説明

集積回路装置の作製方法

【課題】薄膜回路の下方に外部と接続するための電極を容易に形成できる薄膜回路部品の
構造及び薄膜回路部品の作製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜の一方の面上に形成された薄膜回路と、薄膜
回路上に形成された第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜上に形成された電極と、電極上に形成
された樹脂膜とを有する積層物を形成し、積層物の第1の絶縁膜の他方の面側に、電極と
重なるように導電膜を形成し、導電膜にレーザーを照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置の作製方法、集積回路装置及び集積回路装置を利用した製品、半
導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、絶縁基板上に設けられた薄膜回路を転置する技術開発が進められている。このよう
な技術として、例えば、薄膜回路と基板の間に剥離層を設けて、当該剥離層を、ハロゲン
を含む気体を用いて除去することにより、薄膜回路を支持基板から分離し、その後転置す
る技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−254686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術は、薄膜トランジスタが下地膜と層間絶縁膜及び窒化珪素膜
などのパッシベーション膜とで挟まれ、パッシベーション膜上に薄膜トランジスタと電気
的に接続された電極が形成されている構造を有する半導体集積回路を基板から剥離して、
表示装置のドライバー回路として用いるものである。つまり外部に接続するための電極を
あらかじめ薄膜トランジスタの上方に形成してある状態で基板から剥離しているため、薄
膜トランジスタの下方に外部と接続するための電極を形成することは行っていない。
【0005】
そこで本発明は、薄膜回路の下方に外部と接続するための電極を容易に形成できる集積回
路装置の構造及び集積回路装置の作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の集積回路装置の第1の構成は、第1の絶縁膜と、第1
の絶縁膜の一方の面上に形成された薄膜回路を含む層と、薄膜回路上に形成された第2の
絶縁膜と、第2の絶縁膜上に形成され、薄膜回路と電気的に接続された電極と、電極上に
形成された樹脂膜と、第1の絶縁膜の他方の面上に形成され、電極と電気的に接続された
導電膜とを有することを特徴とする。
【0007】
そして、導電膜は、前記第1の絶縁膜、前記薄膜回路を含む層、及び前記第2の絶縁膜に
形成された穴を通して前記電極と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の集積回路装置は、第1の絶縁膜、薄膜回路を含む層、第2の絶縁膜、電極
、及び樹脂膜に形成された穴を有していてもよい。
この場合、導電膜は、前記穴のうち、前記第1の絶縁膜、前記薄膜回路を含む層、前記第
2の絶縁膜に形成された部分を通して前記電極と電気的に接続されている。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の集積回路装置の第2の構成は、第1の絶縁膜と、第1
の絶縁膜の一方の面上に形成された薄膜回路を含む層と、薄膜回路上に形成された第2の
絶縁膜と、第2の絶縁膜上に形成され、薄膜回路と電気的に接続された電極と、電極上に
形成された第3の絶縁膜と、第1の絶縁膜の他方の面上に形成され、電極と電気的に接続
された導電膜とを有することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の集積回路装置の第3の構成は、厚さが100μm以下
の基板と、前記基板の一方の面上に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形
成された薄膜回路を含む層と、前記薄膜回路上に形成された第2の絶縁膜と、前記第2の
絶縁膜上に形成され、前記薄膜回路と電気的に接続された電極と、前記電極上に形成され
た第3の絶縁膜と、前記基板の他方の面上に形成され、前記電極と電気的に接続された導
電膜とを有することを特徴とする。
【0011】
そして、導電膜は、前記第1の絶縁膜、前記薄膜回路を含む層、及び前記第2の絶縁膜に
形成された穴を通して前記電極と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の集積回路装置は、第1の絶縁膜、薄膜回路を含む層、第2の絶縁膜、電極
、及び第3の絶縁膜に形成された穴を有していてもよい。
この場合、導電膜は、前記穴のうち、前記第1の絶縁膜、前記薄膜回路を含む層、前記第
2の絶縁膜に形成された部分を通して前記電極と電気的に接続されている。
【0013】
そして、上記本発明の集積回路装置の第1及び第2の構成において、薄膜回路を含む層に
形成されている薄膜回路は、薄膜トランジスタ、抵抗、コンデンサ、インダクタのなかか
ら選ばれたひとつまたは複数の素子を有する薄膜回路であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は上記第1の構成を有する集積回路装置の作製方法であって、第1の絶縁膜
と、第1の絶縁膜の一方の面上に形成された薄膜回路と、薄膜回路上に形成された第2の
絶縁膜と、第2の絶縁膜上に形成され、薄膜回路と電気的に接続された電極と、電極上に
形成された樹脂膜とを有する積層物を形成し、積層物の第1の絶縁膜の他方の面側に、電
極と重なるように導電膜を形成し、導電膜にレーザーを照射することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は上記第2の構成を有する集積回路装置の作製方法であって、第1の絶縁膜
と、第1の絶縁膜の一方の面上に形成された薄膜回路と、薄膜回路上に形成された第2の
絶縁膜と、第2の絶縁膜上に形成され、薄膜回路と電気的に接続された電極と、電極上に
形成された第3の絶縁膜とを有する積層物を形成し、積層物の第1の絶縁膜の他方の面側
に、電極と重なるように導電膜を形成し、導電膜にレーザーを照射することを特徴とする

【0016】
本発明の集積回路装置の作製方法は、厚さが100μm以下の第1の基板と、前記第1の
基板上に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜の一方の面上に形成された薄膜回
路と、前記薄膜回路上に形成された第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に形成され、薄
膜回路と電気的に接続された電極と、前記電極上に形成された第3の絶縁膜と、前記第3
の絶縁膜上に形成された第2の基板とを有する積層物を形成し、前記第1の絶縁膜の他方
の面上に、前記電極と重なるように導電膜を形成し、前記導電膜にレーザーを照射するこ
とを特徴とする。
【0017】
また、上記の本発明の集積回路装置の作製方法において、前記薄膜回路は、薄膜トランジ
スタ、抵抗、コンデンサ、インダクタのなかから選ばれたひとつまたは複数の素子を有す
る回路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の集積回路装置は、薄膜回路と電気的に接続された電極と重なるように、電極と異
なる層に導電膜を形成し、導電膜にレーザーを照射することによって、電極と電気的に接
続された外部との接続用の導電膜を容易に形成することができる。また、レーザーを照射
して電極と電気的に接続された外部との接続用の導電膜を形成することによって、電極と
接続用の導電膜との電気抵抗を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1を説明する図
【図2】実施の形態1を説明する図
【図3】実施の形態1を説明する図
【図4】実施の形態1を説明する図
【図5】実施の形態1を説明する図
【図6】実施の形態2を説明する図
【図7】実施の形態2を説明する図
【図8】実施の形態2を説明する図
【図9】実施の形態2を説明する図
【図10】実施の形態2を説明する図
【図11】実施の形態3を説明する図
【図12】実施の形態3を説明する図
【図13】実施の形態3を説明する図
【図14】実施の形態4を説明する図
【図15】実施の形態4を説明する図
【図16】実施の形態4を説明する図
【図17】実施の形態4を説明する図
【図18】実施の形態5を説明する図
【図19】実施の形態5を説明する図
【図20】実施の形態5を説明する図
【図21】実施の形態5を説明する図
【図22】実施の形態5を説明する図
【図23】実施の形態5を説明する図
【図24】実施の形態1を説明する図
【図25】実施の形態1を説明する図
【図26】実施例1を説明する図
【図27】実施例2を説明する図
【図28】実施例3を説明する図
【図29】実施例4を説明する図
【図30】実施例5を説明する図
【図31】実施例5を説明する図
【図32】レーザー照射前における導電膜の上面図
【図33】レーザー照射後における導電膜の上面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
本実施の形態では、薄膜回路として、薄膜トランジスタを有する回路を形成する場合の集
積回路装置の作製方法について説明する。
【0021】
まず、図1(A)に示すように、基板100上に剥離層101を形成する。剥離層101
として、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、タングステン(W)、モリブデ
ン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、
コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウ
ム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(S
i)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料から
なる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多
結晶のいずれの場合でもよい。
【0022】
基板100としては、石英基板、半導体基板、ガラス基板、金属基板などを用いればよい

【0023】
剥離層101が単層構造の場合、好ましくは、タングステン、モリブデン、タングステン
とモリブデンの混合物、タングステンの酸化物、タングステンの酸化窒化物、タングステ
ンの窒化酸化物、モリブデンの酸化物、モリブデンの酸化窒化物、モリブデンの窒化酸化
物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の
酸化窒化物、タングステンとモリブデンの混合物の窒化酸化物のいずれかを含む層を形成
する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデ
ンの合金に相当する。
【0024】
剥離層101が積層構造の場合、好ましくは、1層目として、タングステン、モリブデン
、タングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステンの
酸化物、モリブデンの酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステ
ンの酸化窒化物、モリブデンの酸化窒化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化窒
化物を形成する。
【0025】
このように、剥離層101を積層構造とする場合、金属膜と金属酸化膜との積層構造とす
ることが好ましい。金属酸化膜の形成方法の一例としては、スパッタ法により直接金属酸
化膜を形成する方法、基板100上に形成した金属膜の表面を熱処理または酸素雰囲気下
でのプラズマ処理により当該金属膜の表面を酸化して金属酸化膜を形成する方法などが挙
げられるが、好ましくは、金属膜の表面に酸素を含む雰囲気下で高密度プラズマ処理を行
うことによって、金属膜の表面に金属酸化膜を形成するとよい。例えば、金属膜としてス
パッタ法により形成したタングステン膜を設けた場合、タングステン膜に高密度プラズマ
処理を行うことによって、タングステン膜表面にタングステンの酸化物からなる金属酸化
膜を形成することができる。
【0026】
金属膜としては、前述したタングステン(W)、モリブデン(Mo)以外に、チタン(T
i)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジル
コニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム
(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または前記元素
を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を用いることができる。
【0027】
本明細書において「高密度プラズマ処理」とは、プラズマの電子密度が1×1011cm
−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5
eV以下であることを特徴としている。プラズマの電子密度が高密度でありながら、基板
上に形成された被処理物(ここでは、「金属膜」に相当する。)付近での電子温度が低い
ため、基板に対するプラズマ損傷を防止することができる。また、プラズマの電子密度が
1×1011cm−3以上と高密度であるため、酸化処理によって形成される酸化物の膜
厚均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が1
.5eV以下と低いため、通常のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度にて酸化処理
を行うことができる。たとえば、ガラス基板の歪点温度よりも100度以上低い温度(代
表的には、250〜550℃)でプラズマ処理を行っても十分にプラズマ酸化処理を行う
ことができる。なお、プラズマを形成するための周波数はマイクロ波(2.45GHz)
を用いている。また、プラズマの電位は5V以下と低電位であり、原料分子の過剰解離を
抑制することができる。
