集電装置付運搬車両
【課題】運搬車両に鉱石等の荷物の積載又は排土にあたり集電装置の破損を抑制する集電装置付運搬車両を提供する。
【解決手段】集電装置付運搬車両であるダンプトラック1は、荷物を積載するベッセル5と、延伸して架線から電力を受け、縮退してベッセル5の下方に配置されるパンタグラフ7と、パンタグラフ7からの電力と、自走駆動源と、の少なくとも1つにより駆動輪32を回転駆動とし、ベッセル5を載置する車両本体3と、を含んでいる。
【解決手段】集電装置付運搬車両であるダンプトラック1は、荷物を積載するベッセル5と、延伸して架線から電力を受け、縮退してベッセル5の下方に配置されるパンタグラフ7と、パンタグラフ7からの電力と、自走駆動源と、の少なくとも1つにより駆動輪32を回転駆動とし、ベッセル5を載置する車両本体3と、を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集電装置付運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
通常は車両搭載のエンジン発電機による電力で電動機を駆動して自力走行し、登坂路等の一部区間において車両に搭載したパンタグラフにより地上上方に架設したトロリ線(架線)から集電し、エンジン発電機電源に代わって電動機を駆動するトロリーアシスト方式の運搬車両が記載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−181104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パンタグラフ(集電装置)は、運搬車両に鉱石等の荷物を積載する又は排土する場合、ベッセルから落下する荷物又は油圧ショベル等の積込機械と衝突するおそれがあり、パンタグラフの破損のおそれがある。本発明は、運搬車両に鉱石等の荷物の積載又は排土にあたり集電装置の破損を抑制する集電装置付運搬車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、荷物を積載するベッセルと、延伸して架線から電力を受け、縮退して前記ベッセルの下方に配置される集電装置と、前記集電装置からの電力と、自走駆動源と、の少なくとも1つにより駆動輪を回転駆動とし、前記ベッセルを載置する車両本体と、を含むことを特徴とする集電装置付運搬車両である。
【0006】
本発明において、縮退した前記集電装置は、前記ベッセルの上面視の外形よりも内側に配置されていることが好ましい。
【0007】
本発明において、前記集電装置は、前記車両本体の進行方向の前方側及び後方側にそれぞれ配置されることが好ましい。
【0008】
本発明において、前記車両本体が運転台のない無人運搬車両であることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記集電装置は、前記架線と摺接するスライダと、前記スライダが取り付けられる第1のアームと、前記第1のアームと関節で連結され、かつ縮退して折り畳まれて前記第1のアームを収容する第2のアームと、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、運搬車両に鉱石等の荷物の積載又は排土にあたり集電装置の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態に係る集電装置を用いたダンプトラックを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の集電装置を延神した状態を示す説明図である。
【図3】図3は、図1の上面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るダンプトラックの自走駆動源の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るダンプトラックの制御ブロックの一例を示す説明図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るダンプトラックの走行路の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本実施形態に係るダンプトラックの走行路情報の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の他の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施形態に係る集電装置を用いたダンプトラックを示す側面図である。
【図12】図12は、図11の集電装置を延神した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
<無人ダンプトラック>
図1は、本実施形態に係る集電装置を用いたダンプトラックを示す斜視図である。図2は、図1の集電装置を延神した状態を示す説明図である。図3は、図1の上面図である。ダンプトラック1は、架線あり区間では集電装置により給電された電力によって電動機を駆動して駆動輪を回転駆動する、いわゆるトロリーアシスト方式の集電装置付運搬車両である。
【0014】
ダンプトラック1は、車輪31と駆動輪32と車台30とを含む車両本体3と、車両本体3の車台30上に載置されたベッセル5と、パンタグラフ7と、入出力機器群9と、を含む集電装置付運搬車両である。また、ダンプトラック1は、運転台を備えず、無人運搬車両として走行する無人ダンプトラックである。車両本体3は、燃料を使用して動力を発生させると共に、電力を使用して動力を発生させる、いわゆるハイブリッド車両であり、発生した動力を駆動輪32に伝達することで走行可能となっている。車台30には、車輪31と、駆動輪32とが取り付けられている。ダンプトラック1は、例えば鉱山等で使用される。
【0015】
ベッセル5は、荷物を積載する荷台であり、車両本体3の車台30上に配置されている。このベッセル5には、荷物として、鉱石、あるいは岩、土等の排土が積載される。ベッセル5は、油圧シリンダにより傾動され、積載した荷物を排出できる。なお、ベッセル5は、車両本体3の車台30に対し着脱可能な構成にしてもよい。
【0016】
パンタグラフ7は、架線8から電力を受ける集電装置である。例えば、パンタグラフ7は、スライダ71と、第1のアーム72と、第2のアーム73と、パンタグラフ制御アクチュエータ74と、パンタグラフ関節部75とを含んでいる。本実施形態のダンプトラック1では、パンタグラフ7は、架線8が2つあり、2つのパンタグラフ7を備えている。
【0017】
スライダ71は、第1のアーム72の端部に取り付けられ、架線8と摺接し架線8から電力を受ける集電部材である。第1のアーム72と第2のアーム73とは、パンタグラフ関節部75で連結され、架線8の高さの変化に追随可能な関節構造となっている。第2のアーム73は、パンタグラフ制御アクチュエータ74に取り付けられている。
【0018】
パンタグラフ7は、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作により、延伸して架線8から電力を受けることができる。また、パンタグラフ7は、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作により、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納される。縮退したパンタグラフ7は、図3に示すベッセル5の上面視の外形を示す点線よりも内側に配置されている。これにより、ベッセル5に鉱石等の荷物を積載する又は排土する場合、縮退したパンタグラフ7がベッセル5で覆われている。つまり、縮退したパンタグラフ7は、上面視でベッセル5に隠れている状態となる。
【0019】
このため、ベッセル5からの荷物が落下し、荷物がパンタグラフ7に接触するおそれが低減される。また、後述する積荷場において、ベッセル5に鉱石等の荷物を積載するために使用される油圧ショベル等の積込機械は、パンタグラフ7がベッセル5で覆われているので、パンタグラフ7に衝突するおそれが低減される。その結果、パンタグラフ7に損傷が生じるおそれを低減できる。また、ダンプトラック1は、屋外で稼働し、又は屋外に駐車することが多い。ダンプトラック1は、縮退したパンタグラフ7が上面視でベッセル5に隠れているため、パンタグラフ7への雨等による影響を抑制することができる。その結果、ダンプトラック1は、パンタグラフ7の故障のおそれを低減できる。また、ダンプトラック1は、運転台がなく、ベッセル5が車両本体3覆うことができる。このためベッセル5が格納庫代わりになる。その結果、車両本体3の故障のおそれも低減できる。
【0020】
パンタグラフ7は、第1のアーム72が第2のアーム73に折り畳まれる構造とすることが好ましい。第2のアーム73は、凹部を有しており、この凹部に第1のアーム72を収容できる。これにより、パンタグラフ7は、格納時に突出が少なくなる。また、ダンプトラック1は、運転台がないので、パンタグラフ7をベッセル5の下方に格納する領域を確保しやすい。
