説明

集積型薄膜光電変換装置とその製造方法

【課題】高い変換特性を有する集積型薄膜光電変換装置を、高生産性かつ低コストで提供する。
【解決手段】本発明の集積型薄膜光電変換装置は、透光性基板(1)上に順次積層された、透明導電層(2);レーザ光吸収層(3);光反射性の金属層を含む裏面電極層(4);半導体光電変換層(5);および透明電極層(6)を含み、受光面透明電極層側から光が入射されるタイプの集積型薄膜光電変換装置である。これらの層の各々は複数の短冊状光電変換セル領域(A)に分割されており、かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されている。互いに隣接する光電変換セル間において、一方のセルの裏面電極領域は第1種分割線溝、透明導電層、および第3種分割線溝を介して他方のセルの受光面透明電極領域に電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上の薄膜光電変換層が複数のセルに分割されかつそれらのセルが電気的に直列接続された集積型薄膜光電変換装置とその製造方法の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、薄膜光電変換装置の典型例である薄膜太陽電池も多様化し、従来の非晶質薄膜太陽電池の他に結晶質薄膜太陽電池も開発され、これらを積層したハイブリッド型(積層型の一種)薄膜太陽電池も実用化されている。
【0003】
薄膜太陽電池は、一般に少なくとも表面が絶縁性の基板上に順に積層された透明導電膜、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、および裏面電極とを含んでいる。そして、1つの光電変換ユニットは、p型層とn型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。
【0004】
光電変換ユニットの厚さの大部分は実質的に真性の半導体層であるi型層によって占められ、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。したがって、光電変換層であるi型層の膜厚は光吸収のためには厚いほうが好ましいが、必要以上に厚くすればその堆積のためのコストと時間が増大することになる。
【0005】
他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役目を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜太陽電池の重要な特性の1つである開放端電圧の値が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換には寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与せず損失となる。したがって、p型とn型の導電型層の膜厚は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。
【0006】
上述のような光電変換ユニットは、それに含まれるp型とn型の導電型層が非晶質か結晶質かに関わらず、i型の光電変換層が非晶質なものは非晶質光電変換ユニットと称され、i型層が結晶質のものは結晶質光電変換ユニットと称される。非晶質光電変換ユニットを含む薄膜太陽電池の一例として、i型光電変換層に非晶質シリコンを用いた非晶質薄膜シリコン太陽電池が挙げられる。また、結晶質光電変換ユニットを含む薄膜太陽電池の一例として、i型光電変換層に微結晶シリコンや多結晶シリコンを用いた結晶質薄膜シリコン太陽電池が挙げられる。
【0007】
一般に、光電変換層に用いられている半導体においては、光の波長が長くなるに従って光吸収係数が小さくなる。特に、光電変換材料が薄膜である場合には、吸収係数の小さな波長領域において十分な光吸収が生じないために、光電変換量が光電変換層の膜厚によって制限されることになる。そこで、光電変換装置内に入射した光が外部に逃げにくい光散乱構造を形成することによって、実質的な光路長を長くして十分な吸収を生じさせ、これによって大きな光電流を発生させる工夫がなされている。例えば、光散乱透過を生じさせるために、表面凹凸形状を含むテクスチャ透明導電膜が用いられている。
【0008】
ところで、大面積の薄膜光電変換装置は、通常では集積型薄膜光電変換モジュールとして形成される。すなわち、集積型薄膜光電変換モジュールは、支持基板上で小面積に区切られた複数の光電変換セルを電気的に直列接続した構造を有している。それぞれの光電変換セルは、一般的には、第1の電極層、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、および第2の電極層の形成とレーザビームによるパターニングとを順次行うことによって形成されている。
【0009】
すなわち、集積型薄膜光電変換装置においては、レーザビームによる加工技術がその光電変換装置の生産性や光電変換性能に重要な影響を及ぼす。一般に、このレーザビーム加工技術において、レーザ光を吸収しやすい半導体光電変換層を複数の領域に分割加工することは容易である。他方、レーザ光を反射する金属層やレーザ光を透過しやすい透明導電層においては、それらを単独で分割加工することは容易ではない。
【0010】
図6は、特許文献1に開示された集積型薄膜光電変換装置の作製方法を模式的な断面図で図解している。なお、本願の図面において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を示している。また、本願の図面においては、長さ、幅、厚さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。特に厚さ関係が、適宜に変更されて描かれている。
【0011】
図6(a)において、まず透明ガラス基板1上に透明な酸化錫層2、レーザ光吸収層3、裏面電極層4が順次積層される。透明酸化錫層2は、熱CVD法によって堆積され得る。そのような透明酸化錫層2は微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を有し、その表面テクスチャ構造を裏面電極層4の表面に伝えてその表面での光乱反射によって半導体光電変換層内での光吸収効率を高めるために設けられる。レーザ光吸収層3としては、非晶質シリコン(a−Si)層がプラズマCVD法によって堆積される。裏面電極層4としては、マグネトロンスパッタリング装置を用いてAg層が堆積される。
【0012】
図6(b)において、スパッタリング反応室から取出された基板はX−Yテーブル上にセットされ、透明ガラス基板1側から入射されるレーザビームLB1を用いて複数の分割線溝D1を形成することによって、透明酸化錫層2、レーザ光吸収層3、および金属の裏面電極層4の積層が複数の領域に分割される。レーザビームLB1は透明ガラス基板1および透明酸化錫層2を通してレーザ光吸収層3によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、透明酸化錫層2および裏面電極層4を比較的容易に同時に分割加工することができる。このように形成された複数の分割線溝D1は互いに平行であって、図面の紙面に直交する方向に延びている。
【0013】
図6(c)において、分割された裏面電極層4および分割線溝D1を覆うように、半導体光電変換層5がプラズマCVD装置を用いて堆積される。
【0014】
図6(d)において、プラズマCVD反応室から取出された基板はX−Yテーブル上にセットされ、半導体光電変換層5側から入射されるYAGレーザビームLB2を用いて複数の分割線溝D2を形成することによって、その半導体光電変換層5が複数の光電変換領域に分割される。これらの分割線溝D2の各々は、分割線溝D1に近接しかつそれに平行である。
【0015】
図6(e)において、分割された半導体光電変換層5と分割線溝D2を覆うように、受光面透明電極層6が堆積される。この受光面透明電極層6は、電子ビーム蒸着装置内でITO(インジウム錫酸化物)層を堆積することによって形成され得る。
【0016】
最後に、図6(f)において、電子ビーム蒸着装置から取出された基板はX−Yテーブル上にセットされ、受光面透明電極層6側から入射されるYAGレーザビームLB3を用いて複数の分割線溝D3を形成することによって、その受光面透明電極層6が複数の領域に分割される。この場合、受光面電極層6は透明であるが、下層にレーザ光を吸収しやすい半導体光電変換層5が存在しているので、その半導体光電変換層5からの発熱をも利用して、その受光面透明電極層6を比較的容易に分割加工することができる。こうして、集積型薄膜光電変換装置が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平10−79522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述の特許文献1によれば、図6(b)におけるように、レーザビームLB1は透明ガラス基板1および透明酸化錫層2を通してレーザ光吸収層3によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、透明酸化錫層2と金属の裏面電極層4を比較的容易に同時に分割して分割線溝D1を形成することができる。
【0019】
また、図6(d)におけるように、レーザビームLB2は半導体光電変換層5側から入射されるので、半導体光電変換層5を比較的容易に分割して分割線溝D2を形成することができる。しかし、分割線溝D2内において、半導体光電変換層5からの発熱や裏面電極層4に到達したレーザビームLB2によって、裏面電極層4がダメージを受けることがあり得る。その場合、完成後の薄膜光電変換装置において、シャント抵抗の低下やシリーズ抵抗の増大を生じて光電変換性能の低下を来たすこともある。
【0020】
さらに、図6(f)におけるように、レーザビームLB3は受光面透明電極層6を通して半導体光電変換層5に照射されるので、その半導体光電変換層5からの発熱をも利用して、受光面透明電極層6を比較的容易に分割して分割線溝D3を形成することができる。しかし、分割線溝D3の深さを半導体光電変換層5の途中でとどめることは困難である。したがって、分割線溝D2の場合に類似して、分割線溝D3内においても、半導体光電変換層5からの発熱や裏面電極層4に到達したレーザビームLB3によって、裏面電極層4がダメージを受けることがあり得る。そして、完成後の薄膜光電変換装置において、シャント抵抗の低下やシリーズ抵抗の増大を生じて光電変換性能の低下を来たすこともある。
