説明

集積型ガスパネル装置

【課題】格段に優れた応答性を得ることができてガス濃度の安定化が図れ、しかも、従来のパネル型形状をそのまま維持できる集積型ガスパネル装置を提供する。
【解決手段】集積型ガスパネル装置1のパネル体2を、少なくとも主流路R2を形成する主流路用ブロック体32と、枝流路R1を形成する枝流路用ブロック体31とからなるものにし、その主流路用ブロック体32を中心として左右両側に対向するように前記枝流路用ブロック体31を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等に用いられる集積型ガスパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積型ガスパネル装置とは、半導体デバイス製造等で用いられる複数種のガスを、それぞれ流量制御しながら最終的には混合し、成膜チャンバに供給するためのものであって、それ以前の配管構造で構成したガス供給制御ラインを縮小すべく開発されたものである。具体的には、一例を特許文献1に示すように、概略面板状をなすパネル体にバルブやマスフローコントローラ等のガス制御機器を取り付けられるように構成されている。パネル体の内部には、例えば、前記ガス制御機器が取り付けられる複数の枝流路と、それら枝流路が接続されてそこを流れる各ガスが合流するように構成した1本の主流路と、が形成されている。
【0003】
このような集積型ガスパネル装置には、近時種々の改良が加えられてきており、例えば、使用するガスの種類数等に対応した柔軟な流路構成をとることができるように、何種類かのブロック体を適宜連設して前記パネル体が組み立てられるように構成したものなどが知られている。
特許文献1:特開平10−169881
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のこの種の装置は、主流路の一方側に枝流路が並列に配置されており、各枝流路と主流路との合流部位は、枝流路の並び順に主流路の上流から下流に向かってほぼ等間隔に配置されている。
【0005】
しかしながら、このような構成では、例えば枝流路が多数になると、その分だけ主流路長が長くなってガスの最終出口までの到達時間が長くなり、流体回路系の応答性に悪影響を与える。その影響が顕著となるのは、主流路の上流側に位置する枝流路からのガスや小流量のガスである。そしてその結果、短時間・高速応答性を要求されるようなプロセスに対し、十分な対応を図ることが難しくなる。また、応答性が悪いことから、ガス濃度が不安定になりやすいという不具合も生じる。
【0006】
特に半導体プロセスでは、製造工程の高速ガス処理によるプロセス時間の短縮(立上がり安定までの排気時間/終了時のパージ時間の短縮等)が重要なファクターになっており、このような応答性劣化による不具合は、好ましいものではない。
【0007】
また、例えば、半導体製造プロセスにおいては、最終的に供給される複数種のガスが十分に混合した状態であることが要求される。これは供給ガスの混合状態にムラがあると、デバイスの品質劣化を招くからであるが、これに対し、従来は、この集積型ガスパネル装置以降の配管長を長く取って混合を促進したり、あるいはその後段にさらにガス混合器を設けたりするような工夫を加えている。
【0008】
しかし、このような構成では、十分な混合を行えるものの、配管容量が大きくなる分、応答性に悪影響がでて、前述同様、短時間・高速応答性を要求されるようなプロセスに対して十分な対応を図ることが難しくなる。また応答性が悪くなる分、ガス濃度の立ち上がり安定性などにも影響がでる。さらに、一部の枝流路からのガス流量が小さい場合には、そのガスの到達時間が長くなるため、応答性が悪くなる上、主流路を流れてきたガスの圧力変動等により、その小流量ガスの合流量変動が生じやすく、最終的なガス濃度の不安定化が顕著になる場合もある。
【0009】
加えて、従来のこの種の装置は、主流路の一方側に枝流路が並列に配置されており、各枝流路と主流路との合流部位が、枝流路の並び順に主流路の上流から下流に向かってほぼ等間隔に配置されているため、各枝流路のうち、主流路の上流側で合流するものと下流側で合流するものとでは、ガスの最終出口までの到達時間が異なってしまうという不具合がある。この場合であれば、最も上流側に位置する枝流路からのガスの到達時間が長くなり、このガス到達時間がこの流体回路系の応答性を律速してしまう。
【0010】
さらに、各枝流路からのガス到達時間に同時性が担保できないことから、立ち上がり状態においてガスの濃度分布が不安定になりがちである。
また、枝流路が多数になると、その分だけ主流路長が長くなって、このことも流体回路系の応答性に悪影響を与える。
【0011】
つまり、従来の構成であると、短時間・高速応答性を要求されるようなプロセスに対し、十分な対応を図ることが難しくなるし、ガス濃度が不安定になりやすいという不具合も生じる。
【0012】
