説明

集積試料処理装置

【課題】多数の試料の熱処理を同時に行う集積試料処理装置の提供。
【解決手段】第1主面と第2主面を含む本体と、第1主面と第2主面の間に配置された1つ以上の充填貯蔵器構造と、第1主面に形成された複数処理チャンバ構造と、第1主面に形成された複数チャネル構造と、第2主面から突出した複数圧縮構造と、第1主面に取付られたベースシートとを含み、ベースシートと1つ以上の充填貯蔵器構造が装置中の1つ以上の充填貯蔵器を画定し、ベースシートと複数処理チャンバ構造が装置中に複数処理チャンバを画定し、ベースシートと複数のチャネル構造が装置中の複数チャネルを画定し、複数チャネルの各チャネルが1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通し、複数処理チャンバの各処理チャンバが複数チャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通する試料処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現在の学術調査には数多くの化学反応が用いられることが多い。効率的な実施のために、これらの反応は、成果の品質を確保しつつ、セットアップ時間およびコストを最低に抑えるシステムを用いて行われるのが好ましい。
【0002】
多くの場合、多数の反応が、小規模な組の反応物質をより大規模な組の反応物質と組み合わせるシステムで実施される。例えば、単一の生物試料に、それぞれ、単一遺伝子の発現レベルをアドレスする、多数のポリメラーゼ連鎖反応を行う。
【0003】
多くの異なる化学、生化学およびその他反応も、小さな温度変化に対して感度がある。こうした反応は、含まれる材料の温度に基づいて、促進または阻害される。かかる多くの反応において、摂氏1度または2度の温度変化でさえも、反応に大きな悪影響を及ぼす恐れがある。試料を個別に処理して、試料毎に正確な結果を得ることも可能であるが、個別処理は時間も費用もかかる。
【0004】
多数の試料を処理する時間およびコストを低減する1つの方法は、1つの試料または異なる試料の異なる部分を同時に処理可能な多数のチャンバを含む装置を用いることである。しかしながら、この方法には、いくつかの温度制御に関連する問題点がある。多数のチャンバを用いると、チャンバ間の温度を均一に制御するのが難しい。その他の問題としては、熱サイクル時など熱処理時に温度遷移が生じる速度またはレートがある。更に他の問題は、試料を熱サイクルするのに必要な全体の時間の長さである。
【0005】
多数のチャンバ装置には分配システムが含まれる。しかしながら、分配システムには、相互汚染の可能性がある。試料は、処理中チャンバ間を誤って流れる可能性があり、チャンバ内で生じる反応に悪影響を及ぼす恐れがある。これは、多数の試料を処理しているときは特に重要である。更に、分配システムには、通常より小さな試料を使用するときに問題がある。というのは、分配システムは、処理チャンバの全てと流体連通しているからである。その結果、処理チャンバの全てへの試料材料の分配を防いで、ボリュームの小さな試料に適合させることができない。
【0006】
熱処理中および熱処理自身に、装置に用いる材料が、繰り返しの温度サイクル、例えば、PCRのような熱サイクル処理に耐えるだけの十分な耐性を必要とするという点で問題がある。装置が封止または密閉されたシステムを用いるときは、装置の耐性はより重要である。また、処理チャンバが温度変化および付随の熱膨張にもかかわらず、光学計器と適切に位置合せされたままにすることも必要とされることも多い。
【0007】
本発明の様々な試料処理装置が、2000年6月28日出願の米国特許仮出願第60/214,508号明細書「熱処理装置および方法(THERMAL PROCESSING DEVICES AND METHODS)」(代理人事件整理番号55265USA19.003)、2000年6月28日出願の米国特許仮出願第60/214,642号明細書「試料処理装置、システムおよび方法(SAMPLE PROCESSING DEVICES,SYSTEMS AND METHODS)」(代理人事件整理番号55266USA99.003)、2000年10月2日出願の米国特許仮出願第60/237,072号明細書「試料処理装置、システムおよび方法(SAMPLE PROCESSING DEVICES,SYSTEMS AND METHODS)」(代理人事件整理番号56047USA29)、2000年11月10日出願の米国特許出願第09/710,184号明細書「試料処理装置の遠心分離充填(CENTRIFUGAL FILLING OF SAMPLE PROCESSING DEVICES)」(代理人事件整理番号55265USA9A.002)、2001年6月28日出願の米国特許出願第09/895,001号明細書「試料処理装置およびキャリア(SAMPLE PROCESSING DEVICES AND CARRIERS)」、2001年6月28日出願の米国特許出願第09/895,010号明細書「試料処理装置(SAMPLE PROCESSING DEVICES)」に記載されている。
【0008】
上述の書類は全て、本発明の原理に従って試料処理装置を製造するのに用いることのできる様々な異なる構造の試料処理装置を開示している。例えば、本明細書に記載した多くの試料処理装置は接着剤(例えば、感圧接着剤)を用いて取り付けられるが、本発明の装置は、ヒートシーリングまたはその他のボンディング技術を用いて製造することができる。
【0009】
上に挙げた特許文献に記された装置およびキャリアは従来技術に勝る多くの利点を与えるものであるが、更なる改善が尚可能である。例えば、試料処理装置から分離されたキャリアを用いると、顧客に提供される際に試料処理装置にコストが追加される。というのは、互いに別個の異なるコンポーネントを製造して、それらのコンポーネントを正確に組み立てる必要があるためである。コストの追加に加えて、不正確な組立てだと、分析装置の光学トレインを備えた識別(interrogation)ゾーンのずれのために性能に問題が生じる。組立て処理における更なる変動によって、組立品を熱プラテンに合わせるやり方だと、部分間に望ましくない変動が生じて、処理チャンバ間に熱変動が生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記先行技術が有する諸問題を解決できる、多数の試料の熱処理を同時に行う集積試料処理装置を提供することを発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、多数の試料の熱処理を同時に行う集積試料処理装置を提供する。試料処理装置には、処理中試料処理装置が配置される、プラテンからサーマルブロックまで搬送力を与える圧縮構造が含まれている。圧縮構造を対応の試料処理装置に分配することによって、例えば、製作公差による試料処理装置の厚さが変化するにもかかわらず、試料処理装置の実質的に全ての処理チャンバとサーマルブロック間の密着がなされる。
【0012】
かかる圧縮構造はまた、試料処理装置の反応チャンバが、熱またはその他処理中または後に実施される光学識別中に共通面に配置されるのを確実なものとするのにも有用である。例えば、試料処理装置は、熱処理してから、反応生成物の評価のための光学検出システムに配置してもよい。これは、処理のリアルタイムモニタリング、例えば、PCRにはないペルチェブロックでの熱サイクルの後「終点読取」を実施するときの状況である。
【0013】
ある実施形態において、圧縮構造には、試料処理装置の処理チャンバがプラテンに対して押し付けられる力を平衡にするのを補助する永久変形可能な圧縮構造が含まれている。永久変形可能な構造としては、例えば、試料処理装置を用いたことを表示しながら永久変形させる易壊要素が挙げられる。易壊要素は、場合によっては、試料処理装置を使用していることの肉眼での判定を更に促進するために変形時に色の変化するクロミック表示装置を含んでいてもよい。
【0014】
試料処理装置には、流体試料材料の、本発明による試料処理装置の主チャネルおよび処理チャンバへの分配も促進するための、弓形端部、放射状に位置合せされた出口チャネル、支持構造および選択的に変更可能な高さ(および対応のボリューム分配)のような様々な特徴を備えた充填貯蔵器構造が含まれていてもよい。
【0015】
本発明の試料処理装置は、好ましくは、従来のマイクロタイタプレート処理装置およびシステムを用いて本発明の試料処理装置を処理できるよう、従来のマイクロタイタプレートと適合性のあるフォームファクタを有している。例えば、試料処理装置は5ミリメートル以上の高さを有しているのが好ましい。更に、本発明の試料処理装置は、生物分子スクリーニング規格協会(Society for Biomolecular Screening Standard)「マイクロプレート用SBS−2−高さ寸法(SBS−2 for Microplates − Height Dimensions)」(2002年5月9日)により定義された最大高さを有しているのが好ましい。
【0016】
本発明の更なる利点は、充填ポート位置のより正確な制御から生じる。試料処理装置に多数の充填ポートを用いると、充填ポートが液体分配のための標準的な研究ロボット装置に適合する場合には特に有利である。例えば、8つ以上のマイクロピペットが、標準マイクロプレートを効率的に充填するのに均一な間隔で線形アレイで配列されていることが多い。本発明の特定の実施形態を実施するのにかかるマイクロピペットアレイを用いると、既存の装置を用いた高自動化研究操作を必要とする使用者にとって多大な利点が得られる。
【0017】
かかる自動化操作で本発明を用いると、特定の実施形態がマイクロプレートにとって標準化フォームファクターに適合している場合には更に促進される。かかる場合には、充填の後のマイクロプレートの取扱いを、一般的に利用できるロボット装置により行うことができる。
【0018】
最終的に、本発明で用いる多くの反応物質は、高価で少量のみでしか入手できないことが多いため、満足いく結果を得るのに必要な試料の量を最小にする試料処理装置を利用するのが重要である。特に、試料をそれぞれの反応チャンバに効率的に分配して、充填および装置の取扱い中の流出の危険を減じる充填機構を必要とする。
【0019】
ある実施形態において、試料処理装置は、流体経路を通して互いに流体連通する多数の平行充填貯蔵器を含んでいる。
【0020】
かかる試料処理装置を用いる方法には、流体経路を封止して、試料処理装置の製造後、充填貯蔵器を分離することが含まれる。充填貯蔵器は試料処理装置の最外端部近傍に充填ポートを有していて、試料材料で充填された充填貯蔵器を含む試料処理装置が試料材料が充填貯蔵器から漏れることなく端部に停止しているのが好ましい。
【0021】
本発明の試料処理装置はまた、試料材料を充填貯蔵器から処理チャンバへ試料を分配するのに用いるチャネルを封止するための変形可能なシールを含んでいてもよい。変形可能なシールはまた、チャネルに沿って配置された処理チャンバを分離して、特に、試料処理、例えば、熱サイクル中、化学相互汚染(例えば、試料材料導入後の処理チャンバ間の試薬または反応生成物の移動)を減じたり、排除する。変形可能なシールはまた、試料材料を分配する前にチャネルを閉じて、選択した処理チャンバへと導くことによって、特定の試験プロトコル向けに装置を適応する機会も与える。あるいは、いくつかの変形可能なシールを閉じて、ボリュームの小さな試料材料用に調整して、試料材料が分配される処理チャンバの数を減らしてもよい。
【0022】
本発明の試料処理装置は、装置の比較的高い熱導電性および比較的低い熱質量のために誘導される即時の熱変化に対応する耐性を示すのが好ましい。この耐性は、装置を、PCRのような熱サイクル方法に用いるときに特に役に立つ。全ての熱処理方法において、好ましい装置は、温度変化に関連する圧力変化および装置で用いる様々な材料の熱膨張率間の差異にもかからわず、処理チャンバ完全性を維持する。
【0023】
本発明に関して、以下の用語は次のような意味を有するものとする。
【0024】
「変形可能シール」(およびその変形例)とは、変形可能なシールが配置された管を封止するために機械圧力(ツール有りまたはなしで)下で永久変形可能なシールのことである。
【0025】
「熱処理」(およびその変形形態)とは、所望の反応を行うための試料材料温度の制御(すなわち、維持、上昇または降下)のことである。熱処理の1つの形態としての「熱サイクル」(およびその変形形態)とは、所望の反応を行うための、2つ以上の温度設定点間の試料材料の温度を連続変化させることである。熱サイクルには、例えば、上下温度間のサイクル、低、高および少なくとも1つの中間温度間のサイクル等が含まれる。