【0021】
上述のような特許文献1における問題を回避するためには、レーザパワーの安定性や高い照射位置精度などが求められ、高精度のレーザ発振機や複雑な光学系が必要となる。他方、このようなレーザ加工における困難性に鑑みて、レーザパターニングの代わりに化学エッチングやリフトオフ法などが用いられる場合もある。しかし、その場合には、工程の複雑化や分割線溝の精度の低下が懸念される。そして、これらのいずれの場合においても、集積型薄膜光電変換装置の製造コストの上昇をも招くことになる。
【0022】
上述のような先行技術における状況に鑑み、本発明は、全ての分割線溝をレーザ加工によって高い生産性で行うことが可能で、かつ光電変換特性、および信頼性に優れた積層型薄膜光電変換装置を低コストで提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明による集積型薄膜光電変換装置は、透光性基板1上に順次積層された透明導電層2、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換層5、および受光面透明電極層6を含み、これらの層の各々は平行に設けられた複数の各分割線溝によって複数の短冊状光電変換セル領域に分割されており、かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されている集積型薄膜光電変換装置である。裏面電極層4は、光反射性の金属層を含むことが好ましい。
【0024】
本発明の光電変換装置において、レーザ光吸収層3はレーザ光吸収層3を貫通する複数の第1種分割線溝D0によって複数の短冊状領域に分割されている。半導体光電変換層5はレーザ光吸収層3、裏面電極層4、および半導体光電変換層5を貫通する複数の第3種分割線溝D2によって複数の短冊状光電変換領域に分割されている。受光面透明電極層6はレーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換層5、および受光面透明電極層6を貫通する複数の第4種分割線溝D3によって複数の短冊状受光面透明電極領域に分割されている。そして、互いに隣接する光電変換セル間において、一方のセルの裏面電極領域は第1種分割線溝D0、透明導電層2、および第3種分割線溝D2を介して他方のセルの受光面透明電極領域に電気的に接続されており、これによってそれらの光電変換セルが電気的に直列接続されている。
【0025】
本発明の実施形態2においては、図3に示すように、裏面電極層4は、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通する複数の第6種分割線溝D5によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されている。そして、透明導電層2は透明導電層2を貫通する複数の第5種分割線溝D4によって複数の短冊状受光面透明導電領域に分割されている。すなわち、本発明の実施形態2は、透明導電層2を貫通する第5種分割線溝D4と、透明導電層2を貫通せずにレーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通する第6種分割線溝D5を有している。
【0026】
本発明の実施形態2においては、複数の光電変換セルが電気的に直列接続される観点から、前記の各分割溝は、第6種分割線溝D5、第5種分割線溝D4、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第1種分割線溝D0の順、若しくは、図3に示すように、第6種分割線溝D5、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第1種分割線溝D0、第5種分割線溝D4の順に並んでいるものが挙げられる。また、図7〜11に示すように、第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5とが接続しており、これに第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第1種分割線溝D0の順に並んでいるものも、本発明の実施形態2に含まれる。
【0027】
本発明の実施形態2Bにおいては、図3に示すように、各分割線溝は、第6種分割線溝D5、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第1種分割線溝D0、第5種分割線溝D4の順に並んでいる。さらに、図4に示すように、レーザ光吸収層3は半導体のpn接合またはpin接合を含み、レーザ光吸収層3のpn接合またはpin接合と、半導体光電変換層5のpin接合は、裏面電極層4を挟んで、逆導電型層同士が対向するように形成されている。
【0028】
上記実施形態2Bによれば、光電変換セル領域が電気的に直列接続され、かつ一方の光電変換セル領域の裏面電極領域は、第1種分割線溝D0、透明導電層2、およびレーザ光吸収層3を介し他方の光電変換セル領域の裏面電極領域に電気的に接続される。そのため、各光電変換セル領域内に透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4が接続されたダイオード領域が形成され、該ダイオード領域と、同一光電変換セル領域内の光電変換領域とが、電気的に並列かつ逆方向の整流特性をもつよう接続されている。
【0029】
なお、本発明による集積型薄膜光電変換装置は受光面透明電極層6上にグリッド金属電極配線7を付加的に含むこともでき、その場合には第4種分割線溝D3はグリッド金属電極配線7をも貫通している。
【0030】
本発明による集積型薄膜光電変換装置を製造する方法においては、分割線溝のすべてが透光性基板1側からレーザビームを照射することによって形成されることが好ましい。このように一方向からレーザビームを照射することで、異なるレーザ加工の間で基板の表裏を反転させる必要がなくなり、基板反転のための装置と作業が不要となることに加えて、位置合わせを容易にし、加工精度の向上にも寄与することができる。
【0031】
また、好ましくは、分割線溝の形成において、透光性基板1が、透明導電層2よりも鉛直上方に位置した状態で、すべての分割線溝が形成される。このように透光性基板1が上方となるようにすると、レーザビームを上方から照射することとなり、裏面電極層等の各層を加工する際に生じた飛沫は、レーザにより光電変換装置の外部に排出されるとともに、重力によって下方に落下するために、光電変換装置に戻ってくることが抑制される。そのため、飛沫によるショート等の光電変換性能の低下が抑制される。
【0032】
また、本発明の製造方法の一実施形態においては、透明導電層2を貫通しない溝、すなわち、実施形態2においては第1種、第3種、第4種および第6種の分割線溝D0、D2,D3,D5が、透明導電層2を透過するレーザビームを用いて形成される。かかる実施形態の一例において、レーザ光吸収層3がシリコン系半導体を含み、これらの透明導電層2を貫通しない溝は例えばYAGレーザの第2高調波のビームを用いて形成され得る。
【0033】
また、本発明の製造方法の別の一実施形態においては、透明導電層2を貫通する溝、すなわち、実施形態2においては第5種分割線溝D4が、透明導電層2に吸収されるレーザビームを用いて形成される。かかる実施形態の一例において、透明導電層2が透明導電性酸化物を含み、透明導電層2を貫通する溝はYAGレーザの基本波のビームを用いて形成され得る。
【発明の効果】
【0034】
以上のような本発明によれば、裏面電極層にダメージを与えることなくレーザビーム加工によって集積型薄膜光電変換装置を得ることができ、その光電変換特性を顕著に向上させることができる。また、本発明の製造方法によれば、レーザビーム加工において基板側からのビーム照射のみが行なわれるので、これによっても加工精度と光電変換特性の改善された集積型薄膜光電変換装置を高い生産性と低いコストで得ることができる。
【0035】
さらに、本発明の実施形態2Bによれば、レーザ光吸収層に整流特性を持たせてバイパスダイオードとして利用することができるため、各光電変換セル領域内において、該バイパスダイオード領域と光電変換領域とが、電気的に並列かつ逆方向の整流特性をもつよう接続され、ホットスポット現象による外観劣化や、性能低下が生じ難く、信頼性の高い集積型薄膜光電変換装置を容易に低コストで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】参考実施形態1による積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。
【図2】参考実施形態1による積層型薄膜光電変換装置の一例を示す模式的斜視図である。
【図3】実施形態2による積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。
【図4】実施形態2Bによる積層型薄膜光電変換装置におけるレーザ光吸収層および半導体光電変換層の積層形態を説明するための模式的断面図である。
【図5】実施形態2Bによる積層型薄膜光電変換装置の模式的断面図(a)およびその等価回路(b)である。
【図6】従来の積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。
【図7】実施例6における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。
【図8】実施例7における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。
【図9】実施例8における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。
【図10】実施例9における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。
【図11】実施例12における積層型薄膜光電変換装置の製造工程を説明するための模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[参考実施形態1]
図1において、参考実施形態1による集積型薄膜光電変換装置の作製方法の一例が模式的な断面図で図解されている。
【0038】