本発明は、かかる不具合を解決すべくなされたものであって、格段に優れた応答性を得ることができてガス濃度の安定化も図れ、しかも、従来のパネル型形状をそのまま維持できて構造の複雑化や肥大化を招くことなく、あるいはコンパクト化さえ可能な集積型ガスパネル装置を提供することをその主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明に係る集積型ガスパネル装置は、バルブやマスフローコントローラ等のガス制御機器が途上に設けられて内部を流れるガスを制御できるように構成された複数の枝流路と、それら枝流路からのガスが流れ込んで合流する1本の主流路と、複数のブロック体を組み立てることにより前記枝流路及び主流路が内部に形成されるように構成したマニホールド型パネル体と、を備えたものであって、前記パネル体が、前記主流路を形成する主流路用ブロック体と、その主流路用ブロック体を中心として左右両側に対向するようにそれぞれ配置された、前記枝流路を形成する枝流路用ブロック体と、を備えたものであることを特徴とする。
【0014】
このようなものであれば、従来主流路の一方側にだけ配置されていた枝流路が、主流路の左右に配置されることになるため、主流路の長さを短縮できる。そしてその結果、ガスの最終出口までの到達時間を短縮でき、応答性を向上させることが可能になる。このことはガス濃度の安定化にも寄与する。しかも、各流路を形成しているブロック体を平面的に配置して従来と同様のパネル体を構成することができるため、従来装置と無理なく置き換えることができる。
【0015】
主流路短縮に最も好ましい態様としては、前記主流路をはさんで対向する一の枝流路と他の枝流路との主流路に対する各合流部位が、当該主流路の延伸方向においてほぼ同じ場所に設定されているものを挙げることができる。主流路の延伸方向においてほぼ同じ場所とは、合流部位が完全に合致する他、主流路の互いに対向する管側壁部位や、直交する管側壁部位なども含むという意味である。
【0016】
応答性、ガス濃度安定性を、さらに向上させるためには、前記主流路用ブロック体に、その内部の主流路に連通する挿入孔を形成するとともに、前記枝流路の出口部分を内部に有した枝流路用ブロック体に、その枝流路を外側に突出させた突出配管を設けておき、前記突出配管を前記挿入孔に挿入して当該主流路用ブロック体と枝流路用ブロック体とを組み立てた状態において、前記突出配管の先端が前記主流路の内側面からさらに内方に突出するように構成しているものが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る集積型ガスパネル装置は、バルブやマスフローコントローラ等のガス制御機器が途上に設けられて内部を流れるガスを制御できるように構成された複数の枝流路と、それら枝流路からのガスが流れ込む主流路と、複数のブロック体を組み立てることにより前記枝流路及び主流路が内部に形成されるように構成したパネル体と、を備えたものであって、前記ブロック体のうち、前記主流路を内部に有した主流路用ブロック体に、その内部の主流路に連通する挿入孔を形成するとともに、前記枝流路の出口部分を内部に有した枝流路用ブロック体に、その枝流路を外側に突出させた突出配管を設けておき、前記突出配管を前記挿入孔に挿入して当該主流路用ブロック体と枝流路用ブロック体とを組み立てた状態において、前記突出配管の先端が前記主流路の内側面からさらに内方に突出するように構成していることを特徴とする。
【0018】
このようなものであれば、枝流路と主流路との接続部分において、枝流路の出口である突出配管が主流路内に突出し、その流路径を狭めるので、この部分でのチョーク効果によって枝流路内のガスが主流路内に強く引き込まれるうえに、そのガスは、前記突出配管の後方に生じる乱流等により拡散されるので、主流路を流れてきたガスとの枝流路のガスとの混合が大きく促進される。
【0019】
したがって、従来のものに比べ、このガスパネル装置内でのガスの混合を十分に行うことができるようになり、その後段に配すべき配管長やガス混合器の容量を小さくしたり、省いたりすることにより、従来のものに比して、高速応答性において、格段に優れたものにすることができるようになる。また、そのことにより、立ち上がり時等のガス濃度安定性も向上させることができるようになる。
【0020】
また、枝流路内のガスがたとえ小流量であっても、これを主流路に確実に引き込むことができることから、その小流量ガスの合流時における流量変動が生じにくくなり、この点からもガス濃度安定性を向上させることができる。
【0021】
さらに枝流路用ブロック体から所定長さの突出配管を突出させるだけで基本的には構成できるため、構造上の複雑化をほとんど招かないし、組み立て状態では、この突出配管が内部に隠れてしまうので、従来のものと外形的にほぼ同一なものに維持できる。
【0022】
ガスの混合を無理なく促進させるためには、前記突出配管の先端が、前記主流路を横断面でみてその中央近傍にまで突出するように構成しているものが好ましい。前記ガスは半導体製造プロセスで用いられるものが好適である。
【0023】
また、本発明に係る立体集積型ガスパネル装置は、バルブやマスフローコントローラ等のガス制御機器が途上に設けられて内部を流れるガスを制御できるように構成された複数の枝流路と、それら枝流路からのガスが流れ込んで合流する1本の主流路と、一の枝流路が内部に形成された、底面を取付面とする長尺パネル状をなす枝流路用ブロック体と、側周面に形成した保持面で複数の枝流路用ブロック体をそれらの長手方向が互いに平行となるように保持する中心ブロック体と、を備え、前記中心ブロック体に前記主流路を形成するとともに、その主流路に設定した合流部位から、当該中心ブロック体の側周面に取り付けた枝流路用ブロック体の枝流路に向かってそれぞれ延びる中間流路を形成するようにしていることを特徴とする。
【0024】
