説明

集積回路モジュール

【課題】三次元形状の立体配線基体に実装される複数の電子ディバイス又は光ディバイスの配置設計の自由度を拡大する。
【解決手段】中空部11を有する三次元形状で形成される立体配線基体1と、この立体配線基体1の中空部11の内側面12に配設され、光信号で情報の送信及び/又は受信を行う複数の電子ディバイス21、〜、27とを備え、前記一の電子ディバイス21が他の複数の電子ディバイス22、〜、27との間で光信号による情報の送信及び/又は受信を行う構成としているので、各電子ディバイス及び光ディバイスとの配設位置に制限されることなく同時に情報の送信及び受信ができることとなり、三次元形状の立体配線基体に実装される複数の電子ディバイス又は光ディバイスの配置設計の自由度を拡大すると共に、設計時間及び労力を極力少なく設計できるという効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空の立体配線基体に収納配設された複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイス相互間を光信号で情報の送信・受信を行う集積回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の集積回路モジュールは半導体集積回路と基板とを一体化したものがあり、また電子ディバイス(及び光ディバイス)を基板上に実装したシステムインパッケージ(いか、SiP)があり、さらに電子ディバイス(及び光ディバイス)を搭載したプリント回路基板(以下、PCB)があり、この実装された各電子ディバイス相互間で基板上の配線を介して、又は光ディバイスを対向配設して各光素子を介して、各々電気信号又は光信号の送信・受信を行っていた。
【0003】
この従来の集積回路モジュールとして特許文献1に開示されるものがあり、これを図5に集積回路モジュールの断面図として示す。
【0004】
同図において従来の集積回路モジュールは、ICチップ210と、プリント基板220とを対向させて配置して構成され、このICチップ210におけるプリント基板220に対向する第1の面210Fに3つの光素子212が並んで設けられ、3つの光素子212を囲むように第1の長方形領域R1を想定し、この第1の長方形領域R1の4つの角それぞれに、第1の突起部216を配置する構成である。このプリント基板220には、3つの光素子212各々と光通信するための3つの導光路222が形成され、この3つの導光路222における端の配置領域に、この領域を囲むように第2の長方形領域R2を想定し、第2の長方形領域R2の四つの角それぞれに、第2の突起部224を配置する構成である。第1の突起部216と第2の突起部224とが隣接するように配置され、導光路222の端が、光素子212に対応する位置に正確に位置合わせすることができる。
【特許文献1】特開2006−133467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術に係る集積回路モジュールは以上のように構成されていたことから、実装される電子ディバイス相互間を基板上の配線で各々接続しなければならず、基板設計の自由度を制限すると共に、設計時間及び設計労力の増大という課題を有していた。また、実装される電子ディバイスの場合においても、各光ディバイスに導光路を各々対応させて配設しなければならず、電子ディバイスの場合と同様に基板設計の自由度を制限すると共に、設計時間及び設計労力の増大という課題を有していた。
【0006】
また、特許文献1に記載の集積回路モジュールの場合には、ICチップ210とプリント基板220とを対向配設し、各々光素子212間で光信号の送信・受信を行う構成であることから、予め電子ディバイス又は光ディバイスの配設位置及び基板設計の自由度を制限すると共に、設計時間及び労力の増大という課題を有していた。
【0007】
さらに、前記背景技術に係る集積回路モジュールは、いずれも一対の電子ディバイス又は光ディバイス間での信号の送信・受信を行うように構成されていたことから、複数の電子ディバイス又は光ディバイス相互間で信号の送信・受信を行う場合には、配線・導光路等の配設が錯綜し、より一層の基板設計の自由度を制限すると共に、設計時間及び設計労力の増大という課題を有していた。
【0008】
特に、電子ディバイス又は光ディバイスを実装する平面基板が立体等の三次元構造の立体配線基体で構成される場合には、立体的に実装された各電子ディバイス又は光ディバイス相互間を各々対応付けた配線・導光路等で接続することが極めて困難となるという課題を有する。
【0009】