【0026】
一態様において、本発明は、第1の主面と第2の主面とを含む本体と、本体の第1の主面に取り付けられたベースシートと、本体の第2の主面から突出している複数の圧縮構造とを含む試料処理装置であって、本体とベースシートが1つ以上の充填貯蔵器と、複数の処理チャンバと、複数のチャネルとを画定し、複数のチャネルの各チャネルが、1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通しており、複数の処理チャンバの各処理チャンバが複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している試料処理装置を提供する工程を含む試料材料を処理する方法を提供する。本方法は更に、複数の処理チャンバの少なくともいくつかのチャンバに試料材料を分配する工程と、試料処理装置のベースシートをサーマルブロックと接触配置する工程と、本体の第2の主面をプラテンと接触させて、試料処理装置のベースシートをサーマルブロックと密着させる工程と、本体の第2の主面をプラテンと接触させながら本体の第2の主面から突出している複数の圧縮構造の少なくともいくつかを永久変形させる工程とを含む。試料処理装置をサーマルブロックと接触させながら、サーマルブロックの温度を制御する。
【0027】
一態様において、本発明は、第1の主面と第2の主面とを含む本体と、本体の第1の主面に取り付けられたベースシートと、本体の第2の主面から突出している複数の圧縮構造とを含む試料処理装置であって、本体とベースシートが1つ以上の充填貯蔵器と、複数の処理チャンバと、複数のチャネルとを画定し、複数のチャネルの各チャネルが、1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通しており、複数の処理チャンバの各処理チャンバが複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通していて、本体が、本体の周囲近傍にフレームボリュームを画定しているフレームを含み、1つ以上の充填貯蔵器がフレームボリューム内に配置されている試料処理装置を提供する工程を含む試料材料を処理する方法を提供する。本方法は更に、複数の処理チャンバの少なくともいくつかのチャンバに試料材料を分配する工程と、試料処理装置のベースシートをサーマルブロックと接触配置する工程と、本体の前記第2の主面をプラテンと接触させて、試料処理装置の前記ベースシートを前記サーマルブロックと密着させる工程と、本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させながら本体の前記第2の主面から突出している複数の圧縮構造の少なくともいくつかを永久変形させる工程と、試料処理装置をサーマルブロックと接触させながら、サーマルブロックの温度を制御する工程とを含む。複数の圧縮構造の各圧縮構造は、本体の第1の主面から第2の主面まで延在するポストを含み、本体の第2の主面をプラテンと接触させて、試料処理装置のベースシートをプラテンからサーマルブロックまでのサーマルブロック搬送力と密着させる。本方法は、複数の圧縮構造の少なくともいくつかの易壊表示要素を永久変形させる工程を含む。
【0028】
他の態様において、本発明は、第1の主面と第2の主面とを含む本体と、本体の第1の主面に取り付けられたベースシートと、本体の第2の主面から突出している複数の圧縮構造とを含む試料処理装置であって、本体とベースシートが複数の処理チャンバの少なくともいくつかの処理チャンバに配置された試料材料を備えた複数の処理チャンバを画定する試料処理装置を提供する工程により試料処理装置に識別する方法を含む。本方法は、識別プラットフォームと接触させて試料処理装置のベースシートを配置する工程と、本体の第2の主面をプラテンと接触させて、試料処理装置のベースシートをサーマルブロックと密着させる工程と、本体の第2の主面をプラテンと接触させながら本体の第2の主面から突出している複数の圧縮構造の少なくともいくつかを永久変形させる工程と、試料処理装置を識別プラットフォームと接触させながら、処理チャンバの少なくともいくつかに識別する工程とを含む。
【0029】
他の態様において、本発明は、第1の主面と、第2の主面と、本体の第1の主面と本体の第2の主面の間に配置された複数の分離された充填貯蔵器構造とを含む本体であって、本体の第1の主面に複数の処理チャンバ構造が形成されており、本体の前記第1の主面に複数のチャネル構造が形成されている本体を提供する工程を含む試料処理装置の製造方法を提供する。本方法は更に、近接する分離された充填貯蔵器構造の少なくとも一対間に流体経路を開いて分離された充填貯蔵器構造の数を減じる工程と、ベースシートを本体の第1の主面に取り付ける工程とを含み、本体とベースシートが1つ以上の充填貯蔵器、複数の処理チャンバ構造および複数のチャネルを画定し、複数のチャネルの各チャネルが1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通していて、複数の処理チャンバの各処理チャンバが複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している。
【0030】
他の態様において、本発明は、第1の主面と第2の主面を含む本体と、本体の第1の主面と本体の第2の主面の間に配置された1つ以上の充填貯蔵器構造と、本体の第1の主面に形成された複数の処理チャンバ構造と、本体の第1の主面に形成された複数のチャネル構造と、本体の第2の主面から突出していて、本体の第2の主面近傍に易壊表示要素を含む複数の圧縮構造と、本体の第1の主面に取り付けられたベースシートとを含み、ベースシートと1つ以上の充填貯蔵器構造が装置中の1つ以上の充填貯蔵器を画定し、ベースシートと複数の処理チャンバ構造が装置中に複数のチャネル構造を画定し、ベースシートと複数のチャネル構造が装置中の複数のチャネルを画定し、複数のチャネルの各チャネルが1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通していて、複数の処理チャンバの各処理チャンバが複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している試料処理装置を提供する。
【0031】
他の態様において、本発明は、充填貯蔵器と、複数の処理チャンバと、複数のチャネルとを含む試料処理装置を提供する。複数のチャネルの各チャネルは充填貯蔵器と流体連通しており、複数の処理チャンバの各処理チャンバは、複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している。充填貯蔵器は、弓形端部を含み、複数のチャネルの各チャネルが充填貯蔵器の弓形端部から充填貯蔵器を出ており、複数のチャネルの各チャネルがチャネルの長さの第1の部分について弓形端部の正接に法線の方向に延在しており、複数のチャネルがチャネルの長さの第2の部分について長手方向軸と位置合せされている。
【0032】
他の態様において、本発明は、充填貯蔵器と、複数の処理チャンバと、複数のチャネルとを含む試料処理装置を提供する。複数のチャネルの各チャネルは充填貯蔵器と流体連通しており、複数の処理チャンバの各処理チャンバは、複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している。充填貯蔵器は、対称軸を含み、対称軸近傍に充填ポートと、対称軸周囲に対称に配置された2つ以上のベントポートとを含む。
【0033】
他の態様において、本発明は、充填貯蔵器と、複数の処理チャンバと、複数のチャネルとを含む試料処理装置を提供する。複数のチャネルの各チャネルは充填貯蔵器と流体連通しており、複数の処理チャンバの各処理チャンバは、複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している。充填貯蔵器は、充填貯蔵器の2つの側間に選択的に変化した高さを有していて、充填貯蔵器のボリュームの所望の分配がなされる。
【0034】
他の態様において、本発明は、充填貯蔵器と、複数の処理チャンバと、複数のチャネルとを含む試料処理装置を提供する。複数のチャネルの各チャネルは充填貯蔵器と流体連通しており、複数の処理チャンバの各処理チャンバは、複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している。本装置は更に、充填貯蔵器内に配置された1つ以上の支持構造を含み、支持構造は充填貯蔵器の2つの対向する側間に空間を維持している。充填貯蔵器はまた、弓形端部を含み、複数のチャネルの各チャネルが充填貯蔵器の弓形端部から充填貯蔵器を出ており、チャネルの長さの第1の部分について弓形端部の正接に法線の方向に延在しており、複数のチャネルがチャネルの長さの第2の部分について長手方向軸と位置合せされている。充填貯蔵器はまた、対称軸を含み、対称軸近傍に充填ポートと、対称軸周囲に対称に配置された2つ以上のベントポートとを含む。2つ以上のベントポートは、チャネルが配置された側とは逆の充填貯蔵器の片側に配置されている。ベントポートは、ベントチャネルを通して充填貯蔵器と流体連通しており、ベントチャネルは対称軸と対称な点で充填貯蔵器に接続されている。充填貯蔵器はまた、対称軸から遠位の外側端部と、充填貯蔵器の2つの側間に選択的に変化した高さを有していて、外側端部近傍に充填貯蔵器の高さが対称軸近傍の充填貯蔵器の高さより大きく、充填貯蔵器のボリュームの所望の分配がなされる。
【0035】
他の態様において、本発明は、充填貯蔵器に試料材料を充填する工程と、試料処理装置を充填貯蔵器の弓形端部およびチャネルの第1の部分(がある場合には)により画定される中央近傍に配置された回転軸周囲に回転させることによって、試料材料を複数の処理チャンバに分配する工程とを含む、本明細書に記載した試料処理装置を用いて試料材料を処理する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の試料処理装置の上側の上部平面図である。
【図2】図1に示した試料処理装置の本体の下側の下側平面図(ベースシートの一部が除去されて本体の下側の一部が露出している)である。
【図3】チャンバ、圧縮構造およびフレームの一部を示す図1の試料処理装置の一部の拡大断面図である。
【図4】レンズを組み込む変形処理チャンバの拡大断面図である。
【図5】充填貯蔵器と、充填貯蔵器から処理チャンバまで試料材料を分配するのに用いるチャネルの一部を含めた、図1の試料処理装置の一部の拡大断面図である。
【図6】本発明の原理に従った封止チャネルの拡大断面図である。
【図7】近接する充填貯蔵器から充填貯蔵器を分離する壁の一部が除去されて、充填貯蔵器を互いに流体連通させた図5の図である。
【図8】近接する充填貯蔵器に流体経路を備えた充填貯蔵器を含む変形試料処理装置の断面図である。
【図9】充填貯蔵器をシールする一技術を示す、変形試料処理装置の平面立面図である。
【図10】本発明の試料処理装置に関連して用いてよい一熱処理システムのブロック図である。
【図11A】本発明の圧縮構造の易壊要素の一例を示す。
【図11B】本発明の圧縮構造の易壊要素の一例を示す。
【図12A】本発明の圧縮構造の易壊要素の他の例を示す。
【図12B】本発明の圧縮構造の易壊要素の他の例を示す。
【図13】本発明の圧縮構造の易壊クロミック表示要素の他の例を示す。
【図14】本発明による試料処理装置の好ましいフォームファクタの透視図である。
【図15】本発明による他の変形試料処理装置の平面図である。
【図16】図15の線16−16に沿った図15の試料処理装置の充填貯蔵器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明のこれらおよびその他の特徴および利点を、本発明の装置および方法の様々な例証の実施形態により以下に説明する。
【0038】
本発明は、所望の反応、例えば、PCR増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自立シーケンス複製、酵素反応速度論研究、等質配位子結合アッセイ、および、正確かつ/または即時の熱変化を必要とするその他の化学、生化学またはその他反応を行うために、多数の処理チャンバにおける液体試料材料(または液体に含まれた試料材料)の処理に用いることのできる試料処理装置を提供する。本試料処理装置は、1つ以上の充填貯蔵器と、複数の処理チャンバと、処理チャンバを充填貯蔵器と流体連通させる少なくとも1つのチャネルとを含む。
【0039】
本発明の原理に従って製造された例証の試料処理装置を図1および2に示す。図1は試料処理装置10の一主面の平面図であり、図2は試料処理装置10の対向主面の平面図である。