このようなものであれば、従来平面状に展開していた枝流路用ブロック体を立体的に配置しているので、コンパクトになって流路長短縮を図れ、応答性を向上させることができるようになる。また、立体的構成であることから各流路の配置自由度が増し、その流路長や合流部位の工夫により、ガス合流タイミングの同時性向上や、ひいてはガス濃度の安定性向上を図ることができる。
【0025】
より具体的には、主流路の短縮による応答性向上を図るには、前記合流部位が主流路の一箇所に設定されているものが好ましい。特に、通常は中心ブロック体の端面に出口ポートを取り付けることから、合流部位を例えば中心ブロック体の端部に設定すれば、主流路長を短くできるので、応答性の可及的向上を図れる。
【0026】
ガス合流タイミングの同時性を向上させるためには、前記各保持面によって中央ブロック体の軸線を中心とした回転対称形が構成されるとともに、前記合流部位が、前記軸線上に設けられて各中間流路が互いに等しい長さに設定されているものが好適である。
【0027】
その場合、前記主流路が前記軸線上に沿って設けられていれば、主流路長の可及的短縮にも寄与しうる。
【0028】
同時性をさらに向上させるには、ガス流量に応じて中間流路の径や、枝流路における特にマスフローコントローラ以降の流路径を異ならせる(ガス流量の小さいものほど径を小さくする)ようにすればよい。
【0029】
製造容易性を考慮した具体的実施態様としては、前記中心ブロック体が正多角柱状のものであることが好ましい。
【0030】
本発明の効果が特に顕著となり、その有用性が発揮される具体的実施態様としては、半導体製造プロセスに用いられるものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0031】
このように構成した請求項1に係る発明によれば、主流路長を短縮できるので、応答性や立ち上がり時等におけるガス濃度安定性を向上させることができる。しかも、従来と同様の平面的な形状を維持できるため、従来装置と無理なく置き換えることができる。
【0032】
請求項5に係る発明によれば、主流路を流れてきたガスとの枝流路のガスとの混合が大きく促進されるため、その後段に配すべき配管長やガス混合器の容量を小さくしたり、省いたりすることにより、従来のものに比して、高速応答性を向上させ、ひいては立ち上がり時等のガス濃度安定性も向上させることができるようになる。さらに、枝流路用ブロック体から所定長さの突出配管を突出させるだけで基本的には構成できるため、構造上の複雑化をほとんど招かないし、組み立て状態では、この突出配管が内部に隠れてしまうので、従来のものと外形的にほぼ同一なものに維持できる。
【0033】
請求項8に係る発明によれば、上述したように、枝流路用ブロック体を立体的に配置しているので、コンパクト化や設計自由度の向上を図れ、その結果として、応答性やガス濃度安定性をも向上できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態における集積型ガスパネル装置の全体斜視図である。
【図2】図2は、同実施形態における集積型ガスパネル装置の流体回路図である。
【図3】図3は、同実施形態における接続部分を示す平面方向から見た模式図である。
【図4】図4は、同実施形態の変形例における集積型ガスパネル装置の、接続部分を示す平面方向から見た模式図である。
【図5】図5は、同変形例における集積型ガスパネル装置の主流路を示す要部縦断面図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態における集積型ガスパネル装置の全体斜視図である。
【図7】図7は、同実施形態における集積型ガスパネル装置の流体回路図である。
【図8】図8は、同実施形態における集積型ガスパネル装置の要部部分断面図である。
【図9】図9は、同実施形態における接続部分を示す分解斜視図である。
【図10】図10は、同実施形態における集積型ガスパネル装置の要部部分断面図である。
【図11】図11は、本発明の第3実施形態における立体集積型ガスパネル装置の内部を一部破断して示す全体斜視図である。
【図12】図12は、同実施形態における立体集積型ガスパネル装置の流体回路図である。
【図13】図13は、同実施形態における合流部位を示す模式的横端面図である。
【図14】図14は、同実施形態の変形例における中心ブロック体の模式的横断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に本発明のいくつかの実施形態について図面を参照して説明する。なお各実施形態において、対応する部材には同一の符号を付しているが、同一機能であっても形状が異なっていたり、その逆の場合などでは、異なる符号が付されている場合もある。
【0036】
<第1実施形態>
第1実施形態では、図1から図5を参照する。
この実施形態に係る集積型ガスパネル装置1は、半導体製造システムの一部を構成するものであり、その概要を図1に示すように、成膜用の各種ガスを図示しないガス供給源からそれぞれ導入し、それらを混合して半導体の成膜チャンバ(図示しない)に供給するために用いられる。
【0037】
そこでこの集積型ガスパネル装置1について、まず、その流体回路構造を、周辺回路も含め、図2を参照しながら説明する。
この集積型ガスパネル装置1には、回路的にみて並列させた複数の枝流路R1と、それら各枝流路R1の出口が接続された1本の主流路R2とが設けられている。
