説明

集配業務支援装置

【課題】伝票の受け渡しを省略して作業時間を短縮することのできる集配業務支援装置を提供する。
【解決手段】本発明の集配業務支援装置4は、荷物の伝票データに含まれている集配地に基づいて集配エリアを設定するエリア設定部41と、荷物の集配地で顧客に提供するための集配情報を登録する集配情報登録部42と、集配エリアに配送車両が進入したか否かを判定するエリア進入判定部43と、集配エリアに配送車両が進入したと判定されたときには、配送車両が進入した集配エリアの集配情報を顧客に送信する集配情報送信部44とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集配業務における伝票などの紙によるやりとりを省略して集配業務を支援するための集配業務支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の集配業務では、トラックの集配担当者が端末機を保持し、この端末機から集配情報の入力を行って集荷伝票或いは配送伝票を印字作成して納入先に受け渡していた。
【0003】
このような集配業務は煩雑で雑多な作業が多いので、従来から配送業務を支援するためのシステムが提案されていた。例えば、特許文献1に開示された車両運行管理システムでは、目的地のある地理的範囲を予め設定しておき、車両が目的地の地理的範囲内で停止すると、目的地に到着したものと認定して車両の運行を管理していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−70958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の集配業務では集荷伝票や配送伝票を直接受け渡したり、別途送付したりすることが不可欠となっており、配送する荷物が多い場合には荷積み時や荷卸時に伝票の受け渡しにかかる時間が長くなってしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、伝票の受け渡しを省略して作業時間を短縮することのできる集配業務支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本願の請求項1に係る発明の集配業務支援装置は、荷物を集配するための配送車両に搭載されて集配業務を支援する集配業務支援装置であって、荷物の伝票データに含まれている集配地に基づいて集配エリアを設定するエリア設定手段と、前記荷物の集配地で顧客に提供するための集配情報を前記集配エリア毎に登録する集配情報登録手段と、前記集配エリアに前記配送車両が進入したか否かを判定するエリア進入判定手段と、前記集配エリアに前記配送車両が進入したと判定されたときには、前記配送車両が進入した集配エリアの集配情報を顧客に送信する集配情報送信手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本願の請求項2に係る発明の集配業務支援装置のエリア設定手段は、前記配送車両に設置されているデジタルタコグラフから位置情報を取得して前記集配エリアを設定することを特徴とする。
【0009】
本願の請求項3に係る発明の集配業務支援装置のエリア進入判定手段は、前記デジタルタコグラフから位置情報を取得して前記集配エリアへの進入を判定することを特徴とする。
【0010】
本願の請求項4に係る発明の集配業務支援装置の集配情報登録手段は、前記配送車両に設置されているハンディターミナルを用いて前記集配情報を登録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願の請求項1に係る発明によれば、予め荷物の集配地周辺に集配エリアを設定しておき、配送車両が集配エリアに進入すると集配情報を顧客に送信するので、伝票の受け渡しを省略することができ、これによって作業時間を短縮することができる。
【0012】
本願の請求項2に係る発明によれば、従来から設置されているデジタルタコグラフから位置情報を取得して集配エリアを設定するので、新たにGPS装置を設置する必要がなく、コストを削減することができる。
【0013】
本願の請求項3に係る発明によれば、従来から設置されているデジタルタコグラフから位置情報を取得して集配エリアへの進入を判定するので、新たにGPS装置を設置する必要がなく、コストを削減することができる。
【0014】
本願の請求項4に係る発明によれば、従来から設置されているハンディターミナルを用いて集配情報を登録するので、新たに入力装置を設置する必要がなく、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した一実施形態に係る集配業務支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した一実施形態に係る集配業務支援装置による集配業務支援処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