まず、図1(a)において、ガラスなどの透光性基板1上に透明導電層2とレーザ光吸収層3が順次積層される。透明導電層2は、例えば酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウムなどの透明導電性酸化物(TCO)で形成することができる。また、レーザ光吸収層3は、例えば非晶質シリコン、非晶質シリコン合金、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどの半導体によって形成することができる。
【0039】
図1(b)において、レーザ光吸収層3は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB0によって形成される複数の第1種分割線溝D0によって複数の領域に分割される。このように形成された複数の第1種分割線溝D0は互いに平行であって、図面の紙面に直交する方向に延びている。
【0040】
図1(c)において、分割されたレーザ光吸収層3および第1種分割線溝D0を覆うように裏面電極層4が積層される。この裏面電極層4は、例えば銀、アルミニウムなどの金属を利用して形成することができる。また、裏面電極層4は、レーザ光吸収層3に近い側から、第一の透明導電層、金属層、および第二の透明導電層を順に含むことが好ましい。このように、透明導電層を有することで、裏面電極層4とレーザ光吸収層3および、裏面電極層4と半導体光電変換層5の密着力が高まり、光電変換特性を向上し得る。裏面電極層4の第一の透明導電層および第二の透明導電層としては、主として酸化亜鉛を含むものが好適に用いられる。
【0041】
図1(d)において、透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB1によって複数の領域に分割される。このとき、レーザビームLB1は、透明導電層2およびレーザ光吸収層3に吸収されて発熱を生じる。そして、その発熱によって裏面電極層4が比較的容易に分割されて、第2種分割線溝D1が形成され得る。こうして形成された複数の第2種分割線溝D1の各々は、第1種分割線溝D0に対して平行に延びている。
【0042】
図1(e)において、分割された裏面電極層4および第2種分割線溝D1を覆うように、半導体光電変換層5が積層される。この半導体光電変換層5は、その主面に平行な半導体接合(図示せず)を含んでいる。
【0043】
図1(f)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、および半導体光電変換層5は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB2aによって複数の領域に分割される。このとき、レーザビームLB2aは、レーザ光吸収層3に吸収されて発熱を生じる。そして、その発熱によって、裏面電極層4と半導体光電変換層5が比較的容易に分割され得る。こうして形成された複数の第3種分割線溝D2aの各々は、第2種分割線溝D1に対して近接しかつ平行に延びている。
【0044】
図1(g)において、分割された半導体光電変換層5および第3種分割線溝D2aを覆うように、受光面透明電極層6が堆積される。
【0045】
最後に、図1(h)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換層5、および受光面透明電極層6は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB3aによって複数の領域に分割される。このとき、レーザビームLB3aは、レーザ光吸収層3に吸収され発熱を生じる。そして、その発熱によって、裏面電極層4、半導体光電変換層5、および受光面透明電極層6が比較的容易に分割され得る。こうして形成された複数の第4種分割線溝D3aの各々は、第3種分割線溝D2aに対して近接しかつ平行に延びている。
【0046】
以上のようにして、1つの透光性基板1上に、複数の細長い短冊状の薄膜光電変換セルが形成される。1つのセルの裏面電極層4は第1種分割線溝D0を介して透明導電層2に接続されており、また受光面透明電極層6は第3種分割線溝D2aを介して隣接するセルの透明導電層2に接続されている。すなわち、隣接する短冊状のセルは、互いに電気的に直列に接続されている。なお、図1(h)においては図面の簡略化のために1つの基板上に限られた数の光電変換セルのみが示されているが、通常はさらに多くの光電変換セルが形成される。また、図面の明瞭化のために、各層の厚さが適宜にかつ顕著に拡大されて示されていることに留意されたい。
【0047】
上述のように、図1に示された集積型薄膜光電変換装置においては、レーザ光吸収層3を分割する第1種分割線溝D0を備えているので、その分割線溝D0を介して透明導電層2と裏面電極層4とが電気的に接続され得る。このことによって、半導体光電変換層5を分割するためのレーザビームLB2aおよび受光面透明電極層6を分割するためのレーザビームLB3aを透光性基板1側から入射させることが可能となる。その結果、参考実施形態1においては、先行技術による図6(d)におけるような分割線溝D2内で裏面電極層4へのダメージを回避でき、図6(f)におけるように分割線溝D3の深さを半導体光電変換層5の途中までに設定する必要もなくかつ分割線溝D3に沿って裏面電極層4にダメージを与えることもない。
【0048】
また、参考実施形態1においては、利用されるすべてのレーザビームLB0、LB1、LB2a、LB3aを透光性基板1側から入射させることができるので、異なるレーザ加工の間で基板の表裏を反転させる必要がない。そして、基板反転のための装置と作業が不要であることは、特に大面積の基板上に集積型薄膜光電変換装置を作製する場合に、生産性の改善とコスト低減に寄与し得る。さらに、異なるレーザ加工の間で基板を反転させる必要がないことは、異なるレーザ加工の間における位置合わせを容易にし、加工精度の向上にも寄与することができる。
【0049】
特に大面積の光電変換装置の作製においては、基板の表裏を反転させるために規模の大きい装置を必要とする上に、高精度の位置合わせが困難であることから、裏表を反転させる必要がない本願発明の構成を適用することの利点が大きい。かかる観点から、本発明の光電変換装置は大面積であることが好ましい。具体的には、基板サイズは910mm×455mm(0.41m)以上、好ましくは、0.5m以上、より好ましくは1000mm×1000mm(1.0m)以上、さらに好ましくは1000mm×1300mm(1.3m)以上、あるいは1000mm×1400mm(1.4m)以上、特に好ましくは1200mm×1200mm(1.44m)以上である。適用し得る基板サイズに上限は無く、例えば2000mm×2000mm(4.0m)以上の基板に本発明の構成を適用することも可能である。
【0050】
また、図1(a)〜(h)においては、集積型薄膜光電変換装置の製造工程の理解を容易とする観点から、透光性基板1が透明導電層2よりも下方となるように図示したが、レーザビームの照射を、透光性基板1が、透明導電層2よりも鉛直上方に位置する状態で分割線溝の形成を行うことが好ましい。レーザビームの照射により分割線溝を形成する際に、裏面電極層等の各層の加工により生じた飛沫は、レーザにより光電変換装置の外部に排出されるが、透光性基板1側を上方として、上方からレーザビームを照射することによって、飛沫は重力によって下方に落下し、光電変換装置内に戻ってくることが抑制される。そのため、加工時の飛沫に起因するショート等の光電変換性能の低下が抑制される。
【0051】
参考実施形態1の一応用例によれば、図2の模式的斜視図に示されているような集積型薄膜光電変換装置を作製することも可能である。この集積型薄膜光電変換装置の作製においては、受光面透明電極層6上にグリッド金属電極配線7を形成した後に、透光性基板1側からレーザビームLB3aを入射させることによって第4種分割線溝D3aを形成し、これによってグリッド金属電極配線7がセルごとに分割される。図2の集積型薄膜光電変換装置においては、比較的抵抗率の高い受光面透明電極層6からグリッド金属電極配線7に電荷を集電して効率的に輸送することができるので、直列抵抗成分の低減が可能となり、各セルの幅を広くすることも可能となる。そして、各セルの幅を広くすることは、分割線溝D0、D1、D2a、D3aの本数を低減させることになり、レーザ加工が簡略化され得る。
【0052】
以上のように、参考実施形態1によれば、光電変換特性の優れた積層型薄膜光電変換装置が、高い加工精度、高い生産効率、および低いコストで提供され得る。
【0053】
[実施形態2]
図3において、実施形態2による集積型薄膜光電変換装置の作製方法が模式的な断面図で図解されている。
【0054】
実施形態2は、参考実施形態1と同様に、透光性基板1上に順次積層された透明導電層2、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換層5、および受光面透明電極層6を含み、これらの層の各々は平行に設けられた複数の各分割線溝によって複数の短冊状光電変換セル領域に分割されており、かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されている。
【0055】
そして、レーザ光吸収層3がレーザ光吸収層3を貫通する複数の第1種分割線溝D0によって複数の短冊状領域に分割されている点、半導体光電変換層5がレーザ光吸収層3、裏面電極層4、および半導体光電変換層5を貫通する複数の第3種分割線溝D2によって複数の短冊状光電変換領域に分割されている点、受光面透明電極層6がレーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換層5、および受光面透明電極層6を貫通する複数の第4種分割線溝D3によって複数の短冊状受光面透明電極領域に分割されている点、および、互いに隣接する光電変換セル間において、一方のセルの裏面電極領域が第1種分割線溝D0、透明導電層2、および第3種分割線溝D2を介して他方のセルの受光面側透明電極領域に電気的に接続されている点において、参考実施形態1と構成が共通している。
【0056】
実施形態2において、透光性基板1、透明導電層2、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換層5、および受光面透明電極層6は、参考実施形態1の説明において記載したのと同様のものを同様の方法により形成することができる。
【0057】