【0038】
各枝流路R1は、その基端にそれぞれインレットポートPIが接続されたものであり、このインレットポートPIに接続した外部配管(図示しない)を介して前記ガス供給源から、数種類のガスが各枝流路R1にそれぞれ送り込まれる。各枝流路R1の途上には、バルブVやマスフローコントローラMFCなどのガス制御機器が配されており、それらの動作によって、各枝流路R1を流れるガス流量やパージガスへの切替などをそれぞれ制御できるようにしている。
【0039】
一方、主流路R2は、前述したように単一流路構造をなすものであって、前述した各枝流路R1との接続部分CNは、1箇所に集約されず、その流れに沿って飛び飛びに設けてある。この実施形態では、この集積型ガスパネル装置1の下流、すなわち主流路R2の下流に、合流したガスを攪拌混合するガス混合器MIXが配置されており、さらにその下流に、ガス混合器MIXで混合されたガスを、所定流量比率に分配してアウトレットポートPOから各成膜チャンバに出力する流量比率制御器FRCが設けてある。なお、これらガス混合器MIXや流量比率制御器FRC、アウトレットポートPOなどは、図1には示されていない。
【0040】
このような構成によって、各ガス供給源から供給されたガスは、この集積型ガスパネル装置1の枝流路R1においてそれぞれ流量制御されて主流路R2に導入され、その後、ガス混合器MIXで十分に混合されて、流量比率制御器FRCから所定の流量比で各アウトレットポートPOからそれぞれ出力される。
【0041】
なお、図2には、主流路R2、枝流路R1の他に、前述したパージガスの流路やその入口ポートPX、出口ポートPYなども記載されている。また、符号MFMで示す部材は、マスフローコントローラの示す流量が正しいかどうかを確認するためのベリファイヤである。
【0042】
次に、この集積型ガスパネル装置1の物理的な構成について、図1等を参照しながら説明する。
【0043】
このガスパネル装置1は、前記主流路R2や枝流路R1が内部に形成された概略面板状をなすパネル体2と、そのパネル体2に取り付けられた前記ガス制御機器V、MFCと、さらにインレットポートPIなどの付属配管具とを備えている。
【0044】
パネル体2は、図1に示すように、複数のブロック体を平面的に連設することで構成される面板状のものである。このブロック体としては種々あるが、ここでは少なくとも、枝流路R1を構成する枝流路用ブロック体31と、主流路R2を構成する主流路用ブロック体32とを用いている。
【0045】
枝流路用ブロック体31は、扁平な方形平板状をなすもので、バルブ搭載用のものやマスフローコントローラ搭載用のものなど、内部配管の異なるものが若干種ある。1本の枝流路R1は、このような枝流路用ブロック体31を複数直列させて長尺板状にすることで形成されるが、さらに、このように直列させた枝流路用ブロック体31の列(以下、枝流路ブロック体列5とも言う)を横に並べて面板状にすることで、回路構成で述べたように、複数の枝流路R1が並列に配置されるようにしている。
【0046】
主流路用ブロック体32は、例えば一枚の長尺板状をなすもので、その長手方向(延伸方向)に沿って、内部に主流路R2が延びている。そして枝流路用ブロック体31の下面に上下に(パネル体2の平面方向とは垂直方向に)積層され、接続される。このときの主流路用ブロック体32の延伸方向は、前記枝流路ブロック体列5の延伸方向と直交させている。
【0047】
しかして、この実施形態では、主流路用ブロック体32を中心として左右対称に枝流路用ブロック体列5を、それぞれ複数(例えば片側に4本など)配列している。このことにより、平面方向からみた模式図を図3に示すが、主流路R2を中心としてその左右両側に対称に枝流路R1が配置されることとなる。
【0048】
また、主流路R2をはさんで対向する一の枝流路R1と他の枝流路R1との当該主流路R2に対する各接続部分(以下、合流部位ともいう)CNは、当該主流路R2の延伸方向において同じ位置であって、主流路R2の互いに対向する側部に設定するようにしている。なお、前記各接続部分CNは、主流路R2の延伸方向において同じ位置であればよく、部品配置など設計上の都合から、一方が主流路の底部で他方が側部等であってもよい。
【0049】
このように構成したこのガスパネル装置1によれば、従来主流路の一方側にだけ配置されていた枝流路R1が、主流路R2の左右に配置されることになるため、主流路R2における各合流部位CNが設けられている領域の長さを、従来の約半分に短縮できる。その結果、ガスの最終出口までの到達時間を短縮できることから、応答性を向上させることが可能になり、同時に立ち上がり時などにおけるガス濃度の安定化をも向上させることができるようになる。
しかも、ブロック体を平面的に配置して従来と同様のパネル体2を構成し、平面的な形状を維持しているので、例えば既存装置と置き換えることも無理なくできる。
【0050】
次に、本実施形態の変形を説明する(以下の変形例において前記実施形態と対応する部材には同一の符号を付している)。
【0051】
例えば、図4に模式的に示すように、左右の枝流路R1を、主流路R2に対して千鳥状に接続してもよい。このような構成であると、対向する一の枝流路と他の枝流路との主流路に対する各合流部位CNが、当該主流路R2の延伸方向において異なる場所となり、前記実施形態の場合に比べ、主流路R2の長さが若干長くなる。しかしながら、従来のように主流路の一方側だけに枝流路を配置していた場合と比べると、やはり格段に主流路R2の長さを短縮でき、前記実施形態とほぼ同様の作用効果を期待できる。