【0021】
パンタグラフ7は、少なくとも車台30の進行方向の前方側に配設されている。また、パンタグラフ7は、車台30の進行方向の後方側にも配設されているとより好ましい。つまり、パンタグラフ7は、車両本体3が進行する方向と平行な方向における車両本体3の両側にそれぞれ配置される。これにより、車両本体3が坂道を走行する場合、車両本体3を反転する動作をしなくても坂道の傾斜上側のパンタグラフ7を延伸し、架線8から電力を受けることができる。その結果、坂道の傾斜により、ベッセル5からの荷物の落下が仮に生じても、荷物がパンタグラフ7に衝突するおそれが低減される。なお、パンタグラフ7は、車両本体3が進行する方向と直行する方向における車両本体3の少なくとも一方に配置されていてもよく、好ましくは両側にそれぞれ配置されてもよい。
【0022】
入出力機器群9は、パンタグラフ7の位置を検出するパンタグラフ位置検出器91と、車両本体3の走行路上の障害物を検出する障害物検出器92と、車両本体3の現在位置を計測する車両本体位置計測器95と、後述する中央管理制御設備との間で無線通信を行う通信装置93とを備えている。
【0023】
パンタグラフ位置検出器91は、例えばカメラ等の撮像装置である。あるいは、パンタグラフ位置検出器91は、レーザ測位装置、超音波測位装置であってもよい。所定間隔をあけて複数箇所に配置されていることが好ましい。これにより、架線8と、パンタグラフ7のスライダ71との接触状態を把握することができる。
【0024】
障害物検出器92は、例えばミリ波レーダ装置であり、ミリ波帯の電波を発信し、障害物に反射する反射波を受信することで障害物の位置を検出することができる。車両本体位置計測器95は、GPS(Global Positioning System)等の位置計測機器である。
【0025】
ダンプトラック1は、地図情報上の進行方向や速度情報等を保持した走行路情報を後述する制御装置内のメモリに記憶する。ダンプトラック1は、走行路情報と車両本体位置計測器95から取得する現在位置情報とに基づいて進行方向や速度を決定し、走行する。また、ダンプトラック1は、入出力機器群9の情報に基づいて自立して走行条件を決定できる自律式無人ダンプとすることもできる。
【0026】
<自走駆動源>
図4は、本実施形態に係るダンプトラックの自走駆動源の一例を示す説明図である。図4に示したように、車両本体3は、車台30上に、制御装置4と、発電機35と、内燃機関であるエンジン34と、ステアリング36と、モータ33とを含んでいる。そして、発電機35は、エンジン34と接続され、エンジン34の動力により電力を発生する自走駆動源である。
【0027】
また、制御装置4は、発電機35からの電力をモータ33及びステアリング36へ伝達する。モータ33は、駆動輪32内に配置されたインホイールモータである。また、モータ33は、車輪31にも配置し車輪31を駆動輪とし、車両本体3が4輪駆動となってもよい。
【0028】
ステアリング36は、例えば電動モータを有し、制御装置4の制御に従って車輪31の方向を操舵する。また、制御装置4は、上述したパンタグラフ7からの電力をモータ33及びステアリング36へ伝達する。制御装置4は、発電機35からの電力をモータ33に供給することで車両本体3を自力走行させる。
【0029】
また、制御装置4は、パンタグラフ7により架線8から集電し、発電機35に代えてパンタグラフ7からの電力をモータ33に供給することで車両本体3を走行させることもできる。さらに、制御装置4は、パンタグラフ7により架線8から集電し、発電機35の電力と共に、パンタグラフ7からの電力をモータ33に供給することで車両本体3を走行させることもできる。
【0030】
<ダンプトラックの制御>
図5は、本実施形態に係るダンプトラックの制御ブロックの一例を示す説明図である。図6は、本実施形態に係るダンプトラックの走行路の一例を示す説明図である。図7及び図8は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の一例を示すフローチャートである。制御装置4は、パンタグラフ位置検出器91と、障害物検出器92と、車両本体位置計測器95と、通信装置93と、モータ33と、ステアリング36と、パンタグラフ制御アクチュエータ74と、に接続されている。制御装置4は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)とメモリとを含むコンピュータシステムである。制御装置4は、走行路情報生成手段41と、走行制御手段42と、パンタグラフ制御手段43と、通信制御手段44とを含んでいる。
【0031】
図6に示すダンプトラック1の走行路は、例えば、架線8が敷設されている架線あり区間Tと、架線8が敷設されていない自走区間E1、E2とがある。例えば、ダンプトラック1は、積荷場51で積込機械59により荷物50を積載する。
【0032】
ダンプトラック1は、自走区間E2を自走し、架線あり区間Tへ到達する。ダンプトラック1は、架線あり区間Tにおいて坂道の傾斜上側のパンタグラフ7を延伸し、架線8から電力を受け矢印V方向に走行する。次に、ダンプトラック1は、自走区間E2を自走し、目的地である排土場52で、上述したベッセル5を油圧シリンダにより傾動し、荷物50を排出する。
【0033】
ダンプトラック1の走行路から遠隔の地にある中央管理制御設備6は、中央制御装置61と、通信装置62とを有している。中央制御装置61は、オペレータによって操作され、ダンプトラック1の運転状況を管理する。通信装置62は、中央制御装置61とダンプトラック1との間で電波Wの無線通信を行っており、各種情報の送受信を行っている。これにより、ダンプトラック1と、中央管理制御設備6とは運搬システムとなる。その結果、ダンプトラック1は、中央管理制御設備6により、運転状況が管理されている。この運搬システムは、オペレータの人員を抑制することができる。
【0034】
図7に示す制御手順について、以下説明する。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。その結果、中央管理制御設備6は、ダンプトラック1の運転状況情報を取得できる。また、運搬システムは、ダンプトラック1の運転状況情報に基づいて、中央管理制御設備6の中央制御装置61で演算した地図情報を、通信装置62及び通信装置93を介して、ダンプトラック1の制御装置4に送出できる。
【0035】
制御装置4の走行路情報生成手段41は、通信装置93より取得した又は、既に記憶している地図情報に基づいて、走行路情報を生成する(ステップS1)。走行路情報は、地図情報と、地図上のダンプトラック1が走行する予定のコースとなる走行路の情報と、を含んでいる。また走行路情報は、地図情報に架線8が敷設されている架線あり区間と、架線8が敷設されていない自走区間との識別情報を付して走行路として生成する。走行路情報は、例えば、上述した図6に示す架線あり区間Tと、自走区間E1、E2とに識別されたダンプトラック1が走行する予定の走行路の情報である。
【0036】
制御装置4は、走行路情報をメモリに記憶する。次に、制御装置4の走行制御手段42は、走行路情報に基づいて進行方向や速度を決定し、モータ33及びステアリング36を制御する。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0037】
制御装置4は、走行路情報と、車両本体位置計測器95のダンプトラック1の現在位置情報とを比較する。制御装置4は、ダンプトラック1の現在位置が架線あり区間Tではないとする場合(ステップS2、No)、パンタグラフ制御手段43がパンタグラフ制御アクチュエータ74を制御して、パンタグラフ7が下降(ステップS3)する。その結果、アクチュエータ74は、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納されている状態となる。
【0038】
走行制御手段42は、走行路情報に基づいて、自走駆動源によりモータ33及びステアリング36を制御する。これにより、ダンプトラック1は走行する(ステップS4)。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0039】
制御装置4は、走行路情報と、車両本体位置計測器95のダンプトラック1の現在位置情報とを比較し、目的地、例えば、排土場52に到達しない場合(ステップS5、No)、ステップ2へ戻る。制御装置4は、目的地に到達する場合(ステップS5、Yes)、ダンプトラック1の作業終了をさせる。
【0040】
制御装置4は、ダンプトラック1の現在位置が架線あり区間Tであるとする場合(ステップS2、Yes)、パンタグラフ位置検出器91により、架線8の位置を確認する(ステップS6)。
【0041】