本発明は、前記課題を解消するためなされたもので、三次元形状の立体配線基体に実装される複数の電子ディバイス又は光ディバイスの配置設計の自由度を拡大すると共に、設計時間及び労力を極力少なく設計できる集積回路モジュールを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る集積回路モジュールは、中空の三次元形状で形成される立体配線基体と、当該立体配線基体の中空内側面に配設され、光信号で情報の送信及び/又は受信を行う複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイスとを備える集積回路モジュールであって、前記一の電子ディバイス及び/又は光ディバイスが他の複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイスとの間で光信号による情報の送信及び/又は受信を行うものである。
【0011】
このように本発明においては、中空の三次元形状で形成される立体配線基体の中空内側面に、光信号で情報の送信及び/又は受信を行う複数の電子ディバイスが配設され、この一の電子ディバイス及び/又は光ディバイスが他の複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイスとの間で光信号による情報の送信及び/又は受信を行うようにしているので、各電子ディバイス及び光ディバイスとの配設位置に制限されることなく同時に情報の送信及び受信ができることとなり、三次元形状の立体配線基体に実装される複数の電子ディバイス又は光ディバイスの配置設計の自由度を拡大すると共に、設計時間及び労力を極力少なく設計できるという効果を有する。
【0012】
また、本発明に係る集積回路モジュールは必要に応じて、一の電子ディバイス及び/又は光ディバイスが送信及び/又は受信する光信号を他の複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイス毎に異なる周波数とするものである。
【0013】
このように本発明においては、一の電子ディバイス及び/又は光ディバイスが送信及び/又は受信する光信号を他の複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイス毎に異なる周波数とすることにより、各周波数に基づいて対応する電子ディバイス及び/又は光ディバイスとの間で確実に情報の伝達を行うことができることとなり、三次元形状の立体配線基体に実装される複数の電子ディバイス又は光ディバイスの配置設計の自由度を拡大すると共に、設計時間及び労力を極力少なく設計できるという効果を有する。
【0014】
また、本発明に係る集積回路モジュールは必要に応じて、一の電子ディバイス及び/又は光ディバイスが情報を送信及び/又は受信する光信号に他の複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイス毎に異なる識別子を付与し、当該異なる識別子を付加された情報の光信号で送信及び/又は受信を行うものである。
【0015】
このように本発明においては、一の電子ディバイス及び/又は光ディバイスが情報を送信及び/又は受信する光信号に他の複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイス毎に異なる識別子を付与し、当該異なる識別子を付加された情報の光信号で送信及び/又は受信を行うことにより、識別子に基づいて対応する電子ディバイス及び/又は光ディバイスとの間で確実に情報の伝達を行うことができることとなり、三次元形状の立体配線基体に実装される複数の電子ディバイス又は光ディバイスの配置設計の自由度を拡大すると共に、設計時間及び労力を極力少なく設計できるという効果を有する。
【0016】
また、本発明に係る集積回路モジュールは必要に応じて、立体配線基体の中空内側面が、当該内側面に配設される電子ディバイス及び/又は光ディバイスから送信される光信号を吸収する光吸収体で形成されるものである。
【0017】
このように本発明においては、立体配線基体の中空内側面が、当該内側面に配設される電子ディバイス及び/又は光ディバイスから送信される光信号を吸収する光吸収体で形成されることから、内側面で反射される光信号による誤受信を防止できることとなり、三次元形状の立体配線基体に実装される複数の電子ディバイス又は光ディバイスの配置設計の自由度を拡大すると共に、設計時間及び労力を極力少なく設計できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(本発明の第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態に係る集積回路モジュールを図1ないし図4に基づいて説明する。この図1は、本実施形態に係る集積回路モジュールの基本動作を説明するための斜視図、図2は本実施形態に係る集積回路モジュールの回路基板取付態様図、図3は図2におけるA−A線断面図、図4は図1に記載の集積回路モジュールにおいて用いられる光信号の信号形態フォーマットを示す。
【0019】