【0040】
図1に示した側を上側とすると、図2に示した側は下側であるが、「上」および「下」のような相対的な位置を表す文言は、2つの側が試料処理装置10の対向する側であることを示すためにのみ本明細書では用いている。これらの用語は、本発明を限定するものと解釈されないものとする。例えば、図1に示す上側は、実際、試料材料を処理するのに装置を実際に用いるとき、図2に示す下側の下に位置している。
【0041】
図1に示す試料処理装置10には、第1の端部11と対向する第2の端部13とが含まれている。フレーム14は、試料処理装置10の周囲に延在している。フレーム14は、試料処理装置10の全周囲に延在するように図示されているが、フレーム14は全体として、試料処理装置10の周囲を画定するのを補助する不連続セグメントの形態で提供されていてよいものと考えられる。
【0042】
フレーム14にはまた、バーコードまたはその他インディシアを試料処理装置10および/または使用中にその中身を識別するのを補助するために配置することができる側部12および15がある。対向する側部12および15は、併せて、対向する平行な表面を与えて、使用者の指、ロボット操作等により、試料処理装置10の担持や操作を促すことができる。
【0043】
図1の図示した実施形態には、フレーム14内に配置された、充填貯蔵器(後述してある)に試料材料を充填するのに用いる充填ポート62も示されている。
【0044】
処理チャンバ50は、試料処理装置10の周囲内、図示した実施形態の場合には、フレーム14の境界内の試料処理装置10の上側に分配される。処理チャンバ50は、処理チャンバ50の識別および/またはモニタリングを促すために、図示された直線格子アレイで配列されているのが好ましい。
【0045】
同じく図1に図示されているのは、処理チャンバ50のアレイ内に配置された圧縮構造70である。本明細書で述べた通り、圧縮構造70は、数多くの異なる機能のうち1つ以上を提供する。例えば、圧縮構造70を用いて、試料処理装置10の上側から試料処理装置10の下側まで力を移動する、処理チャンバ50のアレイにかかった力を平衡にする、試料処理装置10を用いた表示を与える等してよい。
【0046】
圧縮構造70は、処理チャンバ50のアレイ全体に分配されて、実質的に全ての処理チャンバ50が少なくとも1つの圧縮構造70近傍に配置されるのが好ましい。本発明では、「近傍」とは、当該の処理チャンバ50と最も近い圧縮構造70の間に1つ以下の処理チャンバ50が配置されているものと定義される。処理チャンバ50が直線アレイで配列された試料処理装置10の場合には、圧縮構造70および処理チャンバ50は、処理チャンバ50の全てが少なくとも1つの圧縮構造(圧縮構造70「近傍」に配置されたアレイの最も隅に配置された4つの処理チャンバ50を除いて)に近接配置されるように配置される。処理チャンバ50は、少なくとも1つの圧縮構造70からそれぞれ等距離であるのが好ましい。
【0047】
圧縮構造70を処理チャンバ50のアレイに分配することによって、処理チャンバ内の試料材料の処理の均一性が向上する。
【0048】
図2に、試料処理装置10の本体の下側を示す。試料処理装置10には、一般的に、本体30の下側に取り付けられたベースシート20が含まれており、ベースシート20は本体30の下側の実質的に全てを覆うように配置されている。ベースシート30は、一般的に不透明であるため、本体30の下側に形成された特徴部分が見えるよう図2では大部分が除去されている。
【0049】
図2では、充填貯蔵器構造60は、試料処理装置10の端部11近傍に配置されている。試料材料を充填貯蔵器構造60に充填するのに用いる充填ポート62は、充填貯蔵器構造60内にあるのが分かる。図2に示した充填貯蔵器構造60は、本発明の試料処理装置に関連して用いてよい充填貯蔵器構造の一実施形態に過ぎない。
【0050】
図2に関連して説明した通り、様々な特徴部分は「構造」として定義され、ベースシート20が本体30の下側に取り付けられるまでは、様々な構造はそれぞれの特徴部分を完全に形成しないものと考えられる。例えば、ベースシート20を取り付けるまで、図2に示す充填貯蔵器構造60は完全な充填貯蔵器を形成しない。充填貯蔵器60、処理チャンバ50、主チャネル40およびフィーダチャネル42を形成する構造の全てが本体30の下側に形成され、ベースシート20が略平らなシートの形態で提供されているのが好ましい。
【0051】
充填貯蔵構造60はそれぞれ、対向する端部13の方向に充填貯蔵器構造60から離れて延在する主チャネル構造40と流体連通している。主チャネル構造40は、フィーダチャネル構造42につながっていて、これは処理チャンバ構造50につながっている。主チャネル構造40はそれぞれ、多数の処理チャンバ構造50につながっている。
【0052】
充填貯蔵器構造60、主チャネル構造40、フィーダチャネル構造42および処理チャンバ構造50の各集合は、試料処理装置10の処理アレイを形成するものと説明することができる。図2に示す通り、処理アレイはそれぞれ、1つのみの充填貯蔵器構造60と1つのみの主チャネル構造40とを含むのが好ましい。充填貯蔵器ボリューム、すなわち、充填貯蔵器により画定されるボリューム(がある場合には)は、主チャネル40、処理チャンバ50およびフィーダ管42(がある場合には)を合わせたボリュームと等しい、またはこれより大きいのが好ましい。所望であれば、処理アレイのそれぞれが、充填貯蔵器60の逆の主チャネル40の端部に配置された任意のドレーンチャンバ(図示せず)を含んでいてもよい。
【0053】
図示した実施形態において、充填貯蔵器60は、フレーム14により画定されたボリューム内に配置されている。充填貯蔵器をそのボリューム内に配置すると、数多くの利点が得られる。例えば、充填貯蔵器60がより耐性を持つ、すなわち、取扱い中の損傷を受け難くなったり、試料処理装置10がよりコンパクトになる等する。
【0054】
フレーム14のボリューム内に充填貯蔵器60を配置する他の利点は、充填ポート62(図1参照)もフレーム14内に配置されることである。充填ポート62をフレーム14内に配置することによって、フレーム14のような構造によって剛性が与えられるため、充填ポート62の位置およびサイズをより正確に制御できるようになる。制御の増大は、試料処理装置10を充填ポート62の位置を正確に制御する必要のある自動充填装置で用いなければならない場合に特に有利である。
【0055】
試料処理装置10には、少なくとも1つ、好ましくは複数の処理アレイが含まれる。図示した処理アレイはそれぞれ、試料処理装置10の第2の端部13に向かって、第1の端部11近傍から延在している。処理アレイは、試料処理装置10に実質的に平行な配列で図示されている。この配列が好ましいが、この代わりに任意の処理アレイの配列も提供できるものと考えられる。
【0056】
処理アレイの主チャネル40を後述するように同時に閉じなければならない場合には、処理アレイの位置合せは重要である。試料処理装置10の第1の端部近傍で回転軸周囲を回転させることにより試料材料を試料処理装置全体に分配しなければならない場合にも、処理アレイの位置合せは重要である。このように回転するときは、第1の端部11近傍に配置された任意の試料材料を、回転中に発生した遠心力により第2の端部13に向かって駆動する。
【0057】
充填貯蔵器60は、試料材料を受けるために、外部装置(例えば、ピペット、中空シリンジまたはその他流体分配装置)と接続できるように設計されている。充填貯蔵器60自身がボリュームを画定する(図示した通り)。あるいは、充填貯蔵器は特定のボリュームを画定しないが、その代わりに、試料材料を導入する場所としてもよい。例えば、充填貯蔵器60は、単に流体経路またはピペットまたはニードルが挿入されるポートであってもよい。
【0058】
図示した充填貯蔵器60には、充填ポート62が含まれているが、充填ポート62は任意と考えられる。予備形成充填ポートを含まない充填構造を提供するのが好ましい。かかる装置において、例えば、シリンジで充填貯蔵器に穴をあけることにより、試料材料を充填貯蔵器に導入してもよい。シリンジまたはその他装置を用いて、充填貯蔵器に充填する第2の位置に充填貯蔵器に穴をあける前に、第1の位置に充填貯蔵器に穴をあけるのが望ましい。第1の開口部は、ベントポートとして作用して、充填貯蔵器内の空気(またはその他のガス)を試料材料の充填中に放出させることができる。多数の充填ポートが各充填貯蔵器内にあるのも好ましく、少なくとも1つの充填ポートが充填処理中ベントとして機能する。
【0059】
充填後、充填ポート62は、試料材料の漏れを防ぐために、シールされるのが好ましい。好適なシール機構の一例としては、例えば、感圧接着テープがある。
【0060】
本発明の試料処理装置10の各処理アレイは通気されていないのが好ましい。本発明に関して用いる「通気されていない」処理アレイとは、処理アレイのボリュームにつながるポートのみを処理アレイの充填貯蔵器に配置する処理アレイのことである。すなわち、通気されていない処理アレイ内の処理チャンバに到達するためには、試料材料を充填貯蔵器を通して分配しなければならない。同様に、試料充填前に処理アレイ内にある空気またはその他流体も充填貯蔵器を通して放出させなければならない。これとは対照的に、通気された処理アレイは、充填貯蔵器外に少なくとも1つの開口部を含んでいる。その開口部は、試料材料を処理アレイ内で分配する間に処理アレイ内にある空気またはその他流体を放出させる。
【0061】
充填構造近傍に位置する回転軸周囲に試料処理装置を回転させることによって試料材料を分配する方法は、2000年11月10日出願の米国特許出願第09/710,184号明細書「試料処理装置の遠心充填(CENTRIFUGAL FILLING OF SAMPLE PROCESSING DEVICES)」、2001年6月28日出願の米国特許出願第09/895,001号明細書「試料処理装置およびキャリア(SAMPLE PROCESSING DEVICES AND CARRIERS)」(対応国際出願公開国際公開第02/01181A2号パンフレット(ベディンガムら(Bedingham et al.)))および2001年6月28日出願の米国特許出願第09/895,010号明細書「試料処理装置(SAMPLE PROCESSING DEVICES)」(対応国際出願公開国際公開第02/01180A2号パンフレット(ベディンガムら(Bedingham et al.)))に記載されている。
【0062】
試料材料を本発明の試料処理装置の主チャネルを通して処理チャンバに分配するのに用いるのが正確な方法であるかどうかにかかわらず、処理チャンバ、主チャネルおよびフィーダチャネル(がある場合には)の実質的に全てが試料材料で充填される結果となるのが好ましい。
【0063】
図2示した処理アレイは、各主チャネル40の両側に2つのグループで配置された処理チャンバ50に配列されている。処理チャンバ50、主チャネル40およびフィーダチャネル42の配列における多くの異なる形態は、2000年11月10日出願の米国特許出願第09/710,184号明細書「試料処理装置の遠心充填(CENTRIFUGAL FILLING OF SAMPLE PROCESSING DEVICES)」、2001年6月28日出願の米国特許出願第09/895,001号明細書「試料処理装置およびキャリア(SAMPLE PROCESSING DEVICES AND CARRIERS)」(対応国際出願公開国際公開第02/01181A2号パンフレット(ベディンガムら(Bedingham et al.)))および2001年6月28日出願の米国特許出願第09/895,010号明細書「試料処理装置(SAMPLE PROCESSING DEVICES)」(対応国際出願公開国際公開第02/01180A2号パンフレット(ベディンガムら(Bedingham et al.)))に記載されている。
【0064】
適切な試料材料分配を行い、拡散を制限するために処理チャンバ50間に十分な距離を保ちつつ、主チャネル40およびフィーダチャネル42のサイズをできる限り小さく保つのが好ましい。チャネル40および42のサイズを減じると、処理アレイ内の「チャネルボリューム」が制限される。チャネルボリュームは、主チャネル40とフィーダチャネル42(がある場合には)を合わせたボリュームであり、チャネルボリュームは、処理チャンバ50のボリュームを含まない。チャネルボリューム対合計処理チャンバボリューム(対象処理アレイの全処理チャンバを合わせたボリューム)の比率を約2:1以下、あるいは約1:1以下、または1:2以下、更には1:3以下に限定するのが望ましい。
【0065】