次に、走行制御手段42は、ステアリング36を制御し(ステップS7)、パンタグラフ7を架線8の下となるように車両の走行の方向を制御する。次に、パンタグラフ制御手段43がパンタグラフ制御アクチュエータ74を制御して、パンタグラフ7が上昇し(ステップS8)、パンタグラフ7が延伸して架線8から電力を受ける状態とする。これにより、ダンプトラック1は、自動的にパンタグラフ7を延伸させて架線8から電力を受けることができる。走行制御手段42は、走行路情報に基づいて、架線8から電力によりモータ33及びステアリング36を制御するトロリーアシスト走行を行う(ステップS9)。
【0042】
ここで、制御装置4は、パンタグラフ位置検出器91からパンタグラフ7と架線8との相対位置を取得し、画像で認識している。パンタグラフ7が架線8を捕らえかつパンタグラフ7が架線8から外れないように、走行制御手段42はパンタグラフ7のスライダ71と架線8とのずれ量を低減する方向にステアリング36を動作させる。これにより、架線あり区間Tでは、ダンプトラック1のパンタグラフ7が架線8を捕らえる割合が向上し、自走駆動源の使用を抑制することができる。なお、上述の走行制御手段42によるステアリング36の動作は、パンタグラフ7が架線8を捕えたのち、常時行うようにしてもよく、また、予め設定された所定のずれ量をうわまわった場合に、行うようにしてもよい。
【0043】
例えば、架線8の位置はほぼ一定であるものの、風等の架線8の位置ずれが生じるおそれがある。ダンプトラック1は、架線8の位置ずれをパンタグラフ7と架線8との相対位置として捕らえ、制御装置4が車両本体3のステアリング36の修正をすることで、パンタグラフ7の位置が補正される。その結果、パンタグラフ7が架線8を捕らえる割合が向上する。パンタグラフ7と架線8との相対位置をパンタグラフ位置検出器91が常に認識しているので、パンタグラフ7が架線8を引っかける前に、制御装置4は、パンタグラフ7と架線8との相対位置を修正するようステアリング36を制御することができる。
【0044】
また、制御装置4は、パンタグラフ7が架線8を捕らえるとする場合(ステップS10、No)、トロリーアシスト走行を継続する(ステップS9)。
【0045】
図8のフローチャートでは、ステップ10をより詳細に説明するダンプトラックの制御手順の一例が示されている。例えば、障害物検出器92が障害物を検出する(ステップS101)。制御装置4は、通信装置62及び通信装置93を介して、障害物の情報を中央管理制御設備6へ送信する。ここで、図9は、本実施形態に係るダンプトラックの走行路情報の一例を示す説明図である。
【0046】
図9において、例えば、ステップS1において生成した走行路情報では、ダンプトラック1が走行位置P1から障害発生区間Hを介して走行位置P3まで、架線あり区間Tを走行する予定であった。障害物検出器92が障害発生区間Hにおいて障害物を検出する(ステップS101)。この障害物の情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0047】
制御装置4は、検出された障害物が、走行予定のコース上であるか否かの判定をし、障害物は走行予定のコース上ではない(ステップS102、No)とする場合、障害物検出器92は、ステップS101の障害物の検出を続ける。制御装置4は、障害物が走行予定のコース上である(ステップS102、Yes)場合、制御装置4が障害あり(ステップS103、Yes)とする。その結果、制御装置4は、パンタグラフ7が架線8を捕らえない(ステップS10、Yes)とし、ステップS11へ進む。制御装置4は、図9に示す迂回位置P2の走行路情報の再作成をする(ステップS11)。
【0048】
あるいは、中央制御装置61が障害あり(ステップS103、Yes)とし、ダンプトラック1へ障害情報を送信してもよい。この場合、制御装置4は、中央制御装置61からの障害情報を通信装置62及び通信装置93を介して受信し、パンタグラフ7が架線8を捕らえない(ステップS10、Yes)とし、ステップS11へ進む。
【0049】
迂回位置P2は、架線8がなく自走区間E3であるので、制御装置4は、パンタグラフ7を下降(ステップ3)させる。パンタグラフ制御手段43がパンタグラフ制御アクチュエータ74を制御して、パンタグラフ7が下降(ステップS3)する。その結果、パンタグラフ7は、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納されている状態となる。走行制御手段42は、ステップS11において再作成した走行路情報に基づいて、自走駆動源によりモータ33及びステアリング36を制御する。これにより、ダンプトラック1は走行する(ステップS4)。このように、ダンプトラック1は、車両本体3が運転台のない無人運搬車両であっても、障害物を回避すること、及びパンタグラフ7が架線8を捕らえないことを両立するように、走行できる。つまり、ダンプトラック1は、オペレータの判断がない条件でも走行を継続することができる。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0050】
制御装置4は、走行路情報と、車両本体位置計測器95のダンプトラック1の現在位置情報とを比較し、目的地、例えば、排土場52に到達しない場合(ステップS5、No)、ステップ2へ戻る。
【0051】
車両本体位置計測器95からの位置情報として走行位置P3が、制御装置4に取得されると、制御装置4は、走行路情報と、現在位置情報である走行位置P3とを比較し、架線あり区間Tであるとする(ステップS2、Yes)。以下、ステップS6以降のステップを繰り返す。
【0052】
図10は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の他の例を示すフローチャートである。図10のフローチャートでは、ステップS10をより詳細に説明するダンプトラックの制御手順の他の例が示されている。例えば、パンタグラフ位置検出器91がパンタグラフ7の位置検出をする(ステップS111)。これにより、パンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態が検出される。
【0053】
制御装置4は、通信装置62及び通信装置93を介して、パンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態の情報を中央管理制御設備6へ送信する。制御装置4は、画像解析等により、パンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態が外れていないとする場合(ステップS112、No)、ステップS111のパンタグラフ位置検出器91がパンタグラフ7の位置検出を続ける。
【0054】
制御装置4は、画像解析等により、パンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態が外れているとする場合(ステップS112、Yes)、障害あり(ステップS113)とする。その結果、制御装置4は、パンタグラフ7が架線8を捕らえない(ステップS10、Yes)とし、ステップS11へ進む。制御装置4は、図9に示す迂回位置P2の走行路情報の再作成をする(ステップS11)。または、制御装置4は、図9に示す障害発生区間Hを自走区間として走行路情報の再作成をする(ステップS11)。
【0055】
制御装置4は、例えば、図9に示す障害発生区間Hにおいて強風によりパンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態が外れているとする場合、(ステップS112、Yes)、障害あり(ステップS113)とする。
【0056】
あるいは、中央制御装置61が障害あり(ステップS103、Yes)とし、ダンプトラック1へ障害情報を送信してもよい。この場合、制御装置4は、中央制御装置61からの障害情報を通信装置62及び通信装置93を介して受信し、パンタグラフ7が架線8を捕らえない(ステップS10、Yes)とし、ステップS11へ進む。
【0057】
次に、パンタグラフ制御手段43がパンタグラフ制御アクチュエータ74を制御して、パンタグラフ7が下降(ステップS3)する。その結果、パンタグラフ7は、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納されている状態となる。
【0058】
走行制御手段42は、ステップS11において再作成した走行路情報に基づいて、自走駆動源によりモータ33及びステアリング36を制御する。これにより、ダンプトラック1は走行する(ステップS4)。このように、ダンプトラック1は、車両本体3が運転台のない無人運搬車両であっても、架線8の異常を回避しつつ、走行できる。つまり、ダンプトラック1は、オペレータの判断がない条件でも走行を継続することができる。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0059】