【0028】
酸素を含む雰囲気としては、酸素(O)もしくは一酸化二窒素(NO)と、希ガスと
の混合ガス、または、酸素(O)もしくは一酸化二窒素(NO)と、希ガスと、水素
(H)との混合ガスを用いることができる。希ガスとしては、アルゴン(Ar)、キセ
ノン(Xe)、クリプトン(Kr)が挙げられる。また、混合ガス中の各ガスの圧力比は
、適宜決定すればよい。このような条件下で形成される金属酸化膜は、希ガス元素を含む
膜となる。また、プラズマの条件が低電子温度(1.5eV以下)でかつ高電子密度(1
.0×1011cm−3以上)であるため、プラズマダメージが非常に少ない金属酸化膜
を低温で形成することができる。
【0029】
なお、剥離層101を形成する前に、基板100上に酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化
珪素膜、窒化酸化珪素膜などの絶縁膜を形成し、当該絶縁膜上に剥離層101を形成する
ようにしてもよい。基板100と剥離層101との間にこのような絶縁膜を設けることに
より、基板100が含む不純物が上層に侵入してしまうことを防止することができる。ま
た、後にレーザーを照射する工程があるが、その工程の際、基板100がエッチングされ
てしまうことを防止することができる。なお、ここで、酸化窒化珪素膜と、窒化酸化珪素
膜とでは、前者は窒素よりも酸素を多く含み、後者は酸素よりも窒素を多く含むという意
味で使い分けている。
【0030】
次に、図1(B)に示すように、剥離層101に接するように第1の絶縁膜102を形成
する。第1の絶縁膜102は下地膜として機能する膜である。第1の絶縁膜102として
、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素の酸化物、珪素の窒化物、窒素を
含む珪素の酸化物、酸素を含む珪素の窒化物等を形成する。
【0031】
図1(C)に示すように、第1の絶縁膜102上に公知の方法で薄膜トランジスタを有す
る回路103を含む層104を形成する。薄膜トランジスタを有する回路103を含む層
104として例えば、複数の薄膜トランジスタと、複数の薄膜トランジスタを覆う第2の
絶縁膜110と、第2の絶縁膜110に接し複数の薄膜トランジスタのソース領域又はド
レイン領域に接続するソース配線またはドレイン配線111とを形成する。薄膜トランジ
スタは、島状の半導体膜107、ゲート絶縁膜108、サイドウォールが形成されたゲー
ト電極109などを有する。図1(C)においては、薄膜トランジスタを有する回路10
3として、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105及びPチャネル型の薄膜トランジスタ
106とを有する構成の回路を例として示したが、特にこのような回路の構造に限定する
ものではない。また、図1(C)においては、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105と
して、ゲート電極にサイドウォールが形成され、LDD領域(低濃度不純物領域)を有す
るトップゲート型の薄膜トランジスタを形成し、Pチャネル型の薄膜トランジスタ106
として、ゲート電極にサイドウォールが形成されたトップゲート型の薄膜トランジスタを
形成した例を示しているが、薄膜トランジスタの構造はこの構造に限定されるものではな
い。LDD領域(低濃度不純物領域)を有しない構造の薄膜トランジスタや、ボトムゲー
ト型の薄膜トランジスタ、シリサイド領域を有する薄膜トランジスタなど、公知の薄膜ト
ランジスタの構造を適用することができる。
【0032】
以下、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104の形成方法についての一例を
詳細に説明する。
【0033】
まず、第1の絶縁膜102上に非晶質半導体膜を形成する。非晶質半導体膜は、スパッタ
法やプラズマCVD法等の各種CVD法により形成する。続いて、非晶質半導体膜を結晶
化して、結晶質半導体膜を形成する。結晶化の方法としては、レーザー結晶化法、RTA
またはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱
結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザー結晶化法を組み合わ
せた方法等を用いることができる。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパタ
ーニングして、島状の半導体膜107を形成する。なお、剥離層101、第1の絶縁膜1
02、及び非晶質半導体膜は、大気に曝さずに連続して形成することもできる。
【0034】
結晶質半導体膜の作製工程の一例を以下に簡単に説明する。非晶質半導体膜を結晶化する
方法としては、レーザー結晶化法、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化
法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる
熱結晶化法とレーザー結晶化法とを組み合わせた方法等が挙げられる。また、他の結晶化
の方法として、DCバイアスを印加して熱プラズマを発生させ、当該熱プラズマを半導体
膜に作用させることにより結晶化を行ってもよい。
【0035】
レーザー結晶化法を用いる場合、連続発振型のレーザービーム(CWレーザービーム)や
パルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることができる。使用可
能なレーザービームとしては、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザーなどの気
体レーザー、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAl
、GdVO、もしくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YA
lO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、
Taのうち1種もしくは複数種添加されているものを媒質とするレーザー、ガラスレーザ
ー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気
レーザー、金蒸気レーザーのうち、一種または複数種から発振されるものを用いることが
できる。このようなレーザービームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4
高調波のレーザービームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、
Nd:YVOレーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調
波(355nm)を用いることができる。このときレーザーのエネルギー密度は0.01
〜100MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)が必要である。そし
て、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
【0036】
なお、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO
GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO
、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taの
うち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、Arイオンレーザー、
Ti:サファイアレーザーは、それぞれ連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ
動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさ
せることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザービームを発振させると、
半導体膜がレーザーによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に
照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザーを用いる場合と異なり、半導体膜
中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的
に成長した結晶粒を得ることができる。
【0037】
上述した連続発振レーザーまたは10MHz以上の周波数で発振するレーザービームを用
いて結晶化する場合、結晶化された半導体膜の表面を平坦なものとすることができる。こ
の結果、後に形成するゲート絶縁膜108を薄膜化することも可能であり、また、ゲート
絶縁膜108の耐圧を向上させることに寄与することができる。
【0038】
また、媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に
媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十m
mの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作
ることが可能である。
【0039】
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶
中でも大きく変えることは困難なため、ドーパントの濃度を増加させることによるレーザ
ーの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較
して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上が期待できる。
【0040】
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成するこ
とが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行
させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発
振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザービーム
は射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整
形するのに有利である。このように射出されたレーザービームを、光学系を用いて整形す
ることによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に
得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは
長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。
【0041】
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜をより均一にアニールする
ことが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にス
リットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫をすればよい。
【0042】
このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて半導体膜をアニールし、この半
導体膜を用いて半導体装置を作製すると、その半導体装置の特性を、良好かつ均一なもの
とすることができる。
【0043】
結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法として、具体的な方法の一例を挙げる。結
晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、
非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、
4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、必要に応じてレーザー光を照射し
、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって島状の半導体膜107を形成
すればよい。
【0044】
結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法は、低温且つ短時間で非晶質半導体膜の結
晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導
体膜に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、
結晶質半導体膜上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体膜を形成するとよ
い。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体膜には、リンやアルゴンの不純物元素を含有
させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタ
法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱ア
ニール等)を行って、非晶質半導体膜中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を
含む非晶質半導体膜を除去する。このようなゲッタリングプロセスを行うことにより、結
晶質半導体膜中の金属元素の含有量を低減または除去することができる。
【0045】
次に、島状の半導体膜107を覆うゲート絶縁膜108を形成する。ゲート絶縁膜108
は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法により、珪素の酸化物または珪素の
窒化物を含む膜を、単層または積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む膜、酸化
窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜を、単層構造として形成するか、当該これらの
膜を適宜積層して形成する。また、島状の半導体膜107に対して、酸素、窒素、または
酸素及び窒素を含む雰囲気中で、上述した高密度プラズマ処理を行うことにより、島状の
半導体膜107の表面を酸化または窒化して、ゲート絶縁膜を形成してもよい。高密度プ
ラズマ処理により形成されたゲート絶縁膜は、CVD法やスパッタ法等により形成された
膜と比較して膜厚や膜質などの均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。酸
素を含む雰囲気としては、酸素(O)、二酸化窒素(NO)、もしくは一酸化二窒素
(NO)と、希ガスとの混合ガス、または、酸素(O)、二酸化窒素(NO)もし
くは一酸化二窒素(NO)と、希ガスと、水素(H)との混合ガスを用いることがで
きる。また、窒素を含む雰囲気としては、窒素(N)もしくはアンモニア(NH)と
、希ガスとの混合ガス、または、窒素(N)もしくはアンモニア(NH)と、希ガス
と、水素(H)との混合ガスを用いることができる。高密度プラズマにより生成された
酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場
合もある)によって、島状の半導体膜107の表面を酸化又は窒化することができる。
【0046】
高密度プラズマ処理を行ってゲート絶縁膜108を形成する場合、1〜20nm、代表的
には5〜10nmの絶縁膜が島状の半導体膜107に形成される。この場合の反応は固相
反応であるため、当該絶縁膜と島状の半導体膜107との界面準位密度をきわめて低くす
ることができる。また、島状の半導体膜107を直接酸化または窒化するため、形成され
るゲート絶縁膜108の厚さを、理想的にはばらつきをきわめて小さくすることができる
。さらに、結晶性シリコンの結晶粒界でも強い酸化がおこらないため、非常に好ましい状
態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化するこ
とにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、且つ、均一性が良く、界
面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
【0047】
なお、ゲート絶縁膜108は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用い
てもよいし、それに加えてプラズマや熱反応を利用したCVD法により酸化珪素、酸素を
含む窒化珪素、窒素を含む酸化珪素などの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。なお、図
1(C)においては、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜に加えて、CVD法
により絶縁膜を積層した構成としている。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶
縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつき
を小さくすることができる。
【0048】
また、非晶質半導体膜に対し、連続発振レーザーまたは10MHz以上の周波数で発振す
るレーザービームを照射しながら一方向に走査して結晶化した結晶質半導体膜は、そのビ
ームの走査方向に結晶が成長する特性がある。したがって、走査方向をチャネル長方向(
チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを
配置し、高密度プラズマ処理によって形成されたゲート絶縁膜108を組み合わせること
で、特性ばらつきがより小さく、しかも電界効果移動度が高いトランジスタを得ることが
できる。
【0049】
次に、ゲート絶縁膜108上にゲート電極109を形成する。ゲート電極109は、スパ
ッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法により形成すればよい。また、ゲート電極1
09は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)
、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択され
た元素またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いて形成する
ことができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導
体材料により形成することもできる。
【0050】
次に、島状の半導体膜107に対し、イオンドープ法またはイオン注入法により不純物元
素を選択的に添加して、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105及びPチャネル型の薄膜
トランジスタ106を形成する。なお、図1(C)においては、Nチャネル型の薄膜トラ
ンジスタ105は、ゲート電極109の側面に接する絶縁膜(サイドウォール)を用いて
LDD領域(低濃度不純物領域)を形成している。また、Nチャネル型の薄膜トランジス
タ105を形成する際に用いる、N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用
いればよく、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。また、Pチャネル型の薄膜トラ
ンジスタ106を形成する際に用いる、P型を付与する不純物元素は、13族に属する元
素を用いればよく、例えばボロン(B)を用いる。
【0051】
上記工程を経て、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105及びPチャネル型の薄膜トラン
ジスタ106を完成させた後、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元
素の活性化を目的とする加熱処理を行ってもよい。また、好ましくは加熱処理を行った後
、露出されているゲート絶縁膜108に対して水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理
を行うことにより、当該ゲート絶縁膜108の表面に水素を含有させるようにしてもよい
。これは、後の半導体膜の水素化の工程を行う際に、この水素を利用することができるた
めである。または、基板に対して350〜450℃の加熱をしながら水素を含む雰囲気中
で高密度プラズマ処理を行うことで、半導体膜の水素化を行うことができる。なお、水素
を含む雰囲気としては、水素(H)またはアンモニア(NH)と、希ガス(例えば、
アルゴン(Ar))とを混合したガスを用いることができる。水素を含む雰囲気として、
アンモニア(NH)と希ガス(例えば、アルゴン(Ar))との混合ガスを用いた場合
、ゲート絶縁膜108表面の水素化と同時に表面を窒化することもできる。
【0052】
次に、複数の薄膜トランジスタを覆うように、第2の絶縁膜110を形成する。第2の絶
縁膜110は、SOG法、液滴吐出法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材
料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料、
シロキサン等を用いて、単層または積層で形成する。なお、本明細書においてシロキサン
とは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基として、少
なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また、
置換基として、フルオロ基を用いてもよいし、少なくとも水素を含む有機基及びフルオロ
基を用いてもよい。例えば、第2の絶縁膜110が3層構造の場合、1層目の絶縁膜とし
て酸化珪素を主成分とする膜を形成し、2層目の絶縁膜として樹脂を主成分とする膜を形
成し、3層目の絶縁膜として窒化珪素を主成分とする膜を形成するとよい。また、第2の
絶縁膜110を単層構造にする場合、窒化珪素膜または酸素を含む窒化珪素膜を形成する
とよい。このとき、好ましくは窒化珪素膜または酸素を含む窒化珪素膜に対して水素を含
む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該窒化珪素膜または当該酸素を含
む窒化珪素膜の表面に水素を含有させるようにする。これは、島状の半導体膜107の水
素化の工程を後に行う際に、この水素を利用することができるためである。または、基板
に対して350〜450℃の加熱をしながら水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を
行うことで、半導体膜の水素化を行うことができる。なお、水素を含む雰囲気としては、
水素(H)またはアンモニア(NH)と、希ガス(例えば、アルゴン(Ar))とを
混合したガスを用いることができる。水素を含む雰囲気として、アンモニア(NH)と
希ガス(例えば、アルゴン(Ar))との混合ガスを用いた場合、ゲート絶縁膜108表
面の水素化と同時に表面を窒化することもできる。
【0053】
なお、第2の絶縁膜110を形成する前に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加さ
れた不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処
理には、熱アニール、レーザーアニール法、またはRTA法などを適用するとよい。例え
ば、不純物元素の活性化を目的とする場合、500℃以上の熱アニールを行えばよい。ま
た、半導体膜の水素化を目的とする場合、350〜450℃の熱アニールを行えばよい。
【0054】
次に、フォトリソグラフィ法により第2の絶縁膜110およびゲート絶縁膜108をエッ
チングして、島状の半導体膜107を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、
コンタクトホールを充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜をパターン加工して、
ソース配線またはドレイン配線111を形成する。
【0055】
ソース配線またはドレイン配線111は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD
法により、アルミニウム(Al)を主成分とする導電膜を用いて形成する。アルミニウム
を主成分とする導電膜とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、ま
たは、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方または両方を含む合金
材料に相当する。アルミニウムを主成分とする導電膜は、一般に耐熱性に難点があるため
、アルミニウムを主成分とする導電膜の上下をバリア膜で挟み込む構成とすることが好ま
しい。バリア膜とは、アルミニウムを主成分とする導電膜のヒロック抑制や、耐熱性を高
める機能を有するものを指し、このような機能を有する材料としては、クロム、タンタル
、タングステン、モリブデン、チタン、シリコン、ニッケルまたはこれらの窒化物からな
るものが挙げられる。ソース配線またはドレイン配線111の構造の一例として、基板側
から順にチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜を順に積層する構造が挙げられる。チタン
膜は、還元性の高い元素であるため、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたと
しても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができ
る。また、結晶質半導体膜とアルミニウム膜との間に形成されるチタン膜に対して、窒素
を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行い、表面を窒化することが好ましい。高密度プ
ラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013
cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また
、窒素を含む雰囲気としては、NもしくはNHと、希ガスとの混合ガス、または、N
もしくはNHと、希ガスと、Hとの混合ガスを用いればよい。チタン膜の表面を窒
化することにより、後の加熱処理の工程などでチタンとアルミニウムが合金化することを
防ぎ、チタン膜を突き破って結晶質半導体膜中にアルミニウムが拡散することを防止する
ことができる。なお、ここではアルミニウム膜をチタン膜で挟み込む例について説明した
が、チタン膜に変えてクロム膜、タングステン膜などを用いた場合にも同じことが言える
。さらに好ましくは、マルチチャンバー装置を用いて、チタン膜の成膜、チタン膜表面の
窒化処理、アルミニウム膜の成膜、チタン膜の成膜を大気に曝すことなく連続して行う。
【0056】
以上の工程により、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104が形成される。
【0057】
次に、図2(A)に示すように、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104上
に第3の絶縁膜112を形成し、第3の絶縁膜112上に薄膜トランジスタを有する回路
103の有する配線と電気的に接続された電極113を金属膜などを用いて形成する。こ
こでは電極113として、TiN膜をスパッタ法で形成する。
【0058】
第3の絶縁膜112は、公知の手段により、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、
窒化酸化珪素膜などの無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリ
ル、エポキシなどの有機材料、シロキサンなどにより、単層または積層で形成する。