前記各図において本実施形態に係る集積回路モジュールは、中空部11を有する三次元形状で形成される立体配線基体1と、この立体配線基体1の中空部11の内側面12に配設され、光信号で情報の送信及び/又は受信を行う複数の電子ディバイス21、〜、27とを備え、前記一の電子ディバイス21が他の6個の電子ディバイス22、〜、27との間で光信号による情報の送信及び/又は受信を行う構成である。
【0020】
前記立体配線基体1は、外周辺下端に配設され、外部からの信号を送・受信すると共に、電源を入力する端子13と、内側面12にほぼ全面に亘って貼着され、光信号を吸収する光吸収体14とを備える構成である。この立体配線基体1の外周面には配線3が配設され、この配線3は立体配線基体1を貫通して電子ディバイス21、〜、27の背面側に接続されるビア31及び前記端子13間の所定経路で配設される構成である。
【0021】
前記電子ディバイス21は、図示を省略する演算制御部及び光電変換部を有し、この光電変換部で変換された光信号を送信する光信号送信部21aを備える構成である。また、電子ディバイス22、〜、27は、前記電子ディバイス21と同様に演算制御部を有し、前記光信号を受信して光電変換する光信号受信部及び光電変換部(図示を省略)を備える構成である。なお、電子ディバイス21、〜、27は、いずれも光信号を送受信する光信号送信及び受信部を備える構成とし、相互間で光信号の送受信を行う構成とすることもできる。
【0022】
次に、前記構成に基づく本実施形態に係る集積回路モジュールの製作工程及びこの製作された集積回路モジュールの動作態様について説明する。
【0023】
まず、本実施形態に係る集積回路モジュールの製作工程については、立体配線基体1を展開状態とした二次元平板の板状絶縁基材の所定位置にビア31を形成すると共に、表面外周辺下端に複数の端子13を形成し、この複数の端子13及びビア31間に配線3を形成する。
【0024】
また、立体配線基体1の裏面側におけるビア31対応位置に電子ディバイス21、〜、27を実装する。なお、前記板状絶縁基材の裏面全体には、予め光信号を吸収する光吸収体14が貼着される。この展開状態の立体配線基体1は三次元立方体状に各辺々を屈曲して形成されることとなる。
【0025】
このように三次元形状の立体配線基体1とする集積回路モジュールは図2に示すように配線ボード5のコネクタ4に矢印Pへ押圧圧入することにより、このコネクタ4内の端子41と立体配線基体1と端子13との接触状態で装着する。この立体配線基体1を構成する板状絶縁基材自体の弾力性、又はコネクタ4の弾力性により、コネクタ4内に立体配線基体1が圧入されていることから、配線ボード5と立体配線基体1との電気的接続をより確実に行えることとなる。
【0026】
次に、本実施形態に係る集積回路モジュールの動作態様について説明する。まず、配線ボード5の端子41を介して外部からの起動信号が入力され、この起動信号に基づいて電子ディバイス21が起動する。この電子ディバイス21から他の電子ディバイス22、〜、27へ各々異なる情報を出力する場合には、図4に示すように電子ディバイス21、〜、27に各々対応した識別コードの同期・制御信号が出力すべき情報信号に付加された信号フォーマットで実行される。
【0027】
この信号フォーマットの光信号が他の電子ディバイス21、〜、27毎にチャンネルch1、〜、ch6が順次電子ディバイス21、〜、27の光信号送信部21aから放射状に射出される。このように光信号送信部21aから各チャンネルch1、〜、ch6の光信号を電子ディバイス21、〜、27に限定射出されることなく放射状に射出できることから、電子ディバイス21、〜、27の各配置構成に限定されることなく確実に方法の送受信が可能な集積回路モジュールを簡易且つ正確に製造できる。
【0028】
また、前記放射状に射出される光信号は、立体配線基体1の電子ディバイス22、〜、27が配設されていない内側面12にも射出されることとなるが、この光信号を光吸収体14が吸収することにより、立体配線基体1の光吸収体14での乱反射を防止して電子ディバイス22、〜、27の誤受信を防止できることとなる。
【0029】
(本発明の他の実施形態)
なお、前記実施形態に係る集積回路モジュールにおいては、光信号を電子ディバイス22、〜、27毎に識別子を付与して信号フォーマットを構成したが、電子ディバイス21は各電子ディバイス22、〜、27毎に異なる周波数の光信号で構成することもできる。
【0030】
また、図1内に収納される電子ディバイス21、〜、27相互間の送受信に使用する信号は、光信号以外に特定波長の周波数の信号(電波も含む。)で構成することもできる。
【0031】
また、前記実施形態に係る集積回路モジュールにおいては、配線3を立体配線基体1の外周面に配設する構成としたが、立体配線基体1の内周面に配設する構成とすることもできる。
【0032】