制御装置4は、走行路情報と、車両本体位置計測器95のダンプトラック1の現在位置情報とを比較し、目的地、例えば、排土場52に到達しない場合(ステップS5、No)、ステップ2へ戻る。
【0060】
車両本体位置計測器95からの位置情報として走行位置P3が、制御装置4に取得されると、制御装置4は、走行路情報と、現在位置情報である走行位置P3とを比較し、架線あり区間Tであるとする(ステップS2、Yes)。以下、ステップS6以降のステップを繰り返す。なお、パンタグラフ7の延伸は、パンタグラフ位置検出手段であるパンタグラフ位置検出器91によらず、ダンプトラック1が架線8の下に来たことをGPS等の車両本体位置計測器95で検出したことで動作するようにしてもよい。また、パンタグラフ7の延伸は、ダンプトラック1が中央制御装置61からの動作信号を受信することによって動作するようにしてもよい。以上説明した実施形態は、運転台のないダンプトラック1で説明したが、運転台を含む無人運搬車両であってもよく、後述する有人運搬車両である有人ダンプトラックであってもよい。
【0061】
<有人ダンプトラック>
図11は、本実施形態に係る集電装置を用いたダンプトラックを示す側面図である。図12は、図11の集電装置を延神した状態を示す説明図である。ダンプトラック2は、運転台38を車台30に有する有人ダンプトラックである。このため、ダンプトラック2の車両本体3は、有人運搬車両となる。上述したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。ダンプトラック2は、例えば鉱山等で使用される。
【0062】
パンタグラフ70は、図11に示す運転台38の上部に配置されている。また、図12に示すように、パンタグラフ70は、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作により、延伸して架線8から電力を受けることができる。また、図11に示すようにパンタグラフ70は、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作により、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納される。縮退したパンタグラフ70は、図11に示すようにベッセル5の上面視の外形よりも内側に配置されている。これにより、ベッセル5に荷物が積載される場合、パンタグラフ7がベッセル5で覆われ、ベッセル5からの荷物の落下によりパンタグラフ7の損傷が生じるおそれを低減できる。つまり、縮退したパンタグラフ7は、上面視でベッセル5に隠れている状態となる。
【0063】
パンタグラフ70は、少なくとも車台30の進行方向の前方側に配設されている。また、パンタグラフ70は、車台30の進行方向の後方側にも配設されているとより好ましい。これにより、車両本体3が坂道を走行する場合、車両本体3を反転する動作をしなくても坂道の傾斜上側のパンタグラフ70を延伸し、架線8から電力を受けることができる。その結果、坂道の傾斜により、ベッセル5からの荷物の落下が仮に生じても、荷物がパンタグラフ70に衝突するおそれが低減される。また、ダンプトラック2は、屋外で稼働し、又は屋外に駐車することが多い。ダンプトラック2は、縮退したパンタグラフ70が上面視でベッセル5に隠れているため、パンタグラフ70への雨等による影響を抑制することができる。その結果、ダンプトラック2は、パンタグラフ70の故障のおそれを低減できる。なお、パンタグラフ70は、車両本体3が進行する方向と直行する方向における車両本体3の少なくとも一方に配置されていてもよく、好ましくは両側にそれぞれ配置されてもよい。
【0064】
次に、ダンプトラック2の手順について、説明する。オペレータは、ダンプトラック2の現在位置と架線8の位置を確認する。
【0065】
次に、オペレータは、ステアリング36を操作しパンタグラフ7を架線8の下となるように車両を運転する。次に、オペレータは、パンタグラフ70が架線8の下となったと判断した後、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作スイッチを操作してパンタグラフ70を上昇させ、パンタグラフ70が延伸して架線8から電力を受ける状態とする。なお、パンタグラフ70の延伸は、上述のダンプトラック1のように、パンタグラフ位置検出手段であるパンタグラフ位置検出器91によって自動的に動作するようにしてもよい。また、パンタグラフ70の延伸は、ダンプトラック2が架線8の下に来たことをGPS等の車両本体位置計測器95で検出したことで行うようにしてもよい。または、パンタグラフ70の延伸は、ダンプトラック2が中央制御装置61からの動作信号を受信することによって動作するようにしてもよい。
【0066】
ここで、制御装置4は、パンタグラフ位置検出器91からパンタグラフ70のスライダ71と架線8との相対位置を取得し、画像で認識している。制御装置4は、パンタグラフ70が架線8を捕らえかつパンタグラフ70が架線8から外れないように、運転台のオペレータにステアリングの操作すべき方向が認識できる情報を指示する。なお、この指示は、パンタグラフ70が架線8に捕えたのち、常時行うようにしてもよく、また、予め設定された所定のずれ量をうわまわった場合に、行うようにしてもよい。
【0067】
例えば、制御装置4は、パンタグラフ70が架線8を捕らえかつパンタグラフ70が架線8から外れないように、運転台38のオペレータに音声、あるいは運転台に設けられたモニタ(表示部)の画面上にステアリングを制御する方向を矢印のマークや文字等で指示する。これにより、架線あり区間Tでは、ダンプトラック1のパンタグラフ70が架線8を捕らえる割合が向上し、自走駆動源の使用を抑制することができる。例えば、架線8の位置はほぼ一定であるものの、風等の架線8の位置ずれが生じるおそれがある。
【0068】
ダンプトラック2は、架線8の位置ずれをパンタグラフ70と架線8との相対位置として捕らえ、制御装置4が車両本体3の走行の指示をすることで、パンタグラフ70の位置が補正される。その結果、パンタグラフ70が架線8を捕らえる割合が向上する。パンタグラフ70と架線8との相対位置をパンタグラフ位置検出器91が常に認識しているので、パンタグラフ70が架線8を引っかける前に、制御装置4は、パンタグラフ70と架線8との相対位置を修正するように走行の指示をすることができる。なお、制御装置4は、走行の方向の指示を矢印のマークや文字等ではなく、パンタグラフ位置検出手段であるパンタグラフ位置検出器91で取り込んだデータ(画像等)をモニタ(表示部)に表示して、指示するようにしてもよい。この場合においても、オペレータは、この画面に表示される情報より、パンタグラフ70と架線8の相対位置を認識することができ、位置ずれを修正することができる。
【0069】
ダンプトラック2は、上述したダンプトラック1と同様に、車両本体3が走行路上の障害物を検出する障害物検出器92を備えている。そして、制御装置4は、障害物検出器92が走行路上の障害物を検出した場合には、集電装置であるパンタグラフ70を縮退させるようにしてもよい。
【0070】
ダンプトラック2は、上述したダンプトラック1と同様に、パンタグラフ位置検出器91を備えている。そして、制御装置4がパンタグラフ70が架線8から外れたことをパンタグラフ位置検出器91が検出した場合には、パンタグラフ70を縮退させるようにしてもよい。
【0071】
ダンプトラック2において、上述したダンプトラック1と同様に、制御装置4は、車両本体が走行する予定の走行路に架線8がある場合に、パンタグラフ位置検出器91がパンタグラフ70と架線8との相対位置を認識したらパンタグラフ70を延伸させて架線8から電力を受けるようにしてもよい。これにより、ダンプトラック2は、自動で電力を架線8から受けることができる。その結果、オペレータの負荷が軽減される。
【符号の説明】
【0072】
1、2 ダンプトラック
3 車両本体
4 制御装置
5 ベッセル
6 中央管理制御設備
7、70 パンタグラフ(集電装置)
8 架線
91 パンタグラフ位置検出器
92 障害物検出器
【技術分野】
【0001】
本発明は、集電装置付運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
通常は車両搭載のエンジン発電機による電力で電動機を駆動して自力走行し、登坂路等の一部区間において車両に搭載したパンタグラフにより地上上方に架設したトロリ線(架線)から集電し、エンジン発電機電源に代わって電動機を駆動するトロリーアシスト方式の運搬車両が記載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−181104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パンタグラフ(集電装置)は、運搬車両に鉱石等の荷物を積載する又は排土する場合、ベッセルから落下する荷物又は油圧ショベル等の積込機械と衝突するおそれがあり、パンタグラフの破損のおそれがある。本発明は、運搬車両に鉱石等の荷物の積載又は排土にあたり集電装置の破損を抑制する集電装置付運搬車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、荷物を積載するベッセルと、延伸して架線から電力を受け、縮退して前記ベッセルの下方に配置される集電装置と、前記集電装置からの電力と、自走駆動源と、の少なくとも1つにより駆動輪を回転駆動とし、前記ベッセルを載置する車両本体と、を含むことを特徴とする集電装置付運搬車両である。