チャネルボリュームを限定する1つのやり方は、主チャネル40および/またはフィーダチャネル42(装置中にある場合には)の断面積を減じることである。主チャネル40に比べて、フィーダチャネル42の長さは短いため、主チャネル40より断面積の小さなフィーダチャネル42を提供することが可能である(フィーダチャネルにあまり関係のない流れが制限される)。
【0066】
図3は、処理チャンバ50、圧縮構造70およびフレーム14の一部を含む本体30を示す図1の試料処理装置10の一部の拡大断面図である。ベースシート20が、本体30の下部に取り付けられている。
【0067】
圧縮構造70はそれぞれ、本体30の下側から遠位のピーク72を含んでいる。図示した実施形態において、圧縮構造72は、1つ以上のリブ74を含んでおり、圧縮構造70の大半が、圧縮構造のピークにかかった力を、本体30の下側の広い領域にわたって分配する4つのリブ74を含んでいる。図3において、紙から外へ延在しているリブ74は部分断面で示されている。
【0068】
フレーム14を含む試料処理装置10において、圧縮構造は、フレーム14の最上表面により画定された面の上に延在またはその面から突出しているのが好ましい。図3において、圧縮構造70のピーク72は、フレーム14(またはフレーム14により画定された面)の上の距離(d)に配置されている。フレーム14または試料処理装置10のその他の構造の上に延在することにより、圧縮構造70は、ベースシート20を、例えば、サーマルブロックへ押し付けるのに用いる、例えば、プラテンまたはその他装置と確実に接触する。
【0069】
圧縮構造70の1つのリブ74により互いに分離されていない近接する処理チャンバ50対は、壁80により本体の上側で互いに分離されている。図示した実施形態において、一連の壁80には、様々な機能を行う直線格子アレイ(図1参照)がある。
【0070】
壁80のいくつかは、本体30の下側の主チャネル40の逆に位置合せされて、詳細を後述してある通り、チャネルのステーキングまたは密閉中、本体に更に剛性を与えてもよい。壁80の格子は、主チャネル40の上に支持を与えると共に、全体として本体に更に剛性を与える。
【0071】
壁80は、任意でいくつかの分離手段を与えて、処理チャンバ50の処理および/または識別中、処理チャンバ50間の電磁エネルギー(例えば、光)の透過に対するバリアを与えることにより、処理チャンバ50間の光学クロストークを減じてもよい。例えば、壁80は、選択した波長の電子放射線に不透過であってもよい。あるいは、壁は単に、拡散および/または吸収により選択した波長の電磁放射線の透過を阻害するものであってもよい。例えば、壁80には、散乱を向上するためのテクスチャード表面が含まれていたり、選択した波長の電磁エネルギーの吸収および/または拡散を向上させる、壁80の本体に組み込まれた、かつ/またはコーティングに与えられた材料を含んでいてもよい。
【0072】
各処理チャンバ50は試薬54を含んでいてもよい。本発明の装置10の少なくともいくつか、好ましくは全ての処理チャンバ50は、試料材料が分配される前、少なくとも1種類の試薬を含有しているのが好ましい。試薬54は、図3に示すように、処理チャンバ50内で固定されていてよい。試薬54は任意であり、本発明の試料処理装置10は、処理チャンバ50に試薬54を含んでいてもいなくてもよい。変形例においては、処理チャンバ50のいくつかが試薬54を含んでいて、他のチャンバは含んでいなくてもよい。更に他の変形例において、異なる処理チャンバ50は異なる試薬を含有していてもよい。
【0073】
処理チャンバ50はまたボリュームを画定している。本発明の試料処理装置において、処理チャンバのボリュームは約5マイクロリットル以下、あるいは約2マイクロリットル以下、更に他の変形例においては約1マイクロリットル以下であるのが好ましい。マイクロボリュームの処理チャンバを試料処理装置に与えると、装置に充填するのに必要な試料材料の量を減じ、試料材料の熱質量を減じることによって熱サイクル時間を減じる等に有利である。
【0074】
各処理チャンバ50は、処理チャンバ50の材料に識別および/またはモニタリングする窓52を有している。図4に、本体130およびベースシート120により形成された変形の処理チャンバ150が図示されており、窓152を有していて、処理チャンバ150に入る電磁エネルギーに焦点を絞り、かつ/または窓152を通して処理チャンバ150から出る電磁エネルギーの軸を平行にする、または焦点を絞ぼられるような形状をしている。その結果、窓152はレンズとして作用する。場合によっては、分離したレンズを各処理チャンバの一部として試料処理装置へ射出成形してもよい。
【0075】
試料処理装置にはまた、関連した計器プラットフォームにより処理チャンバの光学識別を促すための1つ以上の特徴がある。これらの特徴としては、例えば、計器の対応構造と位置合せされたピンまたはリセス、チャンバ内の計器と化学物質間の光学経路を修正する処理チャンバと一体化された光学要素、近接するチャンバ間の光学「クロストーク」を減じる処理チャンバ周囲領域のテクスチャリングまたは着色等が挙げられる。
【0076】
試料処理装置10の本体30は、任意の好適な材料で製造してよい。好適な材料としては、成形可能な材料、例えば、ポリマー材料(ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン等)、セラミック材料、金属等が例示される。例えば、本体30は、ポリマー材料の射出成形により製造されるのが好ましい。
【0077】
ベースシート20は、本体30の下側に取り付けて、処理アレイ特徴部分を完全に形成する、例えば、金属ホイルシート、ポリマー材料、多層複合体等とすることができる。本体30とベースシート20の両方に選択した材料は良好な遮水特性を示すのが好ましい。ベースシート20用に選択した材料は変形可能であるのが好ましい。
【0078】
本体30とベースシート20のうち少なくとも一方が、選択した波長の電磁エネルギーを実質的に透過する材料で構築されているのが好ましい。例えば、本体30およびベースシート20の一方または両方が、蛍光および/または処理チャンバ50内の色変化を目視または機械モニタリングできる材料で構築されているのが好ましい。
【0079】
本体30およびベースシート20のうち少なくとも一方が金属層、例えば、金属ホイルを含むのも好ましい。金属ホイルを用いてベースシート20を形成する場合には、パッシベーション層を、試料材料の金属による汚染を防ぐために、充填貯蔵器60、主チャネル40、フィーダチャネル42および/または処理チャンバ50の内部に面するベースシート20の少なくとも表面に提供してよい。
【0080】
別個のパッシベーション層の代替として、ベースシート20を本体30に取り付けるのに用いた任意の接着層22もまた、試料材料とベースシート20の金属間の接触を防ぐパッシベーション層として機能する。接着剤も、適合性があるという点で有利である。その場合、本体30またはベースシート20に存在する凹凸または表面粗さを充填および/またはシーリングすることにより、接着剤の封止性が向上する。
【0081】
図3に示す試料処理装置の例証の実施形態において、本体30は射出成形ポリプロピレンとし、ベースシート20は金属ホイル、例えば、アルミニウムまたはその他金属ホイルとしてよい。金属ホイルは、本明細書に詳細を述べた通り、変形可能であるのが好ましい。
【0082】
図示した実施形態において、ベースシート20は接着剤22層を用いて本体30に取り付けられる。しかしながら、接着剤22の代わりに、本体30およびベースシート20を、好適な技術、例えば、メルトボンディング、メルトボンディングと接着剤の組み合わせ等により互いに取り付けてもよい。本明細書で用いる「メルトボンド」とは、例えば、ヒートシーリング、熱溶接、超音波溶接、化学溶接、溶剤ボンディング等の間に生じる、材料の溶融および/または混合により形成されるボンドのことである。メルトボンドする場合には、本体30とベースシート20の両方が、メルトボンディングを促進するために、例えば、ポリプロピレンまたはその他のメルトボンド可能な材料を界面に含んでいるのが好ましい。
【0083】
しかしながら、ベースシート20は、接着剤を用いて、本体30に取り付けられているのが好ましい。図3に示す通り、接着剤は、層22の形態で提供されるのが好ましい。接着層22は、連続した途切れのない層として、本体30とベースシート20の少なくとも一方の表面に提供されているのが好ましい。例えば、接着層22が、ベースシートに提供されているのが好ましい。接着層22は、本体30に面するベースシート20の実質的に全表面を覆うのがより好ましい。
【0084】
様々な接着剤を用いてよい。ただし、選択した接着剤は、処理チャンバ50に配置された試料材料の処理中に生じる力、例えば、試料材料の分配中に生じる力、試料材料の熱処理中に生じる力等に耐えることができなければならない。これらの力は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応や同様のプロセス等、処理に熱サイクルが含まれる場合に大きい。試料処理装置と組み合わせて用いる接着剤はまた、低蛍光を示し、試料処理装置、例えば、PCR等と組み合わせて用いる処理や材料と適合性があるのが好ましい。
【0085】
感圧接着特性を示す接着剤を用いるのが好ましい。かかる接着剤は、試料処理装置の大量生産用に修正しやすい。というのは、メルトボンディングに用いられる高温ボンディングプロセスが含まれず、液体接着剤、溶剤ボンディング、超音波ボンディング等を用いるときに生じる取扱いの問題がないからである。
【0086】
感圧接着剤を識別する周知の技術はダールキスト(Dahlquist)基準である。この基準は、感圧接着剤技術ハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)、ドナータス・サータス(Donatas Satas)(編)、第2版、172頁、ヴァンノストランドラインホルド(Van Nostrand Reinhold)、ニューヨーク州ニューヨーク(New York,NY)、1989年に記載されている通り、1×10-6cm2/ダインを超える1秒クリープコンプライアンスを有する接着剤として感圧接着剤を定義している。あるいは、モジュラスは、第一次近似で、クリープコンプライアンスの逆数であるため、感圧接着剤は、1×106ダイン/cm2未満のヤング率を有する接着剤と定義してもよい。感圧接着剤を識別する他の周知の手段は、感圧テープ協議会(Pressure Sensitive Tape Council)による「感圧接着テープの試験方法(Test Methods for Pressure Sensitive Adhesive Tapes)」(1996年)に記載されているように、室温で攻撃的および永久に粘着性で、指や手による圧力以上を必要とすることなく単に接触させると様々な異なる表面にしっかりと接合し、残渣を残すことなく平滑な表面から除去できるものである。好適な感圧接着剤のその他の好適な定義は、好ましくは、25℃での係数対周波数のグラフでプロットされる以下の点により定義される領域内に室温保管係数を有することである。約0.1ラジアン/秒(0.017Hz)の周波数で約2×105〜4×105ダイン/cm2からの係数範囲、および約100ラジアン/秒(17Hz)の周波数で約2×106〜8×106ダイン/cm2からの係数範囲(例えば、感圧接着剤技術ハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)、ドナータス・サータス(Donatas Satas)(編)、第2版、ヴァンノストランドラインホルド(Van Nostrand Rheinhold)、ニューヨーク州ニューヨーク(New York)、1989年の173頁の図8〜16参照)。感圧接着剤を識別するこれらの方法のいずれかを用いて、本発明の方法に用いるのに潜在的に好適な感圧接着剤を識別する補助としてよい。
【0087】
本発明の試料処理装置に関連して用いる感圧接着剤は、接着剤の特性に水による悪影響が確実に及ばない材料を含むのが好ましい。例えば、感圧接着剤は、試料充填および処理中に水に晒されたことに応答して、接着力を失わない、凝集力を失わない、軟化せず、膨潤せず、不透明化しないのが好ましい。また、感圧接着剤は、試料処理中に水に抽出されて、装置性能を損なう可能性のある成分を含んでいてはならない。
【0088】
