号「誘電体人センサ」
これら先行文献は全て、有用な情報を含んでおり、したがってこれら種々の特許並びに1つの上述の米国特許出願の開示内容の全体を本願に援用する。
【0004】
本発明の集積送受信機タイル構造が非常に実用的な利器となる物体走査(または選別)の用途は数多くあるが、このような用途の内2つの具体的な用途を特にここでは注目する。その1つは、本発明の構造および動作について論じ説明するための原理モデルとして採用する。これら2つの用途は、(a)兵器、密輸品等の検出の目的のための、空港のような場所におけるセキュリティ検出または走査(選別)、および(b)例えば、業務における研究開発に関する機密区域における許可された人に対する入出制御である。他の多くの有用な用途も、当業者には想起されよう。
【0005】
ここでは、前述の米国特許第6,057,761号に詳しく図示および記載されている、同様の先駆システムおよび方法論とは異なり、これに対してある種の改良をもたらす走査システムに関して、本発明のタイルの好適な実施形態を説明する。これらの改良は、先に例示した走査プロセスおよび構造自体の機械的および電気的態様の双方を伴うある分野において存在し、その結果、本発明は、走査の分解能や有効性を悪化させることなく、非常に効率的に多くの人を通過させるように配慮する必要がある、空港の警戒選別分野を伴う用途におけるというように、特定の用途において、ある優先的な利用価値を有することになる。検出することが重要な誘電体異常を検出するために、走査データを最終的にどのように読み取るか(本発明のタイル構造の動作に基づいて監視および評価する)に関して、前述の’761特許に記載されているものと実質的に同じ技術を、本文書に開示される改良システム・バージョンにも、殆どの部分で採用する。
【0006】
更に別の背景として、そして本発明のタイル構造によって実施される誘電体走査(または選別)プロセスに関して、関連する物理に関する一般的な言説として、全ての物質は誘電係数として知られているものを有し、これはそれらの物理的、電気的(電磁および静電)特性と関連がある。その結果、マイクロ波放射線の異なる波長および周波数に露出されると、各物質は、その放射線に対して反射反応、または応答を生成し、その反応は、性質上、個々の物質のそれぞれの誘電係数に、とりわけ、一意に関係付けられる。制御して送信したマイクロ波エネルギを物質に当てることにより、物質の反射「応答」を、その誘電係数に関して解釈することが可能となる。「誘電体シグネチャ」という用語は、ここでは、この現象を指すために用いることとする。
【0007】
物質の複数の異なる特徴が選択された立体空間内に密接に合体している場合、その「空間」の「誘電体シグネチャ」を観察し検出するために用いられるマイクロ波放射線は、それぞれの異なる個々の物質成分によって当該空間内でなされるそれぞれの誘電係数の寄与に関する平均現象に基づく応答を引き出す。この平均状態は、本発明の使用の有効性において重要な役割を果たし、この役割は、前述の’761特許において詳しく記載され論じられていることが読み手にはわかるであろう。
【発明の開示】
【0008】
先に全体的に大要を述べ示唆した形式のシステムおよび方法論においては、本発明のタイル構造は、少なくとも2つの異なる(分離した)解剖学的物質があり、各々が異なる誘電係数によって特徴付けられる体内において、立体空間を効果的に連結(engage)するように、人の解剖体に(組織、体内流体、または骨に対するいずれの損傷の脅威に対しても完全に無害のレベルで)マイクロ波放射線を入射するように設計されている。物質は、前述の「平均的」態様で、空間全体の「有効な」、見かけ上「均一な」(または許容限度内で均質な)誘電係数に共に寄与する。’761特許において説明されているように、本発明のタイル構造およびその動作を、解剖体内部の前述の少なくとも2つの物質の立体空間を連結するように設計することにより、兵器または密輸品が、それら自体の誘電係数、および/またはその具体的な構成および形状、および/またはその正確な位置、および/または人体に対する配置の性質により、通常の予期できる解剖学的構成物であると偽ることによって本発明を「騙す」可能性は、皆無と言ってもよい。好ましくは、この内部解剖学的空間の「進入深さ」は、前述の「通常の」誘電係数を有する物質において機械的に測定した場合の、システム動作周波数の約2 1/2波長とする。
【0009】