【0006】
本発明において、縮退した前記集電装置は、前記ベッセルの上面視の外形よりも内側に配置されていることが好ましい。
【0007】
本発明において、前記集電装置は、前記車両本体の進行方向の前方側及び後方側にそれぞれ配置されることが好ましい。
【0008】
本発明において、前記車両本体が運転台のない無人運搬車両であることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記集電装置は、前記架線と摺接するスライダと、前記スライダが取り付けられる第1のアームと、前記第1のアームと関節で連結され、かつ縮退して折り畳まれて前記第1のアームを収容する第2のアームと、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、運搬車両に鉱石等の荷物の積載又は排土にあたり集電装置の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態に係る集電装置を用いたダンプトラックを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の集電装置を延神した状態を示す説明図である。
【図3】図3は、図1の上面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るダンプトラックの自走駆動源の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るダンプトラックの制御ブロックの一例を示す説明図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るダンプトラックの走行路の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本実施形態に係るダンプトラックの走行路情報の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の他の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施形態に係る集電装置を用いたダンプトラックを示す側面図である。
【図12】図12は、図11の集電装置を延神した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
<無人ダンプトラック>
図1は、本実施形態に係る集電装置を用いたダンプトラックを示す斜視図である。図2は、図1の集電装置を延神した状態を示す説明図である。図3は、図1の上面図である。ダンプトラック1は、架線あり区間では集電装置により給電された電力によって電動機を駆動して駆動輪を回転駆動する、いわゆるトロリーアシスト方式の集電装置付運搬車両である。
【0014】
ダンプトラック1は、車輪31と駆動輪32と車台30とを含む車両本体3と、車両本体3の車台30上に載置されたベッセル5と、パンタグラフ7と、入出力機器群9と、を含む集電装置付運搬車両である。また、ダンプトラック1は、運転台を備えず、無人運搬車両として走行する無人ダンプトラックである。車両本体3は、燃料を使用して動力を発生させると共に、電力を使用して動力を発生させる、いわゆるハイブリッド車両であり、発生した動力を駆動輪32に伝達することで走行可能となっている。車台30には、車輪31と、駆動輪32とが取り付けられている。ダンプトラック1は、例えば鉱山等で使用される。
【0015】
ベッセル5は、荷物を積載する荷台であり、車両本体3の車台30上に配置されている。このベッセル5には、荷物として、鉱石、あるいは岩、土等の排土が積載される。ベッセル5は、油圧シリンダにより傾動され、積載した荷物を排出できる。なお、ベッセル5は、車両本体3の車台30に対し着脱可能な構成にしてもよい。
【0016】
パンタグラフ7は、架線8から電力を受ける集電装置である。例えば、パンタグラフ7は、スライダ71と、第1のアーム72と、第2のアーム73と、パンタグラフ制御アクチュエータ74と、パンタグラフ関節部75とを含んでいる。本実施形態のダンプトラック1では、パンタグラフ7は、架線8が2つあり、2つのパンタグラフ7を備えている。
【0017】
スライダ71は、第1のアーム72の端部に取り付けられ、架線8と摺接し架線8から電力を受ける集電部材である。第1のアーム72と第2のアーム73とは、パンタグラフ関節部75で連結され、架線8の高さの変化に追随可能な関節構造となっている。第2のアーム73は、パンタグラフ制御アクチュエータ74に取り付けられている。
【0018】
パンタグラフ7は、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作により、延伸して架線8から電力を受けることができる。また、パンタグラフ7は、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作により、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納される。縮退したパンタグラフ7は、図3に示すベッセル5の上面視の外形を示す点線よりも内側に配置されている。これにより、ベッセル5に鉱石等の荷物を積載する又は排土する場合、縮退したパンタグラフ7がベッセル5で覆われている。つまり、縮退したパンタグラフ7は、上面視でベッセル5に隠れている状態となる。
【0019】
このため、ベッセル5からの荷物が落下し、荷物がパンタグラフ7に接触するおそれが低減される。また、後述する積荷場において、ベッセル5に鉱石等の荷物を積載するために使用される油圧ショベル等の積込機械は、パンタグラフ7がベッセル5で覆われているので、パンタグラフ7に衝突するおそれが低減される。その結果、パンタグラフ7に損傷が生じるおそれを低減できる。また、ダンプトラック1は、屋外で稼働し、又は屋外に駐車することが多い。ダンプトラック1は、縮退したパンタグラフ7が上面視でベッセル5に隠れているため、パンタグラフ7への雨等による影響を抑制することができる。その結果、ダンプトラック1は、パンタグラフ7の故障のおそれを低減できる。また、ダンプトラック1は、運転台がなく、ベッセル5が車両本体3覆うことができる。このためベッセル5が格納庫代わりになる。その結果、車両本体3の故障のおそれも低減できる。
【0020】
パンタグラフ7は、第1のアーム72が第2のアーム73に折り畳まれる構造とすることが好ましい。第2のアーム73は、凹部を有しており、この凹部に第1のアーム72を収容できる。これにより、パンタグラフ7は、格納時に突出が少なくなる。また、ダンプトラック1は、運転台がないので、パンタグラフ7をベッセル5の下方に格納する領域を確保しやすい。
【0021】
パンタグラフ7は、少なくとも車台30の進行方向の前方側に配設されている。また、パンタグラフ7は、車台30の進行方向の後方側にも配設されているとより好ましい。つまり、パンタグラフ7は、車両本体3が進行する方向と平行な方向における車両本体3の両側にそれぞれ配置される。これにより、車両本体3が坂道を走行する場合、車両本体3を反転する動作をしなくても坂道の傾斜上側のパンタグラフ7を延伸し、架線8から電力を受けることができる。その結果、坂道の傾斜により、ベッセル5からの荷物の落下が仮に生じても、荷物がパンタグラフ7に衝突するおそれが低減される。なお、パンタグラフ7は、車両本体3が進行する方向と直行する方向における車両本体3の少なくとも一方に配置されていてもよく、好ましくは両側にそれぞれ配置されてもよい。
【0022】
入出力機器群9は、パンタグラフ7の位置を検出するパンタグラフ位置検出器91と、車両本体3の走行路上の障害物を検出する障害物検出器92と、車両本体3の現在位置を計測する車両本体位置計測器95と、後述する中央管理制御設備との間で無線通信を行う通信装置93とを備えている。
【0023】
パンタグラフ位置検出器91は、例えばカメラ等の撮像装置である。あるいは、パンタグラフ位置検出器91は、レーザ測位装置、超音波測位装置であってもよい。所定間隔をあけて複数箇所に配置されていることが好ましい。これにより、架線8と、パンタグラフ7のスライダ71との接触状態を把握することができる。
【0024】
障害物検出器92は、例えばミリ波レーダ装置であり、ミリ波帯の電波を発信し、障害物に反射する反射波を受信することで障害物の位置を検出することができる。車両本体位置計測器95は、GPS(Global Positioning System)等の位置計測機器である。