【0059】
また、図2(A)においては、薄膜トランジスタのソース配線又はドレイン配線と接続す
るように電極113を形成しているが、この場合に特に限定されるものではない。薄膜回
路のなかで、外部回路と電気的に接続したい箇所に電極を形成すればよい。
【0060】
電極113を形成した後、図2(B)に示すように、電極113上に樹脂膜114を20
〜30μmの膜厚で形成する。ここでは、樹脂膜として、熱硬化型樹脂、UV(紫外線)
硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂材料をスクリーン印刷を用いて電極113上に塗布し
た後、焼成することにより形成する。
【0061】
次に、図2(C)に示すように波長が紫外領域のレーザー(以下においては、UVレーザ
ーという)を照射して、図3(A)に示すように開口部115、116を形成する。この
ように、開口部115、116を形成することにより、剥離層101が一部除去されるこ
とがきっかけとなり、基板100から、第1の絶縁膜102、薄膜トランジスタを有する
回路103を含む層104、第3の絶縁膜112、電極113、樹脂膜114を有する積
層体118を簡単に分離することができる。この分離は、剥離層101の内部、又は剥離
層101と第1の絶縁膜102の間を境界として行われる。
【0062】
また、本実施の形態ではUVレーザーを用いたが、本発明に用いるレーザーの種類は、開
口部115を形成できるものであれば特に制約はない。レーザーは、レーザー媒質、励起
源、共振器により構成されている。レーザーは、媒質により分類すると、気体レーザー、
液体レーザー、固体レーザーがあり、発振の特徴により分類すると、自由電子レーザー、
半導体レーザー、X線レーザーがあるが、本発明では、いずれのレーザーを用いてもよい
。なお、好ましくは、気体レーザー又は固体レーザーを用いるとよく、さらに好ましくは
固体レーザーを用いるとよい。
【0063】
気体レーザーは、ヘリウムネオンレーザー、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、アル
ゴンイオンレーザーがある。エキシマレーザーは、希ガスエキシマレーザー、希ガスハラ
イドエキシマレーザーがある。希ガスエキシマレーザーは、アルゴン、クリプトン、キセ
ノンの3種類の励起分子による発振がある。アルゴンイオンレーザーは、希ガスイオンレ
ーザー、金属蒸気イオンレーザーがある。
【0064】
液体レーザーは、無機液体レーザー、有機キレートレーザー、色素レーザーがある。無機
液体レーザーと有機キレートレーザーは、固体レーザーに利用されているネオジムなどの
希土類イオンをレーザー媒質として利用する。
【0065】
固体レーザーが用いるレーザー媒質は、固体の母体に、レーザー作用をする活性種がドー
プされたものである。固体の母体とは、結晶又はガラスである。結晶とは、YAG(イッ
トリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)、YLF、YVO、YAlO、サファイ
ア、ルビー、アレキサンドライドである。また、レーザー作用をする活性種とは、例えば
、3価のイオン(Cr3+、Nd3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Er3+、Ti
3+)である。
【0066】
なお、媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に
媒質を形成することが可能である。媒質として単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、
長さ数十mmの円柱状のものが用いられているが、媒質としてセラミック(多結晶)を用
いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。また、発光に直接寄与する媒質中
のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられな
いため、濃度を増加させることによるレーザーの出力向上にはある程度限界がある。しか
しながら、媒質としてセラミックを用いると、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大
きくすることができるため大幅な出力向上が期待できる。さらに、媒質としてセラミック
を用いると、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。こ
のような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路
を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能
になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザービームは射出時の断面形状
が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利であ
る。このように射出されたレーザービームを、光学系を用いて整形することによって、短
辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能とな
る。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギ
ー分布の均一なものとなる。この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体
膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニ
ールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなど
の工夫が必要となる。
【0067】
なお、本発明に用いるレーザーには、連続発振型のレーザービーム(CWレーザービーム
)やパルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることができる。な
お、レーザーの照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロフ
ァイル等は、第1の絶縁膜102、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104
、第3の絶縁膜112、電極113、樹脂膜114の厚さやその材料等を考慮して適宜制
御する。
【0068】
なお、基板100から、第1の絶縁膜102、薄膜トランジスタを有する回路103を含
む層104、第3の絶縁膜112、電極113、樹脂膜114を有する積層体118を分
離する際には、図3(B)に示すように、樹脂膜114の表面を、第1のフィルム117
に接着させて、白抜き矢印の方向に第1のフィルム117を引っ張ることによって、基板
100から、第1の絶縁膜102、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104
、第3の絶縁膜112、電極113、樹脂膜114を有する積層体118を分離する。こ
の際、剥離層101の内部又は剥離層101と第1の絶縁膜102の境界において、基板
100と積層体118とが分離する。基板100から分離した後の積層体118は、第1
の絶縁膜102が最表面となる。樹脂膜114は、第1のフィルム117を引っ張ること
によって基板100と積層体118とを分離する際に強度を確保するための膜である。樹
脂膜114を有することによって、この工程において、積層体118が破れてしまうのを
防ぐことができる。
【0069】
第1のフィルム117は、樹脂材料でなるベースフィルム上に接着層が設けられている構
造を有するフィルムであり、例えば、ホットメルトフィルム、UV(紫外線)剥離フィル
ム、熱剥離フィルムなどが挙げられる。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエ
ステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)
等があげられる。
【0070】
ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂から
なる接着層が形成された構成となっている。また、接着層として使用される材料は、ポリ
エチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。ま
た、UV(紫外線)剥離フィルムは、ベースフィルム上にUV(紫外線)を照射すること
によって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。また
、熱剥離フィルムは、ベースフィルム上に加熱することによって粘着力が弱くなる樹脂材
料からなる接着層が形成された構成となっている。
【0071】
そして、図3(C)に示すように、第1の絶縁膜102(薄膜回路の裏面側)の表面、つ
まり第1の絶縁膜102の薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104が形成さ
れていない側の面に、電極113と重なる位置で、導電膜119を1μm〜数十μmの膜
厚、好ましくは10〜20μmの膜厚で形成する。導電膜119は、例えばスクリーン印
刷により、Auペースト、Agペースト、Cuペースト、Niペースト、Alペーストな
どの導電性材料やハンダなどを用いて形成すればよい。この導電膜119の膜厚が0.1
μm以下となると膜厚が薄すぎて、後の工程において電極113との電気的接続がうまく
とれなくなってしまう。
【0072】
そして、図4(A)に示すように、導電膜119にレーザーを照射する。この際、導電膜
119が電極113の深さまで打ち込まれ、電極113で止まるようにレーザーの出力を
調節する。ここでは、Nd:YVOパルスレーザーを用いて、波長を266nm(第4
高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3Wとしてレーザー照射を行った。この
条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に特に限定されるものではない。こ
のレーザー照射により、導電膜119と電極113が電気的に接続され、図4(B)に示
すような状態となる。図4(B)において、120は電極113と電気的に接続された導
電膜を示す。
【0073】
図4(B)に示すように、レーザーが照射された箇所において、薄膜トランジスタを有す
る回路103を含む層104、第3の絶縁膜112に穴が形成され、その穴の側壁部分に
沿って電極113の内部まで導電膜119を構成する材料が移動して電極113と電気的
に接続している。
【0074】
ここで、導電膜119と電極113を電気的に接続するためのレーザー照射前における
導電膜119の上面からの光学顕微鏡写真を図32に示し、導電膜119と電極113を
電気的に接続するためのレーザー照射後における導電膜119の上面からの光学顕微鏡写
真を図33に示す。図32、33は共に50倍の倍率で撮影したものである。図33には
、円形の穴が形成されているのがわかる。この穴を通して電極113と電気的に接続され
ている。なお、図33では、導電膜119と電極113を電気的に接続するための穴の形
状が円形であるが、この穴の形状は円形に限定されるものではない。また、図33では、
ひびのように見える部分が存在するが、これは抵抗値を測定する際に測定用の電極が接触
した部分であり、この測定用の電極が接触した部分において導電膜119の表面が擦れて
金属光沢がでているものである。
【0075】
なお、ここでは、導電膜119が電極113の深さまで打ち込まれ、電極113で止まる
ようにレーザーの出力を調節した例を示しているが、樹脂膜114及び第1の第1のフィ
ルム117を貫通するような穴が形成されるようにレーザーの出力を調節してもよい。
【0076】
そして、図4(C)に示すように、隣り合って形成された薄膜トランジスタを有する回路
103と薄膜トランジスタを有する回路103との間の部分にレーザーを照射することで
、図5に示すように薄膜トランジスタを有する回路103をひとつずつ有する121、1
22、123の3つの部分にそれぞれ分割する。分割した後の121、122、123が
それぞれ集積回路装置となる。
【0077】
なお、本実施の形態においては、例として基板上に3つの薄膜トランジスタを有する回路
103を形成する場合について説明したが、基板上に形成する薄膜トランジスタを有する
回路103の数はこれに限定されるものではない。薄膜トランジスタを有する回路103
の数は、ひとつでも、ふたつでも、3つ以上でも良いことはいうまでもない。
【0078】
以上のようにして、本発明の集積回路装置が形成される。
以下においては、以上のようにして得られた本発明の集積回路装置をアンテナが形成され
た基板上に実装して半導体装置を形成する工程について説明する。
【0079】
図24(A)に示すように、基板722上には、アンテナの機能を有する導電膜723が
形成されている。この基板722上に導電性粒子725を含む樹脂724を用いて集積回
路装置726を接着する。導電性粒子725を含む樹脂724を用いて接着することによ
り、アンテナの機能を有する導電膜723のなかの接続部と集積回路装置726の有する
裏面の接続用導電膜とが導電性粒子725を介して電気的に接続される。
【0080】
そして、この導電性粒子725を含む樹脂724を硬化させるために加熱処理を施す。第
1のフィルム117として熱剥離フィルムを用いた場合には、この加熱処理によって第1
のフィルム117を樹脂膜114から剥離することができる。第1のフィルム117を樹
脂膜114から剥離した後の状態を図24(B)に示す。
【0081】
以上のようにして本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装することが
できる。なお、ここでは、導電性粒子を含む樹脂を用いて、アンテナの機能を有する導電
膜と集積回路装置とを電気的に接続する場合について説明したが、アンテナの機能を有す
る導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する手段としては、導電性粒子を含む樹脂以外
にも、はんだなどの公知の方法を用いれば良い。
【0082】