【0052】
さらにこのような構成であると、以下に説明するが、合流部位CNにおいて、枝流路R1の出口配管311を主流路R2内に所定長さだけ突出させる場合に、その出口配管311を互いに干渉させることなく、無理なく構成することができる。
【0053】
この合流部位CNの構造につき、ここでその一例を詳述しておく。
この例では、図5に示すように、前記主流路用ブロック体32の表面に挿入孔321を開口させ、その挿入孔321を内部の主流路R2に連通させておく一方、枝流路用ブロック体31の最下流のもの、すなわち枝流路R1の出口部分を有する枝流路用ブロック体31(1)に、表面から当該枝流路R1を突出させた円筒状の出口配管(以下、突出配管ともいう)311を一体に(別体でも構わない)設けるようにしている。
【0054】
そして、前記突出配管311を挿入孔321に挿入し、主流路用ブロック体32と枝流路用ブロック体31(1)とを組み立てた状態において、前記突出配管311の先端が、前記主流路R2の内側面R2a(図5に示す)からさらに内方に突出するように構成する。その突出寸法は、例えば、突出配管311の先端が、横断面でみて主流路R2の中央近傍にまで至る程度である。
【0055】
また、この組み立て状態において、主流路用ブロック体32と枝流路用ブロック体31(1)の対向する平面間にOリングなどのシール部材6を介在させてスラスト方向に密接させ、この接続部分CNでのガス漏洩を防止している。
【0056】
このように構成であると、枝流路R1と主流路R2との接続部分CNにおいて、枝流路R1の出口である突出配管311が主流路R2内に突出してその流路径を狭めるので、この部分での主流路R2のガス流速が速くなって圧力が低下し、枝流路R1内のガスを強く主流路R2内に引き込むことができる。そしてこの引き込まれたガスは、主流路R2において突出配管311の後方に生じる乱流等によって拡散されるため、主流路R2を流れてきたガスに、よりムラなく混合させることができるようになる。つまり、従来のものに比べて、ガスの混合を予めパネル体2の内部で十分に行うことができるようになる。
【0057】
したがって、従来であればガスの十分な混合を行うために長く設定していていた接続部分以降の配管長を、短くすることができるうえ、ガス混合器MIXの容量を小さくしたり、場合によってはこれを省略したりすることもできるようになる。そして、このように流路容量を小さくした分だけ、この流体回路系の応答性をさらに向上させることができるようになる。
【0058】
つまり、この構成を前記実施形態に適用すれば、主流路R2の枝流路合流箇所における長さの短縮と、それ以降の流路長短縮とが同時に図れ、応答性の向上とそれに基づく立ち上がり時等のガス濃度安定性の向上を、格段に促進させることが可能になる。
【0059】
また、枝流路R1内のガスがたとえ小流量であっても、上述したように、これを主流路R2に確実に引き込むことができるので、この点からも、最終的な混合ガスの濃度安定性をより向上させることができるようになる。
【0060】
しかも、従来と構造的に大きく異なるのは、枝流路用ブロック体を対向するように設けたことの他、枝流路用ブロック体31から所定長さの突出配管311を突出させる部分だけであるため、構造上の複雑化をほとんど招かないし、組み立て状態では、この突出配管311が内部に隠れてしまうので、この接合部分において従来のものと外形的にコンパチブルなものにすることができる。
【0061】
その他の変形例としては、例えば、各枝流路の内径を、各ガスの流量に応じて設定する(流量が少ないほど内径は小さくする)ようにしてもよい。このことにより、各ガスの流速がより等しくなり、主流路での各ガスの合流タイミングの同時性を従来に比べ向上できるため、ガス流量に左右されず、より短時間で混合ガスを供給できるようになる。
【0062】
ブロック体も、方形状のみならず例えば円板状のものでもよい。ただし、スラストシール構造のためには、対向箇所に平面部を有しているものが好ましい。
【0063】
<第2実施形態>
以下に本発明の第2実施形態について図6〜図10を参照して説明する。
この実施形態に係る集積型ガスパネル装置1は、半導体製造システムの一部を構成するものであり、その概要を図6に示すように、成膜用の各種ガスを図示しないガス供給源からそれぞれ導入し、それらを混合して半導体の成膜チャンバ(図示しない)に供給するために用いられる。
【0064】
そこでこの集積型ガスパネル装置1について、まず、その流体回路構造を、周辺回路も含め、図7を参照しながら説明する。
【0065】
この集積型ガスパネル装置1には、並列して設けた複数の枝流路R1と、それら各枝流路R1の出口が接続された1本の主流路R2とが設けられている。
【0066】
各枝流路R1は、その基端にそれぞれインレットポートPIが接続されたものであり、このインレットポートPIに接続した外部配管(図示しない)を介して前記ガス供給源(図示しない)から、数種類のガスが各枝流路R1にそれぞれ送り込まれる。各枝流路R1の途上には、バルブVやマスフローコントローラMFCなどのガス制御機器が配されており、それらの動作によって、各枝流路R1を流れるガス流量やパージガスへの切替などをそれぞれ制御できるようにしている。