前記参考実施形態1においては、透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通する第2種分割線溝D1によって裏面電極層4が複数の短冊状裏面電極領域に分割されているのに対して、実施形態2においては、これに代えて、透明導電層2を貫通する第5種分割線溝D4と、レーザ光吸収層3および前記裏面電極層4を貫通する第6種分割線溝D5を有している。そして、透明導電層2は、複数の第5種分割線溝D4によって複数の短冊状透明導電領域に分割されており、裏面電極層4は、複数の第6種分割線溝D5によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されている。
【0058】
図3において、実施形態2による集積型薄膜光電変換装置の作製方法の一例が模式的な断面図で図解されている。以下、図3における集積型薄膜光電変換装置の作製方法について説明する。なお、図3において、図1と同一の参照符号は前記参考実施形態1と同一部分または相当部分を示している。以下の説明において、前記参考実施形態1と重複する内容についての記載は省略されている。
【0059】
まず、図3(a)において、ガラスなどの透光性基板1上に透明導電層2が積層される。その後、透明導電層2は透光性基板1側から入射されるレーザビームLB4によって形成される第5種分割線溝D4により複数の領域に分割される。ここで使用されるレーザビームLB4は透明導電層2に吸収されるものであり、これにより透明導電層2は比較的容易に分割加工され第5種分割線溝D4が形成される。このように形成された複数の分割線溝D4は互いに平行であって、図面の紙面に直交する方向に延びている。
【0060】
図3(b)において、分割された透明導電層2および第5種分割線溝D4を覆うようにレーザ光吸収層3が積層される。
【0061】
その後、レーザ光吸収層3は透光性基板1側から入射されるレーザビームLB0によって形成される第1種分割線溝D0により複数の領域に分割される。
【0062】
図3(c)において分割されたレーザ光吸収層3を覆うように裏面電極層4が積層される。
【0063】
図3(d)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4は透光性基板1側から入射されるレーザビームLB5によって形成される第6種分割線溝D5により複数の領域に分割される。ここで使用されるレーザビームLB5は透明導電層2に吸収されず、レーザ光吸収層3に吸収され発熱し、これによりレーザ光吸収層3、裏面電極層4は比較的容易に分割加工され第6種分割線溝D5が形成される。こうして形成された複数の分割線溝D5の各々は平行に延びている。
【0064】
図3(e)において、分割された裏面電極層4および第6種分割線溝D5を覆うように、半導体光電変換層5が積層される。
【0065】
図3(f)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、および半導体光電変換層5は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB2aによって複数の領域に分割される。
【0066】
図3(g)において、分割された半導体光電変換層5および分割線溝D2aを覆うように、受光面透明電極層6が堆積される。
【0067】
最後に、図3(h)において、レーザ光吸収層3、裏面電極層4、半導体光電変換層5、および受光面透明電極層6は、透光性基板1側から入射されるレーザビームLB3aによって複数の領域に分割される。
【0068】
また、実施形態2においては、前記参考実施形態1と同様に、第3種分割線溝D2内で裏面電極層4へのダメージを回避でき、かつ第4種分割線溝D3に沿って裏面電極層4にダメージを与えることもない。
【0069】
さらに、利用されるすべてのレーザビームLB4、LB0、LB5、LB2a、LB3aを透光性基板1側から入射させることができるため、レーザビームの照射を、透光性基板1が、透明導電層2よりも鉛直上方となるようにして分割線溝の形成を行うことで、加工時の飛沫によるショート等の光電変換性能の低下が抑制される。
【0070】
また、参考実施形態1と同様に、受光面透明電極層6上にグリッド金属電極配線7を形成した後に、透光性基板1側からレーザビームLB3aを入射させることによって第4種分割線溝D3aを形成し、これによってグリッド金属電極配線7をセルごとに分割することで、比較的抵抗率の高い受光面透明電極層6からグリッド金属電極配線7に電荷を集電して効率的に輸送することができ、直列抵抗成分の低減が可能となる。
【0071】
[実施形態2A]
実施形態2の一例として、前記第5種分割線溝(D4)と、前記第6種分割線溝D5が接続した実施形態2Aを採用することもできる。このように、第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5が接続した場合、これらの分割線溝は参考実施形態1における第2種分割線溝D1と等価なものとなる。一方で、参考実施形態1においては、第2種分割線溝D1が、透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を貫通するように形成されるのに対して、実施形態2においては、透明導電層2を貫通する第5種分割線溝D4と、レーザ光吸収層3および裏面電極層4を貫通する第6種分割線溝D5とが別に形成される。そのため、実施形態2においては、分割線溝D4、D5周辺部の加工断面が変質したり、その変質に起因して該分割線溝周辺部の膜が盛り上がる等の問題が抑制され、曲線因子を高く保つことが可能となる。このような実施形態の構成および製造例については、後の実施例において、より詳細に説明する。
【0072】
[実施形態2B]
実施形態2の別の例である実施形態2Bについて説明する。実施形態2Bにおいては、レーザ光吸収層3は半導体のpn接合またはpin接合を含んでいる。すなわち、図3(b)において、レーザ光吸収層3はpn接合、またはpin接合を含み、整流特性を有するように形成される。このレーザ光吸収層3のpn接合、またはpin接合は、半導体光電変換層5のpin接合と逆導電型層同士が対向するように形成される。すなわち、図4(a)に示すように、半導体光電変換層5のpin接合が、n型層5nを裏面電極層4側となるように形成されるものである場合、レーザ光吸収層3のpn接合またはpin接合は、p型層3pが裏面電極層4側となるように形成される。逆に、半導体光電変換層5のpin接合が、p型層5pを裏面電極層4側となるように形成されるものである場合、レーザ光吸収層3のpn接合またはpin接合は、n型層3nが裏面電極層4側となるように形成される。なお、図4(a)および図4(b)において、各分割線溝は省略されている。また、図示していないが、光電変換層5が複数のpin接合を有するタンデム型の光電変換層である場合は、光電変換層中の裏面電極層4に最も近接するpin接合と、レーザ光吸収層のpn接合またはpin接合とが、逆導電型層同士が対向するように形成されていればよい。
【0073】
実施形態2Bにおいては、各分割線溝は順に第6種分割線溝D5、第3種分割線溝D2、第4種分割線溝D3、第1種分割線溝D0、第5種分割線溝D4の順に並んでいる。
【0074】
実施形態2Bの薄膜光電変換装置の模式的断面図は図5(a)に示される。この薄膜光電変換装置の各光電変換セル領域Aにおいては、裏面電極領域、光電変換領域、および受光面透明電極領域が順に積層された光電変換機能領域Bを形成している。そして、互いに隣接する光電変換セル領域間において、一方の光電変換セル領域A1の裏面電極領域は第1種分割線溝D0、透明導電層2、および第3種分割線溝D2を介して隣接する光電変換セル領域A2の受光面透明電極領域に電気的に接続されている。これによって、複数の光電変換セル領域が電気的に直列接続されている。
【0075】
レーザ光吸収層3が半導体のpn接合またはpin接合を含むことから、各光電変換セル領域中の透明導電領域、レーザ光吸収領域、裏面電極領域が、ダイオード領域Cを形成している。一方の光電変換セル領域A1の裏面電極領域は、第1種分割線溝D0、透明導電層2、およびレーザ光吸収層3を介して、光電変換セル領域A2の裏面電極領域に電気的に接続されているため、複数の光電変換セル領域が、レーザ光吸収層3を介して隣接する光電変換セルに電気的に接続される。ダイオード領域C中のレーザ光吸収領域のpn接合またはpin接合と、光電変換機能領域B中の半導体光電変換領域のpin接合は、逆導電型層同士が対向するように形成されているため、同一の光電変換セル領域内においては、光電変換機能領域B1とダイオード領域C1とが電気的に並列接続される。その結果、ダイオード領域C1は、同一セル内の光電変換機能領域B1と整流特性が逆方向となっており、ダイオード領域C1はバイパスダイオードとして機能する。
【0076】
このような実施形態2Bの集積型薄膜光電変換装置の等価回路の一例が図5(b)に示されている。図5(b)に示すように、実施形態2Bの集積型薄膜光電変換装置においては、各光電変換セル領域Aの光電変換機能領域Bそれぞれにバイパスダイオード領域Cが接続されている。ダイオード領域Cのpn接合またはpin接合と、光電変換セル領域Aのpin接合とは、例えば、図4(a)に示すように、半導体光電変換層5が裏面電極層4側より、n型層5n、i型層5i、p型層5pと順に積層された半導体接合である場合、レーザ光吸収層3を、透明導電層2側よりn型層3n、i型層3i、p型層3pと順に積層された半導体接合とすればよい。また逆に、図4(b)に示すように、半導体光電変換層5が裏面電極層4側より、p型層5p、i型層5i、n型層5nと順に積層された半導体接合である場合、レーザ光吸収層3を、透明導電層2側よりp型層3p、i型層3i、n型層3nと順に積層された半導体接合とすればよい。これによって、ダイオード領域Cのpn接合またはpin接合と、光電変換機能領域Bのpin接合とは、逆導電型層同士が対向するように配置される。ここでレーザ光吸収層3は適当な方向の整流特性を持っていれば足り、i型層3iの存在しないpn接合、np接合も適宜選択され得る。
【0077】