なお、アンテナの機能を有する導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する手段としては
んだを用いる場合にも、はんだを溶かすために加熱を行う。よって、第1のフィルム11
7として熱剥離フィルムを用いた場合には、この加熱によって第1のフィルム117を樹
脂膜114から剥離することができる。
【0083】
本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装した後で、封止を行うのが好
ましい。封止は、少なくともアンテナが形成された基板722のアンテナの機能を有する
導電膜723が形成されている側において行われていればよい。アンテナが形成された基
板722のアンテナの機能を有する導電膜723が形成されている側においてのみ封止を
行った場合について図25(A)に示す。封止を行う際には、ベースフィルム上に接着層
を有する構造の第2のフィルム729によって封止を行う。第2のフィルム729として
は例えばホットメルトフィルムが挙げられる。ホットメルトフィルムはベースフィルム上
にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂からなる接着層が形成された構成となっている
。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフ
タレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等があげられる。また、接着層として
使用される材料は、ポリエチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテー
ト)等が挙げられる。
【0084】
また、図25(B)に示すようにアンテナが形成された基板722の両側から2枚のフィ
ルム(第2のフィルム727、第3のフィルム728)によって封止を行うようにしても
良い。図25(B)の第2のフィルム727、第3のフィルム728としては、ベースフ
ィルム上に接着層を有する構造のフィルムを用いれば良い。
【0085】
なお、図24、図25においては、第1のフィルム117を加熱処理の際に剥離して封止
を行う場合について説明したが、第1のフィルム117を剥離せず、樹脂膜114上に接
着したままの状態で封止を行うことも可能である。その場合には、第1のフィルム117
として、熱剥離フィルム以外のフィルム(ホットメルトフィルムなど)を用いることがで
きる。
【0086】
本実施例で形成した集積回路装置は、薄膜トランジスタを有する回路の上方に樹脂膜を有
し、薄膜トランジスタを有する回路の裏面側に外部との電気的接続をとるための電極を有
する点が特徴である。つまり樹脂膜が形成されていない側の面に薄膜トランジスタを有す
る回路と電気的に接続する導電膜を有する点が特徴である。第1の絶縁膜の膜厚と薄膜ト
ランジスタを有する回路を含む層との膜厚との合計は10μm程度、もしくはそれ以下で
あり、樹脂膜の膜厚は20〜30μm程度であるため、樹脂膜が形成されていない側の面
に薄膜トランジスタを有する回路と電気的に接続する導電膜を形成することによって、樹
脂膜側に形成する場合と比較して容易に薄膜トランジスタを有する回路と電気的に接続す
る導電膜を形成することができる。
【0087】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、薄膜回路として、薄膜トランジスタを有する回路を形成した場
合について説明した。本実施の形態においては、薄膜回路として、抵抗を有する回路を形
成する場合について説明する。
なお、実施の形態1においては、薄膜回路として薄膜トランジスタを有する回路を形成し
ており、本実施の形態においては、薄膜回路として抵抗を形成しているが、薄膜トランジ
スタ、抵抗、インダクタ、コンデンサのなかの複数種類の素子を有する場合についても実
施することができる。
【0088】
まず図6(A)に示すように、基板200上に剥離層201を形成し、剥離層201上に
第1の絶縁膜202を形成する。基板200に用いる材料や、剥離層201の材料や形成
方法は実施の形態1と同様にして行えばよい。
【0089】
次に、図6(B)に示すように、第1の絶縁膜202上に抵抗体204を形成する。抵抗
体204は、例えばTaNを用いて形成すればよい。
この抵抗体204の上面から見た形状の例を図10(A)、(B)に示す。なお、以下に
おいては、抵抗体204として図10(A)の形状の抵抗体を形成する場合について説明
する。
【0090】
抵抗体204を形成した後に、図6(C)に示すように、抵抗体204上に第2の絶縁膜
205を形成する。
そして、図6(D)に示すように、第2の絶縁膜205に開口206を形成する。この開
口206は、後に形成する電極と抵抗体204とのコンタクトをとるための穴である。
この開口206は、図10(A)の216、217の領域上に形成するようにする。なお
、図10(B)の形状の抵抗体を形成する場合には、図10(B)の219、220の領
域上に開口206を形成するようにすればよい。
【0091】
開口206を形成した後、図7(A)に示すように、抵抗体204と電気的に接続する電
極207を第2の絶縁膜205上に形成する。この電極207は、図10(A)の216
、217の部分とそれぞれ電気的に接続するように形成される。
【0092】
電極207を形成した後に、図7(B)に示すように電極207上に樹脂膜208を形成
する。そして、その後、図7(C)に示すようにレーザーを照射する。レーザーの照射に
よって、図7(D)に示すように、剥離層201、第1の絶縁膜202、第2の絶縁膜2
05、樹脂膜208に開口209が形成される。このように、開口209を形成すること
により、剥離層201が一部除去されることがきっかけとなり、基板200から、第1の
絶縁膜202、抵抗体204、第2の絶縁膜205、電極207が積層されてなる、抵抗
を有する回路を含む層210と、樹脂膜208とを有する積層体211を簡単に分離する
ことができる。この分離は、剥離層201の内部、又は剥離層201と第1の絶縁膜20
2の間を境界として行われる。
【0093】
なお、レーザーの種類は、実施の形態1と同様にどのような種類のレーザーを用いてもよ
い。レーザーの照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロフ
ァイル等は、抵抗を有する回路を含む層210、樹脂膜208の厚さやその材料等を考慮
して適宜制御する。
【0094】
なお、基板200から、抵抗を有する回路を含む層210と、樹脂膜208とを有する積
層体211を分離する際には、図8(A)に示すように、樹脂膜208の表面を、第1の
フィルム212に接着させて、図8(B)に示すように、白抜き矢印の方向に第1のフィ
ルム212を引っ張ることによって、基板200から、抵抗を有する回路を含む層210
と、樹脂膜208とを有する積層体211を分離する。この際、剥離層201の内部又は
剥離層201と第1の絶縁膜202の境界において、基板200と積層体211とが分離
する。基板200から分離した後の積層体211は、第1の絶縁膜202が最表面となる
。樹脂膜208は、第1のフィルム212を引っ張ることによって基板200と積層体2
11とを分離する際に強度を確保するための膜である。樹脂膜208を有することによっ
て、この工程において、積層体211が破れてしまうのを防ぐことができる。
【0095】
第1のフィルム212は、樹脂材料でなるベースフィルム上に接着層が設けられている構
造を有するフィルムであり、例えば、ホットメルトフィルム、UV(紫外線)剥離フィル
ム、熱剥離フィルムなどが挙げられる。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエ
ステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)
等があげられる。
【0096】
ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂から
なる接着層が形成された構成となっている。また、接着層として使用される材料は、ポリ
エチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。ま
た、UV(紫外線)剥離フィルムは、ベースフィルム上にUV(紫外線)を照射すること
によって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。また
、熱剥離フィルムは、ベースフィルム上に加熱することによって粘着力が弱くなる樹脂材
料からなる接着層が形成された構成となっている。
【0097】
第1のフィルム212としてUV(紫外線)剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の
後でUV(紫外線)を照射することによって第1のフィルム212を剥離することもでき
る。
【0098】
また、第1のフィルム212として熱剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の後で加
熱することによって第1のフィルム212を剥離することもできる。
【0099】
そして、図8(C)に示すように、第1の絶縁膜202(薄膜回路の裏面側)の表面、つ
まり第1の絶縁膜202の抵抗を有する回路を含む層210が形成されていない側の面に
、電極207と重なる位置で、導電膜213を1μm〜数十μmの膜厚、好ましくは10
〜20μmの膜厚で形成する。導電膜213は、例えばスクリーン印刷により、Auペー
スト、Agペースト、Cuペースト、Niペースト、Alペーストなどの導電性材料やハ
ンダなどを用いて形成すればよい。この導電膜213の膜厚が0.1μm以下となると膜
厚が薄すぎて、後の工程において電極207との電気的接続がうまくとれなくなってしま
う。
【0100】
そして、図8(D)に示すように、導電膜213にレーザーを照射する。この際、導電膜
213が電極207の深さまで打ち込まれ、電極207で止まるようにレーザーの出力を
調節する。ここでは、Nd:YVOパルスレーザーを用いて、波長を266nm(第4
高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3Wとしてレーザー照射を行った。この
条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に特に限定されるものではない。こ
のレーザー照射により、導電膜213と電極207が電気的に接続され、図9に示すよう
な状態となる。
図9において、214、215は電極207と電気的に接続された導電膜を示す。
【0101】
図9に示すように、レーザーが照射された箇所において、第1の絶縁膜202、第2の絶
縁膜205に穴が形成され、その穴の側壁部分に沿って電極207の内部まで導電膜21
3を構成する材料が移動して電極207と電気的に接続している。
【0102】
なお、ここでは、導電膜213が電極207の深さまで打ち込まれ、電極207で止まる
ようにレーザーの出力を調節した例を示しているが、樹脂膜208及び第1のフィルム2
12を貫通するようにレーザーの出力を調節してもよい。
【0103】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、薄膜回路としてインダクタを有する回路を形成する場合につい
て説明する。本実施の形態においては、一種類の素子を有する回路を形成する場合につい
て説明するが、薄膜トランジスタ、抵抗、インダクタ、コンデンサのなかの複数種類の素
子を有する場合についても実施することができる。
【0104】
以下において、インダクタが形成されている部分に注目した断面図を用いてインダクタを
有する集積回路装置の作製工程について説明する。
【0105】
まず図11(A)に示すように、基板300上に剥離層301を形成し、剥離層301上
に第1の絶縁膜302を形成する。基板300に用いる材料や、剥離層301の材料、形
成方法は実施の形態1と同様にして行えばよい。
【0106】
次に、図11(B)に示すように、第1の絶縁膜302上にコイル状の第1の導電膜30
3を形成する。図11(B)の上側の図は断面図であり、図11(B)の下側の図は上面
図を示す。
図11(B)の上面図において、304、305は後で形成する電極とコンタクトをとる
ための領域である。
【0107】
第1の導電膜303を形成した後に、図11(C)に示すように、第1の導電膜303上
に樹脂膜306を形成する。そして、図12(A)に示すように、樹脂膜306にレーザ
ーを照射する。レーザーの照射によって、図12(B)に示すように、剥離層301、第
1の絶縁膜302、樹脂膜306に開口307が形成される。このように、開口307を
形成することにより、剥離層301が一部除去されることがきっかけとなり、基板300
から、第1の絶縁膜302、第1の導電膜303が積層されてなる、インダクタを有する
回路を含む層308と、樹脂膜306とを有する積層体309を簡単に分離することがで
きる。この分離は、剥離層301の内部、又は剥離層301と第1の絶縁膜302の間を
境界として行われる。
【0108】
なお、レーザーの種類は、実施の形態1と同様にどのような種類のレーザーを用いてもよ
い。レーザーの照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロフ
ァイル等は、インダクタを有する回路を含む層308、樹脂膜306の厚さやその材料等
を考慮して適宜制御する。
【0109】
なお、基板300から、インダクタを有する回路を含む層308と、樹脂膜306とを有
する積層体309を分離する際には、図12(C)に示すように、樹脂膜306の表面を
、第1のフィルム310に接着させて、図12(D)に示すように、白抜き矢印の方向に
第1のフィルム310を引っ張ることによって、基板300から、インダクタを有する回
路を含む層308と、樹脂膜306とを有する積層体309を分離する。基板300から
分離した後の積層体309及び第1のフィルム310の様子を図13(A)に示す。積層
体309を基板から分離する際、剥離層301の内部又は剥離層301と第1の絶縁膜3
02の境界において、基板300と積層体309とが分離する。基板300から分離した
後の積層体309は、第1の絶縁膜302が最表面となる。樹脂膜306は、第1のフィ
ルム310を引っ張ることによって基板300と積層体309とを分離する際に強度を確