これらの問題点を鑑みると、感圧接着剤は、疎水性材料で構成されているのが好ましい。よって、感圧接着剤は、シリコーン材料で構成されているのが好ましい。すなわち、感圧接着剤は、例えば、「シリコーン感圧接着剤(Silicone Pressure Sensitive Adhesives)」、感圧接着剤技術ハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)、第3版、508〜517頁に記載されている通り、シリコーンポリマーと粘着付与樹脂の組み合わせに基づいてシリコーン感圧接着剤材料の部類から選択される。シリコーン感圧接着剤は、疎水性であり、高温に耐える能力があること、そして、様々な異なる表面にボンドする能力があることが知られている。
【0089】
感圧接着剤の組成は、本発明の厳しい要件に適合するように選ぶのが好ましい。好適な組成のいくつかについては、国際公開第00/68336号パンフレット、シリコーン接着剤、物品および方法(SILICONE ADHESIVES,ARTICLES,AND METHODS)(コーら(Ko et al.))に記載されている。
【0090】
その他の好適な組成は、シリコーン−ポリウレア系感圧接着剤系列に基づくものである。かかる組成は、米国特許第5,461,134(レイら(Leir et al.))、米国特許第6,007,914号明細書(ジョセフら(Joseph et al.))、国際公開第96/35458号パンフレット(およびその関連米国特許出願第08/427,788号明細書(1995年4月25日出願)、同第08/428,934号明細書(1995年4月25日出願)、同第08/588,157号明細書(1996年1月17日出願)および同第08/588,159号明細書(1996年1月17日出願)、国際公開第96/34028号パンフレット(およびその関連米国特許出願第08/428,299号明細書(1995年4月25日)、同第08/428,936号明細書(1995年4月25日)、同第08/569,909号明細書(1995年12月8日出願)および同第08/569,877号明細書(1995年12月8日出願))および国際公開第96/34029号パンフレット(およびその関連米国特許出願第08/428,735号明細書(1995年4月25日出願)および同第08/591,205号明細書(1996年1月17日出願))に記載されている。
【0091】
かかる感圧接着剤は、シリコーン−ポリウレアポリマーおよび粘着付与剤の組み合わせに基づくものである。粘着付与剤は、所望により、機能性(反応性)および非機能性粘着付与剤の部類内から選択することができる。粘着付与剤のレベルは、所望の粘着性を接着剤組成物に与えるために、所望により変えることができる。例えば、感圧接着剤組成物は、(a)軟性ポリジオルガノシロキサン単位、硬性ポリイソシアネート残基単位(ポリイソシアネート残基がポリイソシアネートから−NCO基を除いたもの)、任意で軟性および/または硬性有機ポリアミン単位(イソシアネート単位およびアミン単位の残基がウレア結合により接続)と、(b)1種類以上の粘着付与剤(例えば、シリケート樹脂等)とを含む粘着付与されたポリジオルガノシロキサンオリグウレアセグメント化コポリマー(polydiorganosiloxane oligurea segmented copolymer)であるのが好ましい。
【0092】
更に、本発明の試料処理装置の感圧接着層は、単一感圧接着剤、または2種類以上の感圧接着剤の組み合わせまたはブレンドとすることができる。感圧接着剤層は、例えば、溶剤コーティング、スクリーン印刷、ローラ印刷、溶融押出しコーティング、溶融スプレー、ストライプコーティングまたはラミネーティングプロセスにより得られる。接着剤層は、上記の特徴および特性を示す限りは、様々な厚さを有することができる。最大のボンド信頼性を達成し、所望によりパッシベーション層として作用させるためには、接着層は連続していて、ピンホールや多孔性がないものでなければならない。
【0093】
試料処理装置が、様々なコンポーネント、例えば、側部を接続するために、感圧接着剤を用いて製造されていても、高熱および/または高圧でラミネートして、コンポーネントの取り付けおよび処理アレイのシーリングを確実にするため、コンポーネント間の接着力を増大するのが好ましい。
【0094】
図5に、本体30とベースシート20(接着剤22を用いて本体30に取り付けられた)の間に形成された充填貯蔵器60を含む試料処理装置10の一部の断面図を示す。同様に、図5には、本体30の熱質量を減じるために、本体30に充填貯蔵器とキャビティ15を導入するための充填ポート62が図示されている。
【0095】
圧縮構造70が示されており、ピーク72と単一リブ74(アレイ内に配置された多数リブのあるコンプライアンスの構造とは対照的である)が含まれている。図3に関して説明したように、圧縮構造70は、フレーム14の最上表面により画定された面の上に延在またはその面から突出しているのが好ましい。圧縮構造70のピーク72は、フレーム14(またはフレーム14により画定された面)の上の距離(d)に配置されている。フレーム14または試料処理装置10のその他の構造の上に延在することにより、圧縮構造70は、ベースシート20を、例えば、サーマルブロックまたは光学識別装置へ押し付けるのに用いる、例えば、プラテンまたはその他装置と確実に接触する。
【0096】
図5にはまた、充填貯蔵器60と流体連通する主チャネル40も図示されている。図示した実施形態において、主チャネル40は、本体30内に主に形成されており、主チャネル構造を覆うように配置されたベースシート20は、チャネル40のボリュームを画定している。図5にはまた、主チャネル40から延在しているフィーダチャネル42が示されている。
【0097】
図6に、本発明の試料処理装置の他の可能な特徴部分、すなわち、主チャネル40を閉じる、処理チャンバ50を分離する、または主チャネル40の閉鎖と処理チャンバ50の分離の両方を行う変形可能なシールを例証するために、主チャネル40の断面が描かれている。
【0098】
主チャネル40は、ベースシート20をチャネル40へ押し付けることによりシールまたは封止される。場合によっては、ベースシート20の材料は塑性変形を受ける。他の場合には、チャネル40を封止するのに十分なほど、ベースシート20のチャネル40の表面との接触を保持するのに接着剤22だけで十分である(ベースシート20は塑性変形のみを受ける)。接着剤22の適合性によって、適合および/または変形して、封止しているチャネルをより完全に充填し、封止する。接着剤22は感圧接着剤であるのが好ましい。ただし、ホットメルト接着剤を活性化させるのに十分な熱エネルギーの適用によりベースシート20の変形を伴う場合には、ホットメルト接着剤を代わりに用いてもよい。
【0099】
試料処理装置10の変形部分の完全なシーリングまたは封止は必要ないものと考えられる。例えば、所望の分離を十分に行うために、変形によって、管またはその他流体経路を通したフロー、移動または拡散を制限する必要があるだけである。本発明で用いる「封止」には、(特に断りのない限り)部分封止と完全封止の両方が含まれる。
【0100】
本発明に関して用いる変形可能なシートは、試料処理装置に組み込まれる様々な位置および/または構造に提供される。しかしながら、実質的に、処理アレイ中の変形可能なシールは、充填チャンバと複数の処理チャンバの間の流体経路のどこかに配置される。主チャネルの封止は、主チャネルの実質的に全ての長さにわたって連続していてもよいし、主チャネルの長さに沿った不連続な部分または位置になされてもよい。また、変形可能なシールの封止は、フィーダチャネルのみの封止によって、および/またはフィーダチャネル/主チャネル接続の封止によって行ってもよい(主チャネルの長さの一部または全ての封止の代わりに、またはこれに加えて)。
【0101】
図1に関して、例えば、変形可能なシールは、充填貯蔵器60と各処理アレイの処理チャンバ50の間の主チャネル40に配置してよい。この構成において、変形可能なシールは、主チャネル40の実質的に全長にわたって延在していてもよいし、選択した領域に限定してもよい。例えば、変形可能なシールは、処理チャンバ50につながるフィーダチャネル42の占める領域においてのみ主チャネル40に沿って延在していてもよい。他の実施例において、変形可能なシールは、主チャネル40に沿って、または各フィーダチャネル42内に配置された不連続なシーリング点の複合体構造であってもよい。他の構成において、変形可能なシールは、充填貯蔵器60と、各処理アレイにおける処理チャンバ50の間の領域に限定してもよい。
【0102】
ある実施形態において、実質的に全長にわたって主チャネルを封止すると有利であり、このようにすると、主チャネル内の試料材料が充填貯蔵器60へ押し戻される。充填貯蔵器へと押し戻された試料材料が充填貯蔵器へ戻るのが好ましい。その結果、本発明の処理アレイ中の充填貯蔵器はまた、変形可能なシールの封止中に、主チャネルおよび/またはフィーダチャネルから押された試料材料の廃棄またはパージチャンバとしても作用する。
【0103】
図7および8に、充填貯蔵器の変形構造を示す。まず、図7には、充填貯蔵器が近接する充填貯蔵器と共有する共通壁(図2参照)に与えられた流体通路64のある図5の充填貯蔵器60が図示されている。流体経路64は、壁の一部を除去して、2つの充填貯蔵器が互いに分離しないようにすることにより形成することができ、これによって試料処理装置10の2つの処理アレイに共通の充填貯蔵器が与えられる。壁の一部の除去は、例えば、鉗子、プライヤまたはその他装置または技術を用いて行うことができる。この方法は、一般的に、ベースシート20を本体30に取り付ける前に、その部分を除去することにより行われる。
【0104】
図8の充填貯蔵器160には、2つの分離された充填貯蔵器間の壁に形成された流体経路164が含まれる。本実施形態において、開口部は、チャネルに関して上述した通り、変形可能なシールで封止してもよい。すなわち、充填貯蔵器構造は、ベースシート120を流体経路164に押し付けて、流体経路164を封止することにより、互いに分離してもよい。このようにして、充填貯蔵器構造が互いに流体連通する試料処理装置を、充填貯蔵器構造間の流体経路を選択的に封止することによりカスタマイズしてもよい。例えば、図1の試料処理装置10の端部11に沿って配置された充填貯蔵器60は、流体経路164と同様に流体経路を通して流体連通していてよい。充填貯蔵器60を選択的に分離して、本発明によるカスタマイズ化された試料処理装置を提供してもよい。
【0105】
図9は、本発明による他の試料処理装置の一部の側面図である。試料処理装置210には、本体230と、図示した実施形態においては、接着層222により本体230に取り付けられたベースシート220が含まれている。本体には、フレーム214と、フレーム214から上に延在している圧縮構造270が含まれている。
【0106】
試料処理装置210と上述した試料処理装置10の1つの違いは、ベースシート220が本体230の境界または占有面積を超えて延在していることである。その結果、ベースシート220は、本体230のフレーム214周囲に包まれて、充填貯蔵器(図9には図示せず)へつながる任意の充填ポート(図9には図示せず)をシールする。このシーリング技術は、上述した別個の接着テープの代わりに用いてもよい。
【0107】
ベースシート220は、接着剤の連続層222を含むものとして図示されているが、ベースシート220は、好適な手段(接着剤他)により本体230の下部に取り付けてもよい。また、ベースシート延在部(本体230を超えて延在するベースシート220の部分)を本体230の上側に取り付けるのに用いる接着剤は、同じ接着剤(図示)または異なる接着剤であってもよいものと考えられる。図示していないが、剥離ライナを与えて、充填ポートをシールするのに用いる前に接着剤222を保護してもよい。
【0108】
図10は、本発明の試料処理装置に関連して用いてよい熱処理システムのブロック図である。このシステムには、例えば、サーマルブロックであってよいプラットフォーム108に配置された試料処理装置110が含まれている。プラットフォーム108がサーマルブロックの場合には、プラットフォーム108の温度は、熱制御器106により制御されるのが好ましい。試料処理装置110の逆側には、プラテン104があって、試料処理装置110をプラットフォーム108に押し付けて密着させている。プラテン104の温度は、熱制御器102により(所望であれば)熱制御してよい(場合によっては、サーマルブロック108の温度を制御する制御器106と同じであってもよい)。試料処理装置110は、試料処理装置10の熱処理中、矢印101および102に示されるように、プラテン104とプラットフォーム108の間で圧縮される。
【0109】