【0025】
ダンプトラック1は、地図情報上の進行方向や速度情報等を保持した走行路情報を後述する制御装置内のメモリに記憶する。ダンプトラック1は、走行路情報と車両本体位置計測器95から取得する現在位置情報とに基づいて進行方向や速度を決定し、走行する。また、ダンプトラック1は、入出力機器群9の情報に基づいて自立して走行条件を決定できる自律式無人ダンプとすることもできる。
【0026】
<自走駆動源>
図4は、本実施形態に係るダンプトラックの自走駆動源の一例を示す説明図である。図4に示したように、車両本体3は、車台30上に、制御装置4と、発電機35と、内燃機関であるエンジン34と、ステアリング36と、モータ33とを含んでいる。そして、発電機35は、エンジン34と接続され、エンジン34の動力により電力を発生する自走駆動源である。
【0027】
また、制御装置4は、発電機35からの電力をモータ33及びステアリング36へ伝達する。モータ33は、駆動輪32内に配置されたインホイールモータである。また、モータ33は、車輪31にも配置し車輪31を駆動輪とし、車両本体3が4輪駆動となってもよい。
【0028】
ステアリング36は、例えば電動モータを有し、制御装置4の制御に従って車輪31の方向を操舵する。また、制御装置4は、上述したパンタグラフ7からの電力をモータ33及びステアリング36へ伝達する。制御装置4は、発電機35からの電力をモータ33に供給することで車両本体3を自力走行させる。
【0029】
また、制御装置4は、パンタグラフ7により架線8から集電し、発電機35に代えてパンタグラフ7からの電力をモータ33に供給することで車両本体3を走行させることもできる。さらに、制御装置4は、パンタグラフ7により架線8から集電し、発電機35の電力と共に、パンタグラフ7からの電力をモータ33に供給することで車両本体3を走行させることもできる。
【0030】
<ダンプトラックの制御>
図5は、本実施形態に係るダンプトラックの制御ブロックの一例を示す説明図である。図6は、本実施形態に係るダンプトラックの走行路の一例を示す説明図である。図7及び図8は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の一例を示すフローチャートである。制御装置4は、パンタグラフ位置検出器91と、障害物検出器92と、車両本体位置計測器95と、通信装置93と、モータ33と、ステアリング36と、パンタグラフ制御アクチュエータ74と、に接続されている。制御装置4は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)とメモリとを含むコンピュータシステムである。制御装置4は、走行路情報生成手段41と、走行制御手段42と、パンタグラフ制御手段43と、通信制御手段44とを含んでいる。
【0031】
図6に示すダンプトラック1の走行路は、例えば、架線8が敷設されている架線あり区間Tと、架線8が敷設されていない自走区間E1、E2とがある。例えば、ダンプトラック1は、積荷場51で積込機械59により荷物50を積載する。
【0032】
ダンプトラック1は、自走区間E2を自走し、架線あり区間Tへ到達する。ダンプトラック1は、架線あり区間Tにおいて坂道の傾斜上側のパンタグラフ7を延伸し、架線8から電力を受け矢印V方向に走行する。次に、ダンプトラック1は、自走区間E2を自走し、目的地である排土場52で、上述したベッセル5を油圧シリンダにより傾動し、荷物50を排出する。
【0033】
ダンプトラック1の走行路から遠隔の地にある中央管理制御設備6は、中央制御装置61と、通信装置62とを有している。中央制御装置61は、オペレータによって操作され、ダンプトラック1の運転状況を管理する。通信装置62は、中央制御装置61とダンプトラック1との間で電波Wの無線通信を行っており、各種情報の送受信を行っている。これにより、ダンプトラック1と、中央管理制御設備6とは運搬システムとなる。その結果、ダンプトラック1は、中央管理制御設備6により、運転状況が管理されている。この運搬システムは、オペレータの人員を抑制することができる。
【0034】
図7に示す制御手順について、以下説明する。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。その結果、中央管理制御設備6は、ダンプトラック1の運転状況情報を取得できる。また、運搬システムは、ダンプトラック1の運転状況情報に基づいて、中央管理制御設備6の中央制御装置61で演算した地図情報を、通信装置62及び通信装置93を介して、ダンプトラック1の制御装置4に送出できる。
【0035】
制御装置4の走行路情報生成手段41は、通信装置93より取得した又は、既に記憶している地図情報に基づいて、走行路情報を生成する(ステップS1)。走行路情報は、地図情報と、地図上のダンプトラック1が走行する予定のコースとなる走行路の情報と、を含んでいる。また走行路情報は、地図情報に架線8が敷設されている架線あり区間と、架線8が敷設されていない自走区間との識別情報を付して走行路として生成する。走行路情報は、例えば、上述した図6に示す架線あり区間Tと、自走区間E1、E2とに識別されたダンプトラック1が走行する予定の走行路の情報である。
【0036】
制御装置4は、走行路情報をメモリに記憶する。次に、制御装置4の走行制御手段42は、走行路情報に基づいて進行方向や速度を決定し、モータ33及びステアリング36を制御する。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0037】
制御装置4は、走行路情報と、車両本体位置計測器95のダンプトラック1の現在位置情報とを比較する。制御装置4は、ダンプトラック1の現在位置が架線あり区間Tではないとする場合(ステップS2、No)、パンタグラフ制御手段43がパンタグラフ制御アクチュエータ74を制御して、パンタグラフ7が下降(ステップS3)する。その結果、アクチュエータ74は、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納されている状態となる。
【0038】
走行制御手段42は、走行路情報に基づいて、自走駆動源によりモータ33及びステアリング36を制御する。これにより、ダンプトラック1は走行する(ステップS4)。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0039】
制御装置4は、走行路情報と、車両本体位置計測器95のダンプトラック1の現在位置情報とを比較し、目的地、例えば、排土場52に到達しない場合(ステップS5、No)、ステップ2へ戻る。制御装置4は、目的地に到達する場合(ステップS5、Yes)、ダンプトラック1の作業終了をさせる。
【0040】
制御装置4は、ダンプトラック1の現在位置が架線あり区間Tであるとする場合(ステップS2、Yes)、パンタグラフ位置検出器91により、架線8の位置を確認する(ステップS6)。
【0041】
次に、走行制御手段42は、ステアリング36を制御し(ステップS7)、パンタグラフ7を架線8の下となるように車両の走行の方向を制御する。次に、パンタグラフ制御手段43がパンタグラフ制御アクチュエータ74を制御して、パンタグラフ7が上昇し(ステップS8)、パンタグラフ7が延伸して架線8から電力を受ける状態とする。これにより、ダンプトラック1は、自動的にパンタグラフ7を延伸させて架線8から電力を受けることができる。走行制御手段42は、走行路情報に基づいて、架線8から電力によりモータ33及びステアリング36を制御するトロリーアシスト走行を行う(ステップS9)。
【0042】
ここで、制御装置4は、パンタグラフ位置検出器91からパンタグラフ7と架線8との相対位置を取得し、画像で認識している。パンタグラフ7が架線8を捕らえかつパンタグラフ7が架線8から外れないように、走行制御手段42はパンタグラフ7のスライダ71と架線8とのずれ量を低減する方向にステアリング36を動作させる。これにより、架線あり区間Tでは、ダンプトラック1のパンタグラフ7が架線8を捕らえる割合が向上し、自走駆動源の使用を抑制することができる。なお、上述の走行制御手段42によるステアリング36の動作は、パンタグラフ7が架線8を捕えたのち、常時行うようにしてもよく、また、予め設定された所定のずれ量をうわまわった場合に、行うようにしてもよい。
【0043】
例えば、架線8の位置はほぼ一定であるものの、風等の架線8の位置ずれが生じるおそれがある。ダンプトラック1は、架線8の位置ずれをパンタグラフ7と架線8との相対位置として捕らえ、制御装置4が車両本体3のステアリング36の修正をすることで、パンタグラフ7の位置が補正される。その結果、パンタグラフ7が架線8を捕らえる割合が向上する。パンタグラフ7と架線8との相対位置をパンタグラフ位置検出器91が常に認識しているので、パンタグラフ7が架線8を引っかける前に、制御装置4は、パンタグラフ7と架線8との相対位置を修正するようステアリング36を制御することができる。