保するための膜である。樹脂膜306を有することによって、この工程において、積層体
309が破れてしまうのを防ぐことができる。
【0110】
第1のフィルム310は、樹脂材料でなるベースフィルム上に接着層が設けられている構
造を有するフィルムであり、例えば、ホットメルトフィルム、UV(紫外線)剥離フィル
ム、熱剥離フィルムなどが挙げられる。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエ
ステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)
等があげられる。
【0111】
ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂から
なる接着層が形成された構成となっている。また、接着層として使用される材料は、ポリ
エチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。ま
た、UV(紫外線)剥離フィルムは、ベースフィルム上にUV(紫外線)を照射すること
によって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。また
、熱剥離フィルムは、ベースフィルム上に加熱することによって粘着力が弱くなる樹脂材
料からなる接着層が形成された構成となっている。
【0112】
第1のフィルム310としてUV(紫外線)剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の
後でUV(紫外線)を照射することによって第1のフィルム310を剥離することもでき
る。
【0113】
また、第1のフィルム310として熱剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の後で加
熱することによって第1のフィルム310を剥離することもできる。
【0114】
そして、図13(B)に示すように、第1の絶縁膜302(薄膜回路の裏面側)の表面、
つまり第1の絶縁膜302のインダクタを有する回路を含む層308が形成されていない
側の面に、第1の導電膜303の304、305の領域とそれぞれ重なる位置で、第2の
導電膜311を1μm〜数十μmの膜厚、好ましくは10〜20μmの膜厚で形成する。
第2の導電膜311は、例えばスクリーン印刷により、Auペースト、Agペースト、C
uペースト、Niペースト、Alペーストなどの導電性材料やハンダなどを用いて形成す
ればよい。この第2の導電膜311の膜厚が0.1μm以下となると膜厚が薄すぎて、後
の工程において第1の導電膜303との電気的接続がうまくとれなくなってしまう。
【0115】
図13(B)は上面図のA―A’における断面図であるため、図13(B)においては、
図11(B)の第1の導電膜303の有する領域305に重なる位置で形成された第2の
導電膜311しか図示されていないが、第1の導電膜303の有する領域304に重なる
位置でも導電膜は形成されている。
【0116】
そして、図13(C)に示すように、第2の導電膜311にレーザーを照射する。この際
、第2の導電膜311が第1の導電膜303の深さまで打ち込まれ、第1の導電膜303
で止まるようにレーザーの出力を調節する。ここでは、Nd:YVOパルスレーザーを
用いて、波長を266nm(第4高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3Wと
してレーザー照射を行った。この条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に
特に限定されるものではない。このレーザー照射により、第2の導電膜311と第1の導
電膜303が電気的に接続され、図13(D)に示すような状態となる。図13(D)に
おいて、312は第1の導電膜303と電気的に接続された第2の導電膜を示す。
【0117】
図13(D)に示すように、レーザーが照射された箇所において、第1の絶縁膜302に
穴が形成され、その穴の側壁部分に沿って第1の導電膜303の内部まで第2の導電膜3
11を構成する材料が移動して、第1の導電膜303と電気的に接続している。
【0118】
なお、ここでは、第2の導電膜311が第1の導電膜303の深さまで打ち込まれ、第1
の導電膜303で止まるようにレーザーの出力を調節した例を示しているが、樹脂膜30
6及び第1のフィルム310を貫通するようにレーザーの出力を調節してもよい。
【0119】
(実施の形態4)
本実施の形態においては、薄膜回路としてコンデンサを有する場合の集積回路装置の作成
方法について説明する。
本実施の形態においては、一種類の素子を有する回路を形成する場合について説明するが
、薄膜トランジスタ、抵抗、インダクタ、コンデンサのなかの複数種類の素子を有する場
合についても実施することができる。
【0120】
まず図14(A)に示すように、基板400上に剥離層401を形成し、剥離層401上
に第1の絶縁膜402を形成する。基板400に用いる材料や、剥離層401の材料や形
成方法は実施の形態1と同様にして行えばよい。
【0121】
次に、図14(B)に示すように、第1の絶縁膜402上にコンデンサの第1電極403
を形成する。コンデンサの第1電極403としては、例えば金属膜などを形成すればよい

次に図14(C)に示すように第2の絶縁膜404を形成する。第2の絶縁膜404とし
ては、例えばTiO、Al、BaTiO、SiO等の誘電体によって形成す
ればよい。
【0122】
そして、図14(D)に示すように、コンデンサの第2電極405を形成する。コンデン
サの第2電極405もコンデンサの第1電極と同様に金属膜などを形成すればよい。
ここまでで、第1の電極、絶縁膜、第2の電極から構成されるコンデンサが形成される。
【0123】
そして、このように形成されたコンデンサ上に図15(A)に示すように樹脂膜406を
形成する。この樹脂膜406は、薄膜回路の強度を確保するために設ける。樹脂膜406
を形成したら、図15(B)に示すようにレーザーを照射する。レーザーの照射によって
、図15(C)に示すように、剥離層401、第1の絶縁膜402、第2の絶縁膜404
、樹脂膜406に開口407が形成される。このように、開口407を形成することによ
り、剥離層401が一部除去されることがきっかけとなり、第1の絶縁膜402、第1電
極403、第2の絶縁膜404、第2電極405が積層されてなる、コンデンサを有する
回路を含む層408と、樹脂膜406とを有する積層体409を基板400から簡単に分
離することができる。この分離は、剥離層401の内部、又は剥離層401と第1の絶縁
膜402の間を境界として行われる。
【0124】
なお、レーザーの種類は、実施の形態1と同様にどのような種類のレーザーを用いてもよ
い。レーザーの照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロフ
ァイル等は、コンデンサを有する回路を含む層408、樹脂膜406の厚さやその材料等
を考慮して適宜制御する。
【0125】
なお、基板400から、コンデンサを有する回路を含む層408と、樹脂膜406とを有
する積層体409を分離する際には、図15(D)に示すように、樹脂膜406の表面を
、第1のフィルム410に接着させて、図16(A)に示すように、白抜き矢印の方向に
第1のフィルム410を引っ張ることによって、基板400から、コンデンサを有する回
路を含む層408と、樹脂膜406とを有する積層体409を分離する。基板400から
分離した後の積層体409及び第1のフィルム410の様子を図16(B)に示す。積層
体409を基板から分離する際、剥離層401の内部又は剥離層401と第1の絶縁膜4
02の境界において、基板400と積層体409とが分離する。基板400から分離した
後の積層体409は、第1の絶縁膜402が最表面となる。樹脂膜406は、第1のフィ
ルム410を引っ張ることによって基板400と積層体409とを分離する際に強度を確
保するための膜である。樹脂膜406を有することによって、この工程において、積層体
409が破れてしまうのを防ぐことができる。
【0126】
第1のフィルム410は、樹脂材料でなるベースフィルム上に接着層が設けられている構
造を有するフィルムであり、例えば、ホットメルトフィルム、UV(紫外線)剥離フィル
ム、熱剥離フィルムなどが挙げられる。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエ
ステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)
等があげられる。
【0127】
ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂から
なる接着層が形成された構成となっている。また、接着層として使用される材料は、ポリ
エチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。ま
た、UV(紫外線)剥離フィルムは、ベースフィルム上にUV(紫外線)を照射すること
によって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。また
、熱剥離フィルムは、ベースフィルム上に加熱することによって粘着力が弱くなる樹脂材
料からなる接着層が形成された構成となっている。
【0128】
第1のフィルム410としてUV(紫外線)剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の
後でUV(紫外線)を照射することによって第1のフィルム410を剥離することもでき
る。
【0129】
また、第1のフィルム410として熱剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の後で加
熱することによって第1のフィルム410を剥離することもできる。
【0130】
そして、図16(C)に示すように、第1の絶縁膜402(薄膜回路の裏面側)の表面、
つまり第1の絶縁膜402のコンデンサを有する回路を含む層408が形成されていない
側の面において、第1電極403の一部と重なる位置と、第2電極405の一部と重なる
位置に、それぞれ導電膜411、412を1μm〜数十μmの膜厚、好ましくは10〜2
0μmの膜厚で形成する。導電膜411、412は、例えばスクリーン印刷により、Au
ペースト、Agペースト、Cuペースト、Niペースト、Alペーストなどの導電性材料
やハンダなどを用いて形成すればよい。この導電膜411、412の膜厚が0.1μm以
下となると膜厚が薄すぎて、後の工程において第1電極403や第2電極405との電気
的接続がうまくとれなくなってしまう。
【0131】
そして、図16(D)に示すように、導電膜411、412にレーザーを照射する。導電
膜411に照射するレーザーは、導電膜411が第1電極403の深さまで打ち込まれ、
第1電極403で止まるようにレーザーの出力を調節する。また、導電膜412に照射す
るレーザーは、導電膜412が第2電極405の深さまで打ち込まれ、第2電極405で
止まるようにレーザーの出力を調節する。ここでは、Nd:YVOパルスレーザーを用
いて、波長を266nm(第4高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3W等と
してレーザー照射を行った。この条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に
特に限定されるものではない。このレーザー照射により、導電膜411と第1電極403
が電気的に接続され、導電膜412と第2電極405が電気的に接続され、図17に示す
ような状態となる。図17において、413は第1電極403と電気的に接続された導電
膜を示し、414は第2電極405と電気的に接続された導電膜を示す。
【0132】
図17に示すように、第1電極403と電気的に接続された導電膜413を形成するため
にレーザーが照射された箇所において、第1の絶縁膜402に穴が形成され、その穴の側
壁部分に沿って第1電極403の内部まで導電膜413を構成する材料が移動して、第1
電極403と電気的に接続している。また、第2電極と電気的に接続された導電膜414
を形成するためにレーザーが照射された箇所において、第1の絶縁膜402、第2の絶縁
膜404に穴が形成され、その穴の側壁部分に沿って第2電極405の内部まで導電膜4
14を構成する材料が移動して、第2電極405と電気的に接続している。
【0133】
なお、ここでは、第1電極403と電気的に接続された導電膜413を形成する際に、導
電膜411が第1電極403の深さまで打ち込まれ、第1電極403で止まるようにレー
ザーの出力を調節し、第2電極と電気的に接続された導電膜414を形成する際に、導電
膜412が第2電極405の深さまで打ち込まれ、第2電極405で止まるようにレーザ
ーの出力を調節した例を示しているが、第1電極と電気的に接続された導電膜413を形
成する際のレーザーの照射も、第2電極と電気的に接続された導電膜414を形成する際
のレーザーの照射も樹脂膜406及び第1のフィルム410まで貫通するようにレーザー
の出力を調節してもよい。
【0134】
(実施の形態5)
実施の形態1においては、基板から薄膜トランジスタを有する回路を含む層などを有する
積層体を剥離して、可撓性を有する集積回路装置を形成する場合について説明したが、本
実施の形態においては、基板を研削研磨などして薄膜化することによって、可撓性を有す
る集積回路装置を形成する場合について説明する。
なお、本実施の形態においては、薄膜回路として薄膜トランジスタを形成した場合につい
て説明しているが、薄膜トランジスタ、抵抗、インダクタ、コンデンサのなかから選ばれ
た1種類または複数種類の素子を有する場合についても実施することができる。
【0135】
まず、図18(A)に示すように、第1の基板500上に第1の絶縁膜501を形成する
。この第1の絶縁膜は下地膜として機能する膜である。第1の絶縁膜501として、プラ
ズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素の酸化物、珪素の窒化物、窒素を含む珪
素の酸化物、酸素を含む珪素の窒化物等を形成する。
【0136】
なお、第1の基板500としては、石英基板、半導体基板、ガラス基板、金属基板などを
用いればよい。
【0137】
図18(B)に示すように、第1の絶縁膜501上に公知の方法で薄膜トランジスタを有