【0067】
一方、主流路R2は、前述したように単一流路構造をなすものであって、前述した各枝流路R1との接続部分CNは、1箇所に集約されず、その流れに沿って飛び飛びに設けてある。この実施形態では、この集積型ガスパネル装置1の下流、すなわち主流路R2の下流に、合流したガスを攪拌混合するガス混合器MIXが配置されており、さらにその下流に、ガス混合器MIXで混合されたガスを所定流量比率に分配してアウトレットポートPOから各成膜チャンバ等に出力する流量比率制御器FRCが設けてある。なお、これらガス混合器MIX、流量比率制御器FRC、アウトレットポートPO等は、図6には示されていない。
【0068】
このような構成によって、各ガス供給源から供給されたガスは、この集積型ガスパネル装置1の枝流路R1においてそれぞれ流量制御されて主流路R2に導入され、その後、ガス混合器MIXで十分に混合されて、流量比率制御器FRCから所定の流量比で各アウトレットポートPOからそれぞれ出力される。
【0069】
なお、図7には、主流路R2、枝流路R1の他に、前述したパージガスの流路やその入口ポートPXや出口ポートPYなども記載されている。また、符号MFMで示す部材は、マスフローコントローラの示す流量が正しいかどうかを確認するためのベリファイヤである。
【0070】
次に、この集積型ガスパネル装置1の物理的な構成について、図6等を参照しながら説明する。
【0071】
このガスパネル装置1は、前記主流路R2や枝流路R1が内部に形成された概略面板状をなすパネル体2と、そのパネル体2に取り付けられた前記ガス制御機器と、さらにインレットポートPIなどの付属配管具とを備えている。
【0072】
パネル体2は、図6に示すように、複数のブロック体を平面的に連設することで構成される面板状のものである。このブロック体としては種々あるが、ここでは少なくとも、枝流路R1を構成する枝流路用ブロック体31と、主流路R2を構成する主流路用ブロック体32とを用いている。
【0073】
枝流路用ブロック体31は、扁平な方形平板状をなすもので、バルブ搭載用のものやマスフローコントローラ搭載用のものなど、内部配管の異なるものが若干種ある。1本の枝流路R1は、このような枝流路用ブロック体31を複数直列させて長尺板状にすることで形成されるが、さらに、このように直列させた枝流路用ブロック体31の列(以下、枝流路ブロック体列5とも言う)を横に並べて面板状にすることで、回路構成で述べたように、複数の枝流路R1が並列に形成されるようにしている。
【0074】
主流路用ブロック体32は、例えば一枚の長尺板状をなすもので、その長手方向に沿って、内部に主流路R2が形成されている。そして枝流路用ブロック体31の下面に上下に(パネル体の平面方向とは垂直方向に)積層され、接続される。このときの主流路用ブロック体32の延伸方向は、前記枝流路ブロック体列5の延伸方向と直交させている。そしてこのことにより、上述したように、主流路R2に各枝流路R1の出口が接続されるように構成している。
【0075】
しかして、この実施形態では、主流路R2と枝流路R1との接続部分CNに、以下のような構成を採用している。
【0076】
すなわち、図8〜図10に示すように、前記主流路用ブロック体32の上部平面に挿入孔321を開口させ、その挿入孔321が内部の主流路R2に連通するように構成する一方、枝流路用ブロック体31の最下流のもの、すなわち枝流路R1の出口部分を有する枝流路用ブロック体31(1)に、その下部平面から当該枝流路R1を突出させた円筒状の突出配管311を一体的に設けている。なお、この突出配管311の外径と挿入孔321の内径とは、ほぼ一致させてある。
【0077】
そして、前記突出配管311を挿入孔321に挿入し、主流路用ブロック体32と枝流路用ブロック体31(1)とを組み立てた状態において、前記突出配管311の先端が、前記主流路R2の内側面R2a(図10に示す)からさらに内方に突出するように構成している。その突出寸法は、例えば、突出配管311の先端が、横断面でみて主流路R2の中央近傍にまで至る程度である。
【0078】
また、この組み立て状態においては、主流路用ブロック体32と枝流路用ブロック体31(1)の対向する平面間にOリングなどのシール部材6を介在させてスラスト方向に密接させ、この接続部分CNでのガス漏洩を防止している。なお、符号322は、主流路用ブロック体32に設けられた、シール部材6を収容する座繰り部である。この座繰り部322は、枝流路用ブロック体31に設けても構わない。
【0079】
このように構成した本実施形態によれば、枝流路R1と主流路R2との接続部分CNにおいて、枝流路R1の出口である突出配管311が主流路R2内に突出してその流路径を狭めるので、この部分での主流路R2のガス流速が速くなって圧力が低下し、枝流路R1内のガスを強く主流路R2内に引き込むことができる。そしてこの引き込まれたガスは、主流路R2において突出配管311の後方に生じる乱流等によって拡散されるため、主流路R2を流れてきたガスに、よりムラなく混合させることができるようになる。つまり、従来のものに比べて、ガスの混合を予めパネル体2の内部で十分に行うことができ、その後段のガス混合器MIXの容量を小さくしたり、場合によってはこれを省略したりすることも可能になる。そしてその結果、応答性を格段に向上させることが可能になる。また、そのことにより、立ち上がり時等のガス濃度安定性も向上させることができるようになる。