兵器または密輸品のような異物が人によって、例えば、胴体の外側に密接に巻き付けて持ち込まれた場合、この物体の存在は、したがって、非常に非正常解剖学的および検出可能に、前述のマイクロ波放射線によって示されている空間の容積(勿論、解剖体が含まれる)の材料内容の平均誘電係数を変化させる。このような予期しない(非解剖学的生理的)物質の存在によって、前述の平均現象に応じて、有効、平均および見かけ上、均一、空間誘電係数の平均値を大きく変化させ、本発明によるマイクロ波走査送信の応答結果として、予測とは全く異なる誘電体シグネチャが現れる状況が作り出されることは明確である。この走査または選別プロセスを、ここでは、生理および非生理の間での物体走査差別化の実施と呼ぶことにする。
【0010】
従来技術の従来の実施と、本発明のタイル構造に応じて行われる実施との間に存在する重要な相違について更に説明すると、従来の走査システムはどちらかというと多数の特定的な物体および物質(材質)を探し「特定」するように設計されているのに対して、本発明にしたがって取られる手法は、本質的に全ての人の身体が生成することを予期する通常の人の生理的誘電体シグネチャ(ある経過の範囲内での)の一部であるとは考えられない生理的不規則性/異常を求めて、人の生理を検査することに基づく。この非常に異なる走査の結果として、本発明のタイル構造によって実施されるシステムおよび方法論は、兵器、密輸などの問題の状況を特定することに関して、遥かに効率的で迅速である。いずれの規範外の生理的シグネチャが検出されても、警報状態となり、この状態を用いれば、警備要員が、特定の、関連する丁度走査した被検者が、彼または彼女自身に身に付けているらしいものを、更に詳しく見る必要があることを通知することができる。
【0011】
この体系的な動作設定において、本発明は、具体的に、一意の複数送受信機集積モジュラー・タイル構造(タイル)に関し、複数の緻密に積層された、ピギーバック回路ボード(パネル)または層構造を含み、その1つにおいて、行および列の行列状に、共通物質マイクロ波送受信機本体構造のアレイが、均質に成形されている。ここで概略的に説明し、一般に当業者の知識の範囲に十分該当する適切な回路(送受信機能動作回路)は、電気的に回路ボードを相互接続し、同時送信および受信動作モードで、送受信機の動作を制御し駆動するように機能する。送受信機(アンテナとも呼ぶ)は、高密度に編成され、構造全体の緻密さに大きく寄与する。1つのタイル内の送受信機は、動作に重要な、規定された行および列パターンで配置されており、2つのタイルを適切に隣接して並置させると、このパターンは2つのタイル全体に適切な動作パターン連続体を形成する。実際、タイルを配列して用いるには、複数のタイル自体を行および列のアレイに編成することを必要とし、このようなアレイは、例えば、航空路線搭乗客を「走査」するのに望ましい構造において、非常に有効であると判断されている。
【0012】
本発明を利用する例示態様によれば、例えば、空港の設定では、キオスクのようなユニットを設け、その中に走査すべき一団が、1対の離間し対向する起立パネルによって規定される開放被検者進入路を通って歩進し、その各々が、集積自己充足タイル構造のアレイを支持しており、各々同軸マイクロ波送信機および受信機(送受信機)を組み合わせて含む。これら2枚のパネルは、事実上、それらの間の領域を貫通する、常に解放し露出した通過路を規定し、この領域を、ここでは、走査ゾーンまたはチャンバと呼ぶ。また、これらのパネルは、ここでは、走査ゾーンを通過する人の通過のための、パネル方位決定路と呼ぶものを規定する。人の被検者の完全な走査は、二段階で行われ、一方の段階では、これらのパネルは人に左右側というように、身体の1組の対向する側に位置し、他方の段階では、パネルは直角関連状態(90度回転して)に配置され、人の前および後ろ側というような、2つの直交的に関係する身体側に沿って行われる。これら2つの走査方位の間で、パネルを(先に注記したように)90度の円弧にわたって回転させるが、2つの走査位置の各々において、パネルとその間に起立している被検者との間に行われる相対的な横方向運動は本質的にない。
【0013】
本発明のタイル構造を用いる例示システムの特殊処理機構は、空港の警戒箇所において処理しなければならないような、多数の人の処理および走査に関して、図示のシステムは、本質的に、走査されるために待機している人の2本の概略的に直交的に関係する線の作成を可能とし、走査される人が連続的に走査ゾーンに、ひとりずつ入り、そして交互に、2本の直交的に関係する線の各々の先端から入るというようにしている。走査される人は、最初に走査ゾーンに面し、2枚のパネルの間のそのゾーンの中が(そしてこれを貫通して)明瞭に(透けて)見える。