前記した特許文献1(特開平10−79522号公報)のような従来の集積型薄膜光電変換装置においては、一部のセルに太陽光が照射されない影が生じた場合、そのセルには他のセルが発生する電圧が逆方向に印加されるため、局所的に逆耐電圧を超えて絶縁が破壊し、短絡状態となり大電流が流れ発熱を生じる、所謂「ホットスポット現象」が起こる場合がある。このようなホットスポット現象が生じると、集積型薄膜光電変換装置全体の外観の劣化や、出力特性の低下を招く。このような問題を回避するために、直列接続された複数の光電変換セルに対してバイパスダイオードを並列接続することが知られており、かかる構成によれば、一部の光電変換セルに影が生じたときでも、そのセルとは逆方向に並列接続されたバイパスダイオードの作用によって、そのセルに直列接続された他のセルで発生した出力電流を、セルの絶縁破壊なく流すことができるため、ホットスポット現象の発生を抑制することができる。一方で、光電変換装置の集積構造に新たにバイパスダイオード層を製膜し、それを各光電変換セルに並列接続することは、集積構造の複雑化や、製膜時間の大幅な増加によるコストの増加を招くという問題があった。
【0078】
これに対して実施形態2Bによれば、集積型薄膜光電変換装置を作製するためのレーザ光吸収層3がバイパスダイオード層を兼ね備えるため、ホットスポット現象による外観劣化や、性能低下が生じ難く、信頼性の高い集積型薄膜光電変換装置を容易に低コストで得ることができる。
【0079】
以上のように、実施形態2によれば、光電変換特性の優れた積層型薄膜光電変換装置が、高い加工精度、高い生産効率、および低いコストで提供され得る。さらに、実施形態2Bによれば、ホットスポット現象による外観劣化や、性能低下が生じ難く、信頼性の高い集積型薄膜光電変換装置が、高い加工精度、高い生産効率、および低いコストで提供され得る。
【実施例】
【0080】
上述のような実施形態に対応する具体的な例として、以下においていくつかの実施例が比較例と共に説明される。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0081】
[参考実施形態1に関する実施例]
(参考実施例1)
参考実施例1においては、図1に対応して集積型薄膜光電変換装置が作製された。まず、図1(a)において、透明ガラス基板1上に酸化錫の透明導電層2とレーザ光吸収層3を順次積層した。その透明導電層2は、熱CVD法によって約800nmの厚さに堆積された。こうして堆積された透明導電層2は、微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を有している。この表面テクスチャ構造は、後に堆積される裏面電極層4中の金属層表面に伝えられる。そして、その金属層表面における微細な表面凹凸は、光の乱反射を生じて、半導体光電変換層5内の光吸収効率を高めるように作用し得る。
【0082】
レーザ光吸収層3としては、非晶質シリコン(a−Si)層がプラズマCVD法によって200nmの厚さに堆積された。なお、レーザ光吸収層3は後の全てのレーザビーム加工を可能ならしめる厚さを有していればよく、この前提の下で適宜に選択された厚さを有し得る。
【0083】
図1(b)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB0を透明ガラス基板1側から照射することによって、レーザ光吸収層3を加工して分割線溝D0を形成した。ここで使用されるレーザビームLB0は、透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3を分割加工できればよい。例えばYAGレーザに関して、a−Siのレーザ光吸収層3は、第2高調波(波長532nm)の光をよく吸収し得る。他方、透明導電層2は、YAGレーザの基本波(波長1064nm)の赤外ビームをよく吸収する。しかし、YAGレーザの第2高調波(波長532nm)の光に関しては、透明導電層2はほぼ透明であって僅かに吸収するだけである。したがって、例えばYAGレーザの第2高調波であって12kW/cmのパワー密度と60μmの断面径を有するレーザビームLB0を照射することによって、透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3のみを分割加工することができる。
【0084】
このように、透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3を分割加工するためのレーザビームとしては、透明導電層2に対してほぼ透明で、かつ、レーザ光吸収層3に吸収されるものが好ましく、YAGレーザの第2高調波(波長532nm)の他に、例えば、これと同じ波長のレーザ光を射出するYVO4(イットリウム・バナデート)レーザの第2高調波や、略同じ波長のレーザを射出し得るファイバレーザ等を用いることができる。
【0085】
図1(c)において、分割されたレーザ光吸収層3および分割線溝D0を覆うように裏面電極層4を堆積させた。裏面電極層4としては、スパッタリング法を用いて第一の透明電極層である厚さ90nmの酸化亜鉛層、金属層である厚さ200nmの銀層、および第二の透明電極層である厚さ90nmの酸化亜鉛層を順次積層させた。裏面電極層4に含まれる酸化亜鉛層は、レーザ光吸収層3および後に堆積される半導体光電変換層5と銀層との密着強度向上および銀の反射率を高めるために好ましい。
【0086】
図1(d)において、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)の赤外レーザビームLB1を透明ガラス基板1側から照射し、透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を加工して分割線溝D1を形成した。前述のように透明導電層2はYAGレーザの基本波(波長1064nm)の赤外光を吸収して発熱し得るので、レーザビームLB1による透明導電層2およびレーザ光吸収層3の発熱によって、それらの層および裏面電極層4を比較的容易に同時に分割加工することができる。
【0087】
このように、透明導電層2およびその他の層を分割加工するためのレーザビームLB1としては、透明導電層2に吸収されるものが好ましく、YAGレーザの基本波(波長1064nm)の他に、例えば、これと同じ波長のレーザ光を射出するYVO4レーザの基本波や、略同じ波長のレーザを射出し得るファイバレーザ等を用いることができる。
【0088】
図1(e)において、分割された裏面電極層4および分割線溝D1を覆うように、半導体光電変換層5をプラズマCVD法により堆積した。その半導体光電変換層5は、順次積層された厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約300nmのi型a−Si:H(Hを含むa−Si)層、および厚さ約15nmのp型a−SiC:H(Hを含むa−SiC)層を含んでいる。すなわち、参考実施例1における半導体光電変換層5は、その主面に平行な一組のnip接合からなる単一の光電変換ユニットを含んでいる。
【0089】
図1(f)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB2aを透明ガラス基板1側から照射して分割線溝D2aを形成した。その波長532nmのレーザビームLB2aはレーザ光吸収層3および半導体光電変換層5によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、それらの層および裏面電極層4を比較的容易に同時に分割加工することができる。
【0090】
図1(g)において、分割された半導体光電変換層5および分割線溝D2aを覆うように、電子ビーム蒸着法によって酸化インジウムの受光面透明電極層6を約80nmの厚さに堆積した。
【0091】
図1(h)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB3aを透明ガラス基板1から照射して分割線溝D3aを形成した。波長532nmのレーザビームLB3aはレーザ光吸収層3および半導体光電変換層5によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、それらの層とともに裏面電極層4および受光面透明電極層6をも比較的容易に同時に分割加工することができる。
【0092】
参考実施例1において得られた集積型薄膜光電変換装置にリード線を接続し、環境温度25℃において、ソーラーシミュレータを用いてAM1.5の光を100mW/cmの強度で照射して光電変換特性を測定したところ、短絡電流密度が16.21mA/cm、一セルあたりの開放端電圧が0.891V、曲線因子0.727、そして光電変換効率が10.5%であった。
【0093】
(参考実施例2)
参考実施例2による集積型薄膜光電変換装置も図1に図解されている工程によって作製されたが、参考実施例1に比べて、下記事項(1)と(2)のみにおいて変更されていた。
【0094】
(1) 図1(a)の工程において、レーザ光吸収層3の厚さが200nmではなくて400nmの厚さに増大された。
【0095】
(2) 図1(e)の工程において、半導体光電変換層5は、下段のnip接合からなる下段光電変換ユニットと上段のnip接合からなる上段光電変換ユニットを含むタンデム型に変更された。この下段光電変換ユニットとして、厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約2μmのi型微結晶シリコン光電変換層、そして厚さ約15nmのp型微結晶Si層が順次積層された。他方、上段光電変換ユニットは、参考実施例1における光電変換ユニットと同じ条件で形成された。
【0096】
(参考実施例3)
参考実施例3においては、図2に対応する集積型薄膜光電変換装置が作製された。そして、参考実施例3の集積型薄膜光電変換装置の作製では、参考実施例2に比べて、図1(g)の工程において受光面透明電極層6上にアルミニウムのグリッド金属電極配線7が蒸着法によって付加的に形成されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、参考実施例3における半導体光電変換層5も、参考実施例2の場合と同様のタンデム型である。
【0097】
(参考実施例4)
参考実施例4においては、図1に図解されている工程によって、参考実施例2と同様に半導体光電変換層5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、図1(d)の工程において、レーザビームLB1として、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)を用いる代わりに、パワー密度60kW/cmのQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)を用いた点において参考実施例2と異なっていた。
【0098】