する回路503を含む層504を形成する。薄膜トランジスタを有する回路503を含む
層504として例えば、複数の薄膜トランジスタと、複数の薄膜トランジスタを覆う第2
の絶縁膜510と、第2の絶縁膜510に接し複数の薄膜トランジスタのソース領域又は
ドレイン領域に接続するソース配線またはドレイン配線511とを形成する。薄膜トラン
ジスタは、島状の半導体膜507、ゲート絶縁膜508、サイドウォールが形成されたゲ
ート電極509などを有する。図18(B)においては、薄膜トランジスタを有する回路
503として、Nチャネル型の薄膜トランジスタ505及びPチャネル型の薄膜トランジ
スタ506とを有する構成の回路を例として示したが、特にこのような回路の構造に限定
するものではない。また、図18(B)においては、Nチャネル型の薄膜トランジスタ5
05として、ゲート電極にサイドウォールが形成され、LDD領域(低濃度不純物領域)
を有するトップゲート型の薄膜トランジスタを形成し、Pチャネル型の薄膜トランジスタ
506として、ゲート電極にサイドウォールが形成されたトップゲート型の薄膜トランジ
スタを形成した例を示しているが、薄膜トランジスタの構造はこの構造に限定されるもの
ではない。LDD領域(低濃度不純物領域)を有しない構造の薄膜トランジスタや、ボト
ムゲート型の薄膜トランジスタなど、公知の薄膜トランジスタの構造を適用することがで
きる。
【0138】
なお、薄膜トランジスタを有する回路503までの作製方法については、実施の形態1に
おいて説明した作製方法を用いて使用することができる。
【0139】
そして、図18(C)に示すように、薄膜トランジスタを有する回路503を含む層50
4上に第3の絶縁膜512を形成し、第3の絶縁膜512上に薄膜トランジスタを有する
回路503の有する配線と電気的に接続された電極513を形成する。
【0140】
第3の絶縁膜512は、公知の手段により、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、
窒化酸化珪素膜などの無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリ
ル、エポキシなどの有機材料、シロキサンなどにより、単層または積層で形成する。
【0141】
また、図18(C)においては、薄膜トランジスタのソース配線又はドレイン配線と接続
するように電極513を形成しているが、この場合に特に限定されるものではない。薄膜
回路のなかで、外部回路と電気的に接続したい箇所に電極を形成すればよい。
【0142】
次に、図19(A)に示すように、電極513上に第4の絶縁膜514を形成する。第4
の絶縁膜514は、公知の手段により、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化
酸化珪素膜などの無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、
エポキシなどの有機材料、シロキサンなどにより、単層または積層で形成する。
【0143】
そして、図19(B)に示すように、第4の絶縁膜514上に第2の基板515を接着材
を用いて接着する。第2の基板515としては、石英基板、半導体基板、ガラス基板、金
属基板、樹脂基板などを用いることができる。接着材として熱をかけることにより粘着力
が弱くなる接着材を用いることが好ましい。また、第2の基板としては他にホットメルト
フィルム、UV(紫外線)剥離フィルム、熱剥離フィルムなど、ベースフィルム上に接着
層が設けられている構造を有するフィルムを用いても良い。
【0144】
ここで、第2の基板515を接着しない場合、後ほど行う第1の基板500の厚さを薄く
する工程において、第1の基板500の厚さが薄くなるにつれて、薄膜トランジスタを有
する回路を含む層504と第3の絶縁膜512と電極513と第4の絶縁膜514とから
なる積層体がカールしてしまう。しかし、第2の基板515を接着することによって、後
ほど行う第1の基板500の厚さを薄くする工程において、薄膜トランジスタを有する回
路を含む層504と第3の絶縁膜512と電極513と第4の絶縁膜514とからなる積
層体がカールしてしまうのを防ぐことができる。
【0145】
第4の絶縁膜514上に第2の基板を接着したら、第1の基板500の厚さを薄くする処
理を行う。この処理によって第1の基板500の厚さを100μm以下、好ましくは20
〜50μmとする。ここでは、図19(C)に示すように、研削手段または研磨手段51
6を用いて第1の基板500の厚さを薄くする。この際、研削手段のみによって基板の研
削を行って第1の基板500の厚さを薄くしても良いし、研磨手段のみによって基板の研
磨を行って第1の基板500の厚さを薄くしても良いが、研削手段によって基板の研削を
行った後、研磨手段によって基板の研磨を行うのが好ましい。
【0146】
また、ここでは第1の基板500の厚さを薄くする手段として研削手段または研磨手段を
用いたが、これに限定されるものではない。
第1の基板500の厚さを薄くする手段としてウエットエッチングを用いても良い。
この場合、第1の基板500と第1の絶縁膜501との間に、第1の基板500のエッチ
ングを行うエッチング液に対して耐性を有する膜を形成すれば、第1の絶縁膜501まで
エッチングされてしまうことがない。
【0147】
第1の基板500の厚さを薄くする処理を行って、第1の基板500の厚さが薄くなった
状態を図20(A)に示す。図20(A)においては、第1の基板500が残っている状
態を示しているが、第1の基板500が完全に除去された状態であっても良いし、第1の
基板500の一部のみが第1の絶縁膜501の表面に残っている状態であってもよい。
【0148】
そして、図20(B)に示すように、第1の基板500の第1の絶縁膜501が形成され
ていない側の面、つまり薄膜回路の裏面側に、電極513と重なる位置で、導電膜517
を1μm〜数十μmの膜厚、好ましくは10〜20μmの膜厚で形成する。導電膜517
は、例えばスクリーン印刷により、Auペースト、Agペースト、Cuペースト、Niペ
ースト、Alペーストなどの導電性材料やハンダなどを用いて形成すればよい。この導電
膜517の膜厚が0.1μm以下となると膜厚が薄すぎて、後の工程において電極513
との電気的接続がうまくとれなくなってしまう。
【0149】
そして、図20(C)に示すように、導電膜517にレーザーを照射する。この際、導電
膜517が電極513の深さまで打ち込まれ、電極513で止まるようにレーザーの出力
を調節する。ここでは、Nd:YVOパルスレーザーを用いて、波長を266nm(第
4高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3Wとしてレーザー照射を行った。こ
の条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に特に限定されるものではない。
このレーザー照射により、導電膜517と電極513が電気的に接続され、図21(A)
に示すような状態となる。図21(A)において、518は電極513と電気的に接続さ
れた導電膜を示す。
【0150】
図21(A)に示すように、レーザーが照射された箇所において、第1の基板500、薄
膜トランジスタを有する回路503を含む層504、第3の絶縁膜512に穴が形成され
、その穴の側壁部分に沿って電極513の内部まで導電膜517を構成する材料が移動し
て、電極513と電気的に接続している。
【0151】
なお、ここでは、導電膜517が電極513の深さまで打ち込まれ、電極513で止まる
ようにレーザーの出力を調節した例を示しているが、第4の絶縁膜514及び第2の基板
515を貫通するような穴が形成されるようにレーザーの出力を調節してもよい。
【0152】
そして、図21(B)に示すように、隣り合って形成された薄膜トランジスタを有する回
路503と薄膜トランジスタを有する回路503との間の部分にレーザーを照射すること
で、図21(C)に示すように薄膜トランジスタを有する回路503をひとつずつ有する
519、520、521の3つの部分にそれぞれ分割する。分割した後の519、520
、521がそれぞれ集積回路装置となる。
【0153】
なお、本実施の形態においては、例として基板上に3つの薄膜トランジスタを有する回路
503を形成する場合について説明したが、基板上に形成する薄膜トランジスタを有する
回路503の数はこれに限定されるものではない。薄膜トランジスタを有する回路503
の数は、ひとつでも、ふたつでも、3つ以上でも良いことはいうまでもない。
【0154】
以上のようにして、本発明の集積回路装置が形成される。
以下においては、以上のようにして得られた本発明の集積回路装置をアンテナが形成され
た基板上に実装して半導体装置を形成する工程について説明する。
【0155】
図22(A)に示すように、基板522上には、アンテナの機能を有する導電膜523が
形成されている。この基板522上に導電性粒子525を含む樹脂524を用いて集積回
路装置526を接着する。導電性粒子525を含む樹脂524を用いて接着することによ
り、アンテナの機能を有する導電膜523のなかの接続部と集積回路装置526の有する
裏面の接続用導電膜とが導電性粒子525を介して電気的に接続される。
【0156】
そして、この導電性粒子525を含む樹脂524を硬化させるために加熱処理を施す。第
2の基板515を第4の絶縁膜514に接着する際に、熱をかけることによって粘着力が
弱まる接着材で第2の基板515を接着した場合、または第2の基板515として熱剥離
フィルムを用いた場合には、この加熱処理によって第2の基板515を第4の絶縁膜51
4から剥離することができる。第2の基板515を第4の絶縁膜514から剥離した後の
状態を図22(B)に示す。
【0157】
以上のようにして本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装することが
できる。なお、ここでは、導電性粒子を含む樹脂を用いて、アンテナの機能を有する導電
膜と集積回路装置とを電気的に接続する場合について説明したが、アンテナの機能を有す
る導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する手段としては、導電性粒子を含む樹脂以外
にも、はんだなどの公知の方法を用いれば良い。
【0158】
なお、アンテナの機能を有する導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する手段としては
んだを用いる場合にも、はんだを溶かすために加熱を行う。よって、第2の基板515を
第4の絶縁膜514に接着する際に、熱をかけることによって粘着力が弱まる接着材で第
2の基板515を接着した場合、または第2の基板515として熱剥離フィルムを用いた
場合には、この加熱によって第2の基板515を第4の絶縁膜514から剥離することが
できる。
【0159】
本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装した後で、封止を行うのが好
ましい。封止は、少なくともアンテナが形成された基板522のアンテナの機能を有する
導電膜523が形成されている側において行われていればよい。アンテナが形成された基
板522のアンテナの機能を有する導電膜523が形成されている側においてのみ封止を
行った場合について図23(A)に示す。封止を行う際には、ベースフィルム上に接着層
を有する構造のフィルム529によって封止を行う。フィルム529としては例えばホッ
トメルトフィルムが挙げられる。ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィ
ルムよりも軟化点の低い樹脂からなる接着層が形成された構成となっている。ベースフィ
ルムとして使用される材料は、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)や
PEN(ポリエチレンナフタレート)等があげられる。また、接着層として使用される材
料は、ポリエチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げ
られる。
【0160】
また、図23(B)に示すようにアンテナが形成された基板522の両側から2枚のフィ
ルム527、528によって封止を行うようにしても良い。図23(B)のフィルム52
7、528としては、べースフィルム上に接着層を有する構造のフィルムを用いれば良い

【0161】
なお、図22、図23においては、第2の基板515を加熱処理の際に剥離して封止を行
う場合について説明したが、第2の基板515を剥離せず、第4の絶縁膜514上に接着
したままの状態で封止を行うことも可能である。その場合には、第2の基板515を第4
の絶縁膜514に接着する際に用いる接着材は特に限定されず、加熱することによって粘
着力が弱まる粘着材を用いる必要はない。もしくは、第2の基板として、熱剥離フィルム
以外のフィルム(ホットメルトフィルムなど)を用いることができる。
【実施例1】
【0162】
本実施例においては、本発明の集積回路装置を複数の配線が形成された基板上に実装した
例について図26を用いて説明する。
【0163】
図26(A)において、複数の配線605が設けられた基板600上には、本発明の集積
回路装置601〜604が接着されている。集積回路装置601〜604のそれぞれにお
いて、点線で四角形で囲っている部分は薄膜回路と基板600上に形成された配線との接
続部分である。
【0164】
この接続部分のなかの1つである接続部分606の断面の拡大図を図26(B)に示す。
図26(B)に示すように、基板600上の配線607と、集積回路装置604の有する
裏面の接続用導電膜とが導電性粒子608を含む樹脂609により接着されている。この
集積回路装置の裏面の接続用導電膜は、集積回路装置の有する回路に電気的に接続されて
いるため、基板上の配線と集積回路装置の有する回路とを電気的に接続することができる

【0165】
他の接続部分においても同様に、集積回路装置601〜604の各々が有する裏面の接続
用導電膜と、基板上に形成されている配線とが導電性粒子608を含む樹脂609により
接着されている。
【0166】
集積回路装置601〜604の各々は、中央処理ユニット(CPU、Central P
rocessing Unit)、メモリ、ネットワーク処理回路、ディスク処理回路、