【0014】
人が走査ゾーン内の適所におり、比較的静止してそのゾーン内に位置すると、最初の走査フェーズが行われ、その人の横方向に対向する側を連続的に検査する。この走査フェーズは、本発明のパネル搭載タイルにおいてアレイに編成されているタイル保持送受信機の高速付勢の特殊パターンによって実施される。
【0015】
このような第1走査フェーズが完了し、非常に短い時間期間、通例約8ミリ秒以内で完了すると、2枚のタイル搭載パネルを支持している構造がこれらのパネルを90度の円弧にわたって回転させ、被検者に対して第2走査位置においてこれらを停止させる。ここで、人の前および後ろ側を同様に、順次、丁度説明したような状況の下で走査され、パネル、およびそれらの間の被検者は、再度相対的にに対して適所に固定される。
【0016】
第2走査動作は、今論じている単一被検者に対する走査プロセスを完了し、次いでその被検者は角を右または左に曲がり(これは図面に示されている)、それに応じて、走査ゾーンから出口側であると考慮される、今回転した2枚のパネルの解放(透視)空間を通って退出する。本発明のタイルを有するパネルは、次に、今述べた最初の人を走査すべきときに保持した位置に対して直交に位置付けられ、人の直交的に関係付けられた別の線における先頭の人が、ここで他方の線の直交位置から走査ゾーンに入る。この次の人の走査は、パネル構造が約90度の円弧にわたって回転してこの「次の」人の第2走査を行うときに、前述の最初の人の既に説明した走査の準備において最初に保持した位置まで、事実上逆回転することを除いて、今説明したのと殆ど同じように行われる。走査データは、全ての走査フェーズ(一人当たり2回)から適切にコンピュータに取得される。
【0017】
走査したひとりひとりに関して集めた走査データから、そのデータを、特定的に走査した人と同様の身体種別、身長および体重を有するある人に関する、適切な、生理的、誘電体データの「マップ」または「スケジュール」と比較し、注目すべき、誘電体シグネチャに関する異常が少しでもあれば、アラーム状態に移行させ、例えば、警備要員に特定の被検者を呼ばせて、更に別のそして一層集中した走査検査を行う。いずれの走査データからも写真画像を作らない。むしろ、走査データの出力品質の1つは、単純なワイヤ形状の人の解剖体の形状上において、検出した異常がどこに位置するかを示す、1つ以上の概略的な解剖学的区域を強調した提示を含む。このデータの提示は、人の解釈活動を殆ど必要とせずに、容易に読み取り可能であり、しかも評価可能である。また、出力データは、検出した誘電体、非生理的異常の存在を指示するように解釈可能な明暗を有する明暗パッチの、いくらか格子状、またはチェッカボード状の場(field)において提示することもできる。この走査プロセスについては、’761特許および前述の以前に出願した特許出願に詳しく記載されている。
【0018】
今説明したように、走査動作を非常に容易にするのが、本発明の簡潔で自己充足型の送受信機タイル構造である。先に概略的に述べたように、そしてこの後にわかるように、この簡潔なタイル構造は、複数の簡潔に積層した回路ボード構造で形成され、その内「前方の」1つは、全体的に平坦な本体を含み、その中に、直交に配置した行および列配列に編成された複数の送受信機の主要本体部分が成形されている。本発明の実施に応じて異なる特定的な編成を採用することもできるが、ここに好適な実施形態として示すものによって、約10インチ×約10インチ(約25cm×約25cm)の周囲寸法、および3つの回路ボードを含む、約2インチ(約5cm)以下のスタック深さを有する立方体状のタイル構造が得られる。送受信機の主要本体の前面から延出しているのは、寄生エレメントの細長円筒スタックである。好ましくは、これらのエレメントを、適切な放射線透過性被覆によって、タイル構造全体の中に包み込むと、タイル「立方体状」外観のアセンブリ全体が得られる。
【0019】
本発明のタイル構造の構成から明白となり、理解されるように、本発明の使用を立証し説明するためにここに記載する例示のシステムにおいて用いられているアレイのような、タイルのアレイは、単に、タイル構造の対を、それらの「角」を位置合わせして、横に並べていくことによって組み立てることができ、タイルはアレイにおいてどの方向を向いているかには無関係であり、各タイルにおける送受信機のしかるべき動作に関して、タイル機能的連続体と考えることができるものが得られる。言い換えると、本発明のタイルを利用し、タイル内に存在し、特定のタイルの縁を他の隣接するタイルの特定の縁と連続させる必要がないように、タイルを一体化することができる機能モジュールに基づいて、非常に拡張性が高い送受信機のアレイを組み立てることができる。実質的にいずれの縁と縁とを位置合わせした突き合わせも、しかるべく行われる。