参考実施例1の図1(b)の工程等においては、12kW/cmのパワー密度を有するYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB0により、透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3のみを分割加工して第1種分割線溝D0が形成された。これに対して、参考実施例4においては、60kW/cmのパワー密度を有するYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームを用いることで、透明導電層2をも貫通する溝D1が形成された。このことから、透明導電層2は、YAGレーザの第2高調波(波長532nm)の光に対してはほぼ透明で、吸収はわずかであるために、YAGレーザの第2高調波のパワー密度が12kw/cmの場合は透明導電層2が加工されないのに対して、YAGレーザの第2高調波のパワー密度が60kW/cmと高い場合には、透明導電層に吸収されるQスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)を用いた場合と同様に、透明導電層2が分割加工されることがわかる。
【0099】
(参考実施例5)
参考実施例5においては、図1に図解されている工程によって、参考実施例2と同様に半導体光電変換層5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、図1(c)の工程において、裏面電極層4の第一の透明導電層がMOCVD法にて作製された点において参考実施例2と異なっていた。
【0100】
[実施形態2Aに関する実施例]
(実施例6)
実施例6においては、図7に図解されている工程によって、参考実施例2と同様に半導体光電変換層5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、下記の点において参考実施例2と異なっていた。
【0101】
参考実施例2における図1(d)の工程に代えて、図7(d1)のように透明導電層2、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4に透光性基板1側から入射されるQスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4aによって分割線溝D4aが形成された。さらに、図7(d2)のように分割線溝D4aの上から、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4をレーザビームLB4aよりもビーム径の大きいQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5aが照射され分割線溝D5aが形成された。
【0102】
これらの工程により、第5種分割線溝D4aおよび第6種分割線溝D5aが形成され、図7(f)に示すように、第5種分割線溝D4aと、第6種分割線溝D5aが接続しており、第5種分割線溝D4aは、第6種分割線溝D5aよりも溝の幅が狭く、かつ、第6種分割線溝D5aの内側に形成されている集積型薄膜光電変換装置が作製された。
【0103】
(実施例7)
実施例7においては、図8に図解されている工程によって、参考実施例2と同様に半導体光電変換層5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、下記の点において参考実施例2と異なっていた。
【0104】
参考実施例2における図1(d)の工程に代えて、図8(d1)のようにレーザ光吸収層3、および裏面電極層4に透光性基板1側から入射されるQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5bによって分割線溝D5bが形成された。さらに、図8(d2)のように分割線溝D5bの上から、透明導電層2をレーザビームLB5bよりもビーム径が小さいQスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4bが照射され分割線溝D4bが形成された。
【0105】
これらの工程により、第5種分割線溝D4bおよび第6種分割線溝D5bが形成され、図8(f)に示すように第5種分割線溝D4bと、第6種分割線溝D5bが接続しており、第5種分割線溝D4bは、第6種分割線溝D5bよりも溝の幅が狭く、かつ、第6種分割線溝D5bの内側に形成されている集積型薄膜光電変換装置が作製された。
【0106】
(実施例8)
実施例8においては、図9に図解されている工程によって、参考実施例2と同様に半導体光電変換層5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、参考実施例2に比べて、下記の(1)、(2)において異なっていた。
【0107】
(1) 参考実施例2における図1(a)の工程に代えて、図9(a1)のように透光性基板1上に透明導電層2が堆積された後に、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4cにより分割線溝D4cが形成され、その後、図9(a2)のようにレーザ光吸収層3が堆積された。
【0108】
(2) 参考実施例2における図1(d)の工程に代えて、図9(d)のように分割線溝D4cの上から、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4にレーザビームLB4cよりもビーム径の大きいQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5cが照射され分割線溝D5cが形成された。
【0109】
これらの工程により、第5種分割線溝D4cおよび第6種分割線溝D5cが形成され、図9(f)に示すように第5種分割線溝D4cと、第6種分割線溝D5cが接続しており、第5種分割線溝D4cは、第6種分割線溝D5cよりも溝の幅が狭く、かつ、第6種分割線溝D5cの内側に形成されている集積型薄膜光電変換装置が作製された。
【0110】
(実施例9)
実施例9においては、図10に図解されている工程によって、参考実施例2と同様に半導体光電変換層5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、参考実施例2に比べて、下記の(1)、(2)において異なっていた。
【0111】
(1) 参考実施例2における図1(a)の工程に代えて、図10(a1)のように透光性基板1上に透明導電層2が堆積された後に、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4dにより分割線溝D4dが形成され、その後、図10(a2)のようにレーザ光吸収層3が堆積された。
【0112】
(2) 参考実施例2における図1(d)の工程に代えて、図10(d)のように分割線溝D4dの上から、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4をレーザビームLB4dよりもビーム径の小さいQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5dが照射され分割線溝D5dが形成された。
【0113】
これらの工程により、図10(f)に示すように第5種分割線溝D4dと、第6種分割線溝D5dが接続しており、第6種分割線溝D5dは、第5種分割線溝D4dよりも溝の幅が狭く、かつ第5種分割線溝D4dの内側に形成されている集積型薄膜光電変換装置が作製された。
【0114】
(実施例10)
実施例10においては、図8に図解されている工程によって、実施例7と同様に半導体光電変換層5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、図8(d2)の工程において、レーザビームLB4bとして、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)を用いる代わりに、パワー密度60kW/cmQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)を用いた点において実施例7と異なっていた。
【0115】
(実施例11)
実施例11においては、実施例7と同様に半導体光電変換層5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、図8(g)の工程において受光面透明電極層6上にアルミニウムのグリッド金属電極配線7が蒸着法によって付加的に形成された点において実施例7と異なっていた。
【0116】
これによって、受光面透明電極層上にグリッド金属電極配線を含み、第4種分割線溝がグリッド金属電極配線を貫通している集積型薄膜光電変換装置が作製された。
【0117】
(実施例12)
実施例12においては、図11に図解されている工程によって、参考実施例2と同様に半導体光電変換層5がタンデム型である集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、参考実施例2に比べて、下記の(1)、(2)において異なっていた。
【0118】
(1) 参考実施例2における図1(a)の工程に代えて、図11(a1)のように透光性基板1上に透明導電層2が堆積された後に、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)のレーザビームLB4eにより分割線溝D4eが形成され、その後、図11(a2)のようにレーザ光吸収層3が堆積された。
【0119】
(2) 参考実施例2における図1(d)の工程に代えて、図11(d)のように第5種分割線溝D4eの近傍において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5eが照射され第6種分割線溝D5eが形成された。これらの工程により、図11(h)に示す集積型薄膜光電変換装置が作製された。
【0120】
参考実施例2〜5、および実施例6〜12において得られた集積型薄膜光電変換装置にリード線を接続し、参考実施例1の場合と同様にして光電変換特性を測定した。結果を表1に示す。
【0121】
[実施形態2Bに関する実施例]
(実施例13)