また、前記実施の形態に係る集積回路モジュールにおいて、二次元平面の板状絶縁基材を屈曲して中空の立体配線基体1を形成する構成としたが、本発明の他の実施形態に係る集積回路モジュールは形成する立体配線基体1の各面を微少板片の平面板とし、この平面板の内側面に電子ディバイス21、〜、27(又は光ディバイス)を配設すると共に、この平面板の外側面に配線3及び端子13が配設され、これらの平面板を立方体等の三次元形状に組立てる構成とすることもできる。
【0033】
この平面板は、端部に凹部(又は凸部)が形成され、この凹部及び凸部を嵌合させることにより立体配線基体1を構成する。また、この凹部及び凸部の各対応位置に電気的に接続する端子を配設し、この凹部及び凸部の嵌合により端子相互を接触させて各平面板を電気的に一体として接続できることとなる。
【0034】
前記平面板を形成する微少板片は、低温焼成多層セラミック基板(LTCC;Low Temperature Co-fired Ceramics)等からなるマイクロチップで構成することもできる。また、前記平面板の組立ては、嵌合による組立て以外に、接着等により一体化する構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る集積回路モジュールのの基本動作を説明するための斜視図である。
【図2】は本実施形態に係る集積回路モジュールの回路基板取付態様図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図1に記載の集積回路モジュールにおいて用いられる光信号の信号形態フォーマットである。
【図5】従来の集積回路モジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 立体配線基体
3 配線
4 コネクタ
5 配線ボード
R1 第1の長方形領域
R2 第2の長方形領域
ch1 チャンネル
11 中空部
12 内側面
13、41 端子
14 光吸収体
21、〜、27 電子ディバイス
21a 光信号送信部
31 ビア
210 ICチップ
210F 第1の面
212 光素子
216 第1の突起部
220 プリント基板
222 導光路
224 第2の突起部
ch1、〜、ch6 チャンネル
P 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の三次元形状で形成される立体配線基体と、
当該立体配線基体の中空内側面に配設され、光信号で情報の送信及び/又は受信を行う複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイスとを備える集積回路モジュールであって、
前記一の電子ディバイス及び/又は光ディバイスが他の複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイスとの間で光信号による情報の送信及び/又は受信を行うことを
特徴とする集積回路モジュール。
【請求項2】
前記請求項1に記載の集積回路モジュールにおいて、
前記一の電子ディバイス及び/又は光ディバイスが送信及び/又は受信する光信号を他の複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイス毎に異なる周波数とすることを
特徴とする集積回路モジュール。
【請求項3】
前記請求項1に記載の集積回路モジュールにおいて、
前記一の電子ディバイス及び/又は光ディバイスが情報を送信及び/又は受信する光信号に他の複数の電子ディバイス及び/又は光ディバイス毎に異なる識別子を付与し、当該異なる識別子を付加された情報の光信号で送信及び/又は受信を行うことを
特徴とする集積回路モジュール。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれかに記載の集積回路モジュールにおいて、
前記立体配線基体の中空内側面が、当該内側面に配設される電子ディバイス及び/又は光ディバイスから送信される光信号を吸収する光吸収体で形成されることを
特徴とする集積回路モジュール。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−258216(P2008−258216A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95814(P2007−95814)
【出願日】平成19年3月31日(2007.3.31)
【出願人】(391043332)財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 (53)
【出願人】(504369731)ケイレックス・テクノロジー株式会社 (14)
【出願人】(596083906)平井精密工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】