【0020】
本発明のタイル構造によって提供されるその他の特徴および利点は、以下に続く説明を添付図面と関連付けて読んで行けば、増々明白となろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
これより図面に注意を向け、図1および図2の全てを最初に参照すると、20で全体的に示されているのは、本発明の好適な実施形態にしたがって製作された集積送受信機タイル構造の配列を含むように構築された誘電体、生理的走査/選別システムである。本発明のタイル構造を説明するあたり、ここでは、特に、このようなシステムが本発明の有用性の卓越した例示を提供するという事実のために、システム20の設定について説明する。
【0022】
システム20に含まれているのは、特殊キオスク状ユニット22であり、1対の直立曲線パネル26、28間の空間として具体的に定義される、走査ゾーンまたは選別ゾーン(またはチャンバ)24とここでは呼ばれるものを含む。パネル(ここでは、「走査」パネルとも呼ぶ)は、駆動モータ30の影響下で、走査ゾーンの中心を上に向かって貫通する直立軸34を中心とした前後の(両頭湾曲矢印32で示す)直交(90度のみ)、逆転可能逆回転(reversible counter-rotation)に相応しく取り付けられている。軸34は、図1の面に対して実質的に垂直に延びる。
【0023】
この後更に詳しく説明するが、パネル26、28の各々は、パネルに沿って上面から底面まで延びる3つの垂直列内に、結合マイクロ波送受信機(後に説明する)の複数のアレイを支持しており、これらは、本発明にしたがって構成される集積タイル構造35の一部をなす。ここに示すような各タイル構造の好適な実施形態は、全体的に矩形(正方形)立体の形態をなすが、望ましければ、非正方形や、非矩形形状でさえも可能であることは勿論である。「タイル」のこのような4つの垂直列の一部を、図2では36で示す。これらのアレイ内に数個のタイル35が示されている。送受信機35の挙動と関連する適切なマイクロ波機能動作回路についても、後に説明する。以下で説明するが、好ましくは、システムの動作周波数は、マイクロ波の活動(activity)に対して、5.5ギガヘルツである。この動作周波数は、人体の正常な生理的誘電体シグネチャの走査に関しては特に良く機能することがわかっている。タイル35内部の構成要素のサイズ決定は、この動作周波数の選択から「流れる」(flow)ことは分かるであろう。この構成要素の「サイズ決定」に関する考慮については、先に引用した従来の背景特許および特許出願文書のそれぞれに詳しく記載されている。
【0024】
図1における線42で示すように、走査出力データは、相応しくプログラミングされているディジタル・コンピュータ44に供給される。ディジタル・コンピュータ44は、ブロック46で表す、選択可能な正常な、人が被検者の、基準、生理的誘電体シグネチャの適したライブラリと関連して動作し、何らかの規定されているシグネチャ異常が検出されたときに、線48上に警報出力信号を供給する。ライブラリ46は、適切なスケジュール、マップなどを収容し、走査の目的で調べてみたいと思われる、選択した範囲の人体構造、生理機能等に関する、予め確立されている情報を収容する。このような情報は、本発明のシステムおよび方法論のユーザによって自由に設計可能である。その具体的な設計は、本発明の一部ではない。
【0025】
図1に示されていることを更に検討すると、3つの大きな黒いドット50a、50b、50cは、図1のキオスク22の左側からチャンバ24に入るために待っている人の列における3人の人を表す。同様に、3つの大きな白いドット52a、52b、52cは、ゾーン24内において走査および選別を待っている人の別の列における3人の人を表し、この他の列は、最初に述べた人の列に対して実質的に直交する関係で配されている。黒い矢印54および白い矢印56を含む2つの大きな矢印は、代表的な人50a、50b、50c、および52a、52b、52cをそれぞれ含む列からチャンバ24に入る人がチャンバ24から退出する経路をそれぞれ表す。