[集配業務支援装置の構成]
図1は本実施形態に係る集配業務支援システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る集配業務支援システム1は、GPS衛星からの電波を受信するGPSアンテナ2と、GPSアンテナ2で受信したGPSデータに基づいて配送車両の位置情報を生成するデジタルタコグラフ3と、デジタルタコグラフ3からの位置情報に基づいて集配先への到着を判定して集配業務を支援する集配業務支援装置4と、配送車両のドライバーによって操作されるハンディターミナル5と、集配業務支援装置4で生成された情報を送信する通信装置6と、集配先に設置されている顧客端末7とを含んでいる。
【0018】
本実施形態に係る集配業務支援システム1は、予め荷物の集配地を設定しておき、配送車両が集配地に到着すると、伝票データ等の顧客に提供するための集配情報を自動的に顧客端末7へ送信するものである。
【0019】
GPSアンテナ2は、複数のGPS衛星からの電波を受信してデジタルタコグラフ3に出力している。
【0020】
デジタルタコグラフ3は、各センサから車両速度やエンジン回転数を取得して通常の運行記録計として機能するとともに、GPS機能を搭載していて配送車両の位置情報を生成して集配業務支援装置4に出力している。
【0021】
集配業務支援装置4は、荷物の伝票データに含まれている集配地に基づいて集配エリアを設定するエリア設定部41と、荷物の集配地で顧客に提供するための集配情報を集配エリア毎に登録する集配情報登録部42と、集配エリアに配送車両が進入したか否かを判定するエリア進入判定部43と、集配エリアに配送車両が進入したと判定されたときには、配送車両が進入した集配エリアの集配情報を顧客に送信する集配情報送信部44とを備えている。集配業務支援装置4は、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロコンピュータを備えた装置であり、全体の動作を制御するCPUやプログラム等を格納するROM、CPUの処理に必要な記憶領域を確保するRAMなどを備えている。
【0022】
ハンディターミナル5は、バーコードリーダーを搭載して荷物や伝票にあるバーコードから荷物の伝票データを読み込んで集配業務支援装置4に出力する。
【0023】
通信装置6は、集配業務支援装置4が顧客端末7と無線通信するための装置である。本実施形態では無線通信する場合を一例として説明するが、インターネットなどの通信網を介して通信してもよい。
【0024】
顧客端末7は、集配先に設置されているパソコン等の端末であり、無線通信やインターネット通信などの通信機能を備えている。
【0025】
尚、図1では、集配業務支援装置4を独立した装置として記載しているが、デジタルタコグラフ3やハンディターミナル5の中に組み込まれていてもよい。また、GPSアンテナ2、デジタルタコグラフ3、集配業務支援装置4、ハンディターミナル5及び通信装置6は配送車両に搭載された車載システムである。
【0026】
[集配業務支援処理の手順]
次に、本実施形態に係る集配業務支援装置4による集配業務支援処理の手順を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0027】
図2に示すように、ステップS101において配送車両の集配担当者がハンディターミナル5を操作して荷物や伝票にあるバーコードから荷物の伝票データを読み込む。次に、ステップS102において集配業務支援装置4は伝票データに含まれている荷積地や荷卸地などの集配地の住所に基づいて集配エリアを設定する。この集配エリアは、配送車両が集配地に到着したか否かを判定するためのエリアであり、集配地の近傍に設定されるものである。このとき集配業務支援装置4はデジタルタコグラフ3から取得した位置情報を使用して集配エリアを設定する。
【0028】
次に、ステップS103では、集配地に到着した際に顧客に提供するための集配情報を集配エリア毎に予め登録しておく。この集配情報としては、車両番号や運転者名、運行内容などの車両情報と、荷物Noや荷物の種類、大きさ、重量、個数、荷受場所、配達先などの荷物に関する情報とが含まれている。この集配情報はハンディターミナル5を操作して伝票データから読み込んでもいいし、集配担当者がハンディターミナル5から直接入力してもよい。
【0029】
こうして集配エリアが設定されて集配情報が登録されると、次にステップS104において集配担当者は配送車両で走行を開始する。走行を開始すると、集配業務支援装置4はステップS105においてデジタルタコグラフ3から提供される位置情報に基づいて配送車両の位置を計測し、ステップS106ではすべての集配エリアを通過して集配が終了したか否かを判定する。集配が終了していない場合にはステップS107へ移行して集配エリアに進入したか否かを判定する。ここで、集配エリアに進入していない場合にはステップS105に戻ってステップS105〜S107までの処理を繰り返し行い、集配エリアに進入している場合にはステップS108〜S109に移行して集配エリアA〜Cのいずれのエリアに進入したかを判定する。