【0080】
さらに、枝流路R1内のガスがたとえ小流量であっても、これを主流路R2に確実に引き込むことができるので、この点からも、最終的な混合ガスの濃度安定性をより向上させることができる。
【0081】
しかも、従来と構造的に大きく異なるのは、枝流路用ブロック体31から所定長さの突出配管311を突出させる部分だけであるため、構造上の複雑化をほとんど招かないし、組み立て状態では、この突出配管311が内部に隠れてしまうので、従来のものと外形的にコンパチブルなものにすることができる。
【0082】
加えて、各ブロック体31(1)、32の対向する平面間で、シール部材6を挟み込ませたスラストシール構造を採用しているので、接続部分CNにおける確実なガス漏洩防止をも簡単に図れる。
【0083】
なお、本実施形態を変形させても構わない。例えば、突出配管の外径は、少なくとも主流路の内径より小さければよく、主流路への突出寸法も、今回は主流路の中央付近が好ましいものであったが、ガス流量との兼ね合いで混合に最適なものに設定すればよい。
【0084】
さらに、各突出配管の内径(より好ましくはマスフローコントローラ以降の枝流路の内径)を、各ガスの流量に応じて設定する(流量が少ないほど内径を小さくする)ようにしてもよい。このことにより、小流量ガスでも流速を他のガスと同等にして到達時間を短縮できるため、各ガスの主流路での合流タイミングの同時性を向上させることができる。つまり、ガス流量に左右されず、より短時間で混合ガスを供給できるようになる。
【0085】
また、突出配管は円筒状に限られず、多角形状の筒でもよいし、その他の形状も種々考えられる。
加えて、突出配管は、枝流路用ブロック体に一体的に設けるだけでなく、枝流路用ブロック体とは別々に設けておいて、組み立てるようにしても構わない。
【0086】
ブロック体も、方形状のみならず例えば円板状のものでもよい。ただし、スラストシール構造のためには、対向箇所に平面部を有しているものが好ましい。
【0087】
<第3実施形態>
以下に本発明の第3実施形態について図11〜図14を参照して説明する。
【0088】
この実施形態に係る立体集積型ガスパネル装置1は、半導体製造システムの一部を構成するものであり、その概要を図11に示すように、成膜用の各種ガスを図示しないガス供給源からそれぞれ導入し、それらを混合して半導体の成膜チャンバ(図示しない)に供給するために用いられる。
【0089】
そこでこの立体集積型ガスパネル装置1について、まず、その流体回路構造を、周辺回路も含め、図12を参照しながら説明する。
【0090】
この立体集積型ガスパネル装置1には、回路的にみて並列させた複数の枝流路R1と、それら各枝流路R1の出口が接続された1本の主流路R2と、それら枝流路R1及び主流路とを連通する複数の中間流路R3が設けられている。
【0091】
各枝流路R1は、その基端にそれぞれインレットポートPIが接続されたものであり、このインレットポートPIに接続した外部配管(図示しない)を介して前記ガス供給源から、数種類のガスが各枝流路R1にそれぞれ送り込まれる。各枝流路R1の途上には、バルブVやマスフローコントローラMFCなどのガス制御機器が配されており、それらの動作によって、各枝流路R1を流れるガス流量やパージガスへの切替などをそれぞれ制御できるようにしている。
【0092】
中間流路R3は、各枝流路R1の先端(出口)にそれぞれ連続して接続されて主流路R2に各枝流路R1を連通させるものである。
【0093】
主流路R2は、前述したように1本の単一流路構造をなすものである。そしてこの実施形態では、この主流路R2の下流、すなわち立体集積型ガスパネル装置1の下流に、合流したガスを攪拌混合するガス混合器MIXが配置されており、さらにその下流に、ガス混合器MIXで混合されたガスを、所定流量比率に分配してアウトレットポートPOから各成膜チャンバに出力する流量比率制御器FRCが設けてある。なお、これらガス混合器MIXや流量比率制御器FRC、アウトレットポートPOなどは、図11には示されていない。
【0094】
このような構成によって、各ガス供給源から供給されたガスは、この立体集積型ガスパネル装置1の枝流路R1においてそれぞれ流量制御された後、中間流路R3を経て主流路R2に導入され、その後、ガス混合器MIXで十分に混合されて、流量比率制御器FRCから所定の流量比で各アウトレットポートPOからそれぞれ出力される。
【0095】
なお、図12には、主流路R2、枝流路R1の他に、前述したパージガスの流路やそのインレットポートPX、アウトレットポートPYなども記載されている。また、符号MFMで示す部材は、マスフローコントローラMFCの示す流量が正しいかどうかを確認するためのベリファイヤである。
【0096】
次に、この立体集積型ガスパネル装置1の物理的な構成について、図11、図13を参照しながら説明する。
【0097】
この立体集積型ガスパネル装置1は、一の枝流路R1が内部に形成された長尺平板パネル状をなす枝流路用ブロック体3と、主流路R2や中間流路R3が形成された正多角柱状(ここでは正八角柱状)をなす中心ブロック体4と、前記枝流路用ブロック体3に取り付けられた前記ガス制御機器V、MFCと、さらにインレットポートPIなどの付属配管具とを備えている。ここで一の枝流路R1とは、複数ある枝流路のうちの1つという意味である。
【0098】