言い換えると、図1の左の列から、概略的に図1の左から右の方向に入るそれぞれの人は、2フェーズの走査が全て行われた後、矢印54の方向にチャンバ24から退出する。同様に、図1におけるキオスク22の底側に図示した列からチャンバ24に入るそれぞれの人は、走査動作の完了後、矢印56が示すように、走査ゾーンから退出する。このように、走査のためにゾーン24に入りそして退出するそれぞれの人は、キオスク22を通過する概略的に直交する経路に従う。走査手順のいずれの部分の間にも、人が完全にチャンバ24に包囲される時間はない。パネル26、28の隣接する直立縁間の、チャンバの2つの正反対に対向する側は常に開放している。走査される一人置きの人が辿る2本の異なる直交経路は、図2において(PATH1およびPATH2)と命名した矢印で示されている。
【0026】
パネル26、28を図1および図2に特定的に示すように位置付けると、これらのパネルは、走査ゾーンが、黒いドット50a、50b、50cが表す列内に立っている最初の人を受け入れることができるように構成されている。このような人が、2つの開放した被検者入口の1つを通ってゾーン24に入ると、第1走査フェーズが、その人、およびパネル26、28が相対的に互いに対する位置関係に固定された状況で実施される。その人に対する第1走査フェーズの完了時に、モータ30の制御の下で、パネル26、28が、例えば、90度半時計回り方向に回転させられ、これらは、図1および図2においてこれらに示した位置に対して直交して位置付けられる。このパネルの再位置づけに続いて、第2走査フェーズが実行され、今説明している編成では、図1の左からゾーン24に入った人の前および後ろ側を走査する段階である。この場合も、特定的な走査、または選別、動作(同時マイクロ波送信および受信)の間、ゾーン24における人、およびパネル26、28の相対的な位置は実質的に固定されている。言い換えると、走査が行われるのは、パネルが支持する送受信機タイルが、走査される人に対して横方向には移動しない状況である。
【0027】
以上で説明したこの2フェーズ走査動作が完了すると、ここで、ゾーン24を露出し、大きな白いドットで図1においてキオスク22の下に表した人の列にいる先頭の人が、真っ直ぐ進んでゾーンに入るように、パネル26、28を配置する。先に説明したのと全く同じように、この人に対して走査が行われ、その後この人は、矢印56で示すように、走査ゾーンから退出する。
【0028】
パネル26、28が支持する送受信機タイルが実行する走査動作に加えて、3つの他のデータ収集動作が、チャンバ24において走査されたそれぞれの人に対して行われる。適切な体重計またはセンサが、チャンバ24の底面を形成する起立プラットフォーム58(図2参照)に設けられている。更に、追加の誘電体走査デバイス(具体的には示さない)が、チャンバ24内の足および靴領域に関する走査情報を収集するために、チャンバ24内を上に向かって「覗き込む」目的で、プラットフォーム58の直下に設けられている。加えて、先に概説したように、その人に関連する第1走査フェーズの終了時に、チャンバにおいて走査された各人の身長が判定される。
【0029】
人のスキャン自体、ならびにチャンバ24と関連する追加の走査およびデータ収集構造(体重、靴、および足)は、本発明の一部をなしておらず、当然完全に従来通りとすることができる。前述の特許出願は、走査プロセスについて詳しく説明している。
【0030】
これより、図面の図全てを検討すると、タイル35の各列アレイ36は、8つの垂直に積層されたタイルで形成されており、したがってシステム20は48個のタイルを含む。各パネルにおけるタイルの垂直列は、図3において最も良く見られるように、互いに対して多少角度をなしている。各パネルにおけるタイルの3つの展開した列の横方向の幅は、約30インチ(約76cm)である。
【0031】
各タイル35は、回路ボード、または回路ボード部分の組立スタックとここでは呼ばれるものに形成されている。具体的には、このスタックは、3つの回路ボード部分35a、35b、35cを含む。部分35aは、事実上、部分35bの前にあり、部分35bは、事実上、ボード部分35cの前にある。ボード部分35aは、ここでは第1回路ボード平面構造と呼ばれるものの一部をなす。ボード部分35aの基準面(nominal plane)を図9および図11において37で示す。ボード部分35b、35cは、合わせて、ここでは第2回路ボード平面構造と呼ばれるものの一部をなす。これらのボードの各々の横方向寸法は、各々約10インチ(約25cm)の長さを有する周囲縁によって規定される。