変形のシステムにおいては、ブロック108を光学識別プラットフォーム108として、試料処理装置110を押し付けて、識別プラットフォーム108中に光学コンポーネントを備えた試料処理装置110の処理チャンバの光学結合を改善してもよい。かかるシステムにおいて、試料処理装置110は、識別に用いる電磁エネルギーを伝達するベースシートを含んでいるのが好ましい。識別プラットフォーム108は、識別システム制御器106と光学またはその他連通していてもよい。かかる識別システムは、試料処理装置10が、例えば、流体浴のような熱シンクや、サーマルブロックを含まず、かつ/または試料処理装置110の集積識別を行わないその他システムを用いて処理される場合の「終点読取」に用いてよい。
【0110】
上述した通り、本発明の試料処理装置の圧縮構造は様々な異なる機能を与える。図11Aおよび11Bに、リッジ272を含む圧縮構造270の一実施形態の分離した図を示す。図11Bは、永久変形後のリッジ272を示している。
【0111】
リッジ272は、本発明による圧縮構造に配置された易壊要素の一形態である。リッジ272は、例えば、プラテンにより十分な圧力を加えると永久変形させるように構築されているのが好ましい。その変形によって数多くの機能を与えることができる。例えば、圧縮構造270が配置される試料処理装置を用いた表示を与えることができる。変形はまた、加わった力にあるレベルの平衡も与えることができる。例えば、製作公差の結果、異なる圧縮構造間の高さが異なる恐れがある。しかしながら、こうした変化は、異なる圧縮構造270におけるリッジ272の変形を変えることにより調整することができる。
【0112】
すなわち、高い圧縮構造は変形を受けやすく、低い圧縮構造は変形し難い。圧縮構造の寸法は、全ての圧縮構造が少なくともある程度変形して、全ての圧縮構造を用いて、試料処理装置のベースシートに力を伝達するのに用いるのが好ましい。すなわち、圧縮構造は、試料処理装置のコンプライアンスを改善して、加熱プラテンとの熱的接触を良好にすることができる。
【0113】
図12Aおよび12Bに、圧縮構造の易壊要素372の他の例を示す。図12Aは、変形前の易壊要素372を図示しており、図12Bは変形後の易壊要素372を図示している。
【0114】
図13に、圧縮構造470の他の易壊要素472を示す。易壊要素472は、クロミック表示器、例えば、ビーズ等を含んでおり、圧力をかけると破裂したり、圧縮構造470に圧力をかけた後色が変化するように修正してもよい。
【0115】
図14に、本発明による試料処理装置に好ましい形状係数を示す。本発明の試料処理装置の高さ(h)は、生物分子スクリーニング規格協会「マイクロプレート用SBS−2−高さ寸法(SBS−2 for Microplates − Height Dimensions)」(2002年5月9日)による高さ要件に準ずるのが好ましい。その規格には、最大高さ14.35ミリメートル(±0.25ミリメートル)が規定されている。この範囲の下端では、本発明による試料処理装置の高さは5ミリメートル以上であるのが好ましい。最低高さは、例えば、ロボット取扱いシステムにより試料処理装置の取扱いを補助するのに有用である。
【0116】
また、長さ(l)と幅(w)である占有面積寸法が、生物分子スクリーニング規格協会「マイクロプレート用SBS−1−占有面積寸法(SBS−1 for Microplates − Footprint Dimensions)」(2002年1月17日)による占有面積要件に準ずるのが好ましい。その規格には、長さは127.76ミリメートル(±0.25ミリメートル)および幅は85.48ミリメートル(±0.25ミリメートル)と規定されている。高さ寸法とは異なり、大幅に異なる占有面積を有する試料処理装置は望ましくない。というのは、全てではないが、たいていの従来のマイクロプレート処理システムは上述した占有面積の処理装置向けに設計されているからである。従来のシステムは、規格に指定された最大高さに達しない試料処理装置であれば容易に用いることができるが、異なる占有面積を有する装置では容易に適合できない。
【0117】
図15は、本発明の他の変形試料処理装置510の一部の平面図であり、図16は図15の線16−16に沿った断面図である。図面では試料処理装置510の一部のみが示されており、ベースシート520は、本体530の一端に沿って本体530の占有面積を超えて延在している(同様のベースシート延在部の側面図である図9参照のこと)。カバーシート530aは、本体530を超えて延在しているベースシート20に取り付けられている。
【0118】
本実施形態において、ベースシート520およびカバー530aは、例えば、2001年6月28日出願の米国特許出願第09/895,001号明細書「試料処理装置およびキャリア(SAMPLE PROCESSING DEVICES AND CARRIERS)」(対応国際出願公開国際公開第02/01181A2号パンフレット(ベディンガムら(Bedingham et al.)))および2001年6月28日出願の米国特許出願第09/895,010号明細書「試料処理装置(SAMPLE PROCESSING DEVICES)」(対応国際出願公開国際公開第02/01180A2号パンフレット(ベディンガムら(Bedingham et al.)))に記載されているのと同様のラミネート構造であってもよい。その結果、ラミネート層の1枚または両方が形成されて、その間にボリュームを与える。図示した実施形態において、カバー530aが形成され、上述した通り、本体530の境界内に形成された主チャネル(図示せず)につながる充填貯蔵器560、漏斗541、およびチャネル540aおよび540bが与えられている。この代わりに、ベースシート520、またはカバー530aとベースシート520の両方に特徴部分が形成されていてもよい。
【0119】
単一の充填貯蔵器560を用いて、試料処理装置510に多数の主チャネルを充填する。試料処理装置510は1つのみの充填貯蔵器560を含むのが好ましい。ただし、2つ以上のチャネルを供給する2つ以上の充填貯蔵器を本発明において用いてもよい。
【0120】
充填貯蔵器560および関連のチャネルは、試料材料が遠心力を用いて試料処理装置の処理チャンバに充填される場合、いくつかの利点を与えるように設計されている。例えば、充填貯蔵器560の弓形端部566は、試料処理装置510が回転して、充填貯蔵器560からチャネルへ試料材料を分配する回転軸501の位置により画定される半径を有する円弧に従うように設計されているのが好ましい。真の円弧からの僅かな変化には、特に断りのない限り、本発明の範囲内で耐えられる。その弓形端部設計により、充填貯蔵器560の湾曲端部566に沿ったバランスの取れた流体静力学平衡のために、チャネル540aを供給する漏斗541に入って、本質的に均一なフローを全チャネルに与える際に、例えば、液体フローの前部の放射状ベクトル位置合せがなされる。これとは対照的に、平らな前端部(すなわち、回転軸501から離れて面した端部)の充填貯蔵器は、遠心力による充填中に1つ以上のチャネルで流体が足りなくなる。
【0121】
図15に示した設計のその他の特徴は、充填貯蔵器560と直接流体連通している漏斗541とチャネル540aの配向である。上述した通り、充填貯蔵器560の端部566は、回転軸501により画定される曲率を有しているのが好ましい。充填貯蔵器560から試料材料のフローを更に促進するために各チャネル540a(および関連の任意の漏斗541)は弓形端部566から充填貯蔵器560を出て、回転軸501に関して放射状に位置合せされているのが好ましい。その結果、チャネル540aは充填貯蔵器560の弓形端部566の正接に法線である。この配列の1つの利点は、軸501周囲の遠心分離中に発生する流体力ベクトルがチャネル540aと位置合せされていて、充填貯蔵器560からのフローが更に向上することである。
【0122】
しかしながら、放射状に位置合せされたチャネル540aは、長手方向軸511と略位置合せされたチャネル540bに移動して、試料処理装置510の本体530内の主チャネル(図示せず)の配列に対応させるのが好ましい。これらの主チャネルは、上述した通り、主チャネルのステーキングまたは封止を促すべく互いに平行で、処理中、処理チャンバ間の流体の移動を減じるのが好ましい。
【0123】
大きな充填貯蔵器560は、取扱いおよび処理中の破裂を防ぐために、境界内に支持構造580を含んでいる。支持構造580は、図示した通り細長くても(幅より長さが長い)、その他の所望の形状を採ってもよい。細長い支持構造580は、試料処理装置510の長手方向軸511と位置合せされていても、あるいは、チャネル540aのように放射状に位置合せされていてもよい(すなわち、弓形端部566の正接に法線)。図16に図示した通り(線16−16に沿った図15の断面図)、上述したラミネート構造である場合には、支持構造580はカバー530aに形成されて充填貯蔵器560を形成する。しかしながら、いずれの設計においても、支持構造は、充填貯蔵器560の境界内に中間支持体として提供されて、例えば、取扱い、または試料材料の充填貯蔵器から装置510中の処理チャンバまでの分配中に生じる吸引力のために、充填貯蔵器560の破裂の可能性を減じる。
【0124】
図15に示された他の特徴は、試料材料を充填貯蔵器560に充填するのに用いる充填ポート562である。同じく図15に示されているのは、ベントチャネル563により充填貯蔵器560の主部に接続されたベントポート561である。充填貯蔵器560は、試料処理装置510の長手方向軸511の周りで対称の形状および構造を有しているのが好ましい。対称の充填貯蔵器560は、試料処理装置510の長手方向軸511に沿って配置された充填ポート562も含むのが好ましい。
【0125】
多数のベントポート561は、充填ポート562および充填貯蔵器560の全体形状に対して対称の配列で充填貯蔵器560に提供されているのが好ましい。ベントポート561は、長手方向軸511(充填貯蔵器560に対しても対称軸でもある)に対して対称に配置された点で充填貯蔵器560の主本体へ開いたベントチャネル563に沿って、試料処理装置510の長手方向軸511に近接配置されている。ベントポート561のその他の特徴は、例えば、遠心充填中に、ベントポート561からの漏れの可能性を減じるために、チャネル540aに対して充填ポート562の逆側に配置されているのが好ましいことである。
【0126】
充填貯蔵器560の主部からベントポート563を分離すると、試料処理装置510の取扱い中にベントポート561からの試料材料の漏れを減少または排除できる。また、ベントポート561とベントチャネル563の対称性によって、充填貯蔵器560への試料材料の充填、そして試料処理装置510の遠心分離中に充填貯蔵器560からの流体の流れも促す。
【0127】
充填貯蔵器560の弓形端部設計の変形として、またはこれに加えて、充填貯蔵器の2つの側の間の充填貯蔵器の高さもまた選択的に変更して、充填貯蔵器のボリュームを所望により分布させてもよい。ボリュームの分布を用いて、充填貯蔵器内の流体試料材料の対応の分布を行って、試料材料を装置の外側端部に向かって優先的に貯留することができる。
【0128】
この特徴は図16の断面図に示してある。充填貯蔵器560の高さは、充填貯蔵器560(すなわち、充填貯蔵器560の中心から離れている)の外側端部に近い方が、中心に近い充填貯蔵器560の高さより高い。その特徴は、充填貯蔵器が軸周囲で対称な場合に(例えば、図15の軸511)特に有利である。外側端部に近い充填貯蔵器560のボリュームが増大すると、本発明の同じ処理装置の分布チャネルの全てに充填するのを妨げる恐れのある、流体の枯渇を減じたり、これを防ぐことができる。
【0129】
この同じ概念、すなわち、異なるボリュームの充填貯蔵器を、本発明による試料処理装置と組み合わせて用いてもよい。例えば、図1および2の試料処理装置10の充填貯蔵器60が互いに流体連通している場合には(例えば、図7および8に関して上述した通り)、充填貯蔵器60は、最外貯蔵器60の流体の枯渇を減じるために、異なるボリュームとするのが好ましい。例えば、最外充填貯蔵器60(側部12および15に最も近い)は、充填貯蔵器構造の中心近くの充填貯蔵器60よりもボリュームが大きくてもよい。更に、充填貯蔵器60は、充填貯蔵器60内の流体が、最外充填貯蔵器60に優先的に分配されるように設計されていてもよい。
【0130】
本明細書に開示した特許、特許出願および文献は、それぞれ参考文献として組み込まれる。上記の説明は例証のためであり、限定のためではないものと考えられる。本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および目的から逸脱することなしに上述の説明から当業者には明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないものと理解されるものとする。