枝流路用ブロック体3は、ここでは扁平な方形平板状をなすブロック体要素31を複数直列させて構成している。このブロック体要素31には、バルブ搭載用のものやマスフローコントローラ搭載用のものなど、内部配管の異なるものが若干種ある。もちろん、この枝流路用ブロック体3を分割せず、一枚ものの構成にしても構わない。
【0099】
中心ブロック体4は、上述したように、軸線を中心とした回転対称形である正八角柱状をなすものであり、保持面であるその各側周面41に、各枝流路用ブロック体3の取付面である底面3aをそれぞれ対向させて保持している。
【0100】
この中心ブロック体4の一方の端部には、その軸線C上に沿って主流路R2が設けられている。この主流路R2の先端(前記端部側の一端)には、外部配管との接続のための出口ポートPが取り付けられて中心ブロック体4の端面4aから突出している。また、この主流路R2の基端(前記端部と反対側の一端)には、合流部位CNが設定されていて、この合流部位CNから前記軸線Cと垂直に、かつ中心ブロック体4の各側周面41に向かって放射状に中間流路R3が延伸されている。これら中間流路R3は、互いに等しい長さを有する。
【0101】
このようなものであれば、各枝流路R1から主流路R2への流路長(中間流路R3の長さ)が等しく、しかも主流路R2の一箇所に設けた合流部位CNで中間流路R3の全てが合流するため、各枝流路R2から最終出口ポートPまでの距離が等しくなる。このことにより各ガスの到達時間の同時性を格段に向上させることができる。
【0102】
また、主流路R2が、出口ポートPの近傍である中心ブロック体4の端部に位置してその距離が非常に短いことから、応答性に非常に優れたものとなる。これは、立体的な構造特性を活かした効果であるといえる
【0103】
さらに従来平面状に展開していた種々の部材を立体的に配置しているので、コンパクト化も可能である。
【0104】
なお、本実施形態を変形させることはもちろん可能である。
【0105】
例えば、同時性をさらに向上させるには、ガス流量に応じて中間流路の径や、枝流路における特にマスフローコントローラ以降の流路径を異ならせる(ガス流量の小さいものほど径を小さくする)ようにすればよい。その他に、中間流路の長さをガス流量に応じて異ならせる(ガス流量の小さいものほど長さを短くする)ことも可能である。この場合は、例えば、中間ブロック体を回転対称形のままにしておいて、合流部位を中間ブロック体の軸線から偏位させるようにしたり、あるいは、中間ブロック体自身が異形状をなすものにしたりして、中間流路の長さを異ならせるようにすればよい。
【0106】
さらにこの中心ブロック体について言えば、単一構造のものに限られず、複数のブロック体要素を組み合わせて構成できるようにしてもよい。また、形状で言えば正多角柱に限られず、要は、各保持面41によって、軸線を中心とした複数回転対称形が構成されるものであればよい。例えば図14に示すものが挙げられる。
【0107】
また、製造都合や形状的な制限などから、合流箇所を一箇所にせず、応答性の影響が実質的に問題にならない範囲において、主流路上で若干ずらした複数個所に設けてもよい。
【0108】
その他本発明は、以上の各実施形態で述べた構成の一部を適宜組み合わせても構わないし、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブやマスフローコントローラ等のガス制御機器が途上に設けられて内部を流れるガスを制御できるように構成された複数の枝流路と、
それら枝流路からのガスが流れ込んで合流する1本の主流路と、
一の枝流路が内部に形成された、底面を取付面とする長尺パネル状をなす枝流路用ブロック体と、
側周面に形成した保持面で複数の枝流路用ブロック体をそれらの長手方向が互いに平行となるように保持する中心ブロック体と、を備え、
前記中心ブロック体に前記主流路を形成するとともに、その主流路に設定した合流部位から、当該中心ブロック体の側周面に取り付けた枝流路用ブロック体の枝流路に向かってそれぞれ延びる中間流路を形成するようにしている立体集積型ガスパネル装置。
【請求項2】
前記合流部位が主流路の一箇所に設定されている請求項1記載の立体集積型ガスパネル装置。
【請求項3】
前記各保持面によって中央ブロック体の軸線を中心とした回転対称形が構成されるとともに、前記合流部位が前記軸線上に設けられて各中間流路が互いに等しい長さに設定されている請求項2記載の立体集積型ガスパネル装置。
【請求項4】
前記主流路が、前記軸線上に沿って設けられている請求項1記載の立体集積型ガスパネル装置。
【請求項5】
前記中心ブロック体が正多角柱状をなすものである請求項1記載の立体集積型ガスパネル装置。
【請求項6】
前記ガスが半導体製造プロセスに用いられるものである請求項1記載の立体集積型ガスパネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−229807(P2012−229807A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−132362(P2012−132362)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【分割の表示】特願2008−530925(P2008−530925)の分割
【原出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】