これらの横方向寸法を図5においてaおよびbで示す。各タイルにおける3つの回路ボード部分は、結合スタックに組み入れるのに適しており、スタックの深さは、図5においてcで示されており、約2インチ(約5cm)以下である。各タイル内において、回路ボード部分35aは、図において60で全体的に指し示すもののような、マイクロ波送受信機の行および列アレイを含み、特定的に支持する。送受信機60は、前述の回路ボード部分面37に対して実質的に垂直な、送信/受信軸60aを含む。各タイルにおいて、回路ボード部分35bおよび35cは、信号送信および信号受信挙動モードにおいて同時に個々の活性化のために送受信機の動作を制御するために用いられる、ここでは送受信機能動作回路と呼ばれるものを支持するのに適している。このような同時活動がどのように行われるかについてのこれ以上の詳細は、先に述べた以前の特許および特許出願情報文書の種々のものにおいて見出すことができる。
【0032】
一般的に言うと、図11においてブロック62で表されるボード部分35cと特定的に関連する回路は、しかるべき多重化回路と共に、5500メガヘルツ信号源を含む。図11においてブロック64で表されている、ボード部分35bによって支持されこれと関連する回路は、前述の第1導体ボード構造の一部をなす送受信機に、一度に1つずつ送信可能信号を分配するように機能する高速スイッチング回路を含む。また、ブロック64で表される回路は、各送受信機の各送信/受信同時動作に関して、図11においてブロック66で表されている信号基準負荷に信号を送る。高速スイッチングを達成するには、好ましくは、周知のpinダイオードを用い、基準負荷は、温度、経時変化のような周囲環境条件のある状況下において送受信機動作の安定化に大きく寄与する。図11におけるブロック68は、各ボード部分35aにおいて用いられている回路を表し、直接送信および受信信号情報を個々の送受信機に双方向に結合する。回路の詳細は、本発明の一部をなしておらず、ここでは詳細に説明も図示もしない。このような回路は、関連技術の当業者には周知の多数の異なる方法で構成することができる。また、ここでは、有用な回路手法に関する示唆のために、前述の従来技術の背景文書の種々のものも参照してもよい。
【0033】
特に図4、図5、および図10、ならびに図6にも見られるように、各タイル35に含まれるのは、16個の送受信機60の縦横アレイであり、これらは、例えば、図4、図5、図6および図10に見られるように、互いに対して直交する水平および垂直行および列ラインに沿って編成されている。図4および図10において特に良く見ることができるのは、各タイル35を構成する方法のために、2つのタイルを適切な縁対縁突き合わせ関係にすると、タイルの関連する角が互いに本質的に整合し、送受信機の各タイルに設けられている行および列パターンが、隣接するタイルにおける送受信機の行および列配列と、事実上動作連続体となるという事実である。このモジュール状にするという考え(consideration)は、送受信機の各タイルに設けられる分布パターンの2つのタイル間の接合部を超えて完全な連続体となるように、本発明にしたがって製作する複数のタイルを互いに隣接して組み立てることを可能にするには重要である。
【0034】
各送受信機60は、回路ボード部分35aの平面部分と一体的に成形することによって形成された、特定的な形状の部分70aを含む本体部分70を含む。また、各送受信機には、前側閉鎖プラグ70b、円形電気駆動エレメント72、受信受信導電性エレメント(receiving reception conductive element)70c、および前方に延出する管状寄生構成(parasitic arrangement)70dが含まれる。寄生構成70dは、回路ボード部分35aの前面から外側に向かって延出する。送受信機60の具体的な構成は、先に引用した米国特許第4,878,059号および第4,949,094号に詳しく記載されている。
【0035】
各送受信機の本体部分のボード部分35aの平面部分との一体形成は、ポリスチレン材料による成形が好ましく、精密に編成された行および列に送受信機を高精度に生成できるという大きな利点をもたらす。
【0036】
当業者にはよく理解できるであろうが、送受信機の各行および列には、隣接する送受信機が水平および垂直に交互に分極されるように、送受信機の構成要素が編成されている。この分極方式は、図4に概略的に示す4つのタイルの内3つの面に現れている、短い直交関係にある黒い直線によって明確に表されている。