本願発明に関連する発明についての実施形態を以下に列挙する。
「実施形態1」
第1の主面と第2の主面とを含む本体と、前記本体の前記第1の主面に取り付けられたベースシートと、前記本体の前記第2の主面から突出している複数の圧縮構造とを含む試料処理装置であって、前記本体と前記ベースシートが1つ以上の充填貯蔵器と、複数の処理チャンバと、複数のチャネルとを画定し、前記複数のチャネルの各チャネルが、1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通しており、前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが前記複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している試料処理装置を提供する工程と、
前記複数の処理チャンバの少なくともいくつかの処理チャンバに試料材料を分配する工程と、
前記試料処理装置の前記ベースシートをサーマルブロックと接触配置する工程と、
前記本体の前記第2の主面をプラテンと接触させて、前記試料処理装置の前記ベースシートを前記サーマルブロックと密着させる工程と、
前記本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させながら前記本体の前記第2の主面から突出している前記複数の圧縮構造の少なくともいくつかを永久変形させる工程と、
前記試料処理装置を前記サーマルブロックと接触させながら、前記サーマルブロックの温度を制御する工程と
を含む試料材料を処理する方法。
「実施形態2」
前記本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させながら、前記本体の前記第2の主面から突出している前記複数の圧縮構造を永久変形させる工程が、前記本体の前記複数の圧縮構造の全てを永久変形させる工程を含む実施形態1記載の方法。
「実施形態3」
前記複数の圧縮構造の各圧縮構造が、前記本体の前記第1の主面から前記第2の主面まで延在するポストを含み、前記本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させて、前記試料処理装置の前記ベースシートを前記プラテンから前記サーマルブロックまでの前記サーマルブロック搬送力と密着させる実施形態1記載の方法。
「実施形態4」
前記複数の圧縮構造の少なくともいくつかを永久変形させる工程が、前記永久変形圧縮構造の易壊表示要素を永久変形させる工程を含む実施形態1記載の方法。
「実施形態5」
前記複数の圧縮構造の少なくともいくつかを永久変形させる工程が、前記永久変形圧縮構造のクロミック表示装置の色を変化させる工程を含む実施形態1記載の方法。
「実施形態6」
前記本体が、前記本体の周囲近傍にフレームを含み、前記フレームが前記本体の前記第2の主面近傍のフレーム面を画定し、前記複数の圧縮構造が、前記本体の前記第2の主面近傍の前記フレーム面から突出している実施形態1記載の方法。
「実施形態7」
前記装置が複数の充填貯蔵器を含み、近接する充填貯蔵器の少なくとも一対が互いに流体連通しており、前記方法が、前記近接する充填貯蔵器の少なくとも一対を隔離して互いに流体連通しないようにする工程を含む実施形態1記載の方法。
「実施形態8」
前記近接する充填貯蔵器の少なくとも一対を隔離する工程が、前記ベースシートを永久変形して流体通路を閉鎖する工程を含む実施形態7記載の方法。
「実施形態9」
前記流体経路が前記本体の前記第1の主面に形成される実施形態8記載の方法。
「実施形態10」
前記本体が、前記本体の周囲近傍にフレームボリュームを画定するフレームを含み、前記1つ以上の充填貯蔵器が前記フレームボリューム内に配置されている実施形態1記載の方法。
「実施形態11」
前記1つ以上の充填貯蔵器が、互いに流体連通している2つ以上の充填貯蔵器を含み、前記充填貯蔵器の少なくとも2つが異なるボリュームを有している実施形態1記載の方法。
「実施形態12」
第1の主面と第2の主面とを含む本体と、前記本体の前記第1の主面に取り付けられたベースシートと、前記本体の前記第2の主面から突出している複数の圧縮構造とを含む試料処理装置であって、前記本体と前記ベースシートが1つ以上の充填貯蔵器と、複数の処理チャンバと、複数のチャネルとを画定し、前記複数のチャネルの各チャネルが、1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通しており、前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが前記複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通していて、前記本体が前記本体の周囲近傍にフレームボリュームを画定しているフレームを含み、前記1つ以上の充填貯蔵器が前記フレームボリューム内に配置されている試料処理装置を提供する工程と、
前記複数の処理チャンバの少なくともいくつかの処理チャンバに試料材料を分配する工程と、
前記試料処理装置の前記ベースシートをサーマルブロックと接触配置する工程と、
前記本体の前記第2の主面をプラテンと接触させて、前記試料処理装置の前記ベースシートを前記サーマルブロックと密着させる工程と、
前記本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させながら前記本体の前記第2の主面から突出している前記複数の圧縮構造の全てを永久変形させる工程と、
前記試料処理装置を前記サーマルブロックと接触させながら、前記サーマルブロックの温度を制御する工程とを含み、
前記複数の圧縮構造の各圧縮構造が、前記本体の前記第1の主面から前記第2の主面まで延在するポストを含み、前記本体の前記第2の主面をプラテンと接触させて、前記試料処理装置の前記ベースシートを前記プラテンから前記サーマルブロックまでの前記サーマルブロック搬送力と密着させ、
前記複数の圧縮構造の永久変形が、前記複数の圧縮構造の少なくともいくつかにある易壊表示要素を永久変形させる工程を含む試料材料を処理する方法。
「実施形態13」
第1の主面と第2の主面とを含む本体と、前記本体の前記第1の主面に取り付けられたベースシートと、前記本体の前記第2の主面から突出している複数の圧縮構造とを含む試料処理装置であって、前記本体と前記ベースシートが複数の処理チャンバの少なくともいくつかの処理チャンバに配置された試料材料を備えた複数の処理チャンバを画定する試料処理装置を提供する工程と、
識別プラットフォームと接触させて前記試料処理装置の前記ベースシートを配置する工程と、
前記本体の前記第2の主面をプラテンと接触させて、前記試料処理装置の前記ベースシートを前記識別プラットフォームと密着させる工程と、
前記本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させながら前記本体の前記第2の主面から突出している前記複数の圧縮構造の少なくともいくつかを永久変形させる工程と、
前記試料処理装置を前記識別プラットフォームと接触させながら、前記処理チャンバの少なくともいくつかに識別する工程と
を含む試料材料を識別する方法。
「実施形態14」
前記本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させながら、前記本体の前記第2の主面から突出している前記複数の圧縮構造を永久変形させる工程が、前記本体の前記複数の圧縮構造の全てを永久変形させる工程を含む実施形態13記載の方法。
「実施形態15」
前記複数の圧縮構造の各圧縮構造が、前記本体の前記第1の主面から前記第2の主面まで延在するポストを含み、前記本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させて、前記試料処理装置の前記ベースシートを前記プラテンから前記サーマルブロックまでの前記識別プラットフォーム搬送力と密着させる実施形態13記載の方法。
「実施形態16」
前記複数の圧縮構造の少なくともいくつかを永久変形させる工程が、前記永久変形圧縮構造の易壊表示要素を永久変形させる工程を含む実施形態13記載の方法。
「実施形態17」
前記複数の圧縮構造の少なくともいくつかを永久変形させる工程が、前記永久変形圧縮構造のクロミック表示装置の色を変化させる工程を含む実施形態13記載の方法。
「実施形態18」
前記本体が、前記本体の周囲近傍にフレームを含み、前記フレームが前記本体の前記第2の主面近傍のフレーム面を画定し、前記複数の圧縮構造が、前記本体の前記第2の主面近傍の前記フレーム面から突出している実施形態13記載の方法。
「実施形態19」
第1の主面および第2の主面を含む本体と、前記本体の前記第1の主面と前記本体の前記第2の主面との間に配置された複数の分離された充填貯蔵器構造と、前記本体の前記第1の主面に形成された複数の処理チャンバ構造、前記本体の前記第1の主面に形成された複数のチャネル構造とを提供する工程と、
近接する分離された充填貯蔵器構造の少なくとも一対間に流体経路を開いて前記分離された充填貯蔵器構造の数を減じる工程と、
ベースシートを前記本体の前記第1の主面に取り付ける工程とを含み、前記本体と前記ベースシートが1つ以上の充填貯蔵器、複数の処理チャンバ構造および複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルの各チャネルが前記1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通していて、前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが前記複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している試料処理装置を製造する方法。
「実施形態20」
前記近接する分離された充填貯蔵器構造の少なくとも一対が、前記少なくとも一対の近接する分離された充填貯蔵器構造を分離する共通壁を含み、前記流体経路を開く工程が、前記共通壁の少なくとも一部を除去する工程を含む実施形態19記載の方法。
「実施形態21」
前記本体が、前記本体の前記第2の主面から突出する複数の圧縮構造を含む実施形態19記載の方法。
「実施形態22」
前記複数の圧縮構造の各圧縮構造が、前記本体の前記第1の主面から前記第2の主面まで延在するポストを含み、前記本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させて、前記試料処理装置の前記ベースシートを前記プラテンから前記プラットフォームまでの前記プラットフォーム搬送力と密着させる実施形態21記載の方法。
「実施形態23」
前記複数の圧縮構造の各圧縮構造が、易壊表示要素を含む実施形態19記載の方法。
「実施形態24」
前記複数の圧縮構造の各圧縮構造が、クロミック表示装置を含む実施形態19記載の方法。
「実施形態25」
前記本体が、前記本体の周囲近傍にフレームを含み、前記フレームが前記本体の前記第2の主面近傍のフレーム面を画定し、前記複数の圧縮構造が、前記本体の前記第2の主面近傍の前記フレーム面から突出している実施形態19記載の方法。
「実施形態26」
前記本体が、前記本体の周囲近傍にフレームボリュームを画定するフレームを含み、前記1つ以上の充填貯蔵器が前記フレームボリューム内に配置されている実施形態19記載の方法。
「実施形態27」
前記1つ以上の充填貯蔵器が、互いに流体連通している2つ以上の充填貯蔵器を含み、前記充填貯蔵器の少なくとも2つが異なるボリュームを有している実施形態19記載の方法。
「実施形態28」
前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが、前記本体に形成されたレンズを含む実施形態19記載の方法。
「実施形態29」
第1の主面と第2の主面を含む本体と、
前記本体の前記第1の主面と前記本体の前記第2の主面の間に配置された1つ以上の充填貯蔵器構造と、
前記本体の第1の主面に形成された複数の処理チャンバ構造と、
前記本体の第1の主面に形成された複数のチャネル構造と、
前記本体の第2の主面から突出していて、前記本体の第2の主面近傍に易壊表示要素を含む複数の圧縮構造と、
前記本体の第1の主面に取り付けられたベースシートとを含み、