画像処理回路、音声処理回路、電源回路、温度センサ、湿度センサ、赤外線センサ等から
選択された1つ又は複数として機能する。
【実施例2】
【0167】
本実施例においては、本発明の集積回路装置を表示装置の駆動回路部分に適用した例につ
いて図27を用いて説明する。なお、図27(B)は、図27(A)のA−Bにおける断
面を示す図であり、図27(A)中のA−Bは図27(B)中のA−Bに対応している。
【0168】
基板620上には、集積回路装置624、625が接着され、接続フィルム626、62
7上には集積回路装置628、629が接着されている。表示部623と集積回路装置6
24とは、基板620上の導電膜631を介して接続する。集積回路装置624と集積回
路装置628とは、基板620上の導電膜634と接続フィルム627上の導電膜635
を介して接続する。これらの導電膜の接続には、導電性粒子155を含む樹脂154を用
いている。基板620と対向基板621は、シール材630により接着されている。
【0169】
なお、本実施例では、基板620上と接続フィルム626、627にそれぞれ本発明の集
積回路装置を実装している場合の例を示したが、この構成に限定されるものではない。基
板620上にのみ、本発明の集積回路装置を駆動回路として実装しても良いし、接続フィ
ルムにのみ、本発明の集積回路装置を実装しても良い。
【0170】
本発明の集積回路装置は、可撓性を有するため、接続フィルム上に形成する場合に適して
いる。本発明の集積回路装置を接続フィルム上接続フィルムを曲げて使用する場合に、本
発明の集積回路装置も一緒に曲げることができる。
【0171】
また、基板620としては、ガラス基板、半導体基板、石英基板、樹脂基板など、公知の
基板材料を使用することができる。特に、可撓性を有する基板を使用する場合には、本発
明の集積回路装置が可撓性を有するため、基板と一緒に曲げることができるという効果が
得られる。可撓性を有する基板としては、樹脂基板、ガラス基板や半導体基板を研削研磨
などして基板の厚さを薄くしたもの等が挙げられる。
【実施例3】
【0172】
本実施例においては、本発明の集積回路装置を有するICカードについて図28を用いて
説明する。
【0173】
図28(A)に示すように、カード型の基板640上には、アンテナの機能を有する導電
膜642が形成されている。このカード型の基板640上に本発明の集積回路装置641
が接着されており、集積回路装置641とアンテナの機能を有する導電膜642とが電気
的に接続されている。集積回路装置641とアンテナの機能を有する導電膜642との接
続部分643における断面の拡大図を図28(B)に示す。
【0174】
図28(B)に示すように、カード型の基板640上のアンテナの機能を有する導電膜6
42と、集積回路装置641の有する裏面の接続用導電膜とが導電性粒子644を含む樹
脂645により接着されている。この集積回路装置の裏面の接続用導電膜は、集積回路装
置の有する回路に電気的に接続されているため、カード型の基板640上のアンテナの機
能を有する導電膜642と集積回路装置641の有する回路とを電気的に接続することが
できる。
【0175】
カード型の基板640として、可撓性を有する基板(例えば、プラスチック基板)を用い
ている。そして、本発明の集積回路装置は可撓性を有しているため、可撓性を有する基板
上に本発明の集積回路装置を実装して使用する場合、図28(C)に示すようにカード型
の基板640と一緒に曲げることができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0176】
本実施例においては、本発明の集積回路装置を有するICカードについて実施例3とは異
なる例を図29を用いて説明する。
【0177】
図29(A)に示すように、カード型の基板660上には、アンテナの機能を有する導電
膜661が形成されている。このカード型の基板660上に本発明の集積回路装置662
〜665が接着されており、集積回路装置664とアンテナの機能を有する導電膜661
とが電気的に接続されている。集積回路装置664とアンテナの機能を有する導電膜66
1との接続部分666における断面の拡大図を図29(B)に示す。
【0178】
図29(B)に示すように、カード型の基板660上のアンテナの機能を有する導電膜6
61と、集積回路装置664の有する裏面の接続用導電膜とが導電性粒子667を含む樹
脂668により接着されている。この集積回路装置664の裏面の接続用導電膜は、集積
回路装置664の有する回路に電気的に接続されているため、カード型の基板660上の
アンテナの機能を有する導電膜661と集積回路装置664の有する回路とを電気的に接
続することができる。
【0179】
集積回路装置662〜665は、中央処理ユニット(CPU、Central Proc
essing Unit)、メモリ、ネットワーク処理回路、ディスク処理回路、画像処
理回路、音声処理回路、電源回路、温度センサ、湿度センサ、赤外線センサ等から選択さ
れた1つ又は複数として機能する。
【0180】
上記構成を有する本発明の集積回路装置を有するICカードは、複数の集積回路装置66
2〜665を有する。従って、暗号処理などの複雑な処理を可能とし、高機能化を実現し
たICカードを提供することができる。
【0181】
なお、図29(A)においては、集積回路装置662〜665の各集積回路装置間におけ
る電気的接続の仕方については特に記載されていないが、隣あって設けられている集積回
路装置同士は電気的に接続されている。
【0182】
また、図29(A)に示す構成では、集積回路装置662〜665の周囲にアンテナの機
能を有する導電膜661を設けているが、この形態に制約されない。図29(C)や(D
)に示すように、アンテナの機能を有する導電膜661と重なるように、集積回路装置6
62〜665を設けてもよい。アンテナの機能を有する導電膜661と重なるように、集
積回路装置662〜665を設けることによって、図29(A)の場合と比較して、カー
ド型の基板660の面積を削減できるため、小型、薄型、軽量を実現した半導体装置を提
供することができる。このような小型化を実現した無線チップにおいて、例えば、集積回
路装置662〜665のいずれか1つに温度センサを適用し、人体の皮膚(好ましくは額
の皮膚)上に貼り付ければ、検温を行うことができる。
【実施例5】
【0183】
本発明の集積回路装置とアンテナとを有する半導体装置の用途は広範にわたるものである
が、以下には用途の具体例について説明する。本発明の半導体装置810は、例えば、紙
幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図30(A)参
照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図30(B)参照)、記録媒体(DVDソフト
やビデオテープ等、図30(C)参照)、乗物類(自転車等、図30(D)参照)、身の
回り品(鞄や眼鏡等、図30(E)参照)、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等の物
品に設けて活用することができる。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビ
ジョン装置(単にテレビと呼んだり、テレビ受像機やテレビジョン受像機とも呼んだりす
る)、携帯電話等を指す。
【0184】
本発明の集積回路装置とアンテナとを有する半導体装置810は、表面に貼ったり、埋め
込んだりして、物品に固定される。例えば、本なら紙に埋め込んだり、有機樹脂からなる
パッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりして、各物品に固定される。本発明の半導体
装置は、小型・薄型・軽量を実現するため、物品に半導体装置を固定した後も、その物品
自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、
証書類等に本発明の半導体装置を設けることにより、認証機能を設けることができ、この
認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、
身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けること
により、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。
【0185】
次に、本発明の半導体装置を活用したシステムの例について説明する。まず、表示部89
4を含む携帯端末の側面にリーダライタ895を設けて、物品897の側面に本発明の集
積回路装置とアンテナとを有する半導体装置896を設けておく(図31(A)参照)。
また、あらかじめ、本発明の集積回路装置とアンテナとを有する半導体装置896に物品
897の原材料や原産地、流通過程の履歴等の情報を記憶させておく。そして、本発明の
集積回路装置とアンテナとを有する半導体装置896をリーダライタ895にかざすと同
時に、本発明の集積回路装置とアンテナとを有する半導体装置896が含む情報が表示部
894に表示されるようにすれば、利便性が優れたシステムを提供することができるまた
、別の例として、ベルトコンベアの脇にリーダライタ895を設けておく(図31(B)
参照)。そうすれば、物品897の検品を極めて簡単に行うことが可能なシステムを提供
することができる。このように、本発明の半導体装置を物品の管理や流通のシステムに活
用することで、システムの高機能化を図り、利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0186】
100 基板
101 剥離層
102 第1の絶縁膜
103 薄膜トランジスタを有する回路
104 103を含む層
105 Nチャネル型の薄膜トランジスタ
106 Pチャネル型の薄膜トランジスタ
107 島状の半導体膜
108 ゲート絶縁膜
109 ゲート電極
110 第2の絶縁膜
111 ソース配線またはドレイン配線
112 第3の絶縁膜
113 電極
114 樹脂膜
115 開口部
116 開口部
117 第1のフィルム
118 積層体
119 導電膜
120 導電膜
121 103をひとつずつ有する部分
122 103をひとつずつ有する部分
123 103をひとつずつ有する部分
154 樹脂
155 導電性粒子
200 基板
201 剥離層
202 第1の絶縁膜
204 抵抗体
205 第2の絶縁膜
206 開口
207 電極
208 樹脂膜
209 開口
210 抵抗を有する回路を含む層
211 積層体
212 第1のフィルム
213 導電膜
214 導電膜
215 導電膜
300 基板
301 剥離層
302 第1の絶縁膜
303 第1の導電膜
304 領域
305 領域
306 樹脂膜
307 開口
308 インダクタを有する回路を含む層
309 積層体
310 第1のフィルム
311 第2の導電膜
312 第2の導電膜
400 基板
401 剥離層
402 第1の絶縁膜
403 第1電極
404 第2の絶縁膜
405 第2電極
406 樹脂膜
407 開口
408 コンデンサを有する回路を含む層
409 積層体
410 第1のフィルム
411 導電膜
412 導電膜
413 導電膜
414 導電膜
500 第1の基板
501 第1の絶縁膜
503 薄膜トランジスタを有する回路
504 薄膜トランジスタを有する回路を含む層
505 Nチャネル型の薄膜トランジスタ
506 Pチャネル型の薄膜トランジスタ
507 島状の半導体膜
508 ゲート絶縁膜
509 サイドウォールが形成されたゲート電極
510 第2の絶縁膜
511 ソース配線またはドレイン配線
512 第3の絶縁膜
513 電極
514 第4の絶縁膜
515 第2の基板
516 研磨手段
517 導電膜
518 導電膜
519 103をひとつずつ有する部分
520 103をひとつずつ有する部分
521 103をひとつずつ有する部分
522 基板
523 アンテナの機能を有する導電膜
524 樹脂
525 導電性粒子
526 集積回路装置
527 フィルム
528 フィルム
529 フィルム
600 基板
601 集積回路装置
602 集積回路装置
603 集積回路装置
604 集積回路装置
605 配線
606 接続部分
607 配線
608 導電性粒子
609 樹脂
620 基板
621 対向基板
623 表示部
624 集積回路装置
625 集積回路装置
626 接続フィルム
627 接続フィルム
628 集積回路装置
629 集積回路装置
630 シール材
631 導電膜
634 導電膜
635 導電膜
640 カード型の基板
641 集積回路装置
642 アンテナの機能を有する導電膜
643 接続部分
644 導電性粒子
645 樹脂
660 カード型の基板
661 アンテナの機能を有する導電膜
662 集積回路装置
663 集積回路装置
664 集積回路装置
665 集積回路装置
666 接続部分
667 導電性粒子
668 樹脂
722 基板
723 アンテナの機能を有する導電膜
724 樹脂
725 導電性粒子
726 集積回路装置
727 第2のフィルム
728 第3のフィルム
729 第2のフィルム
810 半導体装置
894 表示部
895 リーダライタ
896 半導体装置
897 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜の一方の面上に形成された薄膜回路と、前記薄膜回路上に形成された第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に形成された電極と、前記電極上に形成された樹脂膜を有する積層物を形成し、
前記第1の絶縁膜の他方の面上に、前記電極と重なるように導電膜を形成し、
前記導電膜にレーザーを照射することによって、前記電極と前記導電膜を電気的に接続することを特徴とする集積回路装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−42180(P2013−42180A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−254358(P2012−254358)
【出願日】平成24年11月20日(2012.11.20)
【分割の表示】特願2006−150476(P2006−150476)の分割
【原出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】