【0037】
本発明のタイル構造における送受信機を用いた走査または選別動作の間、図10に示すように、回路ボード部分35aの面上に現れる16個の数値の順に、個々の動作付勢パターンが行われる。システム20の動作において、各タイルにおける送受信機が図10に示す順序で活性化すると、その送受信機をそのように活性化する次のタイルは、下に隣接する次のタイルがあれば、このようなタイルである。タイル36の列における全てのタイルにおける送受信機の全てを活性化し終えた場合、活性化は、次に隣接する列36における一番上のタイルから開始する。
【0038】
図5における軽く網掛けした断片的正方形72として示す、この中の構造の説明に関して最終的に注目することは、送受信機の構成要素70dの存在を覆い隠す、適切な被覆構造である。この側板は、本発明にしたがって構成されるタイル構造に関しては、何の役も果たさない。
【0039】
以上のように、システム20のようなシステムにおいて、走査および選別する目的に有用な、独特な集積マイクロ波送受信機タイル構造を開示した。各タイル構造は、非常に簡潔な構成を含み、システム20における列36の編成に存在するアレイのような、複数のタイルのアレイに容易に組み込むのに適している。図11に示す括弧73は、図11に示すタイル35における適切な回路の、以前に述べたコンピュータ44との接続を表す。
【0040】
このように、本発明が提案するのは、他の回路ボード部分上に搭載された適切な動作的に対応する回路が高密度に積層された、平面回路ボードエレメントまたは部分の、共通材料の一体部分として、独自に本体成形(またはそれ以外で形成)された行および列のマイクロ波送受信機の、非常に簡潔化したモジュール状アレイである。
【0041】
組み込んだ各タイル構造は、例えば、適切な外部総合制御コンピュータに関しては除いて、本質的に完全に自己充足型である。
【0042】
先に述べたように、この中の各タイル構造における異なる部分を構成するエレメントのサイズは、主に、使用する信号の選択した動作周波数によって異なる。本発明に従って製作したタイル構造における動作回路構成要素を設計できる多くの異なる方法があり、先に述べた背景文書の異なるものは、有効な回路をどのようにして作成することができるかについて、素晴らしい情報を与える。
【0043】
したがって、本発明にしたがって製作したタイル構造の好適な実施形態についてここでは説明し図示し、ある種の変更を示唆したが、他の変形や変更も当業者には勿論想起され、この中の特許請求の範囲は、そのような変形や変更全てを包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、各々本発明の好適な実施形態にしたがって構成した複数の集積マイクロ波送受信機タイル構造の編成を利用した、生理的誘電体走査システムの簡略ブロック/模式図である。
【図2】図2は、本発明のタイル構造を採用した誘電体人走査を行う際に有用な、キオスク状走査ゾーン、即ち、チャンバの対向する両側を規定する、1対の90度逆回転マイクロ波送信機/受信機−タイル−ユニット・パネルの簡略化および様式化した等幅図である。
【図3】図3は、図2に示した走査ゾーン、即ち、チャンバ内を下方に覗き込んだ場合の、簡略化および様式化した平面図である。
【図4】図4は、本発明にしたがって構成され、ここでは突き合わせおよび一致縁対縁および角対角対面と呼ばれる状態に配した複数のタイル構造の配列を示す、概略的に図3の線4−4に沿った簡略図である。また、この図は、タイル内において隣接する送受信機のそれぞれの動作方向極性を記述するために、短く並行で交互に直交して引かれた線も用いている。
【図5】図5は、本発明の好適な実施形態にしたがって製作し、図4に図示した配列において用いられる単一のタイル構造の編成を示す、簡略化し、いくらか様式化した分解図である。
【図6】図6は、図5に図示したタイル構造の送受信機側、即ち、面と考えることができるものの写真図である。
【図7】図7は、図6の右側から全体的に見た写真図である。
【図8】図8は、わずかな角度の背面透視で取ったことを除いて、図7と同様である。
【図9】図9は、送受信機のアレイを内蔵した本発明のタイル構造の部分の異なる部分間の共通物質統合を示す、概略的に図5における線9−9に沿った拡大断片図である。
【図10】図10は、それぞれ含まれる送受信機の異なる1つ1つの送信/受信個別化動作のパターンを説明するために、アラビア数字を付けた、本発明にしたがって構成した3つの横に並べたタイル構造を示す断片図である。