前記ベースシートと前記1つ以上の充填貯蔵器構造が装置中の1つ以上の充填貯蔵器を画定し、前記ベースシートと前記複数の処理チャンバ構造が前記装置中に複数の処理チャンバを画定し、前記ベースシートと前記複数のチャネル構造が前記装置中の複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルの各チャネルが前記1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通していて、前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが前記複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している試料処理装置。
「実施形態30」
前記複数の圧縮構造の各圧縮構造が、前記本体の前記第1の主面から前記第2の主面まで延在するポストを含み、前記本体の前記第2の主面を前記プラテンと接触させて、前記試料処理装置の前記ベースシートを前記プラテンから前記サーマルブロックまでの前記サーマルブロック搬送力と密着させる実施形態29記載の装置。
「実施形態31」
前記易壊表示要素が、永久変形されると色を変化させるクロミック表示装置を含む実施形態29記載の装置。
「実施形態32」
前記本体が、前記本体の周囲近傍にフレームを含み、前記フレームが前記本体の前記第2の主面近傍のフレーム面を画定し、前記複数の圧縮構造が、前記本体の前記第2の主面近傍の前記フレーム面から突出している実施形態29記載の装置。
「実施形態33」
前記本体が、前記本体の周囲近傍にフレームボリュームを画定するフレームを含み、前記1つ以上の充填貯蔵器が前記フレームボリューム内に配置されている実施形態29記載の装置。
「実施形態34」
前記1つ以上の充填貯蔵器が、互いに流体連通している2つ以上の充填貯蔵器を含み、前記充填貯蔵器の少なくとも2つが異なるボリュームを有している実施形態29記載の装置。
「実施形態35」
前記装置が複数の充填貯蔵器を含み、少なくとも一対の近接する充填貯蔵器が前記本体の第1の主面近傍の流体経路を通して互いに流体連通している実施形態29記載の装置。
「実施形態36」
前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが、前記本体に形成されたレンズを含む実施形態29記載の装置。
「実施形態37」
充填貯蔵器と、
複数の処理チャンバと、
複数のチャネルとを含み、前記複数のチャネルの各チャネルが前記充填貯蔵器と流体連通しており、前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが前記複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通しており、
前記充填貯蔵器が弓形端部を含み、前記複数のチャネルの各チャネルが前記充填貯蔵器の前記弓形端部から前記充填貯蔵器を出ており、前記複数のチャネルの各チャネルが前記チャネルの長さの第1の部分について前記弓形端部の正接に法線の方向に延在しており、前記複数のチャネルが前記チャネルの長さの第2の部分について長手方向軸と位置合せされている試料処理装置。
「実施形態38」
前記充填貯蔵器が、対称軸を含み、前記充填貯蔵器が、
前記対称軸近傍に充填ポートと、
前記対称軸周囲に対称に配置された2つ以上のベントポートと
を含む実施形態37記載の装置。
「実施形態39」
前記ベントポートが、ベントチャネルを通して前記充填貯蔵器と流体連通しており、前記ベントチャネルが前記対称軸と対称な点で前記充填貯蔵器に接続されている実施形態38記載の装置。
「実施形態40」
前記充填貯蔵器が、充填ポートと1つ以上のベントポートを含み、更に、前記1つ以上のベントポートが、前記チャネルが配置された側とは逆の前記充填貯蔵器の片側に配置されている実施形態37記載の装置。
「実施形態41」
前記充填貯蔵器内に配置された1つ以上の支持構造を更に含み、前記支持構造が前記充填貯蔵器の2つの対向する側間に空間を維持している実施形態37記載の装置。
「実施形態42」
前記支持構造が細長く、前記弓形端部の正接に法線の方向に沿って配置されている実施形態41記載の装置。
「実施形態43」
前記充填貯蔵器が、前記充填貯蔵器の2つの側間に選択的に変化した高さを有していて、前記充填貯蔵器の前記ボリュームの所望の分配がなされる実施形態37記載の装置。
「実施形態44」
前記充填貯蔵器が、中央端部と前記中央端部から遠位の外側端部とを含み、前記外側端部近傍の前記充填貯蔵器の高さが、前記中央近傍の前記充填貯蔵器の高さより高い実施形態43記載の装置。
「実施形態45」
前記複数のチャネルの各チャネルが、ファンネルを通した前記充填貯蔵器の前記弓形端部と流体連通している実施形態37記載の装置。
「実施形態46」
充填貯蔵器と、
複数の処理チャンバと、
複数のチャネルとを含み、前記複数のチャネルの各チャネルが前記充填貯蔵器と流体連通していて、
前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが前記複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通していて、
前記充填貯蔵器が対称軸を含み、前記充填貯蔵器が前記対称軸近傍に充填ポートと、前記対称軸周囲に対称に配置された2つ以上のベントポートと
を含む試料処理装置。
「実施形態47」
前記ベントポートが、ベントチャネルを通して前記充填貯蔵器と流体連通しており、前記ベントチャネルが前記対称軸と対称な点で前記充填貯蔵器に接続されている実施形態46記載の装置。
「実施形態48」
前記充填貯蔵器が、充填ポートと1つ以上のベントポートを含み、更に、前記1つ以上のベントポートが、前記チャネルが配置された側とは逆の前記ベントポートの側に配置されている実施形態46記載の装置。
「実施形態49」
前記充填貯蔵器内に配置された1つ以上の支持構造を更に含み、前記支持構造が前記充填貯蔵器の2つの対向する側間に空間を維持している実施形態46記載の装置。
「実施形態50」
前記充填貯蔵器が、前記充填貯蔵器の2つの側間に選択的に変化した高さを有していて、前記充填貯蔵器の前記ボリュームの所望の分配がなされる実施形態46記載の装置。
「実施形態51」
前記充填貯蔵器が、前記対称軸から遠位の外側端部を含み、前記外側端部近傍の前記充填貯蔵器の高さが、前記対称軸近傍の前記充填貯蔵器の高さより高い実施形態46記載の装置。
「実施形態52」
充填貯蔵器と、
複数の処理チャンバと、
複数のチャネルとを含み、前記複数のチャネルの各チャネルが前記充填貯蔵器と流体連通していて、前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが前記複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通していて、
前記充填貯蔵器が、前記充填貯蔵器の2つの側間に選択的に変化した高さを有していて、前記充填貯蔵器の前記ボリュームの所望の分配がなされる試料処理装置。
「実施形態53」
前記充填貯蔵器が、中央部と前記中央部から遠位の外側端部とを含み、前記外側端部近傍の前記充填貯蔵器の高さが、前記中央近傍の前記充填貯蔵器の高さより高い実施形態52記載の装置。
「実施形態54」
前記充填貯蔵器が、充填ポートと1つ以上のベントポートを含み、更に、前記1つ以上のベントポートが、前記チャネルが配置された側とは逆の前記ベントポートの側に配置されている実施形態52記載の装置。
「実施形態55」
前記充填貯蔵器内に配置された1つ以上の支持構造を更に含み、前記支持構造が前記充填貯蔵器の2つの対向する側間に空間を維持している実施形態52記載の装置。
「実施形態56」
充填貯蔵器と、
複数の処理チャンバと、
複数のチャネルと、
前記充填貯蔵器内に配置された1つ以上の支持構造と
を含み、
前記複数のチャネルの各チャネルが前記充填貯蔵器と流体連通しており、前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが前記複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通しており、
前記支持構造が前記充填貯蔵器の2つの対向する側間に空間を維持しており、
前記充填貯蔵器が弓形端部を含み、前記複数のチャネルの各チャネルが前記充填貯蔵器の前記弓形端部から前記充填貯蔵器を出ており、前記チャネルの長さの第1の部分について前記弓形端部の正接に法線の方向に延在しており、前記複数のチャネルが前記チャネルの長さの第2の部分について長手方向軸と位置合せされており、
前記充填貯蔵器が、対称軸を含み、前記充填貯蔵器が、前記対称軸近傍に充填ポートと、前記対称軸周囲に対称に配置された2つ以上のベントポートとを含み、前記2つ以上のベントポートがチャネルが配置された側とは逆のベントポートの側に配置されており、
更に前記ベントポートが、チャネルを通して前記充填貯蔵器と流体連通しており、前記ベントチャネルが前記対称軸と対称な点で前記充填貯蔵器に接続されており、
更に、前記充填貯蔵器が、前記対称端軸から遠位の外側端部を含み、前記充填貯蔵器の2つの側の間に選択的に変化した高さを有しており、前記外側端部近傍の前記充填貯蔵器の高さが、前記対称軸近傍の前記充填貯蔵器の高さより高く、前記充填貯蔵器の前記ボリュームの所望の分配がなされる試料処理装置。
「実施形態57」
実施形態37記載の試料処理装置を提供する工程と、
前記充填貯蔵器に試料材料を充填する工程と、
前記試料処理装置を前記充填貯蔵器の弓形端部および前記チャネルの前記第1の部分により画定される中央近傍に配置された回転軸周囲に回転させることによって、前記試料材料を前記複数の処理チャンバに分配する工程と
を含む試料材料を処理する方法。
「実施形態58」
実施形態56記載の試料処理装置を提供する工程と、
前記充填貯蔵器に試料材料を充填する工程と、
前記試料処理装置を前記充填貯蔵器の弓形端部および前記チャネルの前記第1の部分により画定される中央近傍に配置された回転軸周囲に回転させることによって、前記試料材料を前記複数の処理チャンバに分配する工程と
を含む試料材料を処理する方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と第2の主面を含む本体と、
前記本体の前記第1の主面と前記本体の前記第2の主面の間に配置された1つ以上の充填貯蔵器構造と、
前記本体の第1の主面に形成された複数の処理チャンバ構造と、
前記本体の第1の主面に形成された複数のチャネル構造と、
前記本体の第2の主面から突出している複数の圧縮構造と、
前記本体の第1の主面に取り付けられたベースシートとを含み、
前記ベースシートと前記1つ以上の充填貯蔵器構造が装置中の1つ以上の充填貯蔵器を画定し、前記ベースシートと前記複数の処理チャンバ構造が前記装置中に複数の処理チャンバを画定し、前記ベースシートと前記複数のチャネル構造が前記装置中の複数のチャネルを画定し、前記複数のチャネルの各チャネルが前記1つ以上の充填貯蔵器の少なくとも1つの充填貯蔵器と流体連通していて、前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが前記複数のチャネルの少なくとも1つのチャネルと流体連通している試料処理装置。
【請求項2】
前記本体が前記本体の周囲近傍にフレームを含み、前記フレームがフレームボリュームを規定し、前記1つ以上の充填貯蔵器が前記フレームボリューム内に配置されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記本体が、前記本体の周囲近傍にフレームを含み、前記フレームが前記本体の前記第2の主面近傍のフレーム面を画定し、前記複数の圧縮構造が、前記本体の前記第2の主面近傍の前記フレーム面から突出している請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の充填貯蔵器が、互いに流体連通している2つ以上の充填貯蔵器を含み、前記充填貯蔵器の少なくとも2つが異なるボリュームを有している請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記複数の処理チャンバの各処理チャンバが、前記本体に形成されたレンズを含む請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−66277(P2010−66277A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289229(P2009−289229)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【分割の表示】特願2004−565084(P2004−565084)の分割
【原出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】