【0044】
また、制御装置4は、パンタグラフ7が架線8を捕らえるとする場合(ステップS10、No)、トロリーアシスト走行を継続する(ステップS9)。
【0045】
図8のフローチャートでは、ステップ10をより詳細に説明するダンプトラックの制御手順の一例が示されている。例えば、障害物検出器92が障害物を検出する(ステップS101)。制御装置4は、通信装置62及び通信装置93を介して、障害物の情報を中央管理制御設備6へ送信する。ここで、図9は、本実施形態に係るダンプトラックの走行路情報の一例を示す説明図である。
【0046】
図9において、例えば、ステップS1において生成した走行路情報では、ダンプトラック1が走行位置P1から障害発生区間Hを介して走行位置P3まで、架線あり区間Tを走行する予定であった。障害物検出器92が障害発生区間Hにおいて障害物を検出する(ステップS101)。この障害物の情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0047】
制御装置4は、検出された障害物が、走行予定のコース上であるか否かの判定をし、障害物は走行予定のコース上ではない(ステップS102、No)とする場合、障害物検出器92は、ステップS101の障害物の検出を続ける。制御装置4は、障害物が走行予定のコース上である(ステップS102、Yes)場合、制御装置4が障害あり(ステップS103、Yes)とする。その結果、制御装置4は、パンタグラフ7が架線8を捕らえない(ステップS10、Yes)とし、ステップS11へ進む。制御装置4は、図9に示す迂回位置P2の走行路情報の再作成をする(ステップS11)。
【0048】
あるいは、中央制御装置61が障害あり(ステップS103、Yes)とし、ダンプトラック1へ障害情報を送信してもよい。この場合、制御装置4は、中央制御装置61からの障害情報を通信装置62及び通信装置93を介して受信し、パンタグラフ7が架線8を捕らえない(ステップS10、Yes)とし、ステップS11へ進む。
【0049】
迂回位置P2は、架線8がなく自走区間E3であるので、制御装置4は、パンタグラフ7を下降(ステップ3)させる。パンタグラフ制御手段43がパンタグラフ制御アクチュエータ74を制御して、パンタグラフ7が下降(ステップS3)する。その結果、パンタグラフ7は、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納されている状態となる。走行制御手段42は、ステップS11において再作成した走行路情報に基づいて、自走駆動源によりモータ33及びステアリング36を制御する。これにより、ダンプトラック1は走行する(ステップS4)。このように、ダンプトラック1は、車両本体3が運転台のない無人運搬車両であっても、障害物を回避すること、及びパンタグラフ7が架線8を捕らえないことを両立するように、走行できる。つまり、ダンプトラック1は、オペレータの判断がない条件でも走行を継続することができる。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0050】
制御装置4は、走行路情報と、車両本体位置計測器95のダンプトラック1の現在位置情報とを比較し、目的地、例えば、排土場52に到達しない場合(ステップS5、No)、ステップ2へ戻る。
【0051】
車両本体位置計測器95からの位置情報として走行位置P3が、制御装置4に取得されると、制御装置4は、走行路情報と、現在位置情報である走行位置P3とを比較し、架線あり区間Tであるとする(ステップS2、Yes)。以下、ステップS6以降のステップを繰り返す。
【0052】
図10は、本実施形態に係るダンプトラックの制御手順の他の例を示すフローチャートである。図10のフローチャートでは、ステップS10をより詳細に説明するダンプトラックの制御手順の他の例が示されている。例えば、パンタグラフ位置検出器91がパンタグラフ7の位置検出をする(ステップS111)。これにより、パンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態が検出される。
【0053】
制御装置4は、通信装置62及び通信装置93を介して、パンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態の情報を中央管理制御設備6へ送信する。制御装置4は、画像解析等により、パンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態が外れていないとする場合(ステップS112、No)、ステップS111のパンタグラフ位置検出器91がパンタグラフ7の位置検出を続ける。
【0054】
制御装置4は、画像解析等により、パンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態が外れているとする場合(ステップS112、Yes)、障害あり(ステップS113)とする。その結果、制御装置4は、パンタグラフ7が架線8を捕らえない(ステップS10、Yes)とし、ステップS11へ進む。制御装置4は、図9に示す迂回位置P2の走行路情報の再作成をする(ステップS11)。または、制御装置4は、図9に示す障害発生区間Hを自走区間として走行路情報の再作成をする(ステップS11)。
【0055】
制御装置4は、例えば、図9に示す障害発生区間Hにおいて強風によりパンタグラフ7のスライダ71と架線8との接続状態が外れているとする場合、(ステップS112、Yes)、障害あり(ステップS113)とする。
【0056】
あるいは、中央制御装置61が障害あり(ステップS103、Yes)とし、ダンプトラック1へ障害情報を送信してもよい。この場合、制御装置4は、中央制御装置61からの障害情報を通信装置62及び通信装置93を介して受信し、パンタグラフ7が架線8を捕らえない(ステップS10、Yes)とし、ステップS11へ進む。
【0057】
次に、パンタグラフ制御手段43がパンタグラフ制御アクチュエータ74を制御して、パンタグラフ7が下降(ステップS3)する。その結果、パンタグラフ7は、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納されている状態となる。
【0058】
走行制御手段42は、ステップS11において再作成した走行路情報に基づいて、自走駆動源によりモータ33及びステアリング36を制御する。これにより、ダンプトラック1は走行する(ステップS4)。このように、ダンプトラック1は、車両本体3が運転台のない無人運搬車両であっても、架線8の異常を回避しつつ、走行できる。つまり、ダンプトラック1は、オペレータの判断がない条件でも走行を継続することができる。車両本体位置計測器95からの位置情報は、制御装置4に取得されると、通信装置62及び通信装置93を介して、中央管理制御設備6へ送信される。
【0059】
制御装置4は、走行路情報と、車両本体位置計測器95のダンプトラック1の現在位置情報とを比較し、目的地、例えば、排土場52に到達しない場合(ステップS5、No)、ステップ2へ戻る。
【0060】
車両本体位置計測器95からの位置情報として走行位置P3が、制御装置4に取得されると、制御装置4は、走行路情報と、現在位置情報である走行位置P3とを比較し、架線あり区間Tであるとする(ステップS2、Yes)。以下、ステップS6以降のステップを繰り返す。なお、パンタグラフ7の延伸は、パンタグラフ位置検出手段であるパンタグラフ位置検出器91によらず、ダンプトラック1が架線8の下に来たことをGPS等の車両本体位置計測器95で検出したことで動作するようにしてもよい。また、パンタグラフ7の延伸は、ダンプトラック1が中央制御装置61からの動作信号を受信することによって動作するようにしてもよい。以上説明した実施形態は、運転台のないダンプトラック1で説明したが、運転台を含む無人運搬車両であってもよく、後述する有人運搬車両である有人ダンプトラックであってもよい。
【0061】
<有人ダンプトラック>
図11は、本実施形態に係る集電装置を用いたダンプトラックを示す側面図である。図12は、図11の集電装置を延神した状態を示す説明図である。ダンプトラック2は、運転台38を車台30に有する有人ダンプトラックである。このため、ダンプトラック2の車両本体3は、有人運搬車両となる。上述したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。ダンプトラック2は、例えば鉱山等で使用される。
【0062】