【図11】図11は、本発明にしたがって製作された単一タイル構造を示し、具体的には、そのタイル構造内に内蔵されている送受信機のアレイと共に用いられる機能制御回路の編成を全体的に示すブロック/模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積マイクロ波送受信機タイル構造であって、
規定した行および列のパターンに配列された、複数の一体形成されたマイクロ波送受信機のアレイを含む、第1の全体的に平面の回路ボード層構造であって、前記送受信機の各々が、前記第1層構造の面に対して概略的に垂直に延びる、関連の送受信機軸を有する、第1回路ボード層構造と、
前記送受信機に動作的に接続された送受信機機能動作回路を含み、送信および受信の動作モードにおいて同時に前記送受信機の動作を促進するように機能する、第2の全体的に平面の回路ボード層構造と、
を備えている、集積マイクロ波送受信機タイル構造。
【請求項2】
請求項1記載のタイル構造において、前記送受信機は、互いに対して概略的に直交する、前記アレイ内における線に沿って位置する、タイル構造。
【請求項3】
請求項1記載のタイル構造において、概略的に送受信機軸に沿って見たときに、細長い周囲縁を有し、該周囲縁は、かかる縁の交差対の間にある角において終了し、前記タイル構造は、2つのタイル構造を、一方における縁を他方における縁に、実質的に突き合わせて、規定の方法で直面するように、一緒に互いに隣接させると、各タイル構造における前記送受信機が、前記他方の隣接タイル構造における前記送受信機と、行および列パターン連続体を形成するようにした、タイル構造。
【請求項4】
請求項1記載のタイル構造において、概略的に送受信機軸に沿って見たときに、細長い周囲縁を有し、該周囲縁は、かかる縁の交差対の間にある角において終了し、前記タイル構造は、2つのタイル構造を、一方における縁を他方における縁に、実質的に突き合わせかつ角を一致させて、規定の方法で直面するように、一緒に互いに隣接させると、各タイル構造における前記送受信機が、前記他方の隣接タイル構造における前記送受信機と、行および列パターン連続体を形成するようにした、タイル構造。
【請求項5】
請求項1記載のタイル構造において、概略的に送受信機軸に沿って見たときに、細長く、直交関係にある周囲縁を有し、該周囲縁は、かかる縁の交差対の間にある角において終了し、前記タイル構造は、2つのタイル構造を、一方における縁を他方における縁に、実質的に突き合わせかつ角を一致させて直面するように、一緒に互いに隣接させると、各タイル構造における前記送受信機が、前記他方の隣接タイル構造における前記送受信機と、行および列パターン連続体を形成するようにした、タイル構造。
【請求項6】
請求項5記載のタイル構造において、前記周囲縁は、実質的に正方形を描く、タイル構造。
【請求項7】
請求項1記載のタイル構造において、前記第1および第2回路ボード層構造は、集合的に、複数の回路ボード部分の組立スタックの形態をなす、タイル構造。
【請求項8】
請求項7記載のタイル構造において、前記第1回路ボード層構造の回路ボード部、および前記複数の送受信機の部分は、一体的に共通材料で形成されている、タイル構造。
【請求項9】
請求項1記載のタイル構造において、前記第1回路ボード層構造の回路ボード部、および前記複数の送受信機の部分は、一体的に共通材料で成形されている、タイル構造。
【請求項10】
請求項1記載のタイル構造において、物体走査環境において用いるために設計され、前記送受信機および前記動作回路は、このような環境において、生理および非生理間での物体走査差別化を行うように構成されている、タイル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−508570(P2007−508570A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535587(P2006−535587)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/033608
【国際公開番号】WO2005/038978
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(506130056)エミット・テクノロジーズ・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】