実施例13においては、図3に対応して集積型薄膜光電変換装置が作製された。まず、図3(a)において、透明ガラス基板1上に酸化錫の透明導電層2を積層した。透明導電層2は、熱CVD法によって約800nmの厚さに堆積された。こうして堆積された透明導電層2は、微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を有している。この表面テクスチャ構造は、後に堆積される裏面電極層4中の金属層表面に伝えられる。そして、その金属層表面における微細な表面凹凸は、光の乱反射を生じて、半導体光電変換層5内の光吸収効率を高めるように作用し得る。
【0122】
その後、QスイッチYAGレーザの基本波(波長1064nm)の赤外レーザビームLB4を透明ガラス基板1側から照射することによって、透明導電層2を加工して分割線溝D4を形成した。
【0123】
図3(b)おいて、分割された透明導電層2および分割線溝D4を覆うようにレーザ光吸収層3を堆積させた。このレーザ光吸収層3は、プラズマCVD法により順次積層された厚さ約20nmのn型a−Si層、厚さ約400nmのi型a−Si層、及び厚さ約15nmのp型a−Si層を含んでいる。すなわち、本実施例におけるレーザ光吸収層3はpin接合からなるダイオードを含んでいる。なお、ここでレーザ光吸収層3は後の全てのレーザビーム加工を可能ならしめる厚さを有しており、かつpn接合またはpin接合を含み整流特性を示しておれば良く、この前提の下で適宜に選択された厚さを有し得る。
【0124】
その後、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB0を透明ガラス基板1側から照射することによって、レーザ光吸収層3を加工して分割線溝D0を形成した。ここで使用されるレーザビームLB0は、透明導電層2にダメージを与えることなくレーザ光吸収層3を分割加工できればよい。
【0125】
図3(c)において、分割されたレーザ光吸収層3および分割線溝D0を覆うように裏面電極層4を堆積させた。裏面電極層4としては、スパッタリング法を用いて第一の透明導電層である厚さ90nmの酸化亜鉛層、金属層である厚さ200nmの銀層、および第二の透明導電層である厚さ90nmの酸化亜鉛層を順次積層させた。裏面電極層4に含まれる酸化亜鉛層は、レーザ光吸収層3および後に堆積される半導体光電変換層5と銀層との密着強度向上および銀の反射率を高めるために好ましい。
【0126】
図3(d)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB5を透明ガラス基板1側から照射し、レーザ光吸収層3、および裏面電極層4を加工して分割線溝D5を形成した。レーザビームLB5はレーザ光吸収層3で吸収され発熱し、それによりレーザ光吸収層3および裏面電極層4を比較的容易に同時に分割加工することができる。
【0127】
図3(e)において、分割された裏面電極層4および分割線溝D5を覆うように、半導体光電変換層5をプラズマCVD法により堆積した。その半導体光電変換層5は、順次積層された厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約2μmのi型微結晶シリコン光電変換層、および厚さ約15nmのp型微結晶シリコンからなる下段光電変換ユニットと、厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約300nmのi型a−Si:H(Hを含むa−Si)層、および厚さ約15nmのp型a−SiC:H(Hを含むa−SiC)層からなる上段光電変換ユニットとを含むタンデム型である。
【0128】
図3(f)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB2aを透明ガラス基板1側から照射して、分割線溝D2aを形成した。前述のようにYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB2aはレーザ光吸収層3および半導体光電変換層5によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、それらの層および裏面電極層4を比較的容易に同時に分割加工することができる。
【0129】
図3(g)において、分割された半導体光電変換層5および分割線溝D2aを覆うように、電子ビーム蒸着法によって酸化インジウムの受光面透明電極層6を約80nmの厚さに堆積した。
【0130】
図3(h)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB3aを透明ガラス基板1側から照射して、分割線溝D3aを形成した。前述のようにYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB3aはレーザ光吸収層3および半導体光電変換層5によって効率的に吸収されて発熱を生じるので、それらの層とともに裏面電極層4および受光面透明電極層6を比較的容易に同時に分割加工することができる。
【0131】
本実施例13において、得られた集積型薄膜光電変換装置は図5に示されるものと同等である。すなわち、図3(a)〜(h)の工程により、図5に示されるように、複数の光電変換セル領域Aのそれぞれの光電変換機能領域Bにバイパスダイオード領域Cがバイパスダイオードとして並列接続されることになる。
【0132】
(実施例14)
実施例14による集積型薄膜光電変換装置も、実施例13と同様に、図3に図解されている工程によって、バイパスダイオード領域を有する集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、実施例13に比べて、下記の(1)、(2)において異なっていた。
【0133】
(1) 図3(b)においてレーザ光吸収層3の構成が、透明導電層2側から順に、厚さ約15nmのp型a−Si層、厚さ約400nmのi型a−Si層、厚さ約20nmのn型a−Si層となるよう積層された。すなわち実施例13と比べレーザ光吸収層の整流特性が逆向きとなっていた。
【0134】
(2) 図3(e)において半導体光電変換層5の構成が、裏面電極層4側から順に、厚さ約15nmのp型微結晶Si層、厚さ約2μmのi型微結晶シリコン光電変換層、厚さ約20nmのn型微結晶Si層の順から成る下段光電変換ユニットと、厚さ約15nmのp型a−SiC:H(Hを含むa−SiC)層、厚さ約300nmのi型a−Si:H(Hを含むa−Si)層、および厚さ約20nmのn型微結晶Si層の順から成る上段光電変換ユニットを含むタンデム型となっていた。すなわち実施例13と比べ半導体光電変換層5の整流特性が逆向きとなっていた。
【0135】
(実施例15)
実施例15による集積型薄膜光電変換装置も、実施例13と同様に、図3に図解されている工程によって、バイパスダイオード領域を有する集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、実施例13に比べて、下記の点において異なっていた。
【0136】
図3(b)においてレーザ光吸収層3の構成が、透明導電層2側から順に、厚さ約400nmのn型a−Si層、約15nmのp型a−Si層、となるよう積層された。すなわち実施例13と比べレーザ光吸収層3のi型層が無い構成となっていた。
【0137】
本実施例13〜15において得られた集積型薄膜光電変換装置にリード線を接続し、実施例1の場合と同様にして光電変換特性を測定した。結果を表1に示す。
【0138】
(比較例1)
上述の種々の実施例との対比のための比較例1として、図6に対応して集積型薄膜光電変換装置が作製された。
【0139】
まず、図6(a)において、透明ガラス基板1上に透明酸化錫層2、厚さが200nmのレーザ光吸収層3、および裏面電極層4が、参考実施例1の場合と同じ条件で堆積された。
【0140】
図6(b)において、参考実施例1の場合の図1(d)の工程と同じ条件下でレーザビームLB1を照射して分割線溝D1を形成した。
【0141】
図6(c)において、参考実施例1の場合の図1(e)の工程と同じ条件下で、分割された裏面電極層4および分割線溝D1を覆うように半導体光電変換層5を堆積した。
【0142】
図6(d)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB2を半導体光電変換層5側から照射して分割線溝D2を形成した。
【0143】
図6(e)において、参考実施例1の場合の図1(g)の工程と同じ条件下で、分割された半導体光電変換層5および分割線溝D2を覆うように受光面透明電極層6を堆積した。
【0144】
図6(f)において、QスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)のレーザビームLB3を受光面透明電極層6側から照射して分割線溝D3を形成した。
【0145】
(比較例2)
比較例2として、比較例1と同様に、図6に対応して集積型薄膜光電変換装置が作製されたが、比較例1に比べて、下記事項(1)と(2)のみにおいて変更されていた。
【0146】
(1) 図6(a)の工程において、レーザ光吸収層3の厚さが200nmではなくて400nmの厚さに増大された。
(2) 図1(c)の工程において、半導体光電変換層5は、下段のnip接合からなる下段光電変換ユニットと上段のnip接合からなる上段光電変換ユニットを含むタンデム型に変更された。この下段光電変換ユニットとして、厚さ約20nmのn型微結晶Si層、厚さ約2μmのi型微結晶シリコン光電変換層、そして厚さ約15nmのp型微結晶Si層が順次積層された。他方、上段光電変換ユニットは、比較例1における光電変換ユニットと同じ条件で形成された。
【0147】
比較例1、2において得られた集積型薄膜光電変換装置にリード線を接続し、参考実施例1の場合と同様にして光電変換特性を測定した。結果を表1に示す。
【0148】
【表1】

【0149】
[光電変換特性の対比]
表1から明らかなように、単一の光電変換ユニットを含んでいる、比較例1と参考実施例1を対比すると、参考実施例1の積層型薄膜光電変換装置は、いずれの光電変換特性においても優れていることがわかる。また、p型層側から光が入射する構造を有しているタンデム型の光電変換ユニットを含む比較例2と参考実施例2〜5および実施例6〜13、15とを対比すると、これらの実施例の積層型薄膜光電変換装置は、比較例2の積層型薄膜光電変換装置に比して、光電変換効率に優れていることがわかる。また、一般には光電変換効率が小さくなるn型層側から光が入射する構造を有している実施例14の光電変換装置も、p型層側から光が入射する構造を有している比較例2の光電変換装置と同様の光電変換効率を示していることがわかる。
【0150】