パンタグラフ70は、図11に示す運転台38の上部に配置されている。また、図12に示すように、パンタグラフ70は、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作により、延伸して架線8から電力を受けることができる。また、図11に示すようにパンタグラフ70は、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作により、縮退して折り畳まれてベッセル5の下方に格納される。縮退したパンタグラフ70は、図11に示すようにベッセル5の上面視の外形よりも内側に配置されている。これにより、ベッセル5に荷物が積載される場合、パンタグラフ7がベッセル5で覆われ、ベッセル5からの荷物の落下によりパンタグラフ7の損傷が生じるおそれを低減できる。つまり、縮退したパンタグラフ7は、上面視でベッセル5に隠れている状態となる。
【0063】
パンタグラフ70は、少なくとも車台30の進行方向の前方側に配設されている。また、パンタグラフ70は、車台30の進行方向の後方側にも配設されているとより好ましい。これにより、車両本体3が坂道を走行する場合、車両本体3を反転する動作をしなくても坂道の傾斜上側のパンタグラフ70を延伸し、架線8から電力を受けることができる。その結果、坂道の傾斜により、ベッセル5からの荷物の落下が仮に生じても、荷物がパンタグラフ70に衝突するおそれが低減される。また、ダンプトラック2は、屋外で稼働し、又は屋外に駐車することが多い。ダンプトラック2は、縮退したパンタグラフ70が上面視でベッセル5に隠れているため、パンタグラフ70への雨等による影響を抑制することができる。その結果、ダンプトラック2は、パンタグラフ70の故障のおそれを低減できる。なお、パンタグラフ70は、車両本体3が進行する方向と直行する方向における車両本体3の少なくとも一方に配置されていてもよく、好ましくは両側にそれぞれ配置されてもよい。
【0064】
次に、ダンプトラック2の手順について、説明する。オペレータは、ダンプトラック2の現在位置と架線8の位置を確認する。
【0065】
次に、オペレータは、ステアリング36を操作しパンタグラフ7を架線8の下となるように車両を運転する。次に、オペレータは、パンタグラフ70が架線8の下となったと判断した後、パンタグラフ制御アクチュエータ74の動作スイッチを操作してパンタグラフ70を上昇させ、パンタグラフ70が延伸して架線8から電力を受ける状態とする。なお、パンタグラフ70の延伸は、上述のダンプトラック1のように、パンタグラフ位置検出手段であるパンタグラフ位置検出器91によって自動的に動作するようにしてもよい。また、パンタグラフ70の延伸は、ダンプトラック2が架線8の下に来たことをGPS等の車両本体位置計測器95で検出したことで行うようにしてもよい。または、パンタグラフ70の延伸は、ダンプトラック2が中央制御装置61からの動作信号を受信することによって動作するようにしてもよい。
【0066】
ここで、制御装置4は、パンタグラフ位置検出器91からパンタグラフ70のスライダ71と架線8との相対位置を取得し、画像で認識している。制御装置4は、パンタグラフ70が架線8を捕らえかつパンタグラフ70が架線8から外れないように、運転台のオペレータにステアリングの操作すべき方向が認識できる情報を指示する。なお、この指示は、パンタグラフ70が架線8に捕えたのち、常時行うようにしてもよく、また、予め設定された所定のずれ量をうわまわった場合に、行うようにしてもよい。
【0067】
例えば、制御装置4は、パンタグラフ70が架線8を捕らえかつパンタグラフ70が架線8から外れないように、運転台38のオペレータに音声、あるいは運転台に設けられたモニタ(表示部)の画面上にステアリングを制御する方向を矢印のマークや文字等で指示する。これにより、架線あり区間Tでは、ダンプトラック1のパンタグラフ70が架線8を捕らえる割合が向上し、自走駆動源の使用を抑制することができる。例えば、架線8の位置はほぼ一定であるものの、風等の架線8の位置ずれが生じるおそれがある。
【0068】
ダンプトラック2は、架線8の位置ずれをパンタグラフ70と架線8との相対位置として捕らえ、制御装置4が車両本体3の走行の指示をすることで、パンタグラフ70の位置が補正される。その結果、パンタグラフ70が架線8を捕らえる割合が向上する。パンタグラフ70と架線8との相対位置をパンタグラフ位置検出器91が常に認識しているので、パンタグラフ70が架線8を引っかける前に、制御装置4は、パンタグラフ70と架線8との相対位置を修正するように走行の指示をすることができる。なお、制御装置4は、走行の方向の指示を矢印のマークや文字等ではなく、パンタグラフ位置検出手段であるパンタグラフ位置検出器91で取り込んだデータ(画像等)をモニタ(表示部)に表示して、指示するようにしてもよい。この場合においても、オペレータは、この画面に表示される情報より、パンタグラフ70と架線8の相対位置を認識することができ、位置ずれを修正することができる。
【0069】
ダンプトラック2は、上述したダンプトラック1と同様に、車両本体3が走行路上の障害物を検出する障害物検出器92を備えている。そして、制御装置4は、障害物検出器92が走行路上の障害物を検出した場合には、集電装置であるパンタグラフ70を縮退させるようにしてもよい。
【0070】
ダンプトラック2は、上述したダンプトラック1と同様に、パンタグラフ位置検出器91を備えている。そして、制御装置4がパンタグラフ70が架線8から外れたことをパンタグラフ位置検出器91が検出した場合には、パンタグラフ70を縮退させるようにしてもよい。
【0071】
ダンプトラック2において、上述したダンプトラック1と同様に、制御装置4は、車両本体が走行する予定の走行路に架線8がある場合に、パンタグラフ位置検出器91がパンタグラフ70と架線8との相対位置を認識したらパンタグラフ70を延伸させて架線8から電力を受けるようにしてもよい。これにより、ダンプトラック2は、自動で電力を架線8から受けることができる。その結果、オペレータの負荷が軽減される。
【符号の説明】
【0072】
1、2 ダンプトラック
3 車両本体
4 制御装置
5 ベッセル
6 中央管理制御設備
7、70 パンタグラフ(集電装置)
8 架線
91 パンタグラフ位置検出器
92 障害物検出器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を積載するベッセルと、
延伸して架線から電力を受け、縮退して前記ベッセルの下方に配置される集電装置と、
前記集電装置からの電力と、自走駆動源と、の少なくとも1つにより駆動輪を回転駆動とし、前記ベッセルを載置する車両本体と、
を含むことを特徴とする集電装置付運搬車両。
【請求項2】
縮退した前記集電装置は、前記ベッセルの上面視の外形よりも内側に配置されている請求項に記載の集電装置付運搬車両。
【請求項3】
前記集電装置は、前記車両本体の進行方向の前方側及び後方側にそれぞれ配置される請求項1又は2に記載の集電装置付運搬車両。
【請求項4】
前記車両本体が運転台のない無人運搬車両である請求項1から3のいずれか1項に記載の集電装置付運搬車両。
【請求項5】
前記集電装置は、前記架線と摺接するスライダと、前記スライダが取り付けられる第1のアームと、前記第1のアームと関節で連結され、かつ縮退して折り畳まれて前記第1のアームを収容する第2のアームと、を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の集電装置付運搬車両。
【請求項1】
荷物を積載するベッセルと、
延伸して架線から電力を受け、縮退して前記ベッセルの下方に配置される集電装置と、
前記集電装置からの電力と、自走駆動源と、の少なくとも1つにより駆動輪を回転駆動とし、前記ベッセルを載置する車両本体と、
を含むことを特徴とする集電装置付運搬車両。
【請求項2】
縮退した前記集電装置は、前記ベッセルの上面視の外形よりも内側に配置されている請求項に記載の集電装置付運搬車両。
【請求項3】
前記集電装置は、前記車両本体の進行方向の前方側及び後方側にそれぞれ配置される請求項1又は2に記載の集電装置付運搬車両。
【請求項4】
前記車両本体が運転台のない無人運搬車両である請求項1から3のいずれか1項に記載の集電装置付運搬車両。
【請求項5】
前記集電装置は、前記架線と摺接するスライダと、前記スライダが取り付けられる第1のアームと、前記第1のアームと関節で連結され、かつ縮退して折り畳まれて前記第1のアームを収容する第2のアームと、を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の集電装置付運搬車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−239267(P2012−239267A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105744(P2011−105744)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
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