【0030】
そして、例えば集配エリアAに進入した場合には、ステップS110において集配エリアAに登録されている集配情報を通信装置6によって無線通信で顧客端末7に送信する。
【0031】
同様に、集配エリアBに進入した場合にはステップS111において集配エリアBに登録されている集配情報を顧客端末7に送信し、集配エリアCに進入した場合にはステップS112において集配エリアCに登録されている集配情報を顧客端末7に送信する。
【0032】
こうして集配情報が送信されると、ステップS105に戻って上述した処理をすべての集配エリアを通過するまで繰り返し行う。そして、ステップS106において集配が終了したと判定されると、本実施形態に係る集配業務支援装置4による集配業務支援処理は終了する。
【0033】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る集配業務支援装置4によれば、予め荷物の集配地周辺に集配エリアを設定しておき、配送車両が集配エリアに進入すると集配情報を顧客に自動的に送信するので、伝票の受け渡しを省略することができ、これによって作業時間を短縮することができる。また、集配情報は登録されている集配エリアで自働的に送信されるので、誤送信をなくすことができる。
【0034】
また、本実施形態に係る集配業務支援装置4によれば、従来から設置されているデジタルタコグラフ3から位置情報を取得して集配エリアを設定するので、新たにGPS装置を設置する必要がなく、コストを削減することができる。
【0035】
さらに、本実施形態に係る集配業務支援装置4によれば、従来から設置されているデジタルタコグラフ3から位置情報を取得して集配エリアへの進入を判定するので、新たにGPS装置を設置する必要がなく、コストを削減することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る集配業務支援装置4によれば、従来から設置されているハンディターミナル5を用いて集配情報を登録するので、新たに入力装置を設置する必要がなく、コストを削減することができる。
【0037】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、荷物を集配するための配送車両に搭載されて荷物の集配業務に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 集配業務支援システム
2 GPSアンテナ
3 デジタルタコグラフ
4 集配業務支援装置
5 ハンディターミナル
6 通信装置
7 顧客端末
41 エリア設定部
42 集配情報登録部
43 エリア進入判定部
44 集配情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を集配するための配送車両に搭載されて集配業務を支援する集配業務支援装置であって、
荷物の伝票データに含まれている集配地に基づいて集配エリアを設定するエリア設定手段と、
前記荷物の集配地で顧客に提供するための集配情報を前記集配エリア毎に登録する集配情報登録手段と、
前記集配エリアに前記配送車両が進入したか否かを判定するエリア進入判定手段と、
前記集配エリアに前記配送車両が進入したと判定されたときには、前記配送車両が進入した集配エリアの集配情報を顧客に送信する集配情報送信手段と
を備えていることを特徴とする集配業務支援装置。
【請求項2】
前記エリア設定手段は、前記配送車両に設置されているデジタルタコグラフから位置情報を取得して前記集配エリアを設定することを特徴とする請求項1に記載の集配業務支援装置。
【請求項3】
前記エリア進入判定手段は、前記デジタルタコグラフから位置情報を取得して前記集配エリアへの進入を判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の集配業務支援装置。
【請求項4】
前記集配情報登録手段は、前記配送車両に設置されているハンディターミナルを用いて前記集配情報を登録することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の集配業務支援装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−131596(P2012−131596A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284280(P2010−284280)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)