参考実施例2と参考実施例4を比較すると、いずれの光電変換特性においてもほぼ同等の特性であることから、透明導電層2に吸収されず透過するQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)でもパワー密度が十分高ければ、透明導電層2を分離し、分割線溝D1を形成出来ることがわかる。
【0151】
参考実施例2と実施例6〜12を比較すると、実施例6から実施例12の集積型薄膜光電変換装置は、参考実施例2の光電変換装置と比べて、曲線因子、光電変換効率において優れている。これは、参考実施例2においては、第2種分割線溝D1を1種類のレーザビーム(YAGレーザの基本波)により一度に形成するのに対して、実施例6〜実施例12においては、第5種分割線溝D4と、第6種分割線溝D5とが別のレーザビームにより形成されるため、分割線溝D1周辺部の変質が軽減されたものと推測される。
【0152】
実施例7と実施例10を比較すると、いずれの光電変換特性においてもほぼ同等の特性であることから、透明導電層2に吸収されず透過するQスイッチYAGレーザの第2高調波(波長532nm)でもパワー密度が十分高ければ、透明導電層2を分離し、分割線溝D1を形成出来ることがわかる。
【0153】
実施例14と、実施例13および15を比較すると、光電変換セルにp型層側から光が入射する構造を有している実施例13および15の集積型薄膜光電変換装置は、光電変換セルにn型層側から光が入射する構造を有している実施例14の集積型薄膜光電変換装置と比べて、各光電変換性能に優れていることがわかる。
【0154】
[ホットスポット試験]
実施例12〜15において得られた集積型薄膜光電変換装置に対してホットスポット試験を行った。ホットスポット試験としてはモジュールのうち1つのセルに黒色のビニールテープを貼付けて遮光し、屋外において全天日射計測定で放射照度80〜100mW/cm(0.8〜1SUN)の時に、モジュールのガラス基板面への太陽光の入射角度が80度以上となるようにモジュールを設置して1分間放置した。このようなホットスポット試験は、遮光されるセルを替えながら1つのモジュールについて10回行われた。その後、ガラス基板面側から見て概ね黒色のセル面の外観が灰色または白色に変色した点の発生の有無が観察された。なお、ホットスポット試験時の気温は15〜30℃であった。
【0155】
このホットスポット試験を行った結果、実施例12の集積型薄膜光電変換装置においては、セル面の外観において灰色または白色に変色している点が見られた。これに対して、実施例13〜16の集積型薄膜光電変換装置においては、セル面の外観において灰色または白色に変色している点は見られなかった。
【0156】
また、ホットスポット試験後の各集積型薄膜光電変換装置ついて、再度、参考実施例1の場合と同様にして光電変換特性を測定した。ホットスポット試験前後での光電変換特性を表2に示す。
【0157】
【表2】

【0158】
実施例12と実施例13を比較すると、実施例12の集積型薄膜光電変換装置は実施例13の集積型薄膜光電変換装置と半導体光電変換層5の構成が等しく、ホットスポット試験前は、いずれの光電変換特性においてもほぼ同等の特性となっている。一方で、実施形態2Bにかかる実施例13の集積型薄膜光電変換装置は、バイパスダイオード機能を有するため、ホットスポット試験後においても、セル面の外観において灰色または白色に変色している点は見られず、さらに、高い光電変換特性を維持していることがわかる。また、実施例14、15の集積型薄膜光電変換装置においても、実施例13と同様のことがいえる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上のように、本発明によれば、裏面電極層にダメージを与えることなくレーザビーム加工によって集積型薄膜光電変換装置を得ることができ、その光電変換特性を顕著に向上させることができる。また、本発明によれば、レーザビーム加工において基板側からのビーム照射のみが行なわれるので、これによっても加工精度と変換特性の改善された集積型薄膜光電変換装置を高い生産性と低いコストで得ることができる。また本発明によれば、レーザ光吸収層にダイオード機能を持たせることにより、ホットスポット現象に対して信頼性の高い集積型薄膜光電変換装置を低コストで得ることができる。
【符号の説明】
【0160】
1 透光性基板
2 透明導電層
3 レーザ光吸収層
4 裏面電極層
5 半導体光電変換層
6 受光面透明電極層
7 グリッド金属電極配線
LB0〜LB5 レーザビーム
D0〜D5 分割線溝
A 光電変換セル領域
B 光電変換機能領域
C ダイオード領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板(1)上に順次積層された透明導電層(2)、レーザ光吸収層(3)、光反射性の金属層を含む裏面電極層(4)、半導体光電変換層(5)、および受光面透明電極層(6)を含み、これらの層の各々は複数の短冊状光電変換セル領域に分割されており、かつそれら複数の光電変換セルが電気的に直列接続されており、前記受光面透明電極層側から光が入射されるタイプの集積型薄膜光電変換装置であって、
前記透明導電層(2)は透明導電層(2)を貫通する複数の第5種分割線溝(D4)によって複数の短冊状透明導電領域に分割されており、
前記レーザ光吸収層(3)はレーザ光吸収層(3)を貫通しかつ第5種分割線溝(D4)に平行な複数の第1種分割線溝(D0)によって複数の短冊状レーザ光吸収領域に分割されており、
前記裏面電極層(4)は、前記レーザ光吸収層(3)、および前記裏面電極層(4)を貫通しかつ前記第1種分割線溝(D0)に平行な複数の第6種分割線溝(D5)によって複数の短冊状裏面電極領域に分割されており、
前記半導体光電変換層(5)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、および前記半導体光電変換層(5)を貫通しかつ前記第1種分割線溝(D0)に平行な複数の第3種分割線溝(D2)によって複数の短冊状光電変換領域に分割されており、
前記受光面透明電極層(6)は、前記レーザ光吸収層(3)、前記裏面電極層(4)、前記半導体光電変換層(5)、および前記受光面透明電極層(6)を貫通しかつ前記第1種分割線溝(D0)に平行な複数の第4種分割線溝(D3)によって複数の短冊状受光面透明電極領域に分割されており、
互いに隣接する前記光電変換セル間において、一方のセルの前記裏面電極領域は前記第1種分割線溝(D0)、前記透明導電層(2)、および前記第3種分割線溝(D2)を介して他方のセルの前記受光面透明電極領域に電気的に接続されており、これによってそれらの光電変換セルが電気的に直列接続されていることを特徴とする集積型薄膜光電変換装置。
【請求項2】
前記レーザ光吸収層(3)は半導体のpn接合またはpin接合を含み、該レーザ光吸収層のpn接合またはpin接合と、前記半導体光電変換層(5)のpin接合は、裏面電極層(4)を挟んで逆導電型層同士が対向するように形成されており、
前記各分割線溝が第6種分割線溝(D5)、第3種分割線溝(D2)、第4種分割線溝(D3)、第1種分割線溝(D0)、第5種分割線溝(D4)の順に平行に並んでいることで、
各光電変換セル領域内に透明導電層(2)、レーザ光吸収層(3)、裏面電極層(4)が接続されたダイオード領域が形成され、該ダイオード領域と、同一光電変換セル内の光電変換領域とが、電気的に並列かつ逆方向の整流特性をもつよう接続されていることを特徴とする請求項1に記載の集積型薄膜光電変換装置。
【請求項3】
前記裏面電極層(4)は、前記レーザ光吸収層(3)に近い側から、第一の透明導電層、前記光反射性の金属層、および第二の透明導電層を順に含む、請求項1または2に記載の集積型薄膜光電変換装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置を製造するための方法であって、
前記分割線溝のすべてが前記透光性基板側からレーザビームを照射することによって形成されることを特徴とする、集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記透光性基板(1)が、前記透明導電層(2)よりも鉛直上方に位置した状態で、すべての分割線溝が形成されることを特徴とする、請求項4に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
前記第5種分割線溝(D4)が、前記第6種分割線溝(D5)を形成するレーザビームとは、波長およびパワー密度の少なくともいずれか一方が異なるレーザビームにより形成されることを特徴とする、請求項4または5に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1種分割線溝、第3種分割線溝、第4種分割線溝および第6種分割線溝が、透明導電層(2)を透過するレーザビームを用いて形成されることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
【請求項8】
前記レーザ光吸収層(3)がシリコン系半導体を含み、かつ、前記透明導電層(2)を透過するレーザビームがYAGレーザの第2高調波のビームであることを特徴とする、請求項7に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
【請求項9】
前記第5種分割線溝(D4)が、透明導電層(2)に吸収されるレーザビームを用いて形成されることを特徴とする、請求項4〜8のいずれか1項に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。
【請求項10】
前記透明導電層(2)は透明導電性酸化物を含み、前記第5種分割線溝(D4)はYAGレーザの基本波のビームを用いて形成されることを特徴とする請求項9に記載の集積型薄膜光電変換装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−51451(P2013−51451A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−271570(P2012−271570)
【出願日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【分割の表示】特願2009−544729(P2009−544729)の分割
【原出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】